ゼロ円タクシーも登場!DeNAのタクシー配車サービス「MOV」始動

ディー・エヌ・エーは、新世代タクシーの配車アプリ「MOV」(モブ)のサービスを東京都内で開始した。そして、そのサービス第1弾として乗客の利用料金(迎車料金+運賃+有料道路通行料)が無料になる「0円(ぜろえん)タクシー」の走行もスタートしている。

MOVの前身は「タクベル」で、神奈川県タクシー協会の協力のもと、2018年4月に横浜、川崎エリアでサービスを開始。同県内で提供エリアと提携タクシー会社を拡大してきたが、東京都内への進出を機にサービス名をMOVに変更した。

「0円タクシー」は、契約スポンサーと「MOV」の広告宣伝費によって乗客が支払う利用料金を無料にするフリービジネスモデル。スポンサーは、「MOV」で配車できるタクシーの車体ラッピングや、車内での自社商品、サービスの宣伝などが可能になる。乗客は無料でタクシーを利用できるだけでなく、スポンサーの新商品や新サービスなどの情報をいち早く入手、体験できるのも特徴だ。

「0円タクシー」の初回スポンサーは、日清食品の「日清のどん兵衛」に決定。都内の対象エリアで50台の運行を順次開始するという。車内の専用タブレットでは日清食品がこの冬新しく提案する「日清のどん兵衛 天ぷらそば」にたまごを入れてさらにおいしくする「ツキを『招く』月見そば」の プロモーション動画が流れる。

「MOV」アプリを起動すると、周辺を空車で走行中の「0円タクシー」のアイコンが表示され、タクシー会社選択画面から「0円タクシー by 日清のどん兵衛」を選択することで利用可能だ。なお12月26日から31日までの期間限定で「0円タクシー by 日清のど ん兵衛」に乗車すると「日清のどん兵衛 天ぷらそば」がプレゼントされる。

配車可能エリアは、東京・渋谷区、新宿区、港区、中央区、千代田区付近で、運行可能エリアは東京23区全域。運行時間は7時から22時、運行期間は12月31日のまでとなる。なお、アプリ経由以外では「0円タクシー by 日清のどん兵衛」には乗車できないので注意。

MOVとしては、2019年2月からはタクシー車内の乗客向けて後部座席にタブレットを設置。将来的には「MOV」で配車をしたユーザーだけでなく、QRコード決済機能や最適なコンテンツを配信するための性別・年代推定機能、提供コンテンツ拡充などを実施予定とのこと。

さらに今後、AIを活用してタクシーの需給予測をしながら経路をナビゲーションするシステム「AI探客ナビ(仮称)」も導入予定とのこと。運行中のタクシー車両から収集するプローブデータ(自動車が走行した位置や車速などの情報を用いて生成された道路交通情報)とタクシー需要に関連する各種データ(気象、公共交通機関の運行状況、イベント、商業施設などのPOI 情報、道路ネットワーク構造など)を解析し、乗務員をリアルタイムかつ個別にユーザーが待つ通りまで誘導する仕組みだ。タクシーの運転手は目的地入力をすることなく、この「AI探客ナビ(仮称)」に従って走行することで、効率的に乗客を探せるという。

DeNAがタクシー配車アプリ「タクベル」を横浜・川崎で提供開始、AI活用の需要予測システムも予定

DeNAは4月19日、神奈川県タクシー協会と共同でAI活用のタクシー配車アプリ「タクベル」の提供を横浜・川崎エリアにて開始した。

今後対象エリアを順次拡大する予定で、まずは今夏から神奈川県全域で展開を始める。タクベルは神奈川県タクシー協会の推奨アプリに採択。神奈川県内の約半数のタクシー事業者の導入が決定しているという。

タクベルは全車両でネット決済に対応したタクシー配車アプリ。予想到着時間を確認した上で配車依頼ができるほか、周辺を走る空車タクシーの情報をリアルタイムに把握したい際にも活用できる。乗務員とのメッセージ機能や、双方が現在地を確認できる機能も搭載。事前のカード決済にも対応し、スムーズな乗車体験を提供する。

事業者横断で配車依頼ができ、特定のタクシー会社を指定することも可能だ。

タクベルにはAIを活用した需要予測システムも導入する予定。このシステムでは走行位置や車速など「運行中のタクシー車両から収集するデータ」と、気象や公共交通機関の運行状況、イベントなど「タクシー需要に関連する各種データ」を解析。乗務員へリアルタイムかつ個別に走行ルートを推薦する。

以前TechCrunchでも紹介したように、2017年9月から10月まで横浜市の一部地域にて実証実験を実施。単に需要を予測するだけでなく、周囲の空車車両の状況なども加味した上で流し営業での走行ルートを提案するなど、実験の結果を踏まえた機能改善を行っていくという。

今後はこの「流し走行ルートの車両個別推薦」の実用実験を2018年に実施する予定。2019年には新人乗務員でもすぐに平均以上の収益があげられる状況の実現を目標に掲げる。機能面では駅からの乗車が中心となるエリアへの需要予測システム、供給最適化機能の追加を予定。

DeNAでは「『タクベル』は、2018年秋以降の全国展開を目指し、2020年には配車回数国内ナンバーワンを目指します。また、タクシー会社との連携を強化し、労働力不足などのタクシー会社が抱える課題の解決に貢献していきます」としている。

2018年は国内でもタクシー×テクノロジー領域のニュースが多い。AIを活用した需要予測についても、3月に「全国タクシー」を提供するJapanTaxiがトヨタ、KDDI、アクセンチュアと共同でシステムの開発、都内での試験導入を開始した。またソニーもタクシー会社6社とタッグを組み、配車サービスを展開する新会社を2018年春に設立する方針を発表。需要予測などにAI技術を活用するとしている。