ハエを鶏のエサに変え生ゴミも同時に処理するBetter Originがシード3.2億円を調達

蓋を開けてみると、ハエはお金になることが判明した。Better Originは、標準的な輸送用コンテナの中で鶏に与えられる昆虫を使い、食品廃棄物を必要な栄養素に変換する英国のスタートアップだ。このたび同社は、Fly Venturesとソーラー起業家のNick Boyle(ニック・ボイル)氏が主導し、既存投資家であるMetavallon VCも参加して、300万ドル(約3億2000万円)のシードラウンドを調達した。競合他社には、Protix、Agriprotein、InnovaFeed、Enterra、Entocycleなどがある。

Better Originの製品は、「自律昆虫ミニファーム」である。同社のX1昆虫ミニファームは、現場に設置される。農場主は、近くの工場や農場から集めた生ゴミをホッパーに入れて、ブラック・ソルジャー(black soldier fly)と呼ばれるハエの幼虫に餌を与える。

2週間後には、通常の大豆飼料の代わりに、この昆虫を飼料として直接鶏に与える。さらに使いやすさを高めるために、コンテナ内のすべてが自動化され、ケンブリッジにいるBetter Originのエンジニアによって遠隔制御されているという。

このプロセスには二重の効果がある。農業の副産物である食品廃棄物を処理するだけでなく、ブラジルのような国々で森林破壊や生息地の減少と関係している大豆の使用を抑制することもできるからだ。

さらに、パンデミックが世界的な食糧サプライチェーンの脆弱性を露呈していることを考えると、Better Originのソリューションは、食糧と飼料の生産を分散化し、食糧サプライチェーンと食糧安保を守る方法であると同社は述べている。

Better Originは、同社は現実の問題に取り組んでいると述べているが、それは公正な評価だ。欧米経済は年間生産される食糧の約3分の1を廃棄しているが、平均すると、人口の増加に伴い、食糧の生産量を70%増やす必要がある。また、食糧廃棄物は、米国、中国に次いで、温室効果ガス(GHG)の排出量にすると第3位の原因でもある。

創業者のFotis Fotiadis(フォティス・フォティアディス)氏は、石油・ガス業界で働いていたときに、無公害の持続可能な分野で働きたいと考えたという。ケンブリッジ大学でサステイナブル工学を学び、共同創業者のMiha Pipan(ミハ・ピパン)氏と出会った後に2人は、持続可能なスタートアップに向けて動き出した。

2020年5月に立ち上げられた同社は、現在5つの商業契約を結んでおり、英国全土に拡大する計画だ。

Better Originは、競合他社との差別化は、言ってみれば農場に「ドラッグ&ドロップ」できるユニットによる、昆虫養殖への「分散的」アプローチの性質にあるとしている。ある意味、サーバーファームにサーバーを追加するのと似ているかもしれない。

ビジネスモデルは、システムをリースするか、農場に販売するかのどちらかで、おそらくサブスクリプションモデルを使用することになるという。

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カテゴリー:フードテック
タグ:農業

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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