米アップルが新型コロナ対策アプリに症状と健康状態を匿名で共有できる機能を追加

Apple(アップル)は自社製の新型コロナウイルス向けのiOS用対策アプリウェブサイトに新機能を追加した。ユーザーの年齢、これまでの健康状態、症状、潜在的な暴露のリスク、居住している州といった情報を匿名で共有できるようになった。同社によれば、こうした情報は個人を特定するいかなるデータとも関連付けられていない。集計情報としてCDC(米疾病管理予防センター)に提供され、同センターが新型コロナウイルス感染症のスクリーニングプロトコルを改善するのに役立てられるという。

またこのアプリは、集計されたデータによって公衆衛生機関とCDCを支援し、新型コロナウイルス感染症に関して、および暴露の内訳と暴露リスクに関して、潜在的なリスク要因についての入手可能なベストな情報を一般に提供できるようにする。

アップルはすでに3月に、コロナウイルスのスクリーニングアプリとウェブサイトを立ち上げていた。検査すべきかどうかのアドバイスをユーザーに提供するためのスクリーニングツールや、手洗いや消毒のベストプラクティスといった予防策に関するヒントも提供してきた。

このアプリとウェブサイトは、アップルとGoogle(グーグル)の共同作業によるCOVID-19 Exposure Notification APIとは別物だ。そのAPIは、公衆衛生機関や、そのパートナーが利用できるデベロッパー向けのツールで、匿名化され、プライバシーに配慮した通知機能を実現するもの。新型コロナウイルス感染症の人と接触した可能性があるか、暴露したかもしれないユーザーに対して警告する。ここで取り上げたアップルのアプリは、情報の提供とスクリーニングのためのツールに過ぎない。とはいえ、今回のアップデートにより、匿名化された集計データの収集を通して、公衆衛生機関とCDCが新型コロナウイルス感染症の広がりを、よりよく理解するためのリソースとしても機能するようになる。

どのように受け取られているかはともかくとして、新型コロナウイルスが登場してから、まだそれほど長くは経っておらず、科学者や研究者も、まだ十分に理解できているとは言えない。感染した集団について、より多くのデータや情報を収集して研究することは、健全なコミュニティとして、新型コロナウイルスに関して多くを学び、その脅威をどのように緩和するのがベストなのか知るための重要な手がかりとなる。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

アップルが新たにオリジナルのポッドキャストをリリース

Apple(アップル)は5月28日に新しいポッドキャストのシリーズ「The Zane Lowe Interview Series」をリリースして、オリジナルポッドキャストへの取り組みをひっそりと拡大した。このシリーズはApple MusicとApple Podcast、RSS経由で聞くことができる。

厳密にはアップルが初めてリリースするポッドキャストではないが、エンターテインメント系のコンテンツに限定したアップル初のコンシューマー向けシリーズだ。このシリーズでは、アップルのグローバルクリエイティブディレクターのZane Lowe(ゼイン・ロウ)氏がトップアーティストに話を聞いている。これまでにBillie Eilish(ビリー・アイリッシュ)、Justin Bieber(ジャスティン・ビーバー)、Kanye West(カニエ・ウェスト)、Hayley Williams(ヘイリー・ウィリアムス)などが登場し、最新のエピソードはLady Gaga(レディー・ガガ)だ。

Apple Musicは以前にポッドキャストを公開していたが、このようなタイプのものではなかった。

現在、アップルはポッドキャストのプラットフォームを使って「Apple Keynotes」、「Apple Quarterly Earnings Call」(四半期ごとの収支報告)、「Events at the Apple Store」と自社のニュースを配信している。「Events at the Apple Store」はコンシューマー向けだが、今回リリースされたものとはジャンルがまったく異なる。これは時として有名セレブが登場するなどApple Storeのイベントに関するポッドキャストだが、大きな目的は顧客をApple Storeに呼び込むことと、アップルのデバイスとソフトウェアがアート、音楽、写真、映画の創作に使われていると示すことだ。

2019年2月にはApple Musicチームがポッドキャストで「GRAMMYs Celebration on Beats 1」として初のライブストリーミングを試みた。

これに対し、The Zane Lowe Interview Seriesは1回限りのものではない。

アップルによれば、Apple Musicにこのシリーズの新しいエピソードが定期的に公開されるという。ただし多くのポッドキャストがそうであるように、新しいエピソードの公開スケジュールは決まっていない。ロウ氏が4組のアーティストにインタビューをする週もあれば、翌週にはまったくしないかもしれない。インタビューが必ずしもニューアルバムのリリースと関連するわけではないが、大きな効果はある。

このシリーズが5月28日にリリースされた後、NewYork Timesにはロウ氏が詳しく取り上げられた(NewYork Times記事)。

シリーズのリリース時には7本のエピソードが公開された。アルバム「Chromatica」のリリースに先立って録音されたレディー・ガガの新しいインタビュー、ロックバンド「Paramore」のヘイリー・ウィリアムスが初のソロアルバムリリースにあたって受けたインタビュー、アルバム「Changes」のリリースに関するジャスティン・ビーバーのインタビュー、カニエ・ウェストの9枚目のソロプロジェクト「Jesus is King」のリリース直前に録音されたインタビューの前編と後編、Selena Gomez(セレーナ・ゴメス)の3枚目のアルバム「Rare」についてのインタビュー、そしてビリー・アイリッシュがデビューアルバム「When We All Fall Asleep, Where Do We Go?」を詳しく語るインタビューだ。

アップルがオリジナルのポッドキャストシリーズを立ち上げるのは、ここ数年、ライバルのSpotifyがポッドキャストにかなりの投資をしているのに続く動きだ。Spotifyは、ポッドキャストのツールを開発していたAnchorなどのスタートアップや、GimletThe Ringerなどポッドキャストネットワークを買収し、2019年の買収金額は4億ドル(約435億6000万円)に達した。その結果、Spotifyは現在、数百ものオリジナル限定ポッドキャストをサブスクリプション利用者に提供している。2020年5月時点で最も人気のあるポッドキャストのひとつは「The Joe Rogan Experience」だ。

一方、アップルの取り組みはこれまでは最小にとどまってきた。2019年のグラミー賞関連コンテンツの実験や自社の情報を発信するいくつかのシリーズ以外には、コンシューマー向けのポッドキャストをリリースしていなかった。ブルームバーグは2020年1月に、アップルはApple TV+の番組を宣伝するためにオリジナルポッドキャストの製作を検討していると報じたが、これに関してはまだ登場していない。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Apple Cardが米薬局大手Walgreensと提携し50ドルの新規登録ボーナスを提供

Apple(アップル)の特典付きクレジットカードのApple Cardは、初めての新規登録ボーナスを米国の薬局チェーンであるWalgreens(ウォルグリーンズ)との提携で実施する。6月1日にアップルとWalgreensは、Apple Cardを作成・入手後30日以内にWalgreensで50ドル以上買い物をした人に、Apple CardのキャッシュバックであるDaily Cash 50ドルぶんを付与する新サービスを導入した。

期間限定特典の詳しい内容はは、アップルのウェブサイトに記載されているほか、WalgreensのiOSアプリの「Weekly Ad & Coupons」ページの下にも表示される。特典付き新規登録の締切は2020年6月30日。

Walgreensはすでにアップルと密な関係をもっており、昨秋にはApple Cardを使った買い物に3%のDaily Cashを付加する提携企業に、小売業としてはUberに続いて加わった。現在、Walgreens(傘下の薬局・コンビニエンスストアチェーンのDuane Readeを含む)、Uber(Uber Eats)、T-Mobile、Nike、およびアップルは3% Daily Cashプログラムを展開している。それ以外のApple Cardによる購入でも2%または1%のキャッシュバックがあり、前者はApple Payを使った場合、後者はApple Payが使用できない店舗に適用される。

貯まったDaily Cashは、Apple Payの支払い時に利用できるほか、iMessageで家族や友達に送ったり、Apple Cardの請求残高から差し引いたりすることもできる。

WalgreensとDuane Read(デュエイン・リード)の店舗でApple Payを使った場合に3%のキャッシュバックが受けられるのに加えて、今から7月31日までの期間は、Walgreensドライブスルーで(Apple Payではなくチタン製の)Apple Cardを使って支払った場合にも3%がキャッシュバックされる。

昨今の特典付きクレジットカードのほとんどが、サインアップ時のボーナスを付与している。一部の年会費無料のクレジットカードもそうだ。「しかし、これまでApple Cardはその手のサインアップボーナスを顧客に提供していなかった」と、クレジットカードレビューサイトのCreditCard.comが今回の特典のレビュー記事(CreditCard.com記事)に書いている。例えば、米国でアメリカンエキスプレスが提供しているBlue Cash Everybody Cardや、Capital Oneが提供しているQuicksilver Cash Rewards Credit Cardは、条件に該当すれば150ドルが請求残高から差し引かれる。

「このサインアップボーナスはApple Cardにとっては初めてだが、時代の趨勢であることは間違いない」とNerdWalletのクレジットカード専門家であるSara Rathner(サラ・ラスナー)氏は言う。「消費傾向がわずか3カ月とも劇的に変わる今、クレジットカード業界全体が顧客の勧誘、維持のために変革を起こしている。Walgreensで買い物することに対して50ドルの特典を与えることは、消費者がこの種の特典にどの程度反応するかをApple Cardが試すひとつの手段なのかもしれない。

ただし、Apple Cardにはほかにも消費者にアピールする特典がある。カードに手数料は一切かからず、発行元のGoldman Sachs(ゴールドマン・サックス)はユーザーのデータを第三者に売ったり渡したりしないと約束している。クレジットカードを使う特典も欲しいが、プライバシーも守りたいという消費者にとって、Apple Cardがトップクラスの人気なのはこのためだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ジョージ・フロイド氏殺害事件への拡大する抗議活動と組織的差別に対するハイテク業界の対応

5月25日、ミネアポリス警察によってGeorge Floyd(ジョージ・フロイド)氏が殺害されたのを機に米国全土で抗議行動が始まってから5月31日で4日目を迎えた。この運動は、同様の運命にさらされている信じられないほどの数の米国の黒人が直面してきた広範におよぶ、また組織的な不平等への反応だ。「息ができない」という必死のあえぎ声は、6年前のEric Garner(エリック・ガーナー)氏の死を思い起こさせる。

この週末は暴力が吹き荒れ、写真や動画には、血まみれの抗議者、傍観者、この状況を伝えようと使命感に駆られたジャナーリストの姿が映し出された。ひとつの事件が人々の最大の関心事になるのは、新型コロナウイルス(COVID-19)による死者数が世界最大という遙かに深刻な状況に置かれた今の米国では難しいことだが、ミネアポリス、ニューヨーク、ワシントンD.C.、ロサンゼルス、シカゴ、さらにその他に地域に大きく広がったこの抗議活動は、すでに深い溝で分断されたこの国の最大の関心事として扱われる運命にある。

こうした社会問題に対する態度に波風を立てることに慣れていないハイテク企業とそのCEOは、腫れ物に触るようなこの話題を、どこまで重大に捉えるかを秤にかけ始めている。社会問題への取り組みを公にした経験を持つApple(アップル)のCEOであるTim Cook(ティム・クック)氏は、彼の会社は多様性から力を得ていると話していた。彼はまた従業員に対して、今こそ耳を傾けるときだと伝えている。

今は多くの人が、何よりも平常に戻ることを、つまり不公正から目を背けていさえすれば快適な現状維持への回帰を願っています。認めたくはないでしょうが、その願望自体が特権意識の表れです。ジョージ・フロイド氏の死は、「平常」な未来よりもさらにずっと上を目指さなければならないことを、そして、平等と公正の最上級の理想に従って生きてゆく未来を構築しなければならないことを、衝撃的で悲惨な形で私たちに示しています。

クック氏は、Equal Justice Initiative(イコール・ジャスティス・イニシアティブ)を始めとする非営利団体への不特定の寄付を行う予定だと話している。さらに6月には、従業員からの寄付金は、すべて倍額にして収めるという。

一方、Twitter(ツイッター)は、企業のロゴを黒と白のバージョンに切り替え、「Black lives Matter」(黒人の命も大切)というハッシュタグをプロフィールに追加した。多様性を訴えるTwitterアカウント「Twitter Together」は、以下の声明を発表した(もちろんTwitterで)。

差別は社会的距離とは違う。パンデミックで恐れと不安が増大している最中ですが、今週は、おそらくそれよりも大きな話題が、またしても注目を集めました。非白人が日常的に直面している根深い人種差別と不平等の問題です。

Amazon(アマゾン)もまたTwitterを通じて次の声明を出した。

私たちの国の、黒人に対する不平等と野蛮な扱いは止めなければなりません。私たちは黒人コミュニティー(私たちの従業員、顧客、パートナー)と連携して、組織的な人種差別と不平等に立ち向かいます。

Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス、AWS)のCEOであるAndy Jassy(アンディ・ジャシー)氏は自身のアカウントでこうツイートした。

こうした黒人の不当な殺害の容認を止めるには、「何が」必要なのでしょう。どれだけの人が死ねば、どれだけの世代が耐えれば、どれだけの目撃動画があれば事足りるのか? 裁判所や政治家の対応よりも優れたものが私たちには必要です。

アマゾンには、偽善だとする多くの非難がすぐさま寄せられた。数々の問題の中には、長年にわたる従業員の扱いに対する苦情や、警察で使用されているAWSの顔認証などの技術がある。

ACLU(アメリカ自由人権協会)の反応は露骨だ。

結構なツイートだ。警察の横暴を強力に後押ししている顔認証監視技術の販売を止めるか?

アマゾンは、同協会からのこの最新の質問は取り合わない構えのようだ。

マーク・ザッカーバーグ:先週の悲劇は、この国が、尊厳ある生活を送る自由をすべての人に与えられるようになるのは、まだ遠い先のことだと私たちに再認識させた。

Facebook(フェイスブック)の反応も複雑なものだった。従業員は、「略奪が始まれば銃撃が始まる」というトランプ大統領のツイートを残しTwitterと袂を分かつ決断をしたCEOのマーク・ザッカーバーグ氏の判断に怒りの声を露わにしている(CNBC記事)。しかし最近になってザッカーバーグCEOは、1000万ドル(約10億7000万円)を関連非営利団体に寄付し、投稿で次のように述べた。

この戦いを支援するために、Facebookはそのプラットフォームを通じて黒人コミュニティーの平等と安全をもたらすために、さらに努力すべきだと考えています。見るに忍びないものでしたが、ジョージ・フロイドさん殺害の動画Facebookに投稿してくれたDarnella Frazier(ダーネラ・フレイザー)さんに感謝します。これは、すべての人が見るべきものだからです。ジョージ・フロイドの名前を私たちは記憶しなければなりません。同時に、人々の安全を保ち、私たちのシステムが偏見を助長しないよう努力を重ねることもFacebookの勤めであることを明確にしておきます。

Microsoft(マイクロソフト)のCEO、Satya Nadella(サティア・ナデラ)氏は、LinkedIn(リンクトイン)への投稿で、ミネアポリスの事件と、バードウォッチャーのChristian Cooper(クリスチャン・クーパー)氏と警察がセントラルパークで揉めた先日の事件について簡単に触れている。

私たちのアイデンティティーが、私たちの存在そのものが、この星のすべての人の力の源になっています。そのため私たちには、私たちのプラットフォーム、私たちのリソースを使って組織的な変化を推進させる義務があると思いませんか? これは本当に難しい課題です。ひとつの事件に留まる話ではありません。絶対的に変えなければならない問題に通じる、あらゆる物事が対象です。

また、Snap(スナップ)のCEOであるEvan Spiegel(エバン・スピーゲル)氏は5月31日、従業員に向けた長い書簡(The Information記事)を発表した。そこにはこう書かれている。

もちろん、あらゆる人の自由、平等、公正を支持した建国の父たちは、ほとんどが奴隷を使っていました。その強化版として、人民により人民のために作られた国は、偏見と不公正と人種差別に立脚しています。この腐った基礎を立て直そうとせず、またすべての人に機会を与えられずにいる問題への対処も怠っている私たちは、人類が進歩する本当の可能性を封じ込めています。そしていつも、すべての人の自由と平等と公正をもたらすという大胆な展望に追いつけずにいるのです。

スピーゲル氏の書簡は、「実に大変に恵まれた若い白人の教育のある男性」である自身との葛藤と、不平等への金銭的な対処法の提案に焦点を当てている。特に彼は、超党派の「Commission on Truth, Reconciliation and Reparations」(真実、和解、償い委員会)の設立と、住居、医療、教育への投資を呼び掛けている。

画像クレジット:Jason Whitman/NurPhoto / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

アップルがiOS 13.5のジェイルブレイクを封じるアップデートを配布

長くは続かなかった。

Apple(アップル)は、iPhoneのソフトウェアの深部にアクセス可能にするセキュリティの弱点を塞いだ。これにより、ハッカーは脱獄ツールを使えなくなる。

セキュリティ報告で同社は、iOS 13.5.1で脆弱性を修復し、米国時間6月2日に公開したことを認めた。同社は「その脆弱性を見つけてつい先週に脱獄ツールをリリースしたのが、unc0verのチームである」と認めている。

脆弱性の詳細はまだ公開されていないが、同社は同じ脆弱性が悪質なハッカーに悪用されることを恐れて、脱獄ができる脆弱性は早めに対応するのが常だ。脱獄の常連の一人がiOS 13.5.1のアップデートを確認し「脆弱性が解消されたため脱獄はもうできない」とツイートしている。

@Pwn20wnd:*OS(iOSのこと)の新しいアップデートが#unc0verの脱獄に使われたカーネルの脆弱性を塞いだことを確認した。あなたがiOS 13.5を使っているならそのバイナリをセーブしておこう。 iOS 13.5でない人は、署名があるうちにコンピューターを使ってIPSWでアップデートし、そのバイナリをセーブしよう。

脱獄(ジェイルブレイク)とは、アップルが禁止しているiOS深部へのアクセスを可能にする行為だ。アップルは、iPhoneなどのデバイスのセキュリティを向上させるために、ハッカーがOSやアプリなどのソフトウェアを攻撃する機会を減らすために、このような制限を設けている。一方で、脱獄によりこれらの制限を突破することで「Android並みの大幅なカスタマイズがiPhoneで可能になる」という意見もある。

しかしセキュリティの専門家たちは、「脱獄は通常デバイスをさまざまな攻撃にさらすことになる」として、脱獄行為に反対している。そして彼らは、アップデートが提供されたらすぐに自分のデバイスにインストールすることを勧めている。

アップルによると「iOS 13.5.1には新しいMemoji(ミー文字)ステッカーと、そのほかのバグフィックスや改良もある」とのこと。

関連記事:すべてのiPhoneで有効な脱獄ツールが新たに登場

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アップルがインドでついにカスタム構成のMacを提供開始、メモリーを16GBから32GBにすると約4.3万円

Apple(アップル)はついにインドの顧客に対し、 iMacやMacBook Air、Mac miniなどMacのカスタマイズ版を注文できるようにした。

これはConfigure-To-Order(CTO) やBuild-To-Order(BTO) オプションなどがすべてのMac製品で選択でき、インドの顧客はコンピュータを購入する際に、メモリやストレージ、より強力なグラフィックカードの追加など、特定仕様を選択することができる。

アップルにとって重要な海外市場であるインドの顧客は、複数の地域で提供されているこの機能を以前から要望していた。これまで同社は、インドでは一部のMac機種のみを提供しており、また特定のアップグレードのオプションを提供していなかった。

興味があれば、最寄りアップル正規代理店に連絡し、さまざまなアップグレードオプションや価格情報、および注文について相談できる。オプションはApple Indiaのウェブサイトにも掲載されている。カスタマイズされたMacは注文から4〜5週間以内に発送される。

「これは非常に大きな変化だ」と、アップルの開発を追跡するPreshit Deorukhkar(プレシット・デオルフカー)氏は語った。「これまで、インドでMacをBTO、またはCTOで入手する方法はなかった。そのため、8GBのRAMを搭載したMac Miniや13インチのMacBook Proなどのベースモデルしか入手できなかった。今回、アップルが正式に選択肢を提供することで、欲しいコンピュータと正規保証を入手できるようになる」。

「コンポーネントのアップグレード価格は、メモリーを16GBから32GBにするために400ドル(約4万3000円)を請求するなどまだかなり高いが、少なくとも選択肢が存在する」と、彼は付け加えている。

アップルは今年、インドでのオンラインストアをローンチし、その最初の直営店のおオープンを準備をしていることを、CEOのTim Cook(ティム・クック)氏は今年に明かしている。

事情に詳しい人物がTechCrunchに語ったところによると、同社は新型コロナウイルスのパンデミックに影響されず、今年インドでオンラインストアを開設する予定だという。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

すべてのiPhoneで有効な脱獄ツールが新たに登場

有名なiPhoneハッキングチームは、すべてのiPhoneのロックを解除できる新しい「脱獄=ジェイルブレイク」ツールをリリースした。最新のiOS 13.5が動作している現行モデルも対象だ。

画像クレジット:Terry Wieckert/Getty Images

アップル(Apple)は、iPhoneに対して「ウォールド・ガーデン」と呼ばれるアプローチを採用し、承認されたアプリとカスタマイズのみを許可してきた。ハッカーは、彼らが「牢獄」とみなしている、そうした状況からの脱出に挑戦し続けてきた。それが「脱獄」と呼ばれるゆえんだ。ハッカーは、それ以前には発見されていなかったiOSの脆弱性を見つけ出すことで、これを可能にする。それによって、アップルがソフトウェア内部へのアクセスを制限するために設けた多くの関門の一部をすり抜けるのだ。アップルとして、こうした制限を設けているのは、セキュリティを維持するため。しかし脱獄者に言わせれば、そうした制限を突破するのは、それ以外の方法では十分にiPhoneをカスタマイズすることができないから。それは、Androidのユーザーにとっては、以前から可能になっているレベルのカスタマイズだという。

今回「unc0ver」チームによってリリースされた脱獄ツールは、iOS 11以降を実行するすべてのiPhoneをサポートする。アップルが今週リリースしたばかりのiOS 13.5をもカバーしている。

ハッカーが今回の脱獄ツールを開発するために利用した脆弱性の詳細は不明だが、それがいつまでも、そのままになっているとは考えられない。脱獄者が侵入方法を見つければ、アップルでも迅速に対処して、その欠陥にパッチを当て、脱獄できないようにするはずだ。

セキュリティ専門家は、通常、脱獄はしないようにとiPhoneユーザーに警告している。「ウォールド・ガーデン」から抜け出すと、露出される部分が大幅に増えるため、新たな脆弱性が発生したり、発見されたりしやすくなるからだ。

脱獄ツールの登場は、通常なら屈強なはずのアップルのセキュリティのイメージに陰りが見えていることを示すものかもしれない。先週、悪用手段のブローカー、Zerodiumは、iPhoneに関する脆弱性は買い取らないと宣言した。数が多すぎるからだという。またMotherboardが今週レポートしたところによれば、ハッカーは、iOSの次期バージョン、iOS 14のリリース予定の数ヶ月も前なのに、すでにプレリリースバージョンを入手済だという。

関連記事:iPhoneを狙う強力なスパイウェアが登場

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

個人会計管理アプリのCopilotがApple Cardの取引明細のインポートに対応

2020年1月にApple(アップル)がApple Cardの取引明細をスプレッドシートにエクスポートする機能を発表したことを受けて、TechCrunchライターのMatthew(マシュー)は個人会計管理アプリのCopilot(コパイロット)に対し、この機能に対応する計画があるかどうかを問い合わせた。そのときの答えの要点は「現在はまだだが、近いうちに」だった。そして今週、Copilotの対応が正式に発表された。

Copilotは、ユーザーがApple CardからのCSVのスプレッドシートを同社のアプリにインポートできるようになったと発表した。インポートした後は、アプリが取引を交通費、サブクスリプションサービス、買い物、外食などの項目に分類する。

支出を手動で管理しているユーザーは情報を1カ所にまとめることができ、アプリはリストから重複する項目を削除する。そこから、Apple Cardの時系列の収支や利用率が作成される。

支出のような面倒なことから不一致を可能な限り取り除くのは、Copilotのようなアプリにとっては重要なポイントだ。アップルとの統合は、請求を1カ所にまとめて便利に管理するための、ばかばかしいほど簡単な方法であると思われる。Copilotの最大のライバルであるMint(ミント)はすでにスプレッドシートのインポートに対応しているし、Clarity Money、YNAB、Lunch Moneyなども同様だ。

残念ながら現時点ではスプレッドシートのインポートを自動化する方法はなく、手動で毎回実行する必要がある。Copilot創業者のAndres Ugarte(アンドレス・ウガルテ)氏は、プロセスの完全な自動化に取り組んでいると述べた。

ウガルテ氏は次のように語っている。「Apple Cardのサポートは、我々のサービス開始以来、ユーザーからの要望が最も多かったものだ。今回の統合では、インポート時にCopilotがシームレスにApple Cardのデータをユーザーの他の取引と統合できるようにするために、大規模なバックエンドの開発が必要だった。我々は手を抜かず、Apple Cardの取引でもCopilotが他の金融機関に対して利用しているのと同じアルゴリズムで分類や分析ができるようにしようと考えた」。

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(翻訳:Kaori Koyama)

アップルとグーグルが新型コロナ濃厚接触通知APIをリリース、各国公衆衛生機関はアプリ開発へ

Apple(アップル)とGoogle(グーグル)は新型コロナウイルス(COVID-19)感染者と接触した可能性があることを通知するアプリのAPIを一般公開した。TechCrunchでも先月下旬、コロナウイルス接触者追跡APIとして報じている。両社はその後、名称をウイルスに対するExposure Notification System(曝露通知システム)に変更したが、この方が機能を正確に表現しているようだ。

このアプリのユーザーが新型コロナウイルス感染にしたと確定診断された場合、その情報は公衆衛生機関にもたらされる。公衆衛生機関はアプリを利用している他のユーザーで感染者と接触があった人々に対し感染リスクがあることを警告する。個人を識別できる情報や位置情報などのプライバシーは十分に保護される。

今回の正式公開によりすべての公衆衛生機関がアプリのAPIを使用できるようになった。これまで両社は開発に必要な情報を得るためにベータ版のみを公開していた。正確にいえば、APIを利用するのは公衆衛生機関の依頼を受けてアプリを開発するデベロッパーだ。 つまり両社自らがリスクの通知やモニターアプリを作っているわけではない。

両社によると、米国の州多数と5大陸の22カ国が、感染警告アプリの開発のために感染データを処理できるツールの提供を要請していたという。公衆衛生機関は今回のリリースでAPIを利用できるようになったが、さらに機能の拡充を望んでいる。これまでに両社は、当局者、疫学専門家、アプリのデベロッパーのために説明会や講習会を24回以上開催してきたという。

感染リスクを通知するAPI はユーザーを識別する必要があるため、デバイス内でランダムに生成される鍵を利用する分散型識別システムとなっている。識別鍵はユーザーが使用するデバイス自身の識別情報などにはリンクせず、短時間で破棄されて別の鍵で置き換えられる。このAPIを利用する場合、公衆衛生機関は、感染リスクのあるユーザーとの接触持続時間や距離で独自に設定することが可能だ。

さらに両社は、感染リスクがあると通知されたユーザーが公衆衛生当局に対して自発的に健康状態を提供できるようにする。この場合、当局がユーザーに直接連絡して適切な対応を指示できるようにしていくという。

APIの開発にあたり、両社はプライバシーに最大限に配慮したという。組み込まれたプライバシー保護機能には、例えばBluetoothメタデータ(信号強度や送信電力など)の暗号化も含まれる。このようなデータは、可能性は低いもののデバイスを特定し、ひいてはユーザー自身を特定することに利用される可能性があるためだ。

またユーザーから位置情報の利用許可を得る必要があるアプリにこのAPIの使用することは明示的に禁じられている。公衆衛生当局が開発している感染追跡用のアプリには位置情報データを利用しているものがあるが、そうしたアプリはこのAPIにアクセスできない。このためアプリの開発方針の変更(未訳記事)も行われている。

両社はAPIの公開に関して以下のような共同声明を発表した。

アウトブレイクの発生時に公衆衛生当局が使用してきた最も効果的な手法の1つに、接触追跡と呼ばれるものがあります。このアプローチを通じて公衆衛生当局者は、感染者に濃厚接触した可能性のある人々に接触し、検査し、治療し、助言する。コンタクト・トレーシングの新しい要素の1つが、濃厚接触通知です。プライバシー保護のためのデジタル技術を使用して、ウイルス感染者に濃厚接触した可能性のある人に通知します。Exposure Notificationには、迅速な通知という具体的な目標がありますが、これは無症状で感染する可能性のある新型コロナウイルスで感染の拡大を遅らせるために特に重要です。

この取り組みを支援するために、アップルとグーグルは協力して、Exposure Notifications技術を構築しました。これにより、公衆衛生機関が作成したアプリがAndroid端末とiPhoneの両方でより正確に、より確実に、より効果的に動作するようになります。ここ数週間、両社は協力して、世界中の公衆衛生当局者、科学者、プライバシー保護団体、政府指導者に働きかけ、彼らの意見や指導を取りまとめてきました。

本日より、当社の濃厚接触者通知技術は、iOSとAndroidの両方で公衆衛生機関に提供されています。私たちが開発したものはアプリではありません。各国の公衆衛生機関が、ユーザーがインストールする独自のアプリにAPIを組み込むことになります。私たちの技術は、これらのアプリがよりよく機能するように設計されています。システムはデバイスから位置情報を収集したり使用したりすることはありません。ユーザーの採用が成功の鍵であり、これらのアプリの使用を促進するためには、これらの強力なプライバシー保護が最善の方法であると私たちは考えています。

本日、この技術は世界中の公衆衛生機関の手の中にあり、彼らが先頭に立ち、私たちは彼らの努力を支援し続けていきます。

両社は感染警告機能をモバイルOSそのものに組み込むことを計画しており、今年後半のiOSおよびAndroidのアップデートで実施されると述べていた。ただしこの「第2段階」の内容はさらに修正される可能性がある。両社によれば「新型コロナウイルス感染抑制対策としてどのような機能がシステムレベルに搭載されるのが望ましいか公衆衛生当局と協議を続けている」とのことだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

新型コロナウイルス 関連アップデート

iOS 13.5へのアップデートで新型コロナ接触通知設定が利用可能に

Apple(アップル)は、Google(グーグル)と共同で開発した「接触通知API」のサポートを含むiOS 13.5をリリースした。新型コロナウイルスの感染拡大と戦う公衆衛生機関による接触の追跡をサポートする。このAPIを利用するには、公衆衛生機関が開発するサードパーティアプリが必要となる。アプリは、まだ1つもリリースされていないが、iOSデバイスのユーザーは、すでに「COVID-19接触のログ記録」という設定にアクセスできるようになっている。

ベータ版でも確認されていたように、接触記録の設定にアクセスするには「設定」アプリを使う。まず「プライバシー」セクションを開き、そこから「ヘルスケア」のサブメニューを選ぶと「COVID-19接触のログ記録」という設定が出てくる。これはデフォルトではオフになっている。承認済みのアプリを入手してインストールするまで、この機能をオンにすることはできない。そうしたアプリを利用する場合には、接触通知へのアクセスを承認するよう求めるポップアップが表示される。いったん承認しても、ここに戻れば通知機能をオフに切り替えることも可能だ。また、オプトアウトを選択した場合には、デバイスに記録されたの接触ログを手動で削除することもできる。

アップルとグーグルは、接触通知APIに対して、ユーザーによってコントロール可能な部分をできるだけ多くし、可視性を高めたいと考えていることを強調してきた。接触通知を実現するために、ランダムに生成した一時的なIDを使用し、それもサーバー側には保存しない。また、1つのアプリ内で位置情報サービスと接触通知APIを同時に使用することも禁止している。このように接触記録機能を手動でオンオフできるようにしたことは、このシステムに参加するユーザーが、どのような情報を、いつ共有するかということを、完全にコントロールできるようにするための1つの重要なステップとなる。

接触を追跡することは、感染症の蔓延と戦うための実績のある戦略だ。これまでは、感染した個人から聞き取ったり、感染期間の行動をできるだけ詳しく調査することで、潜在的な接触を追跡しようとしてきた。通信機能を備えた近年のデバイスを利用することで、こうしたことをずっと効率的かつ正確にできる可能性が生まれた。それでもグーグルとアップルは、プライバシーの専門家と協力し、ユーザーのプライバシーをリスクにさらすことなく、こうしたことを実現する手段を見つけ出そうとしてきた。その結果、照合処理も、サーバー側のデータベースではなく、ユーザーのデバイスでローカルに実行するものとなっている。

アップルとグーグルは、このAPIを利用するアプリを開発中の公衆衛生機関に協力している。また両社は、これはあくまでも暫定的な措置であって、いったん新型コロナウイルスの脅威が去れば、この機能自体を無効にするという前提で、最初から設計していることを明らかにしている。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

アップルの上級副社長が新型コロナ対応サプライチェーンの安全性について説明

Apple(アップル)は米国時間5月14日、2020年のサプライヤー責任進捗報告書を公開した。Sabih Khan(サビ・カーン)オペレーション担当上級副社長は報告書中の書簡で、世界中のサプライチェーンにおける安全と保護に関する取り組み強化に向け同社が策定した計画の概要を詳述した。

カーン氏が2019年に現職に就任してから公に何かを発表するのは筆者が知る限りこれが初めてだ。この書簡ではアップルの従業員とサプライチェーンメンバーの「安全で健康的な職場に対する権利」を確保するためのアップルの取り組みについて説明している。

世界で最も優れた家電メーカーであり、ポールポジションに位置する企業として、アップルの取り組みと姿勢は明らかに、いわばつぶさに見られている。アップルの施策は世界中に展開する他の製造業者の手引きとなるだろう。

カーン氏はアップルのサプライヤーにまず感謝し、何千人もの従業員がサプライヤーと協力して事業を継続する計画を立てたと述べている。その計画は、各国の健康に関する推奨事項と新型コロナウイルス(COVID-19)の拡散緩和に関する普遍的なルールを考慮して策定された。

サプライヤーの工場で実施された施策は次のとおりだ。

  • 健康診断
  • 密度の制限とソーシャルディスタンス(社会的距離)の厳格な順守
  • 作業中および共有エリアの両方で個人防護具の使用を義務付け
  • ディープクリーニングプロトコルの実施
  • マスクと消毒剤の従業員への配布

アップルはまた、必要に応じてサプライヤーの工場のフロアプランを再設計・再構成した。社会的距離の確保のために時差勤務シフトなどの柔軟な労働時間も導入している。

アップルは自社のサプライヤーに対して実施したさまざまな安全保護の施策実行に加えて、業界全体のスタンダード確立に向け、NGOや他の組織に同社の計画を共有した。

「我々はあらゆるもののなかで人を第一に考える。そして我々と一緒に働くすべての人に同じことを求める。最高の基準を維持したいと考えるからだ」とカーン氏は書簡で述べている。「当社のサプライヤー行動規範は、あらゆる種類の差別やハラスメントを防ぎ、サプライヤーの従業員が匿名で声を上げられる通報手段を提供する。我々はサプライヤーと提携して教育と訓練の機会を創出している。大学の学位取得プログラム、職業訓練イニシアチブ、健康増進プログラムなどを提供し、従業員が新しいスキルを学び、目標の達成に向けて取り組めるようにしている」。

アップルのサプライヤー報告書は例年2~3月に公開されるが、報告書で新型コロナウイルス対応の詳細を発表する前に、まず保護対策の計画・実行に時間をかけたかったという。

「新型コロナは前例のない挑戦となったが、同僚、友人、隣人の健康を改めて大切に思う人間愛から希望とインスピレーションを得た。自分と他人の健康を思う気持ちは我々がいつも持てるものだ。人と地球を守る我々の取り組みに終わりはないかもしれないが、この先に最高に明るい未来が待っていると今ほど確信したことはない」。

2020年のサプライヤー報告書は、サプライチェーンの従業員5万2000人へのインタビューに基づいている。現在49カ国のサプライヤーを監査しており、2018年の30カ国から増加した。2019年の監査は合計1142件だった。アップルの廃棄物ゼロプログラムは、サプライチェーンからの炭素排出量と廃棄物を削減するために2015年に導入された。報告書によるとこのプログラムは現在、すべての主要製品の最終組み立て、検査、包装工程に統合されている。アップルは2019年に130万トンの廃棄物の埋め立て地行きを回避し、製造工程から出る水の40%(約94億ガロン=427億リットル)を再利用した。

カーン氏の書簡の全文は以下のとおり。

健康が第一です。 今も、いつでも。

世界中の人々が新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックに伴う多くの困難に直面する中、地球を守り、あらゆる人々に尊厳と尊敬をもって接することの重要性を再認識しました。これは我々の意思決定すべてに反映されている価値観です。

サプライヤー責任進捗報告書は、そうした理念をどの程度実行に移したのか、進捗状況を振り返っています。しかし、私はまず、グローバルサプライチェーンにおいて今、新型コロナという前例のない挑戦に対処し、人々が安全に仕事に戻れるよう、我々がどう行動しているかについて共有したいと思います。あらゆる人々に安全で健康的な職場に仕事に戻る権利があるからです。

パンデミックによって影響を受けなかった国はありません。新型コロナによる複雑かつ急速に変化する影響を乗り切るにあたり、世界中のすべてのサプライヤーのコミットメント、柔軟性、チームへの配慮に感謝したいと思います。我々は当初からサプライヤーと協力して、人々の健康を最優先する計画を策定し、実行してきました。何千人ものアップルの従業員が、世界中のサプライヤーと協力してその計画を実行するために精力的に取り組んできました。

これは何よりもまず、健康診断、密度の制限、工場における社会的距離の厳格な順守など、各国の状況に適したさまざまな保護策について世界中のサプライヤーと協力することを意味します。作業中およびすべての共用エリアの両方で個人保護具の使用を義務付け、ディープクリーニングプロトコルを実施しマスクと消毒剤を配布するためにサプライヤーと協力してきました。

また、当社のチームはサプライヤーと提携し、必要に応じて工場のフロアプランを再設計および再構成し、人間同士の距離を最大化するため、時差勤務シフトを含む柔軟な労働時間を設定しています。我々は、最先端の医療およびプライバシーの専門家と緊密に協力して、高度な安全衛生プロトコルを開発し続けます。

サプライチェーン全体でツールを開発しベストプラクティスを実行するにあたり、業界内外で得た知見を共有しています。我々が何者であるかを長く定義してきた価値が、新型コロナによって弱められることはありません。その価値は我々がお互いやこの惑星に対して負っている責任に根ざしています。

今年のサプライヤー責任進捗報告書では、こうしたことを実現するために2019年に取り組んだことについて説明しています。100%再生可能エネルギーへ移行することであっても、職場での権利について何百万人もの従業員に周知することであっても、事業のすべての側面に当社の価値観を適用します。そして毎年、サプライヤーも順守を求められる基準の水準を引き上げています。

我々はあらゆる事のなかで人を第一に考えます。そして我々と一緒に働くすべての人に同じことを求めます。当社のサプライヤー行動規範は、あらゆる種類の差別やハラスメントを防ぎ、サプライヤーの従業員が匿名で声を上げられる通報手段を提供します。我々はサプライヤーと提携して教育と訓練の機会を創出しています。大学の学位取得プログラム、職業訓練イニシアチブ、健康増進プログラムなどを提供し、従業員が新しいスキルを学び、目標の達成に向けて取り組めるようにしています。

我々は実現したこと、していないことに関して進捗状況を報告し、透明性の確保に努めています。この報告書は、サプライチェーンの5万人を超える従業員へのインタビューと、抜き打ち監査を含む49カ国1000以上のサプライヤー工場監査に基づいています。当社の製品に注ぐのと同様の細部と革新への注意が、この報告書だけでなく、我々の世界中のサプライヤーネットワークが確実に基準を維持するための作業にも反映されています。

我々全員が共有する環境は壊れやすいものです。気候変動との戦いや排出量の削減にこれまで以上に力を注いでいます。戦略的パートナーシップを通じて、当社のサプライヤーは二酸化炭素排出量を削減し、水やエネルギーなどの貴重な資源を節約に貢献しています。グリーンマニュファクチャリングはスマートマニュファクチャリングであり、より広く言えば、環境に良いものはビジネスにも良いことを理解しています。

新型コロナは前例のない挑戦となりましたが、同僚、友人、隣人の健康を改めて大切に思う人間愛から希望とインスピレーションを得ました。自分と他人の健康を思う気持ちは我々がいつも持てるものです。

人と地球を守る我々の取り組みに終わりはないかもしれませんが、この先に最高に明るい未来が待っていると今ほど確信したことはありません。

サビ・カーンはアップルのオペレーション担当上級副社長です。

サビは、サプライヤーに関する責任を含むアップルのグローバルサプライチェーンをリードしています。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Mizoguchi

Foxconnの利益が新型コロナによる工場閉鎖で90%近く落ち込む

決算報告のシーズンがひと段落して、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが企業経営にもたらした深刻な影響がよりはっきりわかるようになってきた。台湾の製造業大手であるFoxconnも、前四半期が散々な結果になった企業の1つだ。主に中国における工場の閉鎖で、利益は前年同期比で90%も落ち込んだ。

Foxconnは3月の時点で既に、投資家たちに凶報を予告していた。そのとき同社は、年度の業績に関する明確なガイダンスを提供できず、それをウイルスという前例のない不確定要素のせいにした。当時、会長のLiu Young-Way(劉揚偉)氏は「アウトブレイクの防止、仕事と生産の再開が弊社のプライオリティの最上位にある」と語っている。

それから2カ月になるが、不確定性は残っている。劉氏は今週行われた発表で「1年の展望に関しては未知の部分が多い。現状では2020年後半に関する展望を提示できない」と述べている。しかし劉氏は、次の四半期における売上の減少は、今期よりはるかに小さいだろうとも語っている。

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このやや明るい見通しは、主に中国の工場の多くが2020年1月後半の閉鎖の後、通常の生産を再開していることによる。Foxconnの生産能力の約3/4は中国にある。ただし、多くの企業でスマートフォンの売上が低迷すると予想されるため、Foxconnのサービスへの需要も減少により、理想の数字にはならないだろう。

Foxconnの大型クライアントの1つであるApple(アップル)は、消費者の需要とサプライチェーンの不足により、同社の次期フラグシップモデルのリリースを遅らせるといわれている。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アップルがVR配信スタートアップのNextVRを買収した理由

これまで、次世代のコンピューティングプラットフォームとしてのAR(拡張現実)について多くの話題が出されてきたが、Apple(アップル)は、これまで予想されていたものよりもさらに強く、仮想現実に興味を持っているのかもしれない。

9to5macによる4月のレポートに続き、米国時間5月14日に同社は、Bloomberg(ブルームバーグ)の取材に対して、VR配信のスタートアップであるNextVRの買収を認めた。現在NextVRウェブサイト上では、同社が「新しい方向に進んでいる」との知らせが強調されている。

表面的には、この買収はアップルにとって少し奇妙なものに思える。同社はこれまで、モバイルARに全力を注いでいた。そしてVRの世界に対する公の活動や関心の表明を控えており、その領域を完全にFacebookの手に委ねてきた。昨年末にThe Informationは、アップルが従業員に対して、2022年にARとVR機能を組み合わせたデバイスを、Oculus Questと同様のフォームファクターで出荷する可能性があると伝えたことを報告した。この件と今回の買収を合わせて考えると、同社がこれまで示してきたものよりもVRについてより深い計画を持っている可能性があることが伺える。

数年に渡るiOSでの提供を通して、優れたARがどのように見えるものかについて、アップルが素晴らしい結果を残せたのかどうかはあまりはっきりしていない。そのため、数年以内にMR(混合現実)ヘッドセットを発売し、ユーザーが満足するVRコンテンツの裾野を広げながら、ARコンテンツに対する開発者のイノベーションを推し進めていくことは、第1世代のARデバイスとしては現実的な意味を持っている。

9to5macはNextVRの買収額を約1億ドル(約107億円)と特定していた、この金額はこれまで合計で1億1500万ドル(約123億円)を投入してきた投資家にとっては、まったく満足できるものではないが、現在のVRコンテンツ市場の様子から考えると驚くほど真っ当なイグジットだと言えるだろう。ただし、この取引をもって終了と考えているなら、アップルにとっては具体的な計画を持たずに、ただ大枚をはたいただけいうことになる。

NextVRの最大の強みの1つは、長年にわたってスポーツリーグとの間に築いてきたパートナーシップだ。アップルは、そのパートナーシップに最適化されたデバイスを売り出すまでは、そのパートナーシップを積極的に保つことにはあまり関心を向けないだろうと私は推測しているが、VRコンテンツを配信するためのNextVRの技術は、将来のアップルコンテンツ操作像を描き出す可能性がある。

アップルは、Apple TV+のような取り組みを中心にコンテンツ分野で組織的な影響力を発揮してきたが、この先彼らがリリースを考えている新しいデバイス向けに、コンテンツネットワークを広げていく際に好スタートを切るには、今回のような買収を活用したいと考えることはあり得る話だ。

こうしたことに関わる主要な問題は、VRに最適化されたコンテンツはARにうまく変換されないということだ。NextVRのソリューションは、既存のVRヘッドセットの全視野を活用してユーザーを完全な3D環境の中に没入させる。ARヘッドセットのユーザーが最終的に同じ方法でこのコンテンツを体験できなないという技術的な理由はないが、このタイプのコンテンツを活用できる性能を備えるARヘッドセットは存在せず、ここでの進歩はかなり遅いものだった。既存のARデバイスはおそらくVR用には最適化されていないし、またその逆も真である。しかしアップルはすでに、それは長期的には解消されるという前提で組織を動かしていると思われる。

FacebookはOculusハードウェアを活用するために、意味のあるVRコンテンツネットワークを構築しようと何年にも渡って苦労している。ユーザーにとって十分なコンテンツが存在せず、そして一方コンテンツ開発者を引きつけるには十分なユーザーがいないという「鶏と卵問題」を解決しようとする試みは、Facebookに対して、VR開発に対する一方的な出資を何年も強いることになった。アップルにも、ARで似たような運命が待ち受けているかもしれない。

Magic Leapが徐々に影をひそめる中で、アップルは最終的にARデバイスを発表した際に、非商業的な開発が散発的に行われるだけの死んだセクターに到着してしまったことに気がつくことになるのかもしれない。同社は長い間、新しいプラットフォームに対して早い段階での関心を集めるために、開発者との関係に頼ってきたが、これまでのところARKitに対する消費者の関心の構築には大枠では失敗している。このため多くの開発者が野心的なARに対して様子見アプローチを取るだろうと予想するのは当然だ。このことはアップルにとって、ARローンチコンテンツの確保に重い負担を残すことになるだろう。

これまでのところ、ARKitに対するアップルの最大の失敗は、モバイルデバイス上でのARプラットフォームの可能性をわかりやすく提示できていないことだ。AR開発プラットフォームを何度か改訂するうちに、同社は代表的な使用例を紹介することに対して、これまで以上に保守的になってきた。最も注目を集めているのは、ダウンロード可能な3D測定アプリだ。その一方で、空間プラットフォームを独自に活用するヒット作品はほとんど生まれなかった。

というわけで、VRはアップルにとってしばらくの間は投資するためのより安全な場所なのかもしれない。優れたバーチャルリアリティコンテンツは一般に作りやすい。現実世界とのやり取りに依存することが少なく、開発者はエクスペリエンスをエンドツーエンドでより多く制御できるからだ。

NextVRの技術を活用することで、アップルはより幅広いVRコンテンツに向かうスムーズなパイプラインにアクセスすることが可能になる。そうしたコンテンツは登場が予定される「MR」デバイスや、将来的にはより技術的に進歩したARメガネで楽しむことができるだろう。

アップルのCEOであるTim Cook(ティム・クック)氏をはじめとする多くの同社のリーダーがARの可能性に興奮していることを率直に公言してきたが、開発者がその可能性を見出すのに苦労し続けている中で、VRの魅力が長期的な戦略にとってより重要になってきているのかもしれない。

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(翻訳:sako)