中国初の探査車が天問1号ロケットの打ち上げ成功で火星に向かう

中国は今日(米国時間7月23日)午前、火星探査機の打ち上げに成功した。東海岸時刻午前12時41分、海南島(Hainan Island)の文昌衛星発射場(Wenchang Satellite Launch Center)から長征5号(Long March 5)ロケットを使って発射された。搭載された天問1号(Tianwen-1)探査車(ローバー)は、2011年に地球軌道の脱出に失敗した火星探査機蛍火1号(Yinghuo-1)を受け、中国初の本格的探査ミッションを担う。

これは中国だけでなく、地球外惑星探査全般にとって大きな取り組みである。一つのミッションで、軌道周回機と探査車の両方を組み合わせ、惑星に着陸させた探査車が火星軌道上の周回機と連絡を取り合う新しい試みだ。

天問1号は今年離陸した2番目の火星ミッションであり、今週UAE(アラブ首長国連邦)は、日本の三菱重工(MHI)のロケットで火星探査機を打ち上げた。そのミッション “Hope”は火星大気を測定する着陸機を搭載している。

中国のミッションでは、送り込んだソーラー電力探査車による90日間の火星表面探査が計画されており、搭載したさまざまな機器を使って標本採取やマルチスペクトル写真撮影、表面組成、天候、磁界情報などの測定を行う。軌道周回機も自身のカメラと測定機器を使って、分光計、レーダー、写真などの情報を収集するほか、探査車から送られてきたデータを地球に送るリレーステーションの役目も果たす。

今年の火星大接近(地球と火星それぞれの太陽周回軌道が最接近する時期)が終わる前に、もうひとつ火星に向かうミッションがある。NASAの火星探査車 “Perseverance”(忍耐)の打ち上げだ。天候が許せば7月30日に離陸する予定だ。PerseveranceはNASAの探査車、Curiosityの後継機で、標本を採取して地球に文字通り持ち帰る。小型自走ヘリコプターも搭載しており、成功すれば火星表面から離陸した初めての動力航空機になる。

天問1号は来年2月に火星に到着する予定で、数ヶ月にわたる旅は両惑星の相対距離に基づく最短移動時間だ。

画像クレジット:China National Space Administration

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceXとNASAはCrew Dragonの初の業務運用を9月に設定

SpaceX(スペースX)とNASAは今週、SpaceXの有人宇宙船Crew Dragon(クルー・ドラゴン)の最初の公式運用ミッションを9月中に実施するとNASAのメディア向け最新情報で伝えた。この打ち上げは、当初は8月に設定されていたのだが、「9月後半」に予定が変更された。Bob Behnken(ボブ・ベンケン)氏と Doug Hurley(ダグ・ハーリー)氏が参加しているCrew DragonのDemo-2(デモツー)有人ミッションは、早ければ8月1日に両宇宙飛行士がSpaceXのこの宇宙船で地球に帰還・完了することになっているが、それを見届ける時間の猶予が必要なためだ。

Demo-2ミッションは、実際に国際宇宙ステーション(ISS)に人を送り込むことに成功したが、これはあくまで最終試験であり、Crew DragonとFalcon 9に人を乗せて評価を行う開発工程の最終段階に過ぎない。今後、この宇宙船とロケットは、宇宙飛行士の定期的な輸送サービスが可能かどうか、NASAの目によって審判される。これに対してCrew-1は最初の運用ミッションだ。つまり、定期的に宇宙飛行士を運ぶというSpaceXの契約に記されたひとつの基準を、初めて満たすものと考えられる。

Crew-1は、Michael Hopkins(マイケル・ホプキンス)氏、Victor Glover(ビクター・グローバー)氏、 Shannon Walker(シャノン・ウォーカー)氏の3人のNASAの宇宙飛行士と、JAXAの野口聡一氏をISSまで運ぶ。フロリダ州のケネディー宇宙センターから打ち上げられ、宇宙飛行士たちはそこで通常の任務期間を過ごす。この国際チームは、NASAとパートナーに依頼された数々の実験や研究を、力を合わせてこなすことになっている。

もちろん、Crew-1が9月に打ち上げられるためには、いくつかの条件がある。そのひとつが、ハーリー氏とベンケン氏がISSから無事に帰還することだ。SpaceXの証明プロセスを完了するためには、この部分がスムーズに進行しなければならない。その後、NASAによる検証が行われるのだが、それには少々時間がかかる。

ベンケン氏とハーリー氏は、ISSにドッキング中、「居住性評価」と呼ばれるもうひとつの重要なテストを完了させたところだ。ドッキングハッチの開閉、廃棄物システムが予定どおり操作できるか、ISSから荷物をCrew Dragonにうまく運び込めるか、などが試された。NASAの認証を得るためには、NASAが要求する膨大な数の試験項目のすべてに合格マークが付かなければならないのだ。
画像クレジット:SpaceX

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(翻訳:金井哲夫)

ロシアの衛星兵器テスト疑惑で明確化する宇宙軍事化の証拠

米国宇宙軍は、ロシアが軌道上の既存探査機を使って実施していると疑われている衛星攻撃兵器(Anti-Aatellite Weapon)テストに関する詳細を発表した。問題のロシア探査機は2020年始めに米国のスパイ衛星を追尾している見られたことで大きく取り上げられたのと同じものだ。宇宙軍によると、その同じ宇宙船が何らかの投射物を発射し、現在地球軌道を周回している物体を監視していると見られている。

米国宇宙軍のJohn Raymond(ジョン・レイモンド)宇宙作戦部長は、The Vergeの取材に対して「『ロシアが宇宙ベースのシステムの開発、テストを続けている』こと、およびそれが米国および同盟国の宇宙資産を危険に晒す戦略を追及しているさらなる証拠である」と語った。

宇宙の軍事化は新しい話ではなく、あらゆる方面のあらゆる部隊が攻撃、防御両方の宇宙兵器技術の開発を追究している。考えられる最大のリスクの1つが、今回のように衛星から発射して他の衛星を破壊する兵器であり、地上の通信、諜報、監視など、あらゆる軍事行動の命令、制御に使用されている重要な宇宙基盤を破壊する可能性がある。

宇宙の軍事化に関して米国を悩ましているのはロシアだけではない。4月にインドが行ったテストで、同国は地対宇宙衛星破壊ミサイルシステムを誇示したが、NASA長官はこれを「人間の宇宙飛行と相容れない」ものとして否定した。もちろんこの種の能力を明らかにしたのはインドが最初ではなく、米国、中国、ロシアいずれも同様のテストを実施している。

軌道対軌道攻撃兵器によるリスクの高まりは、米国を始めとする各国軍隊の宇宙内資産の優先度に劇的な影響を与えた。例えば、米国防総省および他の米国防衛・情報機関は、従来利用してきた膨大なコストがかかる巨大な地球同期衛星への依存度を減らし、冗長性を内包する低地球軌道で動作する機敏な衛星群へと転換しているようだ。彼らは商用小規模打ち上げスタートアップにも積極的な投資を行っており、SpaceXなどの既存ロケット企業以上に迅速な軌道ロケット打ち上げサービスの提供を期待している。

宇宙の軍事化に関しては声高な批判者が数多くいることは明白だが、その膨大な戦術的優位に期待する世界の超大国が巨額を投じている事実は変われない。この種のテストの頻度は社会的注目の高まりを踏まえると、中でも米国にとっては、創造的で高度なソリューションを提供できる民間セクターの支援を大いに期待できる分野である。

画像クレジット:Erik Simonsen / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceXが初めて2つのフェアリングの回収に成功、再利用で1回の打ち上げにつき約6.4億円節約に

SpaceX(スペースエックス)は、Falcon 9(ファルコンナイン)の打ち上げに使用された2つに分裂したフェアリングを両方とも回収したと、CEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は発表した(Twitter投稿)。フェアリングは、ロケットが地球の大気圏を抜けて宇宙に到達するまでの間、積荷を保護するためのカバーで2つに割れるようになっている。これまでSpaceXは、落ちてくるフェアリングを特別なネットを備えた2隻の船で回収しようと何度も試みていたが、成功したのは今回が初めて。しかも片方だけでなく、両方とも回収できた。

SpaceXは、できるだけ部品を再利用することで打ち上げコストを削減しようと努力を重ねている。逆噴射で地上に軟着陸するロケットの第1段(ブースター)を開発したのも、整備を行い、次の打ち上げにまた使えるようにするためだ。今ではこの方法は洗練され、信頼性もずいぶん上がってきた。SpaceXは、今回の打ち上げを含め、これまでに役割を果たしたブースターの着陸を57回成功させている。

しかしフェアリングの回収は、これまで失敗続きだった。海に落ちた片方だけを回収し、それを再利用することもできた。だが、これまで船で回収できたのは半分だけで、最初は2019年の6月のSTP-2ミッションで、もう1回は2020年1月のミッションでのことだった。

SpaceXは、フェアリングを回収して再利用すれば、1回の打ち上げにつき最大で600万ドル(約6億4000万円)を節約できると見積もっている。そうなれば、再利用型ブースターの上にさらに大きな節約分が上乗せされる。落下速度を制御しながら軟着水させたフェアリングを海中から回収する方法に比べて、ネットで捕まえる方法は、落ちてくるフェアリングを船のネットが確実にキャッチできた場合、時間、労力、コストそして人的な危険を大幅に削減可能で、フェアリングの再利用がずっと効率化される。

フェアリングには、Falcon 9のブースターのように着陸を制御できる推進装置は備わっておらず、パラシュートで落下速度を弱める仕組みになっている。そのため、行き先をコントロールできないフェアリングの落下地点を正確に予測して、船をそこに配置することが非常に重要になる。しかしマスク氏とSpaceXには、ロケットのフェアリングをどうしても正しく回収したい別の理由がある。マスク氏は以前、このフェアリング回収船を、地球に帰還したCrew Dragon(クルー・ドラゴン)のカプセルの回収に転用する可能性に触れていた。今は海に落下したカプセルを回収する方式をとっているが、船でキャッチできれば、宇宙飛行士と回収要員のリスクを低減することができる。

関連記事:SpaceXが韓国の通信衛星を7月21日6時から打ち上げ、NASAの宇宙飛行士を運んだブースターを使用

関連記事:SpaceXが韓国の通信衛星ANASIS-IIの打ち上げに成功、ブースター再利用間隔の新記録を達成

画像クレジット:SpaceX

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(翻訳:金井哲夫)

宇宙セクターへの投資は新型コロナパンデミックにも関わらず堅調な兆しを見せる

専門投資家のSpace Capitalからの最新の四半期レポートによれば、現在の新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックに起因する明らかな影響にも関わらず、全体的にみれば宇宙スタートアップへの投資は予測されたほどは影響を受けなかったことが示されている。特に彼らが追跡している「アプリケーション」分野への関心が高まっている。これは宇宙での観測機器ならびに通信設備によって可能になるデータレイヤーを扱うソフトウェアを開発する企業たちが関わる分野だ。

Space Capitalの第2四半期のレポートでは、インフラストラクチャへの投資が第1四半期と比べて85%減少したと報告されている。実際、有名な衛星オペレーターであるOneWebの倒産と売却などをはじめとする、合併や倒産による撤退の事例も目にした。

レポートによれば、ソフトウェアレイヤーに対する良いニュースは、この四半期に関連企業に対して53億ドル(約5690億円)の投資が行われたことだ、この中には米国内での45億ドル(約4830億円)も含まれている。また、VCの資金調達額全体は、2020年上半期と2019年上半期を比べると、実際には前年比で4%増加している、と同社は指摘している。ただし第2四半期同士に比較では2019年に対して23%の減少となっている。

全体として、2020年の宇宙セクターは、これまでに112回のラウンドで株式ベースの投資が121億ドル(約1兆2980億円)に達している、またアーリーステージ企業へは67回のラウンドで合計3億300万ドル(約325億円)が投資されている。それらの多くがシードまたはシリーズAのラウンドだった。

Space Capitalによって追跡されるアプリケーションレイヤーには、基本的にそのソフトウェアがGPSとPNT(Positioning Navigating Timing system)ベースのナビゲーションに大きく依存している企業が含まれていることは指摘しておこう。例えばWaymo(ウェイモ)のような大企業は、自身の自動運転技術を活かすためにそうしたデータを必要としている。

GPSは間違いなく最大かつ最も成功した宇宙ベースのインフラ投資の1つであり、新しいビジネスの構築、およびレガシー産業の更新と破壊という側面で、かなりの成果を上げ続けている。宇宙へ向かう投資の多くがGPSの後継技術を求めている。必ずしも特定の機能というわけではなく、広く持続的な影響を持つ宇宙ベースの技術が求められているのだ。

Space Capitalからの完全なレポートは以下から読むことができる。

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画像クレジット:Aleksandar Georgiev / Getty Images

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(翻訳:sako)

SpaceXが韓国の通信衛星ANASIS-IIの打ち上げに成功、ブースター再利用間隔の新記録を達成

SpaceXがまた打ち上げに成功した。今回はロッキード・マーティンとその顧客である韓国のミッションだ。積荷は韓国初の専用軍事通信衛星のANASIS-IIで、同国が国家安全保障に用いる。

ANASIS-IIを載せたFalcon 9は米国東部夏時間7月20日午後5時30分(日本時間21日午前6時30分)にフロリダ州ケープカナベラルから離昇した。使用した第1段ブースターロケットはSpaceXが過去2カ月以内に使用したもので、その時のDemo-2ミッションではNASA宇宙飛行士のBob Behnken(ボブ・ベンケン)氏とDoug Hurley(ダグ・ハーリー)氏を国際宇宙ステーションに運んだ。これはブースターロケットを回収して再利用するまでの時間の新記録だ(これまでの記録は2020年2月のStarlink第4回打ち上げに使用したブースターの63日)。

本日のブースターは前回の飛行からわずか51日しか過ぎておらず、2週間近く記録を更新した。この第1段ブースターが初めて使われたのは、SpaceX史上最も重要ともいえる、初めて人を乗せて打ち上げた日であったことを思うと、この記録はさらに印象的だ。ほんの数年前まで、SpaceXは大型の積荷に向けてブースターを構成することが多かった。今後の有人飛行のために、ブースターをさらに修理調整することが考えられる。

この打ち上げミッションでは、ブースター再突入の試みが行われ、大気圏に戻った後に燃焼制御を行ってSpaceXの回収船への軟着陸を目指した。これも予定通り進行したため、2回のミッションで飛行したこのブースターが再び飛び立つ可能性がある。SpaceXにとってこれが57回目のブースター着陸の成功だった。

さらに本日のミッションでは、打ち上げの際に衛星を保護するために用いられ積荷が宇宙に到達したあと切り離されるフェアリングの回収も行われた。SpaceXはこの部分をライブ中継しなかったが、状況の詳細は後ほど提供される予定だ。

搭載されたANASIS-IIが目標軌道に無事到達したことも確認された。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceXが韓国の通信衛星をまもなく打ち上げ、NASAの宇宙飛行士を運んだブースターを使用

SpaceXは韓国初の軍事通信専用衛星を打ち上げる。発射予定日時は7月20日午後5時 EDT(日本時間21日午前6時)。打ち上げ時間枠は4時間近くにわたり、午後8時55分 EDT(日本時間21日午前9時55分)まで続くため、SpaceXが実際に打ち上げる可能性のある時刻の範囲はかなり広い。

このミッションに使用されるFalcon 9ロケットは、先ごろNASAのDemo-2ミッション(SpaceXのロケットが初めて宇宙飛行士を乗せた歴史的ミッション)に使われた第一段ブースターを搭載している。5月30日に実施されたその打ち上げでは、Bob Behnken(ボブ・ベンケン)、Doug Hurley(ダグ・ハーリー)両宇宙飛行士が国際宇宙ステーション(ISS)に無事送り届けられ、8月1日に予定されているDemo-2の帰還飛行の準備を進めている。

このミッションでは、第一段ロケットをSpaceXの回収船 “Just Read the Instructions”を使って大西洋で回収する予定だ。

ライブストリーム中継は発射約15分前に始まる予定なので、時間枠の開始時に打ち上げられれば午後4時45分 EDT(日本時間21日午前5時45分)頃にライブになる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceXとNASAが宇宙飛行士を乗せたCrew DragonのISS出発を8月1日に予定

SpaceX(スペースX)のCrew Dragon(クルードラゴン)カプセルは、5月の歴史的な最初の有人打ち上げの後、国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングされており、現在帰還準備中だ。NASAはISSでの作業の必要性に応じてISSに宇宙船と宇宙飛行士を滞在させる計画だったが、最初のCrew Dragonの有人宇宙飛行ミッションを帰還によって締めくくる時は近づいている。

NASAジョンソン宇宙センターの広報担当者であるKyle Herring(カイル・ヘリング)氏は8月2日を帰還予定日だとツイートしたが、確定するまでにすべきことはたくさんあると明らかにした。NASAはその後、8月1日出発、8月2日着水を予定していると公式に発表した。

宇宙飛行士のBob Behnken(ボブ・ベンケン)氏とDoug Hurley(ダグ・ハーレー)氏はISSに到着以来、数々の科学やメンテナンスの作業に参加した。ベンケン氏は4回の宇宙遊泳にも参加し、3回はすでに終了、残り1回は来週の予定だ。へリング氏は最後の1回を、具体的な帰還計画の前にやってくる重要な仕事だと語った。今回が最初となるCrew Dragonの有人飛行は実際にはまだデモミッションであり、ISSの正式なオペレーションによるクルーの打ち上げではないが、NASAはベンケン氏とハーレー氏が通常のステーションのオペレーションに関われるよう延長を要請した。

帰還はSpaceXとNASAのCommercial Crew(コマーシャルクルー)コラボレーションの全体的な成功にとって、5月の打ち上げと同じくらい重要だ。SpaceXの有人宇宙船が宇宙飛行士を確実に宇宙ステーションに運ぶだけでなく、再び安全に帰還できることの重要性は明らかだ。

帰還プロセスの中でCrew Dragonカプセルは、ベンケン氏とハーレー氏が搭乗した状態で、離脱と帰還時の飛行操縦を自動で行う。SpaceXが設計およびテストしたパラシュートシステムで地球の大気に突入し、降下を遅らせる。うまくいけば宇宙飛行士は大西洋にソフトランディングし、SpaceX専用の回収クルーが宇宙飛行士を回収する。

帰還のためには気象条件が整う必要がある。このDemo-2ミッションでは、風速の許容範囲がかなり厳しい。とはいえ、8月は着水予定地域の風が比較的穏やかになる傾向があるため、それが助けになるはずだ。

画像クレジット:SpaceX

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(翻訳:Mizoguchi

Astraがアラスカ州での打ち上げを前に軌道ロケットの地上燃焼試験を完了

進行中の新型コロナウイルスによる数々の遅延に続き、少人数の打ち上げ会社が宇宙にロケットを送り込む能力を見せつけようとしている。Astra(アストラ)は軌道ロケット「Rocket 3.1」の地上燃焼試験を完了した。これによりアラスカ州へ旅立つ準備が整った。同州コディアック島では、軌道に向けたへ初めての飛行の打ち上げを予定している。

当初Astraは、DARPA(国防高等研究計画局)の打ち上げチャレンジに答えるためのゴールを目指す会社としてスタートした。そのチャレンジでは、互いに数週間以内の期間をおいて軌道に乗せられるロケットを作ることが各社に要求された。当初は別の射場からの予定だったが、後に宇宙基地の異なる打ち上げ台からとなった。チャレンジはAstroがバージョン3.0ロケットを軌道に乗せるのに失敗したあと終了し、賞金は得られなかった。

同社はその後、3世代のロケットの開発と試験、打ち上げを行ったが世間の注目を浴びることも情報公開することもなかった。このスタートアップは高さ約12mの小型ロケットを、カリフォルニア州アラメダの自社工場で作っている。DARPAチャレンジ前のTechCrunchのインタビューで、Astraの創業者兼CEOのChris Kemp(クリス・ケンプ)氏は「自分たちのアプローチは迅速かつ大規模な製造に焦点を当てており、ほかのロケット会社よりも失敗許容率が高い」(未訳記事)と説明した。

一種の大量生産的アプローチには明らかな利点があり、Astraの目指す打ち上げシステムは他社よりも移動が容易で世界中ほぼどこにでも展開できる。積荷を小さくすることで迅速な輸送が可能になり、失敗した時でも巨大のGPS静止衛星を失ったほどの大きな損失を負うことがない。

Rocket 3.1は、これまでの世代の本格的アップデートと異なりRocket 3.0のマイナーチェンジと思われる。AstraによるとRocket 3.1は現在コディアックに向かっており、現在同社は打ち上げ日時の最終決定を検討中で、次の大規模テストの日は来週早々にも確定する見込みだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceXの衛星インターネットサービス「Starlink」のベータテストに関する詳細

SpaceX(スペースX)は、今週、Starlink(スターリンク)サービスのベータテストの参加希望者として登録した人たちにアドレス情報を要求したことから、同サービスの開始は近いと推察される。現在、Starlinkサブレディット(Reddit)からの最初のリーク(Business Insider記事)によって、ベータテストがどのように行われるか、そしてSpaceXが求める参加条件について少しだけわかってきた。

ハードウェアについて

Starlinkサービスでは、Starlink衛星群とのデータの送受信に使用する専用のハードウェアに加えて、「北の空がよく見渡せる」環境が必要となる。上の写真に示されたハードウェアは、SpaceXの創設者でCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏が以前「棒の先にUFO」と表現した小型の衛星アンテナだ。写真からは、普通の衛星アンテナと変わりないように見えるが、Starlinkサービスが提供した画像からは、大きさまでは判別できない。

Starlinkは、これらのハードウェアをベータテスターに無料で提供することになっているが、設置は各自の責任で行わなければならない。キットには、パラボラアンテナ用の電源、テスターの住居に個別に対応できるようデザインされた設置器具が付属する。ウェブサイトでは、このキットを設置する際に外部の業者に依頼してはいけないと強く忠告している。FAQには「空を十分に見渡せる場所でなければ良好な通信状態が得られない」とも書かれている。

既存の衛星インターネット・サービスプロバイダーは、接続を可能にするために使用場所にアンテナを設置するようにしているが、通常は設置業者がユーザーに代わって取り付けている。Starlinkのベータテストの後はその方向に進むだろうが、ローンチ前のテスト期間中は、なるべく人の目に触れさせたくないという意図が明らかに見てとれる。

サービスについて

Starlinkのサービス品質は、適正に接続できれば「良好」となるはずだが、同社のFAQには「安定しない」とも書かれている。なぜならSpaceXは、テスト期間中にリモートでソフトウェアの更新やその他のネットワークの最適化を実施するからだ。そのため同サイトの記述によれば「ゲームや仕事を目的とした」ソリューションには向かない。

またStarlinkは、テスト期間中はネットワーク上のあらゆる活動をモニターするが、海賊版データの不正ダウンロードや不正保存といった「違法活動」は明確に禁止し、そうした活動を理由にベータテストの参加を「保留または取り消し」できる権利を同社は保有していると明示している。

ユーザーは、いつでもテストの参加をキャンセルできる。また機器の取り付けに関しては、設置場所が適切で、安全に設置作業ができる環境であることを推奨している(アパートなどの共同住宅では参加要件を満たさないことがある)。

ベータテスターの責任

ベータテスターは、参加の際の詳細、例えばネットワーク速度や品質など、秘密を厳守しなければならないとStarlinkは言っている。また参加者には「定期的なStarlinkサービスのテストと評価の提出」に1日30分から1時間を確保することが求められる。評価の提出には、「アンケート、電話、電子メールそのたの方法」が用いられる。

さらにベータテスターは、ベータテストが終了したとき、または要請されたときに、Starlinkキットを必ず返却するように求めている(返送はStarlink着払い)。さらに同社は、テスターにクレジットカードまたは銀行口座の情報の提出を求め、わずかな手数料を徴収する。金額は確定していないようだが、設置時に1ドルから3ドル、その後は毎月となりそうだ。これは「SpaceXの注文および支払いシステム」をテストする目的で行われる。だが、テスト期間中のStarlinkサービスの利用、さらにハードウェアの貸し出しは無料だと明記されている。

Starlinkは、ベータテスター参加希望者に向けて、プライベートベータテストはこの夏に開始されると電子メールを送っている。ということは、機器やその他の必要なものはすでにテスターの元に送られていて設置準備が整っていると考えてもおかしくない。すべてが順調にいけば、同社は最初のサービス対象地域となるアメリカ北部とカナダでのオープンベータテストに拡大したいと考えている。来年、さらに多くの衛星が打ち上げられれば、サービス対象地域も広げられる。

画像クレジット:Starlink

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(翻訳:金井哲夫)

三井物産傘下のSpaceflightが衛星ライドシェア打ち上げ用の軌道輸送機を発表

シアトルを拠点とする衛星ライドシェアサービスプロバイダーのSpaceflightは米国時間7月15日、次世代軌道輸送機のSherpa-FXを発表した。この新しい輸送機は衛星ライドシェアロケットの打ち上げで複合ペイロードを展開するための宇宙船として機能し、基本的にはロケットが結合されたペイロードを展開する地点から各衛星の実際の目標展開軌道まで、ラストマイルの輸送を提供する。

Sherpa-FXは2020年12月に予定されているSpaceX(スペースX)のライドシェア・ミッションでの初飛行を予定している。同機の初飛行では、NASAのや南フロリダ大学応用工学研究所向けを含む、多くの異なる企業や組織からなる16機の小型衛星を運ぶことになる。

これは、SpaceXのようなプロバイダーによる契約ロケットからの一次ペイロード展開から、ペイロードの展開と管理のための次世代技術の開発と展開に特化した、SpaceflightsのSherpa-NGプログラムから生まれた最初の輸送機だ。1機のロケットに複数ペイロードを搭載することは打ち上げコストの削減には最適だが、衛星が実際に運用される軌道に確実に到達するには理想的ではないことから、ライドシェアビジネスがペイロード運用者にとって確実に機能するための重要なステップである。

Rocket Lab(ロケット・ラボ)は専用のライドシェアモデルをメインビジネスに採用しているが、単一の顧客向けに大規模なペイロードを配備する事業者と同様に、独自の軌道上の移動手段を持っている。SpaceflightはスペースXやロケット・ラボのような企業に必要な技術とサービスを提供し、1回の打上げでより多くの衛星の展開をサポートするという点で、より柔軟性と最適化を提供することを事業の目標としている。

Spaceflightは日本の三井物産に今年買収されたが、ビジネスは変更せずに米国本社から独立して運営を続けている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

NASAとJAXAがアルテミス有人月面探査における協力で正式合意

NASAと日本は新しい協定に調印した(NASAリリース)。両国はISS(国際宇宙ステーション)における現在の協力を継続すると同時に、NASAのアルテミス計画に日本の宇宙開発機関であるJAXAが協力していく。

日本時間7月11日にNASAのJim Bridenstine(ジム・ブライデンスタイン)長官と日本の萩生田光一文科相がリモート会議でそれぞれ協定文書に署名した。 この文書は共同声明(JEDI)の形式で、 ロボットおよび有人の月面探査を含むアルテミスプロジェクトにおける両国の役割を具体的に定めるプラットフォームとなるものだ。

日本はNASAのルナゲートウェイ構想に参加した国際パートナーの最初の国の1つで、その発表は2019年10月にさかのぼる。 これ以降、カナダをはじめとする多くの国と機関が同様の意向を表明している。カナダはISSで使用されているロボットマニュピュレーターであるカナダアームの3番目のバージョンを開発する。また欧州宇宙機関(European Space Agency)も参加する。

今回の協定は、これまでの合意を文書の形で正式なものとした。今後、両国はプロジェクトにおける役割分担などさらに具体的な部分を検討していくことになる。

日本は火星の衛星の探査を計画しており、最大の衛星であるフォボスのサンプルをロボットで採取し、地球に持ち帰ろうとしている。打ち上げは2024年の予定だ。日本のJAXAはすでに探査衛星であるSELENE(かぐや)を月周回軌道に乗せて各種の調査を行うと同時に高度な姿勢制御技術をテストしている。JAXAではSLIM(Smart Lander for Investigating Moon)と呼ばれる小型月着陸実証機の打ち上げを2022年に計画している。 これはJAXAとして初の月着陸ミッションとなる。

画像クレジット:NASA

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滑川海彦@Facebook

SpaceXのStarlink衛星打ち上げは天候悪化で延期

【アップデート】ミッションは米国時間7月8日、天候を理由に中止された。次回の打ち上げ時期については検討中だ。


SpaceX(スペースX)は次回の打ち上げスケジュールを決定した。ミッションはフロリダ州ケネディ宇宙センターの第39A発射施設から、米国東部夏時間7月8日午前11時59分(日本時間7月9日0時59分)に打ち上げられる。またその15分ほど前から、ライブ中継が実施される。

このミッションにより同社のアクティブなStarlink衛星群は536機に拡大され、今年後半に一般向けのブロードバンドインターネットサービスを開始するという目標に近づくことになる。今回打ち上げられる57機の衛星には、同社が開発した新しい「サンバイザー」システムが搭載されており、衛星による太陽光の反射を阻止する。

同社は以前にもこのシステムを搭載した試験衛星を1機打ち上げているが、Starlinkのすべての衛星がこのシステムを搭載するのは今回が初めてだ。同社は自社の衛星に加えて、新しいライドシェアプログラムによりBlackSkyの人工衛星を打ち上げる予定で、これは同社の既存の地球観測ネットワークに加わることになる。

今回のミッションで使用されているFalcon 9のブースターは、国際宇宙ステーション(ISS)へのCrew Dragonの初のデモンストレーション飛行を含め、これまでに4回のミッションをこなしている。さらに、大西洋に浮かぶSpaceXの着陸船による着陸も試みられる予定だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

JAXAが国際宇宙ステーションで使う生活用品アイデアを募集開始

JAXA J-SPARC THINK SPACE LIFE

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は7月7日、 J-SPARCのビジネス共創プラットフォーム「THINK SPACE LIFE」プラットフォーム、また国際宇宙ステーション(ISS)での利用を目指す、宇宙と地上の生活の共通課題を解決する生活用品アイデアの募集開始を発表した。

JAXA宇宙イノベーションパートナシップ「J-SPARC」(JAXA Space Innovation through Partnership and Co-creation)は、事業意思のある民間事業者などとJAXAの間でパートナーシップを結び、共同で新たな発想の宇宙関連事業の創出を目指す新しい共創型研究開発プログラム。新規マーケット創出活動や異分野糾合のための場作りなど、事業化促進に資する活動を含めて約20のプロジェクトを現在進めている。

J-SPARC「THINK SPACE LIFE」プラットフォーム

THINK SPACE LIFEは、J-SPARCの事業化促進に資する活動として始動する、宇宙生活の課題から宇宙と地上双方の暮らしをより良くするプラットフォーム。

宇宙飛行士のパフォーマンス向上や宇宙旅行者の満足度向上につながるサービスの提供、将来的には月・火星での有人探査ミッションも見据えることで、地上における新たな生活様式やワークスタイルに向けたサービス創出、さらには健康や住まいに関するSDGs目標(持続可能な開発目標)達成など社会課題の解決も目指す。

暮らしやヘルスケア分野の新事業のタネを掘り起こし、研究開発やビジネス創出を後押しする取り組みとなっており、企業などに対しアイデアの企画から商品・サービス開発に至るまでのインキュベーション機能や、企業間・産学官連携を促進する横断的コミュニティ活動の場を提供する。

アイデア共創ワークショップや関連する分野の専門家によるメンタリングなどのアクセラレーション活動、地上での実証の場の提供などを通じ、事業アイデアの企画からサービス開発、そして実証までを加速させる。これらのインキュベーション機能にまつわる企画・運営、各種インキュベーション機能の機会提供については、同プラットフォームのインキュベーションパートナーとの協働で推進する。

JAXA J-SPARC THINK SPACE LIFE

国際宇宙ステーション(ISS)搭載に向けた、新たな生活用品アイデアの募集

JAXAは「宇宙での暮らし」に着目し、将来の有人探査ミッションや宇宙旅行者向けの生活用品の提供が持続的なビジネスとなるような将来を目指し、宇宙滞在用の生活用品を広く募集する。

合わせてJAXAは、公宇宙生活での課題や困りごと集「Space Life Story Book」を公開。宇宙生活の利便性向上および地上課題解決にもつながる課題テーマとその解決策案(新規生活用品などのアイデア)について、企業の強みを生かした提案を募集している。

JAXA J-SPARC THINK SPACE LIFE

募集・選定のプロセスとしては、まず応募アイデアの中から、宇宙飛行士の生活用品としての搭載を目指した開発に進むものを選定。選定企業での開発完了後、JAXAにて国際宇宙ステーション(ISS)搭載可否を総合的に判断を行う。ISSに搭載すると判断した製品は、JAXAが選定企業から別途調達し、ISSへ輸送する。

また、選定企業による開発着手後、宇宙で実際に使えるものであるかなどを確認するために、開発途中で宇宙飛行士と選定企業とで開発の方向性やプロトタイプの確認の場(1回程度)を設ける。

JAXA J-SPARC THINK SPACE LIFE

募集要項」では、選定企業とJAXAの役割分担について説明しており、それぞれ必要な経費を分担するとしている。開発費用は選定企業が負担し、JAXAは負担しない。JAXAがISS軌道上で使用する製品については、別途調達する。

また選定企業とは、宇宙飛行士のプロトタイプ確認や、搭載可能とされた場合の画像利用条件などの規定を含む覚書を締結する。

  • 応募締切: 9月4日17時まで
  • 応募資格: アイデアの事業化に取り組むことのできる、日本の法律に基づき適法かつ有効に設立され、かつ存続する法人
  • 募集内容: 宇宙およい地上での生活の課題解決や利便性を向上させることができる新規生活用品などのアイデア(課題テーマおよび解決策)
  • 主要スケジュール(予定):
    ・2021年5月 開発完了
    ・2021年6月 ISS搭載可否判断
    ・2021年6月以降 (搭載の場合)ISS搭載に向けた準備
    ・2022年度以降(予定) ISSに当該生活用品を搭載
  • 応募フォーム: 【エントリー】宇宙生活/地上生活に共通する課題テーマ・解決策アイデア募集

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キヤノン電子の衛星搭載のロケットラボの打ち上げが失敗

7月5日のRocket Lab(ロケットラボ)の打ち上げ(ミッション名「Pics or it didn’t happen」=写真がなければ信じない)は失敗に終わり、ロケット「Electron」と搭載した7つのペイロードすべてが失われた。ニュージーランド・マヒア半島にあるロケットラボ第1発射施設から打ち上げられた後、2段階目の燃焼中にロケットに障害が発生した。

ミッションは意図した通りに進行したようにみえたが、打ち上げの「Max Q」フェーズ、つまりElectronロケットが宇宙空間に到達する前、最大気圧にさらされている時間帯に、機体に予期せぬ障害が発生したようだ。

打ち上げ動画はライブストリーミングされたが、打ち上げ後約6分で打ち切られた。映像が途切れる前に、ロケットは高度を下げ落ちていることがわかった。Rocket LabはTwitter(ツイッター)で、2段階目の燃焼中にElectronの機体が失われたことを明らかにし、詳細が明らかになり次第共有すると約束した。

Rocket Labにとって予想外の展開だ。同社はプログラム開始以来11回連続で問題なくElectronを打ち上げてきた。

Rocket LabのCEO兼創業者のPeter Beck(ピーター・ベック)氏はTwitterで謝罪し、すべての衛星が失われたこと、ペイロードを失ったすべての顧客に対し同氏が「非常に残念」に思っていることについて書いた。顧客には、観測技術実証機を備えた新しい地球観測衛星を載せたキヤノン電子と、最新かつ最先端の地球観測衛星を5基搭載したPlanet(プラネット)が含まれる。

Rocket Labから原因と次のステップに関する情報を入手したら続報する予定だ。

画像クレジット:Rocket Lab

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(翻訳:Mizoguchi

ソフトバンクが投資を止め破産申請中の通信衛星OneWebを英政府とインドのBharti Globalが買収し再建へ

衛星コンステレーションによるコミュニケーション網を提供することを目指していたOneWebは経営破綻して2020年3月に連邦破産法11条による保護を申請していたが、このほど売却手続きが完了した(Twitter投稿)。OneWebを取得したのは英国政府が主導するコンソーシアムであることが判明している。

コンソーシアムはインドのBharti Globalからの資金提供を受けている。同社はインドのビジネス界の有力者であるSunil Mittal(スニル・ミッタル)氏のBharti Enterprisesの一社だ。BharatiはOneWebの衛星ネットワークによる世界的インターネット接続サービスの構築を続行させたいと考えている。一方、英国はブレグジットの結果、2020年1月からEUが運営する衛星ナビゲーションリソースにアクセスできなくなったため、PNT(位置情報、ナビゲーション、計時)サービスのためにOneWebの衛星コンステレーションを利用したいという背景があった。

今回の買収契約ではBharti Globalと英国政府がそれぞれ約540億円(約5兆8000億円)を出資した。英国政府がOneWebの株式の20%を所有し、BhartiはOneWebに今後のビジネス運営に必要な支援を行っていくという。

650基の衛星によるコンステレーションを構築することを計画していたOneWebは74基を打ち上げたところで事業継続に必要な追加資金の調達に失敗し、大規模なレイオフを余儀なくされ、連邦破産法11条申請に追い込まれた。資金調達の失敗では大口出資者であった日本のソフトバンクが経営する非公開企業向けファンドが追加資金の投資をキャンセルしたことが大きかったと報道されている。

BBCの報道によれば、買収契約が米国規制当局の審査で承認を得られば、OneWebはレイオフの撤回を含め従来のオペレーションを復活させる計画だという。将来は既存の設備の一部を英国へ移転する可能性もある。これまでOneWebはAirbusと提携してフロリダ州の施設で衛星を組み立てていた。

OneWebはもともとロンドンに本社を置く企業だ。計画している衛星コンステレーション事業は、地球低軌道を周回する多数のミニ衛星を利用してレイテンシーが低く、大容量のインターネットアクセスを提供するというものだ。これが実現できれば英国民は低価格かつ高品質で全土をカバーするという理想的なインターネット接続サービスを得られる可能性がある。英国のPNTナビゲーションに対応することはOneWebの既存の目標からかけ離れていない。少なくとも理屈の上からはこのサービス拡張は衛星資産の効果的な活用法であり、比較的安上がりに実現できるはずだ。

現在のところ、英国には自分たちで衛星を打ち上げる能力がないが、垂直離陸、水平離陸の双方に対応できるスペースポート構想に取り組んでいる。これによりVirgin OrbitSkyroraなどのスタートアップが英国内で小型衛星を打ち上げることができるようにするかもしれない。 つまりOneWebの衛星コンステレーションのような宇宙資産の構築、メンテナンスが英国内のリソースを利用して現在よりはるかに安上がりに実現できるわけだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

AWSが航空宇宙と人工衛星の専門部門を立ち上げ、元空軍少将がリーダーに

AWS(Amazon Web Services)は、宇宙産業ゲームに本腰を入れるようだ。WSJが最初に報じたAerospace and Satellite Solutionsと呼ばれる専任部門は、NASAや米軍、Lockheed Martin(ロッキード・マーティン)のような民間宇宙企業などの顧客の宇宙プロジェクトにフォーカスしている。

同社はすでに、AWS Ground Stationなどで人工衛星や宇宙産業の顧客を支援している。顧客は、衛星通信やデータ処理などのAWSのサービスを提供することで、衛星ネットワークやコンステレーションを構築する際に専用の地上局を設置する必要がない。

この宇宙部門は、米空軍の少将だったClint Crosier(クリント・クロジャー)氏が率いることになる。クロジャー氏は米宇宙軍の創設に関与していた人物で、同氏をリーダーとして選んだことは、AWSのこの部門の主な目的を暗示しているだろう。つまり、大きな利益を生む顧客、主に防衛産業を獲得することだ。

昨年世間の注目を浴びた決定によってAWSは、ペンタゴンの推定100億ドル(約1兆800億円)のクラウドコンピューティングサービスの入札競争を、Microsoft Azureにさらわれた。敗れたAWSはその決定に正式に挑戦していたし、そこから結果した一連の処置はいまも生きている。しかし、契約を失ったことでAmazon(アマゾン)は目を醒まし「AWSは防衛関連省庁の正式の契約を取るためのパイプラインを強化するためにはもっとやるべきことがある」と悟ったのだ。

人工衛星と宇宙内資産のためのクラウドコンピューティングサービスは、今後数年間の防衛産業における大きなビジネスになるだろう。特に米国では、宇宙軍と国防総省の戦略の一部が大型の古い静止衛星への依存から、もっと多用性のある安くて冗長性に富む、そして打ち上げもさまざまな状況に即時対応できる、小型衛星のネットワークへと移行しつつある。

防衛関連の顧客に力を入れることは、スタートアップや小さな新しい宇宙ベンチャーの利益と無縁ではない。むしろ、アマゾンが大型選手としてこの部門により多くのリソースを専門的に投じれば投じるほど、スタートアップはそこから生ずる費用便益に享受できるはずだ。事実、AWS Ground StationはすでにCapella Spaceなどの小さなスタートアップを支援している。同社の本日の発表では、その人工衛星の指揮統制にAWSを利用し、また画像衛星から顧客へのデータ伝送も衛星自身がやるより相当速くて安くなるという。

このような新しい事業によって、衛星スタートアップの必然である地上局の設置などの厳しいコストも軽減できる。新型コロナウイルスはスタートアップの資金調達能力にも影響を与えており、特に宇宙のような最先端のテクノロジー分野が厳しい。だからこのようなコスト削減は、待ちに待った安堵と言えるだろう。

画像クレジット: AWS

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

NASAがアルテミス月探査計画に向けてブースターロケット6基を調達へ

NASA(航空宇宙局)は、コアブースター・ロケット SLS 6基をNorthrop Grumman(ノースロップ・グラマン)社に追加発注する準備を進めている(NASAプレスリリース)ことを今週発表した。6基のブースターは、NASAがArtemis 1(アルテミス1)、Artemis 2、Artemis 3のために確保している既存の3基に加わる。Artemis は2024年に予定されているミッションで、米国人を再び、そして米国人女性を初めて月に送り込む計画だ。

この発表は、提携企業が長納期のブースターを、NASAが必要とする時期に納入できるように準備するのを助けることが目的であり、実際の発注はまだ大きなステップだ。総コストは4950万ドル(約53億2000万円)に上り、現在初回の予算が公開されている。現在のスケジュールでは、6基の追加ブースターは2030年12月31日までに納品される予定なので、Artemisのミッション4~9が実際に飛び立つ時期はらある程度想像できる。

ソリッドブースターは、NASAの大型ロケット SLS(Space Launch System)の打ち上げに2基一組、SLSコアステージの両側に1基ずつ配置され、打ち上げの離陸フェーズに使われる推進力の約75%を受け持つ。そのデザインは事実上スペースシャトルプログラム時代に使われたものを踏襲しているが、もっと重くて大きいSLSを地球の大気圏から宇宙に送り込むために必要な力が追加されている。

さらにNASAは、Artemisプログラムの最初3回のミッション以降に必要なRS-25エンジンとコアステージを購入する手続きを進めており、Artemis 1は、ロケット組み立てプロセスでブースターの設置準備がほぼ終わった状態だ。現在Artemis 1は2021年11月の打ち上げを目標にしている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

NASAがビッグなアイデアを持つスモールビジネスに合計55億円の助成金を支給

NASAは300以上の企業に対して、貴重なアーリーステージ資金となる新たなスモールビジネス向けの助成金を合計5100万ドル(約55億円)提供したことを発表した。今回選ばれたフェーズ1のプロジェクト(SBIRリリース)は、1つの企業が最大で12万5000ドル(約1350万円)を受け取り、新しいテクノロジーの商品化を進めることができる。

この「Small Business Innovation Research/Technology Transfer(スモールビジネス・イノベーション研究/テクノロジー移転、SBIR)」プログラムは、起業家や発明家のアイデアを研究段階から商品化へと移行させる手助けをするものだ。この資金は投資ではなく助成金に近い。さらにフェーズ1で資金を獲得した企業は、条件を満たすことでより規模の大きなフェーズ2助成金の申し込み資格を与えられる。

2020年も例年のように、数多くの学術分野、幅広い業種が対象となった。ニュースリリースで紹介されたNASAが注目するアイデア(NASAリリース)には、高出力ソーラーアレイ、都市上空飛行のためのスマート航空管制システム、月面で使用する水浄化システム、改良型リチウムイオン・バッテリーなどがある。

さらに医療現場でも使える「宇宙船素材に使用するコンパクトな殺菌装置」を開発した企業には、個別の賞も贈られた。

関連記事:NASAが月での採鉱や太陽レンズなど奇抜な研究開発に7億円超の助成金

受賞者リストを見て、放射線の耐性を持つチップからソフトウェア技術に至るまで、神経形態学的コンピューティングの研究が数多くあったことに私は衝撃を受けた。これらは実際にニューラルネットワークのスパイクや可塑性を導入するというより、機械学習手法を活用し促進させるためのヒントやアプローチなのだと私は理解した。

NASAは2019年のフェーズ2を先月発表(SBIRリリース)したばかりなので、2020年のフェーズ2の発表はまだ先になるだろう。

SBIRプログラムは、10ほどの政府機関に数十億ドル(数千億円)が割り当てられスモールビジネスに分配されるという、図らずも米連邦政府の穴場的プログラムとなっている。詳しくはSBIR.govをご覧いただきたい

画像クレジット:VICTOR HABBICK VISIONS/SCIENCE PHOTO LIBRARY / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

SpaceXがGPS III衛星打ち上げとブースター回収に成功

 

SpaceXはさきほど米国の新世代地球測位システムであるGPS III衛星の打ち上げに成功した。発注はGPSの管轄を米空軍から引き継いだ新設の宇宙軍だ。

打ち上げにはFalcon 9ロケットが使用された。1段目(ブースター)はSpaceXの工場で新規に製造されたもので初飛行だった。 今回はFalcon 9のブースターの回収も予定されている。2018年12月にSpaceXは最初のGPS IIIを打ち上げているが、このときはブースターは使い捨てだった。SpaceXでは「今回はブースター回収用燃料を残しながら本来のミッションを実行することができる」としている。

グッドニュースはSpaceXが今回のブースター回収に成功したことだ。正確に制御された減速噴射に成功し、大西洋を航行するドローン着陸船に無事着陸したことが確認されている。ブースターは整備され、将来のミッションで再利用されるはずだ。

宇宙軍によれば、今回打ち上げられたGPS衛星は世界の40億人のユーザーに影響を与えるような機能とセキュリティの改良が行われているという。この後、衛星は準静止軌道に入り、米国が運用している既存のGPS III衛星やそれ以前の世代のGPS衛星と連携して動作する。

SpaceXではフェアリング回収船のMs. TreeとMs. Chiefが(ネットによるキャッチではなく)海中からの引き上げを試みる。フェアリングも今後再利用される。

衛星の軌道投入には打上げから1時間半ほどかかるため、打ち上げそのものは成功しているが、打ち上げミッション全体の成否が確認されるまでにはもう少し時間が必要だ。新しい情報が入ればアップデートする。

【編集部追記】 SpaceXサイトのライブ中継によれば軌道投入は成功。今後運用試験と準天頂軌道への移動が行われる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook