Google CloudにKubernetes Engineの「オートパイロイット」サービスが登場

Google Cloudは米国時間2月24日、Google Kubernetes Engine(GKE)の新しい運用モードを発表した。そのモードではコンテナのクラスターの日常的な運用の多くを、Googleの技術者と自動化ツールに任せることができる。Autopilotと呼ばれるモードでは、クラスターとそのノードを管理するデイツー(実稼働初日)のすべての操作をGoogleが管理し、そのためのベストプラクティスとセキュリティを実装している。

新しいモードは、既存のGKE体験を拡張する。そのエクスペリエンスはすでに、クラスターを立ち上げるインフラストラクチャの多くを管理していた。Google Cloudが「スタンダード」と呼ぶそのエクスペリエンスは今後も可利用であり、ユーザーが構成を心ゆくまでカスタマイズでき、ノードのインフラストラクチャを手作業で用意し管理できる。

GKEのプロダクトマネージャであるDrew Bradstock(ドリュー・ブラッドストック)氏によると、Autopilotの基本にある考え方は、GoogleがGKEのためにこれまで開発してきたすべてのツールをまとめて、本番環境でのクラスターの動かし方を知っているSREチームに渡すことだ。それは、Googleの社内では前からやっていたこととなる。

ブラッドストック氏は次のように説明する。「Autopilotは、オートスケーリングとオートアップグレードとメンテナンスとデイツーの運用を一体的に縫い合わせて、さらに全体の強化も行う。これによって新しい顧客は極めて迅速に、デベロッパーやテスト、それにプロダクションのためのより良い環境を手に入れることができる。なぜなら、デイゼロから始めた彼らも、クラスター作成に要する5分間が終わればデイツーが完了しているからだ」。

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デベロッパーから見れば、何も変わっていない。しかしこの新しいモードはチームをKubernetesの管理から解放して実際のワークロードに専念させる。企業は依然としてKubernetesの利点を享受するが、ルーチン的な管理とメンテナンスの作業がなくなる。それは、Kubernetesのエコシステムの進化にともなって生じつつあったトレンドでもある。結局のところ、企業がKubernetesを有効に管理できる能力を身につけても、それが競争で優位に立てる差別化要因になることはまずない。

もちろん、Autopilotは有料のサービスだ。GKEの1時間0.10ドル(約10.6円)の定額料金に加えて、クラスターやポッドが消費するリソースが費目に加わる。なお、無料のGKEティアには74.70ドル(約7910円)のクレジットが付いている。GoogleはAutopilotクラスターのコントロールパネルには99.95%のSLAを提供し、マルチゾーンのAutopilotのポッドには99.9%のSLAを提供する。(公式ページ

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GKEのAutopilotは一連のコンテナ中心型のプロダクトをGoogle Cloudのポートフォリオに収めているが、そこには顧客のマルチクラウドをサポートするAnthosや、サーバーレス環境のCloud Runなどもある。ブラッドストック氏は、次のように説明している。「実はAutopilotはGKEの自動化という側面を利用する便宜だが、それはGoogle Cloudを動かすために使われていたものだ。今回はそれらのすべてを使いやすいパッケージにまとめることで、Kubernetesの初心者でも、非常に大きなコンテナ群を動かしている者でも、大量の時間と操作、計算処理すら節約できるようにした」。

そしてGKEはAnthosの鍵となるものだが、そのサービスの実体はむしろ、Googleの構成管理とサービスメッシュとその他のツールを、エンタープライズ自身のデータセンターに持ち込むものだ。GKEのAutopilotは少なくとも現在のところ、Google Cloudでしか利用できない。

ブラッドストック氏はさらに「サーバーレスの世界では、Cloud Runが独自の開発哲学を持つデベロッパーの間で人気が高い。例えばアプリケーションのインスタンスが0から1000に増えてまたすぐにゼロになったとしても何も心配する必要はなく、すべてをGoogleが管理する。どんな開発にとっても、それはすばらしいことだ。Autopilotは複雑なサービスというよりもむしろ、プラットフォーム全体を単純化して、ユーザーをKubernetesの有効利用に専念させる。また、もっと多くのものを制御できるようにしたり、1つの環境で大量のアプリケーションを動かすこともできる」という。

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

TwitterはGoogle Cloudとの提携を拡大、データから多くを学び迅速な動きを目指す

Twitterは、Google Cloudとの複数年にわたる提携を拡大するかたちで、データ分析分野の強化を図っている。

ソーシャルメディア大手Twitterは2018年に、Googleとの初めての協働により、同社のPartly Cloudy戦略の一環としてHadoopのクラスターをGoogle Cloudに移した。

今回拡張された合意では、Twitterがそのオフライン分析とデータ処理、および機械学習のワークロードをGoogleのData Cloudへ移す。

Google Cloudの製品管理およびデータ分析担当ディレクターであるSudhir Hasbe(スディール・ハスベ)氏によると、このようなクラウドへの移行によってTwitterのデータ分析が迅速になり、同社の目標であるユーザー体験の改善にもつながるという。

「いいね」や「リツイート」といったあらゆるツイートの背後には、Twitterがユーザーがどのようにサービスを利用しているか、どのような種類のコンテンツを見たいかなどを理解するのに役立つ一連のデータポイントがある。

Twitterのデータプラットフォームは、何兆ものイベントを取り込み、何百ペタバイトものデータを処理し、毎日10以上のクラスタで何万ものジョブを実行する。

TwitterはGoogleとのパートナーシップを拡張して、BigQueryやDataflow、BigTableそして機械学習(ML)などのデータ分析ツールを有するData Cloudサービスを採用する。それらはTwitterのさまざまな機能の使われ方をより把握し、改良していくための役に立つ。

TwitterのCTOであるParag Agrawal(パラッグ・アグラワル)氏の声明によると、最初のパートナーシップは成功し、エンジニアリングチームの生産性が上がったという。

「これまでの関係とGoogleの技術を利用して、データから学べることがさらに増え、毎日のように私たちのサービスを利用している人たちに、より適切なコンテンツをより速く提供できるようになる」とアグラワル氏はいう。

Google Cloudのハスベ氏によると、Twitterのような組織は高度にスケーラブルな分析が必要であり、それによって、すべてのデータから価値を取り出すことができる。Googleとのパートナーシップを拡張することで、Twitterはそのクラウドからより多くのユースケースを自分に加えていくことができるという。

「私たちはサーバーレスであるため、Twitterのような大きな組織でも自動的にスケールアップ / ダウンが可能だ」とハスベ氏は述べる。

「Twitterはインフラや容量管理、あるいは必要なマシンやサーバの数を気にすることなく、大量のデータをもたらし、分析し、洞察を得ることができる。それは彼らの問題ではない」と彼は付け加えた」とハスベ氏は言い足した。

さらにハスベ氏によると、このシフトにより、Twitterのデータサイエンティストなどのスタッフは、機械学習のモデルを作って予測分析を行うことが容易になるという。

BedやBathBeyondWayfairEtsy、それにThe Home Depotといった企業が、Google Cloudを使ってパンデミックを乗り切ろうとしている。

米国時間2月2日にTechCrunchのFrederic Lardinois(フレデリック・ラルディノア)が、Google Cloudは売上の成長は加速しているが損失も増えていると報じている。今週、Googleは同社の四半期決算報告で、Google Cloud事業の2020年12月31日に終わる2020会計年度の営業損失を56億ドル(約5880億円)と報告した。それに対する売上は、130億ドル(約1兆3650億円)だった。

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Google Cloudが次世代API管理プラットフォーム「Apigee X」を発表

Google(グーグル)は米国時間2月4日、2016年に買収したAPI管理プラットフォーム「Apgiee(アピジー)」の次期メジャーリリースとなる「Apigee X」を発表した。

「現在、私たちの周りに起きていることを見てみると、特に2020年3月に新型コロナウイルス感染流行が始まって以来、あらゆる種類の業界でデジタル活動の量が増え、あらゆる種類の活用事例が出てきています。そして、私たちが目にしていることの1つは、本当に高性能で信頼性の高い、グローバルなデジタルトランスフォーメーションプラットフォームの必要性です」と、Google Cloud(グーグルクラウド)のプラットフォーム責任者であるAmit Zavery(アミット・ザヴェリー)氏は筆者に語った。

同氏は、APIコール数が2020年より47%増加したことや、プラットフォームが年間約2.2兆件のAPIコールを処理するようになったことを指摘している。

今回のアップデートの核となるのは、Google CloudのAI、セキュリティ、ネットワーキングツールとのより深い統合だ。実際には、これによってApigeeのユーザーは、Google Cloudの24のリージョンにAPIをデプロイすることなどが可能になる。また、100以上のエッジロケーションで、Googleのキャッシングサービスを利用できるようになることを意味する。

画像クレジット:Google

さらにApigee Xは、GoogleのCloud ArmorファイアウォールおよびCloud Identity Access Managementプラットフォームと統合された。つまり、これによってApigeeのユーザーは、ファイアウォールやアイデンティティ管理のニーズに対し、サードパーティ製のツールを使用する必要がなくなるということだ。

「私たちはAI / MLベースの異常検知と運用管理を数多く行っています」と、ザヴェリー氏は説明する。「当社のAPIプラットフォームに多くの洞察を埋め込むことで、悪意のある意図や、APIコールやトラフィックに発生する可能性がある、あらゆる種類のものを予測することができます。私はこれを大きな改善だと考えています。特に運用管理、セキュリティ管理、脆弱性管理などの新機能を中核機能として提供することで、ビジネスとしてこれらすべてのことを心配する必要がなくなります。これはコア機能に付随するもので、デジタルフロントエンドのフロントドアが本当に輝く場所であり、顧客はそれに集中することができます」。

また、このプラットフォームは、GoogleのAI機能を活用して、ユーザーが異常を特定したり、ピークシーズンのトラフィックを予測したりするのに役立つようにもなる。ここでのアイデアは、顧客が標準の自動タスクの多くを自動化するのを支援し、もちろん、同時にセキュリティを向上させることである。

ザヴェリー氏が強調したように、API管理は今やアプリケーション間のトラフィックを管理するだけのものではない。Apigeeチームは、顧客のデジタルトランスフォーメーションプロジェクトの管理を支援するだけでなく、「デジタルエクセレンス」と呼ばれるものについても考えている。「これは、単に『フロントエンドを持てる』ということだけでなく、顧客がやりたいと思っているすべての優れたことと、それをどうやって実現するかということを考えているということです」とザヴェリー氏は述べている。

「このような不確実な時代に、世界中の企業はAPI戦略を倍増させ、どこでも操作し、プロセスを自動化し、新しいデジタル体験を迅速かつ安全に提供するようになっています」と、Pitney Bowes(ピツニーボウズ)のチーフイノベーションオフィサーであるJames Fairweather(ジェームズ・フェアウェザー)氏は語る。「Apigee Xは、reCAPTCHA Enterprise、Cloud Armor(WAF)、Cloud CDNのような新しい機能でAPIを強化することで、我々のような企業がデジタルイニシアティブを拡張し、顧客、従業員、パートナーに革新的な体験を提供することを容易にしてくれるのです」。

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

クラウドインフラ市場は2020年に13.6兆円に成長、リッチな企業はますますリッチに

2020年のクラウドインフラ市場は社会を反映した。世界で最もリッチな企業はますますリッチになり、マーケット最下層の企業はますます落ち込んだ。Synergy Research Groupのデータによると、クラウドインフラ市場は2019年の970億ドル(約10兆2400億円)から2020年は1290億ドル(約13兆6100億円)に成長した。

Synergyはまた、クラウドインフラ市場が第4四半期に370億ドル(約3兆9000円)に達し、第3四半期の330億ドル(約3兆4800億円)からアップし、前年同期比でも35%増だったと指摘した。

過去9カ月、筆者はあらゆる創業者たちからパンデミックがデジタルトランスフォーメーションを加速させており、その大部分はクラウドへのシフト促進だと耳にした。こうした数字は創業者たちの言葉を裏づけているようだ。

いつものように、ビッグ3はAmazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)だ。Alibaba(アリババ)が第4位に定着し、IBMは5位に後退した。しかしMicrosoftはライバルのAmazonよりも急成長していて、2020年末に初めてマーケットシェアが20%に達した。レドモンド拠点のソフトウェア大企業Microsoftのマーケットシェアは2017年から倍になったことを心に留めておいてほしい。これは驚くべき成長スピードだ。一方でGoogleとAlibabaのシェアはそれぞれ9%と6%だった。

画像クレジット:Synergy Research

Amazonはその点で興味深く、Synergyのデータでは4年連続でマーケットシェア33%前後で横ばいを維持しているが、急速に成長しているマーケットにおける3分の1であり、これはこの部門の拡大にともなって同社もパブリッククラウドの売上高を成長させ続けていることを意味する。

AmazonはAWSの第4四半期売上高127億4000万ドル(約1兆3400億円)で2020年を締めくくった。これは前期の116億ドル(約1兆2200億円)から増え、ランレートは初めて500億ドル(約5兆2700億円)を超えた。一方でMicrosoftの数字は決算から解析するのはいつも難しく、370億ドル(約3兆9000億円)の20%を計算すると74億ドル(約7800億円)で、これは前期の59億ドル(約6200億円)から増えている。

Googleは第3四半期の29億8000万ドル(約3200億円)から第4四半期は33億ドル(約3500億円)に増え、Alibabaは同時期16億5000万ドル(約1700億円)から22億2000万ドル(約2300億円)に増えた。

SynergyのプリンシパルアナリストJohn Dinsdale(ジョン・ディンスデール)氏は、トップ企業は巨大で絶対的なマーケットシェア、それからクラウドプロバイダー間の大きなギャップで自社の周りをしっかりと固めていると話す。「AWSは過去10年大きなサクセスストーリーで、広範囲のIT部門企業との競争激化にかかわらずマーケットでかなり強固な地位をキープしています。これはAmazonとAWSの経営チームにとって、新体制になっても状況は変わらないと思わせるすばらしい証拠です」と同氏は筆者に語った。

ディンスデール氏は、Microsoftが相手としてAWSは相応しいライバルだが、いつかの時点で同社は成長の壁にぶつかる運命にあるとみている。「MicrosoftがAmazonとの差を縮め続けるのはもちろん可能ですが、MicrosoftのAzureが大きくなるにつれ、かなり高い成長率を維持するのは難しくなります。これは大数の法則です」。

一方、クラウドインフラ業界の下位のマーケットシェアは減少し続けている。「マーケットシェアで敗れた企業は小規模クラウドプロバイダーの集まりで、過去16四半期で13ポイントのマーケットシェアを失いました」とSynergyは声明で述べている。

しかし、こうしたプレイヤーにとってすべて負けではないとディンスデール氏は話す。「比較的小規模のプレイヤー(あるいは小さなマーケットシェアを持つ大企業)はニッチな特定マーケット(地理、サービスタイプ、顧客の部門に基づくもの)にフォーカスしたり、あるいは幅広い顧客に広範なクラウドサービスを提供しようと試みることができます。前者の企業は極めてうまく振る舞うことができ、後者の場合はかなり厳しいでしょう」と述べた。

Canalysの数字は少し異なり、クラウドインフラ市場が1420億ドル(約14兆9800億円)で、第4四半期は400億ドル(約4兆2200億円)としたが、各社のマーケットシェアはSynergyのものと同じだったことは記すに値する。

画像クレジット:Canalys

パブリッククラウドの売上高はある時点で意味を失うほどに大きくなったが、それでも世界中のIT支出に占める割合としては比較的小さいままだ。Gartnerの推計によると、世界の2020年のIT支出は3兆6000億ドル(約379兆8300億円)だった。つまり、そこでクラウドインフラマーケットが占める割合は3.85%にすぎないことを意味する。

次のことを少し考えてほしい。IT支出の4%以下が現在、クラウドインフラに向けられ、かなりの成長余地を残していて、数年のうちに何十億ドル(約何千億円)も成長する。

もちろん他のプレイヤーが参入してトップ企業を慌てさせればもっと興味深いものになるが、我々がコンピューティングについて想定している道中に予期せぬ何かやドラマティックなことが起こらない限り、差し当たってこのままトップ企業は猛烈な勢いで我が道を突き進んでいくだろう。

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

Google Cloudは2020年に約5880億円の損失

Google(グーグル)は、Google Cloudへの大きな賭けを続けている。確かに売上の成長は加速しているが、損失も増えている。米国時間2月2日、親会社Alphabetの決算報告で、Googleは初めてGoogle Cloud事業部の営業利益と損失を公表した。それによると、2020年12月31日に終わるGoogleの2020会計年度でGoogle Cloudは56億ドル(約5880億円)の損失を計上した。売上は130億ドル(約1兆3650億円)だった。

一般的にクラウドコンピューティングは儲かる事業と思われているため、この数字は不吉なものだと感じられるかもしれない。しかし、違う見方もある。損失は増加している。2018年は43億ドル(約4515億2000万円)、2019年が46億ドル(約4830億4000万円)だった。しかし売り上げも強力に伸びており2018年は58億ドル(約6090億5000万円)、2019年は89億だ(約9346億8000万円)。ここで何よりもわかるのは、Googleがクラウド事業に対して重点に投資し続けているということだ。

CEOのThomas Kurian(トーマス・クリアン)氏が率いるGoogleのCloud部門には、クラウドインフラストラクチャとプラットフォームサービスのすべてが含まれており、G Suiteと呼ばれていたGoogle Workspaceもある。同社は、ここに大きく投資し続けている。そもそもデータセンター自体が大型の投資であり、Googleは2020年に4つの新たなリージョンを立ち上げ、他にも着手している。ここに同社のコアサービスはあり、さらにいくつもの買収も行っている。

今回の決算報告でGoogle / AlphabetのCEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏は次のように述べている。「クラウドにおいて、顧客はまだ移行の初期段階にあることがわかります。私たちは大きな未来を目にしています。そしれ間違いなく、市場のダイナミクスと市場の状況における私たちのモメンタムは、私たちが投資の規模と投資のペースについて考えている枠組みになります。いうまでもなく、そこに長くいる者ほど利得も貢献も大きい。規模の経済も、働き始めます。しかし、私たちはお客様が関心を持つすべての製品に対して、世界中のお客様にサービスを提供できるようにするために、確実に先行投資を行っています」。

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また、Google / AlphabetのCFOであるRuth Porat(ルース・ポラット)氏は次のように述べている。「主に検索とYouTubeが支えた第4四半期の強力なパフォーマンスにより、売り上げは569億ドル(約5兆9760億円)となりました。ここからわかるように、消費者も企業も年初の停滞から回復し活発になってきています。Google Cloudの2020年の売上は131億ドル(約1兆3758億円)で、大きな勢いが続いています。私たち、目の前の多様な成長機会のすべてに対して、価値を提供し続けるよう努めていきたいと考えています」。

決算報告でポラット氏は「長期の有意義な契約が多い」と、Workspaceが大企業で伸びていると述べている。

しかし現在のところ、前四半期に広告ビジネスが大きく回復したGoogleの中核ビジネスが、クラウド事業の拡大を支えている。

一方、シアトルでは本日、AWSが前四半期の127億4000万ドル(約1兆3378億円)の売上を報告し、35億6000万ドル(約3738億4000万円)の営業利益を計上した。2020年のAWSの営業利益は135億ドル(約1兆4177億円)になる。

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タグ:決算発表GoogleGoogle Cloud

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

フォードが同社全体のデジタルトランスフォーメーション推進のためGoogle Cloud採用

Google(グーグル)とFord(フォード)は米国時間2月1日、2023年からFordとLincoln(リンカーン)ブランドの新型車にAndroid Automotive(アンドロイド・オートモーティブ)を搭載することを中心とした新たなパートナーシップを発表した。しかし、同時に両社は、Fordが優先的なクラウドプロバイダーとしてGoogle Cloud(グーグル・クラウド)を選択したことも発表した。

「Google Cloudによって、Fordはフロントオフィスから車両、製造工場の現場まで、デジタル変革を進めることになるでしょう」と、Google CloudのThomas Kurian(トーマス・クリアン)CEOは同日の記者会見で語った。「これによって、製品開発の現代化、製造・サプライチェーン管理の改善、従業員教育へのコンピュータビジョンAIの活用、組立ラインにおける機器の検査など、さまざまな応用が可能になります」。

GoogleとFordは、整備リクエストや下取りアラートのような機能を通じて、Fordのデータを収益化する新たな方法を模索していることも、クリアン氏は言及した。

「Fordは社内に世界クラスのデータインサイトとアナリティクスチームを持っています」と、Fordの戦略・パートナーシップ担当副社長であるDavid McClelland(デイビッド・マクレランド)氏は語った。「ソフトウェアの専門知識が豊富な人材を採用しており、この分野では大きな進歩を遂げています。そして、新しい自動運転事業の商業化に向けて急速に動いています。トーマス(・クリアン)と私が本日発表するこのニュースで、私たちはそのすべてにターボを効かせて加速化していきます」。

マクレランド氏は、Googleが「クラウド、Android、マップ、その他多くの分野を含め、同社のすべてを提供してくれた」と強調している。FordがGoogle CloudのAIツールを活用することも視野に入れているのは、この分野におけるGoogleの専門知識を考えれば当然のことだろう。この取り組みは、実際にクルマの運転に留まらず、Fordの製品開発、製造、サプライチェーンの近代化、Fordの工場における予知保全などにもおよぶ。

他の自動車メーカーと同様にFordもまた、収集したデータを利用して、クルマの購入時や整備のために時折(たぶん)ディーラーを訪れる体験を超えたドライバーとのつながりを作り出す方法を模索している。そのためには、顧客を理解し、パーソナライズされた体験を提供できる必要がある。

今回の発表は、Fordにとって多少の方向転換を意味する。これまでFordは、自動車業界におけるGoogleの役割を最小限に抑えるという明確な目標を持って、他の自動車メーカーと連合していたからだ。それからほんの数年後、今やFordとGoogleは自動車業界で最も深い絆で結ばれたパートナーとなった。

少し前には、FordがMicrosoft(マイクロソフト)と深いパートナーシップを結び、Fordの「Sync(シンク)」と呼ばれる車載情報技術を共同で開発していたことも、触れておくべきだろう。

「最初にベルトコンベアを導入した動く組み立てラインから、最新の運転支援技術に至るまで、Fordは約120年にわたり自動車業界のイノベーションを先導してきました」と、GoogleとAlphabet(アルファベット)のCEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏は語った。「GoogleのAI、データ分析、コンピューティング、クラウドプラットフォームを最大限に活用できるパートナーを組めることを誇りに思います。これによってFordのビジネス変革と、人々が道路で安全につながることができる自動車技術の構築を支援していきます」。

関連記事:Fordがグーグルと提携、同社とリンカーンの全車両にAndroid Automotive OS搭載

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Googleがチリ、ドイツ、サウジアラビアの3リージョン追加を発表

AWS、Azure、Google(グーグル)が積極的にデータセンターのプレゼンスを世界中に拡大するなど、大手クラウドプロバイダー(未訳記事)にとっては多忙な1年となった。その年の締めくくりとしてGoogle Cloudは米国時間12月21日、今後数カ月から数年の間に稼働する新しいクラウドリージョンのセットを発表した。これらの新しいリージョンはチリ、ドイツ、サウジアラビアの3つの地域となる。同クライドサービスのリージョンでは2020年にローンチしたインドネシア、韓国、米国(ラスベガスとソルトレイクシティ)に加えてフランス、イタリア、カタール、スペインのリージョンもここ12カ月の間に発表されている。

画像クレジット:Google

グーグルは現在24のリージョンで73のアベイラビリティゾーンを運営しており、これには同社が発表した未稼働のゾーンは含まれていない。リージョン総数ではMicrosoft Azureが競合他社を大きくリードしている(まだ利用可能でないものもある)が、グーグルは現在24のリージョンを提供し、合計77のアベイラビリティゾーンを持つAWSとの差を縮めようとしている。実際、Google Cloudでは12のリージョンが発表されたことで、現在6拠点の新しいリージョンを準備しているAWSを追い抜く可能性がある。

しかし戦いの場はまもなく、現在稼働している大規模なデータセンターから、より小規模だが企業がより顧客に近い場所でサービスを提供できる都市部の中心に近いエッジゾーンに焦点が移る可能性がある。

これらはすべて、グーグルが近年クラウド戦略にどれだけの投資をしてきたかを明確に示している。Google Cloud Platformは長い間、競合他社に大きく遅れをとっていた。わずか3年前、Google Cloudは13のリージョンしか提供していなかった。今回の拡大は、海底ケーブルやエッジロケーションに対する多額の投資の上に成り立っている。

関連記事:Google Cloudの最新データセンターがソルトレークシティーにオープン

カテゴリー:ネットサービス
タグ:GoogleGoogle Cloud

画像クレジット:JOSH EDELSON/AFP / Getty Images

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

グーグルが英国のデータウェアハウス管理スタートアップDataformをひそかに買収

データウェアハウスの「オペレーティングシステム」を開発する英国のスタートアップであるDataform(データフォーム)は、Google(グーグル)のGoogle Cloud部門にひそかに買収されたていた(Dataformリリース)。

取引条件は明らかにされていない。だが、筆者はほぼアクハイヤー(人材獲得を目的とした買収)だと理解している。とはいえ創業者ら(Dataformを創業する前はいずれもグーグルにいた)はうまくやった。ただ、人材がすべてだったというわけではない。グーグルは同社の製品にも非常に興味を持っていたといわれている。実際、「Dataform web」は将来にわたり無料で提供されようとしている。

取引について知る情報筋は、Dataformの創業者であるLewis Hemens(ルイス・ヒメンズ)氏とGuillaume-Henri Huon(ギヨーム・アンリ・ユーオン)氏にとって非常に良い結果となったと説明した。また筆者は、DataformがシリーズAの資金調達に向け順調に進んでいたと理解しており、他の選択肢も確かにあったとも考えている。

シリコンバレーのアクセラレーターであるY Combinatorの卒業生であり、Local Globeから投資を受けているDataformは、データを豊富に持つ企業がデータウェアハウスに保存するデータからインサイトを引き出す支援に着手した。インサイトとビジネスインテリジェンスのためにデータをマイニングするには、通常、データエンジニアとアナリストのチームが必要だ。Dataformはこのタスクを簡素化し、企業がデータ資産を最大限に活用できることを望んでいた。

Google Cloudに参加することによりDataformのチームはそのミッションを継続できる。もっと広くいえば、Snowflakeが成功させたIPO(未訳記事)を含め、このスペースはいままさにホットだ。

「Google Cloudチームと何度か話し合った結果、我々は適切なツールとテクノロジーをアナリストに提供する重要性について、方向性がかなり一致していることがわかりました。目的は、我々全員が認識している既存のソリューションが逃している機会を埋めることです」とギヨーム・アンリ・ユーオン氏はDataformのウェブサイトで述べている

「同時に、複雑で競争が激しく、急速に変化する市場で、わずか7人のチームとして我々がすでに抱える人材や他の経営資源より、達成すべきアイデアの方が多かったのです。四半期ごとに、達成できる以上のことをやりたいと思っていました。BigQueryチームとCloud Analyticsチームのサポート、そして先進的な解決策や取り組みとを組み合わせることで、別々に成し遂げるよりも大きな何かを一緒に達成できると感じました」。

関連記事:データウェアハウスOSを提供するDataformが2億円超を調達

カテゴリー:ネットサービス
タグ:DataformGoogleGoogle Cloud買収

画像クレジット:Dataform

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(翻訳:Mizoguchi

Google Cloudが住宅ローン業界向け専用ツールLending DocAIをローンチ

Google Cloudは米国時間10月19日、初めてアメリカの住宅ローン業界のためのサービスLending DocAIを立ち上げた。目下プレビュー中のツールは、住宅ローン企業が借り手の所得や資産文書を評価する過程をスピードアップし、そのために専用の機械学習モデルを使って毎回必ずやるような通常の文書レビューを自動化する。

Google Cloudにはすでに、複雑な文書をOCRで読み取り、機械学習を利用してデータを取り出すサービスDocument AIがある。Lending DocAIはGoogle Cloudにとって初めてとなるこのDocument AI技術を利用する特定業種向けサービスだ。

Google(グーグル)のプロダクトマネージャーであるSudheera Vanguri(スデーラ・バングリ)氏は「目標は借り手と貸し手の両者に快適な体験を提供し、住宅ローンの締結までの時間を短縮し、関係者全員の利益になること。Lending DocAIを使えば住宅ローンの処理時間と費用を減り、データの取り出しを効率化し、規制やコンプライアンスの要件をサポートできる」と述べている。

グーグルは、このツールが住宅ローンのワークフローをスピードアップし借り手の体験も快適にするという。ローンの手続きをしたことがある人は知っているように、まず、必要な書類を揃えるのが大変だ。そして銀行やローンの仲介業者が、終わった、またはダメだったと連絡してくれるまで時間がかかるものだ

さらにグーグルは、この技術を使えばテクノロジーによるデータのアクセス制御や透明性、データの所在管理、顧客が管理する暗号鍵などによって「リスクを下げ、コンプライアンスを強化する」という。またこれらの技術構成が、AIを使うことにともなうリスクも下げる。

多くの点でこの新製品は、Google Cloudの新しいCEOであるThomas Kurian(トーマス・クリアン)氏のリーダーシップ下における現在の同サービスの新たな戦略の在り方を表している。

さまざまなレベルの開発者向け一般サービスは相変わらず大量かつ継続的に開発しているが、現在ではいろいろな業界業種の企業に向けたサービスにもそれらを同梱して、完全なソリューションとして売り込んでいる。これにより顧客企業の収益力も上がるとGoogle Cloudは信じている。すでに小売業通信、ゲームなどの業界向けソリューションを発表しており、パートナーシップにより導入を促進している。クリアン氏と彼のチームは、競合他社はツールを提供しているが、自分たちは総合的なソリューションを提供できると考えている。直近の四半期において、Google Cloudの売上は43%以上伸びているため、現在のところその戦略は効果があると考えてよいようだ。

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画像クレジット:Michael Short/Bloomberg/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Google CloudがAPI管理とノーコードを駆使したビジネスアプリプラットフォームを公開

一部の競合とは異なり、Google Cloudは最近、さまざまなサービスを幅広くそろえ、サービスを組み合わせてビジネスによくある問題を解決できると強調するようになっている。Google(グーグル)は個々のサービスを販売するのではなく、ソリューションやビジネスアプリケーションプラットフォームと呼ぶ最新の取り組みに力を入れている。このビジネスアプリケーションプラットフォームは、ApigeeのAPI管理機能と、グーグルが2020年1月に買収したAppSheetのノーコードアプリケーション開発プラットフォームを組み合わせて利用するものだ。

こうした展開の一環として、グーグルは米国時間9月8日、ApigeeとAppSheetの新機能を多数公開した。そのひとつが、オープンソースのEnvoyプロジェクト上で構築された新しいAPI Gatewayのベータ版だ。これはグーグルのクラウドコンピューティングサービス全般、そしてCloud FunctionsやCloud Runといったサーバーレスのサービスで開発者が簡単にAPIのセキュリティを守り管理するためのフルマネージドサービスだ。新しいゲートウェイは当面はアルファ版ではあるが認証や鍵の検証、レート制限など、期待される標準的な機能はすべて用意されている。

ノーコードサービスのAppSheetに関しては、サービスのデータソースとしてApigeeのGA版を利用できるようになったため、サードパーティのアプリケーションからデータを簡単に取り込める。AppSheetはこれまでにMySQL、Salesforce、G Suiteなどの標準的なソースに対応していたが、今回の新機能でこれまでよりもずっと柔軟にサービスを使えるようになる。

扱うデータが増えれば複雑になる。そのためAppSheetは、AppSheet Automationの早期アクセスを公開し、サービス内のプロセスを自動化する新しいツールも利用できるようにした。AppSheet全体がそうだが、自動化についても開発者はコードを書く必要がなくなる。グーグルによれば、AppSheet Automationは「自然言語入力からコンテクストに応じた提案をする」ビジュアルなインターフェイスを提供する。

グーグルは発表の中で「我々はビジネスアプリケーションプラットフォームの新しいカテゴリーに自信を持っている。アプリケーションの作成や拡張、ワークフローの構築と自動化、アプリケーションの接続とモダナイズに必要な機能があり、テック系の開発者にとっても事業部門の開発者にとっても役に立つ」と記している。確かにAppSheetのノーコード環境とApigeeのパワーを組み合わせるのは、スマートな方法だと思われる。

関連記事:Googleによるノーコード開発のAppSheet買収でプログラマー不在でもアプリ開発が容易に

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タグ:Google Google Cloud ノーコード

画像クレジット:Fernando Trabanco Fotografía / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

Google Cloudで企業が独自の合成音声の作成が可能に

米国時間9月1日、Google(グーグル)は、Contact Center AI製品に対していくつかのアップデート(Google Cloudリリース)を行った。その中で最も興味深いのは、おそらく新しいCustom Voiceサービスのベータ版だろう。

例えば企業には有名な広報担当者がいるかも知れないが、自動応答システムの中で使われる全ての文章を録音することは極めて困難な作業だし、なにか新しい製品や手続きを追加するたびに、担当者をスタジオに呼び出さなければならない。Custom Voiceを使用するためには、まず企業は声優をスタジオへ連れてきて、グーグルが提供するスクリプトを録音させる。その後、同社はそれらの録音を利用し、それに基づいて音声モデルをトレーニングする。

今のところ、グーグル側での手作業を多少要求するようだ。モデルのトレーニングと評価には「数週間」かかると同社は述べており、グーグル自身がトレーニング済みモデルに対するテストを実施してから、モデルを委託元の企業へと送り返す。その後、企業はグーグル独自のテストプロセスに従って結果を評価し、承認を行う必要がある。

現時点では、これらのカスタム音声はまだベータ版であり、いまのところアメリカ英語のみがサポートされている。

また、グーグルのレビュープロセスは、2018年にリリースされた同社内のAI原則(Googleブログ)に、結果が沿っていることの確認を目的としていることにも注意して欲しい。

類似のプロジェクトと同様に、私はコンタクトセンターソリューション用にカスタム音声を作成するこうした長いプロセスが、程なく主流になるのではないかと想像している。一部のブランドにとっては単なるギミックである一方で(スタンドアロンGPSシステムのカスタム音声を覚えているだろうか?)、より先進的なブランドには自社のコンタクトセンターエクスペリエンスを競合他社のエクスペリエンスと区別することを可能にする。カスタマーサポートに電話するのが好きな人はいないが、行き当たりばったりな音声ガイドに話しかけていると思わせないような、より思慮深い体験の提供は、少なくともストレスの一部を軽減することには役立つだろう。

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(翻訳:sako)

キヤノンのWi-F搭載カメラ多数がGoogleフォトと連動、写真が自動的にバックアップされる

キヤノンとGoogleはソフトウェアでの提携を発表した。多数のキャノンのカメラで撮影された写真が自動的にGoogleフォト にバックアップされる。サポートされるカメラのリストはこちらだが、同社が近年リリースしたレンズ交換式カメラはほぼ全て含まれる。Wi-Fi 機能を内蔵するカメラの大部分がサポートされると考えてよいだろう。

自動バックアップ機能はキヤノンのAndroidとiOSのモバイルアプリを通じて動作する。アプリは最新版に更新されていることが必要だ。アプリに手持ちのカメラを登録し、撮影した写真がオリジナル画質のままGoogle フォトにアップロードされるよう設定する。カメラがWi-Fiでスマートフォンと接続したときに転送が実行される。つまり撮影した後、手動でカメラをスマートフォンやデスクトップに接続して物理的メモリーカードからGoogle フォトへの転送するという手間が必要がなくなる。

ただし利用にあたって注意すべき点がある。この機能が使えるのは有料でGoogleドライブを利用しているGoogle Oneのメンバーだけだ。この経済的負担を和らげるために(もちろんGoogle Oneは写真をバックアップできるクラウドストレージとしてもっともコストパフォーマンスが良いサービスのひとつだが)、キヤノンは1ヶ月無料で100GBのストレージをGoogle Oneに提供するとしている。

私の経験からいうとスマホ以外のいわゆる「本物のカメラ」で撮影した写真の大半はカメラのメモリや各種バックアップデバイスの中、さらにはそこらに放り出したままの無数のSDカードの中に眠ったままになってしまう。自動バックアップ機能は撮影した写真を見直す機会を増やしてくれるのは間違いない。気に入った写真を発見すればプリントアウトしたりソーシャルメディアにアップロードするなどして大切な人と思い出を共有することになるかもしれない。他のカメラメーカーもキヤノンの例にならってくれるといいと思う。.

画像:Google

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滑川海彦@Facebook

Google Cloud Platformがアマゾンを抜きオンライン小売業におけるクラウドインフラストラクチャのトッププロバイダーに

Google Cloud Platform(グーグル・クラウド・プラットフォーム、GCP)は、昨年来勢いを増しているものの、クラウドインフラストラクチャ市場では、AmazonとMicrosoftに大きく引き離された第3位(未訳記事)の地位にまだ留まっている。しかしGoogle(グーグル)にとって喜ばしいことに、調査会社Canalysが米国時間8月17日に公開したレポートによれば、GCPが小売業界におけるクラウドプラットフォームプロバイダーとして、トップの座についたという。

Canalysは具体的な数値を提供していないが、そのレポートによれば、小売セクター全体の市場での順位は、Microsoft(マイクロソフト)が2位、Amazon(アマゾン)が3位、そしてAlibaba(アリババ)とIBMがそれぞれ4位と5位と報告されている。

画像クレジット:Canalys

グーグルが小売に注力したのはおそらく偶然ではない。そもそもAmazon.comが小売業者たちと直接競合するため、多くの小売業者はAWSにクラウドの主力を置くことを望んでいない。CRM Essentialsの創業者で主任アナリストであるBrent Leary(ブレント・リアリー)氏は、このレポートは彼を驚かせるものではないと語っている。

「小売業者はアマゾンと競争する必要があります。AWSを使うことで、最終的には彼らの敵となりかねないアマゾンの新しい動きや実験に資金を提供することは、小売業者が最も避けたいことだと思います」とリアリー氏はTechCrunchにいう。さらに彼は、多くの小売業者は自分の顧客データをアマゾンのサービス上から除外しておきたいだろうとも語った。

CanalysのシニアディレクターであるAlex Smith(アレックス・スミス)氏は、このアマゾン効果がパンデミックやその他の技術的要因と組み合わされて、少なくとも小売業界においてはグーグルに有利に働いていると述べている。「これまで以上に小売業者は、特にアマゾンがオンラインで優勢な中で、オムニチャネル世界での勝利をつかむために独自のデジタル戦略を必要としているのです。デジタルは顧客体験からコスト最適化に至るまで、あらゆるところに適用されています。小売業者にとって、自身の全体的な技術的能力がその成功を左右するのです」と彼は語る。

新型コロナウィルス(COVID-19)により、多くの小売業者が長期間にわたる店舗を閉鎖を余儀なくされてきた。これが店舗を再開しても店内に入ることに消極的である人びとと組み合わさることで、これまでオンラインに注力していなかった小売業者は、eコマースを短期集中で立ち上げる必要に迫られることになったのだ。

Canalysは、グーグルが純粋なインフラストラクチャ製品だけでなく、広告や検索機能で顧客を魅了し、他の強みも利用してこの市場セグメントを拡大しているのだと指摘している。

こうした状況を認識したグーグルが、Salesforce(セールスフォース)との大規模なパートナーシップや、2019年のGoogle Cloud Nextで発表された特定の製品などで、小売業界を強力にプッシュを行ってきたのだ。私たちはその小売業向けの製品について次のように書いている

そのためにグーグルは、オンラインのリテイラー専用のサービスeCommerce Hostingを提供する。この特別プログラムでリテイラーは、技術的なレビューやピーク時のオペレーションのサポートなど、行き届いた世話をしてもらえるという。つまり小売企業のサイトが需要増でダウンしたときでも、損失の大きい惨憺たる結果が出ないようにする。

さらにCanalysは、Google Cloudは人材採用も積極的に行い、大手システムインテグレーターとのパートナーシップを構築して小売ビジネスの成長を支援していると報告している。そうした小売顧客には、Home Depot(ホーム・デポ)、Kohl’s(コールズ)、Costco(コストコ)、Best Buy(ベスト・バイ)などが含まれる。

関連記事:Even as cloud infrastructure growth slows, revenue rises over $30B for quarter(未訳記事)

カテゴリー:ネットサービス

タグ:Google Google Cloud

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(翻訳:sako)

Google Cloudがデータを確実に米国内のサーバーに保管する政府機関向けクラウドシステムをローンチ

Google Cloudは米国時間7月14日、一部の競合他社が「ガバメントクラウド」と呼ぶこともある「Assured Workloads for Government」のプライベートベータ版の提供開始を発表した。

Assured Workloads for Governmentを利用することで、政府機関とその請負業者がすべてのデータを米国内のサーバーに確実に保管できるようになる。また政府機関は市民権や経歴、地理的条件に基づいて、Google Cloudのサポート要員へのアクセスを制限することもできる。 2020年中にGoogle(グーグル)は、これらのユーザーが米国に滞在している米国人からのアクセスであることを確実に保証する新しいサポートオプションを有効にする予定で、応答時間はP1のケースで15分を目標としている。

Google Cloudによると、システムは政府の顧客や請負業者が国防総省、FBIの刑事司法情報サービス部門(CJIS)、Federal Risk and Authorization Management Program(FedRAMP)の基準を満たすよう設計されており、ユーザーは同社のフルサービス群にアクセスできる。

グーグルは他のクラウドが別の政府系クラウドを構築しているのに対して、「政府機関はニーズを満たすために、あまり機能が豊富ではない商用クラウドの強化版で運用しなければならないことが多い」と指摘している。またMicrosoft(マイクロソフト)が最近、通常のAzure Governmentデータセンターに加えて、政府機関がAzure上で機密データを扱えるように特別に2つの新しいリージョンを構築した(CRN記事)ことは注目に値する。同様にAWS GovCloudの場合、AWSは以前からアメリカ国内の2カ所の政府専用リージョンで同様の機能を提供してきた。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

グーグルが中国などを対象としたクラウドのプロジェクトを中止

グーグルは1年半にわたって中国やその他の国に向けたクラウドサービスに取り組んできたようだが、5月に同社は「Isolated Region」というプロジェクトを中止した。Bloomberg(ブルームバーグ)の記事によれば、5月に中止されたIsolated Regionによって、国内にデータをとどめて管理したい国でクラウドサービスを提供するはずだったという。

2人のグーグル従業員がブルームバーグに語ったところによると、このプロジェクトはグーグルの他のネットワークから完全に切り離されたデータと処理のインフラストラクチャを構成する「Sharded Google」という大きな取り組みの一部だった。Isolated Regionは2018年前半に始まった。中国に進出したい海外のテック企業は、ユーザーのデータを管理できるよう現地企業とジョイントベンチャーを形成しなくてはならないという中国の規制に対応するためだ。Isolated Regionは、中国やその他の国におけるこのような要件を満たすためのものではあったが、同時に米国の安全保障上の懸念を解消するためでもあった。

ブルームバーグの情報源によると、このプロジェクトは中国に関しては2019年1月に停止し、対象をヨーロッパ、中東、アフリカに切り替えた。その後、2020年5月にIsolated Regionは完全に中止されたが、同社は中国でGoogle Cloud Platformの小規模版を提供することを検討していた。

ブルームバーグの記事で中止の理由は地政学的およびパンデミックに関する懸念だと報じられた後、グーグルの担当者はブルームバーグに対し、Isolated Regionはそうした理由で終了したのではなく、また同社は「中国国内でクラウドプラットフォームのサービスを現在提供していないし提供したことはない」と伝えた。

グーグルの担当者はIsolated Regionを中止した理由を「我々が積極的に進めていた他のアプローチで、これよりも良い結果を得られた。データのガバナンス、運用、ソフトウェアのサバイバビリティに関する要件を満たすために、我々は包括的にアプローチしている。Isolated Regionは我々がこうした要件を満たすために探ってきた道筋のひとつにすぎなかった」と述べた。

グーグルの親会社であるAlphabet(アルファベット)は、2月に公開した第4四半期および通年の収益報告書で、Google Cloudを品目として初めて計上した。それによると、Google Cloudの2019年のランレートは53.6%で100億ドル(約1兆730億円)を超えると公表され、競合のAmazon(アマゾン)やMicrosoft(マイクロソフト)にとってさらに手強いライバルになっている。

グーグルがメディアに対して出した声明は以下のとおり。

「世界各地のお客様や規制機関から、クラウドテクノロジーの採用に関して新たな要件が出てきています。データのガバナンス、運用、ソフトウェアのサバイバビリティに関する要件を満たすために、我々は包括的なアプローチを進めています。Isolated Regionは我々がこうした要件を満たすために探ってきた道筋のひとつにすぎませんでした。お客様との話し合いやヨーロッパなどの政府関係者から得た情報により、我々が積極的に進めていた他のアプローチの方が良い結果を得られることがわかりました。Isolated Regionは地政学やパンデミックの懸念を理由に終了したのではありません。グーグルは中国国内でクラウドプラットフォームのサービスを現在提供していないし提供したことはありません。Google Cloudは中国でGoogle Cloud Platformを提供する選択肢を検討していません」。

関連記事:Alphabetの2019年純利益は広告が好調で1.2兆円

画像:Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

Google Cloudがハイパフォーマンスコンピューティングのワークロードに対応した新ストレージオプションを提供

米国時間6月16日、Google Cloudは新しいストレージのオプション、Filestore High Scaleのベータ版提供開始を発表した。これは既存のFilestoreサービスの新しいティアで、分散型のハイパフォーマンスストレージオプションへのアクセスが必要なワークロードで効果を発揮する。

Filestore High Scaleは、Googleが2019年に買収したElastifileの技術をベースにしている。これを使うことで、ユーザーは数十万のIOPS、数十GB/秒のスループット、数百テラバイトの共有ファイルシステムをデプロイできる。

ハーバード大学医学大学院Wagner Labのポストドクター研究員で、すでにこの新しいサービスを利用しているChristoph Gorgulla(クリストフ・ゴーグラ)氏は、次のように語っている。「従来の実験方法よりもずっと短い期間で有望な処置法や治療法を見つけるために、仮想スクリーニングで標的タンパク質に対して数十億の小分子を計算してスクリーニングできる。我々研究者が、わざわざ複雑なファイルシステムクラスタのセットアップや管理の方法を学んだり、常にストレージシステムの状態を監視したりすることは、まずできない。我々に必要なのは、vCPUが数十万もの膨大なクライアントから同時に生成される負荷を扱えるファイルシステムだった」。

標準のGoogle Cloud Filestoreサービスはすでにこのようなユースケースをサポートしているが、Filestore High Scaleはハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)のワークロードに特化して構築されているとGoogleは述べている。今回の発表で同社は、特に新型コロナウイルス(COVID-19)に関連するバイオテクノロジーの用途を強調している。Filestore High Scaleは数万クライアントの同時利用をサポートするためのものだ。このようなユースケースは必ずしも標準的ではないが、必要とする開発者にとってはGoogle Cloudでこのようなパワーを利用できるようになった。

GoogleはHigh Scaleに加え、FilestoreのすべてのティアでNFS IPベースのアクセスコントロールをベータとしてサポートすることも発表した。これはハイパフォーマンスでフルマネージドのファイルストレージサービスを必要とし、しかもセキュリティ要件が厳しい企業にとって重要な新機能だ。

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(翻訳:Kaori Koyama)