ARMベースMacは13インチMacBook Proからスタートか

Apple(アップル)情報に詳しいアナリストのMing-Chi Kuo(ミン^チー・クオ)氏の新しいレポートは、最近発表されたばかりのアップルのARMベースの独自プロセッサ導入に向けたロードマップの可能性について重要な詳細を伝えている。

クオ氏によれば、今年の第4四半期(10月〜12月)にはアップルの独自プロセッサを搭載した13.3インチのMacBook Proが登場すると改めて指摘している。さらにこれに続いて、最近独自のアップグレードが行われたMacBook Airの新バージョンが2020年第4四半期から2021年第1四半期(1月〜3月)に登場すると報告している。

さらに興味深いのは、14.1インチと16インチの新型MacBook Proが登場すると報じられていることだ。これは、年末までにアップデートされた16インチモデルが13インチモデルと同時に登場するという以前のレポートから変化している。なおMacRumorsが指摘しているように、再設計されたiMacはこのレポートでは言及されていない(MacRumors記事)。

多くの報道によると、新型iMacは年内までに再設計され登場する予定だが、これにはIntel(インテル)製プロセッサが搭載されるという。Apple Siliconを採用したバージョンがデスクトップ向けに登場するのは早くて来年になる可能性が高く、新型iMacは登場してもすぐに時代遅れになるかもしれない。

今のところ公式に発表されているシステムは、開発者向けに特別に設計されたMac miniだけだ。同社はWWDCを利用して、今後のハードウェアのアップグレードに向けて十分な時間をアプリ開発者に与えるために、将来の技術についての貴重な初期情報を提供した。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

インテルCPUからApple Siliconへの移行のキモとなるUniversal 2とRosetta 2とは何か?

MacのCPUをインテルからApple Siliconに乗り換えることは、アップル自身にとってはもちろんのこと、サードパーティのアプリのデベロッパーにとっても、そしてユーザーにとっても、それなりに大事業であり、大きな変化を余儀なくされることがあるのも確かだ。

しかしアップルでは、この大事業をできるだけスムーズかつシームレスに成し遂げられるよう、そしてユーザーやデベロッパーの負担ができるだけ小さくて済むように、何種類、何段階もの施策を用意している。

WWDC20のキーノートでも述べられていたように、こうした動きを広く捉えると全部で4種類の方策が数えられる。そのうち最初の2つが特に重要だ。1つはインテルとApple Silicon、両方のネイティブコードを含む1つのアプリを提供するためのUniversal 2というバイナリフォーマットの採用。もう1つは従来のインテル用のアプリをApple Silicon Mac上で自動的に変換して実行できるようにするRosetta 2の導入だ。アップルでは、それらに加えてサードパーティ製の仮想化技術と、iPhone/iPadアプリがそのままMac上でネイティブ動作するBig Surの新しいアプリ環境を挙げている。

後半の2つのうち、仮想化技術は、これまでのインテルMacでも、非Mac、あるいは非ネイティブなアプリ用の動作環境として重要な役割を果たしてきた。そうした環境がApple Silicon Mac上でも継続的に用意されることは重要だ。

それに比べると、以前には存在しなかったiPhone/iPadアプリの動作環境は、インテルからApple Siliconへのスムーズ/シームレスな移行には直接関係ないように思えるかもしれない。しかし、Apple Siliconに移行した直後には、真にネイティブなサードパーティ製のMacアプリが不足気味になる可能性もあることを考えると、その際にネイティブで動作するiPhone/iPadアプリが存在するのは、ユーザーにとっても心強いことだと考えられる。

ともあれ、やはり今回の移行をストレスのないものにするための重要な技術は、Universal 2とRosetta 2の2つであることは間違いない。これらの技術は、主に誰のためにあるものかと考えると、対照的な位置づけであることに気付く。つまり、Universal 2は、アプリのデベロッパーが利用して、両方のCPUにネイティブ対応できるアプリを作成するためのものであるのに対して、Rosetta 2はもっぱらユーザーが利用して、旧形式のアプリを新しいプラットフォームで動作させるためのもの。それぞれ現時点でわかっている範囲で詳しく見ていこう。

デベロッパーのトランジションをスムーズにするUniversal 2

今回のWWDCで、Universal 2について最初に言及したのは、もちろんキーノートだった。その際には、インテル用とApple Silicon用のネイティブコードを1つのバイナリで供給できるフォーマットであることが紹介されただけで、それ以上の技術的なことは述べられなかった。

ただしデモとしては、すでにApple Siliconにネイティブ対応しているマイクロソフトやアドビなど、大手のデベロッパーのアプリが登場した。こうしたアプリは、インテルからApple Siliconへの移行期間として想定されている少なくとも2年間は、Universal 2アプリとして供給されることになるだろう。実のところユーザーの手元には、さらに長期間インテルMacも残るはずなので、Universal 2アプリが必要とされる期間は2年よりもう少し長くなるはずだ。

キーノート以外では「Platforms State of the Union」でも、実際にXcodeを使ってUniversal 2アプリをビルドするデモを交えなから、より詳しい話が語られた。

そこでまず出た話は、複数のCPU用コードを内蔵するユニバーサルアプリは、特に新しいものではないということ。Macでは、PowerPCからインテルに移行する際にはもちろん、同じインテルでも32ビットから64ビットに移行する際にも同様の仕組みを利用している。それを考えれば、今回は複数のCPUコードの組み合わせが、インテルとApple Siliconになったに過ぎないと考えることも可能だろう。

また、ユニバーサルアプリの基本的な情報として、コードは確かに2種類だが、それ以外のリソースはすべてひととおりしか持たないということも示された。つまり、画像や音声、3Dモデル、機械学習モデルといった容量が大きくなる可能性のあるデータは、コードの種類によらず共通なので、1つ持てばいい。そのため、ユニバーサルアプリにしてもアプリのサイズの増加は最小限に留められる。実際の増分はアプリの内容によって異なるが、通常のアプリでは純粋なコードの容量はアプリサイズの数十%以内だろう。とすれば、その部分だけが2倍になっても全体の増分は元の数十%に収まることになる。仮にリソースとしてのデータをまったく持たず、すべてコードだけで構成されているようなアプリがあったとしても、最大でほぼ2倍には収まるはずだ。

Xcodeでアプリをビルドする場合、そのXcodeが動作しているMacと同じアーキテクチャのネイティブコードをターゲットにビルドするには、単にそのMacの名前(この例では「My Mac」)を選べばいい。そして、Universal 2アプリをビルドするには、その選択を「Any Mac」に変更するだけ。それだけで、インテルとApple Silicon、2種類のCPUの実行コードを含んだユニバーサルアプリがビルドできる。

原理的には、このようにXcodeのターゲットを切り替えるだけでUniversal 2対応のアプリを作成できるわけだが、アップルではインテルアプリからUniversal 2への移行に要する時間を、ほとんどのデベロッパーについて「数日」以内としている。それは、CPUのアーキテクチャの違いからくる可能性のある問題を解決したり、最適化したりするのに時間を要する場合があるからだろう。

それでも、インテルからApple Siliconへの移行は、少なくともPowerPCからインテルへの移行よりは、かなり楽にできるはずだとしている。その理由として、3つの要因を挙げている。

まず、Apple Siliconとインテルのエンディアンが同一だから。つまり2バイト以上で表現するデータのメモリ上での配置の順番が、いずれも下位バイトのデータをメモリアドレスの小さいほうに、上位バイトのデータをアドレスの大きいほうに格納していくリトルエンディアンを採用している。そのため、データのバイト順をスワップする必要がない。

実はPowerPCは、バイエンディアンと言って、リトルエンディアンとビッグエンディアンのいずれに設定することも可能だった。しかしMacでは、それ以前の68Kプロセッサーがビッグエンディアンだったため、PowerPCをインテルとは逆のビッグエンディアンで使用していたのだ。PowerPCからインテルに変換したアプリでは、実行時にデータを扱うたびに余計な時間がかかるだけでなく、トリッキーなデータの扱いをしているプログラムでは、重大な、それでいて見つけにくいバグの原因となっていた。

2つ目の理由は、macOSアプリのデベロッパーは、iOS/iPadOSアプリもリリースしていることが多いことからくるもの。その場合、macOS用とiOS/iPadOS用のコードで、ソースレベルでは共通のものも少なくないはずだ。少なくともその部分は、すでにARMアーキテクチャへの移行が完全に済んでいることになる。そこには触る必要なくユニバーサルに移行できる。

3つ目は作業効率的な問題だが、Apple Silicon用アプリを開発するマシンは、必ずしもApple Silicon搭載Macである必要はない。つまりXcode 12をインストールしたインテルMacでも、Apple Silicon用のコードを含むUniversal 2アプリをクロスコンパイルしてビルドすることが可能なのだ。それによって、Mac用アプリのデベロッパーは既存のリソースをフルに生かしてApple Silicon対応アプリ開発に取り組むことができる。

なお「Port your Mac app to Apple Silicon」というセッションでは、アプリがCPUに関わるローレベルの情報を直接扱っているような場合や、プラグインを利用している場合などに発生しがちな不具合を取り上げて、移行の方法をXcode上で具体的に示している。デベロッパーにとっては参考になるはずだ。

ユーザーに気づかれない移行を目指すRosetta 2

Rosetta 2についても、最初に紹介されたのはキーノートでだった。そこでは大きな特徴として、高性能かつ互換性が高いこと、アプリのコードはインストール時に変換されること、プラグインなどは実行直前にダイナミックに変換することも可能であること、ユーザーにとっては意識せずに動作することなどが挙げられた。

また「Platforms State of the Union」でもRosetta 2は取り上げられた。Metalでも有効で高性能を発揮することが付け加えらたほか、いくつか新しいデモが示されたが、技術的な内容としてはキーノートと大差がなかったと言える。

一方「Explore the new system architecture of Apple Silicon Macs」のセッションでは、比較的詳しい技術的内容も明らかにされた。まず示されたのは、Rosetta 2で動作可能なアプリの種類だ。一般的なmacOSのアプリはもちろん、Mac Catalystを利用して作られたアプリ、ゲーム、JavaScript用のJITコンパイラーなどを含むウェブブラウザーなどが挙げられた。Metalを利用したアプリでも、Rosetta 2によって適切なApple Silicon上のGPUコマンドが生成されるという。さらに、機械学習を扱うCoreMLフレームワークを利用したアプリでも、Apple Siliconに内蔵されるニューラルエンジンを利用して動作するようになる。

次に、Rosetta 2によって実際のコードの変換が発生するタイミングについても説明された。それによると、1つは、App Storeからインストールするタイミング。もう1つは、どこからかダウンロードしたインストーラーのパッケージからインストールするタイミングだ。そして、こうしたアップル製の標準的なインストーラーを使わないアプリでも、初めて起動するタイミングで自動的に変換が実行される。その場合でも、最初だけDockの中でアプリのアイコンがバウンスする回数が多くなる程度だという。

またRosetta 2によるコードの変換は、セキュリティ的にも配慮されたものとなっている。コードは署名され、安全に保存される。また変換を実行したマシンでしか動作しない。こうしたセキュリティ設定は、OSをアップデートする際に更新されるので、変換済のコードはそのまま利用できるはずだ。

変換済のアプリを起動すると、当然ながら変換後のコードが動作する。ただし、プラグインのように、インストール時に変換されなかったコードについては、実行時に自動的に変換されるようになっている。

それでも、インテルCPUとApple Siliconには、細かな点でいろいろと違いがあるため、Rosetta 2で吸収しきれずにうまく動作しないアプリがあることも考えられる。たとえばRosetta 2は、インテルのAVX(Advanced Vector eXtension)と呼ばれるベクトル演算の拡張命令をサポートしていない。行儀のいいアプリであれば、事前にCPUがAVXをサポートしているかどうかを確認してから使うように作られている可能性もある。そうしたアプリでは問題ないかもしれないが、最初からAVXの存在を仮定して、いきなりそうした命令を使うようなアプリは、Apple Silicon上では動作しないだろう。

Rosetta 2は、多くの場合デベロッパーがアップデートをやめてしまったり、Apple Siliconへの移行をあきらめたような過去のアプリを動作させるためのものと考えられる。そのようなアプリにRosetta 2が対応できない部分が出てきてしまった場合、対処方法はほぼない。実際にはApple Silicon搭載Macが登場してみないと何とも言えないが、そのようなアプリがそれほど多くないことを願いたい。

画像クレジット:Apple

アップルが教育者向けにSwiftとXcodeが学べる無料のプログラミング教材を拡充

米国時間7月9日、Apple(アップル)は、あらゆるスキルレベルの教育者がSwift(スイフト)とXcode(エックスコード)の両方を教えることができるようにするための、新しい無料教材の計画を発表した(Appleリリース)。米国時間7月13日には、アップルは「Develop in Swift(Swiftで開発)」カリキュラムの入門編として役立つ無料のオンライントレーニングを、教育者に提供し始める。

アップルによれば、このカリキュラムは学生の学習スタイルに合うように、ユーザーのフィードバックに基いて完全に再設計されたものだという。

この結果、新しいシリーズには「Develop in Swift Explorations」(探究)「Develop in Swift AP CS Principles」(上級コース)および「Develop in Swift Fundamentals」(基礎)という3つのコースが含まれることになり、いずれもすぐに利用可能となる。また4冊目の本「Develop in Swift Data Collections」(データコレクション)は、今秋後半に発行される予定だ。すべてApple Booksから入手できる。

カリキュラムは高校および高等教育の学生を対象としており、アップルが設計したオープンソースのプログラミング言語Swiftに焦点を当て、Mac上でXcodeを使用して行う。

画像クレジット:Apple

4年生から8年生(日本の中学2年生に相当)の若い学習者向けには、アップルのEveryone Can Code(誰でもプログラミングができる)カリキュラムが用意されていて、そこではSwift Playgroundsアプリを通じて、パズルとゲームを使いSwiftのブロック式コーディングが教えられている。このコースも、現在拡張されている最中だ。

「Everyone Can Code Puzzles」本をすでに完了している学生は、新しい本「Everyone Can Code Adventures」に進むことができる。この本は、学生が重要なプログラミングの概念について学びながら、Swiftでの開発を練習できる、より高度なアクティビティを含んでいる。

同社は、新しく拡張されたコースの意図を、しばしば必要とされる米国でのコンピューターサイエンス教師たちのニーズを補足することだという。

アップルはComputer Science Teachers Association(CSTA、米国コンピューターサイエンスティーチャーズアソシエーション)が、今日コンピューターサイエンスのクラスを提供している高校は全体の半分にも満たず、多くの大学生が教師不足のために卒業に必要なコンピューターサイエンスコースに参加できないと主張している点に着目している。

さらに、これらのコースは保護者にも提供されている。多くの保護者は現在、新型コロナウイルス(COVID-19)によるパンデミックの中で、自宅スクールで教師の役割を果たしている。

またアップルは自宅学習者の保護者向けに、iPadまたはMac上での10のコーディング課題を含む「A Quick Start to Code」などの、10歳以上向けの新しいリモート学習リソースセットを加えた。さらに、今春にローンチしたアップルの Learning from Home(リモート学習)ウェブサイトにも、リソースが置かれている。このサイトには、オンデマンドビデオやリモート学習に関する仮想会議、および無料の1対1の仮想コーチングセッションをスケジュールするオプションが含まれており、アップルの教育者によってホストされる。

アップルによって推し進められているコーディング教育の強化の長期的な影響は、まだわからない。例えば「Everyone Can Code」は2016年に開始されたばかりで「Develop in Swift」カリキュラムは2019年に始まったばかりだ。合計すると、現在それらのプログラムは、世界中で9000を数える高等教育機関で採用されている。

「誰もが」コードを学ぶことができ、そして学ぶべきであるという考えは、まだ議論の余地がある。多くの人がコーディングの基礎を学ぶことはできるかもしれないが、誰もがコーディングを楽しんだり、それに優れているわけではない。さらに、人はしばしば間違った理由でコーディングに目を向けたり(Bloomberg記事)、わずか2、3週間のトレーニングで簡単に年収数千万円を手にすることができると煽るブートキャンプに騙されたりしている。

その一方で、より多くの子供たちをコーディングの概念を教えることで、見過ごされていた可能性のある、潜在的な才能とプログラミングへの関心を発見できる可能性もある。そうした関心は、子供が成長する中で、将来のコースや教育によって育むことができる。

「アップルは40年の間、教育者の方々と協力してきました。特にDevelop in SwiftとEveryone Can Codeが、教師と生徒のみなさんがコミュニティに影響を与えるお手伝いをできたことを誇りに思います」と、アップルのマーケット、アプリ、ならびにサービス担当副社長であるSusan Prescott(スーザン・プレスコット)氏は声明で語った。「私たちは、コミュニティカレッジの学生がキャンパス向けの食品安全アプリを作成したり、中学校の先生たちが夏休みに仮想コーディングクラブを主催したりするのを見ました。コンピューターサイエンス教育への関与を拡大する取り組みの一環として、これまでの経験に関係なくより多くの教育者がコーディングを学び、次世代の開発者やデザイナーに教える機会を提供できるようする新しい専門学習コースを追加できることを、うれしく思っています」と彼女は付け加えている。

画像クレジット:Apple

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(翻訳:sako)

MacにApple Siliconを搭載するアップルの本当の狙い

2020年6月に開催されたアップルのWWDCでは、MacのメインCPUをIntel(インテル)からアップル製のいわゆるApple Siliconにスイッチすることが発表された。それ以来、その方針があたかも金科玉条のように語られ、ずっと以前から運命付けられていたかのような雰囲気さえ漂っている。それこそが実際の製品の発売にかなり先立って、こうした方針転換を発表したアップルの狙いだったことは間違いない。

いみじくもAPIを公開し、サードパーティにアプリケーションの開発を可能にしているパソコンが、CPUのメーカー、系統を大きく変更するというのには大きく2種類の理由が考えられる。1つは技術的なもの。もう1つは政治的なものだ。WWDCのキーノートなどでは、当然ながら政治的な狙いについては何も語られていない。もちろん技術的なメリットがなければ、政治的な理由だけでCPUを変更するとも考えにくいが、すでに成熟した製品となって久しいMacが、この段階に来て変更に踏み切るからには、政治的なメリットもそれなりに大きいはずだ。

この記事ではそこには深入りしないが、アップルにしてみれば今後はCPUの選択、設計、コスト、納期など、あらゆる面に関して、自らコントロールできるようになる。すべてが自分の責任になるものの、そこから生まれるメリットは絶大だろう。とはいえ、それはあくまでもアップルにとってのメリットだ。デベロッパーやユーザーは、性能や機能、価格など、背に腹は代えられない部分で明らかなメリットがなければ、MacのCPUの変更は面倒の種が1つ増えるだけで、できればやめてもらいたいと思うだろう。

もちろん、MacのCPUがiPhoneやiPadなどのモバイルデバイスと共通になるのは、それだけで大きなメリットだ。「iPhone/iPadアプリは本当にそのままApple Silicon Mac上で動くのか?」でも述べたように、すべてのアップル製品のアプリケーションの基盤が共通化され、膨大な数のiPhone/iPadアプリがそのままMacで動作する夢のような環境への扉を開くからだ。しかし、Apple Silicon採用のメリットは、それだけではない。キーノートでは詳しく述べられていなかった数多くのメリットがある。それらを具体的に見ていこう。

高性能と低消費電力の両立は真のメリットではない

今回のキーノートでは、CEOのティム・クック氏自らが、Apple Siliconへの転換を明らかにした。その際に述べられていた動機は、大義名分としてまことにもっともなものだった。かいつまんで言えば、アップルではハードウェアとソフトウェアのインテグレーションが、すべての基本となっている。「自ら開発するApple Siliconの採用によって、それがさらに高いレベルで実現し、より優れた製品を提供できるようになる」というのだ。

キーノートでクック氏を引き継いだハードウェア技術担当の上級副社長であるJohny Srouji(ジョニー・スルージ)氏も、技術的にはそれほど詳しい具体的な話はしなかった。ただ、「Apple Siliconはパフォーマンスと消費電力のバランスに優れ、1つのアーキテクチャでApple WatchからMac Proまでカバーできるほどのスケーラビリティを備えている」ということを強調していた。

これも確かにそのとおりだろうし、納得しやすい話だが、Apple Siliconでなければならない理由には踏み込んでおらず今ひとつ説得力には欠ける。というのも、現在のコンシューマー機器向けCPUであれば、力点を置く部分に多少の違いこそあれ、どんなメーカーの製品でも高性能と低消費電力の両立を目指していると考えられるからだ。

同じWWDCの「Platforms State of the Union」でも、今年は当然ながらApple Siliconがメインのトピックに据えられた。アップルのプラットフォームに関して、キーノートよりも技術的に突っ込んだ話をすることになっているセッションだ。しかしそこでも、どうしてApple Siliconが優れているかについては漠然とした話しか語られなかった。

そのセッションで挙げられたApple Siliconの技術的なメリットは、次の4点に集約される。

  • Huge Improvements to Speed(速度の飛躍的な向上)
  • Graphic Performance(グラフィック性能)
  • Power Consumption(消費電力)
  • Security(セキュリティ)

これらのメリットについて、いくつかのアプリケーションのデモが示され、すでに実際にApple Silicon上でMacのソフトウェアが動作し、高性能を発揮していることが強調された。それでも、なぜApple Siliconでなければならないのか、簡単なアーキテクチャの図が示されただけで技術的な説明はここでもまだ具体性に欠けている。

Apple Siliconのパフォーマンス面でのメリット

Apple Siliconについて技術的に一歩踏み込んだ詳しい話は、ようやく「Explore the new system architecture of Apple Silicon Mac」というセッションで登場した。実際にmacOSをApple Siliconに移行させる仕事をしているCore OSグループの担当者であるGavin Barraclough(ギャビン・バラクロー)氏による説明だ。

そこではまず、現状のインテルベースのMacの基本的なアーキテクチャの確認から入った。独立したGPUを持つマシンでは、インテル製のCPUとAMD製のGPU、そして主にセキュリティに関するコントローラーとして動作するアップル製のT2チップを備えている。この場合、CPUとGPUは、それそれ独立したメモリを使って動作する。それがメリットになる場合もあるだろうが、両メモリ間でのデータ転送はPCIバス経由となり、大量のデータを扱うには効率が悪い。

それに対してApple Siliconでは、1つのSoC(System on a Chip)として、CPU、GPU、セキュリティ関連の機能はもちろん、ビデオのエンコーダー/デコーダー、機械学習関連の処理をハードウェアで実行するニューラルエンジン、機械学習アクセラレーターなどが詰め込まれている。このように多様な機能をワンチップに統合できるのは、iPhoneやiPad用のSoCとして培ってきた設計技術の成果だろう。

この構成では、CPUとGPUが1つのメモリを共有することになり、画像やテクスチャ、ジオメトリなどのデータ転送は効率化される。アップルではこれをUnified memory architecture(統合メモリアーキテクチャ)と呼んでいる。

またApple SiliconのCPUには、これまで採用していたインテル製のCPUにはない大きな特徴がある。それは内蔵する複数のコアの処理能力が、すべて同一ではないということだ。アップルではこれをAsymmetric multiprocessing(非対称マルチプロセッシング)、略してAMPと呼ぶ。例えば、ユーザーによる操作の追従のような軽い処理は低能力のコアで実行し、負荷の重い高度な演算処理は高能力のコアで実行することで、全体的なコアの利用効率を高めることができる。アプリのデベロッパーとしては、プロセスの優先順位を適切に見積もって設定し、効率的な処理が実行されるよう追求する必要がある。とはいえ、一般的なマルチタスク処理は、これまでどおりGCD(Grand Central Dispatch)を利用して、個々のタスクが適切にスレッドに割り振られるようにすることが推奨される。

アプリとして、こうしたApple Siliconの能力を利用するために、特に新たなAPIを導入する必要ない。例えばGPU処理に関しては、これまでどおりMetalを利用すれば、自動的に最大限のパフォーマンスが発揮される。また、ビデオ関連はAVFoundationやVideoToolbox、機械学習関連はCoreMLのように、それぞれ使い慣れたフレームワークを利用すれば最適な処理が実行される。機械学習関連については、Accelerateフレームワークを利用して、ハードウェアをより効率的に利用することも可能だ。

Apple Siliconが可能にするMacならではの機能

Macに搭載されるApple Siliconは、これまでiPhoneやiPadといったモバイルデバイスに使われてきたアップル製のSoCとは異なる部分もある。それはMacがデスクトップコンピューターであることに関連する機能だ。つまり、Macに搭載されるApple Siliconは、単にiPhoneやiPadにすでに搭載されているものをそのまま、あるいは性能を強化して持ってくるのではなく、Macならではの機能も盛り込んだものとなる。

まず異なるのが起動プロセスだ。Apple Siliconを搭載するMacでは、iPhoneやiPadと同様の起動セキュリティを確保しつつ、外付けのディスクを含めて複数のボリュームから選択的に起動する機能を実現する。それらの複数のボリュームには、異なるバージョンのmacOSがインストールされている可能性がある。そのため、新しいブートローダーは、その時点での過去のバージョンも含め、アップルによってサインされたすべてのバージョンのmacOSから起動できる。

さらに新しいリカバリー機能も含まれている。これは、新世代のMacの大きなメリットの1つに数えられるだろう。「Startup Options UI」という専用のインターフェースが用意され、すべてのMacから共通の操作によってアクセスできる。MacBookシリーズではTouch IDボタン、デスクトップでは電源ボタンを長押しするだけで、このUIを起動できる。

ここからは、起動ディスクの選択だけでなく、新たに搭載される「Startup Manager」(起動マネージャ)、「Mac Sharing Mode」(Mac共有モード)を起動することも可能となる。後者のMac Sharing Modeは、これまでのターゲットディスクモードに代わるものとなる。これはSMBを利用したファイル共有機能によって、外部からユーザーデータにアクセスすることを可能する。当然ながらMac内部のディスクにアクセスするには、正当なユーザー認証が必要となる。

起動ディスクの選択についても、これまでにはなかった細かな設定が可能となる。具体的には、起動ボリュームごと独立にセキュリティポリシーを選べるようになる。Macを何らかの業務に使うだけであれば、iPhoneなどと同様、常に最高のセキュリティポリシーを適用して起動すればいい。しかし、研究者や趣味でいろいろいじりたいユーザーは、それでは自由度が制限されて目的が達成できないことある。そこで、あえてセキュリティを低減させるモードも用意している。

セキュリティポリシーは、これまで同様csrutilコマンドによって設定できる。しかしインテルベースのMacでは、設定したセキュリティーポリシーはシステム全体で有効となるものだった。そのため1つのボリュームのセキュリティを低減させたい場合、他のボリュームのセキュリティも低減させざるを得なかった。Apple Siliconを搭載するMacでは、起動ボリュームごと独立にセキュリティポリシーが設定できるので、他の部分のセキュリティを強固に保ったまま、目的のボリュームだけ低減させるという使い方が可能となる。

リカバリー機能も強化される。macOSには、通常のボリュームから起動できなくなった場合に備えて、リカバリーボリュームが用意されている。そこから起動すれば、通常のボリュームを修復したり、再インストールしたりすることが可能となる。ここまでは、インテルベースのMacでもApple SiliconのMacでも同じだ。リカバリーボリューム自体も起動できない場合、インテルベースのMacでは、インターネットリカバリー機能によって、サーバーにある最小限のOSを起動できるようになっている。Apple Silicon Macでは、さらに最小限のOSを保持した「System Recovery」と呼ばれる隠しコンテナを内蔵している。万一の場合は、そこから起動することでリカバリボリュームや通常のmacOSボリュームを修復、再インストールすることが可能だ。

現時点で明らかにされている内容は、Apple Siliconの全容からすれば、まだほんの一部だと考えられる。しかし、Apple Siliconが単に高性能と低消費電力の両立だけを狙ったものでないことは、すでに明らかだろう。とはいえ仮にそれが本当にメインの理由だったとしても、最近発表されたスーパーコンピュータの世界ランキングで、複数の部門にまたがってトップの座を獲得した理化学研究所の富岳が、ARMベースのアーキテクチャを採用しているという事実は、Macの将来にとっても極めて明るいニュースであることに疑いの余地はない。

画像クレジット:Apple

フェイスブックのコード変更の影響でSpotifyやPinterest、WazeなどのiOSアプリがクラッシュ

米国時間7月10日の朝、iPhoneユーザーの多くがアプリを再起動しようとしていらいらしていただろう。私の場合は、Spotifyが起動せず朝の散歩が台なしになった。PinterestやWazeといった多くのアプリでも、同様の問題が起こっていたと報告されている。

その後、問題は解決したが、Facebook(フェイスブック)は原因はもっぱら自分たちにあるという。同社のログページによると、数時間前からフェイスブックのiOS SDKに起因するエラーが急増している。フェイスブックによると、原因はコードの変更だという。

「今朝、フェイスブックのSDKを使っている一部のiOSアプリで、コードの変更によりクラッシュが発声した」と開発チームは書いている。「私たちは問題をいち早く特定し、解決した。ご不便をお詫びしたい」。

対応は比較的早かったが、大切なアプリに影響を受けた人には、数時間が永遠のように感じられたかもしれない。2020年5月にもSDKのアップデートで同じ問題が起きたことを関係者は覚えている人もいるだろう。今回の問題は、フェイスブックのSDKを使っているアプリの開発者が最も苦痛な思いをした(GitHub投稿)はずだ。

同じ問題を二度も経験したユーザーの中には、ソーシャルネットワークとの関係を見直そうとしている人も多いと思われる。そもそも、ひどい体験をした人はアプリそのものを嫌いになってしまう。Apple Music対Spotifyをめぐるソーシャルメディアに関する議論も、今朝になって指摘したように悪い体験は人をアプリから完全に遠ざけることになる。多くのユーザーが、今回の原因であるフェイスブックのSDKではなく、アプリに責任があると考えるだろう。

SDKのアップデートについていえば、フェイスブックのそれはあまりにも早すぎて、多くのものを壊しているようだ。TechCrunchは現在、フェイスブックに対して今後の問題解決について確認している。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アップルがiOS 14、iPadOS 14の公開ベータをリリース

アップルはiPhoneとiPadのOSについて今秋のメジャーアップデートを予定しているが、そのiOS 14とiPadOS 14の最初の公開ベータ版がリリースされた。これはiOS、iPadOSがこれからどうなるのか知るいい機会だ。

デベロッパー向けベータ版とは異なり、99ドルが必要なデベロッパーアカウントを持っていなくても誰でも今回のベータ版をダウンロードできる。しかしベータ版だということは忘れないほうがいいだろう。

iOSおよびiPadOS 14.0の製品版のリリースはあくまでこの秋だが、同社は今後数週間ごとに新しいベータをリリースする。 これはできるかぎり多数のバグを修正すると同時に、ユーザーから大規模にフィードバックを得るためだ。

これまで同様、アップルの公開ベータはデベロッパー向けベータのリリースサイクルに連動している。同社は今週初め、iOSとiPadOS 14の2番目のデベロッパーベータをリリースしている。両者を比較すると、公開ベータはデベロッパーベータのバージョン2とほぼ同じビルドのようだ。

日々利用しているメインのアップルデバイスにはベータ版をインストールしないほうが安全だ。単なるバグではなく、まったく作動しないアプリや機能もあるし、レアケースではあるが、デバイス自体が反応しなくなる可能性もある。iCloudに保存したデータを失うリスクさえあるかもしれない。利用には充分な注意を払う必要がある。

と、断ったうえで、ダウンロードは次のような手順となる。アップルのベータ版サイトにアクセスして、コンフィギュレーション・プロファイルをダウンロードする。 これは製品版アップデートと同じように、アップデートの通知をiPhoneとiPadに送ってくる小さいプログラムだ。

インストールしたいiOSデバイスのSafariからコンフィギュレーション・プロファイルを直接ダウンロードしてもいいし、ほかのデバイスにダウンロードしてからAirDropを使ってターゲットデバイスに転送してもいい。デバイスを再起動して「設定」を開く。9月にデバイスは自動的にiOSおよびiPadOS 13の最終版に更新される。その後はコンフィギュレーション・プロファイルを削除できる。

すでに説明したように、iOS 14の最大の変更はホーム画面でウィジェットが使えるようになった点だ。これにともない、すべてのアプリを表示するアプリライブラリが導入され、アプリをダウンロードしてインストールせずに一部の機能をその場で実行できるApp Clipsが使えるようになった。

これ以外にも当然広範部分で改良されている。メッセージでは@メンションと返信によるグループ機能に重点が置かれているようだ。翻訳アプリはクラウドにデータを送り返さず、デバイス内で作動する。一部の都市では純正の「マップ」アプリに自転車ルートのナビ機能が加わる。メモ、リマインダー、天気、ホームなどもアップデートされている。

今回リリースされたiOS 14の公開ベータについては別記事(未訳記事)で詳細を紹介している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アップルがARMベースMacでのThunderbolt 4サポートを検討していることを表明

Intel(インテル)は米国時間7月8日、1月のCESにおける初披露に次いで、Thunderbolt 4の主要な技術情報を公開(インテルプレスリリース)した。この接続規格の最新バージョンは前より速くなったわけではなく同じく40Gbpsだが重要な改良がいくつかある。また、一部のシステム要求も変わった。以下はインテルによるその概要だ。

  • 2台の4Kディスプレイまたは1台の8Kディスプレイをサポート
  • 32GbpsのPCIeで最大3000Mbpsのストレージ速度を実現
  • 最大4つのThunderbolt 4ポートを備えたドックをサポート
  • 少なくとも1つのコンピューターポートでPCを充電可能
  • Thunderboltドックに接続した際にキーボードやマウスをタッチすることで、コンピュータをスリープ状態から復帰可能(物理的なDMA攻撃を防ぐIntel VT-dベースのDMA=ダイレクトメモリアクセス保護機能が必要

ニューバージョンはThunderbolt 3および以前のUSBと互換性がある。最初の実装はTiger LakeベースのCPUを載せた2020年後期のノートPCになる見込みだ。しかし大きな疑問は、Apple(アップル)が今後のARMベースのMacで、この最新の接続規格をサポートするかだ。ARMベースのMacはアップルとインテルの長年の仲に生じた亀裂を表しているからだ。

TechCrunch宛ての声明でアップルは、これまで長年投資してきた接続規格へのコミットメントを再確認したうえで 「アップルとインテルは10年あまりの協力関係のもとでThunderboltを設計し開発してきました。そして現在ではすべてのMacに搭載され、ユーザーはそのスピードと柔軟性を感じていると思います。私たちは今後もThunderboltの未来にコミットし、Apple Slicon搭載のMacでThunderbolt 4をサポートしていきます」。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

iPhone/iPadアプリは本当にそのままApple Silicon Mac上で動くのか?

先日のアップルのWWDCのキーノートでは、後半のかなり長い時間を使ってMacが採用することになったアップル独自のCPU「Apple Silicon」に関する発表があった。その中では、ちょっと意外なことも語られた。Apple Siliconを搭載したMac上では、iPhone用やiPad用のアプリが「まったく変更を加えることなくネイティブに」動作するというのだ。そこでは詳しい話はいっさいなく、「Monument Valley 2」というゲームなど、2、3本のアプリがMac上で動く様子がデモされた。この話は、時間にして全部で40秒ほど。そのときは、なんだか狐につままれたような気がした人も多かったのではないだろうか。

本当にiPhone/iPad用のアプリがMac上でそのまま動くのだろうか。確かに今後のMacは、iPhoneやiPadと同じARM系のCPUを採用するようになるのだから、基本的なコードがネイティブで動くのはわかる。また、すでにMac Catalystを使えば、iOSやiPadOSのAPIが、部分的にせよ、macOS上で利用可能になっているのも確かだ。しかし、当然ながらすべてが共通というわけではない。それに、そもそもiPhone/iPadアプリは、専用のApp Storeからダウンロードしてインストールするしかない。Macからはアクセスすらできないようになっている。なんとかアプリのバイナリを持ってくることができたとしても、ライセンスの問題もありそうだ。このように疑問は噴出する。

結論から先に言えば、答えはほぼイエスだ。ここで「ほぼ」を付けるのは、どうしても制限と選択があるから。制限とは、動くアプリは、そのままでまったく問題なく動くが、完全には動かないアプリもあるということ。そして選択とは、アプリのデベロッパーがそれを望まない場合、macOS上では使えないようにすることもできるからだ。どういうことなのか、少し詳しく見ていこう。

Mac上でiPhone/iPadアプリが動く仕組み

キーノートの後のWWDCのセッションの1つに「iPad and iPhone apps on Apple Silicon Macs」というものある。17分程度の短いセッションだが、求める答えはズバリこの中にありそうだ。

このビデオでは、まず現状のmacOS Catalinaのアプリケーションアーキテクチャを確認している。大別すると、現状のMacでは4種類のアプリケーションフレームワークが動いているとしている。つまり、通常のMac用アプリのためのAppKit、元はiPad用のものをMac Catalystを使ってMacに移植したアプリのためのUIKit、ウェブアプリのためのWebKit、そしてゲーム用のMetalというわけだ。

引用:Apple

Apple Siliconを搭載したMacのmacOS Big Surでは、そこにもう1つのフレームワークが加わるのではなく、iPhoneやiPadのアプリをそのまま動かせるように、macOS上のUIKit部分を拡張するかたちを取るようだ。

引用:Apple

確かに、macOS上の実行環境がiOSやiPadOSに近づけば、そしてアプリから見て実質的に同等なものになれば、何も変更していないモバイルアプリがMac上でも動作することになる。それでも、macOSのアプリ実行環境にはiOSやiPadOSとは異なる部分も多い。顕著な例は、指によって直接画面をタッチする操作と、マウスやトラックパッドを使ってカーソルを動かしてクリックする操作の違いがある。また、macOSの画面には必ずメニューバーがあって、アプリの終了など、基本的な操作を担当しているが、iOSやiPadOSにはMacのメニューバーに相当するものはない。逆にiPhone/iPadのホームボタンに相当するものはMacにはない。

そうした基本的な操作環境がうまくコンバートされなければ、アプリは恐ろしく使いにくいものとなったり、操作不能になったりしてしまう。そこでBig Surでは、モバイルアプリがMac上で動くために必要なリソースやインターフェースは、自動的に追加されたり、変換されたりするようだ。例えば、すでに述べたメニューバーの利用、環境設定パネルの表示、Dockへのアクセス、ファイルを開く/保存ダイアログの利用、スクロールバーの表示と操作といったものだ。iOSやiPadOS上での標準的なマルチタッチ操作も、可能な限りmacOSのマウスやトラックパッド操作に置き換えられる。

さらに、マルチタスクに対応したiPadOSアプリなら、macOS上でも自由にウィンドウのリサイズが可能となる。フルスクリーンでの動作も可能だ。またマルチウィンドウに対応したアプリなら、Mac上でも複数のウィンドウを開いて動作できる。macOS上のファイルにもアクセスできるようになり、macOSによる「共有」機能も利用可能となる。細かいところでは、macOSのダークモードにも追従する。

このような自動的な環境への対応がどんな感じになるのかを知るために、一例として現状のMac Catalystのアプリを見てみよう。iOSやiPadOSにもあって、現在のmacOSにもある「ボイスメモ」は、Mac Catalystアプリの代表的なもの。iPadOSの「設定」には「ボイスメモ設定」がある。そこに配置されているのは「削除したものを消去」するまでの日数、「オーディオの品質」、そして「位置情報を録音名に使用」するかどうかのスイッチだ。

それに対してmacOS上の「ボイスメモ」では、「ボイスメモ」メニューの「環境設定…」を選ぶことで、「ボイスメモ環境設定」のウィンドウが開く。そして、その中に並ぶ設定項目は、文言も含めて、iPad用アプリとまったく同じなのだ。

これはあくまでも、現在のMac Catalystアプリのユーザーインターフェースの自動変換の例だが、このようなインターフェースに関しては、Big Sur上のiOS/iPhoneアプリも、Mac Catalystアプリも、だいたい同じ環境になると考えていいだろう。

Apple Silicon Mac上で動かないiPhone/iPadアプリ

一般的なアプリの多くがAPIの利用を含めて自動的に変換されるとしても、どうしても変換しきれない機能もある。そうしたモバイルデバイス特有の機能に大きく依存しているようなアプリは、Mac上でそのままうまく動かすことはできないだろう。少なくとも、iPhoneやiPadとまったく同じような機能を発揮することは期待できない。

そのようなアプリの代表的なものとしては、iPhone/iPadが備えている多様なセンサー類を使ったものが挙げられる。加速度、ジャイロスコープ、磁気、気圧、といったセンサーや、深度センサー付きのカメラ、GPSといったものはMacにはない。そうしたものに依存するアプリは、そのままの機能をMacで発揮するにはどうしても無理がある。

ただし、例えばGPSのハードウェアはMacにはないが、その代わりになる機能はある。位置情報を提供するCoreLocationフレームワークだ。iOSやiPadOSのアプリでも、GPSのハードウェアに直接アクセスしているものは、まずない。通常はmacOSともほぼ共通のAPIであるCoreLocationを利用して位置情報を検出している。そうしたアプリが必要とする位置情報は多くの場合、Mac上でもCoreLocationによって供給され、支障なく動作するものも少なくないだろう。

またMacにはない背面カメラに関しても、最初から背面カメラの存在を前提として動作するiPhone/iPadアプリを、そのままMac上で動かすのは確かに厳しい。しかし、アプリが非常にマナーよく作られていれば、MacにUSB接続された外部カメラなどを利用することも可能になる。AVFoundationフレームワークのAVCaptureDeviceDiscoverySession機能を利用して、デバイスに接続されたカメラを確認してから利用するようなアプリなら、柔軟に対応できる可能性が高い。

Macという新たなプラットフォームを得たことで、今後iPhone/iPadアプリのデベロッパーの意識改革が進み、デバイスへの依存性の低いアプリが増える可能性にも期待できるだろう。

iPhone/iPadアプリはどうやってMacにインストールする?

Mac上で動作するiPhone/iPadアプリがあっても、それらを実際にどうやってMacにインストールするのか。というのも、キーノートではまったく触れられず、大きな疑問が残る部分だった。これについては、実は何も心配はいらない。Apple Siliconを搭載するMac上で動作するiPhone/iPadアプリは、ほぼ自動的にMac App Storeに表示されるからだ。Macユーザーは、通常のMac用アプリとまったく同じようにダウンロードしてインストールできるようになる。

デベロッパーが新たなアプリをiOS(iPadOS)のApp Storeに掲載する際、デフォルトではMac App Storeにも掲載されるようになる。ただし、上で述べたような理由でMac上では十分な機能を発揮できないアプリや、同じデベロッパーがすでにMac用のアプリを別にMac App Storeに掲載しているような場合には、そのアプリをMac App Storeでは公開しないように設定できる。それも、チェックを1つ外すだけだ。

有料アプリについては、もちろんユーザーはMac App Store上で購入手続きを済ませてからダウンロードしてインストールするようになる。また、インストールしたアプリのApp内課金も可能なので、デベロッパーはiPhoneやiPadとまったく同様に、Macユーザーからも収益を得ることができる。

アプリをMacにインストールする際には、特定のモバイルデバイスに特化したようなリソースは、自動的に排除され、Macに最適なリソースのみを含むようになる。このようなApp Thinningのメカニズムも、これまでと同じように動作する。Macが非常に強力なiPad類似の新たなデバイスとして加わるだけだ。

macOSにインストールしたアプリのアイコンは、通常どおりmacOSの「アプリケーション」フォルダーに入る。ただし、これを別の場所に移動しても動作する。例えばデスクトップに移動して配置することも可能だ。現状のCatalinaでは、アプリのアイコンをアプリケーションフォルダーから別の場所にドラッグするとエイリアスが作成されるが、Big Surでは「移動」となるようだ。また、新しいApp Bundleフォーマットの採用によって、ユーザーがアプリの名前を変更することも可能になるという。このあたりは、iOSやiPadOSでは得られなかった新たな動作環境だ。こうしたユーザーに大きな自由度を与える動作環境は、macOS Sierraで導入されたApp Translocationを利用することで可能となっている。

Macにアプリを提供する3つの方法

こうして、Apple Silicon搭載MacでiPhone/iPadアプリが利用可能になることで、言うまでもなくMacのアプリケーション環境は、これまで類を見ないほど充実することになる。そして、デベロッパーとしてMacにネイティブなアプリを提供する経路も、大きく3種類が利用できることになる。

1つは、これまでのMacアプリと同様の、macOSのオーソドックスなアプリで、もちろんMacならではの機能や操作性がフルに活用できる。それから、これまでにも利用可能だったMac Catalystを利用して、iPadからMacに移植したアプリがある。この記事では述べなかったが、Mac Catalystは、Big Surで大幅にアップデートされ、より強力なものとなる。

いずれにせよ、Macならではの機能をできるだけ利用できるようにiPadアプリをカスタマイズしたければ、Mac Catalystの利用が効果的だ。そして3つ目は、iPhone/iPadアプリを、そのまま提供すること。もちろん、その場合にはMac上での動作を事前に十分テストして、不自然なことにならないか確認することは必要だ。しかし、デバイスに大きく依存したアプリでなければ、コードもほとんど修正する必要はないだろう。

以前は、iPhone/iPadとMacは、2つの似て非なる世界だった。同じアプリを両方の世界に提供する場合、基本的には両者をまったく別のアプリとして開発する必要があった。それがMac Catalystの登場で、iPad用を簡単にMacに移植できるようになり、さらにApple Silicon Macの登場で、1種類のソースコードからビルドしたアプリを、そのまま両方の世界に供給できるようになる。デベロッパーにとっては、マーケットが大きく拡がるチャンスであることは間違いない。

ユーザーとしては、今後登場するApple Silicon搭載Macを準備して、ただ待っているだけでいい。そうすれば、iPhone/iPadの世界から、魅力的なアプリがどんどんMacに流入してくる。面白すぎて笑いが止まらない状況が、もうすぐそこに迫っている。Macユーザーとしては、まったくいい時代になったものだ。

13インチと16インチのMacBook Pro、どちらを買うべきか?

アップルは13インチMacBook Proの新モデルを5月4日に発表、5月上旬より販売を開始した。現行製品としては、MacBook Air、13インチMacBook Pro、16インチMacBook Proの3シリーズをラインアップしているが、13インチMacBook Proは第8世代CPUとThunderbolt 3×2の廉価モデル、第10世代CPUとThunderbolt 3×4の標準モデルを用意している。どのモデルを購入するべきか悩んでいる読者も多いことだろう。

今回は、第10世代インテルCoreプロセッサーとThunderbolt 3×4という構成の13インチMacBook Proを試用し、どのようなユーザーが購入すべきか、どのような用途に活用できるのかという点にスポットを当ててレビューしていく。

13インチMacBook Proは税別18万8800円から

最大の変更点はキーボードに「Magic Keyboard」が採用されたこと

13インチMacBook Proには下記の4モデルがある。

  • 第8世代Core i5(4コア、1.4~3.9GHz)、メモリ8GB、SSD256GB、Thunderbolt 3×2(13万4800円)
  • 第8世代Core i5(4コア、1.4~3.9GHz)、メモリ8GB、SSD512GB、Thunderbolt 33×2(15万4800円)
  • 第10世代Core i5(4コア、2.0~3.8GHz)、/メモリ16GB、SSD512GB、Thunderbolt 3×4(18万8800円)
  • 第10世代Core i5(4コア、2.0~3.8GHz)、/メモリ16GB、SSD1TB、Thunderbolt 3×4(20万8800円)

直販サイトから購入する際は、第8世代Core i5搭載モデルは第8世代Core i7(4コア、1.7~4.5GHz)、16GBメモリ、512GB/1TB/2TB SSD、第10世代Core i5搭載モデルは第10世代Core i7(4コア、2.3~4.1GHz)、32GBメモリ、1TB/2TB/4TB SSDにアップグレード可能だ。

そのほかの基本スペックはほぼ共通。ディスプレイは13.3インチのIPS液晶ディスプレイ(2560×1600ドット、227ppi、輝度500cd/平方m、色域P3、True Toneテクノロジー対応)を搭載し、通信機能はWi-Fi 5(11ac)とBluetooth 5.0に対応している。

外観上の大きな違いは、第8世代CPU搭載モデルがThunderbolt 3×2、第10世代CPU搭載モデルがThunderbolt 3×4となっていること。また第8世代CPU搭載モデルは1台の外部5Kディスプレイまたは2台の外部4Kディスプレイの映像出力に対応しているが、第10世代CPU搭載モデルはそれに加えて1台の外部6Kディスプレイの映像出力をサポートしている。

全モデル共通の最大の変更点はキーボードに「Magic Keyboard」を採用したこと。ファンクションキーとして機能するタッチ対応ディスプレイ「Touch Bar」、指紋認証センサー一体型電源ボタン「Touch ID」は継承しつつ、「esc」キーを独立。またキーボードの構造を、薄型化を追求した「バタフライ型」から、耐久性を重視した「シザー型」に戻している。

本体天面。カラーはシルバーとスペースグレイの2色を用意

底面は完全にフラットな構造。多くのWindows搭載ノートPCのように底面に吸気・放熱口は設けられていない

ディスプレイは「True Toneテクノロジー」対応。周囲光の色温度に合わせてホワイトバランスを調整し、どのような環境でも同じ色合いで表示してくれる

本製品のディスプレイの色域を実測して「P3(Display P3)」がベースにした「DCI-P3」と比較したところ、99.4%という高いカバー率を確認できた

シザー構造のMagic Keyboardのキーストロークは1mm。本体サイズと重さは、従来モデルが幅30.41×奥行き21.24×厚さ1.49cm、1.37kg、新モデルが幅30.41×奥行き21.24×厚さ1.56cm、1.4kgと、高さが0.07cm増えている

ディスプレイは机の上に置いたまま片手で開閉可能。排気口はヒンジ部に配置されている

インターフェースは、充電、DisplayPort、データ転送(Thunderbolt 3、最大40GB/秒、USB 3.1 Gen 2、最大10GB/秒)に対応。同梱される充電器は「61W USB-C電源アダプタ」で、どの端子でも給電可能だ

実際のアプリではCore i9+dGPU搭載機の約76~84%の処理能力を発揮

処理性能については、CPUベンチマーク「CINEBENCH R20.060」を実施し、「Lightroom Classic」と「Premiere Pro」で実際の処理時間も計測してみた。比較対象機種は筆第9世代Core i9(8コア、2.3~4.8GHz)、AMD Radeon Pro 5500M、メモリ16GB、SSD1TB、Thunderbolt×4という構成の16インチMacBook Pro(28万8800円)だ。

16インチは13インチの約1.82倍のCPUスコアを記録

16インチは13インチの約84%の処理時間でRAW画像の現像を終了

16インチは13インチの約76%の処理時間で4K動画の書き出しを終了

CINEBENCH R20.060のCPUスコアでは16インチは13インチの約1.82倍の圧倒的スコア差を叩き出した。しかし、実際のアプリの処理時間では、16インチは外部GPU「AMD Radeon Pro 5500M」を搭載しているにもかかわらず、それほどの差は開かなかった。

室温25.0℃の部屋でCINEBENCH R20.060を連続実行したときのキーボード面の最大温度は44.9℃、底面の最大温度は43.4℃だった

13インチと16インチのMacBook Proのどちらを買うべき?

もちろんほかのアプリで計測を実施したり、また16インチでプラス7万円で選択できるAMD Radeon Pro 5600M搭載マシンであれば結果は大きく変わる可能性が高い。しかし少なくとも今回のマシン、今回のアプリという条件であれば、両者に使い勝手を決定的に変えるほどの差はなかった。13インチと16インチのMacBook Proは画面サイズ、ボディーサイズの好みで選んで構わないというのが筆者の率直な感想だ。

Apple Cardをウェブから管理可能に、ただしリモートロックや交換の要求はWalletアプリ限定

米国時間7月2日、Apple(アップル)はゴールドマン・サックスが発行している同社ブランドのクレジットカードであるApple Cardのためのオンラインポータルをローンチした。このポータルでは、アカウント保有者が残高を管理したり、明細書や決済スケジュールを見たりできるようにした。URLはcard.apple.comで、iPhoneを紛失もしくは行方不明になったとき、カードの管理や決済に便利だ。これまでは、それらのためにゴールドマン・サックスに直接コンタクトする必要があった。

しかも、自分のデスクトップやラップトップからでも毎月の支払いなどを済ませることができる。わざわざiPhoneを使う必要がない。

card.apple.comを利用するには、カードの所有者が自分のApple IDでログインする。すると、自分のカードの残高や使えるクレジット、期日が迫っている決済などをホーム画面で見られる。メインのページでは、決済のスケジュールを指定できる。それは、Walletアプリでは「…」メニューの「more」の下に埋もれていたから、あることを知らなかったカード保有者もいるだろう。

左の画面へ行くと、過去の明細を見たりPDFでダウンロードしたりできる。その他の設定では、銀行口座へのリンクを設けたり、それらを解除したりできる。サポートへの問い合わせやカードの利用規約を読むことも可能だ。

ただし、カードをなくしたり盗まれたときのためのカードのリモートロックや交換の要求については実装されていない。これらの機能はWalletアプリにしかない。Express Transitの設定やプッシュ通知の管理も、やはりWalletアプリ上で行う。

アップルによれば、Apple Cardのすべての体験ができるのは、あくまでもiPhone上であり、ウェブサイトは決済の実行やスケジューリングなど頻繁に行うタスクだけだ。

カード管理のためのウェブサイトがないことは、アップルのモダンなクレジットカードの欠点のひとつだった。カードの管理や決済がiPhoneから直接できるのは便利だが、クレジットカードの保有者は自分のカードにウェブからもアクセスしたいと考えるのが一般的だ。

オンラインポータルのローンチの直前にアップルは、Path to Apple Cardをデビューした。これはもっと多くの消費者にApple Cardを持ってもらうための信用改善プログラムだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

インド政府の禁止命令を受けアップルとグーグルが数十の中国企業のアプリを削除

インド政府が中国企業開発の59のアプリを禁止した2日後、Google(グーグル)とApple(アップル)はインド政府の命令に従い、世界第2位のインターネット市場のユーザーがそうしたアプリを利用できないようにし始めた。

インド政府が禁止したUC BrowserやShareit、Club FactoryといったアプリはアップルのApp StoreとGoogle Play Storeから姿を消した。グーグルの広報担当は、同社がインド政府の暫定命令をレビューし、Google Play Storeで「(対象となる)アプリへのアクセスを一時的にブロックした」と声明文で述べた。

アップルもインド政府の命令に対しグーグルと同様の措置を取ったが、コメントの求めに応じなかった。

この件に詳しい人物は「ByteDance(バイトダンス)を含むいくつかのデバロッパーは自発的にアプリをインドでアクセス不可にした」とTechCrunchに語った。

インドの通信省は今週初め、通信ネットワークやインターネットサービスプロバイダーに「すぐさま」59のアプリへのアクセスをブロックするよう命じた。こうしたアプリの多くのウェブサイトがインドでアクセス不能になった。

両社のソフトウェアは地球上のほぼ全部のスマートフォンを動かしているが、これら2社の6月2日の動きは、このところ中国とインドの間でこれまでになく緊張が高まっている中でのものだ。

論争が展開されているヒマラヤ国境地帯で、国境を接する2国の間で先月あった小競り合いではインド兵20人が殺害され、緊張が一気に高まった。今週初め、インドは国家のセキュリティの懸念を理由にByteDanceのTikTokを含む59本のアプリを禁止した。一部の人は報復とみている。

禁止命令の中でインドの電子情報技術大臣は「これらのアプリがユーザーのデータを収集してマイニング・プロファイリングしていて『インドの安全保障と国防』にとって脅威となる」と主張した。

インド政府は一部の企業の役員を招いて懸念に応える機会を提供した。TikTokのCEOであるKevin Mayer(ケビン・メイヤー)氏は7月1日「TikTokがインドのプライバシーやセキュリティに関する必要条件を満たしていて、今後さまざまな利害関係者と会うことを楽しみにしている」と述べた。

7月2日、中国のソーシャルネットワークWeiboは、インド大使館の要望でインドのNarendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相のアカウントを削除したと明らかにした。アカウントが削除される前、モディ首相は20万人超のフォロワーを抱えていた。

インドは近年、シリコンバレーと中国の企業にとって最大の「戦場」となっていた。グーグルやFacebook(フェイスブック)、Amazon(アマゾン)といった米国のテックグループのように、Tencent(テンセント)やByteDance、Alibaba Group(アリババ・グループ)を含むいくつかの中国企業も過去10年、アグレッシブにインドで存在感を高めてきた。インドにユーザー2億人を抱えるTikTok(未訳記事)は、アジア第3位の経済であるインドを中国外における最大のマーケットとしてとらえている。

アプリ調査会社App Annieの幹部がTechCrunchと共有したデータによると、LikeeやXiaomi(シャオミ)のMi Community、TencentのWeChatなどが含まれる59本のアプリの先月の月間アクティブユーザーベースは合計で5億人超だった(インドのスマホユーザーのかなりの割合がこうしたアプリのいくつかを使用していて、オーバーラップも多数ある)。

画像クレジット: PRAKASH SINGH / AFP / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Apple上級副社長へインタビュー: 「HEYアプリへの対応もApp Storeのルールも変える予定はない」

TechCrunchは米国時間6月18日、Basecamp(ベースキャンプ)がiOS App Storeで販売しているHEY Emailアプリの件について、Apple(アップル)のPhil Shiller(フィル・シラー)上級副社長に電話取材を行った。取材の中でシラー氏は「問題のアプリが今のままApp Storeで販売を続けることを可能にするようなルール変更を行う予定はない」と語った。

「現時点で、App Storeに関して変更を検討しているルールはない。App Storeの現行ルールの範囲内でこのアプリを機能させるために開発者にできることはたくさんある。それをぜひ行っていただきたい」とシラー氏は言う。

HEY Emailアプリに対するAppleの対応に世界中が注目している。HEY Emailアプリの完全版の利用料金をアプリ内課金ではなくHEY(ヘイ)のウェブサイト経由で支払うようにしたことを理由に、App Store審査の初期承認をすでに受けていた同アプリのアップデートがApp Storeによって繰り返し拒否されていたことを、2人の創業者David Heinemeier Hansson(デヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン)氏とJason Fried(ジェイソン・フリード)氏を含むベースキャンプの開発者たちがツイートしたためだ。

HEY Emailアプリは現在、App Storeからダウンロードするだけでは使うことができない。ヘイのウェブサイトでサブスクリプション料金を支払ってはじめて使えるようになる。

「ユーザーがアプリをダウンロードしただけではそのアプリが機能しないのは、われわれの望むことではない」とシラー氏は語り、アプリ外にあるのと同じ決済機能をアプリ内でも利用できるようにすることをApp Store登録の条件にしているのはそのためだ、と説明した。

誤解のないように言うと、HEY EmailはApp Storeに登録されている大半のアプリに課されているルールに違反している。このルールの例外は、音楽、書籍、映画など特定の外部コンテンツを表示するための「リーダー」と呼ばれるアプリと、エンドユーザーではなく組織や企業を対象とする一括購入料金オプションのみを提供しているアプリだけである。

シラー氏はTechCrunchの電話取材に対し、HEY Emailはそのような例外アプリではない、とはっきり答えた。

Nextflixをはじめとする「リーダー」タイプのアプリについてシラー氏は「例外アプリとしての扱いはすべてのソフトウェアを対象としたものではない」と語り、「メールアプリが例外として認められることはなく、これまでも認められた前例はない」と説明する。

実は、HEY EmailのMac用アプリは、現在iOS用アプリがApp Storeで警告されているのと同じ理由ですでに拒否されている。iOS用アプリのオリジナルバージョンは誤って承認されただけであり、そもそもApp Storeに公開すべきではなかった、とシラー氏は言う。

そうなると問題は、現行のApp Storeルールを専門的に分析すればHEY EmailがApp Storeから削除されずに済む方法が見つかるのか、ということではなく、そもそもアップルの対応が妥当なのかどうか、という点になる。

私はシラー氏に、アップルは、App Storeにアプリを公開しているすべての企業から、その企業がiOSファーストであるかどうかにかかわらず、収益の一部を受け取る権利があると考えているのか、と質問してみた。

「そう質問したくなる気持ちはわかるが、われわれはそのように考えているわけではない」とシラー氏は答えた。

現行ルールの範囲内でApp Storeでの公開を継続させるためにベースキャンプが導入できたであろう決済方法はいくつもある、とシラー氏は語り、実際に「アプリ内とウェブサイトで異なる料金を課金する」、「追加機能付きの無料版を提供する」などの方法を例として挙げてみせた。

とはいえ、ユーザーに課金するデジタルサービスを開発するのであれば、アプリのユーザー体験向上と決済システムの安全確保のために、アプリ内課金の仕組みとアップルの決済システムを使ってほしいと考えている、とシラー氏は語る。

シラー氏によると、HEY Emailは1つの方法として、まずは基本的なメール閲覧機能を持つアプリの無料版または有料版をApp Storeに公開した後で、そのiOS用HEY Emailアプリを使って利用できるアップグレードされたメールサービスをiOSまたはHEYのウェブサイトで提供することができたはずだという。さらに別の方法として、すべてのフィードを読み込むことも別サイトで課金できる有料フィードを読み込むこともできるRSSアプリを使う手もあった、とシラー氏は語る。いずれの場合でもApp Storeからダウンロードした時点ですぐに使えるアプリができたはずだ。

多くのユーザーにとってよりなじみ深い別の方法は、やはりアプリ内課金によって有料版にアップグレードできる無料版アプリである。

もちろん、残念なことに現行ルールの下では、ヘイはアプリ内で何らかのアップグレードサービスを宣伝することも、それに言及することさえもできないため、そのようなサービスはアプリ外のチャンネルで売り込むしか方法はない。

現在繰り広げられているこの議論についてTechCrunchのSarah Perez(サラ・ペレツ)が記事にまとめてTechCrunchウェブサイトに投稿したので、最新の情報を確認するためにぜひご一読いただきたい。そして、米国時間6月18日、Facebook(フェイスブック)のゲームアプリがルール違反を理由にApp Storeの公開承認を5回も拒否されていたことをThe New York Times(ニューヨーク・タイムズ)が報じた。こうしたニュースはすべて、アップルの開発者向けイベント「WWDC」が開催直前であるうえに独占禁止法違反の疑いでEU(欧州連合)がアップルの捜査を始めるのも目前という、まさに最悪のタイミングで飛び込んできた。

普段からアップルに関する記事を書く機会が非常に多く、App Storeに関するルールの個人的解釈のせいでアプリがアップルから拒否されるのではないかと舞台裏でいつも心配する開発者の姿をこれまで頻繁に目撃してきた者として、私はこの問題について自分なりに真剣に考えてきた。

個人的に、今回の件は、突き詰めるといくつかの明快な事実で成り立っていると思う。HEY EmailがApp Storeのルールに違反しているのは事実だ。つまり、問題は「HEYによる違反を正当化するためにはどのようにルールを歪曲あるいは拡大解釈すればよいか」ということではなく、「そもそもそのようなルールは存在すべきなのか」ということである。

アップルがこのような状況であえて地雷を踏むような対応をしているのは、自分たちは正しく公平なことを行っているという認識がアップル社内にあるからだと思う。App Storeというプラットフォームを作ったのはアップルなのだから、デジタル領域にも現実世界にも多大な経済的利益をもたらしているそのプラットフォームの収益を受け取る権利がアップルにはある。さらに、アップルが決済プラットフォームを管理することがセキュリティおよびプライバシー保護の観点から有益であることは疑う余地がない。

「でも確かにアップルは世間の反応を見て対応を変えている」と反応する人は、スケールの力を過小評価していると思う。アップルは毎週10万件ものアプリを承認しており、承認が拒否される理由のほとんどは簡単に修正可能な問題によるものだ。大海原に白く砕ける波がちらほら見えると、どうしても海より波の方に目が行ってしまう。それと同じように、メディアも承認が拒否されたアプリにばかり注目する。アップルが持つスケールの大きさが世間の見方を組織とそれをリードする人々に都合のよい方向に曲げてしまうことがしばしばある。

だが私はこの件について以下のように感じており、そこには世間一般で見落とされがちな点が含まれているように思う。

  1. App Storeに対する嫌悪感や苛立ちを自分の中に鬱積させる人が増えている気がする(私の情報筋のみならず他の記者の情報筋もこれが事実であることを裏付けている)。人々がその感情を表に出さない理由は、そうする度胸がないことと、App Storeには存続してもらう必要があるためだ。
  2. 誰に批判されるかによって反応が大きく異なる場合がある。ハンソン氏は声高に不満を叫ぶ面倒な人物かもしれないし、あんな意見の伝え方では言われた方も聞く気が失せるだろう。しかし、変化と自省のきっかけになるのは、何も友人や仲間からの言葉だけではない。そして、怒りに燃えて不親切に見える人から発せられた助言を当てはめて変化するのは、2倍辛い。しかし、そのような人の意見こそが正しい場合もある。

青臭いことを言っていると思われるかもしれないが、アップルはその偽りのない誠実な価値観を、大企業として他に類のない真に独特な方法でビジネスにおいて実践していると私は感じている。この意見に同意できない人がいくらかというよりも大勢いることはわかっている。しかしこれは、長年にわたってアップルへの取材を重ねる中で数えきれないほどの役員やあらゆる部署・役職の社員と公私にわたって実際に会って話してきた私が目撃してきたことである。John Gruber(ジョン・グルーバー)氏が書いているように、「われわれは正しいことをしている」という論点を「何が正しいことなのか」という論点にすり替える無駄な努力に意味があるとは思えない。

この電話取材の直前に、TechCrunchはアップルから1通のレターを受け取った。アップルがフリード氏とヘイに宛てて書いたレターと同じものだ。

このレターでは、ヘイがApp Storeの現行ポリシーに違反しているというアップルの主張が繰り返されていた。以下はその抜粋だ。

「iOS用Appを開発してくださり感謝いたします。App審査委員会は、ベースキャンプがこれまで長年にわたり数々のAppとその後継バージョンを開発してApp Storeで提供してくださり、そしてApp StoreがそうしたAppを幾百万ものiOSユーザーに配布してきたことを理解しています。これらのAppではApp内課金の機能が提供されていません。結果として、過去8年間にわたりApp Storeには何の収益ももたらされませんでした。現行の『App Store Reviewガイドライン』とすべての開発者に順守が義務付けられている条件を貴社が順守してくださる限り、App審査委員会は今後も貴社のAppビジネスを支援させていただきたいと考えており、貴社のサービスを無料で提供するためのソリューションを提案させていただく所存です。

この文面からわかるとおり、今のところアップルの姿勢が変わる気配はない。

以下がこのレターの全文である:

ジェイソン・フリード様

貴社のAppであるHEY Emailに関する申し立ての審査結果についてご報告いたします。

App Review Board(App審査委員会)は、貴社のAppについて審査を行った結果、先日の承認拒否は有効であると判断いたしました。貴社のAppは、下記に詳述するApp Store Reviewガイドラインに抵触しています。お気づきのとおり、HEY Emailが2020年6月11日にMac App Storeに提出された際に拒否されたのも同じ理由によるものです。

HEY EmailはApp Storeにおいてメール用Appとして提供されていますが、ユーザーが同Appをダウンロードしても使うことができません。ユーザーは、ベースキャンプのHEY Email用ウェブサイトでHEY Emailの使用ライセンスを購入するまでは、同Appを使うことができません。これは、App Store Reviewガイドラインに記載されている以下の条項に違反します。

ガイドライン 3.1.1 – ビジネス – 支払い – App内課金

Appのコンテンツまたは機能をリリースするには、App内課金を使用していただく必要があります。貴社のAppでは、ユーザーはコンテンツ、サブスクリプション、機能をアプリ外で購入することが必要ですが、そうしたアイテムをApp Store Reviewガイドラインに従ってApp内でApp内課金を使用して購入できるようになっていません。

ガイドライン 3.1. 3(a) – ビジネス – 支払い – 「リーダー」App

リーダーAppは、ユーザーがApp外ですでに購入したコンテンツやコンテンツのサブスクリプションにApp内からアクセスできるようにするものです。貴社のメール用Appは「リーダー」Appに関するこのガイドラインの下で許可されているコンテンツタイプ(具体的には、雑誌、新聞、書籍、オーディオ、音楽、動画、プロ向けデータベースへのアクセス、VoIP、クラウドストレージ、授業管理Appなどの承認済みサービス)には該当しません。そのため、貴社のApp内でApp内課金を使用してコンテンツまたは機能へのアクセスを購入するオプションをユーザーに提供する必要があります。

ガイドライン 3.1. 3(b) – ビジネス – 支払い – マルチプラットフォームサービス

複数のプラットフォームで動作するAppでは、ユーザーは別のプラットフォーム上または開発者のWebサイトで入手したコンテンツ、サブスクリプション、機能にアクセスできます。ただし、そうしたアイテムをApp内のApp内課金アイテムとしても購入できるようにする必要があります。貴社のHEY Email Appでは、コンテンツ、サブスクリプション、機能がApp内のApp内課金アイテムとして購入できるようになっていません。実際のところ同Appは、ユーザーがベースキャンプのHEY Email用ウェブサイトにアクセスして無料トライアルを開始するか、意図された用途で同Appを使用するための別途ライセンスを購入するまで、メールや他のいかなる用途でもAppとして機能しません。

対策

この問題を解決するために、App Store Reviewガイドラインのいかなる条項にも違反しないように貴社のAppを修正していただくようお願いします。

App Store Reviewガイドラインを順守するよう貴社のAppまたはサービスを修正する方法はいくつもあります。これまでにコンテンツ、サブスクリプション、機能をApp外で購入したユーザーは、App内でも引き続きこうしたアイテムを利用できます。ただし、App Store Reviewガイドラインに従って新規のiOSユーザーがApp内課金を使用してアクセスを購入するオプションが提供される場合に限ります。

貴社がユーザーにApp内課金のオプションを提供することを希望しない場合は、提示されているApp機能のとおりに、標準的なIMAPとPOPのメールアカウントを使用するメールクライアントとしてAppを提供し、ユーザーが任意でメールサービスプロバイダーとしてHEY Emailサービスを使う設定ができるようにすることも可能です。これにより、コンテンツや機能を使用するためにユーザーが追加の支払いを行わなくても、同Appはメールクライアントとして機能します。このアプローチでは、貴社が貴社のWebサイトで販売するメールサービスは、App Storeで提供されている貴社のAppとは明らかに別のメールサービスとなります。

App審査委員会は、貴社がこうした方法や別のアイデアを活用し、HEY Email AppをApp Store Reviewガイドラインに準じたものにするために役立つ情報を提供したいと考えています。

iOS用Appを開発してくださり感謝いたします。App審査委員会は、ベースキャンプがこれまで長年にわたり数々のAppとその後継バージョンを開発してApp Storeで提供してくださり、そしてApp StoreがそうしたAppを幾百万ものiOSユーザーに配布してきたことを理解しています。これらのAppではApp内課金の機能が提供されていません。結果として、過去 8 年間にわたりApp Storeには何の収益ももたらされませんでした。現行の『App Store Reviewガイドライン』とすべての開発者に順守が義務付けられている条件を貴社が順守してくださる限り、App審査委員会は今後も貴社のAppビジネスを支援させていただきたいと考えており、貴社のサービスを無料で提供するためのソリューションを提案させていただく所存です。

App審査委員会は、貴社がHEY Email AppをApp Storeで提供できるよう、今後もサポートさせていただきたいと考えております。

どうぞよろしくお願いいたします。

App審査委員会

関連記事:アップルがApp Store、Apple Musicなどのサービス提供をアフリカをはじめとした数十の国や地域でも開始

カテゴリー:ソフトウェア

タグ:Apple App Store インタビュー

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(翻訳:Dragonfly)

アップルが2020年のAppleデザインアワード受賞者を発表

先週行われたApple(アップル)のワールドワイド・デベロッパー・カンファレンス(WWDC)のバーチャルバージョンで、1つ欠けていたのがApple Design Award(デザインアワード)の表彰式だ。米国時間6月29日にアップルは2020年の受賞者を発表し、際立ったアイデアに命を吹き込み、Appleテクノロジーに精通していることを示した各製品に光を当てた。

このデザインアワードは、デベロッパーコミュニティー全体にとって、アップルがどんな種類のアプリとゲームを見たがっているかを知るための指標になっている。例えば2019年に同社は、Apple Pencil(アップルペンシル)、CoreML、Metal 2などのAppleテクノロジーを引き立てた製品を称賛した。

アップルは2020年もiPad向けアプリ、中でもフォトエディターやその他のデザインツールなどクリエイティブツールとしてのiPadを目立たせる製品に焦点を当てた。一方、いくつかのゲームは他のテクノロジーやデザインの選択に加えて、スペーシャルオーディオの利用に注目されて選ばれた。アップルがWWDCで、AirPods Proのスペーシャルオーディオ対応を発表したのは偶然ではないだろう。

Begen Co.の写真・ビデオ編集アプリであるDarkroomは、プロでもカジュアルユーザーでも簡単に使えるという理由で、2020年の受賞アプリに選ばれた。このアプリは写真やカメラのAPI、ホーム画面のクイックアクション、コンテキストメニュー、触覚フィードバックなどのAppleテクノロジーも活用している。

画像クレジット:Bergen Co.

iorama.studioが開発したアニメーションアプリであるLooomは、遊び心と創造性のあるインターフェースと新しいカスタムコントロールに加えて、Apple PencilとダークモードなどのAppleテクノロジーへの対応を認められた。

画像クレジット:iorama.studio

Shapr3D Zartkoruen Mukodo ReszvenytarsasagのCADエディターであるShapr3DはiPadで動作し、テクニカルデザイナーがApple Pencilを使って3Dモデルを制作することができる。ARKitとドラッグアンドドロップを使用しているほか、LiDARスキャナーを使って3D写真から2Dの間取り図をつくる機能が近々追加される。

画像クレジット:Shapr3D Zartkoruen Mukodo Reszvenytarsasag

StaffPad Ltd.のStaffPadは、Apple Pencilとドラッグアンドドロップ、機械学習フレームワークのCore MLを使って手書きの楽譜をデジタル化する。

画像クレジット:StaffPad Ltd.

デベロッパーのSimogoとパブリッシャーのAnnapurna InteractiveによるSayonara Wild Heartsは、すでに2019年のApple App Storeベストゲームの1つに選ばれている。このたび活気ある景観、ビジュアル、モーションのほか、Metal、Game Center、スペーシャルオーディオ、ゲームコントローラーなど広くAppleテクノロジーを利用していることでDesign Awardに選ばれた。

画像クレジット:Simogo / Annapurna Interactive

thatgamecompanyのSky: Children of the Light(Sky 星を紡ぐ子どもたち)も2019年のアップルの「ベスト」ランキング入りし、2020年のデザインアワードではマルチプレーヤー、ソーシャルクエストゲーム部門で受賞した。カスタムMetalエンジン、触覚、ゲームセンター、スペーシャルオーディオなどのAppleテクノロジーを使用している。

画像クレジット:thatgamecompany

Song of Bloomは、インディーデベロッパーのPhilipp Stollenmayer(フィリップ・ストレンマイヤー)氏が開発した脱出ゲームで、すばやく変化するアートスタイルでストーリーが語られる。アップルはこのiPadアプリのハンドクラフトのゲームプレイとデザインを評価した。

画像クレジット:Philipp Stollenmayer

デベロッパーのThe Game BandとパブリッシャーのSnowmanによるアドベンチャーゲーム「Where Cards Fall」は、カードで家を作って記憶を蘇らせる。このゲームはMetal、触覚、ゲームセンター、iCloudなどのテクノロジーを使用している。

画像クレジット:The Game Band / Snowman

2020年のDesign Award受賞者にはAppleデザインチーム作のApple Design Awardトロフィーに加えて、27インチiMac Pro、16インチMacBook Pro、iPhone 11 Pro Max、12.9インチMagic Keyboard for iPad Pro、Apple Pencil第2世代、Apple TV 4K、Apple Watch Series 5 44mm、AirPods Proが贈られる。

「毎年多くのアプリとゲームのデベロッパーが卓越した職人技を披露し、我々はベストの中のベストの栄誉を称える」とアップルのワールドワイドデベロッパーリレーションズ担当副社長であるRon Okamoto(ロン・オカモト)氏が発表文で語っている(Appleリリース)。「Apple Design Awardの受賞は特別な、称賛に値する成果だ。過去の受賞者には歴史に残る著名なアプリとゲームを作った人たちもいる。受賞したデベロッパーたちはそのビジョン、決断、厳格な基準を通じて、Appleデベロッパーコミュニティーの仲間たちだけでなく、我々アップルの全員にもひらめきを与えてくれる」。

画像クレジット:Apple

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

最新のモバイルアプリには変革が必要だ

1週間の振り返りニュースへようこそ。先週、私はApple(アップル)のApp Storeに対する論争について取り上げたが、今週はアプリが将来は基本的にどのように見えるかについて、アップルのWWDCの発表が投げかけた材料をもとに再び議論したい。

大いなる変革

今月アップルのApp Storeに関しては、開発者たちがアプリの収益化方法の変更を要求するという論争が起きていた。一方先週アップルがWWDCでそのオペレーティングシステムの次のバージョンを詳しく説明したことによって、サードパーティのアプリ自身が根本的に変革される余地があることを、同社が確信していることが明らかとなった。

先週のWWDCで、アップルはApp Clips(アップ・クリップス)を発表した。これはサードパーティアプリのアイデアをわずか1つまたは2つの機能にさくっとスケールダウンするというコンセプトだ。ユーザーは、URL、NFCタグ、またはビジュアルコードを介して、App Clipsを素早く呼び出すことが可能で、適切なコンテキストが発生したときにダウンロードされる。多くの点で、これは開発者により多くの制限を課すことになる、また別の通知タイプに過ぎないが、その背後に横たわるのは、オペレーティングシステム自体の内部へ、サードパーティ統合を推進するというアップルの継続的な関心に従う考えだ。

私たちは個々に独立したアプリのパラダイムを長い間使って来たものの、アップルがARグラスなどの将来のプラットフォームについて考えている中で、グリッドに並べられたアプリがあまり効率的でないことが明らかになった。同社はこのことを、Apple Watchを通してかなりゆっくりと学習したが、サードパーティのエクスペリエンスが専用の独立したプラットフォームとして与えられるよりも、定番アプリを補助するもののように感じられたほうがずっと良い場合がある。Apple Watchにとって、コンプリケーション(時計フェイス上にアプリを配置する機能)は極めて重要なものだが、このことが改めて明らかにしたのは、スクリーンの大きさが限られているデバイスの上で、アプリ開発者がデバイスメーカーと競い合うのは不利だという事実だ。

アップルは、アプリの販売方法や発見方法だけでなく、アプリの基本的な動作方法を決定する、大きな裁量の余地を持っている。同社がiOSの内で、コンテキストにより柔軟に対応したサードパーティエクスペリエンスに興味を持っていることは明らかだ。iOS 10のiMessage内に埋め込まれた内部アプリストアの登場は、これを最も積極的な形で実装したものだったが、その動きに対するフォローアップは、極めて軽いままだった。これを他の定番アプリに拡張して、サードパーティの調整によって製品を強化することもできたはずだが、そうするためには同社は自分が十分満足していないエクスペリエンスを出荷することに対する抵抗を乗り越えなければならなかっただろう。

ホーム画面上にグリッド状に並べられたアプリケーションのアイデアは、ユーザーにとって必ずしも効率的であるとは限らない。App Storeが同社にとっての莫大な収益である一方で、アップルはそのエクスペリエンスを合理化する方法について、ずっと考え続けていることは明らかだ。Widgets(ウィジェット)とApp Clipsは、ユーザーをアプリの実際の機能に集中させることになる。そして、私はそれが開発者にとって本当に良いことなのかどうかに興味がある。私の想像では、ユーザーがこうしたひと口サイズのエクスペリエンスの利用に費やす時間が長くなるほど、ユーザーがこれらのアプリを本当にクリックする時間は短くなり、持続可能なプラットフォームを構築する開発者の機会を減らすことになるのではないかと思う。

こうしたミニチュア体験は、中国で長年支配的だった手法に対して、アップルが開発者を促すことになる。WeChatのミニプログラムネットワークは、米国に存在するものとはまったく異なっている。その意味でWeChatは長い間、欧米の企業に影響を与え、その興味を引きつけてきた。モバイルにおけるサードパーティ統合の形式を再考する努力は、何年にもわたって行われてきたものの、アプリストアからダウンロードされたアプリのコア機能を置き換えることに成功したものはほとんど存在していない。

アップルがこの道を進もうとしたときに、大いなる脅威に晒されるかどうかは不明だ。Facebookの場合は、Cambridge Analyticaの余波で開発者プラットフォームの野望を大幅に縮小してしまい、おかげで開発者が大きな被害を被ってしまったので、何かをすぐに始めるには、Facebookは不利な立場にいるようだ。例外はFacebook Messengerだが、そのチームは数年前の失敗したチャットボットの取り組みを乗り越える必要がある。今月初めに、SnapはSnapchatのチャットセクションに軽量アプリを統合することを発表した。この機能は、ほんのひと握りのサードパーティのエクスペリエンスで開始され、Snapchatがミニゲームのランチャーを提供する場所と同じセクションに統合された。

App Clips、Widgets、Siriサジェスチョン、さらに多くのより細かい機能は、アプリのエクスペリエンスを、デバイスの中心に近付け、アプリグリッドの外に引き出して利便性の核に近付けるための、より積極的な取り組みのビジョンを描き出している。アップルが、サードパーティの統合へのアクセス方法の最前線のコンテキストを支配する中で、同社はどれくらい開発者たちを遠ざけることなく、将来のビジョンへと駆り立てることができるだろうか?

関連記事:アプリの一部機能をオンデマンドで提供するiOS 14のApp Clipsはダウンロードという高いハードルを取り去る

amazon zoox

トレンド

AmazonがZooxを買収
Amazon(アマゾン)は自動運転自動車業界に参入した技術大手の最新企業だ。同社は米国時間6月26日に、自動運転車のスタートアップZooxを買収することを発表した。同社はこれまでに約10億ドル(約1070億円)を調達しており、Financial TimesによればAmazonは同社を12億ドル(約1290億円)で手に入れたと報じられている。

MicrosoftがMixerを閉鎖(未訳記事)
アマゾンのTwitchを打ち倒す競争は、今週Microsoft(マイクロソフト)がゲームストリーミングレースから身を引き、TwitchのライバルであるMixerを閉鎖したことを発表したために、ますます興味深いものとなった。このサービスは後発ではあったが、同社が世界のトップゲーマーの独占ストリーミング権利を取得することで、遅れを挽回することを目指していた。どうやら、それだけでは不十分だったようだ。

FacebookがOculus Goを殺す
先週私は、Facebookが自身で販売している、最も安価なVRデバイスである149ドル(約1万6000円)のOculus Goヘッドセットを、どのように殺そうとしているかについて書いた。このデバイスはすでに数週間売切れ状態だが、Facebookがこの先アップデートがあることを以前の声明の中でほのめかしていたことを思うと、この2歳のデバイスを廃止したことは驚きだ。

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(翻訳:sako)

iOS 14のApp ClipsはApp Storeに行かずに機能が利用できるApple版インスタントアプリ

AppleのApp Storeは今や200万近いアプリが登録された巨大なエコシステムとなっている。 つまり必要なアプリを見つけてダウンロードするのが非常に難しくなっているわけだ。 アプリのデベロッパーが新しいユーザーを獲得するにはApp Storeを対象とする検索広告、伝統的SEO、各種デジタル広告などにますます多額の投資をしなければならないい。

今年後半にリリースされるiOS 14に搭載されるApp Clipsはデベロッパーの新ユーザー獲得に新しいオプションを提供する。AppClipsでアプリを公開した場合、ユーザーは必要に応じてアプリの一部の機能をオンデマンドで即座に読み込むことができる。利用が終了するとApp Clipsのアプリはデバイスから消える。

App Clipsのコンセプトは目新しいものではない。GoogleのAndroidプラットフォームでは数年前からInstant Appと呼ばれるオンデマンドのミニアプリを提供している

App ClipsはInstant AppsのiOS版で、アプリをウェブページなみに手軽に扱えるようにすることを目的としている。スピーディーかつ一時的で、特定の機能を利用したいだけなのにApp Storeからアプリをダウンロードしてデバイスにインストールしなければならないというハードルを取り除く。

現在多くのユーザーは急いでいるときにアプリをまるごとダウンロードしたがらない。たとえば市営パーキングで駐車料金を支払いたい場合、パーキングメーターにクレジットカードを通すだけですめば好都合だ。市の駐車アプリをダウンロードしてインストールするよりはるかに時間と手間の節約になる。

ファーストフード店で行列を作っている人々もいちいち店のアプリをダウンロードしてメニューを見て注文しようとはしない。ほとんどの客はカウンターでスタッフに注文し、料金を払う。自転車をレンタルするならスマートフォンを一回タップするだけですませたいだろう。

 

App Clipはウェブサイトを開くのと同じくらい手間でアプリの特定機能を利用できるようにすることを狙っている。上に挙げた例のように一度タップするだけでApple Payでチェックアウトするという他にも多数のシナリオが想定される。

AppleはQRコードを読み取るだけでClipsを起動できるようにする予定だ。今年後半に登場するApp Clip CodeはClip体験をさらにアップグレードする。NFCとQRコードのスキャンを組み合わせた機能でユーザーはタップないしQRコードのスキャンでApp Clipにアクセスできる。

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たとえば、パーキングメーターにApp Clip Codeを表示すればユーザーはコードをスキャンするだけでアプリの一部機能を即座に読み込み、駐車時間に応じた支払いを行うことができる。ApplePayが利用できるシステムであればクレジットカードのスワイプを省略することもできまる。

App Clipのサイズは10MB未満に制限され、App Storeアプリにバンドルされる形で公開される。デベロッパーはUIKit、SwiftUIなどの現在アプリ開発に用いている開発環境を利用してApp
Clipを書くことができる。ただしApp Clipsを起動してもアプリ本体がデバイスにダウンロードされることはない。

App Clipsが提供する重要なメリットはプライバシー保護の面で優れていることだ。App Clipsは簡単にいえばオンデマンドでアプリのコードを実行する仕組みだ。このためiPhone上に健康、フィットネスなど機密性の高い個人データへがあってもアクセスは制限されている。またApp Clip自身と使用したデータは、一定時間再利用されないと自動的に消去される。

逆にユーザーが特定のApp Clipを頻繁に利用する(行きつけのコーヒーショップなど)と、App Clipsが消去されるまでの時間が延長され、機能も拡大される。コーヒーショップの例でいえば、App Clipsはオーダーの際にユーザーが前回した注文を記憶し、候補として提示する。これにより注文のプロセスがスピードアップできるわけだ。このユーザーはやがてアプリ全体をダウンロードしてインストールすると決めるかもしれない。

この場合、Appl Clipsから本体アプリへの移行もシームレスに実行される。iOSは、App Clipsがすでに得ていたカメラ、マイク、Bluetoothアクセスなどへのアクセス許可を記憶しており、アプリ自動的に適用する。またアプリで使用されたデータも移行される。

https://techcrunchjp.files.wordpress.com/2020/06/2020-06-29-003-app-clips-maps.jpg

もちろユーザーはこうした実世界での利用以外にもオンラインでApp Clipsを発見して利用することがあるだろう。Appleはむしろこちらを主なユースケースと考えいるかもしれない。

Appleは、App ClipはiMessageのリンクとして送信できるとしている。またSafariでモバイルサイトを閲覧しているときにポップアップとして表示されるし、Appleマップのビジネスの説明ページにも表示できる。Siriの「この周辺」の候補にも表示される可能性があるとAppleは述べてる。

「デバイスの中であれ、現実世界であれ、世界のどこにいいようと常にユーザーのそばにあって即座に利用できる」というのがApp Clipsの考え方のようだ。

画像:Apple
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滑川海彦@Facebook

次期macOS Big SurでUI/UXはどう変わるのか?細かすぎて伝わりにくい部分も解説

WWDC20の基調講演から、早くも1週間近くが経過した。なんだか、もうずいぶん昔のことのような気がする。今回の基調講演の中で、最も印象的だったApple Siliconに関する発表ですら、もう何年も前からわかっていた既定路線だったように感じられる。

とはいえ、今回のMacに関する発表が、インテルからARMベースのアップルオリジナルCPU、Apple Siliconへのスイッチだけだったかと言うと、もちろんそんなことはない。基調講演前半のiOSやiPadOS、その他のデバイス用の新しいOSバージョンの発表に続いて、macOSの新バージョ「Big Sur」についても、しっかりと紹介されていた。その際には、基調講演の後半に登場するApple Siliconについては、当然ながらまだひと言も触れられておらず、CPUの種類にはまったく関係のない純粋なソフトウェアとして、次期バージョンのmacOS 11を紹介している。

次期バージョンでは、いろいろな意味でiPadOSとmacOSの距離は縮まるだろう。「iPadOS 14ではアプリの操作性がmacOSのようになる」の記事は、iPadOS 14がmacOSライクになるという趣旨のものだった。しかし実際には、それよりもmacOSがiPadOSライクになる傾向のほうが、ずっと顕著だと思える。操作性については、実際にリリースされたものを使ってみるまではわからない部分が多いものの、少なくとも見た目に関しては、macOSのほうからかなりiPadOSに歩み寄っているように思える。

基調講演でも、Mac OS Xの登場以来「デザイン」は最も大きく変化すると説明された。その発表では、アプリや通知センター、ウィジェットの話が中心で、細かいデザインの違いまでははっきりとはわからなかった。ここでは、その後にアップルが公開したHuman Interface Guidelinesの「What’s New in macOS」というページを参照しながら、必要に応じて新旧を比較しつつ、macOSのユーザーインターフェースの個々の要素についてルック&フィールを細かく見ていこう。

アイコンは基本的にiPad風に統一

これまでのmacOSでは、特にアプリのアイコンの基本形状がかなり不統一なものとなっていた。比較的新しい伝統としては外形が円になっているものが多いが、正方形に近いものも珍しくはない。もっと古い伝統に則ったものは、長方形をちょっと左に傾けて、その上にツールを載せたようなものとなっていた。さらには、Mac Catalistを使って作成した、iPadOSと共通のアプリアイコンは、正方形や長方形をちょっと左に傾けたものが多かった。

新しいmacOSでは、アプリアイコンは基本的にiPadOS風になる。つまり正立した角の丸い正方形を基調としたものだ。好き嫌いはともかくとして、はっきりアプリのアイコンだと認識しやすいものに統一されるのは良いことだろう。

一方、iPadOSでは、ドキュメントのアイコンを目にする機会は少ない。必要に迫られて「ファイル」アプリを開いたときくらいだろう。そこで目にするのは、これまでのmacOSと同様に正立する長方形の右上の角が内側に折れ曲がったもの。macOSよりも折れている部分の面積が若干広く、折れ方も直線的に見える。新しいmacOSのドキュメントのアイコンは、やはりiPadOS風になる。

もう1つ、macOSには機能を表す「フィーチャー」アイコンというものがある。これはツールバーなどのボタンとして使われている。これについても、アプリのアイコンと同様、統一感に欠けていたものが、基本的に角の丸い正方形を基調とするものに統一される。

また、このアイコンのバックグラウンドのグラデーションも色の変化の小さいものとなり、これまでよりフラットな印象のものとなるようだ。

アプリごとに指定可能な「アクセントカラー」

あまり耳慣れない言葉かもしれないが、macOSには「アクセントカラー」という色の設定がある。これまではシステム環境設定の「一般」で、8色の中から選択することができた。これによって、ラジオボタンやポップアップメニューなど、ユーザーインターフェースの基本となる色を設定できる。設定がここにあることからわかるように、これはシステム全体に関わるもの。ここで選んだ色が、基本的にすべてのアプリにも適用されるものだった。

新しいmacOSでは、このアクセントカラーをアプリごとに指定できるようになった。その色は、アプリのデベロッパーが決める。ただし、そのアプリごとのアクセントカラーが有効となるのは、ユーザーがシステム環境設定で「アクセントカラー」の設定として「マルチカラー」(Multicolor)を選んでいる場合だけ。ユーザーの好みで特定の色を選んだ場合には、これまでどおり、その色がシステム全体に渡って使われる。

タイトルバーとツールバー

アイコンの意匠やユーザーインターフェースの色の設定は、慣れればなんとも思わなくなるものがほとんどかもしれない。しかし、ウィンドウ内部のバーやボタン類の配置は、なかなか新しいものに慣れにくいような気がする。確かにそうした部分のデザインも、これまでで最も大きく変化しそうだ。それには古くからのMacユーザーほど、強い抵抗を感じる可能性があり、議論を呼びそうだ。まずは、ウィンドウ最上部のタイトルバーとその下のツールバーの変化を確認する。

言葉による説明は不要かもしれないが、これまで2段に分かれていたタイトルとツールの各バーが、太めの1本に統合されるのが、まず目につく。

また、ツールバーに並ぶボタン類のデザインも趣向が変わる。これまでは、ラジオボタンのような一択のボタンは隙間なく並べられてわかりやすかった。新しいデザインでは、ボタンの間隔だけが異なるので、他の独立したボタンと区別が付きにくい。

アプリの環境設定に見られるような、1つのウィンドウの中身を切り替えて使えるようにする一種のタブバーも、そのアイコンともども、大きくデザインが変更されそうだ。

サイドバー

同じバーでも、サイドバーの変化は比較的小さなものになりそうだ。これまでは、選択肢として表示される際も、どれかを選択した後も、モノクロで味気ない感じのものだった。新しいインターフェースでは、サイドバーの選択肢のアイコンがアクセントカラーで表示され、わずかながらにぎやかな感じになる。

選択したアイテムのハイライトは、サイドバーの左端から右端に届く長方形ではなく、左右に余白を残した角の丸い長方形になる。これは、次に述べるメニューの選択表示と同じだ。

メニュー

デザイン要素の変更としては、それほど大きくないにも関わらず、比較的大きく印象の変わるのはメニューだろう。

まず、メニューバーやメニュー自体の透明度が増しているように見える。フォントサイズは13ポイントになり、微妙に小さくなっているようだ。逆にメニューの項目の行間は微妙に広くなり、なんとなく余裕が感じられる。そして、もう1つの変化が、心理的には最も大きな変化として感じられる。これまでは、選択した項目がメニュー左端から右端まで、長方形に反転されていたのに対し、新しいメニューでは、左右に余白を残して角の丸い長方形として選択される。

こうして、これまでのmacOSと比較しながら新しいmacOS 11のルック&フィールを確認してみると、確かにこれまでのものが古臭く感じられるかもしれない。慣れれば新しいものが当たり前に感じられるようになり、何とも思わなくなるものが大半だろう。しかし、新しいものが何でも良いとは限らない。実際に使ってみるまでは予断を許さないが、ここに挙げたもの以外の要素も含め、いつまで経っても違和感が消えないような変更が施されないことを願うばかりだ。

iPhone SEはトリプルカメラを捨てて機種変更したいと思わせる魅力を備える

アップルは4月24日、iPhoneシリーズの最廉価にして最小のモデルとしてiPhone SEの第2世代を発売した。第1世代と第2世代に共通するコンセプトは、旧モデルのボディに最新のプロセッサーを搭載していること。第2世代のiPhone SEには、iPhone 8と同じデザインのボディーにiPhone 11シリーズと同じA13 Bionicプロセッサが搭載されている。今回は、最上位のiPhone 11 Pro Maxと比較しつつ、iPhone SEならではの魅力に迫っていく。

iPhone SE(第2世代)の価格は4万4800円から。カラーは今回のブラック以外に、ホワイトとレッドが用意されている

iPhone 8のボディに最新プロセッサーを搭載

iPhone SEには前述のとおりプロセッサに、第3世代のNeural Engineを搭載したA13 Bionicを採用。ストレージに64GB(4万4800円)、128GB(4万9800円)、256GB(6万800円)を搭載する3種類のモデルが用意されている。メモリ容量についてはアナウンスされていないが、各種ベンチマークソフトのシステム情報で3GBを搭載していることが確認できる。

ディスプレイは4.7インチのIPS液晶ディスプレイ(1334×750ドット、326ppi、輝度:625cd/平方m、色域:P3、コントラスト比:1400:1)を搭載。カメラは背面に1200万画素、前面に700万画素を配置している。通信機能は4G LTE(nano SIMとeSIMのデュアル仕様)、Wi-Fi 6(IEEE802.11ax)、Bluetooth 5.0に対応。初代とは異なり、リーダーモード対応NFC、FeliCaもサポートする。

本体サイズは幅67.3×高さ138.4×厚さ7.3mmで重さは148g。防水防塵性能はIP67。iFixitの分解記事によれば、バッテリーは1821mAhを搭載している。公称バッテリー駆動時間は、ビデオ再生最大13時間、ストリーミングビデオ再生最大8時間、オーディオ再生最大40時間だ。

前面カメラは700万画素(F2.2)。ホームボタンは物理式ではなく、押した感触を再現する感圧式が採用されているので、故障する可能性が格段に低い

背面カメラは1200万画素(広角、F2.2、光学式手ぶれ補正)。リーダーモード対応NFC、FeliCaだけでなく、ワイヤレス充電(Qi規格)にも対応する

本体右側面にはサイドボタンとnanoSIMカードトレイ、本体左側面にはサウンドオン/オフスイッチ、ボリュームボタンが配置されている

小さなiPhone SEはA13 Bionicの最大性能を発揮できない?

iPhone SEはプロセッサにiPhone 11 Pro Maxと同じA13 Bionicを搭載しているが、ベンチマークで予想外の結果が出た。今回、「AnTuTu Benchmark」「Geekbench 5」「3DMark」の3つのベンチマークプログラムをそれぞれ3回実行し、その中で最も高いスコアで比較してみたのだが、Geekbench 5のCompute以外でiPhone SEがiPhone 11 Pro Maxに大きく引き離されたのだ。例えば、AnTuTu Benchmarkの総合スコアでは、iPhone SEはiPhone 11 Pro Maxの約88%のスコアに留まっている。

iPhone 11 Pro Maxは4GBのメモリを搭載しているが、ベンチマークソフト単体で今回ほどの差が出るとは考えにくい。そこでベンチマーク実行中の端末の表面温度を計測してみたところ、iPhone SEが最大41.1度、iPhone 11 Pro Maxが最大40.5度と0.6度の開きがあった。小さなiPhone SEは端末内に熱がこもりやすく、A13 Bionicの最大性能を発揮できていない可能性がある。

iPhone SEでは、AnTuTu Benchmarkの総合スコアは479610、Geekbench 5のMulti-Core Scoreは3013、Computeは7323、3DMarkのSling Shot Extremeは4074を記録

iPhone 11 Pro Maxでは、AnTuTu Benchmarkの総合スコアは542188、Geekbench 5のMulti-Core Scoreは3449、Computeは7311、3DMarkのSling Shot Extremeは5370を記録

AnTuTu Benchmark実行中、iPhone SE(左)が最大41.1度、iPhone 11 Pro Max(右)が最大40.5度に達していた

広角カメラの画質は同等だが、ナイトモード非対応は残念すぎる

広角カメラの画質について違いは見受けられなかった。少なくともある程度の光量があれば、上位モデルと同等の写真を記録できる。超広角、望遠カメラは搭載されていないが、それを知らずに買ってしまう方はいないだろう。

しかし、iPhone SEにナイトモードが搭載されていないことは大いに不満だ。複数枚撮影した画像を合成することで、明るさを増し、ノイズを除去するナイトモードは、AndroidではiPhone SEよりも低スペックな端末にも搭載されている。

ベンチマークスコアがわずかにふるわなかったもののA13 Bionicを搭載するiPhone SEにナイトモードを搭載しない理由は、正直、上位モデルとの差別化以外に思いつかない。できるだけ早くiPhone SEにナイトモードを提供することを強く望みたい。

iPhone SEで撮影

iPhone 11 Pro Maxで撮影

iPhone SEで撮影

iPhone 11 Pro Maxで撮影

カメラスペックさえ割り切れればiPhone 11シリーズと比べて遜色なし

価格とサイズは性能の重要な要素。個人的には128GB以上のモデルを勧めるが、64GBモデルなら4万4800円から購入できて、ポロシャツの胸ポケットにもスッポリ入るiPhone SEは、エントリーモデルとして申しぶんない。パフォーマンスや広角カメラの画質は最上位モデルとほぼ同等なので、実際の利用シーンで物足りなさを感じることはないはずだ。

おサイフケータイ、防水非対応の初代iPhone SEは、個人的にはメイン端末になり得なかった。だが、今回の2代目はカメラのスペックさえ割り切れれば、iPhone 11 Pro Maxから機種変更してもいいと思わせるほどの魅力を持つ1台だ。

これまでPlusとかMaxなどの大きなiPhoneばかりを買ってきた筆者にとって、4.0インチの初代から4.7インチへと大きくなった2代目でさえも非常にコンパクトに感じられる

Safariの次期バーションではFace IDとTouch IDでウェブログインが可能に

Apple(アップル)のFace IDとTouch IDは、ユーザーがiPhoneやiPadなどのモバイルデバイスにログインすることを簡単にしてきた、また一部のMacにはTouch IDボタンが搭載されている。さらに同社は、Face IDとTouch IDをウェブの世界に持ち込もうとしている。

今週開催された同社のオンラインWWDC(世界開発者会議)で、ウェブ開発者がFace IDとTouch IDのサポートをウェブサイトに追加する方法を紹介した。この方法によって、Safariのユーザーはユーザー名とパスワードを入力することなくウェブサイトにログインすることが可能になる。

アップルは、ウェブ開発者向けのWWDC セッションで、ユーザーに「スムーズな体験」を提供できるようにするために、同社が開発者たちに強く推奨する新しい機能を披露した。iOSアプリでFace IDとTouch IDが機能するやり方と同様に、新しいテクノロジーの実装を選択したウェブ開発者は、ユーザーが次にウェブサイトにアクセスしたときに、生体認証方式を選択できるようにすることができる。

このテクノロジーはWeb Authentication(WebAuthn)APIを介して構築されたものだ。このAPIを使うことによって、開発者はFIDO Allianceによって開発されたFIDO2仕様を介して認証システムを構築することができる。FIDOによれば、Safari14からmacOSとiOS向けに利用可能になるという。

CNETが説明しているように、このブラウザ技術を使用するのはアップルが最初ではない。例えば、Firefox、Chrome、Microsoft Edgeなどではすでに利用可能だ。

しかしアップルによる採用は、バイオメトリクスの動きをより広範囲に押し進める可能性がある。これは、一部には同社が複雑なテクノロジーを消費者にとって使いやすくし、ユーザー教育の仕事を引き受けるやり方に影響されるからだ。また同社、自社開発の最新テクノロジーを展開することに興奮する、かなりの規模の開発者コミュニティも抱えている。

新しいシステムは、その成り立ちから考えればデフォルトで多要素システムとなる。

アップルのプラットフォーム認証システムは、iPhoneまたはiPadのセキュア・エンクレーブを使用して秘密鍵を提供しており、またその秘密鍵がデバイスから外に出ることが決してないことを保証している。またそれは、指紋または顔認識によってユーザーを認証している。これにより、ユーザーが所有しているもの(iPhone)と、ユーザー自身の一部であるもの(バイオメトリクス情報)が組み合わさることで多要素となる。

またBiometric Updateのレポートによれば、同じWWDCのセッションの中でアップルが独自の認証サービスを開発していることも明らかにされた。このサービスは、例えば銀行のように特に高度なセキュリティ要件を持つところへのオプションサービスとなる。こうしたテクノロジーはプライバシーを侵害するために使用される可能性があるため、同社は個別認証情報ごとに固有の証明書を生成する独自のバージョンを構築したのだ。これにより、ウェブサイトはウェブを横断してユーザーを追跡することができなくなる。このサービスはまだ利用できないが、まもなく利用できるようになる予定だ。

アップルは今年初めにFiDO Allianceに参加し、現行のパスワード方式を、信頼できるデバイスとバイオメトリクスで置き換える方式に向けて取り組む意向を表明している。また同社は、MacでFace IDを使用する手法の特許も取得しているものの、そちらはまだリリースされていない。

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(翻訳:sako)

アップルの次期「マップ」ではビルの形状をiPhoneでスキャンして場所を絞り込める

iOS 14でApple(アップル)は、純正の「マップ」アプリに重要な新機能を加える予定だ。例えば、自転車のための経路指示、電気自動車(EV)のための経路案内、そしてキュレーションガイドといったものが含まれる。だがアプリにはさらに賢い機能も追加される。

正確な位置を取得できない密集した地域で「マップ」アプリは、ユーザーにiPhoneで通りの向こうのビルをカメラでスキャンするように促す。これにより現在地をより詳細に特定するのだ。

ご想像のとおり、この機能はGoogleストリートビューにインスパイアされた「マップ」アプリの機能である、Look Around(ルックアラウンド)に基づいている。Look Aroundは、通りを歩いていく際に、周囲の景色を見せてくれる機能だ。すべてが3Dで前景と背景を区別できるので、「マップ」アプリはストリートビューよりも多少洗練されている。

Look Aroundは現在のところ、サンフランシスコ、ニューヨーク、シカゴ、ワシントンDC、ラスベガスなど、ごく一部の米国の都市でのみ利用できる。だがアップルは今でも拡張を続けていて、6月29日にはシアトルへ、そして今秋には日本の主要都市への拡大が予定されている。徒歩でのみアクセスできるエリアの一部も、将来的には利用可能になる。ビルの形をスキャンして位置を調整しても、アップルはもちろんサーバーにデータを送信しない。マッチングはデバイス上で行われる。

キュレーションガイド機能に関しては同社は、AllTrails、Lonely Planet、The Infatuation、Washington Post、Louis Vuittonなどと提携して、キュレーションされた場所のリストをアプリに追加している。

検索バーをタップして検索カードを下にスクロールすると、近隣の場所に関するガイドが表示される。ガイドを開くと、地図上ですべての場所を表示したり、ガイド自体の中でそれらの場所をリストビューで表示したりすることができる。場所を共有してユーザー自身が作成したガイドに保存することも可能だ。同社は現在のバージョンの「マップ」ではそうした自作ガイドをコレクションと呼んでいる。

頻繁にチェックしたい場合には、キュレートされたガイドもまとめて保存しておくことができる。場所は自動的に更新される。

画像クレジット:Apple

EV経路案内については、ユーザーは「マップ」に自分の車のを追加し、名前をつけて、充電装置のタイプを選ぶことができる。現段階ではBMWならびにフォードと提携している。ルートを計画する際に、利用する車を選択できるようになった。電気自動車を選択すれば、「マップ」が途中の充電スポットを追加する。スポットをタップすれば、それが無料か有料かやコネクタのタイプを確認できる。

またWazeユーザーは、制限速度を超えている場合に「マップ」が警告できるようになることを知って喜んでいる。地図上に速度監視カメラと赤信号監視カメラの場所を表示することもできる。

渋滞ゾーンとナンバープレートによるアクセス規制がある一部の都市では、ナンバープレートを追加することができる。情報はデバイス上に保持される。そうした都市向けの経路指示も調整される。

画像クレジット:Apple

最後になるが、私のお気に入りの新機能は自転車向け経路指示だ。当初は、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ、上海、北京でのみ利用できるようになる。アップルは、サイクリングパスや標高差といった、すべての適切なパラメーターを考慮に入れている。分岐点ごとの経路指示は、運転用の経路指示と比べるとフレーミングやより縦長のビューという点が異なっている。

Googleマップにも自転車用ルートが表示されるが、これは使い物にならない。「マップ」の自転車向け経路指示が実際に使い物になるのかどうかを試す日が待ち遠しい。「マップ」の新しいバージョンは今秋にiOS 14とともに出荷される。

画像クレジット:Apple

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(翻訳:sako)

アップルが感染数増加の著しいフロリダでさらに14店を再閉店

アップルはすでに4つの州で直営店を再び閉じており、その続きがあっても不思議ではない。米国時間6月25日の報道(Bloomberg記事)に続いてアップルは、フロリダで先週閉じた2店に続いてさらに14店を閉鎖することを認めた。

同社がTechCrunchに送った声明は先週のものとほぼ同じで「私たちがサービスを提供しているコミュニティの一部における、現在の新型コロナウイルス(COVID-19)の状況により、これらの地域で一時的に店舗を閉鎖する。これは状況を仔細に監視した結果、あくまでも万一に備えての措置であり、チームと顧客が可及的速やかに復帰できることを期待している」と記載されていた。

この決定は、南部諸州で新型コロナウイルスの患者が増え続けていることに対応している。米国時間6月24日には、2日続けて5000人以上の新たな感染が報告されている。フロリダ州は11万4000人あまりの新型コロナウイルスの患者と3000人の死者を数えており、感染数では全米で6番目に多い州である。

先週注記したように、アップルは5月に一部の店を再オープンしたときからすでに、閉鎖の可能性を認めていた。フロリダで新たに閉店されるストアは、以下のとおりだ。

  • The Galleria
  • The Falls
  • Aventura
  • Lincoln Road
  • Dadeland
  • Brickell City Centre
  • Wellington Green
  • Boca Raton
  • The Gardens Mall
  • Millenia
  • Florida Mall
  • Altamonte
  • International Plaza
  • Brandon

Waterside ShopsとCoconut Pointのストアは、先週閉鎖された。アリゾナと南北両カロライナでも、再開直後の店が閉店された。

関連記事:新型コロナ感染者の増加でオープンしたアリゾナ、フロリダなどのアップルストアがまたも閉鎖に

画像クレジット: Apple

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa