現実世界の物理的なセキュリティを近代化するBase Operationsが2.3億円調達

テクノロジーとセキュリティの話になると、私たちはついサイバーセキュリティのことを思い浮かべてしまう。しかし、多国籍組織を有する大規模な国際的企業では、物理的なセキュリティも同様に重要だ。それは中堅から大手のほとんどの企業においてカギとなる要素だが、今日になってもなお、現代のテクノロジーを十分に活かしきれていない。そこに目をつけたのが、リスク管理のプロであるCory Siskind(コリー・シスキンド)氏が2018年に創設したスタートアップBase Operations(ベース・オぺレーションズ)だ。同社はつい先日、シード投資ラウンドを220万ドル(約2億3000万円)でクローズし、この資金で、ローンチしたての企業のセキュリティ業務を支援する路上の脅威マッピング・プラットフォームを強化する計画だ。

Good Growth Capitalが主導し、Magma Partners、First In Capital、Gaingels、First Round Capitalの創設者Howard Morgan(ハワード・モーガン)氏が参加した今回のラウンドによる資金は、まずは人材の雇用に使われる。先月、従業員を2倍に増やしたばかりのBase Operationsだが、今後もさらに人材を増やしていく予定でいる。また、同社製品の拡張と改良、世界各地の拠点作りにも役立てられる。私は、この資金調達に続く同社の計画、拡大する好機、画期的な方法による市場への貢献方法についてシスキンド氏に話を聞いた。

「Base Operationsで私たちが行っているのは、企業が安全に業務を続けられるようにMicro Intelligence(マイクロインテリジェンス)、つまり移動のセキュリティ、不動産およびサプライチェーンのセキュリティバケットなどにおける日常のさまざまなセキュリティ業務を円滑化するために、リアルな人の目線での脅威評価を行うプラットフォームを使って手助けすることです」とシスキンド氏は説明してくれた。「サイバー以外で、最高セキュリティ責任者が管轄するものすべてです。つまり、現実世界と関わりを持つあらゆるものです」。

シスキンド氏は、メキシコシティの世界的な戦略的リスクコンサルティング企業Control Risks(コントロール・リスクス)でキャリアをスタートさせて以来、企業のセキュリティにともなう複雑さや課題に直接関わってきた経歴を持つ。長年この業界で過ごしてきた彼女は、物理的、政治的なセキュリティの運用が、サーバーセキュリティと比べていかに立ち後れているかを痛感している。企業のリスク管理は軽視されがちだ。特に北米の企業に勤めるほとんどの従業員にとって、それは出張の多い職務に就いたときに、ときどき経験するだけに過ぎない問題だからだ。だが、この数年に起きた出来事で、状況は一変した。

「これが、これまでSaaSプラットフォームで最適化をしてこなかった企業の最後の砦だったため、抵抗もあり、昔ながらのやり方への執着もありました」とシスキンド氏は私に話した。「ところが2020年の出来事によって、すべてひっくり返ってしまいました。企業は、セキュリティ部門と、現実世界で起きていることが、単にコンプライアンスだけでは済まされないことに気づいたのです。ビジネスの継続性を担保してくれる、こうしたサービスに投資することが戦略的な優位性につながります」。

新型コロナウイルス、頻度も被害もますます増大する自然災害、地球規模の政治不安、2020年にはこれらすべてが世界中のビジネスに多大な悪影響をもたらした。それが分岐点となり、総合的なリスクプロファイルと戦略的計画サイクルにおける物理的セキュリティをどれほど重視するかで、企業の明暗が分かれたとシスキンド氏はいう。

「情勢があまりにも不安定で、あらゆる種類の問題が頻発する過酷な状況下では、事業を滞りなく継続するための投資を怠れば、必要な収益は絶対に得られなくなると企業は気づきました」と彼女は話す。

Base Operationsは、幅広い情報源からデータを収集し、うまく組み合わせて脅威プロファイルを提示することで、そうした問題に対処している。同社のテクノロジーは、つまりは我々が日々遭遇する無数の情報の意味を説明してくれるものだ。たとえばときにソーシャルメディアの「Doomscrolling(ドゥームスクローリング)」で目にするような大量のニュースを、機械学習により他の情報源と結びつけ、実用的な見識を生み出す。

そこで使われる情報源とは、「政府の統計資料、ソーシャルメディア、地元の報道、非営利団体や大学などの提携団体からのデータ」だとシスキンド氏はいう。そのデータセットが、同社のMicro Intelligenceプラットフォームに力を与えている。現在、同スタートアップは企業を助けて人々の安全を守り、その事業の継続を助けることに注力しているが、その同じ情報が、将来の地理的な拡張計画、製品開発の調整、特定市場への対応など、あらゆる事業にも力を与えるであろうことは容易に想像がつく。

ビジネスの本質部分には、この種のアプローチが必要だとシスキンド氏は考えていたのだが、そこは新しいテクノロジーの受け入れが比較的遅かった。大きな視野を持つ彼女でさえ、これほどまでに緊急に、高度で柔軟なスケール性のある企業向けセキュリティソリューションが必要になると、2年前には予想もつかなかったはずだ。だが今、Base Operationsはそのニーズに対応できる完ぺきな位置に立っている。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:Base Operations資金調達

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(文:Darrell Etherington、翻訳:金井哲夫)

セルフケアに焦点を当てた音声ソーシャルネットワークQuiltが3.7億円調達

音声ソーシャル1.0の時代が本格的に到来しつつある。これまでポッドキャストやClubhouse(クラブハウス)がリードしてきたこの分野に、他の音声ソーシャル系スタートアップの参入が相次いでいる。ウェルネスとコミュニティに焦点を当てた音声ソーシャルネットワークであるQuilt(キルト)は、Mayfield Fund(メイフィールド・ファンド)が主導するシードラウンドで350万ドル(約3億7000万円)を調達。同ファンドのRishi Garg(リシ・ガーグ)氏が取締役会に参加している。

Quiltは、Ashley Sumner(アシュリー・サムナー)氏が設立したコミュニティプラットフォームとしてスタートした。当初は、同じ地域に住む他の人を自宅に招くという形式だった。サムナー氏はNeueHouse(ノイエハウス)の創設チームの一員であり、物理的な空間を通してコミュニティを構築することにキャリアを費やしてきた。何千ものQuiltの会話が人々の家で交わされていたが、それも2020年3月に新型コロナウイルス感染が発生する前のこと。結果として、このスタートアップは存亡の危機に陥いることになった。

サムナー氏はただちにQuiltをZoomに移行したが、ビデオチャットでは対面で行われている魔法を完全に獲得することはできないとすぐに気づいた。また、Quiltを特別なものにしていた種類の会話を促進するには、ビデオチャットは適切な媒体ではないことも立証された。

彼女は新しいQuilt 2.0となる音声アプリの開発に取り組み、2021年1月末にApp Storeで公開した。

Quiltでは、誰でも会話のための部屋を作ることができ、話したいテーマを説明するテキストを1行か2行ドロップするだけでいい。このアプリはウェルネスに焦点を当てており、部屋を次の3つの異なるカテゴリーに分けている。1つ目はスピリチュアルや個人開発(瞑想、占星術、ヒューマンデザインなどを中心とした会話)、2つ目はキャリアと目的(「目的とリンクさせることが非常に重要でした。これはネットワーキングイベントではありません」とサムナー氏は述べている)、そして3つ目が、人間関係、セックス、家族についてだ。

画像クレジット:Quilt

このプラットフォームは、コンテンツ制作者と消費者の間で、エンゲージメントレベルのバランスを取ることに特に力を入れている。Quiltによると、ホストの98%が他のホストの会話に参加し、ユーザーの50%以上が会話の中で発言しているという。

20年近く新興メディアと関わってきたガーグ氏は制作者、消費者、そして「傍観者」のエンゲージメント比率が、メディアや製品の選択によって、ソーシャルソーシャルプラットフォームごとにどれだけ違うかということについて語っている。

「YouTubeでは、有名な数字は、1%が制作者、9%が積極的に参加している人、そして90%が見ているだけの人でした」とガーグ氏はいう。「Twitterでは、興味深いことに10%、30%、60%でした。Clubhouseなどでは、平行化がすでに起こっているのが見られます。それは有名人を中心にした構図です。Quiltについて私たちが興奮したのは、誰でも部屋を始めることができるということでした。実際、私たちは消費者から制作者になるまでの道のりに注目しました。Quiltではユーザーがルームを作ったりホストを始めたりするまでが、他のどのソーシャルメディアプラットフォームよりも短いのです」。

それを可能にしているのは、Quiltコミュニティ内の規範によるところが大きいと彼はつけ加え、セレブリティ主導のプラットフォームやトップヘビーなプラットフォームではハードルがあると述べている。消費者はコミュニティによって設定された基準を見て、自分は十分に有名ではない、もしくは貢献できるほど大きなコミュニティを持っていないと感じてしまうとガーグ氏はいう。

「Quiltの魔法の1つは、誰もが人に何かを提供できるだけの何かを持っていると感じることができることです」とガーグ氏は説明する。「有名人だけで構築されたエコシステムよりも、はるかに拡張性が高く、脆弱性が低いと思います」。

Quiltは初期の頃からの存続率も高いようで、登録者の80%が毎週会話に戻ってきているという。同社はまた、会話の約60%は計画的に宣伝された「イベント」ではなく、自然発生的に始まっていると述べている。

サムナー氏によると、Quiltは広告による収益を得るつもりはなく、フリーミアムを採用するという。

今回のラウンドには、既存の投資家であるFreestyle VC(フリースタイルVC)のJenny Lefcourt(ジェニー・レフコート)氏や、Upside Partnership(アップサイド・パートナーシップ)のKent Goldman(ケント・ゴールドマン)氏とChristina Hunt(クリスティーナ・ハント)氏をはじめ、Houseparty(ハウス・パーティ)のCEOであるSima Sistani(シマ・シスターニ)氏、The Mini Fund(ザ・ミニ・ファンド)の創設者で元Discord(ディスコード)のCMOでもあったEros Resmini(エロス・レスミニ)氏、元Knotel(ノーテル)のマーケティング責任者であるAllison Stoloff(アリソン・ストロフ)氏などの新規投資家も参加している。

Quiltのチームは現在8人で構成されており、そのうち50%が女性、25%が黒人以外の有色人種である。20%がLGBTで、10%がノンバイナリーだ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:QuiltSNS資金調達音声ソーシャルメディア

画像クレジット:Quilt

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(文:Jordan Crook、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

物流のボトルネックとなる搬入出口のスマート化を手がけるKargoが6.3億円の資金を調達

Sam Lurye(サム・ルリー)氏は、トラックが荷物の積み降ろしをするローディングドック(搬入出口)について、物流のボトルネックであると同時にチャンスでもあると考えている。

このチャンス、つまり配送センターの倉庫や工場といった物理的なインフラとデジタルの間に生じる今日の緊張や、将来に向けた自動運転の推進から、そこにチャンスがあると考えたルリー氏は、スマートローディングドックのプラットフォーム開発を手がけるKargo(カーゴ)を設立した。このスタートアップ企業は先日、Founders Fund(ファウンダーズ・ファンド)、Accomplice(アカムプリス)、Sozo Ventures(ソーゾー・ベンチャーズ)ほか、名前の明かされていない投資家たちから、600万ドル(約6億3000万円)のシード資金を調達した。

同社を2019年後半に設立した当初、ルリー氏は数カ月かけて米国中を旅し、配送センターの倉庫や工場を訪ねて回り、何百人ものトラック運転手、工場労働者、サプライチェーンの管理者から話を聞いた。流通の自動化における変化が、彼らのどんなところに影響を与えているかを理解するためだ。

彼らの主な不満は、ローディングドックだった。

「自動車やエレベーターなどを使って物流を自動化しても、結局はローディングドックを通ることになります」と、ルリー氏は最近のインタビューで語っている。「ローディングドックは産業界のユニバーサルAPIのようなもので、どんな産業施設でも、これによって外の世界と接続しているわけです」。

ローディングドックはどこにでもあるが、それが問題になってもいる。平均的なトラックがドックで積み込みや荷降ろしをするのに2時間半も待たされるのは、一般的にこれがボトルネックになっているからだ。米国運輸省の調査によると、トラックがその平均滞留時間を超えて待機する時間が15分増えるごとに、その後のルートで衝突事故が起こる可能性が6.2%増加するという。

物流の自動化というと、自動運転トラックや倉庫ロボティクスに注目しがちだが、来たるべきそれらへの投資の波に対して倉庫や工場は準備ができていないと、ルリー氏は結論づけた。

Kargoは単にデジタルなプラットフォームを提供するだけでく、物理的なセンサータワーを積荷ドックに設置する。このコンピュータビジョンセンサーは、リアルタイムで出入りするすべての貨物を自動的に識別し、確認することができる。専用のソフトウェアプラットフォームが、そのデータをすべて取り込むため、顧客はそれを使用して、サプライチェーンをマクロまたはミクロの視点で見ることができる。

画像クレジット:Kargo

Kargoは、このセンサーの販売と、顧客がデータにアクセスできるソフトウェアのサブスクリプションを提供することで収益を上げる。

ルリー氏によれば、このプラットフォームによって顧客は積荷時間を40%以上短縮することができるという。プラットフォームに接続するローディングドックが増えるほど、Kargoが構築した予測機能は改善が進み、顧客は情報に基づいて出荷の遅延や積み残しを予測することが可能になる。

2021年におけるルリー氏の目標は、この新たに調達した資金を使って、現在7人の従業員を今後数カ月間で倍増させること、そして初の商業化となる50カ所のローディングドックを立ち上げること、さらに年末までにその数を3倍に増やす計画を実現することだ。2022年には1000カ所以上のローディングドックをプラットフォームに追加したいと、ルリー氏は考えている。

Amazonのような電子商取引の巨人だけでなく、何百もの販売業者や流通業者が倉庫や工場内の自動化を進めることで、Kargoのプラットフォームやセンサーの需要が高まる可能性がある。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Kargo物流資金調達

画像クレジット:Kargo

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

登録者数200万人超、最大12名のグループ通話を楽しめる音声SNS「Yay!」が5.5億円調達

登録ユーザー数200万人超、グループ通話を楽しめる音声SNS「Yay!」が総額5.5億円調達

通話コミュニティサービス「Yay!」(イェイ。Android版iOS版)を運営するナナメウエは2月12日、Yay!運営強化を目的とする5億5000万円の資金調達を発表した。エクイティおよびデットファイナンスを活用し実行した。引受先はNOW、TLM、個人投資家。借入先は三井住友銀行、千葉銀行、群馬銀行、武蔵野銀行、金融政策公庫。

2013年5月設立のナナメウエは、「すべての人に居場所を」というコンセプトを掲げ、2020年1月にYay!を開始。同SNSでは、世代や趣味趣向が同じ人達がアルゴリズムによってマッチングされ、そのコミュニティの中でリアルタイムのグループ通話を楽しめる。2020年12月には登録ユーザー数が200万人を突破した。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:音声SNS / ソーシャル・ネットワーキング・サービス(用語)資金調達(用語)ナナメウエ(企業)Yay!(製品・サービス)日本(国・地域)

免疫療法の改善からの新療法開拓のためバイオテックImmunaiが63億円を調達

創設からわずか3年で、バイオテックスタートアップImmunai(イミュナイ)はシリーズA投資6000万ドル(約63億円)を調達し、合計調達額は8000万ドル(約84億円)を超えた。若い会社ではあるが、Immunaiはすでに、単一細胞の免疫学的特質に関する世界最大のデータベースを確立し、既存の免疫療法の効果を高める機械学習を用いた同社の免疫解析プラットフォームを運用している。今回調達した資金で、同社はそのデータと機械学習の強みと幅を基盤に、まったく新しい治療法の開発へと業務を拡大する準備を整えた。

Immunaiでは「マルチオミクス」アプローチを採用し、ヒトの免疫システムに関連する新たな見識を獲得している。つまりそれは細胞のゲノム、微生物叢、エピゲノム(ゲノムの化学的命令セット)など、複数の異なる生物学的データの階層化分析だ。同スタートアップのユニークな点は、世界をリードする免疫学研究機関と提携して築き上げた、免疫に関する最大規模で奥深いデータセットと、独自の機械学習技術とを組み合わせて前代未聞のスケールで解析が行えるところだ。

「ありふれた表現かも知れませんが、私たちには、ゆっくり構えていられるだけの余裕がないのです」とImmunaiの共同創設者でCEOのNoam Solomon(ノーマン・サロモン)氏はインタビューで語った。「それは思うに、現在、私たちは最悪の状況にあるおかげで、機械学習やコンピューター処理技術が高度に発達し、そうした手段を活用して重要な見識を掘り出せるまでなったからです。周囲の人々と仕事ができる速度には上限があります。そこで私たちは、私たちのビジョンを活かし、そしてMITからケンブリッジ大学、スタンフォード大学、ベイエリアからテルアビブまで、非常に大きなネットワークの力を借りて、この問題を一緒に解決しましょうと人々に言ってもらえるよう、とにかく迅速に動きました」。

関連記事:がんの標的治療の開発を改善するMission Bioが約75億円を調達して技術のスケールアップを目指す

サロモン氏とその共同創設者でCTOのLuis Voloch(ルイス・ボロシュ)氏は、どちらもコンピューター科学と機械学習における幅広い経験の持ち主だ。彼らはまず、そうしたテクノロジーと免疫学とを結びつけ、テクノロジーが応用できる免疫学上のニーズを特定した。その後、Scientific(サイエンティフィック)の共同創設者で戦略的研究担当上級副社長を務めるDanny Wells(ダニー・ウェルズ)氏が、がん性腫瘍の免疫療法の効率化に集中できるよう、彼らのアプローチの改善に力を貸した。

Immunaiのプラットフォームは、既存の治療法の最適な標的を特定できることを、すでに実証済みだ。ベイラー医科大学と提携して行われた、神経芽細胞腫(副腎に見られることが多い免疫細胞から発生するがんの一種)の治療での細胞療法製品の使用試験もその1つだ。同社は現在、治療の新たな領域に進出し、その機械学習プラットフォームと業界をリードする細胞データベースを使った新しい治療法の発見、つまり既存の治療法の標的の特定と評価だけでなく、まったく新しい治療法の開発に進もうとしている。

「私たちは、ただ細胞を観察するだけの段階から脱して、細胞をかき混ぜて、何が起きるかを見るという段階に移行しつつあります」とボロシュ氏。「これは、コンピューター技術の面からすれば、やがて相関性評価から実際の因果関係の評価への移行が可能になり、私たちのモデルがずっとパワフルなものになることを意味します。コンピューター技術と研究室のどちらの面においても、これは極めて最先端のテクノロジーです。私たちは、あらゆる規模での実用化を最初に果たすことになるでしょう」。

「その次の段階は、『よしこれで免疫プロファイルがわかったから、新しい薬を作ろうか?』となることです」とサロモン氏はいう。「私たちはそれを、免疫システムのGoogleマップを数カ月以内に作るようなものだと考え、実際に、免疫システムのさまざまな道路や経路のマッピングを行っています。しかしある時点で、まだ作られていない道路や橋があることに気がつきました。私たちは、これから新しい道路の建設が支援できるようになります。現在の病気の状態、つまり病気の街を、健康の街に建て替える先導役になれたらと願っています」。

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カテゴリー:バイオテック
タグ:Immunai免疫がん治療機械学習資金調達

画像クレジット:Immunai

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(文:Darrell Etherington、翻訳:金井哲夫)

投資アプリPublicがライバルRobinhoodの苦境を尻目に連続して資金調達

ソーシャルを重視した株式取引サービスのPublic.com(パブリック)がシリーズDラウンドをまもなく完了する。シリーズCで6500万ドル(約68億1500万円)を調達してからわずか2カ月後のことだ。本件に詳しい筋がTechCrunchに語っている。

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サンフランシスコ拠点のフィンテックは、一般の人たちがどんな金額でも企業に投資できるようにすることが目的で、取引に関するコミュニティ活動を中心に据えている。Robinhood(ロビンフッド)やM1 Finance、その他消費者が無料あるいは低い手数料で株式投資できる米国のフィンテック会社と競合する。

Publicはここ数週間に多くの投資家の関心を引いているようだ。Robinhoodが苦境にたたされ、難を逃れるためにわずか数日のうちに34億ドル(約3560億円)を調達した直後のことだ。

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その資金は2021年はIPOも狙っているRobinhoodが苦しんでいる時期にやってきた。そしてライバルであるPublic.comの一部をほしがっている投資家たちがいる。

ある筋がTechCrunchに伝えたところによると、出資を持ちかけているところの多くは、「Robinhoodからの大量離脱」があると信じており、そのバリューを捕まえる方法を探っている。

最近Publicはビジネスモデルを一新し、注文フロー手数料(Payment for Order Flow、PFOF)から利益を得るというRobinhoodが収益化している中心的方法を止め、注文を処理するのと引き換えに、ユーザーから助言や情報を集めるやり方に転じた。PFOFは低料金株取引プラットフォームを巡る議論や直接手数料以外にユーザーが取引費用を払う方法の基準の1つとなっている。

Publicに賭ける投資家が期待しているのは、将来のユーザー成長だけでなく、スタートアップが将来効果的に収益化する能力にある。

Publicは2020年に急成長を果たし、ユーザー基盤を年初の10倍に増やした。

共同ファウンダーのLeif Abraham(リーフ・アブラハム)氏は2020年12月に、同社は着実に成長しており、毎期約30%のペースで拡大していると本誌のAlex Wilhelm(アレックス・ウィルヘルム)に語った。同氏は、Publicのユーザーはこのサービスを口コミで発見することが多いため、会社は巨額のマーケティング費用は使うことがなく、成長も人為的に増加されていないことを強調した。

PublicがシリーズDでいくら調達したのか、誰が出資しているのかはまだわかっていない。Publicは複数回のコメント要求を拒否している。A、B、CラウンドをリードしたベンチャーキャピタルのAccelもコメントを拒んだ。情報が入り次第報告する予定だ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:PublicRobinhood資金調達

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(文:Mary Ann Azevedo、Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ユニバーサルデザインのソリューション提供や障害者手帳アプリ「ミライロID」のミライロが2.8億円調達

ユニバーサルデザインのソリューション提供や障害者手帳アプリ「ミライロID」のミライロが2.8億円調達

障害のある当事者の視点を活かし、ユニバーサルデザインのソリューション提供や、障害者手帳アプリ「ミライロID」(Android版iOS版)を運営するミライロは2月12日、第三者割当増資による2億8000万円の資金調達を発表した。

引受先は、大阪市高速電気軌道、京王電鉄、さくらインターネット、住友林業、西武鉄道、ゼンリンデータコム、東京海上日動火災保険、ヤマトホールディングスなど。

調達した資金は主に、ユニバーサルデザインやユニバーサルマナーの普及啓発、新規顧客獲得のためのマーケティング、サービスの開発と強化にあてる予定。

ユニバーサルデザインのソリューション提供や障害者手帳アプリ「ミライロID」のミライロが2.8億円調達

新型コロナウイルス感染症の拡大により、障害者やその家族は様々な制約を受けており、障害者の就学や就労、日常生活の選択肢を増やすことが喫緊の課題になっているという。

ミライロは、2009年5月の創業以来環境・意識・情報のバリアの解消を進めてきたが、今こそこれらの歩みをより加速させなければという思いから、今回の資金調達に至ったとしている。

同社は、2000年以降、交通機関を中心とし日本のバリアフリーは大いに発展を遂げたものの、障害者が必要とするサービスや商品は充足していないと指摘。障害者が不安なく、不自由なく生活できる社会でなければ、国が掲げる障害者雇用の目標達成、障害者が活躍できる社会の実現はかなわないという。

同社ビジョンに賛同した各社と、障害者やその家族の生活がより豊かになる新たなソリューション開発を進め、障害を価値に変える「バリアバリュー」が広がる未来を目指す。

なお同社は、プレスリリースにおいて「障害者」という表記を採用している。「障がい者」と表記すると、視覚障害のある方が利用する画面読み上げソフトウェア「スクリーン・リーダー」では「さわりがいしゃ」と読み上げてしまう場合があるためという。「障害は人ではなく環境にある」という考えのもと、漢字の表記のみにとらわれず、社会における「障害」と向き合っていくことを目指すとしている。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:アクセシビリティ(用語)資金調達(用語)ミライロ
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オリジナル診断による入浴剤を手がけるセルフケアD2Cブランド「DAY TWO」が3000万円を調達

オリジナル診断による入浴剤を手がけるセルフケアD2Cブランド「DAY TWO」が3000万円を調達

パーソナライズセルフケアブランド「DAY TWO」を運営しているFLATBOYSは2月12日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資による総額3000万円の資金調達を発表した。

引受先は、BREW、石橋尚也氏(エンジェル投資家)、長尾卓氏(プロコミットパートナーズ法律事務所 代表弁護士)、野口卓也氏(バルクオム 代表取締役CEO)、渡辺一矢氏(エンジェル投資家)、株式投資型クラウドファンディング「イークラウド」の個人投資家など。

DAY TWOでは今後、ユーザーのセルフケア診断により共有した生活習慣データを基に、独自の成分や処方を製造し、ユーザーの習慣をより快適にするサービス体験を目指す。調達した資金は主に商品開発、マーケティング、人材採用の用途にあてる。

FLATBOYSは、「あなた専属のセラピストを。」をコンセプトに、入浴剤を起点としたD2Cブランド「DAY TWO」を運営。同ブランド第1弾プロダクトとして、パーソナライズ入浴剤「DAY TWO Epsom Salt」を2020年11月にリリースした。

DAY TWO Epsom Saltでは、LINEを利用したアンケートに答えると、心とカラダの状態に合わせて調合した入浴剤を購入できる。入浴剤のメイン素材は、国産100%および食品添加物グレードのエプソムソルトを採用。厚生労働省指定検査機関をはじめ、各専門機関による品質確認検査を経て製品化されているものという。

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カテゴリー:ネットサービス
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コンピュータービジョンで職場の安全性を監視するIntenseyeが約4億円を調達

米国のシンクタンク経済政策研究所によると、同国での業務上の傷害や病気のコストは毎年2500億ドル(約26兆円)を超える。ERA(起業家ラウンドテーブルアクセラレーター)が支援するスタートアップで機械学習プラットフォームのIntenseye(インテンスアイ)はこの数字を経済的かつ効果的な方法で抑制しようとシードラウンドで400万ドル(約4億円)を調達した。

Point NineとAir Streetが本ラウンドを共同でリードし、エンジェル投資家としてTwitter、Cortex、Fastly、Even Financialが参加した。

Intenseyeは施設内のネットワークに接続した既存のカメラを統合し、業務中の従業員の健康や安全をモニターするのにコンピュータービジョンを使う。これは、Intenseyeがヘルメット未着用から社会的距離プロトコルの無視、その他のさまざまな健康・安全に関する規則違反をリアルタイムに特定できることを意味する。

Intenseyeのダッシュボードはリアルタイムに労働者の安全をモニターするために連邦そしてローカルの職場安全法、ならびに各組織のルールを取り込んでいる。Intenseyeのプラットフォームは職場でありがちな全部で30の安全でない行動を特定できる。管理者はさらにドラッグ&ドロップのインターフェースを使ってこうしたルールをカスタマイズできる。

違反が見つかった時には、問題を解決するために雇用側の健康・安全の専門家はすぐさまテキストや電子メールでアラートを受け取る。

Intenseyeはまた、コンプライアンスのスコアを算出したり問題のエリアの診断をするために施設内の職場安全コンプライアンスの集計も取る。

同社は基本展開料金、そして施設がIntenseyeのモニタリングポイントとして使いたいカメラの台数に基づく年間料金を課す。

共同創業者のSercan Esen(セルカン・エセン)氏は事業の最大の課題の1つはテクニカル上のものだと話す。Intenseyeは、従業員の健康・安全の反則アラートを送るためにコンピュータービジョンを通して職場の安全性をモニターするが、個人の顔を分析したり個人を特定したりはしない。全てのビデオはすぐさま破棄され、Intenseyeに保存されることはない。

Intenseyeのチームは20人だ。

「現在Intenseyeのチームの20%が女性、80%が男性で、メンバーの国籍は4カ国になります」とエセン氏は話した。「当社のチームにはコンピューターサイエンスで理学修士を持っている人、高卒の人がいます」

チームの多様性とインクルージョンはどの企業でも重要だが、コンピュータービジョンのソフトウェアを構築する企業においては特にそうだ。

同社はパンデミックを受けてリモートワークに移行し、バーチャルオフィスの構築とZoomよりも投入型の方法で従業員を結びつけるためにVRを使っている。

Intenseyeは現在30都市で利用されていて、今回調達した資金はチームの増強、特にセールスとマーケティング部門での雇用、そして市場開拓戦略の実行に使う予定だ。

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画像クレジット: Intenseye

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(文:Jordan Crook、翻訳:Nariko Mizoguchi

中南米の零細企業向け財務アプリのTreintaが約5200万円を調達

Y Combinator(Yコンビネーター)2021年冬期生Treinta(トレインタ)は、同社のラテンアメリカ小企業向け帳簿・在庫管理ソフトウェアのために50万ドル(約5200万円)以上の資金を調達したことを米国時間2月11日に発表した。

発表された調達資金は友人・家族の小さなラウンドにY Combinatorからの出資、および2021年初めに調達した22万ドル(約2300万円)からなる。

コロンビア、ボゴタ市拠点の同社は、現在13人のチームからなり、零細企業、特に個人経営の小さな商店にデジタル変革をもたらそうとしている。

デジタル変革の推進は、伝統的なワークフローやプロセスをソフトウェアベースのシステムに転換することであり、大企業だけのためのものではない。大企業のデジタル変革への取り組みの話はよく耳にするが、Treintaは零細企業も大企業と同じく仕事のやり方を変える必要を感じていることに賭けている。

ラテンアメリカの零細企業に取引や勘定や在庫を管理する能力をもたらすというTreintaのコンセプトは、急成長のアイデアであることが証明されつつある。共同ファウンダーのLluís Cañadell(ルイス・カニャデル)氏によると、Treintaの月間アクティブユーザーは2020年8月31日の開業後数カ月間に400%に成長した。本誌が初めて話をしたとき、同社は1月の成長率300%と月間アクティブユーザー3万人を予想していた。カニャデル氏は今週TecnCrunchにメールで最新情報を送り、1月に3万5000ユーザーを達成したという。

また同氏は、今後数カ月間会社が毎月100%前後のペースで成長すると期待していることも語った。そしてTreintaは、総取引金額(アプリに記録された取引高)2500万ドル(約26億2000万円)を数週間前に超えた。このスタートアップは、いいところに目をつけた。

なぜここまで早く成長したのか?コロンビアの都市封鎖は、多くの中小企業に事業のオンライン化を強いた。多くのユーザーにとって「初めて」のデジタルツールを提供することで、Treintaはたくさんの小企業の生き残りを助けている。

Treintaは、同社のユーザー基盤である中小企業オーナー向けに、さらにデジタル決済などのサービスを提供する予定だ。信用調査はカニャデル氏が本誌に語ったもう1つの可能性だ。

このスタートアップには2021年夏の終わりまでの運転資金があり、雄大な計画をもある。カニャデル氏はTechCrunchに、ラテンアメリカ(Treintaがまだ進出していないブラジルを含む)には5000万の「マイクロビジネス」があり、その90%が商取引の記録にまだ紙を使っていると語った。同社によるとコロンビアのスマートフォン普及率は80%を超えており、Treintaには大きな成長の余地がある。

私は同社に、Y Combinatorのデモデーに参加するかどうか尋ねた。カニャデル氏は、投資家とは喜んで話をするが、デモデーの予定はまだわからないと語った。TechCrunchはもちろんその場にいる予定だ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Treinta資金調達ラテンアメリカコロンビア

画像クレジット:Daniel Garzón Herazo / EyeEm / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook

クラウド自動化スタートアップのSpaceliftがシリーズAで6.3億調達

クラウドインフラストラクチャの管理を自動化するスタートアップのSpaceliftは、ロンドンのBlossom Capitalが主導するシリーズAの資金調達ラウンドで600万ドル(約6億3000万円)を調達した。ポーランドの投資会社のInovo Venture PartnersとHoxton Venturesも投資している。

ポーランドと米国を拠点とするSpaceliftは「IaC(infrastructure-as-code)」と「policy-as-code」というプラットフォームで、ますます複雑化するクラウドの世界がもたらす機会を利用している。これにより、チームはダウンタイムのリスクなしにより効率的な方法でプロセスを自動化できるという。

共同設立者のMarcin Wyszynski(マーシン・ウォジンスキー)氏は、英国のDeliverooやベルリンを拠点とするスクーター事業者のTIER Mobilityで働いた後、このアイデアを思いついた。Spaceliftは米カリフォルニア州レッドウッドシティに本社を置き、ポーランドのワルシャワにもオフィスを構えている。

ウォジンスキー氏は声明の中で、「クラウドサーバとインフラストラクチャをコードとして使用するように切り替えることは、企業にとってはメリットがあるが、特に分散しているチームにとっては新たな課題が生じます。わずかなミスで大規模なシステム停止やダウンタイムが発生する可能性があり、これは明らかにビジネスに悪影響をおよぼします。Spaceliftはチームがどこにいても自動化、制御、可視化ツールを提供することで、これらの問題を最小限に抑えるように設計されています」と述べた。

Blossom Capitalの共同創設者でありパートナーでもあるImran Ghory(イムラン・ゴリー)氏は、「インフラストラクチャの管理は急成長しているチームにとって継続的な課題であり、非常に多くのチームがリモートで作業するようになったことで、専用の管理ツールプラットフォームの必要性が強調されています」とコメントした。

Spaceliftの競合企業にはHashiCorp(約370億円を調達)やScalr(約7億9000万円を調達)などがある。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Spacelift資金調達

画像クレジット:Spacelift

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(文:Mike Butcher、翻訳:塚本直樹 / Twitter

自動で起こしたテキストを動画の該当箇所に自動で関連づけるReduct.Videoが4.2億円調達

Reduct.Videoは、企業が制作するビデオの量を劇的に増やしたいと考えている。

ReductのテクノロジーはすでにIntuit、Autodesk、Facebook、Dell、Spotify、Indeed、Superhuman、IDEOなどに使われている。米国時間2月11日、同社は400万ドル(約4億2000万円)を調達したと発表した。このラウンドを主導したのはGreylockとSouth Park Commonsで、FigmaのCEOであるDylan Field(ディラン・フィールド)氏、Hopinの最高業務責任者であるArmando Mann(アルマンド・マン)氏、Twitterの幹部だったElad Gil(エラッド・ギル)氏が参加した。

ReductはCEOのPabhas Pokharel(パバス・ポカレル)氏とCTOのRobert Ochshorn(ロバート・オックスホーン)氏が創業した(上の写真の2人)。ポカレル氏は、コンシューマ向けとしてはストリーミングビデオプラットフォームやソーシャルメディアアプリが激増しているのに、ビジネスではビデオはまだ「十分に活用されていない」、その理由は単にビデオ素材を整理する作業に時間がかかり、見るにたえるビデオになるように編集する時間も必要だからだと説明する。

ポカレル氏は筆者にデモを見せてくれた。ReductはAIや自然言語処理などのテクノロジーを使って自動でビデオ素材の文字起こしをしてその文章をビデオに関連づけ、編集作業を合理化する(文字起こしは有料でプロに依頼することもできる)。

「ここからが魔法です。文字起こしが完了すると、単語の1つひとつがビデオの(対応する)タイミングに関連づけられるのです」(ポカレル氏)。

画像クレジット:Reduct.Video

このため、テキスト編集のように簡単にビデオを編集することができる(筆者はテキストとメディアの同様の関連づけをOtterで利用しているが、Otterはオーディオに特化されていて、どちらかというと文字起こしツールとして使ってきた)。何時間にもわたるビデオ素材全体の中からあるトピックについて言及された場面を検索し、整理し、タグづけし共有することもできる。

ポカレル氏は、AIが複数の検索語句の関連を理解するなどの役割を果たすため整理と編集の作業が簡単になっていると述べた。しかし同氏は作業が完全に自動化されるとは考えていない。同氏はReductを「アイアンマンのスーツ」のようなものだという。人間の編集者のパワーが増すということだ。

さらに同氏は、このようなアプローチによってビデオを短時間で簡単に編集できるだけでなく、ビデオに対する企業の見方が変わることを示唆した。

同氏は「Reductのユーザーは洗練よりも信頼性を重視します。ビデオの内容が重要なのです」と述べ、Reductで何ができるかを「顧客から学んでいる」とも語った。自社ユーザーの調査に使う人々は何百時間ものユーザーの映像を簡単に整理して共有し、マーケッターは顧客からの推薦の言葉やウェビナーを短くて共有しやすいビデオにすることができる。

ポカレル氏は話を続け、「ビデオの供給は限られているのは、おかしな状況です。非同期のビデオには(企業が)これまで意識していなかった活用方法がたくさんあります」と述べた。

同氏はある顧客の話を思い出して、活用例として語った。その顧客は、聞くべき部分が2分間しかない会議であっても出席するようにとチームメンバーに指示していたという。Reductの導入により「チームメンバーにその時間を返し」て、必要な部分だけを共有できるようになったという。

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Reduct.Video資金調達動画編集

画像クレジット:Reduct.Video

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(文:Anthony Ha、翻訳:Kaori Koyama)

943.6億円と評価されたインドのQRコード決済サービスBharatPeが新たに113.1億円調達、新たなフィンテックユニコーン誕生か

インドでもうすぐ、また新しいフィンテックユニコーンが生まれるかも知れない。インド時間2月11日、ニューデリーに拠点を置く金融サービススタートアップのBharatPe(バラピ)は、9億ドル(約943億6000万円)の評価額の下に1億800万ドル(約113億1000万円)を調達した。なお2020年の評価額は4億2500万ドル(約444億9000万円)だった。

この創業3年のスタートアップのシリーズDラウンドを主導したのはCoatue Managementだ。Ribbit Capital、Insight Partners、Steadview Capital、Beenext、Amplo、Sequoia Capitalといった既存の機関投資家も、今回のラウンドに参加している。これによってBharatPeの株式による調達総額は2億3300万ドル(約243億9000万円)となり、負債額は3500万ドル(約36億6000万円)となった。

同スタートアップは、今回の新たな資金調達ラウンドの一環として、1717万ドル(約18億円)をエンジェル投資家と従業員にストックオプションとして還元したと述べている。

BharatPeの共同創業者であり最高経営責任者のAshneer Grover(アシュニー・グローバー)氏は「バランスシートに十分な資本(銀行に約209億4000万円以上の現金)を持つことになりました。この先着実に事業を進めて、2023年3月までに取引総額300億ドル(約3兆1000億円)を実現し、小規模加盟店相手の貸付残高を7億ドル(約732億8000万円)とする予定です」と語る。

BharatPeが運営しているのは、その会社名が表しているが、オフライン型加盟店がデジタル決済を受け入れ運転資金を確保できるようにするためのサービスだ。インドはすでに、6億人以上のユーザーを抱える世界第2位のインターネット市場として台頭しているが、国内の多くはオフラインのままだ。

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インターネットの届かないところで、ロードサイドのティースタンドや近隣のお店が、小規模に営まれている。こうした商店がデジタル決済を簡単に受け入れられるようにするために、BharatPeは政府がバックアップするUPI決済インフラを利用する、QRコードとPOS機を利用している。

インドでは、多くの大手企業やスタートアップが、近隣の小規模店舗にサービスを提供しようとしている

BharatPeは、2020年11月までに5万台以上のPoSマシンを設置し、1億2300万ドル(約128億8000万円)以上相当の月次取引を可能にしたという。同社は通常のQRコードアクセスに対しては加盟店への請求を行わないが、一方貸付で収益を得ようとしている。グローバー氏は、スタートアップの貸付事業が2020年には10倍に成長したという。

「この成長は、小商いの方々や近隣店舗のオーナーのみなさんから寄せられている信頼を、改めて証明しているものです。これは私たちの旅の始まりにすぎません。私たちは小規模店舗のみなさまにワンストップサービスを提供できる、インド最大のB2B金融サービス会社を構築することを真剣に目指しています。BharatPeにとって、商店のみなさまは常に、構築するすべてのものの核となる存在なのです」と同氏は述べている。

BharatPeの成長は、特にそれが商人を支援する最初のスタートアップではなかったことを考えると、すばらしいものだ。Bank of America (バンク・オブ・アメリカ)のアナリストは、顧客に対する最近のレポートの中で、フィンテックは勝者がすべてを取る市場ではないことを、BharatPeの存在が証明したと述べている。

TechCrunchがレビューしたそのレポートの中には「おそらくBharatPeは、この分野では後発者としての優位性を持っている。同社はUPI上でのQRコード利用を最初にサポートした業者の1つであり、商店に1つのQRコードを持つ利便性を提供した(最終的にはPaytmのような他の企業もそれに追随した)。フィンテックの同業者たちとは異なり、BharatPeは商店を教育するのではなく、すでに商店を教育した大規模な同業者のやり方に従っている」と書かれている。

現在75の都市で事業を展開している同スタートアップは、新たな資金を得て、全国でのネットワークをさらに拡大することを計画している。

カテゴリー:フィンテック
タグ:BharatPe資金調達QRコード決済インドユニコーン企業

画像クレジット:BharatPe

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(文:Manish Singh、翻訳:sako)

バーチャル理科実験プラットフォームを世界中で販売するLabsterが新たに約63億円調達

165億ドル(約1兆7260億円)の運用資産を持つベンチャーキャピタル企業のAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)は、バーチャルなSTEM(科学、技術、工学、数学)実験シミュレーションを教育機関向けに販売するEdTechスタートアップに数百万ドル(数億円)を投じた。

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コペンハーゲンに拠点を置くLabster(ラブスター)は、学校向けにバーチャル理科実験プラットフォームを販売している。同社は米国時間2月10日、著名なシリコンバレーの企業が主導するシリーズCラウンドで6000万ドル(約63億円)の資金調達を行ったと発表した。このラウンドには、これまでも同社に投資していたGGV Capital(GGVキャピタル)、Owl Ventures(オウルベンチャーズ)、Balderton Capital(バルデントン・キャピタル)も参加。Labsterはこれまでに総額1億ドル(約105億円)を調達したことが知られている。

Labsterは、多くのEdTech企業と同様、新型コロナウイルス流行の影響でリモートワークの必要性が強調される中、自分たちの有効性を見出してきた。2020年4月には、210万人以上の学生が所属するCalifornia Community College(カリフォルニア・コミュニティ・カレッジ)のネットワーク全体にサービスを提供する契約に署名。その数カ月後には、GGVのJenny Lee(ジェニー・リー)氏を取締役会に迎え、アジアでの事業を拡大するために、900万ドル(約9億4500万円)の株式発行による資金調達を行った。

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「A16z(Andreessen Horowitz)は、大きな影響力を持ち、大規模な世界的成功を収める可能性のあるテクノロジー企業への投資に非常に興奮しています」と、Labsterの共同設立者でCEOのMichael Bodekaer Jensen(マイケル・ボデカー・ジェンセン)氏は述べている。「Labsterが大規模に学習を革新するプラットフォームであるという事実が、彼らを惹きつけたのです」。

今回の新たな資金調達により、Labsterはスタッフの増員、ラテンアメリカやアフリカを含む新たな地域に向けた成長、教師をより良くサポートする新製品の開発に、投資を行うことになる。

ジェンセン氏は、Labsterがこれまでない巨額の増資を行ったことにより、同社の評価額が「劇的に上昇した」と述べている。とはいえ、まだ10億ドル(約1050億円)の大台に乗っていないことを同氏は認めており、黒字化を達成したかどうかについてもコメントしなかった。

しかしジェンセン氏は、新たな資金調達によって、このスタートアップ企業が2つの大きな目標に一歩近づいたと考えていると語った。その1つ目は、今後数年で1億人の学生にサービスを提供すること。そして2つ目は、世界中の誰もが自分でシミュレーションをカスタマイズして構築できるプラットフォームを目指すということだ。

「私たちはコンテンツ企業ではありません」と共同創設者はいう。「私たちは没入型学習のためのプラットフォームです」。

Labsterは現在、対面式の授業をサポートして強化するためのeラーニングソリューションを販売している。

教育機関が選択したサブスクリプションに基づいて、参加者の学生はさまざまな段階の仮想実験室にアクセスできる。細菌の増殖や分離の理解から、太陽系外惑星の生物多様性の探求まで、多彩な実験が想定されており、各種シミュレーションのほか、特定の概念を描いた3Dアニメーション、シミュレーションのリプレイ、クイズ問題、バーチャル学習アシスタントなどが用意されている。

画像クレジット:Labster

ジェンセン氏は、最終的にLabsterが、あらかじめ決められた学習トラックを超えて、カスタマイズ可能な没入型学習の世界に移行する可能性を示唆している。Inspirit(インスピリット)など他のスタートアップもまた、Minecraft(マインクラフト)やRoblox(ロブロックス)のようなゲーム形式による創造性を、世界中の学生たちの日々の学習にもたらすことを目指している。

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Labsterはそのプラットフォームの目標に合わせ、現在はバーチャルリアリティへの取り組みを停止している。大規模な数のヘッドセットを用意する必要があるからだ。

「VRは学習には適していますが、我々は教育機関がすでに持っているハードウェアを理解し、それに対応したサービスやソリューションを提供する必要があります」と、ジェンセン氏は語る。多くの教育機関は全学生分のヘッドセットを購入する余裕がないことをつけ加えた。

Labsterがバーチャルリアリティから離れ、没入型の学習環境を構築する方向に向いているという事実は、単なるブランディングのための決定ではなく、拡張性の高いEdTechの未来が、ゴーグルのようなものではなく、カスタマイズ可能なウェブページのようになるかもしれないということを示唆している。

「設立当初の頃は、それを構築すればすぐにすべての教師がやって来るだろうという、ちょっとナイーブな起業家精神が間違いなくありました」と、ジェンセン氏は語った。「VRは、私たちが飛びついて思ったほど革命的なものではありませんでした」。

新たな投資の一環であるLabster Portalは、教師が没入型シミュレーションを個々の生徒がどのように使用しているか、どのような授業を一緒に組み込むのが適切かを理解するためのダッシュボードだ。同社はまた、国全体や州または地域レベルで教育機関と提携することにも力を入れている。ジェンセン氏によると、契約規模が大きくなればなるほど、導入費用を節約できるため、割引額も大きくなるとのこと。Labsterは最近、デンマーク全土にその技術を導入する契約を締結した。

Labsterは現在、2000以上の総合大学、専門大学、高校にプラットフォームを提供している。

「新型コロナウイルスが収まった後、成長は鈍化するでしょう」とジェンセン氏はいう。「教育機関との会話では、ポストコロナの時代にLabsterをさらに新しく革新的な方法で活用していくにはどうすればいいかという話が増えています」。

カテゴリー:EdTech
タグ:Labster資金調達eラーニングVR

画像クレジット:MR.Cole_Photographer / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

B2B購買の後払い販売モデルを提供するノルウェーのフィンテック「Tillit」がセコイア・キャピタルから資金を調達

TechCrunchは、B2Bの購買向けに後払い販売(buy now, pay later)のようなモデルを構築しているフィンテックスタートアップTillitが、シリコンバレーのVCであるSequoia Capitalのヨーロッパにおける次の投資先になるとの情報をつかんだ。

複数の情報筋によれば、最近ロンドンにオフィスを構えてヨーロッパに業務を拡大したSequoiaが、ノルウェーのオスロに拠点を置くTillitに250万ユーロ(約3億1800万円)を支援するという。他にはシードインベスターのLocalGlobeとVisionaries Clubも支援する。SequoiaとLocalGlobeはコメントを避けた。

「B2Bの購買を簡単に」のキャッチコピーでこれからサービスを開始するTillitは、請求書払いと後払いを組み合わせたモデルになるようだ。会計(または請求)の時点でクレジットが提供され、分割払いなど多くの支払い方法から選べる。Tillitは従業員がB2Bの購買をしやすくするさまざまな支出管理機能も提供する。

つまり、売り手はインスタントクレジットを提供することでコンバージョンを上げられる。買い手は支払いを遅らせたり分割したりすることができ、購買の管理や可視化が強化される。

Sequoiaはヨーロッパに専門チームを置いて力を入れ始めたことを明らかにしたが、それ以降にヨーロッパで投資するのはTillitが初めてではない。最近では、ドイツのスタートアップでオンラインビジネスを手がける中小企業のバックオフィス機能を備えたリソースプランニングソフトウェアを開発するXentralの2000万ドル(約20億9000万円)のラウンドを主導した。この投資にはプレシードやシードからIPO、さらにその先まで「ジャーニーのすべてにわたって投資する」というSequoiaの方針が表れている。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Tillit資金調達セコイア・キャピタル

画像クレジット:Tillit

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(文:Steve O’Hear、翻訳:Kaori Koyama)

長いポッドキャストを60秒のパーソナライズされた「音声ニュースフィード」に変えるPodz

PodzはM13、ジャーナリストのKatie Couric(ケイティ・クーリック)氏、Paris Hilton(パリス・ヒルトン)氏などの投資家から支援を受けて、ポッドキャストの発見という問題を解決しようとしている最新のスタートアップだ。

米国では1億人がポッドキャストを聞いていますが、勢いを増しているとはいえ、オーディオが日常生活の一部になるようなクロスオーバー行動はまだ見られません」とCEOのDoug Imbruce(ダグ・インブルース)氏は述べている。「それは、ポッドキャストを発見して消費するという体験が古いからだと考えています。まさに、1997年にウェブブラウジングしたような感覚です」。

インブルース氏の名前は長年のTechCrunch読者には馴染みがあるかもしれない。彼は以前、2010年のTechCrunch Disruptでスタートアップ戦線を制したQwikiのCEO(Cloudflareが次点の1つだった)であり、同スタートアップは数年後にYahooに買収された

同氏も認めているように、Qwikiはオンラインメディア消費を再構築するという彼の期待には決して応えられなかったが、その「機械で作成されたメディア」のビジョンは、彼がPodzによって切り拓いていきたいと思っている未来の「一端」を垣間見せてくれたという。

このスタートアップが解決しようとしている問題は非常に単純だ。ポッドキャストは多くの場合、30分または60分以上の口語音声で構成されているため、それらを聞くするのは難しく、新しいものを発見したとしても、それは通常、口コミでの推薦や不便な検索ツールを介して行われている。

Headlinerのようなツールは、ポッドキャスターがソーシャルメディア上の短いクリップでコンテンツを宣伝することを簡単にするが、Podzはその作成プロセスを自動化し、それらのクリップをリスニング体験の中心にする。

画像クレジット:Podz

Podzモバイルアプリでは、ユーザーは60秒のポッドキャストクリップで構成された、同社が「初の音声ニュースフィード」と呼ぶものを視聴することができる。これらのクリップは、各ポッドキャストの最高の瞬間をハイライトするように設計されており、現在ユーザーが購読しているポッドキャストよりもはるかに幅広いタイトルを簡単に試せるようになっている。それぞれのクリップは独立しているが、より深く掘り下げたい場合は、全エピソードを保存しておいて後で聞くこともできる。

これらのクリップは自動的に作成され、インブルース氏によると「Podzプラットフォームの鼓動している心臓部」は、「ポッドキャストの最も興味をそそる部分を識別する」機械学習モデルだという。このモデルは、ジャーナリストやオーディオ編集者と相談し、10万時間以上のオーディオを使って訓練された。

ここでたとえばTC Original Contentポッドキャストの最新の3つのエピソードから選ばれたクリップを見て(聞いて)みよう。「Soul」「The White Tiger」そして「Bridgerton」に対する我々のレビューだ。各クリップはまあまあ自己完結しているように思え、(より雄弁な共同ホストではなく)すべて私に焦点が当たっていたことには少し落胆したが、Podzの広報担当者は、アプリが「最高密度のスピーカーに焦点を当てるためだ」と説明してくれた。

Podzのニュースフィードは、ユーザーの興味に合わせてパーソナライズされている(そして、そう選択した場合、ユーザーがApple Podcastsでフォローしているポッドキャストや、Twitterでフォローしているアカウントを参考にすることもできる)。インブルース氏は、リスナーの行動を観察しながら、時間の経過とともに賢くなっていくはずだと述べている。

同社のチームは時間の経過とともに、ポッドキャスターのためのより多くの創造的なツールやマネタイズツールを導入していきたいと考えていると彼はつけ加えた。「作成されるオーディオの量を10倍に増やし、オーディオの収益化を100倍にすることができると実際に期待しています」とも。

インブルース氏に加えて、Podzの設立チームには、CTOのSeye Ojumu(セイエ・オジューム)氏、デザイン責任者のRasmus Zwickson(ラスマス・ズウィックソン)氏、iOSリーダーのGreg Page(グレッグ・ページ)氏がいる。同社はM13、Canaan Partners、Charge Ventures、Humbitionの他、前出のクーリック氏、ヒルトン氏(自身のポッドキャストを立ち上げる予定)、ABCのThe Trend ReporterのジャーナリストであるMara Schiavocampo(マーラ・スキアヴォカンポ)氏など、著名なエンジェル投資家からプレシード資金として250万ドル(約2億6000万円)を調達している。

「私たちはオーディオの黄金時代を生きていますが、5000人以上の聴衆に到達しているポッドキャストはわずか1%です」とM13のゼネラルパートナーであるLatif Peracha(ラティフ・ペラチャ)氏はメールで筆者に話してくれた。「Podzは既存のオーディオの視聴者を増やすことを計画していますが、本当の焦点は、クリエイターツールを活用して新しいオーディオを増やすことにあるでしょう。すでに、平均的なポッドキャストリスナーは7つのポッドキャストを購読していますが、Podzでは30近くのポッドキャストをフォローしています。初期の段階では、同社のチームはこのカテゴリで変革的な製品を構築できると楽観視しています」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Podzポッドキャスト資金調達

画像クレジット:Podz

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(文:Anthony Ha、翻訳:Aya Nakazato)

技術者がいなくても文書処理をAI化できるノーコードプラットフォームのLang.aiがシードで2.1億円調達

企業のためのノーコードプラットフォームを開発したLang.aiが、200万ドル(約2億1000万円)のシードラウンドを完了した。

企業ユーザーは、同社のSaaSプラットフォームとドラッグ&ドロップのインタフェイスを利用して、AIが抽出したコンセプトに基づき、自由形式のどのようなテキストデータでも、指定したカテゴリーに分類することができる。

Village Globalがこの投資をリードし、新旧の投資家としてAccelepriseやOceans Ventures、Alumni Ventures Group、2.12 Angels、GTMFundそしてLorimer Venturesらが参加した。

2018年、スペイン生まれのJorge Peñalva(ホルヘ・ペナルバ)氏は「どのような企業でもエンタープライズ級の自然言語処理モデルを数分で作ることができる」を目標に、Lang.aiを創業した。Lang.aiでは、非技術系のユーザーでも、顧客サービスや苦情処理などのユースケースにおいて反復的なタスクを自動化できる。ペナルバ氏によると、同社のクラウドでもユーザー企業のクラウドでも、どちらにもインストールできるという。

Lang.aiの売上は、2020年最後の四半期から2021年最初の四半期にかけて倍増し、シード資金は主にその勢いを維持するために導入した。「大企業の顧客からはプロジェクトでの需要があるため、それに対応するためには資金が必要だった」とペナルバ氏は語る。

以前、SéntisisのCEOだったペナルバ氏は、無構造の自由テキスト形式のデータの処理が、多くの企業にとって盲点であることをよく知っていた。「今日では、企業のさまざまなところで発生するテキスト情報を読んだり処理したりすることに、膨大な経費と時間がかかっています。Lang.aiのミッションは、『企業が、自前のアルゴリズムを作り、訓練する際の技術的な障壁がない状態でAIの活用能力を持てるようにする』ことです」とペナルバ氏はいう。

ペナルバ氏によると、Lang.aiのプロダクトは顧客の過去データを「ほんの数分で」読み、AIが抽出したコンセプトを提案して、企業独自のカテゴリーをドラッグ&ドロップのインターフェイスで作る。そのカテゴリーはリアルタイムで適用され、手作業によるタグづけやサポートチケットの配布、保険の請求の処理、次々と入ってくる作業オーダーに応じた現場技術者の派遣といった面倒なタスクを自動化する。つまりLang.aiの目標は、AIを企業が実装するときの技術的な重荷を取り去ることだ。

Lang.aiのユーザーコミュニティは「Citizen NLP Builders(市民的自然言語処理作者)」と呼ばれ、カスタマサービスやマーケター、アナリスト、UXのデザイナーなど、非技術系のビジネスユーザーが主体だ。主な顧客はFreshly、Userzoom、Playvox、SpainのCaixaBank、Yalo Chat、Bancolombiaなどとなる。

Freshlyのインフラストラクチャ担当ディレクターであるBen Segal(ベン・シーガル)氏は、「このプラットフォームは、頭の回転が速い」と形容する。「インストール後の2日間でタグづけをすべて自動化できたが、それは、それまでの2年間使っていたプラットフォームに比べて信頼度が15%も高い。しかもチーム全員がサポートデータを利用できる。マーケティングのチームはワークフローを作っており、顧客の重要な時間を理解する。またデータと分析のチームは、Snowflakeの新しいタグを喜んでおり、しかも使いやすい」。

ペナルバ氏は、Lang.aiの技術者チームが主にスペインにいること。そして、わずか10人であるにも関わらず母国以外でも利用される企業に育てたことを誇りに思っている。「わずかな人数で、しかも2年とちょっとで、エンタープライズ級のプロダクトを開発し、そのビジョンにふさわしい初期の顧客と投資家を見つけることができました。グローバルな企業にするために、スペインから米国に移りましたが、それは始まりにすぎません。Lang.aiは常に、移民のみなさんの力を借りています。それが当初からの我が社の価値です」とペナルバ氏はいう。

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Lang.ai資金調達ノーコード

画像クレジット:Lang.ai

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Hiroshi Iwatani)

大規模に展開されたIoT端末の管理プラットフォームSecuriThingsがシリーズAで14.6億円調達

大規模に展開されたIoTデバイスの管理は、とても面倒な仕事だ。しかもそれらをIT部門が直接管理していなかったり、サードパーティシステムとの統合があちこちにある場合は、相当厄介なものとなる。そこでSecuriThingsは、それらすべてをコントロールするサービスのプラットフォームを提供する。同社はこのほどシリーズAで1400万ドル(約14億6000万円)を調達したことを発表した。

Alephがこのラウンドをリードし、既存投資家であるFirstime VCと、匿名のエンジェル数名が参加した。Crunchbaseのデータによると、同社の調達総額はこれで1700万ドル(約17億8000万円)になる。

CEOで共同創業者のRoy Dagan(ロイ・デイガン)氏によると、1つのネットワークにさまざまな種類のデバイスが接続されている場合、管理も難しい。「IoTデバイスの大規模な展開を、統一的でコスト効率の良い方法で管理できるようにする」と同氏はいう。

プラットフォームには、セキュリティカメラのようなデバイスも使うし、アクセス制御システムやビルなど建物の管理システムも利用する。管理対象デバイスの総数が、数十万になることもある。「構築したテクノロジーを管理システムと統合し、エッジデバイスに重点を置いた機能を展開します。デバイスを検索し、エッジデバイス上で実行されているさまざまな機能やエッジデバイスからの情報の取得することができます」とデイガン氏は説明する。

画像クレジット:SecuriThings

同社は、MicrosoftやConvergint Technologies、Johnson Controlsといった主なデバイスメーカーと提携。また空港やカジノ、大企業のキャンパスなど、さまざまな業界とも提携している。

今回の投資をリードしたAlephのゼネラルパートナーであるAaron Rosenson(アーロン・ローゼンソン)氏によると、同社は大きな組織が抱える膨大な数のデバイスの管理という難しい問題を解決する。「SecuriThingsが登場するまで、オートメーションやオーケストレーション、オブザーバビリティ(可観測性)といった大規模なエンタープライズソフトウェアのカテゴリーはあったが、IoTのために作られたものはなかった」とローゼンソン氏は声明で述べている。彼によると、SecuriThingsは顧客のためにそれらをすべてまとめているという。

SecuriThingsは2016年に創業された。同社は当初IoTのセキュリティ企業を目指していた。デバイスのセキュリティ保護には現在でも関わっている。これらのデバイスと通信する機能によってIT部門は、より優れた可視性と洞察力を得ることができ、それらを更新、管理可能になる。

同社は現在30名だが、新たな資金により2021年中には倍増する。デイガン氏は顧客数を明らかにしなかったが、SecuriThingsには受注総額が5〜7桁(数百万〜数億円)の顧客が数十社いるという。

関連記事:IoTのセキュリティサービスは需要急増でArmisは早くもシリーズCで70億円相当を調達

カテゴリー:IoT
タグ:SecuriThings資金調達

画像クレジット:dowell/Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ソーシャルゲーム用動画インフラの構築を目指すPowderが14.5億円を調達

Powder(パウダー)を紹介しよう。大好きなゲームの動画を簡単にシェアでき、好みの合う人たちをフォローしたり、会話ができるようにしてくれるフランスのスタートアップだ。同社はSerenaが主導するシリーズA投資1400万ドル(約14億5000万円)を調達した。

Powderはソーシャルゲーム用動画インフラの構築を目指している。すでに数多くのゲーマーコミュニティがTwitchやDiscordやRedditなどを使ってゲーム動画をシェアしているが、ゲームに特化して大きな支持を得ているモバイルアプリはまだ存在しない。

ゲーマー専用のInstagramやSnapchatといえないこともないが、Powderはそうした主流のソーシャルプラットフォームと似て非なる特別なツールを提供する。

Powderは、あらゆるプラットフォームの動画をキャプチャーできる。Powderのアカウントに接続すれば、ゲーム機でも録画ができて、これまでに取り込んだ動画の再生もできる。同社のデスクトップアプリを使えばパソコンで動画キャプチャーが行える。さらに、モバイルゲームの動画もキャプチャー可能だ。

同社では、好きなゲームの最も価値ある場面の特定にも挑んでいる。たとえば「Rocket League(ロケットリーグ)」のゴールの瞬間や「Fortnite(フォートナイト)」で最後まで勝ち残ったときなどだ。

録画した動画は、トリミングやフィルター加工が可能で、音楽やステッカーをつけてフォロワーにシェアできる。またそれを見た人たちは、リアクションやコメントをつけたり、メッセージを送ったりができる。

 画像クレジット:Powder

同社の調達額は総計で1800万ドル(約18億8000万円)だが、その調達物語は実に透明性が高い。2018年8月、同社はプレシードラウンド40万ドル(約4200万円)を、Kima VenturesとZenlyの共同創設者Antoine Martin(アントニー・マーティン)氏とAlexis Bonill(アレクシス・ボニル)氏から調達。2019年3月にGeneral Catalyst、Slow Ventures、Dream Machine、SV Angel、Brian Pokorny(ブライアン・ポコルニー)氏、Florian Kahn(フロリアン・カーン)氏、Guillaume Luccisanoから150万ドル(約1億5700万円)を調達した。

2020年5月ごろ、同社はシードラウンドの追加拡張で130万ドル(約1億3600万円)を、Alven Capital、Seraam Invest、Farmers、Maxime Demeure(マクシム・デムア)氏、Jean-Nicolas Vernin(ジーンニコラス・バーニン)氏、そして従来からの投資者の一部から調達した。BpifranceとCNCも同社に資金援助している。そして今回は、Serenaが1400万ドルのシリーズAラウンドを主導し、General Catalyst、Slow Ventures、Alven Capital、BpifranceのDigital Venture fund、Secocha Ventures、Turner Novak(ターナー・ノバック)氏、Kevin Hart(ケビン・ハート)氏が参加した。

ご覧のとおり、それは紆余曲折の長い道のりだった。というのも、Powderがゲームのためのソーシャルアプリというものを、すぐに思いついたわけではなかったからだ。同社はこれまで、数々の消費者向けアプリに挑戦してきた。数週間アイデアを練り上げては、うまくいかなければコンセプトを捨てるという繰り返しだった。しかし、どうやらPowderは、大量のダウンロードを促し大量のユーザーを誘い込む、強力なディストリビューションのメカニズムを発見したようだ。

「Powderの基礎となる考え方は、2019年12月に生まれました。当時すでにいくつかのプロジェクトに取りかかっていましたが、どれもあまりうまくいっていませんでした。そこで私たちは、まずコミュニティを作ってからアプリを開発するのが得策だと気づいたのです」と、共同創設者でCEOのStanislas Coppin(スタニスラス・コピン)氏は私に話した。彼は以前、音楽動画アプリMindieを開発した企業を共同創設している。

PowderはDiscordのサーバーとしてスタートし、数万人のメンバーを集めた。その後彼らは、そのコミュニティにアピールするアプリの開発に着手した。それは、コピンの言葉によれば「メタバースカメラ」だ。おかげでローンチ以来、そのiOSアプリのダウンロード数は合計15万件に上っている。

共同創設者はコピン氏の他に3人。Barthélémy Kiss(バルセレミー・キス)氏とYannis Mangematin(ヤニス・マンゲマチン)氏とChristian Navelot(クリスチャン・ナヴェロット)氏だ。従業員数は18名。このほどAndroid版もローンチされた。

 画像クレジット:Powder

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Powder資金調達ソーシャルゲーム

画像クレジット:Powder

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(文:Romain Dillet、翻訳:金井哲夫)

機械学習を利用しモバイル広告詐欺に対抗するScalarrが約7.8億円調達

機械学習を利用して広告詐欺に対抗するスタートアップのScalarrが、シリーズAで750万ドル(約7億8000万円)を調達したと発表した。

ScalarrはCEOのInna Ushakova(インナ・ウシャコワ)氏とCPOのYuriy Yashunin(ユリイ・ヤシュニン)氏によって設立された企業で、2人は以前、モバイルマーケティングエージェンシーのZennaを率いていた。ウシャコワ氏はZennaに在籍していた時に、広告詐欺がビジネスに真の脅威をもたらすまでに成長していることに気づいたと語っている。

同時に、チームは既存の不正防止ソリューションのどれにも魅力を感じていなかったため、独自のテクノロジーを構築した。結局、彼らはZennaを完全に閉鎖し、チーム全体をScalarrへ移行した。

Scalarrの製品には、広告主が広告に入札する前に不正行為を検出するAutoBlockや、アドテクプラットフォーム(アドエクスチェンジ、デマンドサイドプラットフォーム、サプライサイドプラットフォームを含む)で使用されるDeepViewなどがある。

Scalarrによると、市場に出回っている既存の製品よりも60%多くの不正を検知することができ、2020年には顧客の広告詐欺の払い戻し金を2200万ドル(約23億円)節約できたという。これはスタートアップが機械学習技術を幅広く活用していることが大きな要因だと、ウシャコワ氏は述べている。

また大規模な広告配信企業は詐欺対策プロダクトを追加しているが、それは焦点ではないとウシャコワ氏はつけ加えた。歴史的に、企業は詐欺行為を示唆する行動のリストとなる「ルールベースのアプローチ」を通じて詐欺を検出しようとしてきたが、どんなに迅速にルールを作成しても、詐欺師たちに追いつくのは困難だ。

「不正行為は常に進化しています」とウシャコワ氏は語る。「『トムとジェリー』のゲームのようなもので、詐欺師は常に先を行っており、私たちは彼らを捕まえようとしています」。

機械学習が効果的な理由については、「次のステップを予測するのに役立つのはML(機械学習)だけで、MLを使えば分類されていない異常を検出できるはず。その直後に、我々のアナリティクスがそれらの異常を確認し、何か統計的に重要なのかを判断できるようになるはずです」と語った。

ScalarrのシリーズAはEuropean Bank of Reconstruction and Developmentが主導し、TMT Investments、OTB Ventures、Speedinvestが参加した。同社は特にアジアでのプレゼンスを拡大し、製品の開発を継続するために資金を使用する。

カテゴリー:セキュリティ
タグ:Scalarr機械学習資金調達

画像クレジット:Mix3r / Shutterstock

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(文:Anthony Ha、翻訳:塚本直樹 / Twitter