シフト管理SaaS「らくしふ」運営のクロスビットが事業拡大を目的に2億円調達

シフト管理SaaS「らくしふ」運営のクロスビットが事業拡大を目的に2億円調達

シフト管理SaaSサービス「らくしふ」運営のクロスビットは9月28日、事業拡大を目的とした2億円の資金調達を実施した。引受先はニッセイ・キャピタル、みずほキャピタル、East Ventures、YJキャピタル。

今後は、企業のシフト管理の効率化だけではなく、AIを用いた需要予測と最適労働力配置により、企業のさらなる利益向上を実現するサービス開発に取り組むとしている。

らくしふは、LINEを用いて「シフト管理の効率化」と「従業員の最適配置」で利益を最大化するシフト管理ツール。導入店舗数は4500店舗以上を突破しており、シフト管理業務の90%以上の削減や、他店舗間のヘルプ機能の活用による数百万円分のリソースの創出など、さまざまな成功事例が生まれているという。

シフト管理SaaSサービス「らくしふ」運営のクロスビットが事業拡大を目的に2億円調達

2016年4月設立のクロスビットは、「Smart Life to All Workers」をミッションに、2017年8月より「らくしふ」を提供開始。

らくしふの特徴は、「データの可視化による正確な予実管理の実現や労働管理の徹底」などによる会社全体を管理する経営層の課題解決、「データに基づいた利益創出や現場でのシフト管理体制の構築」などによる店舗管理者の負担軽減、「希望するシフトや環境で働くなど、管理者との円滑なコミュニケーションの推進」による従業員のモチベーション向上としている。

自動目視検査など製造業にAI外観検査システムを提供するMENOUが8000万円を調達

自動目視検査など製造業にAI外観検査システムを提供するMENOUが8000万円を調達

自動目視検査システムの提供など、ディープラーニング技術を製造現場に適用するMENOU(メノウ)は9月28日、約8000万円の資金調達を発表した。引受先はDEEPCORE、シーシーエス、三菱UFJキャピタル。

調達した資金により、専門知識を持たなくても高度なAI外観検査システムをノーコードで社内開発できるソフト「MENOU-TE」(メノート)の機能拡張を加速加速させ、応用範囲を拡げる。

ディープラーニング技術の進化に伴い、AIによる検査は理論的に可能なものの、実際に製造現場への導入となると、多くの障害があるのが実態という。

MENOUでは2019年の設立以来、熟練した目視検査員の手法を模した高速・高精度のAIソリューションを多くの製造業に提供。MENOU-TEでは、AI導入の障害を取り除くための以下のような機能を取り揃えているという。

  • GUIによるAI検査モデル作成
  • GUIによるアノテーション・ラベリング(学習操作)
  • 精度の検証
  • 画像ファイル管理
  • 複数AIモデルの管理

外観検査の画像取得については従来通りMENOU-INサービス(導入サービス)も提供。照明やカメラなどの最適な撮像構成を提案し、AI外観検査の導入を総合的にサポートする。

顧客接点構築・運用ツールでカスタマーサクセス・サポートを支援するコミューンが4.5億円を調達

オンライン顧客接点の構築・運用ツールのコミューンが4.5億円を調達

顧客体験を最適化するコミュニティタッチツール「commmune」(コミューン)提供のコミューンは9月28日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資として総額4.5億円の資金調達を実施したと発表した。引受先はDNX Ventures、既存株主のUB Ventures。調達した資金は、commmuneのサービス強化のための機能開発、人材採用などにあてる予定。

commmuneは、企業とユーザーをつなげるコミュニティタッチツール。オンライン顧客接点(ユーザーコミュニティ)の構築・運用を通じ、カスタマーサクセス・サポートの効率化、LTVの向上、マーケティング効果の創出を実現する。

オンライン顧客接点の構築・運用ツールのコミューンが4.5億円を調達

これまで企業の顧客接点は、(1)訪問や電話などアナログな手段が多く、(2)目的によりチャネルが分断され、(3)企業から顧客への一方通行のコミュニケーションに偏っており、効率面でも負荷が大きく、また顧客の力を生かすことができずにいた。

これら課題に向き合い、同社は「コミュニティ」を通じ、顧客との共創を実現し、企業と顧客のコミュニケーション効率化とエンゲージメント向上を実現するツールとしてcommmuneを開発、提供を行ってきた。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、リアルな顧客接点が持てなくなった企業のオンライン化ニーズが高まり、同社への問い合わせはそれ以前の約2倍に増加しているという。特に、大手BtoB企業における既存顧客のエンゲージメント向上のための導入が加速しており、企業が顧客接点の変革を迫られていることを実感しているとした。

このような背景も受け、同社はcommmuneを通じて、企業の顧客接点の(1)デジタル化、(2)統合管理、(3)双方向コミュニケーションの提供をさらに加速するため、資金調達を実施したという。

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高エネルギー効率チップに取り組むNUVIAが約253億円調達、元Apple Aチップ開発者が挑む

このところ気候変動は皆の関心事だ。ベイエリア郊外での山火事によってサンフランシスコ上空がオレンジ色に染まり、東海岸はハリケーンに見舞われた(これらは過去2週間、米国で起きたことだ)。

そして排気ガスの原因、その中でも主要かつ急成長中のものは我々のデバイスのほとんどを動かすクラウドインフラのデータセンターだ。こうした実情により新たなアイデアも出てきている。例えば、Microsoft(マイクロソフト)の海底データセンターProject Natickだ。1週間と少し前にテストのために同社は水中から回収した

ただ、こうした興味深い実験にもかかわらず、より効果がはっきりとしているソリューションがある。よりエネルギー効率のいいチップの製造だ。

それがNUVIA(ヌビア)の命題だ。同社はApple(アップル)のiPhoneやiPad向けチップAシリーズのデザインを何年にもわたって担当してきた元チップデザイナーによって設立された。それらチップはかなりタイトなエネルギーエンベロープの中で驚くほど高速だ。そして、NUVIAの前提は必然的にそうしたエネルギー制約を抱える時に起こることに置かれ、データセンターに使われるものだ。

TechCrunchは昨年、NUVIAが5300万ドル(約56億円)のシリーズAを発表したときに同社について詳しく取り上げた。同社の創業ストーリーやミッションを理解したい人はそちらを読んでほしい。それからおよそ1年たち、同社はさらに大きな資金調達のニュースで再登場した。

NUVIAは9月24日、2億4000万ドル(約253億円)のシリーズBラウンドを発表した。本ラウンドはMithril Capitalがリードし、他にも多くの投資家が参加した。

最後にNUVIAに話を聞いたときよりも、TechCrunchは同社が何に取り組んでいるのかもう少し詳しい情報を得た。現在「Orion」という名称のシステム・オン・チップ(SoC)と、「Phoenix」というCPUコアの2つのプロダクトを開発中だ。同社は先月、Phoenixのパフォーマンスを少し紹介した(NUVIAブログ)。ただ、ほとんどのチップ企業がそうであるように、そうしたテクノロジーが今後マーケットに投入される既存あるいは将来のチップの仲間に加わるのか、長期的に予測するにはまだ早すぎるようだ。

NUVIAの考えは、ほとんどのデータセンターの冷却・エネルギー制約を考えたとき、チップは消費電力250〜300W(ワット)に限定される、というものだ。より多くのコアが共通のプレチップになるにつれ、各コアはパフォーマンスを維持しつつ低消費電力を実現しなければならなくなる。NUVIAの技術はこの問題を解決しようとしている。データセンター事業者の運用総費用を下げながら、一方で全体的なエネルギー効率を向上させる。

もちろん取り組むことはまだ多くあり、NUVIAの技術が完成に近づくに従って同社からプロダクトの発表やプレビューがあることが予想される。新たに調達した2億4000万ドルでもってもちろん取り組みを前進させるリソースを得ることになる。

昨年同社に話を聞いた直後に、アップルはNUVIAのCEO、Gerald Williams III(ジェラルド・ウィリアムズ3世)氏を契約違反で訴えた。アップルの主張は「ウィリアムズ氏が自身の新しいスタートアップのためにアップルの従業員を引き抜こうとした」というものだ。ウィリアムズ氏も今年初めに逆提訴し、訴訟は証拠の開示を求める手続きの段階にある。

リードしたMithrilに加えて、今回のラウンドは半導体大手Marvellの創業者(Sehat Sutardja氏とWeili Dai氏)とのパートナーシップのもとに行われ、ファンドはBlackRock、Fidelity、Temasekが管理した。またAtlantic BridgeとRedline Capital、そしてシリーズAの投資家からCapricorn Investment Group、Dell Technologies Capital、Mayfield、Nepenthe LLC、WRVI Capitalが参加した。

画像クレジット:Andriy Onufriyenko / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

バイオテックや医薬品研究のコラボサービス「Within3」が105億円以上を調達

バイオテクノロジーや製薬業界のためのコラボレーションとコミュニケーションのサービスを提供しているオハイオ州レイクウッドのWithin3が、新たに1億ドル(約105億円)以上を調達したと発表した。

今回の資金調達はInsight Partnersによるもので、Silversmith Capital Partnersも参加した。

Within3の発表によると、トップ20に入る製薬会社の大半が同社のサービスを利用して臨床研究の公開や諮問委員会の開催、研究者や医薬品開発関係者との共同作業をしているという。

Within3は、今回調達した資金で製品開発を進め機能を増やして成長を支えると述べている。

Insight PartnersのマネージングディレクターであるDeven Parekh(デビン・パリク)氏は発表の中で「Within3のような企業に投資をする機会はなかなかめぐってこない。同社はこの12四半期で爆発的な成長を見せ、毎月記録を更新し続けている。世界中のライフサイエンスのエコシステムで共同作業、コミュニケーション、協力がますます不可欠になっている現在、我々は戦略的な専門知識を提供してWithin3の成長を支援することとなり、たいへん喜んでいる」と述べた。

今回の資金調達の結果、パリク氏のほか、Insight PartnersのマネージングディレクターであるAdam Berger(アダム・ベルガー)氏とRoss Devor(ロス・デボー)氏がWithin3の取締役になる。

新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な感染拡大によって、さまざまな業界でバーチャルコラボレーションツールを求める企業が増えている。製薬やバイオテクノロジーの企業も例外ではない。

むしろ規制による要件があるため、製薬やバイオテクノロジー業界の厳しいニーズに合わせて設計された専用のツールキットが多額の資金を調達したことは納得できる。

Within3は150カ国以上で使われていることを誇る。

同社CEOのLance Hill(ランス・ヒル)氏は発表の中で「我が社のソリューションに対する世界的な需要は空前の勢いで高まっている。ライフサイエンス企業は、従来の直接のやり取りによるエンゲージメントのレベルを超え、コンプライアンスのニーズをすべて満たし、全社にスケールできるバーチャルワークのソリューションを求めている。そうした企業は、望むソリューションをWithin3に見つけた」と述べた。

カテゴリー:ヘルステック

タグ:Within3 資金調達

画像クレジット:Eugeneonline / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

インドネシア拠点のクラウドキッチンスタートアップYummyがソフトバンク・ベンチャーズ・アジア主導で12.6億円調達

インドネシア拠点のYummy Corporationは9月24日、SoftBank Ventures Asia(ソフトバンク・ベンチャーズ・アジア)が主導するシリーズBの資金調達で1200万ドル(約12億6500万円)を調達した。同社は、インドネシア最大のクラウドキッチン管理会社をうたうスタートアップ。共同創業者兼最高経営責任者のMario Suntanu(マリオ・サンタヌ)氏は「調達した資金はより多くの主要都市への進出と、データ分析を含む技術プラットフォームの開発に充てる」とのこと。

このラウンドのほかの参加者には、Intudo VenturesとSovereign’s Capital、新規投資家としてVectr Ventures、AppWorks、Quest Ventures、Coca Cola Amatil X、Palm Drive Capitalが含まれる。シリーズBにより、Yummy Corporationのこれまでの調達総額は1950万ドル(約20億5600万円)になる。

2019年6月にサービスを開始したYummy Corporationのクラウドキッチンのネットワークは、Yummykitchenと呼ばれ、現在ジャカルタ、バンドン、メダンに70以上のHACCP認定施設が含まれている。Ismaya Group(イスマヤグループ)やSour Sally Group(サワーサリーグループ)などの現地の大手ブランドを含む50社以上の食品・飲料企業と提携している。

サンタヌ氏は「新型コロナウイルスの感染蔓延による移動制限の間、ほとんど自宅に閉じこもっている人々が食べ物を宅配するようになり、Yummykitchenのビジネスは『健全な成長』を示した」と述べた。調達した資金は、より多くのパートナー、特に新型コロナウイルスの継続的な影響に対応するために業務をデジタル化し、配達を拡大したいと考えているブランドを獲得するために投下するとのことだ。

東南アジアにおけるクラウドキッチンの数は、新型コロナウイルスの感染蔓延前から増加し始めた食材宅配の需要に牽引され、この1年で急速に増加している。しかし、収益の大部分をデリバリーに依存している食品・飲料ブランドにとって、自社のキッチンやスタッフを運営することはコスト面で不利になる可能性がある。クラウドキッチンをほかの企業と共有することで、利幅を拡大することができるという算段だ。

インドネシアでサービスを提供しているほかのクラウドキッチンのスタートアップには、HangryやEverplateなどがある。そして、これらの企業とYummy Corporationは、主要な2社のプレーヤーと戦っている。もちろんそれは「スーパーアプリ」を擁するGrabとGojekであり、どちらも大規模なクラウドキッチンのネットワークを運営し、オンデマンド配信サービスと統合できるという強みを持つ。

サンタヌ氏は、他のクラウドキッチンと比較したYummyの最大の強みは「キッチン設備に加えて、完全に管理されたロケーションやキッチン運営サービスを提供している点」を強調する。つまり、レストランやF&Bブランドを含むYummyのパートナーは、自分たちのチームを雇う必要がなく、料理の準備と配送はYummyの従業員が担当する。また同社は、クライアントにデータ分析プラットフォームを提供し、ターゲットを絞った広告キャンペーンや、フードデリバリーアプリ上でのリスティングをより目に見えるものにするための支援も実施している。

ソフトバンク・ベンチャーズ・アジアのSouteast AsiaアソシエイトであるHarris Yang(ハリス・ヤン)氏は声明の中で「同社のF&B業界における強力な専門知識とブランドへのユニークな価値提案を考えると、Yummyがこの分野のリーダーであり続けると確信している。Yummy のチームをサポートし、この新興セクターでの事業拡大を支援できることを嬉しく思います」とコメントしている。

画像クレジット:Yummy Corporation

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(翻訳:TechCrunch Japan)

シャオミのIoTデバイスにeSIMを供給するShowmac Techが約15.4億円調達

スマートハードウェアによって管理され、形作られる未来にはコネクティビティ(接続性)が不可欠だ。中国拠点のスタートアップであるShowmac Techは、デバイスとその背後にあるサービスプロバイダ間のシームレスで安定した通信を実現するためのインフラソリューションとしてeSIMを提案している。

Xiaomi(シャオミ)はこの提案を受け入れ、2017年にShowmac Techのエンジェルラウンドに出資した。今回Showmacはより多くの投資家の注目を集め、Addor CapitalがリードするシリーズA+ラウンドで1億元(約15億4600万円)近くを調達した。このラウンドには、GGV CapitalとHongtai Aplusも参加している。

Showmacの創業者兼CEOのLily Liu(リリー・リュー)氏はTechCrunchとのインタビューで、「私たちは、セルラー通信がIoT時代の主流になると考えています。Wi-Fiは少数のデバイスに接続している場合に十分に機能しますが、その数が急増すると信頼性が低下します」と語る。

従来のSIMとは異なり、「サブスクライバIDモジュール」(加入者識別モジュール)の略であるeSIMは、取り外し可能なカード上にある必要がなく、デバイス上のSIMカードスロットも不要だ。むしろ、組み立て時にデバイスの集積チップに組み込まれ、異なるネットワークオペレーター似対応する。チップメーカーにとってShowmacのeSIMは、アプリケーションやソフトウェア開発キット(SDK)のように機能する」とリュー氏は説明する。

同社はeSIMをシャオミのコネクテッドデバイスのエコシステムに供給するパイロットプロジェクトとしてスタートさせ、ソリューションが実現可能であることが証明された時点で事業を立ち上げた。現在の主力製品には、IoTデバイス向けのeSIMカード、eSIM通信モジュール、ゲートウェイ、サービスとしての接続管理ソフトウェアなどがある。

現在までに1000万台以上のデバイスにeSIMを供給しており、そのうち約30%がシャオミだ。シャオミは社内開発と外部投資を通じて、OSと消費者にリーチするIoTパートナーの帝国を築いてきた。

顧客の大部分はの共有部品のサプライヤーで「所有権と使用権が分かれています」とリュー氏。同氏は中国の有名な華中科技大学(Huazhong University of Science and Technology)で経済学の博士号を取得した人物だ。

同社は世界的なeSIM分野の先駆者とは言い難いがシャオミとの結びつきにより「サプライチェーンのリソースのレベルでは競合他社はほとんどない」とリュー氏は考えている。

「研究開発志向の比較的若いチームとして、毎日何十万、何百万という規模の製品を生産する大規模な産業活動を経験できたことは、非常に幸運でした。シャオミオは私たちにこの貴重な機会を与えてくれました」と創業者の劉氏。北京と深圳に40~50人の従業員を擁するこのスタートアップは、現在は中国市場に注力しているが長期的には海外展開を計画している。

リュー氏は「我々は世界で初めてeSIMを作ったわけではありませんが、世界の電子機器製造の中心地である中国にいることで、物事を成し遂げるのに有利な立場にあります」と語る。

5Gの到来は、スタートアップにとっての恩恵だと同氏は信じている。「5Gはより多くのIoTデバイスやアプリケーションを駆逐し、キャリアや地域を超えた機能を持つIoTデバイス]の必要性を生み出します」と述べた。

同社は今回調達した資金を、統合型eSIMモジュールの量産、研究開発、事業開発に充てるとしている。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

介護施設向けレクリエーション業務支援のエブリ・プラスが約5000万円を調達

介護施設向けレクリエーション業務支援のエブリ・プラスが約5000万円を調達

介護施設向けレクリエーション業務支援プラットフォーム「えぶりプラス」運営のエブリ・プラスは9月25日、第三者割当増資として約5000万円の資金調達を発表した。引受先はマネックスベンチャーズ、静岡キャピタル、エンジェル投資家の豊吉隆一郎氏。

調達した資金は、介護施設へのサービス導入の推進とともに、オンラインサービスを含む提供レクリエーション数の拡充に向け、レクリエーション提供登録者や事業パートナーの募集に利用する。

えぶり・プラスは、300種類以上の介護施設向けレクリエーションコンテンツを揃え、レクリエーションの企画から告知に加え、パフォーマーの手配や日程調整、報酬の支払いをワンストップで管理する業務支援プラットフォーム。

介護施設向けレクリエーション業務支援のエブリ・プラスが約5000万円を調達

介護施設の利用者・入居者からのレクリエーション実施ニーズは強いものの、多忙を極める通常業務の中で企画から実行を完結するには多くの手間がかかる。これに対して、えぶり・プラス導入施設ではレクリエーションの企画に要した作業時間を最大80%削減し、さらに定期開催を可能にしているという。

今後は、導入施設数の拡大とともに、withコロナ時代に合ったオンラインサービス含め、提供できるレクリエーションをより充実すべく、レクリエーション提供登録者や事業パートナーの募集を行う。

有害コンテンツと戦うAIプラットフォーム開発のSpectrum Labsが1000億円超を調達

米国大統領選挙を40日後に控え、米国人の目はネット上の会話に集中している。同時に、人々の判断を惑わそうとネットで拡散される本物そっくりの偽動画やフェイクニュースや誤解を招く広告にも強い関心が寄せられている。

だが政治的発言は、もちろん、インターネット利用者が制作したコンテンツを悪用し、有害な結果を引き起こそうとする目論見の一手段に過ぎない。米国時間9月24日、AIでそうした行為全般に対処しようというスタートアップが資金調達を発表した。

Spectrum Labs(スペクトラム・ラボズ)は、コンテンツのモデレーション、追跡、警告を行い、さらには、嫌がらせ、ヘイトスピーチ、暴力の扇動、その他40種類の有害行為を、英語の他数カ国語で阻止するためのアルゴリズムと一連のAPIを開発し、1000万ドル(約10億5000万円)のシリーズA投資を獲得した。同社はこの資金を用いてプラットフォームの拡大を計画している。

このラウンドはGreycroftが主導し、Wing Venture Capital、Ridge Ventures、Global Founders Capital、Super{set} が参加している。現在までに同社は1400万ドル(約14億8000万円)を調達した。

Spectrum Labsが有害な政治的発言と戦うようになったのは偶然ではない。

CEOのJustin Davis(ジャスティン・デイビス)氏によれば、このスタートアップは、2016年の前回の大統領選挙の余波の中で創設された。そのとき、彼と、マーケティング・テクノロジー畑出身の共同創設者で現CTOのJosh Newman(ジョシュ・ニューマン)氏は、オンライン上のあらゆる有害コンテンツとの戦いを支援する何かを作りたいと感じていた。それは、選挙の行く末ばかりでなく、インターネットやそれ以外の場所で毎日繰り広げられ、固定化されてきた大きな仲違いにおいても大きな役割が果たせる。ちなみに、2人の共同創設者と9名ほどの従業員は、みなKrux(ク kjラックス)での、そしてKruxを買収した後のSalesforce(未訳記事)での同僚だった。

「私たちは、みんなでそこに介入する方法を探りました」とデイビス氏。「自分たちのビッグデータの経験を生かしたいと考えたのです」。Kruxは、マーケターのためにオンラインコンテンツを分類し、キャンペーンの効果をより正確に測定する事業を専門としていた。「世界の役に立つためにね」と。

現在Spectrum Labsは、Riot Games(ライオット・ゲームズ)をはじめとするゲーム業界の大手、Pinterest(ピンタレスト)などのソーシャルネットワーク、Meet Group(ミート・グループ)などの出会い系サイト、メルカリなどのマーケットプレイス、DTCブランド、さらには社内の会話をトラッキングしたいと考える企業など幅広い分野の顧客を有している。

同社の主要プラットフォームはGuardian(ガーディアン)と呼ばれ(ロゴはよく似ているが同名の新聞とは異なる)、必要に応じてダッシュボードの形態になる。また、内部システムに統合して単にサービスのセットとして使うこともできる。

利用者はこの技術を使って、既存のポリシーの確認や検査をしたり、ポリシー改善の手引として利用したり、またはこれをフレームワークとして新しいサンプルを作り、コンテンツのトラッキングが上達するようラベリングしてモデルのトレーニングを行うこともできる。

コンテンツのモデレーションのためのツールは、もう数年前から出回っているが、たいていのは人の言葉を単純に補完したり、キーワードを検出するといった程度のものだ。今なら大量の誤検出が心配される。

最近になって、人工知能がその作業をパワーアップしてくれたのだ、ソーシャルメディアやチャットが一般に大人気となり、ネット上の会話が飛躍的に増加したこともあって、その登場には相当待たされた。

Spectrum LabsのAIベースのプラットフォームは、現在40種類以上の有害な行為を検出できるよう設定されている。嫌がらせ、ヘイトスピーチ、詐欺、いい顔をして人につけこむ、不法な勧誘、人の個人情報をさらすなどの行為のプロファイルを、世界の研究者や学会の意見を元にあらかじめ用意していたのだが、さらに多くのデータをウェブから取り込みつつ洗練を重ねている。

有害な行為を止めようとAIを活用しているスタートアップは、他にもある。たとえば今年になって、やはりソーシャルメディアでの会話に焦点をあてたSentropy(セントロピー)というAIスタートアップが資金調達(未訳記事)してステルスモードから姿を現した。L1ght(ライト)もネット上の有害コンテンツに立ち向かう事業に資金を調達(VentureBeat記事)した。

実際に注目すべき点は、善なる戦いをビジネスとするスタートアップの台頭だけではない。そんな企業を支援したいという投資家が現れたことだ。大儲けできるスタートアップとは言えないかもしれないが、長い目で見て社会を良くする努力であることに間違いはない。

「ジャスティンとジョシュには根性と立ち直る力があり、それが独創的なリーダーとチームをまとめています」と、GreycroftのベンチャーパートナーAlison Engel(アリソン・エンゲル)氏は言う。「しかし投資家として私たちは、体系的問題を解決するには資金が必要であることも承知しています。彼らを支援しなければなりません。それを成功させるためには連帯が欠かせません。プラットフォームを統合するのです。その多くはデータに起因する問題なので、そこを頑強にすることです。次にそれを支える人、そして3番目に資金です」。

「スタートアップ投資家の間で潮の流れが、そして投資先の選択が変化してきている」とエンゲル氏は感じている。「投資コミュニティーの支援を求めるなら、コミュニティーが発展して栄えることを望むなら、私たちは、そこにおける自分の価値体系は何かを考えることが重要です。私たちは、より大きな公益の一部となるプラットフォームに投資する必要があります。そうすれば、投資家もそこに関与するようになります」と締めくくった。

画像クレジット:Towfiqu Photography / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

東大発スタートアップTRUST SIMITHが創業以来金融機関からの融資のみで総額1.1億円を調達

東大発スタートアップTRUST SIMITHが創業以来金融機関からの融資のみで総額1.1億円を調達

数理アルゴリズム実装を手がける東大発スタートアップ「TRUST SIMITH」は9月25日、金融機関からの融資のみで総額1.1億円の資金調達を実施したと発表した。「技術⼒への⾃負」と「プロジェクト成功への確固たる⾃信」とともに⾦融機関からの融資にこだわっており、2019年1月の創業以来第三者割当増資を一切行っていないという。

TRUST SIMITHは、機械学習・ディープラーニング・数理アルゴリズムなどの最先端技術を実⽤化し、ロボティクス・ドローン・医療・製造業など様々な分野でイノベーションの実現を⽬指すスタートアップ企業。

調達した資金は、優れた研究者の採⽤⼒強化、研究開発に必要な設備投資、知財戦略の遂行に用いる。

同社には、東京⼤学・京都⼤学はじめ、学術レベルにおいてその領域の第⼀⼈者として最先端の研究開発を⾏う研究者が多数在籍。今後、R&D部⾨の取り組みを拡充させるため、社内に技術研究所を創設予定という。優秀な研究者に対し、能⼒に⾒合う適切な報酬設計と働きやすい開発環境の整備を⾏い、研究者の採⽤⼒強化に努めるとしている。

また同社は、ソフトウェアだけでなく、アームロボットやフォークリフトなどハードウェアへの実装までを含めた研究開発をR&D部⾨にて総合的に実施しているという。実証実験に必要な⾃社⼯場の準備や、製品開発に必要な機材の購⼊などにあてる。

さらに、イノベーションの創出、事業競争⼒の強化、組織・基盤の強化などを⽬的として、同社の発明における特許取得や、事業性の⾼い知財を持つ⼤学の研究室および企業様との連携を図っていく。技術⾯における競合優位性を維持しながら、同社だからこそなせる課題解決を追求し続けるとしている。

不確実性の⾼いスタートアップにおいて、創業期からIPOまでのエクイティファイナンスの基本パターンが確⽴されつつある中、無謀な戦略ともとれる「異例の」デットファイナンス(借入金融)に同社がこだわる理由は、「技術⼒への⾃負」と「プロジェクト成功への確固たる⾃信」があるからという。

とりわけAI開発においては、専⾨知識を持たないソフトウェア企業が、概念実証という名⽬のもと成功する⾒込みのないAIプロジェクトを安易に受託し、プロジェクトが失敗に終わるケースがあり、いわゆる「PoC倒れ問題」が近年話題となっている。

同社の経営⽅針は、⾃社技術の押し売りではなく、顧客企業にとっての「リスクの排除」と「利益の最⼤化」に対して責任を持つこととしている。徹底的なヒアリングと、世界中の技術論⽂のサーベイを重ねることで、プロジェクトの成功確率とプロジェクトがもたらす企業様の経済メリットについて事前に⼗分精査し、説明などを行っているという。

また、話題性のある技術であっても、顧客企業にとって投資対効果が⾒合わないケースや、プロジェクトが失敗するリスクを排除しきれないケースにおいては、固辞しているとした。

顧客企業のリスクの排除と利益貢献について徹底的に考え続けた結果、数多くの上場企業や⾦融機関
から信頼を積み上げることができ、創業2期⽬にして、融資のみでの1.1億円の資⾦調達に成功したという。

同社は、クライアントの株価を5年で最低でも2倍、最⼤で10倍以上に成⻑させることにコミットするとしている。

生産性と睡眠を向上させるパーソナルな「音環境」を生み出すEndelが5.3億円調達

ベルリンに拠点を置くEndel(エンデル)の売り文句は単刀直入だと、共同創設者でCEOのOleg Stavitsky(オレグ・スタビッツキー)氏は言う。

「私はEndelを説明するとき、いつもこう言います。これは集中とリラックスと睡眠を助けるテクノロジーですと」と。「もちろん、実際にやっていることは、もうちょっと複雑ですが」と同氏。

このスタートアップは米国時間9月23日、500万ドル(約5億3000万円)のシリーズA投資を獲得したことを発表した。主導したのはTrue VenturesKevin Rose(ケビン・ローズ)氏。そこに、SleepScore Ventures、Techstars Ventures(EndelはTechstars Music Acceleratorに参加していた)、Impulse Ventures、Plus 8 Equity Partners、Waverley Capital、Amazon Alexa Fund、Target Global、その他さまざまな投資家が参加している。

同社のメンバーは子供向けアプリの会社Bubl(バブル)でともに働いていた仲間だとスタビッツキー氏は教えてくれた。Bublを売却した後、彼らはサウンド関連の仕事を探し始めたのだが、やがて「睡眠や集中力、さらには成長などを助けるようデザインされた、マインドフルネスアプリのプレイリストが伸びていることを知った」とスタビッツキー氏は言う。

「仕事を始めた当初は、環境音楽を生成する機械を作ろうと考えていました」と彼は振り返る。しかしリサーチを進めると「パーソナルなものでないとダメだ。ひとつの曲や、ひとつのプレイリストや、ひとつの音風景では実現しない。それは、自分だけの宇宙に強く依存するからだ」と気付いたそうだ。

そしてそれが、Endelの製品となった。彼らのテクノロジーであるEndel Pacific(エンデル・パシフィック)が作り出す「音環境」は、集中、睡眠、リラックスをしたいとき、または外に出かけるときであっても、それぞれの人に応じてデザインされる。この環境は、時刻や天気、またはユーザーの心拍数や動作などによって、部分的に変化する。

画像クレジット:Endel

ローズ氏は、「リアルタイムのフィードバックを利用して、肉体を非常にポジティブな方向にコントロールし変化させる、閉ループシステムというアイデア」に興奮を覚えたという。そしてEndelは「科学に裏打ちされている」と強調する。

Endelのアプローチは、いくつかの科学分野から引き出されている」とスタビッツキー氏。概日リズム(毎日の睡眠周期の中の今どこにいるかを把握)、ペンタトニック音階(心地よいサウンド)、サウンドマスキング(気が散る音を小さくする)に関する研究だ。

このアプローチを支える科学の検証を強化するために同社はパートナー企業と協力しているが、すでにxフローの概念を提唱し関連本も執筆している心理学者であるMihaly Csikszentmihalyi(ミハイ・チクセントミハイ)氏が開発した経験サンプリング法を用いて、その音環境が集中力を6.3倍高め、不安を3.6倍鎮めることを確認できているという。

私も試してみた。昨日仕事中にEndelがミキシングした心地よい音楽とホワイトノイズを聞いた。もちろん、この原稿を書きながらも聞いている。活力や集中力が即座に、また劇的に高まった感じがしたとは言えない。しかし、時が経ち、いつもより長い時間、気が散ったり疲れたりせずに仕事が続けられていたことに気がついた。

EndelのCEOを務めるオレグ・スタビッツキー氏

Endelは、iOS、Apple Watch、macOS、Amazon Alexa、Android用にアプリをリリースしている。ダウンロードは200万回近くに達する。サブスクリプションの料金は1年で49.99ドル(約5300円)だ。

スタビッツキー氏はまた、例えば日本の全日空と協力してこの技術を飛行機に応用するといった大規模な事業にも着手していると話している。さらに自動車メーカーやスマートスピーカーのメーカーとの提携も考えているという。

さらに、歌やアルバムをアルゴリズムで制作するために、Warner Music(ワーナー・ミュージック)との契約(The Verge記事)に署名した。スタビッツキー氏は、ミュージシャンとの協力も望んでいる。彼らが新しいアルバムをリリースするとき、従来型のアルバムと同時に「仕事をしたり眠りたいときの音風景として使える機能性と適用性のあるアルバム」も同時に出せるようにとの考えだ。

「大きな展望としては、最終的にはサウンドを超えることです」と彼は言う。その手始めに、今年末からApple TV用アプリとして動画も取り入れる。

Endelは、現在までに合計710万ドル(約7億5000万円)を調達している。

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画像クレジット:Jasper James  / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

求人番号の入力だけで採用サイトを構築できる「SHIRAHA WORK」の HAB&Co.が資金調達を実施

求人番号の入力だけで採用サイトを構築できる「SHIRAHA WORK」の HAB&Co.が資金調達を実施

HRTechサービスの開発・展開を行うHAB&Co.(ハブアンドコー)は9月24日、第三者割当増資として資金調達を実施したと発表した。調達額は非公開。引受先は、豊和銀行とフューチャーベンチャーキャピタルが設立した「ほうわ創業・事業承継支援ファンド」(正式名: ほうわ創業・事業承継支援投資事業有限責任組合)。なお同ファンドは2020年6月に設立しており、HAB&Co.はその第1号投資企業となっている。

HAB&Co.は、HRTech/SaaSの自社サービス事業、有料職業紹介事業、就職・移住相談が可能なコミュニティスペースの運営管理、UI/UX領域を中心としたクライアントワーク事業を展開。調達した資金は、サービスの拡大、機能開発・向上、組織強化に利用する。

2020年8月にローンチした「SHIRAHA WORK -シラハワーク-」は、ハローワーク活用企業が有する「求人番号」を入力するだけで自社独自の採用サイトを構築できる日本初のサービス。AI技術とハローワーク求人・求職情報提供サービスのAPIを活用し、既出の求人情報を取得・一部活用することで、ノーコードでのサイト構築を実現。一般的なサイト制作と比べ、所用時間を90%以上削減、数十〜百万円単位でのコストカットが可能としている。

求人番号の入力だけで採用サイトを構築できる「SHIRAHA WORK」の HAB&Co.が資金調達を実施

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高度なアルゴリズムでメールの利便性を高める「Superhuman」が学生・教職員向けに月額約1000円のプランを提供

EメールサービスのスタートアップであるSuperhuman(スーパーヒューマン)は、シンプルで高速なメールアプリとしてテック業界で高い評価を受けている。しかし月額30ドル(約3200)円という高額なサブスクリプション料金は、多くの潜在ユーザーを遠ざけてきた。

米国時間9月23日、同社はその「プレミアムメール」サービスにテックワールド以外のユーザーを取り込むべく、学生と教職員向けにアカデミック価格を提供する。月額10ドル(1050円)の割引プランは、大学生、大学院生、教職員で学校が発行したメールアドレスを持っているユーザーに適用される。

CEOのRahul Vohra(ラフル・ボーラ)氏はこの取り組みについて「新型コロナウイルスの感染蔓延下でメールへの依存がますます高まっている学校関係者に、自社のサービスを使ってもらうことが目的であり、Superhumanは彼らのニーズ多くによく合っています」と語った。

「学術分野では、論文の執筆、カンファレンスの開催、論文誌や雑誌の編集など多くの仕事がメールによる共同作業です」とボーラ氏。「そして学生のほぼ全員が授業をバーチャルで受けているいま、メールは学生と教職員にとって不可欠になりつつあります」と続ける。

同サービスには潜在ユーザーの長い長いウェイティングリストができていて、現時点で35万人が載っているが、多くの人が待っている理由は、彼らの使っているプラットフォームでSuperhumanがまだ動かないからだ。設立6年のスタートアップは未だにAndroid版モバイルアプリを提供しておらず、メールもGmailのみが対象だ。Vohraは、有名100大学のうち61校がG Suiteを使っていると言う。来年末までにはOffice 365対応と待望のAndroidアプリを提供するつもりたとVohraは言っている。

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「.edu」のアドレスを持っている学生と大学教職員は、Superhumanのウェイティングリストの長い待ち行列の先頭に繰り上がるに違いない。

Superhumanの機能には、アルゴリズムによるスプリット(フィルターの一種)インボックス、豊富なショートカットキー、リマインダー、最近加わった強力なカレンダー連携などがある。こうした機能の数々は、同社が昨年Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)のリードでシリーズBラウンドを完了し、評価額2億6000万ドル(約274億円)で3300万ドル(約35億円)を調達するためには十分だった。

同社は1種類のサブスクリプションサービスを販売するという単一目標を続けている。今回のアカデミック価格がいずれ標準価格になるのではないかと聞かれたボーラ氏は、月額30ドルは現時点の適正価格であることを強調した。「決してないと言うつもりは決してありませんが、Superhumanの価格は適正だと考えています。現在私たちの置かれてる立場では特に」と締めくくった。

Superhumanのアカデミック価格は米国時間9月23日から提供される。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

AI搭載のフィットネスアプリ開発するドイツ拠点のFreeleticsが約26億円を調達、身体と精神の健康をAIがコーチング

AIを搭載したフィットネスコーチングアプリを開発するFreeletics(フリーレティックス)が、シリーズBの資金調達を2500万ドル(約26億円)で締めくくった。このラウンドをリードしたのは、米国を拠点とするJAZZ Venture PartnersとCauseway Media Partnersで、石油・ガス事業などを手掛けるKKCGグループの支援も受けている。

今回の調達は、2018年後半に実施されたシリーズAの4500万ドル(約47億円)に続くもの(未訳記事)となる。調達した資金は、新技術の開発、グローバル展開のさらなる拡大、新事業の垂直展開のために投下される。

2013年にドイツのミュンヘンで設立され、ヨーロッパでサービスが定着しているFreeleticsは、シリーズA以降、米国上陸を着実に進めてきた。資金調達前は、見事なまでにブートストラップ(資金調達)で運営していたほどだ。同社のミッションは「精神的にも肉体的にも最高の自分になるために人々に挑戦し、インスピレーションを与えること」。

Freeleticsアプリは、AIを使ったフィットネスとマインドセットコーチングを提供しており、160カ国以上で4800万人のユーザーが使っている。ヨーロッパでは、60万人以上の有料会員数を獲得しており、域内ナンバーワンのフィットネスアプリであると主張している。「ポケットの中のパーソナルトレーナー」は、いつでもどこでも個人に合わせたトレーニングプランやワークアウトでトレーニングを支援してくれるのが特徴だ。そのアルゴリズムは、アプリの何百万人ものユーザーと、そのユーザーが提供する個別のフィードバックから学習し、異なるコンテキストで異なるユーザーに合わせて独自に設計された「スマート」なトレーニング・ジャーニー(トレーニングの旅)の開発が目標になっている。

JAZZ Venture PartnersのマネージングパートナーであるJohn Spinale(ジョン・スピナール)氏は「米国では比較的新しいプレイヤーですが、Freeleticsはホームフィットネスの世界的リーダーであり、米国市場における新型コロナウイルスの感染蔓延後の未来に向けてフィットネス業界をリードし続けるための完璧なポジションにあると確信しています」と述べている。「非パーソナライズされたフィットネスストリーミング動画があふれる中、Freeleticsは、精神的なものであれ肉体的なものであれ、パフォーマンスとウェルビーイングのあらゆる側面に対応する洗練され、適応性の高いパーソナルコーチを提供しています。これは、まだこれからの時代に何が起こるかを示す有望な兆候です」と続けた。

FreeleticsのCEOであるDaniel Sobhani(ダニエル・ソバニ)氏は、「Freeleticsは誰にでも、自分の条件で目標を達成するための適切な計画と達成方法を提供し、最終的には長期的な行動変容につなげて、一生そのライフスタイルをリードし続けることができるようにしたいと考えています」と説明する。「この30年間、フィットネス業界が伝えてきたことすべてが人々を成功に導いてきたわけではありません。そして、フィットネスの目標は単に体重を減らすことだけではありません。ゴールがどのようなものであれ、私たちは最も効率的で、持続可能で、楽しい方法で人々をそこに導きたいと考えています」と続けた。

ソバニ氏によると、FreeleticsのAIは「超パーソナライズされた」フィットネスコーチングを提供し、マインドセットトレーニングと組み合わせて、より包括的な体験を提供しているという。「AIを搭載したコーチは、ユーザー一人ひとりに最適なワークアウトをキュレーションするので、常に効率的かつ効果的で、目標に向かって取り組みやすくなります」とのこと。

「私たちがパーソナライゼーションに力を入れているのは、健康とフィットネスに関しては、最終的にはワンサイズフィットのソリューションは存在しないからです。私たちはこの技術と製品への取り組みを組み合わせることで、時間、スペース、機器、知識、お金、自信など、定期的にワークアウトする際に人々が直面する日常的なハードルを減らすことができます」と同氏。

同社が狙っているのは「いつ、どのように、どこで、どのようにワークアウトするか」という点で、自分の好みの条件でワークアウトできるようにするというものだ。トレーニングプランの各日について、AIコーチは350万種類の選択肢の中から内容を選ぶ。例えば、都会の小さなアパートで隣人の邪魔にならないような、器具を使わない静かなワークアウトプランがいいかもしれない。あるいは、15分で済むものがいいかもしれない。あるいは、ウェイトを持ち上げたい場合もあるだろう。Freeleticsは、これらのさまざまな基準に基づいて、最適なフィットネスを提案できるのが強みだ。

「最後の仕上げとして、このパーソナライズされたトレーニング体験を、精神的要素であるオーディオコーチングと組み合わせています。オーディオコーチングは、トレーニングを実施して、モチベーションを高め、経験全体にマインドフルネスをもたらすことを目的としています」とソバニ氏。「このマインドセットのコーチングは、ユーザーが健康的な習慣を身につけ、トレニーングの旅をより深く理解するのを助けることを目的に、ライフスタイルを生涯にわたって改善するための持続可能な基盤を構築します」と続けた。

一方、Freeleticsは古典的なフリーミアムモデルも運営している。アプリのダウンロードと使用はある程度無料で、より個人的なコーチングを受ける際に購読料を支払う必要がある。このモデルでは、トレーニング、栄養学、マインドセットコーチングを組み合わせたさまざまなオプションを、1カ月から12カ月までの購読期間で提供している。

「ユーザーは週に1杯のコーヒーよりも安い価格でデジタルパーソナルコーチからの指導を受けられるので、ジムでのパーソナルトレーナーの費用と比較すると魅力的なオプションです。さらにこのアプリは、ジムの会員権や機器など、ワークアウトに関連するその他の金銭的なハードルを取り除くためにも機能します。昨年1年間で有料会員数を2倍の60万人以上に増やすことができましたが、これは類似の会社を見れば、業界基準になると言えるでしょう」と締めくくった。

画像クレジット: Freeletics

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Sentinel、ディープフェイク検出の戦いに約1憶4000万円を投じる

合成メディア(すなわちディープフェイク)を特定するための検出プラットフォームを開発している、エストニア拠点のSentinel(センチネル)は、Skype(スカイプ)のJaan Tallinn(ヤーン・タリン)氏、TransferWise(トランスファーワイズ)のTaavet Hinrikus(ターヴェット・ヒンリクス)氏、Pipedrive(パイプドライブ)のRagnar Sass(ラグナー・サス)氏とMartin Henk(マーティン・ヘンク)氏をはじめとするベテランのエンジェル投資家たちや、エストニアに拠点を置くアーリーステージ向けベンチャーキャピタルUnited Angels VC(ユナイテッドエンジェルズVC)から135万ドル(約1億4000万円)の資金調達をするシードラウンドを終了した。

ディープフェイクを検出するためのツールを作り上げるという挑戦は、軍拡競争に例えられてきた。最近では、大手IT企業Microsoft(マイクロソフト)がこれに取り組んでおり、11月のアメリカ大統領選挙をターゲットにした虚偽情報を見つけ出すための検出ツールを今月初めに発表した。 マイクロソフトは「学習し続けることができるAIによって(ディープフェイクが)生成されるということはつまり、ディープフェイクが従来の検出技術を打ち負かすことは避けられないということだ」と警告した後、それでも「高度な検出技術」を使って悪質なでっちあげをあばこうとすることに短期的な価値はある、としている。

センチネルの共同創設者であり最高経営責任者(CEO)のJohannes Tammekänd(ヨハネス・タメケン)氏はこの軍拡競争という捉え方に賛同している。そのため、この「着地点が定まらない」問題に対する同社のアプローチには、サイバーセキュリティのスタイル テンプレートに従って、複数層の防御の提供が必要となる。一方、タメケン氏が競合ツールとして挙げたマイク ロソフトの検出ツールと、もうひとつのライバル会社Deeptrace(ディープトレース)、別名Sensity(センシティ)は、彼によれば「欠陥を検出しようとするとても複雑なニューラル ネットワーク」にただ頼っているだけだ、という。

タメケン氏はTechCrunch(テッククランチ)にこう語る。「我々のアプローチは、たった1つの検出方法だけですべてのディープフェイクを検出することは不可能だ、という考えだ。我々には複数層の防御があるため、1つの層が破られても次の層で攻撃者が検出される可能性が高い。」

タメケン氏によると、センチネルのプラットフォームは現在のところ、4層のディープフェイク防御を提供している。第1の層は、出回っているディープフェイクの既知の例をハッシュして照合する。(これは「ソーシャル メディアプラットフォーム」のレベルまで拡張可能だと同氏は言う。)第2の層は、細工を見つけるため機械学習モデルでメタデータを解析する。第3の層は、オーディオの変化をチェックして合成音声などを探す。そして最後の層は、視覚操作の形跡がないか調べるために「1コマごとに」顔を分析する技術を使う。

「最高レベルの確実性を得るために、この検出層すべてから入力データを受け取り、 出力データを(総合スコアとして)合わせて確定する」という。

タメケン氏は加えて、「ある動画がディープフェイクであるかそうでないかを、100% の自信をもって言えない場合もある、という状況まですでに来ている。その動画をなんとかして『暗号で』証明できれば、もしくは複数の角度からの元の動画などを誰かが持っていれば別だが」と述べた。

またタメケン氏は、ディープフェイク軍拡競争においては特定の技術に加えてデータも重要である、と強調している。センチネルがこの点に関して誇れることは、出回っているディープフェイクの「最大の」データベースを蓄積していることだ。このデータを使ってディープフェイクのアルゴリズムを学習させることができる。

同社は社内検証チームを設置しており、メディアの真実性を探るための独自の検出システムを利用したデータ取得に取り組む。3人の検証スペシャリストがおり、最も精巧で自然なディープフェイクを検証するためには、その3人のすべてが同意しなければならない。

「我々は大手ソーシャルプラットフォームのすべてから、毎日ディープフェイクをダウンロードしている。YouTube(ユーチューブ)、Facebook(フェイスブック)、 Instagram(インスタグラム)、 TikTok(ティックトック)、さらにアジアやロシアのプラットフォーム、そしてアダルトサイトからも」とタメケン氏は述べる。

「もし、例えばフェイスブックのデータセットを基にディープフェイク モデルを学習させた場合、それが一般化することはない。それ自身と似たようなディープフェイクを検出することはできても、出回っているディープフェイクと合わせてうまく一般化することはできない。 だから検出は本当に80パーセントがデータエンジンなのだ。」

センチネルが常に確信を持っているわけではない。タメケン氏は、中国の国営メディアによって公開された、軍に殺されたとされている詩人の短い動画を例に挙げている。この動画の中で詩人は、自分は健在であると言い、心配しないよう伝えているように見える。

「画像処理はされていないということを、われわれのアルゴリズムはかなり高い確実性をもって示しており、この人物がただ洗脳されているだけという可能性が非常に高いが、100パーセントの自信を持ってこの動画はディープフェイクでない、ということはできない」と同氏は述べている。

NATO(北大西洋条約機構)、Monese(モネーゼ)、イギリス海軍の出身者で構成されるセンチネルの創業者たちは、実のところ2018年にSidekik(サイドキック)というスタートアップ企業で、とても珍しいアイディアに取り組み始めた。通信データを取り込んで、音声を似せたチャットボット(またはオーディオボット)の形で、ある個人の「デジタルクローン」を作るという、『Black Mirror(ブラック・ミラー)』シリーズのような技術を構築するというものだ。

ベーシックな管理型タスクをこの仮想の代役に任せることができたらいいのではないか、という発想だった。 しかし彼らはこれを悪用される可能性について懸念するようになった。それゆえにディープフェイク検出に転換した、とタメケン氏は言う。

彼らは自分たちの技術を政府機関や国際メディア、防衛機関向けにと考えている。今年の第2四半期にサブスクリプションサービスを開始してからの、欧州連合対外行動局やエストニア政府を含む初期のクライアントも存在する。

彼らは、虚偽情報を広める活動やその他の悪質な情報操作から民主主義を守る助けになることを目指している。つまり、彼らの技術に誰がアクセスできるかということに関して、細心の注意を払っているということだ。タメケン氏は述べる。「われわれは非常に厳しい審査プロセスを備えている。例えば、われわれはNATO加盟国とのみ連携する。」

それから「サウジアラビアや中国からの要望はあるが、我々の側からすると明らかにNGだ」と加えた。

このスタートアップ企業が実施した最近の調査で、出回っている(すなわち、オンラインでどこでも見つけられる)ディープフェイクが急増していることがわかっている。2020年にはこれまでに14万5000件を超える事例が確認されており、前年比の9倍を示している。

ディープフェイクを作成するツールは間違いなく入手しやすくなっている。顔交換アプリのReface(リフェイス)のようなものなど、多くは表面上害のない、楽しみやエンターテイメントの提供を目的とするものであるが、(ディープフェイク検出システムなどで)慎重に管理しなければ、何の疑いも抱いていない視聴者をだますために、利用可能な合成コンテンツが悪用される可能性がある。

現在ソーシャルメディアプラットフォームで行われているメディア交換のレベルまでディープフェイク検出技術をスケールアップすることは、とても大きな課題である、とタメケン氏は述べる。

「フェイスブックやGoogle(グーグル)は(自分たちのディープフェイク検出を)スケールアップすることが可能だろうが、現在のところかなりのコストがかかるため、多額の資金を投入しなければならず、収益は明らかに激減するだろう。よって、基本的にトリプルスタンダードだ。ビジネスインセンティブは何なのか、という話になる」と同氏は言う。

非常に知識があり、非常に豊富な資金を持つ相手によってもたらされるリスクもある。彼らは「ディープフェイク・ゼロデイ」と呼ぶものを標的にした攻撃をする(おそらく国家主体で、非常に高価値のターゲットを追っているようだ)。

「基本的にサイバーセキュリティにおける場合と同じことだ」とタメケン氏は言う。「ビジネスインセンティブが適切であるならば、基本的には[大多数の]ディープフェイクを押さえることができる。できるはずだ。しかし、知識のある相手によってゼロデイとして開発される可能性のあるディープフェイクは常に存在するだろう。そして、現在のところ、誰もそれらを検出する素晴らしい方法、あるいは例えば、検出する方法へのアプローチを知らない。

「唯一既知の方法は多層防御だ。その防御層のいずれかがディープフェイクを検知することを願っている」。

センチネルの共同創業者、Kaspar Peterson(カスパー・ピーターソン)氏(左)とヨハネス・タメケン氏(右)。写真提供者:センチネル

 

あらゆるインターネットユーザーにとって、もっともらしいフェイクを作って拡散することは確実に安価で容易になってきており、ディープフェイクによってもたらされるリスクが政治的・企業的な議題を盛り上げている。 例えば欧州連合は、虚偽情報の脅威に対応するために「民主主義行動計画」を用意している。その中でセンチネルは、自社のディープフェイクデータセットから得た知識をもとに、ディープフェイク検出だけでなく、個別対応のコンサルティングサービスも扱う企業として自らを位置づけている。

「われわれには多くの成果がある。つまり『ブラックボックス』だけでなく、予測・説明可能性やバイアスを軽減するためのトレーニングデータの統計、すでに既知のディープフェイクとの照合、コンサルティングを通したクライアントへの脅威モデリングも提供できるということだ」と同社は語る。「このような重要な要素があるからこそ、これまでのところクライアントに我々を選んでいただいている。」

ディープフェイクが西洋社会にもたらす最大のリスクは何だと思うか、という問いに対し、短期的には、主な懸念は選挙干渉だ、とタメケン氏は答えた。

「1つの可能性としてはこんなものがある。選挙運動期間中、あるいは選挙当日の1日か2日前、Joe Biden(ジョー・バイデン)氏が『私は癌です。私に投票しないでください』と言ったらどうだろう。その動画が拡散したら」彼は極めて近い未来のリスクを描いて示す。

「そういった技術はもうすぐそこにある」と同氏は続ける。一般向けディープフェイクアプリの1つに関わるデータサイエンティストと近ごろ電話で話したところ、正にそのようなリスクを心配するさまざまなセキュリティー組織からコンタクトがきている、と言っていたそうだ。

「技術的な観点からすると、うまくやられてしまうだろうことは確実だ。そしてそれが拡散されれば、人々にとっては直接見たほうがより効果的、ということになる。すでに大きな影響をもたらしている『安っぽいフェイク』を見たとして、ディープフェイクは完璧である必要はなく、実際、背景がきちんとしている中で信用できればいいのだ。そうすると、多くの有権者がそれに騙される可能性がある」と語った。

長期的には、このリスクは非常に大きなものだと同氏は主張する。人々はデジタルメディアに対する信用を失くす。そういうことだ。

「動画に限ったことではない。画像ということもあるし、音声ということもある。実際、すでにそれらを融合させたものも出てきている」と同氏述べる。「そんな風に、すべての事象を実際に偽造できる。ソーシャルメディアやさまざまな表現活動の場すべてにおいて見ることができる事象を。

「だから我々は検証されたデジタルメディアだけを信じることになるだろう。基本的に、なんらかの検証手法を備えているものだ。」

さらにいっそう反ユートピア的な、AIに歪められた別の未来では、人々はもうオンライン上の何が現実かそうでないかを気にも止めなくなるなるだろう。何であれ彼らの先入観に付け込む、操作されたメディアをただ信じるだけだろう。(オンライン上に投稿されたちょっとした言葉の暗示をかけられて、奇妙な陰謀にはまった人が多くいることを考えると、この上なく可能性があるように思える。)

「 そのうちみな気にしなくなる。それは非常に危険な前提だ」タメケン氏は言う。「ディープフェイクの『核爆弾』はどこにあるのか、ということが大いに議論されている。ある政治家のディープフェイクが現れ、それが大きな被害を及ぼすのは、単なる時間の問題だとしよう。しかし、そのことは現在の最大の組織的リスクとは考えられない。

「最大の組織的リスクは、歴史という観点から見た時に、それまでより安価で容易に情報が生産され、素早く共有されるようになってきている、そういうことが起こっているということだ。グーテンベルクの印刷機から、テレビ、ラジオ、ソーシャルメディア、インターネット、すべてそうだ。我々がインターネットで消費する情報は別の人間によって生産される必要はない、ということが今起こっている。そしてアルゴリズムのおかげで、大規模に、しかも超パーソナライズされた方法で、情報を2つの時間尺度で消費することができる。つまりそれが最大の組織的リスクだ。我々はオンライン上の何が現実なのか、基本的には理解できなくなるだろう。何が人間で、何が人間ではないのか。」

そういったシナリオによって予想される先行きは多種多様だ。極端な社会的分断によって、さらなる混乱と無秩序を招き、拡大する無政府状態や激しい個人主義を生み出す。あるいは、広い範囲の主流派の人々がオンラインコンテンツの多くを無意味だとして、あっさりインターネットの情報に耳を傾けなくなった場合、大衆は興味を失くす。

そこから事態は1周して元に戻る可能性さえある。人々が「再び信頼度の高い情報源を読む」ようになる。タメケン氏はそう述べた。しかし、多くが変化していく危機にさらされる中、1つだけ確かなものがあるようだ。これまで以上に無節操で疑わしいメディアの世界をナビゲートする手助けをしてくれる、高性能なデータ駆動型のツール。これが求められるようになるだろう。

この記事はTechCrunchのSteve O’Hear(スティーブ・オヘア)の協力による。

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カテゴリー:人工知能・AI

タグ:ディープフェイク

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(翻訳:Dragonfly)

インドのeコマース取引サイトCashKaroが、Korea Investment Partners率いるシリーズBのラウンドで10億円を調達

インドを拠点とするスタートアップのCashKaroは米国時間9月15日、シリーズBの資金調達で1000万ドル(約10億5790万円)を獲得し、eコマース向けのサービスの範囲を拡大する予定であると発表した。同社はインドにおける主要なキャッシュバック/クーポンサイトの一つである。このラウンドはKorea Investment Partnersが主導し、以前の投資家Kalaari Capitalも参加している。

TechCruchがCashKaroについて最後に取り上げたのは、同社がシリーズAで380万ドル(約4億円)を調達したのは5年前のことである。今回のラウンドで同社がこれまでに調達した資金の総額は1500万ドル(約15億8550万円)にのぼる。

過去5年間、同社は価格比較サービスや、約18か月前にローンチしたソーシャルコマースのキャッシュバックアプリであるEarnKaroなどの新製品を発表してきた。シリーズBの一部は、約100万人の登録ユーザーを持つEarnKaroの拡張に使われる。EarnKaroにより、ソーシャルコマースの販売者、もしくはソーシャルメディアプラットフォームやWhatsAppのようなメッセージングアプリを使って商品を販売する人々は、AmazonやFlipkartのような主要なeコマースサイトへのアフィリエイトリンクを作成して報酬を得ることができる。また、EarnKaroのローンチによりCashKaroは小都市や農村地区にも進出することができた。こうした地域では、買い物客は、eコマースサイトではなく信頼できるレコメンデーションを発信する人々(すなわち 「マイクロインフルエンサー」)への共感から注文する傾向がより顕著である。

2013年にSwatiとRohan Bhargava(スワティー/ロハン・バールガヴァ)夫妻によって設立されたCashKaroは、現在500万人のユーザーを有し、AmazonやFlipkart、Myntra、Ajioといったインドにおける最大手を含む1,500以上のeコマースサイトと提携している。同社は、CashKaroのリンクを通じて行われた取引の手数料をブランドに請求することで収益化を図っている。この手数料はCashKaroが買い物客に現金を還元する方法でもあり、顧客の銀行口座に入金したり、FlipkartやAmazonのギフト券と交換することができる。両氏によると、現在月間100万件以上の取引を処理しているという。

CashKaroは、オンライン消費者からの注目を得ようと、インドでクーポンやキャッシュバックサービスを提供する他の多くの企業としのぎを削っている。ライバルにはCouponDunia、GrabOn、GoPaisaなどがいる。

「当社はインドで唯一のVC出資によるキャッシュバックサイトです。資本そのものは差別化要因ではありませんが、資本を使ってできることが当社に希少な付加価値をもたらしています」とバールガヴァ氏はTechCrunchに語り、CashKaroのキャッシュバック率は市場で最も高い部類に入ると続けた。

「CashKaroとEarnKaroを経由したパートナーサイトへのGMVが5億ドル(約530億円)近くに達したため、パートナーサイトからより高いコミッション率を得ることができ、その結果、会員のみなさんに最大のメリットを提供することが可能になっています」。

新型コロナウィルス(COVID-19)は消費者の嗜好の急激な変化をもたらし、世界中のeコマースビジネスに影響を与えている。特にインドでは4月から5月にかけて全国的に封じ込めゾーンが設けられ、必需品ではない商品の配送が5月まで認められていなかったゾーンもあり、状況は複雑であった

「私たちは新型コロナウィルスに不意を突かれました。インドのeコマースは需要の急増に対処する準備ができていなかったですし、これほど多く供給サイドの問題や配送の問題が起こることを私たちは予想していませんでした」とバールガヴァ氏は語る。「CashKaroがあらゆるeコマースサイトで利用されていることから、当社もこうした傾向に対峙してきました」。

しかし、6月以降売り上げは回復し始め、人々が家に留まりオンラインでの買い物を続けるなか、売り上げは伸び続けている。

「当社のビジネスは毎月成長しています。事実、パンデミックが広がるに連れ、教育、ゲーム、オンラインビデオストリーミングなどの新しいデジタル分野への事業拡大に拍車がかかりました」とバールガヴァ氏は続ける。電子機器、家庭用品、台所用品、パーソナルケア、美容用品の売り上げもここ数か月で増加している。

同時に、パンデミック禍の経済的影響により、より多くの人々がキャッシュバックやその他の節約につながる取引を求めている。

「オンラインショッピング利用者の間で倹約意識が高まり、CashKaroやEarnKaroのようなサービスにこれまで以上の価値が見出されています」とバールガヴァ氏はいう。「クライアント側では、Amazon、Myntra、Ajioなどのパートナーも、このような困難な状況下で収益性を念頭に置いてスケールアップをはかるには当社のパフォーマンスマーケティングモデルが最適な方法であると考えており、私たちはより緊密な協働を進めています」。

新たに調達した資金は、登録会員数を現在の500万人から今後12か月で倍増させるというCashKaroの目標に向けて使われる。バールガヴァ氏がTechCrunchに語ったところによると、キャッシュバックの提供をクレジットカードや教育などのカテゴリに拡大し、近く開催されるフェスティバルやインドのプレミアリーグのシーズンなどのイベントに焦点を当てた新しいマーケティングキャンペーンを開始するという。

「当社はEarnKaroの成長を積極的に追い求め、この製品の主なターゲット市場である、より多くのインフルエンサー、リセラー、主婦、学生に向けたアピールを行っています」と同氏は付け加えた。最終的に、シリーズBの一部は、経営首脳陣のポジションを含む雇用のために使用される予定だ。

韓国最大のベンチャーキャピタル企業の一つであるKorea Investment Partnersにとって、CashKaroは、インドで急成長するeコマース市場に参入するチャンスとなる。マネージングパートナーであるHudson Kyung-sik Ho(ハドソン・キョンシク・ホー )氏は声明で次のように語った。「私たちはこれが極めてスケーラブルな機会であると確信しています。スワティーとロハンの両氏は真にエキサイティングな成長軌道に乗っていて、CashKaroとEarnKaroのユニット指標は共に類例のない優れたものです。私たちはインドのアフィリエイトストーリーの一端を担えることに大きな興奮を覚えています」。

関連記事:米国のモバイル上でのホリデーショッピングシーズンは過去最大となる見込み

カテゴリー:ネットサービス

タグ:インド eコマース

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(翻訳:Dragonfly)

モバイルゲーム開発のPlaycoは設立後すぐユニコーンに、本田圭佑氏や孫泰蔵氏などが105億円出資

PlaycoGame Closure(未訳記事)共同創業者のMichael Carter(マイケル・カーター)氏、Zynga共同創業者のJustin Waldron(ジャスティン・ウォルドロン)氏、ゲームプロデューサーの大塚剛司氏とTeddy Cross(テディ・クロス)氏によって設立された新たなモバイルゲーミングスタートアップだ。

東京に本社を置く同社は米国時間9月21日にその存在を発表したばかりだが、すでにユニコーンだ。シリーズAラウンドで1億ドル(約105億円)を調達し、バリュエーションは「10億ドル(約1050億円)ちょっと」という。

シリーズAはJosh BuckleyとSequoia Capitalがリードし、Sozo Ventures、Raymond Tonsing(レイモンド・トンシング)氏のCaffeinated Capital、本田圭佑氏のKSK Angel Fund、孫泰蔵氏のMistletoe Singapore、Digital Garage、Will Smith(ウィル・スミス)氏のDreamers、Makers Fundなどが参加した。

PlaycoのCEOであるカーター氏は、同社が年内にゲーム第1弾を発表すると述べている。差し当たって同氏はPlaycoのビジョンを語る。それは「アプリストアで1つのゲームを2人で利用するのはかなり難しい」という事実を解決しようとしている、というものだ。特に、リンクだけが必要だったウェブやソーシャルゲーミングの初期に比べると、結局、アプリのダウンロードはかなり大きな障壁となっているという。

「我々はそれを取り戻したい」とカーター氏は話した。Playcoのタイトルでは、モバイルゲームを友達とシェアして遊んだりすることは、友達にテキストしたり電話したりするのと同じくらシンプルであるべきだと考えている。「本当に必要なのはハイパーリンクだけだ」。

クラウドゲーミング、HTML5 、Apple(アップル)の新たなApp Clipsのようなプラットフォーム特有のツールなど、モバイルでの「すぐにプレイ」経験を可能にするいくつかのテクノロジーを同氏は指摘した。そしてPlaycoのチームは「こうした最先端の技術を得意とする」と話した。同社は自前のゲームエンジンを作ったが、テクノロジーだけにフォーカスしているわけではないとも述べた。「それは最低限必要なものにすぎない」。

Playcoのプレジデントであるウォルドロン氏はゲームにおける次の大きなプラットフォームシフトになる、と主張する。ソーシャルゲーミングが新たなタイプのゲームを可能にしたように、完全に新しいジャンルを作る一方で、「今日最も人気があるジャンルの多くを新たに作り直す」必要があると語る。

「FarmVilleを例にとると、ローカルのコンソールゲームストアで広告されている農場がテーマのゲームはなかった」とウォルドロン氏は話した。「そうしたゲームはさほど売り込まない。農場ゲームのポスターを掲げても、誰もプレイしたいとは思わない」。しかし友達がデジタルの作物を送ってあなたを招待したら、あなたは絶対にプレイしたくなる。

カーター氏はインスタントプレイゲームはまた、ゲームそのものが少なくとも初見でかなりわかりやすいものでなければならない、と付け加えた。

「究極的には、ポートフォリオを構築するなかで、どうやったらさまざまな場所、都市に住み、さまざまな言語を話すあらゆる人にとってアクセスしやすいゲームにできるかを考えている」と同氏は述べた。「答えはこうだ。広くアピールするものでなければならない。これは、割合におもしろくてそれなりの機能を持つゲームを作ることはできない、ということにはならない。しかし最初の印象は、人々が簡単に取っ付けるようなものでなければならない」。

カーター氏はまた、スタートアップがシリーズAで巨額の資金を調達するのは尋常ではないことも認識しているが、資金調達により野心的であることでPlaycoはすぐに総勢75人のチームに成長することができたと述べた。

「才能ある人材を連れてくることが最も重要だ。資金調達のおかげで、本当に難しい決定を下す必要はなかった」と語った。

ゲームでどのように稼ぐかに関しては、Playcoは既存のビジネスモデルの多くを参考にする、との考えをウォルドロン氏は示した。

「車輪を再発明する必要はない。自身の直近の会社から学べることは素晴らしいものになる。我々はゲームが収益を上げられるよう多くの方法を作り出した。しかし現在利用できる新たなテクノロジーは新たなチャンスを生み出す。世界は大きく変わり、すべてが追いついたとは思わない」と同氏は話した。

カテゴリー:ゲーム / eSports

タグ:Playco 資金調達

画像クレジット:Playco

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(翻訳:Mizoguchi

中国の電気自動車メーカーWM Motorが1500億円超を調達、230万円台で3万台のEVを納車済み

中国の電気自動車のスタートアップであるWM Motor(WMモーター)は、ライバルであるTesla(テスラ)などによって競争が激化している中、超大型の資金調達を発表(WM Motorリリース)した。5年前に設立された同社は9月22日に、シリーズDラウンドで100億元(1540億円)を集めたのだ。調達した資金は、研究開発、ブランディング、マーケティング、販売チャネルの拡大に投下されるという。

Baidu(百度、バイドゥ)とTencent(テンセント)に支えられているWM Motorは、ニューヨークで公開されたNIO(ニオ)、Xpeng(シャオペン)、Li Auto(リ・オート)と並んで、中国で最も資金を集めたEVスタートアップの1つだ。今回の資本増強によりWM Motorは、新規株式公開に向けて準備を進めている可能性がある。Bloombergが7月に伝えたところによると、早ければ今年中にも中国版NASDAQともいえる科創板(STAR)マーケットへの上場を検討(Bloomberg記事)しているという。

資金調達のニュースの数日前、WM Motorは主要なパートナーとサプライヤーを発表(Weibo投稿)した。Qualcomm(クアルコム)のSnapdragonのコックピットチップ(Qualcommサイト)は、新興企業の車内体験の原動力となり、バイドゥのApollo自動運転システム(Apolloサイト)は、WM Motor車にセルフパーキング機能を提供する。Unisplendourは中国の清華大学を拠点としており、自動運転のハードウェア面を担当する。さらに集積回路メーカーのSino IC LeasingがWM Motorの「自動車接続」に取り組むことになる。

この新世代のEVメーカーは、モノづくりの経験が乏しいため外部との提携を模索するケースが多い。のライバルであるシャオペンも同様に、BlackBerry(ブラックベリー)、Desay EV(デザイEV)、NVIDIA(エヌビディア)と提携してスマートEVを提供している。

WM Motorは、中国のVolvo(ボルボ)、FIAT(フィアット)、吉利汽車(ジーリー)で役員を務めた経験を持つ自動車業界のベテラン、Freeman Shen(フリーマン・シェン)氏が創業したスタートアップだ。

同社は最近、今後3~5年の間に200億元(約3080億円)と3000人のエンジニアを、5Gを搭載したスマートコックピット、レベル4自動運転、その他の未来的な自動車技術に割り当てるという野心的な計画を発表(WM Motorリリース)した。Crunchbaseのデータと最新の資金調達額によると、これはこのスタートアップの総調達額のうちのかなりの部分を占めており、およそ30億ドル(約3140億円)以上と推定されている。

中国の地方政府は、半導体や電気自動車などの戦略産業に参入する企業を支援することが多い。例えば、WM Motorの最新の資金ラウンドは国有投資プラットフォームと国有自動車メーカーの上海汽車集団(SAIC Motor)が主導しており、どちらもスタートアップの本社がある上海に拠点を置いている。上海にはテスラのリチウムイオン電池の生産工場であるGigafactoty(ギガファクトリー)もあり(未訳記事)あり、米国の巨大企業が中国製の自動車を製造している場所でもある。

WM Motorは7月に、3万台目のSUV車EX5を納入(WM Motorリリース)したという。これには補助金が付くため価格は約2万2000ドル(約230万円)(WM Motorサイト)、車内にはビデオストリーミングや空気浄化などの機能が備わっており、同社によると顧客の70%近くを幼い子どもを持つ親が占めている(WM Motorリリース)という。

画像クレジット:WM Motor

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(翻訳:TechCrunch Japan)

フィンテックのChimeが約1.5兆円のバリュエーションで510億円調達、EBITDA黒転を主張

IPOウィークの真っ只中(未訳記事)に、新たな会社名を将来のデビューリストに追加する必要がある。Chime(チャイム)は米国時間9月18日、新たな巨額ラウンドを発表した。コンシューマーフィンテックの巨人は4億8500万ドル(約510億円)のシリーズFで145億ドル(約1兆5200億円)と評価された。2019年12月に7億ドル(約740億円)を調達したときに58億ドル(約6100億円)の価値だったことを考えれば非常に大きな数字だ。

さらにすごいのは、2019年初めのバリュエーションが15億ドル(約1600億円)だったことだ。2年足らずで15億ドルから145億ドルというのは、どんなスタートアップであっても難しい。最新のラウンドを支えたのは、DragoneerやDST Globalに加えて、Tiger、ICONIQ、General Atlanticなどのよく知られた名前だ。Whale Rock CapitalやAccess Technology Venturesなど筆者があまり知らない名前もあった。

CNBCの記事の中に紛れ込んでいた話から明らかになったのは、ChimeのEBITDAが今やプラスになっており、CEOは1年ほどで「IPO可能」になると見込んでいるというニュースだ。

TechCrunchはEBITDAに関してはっきりさせるため、Chimeに接触してEBITDAは「調整後」の数字なのか聞いた。EBTIDA指標は多くの場合、従業員に付与される株式報酬の費用を除いているからだ。Chimeによれば、これは「真のEBITDA」だ。もしそうなら5ポイントのボーナスだ。成長に関する質問に対しChimeは「取引量とトップライン(売上高)」が前年同期に比べて3倍になったと述べている。

今回のラウンドと初めて非GAAP指標がプラスに転じたとのニュースは、欧州のネオバンクやチャレンジャーバンクと呼ばれる会社の財務状況に関する報道で伝えられている内容(未訳記事)に続くものだ。その種の会社の数字は圧倒的な成長と巨額の損失を示している。最終的にS-1を提出する時点でChimeの数字が維持されているなら(カウントダウンを始めて欲しい)、財務的には業界で最も健全なスタートアップの1つだといえるだろう。

最後に、同社は自身をフィンテック企業ではなく、ソフトウェア企業として見せようとしている。これは、同社の新しいバリュエーション145億ドルを維持しなければならない時期が来たときに、できるだけ良い売上高マルチプル(企業価値評価の指標の1つ)を引き寄せる動きだ。大ヒットとなったSnowflake(スノーフレーク)のデビューで明らかになったように(未訳記事)、ソフトウェア会社は最近、狂気の沙汰ともいえるマルチプルがついている。

CNBCによるとChimeは以下のように考えている。

「当社は銀行というより消費者向けソフトウェア会社に近い」とChris Britt(クリス・ブリット)氏は語る。「トランザクションベース、プロセスベースのビジネスモデルであり、予測可能性が高く、取引が繰り返し発生する可能性が高く、収益性も高い」。

キーワードは「ソフトウェア会社」「予測可能性が高く、取引が繰り返し発生する可能性が高く、収益性も高い」。実際にChimeは、仲介手数料収入の経常性を踏まえればSaaSの分類に収まるはずだと主張している。投資家がその売り文句を見極めるだろう。それが通るなら、おそらくフィンテックは世間で思われているより価値がある。AcornsのようにはっきりとSaaSの部分を持ち合わせているフィンテック企業は、(ある会社が)フィンテックなのかSaaSなのかが議論される際、かなり有利といえるかもしれない。

いずれにせよ、Chimeにとってはまた1つ大きなラウンドとなり、高く評価されたフィンテックセクターにとっても良い日となった。

関連記事:チャレンジャーバンクChimeは顧客を500万人集めて手数料なしの当座貸越を実現

カテゴリー:ブロックチェーン

タグ:Chime EBITDA 資金調達

画像クレジット:eleonora galli / Getty Images (Image has been modified)

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(翻訳:Mizoguchi

VRベースの製品デザイン&コラボプラットフォーム開発する英国拠点のGravity Sketchが3.8億円を調達

英国・ロンドンを拠点にVR(バーチャルリアリティ)を活用したプロダクトデザインとコラボレーションのプラットフォームを展開するGravity Sketch(グラビティ・スケッチ)が、370万ドル(約3億8600万円)の資金調達を明らかにした。

このシードラウンドはKindred Capitalがリードし、Point Nine Capitalと既存投資家であるForward Partnersが参加した。これにより同社が調達した総額は540万ドル(約5億6300万円)となった。なお同社は以前、InnovationRCA(英王立美術院の起業家支援プログラム)とJames Dyson Foundation(ジェームズダイソン財団)から助成金を受けていたこともある。

Oluwaseyi Sosanya(オルワセイ・ソサンヤ)氏、Daniela Paredes(ダニエラ・パレデス)氏、Daniel Thomas(ダニエル・トーマス)氏が2014年に設立したGravity Sketchは、物理的な製品の設計、開発、市場投入の方法を変えたいと考えいる。具体的には、分野を超えたチームに3Dデザインソフトウェアを提供し、3Dでのリアルタイムコラボレーションが可能なVRを含め、よりスムーズな方法で「作成、コラボレーション、レビュー」ができるようにする。このアイデアは、特にグローバルに分散しているチームや遠隔地にいるチームの開発サイクルを加速させるのに役立つという。

同社CEO兼共同創業者であるソサンヤ氏は「時間枠が短縮され、消費者はより早く、より多くの機能を備え、より持続可能な生産を求めるようになっているため、コラボレーションの重要性はますます高まっています」と説明する。続けて「また、グローバルに分散した設計・エンジニアリングチームを持つ多国籍企業が急増しており、かつて同じ場所にいたときと同じ精度で製品を提供するは常にネットワークに接続している必要があります。大企業にサービスを提供する中小規模の設計事務所も、ビジネスを獲得するためにはこのアプローチを採用しなければなりません。Gravity Sketchのサービスを利用すれば、国内の顧客ほど頻繁に顔を合わせることができない国際的な顧客から仕事を得られるだけでなく、高い品質でアイデアなどを引き渡せます」と語る。

現在では、製品サイクルの高速化やリモートワークによるプレッシャーに加え、製品設計プロセス自体が常に最適であるとは限らない。また、異なる専門分野やソフトウェアツールを持つ複数のチームが関与し、2Dから3Dへの移行が進められている。「物理的な製品を設計する場合は、3Dでオブジェクトを想像します」とソサンヤ氏。「しかし長年にわたり、私たちはそのアイデアを2D、またはラフな物理モデルを通して再現しなければなりませんでした。すべての物理的な製品は2Dのスケッチから始まり、それをデジタル3Dモデルに丹念に書き起こし、標準的な製造プロセスを経て製造されるのです」と説明する。

Gravity Sketchはこの作業を軽減するために、最初のスケッチの段階からデザイナーをデジタル3D空間に連れて行き、初期のアイデアとそれがどのように発展していくかをコントロールできるようにする。また、デザインチーム全員が同じVR空間に参加することで、時間とリソースを消費する前にデザイナーの視点からデザインを完全に理解することができるという。

「デザイナーはアイデアの段階で、すべての関係者をより正確にその内容を共有できます」と同氏は説明する。「VRを使えば、誰もが3Dで考えているという現実を利用して、すべての設計プロセスに存在する2D化作業を省略できるので、ユーザーは3Dで考え、3Dで作成することができます。これは3DのZoom会議のようなもので、誰もが自分の視点からまだ実現されていない製品を理解するのに役立ちます」と主張する。

さらに、Gravity Sketchで作成されたコンテンツは、デザインの制作工程全体をさらに発展させることができるという。具体的には、同社のデザインは市販のほぼすべてのCADツールに100%の精度で取り込めるそうだ。

現在、Ford(フォード)、日産、Reebok(リーボック)などの世界的な企業がGravity Sketchを使用しており、世界中の60大学や5万人以上のクリエイティブな専門家が使用している。

Gravity Sketchは今回の新たな資金提供によりプラットフォームをスケールアップし、「ハードウェアに完全に依存しない」ものを開発することを明らかにしている。現在、さまざまなVRのハードウェアで動作し、iPad、モバイル、デスクトップ用にベータ版が用意されている。

画像クレジット:Gravity Sketch

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(翻訳:TechCrunch Japan)