NVIDIA、歩道配送ロボのServe Roboticsに11.6億円投資

チップメーカー大手のNVIDIA(エヌビディア)は、UberからスピンアウトしたServe Robotics(サーブロボティクス)に1000万ドル(約11億6000万円)を投資する。Serve Roboticsはこの資金により、歩道配送ロボットサービスをロサンゼルスとサンフランシスコ以外にも拡大する。

NVIDIAにとっては歩道配送分野での初めての投資となる。両社の長期的な協力関係の一環であり、それぞれのロボット関連技術を発展させるために協働する。

「NVIDIAの投資は、Serveとの長年の提携が根底にあります。Serveは、エッジからクラウドベースの技術まで、当社のさまざまな技術を利用しています」とNVIDIAのロボティクス担当シニアプロダクトマーケティングマネージャーGerard Andrews(ジェラルド・アンドリューズ)氏はTechCrunchに話した。「私たちがうれしく思っているのは、ラストマイルデリバリーの問題に関して可能なことの限界を押し広げるために、Serveと密接に協力できるということです」。

Serveのロボットは、同社によると、特定のジオフェンス領域(仮想的な地理的境界で囲まれた領域)の中で、安全のための遠隔操作者なしで動作が可能だ。現在はNVIDIAの「Jetson」エッジAIプラットフォーム、ハードウェア、あるいは計算モジュールに依存している。いずれもロボット内部にあり、自律動作に力を与える。同社は、NVIDIAの認識・マッピングツールも利用している。これは、ロボットが実世界の環境のどこにいて、どこに行く必要があるのかを理解するのに役立つ。

多くの自動運転車メーカーと同様、Serveも道路を走る前にシミュレーションでモデルをテストしている。そのために、NVIDIAは認識モデルをトレーニングするための合成データ生成ツールを提供している。

これらのツールは、ロボット開発者に、シミュレーションからロボットフリートマネジメントに至るさまざまなソフトウェア技術を提供するNVIDIAのツール群(愛称:Isaac)の一部として提供される。NVIDIAは、Serveとの提携から得た教訓を、新進のロボット分野での技術向上に役立てたいと考えている、とアンドリューズ氏はいう。

「私たちは、自動運転のリーディングカンパニーだと考えています。実世界で本物の自動運転ロボットをスケールアップしています」とServeの共同創業者でCEOのAli Kashani(アリ・カシャニ)氏はTechCrunchに話した。「NVIDIAは、ロボット業界全体にとって最も重要な企業の1つです。NVIDIAはツールにも投資しています。発展途上の分野であることを考えれば、両社が協力することは理にかなっています」。

歩道配送の商業化には現在、さまざまなアプローチが試みられている。Coco(ココ)や最近まではTortoise(トータス)のような企業は、ロボットを目的地まで運転するために遠隔オペレーターを活用し、完全な自動運転に比べ、迅速かつ容易に市場に参入する道を開いてきた。

Serveは最初から、技術的により困難な、完全自動運転への道を選んだ。それはつまり、リアルタイムのデータ処理のために、最高の計算能力を必要としているということを意味する。

「歩道は道路よりも混沌としています」とカシャニ氏は話す。「私たちはヤギに遭遇したこともあります。歩道で直面するランダム性は、道路よりも1桁高いのです。車線変更、ブレーキ、アクセルなど、道路を走る車の動作ははっきりしています。歩道では、いつ何が起きてもおかしくないわけで、そのための準備が必要です。ここがおもしろいところで、だからこそ歩道の方がチャレンジングなのです。もちろん、利点は物事がゆっくり進むことです。そのため、対応する時間が持てます」。

Serveがここ数カ月で受け入れた戦略的投資は、これが初めてではない。12月にはシードラウンドで1300万ドル(約15億円)を調達し、Delivery Hero(デリバリーヒーロー)に投資したDX Ventures(DXベンチャーズ)、7-Eleven(セブンイレブン)のコーポレートVC部門である7-Ventures(セブンベンチャーズ)、Uber Eatsの配達サービスパートナーとしてServeを起用するUber(ウーバー)など、商業化に向けServeの進む道を支援する投資家が参加した。

画像クレジット:Serve Robotics

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

AlphabetのドローンサービスWingが配達件数20万件を達成、豪スーパーマーケットColesとの提携を発表

Alphabet(アルファベット)のドローンサービスWing(ウイング)は米国時間3月1日、新しいマイルストーンとなる商業配送件数20万回を達成したと発表した。この数字は、試験飛行を除いたものであり、10万回を達成してから半年後の達成となる。オーストラリアが、テストおよび商用展開の主要市場であり、2022年1〜2月の配達回数は3万回となった。

関連記事:ドローン配達のWingがサービス開始から2年で10万回の配達を達成、豪パイロットサービスで

さらに細かくいうなら、1日に1000回以上、25秒に1回の割合で配達が行われたことになるとWingはいう。この大きな節目の数字は、オーストラリアの大手スーパーマーケットチェーンであるColes(コールス)との業務提携発表とともにやってきた。この契約により、Wingはオーストラリアの首都キャンベラで、食品からヘルスケア製品、トイレタリー製品に至る250種類の商品を配達することになる。

その他にも、KFCやRoll’d(ロールド)のベトナム料理、Friendly Grocer(フレンドリーグローサー)の新型コロナウイルス(COVID-19)迅速検査、St. John Ambulance QLD(聖ジョン・アンビュランスQLD)の応急処置キットなどが最近宅配サービスに加わった。大きな数字はともかく、都市部でのドローン配送の有効性には疑問符がついたままだ。多くのサービスは、未来のラストワンマイル配送の手段として、地上型ロボットに一段と積極的に注目している。

このテクノロジーは田舎や到達しにくい場所にとっては意味がある。しかし、Wing自身は、そのアプローチは都市生活にも適しているのだと主張する。

Google(グーグル)は米国時間3月1日のブログ記事の中で「ドローンによる配達を日常生活に取り入れることは、単なる利便性の追加にはとどまりません」と述べている。「交通渋滞や事故、温室効果ガスの排出量を削減すると同時に、企業の売り上げを伸ばし、忙しい日々の生活に余裕を取り戻すこともお約束します。そんな未来を覗きたいなら、オーストラリアをご覧ください」。

一方、Amazonの競合サービスであるPrime Air(プライム・エア)は、パンデミック中にレイオフを余儀なくされ、この配送方法の実行可能性に疑問を残している。

画像クレジット:Wing

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(文:Brian Heater、翻訳:sako)

ラストマイル配送用の電動自転車サプライヤーZoomo、三菱UFJイノベーション・パートナーズなどから約23億円調達

デリバリーワーカー用の実用電動自転車を作っているオーストラリアのZoomoが、この度、さらに2000万ドル(約23億円)を調達して同社のシリーズBを完了した。

2021年11月、同社は株と債務の両方で6000万ドル(約69億円)のシリーズBを調達し、ソフトウェア開発と自転車の増産に投じた。今回の追加投資により同社の調達総額は1億150万ドル(約117億円)になり、それらはすべて同社のグローバルな雇用増と、自転車の生産量増加、自転車店などのメカニクスと顧客企業の両方へのマネジメントの提供、そしてライダーのためのアプリの開発に使われる。

同社は、フォームファクターとアクセサリーを一新するZoom Oneと呼ばれる高性能な実用自転車を開発中している。

Zoomoはその電動自転車(eバイク)を、ギグワーカーに週20ドル(約2300円)、米国では30ドル(約3450円)でレンタル、料金にはサービスやサポートも含まれる。またUberEatsやDoorDashなど同社が提携しているアプリ利用のデリバリー企業に登録しているワーカーなら、安くなることもある。また同社はドミノ・ピザのような大企業顧客には、サードパーティ製のモペットを含むこともあるeバイク車隊を提供する。

Zoomoは2017年に創業。北米とアジア太平洋と、2021年加わったスペイン、フランス、ドイツなどのヨーロッパなど6カ国16都市に展開している。同社は、2021年はグローバルな売上が4倍、エンタープライズビジネスは20倍に増えたというが、「いつ」に対しての増加なのか、よくわからない。

「2021年はZoomoにとって変革の年であり、ギグワーカーに加え、企業やフリートマネージャーも当社の革新的なプラットフォームの恩恵を受けることができました。Zoomoでは、今後10年以内に、すべてのラストマイル配送が、Zoomoのエコシステムに支えられた軽電気自動車で完了する世界を見ています。私たちの投資家は、この実現に一歩近づくための手助けをしてくれるでしょう」と、Nada(ナダ)氏は声明で述べている。

今回のリード投資家はCollaborative Fundで、これに戦略的投資家として三菱UFJイノベーション・パートナーズとSG Fleet、Akuna Capital、そしてWind Venturesが参加した。戦略的投資家の参加はこれが初めてであり、さらに今後の特にラテンアメリカや日本における将来の有益なパートナーシップやイニシアチブが予想される。すでにWind Venturesはラテンアメリカ最大のエネルギーと林業企業であるCOPECのベンチャー部門であり、またMUFG Innovation Partnersは、Mitsubishi UFJ Financial GroupのOpen Innovation Strategyの企業向けVC部門だ。

関連記事:ギグワーカー向け電動自転車サブスクのZoomoが12億円調達、社名もBolt Bikesから変更

画像クレジット:Zoomo

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ロボット工学と統合されたeコマース配送プラットフォーム「Paack」が約257億円調達

Paack物流センター・マドリードの仕分けロボット(画像クレジット:Paack)

今や多くの人が、Amazon(アマゾン)などの広大なスペースに設置された倉庫ロボットを見慣れていることだろう。特にAmazonは、この技術のパイオニア的存在だった。しかし、2021年の今、倉庫ロボットとソフトウェアロジスティクスプラットフォームの連携は、もはや一企業の専売特許ではなくなっている。

後発のスタートアップで、このアイデアで「成功」しているのが、現代の物流業務に不可欠なロボット工学と統合された高度なソフトウェアプラットフォームを持つeコマース配送プラットフォームのPaack(パアック)である。

Paackは、SoftBank Vision Fund 2(ソフトバンク・ビジョン・ファンド2)が主導するシリーズD資金調達ラウンドで、2億ユーロ(約257億円)を調達した。この資金は、製品開発とヨーロッパでの事業拡大に充てられる予定だ。

このラウンドには、Infravia Capital Partners(インフラビア・キャピタル・パートナーズ)、First Bridge Ventures(ファーストブリッジ・ベンチャーズ)、Endeavor Catalyst(エンデバー・カタリスト)も新たに参加した。また、Unbound(アンバウンド)、Kibo Ventures(キボ・ベンチャーズ)、Big Sur Ventures(ビッグ・サー・ベンチャーズ)、RPS Ventures(RPSベンチャーズ)、Fuse Partners(フューズ・パートナーズ)、Rider Global(ライダー・グローバル)、Castel Capital(キャステル・キャピタル)、Iñaki Berenguer(イニャキ・ベレンゲール)といった投資家も参加している。

今回の資金調達は、本国スペインで収益性の高いポジションを確立した後に行われたが、Paackは、英国、フランス、ポルトガルなど、ヨーロッパ全域で同様の目標を達成する予定であると主張している。

Fernando Benito(フェルナンド・ベニート)氏、Xavier Rosales(シャビエル・ロサレス)氏、Suraj Shirvankar(スーラジ・シルヴァンカー)氏の3人が設立したPaackは、現在150の海外顧客から毎月数百万の注文を受け、1サイトあたり1時間に1万個の小包を処理しているという。そのうちの17社は、スペイン最大級のeコマース小売業者である。

同社のシステムは、eコマースサイトと統合されている。そのため、消費者はチェックアウトの際に配送スケジュールをカスタマイズすることができる、と同社はいう。

CEO兼共同設立者のベニート氏は「便利でタイムリーで、よりサステナブルな配送方法に対する需要は、今後数年間で爆発的に増加すると思われ、Paackはその解決策を提供しています。私たちはテクノロジーを使って、消費者に配送のコントロールと選択肢を提供し、配送にかかる二酸化炭素排出量を削減します」と述べている。

SoftBank Investment Advisers (ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズ)の投資ディレクターであるMax Ohrstrand(マックス・オルストランド)氏は「eコマース分野が繁栄を続け、消費者にとって当日配送がますます当たり前になる中、Paackはその技術とサステナビリティへの取り組みの両面において、カテゴリーリーダーになるための好位置につけていると考えています」。と述べている。

世界経済フォーラム(WEF)の調査によると、ラストマイル・デリバリー事業は2030年までに78%成長し、そのうち3分の1近くで、CO2排出量が増加すると予想されている。

そのため、Paackは、電気自動車を使用し、環境負荷を測定することによって、すべての小包をカーボンネットゼロで配送することを目指していると主張している。現在、カーボントラストと国連の認証取得を目指している。

ベニート氏はインタビューで「私たちは、短期的なビジョンとして、ラストワンマイルデリバリーのための、おそらく最も先進的な技術によるデリバリープラットフォームを通じて、ヨーロッパにおける持続可能なeコマースデリバリーをリードすることを目指しています。例えば、当社のCTOは、Google Cloud(グーグル・クラウド)のCTOであり共同設立者でした」と答えている。

「最高の配送体験を実現するために、倉庫の自動化、時間帯、ルーティングの統合など、あらゆるものを開発しています」と語る。

Paackによると、複数のロボットパートナーとの提携が可能だが、現在は中国企業GEEK(ギーク)のロボットを使用している。

同社は、ヨーロッパのDHL、Instabox(インスタボックス)、La Poste(ラ・ポステ)のような大規模な既存企業に対抗できるようにしたいと考えている。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Akihito Mizukoshi)

翌日配達のスタートアップVehoが144億円のシリーズAに続き企業価値1148億円の評価を受ける

翌日配達の技術を提供するスタートアップVehoは、配送のラストワンマイル(最後の1マイル)、つまり配送センターから注文客の自宅玄関までの荷物配達の問題解決を目指している。また、同社は顧客がいつ、どこへ、どのように荷物を配送してもらいたいか、そしてプロセス全体を通してリアルタイムのコミュニケーションにより配送に透明性を提供するという、ユニークな才能を利用してそれを実行したいと考えている。

ニューヨークに拠点を置くVehoの収益は2020年夏のシードラウンドの資金調達から40倍増加し、従業員数も15人から400人に増えたと、Vehoの共同設立者でCEOのItamar Zur(イタマー・ツア)氏はTechCrunchに語った。

同社はすでに米国の14の市場で事業活動を行っているが、2022年末には50市場に増やす計画である。チームを増員し、再配達対策プログラムを導入および拡大して、それに向けて技術開発に投資するために、同社はシリーズAの資金調達が1億2500万ドル(約144億円)に上り、企業価値が10億ドル(約1148億円)と評価されたことを発表した。

General Catalyst(ゼネラル・カタリスト)がラウンドを率いConstruct Capital (コンストラクト・キャピタル)、Rachel Holt(レイチェル・ホルト)、Bling Capital(ブリング・キャピタル)、Industry Ventures(インダストリー・ベンチャーズ)、Fontinalis Partners(フォンティナリス・パートナーズ)、Origin Ventures(オリジン・ベンチャーズ)が参加した。直近の資金調達ラウンドではVehoに対してこれまで合計1億3000万ドル(約149億円)が集まったとツア氏は述べた。

いったいなぜ、新興企業がそれほどの資本を事前に集めたのか疑問に思うかもしれない。しかしツア氏は、Vehoが「しっかりとしたプラットフォームであり、現時点で小さな事業ではない。急成長を維持したいと思っている」と回答した。

「最大のeコマース革命の最中にチャンスがあります。パンデミックを通して急成長した後もそれは終わりません」と付け加えた。「顧客体験は私達の目前で変化しています。スピードとコミュニケーション以外に、ブランドが提供したいのは可視性とデータです。より多くの資本を取り入れ驚異的なスピードで成長を続けるには完璧なタイミングだと考えています」。

もちろん、Amazon(アマゾン)はラストワンマイル市場の約50%を抱え込んでおり、ここでは、アマゾンがうまくやっているかは議論するまでもない。ツア氏もそれを否定しないが、7~10営業日かけるより早くサービスを提供したいと考えているeコマース企業の50%に、同種の配送サービスを提供する好機を見出している。

Vehoの技術は、有資格のドライバーパートナーがいることにより宅配の需要と一致するとともに、顧客が配達中でも実際の到着時間を知らせることができる。リアルタイムで配達スケジュールを変更したり、届け先を変更したり、個人的な配達指示を出すことも可能だ。

Vehoチーム(画像クレジット:Veho)

同社のアイデアはツア氏自身の経験から来ている。ビジネススクール在学中に食事配達のサブスクリプションに入ったが、初めて注文した品が届かなかった。ツア氏は配送会社に連絡を取った。そして40分待った後、電話はつながらなくなった。彼はサブスクリプションをキャンセルしたが、それは荷物の到着が遅れたり受け取れなかったりすることに我慢できない他の客と同じである。

「ますます競争的なeコマース分野において、多くの企業がアマゾンと同様のすばやい配達を求めているが、そうするほどの規模に欠けています」とツア氏はいう。「Vehoはそのようなブランドのために公平な条件を作っています。逃した最大の機会は、前もって包装されていることと、ブランドがよりロイヤルティを作り、顧客を長く引き止めてもっと頻繁に購買してもらえるような配達の、点と点をつなげることである」。

ラストワンマイルの問題解決だけに取り組むのはVehoだけではない。他にもそのアプローチのために資本調達をする企業が世界中にある。例えば、過去6カ月間でZoomo(ズーモ) Cargamos(カルガモス)Coco(ココ)Deliverr(デリバー)Bringg(ブリング)が新たなラウンドを発表した。Walmart(ウォルマート)も夏にWalmart GoLocalプログラムを導入し、リテーラーがリテール大手の配送網に入り込めるようにした。

ツア氏は、Vehoがデリバーなどの他社と競合しているとは見ていないが、国有の運送会社を競合と考えている。そのような国有企業の技術はeコマースのない「旧世界」のために設計されており、それがそのセクターが今後10年でいかに成長するかという展望とともに「完全にeコマース顧客のニーズに基づいて」創設されたVehoとの違いだ。

世界のラストワンマイル配送市場は2020年に約1080億ドル(約12兆3993万円)と評価され、今後4年で1469億6000万ドル(約16兆8720万円)増加する。テクノロジーおよび調査会社のTechnavio(テックナビオ)によると、北米がその成長の39%を占める。

購買におけるeコマースへの移行にともない、物流および宅配便セクターは競って需要に追いつこうとしている。彼らは2020年のホリデーシーズンにおける、ハルマゲドンならぬ「shipaggedon(シッパゲドン)」から、半導体の製造と出荷の遅延、入港まで、ここ数年で大きな挫折も味わっている。

Vehoは、顧客が戻ってきて注文してくれるような、顧客とeコマース企業間の信頼を促進する真にすばらしい配送体験を作り出したいと考えている。ツア氏はアパレルとアクセサリー、食品雑貨類の販売を行う顧客に言及し、従来の配送会社から箱を受け取っていた顧客と比べて、すでに顧客の再購入で20%の増加、顧客生涯価値で40%の増加、ネットプロモータースコアで8ポイントの増加がみられたことを付け加えた。

一方で、ゼネラルカタリストのKyle Doherty(カイル・ドハーティ)氏は、8000億ドル(約91兆8516万円)のeコマース市場を狙う多くの企業にとってチャンスがあると述べた。その半数が米国にあり、毎年全体で約1000億ドル(約11兆4815億円)ずつ成長することが予測される。

ツア氏と同じくドハーティ氏も、サンフランシスコの自宅で荷物を受け取る際に失望してきたが、そこでは荷物の盗難が起きているという。

「どうしようもなく感じますし、状況を管理できません」と彼は付け加えた。「我々は最前線でeコマースの使用と、ストレスを受けるサプライチェーンにおける劇的な加速を見てきました。コンピューター技術が物流業者に優れた体験をもたらすことができると信じてきました。私がイタマーさんに紹介されたとき、すぐにわかりました。彼も顧客体験について業者と消費者に共感している。それがよくわかりました」。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Dragonfly)

BMWの製造施設に車両を自律走行させるV2XセンサータワーをSeoul Roboticsが導入

AIベースの知覚ソフトウェア会社Seoul Robotics(ソウルロボティクス)は、自動車やトラック輸送のファーストマイルおよびラストマイルの物流ハブを、1つのセンサータワーがオーケストラの指揮者のようにフリートの動きを制御し、数百台の車両を所定の位置に誘導するような集合体にしたいと考えている。

BMWとの2年にわたる試験的な技術提携を経て、Seoul RoboticsはCESで、ミュンヘンの製造施設における車両物流の自動化という、同社にとって初の商業展開を発表した。「インフラによる自律走行」と呼んでいる技術を展開する。

Seoul Roboticsの最新製品であるレベル5コントロールタワー(LV5 CTRL TWR)によって誘導される車両は、それ自体が自律走行するものではない。同社CEOでのHanBin Lee(ハンビン・リー)氏によると、必要なのは自動変速機とコネクティビティだけだという。

Seoul Roboticsの3D知覚ソフトウェア「Sensr」を搭載したセンサーとコンピュータの網が、施設内のインフラに戦略的に配置される。そして、そのインフラが車両を取り巻く環境の情報を感知し、計算を行い、予測を立て、車両に指令を送る。リー氏は、この作業を人間の安全オペレーターや人間がまったくループに入ることなく安全に行うことができると話す。

BMWでは、LV5 CTRL TWRは主に施設内に配置された約100個のLiDARセンサーに頼っているが、将来的にはセンサーの冗長性のためにカメラやレーダーも導入したいとリー氏は話す。

自動走行車企業の多くは、都市部や高速道路での走行を可能にする独自のセンサーや計算処理能力を備えた自動運転車の開発に全力を注いでいる。少なくとも自動走行貨物車の場合、開発企業は物流ハブ内の移動や、BMWの場合は新しく製造された車両を組立ラインから車両配送センターへ移動させるなど、特定の時点で人間が業務を引き継ぐ必要がある。

自律走行トラック運送会社のTuSimpleは、施設から施設まで80マイル(約128km)の高速道路を走行し、初のドライバーなしプログラムを成功させたばかりだが、同社はまだ地上での特定のオペレーションを管理するために人間を必要としている。Waymo(ウェイモ)は、人間のドライバーがファーストマイルとラストマイルの配送を担う自動運転とマニュアル運転を組み合わせたトランスファーハブモデルを促進するために、自律走行トラック輸送ハブを建設している

LV5 CTRL TWRは高速道路に配備されることを想定していない。むしろOEM、トラック運送会社、レンタカー会社、そして潜在的には空港のファーストマイルとラストマイルにおけるギャップを埋め、コストを削減することを目的としている。

「施設の性質上、駐車場は非常に狭く、この狭い施設内を多数の車両が走り回ろうとします。誰かがそれを指揮し、誰かがコントロールタワーとなって、車両が正しいタイミングで指定の場所に入ることを確認する必要があります」とリー氏はTechCrunchに語った。「たとえ車両がいつか自律走行するようになったとしても、レベル5のコントロールタワーは必要です。というのも、車両管理システムだからです。レベル4やレベル5はいうまでもなくかなり先の話ですが、一方でこのシステムは、基本的に非常に限られたスペースでロボタクシーとしてのメリットをすぐに提供しています」。

OEM、レンタカー会社、トラック運送会社は、自社施設内で車両をA地点からB地点に移動させるだけの作業に何千人もの従業員を割いている。これは不必要な労働力の使用であるだけでなく、高度な訓練を受けたドライバーではなく、アルバイトであろう地元の人々が混雑したスペースを運転することによって多くの損害や事故が発生していると、リー氏は話す。

トラックの後ろやコーナー周辺など、複数の視点から情報を提供することで、センサータワーの死角をなくし、これによって衝突を減らし、より信頼性の高いプロセスを構築することができる、とSeoul Roboticsは説明する。

V2X(Vehicle-to-Everything)ソフトウェアを開発する企業が直面する課題の1つに、レイテンシーの問題がある。世界では、V2Xの制御は公共の4Gや5G LTEを通じて車両と共有されているが、Seoul RoboticsはBMWが所有・運営するような私有地で展開しているため、自社のユースケースに専用の帯域を確保できるプライベートネットワークで情報を送信している。また、これらの施設の車両の最高スピードは、時速13マイル(約20キロ)までとなっている。

私有地での自動化に高度なV2Xを使用する利点は、ドライバーなし走行の許可を得るために政府とやり取りする必要がなく、交通弱者が事故に遭うリスクがほとんどないことだと、リー氏は指摘する。

また、V2X企業がこれまで特に公道で直面してきた課題は、ハードウェアの購入と設置にともなうコストだが、物流の観点からユニットエコノミクスがうまく機能しているとリー氏はいう。

「LiDARは最近ずいぶん安くなっていて、センサー1個あたりは1000〜2000ドル(約11万6000〜23万2000円)ほど、システムのフル展開には数百万ドル(数億円)かかります」と同氏は語る。「OEMはハードウェアの費用を前払いするので、ハードウェアや設置の費用はかかりません。システム設置後は、当社は基本的に設置費用と車両1台あたりのライセンス月額費用の支払いを受けます。OEMは人件費や潜在的な損害にかかる費用を節約できるため、ROIは最短で1〜2年です」。

他の企業も同様の技術に取り組んでいる。2019年にはBosch(ボッシュ)とDaimler(ダイムラー)が共同で自動バレーパーキングの試験を行った。リー氏によれば、まだ技術を公表していないものの、BMWのギグにも入札したスタートアップが多数存在するという。

画像クレジット:Seoul Robotics

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

BMWの製造施設に車両を自律走行させるV2XセンサータワーをSeoul Roboticsが導入

AIベースの知覚ソフトウェア会社Seoul Robotics(ソウルロボティクス)は、自動車やトラック輸送のファーストマイルおよびラストマイルの物流ハブを、1つのセンサータワーがオーケストラの指揮者のようにフリートの動きを制御し、数百台の車両を所定の位置に誘導するような集合体にしたいと考えている。

BMWとの2年にわたる試験的な技術提携を経て、Seoul RoboticsはCESで、ミュンヘンの製造施設における車両物流の自動化という、同社にとって初の商業展開を発表した。「インフラによる自律走行」と呼んでいる技術を展開する。

Seoul Roboticsの最新製品であるレベル5コントロールタワー(LV5 CTRL TWR)によって誘導される車両は、それ自体が自律走行するものではない。同社CEOでのHanBin Lee(ハンビン・リー)氏によると、必要なのは自動変速機とコネクティビティだけだという。

Seoul Roboticsの3D知覚ソフトウェア「Sensr」を搭載したセンサーとコンピュータの網が、施設内のインフラに戦略的に配置される。そして、そのインフラが車両を取り巻く環境の情報を感知し、計算を行い、予測を立て、車両に指令を送る。リー氏は、この作業を人間の安全オペレーターや人間がまったくループに入ることなく安全に行うことができると話す。

BMWでは、LV5 CTRL TWRは主に施設内に配置された約100個のLiDARセンサーに頼っているが、将来的にはセンサーの冗長性のためにカメラやレーダーも導入したいとリー氏は話す。

自動走行車企業の多くは、都市部や高速道路での走行を可能にする独自のセンサーや計算処理能力を備えた自動運転車の開発に全力を注いでいる。少なくとも自動走行貨物車の場合、開発企業は物流ハブ内の移動や、BMWの場合は新しく製造された車両を組立ラインから車両配送センターへ移動させるなど、特定の時点で人間が業務を引き継ぐ必要がある。

自律走行トラック運送会社のTuSimpleは、施設から施設まで80マイル(約128km)の高速道路を走行し、初のドライバーなしプログラムを成功させたばかりだが、同社はまだ地上での特定のオペレーションを管理するために人間を必要としている。Waymo(ウェイモ)は、人間のドライバーがファーストマイルとラストマイルの配送を担う自動運転とマニュアル運転を組み合わせたトランスファーハブモデルを促進するために、自律走行トラック輸送ハブを建設している

LV5 CTRL TWRは高速道路に配備されることを想定していない。むしろOEM、トラック運送会社、レンタカー会社、そして潜在的には空港のファーストマイルとラストマイルにおけるギャップを埋め、コストを削減することを目的としている。

「施設の性質上、駐車場は非常に狭く、この狭い施設内を多数の車両が走り回ろうとします。誰かがそれを指揮し、誰かがコントロールタワーとなって、車両が正しいタイミングで指定の場所に入ることを確認する必要があります」とリー氏はTechCrunchに語った。「たとえ車両がいつか自律走行するようになったとしても、レベル5のコントロールタワーは必要です。というのも、車両管理システムだからです。レベル4やレベル5はいうまでもなくかなり先の話ですが、一方でこのシステムは、基本的に非常に限られたスペースでロボタクシーとしてのメリットをすぐに提供しています」。

OEM、レンタカー会社、トラック運送会社は、自社施設内で車両をA地点からB地点に移動させるだけの作業に何千人もの従業員を割いている。これは不必要な労働力の使用であるだけでなく、高度な訓練を受けたドライバーではなく、アルバイトであろう地元の人々が混雑したスペースを運転することによって多くの損害や事故が発生していると、リー氏は話す。

トラックの後ろやコーナー周辺など、複数の視点から情報を提供することで、センサータワーの死角をなくし、これによって衝突を減らし、より信頼性の高いプロセスを構築することができる、とSeoul Roboticsは説明する。

V2X(Vehicle-to-Everything)ソフトウェアを開発する企業が直面する課題の1つに、レイテンシーの問題がある。世界では、V2Xの制御は公共の4Gや5G LTEを通じて車両と共有されているが、Seoul RoboticsはBMWが所有・運営するような私有地で展開しているため、自社のユースケースに専用の帯域を確保できるプライベートネットワークで情報を送信している。また、これらの施設の車両の最高スピードは、時速13マイル(約20キロ)までとなっている。

私有地での自動化に高度なV2Xを使用する利点は、ドライバーなし走行の許可を得るために政府とやり取りする必要がなく、交通弱者が事故に遭うリスクがほとんどないことだと、リー氏は指摘する。

また、V2X企業がこれまで特に公道で直面してきた課題は、ハードウェアの購入と設置にともなうコストだが、物流の観点からユニットエコノミクスがうまく機能しているとリー氏はいう。

「LiDARは最近ずいぶん安くなっていて、センサー1個あたりは1000〜2000ドル(約11万6000〜23万2000円)ほど、システムのフル展開には数百万ドル(数億円)かかります」と同氏は語る。「OEMはハードウェアの費用を前払いするので、ハードウェアや設置の費用はかかりません。システム設置後は、当社は基本的に設置費用と車両1台あたりのライセンス月額費用の支払いを受けます。OEMは人件費や潜在的な損害にかかる費用を節約できるため、ROIは最短で1〜2年です」。

他の企業も同様の技術に取り組んでいる。2019年にはBosch(ボッシュ)とDaimler(ダイムラー)が共同で自動バレーパーキングの試験を行った。リー氏によれば、まだ技術を公表していないものの、BMWのギグにも入札したスタートアップが多数存在するという。

画像クレジット:Seoul Robotics

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi