AI搭載のフィットネスアプリ開発するドイツ拠点のFreeleticsが約26億円を調達、身体と精神の健康をAIがコーチング

AIを搭載したフィットネスコーチングアプリを開発するFreeletics(フリーレティックス)が、シリーズBの資金調達を2500万ドル(約26億円)で締めくくった。このラウンドをリードしたのは、米国を拠点とするJAZZ Venture PartnersとCauseway Media Partnersで、石油・ガス事業などを手掛けるKKCGグループの支援も受けている。

今回の調達は、2018年後半に実施されたシリーズAの4500万ドル(約47億円)に続くもの(未訳記事)となる。調達した資金は、新技術の開発、グローバル展開のさらなる拡大、新事業の垂直展開のために投下される。

2013年にドイツのミュンヘンで設立され、ヨーロッパでサービスが定着しているFreeleticsは、シリーズA以降、米国上陸を着実に進めてきた。資金調達前は、見事なまでにブートストラップ(資金調達)で運営していたほどだ。同社のミッションは「精神的にも肉体的にも最高の自分になるために人々に挑戦し、インスピレーションを与えること」。

Freeleticsアプリは、AIを使ったフィットネスとマインドセットコーチングを提供しており、160カ国以上で4800万人のユーザーが使っている。ヨーロッパでは、60万人以上の有料会員数を獲得しており、域内ナンバーワンのフィットネスアプリであると主張している。「ポケットの中のパーソナルトレーナー」は、いつでもどこでも個人に合わせたトレーニングプランやワークアウトでトレーニングを支援してくれるのが特徴だ。そのアルゴリズムは、アプリの何百万人ものユーザーと、そのユーザーが提供する個別のフィードバックから学習し、異なるコンテキストで異なるユーザーに合わせて独自に設計された「スマート」なトレーニング・ジャーニー(トレーニングの旅)の開発が目標になっている。

JAZZ Venture PartnersのマネージングパートナーであるJohn Spinale(ジョン・スピナール)氏は「米国では比較的新しいプレイヤーですが、Freeleticsはホームフィットネスの世界的リーダーであり、米国市場における新型コロナウイルスの感染蔓延後の未来に向けてフィットネス業界をリードし続けるための完璧なポジションにあると確信しています」と述べている。「非パーソナライズされたフィットネスストリーミング動画があふれる中、Freeleticsは、精神的なものであれ肉体的なものであれ、パフォーマンスとウェルビーイングのあらゆる側面に対応する洗練され、適応性の高いパーソナルコーチを提供しています。これは、まだこれからの時代に何が起こるかを示す有望な兆候です」と続けた。

FreeleticsのCEOであるDaniel Sobhani(ダニエル・ソバニ)氏は、「Freeleticsは誰にでも、自分の条件で目標を達成するための適切な計画と達成方法を提供し、最終的には長期的な行動変容につなげて、一生そのライフスタイルをリードし続けることができるようにしたいと考えています」と説明する。「この30年間、フィットネス業界が伝えてきたことすべてが人々を成功に導いてきたわけではありません。そして、フィットネスの目標は単に体重を減らすことだけではありません。ゴールがどのようなものであれ、私たちは最も効率的で、持続可能で、楽しい方法で人々をそこに導きたいと考えています」と続けた。

ソバニ氏によると、FreeleticsのAIは「超パーソナライズされた」フィットネスコーチングを提供し、マインドセットトレーニングと組み合わせて、より包括的な体験を提供しているという。「AIを搭載したコーチは、ユーザー一人ひとりに最適なワークアウトをキュレーションするので、常に効率的かつ効果的で、目標に向かって取り組みやすくなります」とのこと。

「私たちがパーソナライゼーションに力を入れているのは、健康とフィットネスに関しては、最終的にはワンサイズフィットのソリューションは存在しないからです。私たちはこの技術と製品への取り組みを組み合わせることで、時間、スペース、機器、知識、お金、自信など、定期的にワークアウトする際に人々が直面する日常的なハードルを減らすことができます」と同氏。

同社が狙っているのは「いつ、どのように、どこで、どのようにワークアウトするか」という点で、自分の好みの条件でワークアウトできるようにするというものだ。トレーニングプランの各日について、AIコーチは350万種類の選択肢の中から内容を選ぶ。例えば、都会の小さなアパートで隣人の邪魔にならないような、器具を使わない静かなワークアウトプランがいいかもしれない。あるいは、15分で済むものがいいかもしれない。あるいは、ウェイトを持ち上げたい場合もあるだろう。Freeleticsは、これらのさまざまな基準に基づいて、最適なフィットネスを提案できるのが強みだ。

「最後の仕上げとして、このパーソナライズされたトレーニング体験を、精神的要素であるオーディオコーチングと組み合わせています。オーディオコーチングは、トレーニングを実施して、モチベーションを高め、経験全体にマインドフルネスをもたらすことを目的としています」とソバニ氏。「このマインドセットのコーチングは、ユーザーが健康的な習慣を身につけ、トレニーングの旅をより深く理解するのを助けることを目的に、ライフスタイルを生涯にわたって改善するための持続可能な基盤を構築します」と続けた。

一方、Freeleticsは古典的なフリーミアムモデルも運営している。アプリのダウンロードと使用はある程度無料で、より個人的なコーチングを受ける際に購読料を支払う必要がある。このモデルでは、トレーニング、栄養学、マインドセットコーチングを組み合わせたさまざまなオプションを、1カ月から12カ月までの購読期間で提供している。

「ユーザーは週に1杯のコーヒーよりも安い価格でデジタルパーソナルコーチからの指導を受けられるので、ジムでのパーソナルトレーナーの費用と比較すると魅力的なオプションです。さらにこのアプリは、ジムの会員権や機器など、ワークアウトに関連するその他の金銭的なハードルを取り除くためにも機能します。昨年1年間で有料会員数を2倍の60万人以上に増やすことができましたが、これは類似の会社を見れば、業界基準になると言えるでしょう」と締めくくった。

画像クレジット: Freeletics

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(翻訳:TechCrunch Japan)