SpaceXの衛星インターネットサービス「Starlink」のベータテストに関する詳細

SpaceX(スペースX)は、今週、Starlink(スターリンク)サービスのベータテストの参加希望者として登録した人たちにアドレス情報を要求したことから、同サービスの開始は近いと推察される。現在、Starlinkサブレディット(Reddit)からの最初のリーク(Business Insider記事)によって、ベータテストがどのように行われるか、そしてSpaceXが求める参加条件について少しだけわかってきた。

ハードウェアについて

Starlinkサービスでは、Starlink衛星群とのデータの送受信に使用する専用のハードウェアに加えて、「北の空がよく見渡せる」環境が必要となる。上の写真に示されたハードウェアは、SpaceXの創設者でCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏が以前「棒の先にUFO」と表現した小型の衛星アンテナだ。写真からは、普通の衛星アンテナと変わりないように見えるが、Starlinkサービスが提供した画像からは、大きさまでは判別できない。

Starlinkは、これらのハードウェアをベータテスターに無料で提供することになっているが、設置は各自の責任で行わなければならない。キットには、パラボラアンテナ用の電源、テスターの住居に個別に対応できるようデザインされた設置器具が付属する。ウェブサイトでは、このキットを設置する際に外部の業者に依頼してはいけないと強く忠告している。FAQには「空を十分に見渡せる場所でなければ良好な通信状態が得られない」とも書かれている。

既存の衛星インターネット・サービスプロバイダーは、接続を可能にするために使用場所にアンテナを設置するようにしているが、通常は設置業者がユーザーに代わって取り付けている。Starlinkのベータテストの後はその方向に進むだろうが、ローンチ前のテスト期間中は、なるべく人の目に触れさせたくないという意図が明らかに見てとれる。

サービスについて

Starlinkのサービス品質は、適正に接続できれば「良好」となるはずだが、同社のFAQには「安定しない」とも書かれている。なぜならSpaceXは、テスト期間中にリモートでソフトウェアの更新やその他のネットワークの最適化を実施するからだ。そのため同サイトの記述によれば「ゲームや仕事を目的とした」ソリューションには向かない。

またStarlinkは、テスト期間中はネットワーク上のあらゆる活動をモニターするが、海賊版データの不正ダウンロードや不正保存といった「違法活動」は明確に禁止し、そうした活動を理由にベータテストの参加を「保留または取り消し」できる権利を同社は保有していると明示している。

ユーザーは、いつでもテストの参加をキャンセルできる。また機器の取り付けに関しては、設置場所が適切で、安全に設置作業ができる環境であることを推奨している(アパートなどの共同住宅では参加要件を満たさないことがある)。

ベータテスターの責任

ベータテスターは、参加の際の詳細、例えばネットワーク速度や品質など、秘密を厳守しなければならないとStarlinkは言っている。また参加者には「定期的なStarlinkサービスのテストと評価の提出」に1日30分から1時間を確保することが求められる。評価の提出には、「アンケート、電話、電子メールそのたの方法」が用いられる。

さらにベータテスターは、ベータテストが終了したとき、または要請されたときに、Starlinkキットを必ず返却するように求めている(返送はStarlink着払い)。さらに同社は、テスターにクレジットカードまたは銀行口座の情報の提出を求め、わずかな手数料を徴収する。金額は確定していないようだが、設置時に1ドルから3ドル、その後は毎月となりそうだ。これは「SpaceXの注文および支払いシステム」をテストする目的で行われる。だが、テスト期間中のStarlinkサービスの利用、さらにハードウェアの貸し出しは無料だと明記されている。

Starlinkは、ベータテスター参加希望者に向けて、プライベートベータテストはこの夏に開始されると電子メールを送っている。ということは、機器やその他の必要なものはすでにテスターの元に送られていて設置準備が整っていると考えてもおかしくない。すべてが順調にいけば、同社は最初のサービス対象地域となるアメリカ北部とカナダでのオープンベータテストに拡大したいと考えている。来年、さらに多くの衛星が打ち上げられれば、サービス対象地域も広げられる。

画像クレジット:Starlink

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(翻訳:金井哲夫)