ニューヨークで開催されている玩具のトレードショー、Toy Fair 2016で、Mattelが“ThingMaker”という300ドルの3Dプリンターを発表した。このデバイスを使えば子どもたちが家で自分だけの玩具をプリントすることができるようになる。3Dプリンターのソフトウェア開発にはAutodeskが協力しており、操作が非常にシンプルになっている。玩具はThingMakerだけでなく、標準的なインターフェイスを備えた他社の3Dプリンターでも出力できる。
ハードウェアに付属してくるこのソフトウェアがMattelの3Dプリンターを使いやすくし、広い層にとって価値の高いものとしている。
市場にはもっと低価格の3D1プリンターも多数登場しているが、付属のソフトウェアが使いにくかったり能力が不足していたりする場合がある。ThingMakerのデザイン・アプリはすでにiOS版、Android版が公開されている。小さな子どもたちでも簡単に使いこなせることがデザインの目標だ。
実際のソフト開発を行ったのはAutodeskで、Toylandその他のベータ・テスターは「速い」、「機能がわかりやすい」、「ばかばかしいほど簡単」などの高評価を与えていいる。
アプリはThingMaker Designと呼ばれ、すぐに使えるキャラクター・テンプレートが多数含まれている。チュートリアルもわかりやすく、初心者でも簡単に使いはじめることができそうだ。少し慣れれば子どもたちが自分でゼロからキャラクターをデザインすることも難しくない。キャラクターの色や生地は自由にカスタマイズでき、アプリの中で折り曲げたりひねったりできるので、出力後の玩具がどんなふうであるかつかみやすい。デザインの成果はファイルとしてスマートフォンなどのモバイル・デバイスのカメラロールに保存することできるしGoogle
DriveやDropboxに送ることもできる。
デザインがSTLファイルとして完成したらいよいよアプリから3Dプリンターにワイヤレスで送信するわけだが、Mattelだけでなく他社のプリンターにも送れる。
またMattelのシステムの場合、キャラクターをプリントしたら終わりではない。子どもたちは大きな玩具のパーツをひとつずつプリントして後で組み立てることができる。人形、ロボット、恐竜、サソリ、ドクロ、ブレスレット、ネックレス等々お望みのままだ。
-
image-1-1.jpg
-
image-1-2.jpg
-
image-1-3.jpg
-
image-2-1.gif
-
image-2-2.gif
-
image-2-3-3mb.gif
-
image-3-2.png
-
2.png
-
banner-play.png
この方式ならMatteは既存のすでにライセンスが確立している人気の玩具と3Dプリンティングを通じてタイアップできる。Mattelはこの点を真剣に考えており、ロードマップの中で「今後、他社ブランドのアイテムのプリントも行われるだろう」と
述べている。特定のブランド目名は名指されていないが、バービー人形やミニカー玩具のホットウィールなどについてはすでに計画中だということが示唆されている。
キャラクターの部品は連続して出力され、その後ソケットにボール部分をはめ込む方式で組み立てることができる。小さなキャラクターなら30分、大きなものでは一晩(つまり6時間から8時間)かかるという。
Mattelによれば、ThingMaker 3Dは硬質PLAフィラメントを使うという。ただしどんな色が利用可能かはまだ発表されていない。Toy
Fairの資料によれば、デモでは24色が使用されているという。Mattelの広報担当者の一人は「プリント素材は将来他のオプションが利用できるようになるかもしれない」と述べている。
3D出力が始まると、安全上の理由からプリンターのドアは自動的にロックされる。子どもたちは正面の透明な窓からプリントの様子を観察することができる。プリンターが動いていないとき、プリンターヘッドは安全な位置に格納される。これは子どもたちが熱いプリンターヘッドや出力されたばかりのアイテムにうっかり触れて火傷しないための配慮だ。
玩具が3Dでプリントされるというのは小さな子どもたちの興味を惹きそうだが、USA Todaytの記事によると、製造物責任の観点からであろうが、Mattelでは「13歳以上向け」だとしている。しかし出力されるフィギュアの種類は3Dプリンターのシンプルなdデザインなどからみて、ThingMakerは小さな子どもが大人に付き添われて家に持っていくことになりそうだ。
実は“ThingMaker”という商品名にも由緒がある。これはMattelが1960年代に初めて発売した子どもたちが家でものづくりができる玩具の名前だった。l熱した型にPlastigoopと名付けられた液体プラスチックを流し込んで冷やすことで花やクリーピークローラーが作れた。当時Matteはこうした方法で子どもたちの創造性を伸ばそうと試みていたようだ。
それが21世紀のテクノロジーで蘇ったわけだ。
3Dプリンターが実際に発売されるのは秋も深まった頃になるようだが、MattelはすでにAmazonで予約の受付を始めている。
玩具メーカーとしてはMattelはアイテムへのデジタル・テクノロジーの採用に意欲的な方だ。Toy FairトレードショーでMattelはGoogleの段ボール製VRヘッドセットを利用した立体写真眼鏡、ビューマスターのリバイバル版を発表している。
[原文へ]
(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)