現場に「使える」AI・アルゴリズムを提供するALGO ARTISが4.28億円のシリーズA調達

コンサルティング・デザイン・システムの力で現場に「使える」AI・アルゴリズムを提供するALGO ARTISが4.28億円調達

AI(アルゴリズム)のコンサルティングおよびソリューションを提供するALGO ARTISは9月15日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による総額4億2800万円の資金調達を2021年7月に完了したと発表した。引受先は、リードインベスターの東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)、ディー・エヌ・エー(DeNA)。また、2021年9月にシリーズ A ラウンドのエクステンションラウンドを実施予定としている。

調達した資金は、エンジニアなどの人材の獲得費用にあてプロダクト開発を促進し、主要事業の成長をより一層加速する。

ALGO ARTISは「社会基盤の最適化」というミッションの下、現場に「使える」AI(アルゴリズム)を提供するために、コンサルティング・デザイン・システムの力を駆使して優れた最適化AI(アルゴリズム)を開発し、継続的に価値を提供することを目指し事業を展開している。

プラントやロジスティクスのスケジュール管理をはじめ幅広い社会基盤の管理業務を対象とし、現場で継続的に利用されるために、入念なヒアリングとコンサルティングを経てアルゴリズム・デザイン・機能を設計・実装。また、実装の過程ではプロトタイプを提供し、実際に利用してもらうことで、机上では把握できない課題を抽出し、改善を繰り返すことでスムーズな現場導入を実現しているという。

ALGO ARTISの前身事業は、DeNAにおいて本格的にAIを活用した事業が2016年から検討開始され、複数の新規事業を手がける中で生まれたという。2019年にはDeNA内でエネルギー事業推進室が立ち上がり、インフラ系企業と、最適化に関する複数のプロジェクトを推進してきた。

2021年7月に、より積極的かつ継続的な投資による事業の成長を実現させるために、DeNAの後押しもあり現代表の永田健太郎氏が中心となる形で外部より資金調達を行い、同事業をスピンオフ。ALGO ARTISを設立した。現在は、DeNAの持分法適用会社として引き続き連携を取りながら、AI(アルゴリズム)を活用した最適化ソリューションの提供事業を展開している。

DeNA在籍の「Kaggle Grandmaster」が国内企業最多の3名に、「Kaggle Master」も16名

国内企業最多、DeNA在籍の「Kaggle Grandmaster」が3名・「Kaggle Master」も16名に

ディー・エヌ・エー(DeNA)は1月15日、日本国内に十数名しかいないとされる「Kaggle Grandmaster」の在籍人数が日本企業としては最多(2021年1月15日時点。DeNA調べ)の3名となったと発表した(Kaggle Rankings)。「Kaggle Master」も国内最多の16名(2021年1月15日時点。DeNA調べ)が在籍しているという。

同社データサイエンティストが、2020年10月から2021年1月にかけて行われたKaggleコンペティション「Riiid! Answer Correctness Prediction」に参加し、12位(日本チームとしては3位)となった。この結果により、Kaggle最高位である「Kaggle Grandmaster」2名が誕生し、同社所属のGrandmasterは計3名となった。

Kaggleは、2017年にGoogleが買収。世界中の統計家、データ分析家、研究者などのデータサイエンティストが登録しており、分析手法や最適モデルを競うプラットフォームの運営を行っている。コンペでは、主催者が投稿した課題に対し、参加者が最適なモデルを構築し競い合う。

DeNAでは、2018年4月より「Kaggle社内ランク」制度を導入し、様々な事業領域においてAI技術を活用した取り組みを積極的に行っているという。

同制度は、AI技術のサービス応用力強化のために、データサイエンス⼈材の積極的な採⽤と、データサイエンス⼈材のキャリア形成を⽀援することを⽬的とした制度で、一定の条件下で業務時間でのKaggleへの参加を推進しているそうだ。

すでにDeNA社内には多くの「Kaggler」が在籍しており、3名のKaggle Grandmasterのほか、「Kaggle Master」も国内最多の16名(2021年1月15日時点)が在籍している。

その知識やスキルなどは、DeNAが関わる様々なビジネス領域である、ゲーム、ライブストリーミング、スポーツ、ヘルスケア、オートモーティブなどで活かされており、DeNA以外の企業との取り組みにおいても活用されているという。

DeNAでは、今後も優秀なKagglerのデータサイエンス力が社内外の様々な企業や事業において社会に役立ち、活用されることを目指していくとした。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:KaggleDeNA日本(国・地域)

Googleとプレミアリーグ所属マンチェスター主催のサッカーAIコンペで、日本人チームが5位入賞

Googleとプレミアリーグ所属マンチェスター主催のサッカーAIコンペで日本人チームが5位入賞

quantum(クオンタム)は12月22日、同社データサイエンティストとしてquantum AIを支える大渡勝己氏を含むチーム「TamakEri」が、Kaggleコンペティション「Google Research Football with Manchester City F.C.」において、グローバルで1138チーム中5位に入賞したこと、日本人チームとして最高位を獲得したと発表した(2020年12月17日時点の公開プロフィール情報に基づく)。

Kaggleは、2017年にGoogleが買収。世界中の統計家、データ分析家、研究者などのデータサイエンティストが登録しており、分析手法を投稿し、お互いに競うプラットフォームの運営を行っている。コンペでは、主催者が投稿した課題に対し、参加者が最適なモデルを構築し競い合う。

Google Research Football with Manchester City F.C.も、同プラットフォームを利用し開催されたAIコンペのひとつで、2020年9月28日〜12日にかけて開催された。フットボール(サッカー)をプレイするAIエージェントの作成と研究加速を目的としており、プレミアリーグ所属の強豪サッカーチーム「マンチェスター・シティF.C.」とGoogle Researchがホストとなっている。

同コンペには、グローバルで活躍する大手企業や研究所などに所属する機械学習エンジニアからなる1138チームが参加。参加者が提出したAIエージェント同士による多数の試合(Google Research Football Environmentという実際のビデオゲームと同じような環境で動作)が行われ、その勝敗結果をもとに順位付け/レーティング計算が行われた。

大渡氏は、DeNAのデータサイエンティスト田中一樹氏と組んだチームで同コンペティションを戦い、並列強化学習を駆使して作成したAIエージェントで1138チーム中5位(入賞)、日本人のチームとして最高位を獲得する成績を収めた。

大渡氏は、「AIは状況に応じた反射的な判断は得意なものの、記憶、特に『長期的な記憶』に関してはまだ研究開発の途上。人間のプレイヤーの場合、過去の経験の蓄積からゲーム中に様々な判断を行うが、AIはまだそれが得意ではない。今後は、複数人での協調動作や長期的な記憶の利用による戦略変更などサッカーの強化学習を通してその長期的な記憶に関わる領域を紐解くことで、AI技術の進歩に寄与できると考えている」とコメント。quantum AIでは、長期的な記憶を獲得できる手法を研究しているという。

またquantum AIリーダーを務めるquantum代表取締役副社長 及部智仁氏は、「選手の動き、チームの動きを模倣する深層模倣学習の研究を進めることで、他のチームスポーツはもちろん、スポーツ以外の様々な新規分野へも応用できると考えている。今回のコンペでの経験を糧とし、強化学習技術を用いたAI研究開発や新規事業への応用に引き続きチャレンジしていく」とした。quantum AIは、新規事業でデータサイエンスを導入する企業向けに、アカデミアによるAI研究から機械学習の開発・運用までを一気通貫で提供していくという。

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quantumは、未来のビジネスを生み出すことにこだわるスタートアップスタジオ。同社quantum AIは、機械学習システムの開発と実装支援をするプロジェクトチーム。AIを導入する企業向けに、アカデミアによるAI研究から機械学習の開発・運用までを一気通貫で提供している。

電気通信大学との産学連携で高速演算処理対応のコンピューティングを備えるquantum AIのラボを運営し、ビジネス上の課題と機械学習をマッチングさせるフルスクラッチAI開発を可能としている。ビジネス上の課題を解決する機械学習システムを開発するために、アカデミアの知見を軸に機械学習アルゴリズムをプラットフォームロックなくゼロから開発する。

また、複合的な視点で機械学習システムを設計・実装できるメンバーが在籍。アカデミアのAI研究者、機械学習のデータサイエンティスト、データエンジニア、AI系スタートアップの起業経験者、AI系の新規事業開発経験者の視点で、機械学習システムを設計する。

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スマートリモコンのNature RemoがDeNAなどから5億円調達、エネルギー事業への本格的参入目指す

Natureは8月1日、総額5億円の資金調達を発表した。環境エネルギー投資とディー・エヌ・エー(DeNA)を引受先とする第三者割当増資となる。なお、DeNAから出資については、DeNA創業者の南場智子氏が代表を務めるDelight Venturesに移管される予定。

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Natureが開発するスマートリモコン「Nature Remo」は、テレビやエアコン、照明などの家電とは赤外線、スマートフォンやタブレット端末とはWi-Fiを経由してつながっており、外出先などからスマートフォンを操作して家電を遠隔操作できるのが特徴だ。近年では、音声アシスタントのGoogle HomeやAmazon Alexaに対応し、各種スマートスピーカーを組み合わせることで音声での家電操作も可能になっている。同社によると発売2年弱で、Nature Remoの累積販売台数は10万台を突破したという。最近では家電量販店でスマートスピーカーとのセット販売も始まっている。

Natureでは今回の資金調達をチーム強化に当てるとのこと。スタッフの数を倍に拡大し、開発・販売・サポート体制を強化する。現在約10名のフルタイムスタッフ(パートタイムやインターンを入れると15名)を倍の20名程度にまで増やすことを目指しており、具体的な職種としては、エンジニア、マーケター、事業開発、カスタマサポートなどの人材を増強する予定だ。

そして同社は、年内発売予定の新デバイス「Nature Remo E」によってエネルギー事業への本格的参入も予定している。Nature Remo Eは、家庭の太陽光発電や蓄電、スマートメーター、ECHONET Lite(家電向けの汎用通信プロトコル)対応機器の情報を集約するハブ機能を備えるデバイス。専用のスマートフォンアプリで、買電・売電など電力状況の確認や過去の消費電力量の表示、接続機器の制御などが可能だ。

同社CEOの塩出晴海氏は「Nature Remo Eは、Natureが実現したい再生可能エネルギーの電気をP2Pで売買できるプラットフォーム構築のための試金石になります。電気のP2Pのプラットフォーム構築においては、各家庭での電力買電・売電のリアルタイムのデータ、需要と供給をマッチさせるための調整力が必要で、Nature Remo Eはそれらを実現できるキーデバイスなります」と語る。

また同社は今回の調達のタイミングで本社機能を日本に移管し、日本発での海外市場進出を目指して再出発する。この点について塩出氏は、「Natureのユーザーのほとんどは日本在住です。また、電気のP2Pの事業を進めるうえで、日本は極めて有利な環境が整っていることも理由です。1つは、スマートメーターのデータが解放されていること。もう1つは、国内メーカーの太陽光システムや蓄電池システムなどでオープンプロトコルが採用されていること」とのこと。「これらの理由により、今後大きく成長が見込まれるエネルギーの事業を既存顧客の多い日本で育てて、海外に展開して行くことがNatureのグローバル展開において最適だと判断したためです」と続ける。

太陽光発電を導入する家庭などでは、備え付けのパネルやタブレット端末で発電量や売電量を確認することは可能だが、スマートメーターや対応する家電からの情報を集約してスマートフォンで参照できる個人向けデバイスは少ない。ECHONET Litetg対応家電はまだまだ少ないが、一部メーカーの洗濯機や電子レンジ、電磁調理器などが対応している。これらの機器が一般化すれば、家庭の電力量を細かく把握したいというニーズも生まれるだろう。

なお同社は同日、Nature RemoがiOSのSiri ショートカットに対応したことも発表した。iPhoneやiPad、HomePodと連携して、Siriショート カット経由で家電を音声で動かすことが可能になる。

DeNAが100億円規模のファンド組成、南場智子氏がマネージングパートナーに

ディー・エヌ・エー(DeNA)は7月25日、事業のスピンアウトおよび起業家輩出を主目的としたベンチャー・ビルダー事業を開始したことを発表。これに伴い、デライト・ベンチャーズ1号投資事業有限責任組合を組成した。デライト・ベンチャーズは、有限責任組合員(LP)がDeNA、無限責任組合員(GP)がDeNAの100%子会社であるDelight Venture Investmentとなる。Delight Venture Investmentの代表はDeNA創業者の南場智子氏が務め、DeNA出身の渡辺大氏ともにファンドを運用する。

関連記事:ディー・エヌ・エーが約100億円の新ファンド設立へ

DeNAのベンチャー・ビルダー事業は、従来社内で行っていたインキュベーションの仕組みを改良したもので、、社内外の人材によるスピンアウトを前提とした事業創出を進めていくという。具体的には、新規事業のアイデア発掘から立ち上げまでをデライト・ベンチャーズがDeNAとともに主体的に行い、外部投資家からの早期の資金調達を通じて事業のスピンアウトを目指す。スピンアウト後は、デライト・ベンチャーズは少数株主として支援することになる。

Delight Venture Investmentは、南場氏と渡辺氏の両氏がマネージングパートナーを務めるほか、アドバイザリーメンバーとしてDeNAフェローの川田尚吾氏、DeNAからスピンアウトしたミラティブ代表取締役の赤川隼一氏やSHOWROOM代表取締役CEOの前田裕二氏なども名を連ねる。そのほか、Salesforce Ventures代表の浅田慎二氏、DeNA出身でアカツキの共同創業者で代表取締役CEOを務める塩田元規氏もアドバイザリーメンバーだ。

DeNAのタクシー配車サービス「MOV」が大阪・京都で営業開始、神奈川ではAI探客を年内利用可能に

ディー・エヌ・エーは7月8日、同社が提供するタクシー配車サービス「MOV」の営業エリアを大阪府と京都府に広げた。兵庫県でも秋ごろにサービスを開始予定だ。

大阪府では、近鉄タクシー、国際興業大阪、新大阪タクシの3事業者と連携。大阪市域エリア(大阪・堺・東大阪・八尾・守口・門真・吹田・豊中の各市)、北摂エリア(池田・箕面・茨木・高槻・摂津の各市と島本町)、河南エリア(松原・藤井寺・柏原・羽曳野、富田林・河内長野・大阪狭山の各市と南河内郡の各町村)で利用可能になる。

京都府では、アオイグループ(アオイ自動車、ギオン自動車)、ぞうさんタクシーグループ(洛東タクシー、ホテルハイヤー)、比叡タクシー、帝産京都自動車、都タクシーグループ(都タクシー、西都交通、都大路タクシーの9事業者と提携。営業エリアは、京都市(右京区旧京北町地域を除く)、向日市、長岡京市、大山崎町、久御山町、八幡市、宇治市、城陽市、宇治田原町、井手町、和束町、精華町、木津川市、京田辺市、笠置町、南山城村となっている。

大阪と京都でのサービス開始に併せて、特別キャンペーンも実施する。キャンペーン期間は7月21日19時まで。具体的には、大阪市・京都市内で走行する「MOV」の特別ラッピングが施されたタクシーを見つけてTwitterに投稿すると、抽選で2名にタクシー1カ月無料クーポンが当たる。配車依頼したタクシーが特別ラッピングの車の場合は、タクシー料金が無料(大阪市内、京都市内の乗降のみ)になるほか、MOVオリジナルグッズがもらえる。さらに、MOVの公式Twitterアカウント(@mov_dena)をフォローしたうえで、同アカウントの固定ツイートをリツイートをすると、抽選で1000名に1000円ぶんのタクシー料金割引クーポンがもらえる。

神奈川県では、AIを活用してタクシーの需給予測をしながら経路をナビゲーションするシステム「AI探客ナビ」(仮称)を年内に提供開始する。AI探客ナビでは、運⾏中のタクシー⾞両から収集するプローブデータ(⾃動⾞が⾛⾏した位置や⾞速などの情報を⽤いて⽣成された道路交通情報)とタクシー需要に関連する各種データ(気象、公共交通機関の運⾏状況、イベント、商業施設などのPOI 情報、道路ネットワーク構造など)を解析し、乗務員をリアルタイムかつ個別に利用者が多い場所へ誘導する機能。

これまでは経験値や事前の情報収集が必要だった効率的な利用者の獲得を、AI探客ナビで実現できるわけだ。ちなみに神奈川県は、MOVが旧サービス名称である「タクベル」時代から営業エリアとしている地域だ。

そのほか同社は、東京都内で日清職人の「どん兵衛」コラボして注目を集めた「0円タクシー」のように、企業・店舗・行政など協力して新しい移動体験を創出するプロジェクト「PROJECT MOV」を今後も展開予定とのこと。

ディー・エヌ・エーが約100億円の新ファンド設立へ

ディー・エヌ・エーは5月10日、本日開催の取締役会において新たなファンドを設立することを決議したと発表した。

設立時期は今夏の予定で、出資総額は約100億円を想定しているとのこと。ジェネラルパートナー(無限責任組合員)はディー・エヌ・エーが新たに設立する子会社と、同社から独立した立場の個人複数名を組合員とする有限責任事業組合が担う計画。子会社の代表者は南場智子氏が務める。

投資対象は主に(1)ディー・エヌ・エーの社員をはじめとする社内外の独立起業支援、(2)スタートアップ企業に対する投資(プレシードからその後のフォローオンまで)の2つが軸だ。

ディー・エヌ・エーの2019年3月期決算説明会資料より抜粋

DeNAがSOMPOがカーシェアとマイカーリースの事業に本腰、「0円マイカー」の提供も

ディー・エヌ・エー(DeNA)とSOMPOホールディングスは2月28日、個人間カーシェア事業として「DeNA SOMPO Mobility」、マイカーリース事業として「DeNA SOMPO Carlife」の2社の合弁会社設立に関する合意書を締結した。

自家用車の年間稼働率は約3%というデータがあり、個人間でシェアすることで自家用車の高い維持費を軽減したいというニーズが高まっている背景から、DeNAでは個人間カーシェアサービス「Anyca」を2015年9月から展開。現在、会員数は20万人以上、登録車数7000台以上になるという。

一方で、個人間カーシェアサービスでは保険による「安心・安全」の担保が求められていたという。こうした背景からSOMPOホールディングスと合弁会社を設立して、個人間カーシェア市場の発展を目指していく。なお従来の「Anyca」の事業は2019年4月から「DeNA SOMPO Mobility」に引き継がれる。

近年、車を定額で一定期間手軽に所有できるマイカーリースが注目されていることから、こちらもSOMPOホールディングスで組み、2019年6月からマイカーリース事業を展開。最大の特徴は「DeNA SOMPO Carlife」でリースした車を「Anyca」でカーシェアする仕組みの提案とのこと。サブスクリプションとシェアリングの組み合わせで、マイカーの実質負担を軽減して車を気軽に持てる社会の実現を目指す。

SOMPOホールディングスが持つ保険販売網と約1300万件の自動車保険を通じた車とドライバーのデータ、インターネットとAIのテクノロジーを駆使した運営ノウハウを所持するDeNAの強みを生かし、新しい価値を提供していきたいとしている。

「DeNA SOMPO Mobility」が所有するレンタカー登録およびカーシェア受け渡し用機器の取り付けをした車を管理・カーシェアすることを条件に、一定回数は無料で利用できる「0円マイカー」の提供も予定。なお、駐車場代や一部費用などが自己負担となる。

DeNAのタクシー配車アプリ「MOV」 がタクシー無線・配車システムと2019年に連携

20181214_img01ディー・エヌ・エーは12月14日、2019年中に同社のタクシー配車アプリ「MOV」(モブ)と配車システムの連携を目指す計画を発表した。タクシーの配車システムなどを開発している、システムオリジン、⻄菱電機、JVCケンウッドとの共同開発となる。具体的には、システムオリジンの電話受付・配⾞システム「テレハイAVM」、⻄菱電機のタクシー配車システム「AMCOSS」、JVCケンウッドの配⾞システム「CABmee」とMOVが連携可能となる。

MOVは、ユーザーが配車を依頼するとタクシー車内の乗務員専用端末に配車依頼が直接かかる「アプリ連携方式」を採用しており、電話配車などで使っている無線機システムなどとは独立しているのが特徴。タクシー事業者は無線機システムの入れ替えタイミングなどの影響を 受けずに「MOV」を導入できる。さらに「MOV」はタクシーメーターと連携して実空車情報をリ アルタイムに反映可能なので、タクシー事業者は従来の電話配車と重複することなく追加の配車依頼を受けられるという。

今回の取り組みは、MOVと3社の無線機システムを連携させることで、MOVの乗務員専用タブレットでMOVアプリ経由と電話経由の配車依頼の一元管理を目指すもの。タクシー事業者は、既存の無線機システムと「MOV」の配車システムを併用できるほか、無線機システム用に必要な車載端末をMOVの乗務員専用タブレットに置き換えて導入コストが圧縮することも可能だ。タクシー乗務員は、電話配車とアプリ配車で別々の端末を操作する必要がなくなる。なお、MOV用乗務員専用タブレットについてはレンタル料がかかる見込みだ。

ゼロ円タクシーも登場!DeNAのタクシー配車サービス「MOV」始動

ディー・エヌ・エーは、新世代タクシーの配車アプリ「MOV」(モブ)のサービスを東京都内で開始した。そして、そのサービス第1弾として乗客の利用料金(迎車料金+運賃+有料道路通行料)が無料になる「0円(ぜろえん)タクシー」の走行もスタートしている。

MOVの前身は「タクベル」で、神奈川県タクシー協会の協力のもと、2018年4月に横浜、川崎エリアでサービスを開始。同県内で提供エリアと提携タクシー会社を拡大してきたが、東京都内への進出を機にサービス名をMOVに変更した。

「0円タクシー」は、契約スポンサーと「MOV」の広告宣伝費によって乗客が支払う利用料金を無料にするフリービジネスモデル。スポンサーは、「MOV」で配車できるタクシーの車体ラッピングや、車内での自社商品、サービスの宣伝などが可能になる。乗客は無料でタクシーを利用できるだけでなく、スポンサーの新商品や新サービスなどの情報をいち早く入手、体験できるのも特徴だ。

「0円タクシー」の初回スポンサーは、日清食品の「日清のどん兵衛」に決定。都内の対象エリアで50台の運行を順次開始するという。車内の専用タブレットでは日清食品がこの冬新しく提案する「日清のどん兵衛 天ぷらそば」にたまごを入れてさらにおいしくする「ツキを『招く』月見そば」の プロモーション動画が流れる。

「MOV」アプリを起動すると、周辺を空車で走行中の「0円タクシー」のアイコンが表示され、タクシー会社選択画面から「0円タクシー by 日清のどん兵衛」を選択することで利用可能だ。なお12月26日から31日までの期間限定で「0円タクシー by 日清のど ん兵衛」に乗車すると「日清のどん兵衛 天ぷらそば」がプレゼントされる。

配車可能エリアは、東京・渋谷区、新宿区、港区、中央区、千代田区付近で、運行可能エリアは東京23区全域。運行時間は7時から22時、運行期間は12月31日のまでとなる。なお、アプリ経由以外では「0円タクシー by 日清のどん兵衛」には乗車できないので注意。

MOVとしては、2019年2月からはタクシー車内の乗客向けて後部座席にタブレットを設置。将来的には「MOV」で配車をしたユーザーだけでなく、QRコード決済機能や最適なコンテンツを配信するための性別・年代推定機能、提供コンテンツ拡充などを実施予定とのこと。

さらに今後、AIを活用してタクシーの需給予測をしながら経路をナビゲーションするシステム「AI探客ナビ(仮称)」も導入予定とのこと。運行中のタクシー車両から収集するプローブデータ(自動車が走行した位置や車速などの情報を用いて生成された道路交通情報)とタクシー需要に関連する各種データ(気象、公共交通機関の運行状況、イベント、商業施設などのPOI 情報、道路ネットワーク構造など)を解析し、乗務員をリアルタイムかつ個別にユーザーが待つ通りまで誘導する仕組みだ。タクシーの運転手は目的地入力をすることなく、この「AI探客ナビ(仮称)」に従って走行することで、効率的に乗客を探せるという。

DeNAがタクシー配車アプリ「タクベル」を横浜・川崎で提供開始、AI活用の需要予測システムも予定

DeNAは4月19日、神奈川県タクシー協会と共同でAI活用のタクシー配車アプリ「タクベル」の提供を横浜・川崎エリアにて開始した。

今後対象エリアを順次拡大する予定で、まずは今夏から神奈川県全域で展開を始める。タクベルは神奈川県タクシー協会の推奨アプリに採択。神奈川県内の約半数のタクシー事業者の導入が決定しているという。

タクベルは全車両でネット決済に対応したタクシー配車アプリ。予想到着時間を確認した上で配車依頼ができるほか、周辺を走る空車タクシーの情報をリアルタイムに把握したい際にも活用できる。乗務員とのメッセージ機能や、双方が現在地を確認できる機能も搭載。事前のカード決済にも対応し、スムーズな乗車体験を提供する。

事業者横断で配車依頼ができ、特定のタクシー会社を指定することも可能だ。

タクベルにはAIを活用した需要予測システムも導入する予定。このシステムでは走行位置や車速など「運行中のタクシー車両から収集するデータ」と、気象や公共交通機関の運行状況、イベントなど「タクシー需要に関連する各種データ」を解析。乗務員へリアルタイムかつ個別に走行ルートを推薦する。

以前TechCrunchでも紹介したように、2017年9月から10月まで横浜市の一部地域にて実証実験を実施。単に需要を予測するだけでなく、周囲の空車車両の状況なども加味した上で流し営業での走行ルートを提案するなど、実験の結果を踏まえた機能改善を行っていくという。

今後はこの「流し走行ルートの車両個別推薦」の実用実験を2018年に実施する予定。2019年には新人乗務員でもすぐに平均以上の収益があげられる状況の実現を目標に掲げる。機能面では駅からの乗車が中心となるエリアへの需要予測システム、供給最適化機能の追加を予定。

DeNAでは「『タクベル』は、2018年秋以降の全国展開を目指し、2020年には配車回数国内ナンバーワンを目指します。また、タクシー会社との連携を強化し、労働力不足などのタクシー会社が抱える課題の解決に貢献していきます」としている。

2018年は国内でもタクシー×テクノロジー領域のニュースが多い。AIを活用した需要予測についても、3月に「全国タクシー」を提供するJapanTaxiがトヨタ、KDDI、アクセンチュアと共同でシステムの開発、都内での試験導入を開始した。またソニーもタクシー会社6社とタッグを組み、配車サービスを展開する新会社を2018年春に設立する方針を発表。需要予測などにAI技術を活用するとしている。

日産とDeNAが次世代交通サービス「Easy Ride」の実証実験へ、無人運転車両を活用

日産自動車とディー・エヌ・エー(DeNA)は2月23日、無人運転車両を活用した交通サービス「Easy Ride(イージーライド)」の実証実験を3月5日から開始することを明らかにした。一般モニター約300組が参加する予定だ。

「いつでも誰でも、好きな場所から行きたい場所へ、もっと自由な移動を実現する交通サービス」をテーマに掲げるEasy Ride。今回の実験では、モニターが自動運転技術を搭載した実験車両に乗車。日産グローバル本社から横浜ワールドポーターズまでの合計約4.5Kmのコースを往復運行する。

Easy Rideでは目的地をモバイルアプリで設定するが、行きたい場所を直接指定する以外の手段も実現。「やりたいこと」をテキストや音声で入力し、表示されたおすすめの候補地から選ぶこともできるという。

乗車中にも走行ルート周辺のおすすめスポット、最新のイベント情報など約500件の情報を車載タブレットに表示。店舗で使えるクーポンを40件用意するなど、従来とは違う新しい乗車体験を提供していく。

また安心して乗車できるように、走行中の車両の状態をリアルタイムで把握できる遠隔管制センターを設置。両社の先進技術を合わせたシステムによる遠隔管制のテストも実施する。

両社では実証実験終了後に無人運転環境でのサービスの検討や運行ルートの拡充、有人車両との混合交通下での最適な車両配備ロジックや乗降フローの確立、多言語対応などの検証を進める方針。

限定された環境から始めて、2020年代早期には本格的なサービス提供を目指すとしている。

DeNAからタクシー配車アプリが登場——横浜の限定エリアで実用実験、AI活用で需給予測も

自動運転バスや宅配便の自動運転プロジェクト「ロボネコヤマト」など、自動車関連テクノロジーの開発にも積極的に乗り出しているDeNA。2017年1月には「ロボットタクシー」をともに手がけていたZMPとの業務提携を解消したものの、同時に日産と自動運転車両の交通サービスのプラットフォーム開発を発表しており、自動車に関するサービスやソリューションを提供する事業を進めている。

そのDeNAが、今度はAIを活用したタクシーの配車アプリ「タクベル」の実用実験を開始する。この実験は横浜市と神奈川県タクシー協会との協力によるもので、横浜市の中区、西区およびJR横浜線沿線の東神奈川~長津田周辺の限定エリアを対象に、9月12日から10月31日まで実施される。実験中は、専用端末を搭載したタクシー約200台(1日に走行する車両は100台程度)が走行。DeNAは、神奈川県内では2018年1月以降での実用化を目指しており、神奈川県以外の地域へも順次導入を進めたい考えだ。

タクシーの配車アプリといえば、日本交通の子会社JapanTaxiが提供する「全国タクシー」が先行している分野だ。全国タクシーは6月の時点で、ダウンロード数が300万件を突破。エリアは47都道府県をカバーし、全国のタクシー台数の5分の1以上に対応している。また決済手段も増えていて、事前のネット決済のほかに、ウォレット機能による乗車中の支払いも可能だ。

後発となるタクベルでは、指定場所へのタクシーの配車依頼や、周辺を走行中のタクシーを表示する機能など、既存の配車アプリに搭載されている機能に加え、迎車地点で乗客と乗務員が効率よく出会えるよう、お互いの現在地を確認できる機能や、定型メッセージを送り合える機能が備わっている。決済は事前に登録したクレジットカードを利用するネット決済と車内決済を選択することが可能だ。

さらに、タクベルではAIを活用した「需給予測システム」が導入される予定だ。この需給予測システムは、運行中の車両から収集するビッグデータと、タクシー需要に関連する各種データを解析し、乗務員にリアルタイムに需給予測情報を提供するという。

タクベルは、iOSのみでの提供を予定。9月12日16時以降、こちらからアプリのダウンロードが可能になる。ダウンロードは無料。

DeNAでは、タクベルの提供により「将来的にはタクシーと乗客のマッチングを効率化し、乗りたい時により早くタクシーが見つかる環境を目指す」「タクシーの新たな需要を掘り起こすことにより、更なる深刻化が想定されるタクシー乗務員の労働力不足の課題解決に貢献したい」としている。

DeNAのメディア事業再起か―、小学館と事業創出に向けた基本合意を締結

昨年12月、WELQに端を発したキュレーションメディアの問題が記憶に新しいDeNAだが、デジタルメディア領域での再起の道を検討し始めたようだ。本日、DeNAは小学館と共同でデジタルメディア事業を検討するための基本合意を締結したと発表した。

この基本合意では、DeNAと小学館の両社でデジタルメディア事業の創出と運営を検討し、編集体制や記事作成フローの研究を行うという。DeNAはプレスリリースで以下のように発表した。

新規にデジタルメディア事業を創出・運営することについて共同で検討を開始します。検討においては、両社でデジタルメディアのあり方一般について、編集体制、記事内容のチェックなどを含む記事作成フローの研究を進めていきます。

また、DeNAが多くのサービス開発・運営で得たノウハウや、小学館のもつ編集に関するノウハウを双方のサービスに活用することも視野に入れてまいります。

このリリースにも記されているが、DeNAのキュレーションサイト問題で問題となったのは編集と記事作成の体制だった。特にヘルスケア情報のキュレーションサイトWELQはクラウドソースサービスなどで大量に記事作成を発注し、健康に関わる重要な情報にも関わらず、記事の品質を担保していなかった。そして記事のSEO対策により、低品質な記事が検索エンジンの上位に表示されたことで、ユーザーに誤った情報を提供していたことが騒動の発端となった。

2017年3月にDeNAがWELQ問題に関する記者会見を開いた時、同社の代表取締役会長を務める南場智子氏は「(キュレーション事業を)同じ形で再開することはあり得ず、どのような形であればありえるのか。メディア型にしても、編集体制、校閲体制、教育体制など社外の専門家に話を聞くと、非常に奥が深く、経験のない我々が形だけ整えてできるものではない」と発言している。同じ過ちを繰り返さないためにも、今回は老舗出版社と手を組み、新たなデジタルメディアのあり方を模索するつもりのようだ。

今回のDeNAのプレスリリースには「本件を踏まえたDeNAによるデジタルメディア事業の実施有無については現在未定です」とあり、具体的な話はまだ決まっていないそうだ。DeNAの広報担当者も「両社の強みは異なり、検討内容や検討する時期などに関してもこれから洗い出す段階です」と話している。

宅配×自動運転の実現に向け、DeNAとヤマト運輸が「ロボネコヤマト」プロジェクトの実験を開始

日本でも、自動運転技術の実用化に向けた動きがいくつか始まっている。ソフトバンクとヤフーは自動運転バスの実用化を目指して準備を進めているし、DeNAはフランスのEasyMile社が開発した自動運転バスを使って、幕張のイオンモールでシャトルバスの運行を始めている

そして4月17日、DeNAの新たな自動運転プロジェクトの実用実験が始まった。ヤマト運輸と共同で2016年7月から進められてきた「ロボネコヤマト」プロジェクトでは、自動運転社会の“新しい荷物の受け取り方”を検証するため、国家戦略特区である神奈川県藤沢市の一部のエリアを対象に、2つのサービスを開始する。

 提供されるのはオンデマンド配送サービス「ロボネコデリバリー」と、買い物代行サービス「ロボネコストア」の2サービスで、実用実験の期間は2018年3月末までの約1年間だ。実験では、車内に宅配ボックスのような保管ボックスを設置した、専用の電気自動車をサービスに使用する。

ロボネコデリバリーは届け先を自宅だけでなく、対象エリア内の駅や会社、公園やカフェなどにも指定できて、配送時間を10分刻みで選択できるオンデマンド配送サービス。荷物の到着直前にスマートフォンなどに自動音声で到着を通知してくれる。指定場所に到着した荷物は、車内の保管ボックスを二次元コードか暗証番号で開け、顧客が自分で取り出すしくみだ。配送対応時間は通常の宅急便と同じ8時〜21時で、対象エリアに居住する「クロネコメンバーズ」会員であれば、特別な料金は不要で利用することができる。

二次元コードをかざすか、暗証番号でボックスを開ける

もう1つのサービスであるロボネコストアは、対象エリア近辺のスーパーや商店の商品をインターネットの仮想モールで購入すると、まとめて運んでもらうことができる買い物代行サービス。ロボネコデリバリーと同様に、指定場所・時間に到着した荷物は顧客が自分で取り出す。冷蔵・冷凍品にも対応しており、加盟店舗の営業時間に応じて最大8時〜21時の間で配達してくれる。実用実験期間中は注文1回で3000円以上の購入なら利用料は無料、3000円未満の場合は324円の利用料がかかる(金額は全て税込)。商店は本鵠沼商店街、鵠沼海岸商店街、プチモールひがし海岸などの商店街を中心とした約20店舗が対象となる予定だ。

DeNAとヤマト運輸では、ロボネコヤマトプロジェクトについて「物流と最先端ITとの融合でもっと自由な生活スタイルを実現する」ものと説明。「自由な生活スタイルを実現するサービスとは、『自動運転技術』と『自動運転技術を活用したサービス』の双方の発展と実現」であるとしている。また「多様化するニーズに減少していくと思われる労働力で対応するには、新しいテクノロジーが必須である」と自動運転技術を活用したサービスの狙いについて述べている。

自動運転社会における物流サービスのあり方を想定した実験ではあるが、原則としてドライバーによる有人運転を実施。ただしドライバーは荷物の発送・受け取りには関与せず、セルフサービスでの荷物受け取り体験にともなう顧客の要望などを集めていくという。また2018年をめどに、一部の配送区間での自動運転導入も予定しているそうだ。

公開停止中のDeNA「MERY」に新代表が就任——再開の可能性を模索

ディー・エヌ・エー(DeNA)が手がけていたキュレーションメディアの1つ、「WELQ(ウェルク)」の不正確な医療情報や制作体制に端を発した問題は、3月13日に第三者委員会による調査報告書の内容と、関係者の処分(WELQを含むDeNA Palette事業の統括であり執行役員メディア統括部長兼Palette事業推進統括部長の村田マリ氏が辞任意向(子会社iemoおよびFind Travel含む)を表明、女性向けメディア「MERY」運営のペロリ代表取締役の中川綾太郎氏が辞任。その他社員25人を含む合計30人の処分)が発表されたことで、ひとまず収束に向かっているようだ。

もちろん不正確、もしくは誤った情報で被害を受けた読者への補償をはじめとして、まだまだ関係者の抱える課題は少なくない。最近ではDeNAは謝罪広告も展開している。

あるサイトに掲載されたDeNAの謝罪広告

だがDeNA Paletteの今後については、調査報告書が発表された際の記者会見でDeNA創業者・代表取締役会長兼執行役員の南場智子氏が「事業の継続に関しては全く目処が立っておらず白紙」「この3カ月間、事業として継続することが可能か、また再開ありきではなく、どのような形であれば、問題を起こさないサービスになるか検討は進めてきた」「同じ形で再開することはあり得ず、どのような形であればありえるのか」といったコメントをしていたとおりで、直近に再開する予定はないとしていた。

そんな中、MERYを運営するペロリの新代表に、4月より元アイ・エム・ジェイ(IMJ)執行役員CMOの江端浩人氏が就任する予定であることがTechCrunch Japanの取材で明らかになった。

江端氏は伊藤忠商事などを経て2005年に日本コカ・コーラに入社。2012年9月より日本マイクロソフトの業務執行役員セントラルマーケティング本部長に就任。2014年11月よりIMJの執行役員CMOに就任していた。IMJのサイト上では、まさにDeNAの会見があった3月13日に「江端氏が2017年3月31日をもって一身上の都合により退任する」という発表がされていた。同氏は日本コカ・コーラ時代に会員数約1200万人、月間約10億ページビューまで成長した会員制サイト「コカ・コーラ パーク」(2016年10月にサービス終了。とはいえ2007年6月にスタートし、オウンドメディアの一時代を築いたサービスだ)を立ち上げるなど、デジタルマーケティング業界に明るい人物だ。

こんな話を聞くと「DeNAはMERYをすぐ復活させる気なのか」と思う人もいるかも知れないが、DeNA広報部ではこの人事を認めた上で、「あくまで再開については白紙。事業再開の可能性を含めて検討できる人物に全権を委ねた」としている。僕が業界関係者から聞いたところでも、実際今日明日の再開計画があるわけではないようだ。

DeNAは広告やマーケティングといった領域で知見のある「大人」に事業継続の可否までを委ねることで、社外とのコミュニケーションも含めて交通整理をしていくということだ。MERYの再開は未定だが、スタートアップとして運営してきたペロリ社が大きく変わることは間違いない。

DeNA南場氏「キュレーションメディアの再開は全くの白紙」、WELQ問題でDeNAが会見

ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)は3月13日、医療・ヘルスケア情報のキュレーションメディア「WELQ(ウェルク)」の不正確な医療情報や制作体制に端を発した一連の騒動の第三者委員会による調査報告書(全文要約版)を受領したことに加えて、関係者の処分などを含む今後の体制について発表した。(これまでの経緯は以下参照)

信頼性なき医療メディア「WELQ」に揺れるDeNA、MERYを除く全キュレーションメディアを非公開に

DeNA守安氏「認識が甘かった」——WELQに端を発したキュレーションメディアの大騒動

■追記あり■DeNA、ファッション系キュレーションメディアの「MERY」も12月7日より全記事非公開に

「心より深くおわび」WELQを契機にした“キュレーション問題”でDeNAが謝罪

TechCrunch Japanでも第三者委員会の調査報告書の概要について報じたが、発表に合わせて同日、東京・渋谷にて第三者委員会およびDeNAによる記者会見が開かれた。冒頭、第三者員会の会見では、第三者委員会委員長の名取勝也弁護士、委員の西川元啓弁護士、岡村久道弁護士、沖田美恵子弁護士が出席した。会見では名取氏の口から第三者委員会の調査報告書の概要が語られたのち、DeNAの会見が行われた。

事業の定義が曖昧、管理体制が不十分だった

DeNAの会見にはDeNA代表取締役CEOの守安功氏のほかDeNAの創業者であり代表取締役会長兼執行役員の南場智子氏(3月13日より代表に復帰)、DeNA執行役員経営企画本部長の小林賢治氏の3人が出席。

冒頭、守安氏の口から「当社、キュレーション事業における一連の騒動により、ご迷惑をお掛けしたみなさまに深くお詫び申し上げます。誠に申し訳ありませんでした」(守安氏)と謝罪し、改めて騒動の経緯とついて見解を述べた。

今回の騒動が起きてしまった原因はどこにあるのか? 守安氏はその原因は3点に集約されると語った。

1. 事業において最も大切な利用者への本質的な価値、世の中への貢献が考えられていなかった
2. キュレーションメディア事業の定義、理解が曖昧なままだった
3. 問題を早期に発見、チェックする管理体制が不十分だった

こうした事実を踏まえ、今後はチェック、管理体制を導入するだけでなく、守安氏を含めた経営陣を筆頭に全従業員の徹底的な意識改革を行っていくとしている。具体的には、カスタマーサービスや運営に届いていることをチェックし事業運営に反映していくだけでなく、新規事業などにおいては、社外の有識者の方からアドバイスをもらうなど、客観的な視点を交えて正しい事業運営がされているかを議論していくそうだ。

「この3カ月間、社内外の多くの方からさまざまな声をいただきました。その中でも『DeNAは儲け主義だよね。だから、こうした問題が起きるんだよ』といった声は本当につらかったですし、深く反省しました。今後はユーザーへの提供価値、世の中にどういった貢献をしていくのか、を事業推進の中枢に据え、全ての意思決定、行動を変えていいきたいと思っています」(守安氏)

また、3月13日開催の取締役会において、取締役会長から代表取締役会長兼執行役員となった南場氏は、「この度は一連の問題により、ご迷惑をお掛けしたみなさんに心から深くお詫び申し上げます。私自身も会長として十分にチェック&バランスの役割を行えなかったことを戒め、今後は私も代表取締役として強い決意を持って守安とともに会社全体の変革に取り組んでいきます」(南場氏)と語り、守安氏と代表取締役2人体制でコンプライアンスや管理体制の強化を図っていくとした。

キュレーションメディアの再開予定は白紙

また、記者会見では質疑応答も行われた。その一部の内容をお伝えする。

— 今回の騒動の根本的な問題は何だったのでしょうか?

守安氏:先ほどと少し被ってしまいますが、キュレーション事業自体、どんな価値をユーザーに提供していくのか、そしてそれが社会的にどういった意義をもたらすのかが徹底的に議論されていなかった。それ故に事業運営がちぐはぐになってしまったと思います。また、企業買収からPMI( Post Merger Integration:合併後の統合)、そして事業拡大とフェーズが進むにつれて“攻めの体制”は出来上がっていたのですが、“守りの体制”が出来上がっていなかった。そのため、このような騒動が起きてしまったのかな、と思います。

— 南場さんにお伺いしたいのですが、キュレーション事業は今後も続けていく予定はあるのでしょうか?仮に続けていくとするならば、事業と柱の1つとして考えますか?

南場:キュレーション事業の継続に関しては全く目処が立っていません。白紙です。この3カ月間、事業として継続することが可能か、また再開ありきではなく、どのような形であれば、問題を起こさないサービスになるか検討は進めてきました。事実として、多くのユーザーが楽しんでいたサービスもありますたし、「復旧をしないのか?」という声もたくさんいただきました。サービス事業者としてはすごくありがたいですし、バーティカルに情報を提供するサービスへのニーズはあるな、と思いました。

ただし、同じ形で再開することはあり得ず、どのような形であればありえるのか。メディア型にしても、編集体制、校閲体制、教育体制など社外の専門家に話を聞くと、非常に奥が深く、経験のない我々が形だけ整えてできるものではない。そのため全く再開の目処が立っていない。いわんや、収益の柱などとするのはあり得ません。

— また南場さんが代表取締役に戻られましたが、具体的に何が変わるのでしょうか?

南場:「DeNAイコール創業社長」のイメージが強くなってしまうのを避けるため、これまでは「社会の公器として発展させていきたい」という思いから若い世代にバトンタッチすること、最終的な意思決定者をはっきりさせるために代表取締役は1人にすることを重視してきましたが、そのような形にこだわってはいられない事態になってきた。この問題は私も会長という立場でありながら見過ごしてしまった。代表取締役に戻ったからといって問題が解決するわけではありませんが、守安と力を合わせて複眼的に意思決定を行っていきたいと思います。

守安氏、事業責任者2人の責任の違いは?

— 事業責任者の対応について、村田マリさん(執行役員メディア統括部長兼Palette事業推進統括部長)は辞任意向、中川綾太郎氏(ペロリ代表取締役)は辞任となっていますが、この違いは何でしょうか?

守安:辞任意向と辞任の違いに関してですが、書類としてもらっているか、メールベースでもらっているかの差です。村田マリは海外在住ということもあって、メールでのやり取りが基本なので違いが出ています。

— 今回、事業担当者の2人に関しては厳しい対応をとられていると思うのですが、一方で大企業として本来、買収した会社を社会の公器として導くことも重要だったんじゃないかな、と思います。そもそも、DeNA自体がベンチャーの雄として成長されてきたことも踏まえて、会社の代表の責任について守安さんと南場さんにお伺いしたいです。

守安:この3カ月間、私自身すごく反省しましたし、いろいろ悩みました。これだけ大きな社会問題となり、さまざまな方にご迷惑をお掛けしてしまったことを自分が先頭に立ってリカバリーしていきたい。その思いはずっと持ち続けていた一方で、自分が先頭に立ってやっていくのはベストなのかは迷い、南場にも相談しました。また取締役会でもたくさん議論を重ねた結果、この決定に至りました。

南場:守安が申した通り、私にも相談されましたし、私自身も今後のDeNAを作っていくにはどうやっていくのが一番良いのか、随分と悩みました。もちろん守安が代表取締役社長として継続するのが良いことなのかどうか、取締役会でも重点的に議論を重ねました。本件に関して、守安は事業を推進する立場として責任は重いけれど、違法である実態を認識した時点で自制するように指示を適切にしたこと、他の事業に対する責任を全うする必要性があることから、守安を除く全員一致の見解で継続してやってもらうことになりました。過去どうだったかよりも、今後のDeNAを作っていくことが大事ですので、そういう意味では代表取締役の2人は厳しく監視されることになります。

— 失礼な言い方になるかもしれませんが、今回の対応はベンチャーの尻尾切りをしているような感じもします。かつてベンチャーの創業者だった南場さんは、その点どのようにお考えでしょうか?

南場:キュレーション事業において、相当なコンプライアンス違反があったことについては直接の事業責任者の責任は重い。そこを甘くなってしまっては、今後のDeNAは作れない、というも思いから取締役会の総意で今回の決断に至りました。この2人の事業責任者は一生懸命、誠心誠意、事業に打ち込んでいましたし、このような事態になった後も第三者委員会の調査にも誠実に協力してくれた。なにか悪徳なことを企んでいる2人ではありません。そういう意味では、有能な2人の若者を正しく導けなかったDeNAの責任は重いと捉えています。これはずっと私たちが背負っていかなければいけないことだと思っています。

— 代表取締役を辞任後、2人はDeNAに籍は残るのでしょうか?もし残る場合は、どこの所属になるのでしょうか?

守安:両名とも籍に関しては、DeNA本体の人事付けになります。今後、どういった役割を担ってもらうかは現時点で未定です。

「法令上違反の可能性、倫理的にも問題」DeNAがWELQ問題の第三者委員会の調査報告書を公表

医療・ヘルスケア情報のキュレーションメディア「WELQ(ウェルク)」の不正確な医療情報や制作体制に端を発した「WELQ問題」の一端がこれで解決するのだろうか。ディー・エヌ・エー(DeNA)は3月13日、この騒動の第三者委員会による調査報告書(全文要約版)を受領したことに加えて、関係者の処分などを含む今後の体制について発表した。

※これまでの経緯は以下の記事を参考してほしい。

信頼性なき医療メディア「WELQ」に揺れるDeNA、MERYを除く全キュレーションメディアを非公開に

DeNA守安氏「認識が甘かった」——WELQに端を発したキュレーションメディアの大騒動

■追記あり■DeNA、ファッション系キュレーションメディアの「MERY」も12月7日より全記事非公開に

「心より深くおわび」WELQを契機にした“キュレーション問題”でDeNAが謝罪

代表は南場・守安両氏の2人体制に、村田マリ氏は辞意を表明

まず先に関係者の処分についてお伝えすると、DeNA代表取締役兼CEOの守安功氏はすでに月額報酬の30%を6カ月間減額すると2016年12月時点に発表しているが、これを月額報酬の50%を6カ月間に減給変更。事業を統括していた執行役員メディア統括部長兼Palette事業推進統括部長の村田マリ氏は、就業規則に基づく処分を行ったことに加えて、3月12日付けで執行役員のほか、子会社iemoとFind Travelの代表取締役を辞任する意向を表明しているという。

またMERYを運営していたペロリ代表取締役の中川綾太郎氏も3月12日付けで代表取締役を辞任した。加えて、執行役員で前経営企画本部長の柴田大介氏、執行役員経営企画本部長の小林賢治氏ほか25人に関しても就業規則に基づく処分を行ったとしている。

加えて、3月13日開催の取締役会において、DeNA創業者で取締役会長の南場智子氏が代表取締役会長兼執行役員となり、代表取締役2人体制でコンプライアンスや管理体制の強化をするとしている。

厳しい第三者委員会の調査報告書

さて肝心の調査報告書だが、要約版でも34ページに渡る内容となっているのでさらにまとめると次の通りだ。委員会は2016年12月から合計26回開催。ヒアリング調査は134回97人に対して実施した。

キュレーション事業の法令上の問題について

・サンプルにしたのは10サイト37万6671件の記事。このうち複製権および翻案権侵害の可能性のある記事は1.9〜5.6%。これらの一部の記事については同時に公衆送信権侵害、同一性保持権侵害、氏名表示権侵害の可能性があった。

・掲載されていた画像472万4571点のうち72万7643点については、個別許諾されたものもあるが、公衆送信権侵害と氏名表示権侵害の可能性がある。

・WELQの記事19件についての調査では、薬機法(8件)、医療法(1件)、健康増進法(1件)に違反する可能性があった。

キュレーション事業の法令上以外の問題について

・WELQの記事の一部にはセンシティブなーマを扱う記事にアフィリエイト広告を掲載するのに際し不適切である。また医療に関する記事でユーザーに対する配慮を欠いた内容があったほか、医療に関する記事に医師の間でも見解に相違がある内容を安易に記載しているなど、倫理的にも問題があった。

・またキュレーション事業の10サイトには、文章自体には著作物性が認められないものの、他記事のコピー&ペーストがなされていると考えられるものや、出典が不明瞭で、引用方法として不適切であるものなど、倫理的に問題のある記事が掲載されていた。

・DeNAは、掲載していた記事の画像や文章の無断利用に関するクレームがあった場合、プロバイダ責任制限法の適用が受けられない場合であっても、プラットフォーム提供者としてプロバイダ責任制限法の適用が受けられるかのような対応をしていた。

DeNAは本日会見を開催し、本件の詳細を説明する予定だ。TechCrunchでも追ってお伝えしたい。

DeNAがキュレーション事業で38億円の減損処理、事業再開について「決まっていることはない」

DeNA代表取締役社長兼CEOの守安功氏

DeNA代表取締役社長兼CEOの守安功氏

2016年末に医療系キュレーションメディア「WELQ」を契機にした騒動を巻き起こしたディー・エヌ・エー(DeNA)。2月8日に開かれた2017年度第3四半期(3Q:4〜12月)の決算説明会の冒頭で、DeNA代表取締役社長兼CEOの守安功氏はあらためてこの騒動に対して謝罪。サイト再開の可能性があるかどうかについて、「検討しているが決まっていることはない」とした。今後は3月を予定する第三者委員会の報告も踏まえて、アナウンスできることがあれば速やかに行うとしている。

DeNAの3Q累計決算(IFRS)は、売上収益が1087億2000万円(前年同期比0.0%増)、営業利益が186億6300万円(同27.1%増)、四半期最終利益が288億300万円(同244.5%増)となった。キュレーション事業については、現状で事業再開のめどが見えないとして、のれん代38億5900万円の減損損失を計上。同事業は2016度第1四半期〜第3四半期(4〜12月)で約17億円の営業赤字を計上しており、第4四半期については13億円弱の赤字になる見込みだという。また一方で欧米の海外子会社の清算に伴う諸経費22億円を計上。利益を押し上げた。

キュレーション事業の業績

キュレーション事業の業績

説明会の後半の質疑応答でも会場のアナリスト、メディアからキュレーション事業に関する質問があったため、その内容を中心にまとておこう。冒頭にもあったとおり、守安氏はキュレーション事業に関する第三者委員会の調査結果が出る3月、事業を再開するかどうか、その可否も含めて協議をしているという。

「再開するのであれば具体的にはどういうバリューがあればユーザーに受け入れられるか、運営として適切で、アウトプットで責任が持てるのか、世間的にも受け入れられるのか、事業としてみた場合に魅力的になるのかと総合的に判断していく」(守安氏)

またキュレーション事業の成長性自体が当初とズレてしまっているかという質問に対しては、「判断はまだ早い」(守安氏)として、再開の可否を話すタイミングで改めて説明するとした。

DeNAではWELQ騒動を受け、専用の相談窓口を立ち上げている。この窓口への相談件数は具体的に開示されなかったが、「総数では結構な数を頂いている」「実際の健康被害で言えば数件単位」「主張されたことが当社起因か分からないことがあるので個別で相談させて頂いている」(いずれもDeNA執行役員 経営企画本部長の小林賢治氏)という状況だという。

では、DeNAはWELQ騒動以後に変化があったのか? これについて守安氏は、「変わっている最中。変わっていこうとしている最中」と答えた。

「議論してるところ。(DeNAは)色んな事業を展開しているが、管理体制、コンプライアンスのあり方について十分かどうかや、やり方を考えている。また行動規範のあり方を見直す必要はあるのではないかと考えている。その中で経営体制なども、中長期で考えていこうとしている最中だ」(守安氏)

DeNAが自動運転でZMPとの提携を解消、新たに日産との協業が明らかに

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DeNAは本日、ロボットタクシーを共に手がけるZMPとの業務提携解消を発表した。ZMPはコンシューマ向けのロボットの開発・販売を手がける企業で、2015年5月にDeNAと合弁会社「ロボットタクシー」を設立した。ロボットタクシーでは、DeNAのネットサービス運営ノウハウとZMPの自動運転に関する技術を連携させ、自動運転車両による旅客運送事業を確立する計画だった。

解消の理由についてDeNAは「このたび、ロボットタクシーの運営方針の違いから、両社は別々の取組みを行うことが最善であるという考えに至り、業務提携を解消する運びとなりました」とリリースに記している。

ZMPは自動運転制御開発車両プラットフォーム「RoboCar」や車載コンピューターなどを開発する成長企業で、DeNAと業務提携を発表した頃から上場目前と噂されていた。実際2016年11月にはマザーズ市場への上場を発表したが、翌月にはインターネット上に一部顧客情報が流失したことにより、上場手続きの延期を発表している。

ZMP側のコメントは以下の通りだ。

このたび、ロボットタクシーの運営方針の違いから、両社は別々の取組みを行うことが最善であるという考えに至り、業務提携を解消する運びとなりました。

ロボットタクシーは、当社代表の谷口が「高齢者や子供たち、障害を持つ方など、運転ができない方々に移動手段を提供したい。交通弱者を交通楽者にしたい。」との想いから 2012 年に生み出した「ロボットタクシー」構想を実現するために設立した会社です。当社としましては、今後も「ロボットタクシー」構想を実現のため、新たな枠組みで尽力していく所存です。

ロボットタクシーでの合弁は解消したものの、DeNAは自動運転領域での攻勢をゆるめるつもりはないようだ。本日DeNAは新たに日産と自動運転車両の交通サービスプラットフォームの開発を発表した。年内には日産の自動運転車両を用いた実証実験を実施し、商業利用を目指すという。