Y Combinatorの2020年夏のデモ・デイ1日目の98社を紹介(その5)

米国時間8月24日は、Y Combinator(YC)の2部構成の「Summer 2020 Demo Day」の一部で、100社近くの企業が初めて世界に向けて自分たちの取り組みを披露した。

2020年夏のデモデイは、YCのコホートとしては初の完全リモートとなった。新型コロナウイルスの感染拡大の深刻さが3月に明らかになったことを受けて、YCは2020年冬のクラスのデモデイの部分を土壇場でバーチャルに変更。そのため、デモデイの主要な部分を取りやめてしまった。ライブピッチの代わりに、2020年冬クラスの各企業は1枚のスライドと会社の簡単な説明文を使ってピッチを行った。

YCは今回は明らかに準備に時間を割いていたようで、実際のイベントと同じようにデモデイを体験することができた。わずか60秒の驚くほどの速さで行われた一連のライブピッチで、各企業は投資家、メディア、創業者仲間の聴衆に向けて事業の要点を紹介した。

この記事では、本日発表された各企業について登壇順に80〜98社目までを紹介する。

Perch
銀行口座を持たない人のための「Credit Karma」(クレジットスコア管理サービス)と宣伝しており、家賃などの定期的な支払いをクレジット支払いに変えることで、ユーザーのクレジットスコアの構築を支援する。 Perchによると、現在2万2000人のユーザーがウェイティングリストに登録しているという。

SiPhox
光チップ用の回路基板を開発。 冷蔵庫サイズの診断機を小さなチップに置き換えたいと考えている。 最初の製品は、使い捨てカートリッジで1ドルの新型コロナウイルスの検査キットだ。

Vectrix
企業の成長とともに、クラウドサービスやその他のツールが絶えず増加すると、各サービスや各ツール間でセキュリティの問題が発生する可能性が出てくる。通常、企業のセキュリティエンジニアは、セキュリティ問題をチェック・監視する方法を独自に開発しているが、Vectrixはこれらのプロセスのためのマーケットプレイスを提供することで、より速く、より簡単にセキュリティテストが可能になる。

Recurrency
卸売業者のための 「自動化された」 ERP(エンタープライズ・リソース・プランニングサービス)を構築している。Recurrencyは順調に成長しているようで、Y Combinator在籍中にMRR(月次経常収益)は0ドルから1万7000ドル(約180万年)に増えている。直近で同社は、何十万社の潜在顧客を見つけているという

Known Medicine
腫瘍に抗がん剤がどのように反応するかの実験を、患者の体から研究室に持ち込もうとしているスタートアップ。腫瘍サンプルを腫瘍に分解し、特殊な微小環境の中で別個に異なる方法で治療し、何が最も効果があるかを調べる。

Queue

画像クレジット:Queue

ビデオ制作者や編集者のためのリアルタイムのコラボレーションとフィードバックソフトウェア。 グループでフィードバックやタイムスタンプ付きのコメントを動画のタイムラインにドロップしたり、動画に直接メモやコンセプトを描いたりすることができる。

Conta Simples
ブラジル拠点で、新興企業向けのデジタル銀行口座サービスを提供。オンラインビジネスでの法人カードを、迅速かつ高額な手数料なしで取得できるように支援している。すでに先月に5万ドル(約530蔓延)の収益を上げている。創業チームは、ブラジルのさまざまな決済やフィンテックビジネスの出身者だ。

Vitable Health
給与生活者は、雇用主が提供するヘルスケア以外の選択肢を持っていないことが多い。Vitable Healthは、ほかの企業の10分の1のコストで、プライマリーケアと緊急ケアを提供するプランでこの状況を変えようとしている。同社が提供するプランは、看護師が遠隔医療や在宅訪問を行うことサービスで、月額50ドル(約5300円)で緊急時に備えた補償も提供している。同社の利益率が高く、小規模だがフィラデルフィア地域で成長している。

ZipSchool
どの親も、自分の子供が教育とスマートフォンなどのスクリーンに費やす時間(スクリーンタイム)について心配している。ZipSchoolは、今日デモを行った注目の企業の1つで、Zoomを使った子供向けホームスクールを提供している。これもスクリーンタイムだが、子供たちが興味を持ちそうなアート、空間、異常気象などのトピックが表示される。2020年には新型コロナウイルスの感染蔓延とそれに伴う不況に見舞われた。これまでの親は、タブレットと使って子供をソファに寝かせておく必要があったが、その時間が学習の役に立つかもしれない。

Minimum
人間の二酸化炭素排出量を自動的に追跡・相殺するサービスを開発。具体的には、企業と提携して従業員の意識を高めることを目指している。計算機と支払いを組み合わせることで、人間の二酸化炭素排出量を最大20%相殺することを目指す。

Sidekick

画像クレジット:Sidekick

スタンドアロン型の「常時接続型」ビデオチャットハードウェア。リモートチームが連絡を取り合うのを支援する。料金は1ユーザーあたり月額50ドル(約5300円)。

Ribbon
クリエイターや企業に、マスタークラスからフィットネスワークアウトまでのオンラインバーチャルイベントのチケットを販売する方法を提供。Ribbonは先週だけで4万7000ドル(約500万円)のチケットを販売し、テイク率は2.8%となっている。

Sameplan
創業者によると、営業代行業は基本的にはプロジェクトマネージャー(PM)だが、PMが仕事をするために通常使用するツールが不足しているという。Sameplanは、営業チームが案件やプロジェクト間のデータを整理された方法で共有・同期できるサービスを開発。これにより、無限に続く電子メールのスレッドやスプレッドシートを置き換えることができる。Heap、Okta、Frontなどのサービスはアルファ版に対応している。

Workbase
B2B企業が解約を減らして顧客支出を増やすのに役立つことを目的とした、アカウント・成長チーム向けのデータ可視化および分析ツールを開発。2020年5月にローンチ後、現在3社と契約している。

Nototo
メモを取るためのビジュアルマップインターフェースを開発。革新的なアプリのデザインで知られる生産性業界に、非常にユニークなインターフェースをもたらしている。このアプリは基本的に、地図を入れ子になった箇条書きやフォルダに入れるのではなく、地理的に整理するできるようになっている。

Plunzo
ラテンアメリカの中小企業が、すべての銀行口座を単一のUIにまとめることを支援するサービスを提供。Plunzoの創業者によると8月初旬のローンチ後、すでに3000以上の小売口座と連携しているという。

Tella
ブラウザベースのアプリケーションから共同で動画を編集する方法を構築。5月に設立されたこのスタートアップは、より使いやすい編集プラットフォームでQuickTimeやLoomに対抗したいと考えている。Tellaでは、画面やカメラの録画からビデオクリップをまとめるのに役立ち、現在は毎週100人のユーザーが使っている。

Mozart Data
いまやすべてがSaaSに集約されているので、企業はSalesforceやStripeなどのツールにデータを分散させているかもしれない。Mozart Dataは、データ・エンジニアリングのスキルを必要とせずに、約1時間ですべてのデータを1カ所に収集・整理・管理可能にする。同社のチームは以前、Yammer、Clover、Opendoorなどの企業向けのデータツールを構築した経験があり、その専門知識を急速なスケールアップを望む成長中の企業に提供したいと考えている。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Y Combinatorの2020年夏のデモ・デイ1日目の98社を紹介(その4)

米国時間8月24日は、Y Combinator(YC)の2部構成の「Summer 2020 Demo Day」の一部で、100社近くの企業が初めて世界に向けて自分たちの取り組みを披露した。

2020年夏のデモデイは、YCのコホートとしては初の完全リモートとなった。新型コロナウイルスの感染拡大の深刻さが3月に明らかになったことを受けて、YCは2020年冬のクラスのデモデイの部分を土壇場でバーチャルに変更。そのため、デモデイの主要な部分を取りやめてしまった。ライブピッチの代わりに、2020年冬クラスの各企業は1枚のスライドと会社の簡単な説明文を使ってピッチを行った。

YCは今回は明らかに準備に時間を割いていたようで、実際のイベントと同じようにデモデイを体験することができた。わずか60秒の驚くほどの速さで行われた一連のライブピッチで、各企業は投資家、メディア、創業者仲間の聴衆に向けて事業の要点を紹介した。

この記事では、本日発表された各企業について登壇順に61〜80社目までを紹介する。

Layer
開発者がコード変更の影響をすぐに確認・比較・共有できるように、ステージング環境を素早く作成する開発者ツール。 Layerは、同社のサービスを利用することで、小規模企業の開発者が世界の大手テック企業と同じようなワークフローにアクセスできるようになると主張している。 同社によると、過去30日間で18人の顧客が6000回も同社のサービスを利用しているという。

Lume Health
病院向けのGlassdoor(匿名での会社をレビューサービス)を構築しており、看護師が仕事を探す際に正しい選択ができるようにすることを目的としている。 求人掲示板の予測可能な条件面などを統合する一方で、オフィスや病院が実際にどのようなものであったかを内部から語ることができる看護師からの、検証済みレビューのプラットフォームを構築。

MarketForce 360
アフリカにおける小売流通のためのSalesforce(セールスフォース)。 ペンと紙のトラッキングに代わるモバイルソリューションとして、リアルタイムでの小売取引を展開。SaaSの料金とともに、プラットフォーム上で処理されたすべての注文に対して取引手数料を請求するシステムだ。 これまで、40社程度の消費財企業を顧客に持っている。

Manycore
企業はクラウドコンピューティング上で動作するコードを大量に作成しているが、そのコードが効率的でなければ、その規模に応じてコストがかさむ。Manycoreは、最初はJava、その後PaythonとJSなどの最終的なコードに最適化するサービスを展開している。

Aquarium Learning
自動運転車メーカーであるCruise(クルーズ)の元スタッフ数人が創業したスタートアップ。顧客となる機械学習チームがデータセットを改善してモデルを改善できるよう支援するサービスを開発している。仕組みについては詳しく言及されなかったが、Aquarium Learningは市場参入して数カ月後には、月間収益が8000ドル(約84万円)に達し、これはほぼ6桁のランレートであると主張している。いずれにせよ、機械学習はますます重要になってきている。誰かがこの分野に大きな会社を作るだろう。その1社はAquarium Learningかもしれない。

Strive School
業界で仕事を得るまで教育費を払えないソフトウェアエンジニアを訓練するために、ヨーロッパ向けにLambda School(出世払いのコンピュータサイエンス教育を行うビジネス)を準備中。卒業生が就職すると、ISAの条件では4年間の給与の10%を上限1万8000ユーロ(約226万円)としている。卒業生が就職すると、ISAの規約により4年間の給与上限の10%である1万8000ユーロ(約226万円)が徴収される。

Kuleana

画像クレジット:Kuleana

魚介類のImpossible Foods(インポッシブルフーズ)を目指し、植物性の生マグロの代替品を作っている。 現在、40万ドル(約4220万円)の基本合意書(レターオブインテント)を獲得しているという。

Once
モバイル向けに最適化されたShopifyストアフロントシステムを開発。 電子商取引のトラフィックをモバイルでの購入に誘導しようとしているが、現在はデスクトップほどモバイルはシームレスではない。 Onceでは、Instagramのストーリーを利用して、12のモバイルストアフロントを作成。 フラッグシップの顧客は会話率を70%増加させたという。

Justo
世界の他の地域と同様に、ラテンアメリカでもレストランは宅配サービスと連携して検疫客にサービスを提供している。 しかし、多くのアプリは多額の手数料をとりつつ顧客データを収集している。 Justoは、レストランブランドにカスタムメイドのEコマースウェブサイトを提供し、最大15%の手数料で注文と配達を提供することを目指している。

Glimpse
消費者ブランドが、民泊シェアサービスのAirbnbの物件に商品を置くのを支援するサービスを提供。 Glimpseはブランドから報酬を得て、ブランド自身が商品を前面に出したり、消費者の手に渡したりすることができる。 Airbnbを借りている人にとっては、同社のサービスは小売店の代わりになるかもしれない。 在庫の管理方法などについては言及されていないが、Airbnbが復活の道を歩んでいるのであれば、Glimpseがハウスシェアリングと消費者のD2Cブームを一つの体験に統一するためのいい機会なのかもしれない。

Revel Technologies
パラキサンチンという「より良いカフェイン」の製造を目指すスタートアップ。バイオエンジニアリング博士で創業者Jeffrey Dietrich(ジェフリー・ディートリッヒ)氏によると、二重盲検試験の結果、Revel Technologiesのカフェイン代替品は、ジッターや不安感を伴わずに覚醒度を高めることが示されているという。

Omni
営業やサポートチームが顧客に最新かつ正確な回答を提供できるにするサービスを開発。 担当者が電話をかけている間、Omniはツールを検索して顧客の質問に答え、情報が正確で最新のものであるかどうかを確認する。 最新の更新情報を探すために古いSlackの会話を探す必要はなく、顧客からの火急の質問に答えるためのスマートな方法になるはずだ。 Omniは2カ月前のローンチした後、Dave、Notion、Parsableから8万ドル(約850万円)のパイロットプログラムを獲得している。

Mailwarm
創業者は、以前の会社で顧客とのコミュニケーションに電子メールを主に使用していいたが、「合法的な」マーケティングメールでさえ、その20%がスパムフォルダに追いやられていることに気付いた。 そこでMailwarmは、このような誤分類を防ぐ技術を開発。わずか数カ間のオンライン利用で大きく成長し、MRR(月次経常収益)が5万ドル(約530万円)に達したという。

Papercups
顧客管理ツールを提供しているntercom(インターコム)がCFOを雇い、数年後に株式公開を予定しているというニュースの余韻に浸りながら、Papercupsは同社の背後に忍び寄って収益を得ようとしている。 要するにPapercups は、Intercom製品セットのチャット部分組み込めるかもしれない「オープンコア」 ソフトウェアを構築している。同社は収益を上げていない状態で、GitHubスター1500人を獲得した。今回のピッチの締めで、同社の製品の企業向けバージョンはいずれ5万ドル(約530万円)から25万ドル(約2640万円)になる予定だという。Intercomで機能することはわかっているので、Papercupsがその裏で何ができるか注目だ。

Atmos
住宅建設のためのマーケットプレイスを構築。家を建てたいと考えているユーザーと、それの実現を支援してくれる建設業者を結びつける。 第2四半期に立ち上げて以来、同社は50万ドル(約5270万円)以上の収益を計上している。

StartPlaying.Games

画像クレジット: StartPlaying

テーブルトークRPGとしてして有名なDungeons and Dragons(ダンジョンズ&ドラゴンズ)のようなのホストを雇うためのマーケットプレイス。いわば、DM(ダンジョンマスター)の求人サービスだ。新しいプレイヤーがプレイを学ぶのを助けたり、既存のプレイヤーが経験豊富なホストを探すのを助けたりすることを目的とする。 ホストは自分で価格を設定できる。 現在のところ、月に1万(約106万円)ドル以上のGMV(流通総額)があるとのこと。

Together Video Chat
子供にとって、FacetimeやZoomは、コミュニケーションをとるための最も魅力的な方法ではないかもしれない。Together Video Chatは、家族と子供の間のビデオチャットに、本を読んだり、画面越しにゲームをしたりするようなインタラクティブな要素を導入したいと考えている。 同社は毎月1万7000ドル(約180万円)の経常収益を上げている。

Reach.live
ヨガや料理教室のようなライブコンテンツを収益化しようとしているライフスタイルクリエイターは、複数のプラットフォームに頼らざるを得ないことが多い。 Reach.liveは、ストアフロント、スケジューリング、支払い、サブスクリプション、寄付、さらにはビデオホスティングまでを統合したサービスを目指している。

Toolbox
建設現場と資格のある労働者をつなぐアプリを開発。現在ニューヨーク市で導入が進んでおり、7月にはGMV(流通総額)で8万8000ドル(約930万円)、8月はGMVが10万2000ドル(約1076万円)に上昇すると予想されている。Toolboxでは、一部の労働者がフルタイムの仕事を見つけたり、需要のギャップを埋めるために短期の仕事をつなぎ合わせたりするのを支援する。同社は、総支出の25%を手数料として獲得できると考えている。これが実現すればかなり大きな規模になる。

Fig
開発者が端末を離れることなく、軽量なグラフィカルインターフェースで社内の共有ツールにアクセス可能にするためのアプリストアを構築。 この統合によって、スタートアップのエンジニアチームは開発に専念しながらも社内ツールに素早くアクセスできる。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

ロンドン拠点のStride.VCからパリを拠点に活動していた女性パートナーのピア・ディリバルネ氏が離脱

Fred Destin(フレッド・デスティン)氏とポッドキャスターのHarry Stebbings(ハリー・ステッビングス)が設立したロンドン拠点のアーリーステージ投資のベンチャーキャピタルであるStride.VCが、パリに拠点を置くパートナーのPia d’Iribarne(ピア・ディリバルヌ)氏を失ったことがTechCrunchによって明らかになった。

規制当局のファイリングによると、ディリバルヌ氏とのパートナーシップは、Strideの3番目の投資パートナーに任命されたことが発表されてから1年半強後の今日、正式に終了したとのこと。

TechCrunchの取材によると、ディリバルヌ氏とStrideの両方が彼女の去就を確認したが、彼女の今後の予定を含め、それ以上のコメントを拒否している。しかし、同氏はStrideの投資先企業であるStrapi、impala、jowでの取締役会の席を維持することを認めている。

今のところ、ディリバルヌ氏の次のキャリアは不明だが、情報筋によると彼女は自身のベンチャーファンドを設立する初期段階にあるかもしれないという。彼女は過去に「起業家」としての野望を語っていたが、その後、VCのAccelを離れて(未訳記事)新たに立ち上げたStrideに参加することに関連して、このようなことが起こっても驚かないだろう。

一方のStrideは、2018年後半の立ち上げ以降(未訳記事)でチームのメンバーが去ったのはディリバルヌ氏だけではない。オペレーティングパートナーのArj Soysa(アリ・ソイサ)氏は1年強で退社し、現在はヨーロッパのMubadala Capitalでファイナンスディレクターを務めている。

それとは別に、創業パートナーのステッビングス氏は最近、Strideと並んで830万ドル(約8億8450万円9のマイクロVCファンドを運営している(未訳記事)ことを明らかにした。彼のポッドキャスト「The Twenty Minute VC」にちなんで名付けられた「20VC」と呼ばれるこのファンドは「Tier 1」の共同投資家とともに、さまざまなステージの米国のスタートアップに投資する計画だ。

画像クレジット:Rory Lindsay

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(翻訳:TechCrunch Japan)

中国アリババがインドスタートアップへの投資を最低6カ月凍結

中国のインターネット大企業であるAlibaba Group (アリババグループ)は、中国・インド間での地政学的緊張が続いている中、インドのスタートアップへの投資計画を凍結した。ロイターが8月26日、匿名2人の話として報じた

報道によると、インドのスタートアップに2015年以来20億ドル(約2120億円)超を投資してきたアリババグループは、新たな投資を少なくとも6カ月間凍結する計画だが、既存のポートフォリオ企業の持ち分を減らすつもりはないという。

アリババグループと、傘下のAnt(アント)はインドのいくつかのユニコーン企業の主要投資家だ。ここにはインドで最も価値の大きいスタートアップであるPaytm(ペイティーエム)が含まれ(未訳記事)、アリババの持ち分は約30%だ。また、フードデリバリースタートアップのZomato(ゾマト)、グローサリーデリバリースタートアップのBigBasket(ビッグバスケット)、eコマースのSnapdeal(スナップディール)などにも出資している。

投資凍結は、国境を接する2国間の関係が緊張していることを受けてのものだ。6月のヒマラヤでの軍事衝突でインド兵士20人超が死亡し、緊張が高まった。それ以来、多くの人が中国製のスマホやテレビ、その他の製品を破壊する様子を収めたビデオを投稿し、「ボイコット・チャイナ」やそれに近い言葉がインド国内のTwitter(ツイッター)でトレンドとなった。

報復措置と多くの人が受け止めている動きとして、インド政府はTikTokやその他58の中国のアプリを6月末に禁止し数週間後にさらに数十のアプリを禁止対象に加えた(未訳記事)。世界第2位のインターネットマーケットであるインドはまた、中国の投資家がインド企業に新たに投資しにくいようにするために、今年初めに海外直接投資規制に変更を加えた。

Zomatoは今年1月、Ant Financialが1億5000万ドル(約160億円)の投資を約束したことを発表した。ただ、グルガーオン拠点のZomatoがこれまでに受け取ったのは5000万ドル(約53億円)だけだ、と他の主要投資家の1人は先月話していた。

Ant Financialは8月25日、「インドの海外投資規制の変更により、Zomatoへの追加投資のタイミングを見極める必要が出てきた」とIPO目論見書で明らかにした。

画像クレジット: Alex Tai / SOPA Images / LightRocket / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

Y Combinatorの2020年夏のデモ・デイ1日目の98社を紹介(その3)

米国時間8月24日は、Y Combinator(YC)の2部構成の「Summer 2020 Demo Day」の一部で、100社近くの企業が初めて世界に向けて自分たちの取り組みを披露した。

2020年夏のデモデイは、YCのコホートとしては初の完全リモートとなった。新型コロナウイルスの感染拡大の深刻さが3月に明らかになったことを受けて、YCは2020年冬のクラスのデモデイの部分を土壇場でバーチャルに変更。そのため、デモデイの主要な部分を取りやめてしまった。ライブピッチの代わりに、2020年冬クラスの各企業は1枚のスライドと会社の簡単な説明文を使ってピッチを行った。

YCは今回は明らかに準備に時間を割いていたようで、実際のイベントと同じようにデモデイを体験することができた。わずか60秒の驚くほどの速さで行われた一連のライブピッチで、各企業は投資家、メディア、創業者仲間の聴衆に向けて事業の要点を紹介した。

この記事では、本日発表された各企業について登壇順に41〜60社目までを紹介する。

SockSoho
インドのユニクロを目指す消費者直販型の衣料品会社。現在はメンズドレスソックスに特化した商品を展開している。注文の大半はWhatsApp上で処理されており、創業者のSimarpreet Singh(シマープリート・シン)氏によると、同社のMRR(月次経常収益)は15万ドル(約1600万円)、マージンは70%に達しているという。

HumanLoop
難解なデータセット上で自然言語処理に注釈を付け、トレーニング・拡張するソフトウェアを構築。このスタートアップは、弁護士、医師、会計士が扱うデータに特化したAIを開発している。通常は、専門業者にデータ処理を頼む必要があるが、同社のサービスを利用することでコストダウンが図れる。

BanditML
誰もが好きなUberのダイナミック・プライシングのようなアルゴリズムを、他社へ提供することを目指すスタートアップ。BanditMLでは、プロモーションをいつどのようにして顧客に送るかを最適化したシステムを構築し、今月だけで100万ドル(約1億600万円)近くのプロモーションを実施した。

Statiq

画像クレジット: Statiq

個人宅やビルにEV充電ポイントを提供し、1つアプリですべてのポイントにアクセスが可能にする。 これまでStatiqは、週500回の充電セッション、1日あたり約70回の充電実績があり、うまくいっているように見える。 同社によると、毎週約10%成長しているとのこと。同サービスの手数料は明らかにされなかったが、Statiqの先週の純収益は1万2000ドル(約127万円)とのこと。 つまり、1回の充電あたり2ドル程度の手数料を取っているようだ。 Statiqは「インド政府の政策によってEV充電ポイントが市場により多く導入されるだろう」と述べた。人々を呼び込もうとしているスタートアップにとってはいい流れだろう。

Rally
新型コロナウイルスの感染蔓延により、Zoomは友人と連絡を取り合おうとしているウェブユーザーにとって必要なツールであることが判明した。 Zoomはもともと企業向けだが、Rallyはコミュニティのために作られたビデオチャットプラットフォームだ。 このアプリはブレイクアウトルーム(会議の参加者をグループ分けして議論できる機能)を進化させ、「近くで」起こっている会話の一部をかすかに耳できるようにすることで、雑談体験を再現しようとしている。

Jemi
コンテンツ制作者がファンに体験談(ビデオ通話やシャウト)や商品を販売するためのプラットフォーム。 取引の15%を手数料として徴収しており、現在のところGMV(総売上金額)は1万7000ドル(約181万円)程度で、週比で30%の成長を見せているという。

In Stock
新型コロナウイルスの流行で地元の小売店がシャッターを下ろしたままになっている中、In StockはAmazonプライムに勝るとも劣らない配送サービスを提供したいと考えている。 具体的には、小売店がAmazonプライムよりも安い価格で、当日配達を提供するのを支援する。カリフォルニア州のサンタクルーズで6週間前に創業したIn Stockは、ユニットの経済性にも優れている。In Stockは現在1日10件の注文を処理しており、創業者のIan McHenry(イアン・マクヘンリー)氏はAmazonを恐れていない。

KeyDB
インメモリデータベースのRedisよりも「最大5倍高速」なNoSQLデータベースを開発。現在月間4万件のダウンロードがあり、初期の顧客としてHP Enterpriseを挙げている。

Kingdom Supercultures
微生物は何千年もの間、ビールやチーズ、コンブチャ(紅茶キノコ)、ワインの製造に役立ってきた。 Kingdom Superculturesは、これらの既存の微生物を利用して新しい「微生物コミュニティ」を設計し、全米の食品ブランドがかつて存在したことのない食品を作り出すことを支援する。現在、健康で持続可能な食品開発に焦点を当てたブランドに技術を供与している。

OpenBiome
排泄物の血液バンク的なサービスを展開。糞便注入によって体内の細菌のバランスを回復させることで、特定の感染症の治癒に役立つそうだ。OpenBiomeによると、これまで5万5000人の患者を治療し、おそらく数千人の命を救ってきた世界最大の移植プロバイダーだという。同社は1500万ドル(約15億9660万円)の収益を上げる持続可能な非営利団体であり、新しい治療法への拡大を目指している。

MilkRun
都市部に住む人々と乳製品や農産物などの地元の食品につなげるサービスを展開。 MilkRunは、シアトルに照準を合わせるまで、ポートランドでは月に42万5000ドル(4523万円)のGMV(総売上金額)を達成している。この北部の雨の多い都市で最初の6週間のMRR(月次経常収益)を6万2000ドル(約660万円)に増やした。Amazonのジェフ・ベゾスCEOの名言である「あなたの利益はAmazonのチャンスである」に倣い、MilkRunは現在食品に費やされているコストの大部分は包装と流通で「効率の悪さがチャンスである」と語った。

Thndr
中東版Robinhood(証券取引手数料がゼロの証券取引アプリ)を目指している。Thndrの無料アプリを利用することで、ユーザーは株式や債券、ファンドに手数料無料で投資できる。 Robinhoodは米国の取引所で一世を風靡したが、中東の投資家にはいまのところ注目されていない。Thndrは中東の投資家にRobinhoodのような成功を再現することを目指している。

Mesh
従業員が作業内容を共有したり、お互いの進捗状況を確認したり、フィードバックを共有したりすることができるソーシャルネットワークサービスを提供。 現在、従業員10人未満のチームには無料で、それ以降は従業員1人あたり月額5ドルからのプランを提供している。現在、8社の企業と実証実験を進めている。

KiteKRAFT

企業にとってより実行可能な風力発電システムを構築することを目標に、空飛ぶ風力タービンを開発している。 KiteKRAFTの風力タービンは、従来の半分のコスト、10分の1の材料で、幅7フィート(約2m)のプロトタイプをすでに飛行させているという。最初の使用例は、マイクログリッド、つまり通常はディーゼル発電機や太陽エネルギーで電力を供給する小規模なエネルギーネットワークとなる。

kSense
企業は社内で大量のデータを収集・処理する必要があるが、多くの場合は外部の業者の協力が不可欠だ。しかし、これは必ずしも実用的ではない。kSenseはオープンソースのコアを使って内部でデータ収集を行うためにこのツールを構築している。

Blissway
通行料の支払い方法は不便で、料金支払いのために立ち止まるのはさらに面倒。Blisswayは米国での料金支払いプロセスを改善したいと考えている。現在の料金支払いシステムは、ハードウェアが90%、ソフトウェアが10%。同社は「何カ月もかけて世界中を走る高速道路」に展開可能なソリューションを提供し、課金ハードウェアから顧客への請求まで、あらゆるものを処理することを計画している。

Gilgamesh Pharmaceuticals
ADHDや気分障害、オピオイド障害、うつ病などのさまざまな病気の治療に抗精神病薬を使用することを目指す医療技術企業。

inSoma Bio
乳房再建などの手術で形成外科医が脂肪を「再構築」するのを助けるゲルに焦点を当てたバイオマテリアル企業。inSoma Bioによると、このジェルは脂肪の体積を2倍にすることができ、インプラント(シリコン製人工乳房)をなくせる可能性があるという。

Future Fields
研究室で生産された肉や他の肉の代替品、いわゆる細胞農業は製造コストが高いため、消費者が購入できる価格に抑えることが難しい。Future Fieldsは、商業農業が進めている現状よりもコスト効率が高く、拡張性の高い細胞増殖培地製品を販売している。

Flat
ラテンアメリカで家の売買を手掛けるスタートアップ。 低価格で購入し、修理して高価格で販売している。これは実証済みのモデルだが、ラテンアメリカでは2倍の収益性があると創業者は主張している。メキシコ版Opendoorを目指すFlatは、Opendoorの創業者の支援も受けており、2500万ドル(26億5900万円)の借入枠を確保して事業規模を拡大している。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Y Combinatorの2020年夏のデモ・デイ1日目の98社を紹介(その2)

米国時間8月24日は、Y Combinator(YC)の2部構成の「Summer 2020 Demo Day」の一部で、100社近くの企業が初めて世界に向けて自分たちの取り組みを披露した。

2020年夏のデモデイは、YCのコホートとしては初の完全リモートとなった。新型コロナウイルスの感染拡大の深刻さが3月に明らかになったことを受けて、YCは2020年冬のクラスのデモデイの部分を土壇場でバーチャルに変更。そのため、デモデイの主要な部分を取りやめてしまった。ライブピッチの代わりに、2020年冬クラスの各企業は1枚のスライドと会社の簡単な説明文を使ってピッチを行った。

YCは今回は明らかに準備に時間を割いていたようで、実際のイベントと同じようにデモデイを体験することができた。わずか60秒の驚くほどの速さで行われた一連のライブピッチで、各企業は投資家、メディア、創業者仲間の聴衆に向けて事業の要点を紹介した。

この記事では、本日発表された各企業について登壇順に21〜40社目までを紹介する。

GitDuck
開発者のために作られたビデオチャットツール。 開発者のIDE(統合開発環境)に直接接続して、リアルタイムのコード共有や、開発者同士がリモートでコードを共有できるようにする。 料金は開発者席1席につき20ドル。

Hannah Life Technologies
妊娠に悩むカップルがクリニックを訪れることなく、自宅で妊娠できるように支援したいと考えている、Hannah Life Technologiesは。妊娠のチャンスを3倍できるというセックス中に使える小さなデバイスを販売している。 来年にはFDA(米食品医薬品局)の認証を得られる製品の開発を目指している。

Hellosaurus
YouTubeが子供向けコンテンツの収益化を難しくしている中、次の一歩を踏み出そうとしているクリエーターはたくさんいる。Hellosaurusは、子供向けのインタラクティブなビデオプラットフォームを開発するために多くの企業と契約を締結している。この市場は競争が激しいものの、トリビアビデオゲームのHQ Triviaの前製品責任者と優秀なクリエイターが揃えば、30億ドル(約3185億円)の市場の一部を切り取ることができるかもしれない。

Jika
平均的なShopifyの販売者が価格テストできる環境を提供。 大手オンライン小売業者は価格設定を担当するチームを社内に持っているが、小規模なShopifyの売り手の多くは、価格をまったく変更していない。Shopifyの直近の四半期からわかるように、Jikaのサービスの潜在的な市場はかなり大きく、急速に成長している。現在のJikaのMRR(月次経常収益)は1000ドル(約10万6000円)以下と小さい。しかし、小さな種から大きな木へJikaがShopifyの売り手市場でどれだけ早く足跡を伸ばすことができるか期待したいところだ。

Minimall
ヨーロッパのPinduoduo(拼多多、中国の大手ECサイト)を目指しており、小売の中間業者を排除して消費者に安い商品へのアクセスを提供することを目的としたEコマーススタートアップ。 同社はフェイスマスクを作ることから始め、3カ月で45万ドル(約4780万円)相当の在庫を動かした。

Hellometer
市販のカメラを使用して、ファストフード店のオーナーがどれだけ早く顧客にサービスが提供されているかを分析するのに役立つツールを開発。 現在は2か所でテスト中で、さらに300カ所でテストする計画があるとのこと。

MedPiper Technologies
医学部や政府と協力して、インドで資格を持った医師や看護師の最大のデータベースを構築。 病院に毎月の購読料を請求しつつ、このデータベースを活用して医療専門家を募集し、欠員を迅速に採用するというビジネスモデル。

Artifact
誰もが永遠に保存しておきたい人や出来事がある。Artifactは「個人ポッドキャスト」の作成を支援するスタートアップだ。プロのインタビュアーがあなたの祖父母などと話し、彼らの話を記録に残すことで、あなたの孫が犬の遠吠えなしに昔の話を聞けるようになる。

Charityvest
資産家が寄付をするとき、助成先の分野を指定して公益法人などに寄附する制度であるドナー・アドバイズド・ファンドを利用することが多い。Charityvestによると具体的には「401K(確定拠出年金)やHSA(Health Savings Account、税優遇のある医療用貯蓄口座)など」とのこと。 同社は、企業の福利厚生として、従業員にドナー・アドバイス・ファンドを提供する。 これまでにARR(年間経常収益)で6万5000ドル(691万円)、MRR(月次経常収益)で5400ドル(約57万円)を稼いでいる。 多くの大企業は、従業員の寄付についてある程度のマッチングを実施しており、そこで同社のサービスが生かせるかもしれない。

Eatable
レストランのワークフローに事前注文機能を組み込むことで、電話での注文を紙とペンで済ませる必要がなくなり、業務を効率化できるようになる。

Heron Data
既存のソリューションよりも正確で安価な方法を用いて、フィンテックサービスが銀行取引データを分類・ラベル付けするのを支援するB2B企業。

VoloPay
東南アジアで、企業向けのクレジットカードを提供するBrexのような事業の展開を計画しているスタートアップ。 承認、請求書の支払い、経費、会計の自動化をすべて1つのプラットフォームで実現しようとしている。 企業のクレジットカードによる支払いを合理化し、3カ月間でユーザーは9万ドル(約957万円)を利用している。

LendTable
401Kに企業負担を加えることは資金を節約する素晴らしい方法だが、給料受給者はその収入から支出する余裕はない。LendTableは、財務上の従業員給付のコストをカバーするために現金の前貸しを提供し、将来的には単一の利益分配のかたちで支払いを受けられるようにする。約3000万人の従業員がこの投資機会を利用していないので、大きな市場になる可能性がある。

Zuddl
大企業向けのカンファレンスをオンラインで開催することを目的としたスタートアップ。 出席者1人あたり5ドルを請求し、すでに数千人の参加者を集めたカンファレンスを主催した。競合のHopinなどと少し似ているが、Zuddleはブースやチャットのためのロビーなどを再構築したいと考えている。約1カ月で5万4000ドル(約574万円)の収益を上げたことで頭角を現し、年率換算すると大規模なスタートアップの1つになりつつある。

OpenUnit

画像クレジット:OpenUnit

セルフストレージ(トランクルーム)での支払いや顧客のアカウントを管理するための建物管理ソフトウェアを開発。 あらゆる規模のトランクルーム向けに設計されており、これらの顧客のあらゆるニーズに対応したシステムを提供することを目指している。 以前にTechCrunchでも紹介している

Ready
地域のISP(インターネット・サービス・プロバイダー)が全国規模の大手チェーンに対抗するためのツールを構築。テレビやVoIPなど厳選されたプロバイダのサービスを顧客にバンドルして、クロスセリングを可能する。 現在5つのISPと協力しており、MRR(月次経常収益)は20.5万ドル(約2180万円)。

Hubble
データの品質を手動ではなくソフトウェアで自動的に追跡するツールを開発。具体的には、企業のデータウェアハウスのエラーや欠落した情報を監視し、社内のエンジニアは他の作業に時間を割くことができる。 この会社は3週間前に創業したばかりだが、すでに3社の顧客がいる。 1社あたり年間1万ドル(約106万円)の売上を見込んでいる。

OrangeHealth
インドには、小規模なクリニックを持つ何十万人もの医師がいるが、オンライン相談やその他の遠隔医療サービスには対応していない。OrangeHealthは、オンラインサービスや請求、配送などのインフラの提供を目指している。患者は地元の医師の診断だけでなく、追加料金なしで迅速にオンライン治療も受けられる。

DraftWise
時間がかかり、退屈で、コストがかかる法律の仕事をソフトウェアで支援するスタートアップ。 DraftWiseのサービスを利用することで、信用契約に必要な時間を30時間から10時間に短縮できるという。まだ収益化には至っていないが、いくつかの法律事務所との間で約6通の契約書を交わしており、それぞれが7桁の収益を上げることを予定。年間50万ドル(約5315万円)以上の料金を大手法律事務所に請求する予定だという。DraftWiseは弁護士とビッグデータ分析を専門とするPalantirの元スタッフによって設立された。同社のサービスで費用を抑えることができれば、もちろんそれは問題ない(Palantirは上場申請書で多額の負債が発覚したが)。

Sakneen
米国で成功しているビジネスモデルを国際的に展開することを狙うスタートアップ。エジプト向けのZillow(オンライン不動産データベース)の作成を進めており、すでに同国の新築住宅供給の80%を占めるデータベースを構築している。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

パンデミックの最中に起ち上がったベンチャーファンドの狙うもの

Amit Garg(アミット・ガーグ)氏とSanjay Rao(サンジャイ・ラオ)氏は、職業人としての大半を技術開発とスタートアップの創業、そしてスタートアップへの投資に費やしてきた。これまで彼らはGoogle(グーグル)、Microsoft(マイクロソフト)、HealthIQそしてNorwest Venture Partnersなどに在席してきた。

10年以上も続いている2人の友情の中で、ベンチャーファンドの立ち上げが話題になったことは何度もあるが、やっと今良いタイミングが訪れた。2019年8月以来、2人は彼らが始めるファンドであるTau Venturesの資金集めをしてきた。

ベンチャーの名前は、2人の名前と同様に少々風変わりだ。Tauには円周率の倍という意味があるが、それを2人のパートナーシップの名前として選んだのは、初期段階の投資には分析的なアプローチで臨むという同社の姿勢を表すためだ。

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの中にベンチャーファンドを立ち上げるのは一見すると奇妙だと思われるが、ガーグ氏とラオ氏にとってはヘルスケアやオートメーション、そして一般企業における機械学習アプリケーションへの初期段階の投資は、今こそが逃すことができない好機だ。

ガーグ氏はシリコンバレーで20年を過ごし、グーグルで仕事をしたりHealthIQのような企業を立ち上げた。その間、彼が貯め込んだポートフォリオの中には自動運転企業のNutonomyやBioBeatsGlookoCohero HealthTerapedeFigure1HealthifyMeHealthy.ioRapidDeployなどがある。

一方、ラオ氏はカリフォルニア州パロアルトの生まれでMIT出身。マイクロソフトのプロダクトマネージャーを務め、パロアルトでアクセラレーターであるAccelerate Labsを立ち上げた。その彼によると、シリコンバレーで経営者として苦労した数十年間で学んだことの中で最も重要なことは、起業家への報酬だという。

画像クレジット:Tau Ventures

Basis Set VenturesSignalFireTwo Sigma Venturesなど、両氏はこのところ機械学習にフォーカスしたファンドが増えていることを認識している。しかしこれらの企業には自分で実際に創業した経験がないという点において2人と決定的な違いがある。

例えばガーグ氏は、インドで実際に病院を作った経験があるため、ヘルスケアというビジネスについて詳しい。また投資家としては、Nutonomyでエグジットも経験している。特に2人は、エンタープライズ市場をよく理解しており、中でもセキュリティに強い。

これまでTau Venturesは、オートメーションへの投資を3回、エンタープライズソフトウェアへの投資を同じく3回、そしてヘルスケアの5社に投資している。

同社が現在管理している資本は1700万ドル(約18億円)で、法律事務所のWilson Sonsiniのような機関投資家から調達している。また、数え切れないほど多くの家族オフィスや個人も、同社への投資者だ。

資本の多くは、パンデミック後に獲得している。「資金調達を始めたのは2019年8月29日だが、最後のクローズは5月29日だった」とガーグ氏はいう。

彼らの考え方では、ファンドをそろそろクローズして、それらの資本を実際に動かしていくことが重要だ。今多くの投資家が既存のポートフォリオの整理に終われ、資本を動かせないでいるため、チャンスでもある。

「この前の投資は、ZoomとGoogle Meetだけで行なった」とラオ氏はいう。

バーチャルな環境は、同社の株主総会やカンファレンスでも利用され、後者では1000名以上が参加したものもあるという。

カテゴリー:VC / エンジェル

タグ:Tau Ventures

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Y Combinatorの2020年夏のデモ・デイ1日目の98社を紹介(その1)

米国時間8月24日は、Y Combinator(YC)の2部構成の「Summer 2020 Demo Day」の一部で、100社近くの企業が初めて世界に向けて自分たちの取り組みを披露した。

2020年夏のデモデイは、YCのコホートとしては初の完全リモートとなった。新型コロナウイルスの感染拡大の深刻さが3月に明らかになったことを受けて、YCは2020年冬のクラスのデモデイの部分を土壇場でバーチャルに変更。そのため、デモデイの主要な部分を取りやめてしまった。ライブピッチの代わりに、2020年冬クラスの各企業は1枚のスライドと会社の簡単な説明文を使ってピッチを行った。

YCは今回は明らかに準備に時間を割いていたようで、実際のイベントと同じようにデモデイを体験することができた。わずか60秒の驚くほどの速さで行われた一連のライブピッチで、各企業は投資家、メディア、創業者仲間の聴衆に向けて事業の要点を紹介した。

この記事では、本日発表された各企業について登壇順に20社を紹介する。

Seam

画像クレジット:Seam

ドアのロックを解除したり、エレベーターを呼び出したりといった機能を備えるアプリを開発者が構築できるようにするためのハードウェアハブを備えた、住宅や建物のためのAPIを開発。現在、5件の実証実験中だ。

Evergreen
従業員が備品やサービスを購入を依頼し、承認を追跡するためのB2B向けデジタルソリューション。多くの企業は部署単位などで購入を行っており、Evergreenのサービスは、さまざまなツールを管理する必要がある企業向けに構築されている。

Farmako Healthcare
インドでは100万人の医師がいまだに紙のカルテを使用している。Farmakoは、医師がオンラインで簡単に処方箋を書いたり、患者を診察したり、記録を一元管理したりできるように、電子カルテへの移行を支援することを目的としている。

PolyOps
返品、配送、顧客獲得費用の可視化など、Eコマース運営の分析を提供するSaaSビジネスツール。PolyOpsは、Eコマースをより効率的なものにしたいと考えている。同社によると、すでに15ブランドが参加しており、合計で3500万ドル(約37億円)のGMV(総売上金額)を獲得しているという。あらゆる種類の商取引が変化する中で、PolyOpsは世界を少しでも理解しやすくしようとしている。これは正しい道のように思える。

Adyn
米国の女性が副作用を最小限に抑えるために、どの避妊方法が自分の体に最も適しているかを判断するのに役立つテスト環境を構築。同社によると、4900万人以上の米国女性が避妊の副作用に悩んでいるという。ユーザーがテストを提出すると、同社は推奨事項を提供し、専門家に接続してオプションを議論することができる。

Akiflow

画像クレジット:Akiflow

Eメール、Google Drive、Slack、Asanaなどにまたがるクイックショートカットコマンドを構築するためのコマンドラインスタイルのツール。Windows、macOSで利用可能。現在2000人のユーザーがウェイトリストに入っている。

Inspectify
不動産業者が住宅販売業者の検査を調整するのを支援するソフトウェア会社。修理から保険まですべてのホームサービスの仲介者として機能するマネージドマーケットプレイスに成長させるのが目標だ。

Bikayi
インド市場の消費者にとっては、米国とは異なる消費者の習慣があり、Shopifyなどのツールはあまりマッチしていない。例えば多くの購入はウェブではなくWhatsAppを介して行われている。家族経営の企業がペンと紙を使ってオンラインでの注文を処理しているのを見てBikayiのアイデアを思いつき、WhatsApp経由のEコマース構築・分析サービスを開発している。

Atomic
他のプラットフォームが投資口座を自社製品に簡単に統合できるようにするフィンテックAPIを提供。最近は多くのフィンテックサービスがVenmoやApple Payのように現金を保有できる。Atomicでは、その資金を投資に回すことが可能だ。いくつかの企業がAtomicのサービスを利用して約3億ドル(約318億円)のAUM(運用資産残高)を実現し、同社は150万ドル(約1億5900万円)のARR(年間経常収益)を得た。当座預金口座のあとは、投資口座への対応を考えているようだ。

Blue Onion Labs
企業が複数のシステムにまたがる金融取引データを分析するための支援APIを提供。Blue Onion LabsのAPI統合スイートは、会計チームが抱える大きな問題点を解決することを目的としており、入ってくる取引の全範囲を理解するための「真実の単一ソース」として機能する。

Fancy
コンビニエンスストアの商品を30分以内に配達するサービス。現在は英国を中心に展開中。既存の店舗から商品をピックアップするのではなく、独自の「ダークストア」を運営することで利益率を高めている。

BukuWarung
インドネシアの加盟店向けのマイクロ会計アプリ。インドネシアの小規模店舗が支払いやクレジットをビジネスに利用できるようにするアプリを開発中。現在、月間35万人の加盟店が利用している。

CoreCare
何百もの保険会社、医療提供者、政府機関の間でデータのやり取りをすると、年間数十億ドルのコストがかかり、治療が遅れる可能性もある。CoreCareは、関係各者で患者データを同期させ、エラーを防ぎ、コストを節約するシステムを構築している。

HotPlate
フリーのシェフが自宅で料理を作り、それを販売・配達するのを支援するサービス。最初の8週間で10人のシェフを確保しており、総取引量(GMV)で約1500ドル(約15万9000円)を稼いでいる。HotPlateはその合計の15%を手数料として徴収する。HotPlateは「新型コロナウイルスの感染蔓延が世界を変え、今では誰もがレストランで調理された料理ではなく、家庭料理を求めるようになった」と主張している。現在の小さなGMVを考えると時間が経つにつれて数字がどうなっていくのか興味深い。おそらく注文数は増えるだろう。

ChatPay
WhatsApp専用のチャットチャンネルを作成できるプラットフォームを構築。メンバー管理を通じてプラットフォームを収益化する。

Electry
整備士や電気技師を雇用するためのツールで、Electryでは「熟練したブルーカラー労働者のためのLinkedIn」と表現。チームによると現在は月あたり7500ドル(約80万円)の利益を上げているという。

Clew

画像クレジット:Clew

Google Docs、Figma、Github、Dropboxなど、非常に多くの異なるクラウドベースのプラットフォームのアプリケーションを、ファイリングシステムとして機能する単一ストリームのプラットフォームに効率化することを考えている。これまでのところ、Clewは85人の有料顧客がおり、年間50ドルのサブスクリプション料を徴収している。

Arist
安全や人種差別防止のためのコースなどの従業員トレーニング教材は、通常ビデオやスライドショーだ。Arist は、このようなトレーニングをインタラクティブなテキストメッセージで実施している。「これは現在のユーザーにとっては、より速く、より自然な形で、より高い修了率につながる」と同社は主張する。すでにいくつかの大口顧客がおり「すぐに収益を上げることができるだろう」と説明していた。

Decentro
API経由で米国の銀行口座情報から取引・ID・認証・残高・保有資産などの情報へアクセスできるPlaidのような銀行統合のためのAPIをインド向けに提供。今年の初めにPlaidが数十億ドルで売却されたことはすべてのVCの頭の中に残っているので、この比較は魅力的なものになるかもしれない。Decentroはまだ小規模で、総取引量(GTV)は約100万ドル(約1億600万円)、月次経常収益(MRR)は約7000ドル(約74万円)。現在同社の顧客はまだ4社だが、45社以上とのパイプラインを持っていることを考えると事業は順調に推移しているようだ。

Drapr

画像クレジット:Drapr

オンラインで買い物をする人が、自分の服がどのように見えるかわかるようにするソフトウェアを開発。同社のオンライン試着ウィジェットは、買い物客が自分の体型、身長、体重に合わせて調整できるカスタマイズ可能な3Dマネキン上で、シャツや他の衣類のアイテムがどのようにフィットするかを確かめられる。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

第2四半期の資金調達データから見る2020年後半の見通し

著者紹介:

Russ(ラス)氏は、DocSend(ドックセンド)の共同創立者兼CEOである。彼は彼自身のスタートアップ企業であるPursuit.comの買収を機にFacebook(フェイスブック)のプロダクトマネージャーに転身した経歴を持つ。Dropbox(ドロップボックス)、Greystripe(グレイストライプ)そしてTrulia(トゥルーリア)でもキャリアを積んでいる。ラス氏についての詳細は、@rheddlestonおよび@docsendからフォローいただける。

今年の資金調達市場の動向は誰も想定できなかったと言っても過言ではない。2019年の落ち着いた動きとは異なり、今年の初めは2018年同様に大好調なスタートとなる傾向が見られた。しかし、3月以降はVCや創設者のための明確なロードマップが無くなってしまった

我々は、2020DocSend Startup Indexの3つの主要データ指標を追跡し、資金調達市場の動向をリアルタイムで監視している。DocSendプラットフォームにおけるピッチデックでの何千ものやり取りから取得した集計データそして匿名データを使うことで、市場における需要と供給そしてピッチデックでのやり取りの品質を追跡できるのだ。

主な指標は、Pitch Deck InterestおよびFounder Links Createdの2つである。これらは、ピッチデックに関わる活動を測定するもので、資金調達市場の今後の動向を示す重要な指標となる。関心がピークに達すると、資金提供の量は数か月後に増加する傾向にある。Pitch Deck Interestは、プラットフォームで毎週実施される各創設者とのピッチデックのやり取りの平均数によって測定され、これは、需要に対する優れたプロキシである。

Founder Links Createdとは、毎週創設者がデックに作成している一意のリンク数である。DocSendで創設者がドキュメントを送信すると、その送信先の投資家に一意のリンクが付与されるため、創設者が1週間にデッキを共有している投資家の数を調べることにより、これを供給のプロキシとして使用できる。

我々が確認した第2四半期の傾向と今年後半への影響を以下にまとめた。

VCは投資先を求め品定め中である

VCの関心は、前四半期と比較して全面的に過去最高となっている。パンデミックが宣言され、自宅待機の指示が出されてから数週間の間に関心は元に戻った。しかし、関心がパンデミック前のレベルに戻った後、驚くべきことが起きた。上昇し続けたのである。実際、今年のVCの関心の上位10週間はすべて第2四半期が占めている。全体的に述べると、関心は前四半期比の21.6%そして、前年比の26%まで上昇している。これはつまり、VCが過去2年間のどの時期よりも多くのピッチデックを閲覧しているということを示している。

春の終わりから夏にかけてVCの関心が落ち、8月の最後の2週間で底を打つというのが従来の流れであるにもかかわらずである。春に来る初めのピークの後、VCの関心は通常10月まで回復しない。

しかし、現在VCが多くのデックとやり取りしている様子が見て取れるだけでなく、我々はこのようなやり取りの質を判断することもできる。VCがデックを読むのに費やす時間を測定するのである。以前の調査結果によると、ピッチデックでのやり取りの平均時間は、3分半以下であることが分かっている。しかし、第2四半期では、VCがデックを読むのに費やす時間は、着実に短くなっており、四半期の終わりに向かけては、2分を切った。 つまり、VCがデックの査読にあまり時間をかけていないことが分かる。要するに、VCは自分が何をしたいか知っていて時間を無駄にしたくないか、デックを詳しく読む時間を削減し、Zoomでの電話会議で創設者から話を聞くことを選んでいることになる。

創設者にとっては、簡潔なデックを用意するということが以前より重要になっているのである。スライドは20枚以下に留め、送信済みのデックに追加で補遺資料を送るのはやめるべきである。スライドは簡潔で十分考えられた内容にする(送信済みデックをまとめる方法を記したガイドをこちらでお読みいただきたい)。

ピークを迎えたショッピングシーズンに、依然としてVCとのミーティングに持ち込めない場合は、資金調達戦略を変更することを検討すべきである。

創設者のタイムラインに変化が

直近の四半期において、創設者が送信したリンクの数が明らかに急増している。第 1 四半期に比べ、第2四半期で創設者が送信したデックリンクは、11%上回っている。しかし、興味深いのは、3つの個別の状況において、作成されたリンク数が、2019年の数字を下回っていることだ。つまり、不安定な時期に創設者が急いでデックを送信していた一方で、彼らが送信を控えていた週も多くあったことになる。

この矛盾は、いくつかのことを物語っている。1つ目は、創設者が資金調達活動を短縮した可能性が高いことである。今年の初めに我々が行った調査によると、平均的なプレシードラウンドは完了までに3か月以上かかることが分かっている。パンデミックの最中に資金を調達する人々にとって、3か月は一生のように感じるられるだろう。これは、予定が詰まったVCとの会議を設定するプロセスが原因なだけでなく、潜在的な投資家からフィードバックをもらい、デックを作成し、新しいターゲットに送信するという繰り返しのプロセスが原因でもある。世界的に先行きが不透明な中、多くの創設者たちが、資金調達活動を数週間に留めることで、事業から離れる時間を短縮しようと判断する可能性は高い。

2つ目は、パンデミック初期に大幅なコストカットを行ったために、多くの創設者たちにとって予想よりランウェイが長くなったのである。最近行った調査によると、50 %近い創設者が資金調達活動を前倒し、または遅らせることでそのタイムラインを変更したことが分かっている。創設者は、自社の評価を維持するために、不安定な資金調達市場を避けるという判断をする余裕があったのである。

3月に生じるはずであった関心の代替以上のものがみられる見込み

3月に生じた混乱により、4月と5月始めの資金調達市場での動きが鈍化することは簡単に予測できた。しかし関心は持続しているため、特に季節性を考慮すると、これが依然として当てはまるとはいい難いだろう。第2四半期の最後の週では、2019年と比較して、37%、2018年と比較して18%関心の増加がみられた。資金調達における活動レベルでは、明らかにニューノーマル(新しい日常)の時代に入っている。

評価が変動する一方で、VCが投資先を求めて品定めをするのは明らかである。理由は、2008年の金融危機を調べれば一目瞭然である。危機から生まれた企業は、大規模かつ大胆な解決策を必要とする現実的で体系的な問題に取り組む傾向がある。またパンデミックにより、取り組む価値のある多くの社会的問題が表面化した。

現在の傾向から見る第3および第4四半期

VCが投資先を求めて品定めをすることが明白で、またこれが今年の初めの関心を代替するものではないことが明白である場合、これは将来的に何を意味するだろう?創設者は通常、夏の終わりごろ活動を活発化させ、秋ごろにVCの関心がピークに達する。創設者の活動は増減しているが、VCの関心は安定して上昇してきており、つまりこれは資本を展開するための累積需要が依然としてあることを示している。また数か月後には、資金調達を遅らせた多くの創設者が市場に参入していくのを目の当たりにするはずである。パンデミックの状況が悪化した場合は、資金調達活動を来年にしてタイムラインを繰り上げる創設者も見られるかもしれない。

現在のレベルの関心がVCのニューノーマルを表していると考えると、秋ごろに関心の増加がみられると予測される。また、初秋から晩秋にかけてさらに多くの創設者がオンラインでの活動を始めると、その累積需要は市場をより活発にするはずである。創設者の方々には、投資家の関心の上昇、そして少なくとも1回目のピッチ会議を持つための競争が沈静化している現在の状況を有効活用し、今すぐ資金調達を始めることをお勧めしたい。

関連記事:買い手の視点でスタートアップを経営する

カテゴリー:VC / エンジェル

タグ:コラム

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(翻訳:Dragonfly)

三菱UFJリサーチ&コンサルティングが「MURCアクセラレータLEAP OVER」第4期参加スタートアップを募集

三菱UFJリサーチ&コンサルティングが「MURCアクセラレータLEAP OVER」の第4期募集を開始

三菱UFJリサーチ&コンサルティング(MURC)は8月24日、「持続可能な地域社会をビジネスで実現すること」を目指すアクセラレータプログラム「第4期MURCアクセラレータLEAP OVER」の参加募集を開始した。募集締め切りは10月23日。

また募集にあたり、第1回説明会(9月17日17:00開始)および第2回説明会(9月24日17:00開始)をオンライン(Zoom)で開催。申し込みは第4期LEAP OVERページより行える。

同プログラムにおいてスタートアップ企業は、三菱電機株、また地方創生に取り組む自治体に協力するとともに、MURCとのオープンイノベーションの実現も目指す。

また今期より、グローバル展開を希望するスタートアップのサポートを強化するため、オックスフォード大学の産学連携機関Oxford University Innovation、欧州最大級のアクセラレータプログラムStartupbootcampと連携して支援を進める。

第4期のテーマは、「POST-COVID-19に求められる価値を提供すること」。「Ⅰ.ライフ」「Ⅱ.ワーク」「Ⅲ.コミュニティ」の3つのグループでスタートアップ企業の募集を行う。

参加資格は、AI・IoT・Roboticsなどの技術を有し、プログラム期間中にサービスまたはプロトタイプを作成する能力があること(外部のリソース活用も可)、ブートキャンプ(bootcamp)兼2次選考、キックオフなどのイベントに原則代表者が参加すること、2次選考時点において、決算書(2期分)、履歴全部事項証明書を提出できることなど。

  • AI・IoT・Roboticsなどの技術を有し、プログラム期間中にサービスまたはプロトタイプを作成する能力があること(外部のリソース活用も可)
  • ブートキャンプ(bootcamp)兼2次選考、キックオフなどのイベントに原則代表者が参加すること
  • 2次選考時点において、決算書(2期分)、履歴全部事項証明書を提出できること
  • 反社会的勢力に該当しないこと
  • ビジネスプランが公序良俗に反していないこと

選考を通過したスタートアップに対しては、12月より約4ヵ月間、具体的な事業化に向けた支援を実施。スタートアップの事業提携・資金調達を目指し、パートナー企業や協力自治体に実証フィールドの提供などを通して協力する。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングが「MURCアクセラレータLEAP OVER」第4期参加スタートアップを募集開始

また参加メリットとしては以下4点を挙げている。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングが「MURCアクセラレータLEAP OVER」第4期参加スタートアップを募集開始

国内アクセラレーター9団体が気軽に担当者に質問・相談できるバーチャルオフィスを8月27日・31日に共同開設

国内アクセラレーター9団体が気軽に担当者に質問・相談できるバーチャルオフィスを8月27日・31日に共同開設

ヤフーのCVC(Corporate Venture Capital)「YJキャピタル」と、日本・東南アジアで最大級のシードVC「East Ventures」運営のアクセラレーターCode Republicは8月21日、国内アクセラレーター8団体と共同でバーチャルオフィスを開設し、オフィスアワーを開催すると発表した。

開催日時は、8月27日、8月31日のそれぞれ15-17時。各アクセラレーターの担当者にプログラム内容や事業内容、応募条件などを質問・相談できる。

オフィスアワーが開催されるバーチャルオフィスは、ウェブブラウザーを通じて誰もが自由に入室可能。バーチャルオフィスには、各アクセラレーターのブースがあり、参加者はアイコンを移動して、各アクセラレーター担当者へ気軽に質問や相談をしたり、他の参加者との会話を聞ける。

他の参加者に聞かれたくない場合は専用の会議室で話すことも可能。担当者が不在の場合は待機スペースで待つと、順番に声をかけていくという。

国内アクセラレーター9団体が気軽に担当者に質問・相談できるバーチャルオフィスを8月27日・31日に共同開設

バーチャルオフィスは、Open Network Lab第21期のNIMARU TECHNOLOGYが提供するOvice(オヴィス)を活用。参加者同士のアイコンの距離に応じて、音量が上下するため、オフラインのイベント同様のコミュニケーションを楽しめる。ボイスチャットだけでなく、ビデオ通話や画面共有など多様なコミュニケーションが可能。

  • バーチャルオフィスURL: https://godou-accelerator.ovice.in/
  • 参加方法: ウェブブラウザーで上記URLにアクセスし、氏名・メールアドレスを入力し入室
  • 8月27日15-17時: IBM BlueHub、青山スタートアップアクセラレーションセンター、AI.Accelerator、Open Network Lab、Code Republic、東急アクセラレートプログラム、集英社スタートアップアクセラレータープログラム マンガテック、LEAP OVER
  • 8月31日15-17時: IBM BlueHub、青山スタートアップアクセラレーションセンター、Open Network Lab、Code Republic、G-STARTUP、東急アクセラレートプログラム、集英社スタートアップアクセラレータープログラム マンガテック、LEAP OVER

現在国内には70以上のアクセラレータープログラムがあり、起業初期の仮説検証を支援するシードアクセラレーターや、企業のアセットを活用して事業成長を支援するスケーラレーターなど、事業ステージや業種に応じて多種多様なプログラムが存在しているという。

近年、アクセラレーターは増加傾向にある一方、各プログラムや各プログラム独自の提供価値については、まだまだ認知が広がっていないとしている。さらに、新型コロナウイルスの影響により、従来のような説明会や気軽に相談できる機会も減少している。

今回バーチャルオフィス上で一度に複数アクセラレーターに気軽に相談できるオフィスアワーを開催することで、スタートアップに対して、自社に適したプログラムを知る機会を提供、1社でも多くのスタートアップの事業成長に貢献したいとしている。

  • IBM BlueHub(日本IBM): 日本IBMが推進しているスタートアップとの共創プログラム。先進テクノロジーの活用支援やIBMの顧客企業とのオープンイノベーション、ベンチャーキャピタルからのメンタリングなどを通じて、スタートアップと共に新たなビジネスの創出を目指す。
  • 青山スタートアップアクセラレーションセンター(ASAC。東京都主催、デロイトトーマツベンチャーサポート運営受託): 創業予定者や創業間もないスタートアップ企業をアクセラレートすることにフォーカスしたインキュベーション施設。アクセラレーションプログラムの期間は約5ヵ月、シード期の起業家の事業成長にコミットし、プログラム内の経営ノウハウのインプットを目的としたイベント、100人を越えるメンターとのネットワークを強みとする。
  • AI.Accelerator(ディップ): 日本初の「人工知能スタートアップ特化型」アクセラレータープログラム。AIや各事業領域の著名な専門家、起業家など、総勢約30名のアドバイザーと35社のパートナー企業で構成される支援チームがスタートアップの準備段階から約3か月間の支援を行っている。
  • Open Network Lab(デジタルガレージ): 世界へ羽ばたくスタートアップの育成を掲げて2010年にスタートした日本初のアクセラレータープログラム。シード期を対象とするオリジナルプログラムに加え、分野特化のプログラム(Resi-Tech、BioHealth)とエリア特化のプログラム(Hokkaido、Fukuoka)、プログラム卒業後の個別支援やコミュニティ形成を通じて、持続的な成長のための事業のコア作りや大手企業とのオープンイノベーションを支援。
  • Code Republic(YJキャピタル・East Ventures): シード期のスタートアップを対象としてシリーズA達成を目指す4ヵ月間のプログラム。創業資金700万円の提供に加え、毎週開催されるメンタリングやキャピタリスト・起業家を招いたイベントを通じて、アイデアの仮説検証を繰り返し、最短でのPMFを目指す。
  • G-STARTUP(グロービス): 将来日本を代表するベンチャー企業へ成長することが期待されるスタートアップの起業家を採択し、ユニコーン企業を100社輩出するプラットフォーム構築を目指している。プログラムでは、趣旨に賛同いただいた起業家のファカルティとの対談やグロービス経営大学院教員による講座を提供。現役ベンチャー・キャピタリストのメンターによる伴走を通じて、ユニコーンに向けた資金調達をサポートしていく。
  • 東急アクセラレートプログラム(東急): 2015年から開始し、東急グループの主要27事業者が持つ様々なアセットやリアルの顧客接点を活用したスタートアップのサービスの用途開発と社会実装を支援。2018年度から通年応募制へと移行し、24時間365日受け付けている。応募翌月中旬には一次回答を行い、随時事業共創に向けた協議を開始する。
  • 集英社スタートアップアクセラレータープログラム マンガテック(集英社主催、ツクリエ運営): 従来のマンガビジネスにとらわれない斬新な事業アイデアを持つスタートアップと共に、新たなビジネスを生み出すための共創プログラム。従来のマンガビジネスにとらわれない斬新な事業アイデアを持つ方を支援することで、新たなマンガビジネスの誕生に繋げていく。
  • LEAP OVER(三菱UFJリサーチ&コンサルティング): 「持続可能な地域社会の実現」に向け、AI、IoT、ロボティクスのキーテクノロジーを有するシードの「スタートアップ」と、パートナーとして参画する「大企業」、「自治体」の3者の共創によるPoCの実現を目指す、約4ヵ月のプログラム。

買い手の視点でスタートアップを経営する

著者紹介:Tyler Griffin(タイラー・グリフィン)氏は、2012年に消費者向け決済ツールPrism Money(プリズム・マネー)を共同創業した。現在は、Financial Venture Studio(ファイナンシャル・ベンチャー・スタジオ)のマネージングパートナーとしてアーリーステージのフィンテック系スタートアップに投資している

「デュアル・トラック・プロセス(複線戦略)を決して取ってはならない」。

資金の調達と会社の売却という2つのプロセスを並行して実行することについて投資家に意見を聞くと、おそらくこのようなアドバイスが返ってくるだろう。そしてこれは、的確なアドバイスだ。2つのプロセスはまったく異なるうえに、どちらも大変な労力を必要とする。さらに、物事を進める際の優先順位が大きく異なるため、両方のプロセスを同時に首尾よく実行することは不可能に近い。ただし、売却プロセスを進めることと、会社を売りに出すことはまったく異なる。会社を売りに出すことは、会社の経営と資金調達に注力しながらでも簡単にできる。会社を売却する予定がない場合でも、買収側の立場で考えることは、ビジネスの改善につながる場合が多い。さらに、いつかは合併や買収(いずれもIPOよりはるかに一般的な方法)でイグジットすることになる場合でも、今から買い手の視点で考えておけば、イグジットを大幅に早めることができる。

KPIだけの問題ではない

投資家は手段よりも結果を重視する。ビジネスが成長していて好業績の場合、創業者が投資家から経営手法の詳細について尋ねられることはほとんどない。

そのため、売却交渉中に買収側がありとあらゆることについて質問を始めると、創業者は想定外の展開に驚くかもしれない。買収というのは、単に収益源を買うことだけを意味するのではない。チーム、テクノロジー、文化、さまざまな契約関係も買い取ることになる。買い手は、今までに創業者が築いてきたすべてのものを取得しようとしている。業績だけでなく、会社に関するすべてのことに強い関心を持つのも当然だろう。

そのせいで、創業者が腹立たしくなるほど不当な扱いを受ける場合もある。筆者が最初に創業したスタートアップPrism(プリズム)を売却した時も、.NET上に構築したことを厳しく非難する買い手が何人かいた。製品は問題なく動いていたし、収益も安定して伸びていた。技術スタックも効率的で信頼できるものだった。実のところ、こちらが開発したテクノロジーを称賛したかと思えば、その舌の根が乾かぬうちに、同テクノロジーの構築手法をあからさまに批判する買い手も多かった。確かにフェアではないかもしれない。しかし、買い手は、買収対象の会社が生み出している結果だけでなく、その会社のチームと製品を自社に統合する方法も考慮する必要があることを考えれば、まったく当然なことだ。文化、人事採用から、コアタイム、パートナーシップまで幅広い問題について、同じような話を創業者仲間から聞いたことがある。

確かに、常に第一に考えるべきなのは会社の成長だ。しかし、たとえ買い手が出現して質問し始めることがないとしても、自社のビジネスを客観的に見つめることには益がある。組織の中にいると視野が狭くなり、好調なKPIの下で悪化している問題を無視してしまいがちだ。自社を買収する企業の視点で考えることは、問題の早期発見に役立つ。そのような問題点の最も分かりやすい例はセキュリティと会計だが、他にも多くある。発見された問題について何らかの変更を行わない場合でも(例えば、プリズムの売却時に技術スタックを変更することはなかった)、何か異議が唱えられた場合に、正面から取り組むことができるようになる。攻撃はいつでも最大の防御だ。買い手と見解が相違しそうな部分を事前に解消しておけば、その分だけ有利な立場で交渉を進めることができる。

売却交渉の舞台裏

会社の売却は実際にはどのように行われ、事前に準備しておくことでどの程度有利になるのだろうか。売却プロセスには、従来型と「偶然の」出会い型の2つのパターンがある。従来型のプロセスでは、創業者が自社の売却を明示的に表明する。大規模な取引では、投資銀行を使ってプロセスを仕切ってもらうのが普通だ。小規模の取引であれば創業者が自分で取り仕切る傾向がある。いずれにしても、創業者と銀行は買収候補者リストを綿密にチェックして、事業内容をプレゼンテーションする。資金調達のプロセスと同じような感じだ。

出会い型のプロセスはもっと緩やかに進む。買収側が思いがけず興味を示す場合など、本当に「偶然」の出会いのようにプロセスが始まることがある。「偶然の」と角括弧が付いていることには重要な意味がある。創業者は、自社のビジネスの素晴らしさを周囲の人間に何気なく話すことによって、実は潜在的な買い手を探し始めている。中には、このようなアプローチが他より抜きんでて上手な創業者もいるが、ひとたび買い手が本当に関心を示したら、後は通常の売却プロセスと同じだ。売却交渉に競合相手がいないことが理にかなっている環境もあれば、「今は、あの大物と戦うことが前に進む最善の道だ」という言葉が妥当な環境もあるだろう。どちらの環境になってもおかしくない。ほとんどすべての場合において、まずは他の企業が自分の会社の買収に関心を持つようにすることが必要不可欠だ。たとえ最初の買い手に売るつもりであっても、それは変わらない。競り合いになれば売却値が上がり、ほぼすべての事項について交渉を売り手に有利に進めることができるので、たとえ事実でなくても、まるでそれを最初から計画していたかのようにプロセスを進めることが必要だ。

では、「関心」とは何を意味するのだろうか。あいまいな概念だが、通常は、誰か(経営幹部レベルの役職または企業のM&A部門)が代理人を通じて、あなたの会社の買収を検討したいと伝えてきた状態を指す。買い手はこの時、創業者を怖がらせないようにありとあらゆる遠回し表現を駆使する。「親密な関係を構築する」とか、「より体系的で一貫性のある方法で提携する」といった言葉のサラダが並べられる。相手がニューヨークの投資銀行にいたことがある人物なら、テーブルの表面を指でコツコツとつついて意欲をアピールしながら「早速、交渉をまとめましょう」と言うだろう。これらのフレーズはすべて同じこと、すなわち、その人物が代理人を務める企業があなたの会社を買収することを検討している、ということを意味している。

この時点では、企業の全体像を把握するための話し合いが行われる。通常、創業者はここで自社の優れた技術力についていきなり力説するようなことはせず、交渉を有利に進めるためのカード(優れたビジネスモデル、信頼性の高い製品、チームのメンバー間の強い絆、買い手のビジネスにぴったりの製品など)はこちらが持っていることをはっきりと示す。創業者であるあなたと共同創業者、数名の上級エンジニアが買収側企業のオフィスで時間を過ごし、管理部門や生産部門の人間と会って、さまざまな部門がどの程度互いにうまくやっているかを観察する。CEOは買収側のCEO(大企業の場合は部門長)と会って、従業員の福利厚生や買収側企業への移行契約について詳細に議論する。ここでプロからのアドバイスを一つ。「シナジー」とは社員の解雇を意味する。もし、社員の解雇は受け入れられない、という場合は事前のその意思表示を明確にしておくこと。チームの全メンバーを残したいという要望があったとしても、すべての従業員が買収側企業に移ることはめったにない。

最初の数回のミーティングがうまくいったら、次は、交渉プロセスを正式なものにする必要がある。売却のかじ取りをする社内の担当者(CEOの場合もあるが、経営企画部長、部門長、相談役が理想的)を任命すれば、売却取引が成功する確率はぐっと上がるだろう。キーパーソンを1人決めておくと、プロセスが効率的に進むため、創業者は、売却のどさくさのせいでビジネスがさまざまな混乱によってビジネスが破たんすることを防ぐことにのみ集中できる。

このプロセスの初期段階で、Initial Indication of Interest(IOI:初期関心確認書)を買収側に要求してみるとよいだろう。法的拘束力はないが、正直な人物であれば約束を守ってくれる。IOIには、提案された契約の条項、想定される時期、その他の主要契約事項が記載されている。実際はIOIの通りに物事が進まないことも多い。しかし、売却側と買収側で共通の開始点を文書化しておくことは重要だ。NDA(機密保持契約)もこの時期に締結されることが多いが、より正式な形で交渉プロセスを開始した場合にはすでにNDAが締結済みである場合もある。もし他にも買収に名乗りをあげている企業があるなら、この時点で、それらの企業に連絡して、現在「排他交渉中」なので、他の企業とは交渉できないことを伝える必要がある。そうすると、買い手候補企業の関心は一段と高まる場合が多い。それが人間の性だ。そこからは、新たな買い手候補企業とビジネスについて話すことは、ほぼ確実に禁止されるため、交渉が決裂しても、すでに交渉プロセスに入っている別企業に変更することしかできなくなる。

その後は、ゴールに向けて一気に進める。技術デューデリジェンス、法務デューデリジェンス、セキュリティレビュー、会計レビューなどを行う。これらの調査はすべて、当初の予定より長くかかり、いろいろと頭の痛い問題が出てくる。交渉が頓挫する可能性はいくらでもあるが、デューデリジェンスの結果は大抵、買収側企業の交渉の余地を広げるだけだ。高額で時間のかかる不動産査定のようなもので、今まできちんとメンテナンスを行ってきていれば、査定はスムーズに進む(前のセクションを参照)。

売り手の利害関係者も重要

売却側の投資家、従業員、顧客もすべて、売却交渉の結果に関心を持っている。買い手の立場で考えることも重要だが、売り手側のすべての利害関係者にも配慮する必要がある。個々の交渉によって状況は異なるので、どの状況にも当てはまる一般的なアドバイスをすることは難しい。十分なコミュニケーションを取ることが理想的だ。とりわけ、M&Aを最初に承認する必要があると思われる主要投資家への連絡は重要である。売却交渉が突然始まると、事態が絶望的に感じられ、投資家はまだ交渉の余地が残っている点がないかと必死で考えるだろう。そして、コミュニケーションが不十分なのは経営体制が貧弱なせいだと考えるようになる。それを不当な思い込みだと言うことはできない。

デューディリジェンスプロセスに入ったら、従業員をプロセスに参加させる必要がある。経営幹部をプロセスに参加させることは、適切な最初のステップとなる場合が多い。経営幹部たちに交渉に参加してもらう必要がある。交渉プロセス中および交渉結果について発言権が与えられれば、高い士気を持って売却取引に取り組んでくれる。残念ながら、顧客は売却が公式に発表されるまで待つ必要があるが、公式発表は透明性が高くごまかしのない内容にする必要がある。発表はCEOが行うべきだ。

最後に、ジャーナリスト、ブロガー、ポッドキャストホスト、アドバイザーなど、これまでに支援してくれた人たちにも、不意打ちを食らったと思われないように、事前に連絡を入れておく。買収によって自社製品が混乱に巻き込まれる可能性がある場合は、この連絡が特に重要だ。この売却で自分の評判が危険にさらされる人がいる場合は、その人が売却の話を朝のニュースで初めて知る、というようなことがないように、事前に知らせるよう最善を尽くすべきだ。

セールスリーダーのように考えよ

すべてのCEOはセールスの仕事をしている。投資家へのプレゼンテーション、顧客への販売、重要ポストの採用、買収企業へのアピールなど、すべてセールス活動である。自分の最も重要な資産である会社を売却する準備をするということは、まさにセールスのエキスパートのDNAそのものだ。創業者はセールスリーダーとして考えることを止めてはならない。

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香港の食品eコマーススタートアップのDayDayCook(日日煮)が21億円を調達

中国のフードブログコミュニティが活況を呈している。多くのブロガーたちが、忠実なフォロワーに食品を売り込むことで大金を稼いでいるのだ。これは投資家を魅了するビジネスモデルだ。

今週、香港を拠点とするスタートアップDayDayCook(日日煮)が、その多機能な食品プラットフォームをさらに拡張するために2000万ドル(約21億円)を調達したと発表した。同プラットフォームをアクセスしているのは主に大陸中国からの利用者たちだ。銀行家から転身した食品ブロガーで起業家のNorma Chu(ノーマ・チュー)氏によって創業された同社は、ちょっとしたことをなんでも手掛ける企業だ。レシピや食品ビデオをフィーチャーしたアプリ、高級モールでの料理教室、オンラインで販売される自社ブランドの食品プロダクトラインがその収益の80%を占めている。

ロンドンに 拠点を置くTalis Capital(タリス・キャピタル)が調達ラウンドを主導し、そこに香港のIronfire Venturesが参加した。創業8年であるこのスタートアップは、これまでに総額6500万ドル(約68億5000万円)を、Alibaba(アリババ)が設立し香港と台湾の若い起業家をサポートする非営利団体のAlibaba Entrepreneurs Fundなどから調達している。

DayDayCook製品のセールスポイントは、慎重に用意されたブランドストーリーだ。ユーザーは最初にスタートアップがソーシャルチャネルを介して公開したコンテンツを視聴し、次にDayDayCookの調理済みまたは簡易調理食品パックや、台所用品などの顧客になる。

「私たちはコンテンツツーコマースモデルを本気で信じています」と語るのは、Talis CapitalのマネージングパートナーであるMatus Maar(マティス・マール)氏だ。

彼はさらに、豊富なモバイル編集ツールによりコンテンツの作成が簡単になったおかげで、「中国の田舎に住む人でも素晴らしいコンテンツを作成して、巨大なフォロワーを生み出すことができるのです」と説明した。彼は農村での自給自足生活を描いた動画を、Youtubeや国内のサイトに投稿することでスターの座に躍り出た、中国の隠遁的なインフルエンサーであるLi Ziqi(李子柒)氏について言及した。

「これは、非常に洗練されていたり、メガエージェンシーから提供されたコンテンツを見たくない人たちの間で、共鳴するように広がっているのです。インターネット上の人々は、本物を見たいと思っています。本当のことをしている人を見たいと思っているのです」と彼は語った。

食品のインフルエンサーは多数存在するが、収益を挙げられるベンチャーを構築できる準備を全員が整えているわけではない。マール氏は、DayDayCookなら必要な要素をすべて整えていると信じている。供給元、配送手段、物流管理、発送業務などのすべてだ。自社ブランド製品を開発することにより、スタートアップは高い利益率で販売することもできる。

チュー氏によれば、彼女の会社は自社アプリ上に230万人の登録ユーザーを集めているという。JD.com(京東商城)やAlibabaのTmall(Tモール)などのeコマースチャネルを通じて注文する有料ユーザーは、前年比12倍の220万人に成長した。

DayDayCookのコンテンツはリーチが広く、マイクロブログプラットフォームのWeibo(微博)、TikTokの中国語版であるDouyin(抖音)、Tencentのビデオサイトなどで、6000万人のフォロワーを獲得している。だがこれはインフルエンサーの時代にはそれほど多いようには思えないかもしれない。なにしろ個人である前述の李子柒氏も、YouTubeだけで1200万人近くのチャンネル登録者を数えているのだ。

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タグ:DayDayCook 香港 インフルエンサー

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(翻訳:sako)

直接会えなくてもリモートアクセラレーターには参加する価値がある

私たちはUC Berkeley SkyDeck(UCバークレー・スカイデック)スタートアップ・アクセラレーターの2020年春のコホート(参加者)だ。初めてのリモートアクセラレーター(SAN FRANCISCO BUSINESS TIMES記事)に参加した。

参加者の多くは、バークレーを訪れるのを楽しみにしていた。なぜなら、Berkeley SKYDECKはいろいろな国の企業創設者のチームを支援し、ベイエリアでの人脈作りや、米国市場への道の開拓を手助けしてくれるからだ。

なので私たちは米国の各地から、さらには台湾、ロシア、トルコ、チリ、インド、イスラエル、カナダといった地域からも飛んできて、カリフォルニアの太陽を浴び、ナパでワインを飲んだり、サンタクルーズで海水タフィーを食べたり、セコイアを見たり、ヨセミテなどを訪れたりとカリフォルニアっぽいことを満喫しようと計画していた。もっとも、それを全部やるほどのヒマはなかったかもしれない。私たちは、スタートアップ創設者なのだから。だが、何かに「ノー」といえる機会が与えられるのは、いいことだ。

何はどうあれ、私たちは大勢の最高に頭がよくてクールな人たちと出会い、ブレインストーミングをして、たくさん友だちが作れると思っていた。同時に製品を市場に適合させ、ピッチの方法を学び、国際的に有名なベンチャー投資家から大きな投資を獲得するための、ものすごく大変だがやり甲斐のある作業に没頭する。キラキラキラ!

しかしこの春、コホートたちがプログラムを開始しようというとき、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大が深刻になった。飛行機は飛ばず、デスクは与えられず、すべてがバーチャルの会合となり、直に(9月15日を記憶しておいて欲しい)バーチャルデモデーが行われる。海外のほとんどの創設者たちは、米国に来ることすらできなくなった。

世界のどこにいようとも、地球上の他の人たちと同じく、結局私たちも自宅で仕事をする羽目になった。ナパワインも、海水タフィーも、セコイアもヨセミテもなし。仲間には、不快な気候に悩まされている者もいる。やれやれ。

しかし、素晴らしい体験になったであろう物事は失われたものの、プログラムの素晴らしさについて、みなさんに疑念を抱かせるようなことはしたくない。SkyDeckは以下のことを私たちに提供してくれた。

  • 想像を絶する特別なネットワークとのVIP待遇のアクセス。そんなネットワークをちょっと思い描いてみて欲しい。それをはるかに超えたものだ。
  • 優秀なアドバイザーのネットワーク:SkyDeckはUCバークレーの卒業生で優れた業績を残している人たちとに1対1で相談ができるよう手配してくれた。このメンタリングのための人間的なアプローチは、新型コロナ禍の中でも滞りなく機能した。なぜならみな自宅に閉じ込められていて、通話を心待ちにしていたからだ。彼らは助言、人脈の紹介、人材募集などなどいろいろな世話をしようと待っていてくれた。
  • 楽しくて勉強になるインフォセッション:ときどき起きるインターネットの接続不良にはイラついたが、そこで苦労する人間がいなかったのは幸いだった。セッションには基本的な組織作りに関する助言、有名企業の創設者たちの苦労話と質疑応答、DEI(多様性、公平、インクルージョン)トレーニングなど21世紀の企業作りに重要な新しい方向性などが盛り込まれていた。講師たちはオンライン会議または教室を開き、特定の話題について深く、意欲的に話し合ってくれた。それはいつまでも続いた。
  • 他のコホート創設者や卒業生からのサポート:このプログラムは驚くほど家族的だ。厳しい時間が、奥深い体験や意義深い人間関係を育む。SkyDeckは、私たちがお互いに知り合えるよう、いくつものバーチャルイベントを設定してくれた。卒業生もSlackで積極的に参加し、1対1のメンタリングにもすぐに応じてくれた。人材募集やその他の無料アドバイスでも協力してくれた。私たち全員が、この先長年にわたり、社会的、職業的な支援をくれる新しい友人を得た。
  • UCバークレーの多用なエコシステムもすべて利用できる。有能なインターン、教員、業界との人脈などだ。これは、製品を市場に適合させる作業の過程で、生産性の向上に大いに寄与してくれた。残念ながら、新型コロナの影響で研究室は使えなかったため、特に一部のバイオテックやハードウェア系の創設者たちは、本当に楽しみにしていたことを逃してしまった。しかし、全員がオンラインでつながっているため、生物情報科学、機械学習、その他のコンピューター主体の共同作業は実によく機能していた。いいぞ、ベアーズ!
  • そしてもちろん、10万ドル(約1050万円)の投資だ。新型コロナで激変した環境に対応するため誰もが現金を必要としている今、これはとくに助かる。

飛行機が飛ばないため、海外の参加者たちは、母国からあり得ない時間帯にセッションに参加する必要に迫られたが、バーチャルセッションには、他の形では参加が難しかった我々の仲間が加われるという利点もあった。デモデーは、これまでで最大規模になるとの噂も聞いた。バーチャルだから自由に拡張できるのだ。ただこの話は、私たちからは聞かなかったことにして欲しい。

今は、ちょうど投資家月間が始まったところだ。デモデーまでの間にSkyDeckが設定した会合は、さらに興味深く内容の濃いものになる。投資家たちには、創設者と話をする方法が他にない。実際にシリコンバレーを歩いて回るよりも、オンラインで次々につながるほうがずっと楽だ。超裕福層の人たち著名な投資家も、私たちとZoomで話し合うのを楽しんでいるように感じられる。他のみんなと同様、ずっと家にいて退屈しているために、誰かと話をしたくて仕方がないのだ。

SkyDeckに参加が決まったときに楽しみにしていたことの多くは失われたが、バーチャルデスクやバーチャルデモデーだけでも、SkyDockにはものすごい価値がある。

SkyDeck 2020のコホートは以下のとおりだ。

  • Jeremiah Scholl(ジェレマイア・スクール) – AESOP Technology(イサプ・テクノロジー)
  • Vadim Nazarov(バディム・ナザロフ) – ImmunoMind(インミュノマインド)
  • Roland Polzin(ローランド・ポルザイン) – Wing AI(ウィング・エーアイ)
  • Sarah Placella(サラ・プラセラ) – Root(ルート)
  • Andrea Wang(アンドレア・ワン) – AHEAD Medicine(アヘッド・マシン)
  • Derrick Koenig(デリク・コーニグ) – ontopical(オントピカル)
  • Michael Morehead(マイケル・ムーアヘッド) – syGlass(サイグラス)
  • Vrinda Kapoor(ブリンダ・カポー) – 3rdiTech(サーディテック)
  • Camilo López(カミロ・ロペス) – Adereso(アデレソ)
  • Shirley Ying Pan(シャーリー・イン・パン) – Fibulas(フィビュラス)
  • Rahul Ramakrishnan(ラフール・ラマクリシュナン) – Xoba(ソバ)
  • Riya Muckom(リア・マコム) – Axent Biosciences(アクセント・バイオサイエンセズ)
  • Sukhi Singh(スキ・シン) – zHealth(ズィーヘルス)
  • Lindsey Hoell(リンジー・ホール) – Dispatch Goods(ディスパッチ・グッズ)
  • Erhan Ciris(イーハン・シリス) – 4D Sight(フォーディー・サイト)
  • Garrow Geer(ギャロウ・ギア)- Kura Technologies(クラ・テクノロジーズ)
  • Gevo Soghomonyan(ジーボ・ソーゴモニアン) – AimHub(エイムハブ)
  • Yosef Peterseil(ヨセフ・ピーターセイル) – Blings.io(ブリングズ・アイオー)
  • Dasha Kroshkina(ダーシャ・クロシュキナ) – StudyFree(スタディーフリー)
  • Guilhem Herail(ギレム・ヘレイル) – Hermes Robotics(ハーミス・ロボティクス)
  • Georgios Pipelidis(ジョージオス・ピペリディス) – Ariadne Maps(アリアドネ・マップス)

【TechCrunch Japan編集部注】本記事は、カリフォルニア大学バークレー校が主催するスタートアップアクセラレーターであるUC Berkeley SkyDeckのコホート(参加者)の共著となる。

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画像クレジット:Blake Callahan / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

米国大手VCのLightspeedのインド拠点が約290億円規模のファンド組成、インド向けとしては最大規模

米国の大手ベンチャーキャピタルのインド拠点であるLightspeed India Partnersは米国時間8月17日、世界第2位のインターネット市場への投資を強化するため、2億7500万ドル(約290億円)の第3ファンドをクローズしたことを発表した。

「この新しいファンドはインド向けとしては最大規模で、Lightspeed India Partnersはこの地域の24社以上のアーリーステージのスタートアップ投資を進められるようになる」と同社パートナーのHemant Mohapatra(ヘマント・モハパトラ)氏はTechCrunchのインタビューで述べている。

2007年にインドへの投資を開始した同社は、過去1年間に2つの注目すべきイグジットを実施(未訳記事)した。格安宿泊施設を手掛けるスタートアップであるOyoとEdtechの巨人であるByju’sからの撤退で、合計で9億ドル(約950億円)以上のキャッシュリターンを得ている。

そのほかの主要な投資先としては、昨年27億5000万ドル(約2900億円)以上の評価を受けた企業間取引市場のUdaan(未訳記事)、10億ドル(約1060億円)以上の評価額で資本調達が進んでいるローカル・ソーシャルメディア・プラットフォームのShareChat(未訳記事)、SaaSスタートアップのDarwinBox(未訳記事)、Yellow Messenger(未訳記事)、OkCredit(未訳記事)などがある。

同地域に6社のパートナーを擁する同社は、2015年に1億3500万ドル(約142億円)のインド向け初の専用ファンドをクローズした。2018年には1億7500万ドル(約184億円)の同地域向け2本目のファンドをクローズした。同社はスタートアップにこれまで7億5000万ドル(約790億円)以上を投資している。

アーリーステージのスタートアップに投資を行っている同社のインド拠点は、レイターステージでいくつかの投資先スタートアップを支援するために、より大きな投資を行うために、Lightspeed本体との連携を継続している。投資の80%以上はインドのシードやシリーズAの段階にある企業だ。

「これは、当社の差別化の最大のポイントの1つです。これほどグローバルなプレゼンスを持つベンチャーキャピタルはそう多くはありません。グローバルファンドとのシナジーは今後も続くでしょう」とモハパトラ氏は述べている。Lightspeedは中国でも大きな存在感を示している。昨年、同社の中国拠点は5億6000万ドル(約590億円)のファンドを発表(未訳記事)した。

インドのLightspeedパートナー。写真に向かって左から、Bejul Somaia氏、Akshay Bhushan氏、Harsha Kumar氏、Dev Khare氏、Vaibhav Agrawal氏、Hemant Mohapatra氏(写真提供:Lightspeed)

Lightspeedは、今年初めにグローバルで40億ドル(約4220億円)のファンドをクローズした。同社は、インドでの積極的に投資先を探している数少ない米国のベンチャーキャピタルの1社だ。世界的な同業他社であるSequoia Capital(セコイア・キャピタル)は先月、インドと東南アジア向けに13億5000万ドル(約1420億円)規模の2つのファンドを発表した。Sequoiaのアーリーステージ投資のうち11件は、この地域で過去14年間にユニコーン企業に成長している。

モハパトラ氏は「インドのスタートアップのエコシステムはここ数年で成熟し、高い成長率を示し、大きな成果をもたらしている」と述べている。また、これまで以上に多くのイグジットが見られるようになっている。今月初めにByjuは、子供たちにプログラミングを教える創業18カ月のWhiteHat Jr.(未訳記事)を3億ドル(約316億円)で買収している。

インドのスタートアップ企業は昨年145億ドル(1兆5300億円)以上の資金を調達(未訳記事)しており、これはローカルコミュニティの記録となっている。ただし、新型コロナウイルスの感染蔓延は、ほかの市場と同様にインドでの資金調達の動きを減速させている。

モハパトラ氏は、同社の投資先スタートアップのごく一部が新型コロナウイルスの影響を受けていることを明らかにしたが、ほとんどのスタートアップは前進を続けており「ここ数カ月で事業展開が加速しているスタートアップもある」と指摘した。

「Lightspeedは、未来における最高の起業家と企業が出現するのは今だと考えています。強力な創業者は、インドのデジタルエコシステムの成長の追い風を利用して新しい未来を構築しており、Lightspeedはこれらの創業者を支援することに強く関与していく」と同社は声明で述べている。

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画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

環境共創イニシアチブが所属企業を辞職せず起業・出向する「出向起業」二次公募の募集開始

環境共創イニシアチブが所属企業を辞職せず起業・出向する「出向起業」二次公募の募集開始

環境共創イニシアチブ(SII)は8月17日、経済産業省 令和元年度補正予算「大企業人材等新規事業創造支援事業費補助金(出向起業等創出支援事業)」について、二次公募の募集開始を発表した。公募期間は9月30日(17時必着)まで。補助対象期間は交付決定後から2021年2月1日まで。

日本国内において、多くの人材がいわゆる「大企業」に集中している中、企業内でゼロからの新規事業に挑戦できる環境・機会は決して十分とはいえない。この状況を打破する方法として、新規事業に挑戦する環境を社内から社外に求める、社外出向などを活用した新規事業開発・人材育成を行う流れができつつあるという。

同事業は、そのうち「出向起業」を行う事業者に対する支援を行う。出向起業は、所属企業を辞職せずに外部VCなどからの資金調達や個人資産の投下を経て起業し、起業したスタートアップに自らが出向して行う新規事業開発を指す。

環境共創イニシアチブが所属企業を辞職せず起業・出向する「出向起業」二次公募の募集開始

環境共創イニシアチブが所属企業を辞職せず起業・出向する「出向起業」二次公募の募集開始

支援内容は、「新規事業に係る多様な経営人材の育成」「新規事業創造の促進」を目的とする、新規事業開発活動にかかる経費の一部補助。

補助率は、2020年3月30日時点で、設立1年未満の場合1/2以内、設立1年以上の場合1/3以内。補助上限額は。2020年3月30日時点で、設立1年未満の場合500万円/件、設立1年以上の場合200万円/件。

  • 公募期間: 2020年8月17日~9月30日(17時必着)
  • 申請: 申請はメールにて受付。申請に必要な様式は、公募情報(2次公募)よりダウンロード可能
  • 個別面談(説明)会: 事前予約制のもと、動画による事業内容説明、個別のオンライン説明会を実施。希望者は公募情報(2次公募)の問い合わせ先メールアドレスに連絡
  • 個別面談(説明)会日程: 8月21/25/28日、9月1/8日。それぞれ時間は17時~17時30分/17時30分~18時/18時~18時30分/18時30分~19時(所要時間20~30分)

応募対象(補助対象事業者)は、「日本国内に登記している法人」、「補助事業を遂行できる財務状況であること、または具体的な資金調達計画があること」など。

  • 日本国内に登記している法人
  • 補助事業を遂行できる財務状況であること、または具体的な資金調達計画があること
  • 出向起業を2017年4月以降に行った、または交付決定日までに行う計画がある事業者
  • 事務局が実施する出向起業に関する調査・広報について、適宜協力可能なこと
  • 予算決算および会計令第70条および第71条の規定に該当しないもの
  • 経済産業省所管補助金等交付等の停止および契約に係る指名停止等措置要領別表第一および第二の各号第一欄に掲げる措置要件のいずれにも該当しないこと

名門VCセコイアキャピタルの創業者向け短期集中内部研修とは?

あなたがSequoia Capital(セコイアキャピタル)についてどう思っていようと、会社自身は過去の栄光にすがっているわけではない。途方もない金額を管理し、数十年にわたり世界のトップベンチャーファームの1つと目されてきたが、現状に適応しながら最も有望な創業者に最初に目をつけるため、常に新しい方法を探っている。

たとえば、セコイアはスカウトを採用した最初のファームだった。同社は最近、増え続ける競合他社を引き離すため、創業者向けのカリキュラムに細かく手を入れ始めた。同社が投資したプレシード、シードステージのスタートアップだけでなく、シリーズA、Bステージの創業者も対象だ。

2017年以来ファームの米国ヘッドを務めるRoelof Botha(ロエロフ・ボサ)氏と約4年間セコイアのパートナーであるJess Lee(ジェス・リー)氏によると、その構想はセコイアがもつ膨大な「部族の知識」(内部に蓄積したノウハウ)で創業者を武装し、彼らにライバルと戦う力を与え、あわよくばライバルを凌駕してもらうことだという。「我々はこれまで求められれば提供することにしていた」とボサ氏は言う。「『では制度化してはどうか』と考えた」という。

カリキュラムはどんな感じで進むのか。おおむねご想像のとおりだ。プレシードとシードステージ向けのプログラムは、レーターステージのプログラムよりも短いが、より集中的だ。1日3〜6時間で3週間続けるプログラムを考えてほしい。一方、より成熟した会社の創業者でみっちりと参加できない場合、10週間まで延ばして断続的なプログラムにすることができる。

内容も大きく異なる。シードステージモジュールはプレッシャーの下でも崩壊しない土台作りに関するものだが、レーターステージのセッションは各種指標や販売組織の構築など、より成熟した企業の組織作りに重点を置く。

いずれのプログラムも完全にオプトインであり、これまで過去3年間で80人の創業者が参加した。さらに20人がシードステージプログラムに申し込み済みであり、実質的には今週始まる。どちらも非常にインタラクティブで、創業者が十分な「成果物を持って帰る」ことができるワークショップも含まれている。「全員がプレゼン(show-and-tell demo)を行う。まず見ることがない『ソーセージ作り』(普段は成果物の作成過程を見る機会がないものの例え)にお目にかかれる」。

リー氏は、セコイアの社内デザインパートナーであるJames Buckhouse(ジェームズ・バックハウス)氏とストーリーテリングを中心にプログラムをリードすることになった(最近のExtra Crunchイベントでモジュールの一部を紹介した。この記事の最後に動画がある)。そのほかにもファームの多くのパートナーがプログラムに関与した。

例えば、以前Zappos(ザッポス)でCOOと会長を経験し、セコイアのパートナーを長く務めるAlfred Lin(アルフレッド・リン)氏は、文化に関するモジュールを教えている。同じくセコイアのパートナーで、以前はGoogle(グーグル)のシニアディレクターだったBryan Schreier(ブライアン・シュライアー)氏は、カテゴリー創造と製品の販売方法について話す。セコイアに対し2017年初め約1億ドル(約107億円)をZoomに投資するよう説得(未訳記事)したことで有名な、VMwareの社長兼COOだったCarl Eschenbach(カール・エッシェンバッハ)氏は、市場開拓戦略について創業者にアドバイスする。

結果として創業者は、自社の取締役会に参加するパートナー以外にも、ファームの多くのパートナーに接することになる。時間が経てばセコイアが投資するJulia Hartz(ジュリア・ハーツ)氏やTony Xu(トニー・シュー)氏のような創業者に会う機会もある。彼らは、仲間へのアドバイスのためにファームに立ち寄ることがある。リー氏は、2つの組み合わせがコミュニティの育成に大きく貢献すると語る。

実際、「コミュニティは(プログラムの)真に中核的な要素だ」とリー氏は述べ、「各コホートは互いにしっかり結びついている」と付け加えた。

プログラムが最初に始まったのは2018年で、今年初めまではもちろん対面で行われていた。ボサ氏は「プログラムは当面、オンラインで行われるだろう」と語り、「私がシリーズAステージプログラム全体の司会を務める」と述べた。一方アーリーステージの創業者向けプログラムの司会はリー氏が担当する。

セコイアは「バーチャル環境への移行によって何かがスローダウンしてしまったということはなく、むしろセコイアの投資先の創業者の参加が増えた」と主張している。リー氏によれば、かつてはセッションに参加するため飛行機で来た人もいた。

実際、ボサ氏が現時点で予測できる大きな変化は「遠隔地の労働力を前提とするカルチャーにどう向き合うか」に関する教育をさらに取り入れることだ。

ボサ氏が言うように、将来人々がより小さなハブで働いたり、オフィスに交代で出勤したり、完全にリモートで作業したりする可能性があるなら「マネージャーを務めるのが初めてで、散らばったチームを管理する必要がある若い創業者はそれが何を意味するかを理解することに興味があるはずだ。

それは間違いなく「創業者の人間関係のスキルを必要とする」ことになると同氏は指摘する。

画像クレジット:Smith Collection/Gado / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Initialized Capitalが約245億円の第5ファンドを組成、新ジェネラルパートナーも就任

米国時間8月14日未明、Initialized Capitalが総額2億3000万ドル(約245億円)で最新のファンドをクローズしたことが明らかになった。共同創業者のGarry Tan(ガリー・タン)氏がにMedium上で発表した。Initialized Capitalにとっては5番目のファンドで、同社の運用資産は7億7000万ドル(約820億円)になった。同社は、約10年前にY Combinatorの内部でスタートを切り、約5年後に分離独立したアーリーステージのベンチャーキャピタルだ。

タン氏はInitialized Capitalに新たなジェネラルパートナーとしてBrett Gibson(ブレット・ギブソン)氏が加わったことも発表した。ギブソン氏はタン氏と過去に何度も事業を立ち上げた人物だ。具体的には、タン氏と共同でブログプラットフォームのPosthavenとPosterousを設立した。両氏はのちにY Combinator向けの内部ソフトウェアシステムも構築している。

Initialized Capitalは最近注目されているVCだ。先月、TechCrunchが有料会員(Extra Crunch)読者のために開催したイベントでタン氏と話す機会があり、スタートアップが犯しがちな最大の間違い(未訳記事)について話し合った。

さらに3月には、タン氏とAlexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏とも話をした。オハニアン氏は、Redditの共同創業者でのちにY Combinator(YC)のパートナーとなった人物。元YCパートナーだったタン氏とInitialized Capitalを立ち上げた。

2人は当時、新型コロナウイルスの流行にはしばらく時間がかかることを想定して、18カ月のランウェイ(資金が底を突くまでの残り時間)を乗り切る方法を見つけることの重要性について話していた(未訳記事)。そのころは彼らが袂を分かつ兆候は見られなかった。しかし、オハニアン氏は1億ドル(約106億円)以上を目標にしていると報じられている(Theinformation記事)自身のプレシードステージファンドの設立を決定し、タン氏はInitialized Capitalでの投資事業を進めた。

先月、オハニアン氏についてタン氏に尋ねたところ「アレクシスは会社を完全に去るのではなく取締役会のパートナーに就任したので、既存の投資先企業は引き続き彼が関与することになる」。そして「アレクシス以外で、アイデアとチームだけで製品が存在しない有望なスタートアップを特定した人を見たことがない」と続けた。さらに今回のアレクシス氏の離脱は「お互いに成功するための準備」とも付け加えた。

この話の続きがあるとしても投資家は特に気にしていないようだ。暗号通貨プラットフォーム開発のCoinbaseや食料品宅配サービスを手掛けるInstacartなど著名企業への初期投資のおかげで、早期のリターンが見られる可能性があるからだ。またInitialized Capitalは、遠隔医療のスタートアップであるRoとHRシステムを提供するRipplingという2つの企業の急成長を見てきましたが、両社はいまではいわゆるユニコーン企業と呼ばれている。

新型コロナウイルスの感染蔓延が収まらない不安定な日々の中でも、Initialized Capitalは積極的に投資活動を続けているようだ。例えば、サンフランシスコ拠点でシリーズAラウンドを終了したばかりの心臓病の検出と管理に特化したデジタルヘルス企業のBodyportや、カリフォルニア州サンマテオ拠点でこちらはシリーズBラウンドを終了した遠隔医療に進出したオンライン薬局であるTruepillへの追加投資を実施している。

同社は最近、スーパーマーケットや食料品店の棚の在庫管理を最適化するシアトルを拠点とする創立5年の企業であるShelf Engineのための資金調達ラウンドも共同で進めている。

ちなみにInitialized Capitalは、2年前に2億2500万ドル(約240億円)で4回目のファンドをクローズ(未訳記事)している。

画像クレジット:Garry Tan

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(翻訳:TechCrunch Japan)

HiJoJo Partnersがフードテックファンドの募集を開始、Impossible Foodsなどユニコーン企業を組入予定

HiJoJo Partnersがフードテックファンドの募集を開始、Impossible Foodsなどユニコーン企業を組入予定

ユニコーン投資のHiJoJo Partnersは8月12日、米フードテック領域ユニコーン企業3社を組入予定のフードテックファンドの募集を開始した。同ファンドの最低投資金額は1000万円。申し込み締切日は2020年9月30日。同ファンドはHiJoJo Partnersが募集を行うファンドとしては通算10本目のファンドとなる。

ファンドに組入予定の米企業は、SDGsへの関心の高まりなどにより注目されているImpossible Foods, Inc.、JUST Inc.、Indigo Agriculture, Inc.の3社。Impossible Foodsは、米ハンバーガーチェーン「バーガーキング」のハンバーガー商品への採用、米ウォルマートでの販売開始などで話題となった、植物由来の人工代替肉製品を開発・販売。JUSTは、卵料理と似た食感・味覚を実現した植物由来の代替卵製品を開発・展開。Indigo Agricultureは、農産物の種子にAIで選別した最適な有益微生物を処理することで生産性を高める技術とともに、生産から販売・決済・流通まで農業ビジネス全体をデジタル化するサービスを展開している。

HiJoJo Partnersがフードテックファンドの募集を開始、Impossible Foodsなどユニコーン企業を組入予定

同ファンドの最低投資金額は1000万円。申し込み締切日は2020年9月30日。同ファンドの募集要項、組入予定企業に関するリサーチ情報などの開示や、ファンドへの申し込み受付は、会員登録手続を終えたの同社会員限定となる。会員登録は同社運営サイト「HiJoJo.com」で無料で行える。

HiJoJo Partnersは、同ファンドの様な非上場企業を組入れたファンドの募集・販売を通じ、日本経済における継続的なリスクマネー供給に寄与する多様な投資家層を創出するべく、我が国では未発達のミドル、レイトステージ投資の活性化を目指すとしている。

HiJoJo Partnersは、日本の投資家に向けてユニコーン企業をはじめとした非上場企業への投資機会をファンドを通じて提供する金融スタートアップ。2020年5月には、みずほ証券、岡三証券グループ、マネックスグループ、ほかエンジェル投資家1名を引受先とする第三者割当増資によるシリーズAの資金調達を実施した。

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定額制映画チケットサービス「MoviePass」創業者の次の一手

約8年前、Hamet Watt(ハメット・ワット)氏とStacy Spikes(ステイシー・スパイク)氏は、定額制の映画チケットサービス「MoviePass」を立ち上げた。このサービスは、投資家の心と資金を掴み、何千人もの映画ファンに映画の見放題という、かなりお得なサービスを提供した。

ワット氏は、True Venturesの客員起業家(Entrepreneur-In-Residence、アントレプレナー・イン・レジデンス)としてMoviePass に入社した後、ブランドとプロダクト・プレースメントのスタートアップであるNextMediumを設立し、Upfront Venturesのボード・パートナーとしても活躍していた。現在は連続起業家として知られており、スタートアップ投資家でもあるこの人物は、Share Venturesの支援のもとで、2つのキャリアパスを融合させようとしている。

「今回やろうとしていることは、まさに私がいまやるべきことです。」とワット氏。「私はデザインと起業家精神で問題を解決するのが大好きなんです。私はこれまで投資家としての望みを完全に掻き立てることはしてきませんでした」と続ける。

Share Venturesは、Upfront Ventures、Alpha Edison、True Venturesのジェネラルパートナーと創業者、韓国のファミリーオフィスなど、多くの投資家から1000万ドル(約10億6000万円)の資金を調達し、年に2~4社の会社を立ち上げる予定だ。

ワット氏によると、新しいスタジオは、彼が「ヒューマン・パフォーマンス」と呼ぶものに焦点を当てるという。「これらの事業は、フィットネス、栄養学、メンタルヘルスをターゲットとしたサービスを創造するために、テクノロジーと人間の相互作用を融合させたものになる」と同氏。

Share Venturesが最初に注力するのは「未来の生活」と「未来の仕事」の2つの分野だ。ワット氏は「この2つの分野では、個人の目的の開発、精神的・肉体的な強化、個人的・職業的な成長を可能にするビジネスの開発に注力していく」という。

画像クレジット:Share Ventures

ワット氏にとって、スタジオモデルはスタートアップ投資の次のイテレーション(反復によって精度を高めること)を象徴している。「スタジオがその道をリードすると考えています」と同氏。

「未知数の企業や経営陣に投資するのではなく、既存の企業が新製品や新サービスの開発を繰り返しているのと同じように、スタジオでは迅速にプロダクトを生み出すせると考えています」と語る。

「私たちはツールを集めて、会社のビルディングスタックを作りました。これらは、サードパーティが開発したツールと内部ツールスタックで構成されています」と説明する。

画像クレジット:Share Ventures

ワット氏によると、シェアベンチャーズは持株会社として運営され、プールされた株式は会社の従業員全員で共有される。「投資先企業とともに働き、専門のチームを構築していく中で、才能を開花させるための十分な資金がある」とのこと。

「このモデルは、Share Venturesの本拠地であるロサンゼルスから数マイル離れたカリフォルニア州パサデナを拠点とするBill Gross(ビル・グロス)氏のインキュベーター施設であるidealabと大きな違いはない。また、ドットコム時代にさまざまなポートフォリオ企業を数多く作ってきた@Venturesにも似ている。「我々投資家が立ち上げを支援したすべての会社は、最終的に創業者が所有しています」とワット氏は言う。

同社には10人のスタッフがおり、最初の候補企業を選定している。

ワット氏は2018年にこのアイデアについて投資家と話し始め、2019年の大半を費やして最初の数社の企業を立ち上げようとした。「私たちは多くの実験を行い、多くのアイデアを生み出しています。会社を立ち上げる前にゴールに放り込んだショット数は多いです」と語る。

franckreporter / Getty Images
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(翻訳:TechCrunch Japan)