中国アリババがインドスタートアップへの投資を最低6カ月凍結

中国のインターネット大企業であるAlibaba Group (アリババグループ)は、中国・インド間での地政学的緊張が続いている中、インドのスタートアップへの投資計画を凍結した。ロイターが8月26日、匿名2人の話として報じた

報道によると、インドのスタートアップに2015年以来20億ドル(約2120億円)超を投資してきたアリババグループは、新たな投資を少なくとも6カ月間凍結する計画だが、既存のポートフォリオ企業の持ち分を減らすつもりはないという。

アリババグループと、傘下のAnt(アント)はインドのいくつかのユニコーン企業の主要投資家だ。ここにはインドで最も価値の大きいスタートアップであるPaytm(ペイティーエム)が含まれ(未訳記事)、アリババの持ち分は約30%だ。また、フードデリバリースタートアップのZomato(ゾマト)、グローサリーデリバリースタートアップのBigBasket(ビッグバスケット)、eコマースのSnapdeal(スナップディール)などにも出資している。

投資凍結は、国境を接する2国間の関係が緊張していることを受けてのものだ。6月のヒマラヤでの軍事衝突でインド兵士20人超が死亡し、緊張が高まった。それ以来、多くの人が中国製のスマホやテレビ、その他の製品を破壊する様子を収めたビデオを投稿し、「ボイコット・チャイナ」やそれに近い言葉がインド国内のTwitter(ツイッター)でトレンドとなった。

報復措置と多くの人が受け止めている動きとして、インド政府はTikTokやその他58の中国のアプリを6月末に禁止し数週間後にさらに数十のアプリを禁止対象に加えた(未訳記事)。世界第2位のインターネットマーケットであるインドはまた、中国の投資家がインド企業に新たに投資しにくいようにするために、今年初めに海外直接投資規制に変更を加えた。

Zomatoは今年1月、Ant Financialが1億5000万ドル(約160億円)の投資を約束したことを発表した。ただ、グルガーオン拠点のZomatoがこれまでに受け取ったのは5000万ドル(約53億円)だけだ、と他の主要投資家の1人は先月話していた。

Ant Financialは8月25日、「インドの海外投資規制の変更により、Zomatoへの追加投資のタイミングを見極める必要が出てきた」とIPO目論見書で明らかにした。

画像クレジット: Alex Tai / SOPA Images / LightRocket / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。