Y Combinatorの2020年夏のデモ・デイ1日目の98社を紹介(その4)

米国時間8月24日は、Y Combinator(YC)の2部構成の「Summer 2020 Demo Day」の一部で、100社近くの企業が初めて世界に向けて自分たちの取り組みを披露した。

2020年夏のデモデイは、YCのコホートとしては初の完全リモートとなった。新型コロナウイルスの感染拡大の深刻さが3月に明らかになったことを受けて、YCは2020年冬のクラスのデモデイの部分を土壇場でバーチャルに変更。そのため、デモデイの主要な部分を取りやめてしまった。ライブピッチの代わりに、2020年冬クラスの各企業は1枚のスライドと会社の簡単な説明文を使ってピッチを行った。

YCは今回は明らかに準備に時間を割いていたようで、実際のイベントと同じようにデモデイを体験することができた。わずか60秒の驚くほどの速さで行われた一連のライブピッチで、各企業は投資家、メディア、創業者仲間の聴衆に向けて事業の要点を紹介した。

この記事では、本日発表された各企業について登壇順に61〜80社目までを紹介する。

Layer
開発者がコード変更の影響をすぐに確認・比較・共有できるように、ステージング環境を素早く作成する開発者ツール。 Layerは、同社のサービスを利用することで、小規模企業の開発者が世界の大手テック企業と同じようなワークフローにアクセスできるようになると主張している。 同社によると、過去30日間で18人の顧客が6000回も同社のサービスを利用しているという。

Lume Health
病院向けのGlassdoor(匿名での会社をレビューサービス)を構築しており、看護師が仕事を探す際に正しい選択ができるようにすることを目的としている。 求人掲示板の予測可能な条件面などを統合する一方で、オフィスや病院が実際にどのようなものであったかを内部から語ることができる看護師からの、検証済みレビューのプラットフォームを構築。

MarketForce 360
アフリカにおける小売流通のためのSalesforce(セールスフォース)。 ペンと紙のトラッキングに代わるモバイルソリューションとして、リアルタイムでの小売取引を展開。SaaSの料金とともに、プラットフォーム上で処理されたすべての注文に対して取引手数料を請求するシステムだ。 これまで、40社程度の消費財企業を顧客に持っている。

Manycore
企業はクラウドコンピューティング上で動作するコードを大量に作成しているが、そのコードが効率的でなければ、その規模に応じてコストがかさむ。Manycoreは、最初はJava、その後PaythonとJSなどの最終的なコードに最適化するサービスを展開している。

Aquarium Learning
自動運転車メーカーであるCruise(クルーズ)の元スタッフ数人が創業したスタートアップ。顧客となる機械学習チームがデータセットを改善してモデルを改善できるよう支援するサービスを開発している。仕組みについては詳しく言及されなかったが、Aquarium Learningは市場参入して数カ月後には、月間収益が8000ドル(約84万円)に達し、これはほぼ6桁のランレートであると主張している。いずれにせよ、機械学習はますます重要になってきている。誰かがこの分野に大きな会社を作るだろう。その1社はAquarium Learningかもしれない。

Strive School
業界で仕事を得るまで教育費を払えないソフトウェアエンジニアを訓練するために、ヨーロッパ向けにLambda School(出世払いのコンピュータサイエンス教育を行うビジネス)を準備中。卒業生が就職すると、ISAの条件では4年間の給与の10%を上限1万8000ユーロ(約226万円)としている。卒業生が就職すると、ISAの規約により4年間の給与上限の10%である1万8000ユーロ(約226万円)が徴収される。

Kuleana

画像クレジット:Kuleana

魚介類のImpossible Foods(インポッシブルフーズ)を目指し、植物性の生マグロの代替品を作っている。 現在、40万ドル(約4220万円)の基本合意書(レターオブインテント)を獲得しているという。

Once
モバイル向けに最適化されたShopifyストアフロントシステムを開発。 電子商取引のトラフィックをモバイルでの購入に誘導しようとしているが、現在はデスクトップほどモバイルはシームレスではない。 Onceでは、Instagramのストーリーを利用して、12のモバイルストアフロントを作成。 フラッグシップの顧客は会話率を70%増加させたという。

Justo
世界の他の地域と同様に、ラテンアメリカでもレストランは宅配サービスと連携して検疫客にサービスを提供している。 しかし、多くのアプリは多額の手数料をとりつつ顧客データを収集している。 Justoは、レストランブランドにカスタムメイドのEコマースウェブサイトを提供し、最大15%の手数料で注文と配達を提供することを目指している。

Glimpse
消費者ブランドが、民泊シェアサービスのAirbnbの物件に商品を置くのを支援するサービスを提供。 Glimpseはブランドから報酬を得て、ブランド自身が商品を前面に出したり、消費者の手に渡したりすることができる。 Airbnbを借りている人にとっては、同社のサービスは小売店の代わりになるかもしれない。 在庫の管理方法などについては言及されていないが、Airbnbが復活の道を歩んでいるのであれば、Glimpseがハウスシェアリングと消費者のD2Cブームを一つの体験に統一するためのいい機会なのかもしれない。

Revel Technologies
パラキサンチンという「より良いカフェイン」の製造を目指すスタートアップ。バイオエンジニアリング博士で創業者Jeffrey Dietrich(ジェフリー・ディートリッヒ)氏によると、二重盲検試験の結果、Revel Technologiesのカフェイン代替品は、ジッターや不安感を伴わずに覚醒度を高めることが示されているという。

Omni
営業やサポートチームが顧客に最新かつ正確な回答を提供できるにするサービスを開発。 担当者が電話をかけている間、Omniはツールを検索して顧客の質問に答え、情報が正確で最新のものであるかどうかを確認する。 最新の更新情報を探すために古いSlackの会話を探す必要はなく、顧客からの火急の質問に答えるためのスマートな方法になるはずだ。 Omniは2カ月前のローンチした後、Dave、Notion、Parsableから8万ドル(約850万円)のパイロットプログラムを獲得している。

Mailwarm
創業者は、以前の会社で顧客とのコミュニケーションに電子メールを主に使用していいたが、「合法的な」マーケティングメールでさえ、その20%がスパムフォルダに追いやられていることに気付いた。 そこでMailwarmは、このような誤分類を防ぐ技術を開発。わずか数カ間のオンライン利用で大きく成長し、MRR(月次経常収益)が5万ドル(約530万円)に達したという。

Papercups
顧客管理ツールを提供しているntercom(インターコム)がCFOを雇い、数年後に株式公開を予定しているというニュースの余韻に浸りながら、Papercupsは同社の背後に忍び寄って収益を得ようとしている。 要するにPapercups は、Intercom製品セットのチャット部分組み込めるかもしれない「オープンコア」 ソフトウェアを構築している。同社は収益を上げていない状態で、GitHubスター1500人を獲得した。今回のピッチの締めで、同社の製品の企業向けバージョンはいずれ5万ドル(約530万円)から25万ドル(約2640万円)になる予定だという。Intercomで機能することはわかっているので、Papercupsがその裏で何ができるか注目だ。

Atmos
住宅建設のためのマーケットプレイスを構築。家を建てたいと考えているユーザーと、それの実現を支援してくれる建設業者を結びつける。 第2四半期に立ち上げて以来、同社は50万ドル(約5270万円)以上の収益を計上している。

StartPlaying.Games

画像クレジット: StartPlaying

テーブルトークRPGとしてして有名なDungeons and Dragons(ダンジョンズ&ドラゴンズ)のようなのホストを雇うためのマーケットプレイス。いわば、DM(ダンジョンマスター)の求人サービスだ。新しいプレイヤーがプレイを学ぶのを助けたり、既存のプレイヤーが経験豊富なホストを探すのを助けたりすることを目的とする。 ホストは自分で価格を設定できる。 現在のところ、月に1万(約106万円)ドル以上のGMV(流通総額)があるとのこと。

Together Video Chat
子供にとって、FacetimeやZoomは、コミュニケーションをとるための最も魅力的な方法ではないかもしれない。Together Video Chatは、家族と子供の間のビデオチャットに、本を読んだり、画面越しにゲームをしたりするようなインタラクティブな要素を導入したいと考えている。 同社は毎月1万7000ドル(約180万円)の経常収益を上げている。

Reach.live
ヨガや料理教室のようなライブコンテンツを収益化しようとしているライフスタイルクリエイターは、複数のプラットフォームに頼らざるを得ないことが多い。 Reach.liveは、ストアフロント、スケジューリング、支払い、サブスクリプション、寄付、さらにはビデオホスティングまでを統合したサービスを目指している。

Toolbox
建設現場と資格のある労働者をつなぐアプリを開発。現在ニューヨーク市で導入が進んでおり、7月にはGMV(流通総額)で8万8000ドル(約930万円)、8月はGMVが10万2000ドル(約1076万円)に上昇すると予想されている。Toolboxでは、一部の労働者がフルタイムの仕事を見つけたり、需要のギャップを埋めるために短期の仕事をつなぎ合わせたりするのを支援する。同社は、総支出の25%を手数料として獲得できると考えている。これが実現すればかなり大きな規模になる。

Fig
開発者が端末を離れることなく、軽量なグラフィカルインターフェースで社内の共有ツールにアクセス可能にするためのアプリストアを構築。 この統合によって、スタートアップのエンジニアチームは開発に専念しながらも社内ツールに素早くアクセスできる。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。