ロンドンのDijaがケンブリッジのGenieを買収し10分で食料品を配達するサービスを英国でさらに拡大

Blossom Capital、Creandum、Index Venturesが支援するロンドンの食料品宅配スタートアップ企業Dija(ディジャ)は、英国ケンブリッジに拠点を置くGenie(ジーニー)を買収した。

買収条件は今のところ非公開だが、Genieの創業者であるTim Chan(ティム・チャン)氏とCallum MacBeth(カラム・マクベス)氏がDijaのチームに加わるほか、Genieの資産も含まれている。Genieを英国の大学都市として知られるケンブリッジで立ち上げた彼らは、ロンドン以外の地域でのDijaの成長をサポートする役割を担うことになる。

長年Deliverooで上級職を務めたAlberto Menolascina(アルベルト・メノラシナ)氏とYusuf Saban(ユーセフ・サバン)氏によって設立されたDijaは、今月初めにロンドンでサービスを開始した。Dijaは、グローサリーやその他のコンビニ商品をオンデマンドで配送する、乱立しているヨーロッパの新興企業のひとつだ。同社は、超ローカルな配送に特化したフルフィルメントセンター、いわゆる「ダークストア」を構築し、独自に配達要員を採用することでこれを実現している。このフルスタックまたはバーティカルなアプローチと、それによってもたらされる可視性によって、ユニットエコノミクスを実現するのに十分なサプライチェーンとロジスティクスの効率性が生み出されると考えられているが、それはまだ証明されていない。

他のダークストア事業者としては、ベルリンのFlink(フリンク)が株式と負債を合わせて5200万ドル(約56億6000万円)のシード資金を調達しているほか、ベルリン拠点のGorillas(ゴリラズ)がシリーズAで4400万ドル(約47億9000万円)の資金を調達しており、最近ではドイツとオランダに加えてロンドンにも進出している。それに加えロンドンで事業展開しているのは、Weezy(ウィージー)Getir(ゲッティアー)Zapp(ザップ)の3社で、Jiffy(ジフィー)も間もなくサービスを開始する予定だ。また、米国のユニコーン企業であるgoPuffも欧州への進出を目指しており、英国のFancy(ファンシー)を買収または投資する交渉を行っていると報じられている

Dijaは現在、サウス・ケンジントン、フルハム、イズリントン、ハックニーの4カ所で倉庫ハブを運営しており、グローサリーやその他のコンビニ商品を10分以内に配達しているという。夏までには、ロンドン中心部とゾーン 2をカバーする20のハブをさらにオープンする予定だ。各ハブでは約2000点の商品を取り扱っており、「推奨小売価格」での販売をうたっている。配送料は1回の注文につき一律1.99ポンド(約300円)だ。

Dijaの共同設立者兼CEOのAlberto Menolascina(アルベルト・メノラシナ)氏は、声明の中で次のように述べた。「当社の野望は、M25(ロンドンの周囲を繋ぐ環状高速道路)の中だけではありません。ティムとカラムがDijaファミリーに加わり、英国やヨーロッパでより多くの人々がこの信頼性と効率性の高いサービスを利用できるようになることを嬉しく思います」。

Genieの共同設立者兼CEOであるTim Chan(ティム・チャン)氏はこう付け加えた。「日用品を数分でお届けするという共通のミッションを継続するために、Dijaのチームと力を合わせられることを嬉しく思います。既存のお客様にとって、今回の取引は、より多くの商品、よりよい価格、そしてより速い配送時間へのアクセスを意味します。これまでにケンブリッジでは非常に大きな反響がありましたが、今後数カ月のうちに英国のより多くの地域にDijaを導入することを楽しみにしています」。

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(文:Steve O’Hear、翻訳:Aya Nakazato)

D2C乳幼児フードブランド「the kindest」を手がけるMiLが3億4000万円を調達

D2C乳幼児フードブランド「the kindest」を手がけるMiLが3億4000万円を調達

厳選食材を使い、高品質にこだわるD2C乳幼児フードブランド「the kindest」(カインデスト)を手がけるMiLは3月15日、総額3億4000万円の資金調達を発表した。引受先は、既存投資家のFutureFoodFund1号投資事業有限責任組合、長友佑都が代表を務めるCuoreなど。

調達した資金は、自社システム構築への投資、子育て領域における専門家の採用強化、サービス開発人材の採用強化に投資し、社内体制強化を図る。

the kindestは、心と身体に「ほんとうにやさしいもの」を届ける乳幼児向けのフードブランド。考える・調べる・つくる時間を、少しでも多く子どもと過ごす時間に当ててほしいと願い開発したという。2019年4月のローンチ以降、販売実績50万食を突破した。

同ブランドでは、子どもの成長に必要な栄養素に関する実証データに基づいた上で、小児科医、管理栄養士、シェフとともに仕入れや商品開発を行っている。着色料や保存料などの不要な添加物を使用せず、厳選した契約農家や工場が生産した安心安全な食材を使った商品を提供している。

2018年1月設立のMiLは、「食×ヘルスケア」を軸にヘルシーでエシカルな世界の実現を目指すスタートアップ。シェフや小児科医などのプロフェッショナルたちとチームを組み、実証データに基づいた商品・サービスの開発を行うthe kindestを展開している。「自分らしい人生を食から実現する」をミッションに掲げ、世界中で注目を集めているSDGsとエシカルへの取り組み、日本が築き上げてきた食文化やクラフトマンシップを大事にしながら、世界を代表するの食品ブランドを目指す。

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「ニューヨークのイチゴはまずい」植物工場で作った日本品質のイチゴを世界に届けるOishii Farmが総額55億円を調達

Oishii farm

とちおとめ、あまおう、スカイベリー。旬の冬から春にかけて、スーパーの店頭にはさまざまな品種のイチゴがずらりと並び、おいしいイチゴが手頃な値段で手に入る。日本では当たり前のことだが、海外では少し事情が違うようだ。

Oishii Farmはニューヨーク発の植物工場スタートアップで、彼らの植物工場ではイチゴを生産している。3月12日、Oishii FarmはSparx、Sony、PKSHA、米国のVCであるSocial Starts、個人投資家の川田尚吾氏や福武英明氏などから総額約55億円を調達したことを発表した。

Oishii Farmの代表取締役を務めるのは古賀大貴氏。コンサルティングファームを経て、MBAを取得するために渡米し、UCバークレー在学中の2016年12月にOishii Farmを設立した。

サステナブルな農業のあり方

そもそも植物工場は何かと説明しておくと、施設内の環境(光、温度、湿度、水分など)のモニタリングと制御を行うことで、野菜や果物などの作物を通年で計画生産する施設のことだ。日本ではさほど目新しいものではなく、しばらく前から研究が進んでいる。

植物工場との出会いはコンサルティングファーム時代に遡ると古賀氏は話す。当時、日本のメーカーが開発した植物工場が世に出始めた頃で、古賀氏はその植物工場の案件をいくつか担当していた。ただ、植物工場には農地ではないところで作物が作れたり、狭い土地でも多段式にすることで効率的に作物が作れるなどのメリットがあるものの、日本でビジネスとして成立させるには課題も多くあったと古賀氏は説明する。

「日本の植物工場は中なかなか儲からなかったのです。建てるのが高いにもかかわらず、作れるのはレタスだけという状態でした。それに加え日本には、長野で作られたレタスが、次の日には北海道や沖縄にまで届く完璧な物流システムがあります。なので、わざわざ植物工場で作る必要がありませんでした」。

だが、近年米国では、サステナビリティの観点から植物工場に注目が集まっていると古賀氏は話す。

「カリフォルニアに来た頃、大干ばつが起きて、水不足になりました。洗車するのに水使ってはダメといった規制ができるくらいに。山火事も毎年のように起きていて、気候変動が激しくなってきています。農業は、地球上で人間が消費する水の7割ほど使うと言われています。なので、農業の水問題が米国で議論され始めるようになったのです。植物工場の場合、水をリサイクルできるので、使う水の量を9割以上削減できます。農業が全体の7割を消費していることを考えると、これはすごく効率が良い。

また、植物工場は農地ではない場所でも建てられるので、作物を地産地消でき、物流を簡素化できます。さらに植物工場では基本的に無農薬で作物が作れます。こうした理由から地球に優しい農業ということで、注目が集まっているのです」。

Oishii Farmの植物工場

ニューヨークのイチゴがまずい理由

Oishii Farmが数ある作物の中で、最初にイチゴを作ることにしたのは、立ち上げ当初から利益が見込めることと、強力なブランドが作りやすいことが理由なのだそう。「今あるものに対して圧倒的な差があれば、付加価値があるので、価格プレミアムを乗せやすくなります。例えば、レタスの場合、メキシコで作って陸路で運んだものでも、植物工場で作ったものでも、多少の鮮度差はありますが、大きくは変わりません。ですが、イチゴは味にすごく差が出ます」と古賀氏は説明する。

日本でも贈答用のイチゴはスーパーで売っているものに比べて高額だが、ニューヨーク市ではそもそもスーパーでおいしいイチゴがまったく手に入らないので、価格プレミアムを乗せやすい環境であるのだそう。

「米国のイチゴの9割はカリフォルニア周辺で生産されています。約4000キロメートル、トラックでニューヨークや東海岸に運ぶので、収穫から大体1週間かかります。日本のスーパーですら、ちょっと傷んでいるイチゴがありますよね。それが、アメリカでは1週間かけて悪路で運ばれて店頭に並んでいるのです。値段は日本とあまり変わらないくらいですが、圧倒的にまずい」。

Oishii Farm販売のOmakase Berry

そう言われると気になるのがOishii Farmで作っているイチゴの味だが、Oishii Farmの植物工場では、日本のデパートが扱うような贈答用の高級イチゴの品質のものができるようになっていると古賀氏は説明する。新型コロナウイルスの影響で、ニューヨーク市がロックダウンするまでは現地のミシュランレストランからの引き合いも多くあったという。現在は主にECサイトでの販売を行っているが、今後の生産分に関してはマンハッタンの高級スーパーでの取り扱いが決まっているそうだ。

Oishii Farmは開発した技術や植物工場を生産者に提供するのではなく、自分たちが生産者として作物を販売するビジネスモデルを採用している。古賀氏はこの理由について、「これまでの経験上、箱として売ろうとした取り組みはすべて失敗していて、自分たちで物を作って売っていかないと、プロダクトを突き詰めることができないため」と話す。

今回調達した資金は工場の拡張、ニューヨーク以外で地域の展開とさらなる研究開発に投じると予定だ。今後の同社の展望について聞いたところ、古賀氏はこう話していた。

「我々のイチゴが、普通のスーパーに売っている値段で作れるようになるのは時間の問題だと思います。そうなると既存の作り方よりも、植物工場の方が一年中安定供給でき、環境にも優しく、味も良いので、こっちの方が断然良いということになると思います。高級イチゴをニューヨークで売るというのではなく、農業のあり方を変える、それを達成するのが我々にとってひとつのマイルストーンであると考えています」。

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画像クレジット:Oishii Farm

植物由来代替肉のビヨンド・ミート株が急騰、ウォルマートでの扱い増加で

米国時間3月10日、Beyond Meat(ビヨンド・ミート)の株価が急騰した。Walmart(ウォルマート)が肉なしプロテインパティ、ソーセージ、ボールメーカーとの関係を強化したことを受けたものだ。

Walmartの900店舗がBeyond Meatのホットイタリアンソーセージとビーフレスバーガーパーティーパックを取り扱うことになった。「牛肉はどこですか?」と聞きたくない雑食主義者派やベジタリアンやヴィーガンでグリル好きの人々のためのお楽しみだ。

Beyond MeatのWallmart店舗での流通増は、2020年来2度目の生産量拡大であり、植物由来代替肉市場の独占を目指す同社の野望の一環だ。

同社の食料品は現在2万8000店舗で販売されており、フードサービスでも先を行っている。最近Yum! Brands(ヤム・ブランズ)とMcDonald’s(マクドナルド)との取引契約を発表した。

投資家はニュースに反応し、この日Beyond Meatの株価は3.16%高の4.28ドルで引けた。

「Walmartとともに成長を続け、Walmartの顧客においしくて身体にいい当社の植物由来製品を提供できる機会を得られたことをを大変うれしく思っています」とBeyond Meatの最高成長責任者であるChuck Muth(チャック・ムース)氏は語る。「これまで以上に多くの家庭が当社製品の購入を続け、より頻繁に買ってもらえるようになることを踏まえ、高まる需要に答えるべく生産と流通を強化していくことを楽しみにしています」。

2015年にさかのぼるWalmartとの結びつきも大きいが、同社が最近発表したMcDonald’sおよびYum! Brandsとの綿密に練られた提携の注目度はその比ではない。Yum! BrandsはKFC(ケンタッキーフライドチキン)他2つのフランチャイズを支ええる会社で、 米国で最も偉大なヒップホップ・ファストフード賛歌を公開して話題になった。

2021年2月下旬、Beyond MeatはYum! BrandsとMcDonald’sと、KFC、Pazza Hut(ピザハット)、Taco Bell(タコベル)に加えあのMcDonald’sともプロテインメニューアイテムを共同開発する計画を明らかにした。

Yum!との契約には、KFCのBeyond Fried Chickenテスト販売の拡大も含まれている。また、Beyond Italian Sausage PizzaとGreat Beyond Pizzaの全米販売開始によって、植物由来肉ピザを全国で導入した最初のピザチェーンになった、と当時の声明で同社は述べていた。

McDonald’sの発表は、以前ファストフード巨人がMcPlant(マックプラント)サンドイッチを発売した時に発表した提携内容に肉づけするものだ。当時はまだ契約の詳細を公表できなかったため、McPlantにおけるBeyond製品の詳細は明らかにされていなかった。

チキン、ポーク、卵製品などの植物由来メニュー項目が拡大されたMcPlantプラットフォームに登場した、と同社は2021年2月に発表した。

「新しいMcPlantプラットフォームは、お客様がMcDonald’sを訪れた時により多くの選択肢を提供するためにあります」とMcDonald’sの執行副社長・最高サプライチェーン責任者、Francesca DeBiase氏は当時語った。「Beyond Meaとtともにこの分野でイノベーションを起こすのが楽しみです。そしてこの戦略的提携を結ぶことは、美味しくて高品質な植物由来メニューアイテムをお客様に提供するための重要な一歩です」。

Beyond Meatのブランド戦略担当者たちにとっては忙しい一年だ。同社はPepsico(ペプシコ)とも、プロテインを強化したスナックと飲料を開発するために、PLANeT Partershipという残念な名前のジョイントベンチャーを立ち上げる契約を結んだ。

関連記事:ペプシコとビヨンド・ミートが植物由来の新しい食品・飲料のためにイケていない名前の合弁会社を設立

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nob Takahashi / facebook

プロのサポート付き市民農園「シェア畑」などを手がけるアグリメディアが3.5億円を調達

サービス・サポート付き市民農園「シェア畑」などを手がけるアグリメディアが3.5億円を調達

サービス・サポート付き市民農園「シェア畑」などを手がけるアグリメディアは3月10日、第三者割当増資による約3億5000万円の資金調達を発表した。引受先は、三井不動産のCVCファンド「31VENTURES Global Innovation Fund II」、博報堂DYグループCVCの博報堂DYベンチャーズが運営する「HAKUHODO DY FUTURE DESIGN FUND」、西日本旅客鉄道のCVC子会社JR西日本ベンチャーズの3社。

2011年4月創業のアグリメディアは、「農業を、実りある事業に」をミッションに掲げ、農業領域で事業を展開するスタートアップ。農地活用事業のサービス・サポート付き市民農園「シェア畑」、農業HR事業の農業求人サービス「あぐりナビ」を手がけている。

また、これら運営を通じて獲得したデータ、取引先や顧客とのリレーション、市場環境や法制度などのナレッジを「AGRI DB」(アグリデータベース)と総称し、コアの競争力と位置づけているという。

調達した資金は、AGRI DBを起点に新事業拡張を推進するデータサイエンティストやITエンジニアの採用にあてる。同社が運営する道の駅などの販売システムの刷新にも振り向け、業務全般のDXの確立を急ぐ。

また、各業界において強い経営基盤を持つ3社グループのアセットを活用し、「農ある街づくり」やスマートシティ、産地から消費者に生鮮野菜を届ける「生鮮野菜の流通」領域で事業を拡大するとしている。

農ある街づくりとは、貸農園や滞在型農園(クラインガルテン)、スマート農業を展開する農業団地など農業に関わるコンテンツを取り入れた街づくりを指すという。区画整理を伴った再開発や大型商業施設の整備に加え、新規就農者の住居となる古民家や空き家のリニューアルなども関わってくるため、事業規模が大型化するほどデベロッパーの調整力が必要としている。

サービス・サポート付き市民農園「シェア畑」などを手がけるアグリメディアが3.5億円を調達

2012年にサービスを開始したシェア畑は、農地の維持管理に困っている都市近郊の地権者と、野菜作りに親しみたい都市住民の架け橋となっており、首都圏と関西で98農園を展開。コロナ禍により都市住民の在宅比率が高まったことで、気軽に通えるシェア畑が評価され、新規契約者数は前年同期比2倍となったという。

またあぐりナビは、サービス開始6年で登録会員(農業を仕事にしたい求職者)が7万人を超え、取引農家も北海道から九州に至るまで計4800件を突破した。

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スイスの代替肉メーカーPlantedが製品の多様化と市場拡大に向けシリーズAで約19.8億円を調達

植物性の代替チキンの製法を独自に追求しているスタートアップ企業のPlanted(プランテッド)は、提供する製品と国際的な市場を拡大するため、シリーズAラウンドで1700万スイスフラン(約19億8000万円)の資金を調達した。ケバブやプルドポークの人工肉を製造しており、カットステーキのような代替肉も(文字どおり)開発中であることから、Plantedは中央ヨーロッパ以外の地域にも視野を広げ始めている。

同社はスイス連邦工科大学チューリッヒ校からのスピンアウトで2019年に設立。代替チキンの製法で成功を収めているが、それに留まることなく、他の代替肉の開発も続けている。同社の代替チキンの製法では、えんどう豆由来タンパク質とえんどう豆の繊維を押し出し成型して、鶏肉の繊維状構造をほぼ1:1で再現しているが、このアプローチは異なるスタイルや食材にも適応できることが証明されている。

「農業的にも食事的にも多様性があるため、私たちはさまざまなタンパク質を使用することを目指しています」と、共同設立者のChristoph Jenny(クリストフ・ジェニー)氏は語っている。

画像クレジット:Planted

「例えば当社で新しく発売した planted.pulled(プランテッド・プルド)はヒマワリ、オート麦、黄エンドウ豆のタンパク質で構成されており、構造も味も、鶏肉ではなく、プルドポークのように変わりました。ヒマワリのタンパク質ですばらしいところは、ヒマワリ油の生産から再利用することです。私たちは循環型経済のアプローチを確立しています」。

筆者が最初にPlantedについて書いたとき、その製品はほんのひと握りのレストランや食料品店で流通しているだけだった。現在ではスイス、ドイツ、オーストリアの3000以上の小売店で販売されており、レストランやフードサービスとも提携している。この強力な(いわば)有機的成長と、代替肉の全般的な市場が拡がっていることは疑いの余地もなく、これによって資金調達が以前と比べて楽になったことは確かだ。

今回調達した資金は、この段階にある企業に期待されるように、研究開発とさらなる発展に充てられる予定だ。

「この資金は、当社の技術の蓄積を拡大し、現在実験室規模で製造しているプライムカットステーキを商品化するために使われます」と、ジェニー氏は述べている。「製造面では、国際市場からの需要増に対応するため、現在の1時間あたり半トンの生産能力を大幅に増強し、まずは近隣諸国から、さらに欧州や海外へと拡大していきたいと考えています」。

画像クレジット:Planted

「私たちは、構造化と発酵のプラットフォームにさらに投資していきます。構造化技術と天然微生物の生化学的な働きを組み合わせることで、クリーンでナチュラル、健康的で美味しい、変革的な特性を備えた究極の新製品を生み出すことができます」と、共同設立者のLukas Böni(ルーカス・ベーニ)氏はプレスリリースで語っている。

これらのすべてが、価格を下げることにも役立つことは間違いない。それは同社の設立当初からの目標だったが、生産・販売の規模が拡大することによってのみ可能になることだ。

この分野では他の企業も資金を調達し(ちなみに、かなり大きな金額に上る)、市場を拡げているため、競争は熾烈になるだろう。

しかし、Plantedは一般的に製法が知られていない種類の代替肉に関しても、独自の知見を持っているように思われる。少なくとも米国では、代替肉といえばソーセージ、挽いた「牛肉」、そして「チキン」ナゲットが主な形状だ。

Plantedの製品が米国の食卓に並ぶのはいつになるのか、まだ言及されていないものの、ジェニー氏のいう「海外」は、少なくともそれが遠くない可能性を示唆している。

今回の資金調達ラウンドは、Vorwerk Ventures(フォアベルク・ベンチャーズ)とBlue Horizon Ventures(ブルー・ホライゾン・ベンチャーズ)が共同で主導し、スイスのサッカー選手であるYann Sommer(ヤン・ゾマー)氏や、従来の投資家がいくつか参加した。

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

放牧と一頭買い精肉への集中するPorter Roadが10.9億円を調達して全米展開へ

イースト・ナッシュビルの店頭から一頭買い精肉店として出発してから約10年が過ぎた時、Porter Road(ポーター・ロード)のファウンダーたちは米国精肉業界に新風を吹き込もうと考えた。

そしてこのほど同社は1000万ドル(約10億9000万円)の資金をL34 Ventures、River Park Ventures、Middleland、FJ Labs、Kelvin Beachumらと、既存出資者のMAX Ventures、Tribeca Venture PartnersおよびSlow Venturesから調達し、そのミッションを米国全土へと広げようとしている。

2015年に専用の食肉処理場を購入し、2018年にeコマースへと拡大して以来、Porter Roadは羊肉、牛肉、豚肉、鶏肉およびソーセージ製品を地元農家から全米の食卓へと届けてきた。

新たな資金は、同社の持続可能な農業と消費者直販ビジネスのための放牧肉、ナッシュビルの店舗、および全米のレストランへの卸売販売の拡大に使われる。

まず、ケンタッキー州プリンストンの事業を拡大し、新たな需要に答えるために4.5倍規模のUSDA認定処理施設を建設する。この事業によって小さな町に80人分の新しい職が生まれ、それはケンタッキーにおける農業ルネサンスの一環である。

「生産ラインにいるのが役員室にいるの同じくらい心地よく、人と違う方法で世界を見て、そのビジョンを実行するための深い専門知識を持っている、そんなファウンダーたちを支援するのは簡単なことです」とL37のパートナーであるRandall Ussery(ランドール・ウセリー)氏が声明で語った。「彼らは何年もかけてPorter Roadを完璧にしてきました。これはどのスタートアップもどの古参企業も一夜にしてマネできるものではありません。この会社は食肉業界のカテゴリーキラーであり自身のブランドの周りに濠を作ったのです」。

Poter Roadのステーキ、ソーセージ、ベーコン積み合わせデリバリー・ボックス(画像クレジット:Porter Road)

Porter Roadが大型ライバルたちとの違い明確にした1つの例が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック下での施設の対応だ。

生産スケジュールの制約と不規則な休憩時間、マスク着用義務やソーシャルディスタンスなどの対策の中、同社は施設内感染を一度も起こしていないと共同ファウンダーでCEOのChris Carter(クリス・カーター)氏はいう。「感染した人は数人いましたが、プリンストンで新型コロナは蔓延していません」とカーター氏は述べた。

植物由来食品への要求が高まっているものの、同社の放牧と一頭買い精肉への集中は、持続可能な生産を気にかける人々にアピールするはずだ。「私たちは、私たちの農家を気にかけています。私たちの動物がどのように育てられているのかを気にかけています」とカーター氏は語る。「それが、私たちが行っていることの本質です【略】Porter Roadにとって最も重要なのは動物の活用です。それは動物の命を尊重し、あらゆる部位を残さず届ける販売経路を作ることです」。

Porter Roadは生産ラインを拡大して、牛脂や豚脂を調理し、骨髄料理のために骨を切断する、とカーター氏は述べた。

「食品制度は崩壊寸前で大がかりな変革が必要です。今の消費者は自分の食べるものとの深いレベルの結びつきを求めており、誤解を招くラベルや流行語を見抜く目を持っています」とカーター氏は声明で語った。私たちは信用と透明性と味を届けているので、誰もが妥協する必要がなく、かつ私たちの農家を支援しています」。

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nob Takahashi / facebook

プロスケーターのロブ・ディアデックらセレブが支援する向知性スナック食品会社Mindright

流行し始めた脳の健康のための向知性サプリメントを、投資とイグジットを魅了し続けているスナックフードブームとを誰かが結びつけるのは時間の問題だった。

今がその時のようだだ。MTVの著名人でプロスケーターで起業家のRob Dyrdek(ロブ・ディアデック)氏と映画監督のChris Bernard(クリス・バーナード)氏は、共同設立した会社、Mindright(マインドライト)への新規投資とともに、Joe Jonas(ジョー・ジョナス)氏、Travis Barker(トラヴィス・バーカー)氏、およびThe ProfitのMarcus Lemonis(マーカス・レモニス)氏ら著名人出資者を発表した。

「機能性食品・飲料の道に入るにあたって、向知性薬と適応促進薬について深い研究を始めました」と共同ファウンダーのバーナード氏が語った。匿名希望(不審なことではない)のあるフードサイエンティストの協力を得て、ディアデック氏とバーナード氏はアシュワガンダを製造する会社をいくつか紹介され、2人は彼らのスナックフードの新たな重要成分にそれを選んだ。

朝鮮人参と冬虫夏草と合わせて、会社は栄養補給食品の世界を席巻する三大新(旧)サプリメントを手にした。

当初バーナード氏は、別の商品でDyrdek Machineグループにアプローチしてきたが、会社は現実離れしていてディアデック氏は支援しようという熱意を感じなかった。しかしバーナード氏がこの向知性スナックの話を持って来た際、物語が変わった。

「バーナード氏は機能性食品とプロバイオティクス食品とコラーゲンの進化したものやメンタルヘルスの一種と適応促進薬とサプリメントの世界のコンセプトを持って現れ、これらを1つにする方法はこれだと言ったのです」とディアデック氏はバーナード氏の2度目の売り込みについて話した。「あれは私たちにとってホームランでした。個人起業家を支援し、一緒に会社を立ち上げて外部リソースを提供していくのが私たちのやり方ことです。アイデアを資本市場に持ち込むための開発を私たちは支援します」。

これまでにディアデック氏のチームは消費者向けと企業向け合わせて15社の企業に投資を行い、うち5社がその後買収された。

Dyrdek Machineの契約のほとんどが同様の軌跡をたどっている。同社は共同ファウンダーになって普通株を取得し、資本注入のために望ましい株式投資を交渉する。典型的な契約金額は25万~50万ドル(約2700万〜5500万円)だ。

「出資先の共同ファウンダーになって、普通株を分け合います。最初に払ったお金は優先株となり、取引に見合った評価額を選びます」とディアデック氏は言った。「どれだけの株を発行するのかが初期資本について交渉したいことです」。

Dyrdek Machineのファウンダーであるロブ・ディアデック氏(画像クレジット:Dyrdek Machine)

ディアデック氏は自身の投資会社をファウンダー主体で市場に依存しないと説明している。「欲しいのは包括的な多次元的なファウンダーで、私たちは市場を見てもっと大きく幅広い魅力を持つ会社に育てる方法を見つけます」とディアデック氏は言った。「向知性薬を追い求めるのではなく、消費者にとって重要なのは『良い雰囲気』だと知りました。私たちが『良い雰囲気のスーパーフード』を売り出しているのはそれが理由です」。

ディアデック氏のビジネス推進能力に対するバーナード氏の信頼は、同社ポートフォリオの各社の発展が証明している。ディアデック氏によると、別の投資先であるOutstanding Foodsは1000万ドル(約10億9000万円)のラウンドを企業評価額1億ドル(約109億2000万円)で最近完了した。別の投資先スタートアップでサプリメント製造のMomentousも、最近大型ラウンドを完了しており2019年に500万ドル(約5億5000万円)調達したとディアデック氏は語った。

Mindrightは、ディアデック氏の関わりによって商品を試した他の著名人たちの名前も手にした。ジョー・ジョナス氏とトラヴィス・バーカー氏は、同社のシード出資者に数えられている。

「2人はこのビジネスに関わることを大いに喜んでいました。私たちが時間をかけて作ったものを信じているからです」とバーナード氏は語った。

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画像クレジット:Mindright

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nob Takahashi / facebook

キリンが生ビールサブスク「キリン ホームタップ」を本格展開、2021年末の会員数10万人を目指す

キリンが生ビールサブスク「キリン ホームタップ」を本格展開、2021年末の会員数10万人を目指すキリンビールは3月8日、会員制生ビールサービス「キリン ホームタップ」を今春から本格展開して2021年末での会員数を前年約5倍となる10万人を目指すことを発表しました。

「キリン ホームタップ」は“工場つくりたてのビールのおいしさをいち早くお届けする”をテーマにした会員制のサービスです。会員の自宅にビールを月2回定期配送し、専用のビールサーバーで楽しめます。

サービス自体は2017年から開始していましたが、供給体制を越える応募数があった為度々新規会員受付を終了していました。今回ビールサーバーの供給体制などサービスの基盤が整ったため、本格展開に至りました。

2021年のマーケティング戦略としては、TVCMや体験会、SNSなどのPR活動で認知獲得や話題化を図るとしています。3月8日に実施された事業方針発表会ではTVCMに出演する俳優の中井貴一さんと天海祐希さんも登壇し、下記のようなコメントしました。

中井貴一さん

お酒は強い方ではないけど、泡ってこんなにおいしいんだって思いました。注ぐというエンターテイメント性があるから人に提供したくなります。コロナ禍なので難しいですが、ゲストにホームタップのビールを振る舞いたいです。

天海祐希さん

クリーミーでこんなにおいしいビールががおウチで飲めるなんてということで「キリン ホームタップ」に入会しました。家のどこに置いても収まる感じのおしゃれでかわいいサーバーのデザインが素敵です。

キリン ホームタップ

  • 対象エリア:全国(沖縄県および、一部離島地域を除く全国)
  • 利用料金(月 4L コース):月額費用税込み8250円〜。内訳は基本料金3190円+ビール料金5060円~(1L×2本セット×月2回)
  • 利用料金(月 8L コース):月額費用1万2430円〜。内訳は基本料金3190円+ビール料金9240円~(1L×4本セット×月2回)
  • 申し込み方法:キリン ホームタップ公式サイトにて受付

キリンの生ビールサブスクリプション「Home Tap」工場直送の美味しさにハマる(石川温)

(Source:キリン ホームタップ公式サイトEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:フードテック
タグ:キリンビール(企業)酒・アルコール飲料ビール(用語)日本(国・地域)

保育園向け食材キットの給食支援サービス「baby’s fun!」のsketchbookが資金調達実施

「baby's fun!」の拡大を目指す(画像は同社HPより)

「baby’s fun!」の拡大を目指す(画像は同社HPより)

保育園向け給食支援サービス「baby’s fun!」を提供するsketchbookは3月8日、シードラウンドにおいて第三者割当増資による資金調達を行ったと発表した。引受先はヤマダイ食品、はんぽさきの小林俊仁代表、さくらインターネットの田中邦裕代表のほか個人投資家となる。資金調達額は非公表。今回の資金調達でbaby’s fun!のサービス拡充などを進めていく。

現在、保育園は待機児童という大きな社会問題を抱えている。背景には職員の人員不足がある。一人ひとりが抱える仕事量は多く、特に給食については献立の作成から食材の管理、調理、事務作業と多大な時間を割いている。この状況が労働環境の悪化や十分な教育時間の確保を困難にし、食材の仕入れや管理の難しさは食品ロスにも影響しているという。

sketchbookは2020年7月10日に設立した。同社が提供するbaby’s fun!は保育園向けの給食支援サービスで、管理栄養士作成の献立に沿った離乳食・幼児食専用の食材キットを販売している。

会社設立に先立ち2019年6月から提供を始めていたbaby’s fun!は、当初年間5000食だった取扱数も今期は年間35万食となる見込みだ。今後、大手の保育園運営会社などで導入予定もあるという。

baby’s fun!はすべて国産の食材を使用している。管理栄養士が栄養価計算した献立に合わせてカット・調理し、冷凍食材としてキットで提供する。献立表とキットだけで、利用者は簡単に給食を作ることができる。1食単価は税別380円からで、仮に園児60人分の給食を同キットでまかなった場合、一度の給食費は税込みで2万3000円ほどになる。保育園は申し込みから最短2週間で始めることが可能だ。

また、保育園側からすれば、baby’s fun!を利用することで献立作り・栄養価計算、食材の発注・買い物、食材の下処理・カットが不要になり、給食全体の作業を大きく減らすことができる。必要分だけを使える食材キットのため、食品ロスや経費の削減にも繋がる。

今回の資金調達で、baby’s fun!の製造・営業・開発体制を強化するほか、食育コンテンツなどのサービス拡充を図る。保育園の人手不足を解消し、職員が子供と一緒に過ごす時間の創出に繋げていく考えだ。同社は「保育園給食の作業効率化とさらなる価値向上を進めていく」とコメントした。

シンガポールの植物由来肉スタートアップNext Genがシード投資10.6億円を調達

シンガポールは、代替肉の開発を支援する政府の取り組みなどもあり、急速にフードテックスタートアップの拠点となりつつある。そこに参入した新興企業の中にNext Gen(ネクスト・ジェン)がある。同社は2021年3月、シンガポール国内のレストランに向けて、植物由来「チキン」のブランドTiNDLE(ティンドル)を立ち上げる。また同社は米国時間2月24日、1000万ドル(約10億6000万円)の資金調達を発表した。このシード投資ラウンドに参加したのはTemasek、K3 Ventures、EDB New Ventures(シンガポール経済開発庁の投資部門)、NX-Food、FEBE Ventures、Blue Horizonとなっている。

Next Genは、PitchBookの調査データをもとに、これは植物由来食品技術の企業が調達したシードラウンドの中で最大の投資額だと主張している。同社が外部から投資を受けたのはこれが初めてながら、当初の目標額700万ドル(約7億4200万円)を上回った。Next Genは2020年10月、Timo Recker(ティモ・レッカー)氏とAndre Menezes(アンドレ・メネゼス)氏によって、資本金220万ドル(約2億3300万円)で創設された。

Next Genの最初の製品は、TiNDLE Thy(ティンドル・サイ)という鶏もも肉の代替品だ。材料は水、大豆、麦、オート麦繊維、ココナッツ油、結着剤のメチルセルロースなどとなっているが、チキンの風味は、ひまわり油などの植物油と天然の香味料で作られ、鶏肉と同じように調理できる。

Next Genの最高執行責任者メネゼス氏がTechCrunchに話したところによると、同社の目標は、Impossible(インポッシブル)やBeyond(ビヨンド)が植物由来ハンバーガーのリーダーであるように、植物由来チキンの世界的なリーダーになることだそうだ。

「消費者も料理人も、鶏肉の食感、味、香りを求めます。その多くは鶏肉の脂によるものです。私たちが胸肉ではなく、もも肉でスタートしたのはそのためです」とメネゼス氏。「私たちは、Lipi(リピ)というブレンドで鶏の脂を作りました。香りと、焼いたときに茶色くなるところを再現しています」。

レッカー氏もメネゼス氏も、食品業界での長い経験を持つ。レッカー氏はドイツで植物由来の代替肉を作る企業LileMeat(ライクミート)を創設している。2020年この会社はLIVEKINDLY Collective(ライブカインドリー・コレクティブ)に買収された。メネゼス氏の食品産業でのキャリアはブラジルで始まった。世界最大級の鶏肉輸出国だ。彼は革新的で持続可能な製品を中心的に輸入と流通を行うシンガポールの会社Country Foods(カントリー・フーズ)でゼネラルマネージャーを務めた後、植物由来代替肉の会社で働き始めた。

「かなりの長期間を食肉産業で過ごしてきた私は、長い目で見たらそこは持続可能な業界ではないと悟ったのです」とメネゼス氏はいう。

この数年間、同じように感じる消費者が増えきたことを受けて、彼は動物由来食品に代わるものを探し始めた。UBSは、人々はビーガンや菜食主義者でなくても、より健康的で人道的なタンパク源を好むようになり、2025年には世界の植物性タンパク質市場の複合年間成長率は30パーセント以上となり、500億ドル(約5兆3000億円)規模になると予測している

特にミレニアル世代とZ世代の消費者は、畜産業による環境への影響の意識の高まりから、肉、卵、乳製品の消費を減らしたいと考えるようになっている。「彼らは食品ごとの持続可能性と、コレステロールや栄養価といった健康面をよくわかっています」。

ナトリウムと飽和脂肪が少ないTiNDLE Thyは、シンガポール健康促進局のHealthier Choice Symbol(健康的な選択マーク)を授与されている。Next Genが今回調達した資金は、TiNDLE Thyのローンチに役立てられる。最初は、シンガポールの人気レストランThree Buns Quayside、the Prive Group、28 HongKong Street、Bayswater Kitchen、The Goodburgerに製品が提供される。

1〜2年後には、Next GenはシリーズA投資ラウンドを立ち上げ、ブランドや製品を増やし、ターゲットとする市場も、米国(現在流通ネットワーク構築のための成長担当ディレクターを募集中)、中国、ブラジル、ヨーロッパへと拡大していく予定だ。レストランと共同で事業を展開した後は、Next Genは家庭向けにも製品を販売する計画を立てている。

「最初に料理人に提供する理由は、彼らは大変に厳しい評価を下すからです。もし料理人がこの製品に満足できたなら、消費者も喜んでくれると確信できます」とメネゼス氏は話していた。

関連記事:Beyond Meatの代替肉バーガーが中国アリババのスーパーに登場

カテゴリー:フードテック
タグ:Next Gen代替肉資金調達シンガポール

画像クレジット:TiNDLE/Next Gen

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(文:Catherine Shu、翻訳:金井哲夫)

ハエを鶏のエサに変え生ゴミも同時に処理するBetter Originがシード3.2億円を調達

蓋を開けてみると、ハエはお金になることが判明した。Better Originは、標準的な輸送用コンテナの中で鶏に与えられる昆虫を使い、食品廃棄物を必要な栄養素に変換する英国のスタートアップだ。このたび同社は、Fly Venturesとソーラー起業家のNick Boyle(ニック・ボイル)氏が主導し、既存投資家であるMetavallon VCも参加して、300万ドル(約3億2000万円)のシードラウンドを調達した。競合他社には、Protix、Agriprotein、InnovaFeed、Enterra、Entocycleなどがある。

Better Originの製品は、「自律昆虫ミニファーム」である。同社のX1昆虫ミニファームは、現場に設置される。農場主は、近くの工場や農場から集めた生ゴミをホッパーに入れて、ブラック・ソルジャー(black soldier fly)と呼ばれるハエの幼虫に餌を与える。

2週間後には、通常の大豆飼料の代わりに、この昆虫を飼料として直接鶏に与える。さらに使いやすさを高めるために、コンテナ内のすべてが自動化され、ケンブリッジにいるBetter Originのエンジニアによって遠隔制御されているという。

このプロセスには二重の効果がある。農業の副産物である食品廃棄物を処理するだけでなく、ブラジルのような国々で森林破壊や生息地の減少と関係している大豆の使用を抑制することもできるからだ。

さらに、パンデミックが世界的な食糧サプライチェーンの脆弱性を露呈していることを考えると、Better Originのソリューションは、食糧と飼料の生産を分散化し、食糧サプライチェーンと食糧安保を守る方法であると同社は述べている。

Better Originは、同社は現実の問題に取り組んでいると述べているが、それは公正な評価だ。欧米経済は年間生産される食糧の約3分の1を廃棄しているが、平均すると、人口の増加に伴い、食糧の生産量を70%増やす必要がある。また、食糧廃棄物は、米国、中国に次いで、温室効果ガス(GHG)の排出量にすると第3位の原因でもある。

創業者のFotis Fotiadis(フォティス・フォティアディス)氏は、石油・ガス業界で働いていたときに、無公害の持続可能な分野で働きたいと考えたという。ケンブリッジ大学でサステイナブル工学を学び、共同創業者のMiha Pipan(ミハ・ピパン)氏と出会った後に2人は、持続可能なスタートアップに向けて動き出した。

2020年5月に立ち上げられた同社は、現在5つの商業契約を結んでおり、英国全土に拡大する計画だ。

Better Originは、競合他社との差別化は、言ってみれば農場に「ドラッグ&ドロップ」できるユニットによる、昆虫養殖への「分散的」アプローチの性質にあるとしている。ある意味、サーバーファームにサーバーを追加するのと似ているかもしれない。

ビジネスモデルは、システムをリースするか、農場に販売するかのどちらかで、おそらくサブスクリプションモデルを使用することになるという。

関連記事:飲食店と卸売業者間の受発注サービス「クロスオーダー」を手がけるクロスマートが2.7億円を調達

カテゴリー:フードテック
タグ:農業

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

飲食店と卸売業者間の受発注サービス「クロスオーダー」を手がけるクロスマートが2.7億円を調達

飲食店と卸売業者間の受発注サービス「クロスオーダー」手がけるクロスマートが2.7億円を調達

XTechグループにおいて、飲食店と卸売業者向けの受発注サービス「クロスオーダー」を手がけるクロスマートは2月22日、シリーズAラウンドにおいて総額2億7000万円の資金調達を発表した。引受先は、ギフティ、SBIインベストメント、みずほキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル。また資金調達と同時に、ギフティ代表取締役の鈴木達哉氏が社外取締役に就任した。

調達した資金により、クロスオーダーの営業強化、食品メーカーが飲食店にオンライン販促できる「クロスオーダー販促」の提供を開始する。各種採用も強化を行う。

2019年11月にサービス開始したクロスオーダーは、これまでFAXや電話が主流だった卸売業者の受注業務の効率化を実現するサービス。サービス開始から約1年で7万件を超える受発注のデジタル化に貢献しているという。

飲食店と卸売業者間の受発注サービス「クロスオーダー」手がけるクロスマートが2.7億円を調達

またeギフトフォーム事業を展開するギフティからの出資の下、クロスオーダー販促を開始する。これまでメーカーが対面で行ってきた飲食店に対する営業・販促が、クロスオーダー上で行えるようになるという。コロナ禍での新たな営業手法として注目され、すでに大手食品メーカーが利用を開始しているそうだ。

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カテゴリー:フードテック
タグ:クロスオーダー(製品・サービス)XTech / クロステック(企業)クロスマート(企業)資金調達(用語)日本(国・地域)

インドのTata Groupが食料品宅配BigBasketの過半数株式を取得に合意、アリババは撤退か

インドのコングロマリットであるTata Group(タタ・グループ)は、食料品宅配のスタートアップBigBasketの過半数株式を取得することで合意に達したと、この件に詳しい2つの情報筋がTechCrunchに語った。

塩からソフトウェアまで幅広く手がける同グループは、インドのスタートアップであるBigBasketを18億ドル(約1908億円)から20億ドル(約2120億円)の間で評価する取引で、株式の60%以上を購入する、と取引はまだ非公開であるため匿名を要求した情報筋は語った。BigBasketはTata Groupとの取引に先立ち、7億5000万ドル(約795億円)以上の資金調達を行っている。

BigBasketの30%近くの株式を所有している中国のインターネット大手Alibaba(アリババ)と他の一握りの投資家は、Tata Groupとの取引の一環として、同スタートアップからほぼ完全に撤退する、と情報筋は述べている。インド政府は昨年、中国の投資家がインド企業に投資することを困難にする規制を導入した

1つの情報筋が明かした取引条件によると、BigBasketは早ければ来年までに上場を目指すという。BigBasketの共同創業者2人とTata Groupからは、コメントを求めたが得られなかった。

インドのニュースネットワークET Nowは現地時間2月16日に、2つの企業が事前交渉を行っていると報じたが、その兆しは2四半期前から地元メディアが報じ始めていた。

この動きは、2019年に1130億ドル(約12兆円)の収益を報告し、ジャガーランドローバーや紅茶メーカーのTetley(テトリー)などいくつかの人気ブランドを運営する、ムンバイに本社を置くTata Groupが、より多くの消費者向け事業に進出しようとしており、世界第2位のインターネット市場で、いわゆるスーパーアプリの開発に取り組んでいる中でのことだ。

バンガロールに本社を置くBigBasketは、ソフトバンクが出資するGrofersReliance Industries(リライアンス・インダストリーズ)のJioMartと競合している。同社はインドの25都市で事業を展開しており、プラットフォーム上での売上が急上昇したことで、新型コロナウイルスによるパンデミックが始まって数ヶ月後に黒字化した。近年、BigBasketはアイテムの自社ラベルを拡大しており、これが利益率の改善に役立っている。

BigBasketとGrofersのユーザーベースは昨年、80%も急増したとCitibank(シティバンク)のアナリストは最近推定している。インドの最も裕福な実業家Mukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏が経営するJioMartが、すでに強力なライバルとして台頭し始めているとも。

Bank of America(バンク・オブ・アメリカ)のアナリストは、クライアントへの最近のレポートの中で、オンライン食料品配達市場は2023年までにインドで120億ドル(約1兆2720億円)の価値が出る可能性があると推定している。

「BigBasket/Grofersのような大規模な垂直セクターや、横並びのAmazon/Flipkartのような競争が激しくなり、組織化されていない市場を組織化されたものに変換しようとしています。最近まで、この分野のNo.1プレーヤーはBigBasketで、年商10億ドル(約1060億円)のGMVを達成し、毎日30万件以上の注文を販売していました。Reliance Industriesは、2020年5月に200都市でJioMartアプリを立ち上げ、この競争に名乗りを上げました」と彼らは書いている。

昨年、インド最大級の工業企業であるReliance Industriesがeコマースに進出したことで、Tata Groupはデジタルへの取り組みを加速させたのかもしれない。アンバニ氏は昨年、Facebook(フェイスブック)やGoogle(グーグル)などの著名な投資家から、通信・小売事業を展開するJio PlatformsとReliance Retailのために260億ドル(約2兆7570億円)以上の資金を調達した

Tata Groupは、早くも2016年には複数の消費者向けデジタルサービスへの拡大に取り組んでいたが、役員会でのクーデターにより、これらの計画はすべて後回しにされたとThe Information誌は2020年12月に報じていた。

関連記事:ローカル配送のgoPuffが同業の英Fancy買収に向け協議中

カテゴリー:フードテック
タグ:インド フードデリバリー

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(文:Manish Singh、翻訳:Nakazato)

植物性タンパクの代替肉をハンバーガーからステーキへと移行させるRedefine Meat

現在入手可能なハンバーガーに近い代替肉よりも、牛肉の切り身に近い植物性タンパク質を製造するプロセスを開発したイスラエルのスタートアップRedefine Meatは、アジアの一流食品ブランドの一つの投資部門から大きなお墨付きを得た。

同社はこのたび、代々続く香港の調味料大手であるLee Kum Kee(李錦記)の創業者一族の富に支えられた投資部門Happiness Capitalと、ニューヨークとイスラエルのスタートアップを支援する投資会社であるHanaco Venturesから、2900万ドル(約30億7000万)の資金を調達した。

PepsiCo(ペプシコ)からマクドナルドまで、あらゆる企業と提携しているBeyond Meat(ビヨンド・ミート)や、バーガーキングでも植物ベースのフェイクミートを展開しているImpossible Foodsのような企業の台頭によって、投資家は植物由来の食品業界に押し寄せてきた。

これらの企業は味覚を満足させる植物性のパテを完成させてきたが、リブロース、サーロイン、ランプステーキの形で、エンドウ豆のタンパク質を大きく切り刻むことは、これらの企業が商業的な製品を提供する上での技術的なハードルとして、まだ克服できていない。

Redefine Meatは、自社の製造プロセスが植物由来ステーキの処方に関するコードを解読したと考えている。

取り組んでいるのは彼らだけではない。バルセロナでは、Novameatというスタートアップが今年初め、植物由来のステーキを独自に開発するために約30万ドル(約3200万円)の資金を調達した。同社はスペイン産業技術開発センターのNEOTECプログラムから資金を調達した。

両社は3Dプリント技術を使い、Beyond MeatやImpossible Foodsのような企業が市場に出してきたパテやミートボール、ひき肉に近づけようとするのではなく、ステーキの味や食感を模倣した肉の代替品を作ろうとしている。

Losa Group、Sake Bosch、K3 Venturesを含む多くの投資家が、Redefine Meatの市場への道を支援している。

同社は、今回の資金調達をポートフォリオの拡大と製品の商業的な立ち上げをサポートするために活用すると述べている。また、年内に3Dプリンターの大規模生産施設を稼働させることを目指していると、同社は声明で述べている。

Redefine Meatは2021年1月には、イスラエルのディストリビューターであるBest Meisterとの戦略的合意を発表した。現在の従業員数は約40名で、スタッフの拡大を図っている。

同社CEOのEschar Ben-Shitrit(エシャール・ベン・シトリト)氏はこう語った。「当社は、美味しい肉は動物からしか得られないという観念を変えたいと思っています。高品質の食肉製品、世界中のステークホルダーとの戦略的パートナーシップ、建設中の大規模なパイロットライン、今年後半には食肉流通業界に導入される初の産業用3D代替肉プリンターなど、我々はこれを実現するためのすべての要素を備えています」。

関連記事:微生物発酵技術で作られた代替肉をNature’s Fyndが米国で販売開始

カテゴリー:フードテック
タグ:代替肉 / 植物由来肉

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nakazato)

微生物発酵技術で作られた代替肉をNature’s Fyndが米国で販売開始

イエローストーン国立公園の原野で発見された微生物から生み出した新しい食品を提供するフードテクノロジー企業Nature’s Fynd(ネイチャーズ・ファインド)は、同社初となる製品の予約販売を開始した。

乳製品ではないクリームチーズや、動物の肉を使わない朝食用パテを売りにしているNature’s Fyndは、Al Gore(アル・ゴア)氏のGeneration Investment Management(ジェネレーション・インベストメント・マネジメント)や、Bill Gates(ビル・ゲイツ)氏が出資する投資ファンドであるBreakthrough Energy Ventures(ブレイクスルー・エナジー・ベンチャーズ)などの本格的な投資家を引きつけることに成功している。同社は前回の最終ラウンドの資金調達で8000万ドル(約84億4000万円)を調達した。

最近ではさまざまなバクテリアや菌類、植物を使って肉の代替品を作る革新的な製品が続々登場している。Nature’s Fyndはその波に乗る企業の1つだ。2020年、代替肉を開発している企業に投資された額は合計で10億ドル(約1055億円)を超えた。投資家はこの業界への関与を緩める気配がない。

従来の朝食製品に代わる、動物性を含まず遺伝子組み換えでないFy Breakfast Bundle(ファイ・ブレックファスト・バンドル)の発売は、市場参入を目指すNature’s Fyndによる最初の商業的な試みとなる。

同社によると、この限定発売のバンドルは14.99ドル(約1580円)+送料で販売され、米国の48州で購入できるという。

関連記事:動物性代替タンパク質開発企業は1500億円超を調達、微生物発酵技術に投資の波

Nature’s Fyndの製品は、同社の主任科学者がイエローストーン国立公園周辺の微生物を調査中に発見したバクテリアを利用する発酵技術を用いて作成したものである。

Nature’s Fyndは、発見した微生物の回復力と効率性を高く評価しており、従来の畜産に必要な土地、水、エネルギー資源のごく一部のみを利用し、より持続可能な生産プロセスを実現するという。

「私たちは、より少ない資源でより多くのことを行う方法が見つかると考える楽観主義です。当社の革新的な液体・空気表面発酵技術を用いて、人々の身体に栄養を与え、来たるべき世代のために地球を育む持続可能な食品の数々を生み出しています。私たちは今回、初めての製品となるFy Breakfast Bundleを限定発売することで、この旅のスタート地点に立つことができ、本当に興奮しています」と、Nature’s FyndのThomas Jonas(トーマス・ジョナス)CEOは述べている。「私たちは消費者を徹底的に調査してきました。あらゆる場面でおいしい肉や乳製品の代替品を提供するFy Breakfast Bundle独自の汎用性が消費者に強くアピールすることはわかっています」。

Nature’s Fyndのトーマス・ジョナスCEO

カテゴリー:フードテック
タグ:Nature’s Fynd代替肉資金調達

画像クレジット:Nature’s Fynd

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

代替肉に本物の風味を、動物なしで動物性脂肪を作るHoxton Farmsがシード資金3.9億円を調達

動物を使わずに動物性脂肪を生産することを目指している英国のスタートアップHoxton Farmsが、シード資金270万ポンド(約3億9000万円)を調達した。

このラウンドは、PayPalの創業者でもあるPeter Thiel(ピーター・ティール)氏が設立したシリコンバレーのベンチャーキャピタルであるFounders Fundが主導している。またBacked、Presight Capital、CPT Capital、Sustainable Food Venturesも参加した。

まだ研究開発段階にあるHoxton Farmsは、ロンドンのオールドストリートにある新しい専用ラボで学際的なサイエンスチームを拡大させるために資金を使用すると述べている。共同創業者で数学者のEd Steele(エド・スティール)氏は、「今後1年から18カ月かけて、当社の培養脂肪のスケーラブルなプロトタイプに向けて取り組んでいく予定です」と語っている。

同氏は、バイオテクノロジーの2つの学位と合成生物学の博士号を持つ長年の友人であるMax Jamilly(マックス・ジャミリー)博士と一緒に会社を立ち上げた(2人は幼稚園の頃に出会った)。「私は、CRISPRと呼ばれるゲノム編集技術を用いて、子供の白血病の治療法を発見するために博士号を取得しました」とジャミリー博士は語る。「その過程で、複雑な細胞を大規模に培養する方法を学びましたが、これはHoxton Farmsが直面している科学的挑戦の基本的な部分です」。

食肉代替分野の他の企業と同様、このスタートアップは、従来の食肉産業は持続不可能であるという前提に基づいて設立された。そうした中で代替食肉の需要は急増しているが、スティール氏は、これらの製品はまだ十分ではないと主張している。「味が悪く、健康的ではありません。重要な成分である脂肪が不足しています」と彼はいう。そしてもちろん、肉の味の大部分を決めるのは脂肪だとも。

しかし、一般的な代替肉は脂肪の代替品として植物油を使用しており、これには多くの欠点がある。ココナッツオイルやパーム油のように環境に悪いものもあるし、ほとんどの油には風味がない。

「Hoxton Farmsでは、動物を使わずに本物の動物性脂肪を育てています」とスティール氏は語る。「わずか数個の細胞から、バイオリアクターで精製された動物性脂肪を生成し、動物実験を行わずに持続可能な原料となる培養脂肪を生産しています。それは最終的に、見た目も、料理するときも、味も本物のような培養肉への扉を開きます」。

関連記事:培養肉の最大の問題点に立ち向かうカナダ拠点のFuture Fields、培養を促す安価で人道的な材料を発見

さらに、現時点で存在する動物細胞の培養技術は高価すぎるという。Hoxton Farmsは数学的・計算論的モデルを利用して「細胞培養のコストを大幅に削減する」ことを目指しているが、その結果、「大規模にしたとき費用対効果が高い」生産プロセスが実現すると同社は考えている。

「我々は、計算生物学と組織工学の最新技術を組み合わせて、数年前には不可能だった科学を実現しようとしています」とスティール氏はいう。「当社が他と違うのは、大規模で費用効率よく細胞を成長させる唯一の方法は、数学的モデリングの力と合成生物学の力を組み合わせることであるという基本的な哲学です」。

彼の計算科学的アプローチは、同じ問題に取り組んでいる他社(競合他社には米国のMission Barns社やベルギー、イスラエルのPeace of Meat社などがある)との競争に役立つだけでなく、異なる製造業者向けに脂肪をカスタマイズすることも可能にすると想定されている。これには、味のプロファイル、物理的特性(融解温度、密度など)、栄養プロファイル(飽和 / 不飽和脂肪酸比率など)の微調整が含まれる可能性がある。

一方、Hoxton Farmsの初期の顧客は、植物油に代わるより持続可能で風味豊かな代替品を求める植物ベースの代替肉企業になる。将来的には、筋肉細胞を培養しているが脂肪源を必要とする培養食肉会社やベーカリー、製菓、化粧品などの他の業界もターゲットとしている。

カテゴリー:フードテック
タグ:培養肉Hoxton Farms資金調達

画像クレジット:Hoxton Farms

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(文:Steve O’Hear、翻訳:Aya Nakazato)

全国のパン屋さんをD2C化するパンフォーユーが1.8億円調達、ベーカリー向けSaaS機能拡充

全国のパン屋さんをD2C化するパンフォーユーが1.8億円調達、ベーカリー向けSaaS機能拡充

地域のパン屋さんが抱えるあらゆる課題を独自の冷凍技術とDXで解決する、群馬県拠点のパンフォーユーは2月8日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による総額約1億8000万円の資金調達を発表した。

引受先は、ソーシャルギフト事業を展開するギフティ、九州オープンイノベーション1号投資事業有限責任組合(GxPartners有限責任事業組合、FFGベンチャービジネスパートナーズ)。また同社は、ギフティとの資本業務提携を明らかにした。今後サービス連携し、パン屋さんのDX推進を加速させる。

これまでパンフォーユーは、独自のパン冷凍技術・パン屋さん向けSaaSプロダクト・販路拡大戦略により、「その場で作り、その場で売る」ことができる、店舗内にパンを作るための厨房を持ち、製造・販売を行うリテールベーカリーの販売チャネル拡大をサポートしてきた。

調達した資金により、パン屋さん向けに独自開発しているSaaSプロダクト「パンフォーユーモット」のさらなる開発を進め、パン屋さんを取り巻くすべての作業を効率化できるよう機能拡充を進める。

またギフティと連携することで、個々のリテールベーカリーでは難しかったソーシャルギフト市場への参入を進める。店舗・ブランドの顧客ロイヤリティを高めるサービス「giftee Loyalty Platform」(ギフティ ロイヤルティ プラットフォーム)を活用し、パンフォーユーと提携するパン屋さんへデジタルの回数券、定期券、サブスクリプションなどの各種ソリューションを提供。リテールベーカリーの顧客ロイヤリティの向上・収益の安定化を支援する新サービスを開発する。

2017年1月設立のパンフォーユーは、地域のパン屋さんが抱える運営や販路拡大などのあらゆる課題を、独自の冷凍技術とDXによって解決するスタートアップ企業。「新しいパン経済圏」を作り、地域経済に貢献することをミッションとし、独自のパン冷凍技術・パン屋さん向けSaaSプロダクト・販路拡大戦略で、全国の消費者とパン屋さんをつなぎ、パンを「作る人」「売る人」「買う人」三方良しのプラットフォームサービスを提供している。

全国のパン屋さんをD2C化するパンフォーユーが1.8億円調達、ベーカリー向けSaaS機能拡充

また、パンフォーユーの冷凍パンは、「独自の冷凍技術」により、焼成の後に1日常温で置いたパンよりも品質が高いことが日本食品分析センターの検査で実証されているという。パン屋さんは冷凍庫さえあれば、それ以外の設備投資を一切することなく、全国に自慢のパンを届けられるとしている。

全国のパン屋さんをD2C化するパンフォーユーが1.8億円調達、ベーカリー向けSaaS機能拡充

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カテゴリー:フードテック
タグ:ギフティ資金調達(用語)パンフォーユー日本(国・地域)

地産食料品宅配のGood Eggsが約106億ドルの資金を調達、南カリフォルニアでの開業計画も発表

食料品宅配スタートアップのGood Eggs(グッドエッグズ)が、新たに1億ドル(約106億ドル)の資金調達を行い、2021年夏か秋に南カリフォルニアでの事業開始を計画していると発表した。

Good Eggsのことをよく知る読者なら、この話の一部はすでに耳にしたことがあるかもしれない。このスタートアップは2018年、前回の資金調達ラウンドで5000万ドル(約52億8000万円)を調達した際、Bentley Hall(ベントレー・ホール)CEOが地理的拡大の計画についても言及していたからだ。

だが、Good Eggsはサンフランシスコのベイエリアに集中しながらも、成長の機会を十分に見出してきたように思われる。同社によると、過去1年間で収益は9桁(100億円以上)に伸び、従業員数は400人を超え、顧客ベースはほぼ倍増したという。

ホール氏はまた、2020年3月に自宅待避命令が発動する数日前、同社がオークランドにより大きな新しい倉庫をオープンしたことにも言及している。チームは新しい倉庫を運営し、食料品配達の需要の増加に対応しながら、その過程で労働者の安全を確保するのに多忙を極めた。

画像クレジット:Good Eggs

食料品の宅配市場はますます競争が激しくなっているが、Good Eggsは商品の品質と幅広さで際立っているとホール氏は主張する。同社の商品の70%は地産食材であり、大抵は収穫後48時間以内に配達される。

「食料品、ミールキット、料理やお酒を提供する業者はたくさんあります。私たちは特定の基準に基づき調達したそのすべてをお届けしています」と、ホール氏は語る。その結果、Good Eggsはその消費者の多くにとって、家庭における食品購入の65%から85%を占める「プライマリーソース」となっている。

2015年にロサンゼルス、ニューヨーク、ニューオーリンズでの事業を停止し、その後すぐにホール氏がCEOに就任してから、同社にとって好転の兆しが現れていることも注目に値するだろう。ホール氏は、新しい市場への進出を急いでいるわけではないようだ。

「私は(南カリフォルニアを)1つの大きな地域としてではなく、いくつかの小地域の集まりとして考えています」と、ホール氏はいう。「LA地域、サンディエゴ北部、オレンジ郡などがあり、これらの地域を合計すると、ベイエリアの2~3つ分の規模になります。これは当社にとって、アドレス可能な市場が大幅に拡大することになります」。

画像クレジット:Good Eggs

今回の新たな資金調達は、Glade Brook Capital Partners(グレイド・ブルーク・キャピタル・パートナーズ)が主導しGV、Tao Invest(タオ・インベスト)、Finistere Ventures(フィニスター・ベンチャーズ)、Rich’s(リッチズ)のほか、以前からの投資家であるBenchmark Partners(ベンチマーク・パートナーズ)、Index Ventures(インデックス・ベンチャーズ)、S2G、DNS Capital(DNSキャピタル)、Obvious Ventures(オブヴィアス・ベンチャーズ)も参加。Glade BrookのJ.P. Van Arsdale(J.P.ヴァン・アルスデール)氏は同社の取締役会に加わっている。

「食料品市場では根本的な変化が進行しており、電子商取引やより高品質な商品とサービスへのシフトが加速しています」と、ヴァン・アルスデール氏は声明の中で述べている。「Good Eggsは、強力なユニットエコノミクスで急速な成長を遂げており、カテゴリーを定義するリーダーとなるための絶好の位置にいます。今後の成長と拡大に向けて、彼らのチームとパートナーを組めることに興奮しています」。

今回調達した資金によって、Good Eggsは地理的な拡大のみならず、新商品の追加を続け、eコマース体験を向上させる方法を見つけることができるようになると、ホール氏は述べている。

Good Eggsは今回の資金調達に加えて、Vineet Mehra(ヴィニート・メーラ)氏を最高成長顧客体験責任者として採用したことも発表した。メーラ氏は、Walgreens Boots Alliance(ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス)で最高マーケティング責任者兼最高顧客責任者だった人物で、それ以前にはAncestry(アンセストリー)でエグゼクティブバイスプレジデント兼グローバル最高マーケティング&収益責任者を務めていた。

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

飲食店のレシピを再現して仕込み料理などの外注ができる「ロカルメオーダー」運営が2億円調達

フード産業向けに食品のセントラルキッチン機能などを提供するスパイスコードは2月8日、STRIVECoral Capital食の未来ファンド、ほか未公開の個人投資家を引受先として2億円を調達したと発表した。これまでの累計調達金額は2億7500万円。

新型コロナウイルスによる影響で、飲食店は打撃を受けている。売上の減少によりコスト削減の圧力が高まり、イートイン店舗の省略化やデリバリー対応に頭を悩ませる店舗も多い。そんななか、スパイスコードが提供する「ロカルメオーダー」は、このフード産業のDXを推進することでサプライチェーンの最適化を進め、飲食店が抱える問題を解決しようとしている。

同サービスは、飲食店のオリジナルメニューの仕込みや加工をネットで外注できるというサービスだ。飲食店は、仕込み調理やEコマース商品の製造などを外注することで、本来プロの料理人が最も注力すべき「提供前調理(客に提供する前の仕上げの調理)」など、クリエイティビティの高いタスクに集中することができる。こうすることで、慢性的な人手不足にも対応できるほか、飲食店で働く人々の労働時間の改善にもつながる。

使い方もとても簡単で、飲食店はラインを使ってロカルメオーダーの申し込みができ、後日送られてくるキットにレシピと試食用のサンプルを送るだけだ。あとは、チームにプロのシェフも抱えるスパイスコードがそのレシピの味を忠実に再現し、工場生産用の手順書に落としこむ。そして、スパイスコードがオンラインでネットワーク化する食品工場と協力して料理を作り出す。僕のような料理初心者からすると、料理の世界は一種のアートのようで本当にレシピの再現ができるのか疑問だったが、スパイスコード代表の中河宏文氏によれば、「料理長くらいの経験を持つシェフであれば、レシピの再現は十分に可能だ」と話す。

食のOEM自体はこれまでも行われてきたが、これまでは飲食チェーンが直接食品工場に発注しており、手作りにおける手順とは違う工場製造の手順づくりや味の再現などに時間がかかっていた。また、最低発注ロットも通常200キログラムからと発注までのハードルが高かった。それと比較して、ロカルメオーダーではレシピの再現から外注でき、また複数の発注を同社が取りまとめていることから、発注も120キログラムからと比較的少ないロットでも発注可能というメリットがある。現在、高級フレンチ料理店のひらまつや居酒屋チェーンのジリオンなど数十社がロカルメオーダーを利用しているという。

地道なDX

CEOの中河氏は、mixiでクライアントアプリチームのリードエンジニアを務めたあと、運転者用スマホアプリなどを提供するDrivemodeを米国で共同創業(のちに本田技術研究所に売却)した経験を持つ人物。帰国後はメルカリのAIチームをTech Leadも務めている。フード産業から離れた業界をフィールドにしてきた彼だが、シェフである妻の話を聞き、この産業でのDXを実現することが重要だと感じ、スパイスコードに参画したという(CTOとして参画し、のちにCEOに就任)。

しかし、慣れない業界で新しいビジネスを起こすには、商慣習に合わせてツールを調整するなどの苦労があったとも中河氏は話す。申し込みにLINEを利用しているのもその理由の1つだ。当初はネイティブアプリを作ることも考えていたが、飲食店側にまったく受け入れられず、彼らが普段から使用しているLINEを利用する作戦に変更した。飲食店は日ごろから、近くの八百屋さんにLINEでトマトを発注するなど日常業務でLINEを使うことに慣れていたのだ。また、食品工場をオンラインでネットワーク化する部分にも苦労があった。ある工場にはWi-Fiすらなく、スパイスコード側でSIMカードを入れ込んだChromebookを用意するなんてこともあったそうだ。

今後はAI技術によるレシピ再現の自動化へ

スパイスコードは今後、さまざまな面で食のサプライチェーンの最適化を進めるとともに、テクノロジーの活用を進める。サプライチェーンの最適化という点では、配送の集約や工場生産であまった部位を利用したオリジナル商品を開発する。また、エンジニアである中河氏をはじめ、元メルカリの機械学習エンジニアが揃うチームによってレシピ再現の自動化などを進めていきたい考えだ。

「飲食店から送られてきたレシピには、欠損している情報が多々ある。そこをAIの技術で埋めて、自動的に工場生産の手順書まで落とし込むことに今後挑戦したい」(中河氏)

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カテゴリー:フードテック
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