日本原子力研究開発機構、原子力施設の耐震安全性を詳細な3Dモデルで解析する手法を標準化して公開

日本原子力研究開発機構、原子力施設の耐震安全性を詳細な3Dモデルで解析する手法を標準化して公開

日本原子力研究開発機構は、原子力施設を3次元モデル化し、地震の揺れに対する影響を詳細に解析する手法を整備。実測データとの比較によりモデル化方法の妥当性を確認し、耐震解析手法の精度向上を実現した。さらに、この手法を標準的な解析要領にまとめ、外部専門家の確認を経て公開したと3月25日に発表した。

原子力施設の3次元モデルを用いた耐震解析には、国際原子力機関(IAEA)が、柏崎刈羽原子力発電所7号機原子炉建屋を対象に2007年の新潟中越地震の実測データを用いて実施した国際ベンチマーク解析「KARISMAベンチマーク解析」があるが、解析者による結果のばらつきが大きく、観測記録との差が大きいという問題がある。そのため、モデル化方法と解析方法を標準化し、耐震安全性の信頼性向上が求められてきた。

同機構の崔炳賢副主任研究員ら研究グループは、3次元詳細モデルによる耐震解析手法に関係する複数の重要因子を特定し、それぞれの詳細モデル化の方法を明確にした。この手法を用いることで、原子力施設の耐震安全性の評価手法の1つである、地震を原因とする確率論的リスク評価に必要な、建屋の局部応答も表現できる。つまり、重要機器や配管が設置されている建屋の床や壁といった局部の振動が再現され、建屋の揺れが精緻化された。これにより、「局部から始まる建屋のより現実的な損傷評価が可能」となり、建屋、機器、配管などの損傷確率を示す地震フラジリティー評価手法の高度化が期待できるという。この解析結果を実際の観測記録と比較したところ、再現性が向上していることが確認され、このモデル化方法の妥当性が明らかになった。

重要機器の設置位置などの建屋の注目部位(床や壁)のフラジリティ評価のイメージ

研究グループは、こうした3次元詳細モデルを用いた耐震解析の手法、考え方、手順、技術的根拠などを取りまとめ、国内初となる標準的な解析要領を整備した。これを利用することで、解析者ごとの解析結果のばらつきが抑えられる。また、プラント公開情報をもとに、この標準的解析要領の手順に沿ったモデル化と解析を行い、解析事例として整備した。そしてこれを適用事例としてまとめ、外部専門家の確認を経て、標準的解析要領とともに公開した。

ライフログアプリSilentLogを提供するレイ・フロンティアが個人ユーザー・自治体・企業に向け防災機能をリリース

ライフログアプリSilentLogを提供するレイ・フロンティアが個人ユーザー・自治体・企業に向け防災機能をリリース

レイ・フロンティアは3月11日、インストールしておくだけで歩数と道のりを自動で記録するライフログアプリ「SilentLog」(サイレントログ。Android版iOS版)において、防災機能をリリースした。「災害に備えて、水や食料などと同様に、日々の行動データを備蓄しましょう」をコンセプトとした防災機能で、SilentLogの標準機能として無料で提供する。

また同機能では、ニーズに合わせて「SilentLogユーザー向け防災情報プッシュ配信」「自治体など防災情報発信者向け」「新規防災アプリを構築したい企業向け」の3つのサービスを提供している。

SilentLogユーザー向け防災情報プッシュ配信

ライフログアプリSilentLogを提供するレイ・フロンティアが個人ユーザー・自治体・企業に向け防災機能をリリースLアラートから防災情報を受信し、SilentLogアプリにプッシュ配信する。平時からアプリに保存された日々の行動情報を分析し、アプリユーザーごとの「よく行く地域」を集計。防災情報が発令された有事の際には、個別にそれら地域の防災情報を即座に自動配信する。平時の集計結果により防災情報を配信するため、あらかじめ防災情報の受信地域の設定が必要がないという。

また、防災情報が発令された後の行動情報も集計して効果測定を行い、防災情報の配信方法を改善していく。配信は2022年4月1日からとし、2022年3月22日から3月25日にかけてテスト配信を実施。

自治体など防災情報発信者向け

ライフログアプリSilentLogを提供するレイ・フロンティアが個人ユーザー・自治体・企業に向け防災機能をリリースレイ・フロンティアでは、同社環境内のSilentLog以外のアプリユーザーに対しても、防災情報受信後のユーザー行動を集計しているという。SiletLog SDKを使用して同社環境でアプリを構築すると、防災情報受信後のユーザー行動を集計。この集計結果により、防災情報発信の効果測定ができるようになる。構築するアプリは、防災系に限らず健康系など特にジャンルに制限はない。アプリ導入事例については同社に事例集がある。

新規防災アプリを構築したい企業向け

ライフログアプリSilentLogを提供するレイ・フロンティアが個人ユーザー・自治体・企業に向け防災機能をリリース今回SilentLog用に構築した環境を利用することにより、企業向けにも防災アプリの構築が可能。Lアラートへの利用申請と審査が必要となる。お問合せはこちら

セーフィーのウェアラブルカメラSafie Pocket2を千葉県八千代市消防本部が試験導入、訓練形式の人命救助実証試験

セーフィーのウェアラブルカメラ「Safie Pocket2」を千葉県八千代市の消防本部が試験導入、訓練形式の人命救助実証試験

クラウド録画サービスを展開するセーフィーは3月8日、ウェアラブル・クラウドカメラ「Safie Pocket2」(セーフィー ポケット ツー)が千葉県八千代市の消防本部に試験導入され、訓練形式の人命救助実証試験を実施したことを発表した。千葉県は近年、豪雨による甚大な被害を受けたことから、その経験を教訓として活かし「災害に強いまちづくり政策パッケージ」を策定、最新テクノロジーを積極的に採り入れている。

Safie Pocket2は、バッテリーとSIMを搭載し、電源を入れるだけで現場と本部とを映像と音声で結ぶことができる小型カメラ。2021年3月にも、キヤノンマーケティングジャパン、シーデーシー情報システムと連携して行われた千葉市の災害対策実証試験において採用された。これまで数回にわたる実証試験を通してSafie Pocket2の仕様と機能は最適化され、災害現場の状況を正確に迅速に把握できるようになっている。

この実証試験で検証できた内容は、以下の4つ。

要救助者の重症度などの状況を現場と本部とでリアルタイムに共有

隊員のカメラとドローンの映像を組み合わせて本部が状況確認・情報共有し、活動方針を判断。担架で運び出される救助者の様子を接写映像で把握。他機関とも映像をリアルタイム共有して連携した。

要救助者を遠隔からフォロー可能に

要救助者が閉じ込められた狭い空間に隊員が入り、内部の詳細な状況を収集・伝達。音声だけでは伝わりにくい状況を映像で共有。救助されるまでの間、要救助者とカメラを通して声かけし、監視した。

カメラの位置情報を確認し、各活動場所にいる隊員に的確な指示出し

災害現場に投入した消防力を確認しつつ、隊員を適正に配置した。

隊員による消防活動の行動の振り返りに利用

事後検証、隊員の教育にカメラの映像を利用した。

また、火災現場では無線機やマイクが水滴や粉塵で使えなくなってしまうことがあるが、Safie Pocket2なら現場の状況を「映像と音声の二軸で判断」でき、通常業務に支障をきたすことがなかったとのことだ。セーフィーのウェアラブルカメラ「Safie Pocket2」を千葉県八千代市の消防本部が試験導入、訓練形式の人命救助実証試験

日本海側に豪雪をもたらすJPCZ(日本海寒帯気団収束帯)の実態を洋上気球観測で初めて解明

水産大学校練習船「耕洋丸」による洋上気球観測の様子

水産大学校練習船「耕洋丸」による洋上気球観測の様子

新潟大学は2月21日、日本に豪雪をもたらす日本海寒帯気団収束帯(JPCZ。Japan sea Polar air mass Convergence Zone)の実態を、洋上気球観測によって初めて明らかにしたことを発表した。

JPCZは日本海で発生し、朝鮮半島の付け根付近から日本列島にかけて数百kmに及ぶ帯状の雲を形成する(冬の北西季節風がシベリアから吹くと、北朝鮮北部の白頭山の下流に位置する日本海北西部から日本列島まで帯状の太い雲が伸びる)。これが上陸すると、狭い範囲に極端な豪雪をもたらし、ときには太平洋側に大雪を降らせることもある。JPCZの発生のメカニズムやその詳しい実態は、これまで現地観測されたことがなかったため、その構造は謎だった。

JPCZの発生メカニズムとしては、北朝鮮の山を迂回する気流が合流することで発生するなどいくつか提唱されているものの、現場での観測研究は実施されていないため確かめられていなかったという。

そこで、新潟大学、三重大学水産大学校東京大学からなる研究グループは、2022年1月19日から20日かけて、水産大学校の練習船「耕洋丸」を使い、JPCZ下の洋上を横断しながら気球による観測を実施した。気温・湿度・風・気圧を測定する機器を搭載した気球を1時間ごとに打ち上げ、これに合わせて海洋の温度塩分観測も行った。

洋上観測の模式図。JPCZを横断しながら気温・湿度・風・気圧を測定する機器を搭載した気球を1時間ごとに打ち上げ、上空の大気を観測

洋上観測の模式図。JPCZを横断しながら気温・湿度・風・気圧を測定する機器を搭載した気球を1時間ごとに打ち上げ、上空の大気を観測

その結果わかったのは、JPCZの中心部では、風向が90度に激変し、強風化し、周囲から気流が収束しているという事実だった。収束域は幅約15kmときわめて狭く、上空4kmまで風の急変域が続き、6kmの地点では気流が発散していた。こうした大気の急変は、規模数百kmの前線帯でも見られないという。またJPCZ中心部の雲の高さは、平均的な雪雲の高さが2kmなのに対して4kmもあった。

JPCZ中心部を横切った島根県沖での観測結果。矢印は1000m上空の風向と風速を示す。JPCZ中心部で風向が約90度変化し、周囲から高湿度の気流が収束することで、JPCZに集中し大雪がもたらされていることを観測

JPCZ中心部を横切った島根県沖での観測結果。矢印は1000m上空の風向と風速を示す。JPCZ中心部で風向が約90度変化し、周囲から高湿度の気流が収束することで、JPCZに集中し大雪がもたらされていることを観測

このときの海水温度は、暖かい対馬暖流の影響で14度。気温は3度。その温度差は11度。水面での風速は毎秒17m。これらにより海面から大量の水蒸気が吸い上げられ、気流の収束によりJPCZに集中して大雪を降らせていた。これを降雪に換算すると、1日の降雪量2mに相当するという。こうした大気と海洋の状態により極端な大雪をもたらされることが、今回の観測によって初めて示された。この観測結果は、JPCZの予報の精度向上に寄与すると、研究グループは話している。

機械学習でイノシシの出没確率を予測、森林総研と岩手県立大学が岩手県におけるイノシシ出没ハザードマップを作成

機械学習でイノシシの出没を予測、森林研究・整備機構森林総合研究所と岩手県立大学がイノシシ出没ハザードマップを作成

2017年~2019年の出没データを用いて作成したイノシシの出没予測図。この図をハザードマップとして用いることが可能。図中の細線は市町村界を示す

森林研究・整備機構森林総合研究所(⼤⻄尚樹氏)と岩手県立大学(今⽥⽇菜⼦氏、⼀ノ澤友⾹氏)の研究グループは2月15日、岩手県で分布域を拡大しているイノシシの出没を機械学習で予測するハザードマップを作成したと発表した。この手法は地域を限定しないため、他の地域にも応用が可能だという。

研究グループは、2007年以降の岩手県内のイノシシの出没データ(目撃・被害・捕獲情報をまとめたもの)を基に、種の分布モデル(種の分布を推定する手法)を用いた機械学習法により、出没予測図を製作した。また予測には、標高、植生、土地利用、人口、年間最大積雪深の5つの環境データ(国⼟地理院や政府が公開しているオープンデータを採用)を用いたが、このすべてを組み合わせて予測図を作ったところ、標高、植生、土地利用の3つを用いた場合がもっとも信頼度の高い予測図となった。

そして、最初の目撃例からの拡大期にあたる2007年から2017年の出没データを用いた予測図と、拡大を終え定着期に入り大きく出没件数が増えた2018年から2019年の出没データを用いた予測図とを比較したところ、予測確率が高い地域ほど出没が多いことがわかった。つまり、データ量が多いほど予測確率は高くなるということで、2019年までの全データを用いた出没予想図は、今後のイノシシ出没ハザードマップとして活用できるという。

岩手県内のイノシシの分布拡大の変遷。図中の□は5kmメッシュを示し、メッシュごとの目撃件数を色分けした

岩手県内のイノシシの分布拡大の変遷。図中の□は5kmメッシュを示し、メッシュごとの目撃件数を色分けした

2007年~2017年の出没データから作成した出没予測図に、2018年~2019年に実際に出没した5kmメッシュ(□)を重ねたもの

2007年~2017年の出没データから作成した出没予測図に、2018年~2019年に実際に出没した5kmメッシュ(□)を重ねたもの

この手法は地域を限定しないため、東北以外のイノシシの分布が拡大している地域でも、これを使って独自のハザードマップを作ることが可能だ。また、シカ、サル、クマなどの他の哺乳類にも応用が期待できるという。ただし、これはあくまで目撃や被害をもとにした「出没確率」であって、「生息確率」ではないため、人が関与しない場所で生息している可能性もあるとのことだ。

NTTコミュニケーションズ、山形県との連携のもとAIで積雪状況を分析し除雪業務の効率化を目指す実証実験を開始

NTTコミュニケーションズ、山形県との連携のもとAIで積雪状況を分析し除雪業務の効率化を目指す実証実験を開始

NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は2月4日、山形県との連携のもと、米沢市と高畠町において、車載カメラで収集した画像データからAIで積雪状況を分析する実証実験を同日開始した。これは除雪業務の効率化を目指す実験で、積雪状況をリアルタイムに「可視化プラットフォーム」の地図上に表示する。

同実証実験はNTT Comの社内ビジネスコンテスト「DigiCom」および社内新規事業創出プログラム「BI challenge」にて創発されたビジネスアイデアで、その事業化に向けた取り組みの一環。

山形県は豪雪地帯として知られているが、なかでも米沢市と高畠町は国土交通省から「特別豪雪地帯」に指定されており、除雪の緊急度把握が特に重要な地域となっている。今回実験を行うNTTコミュニケーションズのシステムは、様々な車両の車載カメラで撮影された道路の映像をクラウドに集め、地図上にマッピングするというもので、積雪状況のリアルタイムの可視化、状況把握の効率化、緊急度に応じた除雪車の早期手配などに役立つ。

これには、NTT Comが提供するクラウド録画カメラサービス「coomonita 」(コーモニタ)」と、ネット地図サービス企業HERE Technologies(ヒアテクノロジーズ)の位置情報システム「HERE Maps API」が用いられる。AI画像分析は、東大・松尾研発のAIスタートアップACES(エーシーズ)と協力し実施する。

実証実験は、2つのステップで実施される。2月28日まで実施されるステップ1では、道路などの積雪状況の画像データを集め、個人情報をマスキングした上でリアルタイムに「可視化プラットフォーム」の地図上に画像を表示し、可視化データを自治体に提供する。2022年12月に実施予定のステップ2では、積雪状況、道路の幅、事故、道路陥没状況などをAIで画像分析し、結果を自治体に提供する。

今後は、積雪アラートなどの機能を追加すると同時に、道路の損傷検知や地域防犯など、積雪地域以外の全国にも同システムを展開を目指すとのことだ。

防災備蓄共同保有プラットフォーム「あんしんストック」を展開するLaspyがシードラウンドファーストクローズとして5000万円調達

大災害などで必要となる防災備蓄を共同で備蓄するプラットフォーム「あんしんストック」を展開するLaspyは1月28日、シードラウンドファーストクローズとして、第三者割当増資による5000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先はKUSABI、サムライインキュベート。調達した資金は、プロダクト開発と採用・組織体制の強化にあてる。

あんしんストックは、マンションや町内会、事業者といったある程度の共同体のエリアごとに水や食料といった防災備蓄を共同で保有するプラットフォーム。防災備蓄スペースや防災備蓄品の確保、賞味期限などの管理コスト削減、食品ロス対策やSDGsへの対応などが可能なワンストップソリューションとして提供している。

調達した資金により、防災備蓄共同保有の仕組みを実際に街へ配備できるよう加速する。具体的には、Laspy独自の防災備蓄の管理最適化・効率化、また2022年春頃取得見込のビジネスモデル特許を表現し災害時における防災備蓄の最適な配布を行うためのシステム開発に注力。同時にそれらを実現するためのシステム開発エンジニアの採用を進めている。

また街作りに関わる大手不動産デベロッパーに加えて、多種多様なメーカー、データベンダー、インフラ企業、大手商社などとのパートナーシップを拡大させる。現状においても、東京都中央区兜町エリアや近隣ビジネス街向けの備蓄プラットフォーム事業や、東京都内・愛知県名古屋市内の大規模な新築マンション開発プロジェクトへの導入に向けた実証実験などを推進させているという。こうしたパートナーとの各種実証実験を多く成功させ、多数のモデルケース獲得を目指すとしている。

 

防災備蓄共同保有プラットフォーム「あんしんストック」を展開するLaspyがシードラウンドファーストクローズとして5000万円調達

大災害などで必要となる防災備蓄を共同で備蓄するプラットフォーム「あんしんストック」を展開するLaspyは1月28日、シードラウンドファーストクローズとして、第三者割当増資による5000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先はKUSABI、サムライインキュベート。調達した資金は、プロダクト開発と採用・組織体制の強化にあてる。

あんしんストックは、マンションや町内会、事業者といったある程度の共同体のエリアごとに水や食料といった防災備蓄を共同で保有するプラットフォーム。防災備蓄スペースや防災備蓄品の確保、賞味期限などの管理コスト削減、食品ロス対策やSDGsへの対応などが可能なワンストップソリューションとして提供している。

調達した資金により、防災備蓄共同保有の仕組みを実際に街へ配備できるよう加速する。具体的には、Laspy独自の防災備蓄の管理最適化・効率化、また2022年春頃取得見込のビジネスモデル特許を表現し災害時における防災備蓄の最適な配布を行うためのシステム開発に注力。同時にそれらを実現するためのシステム開発エンジニアの採用を進めている。

また街作りに関わる大手不動産デベロッパーに加えて、多種多様なメーカー、データベンダー、インフラ企業、大手商社などとのパートナーシップを拡大させる。現状においても、東京都中央区兜町エリアや近隣ビジネス街向けの備蓄プラットフォーム事業や、東京都内・愛知県名古屋市内の大規模な新築マンション開発プロジェクトへの導入に向けた実証実験などを推進させているという。こうしたパートナーとの各種実証実験を多く成功させ、多数のモデルケース獲得を目指すとしている。

 

長年にわたり物議を醸す犯罪追跡アプリのCitizenが災害対策アプリのHarborを買収

犯罪監視アプリのCitizen(シチズン)は米国時間1月26日、防災アプリや技術を扱うHarbor(ハーバー)を買収すると発表した。Citizenにとって初めての買収だが、同社は金額などを明らかにしていない。

「公共安全の変革は大規模な事業です。私たちのミッションをグローバルに加速させるために、すばらしいチームと一連の製品が必要となります。Harborの買収は、その技術、製品、チームを含め、私たちにとって大きな喜びです」とCitizenの創業者でCEOのAndrew Frame(アンドリュー・フレーム)氏はプレスリリースで述べた。

公開されている911(日本の110番に相当)の記録簿をもとに、スタッフが検証したデータによると、Citizenは米国内の60都市で毎日2000万件以上の緊急通報を配信しているという。以前は、ユーザーがCitizenに直接事件を報告することができたが、現在は同社のウェブサイトで、代わりに911に電話するように勧めている。

1年半ほど前にシードラウンドで500万ドル(約5億7500万円)を調達したHarborは、火災や地震などの危機に備えるプロセスをゲーム化した。2020年10月にスタートしたこのアプリは、ユーザーに郵便番号の入力を求める。そして、どのような災害が自分に降りかかる可能性が高いかを教えてくれる(ちょっと恐い感じがするが)。

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Harborはユーザーに、数分でできる準備作業を毎週提示する。処理すべき大量の緊急事態リストを一度に押しつけることはしない。最初は煙探知機のチェックや非常持ち出し袋の準備などから始まり、徐々にCPR(心肺蘇生法)の習得など、より時間のかかる安全対策に取り組んでもらう。

「私たちのチームがCitizenと、同社が掲げる世界をより安全な場所にするという使命に参加できることは、これ以上ない幸せです」とHarborのCEOであるDan Kessler(ダン・ケスラー)氏は話す。同氏は、Citizenに最高事業責任者として加わる。「モバイルセーフティーに関わる新しい技術カテゴリーを構築し続けるために、私たちが一緒にできることはたくさんあります」。

この買収は、Citizenがユーザーに、近隣で起きた事件に関して不安を煽るような警告を送らずに、安全を維持する方法を提供するのに役立つ可能性がある。同社は最近、月額20ドル(約2300円)のサービスProtectを開始した。ユーザーは、危険を感じるものの911に電話するほどではない場合に、Citizenのエージェントに連絡できる。同社はTechCrunchに、Protectのユーザー数は現在10万人だと述べた。

現在、無料アプリ全体で1000万人のユーザーを抱えるCitizenは、長年にわたってさまざまな論争に巻き込まれてきた。2016年から、このアプリ(以前は「Vigilante」と呼ばれていた)は、危険や身体的被害につながる可能性のある活動を奨励したとして、App Storeから削除された(このアプリの開発で示唆したのは、一般人は犯罪の問題に「グループで」アプローチすることだと、同社は立ち上げ時に記している)。

またこのアプリは、後日無実と判明した放火犯容疑者の情報に対して3万ドル(約345万円)を支払うと提案したり、通報があった犯罪の現場を調べるために民間の警備員を送ろうとしたことでも、非難を浴びたことがある。

画像クレジット:Bloomberg / Contributor / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

地球温暖化が進み気温が4度上昇すると、「大気の川」による「経験したことのない大雨」が春には約3倍に増えると判明

地球温暖化が進み気温が4度上昇すると、「大気の川」による「経験したことのない大雨」が春には約3倍に増えることが判明筑波大学は1月18日、熱帯から中緯度へと大規模な水蒸気が川のように流れ込む現象「大気の川」(atmospheric river)と東アジアでの豪雨との関係を、気象庁気象研究所との共同研究で明らかにした(筑波大学生命環境系 釜江陽一助教、気象庁気象研究所 川瀬宏明主任研究官)。気温が4度上昇すると、大気の川によって生じる「経験したことのない大雨」は、春には約3倍に増えるという。

北米西岸や欧州では、大気の川が豪雨を引き起こすことはわかっていたが、それ以外の地域で大気の川が生じるメカニズムや、地球温暖化が進行したときの活動の変化に関する理解は進んでいなかった。これまでに研究グループは、東アジアにおける過去60年間の日々の大気の川の振る舞いを調査し、降雨強度のデータとの比較を行い、その発生頻度と強度を明らかにした。また、大気大循環モデルを用いた大規模アンサンブル実験で、地球温暖化が進行すると、大気の川がより頻繁に東アジアを通過するようになることも突き止めていた。

東アジアを通過する「大気の川」の例。2021年4月3日21時に北日本に接近した温帯低気圧(等値線)に伴って、大量の水蒸気が流れ込む(色と矢印)「大気の川」(赤線の範囲)が通過した際の様子

東アジアを通過する「大気の川」の例。2021年4月3日21時に北日本に接近した温帯低気圧(等値線)に伴って、大量の水蒸気が流れ込む(色と矢印)「大気の川」(赤線の範囲)が通過した際の様子

これらの成果を踏まえ、研究グループは、東アジアを対象とした高解像度(水平解像度20km)の地域気候モデルを用いた解析により、大気の川たもたらす豪雨の特性が、地球温暖化によってどう変化するかを調査した。その結果、現在よりも気温が摂氏4度上昇すると、豪雨の発生頻度が、春には約3.1倍、夏には約2.4倍に増えることがわかった。

水平解像度20kmの地域気候モデルを用いた、春季におけるシミュレーション結果例。地球温暖化時に豪雨に相当する強い雨の頻度が増え(左図)、そのうちの大部分が「大気の川」によってもたらされる(右図)

水平解像度20kmの地域気候モデルを用いた、春季におけるシミュレーション結果例。地球温暖化時に豪雨に相当する強い雨の頻度が増え(左図)、そのうちの大部分が「大気の川」によってもたらされる(右図)

大気の川は、標高の高い山地の南西斜面にぶつかり強い雨を降らせる。その際の降雨強度を検証すると、気温が4度上昇した地球温暖化時に発生する豪雨のうち、春は77%、夏は46%が大気の川によって生じるものであることもわかった。北アルプスの上空を通過する水蒸気の流れは、地球温暖化時には「経験したことのない大雨」を振らせるが、その大部分が大気の川の通過によるものとなる。特に台風の接近が少ない春においては、「経験したことのない大雨」のうち大気の川によるものの割合は89%にのぼるという。

この研究により、地球温暖化にともない「経験したことのない大雨」が増えることが予測され、そこに大気の川が重要な役割を果たすことが、世界で初めて解明された。大気の川がもたらす降水特性について、また台風や線状降水帯との相互作用について解明を進めることで、豪雨災害の予測の精度を向上させ、対策に役立てることができるということだ。

画像クレジット:Clay LeConey on Unsplash

SNSを情報解析し事故・災害情報をリアルタイム配信するスペクティが「Yahoo!防災速報」アプリと連携開始

Spectee(スペクティ)は1月11日、Yahoo!JAPANが配信するアプリ「Yahoo!防災速報」(Android版iOS版)と連携を強化しSNSより解析された災害情報の提供開始を発表した。

2021年2月よりSpecteeは、「Yahoo!リアルタイム検索」(スマートフォンウェブ版)において、SNSに投稿された災害状況を表示する機能を提供。スマホで同サイトにアクセスした際に表示されるスマートフォンウェブ版の「事故・災害」タブでは、スペクティが収集・解析したツイートを表示しており、これらの位置情報については動画・画像・投稿内容やその他の情報を基に付加している。

今回はその連携をさらに強化し、「Yahoo!防災速報」内のユーザー同士が災害状況を共有できる「災害マップ」上において、「Yahoo!リアルタイム検索」から位置情報を取得できる気象災害に関する投稿のみを抽出し情報を表示する。

この「災害マップ」では、災状況を取材する報道機関や被災地で防災・救助活動を行うNPOと防災士による情報も閲覧可能となっており、自治体や気象庁などの公的機関から発信される情報とあわせて参照することで、ユーザーの防災行動を支援する。

SNSを情報解析し事故・災害情報をリアルタイム配信するスペクティが「Yahoo!防災速報」アプリとの連携開始

機能の特徴としては、写真や動画付きのSNS投稿を表示し、災害状況を視覚的に理解できるようにした点が挙げられる。台風や大雨といった風水害、地震や大雪など様々な災害の状況が確認可能になったうえ、投稿内容がどの地点のものなのかがわかるようマップ上で表示できるようにし、正確な災害発生地点の把握が行える。

Specteeは、「最先端の情報解析技術で、世界のあらゆる『危機』から人々を守る。」をミッションとして掲げており、災害や緊急時の被害を減らすため、AIを活用して被害状況をリアルタイムに可視化し予測する防災・危機管理ソリューション「Spectee Pro」を提供している。2021年12月末時点で、全国600社の企業や100以上の自治体や官公庁に導入されており、防災や企業のBCP、交通の安全、店舗管理、物流やサプライチェーンのリスク管理などに活用されているという。

総務省がプログラミング未経験者も参加できる地理空間情報学習研修を無料開催、災害発生時を想定し課題解決を目指す

総務省がプログラミング未経験者も参加できる地理空間情報学習研修を無料開催、災害発生時を想定し課題解決サービスの開発目指す

ハッカソンやアイデアソンの運営を行うHackCampは、総務省の委託事業「令和3年度地理空間情報を活用可能な人材の裾野拡大に向けた人材育成プログラムに関する調査研究の請負」の一環として「Geospatial Hackers Program 2021」をオンライン開催する(受講無料)。

これは、防災・観光・地域活性化などの有用なデータを可視化する技術「地理空間情報」の担い手育成を目的とした研修プログラム。自治体職員・NPO・市民団体・学生などプログラミング未経験者向け「初学者コース」と、プログラミング経験者向けの「技術者コース」とがある。動画教材を使い、実践的な学習をオンラインで行うというものだが、具体的な流れは、動画を使った自習(ハンズオン講習会の準備)、地理空間技術者によるハンズオン講習会、サービスプロトタイプ作りのための実践研修となっている。

講師は、実際に災害支援に参加した専門家である、高知県立大学の神原咲子特任教授(初学者コース)、静岡県建設政策課チーム(技術者コース)が担当する。実際に、「隣県で災害が発生した」という想定で被災地の課題解決に役立つサービスをチームで開発し、デモデーで優れたアイデアが表彰される。

「Geospatial Hackers Program 2021」概要

初学者コース

  • 対象者:プログラミング未経験者。自治体職員、NPO、市民団体、学生など。MS Officeが使える程度のコンピューターの知識が必要
  • 学習目標
    ・地理空間技術の概念とデータの種類を知る
    ・地理空間情報でできることを知る
    ・オープンデータを自分の力で地図に表現できる
    ・チームで1つのサービスを開発する
  • ハンズオン講習会日程と内容
    ・2022年1月8日9:30〜12:30
    ・オープンソースのデスクトップGISソフト「QGIS」×オープンデータで避難所地図を作ろう

技術者コース

  • 対象者:プログラミング経験者。地理空間情報技術が未経験のエンジニアやプログラマー。シビックテックに興味のある技術者
  • 学習目標
    ・オープンソースのデスクトップGISソフト「QGIS」を操作・活用できる
    ・ウェブ地図ソフト「leaflet」を活用したウェブ地図が制作できる
    ・点群データの概要と基本的な活用ができる
    ・アイデアを地図サービスに展開するプロセスを習得する
  • ハンズオン講習会日程と内容
    ・2022年1月9日9:30〜14:30
    ・Leafletを利用した、地震ハザードステーションJ-SHISによる地震情報の可視化
    ・静岡県による3次元の地理空間情報「VIRTUAL SHIZUOKA」の点群データを使ってみよう!

実践研修は東日本エリアと西日本エリアに分かれて行われる。

東日本エリア日程と内容

  • 初学者向け
    ・2022年1月22日9:30〜17:00(Day1 / インプット・アイデア出し)
    ・2022年1月23日9:30〜17:00(Day2 / プレゼンテーション・参加者投票)
  • 技術者向け
    ・2022年2月5日9:30〜17:00(Day1 / インプット・アイデア出し)
    ・2022年2月12日9:30〜11:30(自由参加・中間報告)
    ・2022年2月19日9:30〜17:00(Day2 / プレゼンテーション・参加者投票)

西日本エリア日程と内容

  • 初学者向け
    ・2022年1月29日9:30〜17:00(Day1 / インプット・アイデア出し)
    ・2022年1月30日9:30〜17:00(Day2 / プレゼンテーション・参加者投票)
  • 技術者向け
    ・2022年2月6日9:30〜17:00(Day1 / インプット・アイデア出し)
    ・2022年2月13日9:30〜11:30(自由参加・中間報告)
    ・2022年2月20日9:30〜17:00(Day2 / プレゼンテーション・参加者投票)

デモデー「Geospatial Hackers Program Demo Day」は2022年3月5日(予定。オンライン開催)となっており、各実践研修における参加者投票で、1位を獲得したアイデアについて発表・表彰を行う。

詳細はこちらから:https://ghp.connpass.com/

参加申し込みはこちらから:https://forms.gle/ctttEWi9FeDLqwc6A

コロナ禍でもマンションの消防訓練ができる管理組合向け防災コンテンツ「VR消防訓練」、横浜消防局監修

マップ型リアルタイム空き情報配信サービス「VACAN Maps」が導入避難所数1万件達成、災害時の混雑状況を可視化

大和ハウスグループの大和ライフネクストは11月10日、マンション居住者のための仮想消防訓練が行える「VR消防訓練」のサービス提供を開始した。これは、大和ライフネクスト、理経、横浜市との三者連携協定による「次世代型マンション防災コンテンツの共同研究開発」の成果とのこと。

このコロナ禍で、大勢のマンション住人が集まって消防訓練を行うことが難しくなっている。また、いろいろな理由で訓練に参加できない住民も少なくない。横浜市消防局の調べでは、2020年度、横浜市の自治会や町内会で消防訓練が実施された件数は、前年度の6割減だった。VR消防訓練は、そうした状況化でも、人が実際に密集することなく訓練が行える機会を提供する。試験的に導入したあるマンションでは、VR消防訓練の参加者は、従来の形に比べて参加率が5倍に増えたという。

VR消防訓練には、次の3つの特徴がある。

  • いつでも、どこでも、何度でも参加可能:スマートフォンを使ってVR動画を視聴する形なので、期間中は何度でも、各自それぞれのタイミングで見ることができる
  • 消防法に則った訓練内容:消防法で定められた、消火訓練、避難訓練、通報訓練が、横浜市消防局の監修によるVR動画で体験できる
  • マンション管理組合の負担軽減:居住者への案内、参加集計、実施後のアンケートなど、必要な作業はコンテンツに含まれているので、管理組合の手間が省ける

また同サービスは、大和ライフネクストが展開するマンション防災関連サービス「マンボウ」の1つとして提供される。サービス開始時点では、大和ライフネクストが管理を受託するマンション管理組合を想定しているが、今後は広く一般にもサービス提供を行う予定。「オンリーワン防災マニュアル制作サービス」と組み合わせて使うことで、より効果的にマンション居住者の防災力、自助力の向上がはかれると、同社では話している。

渋谷区がKDDIと連携しデジタルデバイド解消目的に65歳以上の高齢者1700人にスマホ無償付与、通信料も負担

渋谷区がKDDIと連携しデジタルデバイド解消目的に65歳以上の高齢者1700人にスマホ無償付与、通信料も負担

東京都渋谷区は、コロナ禍による新しい生活様式や防災対策における高齢者のデジタルデバイド(情報格差)解消を目的に、65歳以上でスマートフォンを保有していない約1700人を対象にスマートフォンを無料配布する実証実験を開始しました。

この実験では、KDDIのスマートフォン(Galaxy A21)を、公募した高齢者約1700人に2年間無償で貸与します。その際の通信料も区が負担します。

あわせて、高齢者がスマートフォンをスムーズに使いこなせるように勉強会を適宜開催します。また、参加者専用のコールセンターを設け、遠隔操作でのサポートも実施します。

加えて、アプリの利用ログや勉強会でのアンケート情報を収集し、スマートフォンの利用状況を個人を特定できない形で可視化することで、高齢者のスマートフォン利用の活性化に関する課題を収集します。

渋谷区によると、区内の高齢者約4万3000人のうち、約25%はスマートフォンを保有してらず、渋谷区が実施しているLINEでの情報発信や防災アプリを用いたデジタルサービスの提供が十分に活用できていない状況だといいます。こうした「情報格差」の解消に本実証実験を役立てる狙いがあります。

(Source:KDDIEngadget日本版より転載)

マップ型リアルタイム空き情報配信サービス「VACAN Maps」が導入避難所数1万件達成、災害時の混雑状況を可視化

マップ型リアルタイム空き情報配信サービス「VACAN Maps」が導入避難所数1万件達成、災害時の混雑状況を可視化

AIとIoTを活用してあらゆる空き情報を配信するスタートアップ「バカン」は9月2日、マップ型リアルタイム空き情報配信サービス「VACAN Maps」(バカン マップス)において、2021年8月に国内人口15%をカバーするとともに(「導入自治体の人口合計÷国内の総人口」で算出)、全国で170超の自治体への導入を達成したと発表した。これにより、災害時には1万件以上の避難所の混雑情報をリアルタイムに可視化可能となった。

現在コロナ禍により、感染拡大防止のため人と人との間に距離を確保する社会的距離(ソーシャルディスタンス)や密の回避などが求められている。これら感染対策は災害時に開設される避難所も例外ではなく、距離の確保や体調不良者のゾーニングなどが重要となる。

一方で、そうした状況下では各避難所の収容可能人数が従来と比べ少なくなる可能性があり、一部の避難所に人が集中することを避け、分散して避難をすることが必要になる。

この課題を解決するため、多くの自治体において、マップ上で各種施設の空き・混雑状況を一覧表示できるVACAN Mapsの避難所への活用が進んでいるという。2020年8月の東京都多摩市導入以降、11カ月で1万件、170超の自治体が導入しており、2021年内には導入先が200自治体に増える見通しとしている。マップ型リアルタイム空き情報配信サービス「VACAN Maps」が導入避難所数1万件達成、災害時の混雑状況を可視化

VACAN Mapsでは、PCやスマートフォンなどでアクセスすることで、アプリなどをダウンロードすることなく各避難所の位置や混み具合を確認できるようになっており、ユーザー情報の登録なども必要ない。地図上のアイコンと表示される文言から、「空いています(青)」「やや混雑(黄色)」「混雑(赤)」「満(赤)」の4段階で避難所の混み具合を確認できる。マップ型リアルタイム空き情報配信サービス「VACAN Maps」が導入避難所数1万件達成、災害時の混雑状況を可視化

サプライチェーンのリスク管理プラットフォームを運営するResilireが1.5億円を調達

サプライチェーンのリスク管理プラットフォームを運営するResilireが1.5億円を調達

サプライチェーンのリスク管理を行うプラットフォーム「Resilire」(レジリア)を運営するResilireは9月1日、第三者割当増資による1億5000万円の資金調達を完了したことを発表した。引受先は、Archetype Ventures、DNX Ventures、DEEPCORE、STRIVE、みずほキャピタル、グロービスファンド。

2018年創業のResilireは、サプライチェーンの管理と、災害などの影響を受けたサプライヤーの状況把握・対応をひとつのプラットフォームで行えるリスク管理サービスとしてResilireを運営している。たとえば大手製薬企業は、これまで数百から数千件というサプライヤーや社内拠点の管理を表計算ソフトなどで行ってきたが管理が行き届かず、緊急時の対応に遅れが出てしまっていたという。

これに対してResilireは、サプライチェーン全体をクラウドで管理する。災害発生時には、影響のあるサプライヤーが自動的にリストアップされ、メールが送信される。サプライヤーがこれに回答することで、被災状況や影響する製品、関係企業が自動的に可視化されるという。

具体的に、Resilireは以下のように活用できる。

  • コントロールタワーの構築:サプライチェーンや拠点全体をツリーでマッピングし可視化
  • 災害情報の収集:24時間365日、気象庁と電力会社の情報を監視し即時に国内の災害情報を収集
  • マップで影響拠点を可視化:収集した災害情報から企業への影響範囲を可視化。
  • 被災状況の把握:社内メンバーやサプライヤーにメールやアンケートを送信し、情報を集約
  • コラボレーション:クラウド上で社内チームやサプライヤーとのコミュニケーションが可能。リスクアセスメント、サプライチェーンの見直しなども可能に
  • BCM体制の構築:BCP(事業継続マネージメント)を常にアップデートし続ける

2020年6月にクローズドベータとしてリリースして以来、製薬、製造、商社、卸などの大手企業に導入されているとのこと。今回の資金調達は、自然災害が増える中でのResilireの機能充実にあてられるという。

「イーロン・マスク、ジェフ・ベゾスは地球を救うために火星への移住計画を民間企業として達成しようとしています。それは気候変動による地球の持続性に危機感を持っているからだと考えています。私も同じく危機感を持つものとして、彼らに負けないようなイノベーションを起こしていきます」と、Resilire代表取締役の津田裕大氏は話している。

バカンとあいおいニッセイ同和損害保険が防災領域で提携、リアルタイム被害予測サイト「cmap」で避難所混雑情報を公開

バカンとあいおいニッセイ同和損害保険が防災領域で提携、リアルタイム被害予測サイト「cmap」で避難所混雑情報を公開

AIとIoTを活用してあらゆる空き情報を配信するバカンは8月5日、あいおいニッセイ同和損害保険と避難所混雑可視化に関する提携を8月から開始すると発表した。今回の提携により、あいおいニッセイ同和損害保険のリアルタイム被害予測ウェブサイト「cmap」(シーマップ)およびアプリ(Android版iOS版)上で、バカンが配信する全国150超の地方自治体が運営する避難所1万カ所以上の混雑情報を閲覧できるようになる。無償一般公開としており、利用時にユーザー登録などの必要はない。

バカンとあいおいニッセイ同和損害保険が防災領域で提携、リアルタイム被害予測サイト「cmap」で避難所混雑情報を公開

cmapは、被災規模の早期把握や迅速な救助・支援活動に貢献を目的として、台風・豪雨・地震による被災地域の被災建物棟数を最新の気象観測データに基づき現在進行形で予測し、無償公開するシステム。あいおいニッセイ同和損害保険、エーオングループジャパン、横浜国立大学による産学共同の研究から誕生した。

台風の場合は上陸前から(最大7日先まで)、豪雨、地震による被害が発生した際は被災直後から、被災建物棟数、被災件数率を市区町村ごとに予測し、地図上に表示する。また、洪水ハザードマップなどの機能も実装している。

利用者は、cmapにスマートフォンやPCからアクセスすることで、災害発生時には避難所のリアルタイムの混雑情報や位置を地図上で確認できる。​混み具合の情報は、各避難所の職員や災害対策本部の職員がインターネット上で入力することで更新され、「空きあり」「混んでいる」「満席/満室」の3段階で表示される。

また今回の連携により、従来より掲載していた予測情報などだけでなく、災害発生時のリアルタイム情報もcmapに掲載される。両社で連携することで、混雑情報可視化の対象となる避難所を増やすとともに、防災プラットフォームとして機能を拡充するとしている。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:あいおいニッセイ同和損害保険(企業)自然災害 / 火災(用語)バカン / VACAN(企業・サービス)防災 / Emergency management(用語)日本(国・地域)

東大発スタートアップ「ソナス」が地震モニタリングシステム用無線振動計測システムを関西電力本社ビルに設置

東京大学発スタートアップ「ソナス」が地震モニタリングシステム用無線振動計測システムを関西電力本社ビルに設置

関電ビルディングと設置イメージ図

東京大学発IoTスタートアップ「ソナス」は6月15日、関西電力の41階建て本社ビルをはじめとする7棟の拠点建物に、地震モニタリング用の無線振動計システムを導入したと発表した。

この無線振動計測システムは、配線工事が不要なため1日で設置可能という。またソナスの試算によると、機器のコストも従来の有線システムの1/10に圧縮できるという。41階建てという大きな建物でも、複数のノードを経由してパケットを送るマルチホップ方式によって、単一のネットワークでカバーできる。

東京大学発スタートアップ「ソナス」が地震モニタリングシステム用無線振動計測システムを関西電力本社ビルに設置

無線振動計測システムのセンサーユニット(子機)

さらに、「同時送信フラッティング」と「細粒度スケジューリング」という技術を高度に組み合わせてソナスが独自開発した無線通信規格「UNISONet」(ユニゾネット)により、「安定」「省電力」「拘束」「双方向低遅延」「データロス」「時刻同期」「ネットワーク内多数収容」という7つの性能が同時に実現されている。「有線システムに匹敵する『抜けのない』『時刻同期のとれた』高品質データが収集可能」であり、これが関西電力が提示した「配線工事が不要で設置が簡単、機器のコストも安価でありながら、通信品質を保ち、広範囲計測やデータロスレス、時刻同期も実現」という条件を満たし、導入が決まった。

またソナスの無線振動計測システムは、建物の常時微動のような微弱な振動や、モーターなどの故障の予兆として現れる異常振動の計測にも使われている。

関西電力の担当者は、「通信性能の実証に加え、トライアルから設置まで短期間で丁寧にご対応いただいたことも、スムーズな導入に至ったポイントです」と話している。

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東大発の無線通信技術で“IoTの足かせ”なくすーーソナスが3.5億円を調達

カテゴリー:セキュリティ
タグ:IoT(用語)地震(用語)ソナス(企業)東京大学(組織)防災 / Emergency management(用語)BCP / 事業継続計画(用語)日本(国・地域)