スムージーやスティックで野菜や果物が摂れるKenckoが約11.4億円調達

植物由来でミキサーを使わないスムージーを提供するKencko(ケンコー)が、新しいカテゴリーに進出するために1000万ドル(約11億4000万円)の資金をシリーズAで調達した。

今回のラウンドは、既存の投資家であるSiddhi Capitalが主導し、Next View Ventures、Riverside Ventures、Silas Capital、Cheyenne Ventures、Shilling Capital、Indico Capital、Mission Point、Gather Ventures、Nextblue Venturesなど、既存および新規の投資家が参加した。今回の投資により、Kenckoの資金調達総額は1350万ドル(約15億4000万円)を超えた。

TechCrunchがKencko(日本語で「健康」を意味する)を最後に取り上げたのは、同社が340万ドル(約3億9000万円)のシードラウンドを実施した2019年のことだった。当時、同社は6種類のフレーバーのフルーツドリンクを販売しており、さらに2つの新商品を発売する準備をしていた。

現在は、オーガニックスムージーには10数種類のフレーバー、ガムドロップには4種類のフレーバーを用意している。フリーズドライ技術により、1食分のグミキャンディのようなスティックで2.5食分の野菜と果物を摂取することができる。精製された砂糖や甘味料、人工的な素材は一切使用していない。

Kenckoは、2030年までには70億ドル(約7971億6000万円)の規模になるといわれる競争の激しい世界の健康 / ウェルネス市場の中で、独自のニッチな位置を占めている。他の企業もベンチャーキャピタルを引きつけているが、例えば毎日の栄養補給を目的とした粉末飲料AG1を開発したAthletic Greens(アスレチック・グリーンズ)は、米国時間1月25日に1億1500万ドル(約131億円)の新たな資金調達を発表し、プレマネー評価額を12億ドル(約1366億6000万円)に引き上げた。

今回の投資のニュースとともに、Kenckoは2月下旬に発売される最新のボウル型加熱式製品を発表した。

共同創業者でCEOのトマス・フローズ氏(画像クレジット:Kencko)

Kenckoは、そのままでは廃棄されてしまう野菜や果物を転用することにも力を入れており、2021年1年間で1000万本以上のフリーズドライのスムージーを出荷することができたが、同社によればこれは約660トンの生鮮食品に相当するそうだ。また、2022年には完全なカーボンニュートラルを目指している。

共同創業者でCEOのTomás Froes(トマス・フローズ)氏は、TechCrunchにメールで、創業からわずか3年で年平均500%以上の成長を遂げていると語った。2021年末のKenckoの会員数は約36万人で、2020年比で173%の伸びを示している。

フローズ氏は、新たな資金を、Kenckoのサプライチェーンおよび自社製造の拡大・最適化に投入したいと考えている。社員数はちょうど100名を超えたところで、今後12カ月間でチームを倍にする予定だ。

フローズ氏は「今回の増資によって、会員の方々にとって手間のかからない栄養補給の機会である『Kencko moments』を増やすことができるでしょう」と付け加えた。「私たちは、より多くの人々が日々の果物や野菜の摂取量を増やすことで、より健康的な生活へと移行できるよう、今後も努力していきます。私たちはエキサイティングな新製品を数多く開発しており、2022年中には実店舗での販売を開始できたらと思っています」。

画像クレジット:Kencko

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(文:Christine Hall、翻訳:sako)

もっと地下へ、GreenForgesは地下農場システムで野菜を栽培

垂直型農場と聞けば、空に向かって伸びているさまを思い浮かべるのが一般的だろう。例えばAerofarms(エアロファームズ)、Plenty(プランティー)、Gotham Greens(ゴッサムグリーンズ)などの企業は、高層のプラントに栽培装置を満載して農業に革命を起こそうとしている。しかし、ある人物は地下に着目しているようだ。その人物とはPhilippe Labrie(フィリップ・ラブリー)氏。2019年に設立されたプレシード(シード以前のステージ)の地下農業スタートアップ、GreenForges(グリーンフォージズ)のCEOかつ創業者である同氏は、垂直型農場技術を地下に導入することを考えている。同氏もキャリアの初期には、屋上の温室で農業の可能性を求めて空を見ていたが、空には限界があることに気がついたという。

ラブリー氏は次のように話す。「都市部の屋上温室にはどのくらいの食料生産能力があるか、という分析を行っている論文を偶然見つけました」「2050年で2~5%、という低めの数字でした。誰も『地下で栽培できないか?』とは考えなかったようです」。

空間を利用した事業である農業には常に制約があった。農耕が始まったとされる1万2000年前、人々は森を切り開いて農地にしていた。この自然破壊的なプロセスは現在も続いている。農家がより多くの食物を育て、より多くの利益を得るためには、さらに多くの土地が必要である。従来の垂直型農場は、都市部にプラントを設置し、栽培装置を積み重ねることでこの農地転用という問題を解決しようとするものだ。しかし、それでもプラントの用地という問題が残る。そこでGreenForgesは、私たちの足元にある、使われていないスペース(地下)を利用しようとしている。

2年間の研究開発を経て、同社は農業技術のインキュベーター、Zone Agtech(ゾーンアグテック)と共同で、2022年春にモントリオール北部で最初の試験的な地下農場システムを稼働させることを計画している。GreenForgesの農業システムは、LED照明のコントロール、水耕栽培(土を使わない栽培)、湿度と温度の管理など、既存の屋内農業の管理技術の他にも、斬新なアプローチを採用している。

GreenForgesのシステムでは、大きなプラントを利用するのではなく、新たに建造される建物の下の地面に直径1メートルの穴を開け、そこに栽培装置を降ろす。メンテナンスや収穫の際は、それを機械で地表に引き上げ、人が修理や収穫を行う。今回の試験的なプログラムでは地下15メートルのシステムを利用するが、地下30メートルまでの農場システムを計画済みだ。

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    GreenForgesのシステムでは、地下の垂直型農場から栽培装置が機械で引き上げられ、利用者は地上で簡単に葉物野菜を収穫できる(画像クレジット:GreenForges)
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    画像クレジット:GreenForges
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    画像クレジット:GreenForges
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    画像クレジット:GreenForges
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    画像クレジット:GreenForges
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    画像クレジット:GreenForges

ラブリー氏によると、垂直型農場を地上から地下に移すことには多くの利点があるが、その中には、環境制御型農業が直面する最大の障害であるエネルギーコストを解決できるものもあるという。

「暑さ、寒さ、降雨、乾燥など、外の気候の変化に合わせて空調システムを常に稼働させなければならないことが、垂直型農場にとって最大のエネルギー負荷となっています。室内の環境を安定させるために、空調システムが必要なのです」とラブリー氏は話す。

このエネルギーコストという問題により、垂直型農場は従来の農法と比較して、二酸化炭素排出量と金額の両面で高くつく場合もあり、これが、多くの垂直型農場が葉物野菜のみを栽培している理由の1つだ。つまり、他の作物の栽培はエネルギーコストがかかり過ぎて割に合わないのである。しかし地下に潜ると「天気が変化しても室内で安定した環境を維持しなければならない」という課題が一気に解決される。

GreenForgesのエンジニアリングマネージャーであるJamil Madanat(ジャミル・マダナト)氏は次のように話す。「地下に潜った途端に季節に関係なく栽培できるようになります」「地下こそ が省エネの聖地です」。

マダナト氏によると、世界中どこでも、いつでもどんな環境でも、地下は温度が安定しているという。地上の温度変化に関係なく、マレーシアでは深度10メートルで温度は安定して20℃になり、カナダでは深度5メートルで温度は安定して10℃になる。

「電気やエネルギーの供給に関しては、条件が安定していれば経済的にもメリットがあります」とマダナト氏。「一度に大量のエネルギーを消費し、それをいきなり停止するのは電力網にとって良くありません。安定的な需要(供給)のほうが電力網にとっても好ましいのです」。

地下施設は外気温が安定していて、その結果エネルギーの需要も安定すれば、大規模な省エネと持続可能性につながるだろう。GreenForgesでは、植物の半分には昼間、残りの半分には夜間に照明を当てることで、照明にかかるエネルギーが常に同じになるようにして、さらなる安定化を実現している。

さらに、GreenForgesは、化石燃料の燃焼による環境への二酸化炭素排出を増やさないために、エネルギーのほとんどが太陽光や水力などの再生可能エネルギーで賄われている地域のみをターゲットにしている。

「単に、何かを燃やして屋内で食べ物を育てるのは理にかなっていないからです」とラブリー氏。

GreenForgesは、地下システムでは従来の垂直型農場に比べてエネルギー効率が30~40%向上する、と予測している。現在、同社は葉物野菜、ハーブ、ベリー類などの伝統的な屋内作物だけを扱っている。同社の計画では、地下30メートルの農場ではレタスを毎月約2400個、年間では約6400kg生産できる。しかしラブリー氏は、GreenForgesの効率が上がれば、将来的には他の野菜や作物、それも小麦のように代用肉になるような作物にも対応できるようになるだろうと期待している。

地下での栽培に障害がないわけではない。マダナト氏によると、トラックのタイヤ2本分しかないトンネルに収まる栽培装置の設計が課題だという。このような小さなスペースにシステムを収めるためには、独自のハードウェアソリューションを開発する必要がある。また、地下の湿気との戦いも残っている。

垂直型農場の先駆者であるPlentyやAerofarmsとは異なり、GreenForgesは食料品ブランドになることを望んでいない。その代わりに、高層ホテルやマンションの建設業者にアピールし、宿泊客や入居者に新鮮な野菜を提供することで、新たな収益源を生み出すことにフォーカスを当てている。

「建築物に組み込むことで、多くの可能性が見えてきました。ホテル会社や不動産開発会社にも関心を寄せてもらっています」とラブリー氏は話す。「建物の中に食料生産システムを組み込むことは、見た目ほど簡単ではありません。平米単価が非常に高い商業施設やマンションのスペースが犠牲になるからです。私たちのソリューションを利用すれば、地下の空間を収益化することが可能です」。

画像クレジット:GreenForges

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(文:Jesse Klein、翻訳:Dragonfly)

Just Verticalのエレガントな家具で家庭でも水耕栽培ができる

屋内栽培産業は拡大傾向にある。水耕栽培(通常大きな倉庫で土壌を使わずに作物を栽培する)と伝統的な温室を利用する農園は、主にレタス、ホウレンソウ、ルッコラなどの葉物野菜向けに、私たちの食物サプライチェーンの不可欠な一部となり始めている。

垂直水耕栽培は、伝統的な栽培に代わる持続可能な選択肢として捉えられている。水の使用量は95%少なく、土壌への環境負荷を抑えることができ、都市部の農園は食の砂漠エリアや食料品店の近くに設置することで輸送コストを削減できる。しかし、屋内農場の照明への大量のエネルギー使用は、農業からの炭素排出量の抑制を妨げてきた。

この業界のリーダーAeroFarmsは2021年中に上場することを発表した。サンフランシスコを拠点とする垂直農園企業Plentyは、カリフォルニア州北部のSavewayの17店舗への進出を果たした。東海岸の都市農業企業Gotham Greensは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による景気後退を乗り切り、コロラド州カリフォルニア州などの地域に屋内農園の建設を進めている。全体として、世界の垂直農法市場は2026年までに58億ドル(約6400億円)に達し、年平均成長率は14%になると予想されている。

一方、カナダを拠点とするスタートアップJust Verticalは、屋内栽培のムーブメントに家庭菜園を組み込もうとしている。同社の2つの製品AevaとEveは、水耕技術を利用して月に8〜10ポンド(約3.6〜4.5Kg)の作物を栽培できるエレガントな家具として販売されている。

これらの製品は木製のキャビネットをベースにしており、成長機構は約5フィート(約1.5m)上方に伸びている。AevaとEveは葉物野菜、ズッキーニ、イチゴ、ハーブ、ピーマン、キュウリの栽培が可能だ。同社は現在、花の分野にも進出しており、マイクロブルワリー向けのホップの栽培にも対応する。またハードウェアの販売以外にも、種やピートモスのポッドのサブスクリプションモデルを提供している。

「1年中栽培に専念することが難しい人や、裏庭やバルコニーがない人などの利用を想定しています」と共同創業者のKevin Jakiela(ケヴィン・ジャキーラ)氏は語る。「ただのカウンタートップバージョンになることは意図しませんでした」。

競合にはClick and GrowAerogardensなどがあり、主にハーブ向けの製品を手がけている。一方で、Tower GardenZipGrowといった大規模な競合も存在する。だがJust Verticalは、他社のバージョンとは異なる方向性に目を向けており、装飾と菜園の両立を目指している。

ジャキーラ氏によると、Just Verticalの最大の市場はマンションなどの住居で、レストラン、学校、カフェ、バーがそれに続く。また同社は、オフィス空間への関心についても、純粋に食を重視するというよりはインテリアとして捉えている。

「マンションや住宅内のアメニティのような、ビルド済み製品の一部になりたいと思っています。食洗機や洗濯機を選ぶように人々が選択する、電子レンジに準ずるような存在です」とジャキーラ氏はいう。「IKEAのような大型小売店への参入も考えています」。

同社はこれまでに1500台を売り上げ、District Venturesからシード投資を受けた。同ファンドはArlene Dickinson(アーリーン・ディッキンソン)氏が設立し、ジェネラルパートナーを務める。(同氏はShark Tank[アメリカ版「¥マネーの虎」]のカナダバージョンの番組Dragon’s Denに、Shark TankではShark[サメ]と呼ばれる投資家として出演している。)Just Verticalは現在、9月のシリーズAを目指している。

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ただ、Verticalの600〜1000ドル(約6万6千~11万円)という価格の高さを考えると、食料安全保障や環境問題への大きなインパクトに直面している家庭に対して、実際に変化をもたらす可能性は低いとも言えるかもしれない。

現在Just Verticalがターゲットとしている消費者は「Whole Foods(アメリカの高級スーパー)の買い物客」であることをジャキーラ氏は認めている。それでも同社のウェブサイトでは、人々が自分たちの食料を栽培することにより、1億1200万マイル(約1億8024km)超の食料輸送が節約されたことや、200万リットルを超える水が節約されたことなど、製品の環境上の利点を示唆するデータを取り上げて、自社のミッションを強調している。会社が規模を拡大するにつれて、社会的、ビジネス的なインパクトが生み出されていくことをジャキーラ氏は期待する。

「ホビイストから脱却し、より大きなインパクトを求めていきたいと思っています」と同氏は語る。「Aevaを使うことでコストのオフセットを可能にしたレストランでの実績に追随する形で、食料品店の前線に立ちたいと考えています。社会的な要素に照準を合わせた、小売ネットワークと分散型ネットワークの構築を進めていきます」。

Just Verticalは、ハイエンドの消費者側から始めて市場への適合性を証明し、実証済みの成功を携えて食料品店に向かうことで、真にインパクトを与えることができると判断した。

「特にスタートアップにとって、食料品店のドアをノックして『こんにちは、アイデアがあります』と切り出すことにはかなりの困難がともないます」とジャキーラ氏。「実績と適合証明を持って出直すように言われるか、8カ月から12カ月のプロセスを保証もなく繰り返すことになるかでしょう。何度も繰り返すことになります。食料品店側としては、自ら新機軸に着手するという危ない橋は渡りたくないものの、同時に後れを取ることは避けたいと思っているのです」。

画像クレジット:leungchopan / Shutterstock

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(文:Jesse Klein、翻訳:Dragonfly)

自宅で野菜やハーブを栽培しよう、Rise Gardensが10億円の資金調達で成長拡大

野菜を中心とした食事や、持続可能な食生活を実践する消費者が増える中、Rise Gardensは、誰もが自宅で植物を栽培できるシステムを展開している。

シカゴを拠点とし、スマートな屋内水耕栽培ビジネスを展開するRise Gardensは、このたび、TELUS Ventures(テラスベンチャーズ)が主導するシリーズAラウンドにおいて、オーバーサブスクライブ(申し込みが上回る)で900万ドル(約10億円)を調達した。ラウンドには既存の投資家であるTrue Ventures(トゥルーベンチャーズ)とAmazon Alexa Fund(アマゾンアレクサファンド)、および新規投資家であるListen Ventures(リッスンベンチャーズ)が参加。Rise Gardensの創業者かつCEOのHank Adams(ハンク・アダムス)氏は、TechCrunchの取材に応じ、2017年の設立以来、ベンチャーキャピタルから合計1300万ドル(約14億4000万円)を獲得した、と答える。

スポーツテクノロジーの専門家だったアダムス氏は、2019年に最初の製品を発売するまで、設立前から数年かけてプロトタイプに取り組んできたと話す。IoTを利用したRise Gardensシステムでは、野菜、ハーブ、マイクログリーンを1年中栽培できる。

Rise Gardensシステムは3つのサイズから選択可能で、ユーザーは約300ドル(約3万3000円)で「庭」を持つことができる。

何かを育てることには「一種の喜び」があるが、手間がかかったり、ストレスになったりするような趣味には手を出したくない、だからサポートが必要なのだ、とアダムス氏は話す。Rise Gardensに付属するモバイルアプリは、水量や植物の成長状況をモニターし、水や肥料の与え方、手入れのタイミングをユーザーに知らせてくれる。

アダム氏はこう続ける。「皆が食べ物に注意を払い、自分の食事に気を配っています」「自分が食べるものを育てることに興味を持つ人が増えました。世界的なパンデミックも一因でしょう」。

実際、消費者の関心は高く、2020年にはRise Gardensの売上高は7桁(日本円では1億円)を超え、Gardensシステムは1年間に3回も完売した。ユーザーは10万本近くの苗を購入し、5万本を収穫している。

同社は、2019年の製品発売以来、フードロスを907kg以上削減し、946トンの水を節約することに貢献したと推定している。

屋内ファームのコンセプトは新しいものではない。すでに同様のサービスを展開している企業には、AeroGarden(エアロガーデン)、2020年11月にScotts Miracle-Gro(スコッツ・ミラクル-グロー)に買収されたAeroGrow(エアログロー)、Click & Grow(クリックアンドグロー)などがある。Rise Gardensは、Gardyn(ガーディン)などと同様、資金調達を行った新しいスタートアップ企業の1社である。

Rise Gardensは、粉体塗装の金属やガラスを使った、室内で人目をひくようなデザインのGardensシステムで、競合他社との差別化を図っている。さらに、ユーザーが自分の「庭」でさまざまなことを試せるようにしている。

「趣味も極めると飽きてしまうので、柔軟性のあるものがいいと考えました」「レベル1からスタートして、トレイの蓋を交換することで、より高密度に栽培することができます。マイクログリーンキットを追加したり、トマトやピーマン用に支柱を追加したり、スナップエンドウをつるすためのトレリスを作ったりすることもできます」とアダムス氏。

シリーズAの資金は製品開発、在庫管理、製造、新市場への進出、チームの増強(特にカスタマーサービスとマーケティング)に充てられる。現在、同社の従業員は約25名で、2021年中にさらに8名を増員する予定だ。

Rise Gardensのプロダクトは、(同社のウェブサイト以外では初めて)Amazonでの販売も間もなく開始される。学校にも進出し、アダムス氏はこれを「学校菜園バージョン2.0」と呼んでいる。

TELUS Venturesのプレジデント兼マネージングパートナーであるRich Osborn(リッチ・オズボーン)氏は、屋内ファームの分野を評価した際、Rise Gardensとアダムス氏が選ばれたのは、彼らのバックグラウンド、データエクスペリエンス、そしてAmazonとの協力体制によるものだ、とTechCrunchに語る。

オズボーン氏によると、この種の製品に対する消費者の需要だけでなく、この種の投資から生み出される持続可能性と社会的影響は、強調してもし過ぎることはない、という。

TELUS Agriculture(テラスアグリカルチャー)の暫定プレジデントであり、アグリビジネス・グローバルマネージングディレクターであるNishan Majarian(ニシャン・マジャリアン)氏は、作物の成長には個体差があるので、将来的に作物の管理は植物単位で行われるようになるだろう、と話す。

マジャリアン氏は次のように続ける。「Climate Corp.(クライミットコーポレーション)がMonsanto(モンサント)に買収されて以来、次の10億ドル(約1105億)を獲得すべく、農業に大規模な投資が行われています」「農業作物は、分類化されていないサプライチェーンです。作物1つ1つが異なり、市場も異なります。そのため、これらの問題と規模を解決するために資金を調達するスタートアップ企業にとっては、身近で、複雑で、いうなれば肥沃な土壌になるのです」。

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画像クレジット:Rise Gardens

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(文:Christine Hall、翻訳:Dragonfly)