パンデミックの最中に起ち上がったベンチャーファンドの狙うもの

Amit Garg(アミット・ガーグ)氏とSanjay Rao(サンジャイ・ラオ)氏は、職業人としての大半を技術開発とスタートアップの創業、そしてスタートアップへの投資に費やしてきた。これまで彼らはGoogle(グーグル)、Microsoft(マイクロソフト)、HealthIQそしてNorwest Venture Partnersなどに在席してきた。

10年以上も続いている2人の友情の中で、ベンチャーファンドの立ち上げが話題になったことは何度もあるが、やっと今良いタイミングが訪れた。2019年8月以来、2人は彼らが始めるファンドであるTau Venturesの資金集めをしてきた。

ベンチャーの名前は、2人の名前と同様に少々風変わりだ。Tauには円周率の倍という意味があるが、それを2人のパートナーシップの名前として選んだのは、初期段階の投資には分析的なアプローチで臨むという同社の姿勢を表すためだ。

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの中にベンチャーファンドを立ち上げるのは一見すると奇妙だと思われるが、ガーグ氏とラオ氏にとってはヘルスケアやオートメーション、そして一般企業における機械学習アプリケーションへの初期段階の投資は、今こそが逃すことができない好機だ。

ガーグ氏はシリコンバレーで20年を過ごし、グーグルで仕事をしたりHealthIQのような企業を立ち上げた。その間、彼が貯め込んだポートフォリオの中には自動運転企業のNutonomyやBioBeatsGlookoCohero HealthTerapedeFigure1HealthifyMeHealthy.ioRapidDeployなどがある。

一方、ラオ氏はカリフォルニア州パロアルトの生まれでMIT出身。マイクロソフトのプロダクトマネージャーを務め、パロアルトでアクセラレーターであるAccelerate Labsを立ち上げた。その彼によると、シリコンバレーで経営者として苦労した数十年間で学んだことの中で最も重要なことは、起業家への報酬だという。

画像クレジット:Tau Ventures

Basis Set VenturesSignalFireTwo Sigma Venturesなど、両氏はこのところ機械学習にフォーカスしたファンドが増えていることを認識している。しかしこれらの企業には自分で実際に創業した経験がないという点において2人と決定的な違いがある。

例えばガーグ氏は、インドで実際に病院を作った経験があるため、ヘルスケアというビジネスについて詳しい。また投資家としては、Nutonomyでエグジットも経験している。特に2人は、エンタープライズ市場をよく理解しており、中でもセキュリティに強い。

これまでTau Venturesは、オートメーションへの投資を3回、エンタープライズソフトウェアへの投資を同じく3回、そしてヘルスケアの5社に投資している。

同社が現在管理している資本は1700万ドル(約18億円)で、法律事務所のWilson Sonsiniのような機関投資家から調達している。また、数え切れないほど多くの家族オフィスや個人も、同社への投資者だ。

資本の多くは、パンデミック後に獲得している。「資金調達を始めたのは2019年8月29日だが、最後のクローズは5月29日だった」とガーグ氏はいう。

彼らの考え方では、ファンドをそろそろクローズして、それらの資本を実際に動かしていくことが重要だ。今多くの投資家が既存のポートフォリオの整理に終われ、資本を動かせないでいるため、チャンスでもある。

「この前の投資は、ZoomとGoogle Meetだけで行なった」とラオ氏はいう。

バーチャルな環境は、同社の株主総会やカンファレンスでも利用され、後者では1000名以上が参加したものもあるという。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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