グーグルのAI倫理研究チームの共同リーダーが部下宛のメールが原因で解雇されたと語る

倫理と人工知能の分野における研究や発言で注目を集めているTimnit Gebru(ティムニット・ゲブル)氏は、彼女の直属の部下に送信したメールのためにGoogle(グーグル)から解雇されたと語っている。ゲブル氏によると、グーグルが彼女を解雇したのは、彼女が部下に送った電子メールが原因であり、それに「グーグルのマネージャーに期待されていることと矛盾する行動」が反映されていたと、同社がいっているという。

グーグルのAI倫理チームの共同リーダーだったゲブル氏は、米国時間の12月2日夜、次のようにTwitter(ツイッター)に投稿した。それは全米労働関係委員会がグーグルに対し、従業員の監視と従業員の違法な解雇を主張して告発状を提出した直後のことだった。

グループの女性たちとメンバーに送ったメールが原因で、Jeff Dean(ジェフ・ディーン)に解雇されました。すでに私の会社のアカウントは無効になっています。即刻解雇されたということですね。

ゲブル氏によると、誰からもはっきりと解雇とはいわれていないが、上司から1通からメールが届いたそうだ。

「あなたの条件を明確にしてくださったことに感謝致します。あなたが求める1番と2番の条件に我々は同意できません。その結果としてグーグルを辞めるというあなたの決断を尊重し、あなたの辞職を受け入れます」。

そのメールは、ゲブル氏によると、「あなたが昨夜、AIグループの非管理職の従業員に送信したメールには、グーグルのマネージャーに期待されていることと矛盾する行動が反映されている部分があります」と続いていたという。

Casey Newton(ケイシー・ニュートン)氏が入手した(Platfomer記事)問題の電子メールには、ゲブル氏が「散々話し合った後」彼女が組織のやり方にどれほど失望させられたかということが論じられている。2020年、同社が雇用した女性は14%ほどに過ぎないと彼女は書いている。グーグルのAIチーム内で研究者たちを率いるSamy Bengio(サミー・ベンジオ)氏は39%の女性を雇用したが、彼にその意欲はなかったという理由を、ゲブル氏は指摘している。

何がいいたいかというと、文書を書いても意味がないから止めろということです。どこから来たのかわからない(そして会うこともない)DEI OKR、行き当たりばったりの議論、「私たちの進歩を妨げる有害な環境を止める必要がある」よりも「私たちにはもっとメンターシップが必要だ」、自分を犠牲にした絶え間ない戦いと教育、それらは重要ではありません。なぜなら、説明責任がゼロだからです。39%の女性を雇う意欲はありません。あなたの人生は、あなたが少数派の人々のために擁護を始めたとき、そしてあなたに良い評価を与えたくないリーダーを動揺させ始めたときに悪化します。これ以上の文書や会話が何かを達成することはありません。私たちがしたことは、感情的に憤りを露わにして黒人の研究を全社的に行っただけです。それからどうなったか知っていますか?最も本質的かつ可能なやり方で黙らせようとしているのです。

ゲブル氏のメールには、主流から外れた声を黙らせることの問題、彼女の専門的意見がどのように退けられてきたか、そして彼女がどれほどグーグルからガスライト(心理的嫌がらせ)を浴びたと感じているかについても言及されている。

我々はゲブル氏とグーグルの両方にコメントを求めている。

Bloombergが報じたように、ゲブル氏はテック業界における多様性の欠如や、テック業界の黒人が直面している不公平について率直に語ってきた。Bloombergによると、グーグルが他の労働者に声を上げてはいけないという合図を送るためにゲブル氏を解雇したと彼女は考えているという。

ゲブル氏は倫理と人工知能の分野で第一線で活躍する発言者だ。2018年、ゲブル氏はAlgorithmic Justice League(アルゴリズムにおける偏見の是正などに取り組む団体)の創設者であるJoy Buolamwini(ジョイ・ブオラムウィーニ)氏と共同で、顔認識システムにおける偏重の研究を行った。彼女らは、肌の色が明るい男性と肌の色が濃い女性では誤認率に高い格差があることを発見し、これらのシステムは肌の色が濃い人にはうまく機能しないという結論に至った。

ゲブル氏の発表以来、彼女は技術コミュニティの人々から絶大な支持を受けている。

グーグルはこの件に対するコメントを拒否したが、ゲブル氏の上司であるジェフ・ディーン氏からの社内メール(Platfomer記事)を指摘。そのメールの中でディーン氏は次のように述べている。

尊敬される研究者として、またAI倫理チームのマネージャーとしてのティムニットの役割を考えると、私はティムニットが私たちの仕事についてこのように感じるようになってしまったことを残念に思います。また、今週あなた方の中の何百人もの人々がティムニットから、重要なDEIプログラムの仕事を止めろと書かれたメールを受け取ったことも残念に思います。止めないでください。進捗のペースにフラストレーションが溜まっているのは理解していますが、私たちにはこれからも重要な仕事がありそれらに取り組む必要があるのです。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
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(翻訳:TechCrunch Japan)

欧州向けGoogle News Showcaseが有料記事を無料で読める取り組みを開始

Google News Showcaseの読者はまもなく有料記事を支払いなしで読めるようになる。

これはGoogle(グーグル)が米国時間12月2日にNews Showcaseに関して発表した内容(グーグルのブログ)のひとつだ。News ShowcaseはGoogle Newsの新しいフォーマットとして、グーグルがパブリッシャーに費用(当初発表された金額は10億ドル、約1050億円)を支払ってコンテンツのライセンスを受けるプログラムだ。Google News Showcaseはこれまでのところ、ドイツ、ブラジル、アルゼンチン、カナダ、フランス、英国、オーストラリアで提供されている。いくつかのケースで、グーグルがこれまでに法律や独占禁止法の問題に直面した市場だ。

グーグルは「News Showcaseユーザーに有料コンテンツへの限定的なアクセス」を提供するために、参加パブリッシャーに対し費用を支払うとしている。ただしユーザーは直接パブリッシャーに登録をする必要はある。これについてグーグルは、パブリッシャーとユーザーの関係を築くことができると述べている(Facebookも有料コンテンツの提供を実験している。こちらはFacebookアカウントをニュースの購読にリンクしている)。

News Showcaseのメインのフォーマットは基本的にストーリーのパネルで、グーグルはパブリッシャーが重要なストーリーを毎日選んで構成できる新しいパネルを導入すると説明している。こうしたパネルが、そのパブリッシャーをフォローしているユーザーに対して表示される。

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また、グーグルはNews Showcaseを読めるデバイスとチャネルを増やす。News ShowcaseはAndroid版のGoogle Newsでサービスを開始したが、iOSでも利用できるようになった。さらにnews.google.comのウェブサイトとDiscoverにも近々拡大する計画だ。さらに、2020年10月のサービス開始以降、パートナー数が倍増してこのプログラムに参加するパブリッシャーが400近くになったことも発表した。新たに加わったパブリッシャーには、フランスのLe Monde(ル・モンド)やCourrier International(クーリエ・アンテルナショナル)、L’Obs(ロブス)、Le Figaro(ル・フィガロ)、Libération(リベラシオン)、L’Express(レクスプレス)、さらにアルゼンチンのPágina12(パヒナ12)、La Gaceta(ラ・ガセタ)、El Día(エル・ディア)などがある。

グーグルは「2020年も終わりに近づき、News Showcaseの発展、そして世界中のパブリッシャーと読者の熱気を目の当たりにして勇気づけられる思いです。我々は今後もフィードバックを重視して取り入れながら機能を拡張しプロダクトを強化して、ニュースパートナーの今後の持続可能性に貢献していきます」と述べている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Google、Google News、メディア

画像クレジット:David Paul Morris/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

今冬AndroidにGoogleマップの簡単ルート検索やEmoji Kitchenなど6つの新機能追加

米国時間12月3日、Google(グーグル)は、この冬、Androidスマートフォンに6つの新機能が追加されれるアップデートがあると発表した。これによってGboard、Google Playブックス、Voice Access、Googleマップ、Android Auto、Nearby Shareといったアプリが改良される。

Androidスマートフォンは現在、毎年行われるOSのメジャーアップデート以外でも、数々の新機能が随時追加されている。今回のリリースはその最新のものだ。これらのアップデートでは、Androidの主な機能が最新版に更新されるわけではないかもしれないが、しかしより頻繁に、着実な改良が提供されている。

今冬のアップデートで、最も楽しいちょっとした機能の1つが、Gboardキーボードアプリに追加される「Emoji Kitchen」だ。ユーザーはお気に入りの絵文字を組み合わせて新しい絵文字を作り、それをシェアすることができる。グーグルによると、この機能が2020年初めに導入されて以来、ユーザーはこれまでに30億回以上も絵文字をリミックスしてきたという。今回のアップデートでその選択肢は広がり、デザインできる組み合わせは従来の数百から、1万4000以上に増えることになる。2つの絵文字をタップすると、それらを組み合わせた絵文字がいくつか提案されるので、その中から1つを選んで使用することができる。あるいは1つの絵文字をダブルタップすると、それをもとに「さらに感情を高めた」絵文字が提案されるという。

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このアップデートされた機能は、Gboardアプリのベータ版で配信されていたが、今後数週間のうちにAndroid 6.0以上の端末で使えるようになる予定だ。

そのほかGoogle Playブックスでは、オーディオブックの利用が広がるアップデートが施される。オーディオ版が提供されていない書籍でも、ナレーションが自動生成されるようになるのだ。グーグルは、Google Playブックスにこれらの自動ナレーション付き書籍を追加するため、米国と英国の出版社と協力したと述べている。この機能はいまのところベータ版だが、2021年初頭にはすべての出版社で展開される予定だという。

音声コマンドを使って携帯電話を操作できるアクセシビリティ機能「Voice Access」も改良される。今回のアップデートで、この機能は機械学習を活用し、スクリーン上の各アプリにインターフェースラベルを追加することが可能になる。ユーザーは追加された「戻る」や「詳細」などのボタンを参照し、音声でそれらを使ってナビゲートできる。

現在はベータ版となっているVoice Accessの新バージョンは、Android 6.0以上を搭載した世界中のすべてのデバイスで利用できるようになる。

Googleマップのアップデートでは、人々が最も利用しているアプリの1つに新機能が追加される。

新しい (おそらくWazeにインスパイアされた) 「Goタブ」を使うと、 ユーザーは頻繁に訪問している場所、たとえば学校や食料品店などを、1タップするだけでナビゲーションの目的地として設定できる。そこまでの道順や渋滞情報、通行止めなどの情報が表示され、実際の住所を入力しなくても正確な到着予定時刻がわかる。お気に入りの場所や、公共交通機関を使用するユーザーは特定のルートを「Go」タブに保存しておけば、簡単にアクセスできる。公共交通機関で乗り換えが必要な場合は、正確な発着時間、地元の鉄道会社やバス運行会社からのアラート、そして随時アップデートされる到着予定時刻を見ることができる。

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この新機能の便利な使い方としては、目的地への公共交通機関を使ったルートとドライブルートの両方をピン留めしておき、それぞれの到着予定時間を比較してより早いオプションを選択するという活用法も考えられるだろう。

この機能は、Android版だけでなくiOS版のGoogleマップにも、数週間以内に搭載される予定だ。

Android Autoは、今後数カ月間でより多くの国で利用可能になる予定だ。グーグルは当初、36カ国になると述べていたが、その後、予定が白紙に戻されたとして発表を訂正。現在は具体的な数字は挙げておらず、どこの国に導入されるということも明らかにしていない。楽しみにしていたユーザーは、今後のニュースに注目しながらしばらく待つ必要がありそうだ。

画像クレジット:Google

そして最後に紹介するアップデートは、携帯電話会社の電波やWi-Fiが使えない環境でも、近くにいるユーザー同士でリンク、ファイル、写真などを共有できる「Nearby Share」についてのもの。主に新興市場を念頭に置いて設計されているこの機能は、新たにユーザーが周囲の人とGoogle Playからアプリを共有できるようになる。

これを行うには、Google Playアプリを開いて「マイアプリ&ゲーム」に追加される「アプリの共有」メニューから、共有したいアプリを選択する。この機能は今後数週間で導入される予定だ。

これらの機能の中には、すでに導入が開始されるものもあるので、「数週間」というフレームより早く利用可能になるかもしれないが、進捗はそれぞれのアップデートによって異なる。

関連記事:GoogleのGboardキーボードのEmoji Kitchenで絵文字のマッシュアップができる

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:GoogleAndroidGoogle Playアプリスマートフォン

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(翻訳:TechCrunch Japan)

全米労働関係委員会がグーグルを従業員の監視やその他の労働違反で告発

団体交渉や不正労働行為などにおいて労働法の遵守を強制する政府機関であるNational Labor Relations Board(全米労働関係委員会、NLRB)は米国時間12月2日、2019年11月の数名の従業員の解雇について調べた結果、Google(グーグル)に対して告発状を出した。その告発では、グーグルが社員を監視し、また一般的に労働関係法7条に保証されている労働者の権利を実行した従業員を妨害、制限および強要したとしている。

またNLRBは、グーグルが「その従業員が組合やそのほかの労働者が保護される共同活動を形成、参加、援助することを妨げた」とその訴状で主張している。

解雇された同社社員の1人、Laurence Berland(ローレンス・バーランド)氏は声明で次のように述べている。「この訴状が明らかにしているのは、企業の倫理の問題や経営のあり方に関する発言権が労働者にあることだ。ひと握りのテクノロジー長者の権力が我々の生活と社会をコントロールしているとき、このことを見つけたことは重要だ。NLRBが確証しているように労働者には発言し、組織を作る権利があるが、経営陣がその社会で演じようとしている役割に関する倫理的懸念を我々が振り払うことはできないし、振り払うべきでもない」。

元グーグル社員のバーランド氏とKathryn Spiers(キャスリン・スパイアーズ)氏はこれより前に、国レベルの訴えをNLRBに提出していた(未訳記事)。その訴えは、グーグルは組織を作ろうとしたとして彼らを解雇したが、組合を作ることは保護された活動だと主張している。彼らはさまざまなテーマに関して組織を作ろうとした。臨時労働者や派遣労働者、契約社員などに対するグーグルの待遇、組織を作ろうとした社員に対する報復、同社が不法移民の阻止で悪名高い関税国境取締局の仕事をしていることなどだ。

また2019年の11月にグーグルは、Rebecca Rivers(レベッカ・リバーズ)氏とバーランド氏を、会社のポリシーに違反したとして休職扱いにした。当時グーグルは、彼らは自分の仕事に関係のない秘密文書を検索、共有し、一部のスタッフの個人的なカレンダーを見たと述べていた。2人を支持する抗議活動の後、リバーズ氏とバーランド氏、Paul Duke(ポール・デューク)氏、そしてSophie Waldman(ソフィー・ウォルドマン)氏は解雇されている。

グーグルの広報担当者はTechCrunch宛の声明で次のように述べている。「グーグルは何でも社内で議論する企業文化を支持しており、社員には絶大なる信頼を置いている。もちろん社員には労働者としての保護された権利があり、私たちもそれを強力に支持しているが、それと同時に情報のセキュリティも真剣に重視している。私たちの決定と法的立場については、それらが正しいという確信がある。問題の事案で社員たちがとった行為は、私たちのポリシーへの重大な違反であり、信頼して委ねている責任の受け入れがたい侵犯である」。

この直前にNLRBは、グーグルの受託企業であるHCLに対して公式の訴状を出している(VICE記事)。そこで同社は、組合を作った労働者の権利を何度も踏みにじったとしている。今後についてバーランド氏とスパイアーズ氏は、NLRBの訴追によりグーグルが復職と損害賠償を受け入れることを期待している。ただしこの訴えの次のステップは、行政審判官による調査と聴聞に応じることだ。

カテゴリー:その他
タグ:Google

画像クレジット:Mason Trinca / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AndroidユーザーがGoogleのストリートビューへ画像投稿可能に

Google(グーグル)のAndroid(アンドロイド)向けストリートビューアプリがアップデートされ、Googleマップを向上させるためにユーザーなら誰でも自身の写真を提供できるようになった。グーグルが米国12月3日朝に発表した(Googleブログ)。新バージョンのストリートビューアプリの「コネクテッドフォト」ツールを使って、ユーザーは通りを移動しながら一連の画像を撮影できる。この機能はARCoreに対応するデバイスで使える。さしあたって、選ばれたいくつかの地域でのみ画像の撮影とアップロードができる。

ARCoreはARエクスペリエンス用に構築されたグーグルのプラットフォームだ。さまざまな種類の物体の表面のサイズやロケーションといった周囲の状況、デバイスのポジション、明るさのコンディションなどをデバイスに検出させることで機能する。Android 7.0(Nougat)かそれ以上のOSで作動するAndroidデバイスで利用できる。

一方、グーグルのストリートビューアプリは5年ほど展開されている。当初はGoogleマップでのエクスペリエンスを向上させるためにユーザーが自分のパノラマ写真を共有できるようにデザインされていた。しかしスマホの進化にともない、アプリも進化した。

ストリートビューアプリのアップデートされたバージョンでは、ユーザーはARCoreを使って画像をとらえることができる。ARCoreはグーグルユーザーがマップで道案内のためのライブビューを体験するときに使うのと同じARテクノロジーだ。ライブビューではユーザーは自分の位置を知るのに、スマホにさまざまな目印となる建物を「見せる」ことができる。

画像がストリートビューアプリで公開された後は、グーグルは自動で画像を回転・配置し、またそれら画像を使って一連のコネクテッドフォトを作成する。そして他の人が閲覧できるよう、Googleマップ上の正しい場所に載せる。

これらの提供写真にはグーグルのストリートビュー画像(ストリートビュー撮影用の車が走りながらとらえた画像だ)で提供されているものと同じプライバシーコントロールが適用される。つまり、人の顔や車のナンバープレートにはぼかしが入り、ユーザーは必要に応じて画像やその他のコンテンツのレビューを報告できる。

画像クレジット:Google

コネクテッドフォトの新しいシステムはグーグルのストリートビュー画像ほどに洗練されたものではないかもしれないが、ストリートビューへの公開をよりアクセスしやすいものにする。画像をとらえるのに360度カメラや車のルーフに取り付ける機器などは不要だ。つまりこれは、対象のAndroidスマホとインターネット接続がありさえすれば遠隔地に住むユーザーがストリートビューに貢献できることを意味する。

可能な状態であればストリートビュー画像の表示がデフォルトになるだろう、とグーグルはいう。これは青い実線で表示される。しかしストリートビューのオプションがない場合は、提供されたコネクテッドフォトは青い波線でストリートビューレイヤーに表示される。

画像クレジット:Google

グーグルはシステムにまだない事業所の名称や住所など、写真に含まれるデータをGoogleマップのアップデートにも使う。たとえば店舗の営業時間などが目で確認できれば、そうした情報をGoogleマップに盛り込む。

ナイジェリア、日本、ブラジルで行われた初期テストではユーザーはこのテクノロジーを使って写真をとらえた。

グーグルは、ストリートビューアプリベータ版でコネクテッドフォト機能を正式に立ち上げると発表した。パブリックベータ期間にユーザーはカナダのトロント、ニューヨーク、オースティン、ナイジェリア、インドネシア、コスタリカで機能を試すことができる。今後テストが進むにつれ、さらに多くの都市で利用できるようになるとグーグルは話している。

関連記事:Googleマップがコンピュータビジョンで衛星画像の彩色強化、一部都市では表示詳細化も

カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:GoogleGoogleマップGoogleストリートビュー

画像クレジット:Google

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(翻訳:Mizoguchi

Googleが3Dコンテンツプラットフォーム「Poly」閉鎖へ、2021年6月30日終了

Google(グーグル)のAR / VRプロジェクトがほとんど終わろうとしている。

グーグルは米国時間12月3日、Polyのユーザー宛のメールで、3Dオブジェクトの作成とライブラリのプラットフォームを来年、「永久に」閉鎖すると発表した。サービスは2021年6月30日に終了し、ユーザーは2021年4月30日から3Dモデルをサイトにアップロードできなくなる。

Polyはバーチャルリアリティに最適化された3D作成ツールとして導入された。ユーザーはVR内のツールを使って、簡単に低ポリゴンオブジェクトを作成できる。このソフトウェアはゲームや体験に組み込まれる可能性がある軽量な3Dアセットを作成して表示する手段として設計されており、同社のTilt BrushやFacebook(フェイスブック)の(現在はAdobeの)Mediumのような、アートやスカルプティングを重視したVRツールとは対照的だ。

グーグルはすでに同社のAR / VR事業のほとんどを廃止しており、その中にはモバイルVRプラットフォームのDaydreamも含まれている。

AR / VR業界の初期段階では、多くの3D中心のスタートアップがデジタルオブジェクトのライブラリ作成や、ホスティングに賭けた。そして投資家の熱が冷め、AR / VRコンテンツをホストするテクノロジープラットフォームがそれらの製品を閉め出したため、このような3Dコンテンツのマーケット需要がどこにあるのかは、当分の間不明だ。

Polyにオブジェクトをアップロードしたユーザーは、閉鎖前にデータとモデルをダウンロードできる。

カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:GooglePoly

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

GoogleがActifioを買収しデータ管理とビジネス継続性の分野に参入

Amazon(アマゾン)がAWSのビッグな大会を催しているその同じ週に、Google(グーグル)もGoogle Cloudで同社独自のエンタープライズ戦略を発表した。それは米国時間12月2日に同社が発表した(Googleブログ)データ管理の企業であるActifioの買収だ。Actifioは企業のデータ継続性を担保し、セキュリティ侵犯など、災害からの復旧のニーズが生じたときに備える。この買収でグーグルは、データ継続性のもう一1の大手Rubrikなどと対抗することになる。

買収の条件は公表されていないが、情報が得られ次第この記事をアップデートする。注目すべきは、Actifioは2014年に評価額が10億ドル(約1040億円)以上もあり(未訳記事)、当時すでにIPOの準備をしていたことだ(実現はしなかった)。PitchBookのデータによると2018年の評価額は13億ドル(約1360億円)だが、2020年初めには最近の評価額の約60%のディスカウントで資金を調達していたようだ。Prime Unicorn Indexが本誌に提供してくれたデータでは、そうなっている。

同社はまた、特許侵害でRubrikと係争しており、訴状は2020年6月に提出されている(Cision記事)。同社のこれまでの資金調達額はおよそ4億6100万ドル(約480億円)で、投資家はAndreessen HorowitzとTCV、Tiger、83 Northなどとなっている。

Actifioの買収でグーグルは、セキュリティ侵犯の技術の高度化と、データ保護に関する規制の強化にともなって、企業データのより責任のある保持および利用のプライオリティが高くなっているという最近のエンタープライズ投資において重要な部分に手を出すことになる。その要となるのが、データの継続性だ。

グーグルはActifioのことを「バックアップと災害復旧におけるリーダー」と呼んでいる。同社はデータの仮想コピーを提供し、企業はそれを管理し、アップデートしてストレージに保存したり、テストしたりできる。現在の企業データはSAP HANA、Oracle、Microsoft SQL Server、PostgreSQL、MySQL、VMwareの仮想マシン(VMs)、Hyper-V、物理サーバーそれにもちろんGoogle Compute Engineなど、多様かつ複数の環境にあるため、同社もオールGoogleのショップだけではなくハイブリッドでマルチベンダーの環境の中にいる企業との協働に強くなることが必要だ。

「顧客がクラウドのソリューションに関して選べるオプションは、現在とても多い。バックアップと災害復旧においてもそれは同様だ。Actifioの買収で、私たちは企業が重要なワークロードを、ハイブリッドというシナリオも含めてデプロイし管理するときに、以前よりもずっと良いサービスを提供できる。これから私たちは自社のバックアップと災害復旧技術のサポートに専念でき、顧客のエコシステムに力を注ぎ、その際に多様なオプションを提供できる。顧客は自分たちのニーズにぴったり合ったソリューションを選ぶことができる」とGoogle Cloudのエンジニアリング担当副社長Brad Calder(ブラッド・カルダー)氏はブログで述べている。

Actifioは、Google Cloudに加わる。

「Google Cloudに加わって、過去4年間にパートナーとして達成してきた成功を生かした仕事ができることは、本当に素晴らしい。バックアップとリカバリーは、エンタープライズのクラウド採用において必須の課題であり、Google Cloudと一緒であれば、すべての業界の顧客におけるデータドリブンのニーズに最良のサービスを提供できる」とActifioのCEOのAsh Ashutosh(アッシュア・シュトーシュ)氏は声明で述べている。

カテゴリー:セキュリティ
タグ:GoogleActifio買収

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Googleマップに地域のニュースを表示する独自のニュースフィード導入、Facebookに対抗

人々はストーリーズがあらゆる所にあることにうんざりしている(Axios記事)が、Googleマップは昔ながらのスタイルを守り続けている。アプリの画面の上部に小さな円を追加する代わりに、Googleマップは独自のニュースフィードを導入する。技術的にはローカルエリアからの投稿が含まれるというもので、グーグルはその新機能を「コミュニティフィード」と呼んでいる(Googleブログ)。しかし、それは他のニュースフィードと同じような仕組みだ。垂直方向にスクロール可能なフィードで、そこに表示される投稿にユーザーは小さな親指のアイコンをタップすることで「いいね!」できる。

このフィードは、Googleマップアプリの「スポット」タブで見つけることができ、信頼できる地元の情報源から最新のニュース、更新情報、おすすめ情報が簡単に見かるように設計されている。これには、ビジネスオーナーがGoogleマイビジネスを使用して作成した投稿が含まれており、新しいお得な情報やメニューの更新、その他のオファーを顧客に通知することができる。これによって飲食店からの投稿が強調されると、グーグルはこの機能の発表時に述べている。

何年も前から、ビジネスオーナーはGoogleのツールを使用してこの種の投稿を作成することができた。しかし、従来はユーザーが更新情報を受け取るためには、その店のプロフィールをタップしてフォローする必要があった。

しかしこの新機能の導入によって、Googleマップのユーザーが一手間かけてわざわざ特定の店をフォローをしなくても、この種の投稿がユーザーの目に付くようになる。この露出の増加は、投稿の閲覧数に影響を与えるとグーグルはいう。一般公開前に行われたコミュニティフィードの先行テストでは、商店の投稿がフィード導入以前の2倍以上も閲覧されることがわかったとのことだ。

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商店からの投稿に加え、新しいコミュニティフィードにはフォローしているGoogleユーザー(Googleブログ)が投稿したコンテンツや、Googleローカルガイドの最近のレビューも掲載される。ローカルガイドは、ユーザーが地元の場所に関する知識を共有することで、プロフィールバッジやグーグルの新機能への早期アクセスなどの特典を獲得することができるボランティアプログラムだ。コミュニティフィードには「The Infatuation」などの厳選された出版社や、Google Newsを含むニュースソースも参加し、地域に関連した情報を提供する。

コミュニティフィードで発見される情報の多くは、米国時間12月1日発表されたコミュニティフィードの導入前にも、Googleマップの他の機能で利用することができた。

たとえばGoogleマップの「最新」タブでは、同様のフィードが提供され、ニュース、おすすめ情報、ストーリーなどの発見を促すようにデザインされた機能に、商店からの投稿も含まれていた。一方、「おすすめ」タブでは、業種をテーマ別にグループ化して(たとえば屋外レストン、カクテルバーなど)画面上部に表示し、他のリストを閲覧したり、エリアの写真を表示したりすることができた。

今回のアップデートでは、カテゴリーごとの業種のグループはこれまで同様、画面上部に表示されるが、タブの残りの部分はスクロール可能なフィード専用となる。これによってタブが以前よりも明確な感じを与えるようになった。また、InstagramやSnapchatが真似したTikTokスタイルの短い動画フィードが人気である現状を考えると、この機能を使って将来的にグーグルが動画投稿の事業に乗り出す可能性もある。

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しかし、現在のところこのコミュニティフィードは、より標準的なフィード機能だ。下にスクロールしていき、興味を引かれた投稿に「いいね!」をタップすると、それが今後のおすすめ情報の参考になる。また、もっと多くの情報を知りたいと思ったら「フォロー」をタップすれば、「最新」タブに通知が送られてくる。ありがたいことにコメントを付ける機能はない。

グーグルはこの変更により、ユーザーが自分の地域で何が起きているかを知るために、アプリをより頻繁に利用するようになることを期待している。たとえばお店からの新しい投稿や、日帰り旅行や新しいハイキングスポットのような、楽しい地元のアクティビティについて詳しく書かれた他のユーザーによるレビューなどだ。

この機能は、旅行や他の地域を調査する際にも利用できる。コミュニティフィードは自分の住んでいる場所や現在地ではなく、地図上のどこを見ているかに基づいて指定されるからだ。

コミュニティフィードは、GoogleマップがライバルのFacebook(フェイスブック)を超えるためにデザインされた一連のアップデートの最新のものだ。過去数年間にわたり、Googleマップはユーザーが商店をフォローすることができる機能を追加してきた。その多くはフェイスブックが行っているものと同様で、例えばアプリから商店に直接メッセージを送信する機能は、Messengerと同じだ。一方で商店はGoogleマップに独自のプロフィールを設定(未訳記事)することができ、ロゴやカバー写真を追加したり、短い名前を選ぶことができる。これらも現在、フェイスブックのページが提供しているものとよく似ている。

今回のニュースフィードスタイルの新機能導入で、グーグルがフェイスブックをコピーしようとしている企てはさらに明白になった。

グーグルはこの機能をiOSとAndroid用のGoogleマップでグローバルに展開していくという。

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画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Googleが中小企業向けモバイル端末管理サービス「Android Enterprise Essentials」発表

米国時間12月1日、Google(グーグル)は企業におけるモバイルの管理とセキュリティをサポートするAndroid Enterprise Essentials披露した(Googleブログ)。その主な対象は、名前に合わず中小企業だ。同社によると、大企業向けのデバイス管理とセキュリティのツールAndroid Enterpriseがあり、その開発経験をベースにして、よりシンプルで料金も安い今回のプロダクトを作り上げたという。

この新しいサービスでユーザーは、社員の画面をロックしたり、企業データを暗号化で保護したりといったモバイルデバイスの基本的な管理を行うことができる。社員が自由にインストールできるアプリは、Google Play Protectサービスを利用してGoogle Play Storeから行うもののみとなる。紛失や盗難に遭ったスマートフォン上の企業データは、すべてリモートで消去できる。

グーグルの説明によると、中小企業は顧客データをモバイルデバイスの上で扱うことが多いが、現在使われているデバイス管理ソリューションは中小企業のオーナーにとって複雑すぎるものが多く、使使用されずに放棄されていることが多いという。

そこでAndroid Enterprise Essentialsは、全員のデバイスをいちいち手作業で立ち上げなくても容易にセットアップができるようにした。セキュリティポリシーはリモートから適用されるため、社員はセットアップなどをしなくてもよい。企業はスマホを個人で購入させず、あらかじめポリシーを設定したAndroidデバイスを社員に渡してもよい。

グーグルによると、主に中小企業を対象としたサービスだが、高度で複雑な管理ソリューションが不要になるため、基本プラスアルファ程度のセキュリティ保護を望む大企業が利用してもよいとのこと。経験を積みサードパーティのベンダーなどの高度なソリューションを利用する前に、とりあえず社員全員のモバイルデバイスの安全を確保したいという段階的な導入でもよい。

ここ数年の間グーグルは、Androidデバイスの職場での利用を促進するためにさまざまな努力を行ってきた。Android for Work(未訳記事)やAndroid Enterprise Recommended(未訳記事)のようなサービス、Play Storeからマルウェアを排除するためのパートナーシップ、リスクの高いユーザーのための高度なデバイス保護エンドポイント保護のソリューションとなどを開発、提供してきた。

グーグルによると、Android Enterprise Essentialsの初期の展開は、米国ではSynnex、英国ではTech Dataが販売するデバイスに限定される。さらにその後はその他の販売業者にも対応し、2021年の初期にはグローバルな展開になる。2020年1月にはオンラインで立ち上げイベントを行うので、興味ある方はぜひ。

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カテゴリー:セキュリティ
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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

GDPRの執行力強化を切望するEU消費者保護団体の報告書、プライバシー侵害の懸念

欧州の消費者保護団体を統括する組織BEUC(ビューク)は新しい報告書を発表し、EUにおける個人データ保護の枠組みの要であるGDPR(一般データ保護規則)の効果的な執行が国境によって阻害されていると伝えた。EU域内の今後数十年間にわたるデジタル環境の監視体制を形作ろうと模索する各国の議員や規制当局には読むのが辛い内容となった。

BEUCの参加団体は、2018年11月(未訳記事)にGoogle(グーグル)の位置情報の利用に関して数多くの訴えを起こしている。このプライバシー侵害の懸念が提起されて2年が経つが、いまだに解決策は見られていない。

The Consumer Voice 2年で火星着陸ミッションは成功できても、グーグルの位置追跡がGDPR違反ではないのか、その不正に罰金を課すか否かは、2年経っても決められずにいる。
The Consumer Voice 2018年からEU、米国、オーストラリアで、位置情報の収集と利用に関してグーグルが告訴されている。それからグーグルが2510億ドル(約26兆1200億円)もの広告収入を得る間、何もできていない。

この巨大テック企業は、インターネットユーザーの位置情報を処理して商品化しつつ、数十億ドル(数千億円)単位の広告収入を稼ぎ続けている。GDPRの下で国境を越えた告訴に対応するワンストップショップであり、データ保護監督の中核であるアイルランドのデータ保護委員会(DPC)は、2020年2月(未訳記事)になってようやく捜査を開始した。

だが欧州で、位置情報の追跡に関してグーグルに何らかの法的措置が下されるのは、これから何年も先になるだろう。

なぜなら、GDPRが施行されて2年半になるにも関わらず、アイルランドDPCは国境を越えたGDPRとしての判断を何ひとつ示していないからだ。だが、先日お伝えしたとおり、Twitterのデータ漏洩に関するケース(未訳記事)は、ゆっくりながらも間もなく示されるはずの結論に近づいている。

それとは対照的に、フランスのデータ監視組織CNILは、グーグルのデータ処理の透明性に関するGDPRの捜査を、ずっと手早く(未訳記事)2019年のうちに済ませている。

しかも今年の夏(未訳記事)、フランスの裁判所はグーグルの訴えを退け、CNILが求めた5700万ドル(約60億円)の罰金の支払いを言い渡した。

だが、この一件はグーグルがDPCの司法権の下に入る前のものだ。さらに、アイルランドに拠点を置く多国籍テック企業の多さを考えると、このデータ規制当局は膨大な数の企業を相手にしなければならない。

Apple(アップル)、Facebook(フェイスブック)とWhatsApp(ワッツアップ)、LinkedIn(リンクトイン)といった数々のテック企業に対する20件以上のGDPR捜査を含むDPCの国境を越える案件には、強力な支援者がある。グーグルも、2019年から(未訳記事)アドテック関連の捜査をアイルランドで受けている。

今週、EUの域内市場委員のThierry Breton(ティエリー・ブルトン)氏は、各国の議員はGDPRの執行力の「ボトルネック」(未訳記事)をよくわかっていると話した。

欧州委員会は、その摩擦から教訓を得たと彼は示唆している。つまり彼は、自身が公言しているデータの再利用に関連する将来の規制案作り(未訳記事)に、同様の懸念が影響を与えることはないと主張しているのだ。

欧州委員会は、EUの個人データ監視体制に組み込まれているものと同様の監視メカニズムを提唱する新しいデータガバナンス法(DGA)を通じて、EU域内における人権を尊重した産業データの再利用(未訳記事)に標準条件を構築したいと考えている。これには、コンプライアンスを監視する国家機関や、中央集権的なEUの運営機関(これを彼らは欧州データ保護委員会の姉妹組織として欧州データイノベーション委員会と命名する計画だ)。

EUのデジタル規則の枠組みを改善して拡張するという欧州委員会の計画は野心的だが、つまりこれは、GDPRへの提案書のインクが乾く前にDGAの輝きが失われてしまうとのGDPRへの批判だ。またこれは、GDPRの執行力の「ボトルネック」を解消する創造的な方法を探すよう、議員たちにプレッシャーを与えるものでもある(国家機関は日々の監視に責任があり、EU加盟国はDPAを支援する責任があるため創造性が求められる)。

20202年夏に行われた最初の審査では、欧州委員会はこの規制が、カリフォルニアのCCPA(消費者プライバシー法)や、世界中で成立され始めたデジタルプライバシー保護のための枠組みに影響を与えたと断言し、「現代的で水平的な法律」であり「グローバルな基準点」だと称賛した。

だが同時に、GDPRの執行力に関する内容が欠けていることを、彼らは懸念している。

この懸念に対する最良の答えは「重要な案件はアイルランドのデータ保護機関が判断すること」だとEUの司法担当委員Didier Reynders(ディディア・レインダーズ)氏は6月に述べている(未訳記事)。

あれから5カ月が経過するが、ヨーロッパの人々はまだ待ち続けている。

BEUCの「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード:GDPRから2年:消費者の視点による国境を越えたデータ保護問題」と題された報告書は、どの国のDPCに提訴すべきかという段階で、EU加盟国の各団体が直面した手続き上の障壁を詳しく説明している。

これには、アイルランドDPCが不必要な「情報と有効性のチェック」を行っており、第三者による是正が禁じられているアイルランドの法律では権限がないとして、現地の関係団体から持ち込まれた訴訟を拒否しているとの懸念も含まれている(オランダの消費者団体はオランダの法律に従って訴訟を起こし、受理されている)。

報告書はまた、アイルランドDPCがグーグルの位置情報に関連する活動に対して独自の判断で(苦情にもとづくものではなく)取り調べを開始した理由についても疑問を呈している。これが苦情そのものに対する判断を遅らせてしまいかねないと、BEUCは恐れている。

さらにこれは、アイルランドDPCによるグーグルの捜査の対象は、苦情が申し立てられた2018年からではなく、2020年2月からの活動のみであることも指摘している。つまり、まだ捜査されていないグーグルの位置情報処理については不明のまま残されることになる。

グーグルへの訴訟に参加しているEU加盟国の3つの団体は、アイルラドDPCの判断について司法審査の申請を考えていた。他の団体はその方法に頼っている(未訳記事)。しかし、それにかかる訴訟費用が膨大であることから、彼らは申請を取りやめた。

またこの報告書は、訴訟の処理を、捜査を受けている企業の所在地に移してしまうGDPRのワンストップショップ式のメカニズムには、本来的にバランスの偏りがあるとも指摘している。そのため、「司法へのアクセスが簡単なほう」が有利になってしまう(これに対して一般消費者は、言葉も違うであろう別の国での司法手続きを強いられることになる)。

「主導的な委員会が、アイルランドのような判例法に従う伝統を持つ国にあった場合は、物事はより複雑になり、コストも嵩む」とBEUCの報告書では述べられている。

報告書が提起するもう1つの問題に苦情を申し出た側が、「動く標的」と呼ばれるものと戦う権利に関する大変に重要なものがある。大きな力を持つテック企業は、規制当局の遅延をいいことに、業務内容を(表面的)に微調整し、誤解を招くPRキャンペーンによる不正な活動を円滑化できてしまう(グーグルがそうしていると、BEUCは批判している)。

各国のDPCは、「その執行方法を、より迅速に直接的に介入する方向に調整すべき」と報告書は結論付けている。

「GDPRが適用されてから2年以上が経過し、私たちは転換点に差し掛かっています。GDPRは、今こそその力を発揮し、喫緊の課題であるビジネス慣行の変革の触媒になるべきです」とBEUCは提言の結論部分で述べている。「私たちのメンバーと、他の市民社会団体の経験から、GDPRの効果的な適用と、その執行システムの適正な機能を大きく阻害する数々の障壁が浮き彫りにされています」。

BEUCはEUおよび各国の政府機関に、規則の敏速な執行、データ主体とその代表となる団体の、とりわけ国境を越えた執行案件の枠組みの中での地位の向上を確実にするための、総合的、協働的な取り組みを推奨します」。

TechCrunchでは、同委員会とアイルランドDPCに対して同報告書に関する質問を送った。現在、これを書いている時点では、まだどちらからも返事がない。またグーグルにもコメントを求めている。

【更新情報】アイルランドのDPC副委員長Graham Doyle(グラハム・ドイル)氏は、2020年初めにグーグルの位置情報活動について「前向きな」取り調べを開始した理由として、前に戻って物事がどうだったかを再現するのではなく、「リアルタイム」での捜査を可能にしたかったからだと話した。

またドイル氏は、位置情報に関連するグーグルへの訴訟は、別の時期に別のDPCに提出されていると言う。つまり、一部の苦情がアイルランドに届くまでに非常に長い時間がかかり、2018年11月に届いていないものもあるということだ。そこで、現在の欧州のDPCが主監督DPCに苦情を届ける際の手続きの非効率性という問題が見えてくる。

「問題の苦情は、別の監督機関に2018年11月以降の別の日に届けられています」と彼は話す。「当DPCがそれらの苦情を受け取ったのは2019年7月でした。それを受けて、私たちはBEUCに報告しました。そして、リアルタイムで私たちが入手した情報の裏付けが取れるよう、2020年2月、独自の取り調べを開始したのです」。

BEUCは2月、同委員会に8つの「効率的」なGDPR執行方法(BEUCリリース)の提言を送っている。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:GoogleGDPREUプライバシー

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:金井哲夫)

Googleの最新ARアプリにスター・ウォーズ「マンダロリアン」登場

Google(グーグル)は、Disney(ディズニー)、Lucasfilm(ルーカスフィルム)と組んで、スター・ウォーズのストリーミングドラマシリーズ「The Mandalorian(マンダロリアン)」を拡張現実(AR)に取り込む。米国時間11月23日、グーグルは新しいAndroid ARアプリ「The Mandalorian AR Experience」を公開した。アプリはシリーズシーズン1のハイライトシーンをARで表示し、ファンはMandalorianの足跡をたどって、Child(チャイルド)を見つけたり、Force(フォース)を操ったりできるとPlay Storeのアプリ説明に書かれている。

ユーザーはMando(マンドー)、Din Djarin(ディン・ジャリン)、Childなどと同じ道を通って、キャラクターと触れ合ったりシーンを作って友だちとシェアすることもできる。

新しいARコンテンツは11月23日から毎週月曜日に公開され、2021年10月31日までほぼ1年続く。これは過去にグーグルが行った他の「スター・ウォーズ体験」よりも長期間にわたるプロモーションだ。

画像クレジット:Google/Lucasfilm

アプリそのものはグーグルのデベロッパープラットフォームを使って拡張現実体験のARCoreを作成し、ユーザーの周囲と相互に作用するシーンを構築している。こうした没頭性の強いデザインによって、ユーザーは自分のアクションに基づく新たなエフェクトを体験できる。アプリはグーグルの新しいARCore Depth APIを活用することでオクルージョンも可能になった。これによってスマートフォンのカメラを通して見た景色にARシーンがより自然に溶け込む。

しかしながら、このアプリはグーグルの最新AR技術のショーケースであるため、どのAndroidデバイスでも動くわけではない。

同社によると、アプリは「一部の5G Androidデバイス」のみで動作し、5G Google PixelおよびGoogle Play Services for ARのアップデートを済ました一部の5G Android機が対象だ。自分のAndroidスマートフォンが対応しているかどうかは、Google Developersウェブサイトにあるリストで調べられる。他の機種にも将来対応する可能性がある、とグーグルはいう。

画像クレジット:Google/Lucasfilm

この体験には5G対応Android端末が必要ではあるが、アプリの利用にアクティブな5G接続は必要ないとグーグルはいう。つまり、必要なのは5Gそのものではなくそこに使われているテクノロジーということだ。

グーグルは過去数年間に幾度となくルーカスフィルムと組んでプロモーショナルマーケティングキャンペーンを行ってきた。これは単なる広告とは捉えられておらず、それは両社ともにそれぞれのサービスやテクノロジーを紹介する場を得られるからだ。たとえば、グーグルは2015年にGmail、マップ、YouTube、Chromeなどのアプリをユーザーがスター・ウォーズ風に改造(未訳記事)できるツールを提供した。また、スター・ウォーズコンテンツを取り込んだAR(未訳記事)とVR(未訳記事)の両方を過去数年間に提供している。

The Mandalorian AR ExperienceはPlay Storeで無料ダウンロードできる。

カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:GoogleLucas FilmStar Wars

画像クレジット:Google/Lucasfilm

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google StadiaとGeForce NowがウェブアプリとしてiOSにやってくる

Google(グーグル)とNVIDIA、米国時間11月19日、両社のクラウドゲームサービスに関してそれぞれにニュースがある。まずNVIDIAから。これからはGeForce NowをiPhoneとiPad上でウェブアプリケーションとして利用できる。同社によると、現在はベータだがiOSデバイスの上でplay.geforcenow.comへアクセスすればプレイを開始できるという。

GeForce Nowは、ユーザーが所有しているゲームをクラウドからのストリーミングでプレイできる、というサービスだ。SteamやEpic Games、Ubisoft Connectなどのアカウントに接続すると、自分がそこですでに購入したゲームをプレイできる。GOGも近くサポートされる。GeForce NowはmacOSやAndroid、そしてWindowsでも利用できる。

ゲームがGeForce Nowに登場するためには、ゲームの発行者がそれをオプトインする。つまり、Steamの自分のライブラリ全体にこのサービスからアクセスできるわけではない。それでも、利用可能なゲームのリストはすでに相当長いものだ

どこからでも、何時間でもプレイできるFoundersエディションは月額5ドル(約520円)だ。ただしエントリーの料金とのことで、今後は上がるのかもしれない。

また無料アカウントでこのサービスを試すこともできる。制限時間は1時間で、ハードウェアはあまり強力ではない。スロットも少ないため、無料アカウントではゲームが立ち上がるまで現状で11分間待たされてしまう。

iOSデバイスのホーム画面にそのウェブアプリを追加すると、Safariのインターフェイスなし、全画面でこのサービスをローンチできる。Bluetoothのコントローラーも使える。ただし、キーボードとマウスは使えない。

同社によると現在、Epic Gamesとともにタッチインタフェイスで遊べるFortnite(フォートナイト)を開発しているため、iOSのプレーヤーも再びフォートナイトをプレイできる。そうなれば、GeForce Nowの人気も急上昇するだろう。

画像クレジット:Romain Dillet / TechCrunch

一方、グーグルは、Stadiaローンチから12カ月後にやっとアップデートを行った。GeForce Nowと違いStadiaは、コンソール(ゲーム機)に近い。まずユーザーは、このプラットフォーム向けのゲームを購入しなければならない。ゲームはおよそ100種類あり、Stadia Proのアカウントなら、専用のゲームもある。

同社によると、iOSのテストは数週間後に始まる。「iOSの革新的なウェブアプリケーションを開発していく最初の段階だ。今後パフォーマンスをテストし多くの機能を加えていく中で、ユーザーからのフィードバックがStadia体験を万人向けに改良していく助けになる。その展開は数週間後になるだろう」と同社はいう。

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:GoogleNVIDIA

画像クレジット:NVIDIA

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(翻訳:iwatani、a..k.a. hiwa

Google、Facebook、Twitterが新たな検閲法でパキスタンから撤退すると脅迫

​Facebook(フェイスブック)、Google(グーグル)、Twitter(ツイッター)といった世界的なインターネット企業は団結し、南アジアのパキスタンがデジタルコンテンツを検閲する包括的な権限を規制当局に付与したことを受けて、同国を離れると脅している。

​今週初め、パキスタンのImran Khan(イムラン・カーン)首相は、政府に害を与え、政府への脅迫や不満を引き起こす、あるいはその他の方法で同国の統治、安全保障、防衛を害するデジタルコンテンツを削除・遮断する権限を、パキスタンの通信局に与えた。

テック企業は​Asia Internet Coalition(AIC)という団体を通じて、パキスタンのインターネット企業を対象とした新法の適用範囲に「不安を感じている」と語っている。AICはフェイスブック、グーグル、ツイッターに加えて、Apple(アップル)、Amazon(アマゾン)、LinkedIn、SAP、Expedia Group、Yahoo、Airbnb、Grab、Rakuten、Booking.com、Line、Cloudflareを代表している。

もしこのメッセージに聞き覚えがあるのなら、それは初めてではないためだ。テック大手は、今年、2020年2月にカーン首相によって提出された新しい法律に対して懸念を表明している。

今年の初めにパキスタン政府がこの提出した後、同団体は撤退すると脅しをかけていたが、その動きによって同国は後退し、市民社会やテック系企業との広範かつ広範な協議プロセスを約束した(The New York Times記事)。

AICは米国時間11月19日の声明の中でこのような協議は行われなかったとし、AICのメンバーはこの法律が施行されているパキスタンで活動できない、と繰り返している。

「厳格なデータのローカリゼーションを求めるこの法律は、人々が自由で開かれたインターネットにアクセスする能力を損ない、パキスタンのデジタル経済を世界から閉め出してしまうことになるだろう。PTAの権限が拡大し、ソーシャルメディア企業にプライバシーや表現の自由に関する確立された人権規範への侵害を強制できるようになるのを見るとぞっとする」とAICは声明で述べている。

​また、AICは「この規則は、AICのメンバーがパキスタンのユーザーや企業にサービスを提供することを極めて困難にするだろう。パキスタンが技術投資の魅力的な投資先になりたいと考え、デジタルトランスフォーメーションという目標を実現したいのであれば、私たちは政府に対して、インターネットの利点を保護し、人々を危険から守る、実用的で明確なルールについて産業界と協力するよう強く求める」と述べている。

​この新たな法律の下では、パキスタン当局からの通知から24時間以内に違法コンテンツをプラットフォームから削除またはブロックしなかったテック企業に対して、最高314万ドル(約3億3000万円)の罰金が科せられる。​また、隣国のインドも同様の規制を提出しているが、ほとんど、あるいはまったく反発を受けていない。パキスタンは現在、これらの企業に同国内にオフィスを構えるよう求めている。

​パキスタンはここ数カ月の間、インターネット上の不適切なコンテンツを取り締まっている。2020年初めには​人気モバイルゲーム「PUBG Mobile」を禁止し、10月には一時的にTikTokをブロックした

​パキスタンやインドのような国は、テック企業の利益にほとんど貢献していない。​しかし、近年いくつかの保護主義的な法律を提出してきたインドは、その規模の大きさのために、世界のテック企業からの大きな反発をほぼ受けていない。現在、​パキスタンには約7500万人のインターネットユーザーがいる。

対照的に、インドはグーグルとフェイスブックユーザーにとって最大のマーケットだ。​「シリコンバレーの企業がインドに来るのは。MAU(月間アクティブユーザー数)ファームだからだ」と、ベテラン起業家のKunal Shah(クナル・シャー)氏は2018年のカンファレンスで語っている。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:GoogleFacebookTwitterパキスタン

画像クレジット:AAMIR QURESHI / AFP / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Chrome開発チームよありがとう!今度のアップデートで軽く、速くなるぞ

2008年にGoogle Chrome(クローム)が登場して以来(未訳記事)、それは常に私の生活に寄り添ってきた。実際、Chromeのローンチは、私が当時働いていたスタートアップを、初めてTechCrunchに取り上げてもらう役に立った(未訳記事)。

私たちは祝杯をあげ、Chromeは輝いていた。私たちは初日からのファンだった。

しかし、時間が経つにつれて、Chromeは少し遅くなり、少し重くなり、そして少し悪化して、かつてのロマンスはすっぱいものとなり始めた。

この劣化はGoogle検索で起きたことと似ていた。そこでは非常に良いアイデアが機能性、スピード、ユーザーの幸せを犠牲にして、ゆっくりとより多くのお金を稼ぎ出すものに変わっていった。その進化の自然な成り行きの詳細はここに(CNBC記事)。

私は短気な子供のようなので、Chromeに起きたことに当惑させられてきた(使うために1ドルも支払ったことがないソフトウェアではあるが)。問題点をはっきりさせるために、何年もの間、Chromeに対して発した文句を1つか2つのツイートにまとめようとしたが、結局5月以降の少なくとも9つの例を見つけて私はうんざりした気持ちになった(12345、6、 789)。話を先に進めることにしよう。

一体、Chromeに何が起きてしまったのだろう?私にはわからない。時間が経つにつれて、RAMの使用量、処理の遅れ、そして一般的な使いにくさが増していった。しかし、G Suiteの世界に住んでいた私には、Chromeの世界に留まることは合理的だった……そのため私は我慢していた。

だがその我慢も、もう不要になるのかもしれない。今週Googleは、もうすぐ行われるChromeアップデートに関する詳細を発表した。この内容読み通すことで、想像される現実の世界への影響は本当に素晴らしいもの。我らがGoogle(グーグル)は、ブラウザをより速く、メモリ使用量を軽く、スマートにする方法を見つけるために、そのコードを深く掘り下げたようだ。

私はとても興奮している。

何がやってくるのだろう?グーグルによるより一般ユーザー向けに行われたブログ投稿ではなく、GoogleのChromiumブログからその内容を抜き出そう(この一連のアップデートに対する私の注意を引いてくれたVergeへは強く感謝したい)、ここに示したのはあくまでも私が気にしている内容だ(各引用文中で太字になっている部分はTechCrunchによるもの)。

多くのタブを開いている場合でも、タスクを完了するためには、それらの一部にしか注目していない可能性があります。今回のリリース以降、関心のあるタブをすばやく表示するために、Chromeはパソコンのリソースを積極的に管理します ―― タブを何百個も開いたままにしておくことが可能になります ―― このため作業を中断したところから再開することが可能になります。

このリリースでは、タブスロットリング(バックグラウンドのタブの消費リソースを抑える)、オクルージョントラッキング(表示されていないタブの消費リソースを抑える)、バック / フォワードキャッシュに対して、Chrome がリソースを理解および管理する方法が改善されました。そのため必要なときに必要な情報をすばやく取得できるようになります。

Googleよ、これは文字通り私のことだ。信じられないものを見たようだ。ありがとう。

バックグラウンドタブがシステムリソースをどのように使用しているかを調査し、JavaScriptタイマーがバックグラウンドタブの作業の40%以上を占めていることがわかりました。ブラウザをより効率的にするには、それらのCPUと消費電力への影響を減らすことが重要です。M87以降は、バックグラウンドタブにおけるJavaScript タイマーのウェイクアップを1分に1回に調整しています(開発者向け文書)。これにより、CPU使用率を最大5分の1に削減し、内部テストによればバッテリ寿命を1.25時間伸ばすことができました。

世界が再び動き始めたら、この作業に参加した全員にランチを御馳走したいくらいだ。

次に、これまではChrome OSとMacには追加されていたオクルージョントラッキング(開発者向け文書)をWindowsにも取り込みました 。この機能はChromeがどのウィンドウやタブが実際に表示されているのかを知るための機能です。この情報によって、Chromeは最小化しているタブではなく、実際に使用しているタブのリソースを最適化することができます。これによりChrome の起動速度が最大25%、ページの読み込みが7%高速になり、メモリ使用量も削減されます。

いいぞ、その通りだ。

ウェブサイトを訪問し、別のページに移動するためにリンクをクリックした後で、そこが求めていたページではなかったことに気がつき『戻る』ボタンを押したことが何回ありますか?【略】Chrome 87では、バック / フォワードキャッシュがそうしたバック / フォワードナビゲーションの20%が瞬時に実行されるようにします。近い将来には、さらなる改善と開発者の支援を通じてこの数字を50%に増やす予定です。

これが必要だということに気がついてはいなかったが、確かにこれは必要だ。それを早く使いたい。

ともあれ、Chromeの内部についてのこの短い記事を書きながら、私は新しく改良されたChromeに対する強い興奮を抑えることができない。ある程度使ってみて、さらにレポートするつもりだが、とにもかくにもやったぜ!という気持ちだ。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:GoogleGoogle Chrome

画像クレジット:Jaap Arriens/NurPhoto / Getty Images

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(翻訳:sako)

「Googleに葬られる前に制裁措置を」135の企業や組織がEUの独占禁止法トップに訴える

旅行、宿泊、雇用などの業界でサービスを提供する135のスタートアップとハイテク企業の連合が、Google(グーグル)に対して独占禁止法違反の制裁を課すよう欧州委員会を促す書簡を提出し、制裁を迅速に実施しなければ存続が危ぶまれる企業もでてくると警告した。

同連合はまた、欧州委員会は今すぐ行動を起こす必要があり、そうでなければ、12月初めに草案がまとめられることになっているデジタル規制の順調な改革が台無しになるリスクがあると主張している

この書簡には、Booking.com(ブッキングドットコム)、Expedia(エクスペディア)、Kayak(カヤック)、OpenTable(オープンテーブル)、Tripadvisor(トリップアドバイザー)、Yelp(イェルプ)などの老舗インターネット企業をはじめ、冒頭で挙げた3つの業界のいずれかに属する数多くの(ほとんどの場合)小規模な欧州スタートアップが署名している。

それ以外の30の共同署名者には、メディア・出版などの関連分野、他の分野の業界団体や組織が名を連ねており、合計165の団体が、グーグルに対して迅速に独占禁止法違反の制裁を課すよう求めている。

TechCrunchが問い合わせたところ、欧州委員会の広報担当者はグーグルを批判する連合からの書簡を受け取ったことを認め、「時期が来れば」返答すると述べた。

「実力で勝負していない」

この点は以前から指摘されており、旅行業界ではすでに何年も前から苦情の声が上がっている、と欧州委員会は述べている。企業連合(米国に拠点を置く企業を含む)は拡大しており、グーグルの活動を制限するよう、団結してEU独占禁止法の担当者に圧力をかけている。例えば、TechCrunchは最近、旅行関連スタートアップの苦情について報じたが、雇用関連企業も同様の苦情を訴えるようになっている。

先に書簡を受け取ったReuters(ロイター)によると、この企業連合による訴えは、EU競争当局に対する共同の訴えとしてはこれまでで最大規模であるという。

TechCrunchも同書簡の内容を確認することができた。この企業連合は、グーグルがGoogle Shopping(グーグル・ショッピング)をめぐる2017年のEU競争法の執行決定に違反している、と主張している。この執行決定は、巨大IT企業であるグーグルが自社を優先しライバルを不当にはじき出すことを禁じている。

同連合は、グーグルがインターネット検索における支配的な立場を不当に利用して、同社が事業を展開する分野で市場シェアを獲得していると主張している。具体的には、グーグルが一部の検索結果を上部に表示する機能(「OneBoxes(ワンボックス)」と呼ばれる)について、それがインターネットユーザーに対して同社のサービスを強調し、同時にライバル企業のサービスからユーザーを遠ざけていると指摘する。

欧州委員会は、今後の立法案でこのような自社優先機能を制限することを検討している。この案は「ゲートキーパー」としての主要なインターネットプラットフォームへの適用が考えられており、グーグルはおそらくこれに分類されるだろう。

今のところ、このような事前規制は存在しない。しかし連合は、自分たちの企業にとって手遅れになる前に、欧州委員会はすぐに既存の独占禁止法の権限を行使して、市場におけるグーグルの不正行為を止める必要がある、と主張している。

「ほぼグーグルの独壇場である一般検索サービスに、自社に特化した検索サービスを技術的に統合したことは、明らかに支配的立場の濫用である 」と、彼らはVestager(ベステアー)氏への書簡で主張している。

書簡では次のように述べられている。「これまでのサービスとは異なり、グーグルは他者、つまり我々を犠牲にして、こうした市場での競争に関連するデータやコンテンツを蓄積してきた。グーグルは、市場での地位を実力で戦って獲得したのではない。 それどころか、グループ化された特定の検索結果をさまざまな形式で表示して自社サービスを一般的な検索結果ページ内で優先的に扱うことで、グーグルは不当な利益を得ている、というのが世界的なコンセンサスだ」。

グーグルがライバルを犠牲にして自社のサービスを不当に推し進めていることに関する同様の苦情は、2020年10月に提起された米国司法省の反トラスト法訴訟にも見られる。これは間違いなく、欧州でグーグルへの苦情を申し出た企業がその取り組みを強化するための後押しとなる。

2017年、欧州委員会はグーグルがインターネット検索の支配的企業であると判定した。 このことは、EU法の下では、グーグル・ショッピング訴訟で特定された侵害行為と同種の行為を、その市場シェアに関係なく、他のビジネス分野でも行わない責任があることを意味する。

独占禁止法担当者のMargretheVestager(マルグレーテ・ベステアー)氏は、欧州委員会で競争政策の担当者として在任した1期目(現在は2期目)に大手テック企業と対決したことで高い評価を得たが、現在はEUのデジタル戦略を構想するEVP(エグゼクティブバイスプレジデント)としての役割も兼ねている

しかし、彼女の監視下で、グーグルはグーグル・ショッピング検索(2017年)、Android(アンドロイド)モバイルOS(2018年)、AdSense(アドセンス)検索広告仲介事業(2019年)をめぐる独占禁止法の執行に直面してきている一方、独占禁止法違反を申し立てた側は、巨大IT企業グーグルの支配を取り除き、特定の市場や他の場所に競争を回復する上で、規制措置は何の役割も果たしていないと述べている。

企業連合は2020年11月12日付の書簡の中で、「2017年6月27日の欧州委員会のグーグル検索(ショッピング)判決は、グーグルが同社の支配的一般検索サービスの検索結果ページ内で自社サービスを売り込むことは許されないという先例を示した(と思われていた)。しかし、現時点では、この判決はグーグルが重要な何かを変えることにはつながっていない」と主張している。

欧州委員会は、同グーグルショッピング判決により、競合他社がグーグルに掲載した商品の「ショッピング」タブでの表示率が大幅に増加した(73.5%増)と主張し、「ショッピング」タブでクリックされたグーグルの商品とライバル企業の商品の割合はほぼ同等であることも指摘している。ただし、グーグルがショッピング検索での(一部の)市場シェア喪失を、他の分野(旅行や雇用など)のシェアを拡大することで補っているのであれば、バランスのとれた効果的な独占禁止法上の改善措置とはならない。

また、興味深いことに、今回の書簡にはFoundem(ファウンデム)のCEO、つまりグーグル・ショッピング訴訟におけるショッピング比較エンジンの不服申立人の署名も含まれている。

欧州委員会の広報担当者は本日発表した声明の中で、「我々は、規制措置の有効性を評価する観点から、引き続き慎重に市場を監視していく」と語り、「グーグル・ショッピングは、同社が提供する専門検索サービスの1つにすぎない。 2017年6月に下した判決により、グーグルの求人やローカル検索など、他の専門検索サービスについても検討できるフレームワークが整っており、これに関する予備調査はまだ進行中だ」と続けた。

欧州委員会が今後予定している「デジタルサービス法」と「デジタル市場法」の一括政策について、企業連合は、グーグルによる不正行為を抑制するための措置が現在十分に取られていないことが原因で、これらの今後の規制によって不正行為を是正することが不可能になるおそれがあると示唆している。

「懸案の競争調査において、欧州委員会がグーグルの現在の行為を『公平な扱い』として受け入れる場合、これは、今後の自己優先に対する法的禁止措置の意味を事前に定義するリスク、故にその価値を下げるリスクを生む。競争抑制的な拡大の進行を防ぐために必要な対策が今すぐに講じられないというだけで、競争とイノベーションは阻害され続けるだろう」と企業連合は警鐘を鳴らす。

さらに彼らは、立法化があまりに遅すぎて独占禁止法の是正措置として役に立たないと主張している。その間、他の企業は、グーグルの存在によって生き残れなくなるリスクを抱えたままビジネスを続けることになる。

「デジタルゲートキーパーに的を絞った規制は長期的には有効かもしれないが、欧州委員会はまず、既存の手立てを使ってグーグル・ショッピングの判例を強化し、グーグルの一般的な検索結果ページ内での平等な扱いを確保すべきだ」と彼らは主張し、「支配的一般検索エンジン」を規制するための欧州委員会のプランはおおむね歓迎するが、スピードが最も重要であることを強調したい、と付け加えた。

企業連合は次のように続ける。「我々は、グーグルによって排除されるという差し迫ったリスクに直面している。 我々の多くは、このような規制が実際に施行されるまで耐えられるだけの強みやリソースを持っていないかもしれない。今こそ行動が求められている。何らかの有意義な規制が発効するまで、グーグルが自社の専門検索サービスの競争抑制的な優遇を続けることが許されるならば、我々のサービスは取引量やデータ、そして実力による革新の機会が不足し続けることになるだろう。規制が発効するまで、我々のビジネスは、グーグルの競合サービスに利益を提供しながら、長期的には自社のサービスを陳腐化させるという悪循環に陥り続ける」。

グループのビジネス手法に対する批判への対応を求められたグーグルの広報担当者は、次のような声明を出している。 「ユーザーがグーグルに期待しているのは、最適で高品質な、信頼できる検索結果を提供することであり、特定の企業や商業上のライバルを他の企業よりも優先したり、ヨーロッパの人々にとってより多くの選択肢と競争を生み出す有用な新サービスの提供をやめたりすることは期待していません」。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Google 独占禁止法 ヨーロッパ

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(翻訳:Dragonfly)

GoogleがGmail、ドライブ、FitのiOSウィジェットを公開、近日中にカレンダーとChromeも

Google(グーグル)は同サービスの看板iOSアプリ群をアップデート(Googleブログ)し、iOS 14の新機能であるホーム画面ウィジェットに対応した。米国時間11月19日に同社は、Gmail、Googleドライブ、Google Fit(フィット)のウィジェットを新たに公開し、GoogleカレンダーとChromeも近く対応することを発表した。ホーム画面に有用な情報を掲載したり、よく使う機能をすばやくアクセスするためだ。すでにGoogle検索アプリのウィジェットは9月(Googleブログ)から提供されている。

新しいウィジェット群はグーグル製品を日常的に使っている人にとってはホーム画面を便利にすると思われる。ただし、Gmailのウィジェットは少々もの足りない。

Googleドライブのウィジェットでは最近使ったドキュメントをタップ1つで簡単にアクセスできるのに対して、Gmailウィジェットはメールをプレビューすることができない。メールの検索や新規メッセージの作成はできるし、未読数を表示するボタンもある。もちろんアプリのアイコンに表示されるバッジ(小さな数字)を見れば、そもそもウィジェットを使わなくても自分を待っているメールの数はわかる。

画像クレジット:Google

比べてiOSウィジェットに関しては他のメールアプリの方がGmailを上回っている。Basecamp(ベースキャンプ)のメールアプリ、Hey(ヘイ)はさまざまなウィジェットを提供していてメッセージのプレビューもできる。

Gmailがメッセージプレビューを提供できないとしても、ユーザーがカスタマイズしてもっと便利にする方法があればおもしろいと思う。

例えば特定の相手、自分の上司からあるいは職場のドメインからの未読メールが何通あるかを通知するのはどうだろう。あるいは、特定のラベルに関連するメールの数とか。受信箱の設定で「重要」とされた優先トレイのメール数を通知することも考えられる。

画像クレジット:Google

一方、GoogleドライブのiOSウィジェットにはファイルと検索ボックスのクイックアクセスがある。Google Fitウィジェットでは、Heart Points(ハートポイント、強めの運動)やSteps(歩数)などのアクティビティをホーム画面から簡単に確認できる。

画像クレジット:Google

期待のGoogleカレンダーウィジェットはまだ提供されていないが、本日、グーグルはデザインのサンプルを公開した。ウィジェットはミニカレンダーとでもいえるもので、その日の予定がカラーコードされて見やすく並んでいる。タップしてカレンダーアプリを開くこともできる。

画像クレジット:Google

Chromeウィジェットも近日公開予定で、検索バー、シークレットモード、音声検索、QRコードリーダーなどがあり、現在提供されているメインのGoogle検索ウィジェットとほぼ同じだ。

GoogleカレンダーとChrome以外のウィジェットはすでに公開されている。Calendarは「今後数週間」のうちに、Chromeは「年明け」にやってくるとGoogleは述べている。

画像クレジット:Google

カテゴリー:ネットサービス
タグ:GoogleGoogle DriveGoogle CalenderGoogle FitGoogle ChromeウィジェットiOSiOS 14

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GoogleはAndroidメッセージでエンド・ツー・エンドの暗号化をテスト予定

過去1年半の間Google(グーグル)は、Androidユーザーに対して、古くて使いにくく、そして安全性の低いSMSメッセージを置き換えることを目指して、その次世代メッセージングを展開してきた。グーグルによればその展開は終了し、来年にはAndroidにエンド・ツー・エンドの暗号化を導入する計画だという。

グーグルのRich Communications Services(RCS)は、Apple(アップル)のiMessageに対するAndroidから回答である。そこにはタイピングの表示、既読通知、その他の一般的なメッセージングアプリに期待されるものが取り込まれている。

米国時間11月19日のブログ記事(Googleブログ投稿)で、グーグルは1対1の会話から始めて、エンド・ツー・エンドの暗号化を展開する予定だと述べている。エンドツーエンドで暗号化されたグループチャットの可能性は保留中だ。ここからサインアップできるベータテスターに対して、11月の終わりから利用が可能となり、2021年まで続けられる。

エンド・ツー・エンドの暗号化により、送信者と受信者の間を移動するメッセージを途中で読むことは、グーグルでさえ不可能になる。

グーグルは、2016年にAlloを開始することで、エンド・ツー・エンドの暗号化されたメッセージングの世界に踏み込んだ。Alloアプリはデフォルトでセキュリティ機能を有効にしていない(未訳記事)という点が、セキュリティの専門家からの批判を招いた。2年後、グーグルはAlloアプリとプロジェクトを放棄した(未訳記事)。

当時、グーグルは教訓を得ることとなったのだ。一度この機能を利用可能にすると、Androidメッセージアプリではデフォルトでエンドツーエンド暗号化が行われ、会話に参加しているユーザーがRCSを無効にするまで普通のSMSには戻らない。

関連記事:GoogleがAndroid MessagesアプリでのRCSサポートを米国にて追加

カテゴリー:ネットサービス
タグ:GoogleAndroidメッセージングアプリ

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(翻訳:sako)

Google Payがリニューアル、オプトインで支出履歴の把握など家計簿サービス的に進化

米国時間11月18日、Google(グーグル)はAndroid版、iOS版のGoogle Payアプリのメジャーアップデートを行った。他のスマートフォンベースの非接触型決済サービスと同様、Google Pay(以前のAndroid Pay)は、クレジットカードを代替するサービスを目的としてスタートした。その後、さらに機能が追加されたが、基本的な狙いは変わらなかった。

5年後の現在、Google Payには30カ国で約1億5000万人のユーザーがいる。今回のリニューアルでグーグルは従来のコア機能を維持したまま、個人の財政管理を助けることに重点を置いた新しい方向を打ち出した(新機能の詳細は下記に)。

またグーグルはPlexとよばれる新しい種類の銀行口座を2021年にスタートさせるために11の銀行と提携した。Plexはモバイルファーストの銀行口座で利用は月額使用料、当座貸越手数料はなく最低残高などの制限もない。口座は銀行に開設されるがGoogle Payアプリが管理の主要なチャンネルとなる。Plexのスタート時のパートナーは、Citi(シティ)とStanford Federal Credit Union(スタンフォード連邦信用組合)だ。

画像クレジット:Google

グーグルのプロダクトマネジメントディレクターのJosh Woodward(ジョッシュ・ウッドワード)氏は私に新アプリについてこう説明してくれた。

新しいGoogle Payアプリは3つのタスクを1つにまとめます。3つのタスクはアプリの3つのタブに対応します。1つは友人や企業に簡単、迅速に支払を行う能力です。2つ目は、ショッピングで料金を節約できるようセールスや特典を見つけることです。3つ目は、支出を記帳、管理して自分の財政状態を常に把握しておくことです。

友人や店舗などへの支払は、これまでもGoogle Payのコア機能だったが新アプリでは重点の置き方が少し変化している。グーグルの支払プロダクトの責任者であるCaesar Sengupta(シーザー・セングプタ)氏はこう説明した。

ここではすべてがユーザーとの関係に基づいて整理されます。取引記録の数字が延々と並ぶ無味乾燥なリストではありません。すべての活動は相手となる人や会社が中心となります。

アプリの中心となる新機能は友達とのピア・ツー・ピア決済だ。いままでどおりに支払いや請求を行うこともできるが、リニューアルの目玉はレストランへの支払い友人とワリカンにしたり、家賃や公共料金をルームメイトと分割したりできるようになった点だ。誰がもう支払っているのか、誰が滞納しているのかもすぐわかる。ウッドワード氏によれば、ユーザーアンケートの結果、請求書の分割が非常に大きな問題であることがわかったため、グーグルはこの機能をシステムに導入したという。

Google Payからタップで直接支払をした場合であれ、クレジットカードまたはアプリにリンクされた銀行口座であれ、このタブから、最近の取引のリストを見つけて詳細を確認することができる。

画像クレジット:Google

上でも触れたが、このリニューアルで銀行口座とクレジットカードをGoogle Payに接続し、支出に関する情報を取得できるようになった。これが最も重要な変化かもしれない。簡単にいえばGoogle Payアプリ内に簡易版のMintが導入されたことになる。これによりGoogleアプリで多彩な財政管理機能を提供できるようになった。グーグルはこの機能を有効にするために「いくつかのデータソース」と協力していると述べているが、アグリゲーターとなるパートナーが具体的にどこであるかは明かしていない。他の新機能と同様に、デフォルトではオフで、利用するためにはオプトインが必要だという点は強調しておくべきだろう。

基本的には他の個人財政情報サービスと似ている。最も初歩的な機能は一定期間にどれだけ支出したか、手持ちの残高はどれほどかを確認できる点だ。しかしグーグルは強力な分析力によりユーザーの消費習慣に対して興味深い洞察をいくつか示すことができる。例えば月曜日にはその週末に費やした金額が表示される。ウッドワード氏に次のようにいう。

データをストーリーとして読めます。スワイプして最近の大口支出や今週の支出額を確認して通常の週と比較することもできます。今月、友達に送金した金額、その相手、お金を払った店舗なども簡単にわかります。

こうした情報の確認がすばやくできるのは、グーグルだからだ。強力な検索機能を使用して特定のトランザクションを発見できる。開発チームは「トルコ」で検索すると店名に「トルコ」が含まれていなくてもケバブレストランを利用したことを発見できるところをデモしてくれた。ユーザーがレシートをスキャン、もしくは撮影している場合はGoogle Payからそうした画像を検索して、購入した商品やGmailの受信トレイで受け取った領収書、請求書に遷移することもできる。.

Google Payの新機能として、割引クーポンを仮想的に「切り取って」クレジットカードにリンクすることができる。リンクされたクレジットカードを使用して特定のトランザクションを実行すれば自動的に所定の割引を受けられる。ユーザーは他に何もする必要はない。オプトインすればこうした機能を利用し、さらにカスタマイズすることもできる。

画像クレジット:Google

開発チームGoogle Lensのチームと協力し、プロダクトやQRコードをスキャンして割引を発見できるようにした。

これまでアプリのコアとなってきた決済機能については3万カ所のガソリンスタンドで非接触型決済が使用できるようになるという(多くの場合、割引が適用される)。スタート時のパートナーはShell、ExxonMobil、Phillips(66、76)、Conocoだ。

また近く400以上の都市の駐車料金の支払いも、このアプリからできるようになる。現在でもポートランド市ならかわいいネコのアイコンのParking Kittyアプリから払えるが、私たちはいつもポートランドにいるわけではない。駐車料金支払に参加する都市は当初オースティン、ボストン、ミネアポリス、ワシントンDCだが、他の都市も続くという。

Google Payを使って支払いをすることと、すべての資金移動データ(極めて個人的な情報だ)を提供することはまったく別物だ。開発チームも強調していたとおり、Google Payは、例えば広告ターゲティングのためにデータを販売することはしない。サードパーティの企業はもちろんグーグル社内の他部署に対しても一切データを流用をすることはないという。付加機能もすべてデフォルトでオフになっておりユーザーはオンにして3カ月試用することができる。3カ月後に改めてオンにするかオフにするかを決定することになる。

つまり今回追加されたオプション機能を利用し、財政データをグーグルに保存するかどうかは個人の選択となる。グーグルに財政データへのアクセスを許すことを望まないユーザーも当然いるだろう。いずれにせよ、Google Payのその他の主要機能は変更されていない。クレジットカードからの支払いもできるし、スーパーなどでスマートフォンのNFC機能を使った支払いもできるのは以前と同様だ。

【編集部追記】11月19日現在、日本版最終更新は11月3日。

カテゴリー:フィンテック
タグ:GoogleGoogle Pay

画像クレジット:dowell / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Google Payがリニューアル、オプトインで支出履歴の把握など家計簿サービス的に進化

米国時間11月18日、Google(グーグル)はAndroid版、iOS版のGoogle Payアプリのメジャーアップデートを行った。他のスマートフォンベースの非接触型決済サービスと同様、Google Pay(以前のAndroid Pay)は、クレジットカードを代替するサービスを目的としてスタートした。その後、さらに機能が追加されたが、基本的な狙いは変わらなかった。

5年後の現在、Google Payには30カ国で約1億5000万人のユーザーがいる。今回のリニューアルでグーグルは従来のコア機能を維持したまま、個人の財政管理を助けることに重点を置いた新しい方向を打ち出した(新機能の詳細は下記に)。

またグーグルはPlexとよばれる新しい種類の銀行口座を2021年にスタートさせるために11の銀行と提携した。Plexはモバイルファーストの銀行口座で利用は月額使用料、当座貸越手数料はなく最低残高などの制限もない。口座は銀行に開設されるがGoogle Payアプリが管理の主要なチャンネルとなる。Plexのスタート時のパートナーは、Citi(シティ)とStanford Federal Credit Union(スタンフォード連邦信用組合)だ。

画像クレジット:Google

グーグルのプロダクトマネジメントディレクターのJosh Woodward(ジョッシュ・ウッドワード)氏は私に新アプリについてこう説明してくれた。

新しいGoogle Payアプリは3つのタスクを1つにまとめます。3つのタスクはアプリの3つのタブに対応します。1つは友人や企業に簡単、迅速に支払を行う能力です。2つ目は、ショッピングで料金を節約できるようセールスや特典を見つけることです。3つ目は、支出を記帳、管理して自分の財政状態を常に把握しておくことです。

友人や店舗などへの支払は、これまでもGoogle Payのコア機能だったが新アプリでは重点の置き方が少し変化している。グーグルの支払プロダクトの責任者であるCaesar Sengupta(シーザー・セングプタ)氏はこう説明した。

ここではすべてがユーザーとの関係に基づいて整理されます。取引記録の数字が延々と並ぶ無味乾燥なリストではありません。すべての活動は相手となる人や会社が中心となります。

アプリの中心となる新機能は友達とのピア・ツー・ピア決済だ。いままでどおりに支払いや請求を行うこともできるが、リニューアルの目玉はレストランへの支払い友人とワリカンにしたり、家賃や公共料金をルームメイトと分割したりできるようになった点だ。誰がもう支払っているのか、誰が滞納しているのかもすぐわかる。ウッドワード氏によれば、ユーザーアンケートの結果、請求書の分割が非常に大きな問題であることがわかったため、グーグルはこの機能をシステムに導入したという。

Google Payからタップで直接支払をした場合であれ、クレジットカードまたはアプリにリンクされた銀行口座であれ、このタブから、最近の取引のリストを見つけて詳細を確認することができる。

画像クレジット:Google

上でも触れたが、このリニューアルで銀行口座とクレジットカードをGoogle Payに接続し、支出に関する情報を取得できるようになった。これが最も重要な変化かもしれない。簡単にいえばGoogle Payアプリ内に簡易版のMintが導入されたことになる。これによりGoogleアプリで多彩な財政管理機能を提供できるようになった。グーグルはこの機能を有効にするために「いくつかのデータソース」と協力していると述べているが、アグリゲーターとなるパートナーが具体的にどこであるかは明かしていない。他の新機能と同様に、デフォルトではオフで、利用するためにはオプトインが必要だという点は強調しておくべきだろう。

基本的には他の個人財政情報サービスと似ている。最も初歩的な機能は一定期間にどれだけ支出したか、手持ちの残高はどれほどかを確認できる点だ。しかしグーグルは強力な分析力によりユーザーの消費習慣に対して興味深い洞察をいくつか示すことができる。例えば月曜日にはその週末に費やした金額が表示される。ウッドワード氏に次のようにいう。

データをストーリーとして読めます。スワイプして最近の大口支出や今週の支出額を確認して通常の週と比較することもできます。今月、友達に送金した金額、その相手、お金を払った店舗なども簡単にわかります。

こうした情報の確認がすばやくできるのは、グーグルだからだ。強力な検索機能を使用して特定のトランザクションを発見できる。開発チームは「トルコ」で検索すると店名に「トルコ」が含まれていなくてもケバブレストランを利用したことを発見できるところをデモしてくれた。ユーザーがレシートをスキャン、もしくは撮影している場合はGoogle Payからそうした画像を検索して、購入した商品やGmailの受信トレイで受け取った領収書、請求書に遷移することもできる。.

Google Payの新機能として、割引クーポンを仮想的に「切り取って」クレジットカードにリンクすることができる。リンクされたクレジットカードを使用して特定のトランザクションを実行すれば自動的に所定の割引を受けられる。ユーザーは他に何もする必要はない。オプトインすればこうした機能を利用し、さらにカスタマイズすることもできる。

画像クレジット:Google

開発チームGoogle Lensのチームと協力し、プロダクトやQRコードをスキャンして割引を発見できるようにした。

これまでアプリのコアとなってきた決済機能については3万カ所のガソリンスタンドで非接触型決済が使用できるようになるという(多くの場合、割引が適用される)。スタート時のパートナーはShell、ExxonMobil、Phillips(66、76)、Conocoだ。

また近く400以上の都市の駐車料金の支払いも、このアプリからできるようになる。現在でもポートランド市ならかわいいネコのアイコンのParking Kittyアプリから払えるが、私たちはいつもポートランドにいるわけではない。駐車料金支払に参加する都市は当初オースティン、ボストン、ミネアポリス、ワシントンDCだが、他の都市も続くという。

Google Payを使って支払いをすることと、すべての資金移動データ(極めて個人的な情報だ)を提供することはまったく別物だ。開発チームも強調していたとおり、Google Payは、例えば広告ターゲティングのためにデータを販売することはしない。サードパーティの企業はもちろんグーグル社内の他部署に対しても一切データを流用をすることはないという。付加機能もすべてデフォルトでオフになっておりユーザーはオンにして3カ月試用することができる。3カ月後に改めてオンにするかオフにするかを決定することになる。

つまり今回追加されたオプション機能を利用し、財政データをグーグルに保存するかどうかは個人の選択となる。グーグルに財政データへのアクセスを許すことを望まないユーザーも当然いるだろう。いずれにせよ、Google Payのその他の主要機能は変更されていない。クレジットカードからの支払いもできるし、スーパーなどでスマートフォンのNFC機能を使った支払いもできるのは以前と同様だ。

【編集部追記】11月19日現在、日本版最終更新は11月3日。

カテゴリー:フィンテック
タグ:GoogleGoogle Pay

画像クレジット:dowell / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Googleが機械学習を利用した悪夢のような「怪物ジェネレーター」を開発

Google(グーグル)が、Chimera Painter(キマイラ・ペインター)を披露した。このウェブ上のツールを使うと誰でも、神秘動物学に出てくるような恐ろしい怪物を生み出すことができる。インターフェイスはまるで、MS Paintを使って「ディアブロ」の敵キャラを作るようだ。グーグルはなぜ、このようなものを作ったのだろうか?それはよくわからない。

この奇妙なツールはGoogle AI Blogで1カ月前から紹介されている。そのため、存在する理由もあるのだろう。おそらく開発チームは、ゲーム用の幻想的でクリエイティブなアート制作を速くする方法を探していた。AIのアシスタントが、狩りをしているオウルベアのまあまあな画像を描いてくれたら、作画のヒントを探していたアーティストは助かるはずだ。2019年にNVIDIAは同様のツールをリリースしているが、それは写真のようにリアルな、ゲームの背景画像を作ってくれる。

当然ながらチームはこの摩訶不思議な目標に向かって、空想上の生き物が登場するファンタジーカードゲームを作ることに決めた。そこではプレイヤーが動物たちを組み合わせて戦わせる。しかし、そこまでは、まあ普通だ。

画像クレジット:Google

そこでチームはこう考えた。ゲームに100種類の動物が登場して、それらを互いに組み合わせることができたら、どんなアーティストに描かせるよりも速く、大量の組み合わせを作れるだろう。しかも、機械学習のシステムなら不平をいわないし、請求書も来ない。

AIのエージェントに勝手な生き物を作らせるためには、まず最初にそれを実在する動物とその多くのパーツで訓練する。そのためシステムに、CGで作った生き物とそのラベルを貼ったパーツの画像を与える。ラベルは爪、前足、目といったパーツの名前だ。

やがてそのエージェントは、ユーザーが任意に組み合わせたパーツの組み合わせから、動物らしきものを作れるようになり、本物の動物を学習して覚えた毛皮、皮膚などの特徴を描けるようになった。それは敵対的生成ネットワーク(generative adversarial network、GAN)と呼ばれる学習システムで、画像を生成する側と、それを批判する側がペアとなり、生成する側は批判のフィードバックを得て生成を何度も繰り返す。

画像クレジット:Google

ポイントは、ラベルのついたパーツを組み合わせたものが実際の動物に似ていなくてもシステムは平然としていることだ。それがまるで恐竜とコウモリの混血のようであっても。この「キマイラジェネレーター」が学んだことに照らせば、頭がカメレオンのようで鼻が長く、小さくて役に立たない翼のある犬は存在するのだ。

以前、同社がGoogle Play Musicをやめたときは、グーグルはケチになったと書いたが、Chimera Painterはその逆で誰でも自由に利用することができる。ただ私がやってみると、絵筆は最も太いものしか使えないし、テクスチャーもスーパーのお惣菜肉のようなのしか使えなかった。

しかしながら、それが問題になって自分のビジョンを描けなかった、というほどではない。

画像クレジット:Devin Coldewey / Googl

傑作だ!

グーグルはブログの最後で「機械学習を絵筆として使って何を創れるだろうか?」と尋ねている。創れる物の限界は、まったくないだろう。あった方がいいかもしれないけど。

関連記事:スケッチを数秒でリアルな写真に変えるNVIDIAのAI

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Google

画像クレジット:Google

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(翻訳:iwatani、a..k.a. hiwa