知識としては持っていても今いちSEOに活用しきれていないという人は私も含めて多いと思います。今回はナレッジグラフを具体的に検索エンジンからの集客数アップにつなげる方法をカリスママーケッターのニール・パテルが解説してくれたありがたい記事をお届けします。ナレッジグラフの基本的な知識と具体的なSEOへの活用方法がわかる内容です。 — SEO Japan
Googleが、2012年5月16日に導入したナレッジグラフは、検索コミュニティに大きな衝撃を与えた。当時のレポートは、Googleが、人口知能に進出し、大幅に賢くなったと伝えていた。
ナレッジグラフが導入されてから2年が経過するものの、ナレッジグラフ最適化(Knowledge Graph Optimization: KGO)の重要性を的確に理解しているSEOのエキスパートは、まだまだ少ない。
Googleが「賢くなった」なら、ウェブサイトを運営する側も賢くならなければならない。 ただし、システムを操作するために「賢くなる」のではなく、あくまでも、ユーザーが検索を行い、求める情報を得る仕組みを理解するために、賢くなってもらいたい。
Googleの目標は、ユーザーに最も正確な検索結果を出来るだけ早く提供することだ。マーケッターも同じ目標を持つ必要がある — つまり、ユーザーが求めているものを正確に提供する必要がある。当然、サイトを運営しているなら、自分のサイトが検索結果に表示されることを望む。それなら、ナレッジグラフを意識して、ウェブサイトを最適化する取り組みを行うべきである。
しかし、その前にナレッジグラフとは何かを確認していこう:
ナレッジグラフとは?
ナレッジグラフは、Googleが、問いに答え、情報を直接提供する手段である。
ナレッジグラフを理解する際は、「What is the knowledge graph?」(ナレッジグラフとは)で検索を行うと良い。表示される結果は、ナレッジグラフそのものであり、SERPの上部に表示される。ナレッジグラフでは、大きなフォントが用いられ、グレイの専門のボックスが設けられる。
もっと具体的に説明していこう。ナレッジグラフ(KG)とは、– Search Engine Landによると — 「人物、場所、物事に関する事実(エンティティ)、そして、このエンティティのつながりを理解する」テクノロジーを指す。
実際のKGを確認すると、仕組みを理解してもらいやすいので、例を挙げていく。
「famous actors」(有名俳優)で検索を行うと、次のGoogleのSERPが返される。上部の写真のカルーセルが、ナレッジグラフの結果である:
「Colorado Rockies」の検索結果では、ナレッジグラフの結果が大きなスペースを占めている:
「best sandwich shop in San Francisco」(サンフランシスコで一番おいしいサンドイッチ屋)で検索を行うと、カルーセルの結果とマップが表示される。どちらもKGである。
個人の人物に関する結果は、クエリの表現に左右される。例えば、「who is the ceo of google」(GoogleのCEOは誰)と入力すると、次の結果が返された:
しかし、「who is Larry Page」(ラリー・ペイジは誰?)と検索すると、次の結果が表示される:
ナレッジグラフは、場所、そして、Google+のアカウントを含む様々な要因に応じて、パーソナライズされた結果を提供する。次にGoogleが提供するパーソナライズされた結果の例を挙げる:
ナレッジグラフの仕組み
複数の興味深いアルゴリズムのテクノロジーが、ナレッジグラフを動かしている。そのうちの幾つか紹介していこう:
- セマンティック検索 — ナレッジグラフがインプットを理解する上で、原動力として活躍するのが、セマンティック検索である。KGは、様々なデータのポイント — ワードのバリエーション、類義語、コンセプトのマッチング、自然言語、IPの場所、検索のコンテキスト — を考慮して、より具体的な結果を提供する。Googleは、最近のアルゴリズムのアップデートの多くで、セマンティック検索の力を強化してきた。
- エンティティのインデックスと曖昧性の解消 — ナレッジグラフは、あらゆる事柄 – 名詞、物、エンティティ – を列挙し、他の事柄と結びつける壮大な取り組みである。この「事柄」は「エンティティ」と呼ばれる。そして、エンティティの振り分けを行うプロセスは、エンティティの認証と曖昧性の解消(Entity Recognition and Disambiguation: ERD)と呼ばれる。これから説明していくが、エンティティの力を理解することは、KGOにおいて、重要な鍵を握る。
- ユーザーの行動 — 個人的に面白いと思ったのは、ナレッジグラフは、ユーザーの行動に大きく左右される点だ。先程紹介したクエリ「what is the knowledge graph」に対して、ナレッジグラフ自体は、Google独自の用語ではあるものの、SERPには、Googleではなく、Wikipediaのページをグラフ化したコンテンツが掲載されている。この事実だけをとっても、Googleが、アルゴリズムを介して、(私の知る限り)Google自身の結果ではなく、Wikipediaの結果を優先していることが分かる。これは、大半のユーザーが、Wikipediaを情報源として利用していることが影響している。CTR、自然なトラフィック、直接的なトラフィックを含む検索トラフィックのパフォーマンスが優れているため、Wikipediaには、ユーザーのクエリに対する最高の答えが含まれていると考えられる。
これでナレッジグラフとは何か、そして、その仕組みを理解してもらえたはずなので、検索トラフィックを増やすために必要な作業を検証していこう。
エンティティのキーワードを使ってコンテンツマーケティングを継続する
基本的なレベルで、キーワードを利用しよう。ナレッジグラフ(KG)は、エンティティの認証および曖昧性の解消を行うシステムとして、キーワードを「エンティティ」と考慮する。KGは、特定のエンティティを認識し、曖昧性を取り除き、データベース内のその他の無数のエンティティに関連付ける。
キーワードを利用しない状態では、ウェブサイト上のページを特定の検索クエリに結びつける作業は難航する。
Schemaマークアップを可能な限りあらゆる場所で利用する
Schemaマークアップは、ナレッジグラフで、自分のサイトのコンテンツをグラフボックス内に表示してもらうための、最も手っ取り早く、それでいて、最も効果的な方法だと言えるだろう。SchemaのマークアップはGoogleの検索結果の36%に表示されることが判明している。従って、Googleが、Schema マークアップを持つページを優先していると推測することが出来る。そのため、出来る限りSchema マークアップを利用してもらいたい。
様々なウェブサイトに対して、マークアップの選択肢が用意されている。ナレッジグラフは、有益な結果を生成する上で、このマークアップに大きく依存しているため、サイトのエンティティにSchemaを利用するべきである。
大勢の方々が、マークアップに、既に慣れ親しんでいるはずだ。以下に映画のマークアップの結果を掲載する:
サイトで利用することが可能なSchemaは他にも数多く存在する。
例えば、レシピをサイトで利用しているなら、Schemaを使って、料理の作り方、料理のタイプ、調理時間、材料を特定すると良いだろう。
Googleは、入力する全てのSchemaのデータに対して、全てのナレッジグラフのデータを取り上げるわけではないが、確実に一部のSchemaを採用する。また、セマンティック検索とマークアップが、時間の経過とともに、アルゴリズムにとって、より重要になるにつれ、さらに多くのSchemaが返されるようになるだろう。
下の結果で、マークアップがナレッジグラフの結果をどのように提供しているのか、注目してもらいたい。Googleは、マークアップがなくても、結果をマークアップとして読み込んでいる。その上、Googleは、準備時間、カロリー、評価、そして、レビューを特定するマークアップに対して、KGの結果を提供する。
上記のマークアップは、ナレッジグラフの結果を生成するマークアップのタイプのほんの一例に過ぎない。その他にもサイトに利用することが可能なSchemaは、数多くある。Schema.orgのサイトに各種のSchemaが紹介されているので、一度、確認してもらいたい。
Google+のページを最適化する
ナレッジグラフは、Google+から直接多くの情報を引き寄せる。そのため、Google+のページを最適化している企業、そして、団体は、KGOにおいてアドバンテージを持っていると言えるだろう。Google+のページを最適化すると、結果的に、ナレッジグラフに対する最適化につながる。
例を挙げて説明しよう。カリフォルニア州のサンホセで、美味しいレストランを探しており、「eatery in san jose」(レストラン サンホセ)で検索を行うと仮定する。すると、表示されたナレッジグラフのカルーセルには、写真、レビュー、ルートが、関連するレストランのGoogle+のページから直接掲載されていることが分かった。
特定のレストラン、例えば、Flames Eateryをクリックすると、クエリは自動的に変化し(検索フィールドに注目)、SERPにさらに多くのGoogle+のデータが掲載されるようになる。Googleにログインした状態で検索を行うと、Googleのサークルに追加してレストランを「フォロー」することも、レビューを作成することも出来る。
Google+は、レストランの営業時間、メニューを含むその他の重要な情報を用意することが可能であり、検索エンジンのユーザーは、ナレッジグラフの結果でこの表示を入手する。
顧客のレビューを促す
KGの結果の中で、とりわけ多く表示されているのが、レビューである。Googleは、検索、および、地図の検索結果において、グラフを作る際にレビューのテキストを当てにする。そこで、ユーザーのインプットが、Googleマップ内のナレッジグラフのデータに与える影響を確認しておこう:
当然ながら情報が豊富に詰まった詳細なレビューは、有益な結果を提供する。
レビューを要請する方法は、この記事では取り上げるつもりはないが、検索の関連性、さらには、ナレッジグラフの結果にインパクトを与える点を覚えておいてもらいたい。
Freebase MID(sameAs)を利用する
Freebaseは、エンティティのデータベースであり、MID(Machine Identification: 機械ID)を全てのエンティティに割り当てる。ある程度知名度が高いエンティティには、FreebaseでIDが与えられている可能性が高い。
Googleは、2010年にMetawebを買収し、Freebaseを入手した。Freebaseは、今でもクリエイティブコモンズのライセンスを受けるものの、同団体が作るデータは、Googleのナレッジグラフのデータベースに完全に組み込まれる。従って、ブランドのエンティティをFreebaseと結びつけると、構造化したデータをFreebaseのデータと相互に関連させることが可能になり、エンティティの曖昧性の解消を促進させ、KGの結果を整える上で有効に働く。
この相互的な検証がプラスに働く方法の一つが、sameAsプロパティである。AJ Kohns氏は「エンティティカノニカル」と表現している。itemprop=”sameAs”マークアップを加えると、簡素なナレッジグラフのコンテンツを提供する上で欠かせない、曖昧性の解消を即座に実施することが出来る。
エンティティ(人物、物事、会社等)が、Freebaseのデータベースに含まれていなくても、簡単に追加することが可能である。
Wikipediaを助ける
Wikipediaは、明らかにナレッジグラフの情報源の一つとして認識されている。Wikipediaの正確で、信頼され、尚且つ、有益な情報に貢献することが出来る。ただし、Wikipediaは、SEO/KGOの手段ではなく、ナレッジグラフの情報源である点を忘れないでもらいたい — そして、ウェブサイトを成功に導く要素の一つでもある。
先程も申し上げた通り、KGOはSEOではない。KGOでは、オンラインマーケティングの客観的で、ユーザーの情報を意識した見解が求められる。
Googleを助ける
最後になるが、Googleがナレッジグラフの結果を精査する取り組みを、「not useful」、「useful」、もしくは、「awesome」で評価することで支援する手もある。これは、今回紹介した方法の中で、結果への影響力は最も低いと思われる。ただし、少なくとも挙げておきたかったため、最後に紹介した。
それでは、意見をGoogleに伝える方法を伝授しよう。
ナレッジグラフのボックスの下に、通常、「フィードバック」が用意されている。このフィードバックをクリックすると、結果に関する意見を伝えることが出来る。
レスポンスを求めるポップアップが現れることもある:
個人的には、私の意見が、Googleの壮大な取り組みに大した影響を与えることが出来るとは考えていない。しかし、Googleが、検索の能力を改善する上で手を貸すことが出来るなら、助けてあげるのも悪くはないはずだ。
結論
ナレッジグラフに対する最適化は、その場しのぎの解決策でもなければ、巧妙なトリックでもなく、あくまでも、信頼を優先したマーケティングの取り組みである。ユーザーに有益な情報を与え、最善の決定を下してもらうことが、KGOの中核を占めている。
ナレッジグラフの結果に対して、その他に最適化する方法をご存知なら、是非、発表して頂きたい。
この記事は、Quick Sproutに掲載された「How to Get Search Traffic from Google’s Knowledge Graph」を翻訳した内容です。
ディテールにこだわりすぎるニール・パテルだけにそこまでやる必要あるのかという網羅ぶりでしたが、結果ナレッジグラフが影響を与える・ナレッジグラフに影響を与える要素が幅広く理解できたのではないでしょうか。とりあえずSCHEMAを押さえたマークアップはSEO的には今後必須になりそうです。日本ではウェブ制作会社へのSEOリタラシーの低さもあってか全体的に導入が遅れ気味のようですが、とりあえずSEOを気にしているサイトであれば今年中に対応しておきたいですね。 — SEO Japan