物流のボトルネックとなる搬入出口のスマート化を手がけるKargoが6.3億円の資金を調達

Sam Lurye(サム・ルリー)氏は、トラックが荷物の積み降ろしをするローディングドック(搬入出口)について、物流のボトルネックであると同時にチャンスでもあると考えている。

このチャンス、つまり配送センターの倉庫や工場といった物理的なインフラとデジタルの間に生じる今日の緊張や、将来に向けた自動運転の推進から、そこにチャンスがあると考えたルリー氏は、スマートローディングドックのプラットフォーム開発を手がけるKargo(カーゴ)を設立した。このスタートアップ企業は先日、Founders Fund(ファウンダーズ・ファンド)、Accomplice(アカムプリス)、Sozo Ventures(ソーゾー・ベンチャーズ)ほか、名前の明かされていない投資家たちから、600万ドル(約6億3000万円)のシード資金を調達した。

同社を2019年後半に設立した当初、ルリー氏は数カ月かけて米国中を旅し、配送センターの倉庫や工場を訪ねて回り、何百人ものトラック運転手、工場労働者、サプライチェーンの管理者から話を聞いた。流通の自動化における変化が、彼らのどんなところに影響を与えているかを理解するためだ。

彼らの主な不満は、ローディングドックだった。

「自動車やエレベーターなどを使って物流を自動化しても、結局はローディングドックを通ることになります」と、ルリー氏は最近のインタビューで語っている。「ローディングドックは産業界のユニバーサルAPIのようなもので、どんな産業施設でも、これによって外の世界と接続しているわけです」。

ローディングドックはどこにでもあるが、それが問題になってもいる。平均的なトラックがドックで積み込みや荷降ろしをするのに2時間半も待たされるのは、一般的にこれがボトルネックになっているからだ。米国運輸省の調査によると、トラックがその平均滞留時間を超えて待機する時間が15分増えるごとに、その後のルートで衝突事故が起こる可能性が6.2%増加するという。

物流の自動化というと、自動運転トラックや倉庫ロボティクスに注目しがちだが、来たるべきそれらへの投資の波に対して倉庫や工場は準備ができていないと、ルリー氏は結論づけた。

Kargoは単にデジタルなプラットフォームを提供するだけでく、物理的なセンサータワーを積荷ドックに設置する。このコンピュータビジョンセンサーは、リアルタイムで出入りするすべての貨物を自動的に識別し、確認することができる。専用のソフトウェアプラットフォームが、そのデータをすべて取り込むため、顧客はそれを使用して、サプライチェーンをマクロまたはミクロの視点で見ることができる。

画像クレジット:Kargo

Kargoは、このセンサーの販売と、顧客がデータにアクセスできるソフトウェアのサブスクリプションを提供することで収益を上げる。

ルリー氏によれば、このプラットフォームによって顧客は積荷時間を40%以上短縮することができるという。プラットフォームに接続するローディングドックが増えるほど、Kargoが構築した予測機能は改善が進み、顧客は情報に基づいて出荷の遅延や積み残しを予測することが可能になる。

2021年におけるルリー氏の目標は、この新たに調達した資金を使って、現在7人の従業員を今後数カ月間で倍増させること、そして初の商業化となる50カ所のローディングドックを立ち上げること、さらに年末までにその数を3倍に増やす計画を実現することだ。2022年には1000カ所以上のローディングドックをプラットフォームに追加したいと、ルリー氏は考えている。

Amazonのような電子商取引の巨人だけでなく、何百もの販売業者や流通業者が倉庫や工場内の自動化を進めることで、Kargoのプラットフォームやセンサーの需要が高まる可能性がある。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Kargo物流資金調達

画像クレジット:Kargo

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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