NASAが月試料収集プロジェクトに日本のiSpaceなど4社を選択、宇宙鉱業のパイオニア育成を目指す

NASAは、月の表土サンプルを収集し地球に持ち帰るプロジェクトへの参加企業を募集していた。多数の民間企業が応募した中からispace Japanなど4社が選択された。

選定された4社はNASAの月着陸ロケットへの機器の搭載をすでに予約している。NASAはペイロードに民間企業を加えることでプロジェクトのコストの大幅削減ができることを実証しようと考えている。またNASAは、月試料採集にあたって民間企業に支払いを行う。企業は取得した物質の一時的な所有権を持ち、独自の目的に使用した後でNASAに譲渡することとなる。今回のプロジェクトこうした方式の前例となるだろう。

選定は簡単な基準に基づいて評価された。つまり、まず技術的に実現可能かどうか、次にどれほどの費用がかかるかという2点だ。4社はそれぞれが異なる手法でNASAの要求条件を満たそうとしている。プロジェクトは50〜500g程度の月のレゴリス(要するに月の土だ)を採集して地球に持ち帰ることだ。地球での回収作業はNASA自身が実施する。2024年までにサンプルの取得を実現できるという点が要求仕様に含まれていた。これはNASAのアルテミスミッションに間に合うようにするためだ。NASAは実際にサンプルを購入する義務はないが、必要なら購入できるようオプションが設定されている。

選定された4社は以下のとおり。

Lunar Outpost:米国・コロラド州ゴールデン。契約金額はわずか1ドル(約104円)。2023年に完成予定のBlue Originの月着陸船を利用する。

ispace Japan:日本、東京。契約金額5000ドル(約52万円)。現在、2022年に設定されている最初のミッションでHakuto-R着陸船を利用して収集を行う。

ispace Europe:ルクセンブルグ。ispace Japanと同一のグローバル宇宙企業グループに属する。契約金額5000ドルで2023年の2回目のHakuto-Rミッションに参加予定。

Masten Space Systems:米国・カリフォルニア州モハベ。契約金額は1万5000ドル(約156万円)。2023年に自社開発のMastenXL着陸船を使用する予定。

NASAには16ないし17社から22の応募があった。このプロジェクトはNASAが官民パートナーシップという手法のメリットを実証することも重要な目的で、月のような地球外天体から試料を収集するための方式に1つの先例を作れるよう意図している。

NASAの国際関係・省庁間関係担当副長官代行のMike Gold(マイク・ゴールド)氏はこう述べている。

これが内部的にも外部的にも先例となり、民間企業とのパートナーシップというNASAのパラダイムを今後も前進させていくことと信じています。NASAはこれまでのようにシステム開発自体の資金を負担するのではなく、民間企業の事業に対して顧客として料金を支払う役割となります。

具体的にいえば、今回の契約は月試料の収集に関して民間企業が主導的役割を果たすこと、また試料の所有権を収集した企業が持つことについて重要な先例となるだろう。ゴールド氏はこう述べている。

宇宙開発においてロケット工学はむしろやさしい部分だと私は常々いっています。政府の政策、各種の法的規制、予算などの課題には対処することは非常に困難な課題です。こうした問題を事前に解決しておかないと公的部門と民間部門の協力によって生じる素晴らしい進歩がひどい遅延に見舞われかねません。民間セクターの能力を利用する先例を確立することは重要です。企業のリソースを使ってNASAがその成果物を購入利用できるようにすることはNASAの活動だけでなく、官民協力による宇宙開発、探査に新しいダイナミックな時代を開くでしょう。我々はまず月にやがて火星にたどり着くでしょう。

NASAは民間企業が月(将来は火星)に行き試料を収集し所有権を保持し後に、公的および民間の顧客に試料を売却することができるというビジネスモデルを確立することを望んでいる。

今回の選定にあたって入札価格が非常に低かったのはこれが理由の1つだ。ispaceやLunar Outpostのような企業は地球外天体の宇宙鉱業を含む未来的ビジネスモデルを持っていいる。さらに月着陸ミッションはすでに計画されており、NASAが今回の提案要項に明示したとおり、NASAは月着陸船の開発費を支払うことを考えていない点だ。 NASAは月に実際に収集された試料の料金だけを支払うというモデルとなっている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

成層圏気球での宇宙旅行提供を目指すSpace Perspectiveが7.3億円調達

宇宙旅行スタートアップのSpace Perspectiveが、Prime Movers LabBase Venturesなどから新たに700万ドル(約7億3000万円)のシード資金を獲得した。Jane Poynter(ジェーン・ポインター)氏とTaber MacCallum(テイバー・マッカラム)氏によって設立されたSpace Perspectiveは、成層圏気球を開発するWorld Viewを以前に設立した会社で、Neptune宇宙船の開発に焦点を当てている。Neptuneは超高高度気球によって宇宙の縁まで運ばれ、他に類を見ない眺めを乗客に提供することを目的とした与圧型カプセルだ。

Neptuneは1回の飛行で最大8人の乗客を乗せ、地球の大気圏の上端で2時間を過ごし、大西洋に着水するまでの6時間の旅ができるように設計されている。Space Perspectiveによると、最初のテストフライトは2021年の第1四半期(1月〜3月)の末頃を予定しており、最終バージョンとなる加圧キャビンを持たないNeptuneのプロトタイプを飛行させる予定だという。

そこから2024年頃までに、Neptuneが最初の人間の乗客を乗せるために必要なシステムを開発しテストする計画だ。なお、2021年からはチケットの事前販売も開始される。

PoynterとMacCallumによる前身のベンチャーであるWorld Viewは、当初はそのビジネスモデルの一部として有人による成層圏での宇宙旅行を予定していたが、同社はそれ以後、現在のリーダーシップの下で科学的、商業的通信と観測ペイロードに焦点を当てるようになった。World Viewは2018年にRyan Hartman(ライアン・ハートマン)氏をCEOに任命し、ポインター氏に代わってトップの座についている。

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カテゴリー:宇宙
タグ:Space Perspective資金調達

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

Virgin Galacticがニューメキシコ州の宇宙港で初のロケット推進飛行を計画、早ければ12月11日

Virgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)は、ニューメキシコ州にあるピカピカの新しいSpaceport America(未訳記事)で初となるVSS Unity宇宙船のロケット推進飛行を行う計画を明らかにした。この宇宙船は早ければ12月11日(Virgin Galacticリリース)にも飛行する可能性があるという。

今回計画されている飛行は、将来の商業用宇宙港からの3回目の飛行となるが、過去2回の飛行はロケット推進飛行ではなく滑空飛行だった。VSS Unityがスロットルを開けるのは約2年ぶりとなる。この時、Unityはマッハ2.9ほどの速度を記録し、宇宙の端に触れた(未訳記事)。

その後、同社とその宇宙船は、カリフォルニア州モハーヴェからニューメキシコ州のSpaceport Americaにホームを移した。この新しい宇宙港はやがて、短い宇宙旅行へ飛び立つ前の乗客が集まるラウンジとなることが期待されている。

滑空飛行では、Unityは高高度までVMS Eveと呼ばれる母機によって運ばれ、地上へ制御降下した。すべてがきちんと組み上げられていること、そしてより本格的なロケット推進の厳しさにも準備が整っていることを示した。

本来ならば、この動力飛行は2020年のもう少し早い時期に行われる予定だったが、新型コロナウイルス(COVID-19)に対する予防措置のために遅れていた。しかし、天気に恵まれれば、来週には再びUnityの飛行を見ることができるはずだ。

この飛行は厳密にはテスト目的ではない。小規模な打ち上げプロバイダと契約しているNASAの飛行機会プログラム(Flight Opportunities Program)の下、宇宙とその近くで実験を行うためのペイロードをいくつか搭載する予定になっている。Blue Originのような宇宙旅行を志す他の企業も、大気圏の端を短時間訪問するためにペイロードを搭載している。

もちろん新型コロナウイルス感染症はまだ深刻な問題であるため、ヴァージン・ギャラクティックは現場にいる人を最小限に抑えることで感染予防に務める。現場にはメディアやゲストを入れず、必要な人員だけを配置することになっている。

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カテゴリー:宇宙
タグ:Virgin Galactic

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(翻訳:TechCrunch Japan)

中国の月着陸船「嫦娥5号」が月面着陸に成功、米国、旧ソ連に続く3カ国目の土壌採取に挑戦

中国の国営通信社は、月の岩石サンプルを地球に戻すことを目的とした月探査ロボット「嫦娥5号(Chang’e-5)」が着陸に成功したと報じた。打ち上げは11月23日に始まり、11月28日に月周回軌道に到達、11月30日に着陸機を打ち上げている。中国国家航天局(CNSA)の報告によると米国時間12月1日東部標準時午前10時(日本時間12月2日0時)すぎに無傷で月面に着陸するという目標を達成したという。

中国の嫦娥5号ミッションは月から土壌や岩石のサンプルを持ち帰るというもので、成功すれば中国は米国と旧ソ連に続く3カ国目となる。ミッションで月着陸船は、地球に最も近い月の側面(月の自転周期と公転周期は同じ約27日間のため、地球から見ると月は常に同じ面を向けていることになる)に着陸した。

今回の着陸は、ミッションにおける次のステップまで時間的な余裕がない。というのも、着陸機にはヒーターユニットが搭載されていないため、月の夜に耐えることができない。つまり今後、地球時間で14日間のうちにサンプルを採取しなければならず、12月16日か17日頃には戻ってくる可能性があることになる(すべて計画どおりに進めば、中国が月の石を持ち帰るのは私たちのTC Sessions: Space eventに偶然にも間に合うことになる)。

現在進行中の地球外のサンプルリターンミッションはこれだけではない。ロッキード・マーチンが設計した探査機は2020年11月に、地球近傍小惑星ベンヌのサンプル回収に成功したばかりで、2021年3月に再度出発する予定だ。NASAはまた、2020年7月に打ち上げた探査機「Perseverance」を使って、火星へのサンプル回収ミッションを開始している。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

SpaceXは有人火星面着陸を2024〜2026年に実現させるとイーロン・マスク氏

SpaceX(スペースX)の創設者でCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は、米国時間12月1日に大手メディア企業Axel Springer(アクセル・シュプリンガー)から賞を贈られたが、そこで彼は腰を据え、宇宙、Tesla(テスラ)、AIなど、幅広い話題にわたるインタビューに応えた。マスク氏はまず、SpaceXの火星への野心について語り、SpaceXの次世代宇宙船Starship(スターシップ)で赤い惑星へ到達するまでの現在のタイムラインを示した。彼らは、今週末までにこの宇宙船の新たな高高度試験飛行が実施できればと考えている。

マスク氏は、火星の有人着陸を6年後あたりに想定しているという。そのタイムラインには「とても自信がある」と彼は話していた。これは、地球と火星の太陽を巡る公転軌道上の位置が、26カ月ごとに最接近するという事実に基づくものだ。無人火星飛行と着陸は、次の最接近時、つまり今から約2年後を目指している。さらに、運が良ければ、今から6年後ではなく4年後の最接近時に有人着陸を果たしたいと彼は語った。

マスク氏自身が最初の軌道飛行を行うのはいつかと尋ねられると、「2年後か3年後になる」と答えた。ただし、第1の目標は「大勢の人が火星へ行き、惑星間で生活が行えるように、そして月面に基地を建設できるように」するための同社のテクノロジーを確立することだと釘を刺し、自身の個人的な目標を抑えて謙虚に答えた。

彼はまた、最後には火星に埋葬されたいという願望(火星に宇宙船が墜落して事故死するという意味ではなく)を繰り返した後、宇宙旅行社会の到来が現実になるとの信念と、ゆくゆくは人類の生存には必須のものになるという考えを示したが、それは避けて通れないリスクということではなく楽しく、エキサイティングで、魅力的なものであって欲しいとも語った。

Starshipは、先に述べたとおり、最初の大規模な高高度試験飛行に向けて動き出している。打ち上げはテキサスにあるSpaceXの開発施設で、早ければ今週末までには実施される予定だ。だが同社は、実際の飛行の前に、試作エンジンの重要な地上燃焼試験を済ませる必要がある。

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画像クレジット:SpaceX

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(翻訳:金井哲夫)

Virgin Orbitが12月19日に2度目のデモンミッションに挑戦

Virgin Orbitが、次の軌道飛行の予定日時を発表した(Virgin Orbitリリース)。Virgin Orbitは次の軌道飛行試行の目標時期を発表したが、それは今年初めに行われたデモンストレーション発射に続くもので、ロケットを搭載機、打ち上げ機から切り離して重要な宇宙への旅の続きを部分を続けようと独自エンジンに点火するまではするまではほぼ順調にいっていた。同社によると、その最初の試みに基づいて、エンジンシステムや輸送機、データシステムを含む多くのアップグレードを行っており、2度目のさらに良いデモフライトが期待されている。

次の打ち上げは米国時間12月19日で、太平洋時間午前10時から午後2時までを予定されている。延期時には翌12月20日、さらに遅れるときにはその後の数週間のいずれかの日で、時間は同じだ。このデモンステレーションはVirgin Orbitの打ち上げシステムの完全な打ち上げサイクルを含み、ボーイング747旅客機を改造した打ち上げ機であるCosmic Girlと、巡航高度でCosmic Girlから分離するロケットLauncherOneも登場する。その後ロケット自身のエンジンが点火し、積荷として小さな衛星を乗せた宇宙への旅が始まる。

Virgin Orbitのシステムがユニークなのは、離着陸が普通の空港から行われるため専用の打ち上げ場が不要で、比較的揚力の低い地球上の場所ならどこからでも打ち上げることができる柔軟性が望める点だ。、小さな衛星企業でも、SpaceXのような大型ロケットのスケジュールを待たされたり、Rocket Labなどに高い料金を払うことなく、わずか1機または数機の宇宙船を自分たちのスケジュールで安価に打ち上げられるようになる。

2020年5月の前回、Virgin Orbitの飛行は離陸からLauncherOneの搭載機(747改造機)からの分離まで完全にうまくいった。ロケットのエンジン点火も予定時間どおりだった。しかしエンジンの停止は、何らかの異状を発見して内蔵の安全システムが正しく動いたという点でのみ、正常だった。

Virgin Orbitは2度目の挑戦で、第1段階の動力飛行と次の段階を始動までは完全であることを示したいと考えている。今回は技術的にはまだ実証ミッションであり、その主な目的はデータ収集であるにもかかわらず、実際に顧客の衛星を搭載するため、多少リスクは高い。

搭載されている10個のペイロードはNASAのもので、米国に拠点を置く大学や学術機関が全面的に作成した様々な科学的・教育的プログラムを代表するものだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

東大宇宙系スタートアップ「Synspective」が同社初の小型SAR衛星打上げ予定日を公開

東大宇宙系スタートアップ「Synspective」が同社初の小型SAR衛星打上げ予定日を公開

衛星データ解析によるソリューション提供および小型SAR(合成開口レーダー)衛星の開発・運用を行うSynspective(シンスペクティブ)は11月25日、同社初の実証衛星である小型SAR衛星「StriX-α」(ストリクス アルファ)の打上げ日程を発表した。

打上げ予定日は、2020年12月12日から14日間で、最終的な打上げ日時は日が近くなった段階で確定する予定。また、打上げ日にはオンラインイベントを予定しており、詳細は同社サイトで11月下旬公開予定。

打上げロケットは、小型衛星専用ロケット開発企業Rocket Labの「Electron」で、ニュージーランド マヒア半島にある発射場から打ち上げる。投入軌道は、太陽同期軌道、高度500km。太陽同期軌道は、地球を回る衛星の軌道面全体が1年に1回転し、衛星の軌道面と太陽方向がつねに一定になる軌道を指す。

SynspectiveのSAR衛星は、政府主導の革新的研究開発推進プログラム「ImPACT」の成果を応用した独自の小型SAR衛星。今回打上げを行う「StriX-α」はSynspective初の実証機となっている。

StriXの重量は、従来の大型SAR衛星の約1/10である100kg級。SARアンテナは長さ5mで、打上げ時は折りたたまれており、軌道上で展開する。地上分解能は1〜3mで観測幅は10〜30km、単偏波(VV)データを取得。観測モードは、ストリップマップモードとスライディングスポットライトモードの2種類がある。

東大宇宙系スタートアップ「Synspective」が同社初の小型SAR衛星打上げ予定日を公開

今後、StriX-αに続く実証機「StriX-β」(ストリクス・ベータ)を2021年に打上げ予定。2022年までに商用機4機を軌道上に打ち上げ、最終的には30機のコンステレーション(衛星群)により広範囲、高頻度の地上観測を可能にするシステムの構築・運用を目指す。

2018年2月設立のSynspectiveは、データに基づき、着実に進歩する世界の実現を目指し、衛星による観測データを活用したワンストップソリューション事業を行うスタートアップ。内閣府「ImPACT」プログラムの成果を応用した独自小型SAR衛星により高頻度観測を可能にする衛星群を構築し、その衛星から得られるデータの販売、および、それらを利用した政府・企業向けのソリューションを提供する。

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カテゴリー:宇宙
タグ:Synspective東京大学(用語)東京大学協創プラットフォーム開発 / 東大IPC(用語)Rocket Lab(企業)日本(国・地域)

Rocket Labのブースター回収「完全成功」の詳細

すでに報じたとおり、Rocket Labは、Electronロケットのブースターを逆噴射によって降下速度を制御してニュージーランド沖の太平洋に無事着水させた。これは衛星打ち上げロケットの再利用における決定的なマイルストーンを達成したことを意味する。CEOのPeter Beck(ピーター・ベック)氏はミッション完了直後にメディアに対して「回収は完全に成功した」と発表した。同社はこの打ち上げを機に小児科病院へのチャリティとして28万6092ドル(約3000万円)を集めることに成功した。

今回の打ち上げはアップデート版のElectronシステムにとって最初の打ち上げテストだった。改良点は、まずブースターが切り離し後に制御された降下を行うことができるようにされた。このシステムはインターステージ(ブースターとその上段の第2段ロケットの中間)に設置された。

RocketLabでは将来はヘリコプターによって空中でブースターをキャッチすることを計画しているが、今回は最初のテストなのでそのまま着水させることとした。「ブースターを海から引き上げるのは楽な作業ではありません」とベックは述べている。

打ち上げ前からブースターの降下場所はおおよそわかっていた。ロケットの軌道が慎重に計算されていたのはもちろん、対象地域の天候も詳しくモニターされていたからだ。また打ち上げ後はロケット自体から位置情報がストリーミングされた。これにより降下箇所の予測がますます精度を増した。

ベック氏の説明によれば「降下地点には、回収船に搭載されたヘリコプターが待機していた。ヘリはロケット打ち上げと同時に予測される再突入地点に飛んだ。ブースターが降下プロセスに入った瞬間から、位置、速度などのテレメトリーによりリアルタイムで着水地点の予測が始められました。このプロセスでは常にリアルタイムのフィードバックループがありました」ということだ。

2段目から切り離された後、ブースターは降下を開始しておよそマッハ2の速度に達した。ここで最初のパラシュート、パイロットシュートを展開し、続いてドローグシュートを開き約1分間で速度を落としてからメインとなるグライダーシュートを開傘した。この大型パラシュートの軌道は予測可能であり、将来はヘリコプターで空中でピックアップされる。今回は着水だったため、予定地点の「数キロ以内」に降下すればよかった。着水時の速度は秒速9m(時速32km)だった。

画像クレジット:Rocket Lab

ベック氏はミッションコントロールにいることができたため「助かった」と語った。「海の状態からすると、ボートに乗っていなかったのは幸運でした。復路は5mのうねりがありました。私自身は海には特に強くないのです」と認めた。ブースターは断続的だが正確なテレメトリーを送り返していた。その間もペイロードを搭載した第2段が衛星軌道に向けて上昇していた「本来のミッションである第2段の情報から目を離すのは、ブースターのテレメトリーを見るのはカンニングしているような気分でした」という。ベック氏は、「見たところ私ははしゃいで笑っている小学生みたいだったのではないかと思います」と付け加えた。電話で話した別のRocket Labの担当者が実際そうだったと認めている。

回収船は着水直後に太平洋からブースターを回収し、発射地点のニュージーランドに戻った。現在、同社のエンジニアがブースターを分解して部品の摩耗や損傷をチェックしている。「再突入の環境は上昇段階より厳しいのです」とベックは説明する。打ち上げ時にはすべてが綿密に計画されているが、降下時のコントロールはよくて半分までだ。これによりハードウェアには上昇時より大きな負荷がかかる。

チームは、多数の部品が次の打ち上げに使えるかどうかのチェックを行っているが、ロケットエンジンには再利用の予定はない。「彼らの乗り心地を考えると、エンジンはかなり厳しいでしょう。かなりの高熱にさらされてますからね」とベックはは説明した。

画像クレジット:Rocket Lab

これらはすべて計画されたことだった。ブースターの降下からのデータを使用して熱シールドなどの部品は再突入の際の熱や振動に対処するために必要な強化を受ける。「将来はエンジンも再利用します。目標はブースターステージ全体を無傷で回収し、整備してさらに飛行させることです」とベック氏は述べた。

いうのは簡単だが、これは複雑なタスクだ。すべてのコンポーネントをチェックして飛行に適すると確認する必要がある。ただしこの作業はElectronの2段目ロケットの生産と並行して実行できる。ベック氏によれば現在は打ち上げは月1回のペースだが、スピードはさらに速くなりつつあるという。つまりブースターの再利用は同社が所有するロケットの数を大幅に増やす効果があるはずだ。

回収再利用には、回収そのものに加えて整備と再チェックのコストもかかるため、トータルの収支への影響は「現在のところ流動的です」とベック氏は強調した。「しかしElectronの製造コストの大部分はブースターなので、ここを効率化できればシステムの経済性を大きくアップすることができます。2021年中にはコスト面への影響もすべて把握できればベストですが、来年中というのはムリかもしれません」という。

しかし確かなことが1つある。衛星打ち上げにとってコストが要因である限り、再利用こそがロケットの未来だ。

今回の打ち上げは別の面でも大成功だった。その1つがペイロードのノーム(小人)だ。この3Dプリントされたノームの宇宙への旅のチャリティに巨大ゲームプラットフォームのValve SoftwareのファウンダーであるGabe Newell(ゲイブ・ニューウェル)氏が参加した。打ち上げがライブストリーミンされたが、ニューウェル氏はビューごとにスターシップ小児科病院(Starship Children’s Hospital)に1ドルを寄付することを約束し、結果28万6092ドルが集まった。

「チョムスキー」と名付けられた小人は、すでに燃え尽きているかもしれないが宇宙でエキサイティングな時間を楽しみ、いくつか印象的な画像を残した。

【編集部追記】小人の名前は著名な文法学者Noam Chomsky(ノーム・チョムスキー)から。

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関連記事:Rocket Labが打ち上げ後のブースター回収に初成功!

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画像クレジット:Rocket Lab

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

スペースXがFalcon 9ブースターの7回目の打ち上げに成功!

SpaceX(スペースX)はさらに60機の衛星を低軌道衛星群に追加するという、新たなStarlinkミッションを実施した。これは世界を高速ブロードバンドでカバーするという同社の取り組みにとって良いニュースであり、米国時間11月24日の打ち上げはFalcon 9ロケットの第1段ブースターが新記録の7回目の飛行を実施したことからも、再使用可能なロケットシステムの開発というスペースXの重要な展望にとっても良いニュースである。

スペースXは第1段ブースターの6回の再使用飛行の記録を更新し、大西洋上のドローン船への制御着陸でブースターを回収した。

本日の打ち上げはフロリダ州のケープカナベラル空軍基地から実施され、東部標準時午後9時13分(太平洋標準時午後6時13分)に離陸した。このミッションでは以前のミッションで1回飛行している半分、および以前に2回使用されている別の半分を含む、ペイロードを保護するフェアリングカバーを使用している。

スペースXはすべての新しい部品を使用するのではなく、以前のミッションで使用された部品を飛行させることでコストを削減し、ユーザビリティの向上を目指している。今日のミッションは結果として、これまでで最も費用対効果の高い打ち上げであると考えられる。

これは16回目のスターリンクミッションであり、これまでに1000機近くの小型衛星が打ち上げられてきた。同サービスは現在ベータ版として運用されており、最近ではアメリカの一部からカナダ南部の地域にまで拡大している。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

SpaceXがStarship宇宙船初の高高度試験飛行を来週に設定

SpaceX(スペースX)は、Starship宇宙船開発プログラムにおける次の重要なフェーズに進む準備ができたようだ。そのフェーズとは15kmの試験飛行で、これまでStarshipのプロトタイプが達成した最大高度をはるかに超えるものとなる。現在までに記録されたホップテストの最高高度は約150mだったからだ。Elon Musk(イーロン・マスク)氏はSpaceXが最初の高高度試験を、来週のある日に行う予定だ(Twitter投稿)と話している。

この暫定的な日付(これらは常に変更になる可能性がある)は、現在のSN8世代のプロトタイプが静的点火試験(基本的に発射台に固定したまま試験用宇宙船のラプターエンジンの点火だけを行うテスト)に成功した後になる。それは実際の飛行への道を開く重要なステップであり、宇宙船が地上を離れる前に、稼働したエンジンの圧力に持ち堪え、耐えられることを証明するものだ。

SpaceXのSN8プロトタイプは、いくつかの点で以前のバージョンとは異なっている。最も明らかなのは、ノーズフィンとともにノーズコーンが実際に装備されているということだ。これまで短いテストホップを行ったSN6を含むプロトタイプは、ノーズコーンの代わりに質量シミュレーターとして知られるもの(つまりノーズコーンと同じ重量のおもり)が先端部分に取り付けられていた。

マスク氏は、SN8の高高度飛行が計画通りに進む可能性は高くないと付け加え、多くのことが正しく機能しなければならないことを考えると「可能性は3分の1くらいだろう」と見積もっている。そのためSpaceXはすでにSN9とSN10の準備をしており、それがStarshipのこれまでの開発プログラムのテーマであると言及した。つまり、テストと反復作業を迅速に行うために、連続した数世代のプロトタイプを並行して早急に製作しているというわけだ。

打ち上げがいつ行われるかについては、地元の規制当局に提出された警戒警報から、おそらく知ることができるだろう。SpaceXのStarshipプログラムが大きく飛躍することを期待しながら、来週は我々のお伝えする新たな情報に注目していただきたい。

関連記事:SpaceXがStarship宇宙船プロトタイプの短期試験飛行を成功、初の軌道上打ち上げへ向け前進

カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceX宇宙船StarshipElon Musk

画像クレジット:Darrell Etherington

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(翻訳:TechCrunch Japan)

3DプリントロケットのRelativity Spaceが520億円調達を正式発表、火星の産業化を目指す

3DプリントロケットのスタートアップであるRelativity Space(レラティビティー・スペース)は、シリーズDラウンドで5億ドル(約523億円)調達した(Business Wire記事)ことを米国時間11月23日に発表した(以前本誌が報じた内容を正式に認めた)。ラウンドをリードしたのはTiger Global Managementで、ほかにFidelity Management & Research Company、Baillie Gifford、Iconiq Capital、General Catalystなど多くの新規出資者が参加した。初の完全3Dプリント製軌道ロケット打ち上げを2021年に控える同社の総調達額はこれで7億ドル(約732億円)近くになった。

カリフォルニア州ロサンゼルス拠点のRelativity Spaceにとって、2020年はロングビーチに12万平方フィート(約1万1000平方メートル)の製造工場が完成した大きな年だった。同社のロケット製作技術は、現存する最大の金属3Dプリンターの開発と利用に基づくもので、3Dプリントプロセスの大部分を自社開発による無人ロボットシステムとソフトウェアが扱うことで、現場の人員が比較的少なかったため、新型コロナウイルスの影響は最小限で済んでいる。

今年、Relativityは米国政府と初の正式契約も結び、新規技術と宇宙開発のためのNASAのTipping Point契約の一環として、クライアントであるLockeed Martin(ロッキード・マーティン)のために極低温燃料管理システムの新たな実験を開始した。稼働を始めた同社の第3世代Stargate金属3Dプリンターは、世界最大だといわれている。

会社の野望は遠大であり、今回調達した巨額の資金は同社が2021年にいっそう攻撃的な成長を果たす糧になるだろう。現在新たなプロジェクトが地上、宇宙関連の両方で進行中だが、CEOでファウンダーのTim Ellis(ティム・エリス)氏は、Relativityのテクノロジーの今後の応用について、火星と火星での持続可能な運用を具体的に挙げている。

以前エリス氏は、Relativityのプリンターを他の大規模金属製造に適用する可能性を示唆したことがあり、現在の費用曲線はロケット製作に最も適しているが、技術が成熟すれば他の分野にも応用できると指摘した。火星であれ地球であれ、大規模3Dプリンターが将来有望であることに間違いはなく、Relativityは有利な位置につけているようだ。

我々は来たるTC Session: Space 2020イベントにエリス氏を迎え、今回の資金調達や会社の未来について質問するつもりだ。

関連記事:3Dプリンターを使ったロケット開発のRelativity Spaceが520億円調達

カテゴリー:宇宙
タグ:Relativity Space資金調達

画像クレジット:Relativity

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

スペースXが世界の海を監視する衛星の打ち上げに成功

【訳者注】打ち上げは成功(Twitter投稿)し、衛星は予定軌道に投入された。

SpaceX(スペースX)は米国時間11月21日土曜日の朝、カリフォルニア州バンデンバーグ空軍基地からFalcon 9を太平洋標準時の午前9時17分(東部標準時12時17分、日本時間11月22日2時17分)に打ち上げる予定だ。これは欧州宇宙機関(ESA)、NASAおよび米国とヨーロッパの気象観測機関によって開発されたSentinel-6 Michael Freilich Missionである。

Sentinel-6は、2006年から2019年までNASAの地球科学部門の責任者を務め、8月に他界した元NASA地球科学部門長のMichael Freilich(マイケル・フライリッチ)氏にちなんで命名された。これは、プログラムに予定されている2機のSentinel-6シリーズの衛星のうちの1つで、Sentinel-6Bは2025年のいずれかの時期にSentinel-6 Michael Freilichに参加する予定だ。

上の動画は、打ち上げ時刻の約15分前、つまり太平洋標準時午前9時2分(米国東部標準時12時2分)頃にライブ配信される。本日のミッションがキャンセルされた場合、日曜日の太平洋標準時午前9時4分(東部標準時12時4分)にバックアップのスケジュールが用意されている。

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タグ:SpaceXFalcon 9

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

Voyager Space Holdingsが打ち上げプロセスの合理化に特化したThe Launch Company買収

Voyager Space Holdingsは、包括的かつ多方面な宇宙技術を提供するために最近買収熱が高まっている企業の1つだが、同社はアンカレッジを拠点とするスタートアップであるThe Launch Companyを買収する意向を明らかにした。The Launch Companyは「打ち上げプロセスの合理化」に特化したスタートアップで、複数の顧客をホストし異なるプロバイダーからの打ち上げの間にすばやい対応ができるようなサイトを構築することを最終目的としている。

すでにThe Launch CompanyはFirefly、Relativity、Virgin Orbit(バージン・オービット)など、新しい宇宙分野の多くの企業と協力してきた。また、モバイルかつ即応性の高いマルチビークルの打ち上げ機能の開発目指す米国防高等研究計画局(DARPA)の打ち上げチャレンジにも参加している。柔軟で即応性のある打ち上げサービスに焦点を当てているThe Launch Companyは、新興の民間宇宙産業だけでなく、米国防総省や米空軍のような潤沢な資金を持つ安定した顧客からの高い需要もある。

一方でVoyagerは宇宙産業全体の顧客に、ミッションの設計と打ち上げまでのプロセスを通じて、より垂直統合的なサービスを提供できるな資産の構築に注力してきた。両社は2020年に入って、NASAと協力しArtemisプログラムの一部を開発しているPioneer Technologiesを買収(未訳記事)し、2019年には衛星インターフェース、サービス、設計を手がけるAltius Space Machinesを買収している。

カテゴリー:宇宙
タグ:Voyager Space HoldingsThe Launch Company買収

画像クレジット:John Kraus / Astra

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

Rocket Labが打ち上げ後のブースター回収に初成功!

ニュージーランドにも拠点を置くロケット打ち上げ会社であるRocket Lab(ロケット・ラボ)は米国時間11月20日、ペイロードを軌道に乗せた後にElectronのブースターを安全に落下させて回収し、再使用可能ロケットへの一歩を踏み出した。上の画像は、ブースターをパラシュートで安全に落下させている様子だ。

ロケットの第1段、つまり地上から宇宙までペイロードを運ぶブースターを再利用することで、打ち上げコストを大幅に削減できる可能性がある。数百万ドル(数億円)もの費用をかけて製造されるロケットは何十年もの間、再突入時に分解され放棄されてきた。

SpaceX(スペースX)は何度かの失敗の後、2015年にFalcon 9ロケットの回収を初めて成功させ、ドローン船に着陸(未訳記事)させた。使用済みの第1段は2017年に初めて再打ち上げられた(未訳記事)。

Rocket LabのPeter Beck(ピーター・ベック)CEOは2019年に、使用済みブースターを回収する独自の方法を試みると発表した。Falcon 9のような複雑な推進力で制御する着陸の代わりに、ブースターはパラシュートにより安全に降下し、着水前にヘリコプターで捕獲するというものだ。

画像クレジット:Rocket Lab

しかし今日のミッションでは、最初の試みとしては少し野心的すぎるとして、ヘリコプターのステップをスキップした。約30機の人工衛星と3Dプリントされたノーム(精霊の人形)を大気圏の端に投入した後、Electronのブースターは地球に戻り、約2時間後に着水した場所も確認された。

打ち上げ後に公開されたRocket Labのプレスリリースによると、ブースター降下と回収は計画どおりに実施された。

打ち上げの約2分半後、標準的なミッション手順に従ってElectronの第1段と第2段が高度約80kmで分離されました。Electronの第1段エンジンが停止すると、反応制御システムがブースターの向きを180度変え、再突入に最適な角度に調整し、地球に帰還する際の「壁」として知られる膨大な熱と圧力に耐えられるようにしました。小型パラシュートは降下中の第1段階の抗力を増加させ安定させるために展開され、その後に大きなメインパラシュートが最後の高度1km時点で展開されました。そして、第1段は計画通りに着水しました。Rocket Labの回収チームがブースターを同社の生産施設に送り返し、エンジニアがステージを点検して将来の回収ミッションに役立つデータを収集します。

「本日、チームが達成したElectronの第1段の回収は、決して離れ業というわけではありません。Rocket Labの多くのチームの多大な努力の結果、Electronを再使用可能なロケットにするための大きな一歩として、その成果を見ることができて興奮しています」とベック氏は語る。

打ち上げのリプレイは以下で見ることができる。

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カテゴリー:宇宙
タグ:Rocket Labロケット人工衛星
画像クレジット:Rocket Lab

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

スペースXが16回目のStarlink衛星打ち上げ、Falcon 9の再使用限界をテストへ、本日11時すぎからライブ中継

SpaceX(スペースX)は16回目のStarlinkミッションを米国時間11月23日の東部標準時午後9時34分(日本時間11月24日11時34分)に打ち上げる。この打ち上げでは60機のブロードバンドインターネット衛星を地球低軌道に投入し、既存のコンステレーションに加えて成長を続けるネットワークに貢献し、最終的には世界中をカバーすることになる。打ち上げはFalcon 9ロケット再使用の新記録を達成する可能性があるという意味でも重要だ。

スペースXがこのミッションで使用するブースターは2020年8月、6月、1月だけでなく、2019年5月、2019年1月、2018年9月にも飛行している。さらにロケットの衛星ペイロードをカバーするフェアリングは、以前のミッションで1回飛行した半分と、修復される前に2回のミッションで使用された別の半分となっている。

これはもちろんスペースXのStarlinkミッションを推進することになるが、最終的には世界中の遠隔地に高速で低レイテンシー、かつ比較的低コストのブロードバンドインターネットアクセスを提供することを目的としている。同社はこれまでに約900基の衛星を打ち上げており、先週からカナダの一部の地域で「Better Than Nothing」の早期ベータ版の運用を開始している。

打ち上げライブストリームは打ち上げの15分前、または東部標準時午後9時19分(日本時間11月24日11時19分)頃から開始される。

カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceXFalcon 9

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

倒産から再起したブロードバンド通信衛星企業OneWebが12月17日に打ち上げ再開

ブロードバンド通信衛星企業のOneWebが米国時間11月20日、連邦倒産法11条による保護状態を脱したと発表した。これより同社は、英国政府とインドのBharti Globalによるコンソーシアムが保有する企業になり、これまでのAdrián Steckel(アドリアン・シュテッケル)氏に代わってNeil Masterson(ニール・マスターソン)氏がCEOになる。なおシュテッケル氏は、同社取締役会に顧問として留まる。

OneWebは、650の人工衛星から成る衛星コンステレーションのための積極的な衛星打ち上げ事業に復帰したいようだ。次の打ち上げは12月17日と予定されている。同社がこれまでの3度の打ち上げですでに軌道に乗せた衛星は74基で、打ち上げは同社が3月に破産する前までに行われた。

OneWebの、英国政府とBharti Globalの合同による買収は7月に明らかになり、10億ドル(約1038億6000万円)の株式投資により、財務的苦境に立たされていた同社に復帰のめどが立った。今回の新たな契約により、同社は英国の企業として主に同地で操業を続け、同国を宇宙部門のリーダーおよびイノベーターとして位置づけるための重要な礎石になる。

同社はまた、Airbusとのジョイントベンチャーであるフロリダの生産施設が稼働を再開して、今後の打ち上げのための宇宙船の生産を継続すると発表した。計画によると衛星の打ち上げは2022年まで行い、さらに2021年の後期には一部地域への商用サービスを開始する。サービスのグローバルな拡張は、2022年を予定している。

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カテゴリー:宇宙
タグ:OneWeb

画像クレジット:OneWeb

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(翻訳:iwatani、a..k.a. hiwa

天文、気象学に多大な功績を残したアレシボ電波望遠鏡が57年間の活躍を終え解体へ、「007 ゴールデンアイ」にも登場

プエルトリコに建設され、57年間、学会に計り知れない功績を残し、大衆文化においてもその地位を確立したあの有名なアレシボ電波望遠鏡は、ここ数カ月の間に修復不可能なダメージを受け、解体されることになった(Science記事)。

この巨大な天文台は1963年に完成するや、即座に世界中の天文学者や大気科学者の強力なツールとしての地位を固めた。その巨大な望遠鏡は前例のないサイズと建築構造を誇り、宇宙観測の新たな可能性を切り開いた(さらに宇宙に向けて発信も行なった。これはどの望遠鏡群でも真似できるというものではない)。

アレシボ電波望遠鏡は無数の研究者やプロジェクトに利用されてきたが、米国政府からの資金援助を受けていたため、少なくともその一部は一般公募枠として実施されている。アレシボを通じて得られた信号は、水星から遠く離れたパルサーに到るまで、私たちの天体への理解を深めてくれた。

地球外知的生命体の探索では、この電波望遠鏡から近くの星団に、少なくとも我々と同じような何らかの生命が存在すると期待される遠い宇宙に向けて、紛れもなく人工的なものだとわかるよう構成されたメッセージを高出力で発信したことはよく知られている。これを実行した団体は、同天文台で収集された数年分のデータを解析し、同じように向うからも知的生命の存在を示すパターンが送られてきてはいないかを解析していた。

大衆文化の中でアレシボ人気が頂点に達したのは、なんと言っても1995年のジェームズ・ボンドの映画「007 ゴールデンアイ」の舞台になったときだろう。また、この映画を題材にしたNINTENDO64のゲームも大ヒットした。クライマックスでジェームズ・ボンドとその敵がパラボラアンテナの上数十メートルの場所にぶら下がるシーンは、目に焼き付いている。

残念なことに、アレシボは基礎が老朽化し、一部の部品は管理者が交換を試みようにも費用がかさみすぎて困難という状態が続いていた。それでもいくつもの嵐や地震にも耐えてきたのだが、数カ月前に12本あるうちの2本のケーブルが切れて望遠鏡を直撃し、パラボラ本体が破損してしまった。この他のケーブルも同様に危うい状態にあることが推測される。もしそうなら、危険と修復費用は増大する。

それを受けて、米国立科学財団(NSF)を代表してアレシボを管理しているセントラル・フロリダ大学の委員会は、合理的な唯一の道は安全に解体する以外にはないと判断した。

「簡単な決断ではありませんでした」と、NSFのSean Jones(ショーン・ジョーンズ)氏は米国時間11月19日の記者会見で話した。「この(科学)コミュニティーとプエルトリコにとって、アレシボがどれほど重要なものかを、私たちはよく知っています」。

同施設の解体に関する具体的な計画はまだ示されていないが、その場所の安全性を考えるに、これ以上の事故を起こさないためにも、早急に行う必要がある。

アレシボを失うことで生じた穴は大きい。その機能をそのまま引き継げる天文台は、世界中のどこにもない。だがいまやアレシボは、規模の面でも感度の面でも世界一というわけではない。アレシボが運用を開始してからの60年間に、多くの後継施設が建設されている。中国は2020年の初めに、直径500メートルの球面電波望遠鏡を公開した。これが世界の天文学者にとって、非常に重要な施設になることは間違いない。

あの有名な望遠鏡は間もなく姿を消すが、アレシボ天文台は研究施設として存続することがNSFのアレシボ計画責任者のSpace.comの記事の中で示唆している。「鉄とケーブルで作られたこの建造物の廃止を検討しています」と彼は話す。「この天文台で働く人たちは、今後もそこで観測し学びたいという情熱を持っています。それがアレシボの本来の精神であり魂です。精神や魂は望遠鏡にあるのではなく、人の中にあるのです」。

カテゴリー:宇宙
タグ:天文学気象学

画像クレジット:Ralph Morse / Contributor / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

スペースデブリ問題に取り組むアストロスケールが民間世界初のデブリ除去実証実験衛星を2021年3月打ち上げ

スペースデブリ問題に取り組むアストロスケールが民間世界初のデブリ除去実証実験衛星を2021年3月打ち上げ

持続可能な宇宙環境を目指しスペースデブリ(宇宙ごみ、デブリ)除去サービスに取り組むアストロスケールホールディングス(アストロスケール)は11月18日、民間世界初となるスペースデブリ除去実証実験衛星「ELSA-d」(End-of-Life Services by Astroscale – Demonstration)を2021年3月、ロシアの打上事業者GK Launch Serviceおよびカザフスタン共和国バイコヌール宇宙基地よりソユーズロケットにて打ち上げると発表した。

アストロスケールは、宇宙機の安全航行の確保を目指し、次世代へ持続可能な軌道を継承するため、スペースデブリ(宇宙ごみ)除去サービスの開発に取り組む世界初の民間企業。

同社によると、衛星開発と打ち上げのコストの削減、宇宙からのデータへの世界的な需要の高まり、および大規模な商用衛星コンステレーションの台頭により、低軌道(LEO)のオブジェクトの密度が急速に増加。この宇宙利用の増加は、社会に大きなメリットをもたらす一方で、衛星の衝突やスペースデブリの拡散の脅威も大幅に増加しているという。デブリの破片が増大する可能性は、現在および将来の衛星ミッションを危険にさらし、宇宙からのデータの依存が高まるたびに社会インフラ維持の脅威となる。

そこでELSA-dは、LEOの利用可能性を維持するために、軌道から機能しなくなった衛星を安全に取り除くという価値のあるサービスを実証する。

ELSA-dミッションは、サービサー(約175kg)とクライアント(約17kg)で構成される革新的なアプローチを使用して、軌道から機能しなくなったオブジェクトを排除するために、難易度の高い捕獲実証実験を実施。近接ランデブー技術と磁気捕捉メカニズムを備えたサービサーは、強磁性ドッキングプレートが内蔵されたクライアントを繰り返し、リリース、ドッキングする。

アストロスケールは、磁石を用いた複数回に及ぶ捕獲とリリースによって、接近(相対航法)、診断(近傍制御・作業)、捕獲(ランデブー・ドッキング)、捕獲後の軌道変更まで、デブリ除去に必要なコア技術を一連のシステムとして実施する。

またアストロスケールは、英国国立軌道上サービスオペレーションセンター(IOCC)を使用してELSA-dを運用。オックスフォードシャー州ハーウェルのSatellite Applications CatapultにあるIOCCは、衛星サービスミッションのために特別に開発した。

ELSA-dミッションは、スペースデブリの除去に必要な技術的能力を証明するだけでなく、軌道上サービスに必要な宇宙政策とエコシステム、さらに商用にむけたベストプラクティスに関する議論を前に進める意味も担っているという。アストロスケールは、このミッションを日本で開発された宇宙セグメント、英国の地上セグメント、カザフスタンからの打ち上げ、複数の国での地上局のサポート、および5ヵ国にまたがるチームにより、国際協力によって実現している。さらに、本ミッションにおいての同社のグローバルサプライチェーンと潜在的な顧客との対話は、宇宙経済の商業的実行可能性を証明するとしている。

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カテゴリー:宇宙
タグ:アストロスケール(Astroscale)スペースデブリ日本

月面探査機用のワイヤレス充電と発電所発見機能をAstroboticが開発中、BoschやWiBoticと連携

月面探査スタートアップのAstrobotic(アストロボティック)は、同社の靴箱サイズの月面ロボットであるCubeRover用の超高速ワイヤレス充電技術の開発に取り組んでいる。このプロジェクトはNASAのTipping Pointプログラムから580万ドル(約6億円)の資金援助を受けており、シアトルを拠点とするワイヤレス充電スタートアップのWiBoticと連携し、高速で短距離向けのワイヤレス充電に関する専門知識を得るとともに、Bosch(ボッシュ)を引き入れてAIベースのデータ分析を行い、ロボットがワイヤレス充電するためのドッキングステーションまでの道筋を見つけるのを支援する。

既存の月面探査機は太陽光を動力源とするのが一般的だが、それらは実際には非常に大きく(おおよそ探査車のサイズかそれ以上)、ソーラーパネルで光線を吸収するための表面積も大きい。Astroboticの月面探査車は重量が5ポンド(約2.3kg)以下になる予定だが、太陽からの電力を集める面積が少なく、代わりに探査に必要なエネルギーを維持するのに2次電源に頼らなければならない。

そこで登場するのがWiBoticだ。ワシントン大学と協力するこのスタートアップは、特に宇宙ベースのアプリケーションで使用するための「軽量で超高速な近接充電ソリューションと、基地局と電力受信機」を開発する予定だ。しかしこれらのステーションを見つけることは、特にGPSのようなシステムが機能しない月では、大きな課題となるだろう。その代わりにBoschは、ロボットに搭載されたセンサーから収集したデータを活用して、センサーフュージョンにより自律的なナビゲーション機能を提供する。この研究はロボット科学や探査ミッションの増加にともない、将来の探査車が発電所だけでなく、月面上のさまざまな目的地まで移動する際に役立つ可能性がある。

目標は、2023年に探査車の充電システムのデモを公開することであり、パートナーはNASAのグレン研究センターと協力し、同センターの熱真空チャンバー試験室で技術をテストする予定だ。

カテゴリー:宇宙
タグ:AstroboticBoschWiBotic

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

3Dプリンターを使ったロケット開発のRelativity Spaceが520億円調達

ロケット開発のRelativity Space(リレイティビティ・スペース)は23億ドル(約2400億円)のバリュエーションで、5億ドル(約520億円)のシリーズDラウンドを調達したとCNBCが報じた。TechCrunchもこの件に詳しい情報筋に確認した。まだペイロードを軌道に打ち上げていない企業にしては悪くない数字だ。

Relativityは、3Dプリントを使うことで打ち上げ用ロケットのコスト抑制と組み立てスピードアップを図ることを狙っている。この方法にはテストで裏付けられた多くのメリットがあり、同社は2021年の初のミッション打ち上げを目指している。

同社の直近の大型資金調達は2019年後半で、1億4000万ドル(約146億円)を調達した。この資金はロングビーチへの新本部設置と、Terran-1ロケットを仕上げるのに使われた。一連の機械や固定されたツールを使っている組み立てラインから、いくつかの巨大カスタム3Dプリンターへの変更はロケット建造プロセスを簡素化し、新たな能力を可能にした。

例えばRelativityは最近、ペイロードに極低温システムを含むために特別の配慮を要するNASA(米航空宇宙局)とLockheed(ロッキード)のミッションという、同社にとって初となる政府との大きな契約を獲得している。1年あるいはそれ以上前に固定されるハードウェアを必要とする通常の建設プロセスと異なり、この特別ミッションミッションの場合は打ち上げの数カ月前まで見直したりテストしたりされる。

5億ドルのラウンドはおそらく、本格的なオペレーション、人員の確保、材料、輸送、保険、その他大きなミッションに必要なものに使われる。Terran-1はまだ打ち上げられていない。しかし予想コストとケイデンスはTerran-1をかなり魅力的な選択肢に仕立てている。Terran-1はRocket Lab(ロケット・ラボ)のElectronより大きく、SpaceX(スペースX)のFalcon 9 より小さい。そして重量当たりの費用対効果はこの2つよりも優れている。

いずれにしろ、RelativityがTerran-1を工場から打ち上げパッドに持ってくる来年にすべてはかかっている。初の軌道試験飛行は2021年後半に予定されている。

CNBCのMichael Sheetz(マイケル・シーツ)氏は、がTiger Global Managementがラウンドをリードし、Fidelityや既存投資家が参加したと報じた。

カテゴリー:宇宙
タグ:Relativity Space資金調達

画像クレジット:Relativity Space

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(翻訳:Mizoguchi