印EC大手Flipkartが評価額4兆円超で新たに約3973億円調達、ソフトバンクが3年ぶりに株主に復帰

Flipkart(フリップカート)はインド時間7月12日、36億ドル(約3973億円)の資金を新たに調達したと発表した。ポストマネー評価額は376億ドル(約4兆1492億円)。今ラウンドは、インドのECコングロマリットであるFlipkartが、早ければ2022年初めに上場するためのプレIPOラウンドであろうと見られている。

今回の資金調達はインドのスタートアップとしては最大規模のもので、GIC、カナダ年金投資委員会(CPP Investments)、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)、Walmart(ウォルマート)の他、政府系ファンドであるDisruptA、Qatar Investment Authority(カタール投資庁)、Khazanah Nasional Berhad(カザナ・ナショナル)、Tencent(テンセント)、Willoughby Capital、Antara Capital、Franklin Templeton(フランクリン・テンプルトン)、Tiger Global(タイガー・グローバル)が出資している。

12日の投資は、ソフトバンクがFlipkartの株主として復帰したことを意味する。ベンガルールを拠点とする同社が、2018年に220億ドル(約2兆4277億円)の評価額でWalmartに過半数の株式を売却した際にエグジットしたソフトバンクは、今回の新ラウンドで約5億ドル(約552億円)を再投資した。

「Flipkartでは、インドの消費者インターネットエコシステムを変革し、お客様にアクセスと価値を提供することに取り組んでいます。世界有数の投資家による今回の投資は、インドにおけるデジタルコマースの将来性と、この可能性をすべてのステークホルダーのために最大化するFlipkartの能力に対する信頼を反映したものです」と、Flipkart GroupのKalyan Krishnamurthy(カリアン・クリシュナムルシー)CEOは声明の中で述べた。

「消費者の方々にサービスを提供すると同時に、キラナ(伝統的零細商店)を含む、何百万ものインドの中小企業の成長を加速させることにも注力していきます。新しいカテゴリーへの投資やインド発のテクノロジーを活用してコンシューマーエクスペリエンスを変革し、世界クラスのサプライチェーンを開発していきます」とも。

新たな資金調達の一環として、Flipkartは従業員に対し、彼らが保有する8050万ドル(約89億円)相当のストックオプションを売却する選択肢も与えると、クリシュナムルシー氏は12日に社内に伝えた。

Flipkartはもともと2021年初めに資金調達のために市場に出ており、当初は10億ドル(約1104億円)程度の調達を目指していたとTechCrunchは最初に報じている。

ベンガルールに本社を置くFlipkartは、インドでAmazon(アマゾン)と互角に競合している。米国のeコマースグループである後者は、南アジア市場に65億ドル(約7175億円)以上を投資している。

関連記事
Amazonがインドのスモールビジネスのデジタル化促進のため約1100億円を投資
インド政府が「不正行為の蔓延」の苦情に対処するためより厳しい電子商取引ルールを提案
インドのeコマースベンチャーJioMartが国内200市町村でサービス開始

両社とも、実店舗が小売売上の大半を占めているインドで、積極的に事業を拡大することに苦戦している。また、インドの新しい電子商取引ルールによって、大きな打撃を受けることが予想される。

インド最大の小売チェーンであるReliance Retail(リライアンス・リテイル)と、Google(グーグル)とFacebook(フェイスブック)が支援するJio Platforms(インド最大のテレコム事業者)との共同事業であるeコマースプラットフォーム「JioMart(ジオマート)」は、2020年、全国200以上の都市や町でサービスを開始した。

​​世界で最も急速に成長しているeコマース市場の1つであるインドは、初めてインターネットを利用するユーザーがオンラインで買い物をするようになるにつれて、今後さらに成長することが期待されている。Bain & Companyの推計によると、インドのeコマース市場は、2025年までに3億人以上の買い物客を獲得すると見込まれている。それまでにこれらの買い物客は、オンラインプラットフォームで1000億ドル(約11兆円)以上の価値のある商品を購入しているだろうと、同社は予測している。

近年、FlipkartとAmazonは、インドでの事業拡大のためにさまざまな賭けを行ってきた。両社ともヒンディー語への対応を開始し(Flipkartはさらにいくつかのインドの言語を導入した)、地元の商店との提携を展開している。

Walmart International(ウォルマート・インターナショナル)の社長兼CEOであるJudith McKenna(ジュディス・マッケナ)氏は声明でこう述べた。「Flipkartは、その成長と可能性がインド全体を反映しているすばらしいビジネスです。だからこそ、私たちは2018年に投資を行い、現在も投資を続けているのです」。

Flipkartは、ファッションeコマースのMyntraを含む同社のサービス全体で、国内に3億5000万人以上の登録ユーザーを抱えているという。「Flipkartの物流・サプライチェーン部門であるEkartは、10万人以上の従業員を擁し、インド国内のアドレス可能なピンコードの90%以上に配送を行っており、戦略的な倉庫インフラへの投資と相まって、グループの中核的な強みとなっています。Flipkartはソーシャルコマースの分野に進出し始めており、最近、地元の起業家を奨励するShopsyの立ち上げを発表しました」と同社は述べた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Flipkartインドeコマースソフトバンク・ビジョン・ファンド資金調達

画像クレジット:Manish Singh / TechCrunch

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

ネットを介して番組や映画を「一緒に視聴」するアプリ開発スタートアップに投資家も注目

2020年の新型コロナウイルスが流行した際には「Netflix Party(ネットフリックス・パーティ)」という無料のブラウザ拡張機能が人気を博した。これを使えば、自宅に閉じ込められた人々が、遠く離れた友人や家族とつながって、同じNetflixの番組や映画を同時に視聴できる。さらに画面右側のチャットで、一緒に見ている動画について語り合うこともできる。

後にTeleparty(テレパーティ)と改名したこの会社はまだ創業したばかりだが、他にシード資金を調達した2つの若い会社と競合している。1社はロンドンで2020年12月に設立された新興企業で、7月初めにCraft Ventures(クラフト・ベンチャーズ)の主導でラウンドを終えたばかりだ。もう1社はベイエリアに拠点を置く創業4年目の会社で、500 Startups(ファイブハンドレッド・スタートアップス)を含む未公開のシードラウンドで300万ドル(約3億3000万円)を調達している。

多くの投資家がバーチャルイベントや教育テック企業資金を提供しており、人々がオンライン上でより多くのことを一緒に行えるような、一種のマルチプレイヤーブラウジング体験を開発することには、まだ大きなチャンスがあると、両社は考えている。スポーツ観戦や映画鑑賞はもちろん、将来的には医師と一緒にレントゲン写真を見ることさえ可能になるかもしれない。両社は、特に若いユーザーにとって、誰かと一緒にウェブサーフィンをする機会が増えることは必然だと述べている。

両社のアプローチはやや異なっている。Craft Venturesが見込んで220万ドル(約2億4200万円)のシードラウンドを行ったGiggl(ギグル)は、2020年創業したロンドンを拠点とするスタートアップで、ウェブアプリによってユーザーをバーチャルセッションに招待する。これらのセッションは「ポータル」と呼ばれ、ユーザーは友人を招待して一緒にコンテンツを閲覧したり、テキストチャットや音声通話をすることができる。ポータルは、友人のみで集まるプライベートな部屋にすることも、誰でも参加できるように「パブリック」に設定することも可能だ。

Gigglは、19歳のCPO(最高製品責任者)であるTony Zog(トニー・ゾグ)氏を含む、一緒に育った4人のティーンエイジャーによって設立された。最近LAUNCH(ローンチ)アクセラレータープログラムを卒業したばかりだが、すでに約2万人のユーザーが毎月アクティブにサービスを利用しており、ダウンタイムを最小限に抑え、コストを削減するために、独自のカスタムサーバーを用いたインフラを構築し始めている。

同社のさらに大きなアイデアは、あらゆる種類の状況に対応できるプラットフォームを構築し、それらに応じて課金することだ。例えば、ウェブサーフィンをしているときや、Apple Worldwide Developers Conference(アップル世界開発者会議)のようなイベントを一緒に見ているときには無料でチャットできるが、さらにプレミアムな機能を有料で提供したり、コラボレーションの方法を模索している企業にはサブスクリプション販売することも計画している(Gigglが現在提供しているサービスのデモは下の動画で見ることができる)。

Hearo.live(ヒアロ・ライブ)は、500 Startupsや多数のエンジェル投資家に支援された、もう1つの「マルチプレイヤー」スタートアップだ。この会社は、Sony Worldwide Studios(ソニー・ワールドワイド・スタジオ)で13年間エンジニアリングディレクターを務め、一時期はElectronic Arts(エレクトロニック・アーツ)の一部門でCTOを務めていたこともあるNed Lerner(ネッド・ラーナー)氏が発案した。

Hearoは、Gigglのようにユーザーが何でも一緒に見ることができるわけではない。そういう意味ではより狭い戦略をとっている。その代わり、ユーザーはNBC Sports(NBCスポーツ)からYouTube(ユーチューブ)、Disney+(ディズニー・プラス)など、米国で見られる35以上の放送サービスにアクセスでき、すべてのユーザーが同じオリジナルのビデオ品質で視聴できるように、データの同期化が行われている。

Hearoはサウンドにも力を入れており、例えばユーザーたちがバスケットボールのプレーオフを一緒に見ながらコメントする場合など、複数のオーディオストリームが同時に生成される際に、参加者全員がノイズの多いフィードバックループに見舞われることがないように対策も講じている。

実際に、Hearoの小さなチームが開発したエコーキャンセラーなどの「特別なオーディオトリック」によって、ユーザーは「ノイズやその他のものに邪魔されることなく」体験を楽しむことができると、ラーナー氏はいう。なお、ラーナー氏は「Clubhouse(クラブハウス)にできることは、ほとんどすべて私たちにもできます」と語っている。「ただ、正直に言って、人が単に座って話しているだけなんて、大したことだとは思わなかったので、ご覧のように他のことに力を入れているのです」。

Gigglと同様に、Hearoとラーナー氏はサブスクリプションモデルを想定している。また、最終的にはスポーツ放送局と広告収入を分け合えるようになることを見越しており、そのためにEuropean Broadcasting Union(欧州放送連合)とすでに協力しているという。Gigglと同様、Hearoのユーザー数は、iOS、Android、Windows、macOS用のアプリのこれまでのダウンロード数が30万件、月間アクティブユーザー数が6万人と、一般的な基準からすると控えめな数字に留まっている。

このことは「オンラインで一緒に見る」ことが、果たして大きな商機になるのかという疑問を投げかけている。そしてその答えは、HearoとGigglが注目に値する技術を持ち、収益を上げる道筋を用意していても、まだ明確にはなっていないようだ。

「一緒に視聴」体験に注力しているのは、これらのスタートアップ企業が最初というわけではない。シリアルアントレプレナーのRichard Wolpert(リチャード・ウォルパート)氏が設立したアプリ「Scener(シーンナー)」は、200万人のアクティブな登録ユーザーを擁し「すべてのスタジオと最良かつ最も活発な関係を築いている」と述べている。しかし、このアプリは自らをバーチャル映画館として販売しており、その使用目的は少々異なる。

2013年に創業したRabbit(ラビット)は、人々が同じコンテンツを同時に見たり、テキストチャットやビデオチャットをすることを可能にした。Gigglが構築しているものに近いと言えるだろう。しかし、Rabbitは結局、暗礁に乗り上げてしまった。

ラーナー氏によると、Rabbitは他人の著作物をスクリーン共有していたため、同社のサービスに対する料金を請求することができなかったからだという(基本的には「個人的な金銭的利益のためでなければ、ある程度の海賊行為は許される」とラーナー氏は述べている)。しかし、新型コロナウイルスの流行が遠のき、人々が物理的な世界により積極的に関わるようになった今、このようなサービスに大きな需要があるだろうかと疑問に思うのは当然だろう。

しかし、他の人はいざしらず、ラーナー氏は心配していないようだ。同氏は、他の場所よりも携帯電話で動画を視聴する方がはるかに快適だと感じている世代がいることを指摘する。また、画面を見ている時間が「孤立したもの」になっていることに言及し、いずれは、それが「仲間と一緒に過ごす理想的な時間」、つまり一緒のソファでゲームを見るようなものになると予測している。

その予測には根拠となる前例がある。「この20年の間に、ゲームはシングルプレイヤーからマルチプレイヤーになり、ゲームの中にボイスチャットが登場して、人々が実際に集うようになりました」と、ラーナー氏はいう。「モバイルはどこにでもあり、ソーシャルは楽しいものです。同じことが、他のメディアビジネスにも起こると我々は考えています」。

Gigglのゾグ氏は、このトレンドが彼の会社にも有利に働くと考えている。「コロナ禍が終息すれば、人々がより頻繁に会うようになることは明らかです」と、同氏はいう。しかし、現実の世界における交際は、インターネット上の至るところですでに行われているオンライン交際の「代用にはならない」と考えている。

さらに、Gigglは「オンラインで一緒の時間を過ごすことが、現実の生活で一緒にいるのと同じくらい良いことだと思えるようにしたい」と考えていると、ゾグ氏は付け加えた。「それがGigglにおける最終的な目標です」。

関連記事:

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Teleparty資金調達共同視聴Giggl動画配信Hearo.liveアプリ

画像クレジット:Pavlo Conchar/SOPA Images/LightRocket via Getty Images / Getty Images

原文へ

(文:Connie Loizos、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ツイッターがインドの新IT規制に従い現地常駐の苦情担当官を任命、政府にオリーブの小枝

米国のソーシャルメディア企業Twitter(ツイッター)は先日、インドにおける新IT規制の不遵守を理由にユーザーが作成したコンテンツに対する免責措置を失ったと報じられたが、同社はその数日後、インドに常駐するレジデントグリーバンスオフィサー(RGO)を任命した。

2021年2月に発表され5月下旬に施行されたインドの新しいIT規制に基づき、Twitterはインド時間7月11日、Vinay Prakash(ヴィネイ・プラカッシュ)氏を新たなRGOとし、同氏への連絡方法を共有した。さらにTwitterは、新規制に記載されているもう1つの要件であるコンプライアンスレポートを公開した。

関連記事:インド政府がツイッターは同国での免責措置を失ったと主張、新IT規制不遵守を理由に

インド政府は7月5日、Twitterがコンプライアンス、グリーバンス、および現場での懸念に対応するためのいわゆるノーダルコンタクトの担当官を任命しなかったため、同社は国内のユーザー生成コンテンツに関する免責措置を失ったと地元の裁判所に述べていた。

Facebook(フェイスブック)、Google(グーグル)、Telegram(テレグラム)などを含む他のインターネット大手は、インドで現地常駐のコンプライアンス担当官をすでに任命している。

インターネットサービスは「セーフハーバー」と呼ばれる広義の保護を受けている。これは、ネット上に投稿したり共有するコンテンツに関して、技術系プラットフォームが責任を問われないというものだ。例えば、Twitterであなたが誰かを侮辱した場合、その投稿を削除するよう求められることはあっても(侮辱した相手が裁判所に訴え、削除命令が出された場合)、同社はユーザーの言動に対して法的責任を問われることはおそらくない。

この保護がなくなれば、モバイル調査会社のApp Annieによるとインドに1億人以上のユーザーを抱えているTwitterは、名目上ではこれらのユーザーがプラットフォーム上で発言するすべての内容に対して責任を持つことになる。インドの警察は諸問題に関し、同社またはその関係者に対して、すでに少なくとも5件の訴訟を起こしている。

今回の新たな動きにより、Twitterとインド政府との間の緊張関係が緩和されることが期待される。デリー警察の特殊部隊が5月下旬にTwitterの2つのオフィスを突然訪問したことは、多くの人が脅迫戦術と受け止めた。Twitterは当時「インドの従業員に関する最近の出来事と、当社がサービスを提供している人々の表現の自由に対する潜在的な脅威に懸念を抱いている」と述べ、インド政府に対し、新しいIT規則に準拠するための3カ月間の追加猶予を認めるよう要請した。

先週初め、Twitterはインドの裁判所に対し、新規制を「完全に遵守」するよう努めていると述べた。

自国で事業を行うハイテク企業に対して、同様の要件を策定する国が増えている。ロシアのVladimir Putin(ウラジーミル・プーチン)大統領は、海外のソーシャルメディア大手にロシア国内でのオフィス開設を義務付ける法律に署名した。デイリーユーザー数が50万人以上のソーシャル企業は、この新法を遵守する必要がある。

関連記事
インド警察が与党政治家の投稿に「操作メディア」とラベル付けした同国のツイッター支社を訪問
2021年5月に新IT規則を施行したインドのIT大臣と情報放送大臣が辞任

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TwitterインドSNS

画像クレジット:Smith Collection / Gado / Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

WhatsAppで「最高品質」を指定して写真や動画を送信可能に

WhatsAppは現在準備中の機能により、ユーザーは画像圧縮のわかりにくい設定なしで、写真や動画を最高の画質で送ることができる。「最高品質」オプションはアプリの今後のバージョンで「オート」と「データ保存」のメニューに加わるようだ。

今後ユーザーが選択できるのは、写真や動画を圧縮してデータ量を節約するか、それらを最高の画質で送るか、またはWhatsAppが自動的に最適の圧縮率を選ぶかの3択になる模様。

その設定はWhatsAppがGoogle Play Beta Programに提出したアップデートに存在する、と発見したWABetaInfoは述べている。オプションはAndroidアプリの一般公開用ビルドに登場すると思われるが、目下開発中なので時期はわからない。画質に関する新たなオプションはiOSアプリにも登場しそうだ。これまでもWhatsAppは機能を、両プラットフォームで揃えていた。

iOSやAndroidで標準のメッセージングアプリを使わず、写真や動画を愛する人に頻繁にシェアするタイプの人にとって、このニュースはうれしいものだろう(Apple Messagesは元の画質を維持する場合が多い)。そして、WhatsAppのマルチデバイスサポート(1つのアカウントで4台まで)も現在、開発中のようだ。

【編集部注記】この記事は最初、Engadgetに掲載された。

関連記事
WhatsAppがマルチデバイス対応し「一度だけ表示」して消失する機能を導入
フェイスブックがWhatsApp APIをアップデート、ビジネス利用を促進
インド政府が大手ソーシャルメディアに新ルール遵守状況の報告を要求

カテゴリー:ネットサービス
タグ:WhatsApp動画

画像クレジット:Thomas Trutschel/Getty Images

原文へ

(文:Kris Holt(Engadget)、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ランサムウェアの問題を可視化するクラウドソースの身代金支払い追跡サイト「Ransomwhere」

新型コロナウイルスのパンデミックの乱気流で勢いづいたランサムウェアの攻撃は、サイバー犯罪者にとって大きな稼ぎ頭となっており、2020年は攻撃件数が増加した。

こうしたファイルを暗号化する攻撃は、今年もほぼ衰えることなく続いている。ここ数カ月だけでも、Colonial Pipeline(コロニアル・パイプライン)への攻撃で同社のシステムと東海岸の大部分へのガソリン供給が停止したり、食肉業者のJBSへのハッキングで世界各地の食肉処理場の操業が突然停止したり、今月はITベンダーのKaseyaへのサプライチェーン攻撃で数百人の下流の被害者がシステムから締め出されたりした

しかし、ランサムウェアの攻撃がニュースになることはあっても、その影響を完全に理解することはほとんど不可能だ。また、サイバー犯罪者の身代金要求に応じるなどのある種の決断が違いを生むかどうかもわかっていない。

Krebs Stamos Groupのセキュリティーアーキテクトであり、以前は米国のCybersecurity and Infrastructure Agency(サイバーセキュリティー・インフラストラクチャー庁、CISA)に勤務していたJack Cable(ジャック・ケーブル)氏は、クラウドソースによる身代金支払い追跡サイトRansomwhereを立ち上げ、この問題を解決しようとしている。

「Ransomwhereを始めようと思ったきっかけは、Katie Nickels(ケイティ・ニッケルズ)氏がつぶやいた、サイバー犯罪、特にランサムウェアの影響を誰も完全には把握していないという言葉でした」とケーブル氏はTechCrunchに語った。「現在、ランサムウェアの支払いに関する公的なデータを集めた場所がないことを知り、ビットコインの取引を追跡するのは難しくないことから、それをハッキングし始めました」

このサイトでは、サイバー犯罪者に支払われた身代金をビットコインで集計している。これは、ブロックチェーン上で取引を公開記録することで可能になった。このサイトはクラウドソースなので、誰もが提出できるランサムウェア攻撃の自己申告によるデータを取り入れている。しかし、すべての報告が正当なものであることを確認するために、報告の際にはランサムウェアの支払い要求のスクリーンショットを撮ることが義務付けられており、公開前にケーブル氏自身がすべてのケースを手作業で確認している。承認されたレポートの信憑性が疑われた場合、そのレポートはデータベースから削除される。

すでに急増しているこのデータベースには、個人情報や被害者を特定する情報は一切含まれていないため、サイバーセキュリティー業界や法執行機関の関係者は自由にダウンロードすることができる。

「ランサムウェアの経済性に関する現状を変えるための政策提案を検討する際には、そうしたアクションが成功したかどうかを評価するデータが必要になります」とケーブル氏は話す。「法執行機関は、Colonial Pipelineのハッキングで見られたように、支払った一部を回収する能力を持っているため、このサイトが彼らの努力をさらに支援できれば素晴らしいことです」

本稿執筆時点で、同サイトが捕捉した2021年の身代金支払いの総額は3200万ドル(約36億円)以上だ。これらの支払いの大部分は、JBSとKaseyaのハッキングを行ったロシアに関連するランサムウェアギャングであるREvilに支払われた。Ransomwhereによると、このグループは今年、1100万ドル(約12億円)以上の身代金をかき集めており、Kaseyaへの攻撃の一環として最近要求した7000万ドル(約78億円)が支払われると、その額は劇的に増加する可能性がある。

ダークウェブで最も人気のあるランサムウェア・アズ・ア・サービスの1つであるNetwalkerは、2021年は支払い額が630万ドル(約7億円)以上で2位となっている。Ransomwhereの集計によると、身代金の支払い総額では同グループが最も多く、同サイトのデータによると約2800万ドル(約31億円)に達している。

RangarLockerは460万ドル(約5億1100万円)、DarkSideは440万ドル(約4億8800万円)、Egregorは320万ドル(約3億5500万円)となっており、少なくとも現時点では、Ransomwhereのトップ5に入っている。

ケーブル氏によると、今後は、セキュリティーやブロックチェーン分析の分野の企業と提携して、彼らがすでに持っているランサムウェアの動きに関するデータを統合する方法を模索しているという。また、イーサリアムのような追跡可能な他の暗号資産(仮想通貨)をサポートする方法や、ビットコインの下流のアドレスを追跡する可能性についても検討している。

「Monero(モネロ)を使用している犯罪者を追跡することはほぼ不可能です」とケーブル氏は言う。「しかし、私は可能な限り全体像を把握したいと思っています」。

カテゴリー:
タグ:

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

[原文へ]

(文:Carly Page、翻訳:Nariko Mizoguchi

ドイツ政府機関が2021年中のフェイスブックページ削除を要請される

ドイツ連邦情報監督機関はFacebook(フェイスブック)に対して遂に堪忍袋の尾が切れたようだ。

Facebookが継続的にデータ保護コンプライアンスに違反しており、同問題に対する修正も行っていないため、Ulrich Kelber(ウルリッヒ・ケルバー)氏は2021年6月、政府機関に対して、公式Facebookページを閉鎖するよう強く推奨すると書いている。

この書簡で、ケルバー氏は、各政府機関に対して、2022年1月より、強制執行を開始する意向だと警告しており、事実上2021年中にFacebookからページを削除するよう求めている。

したがって、今後数カ月で独政府機関の公式Facebookページは見られなくなると思ったほうがよい。

ケルバー氏自身の機関BfDiは、Facebookページを作成していないようだが(ただし、Facebookのアルゴリズムでは、存在しないページを検索するとこのような人工的なスタブが生成されるようだ)、ドイツの他の多くの連邦機関はFacebookページを作成している(例えば厚生省の公開ページのフォロワーは76万人以上にもなる)。

これらのページがクリスマスまでにFacebookのプラットフォームから消滅する(あるいは2022年初めにケルバー氏によってページ削除の命令を受ける)のを防ぐためには、Facebookが同社のプラットフォームの運営方法に関してこれまでにない大幅な変更を実施して、EUの法律を遵守する形でドイツでFacebookページを運用できるようにするしかないようだ。

しかし、Facebookには、長年に渡ってプライバシーやデータ保護関連の法律を無視してきたという悪い評判がある。

同社はごく最近も、ユーザーが利用可能な情報の質を低下させることがビジネス上の利益になるなら喜んでそうするという本性を表した(例えばオーストラリアのユーザーが証言しているように、メディアコード法に反対するロビー活動を行っている)。

関連記事
フェイスブックが豪州ユーザーのニュースリンク共有・閲覧を禁止へ
EU諸機関によるAWSとマイクロソフトの各クラウドサービス利用について同プライバシー責任者が調査を開始

このため、独の各政府機関は何も言わずにFacebookページを閉鎖することになりそうだ。

ケルバー氏によると、Facebookページは市民と連絡をとるための重要な方法であると各公的機関が主張しているため、各機関のFacebookページ削除の強制執行を行うのを避けてきたという。

とはいえ、同氏の書簡には、政府機関は法令順守の模範となる必要があるため、データ保護法を順守する「特別な義務」があると指摘されている(欧州データ保護監督庁[EDPS]も、EUの機関による米国クラウドサービス大手のサービス利用の見直しに際して、同じような方針を採っている)。

ケルバー氏の評価によると、Facebookが2019年に提示した「補遺」では法令違反の問題が是正されておらず、同社はページ運営者がEUの一般データ保護規則に規定されている要件を順守できるようにデータ処理業務を改善していないと結論づけている。

この点に関連して、2018年6月の欧州の最高裁判所の判決では、Facebookのファンページ(企業や有名人が作る、ファンとの交流ページ)の管理者も、ページ訪問者のデータの処理に関して、Facebookと共同責任を負うべきだと考えている。

つまり、こうしたページの運営者もデータ保護法順守の義務に直面しており、Facebookの利用規約によって、同社が行うデータ処理に関してページ運営者が法的に擁護されると単純に考えることはできないということだ。

問題は、簡潔にいうと、Facebookはページ運営者に、ユーザーデータの処理方法に関して十分な情報と保証を提供していないという点にある。このため、ページ運営者は、Facebookページのフォロワーに、彼らの個人データがどのように処理されているのかを十分に伝えることができず、そのためGDPRの説明責任と透明性の原則に準拠することができない。

しかも、Facebookページの運営者には、ページフォロワーの個人データのFacebookによる利用を無効にする(またはブロックする)方法も用意されていない。ページ運営者が、Facebookによって提供されている分析機能をまったく使用していないくても、である。

いずれにしてもFacebookによるユーザーデータの利用は行われるのだ。

これは、Facebookが、広告ターゲット絞り込みエンジンにデータを与えるために、交渉の余地のない「データ最大化」モデルに基づいて運営されているからだ。

関連記事:GDPR施行、「同意の強制」でさっそくFacebookとGoogleに対し初の提訴

しかし、このアプローチは裏目に出る可能性がある。主要サービスをFacebookのプラットフォームから他社プラットフォームへ移行するという大きな動きがあるため、Facebookのネットワークで利用可能な情報の質が永久に低下してしまう可能性があるからだ。実際、EUのすべての政府機関はFacebookページを削除している。

この件に関するBfDiウェブサイトのブログ投稿では、Facebookがもたらした法令遵守の空白状態から「データ保護順守型ソーシャルネットワーク」が生まれる可能性に期待を寄せている。

当然、ユーザーの権利に基づくサービスを販売しようとする代替プラットフォームには競争の機会がもたらされるだろう。

ドイル連邦厚生省の公式Facebookページ(画像クレジット:TechCrunch / Natasha Lomas)

BfDi(ドイツ連邦共和国データ保護機関)の介入に関して、オスロにあるResearch Center for Computers and Law(コンピューターと法律に関するノルウェー研究センター)の主任研究員Luca Tosoni(ルカ・トソニ)氏はTechCrunchに次のように語った。「こうした法令遵守型SNSの誕生は、共同管理権に関する最近のCJEU(欧州連合司法裁判所)の判例法と密接な関係があります。同判例法では、ページの訪問者の個人データの処理に関して、Facebookページの管理者はFacebookの共同管理者とみなされるべきであるとする、欧州で事業展開するビジネスアカデミー「Wirtschaftsakademie」の判例を考慮しています」。

「これは、ページ管理者とFacebookが、Facebookページへのユーザーのアクセスに紐付いたデータ処理行為のすべての段階について平等に責任を負うという意味ではありません。ただし、両者は、役割と責任の明確な分担について同意している必要があります。ドイツのデータ保護と情報の自由に関する連邦監督機関によると、Facebookの現在のデータ保護『補遺』は、後者の要件を満たすには不十分であるように思われます」。

「CJEUが、Fashion ID判例で、共同管理者のGDPR遵守義務は、彼らが管理を行使するデータ処理ステージに見合ったものであるべきという見方をしていることは注目に値します」とトソニ氏は付け加えた。「つまり、Facebookページ管理者のデータ保護義務は通常、極めて限定的なものになる傾向があるということです」。

その他のソーシャルメディアサービスに対する警鐘

この法令遵守の問題はドイツのFacebookに影響を及ぼしており、その他のEU市場にも影響を及ぼす可能性がある。Facebook以外のソーシャルメディアサービスも同様の問題に直面する可能性がある。

例えばケルバー氏の書簡では、Instagram(インスタグラム)、TikTok(ティクトック)、Clubhouse(クラブハウス)についても継続的に監査を行うことを強調しており、これらの企業が提供しているデータ保護レベルの欠点について警鐘を鳴らしている。

また、同氏は、政府機関がビジネスデバイス上で使用を避けるべき3つのアプリも挙げている。

政府機関によるソーシャルメディアサービスの利用に関する2019年の評価では、BfDiは、Twitterの使用は対照的にデータ保護規則を遵守している可能性があることを示唆した。ただし、少なくとも、プライバシー設定をすべて有効にして分析を無効にした場合という条件付きではあるが。

当時、BfDiはFacebook所有のインスタグラムもFacebookと同様の法令違反の問題に直面しており、グループ全体で同意に対する強権的なアプローチをとっていると警告している。

ケルバー氏が提示した最新の推奨事項に対してFacebookにコメントを求めたところ、同社は特定の質問に答えることはせず、代わりに次のような包括的な回答を返してきた。

「2019年末に、当社はPage Insights補遺を更新し、データ処理の透明性に関する質問を考慮して、Facebookとページ管理者の責任を明確にしました。当社にとって、連邦機関がFacebookページを通じて当社プラットフォームを利用している市民とプライバシーを遵守した形で連絡をとることができるようにすることは重要です」。

CJEUによる2020年夏のSchrems II判決の後、法的に不確定な状態が続いたため、Facebookにとって事態は複雑化の度を増すことになった。

企業が自社のデータ保護レベルが十分であると自己証明できるとする、EU米国間のプライバシーシールド協定を欧州の最高司法府が無効としたため、EUユーザーの個人データを米国に転送する最も簡単な経路が削除された。裁判所は、EUユーザーの個人データの国外転送を完全に違法としたわけではないが、情報が危険にさらされる場所に、または危険にさらされるような方法で転送されている疑いがある場合、データ保護局は、データフローに介入して停止する必要があることを明確化した。

Schrems II判決の後、米国への転送は明らかに問題があるとされるようになった。米国では、FISA 702の対象となる米国企業(Facebookなど)によってデータが処理されているからだ。

実際、FacebookのEU米国間データ転送はSchrems II裁判の原告の当初の攻撃目標だった(Max Schrems[マックス・シュレムス]氏の自身の名前を冠した文書による)。EUのFacebook担当主任データ保護監督官が2020年の同社に対する仮命令を継続して、対EUデータフローを停止すべきかどうかの判断は今後数カ月の間に下される予定だ

関連記事:フェイスブックのEU米国間データ転送問題の決着が近い

アイルランドで長きに渡って期待されている決着に先立って、他のEU DPAは一歩踏み出して具体的な措置を開始しており、ケルバー氏の書簡では、もう1つの懸念事項としてSchrems II判決に触れている。

トソニ氏は、 GDPRの執行部隊が遂に本腰を入れていることに同意する。と同時に同氏は、Schrems II判決に準拠するといっても、各データフローをケースごとに評価する必要があることを踏まえ、さまざまな微妙な違いがあることを示唆し、管理者が適用可能な補助的手段も幅広いことを指摘した。

「こうした展開は、欧州のデータ保護当局が、Schrems II判決でのCJEUの解釈に基づいてGDPRデータ転送要件を強制執行することについて真剣に検討していることも示しています。独のデータ保護と情報の自由に関する連邦監督機関はこの点をもう1つの課題として挙げています」と同氏はいう。

「ただし、独連邦監督官がFacebookページの使用についての書簡を送付した数日後に、EDPB(欧州データ保護会議)は、CJEUのSchrems II判決に従って、異国間データ転送の補助的手段に関する推奨事項の最終版を採択しています。このため、独のデータ保護当局がこれらの新しい推奨事項を、独公的機関のFacebookページがGDPRに準拠しているかどうかの今後の判断で検討するかどうかはまだわかりません」。

関連記事:EUが第三国へのデータ移転に関する最終ガイダンスを発表

「このような推奨事項によって米国に対するデータ転送の全面禁止が確立されることはありませんが、厳しい制限措置が課されることになり、Facebookページに対するドイツ人訪問者の個人データの米国への転送を継続するには、この制限に従うことが求められることになります」。

CJEUによる最近のもう1つの判断では、EUのデータ保護機関は、GDPRのワンストップショップメカニズムの下では特定の企業のデータ監督機関ではない場合でも、状況に応じて、措置を講じることができるとしている。これにより、あるメンバー国の機関が緊急に対策を講じる必要があると確信した場合は、そのメンバー国の監督機関によって訴訟が起こされる可能性が大きくなる。

とはいえ、独政府機関によるFacebookページの使用に関して、共同監督権に関するCJEUの以前の判決では、これらの機関のFacebookページは、BfDiの明確な管轄対象であるという判断がすでに下されている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:ドイツFacebookSNSEU

画像クレジット:Jakub Porzycki/NurPhoto / Getty Images

原文へ

(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

韓国eコマース大手のCoupangが日本に続いて台湾に進出

台北で配達をするCoupangのライダー

2021年6月に初の海外市場として日本でサービスの試験運用を始めた韓国eコマース大手のCoupangが、今度は台湾に進出した。同社が台北市中山区でサービスを開始したことで、住民はアプリから商品を注文し、午前8時〜午後11時にオンデマンドで配達してもらえる。配達手数料は19ニュー台湾ドル(約75円)。

Coupangはサービスをテストし、台湾での配達インフラについて今後さまざまなモデルを評価する。注文できる商品は食品、飲料、生活必需品、ペット用品で、日本でのサービスと似ている。台北ではCoupangの現時点での最も直接的な競合は、ドラッグストアなどの小売店やレストランから配達をしているUber EatsやFoodpandaだ。Coupangは今のところ配達担当者を店舗やレストランに向かわせるのではなく直接注文を処理しているのが大きな違いだ。

今後Coupangが商品のカテゴリーを広げていくと、24時間配達をしているMomoやPChomeなどのeコマースプラットフォームとも競合するだろう。Coupangは韓国のeコマースプラットフォームで膨大な商品を取り扱っている。生鮮食料品のRocket Freshや食事のCoupang Eatsといったサービスも展開している。

2010年に創業されたCoupangは、2021年3月にニューヨーク証券取引所での上場に成功した。韓国におけるeコマースのマーケットリーダーとなり、配達のスピードとリテンションレート(顧客がどの程度の頻度で戻ってきて購入するか)で「Amazonを超えようとするAmazon」と国際的にも評価されている。

韓国でCoupangが10年前に創業したときには自社のロジスティクスのインフラに相当な投資をしたが、現在では他社とも連携している。日本や台湾でどのような事業モデルを選択するかはまだ決まっていないようだ。同社は次にどこのマーケットに進出するかを明らかにしていないが、シンガポールでオペレーション、小売、ロジスティクスの責任者を募集していた

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Coupangeコマース韓国台湾デリバリー

原文へ

(文:Catherine Shu、翻訳:Kaori Koyama)

Dropboxが作ったポストコロナの新たな仕事環境「Dropbox Studios」

パンデミックは、個人にとっても企業にとっても多くの反省点があるものだった。テクノロジー企業は特に、オフィスでのフルタイムの仕事に今後戻るのかを検討している。リモートとのハイブリッド方式を考えている企業もあれば、ビルの一室には戻らないだろうという企業もある。このような状況の中、Dropboxは今週発表するDropbox Studiosという新たなコンセプトでオフィスを再構築することを決定した。

関連記事:オフィス再開に向けて大手テック企業はそれぞれ柔軟なワークモデルを検討中

DropboxのCEOで共同創業者のDrew Houston(ドリュー・ハウストン)氏は、今回のパンデミックを、企業が分散というレンズを使って仕事のあり方を見直すきっかけとなる強制的な出来事だと考えていり。彼は、多くの企業が単純に昔の仕事のやり方に戻るとは考えていない。そのため、ハウストン氏は自分の会社のオフィスデザインを見直し、仕切られた小部屋が集まったような風景を止めようと考えた。その代わりに、彼は人々は必ずしも建物の中の一定の場所にずっといる必要はないとことを考慮した新しいアプローチに注目した。

「今週、サンフランシスコをはじめとした米国でDropbox Studiosをソフトローンチまたはオープンしました。この機会に、オフィスをスタジオと呼ばれるコラボレーションスペースに再構築することに重点を置きました」とハウストン氏は語る。「私たちは本当にすばらしい個人的な経験ができることに焦点を当てました。その中には会社レベルで調整するものもあれば、もっと多くのコラボレーションをサポートするために改装されたスタジオに行くこともできます」とハウストン氏はいう。

Dropbox Studiosのコーヒーショップ(画像クレジット:Dropbox)

そのために同社は、カジュアルな雰囲気を醸し出すコーヒーショップ、ハウストン氏が「オンサイトとオフサイト」と呼ぶチームのための会議室、組織的なグループ学習のための教室など、多くのソフトスペースを設けている。その基本的な考え方は、オフィスとしての利点を活かすために、目的に合わせてスペースを自由自在に編成できる可能だ。家での仕事に欠けていた人との出会いも可能にしながら、自宅で個人的な仕事の効率を上げることができたようにもしている。

同社は、サンフランシスコ、シアトル、東京、テルアビブなどの主要都市に専用スタジオを設置し、その他の地域ではWeWorkなどのパートナーが運営する小規模なオンデマンドスペースを利用する。

Dropbox Studiosのクラスルームスペース(画像クレジット:Dropbox)

2020年のTechCrunch Disruptでハウストン氏は、Dropboxはこの機会を前向きに捉えて、分散型労働の最先端に立ちたい。そしてその実例を提供し、他社の導入を誘導したいと語っていた。

「『分散型ワーク』への移行の影響をより広く考えると、オフィスに戻ったとき以外にも影響が出てきます。つまり、私たちは一方通行のドアを通過したのです。これはおそらく、ナレッジワークという言葉が1959年に生まれて以来、最も大きな変化の1つだと思います」とハウストン氏は2020年に語っている。

彼は会社がプロダクトを繰り返し開発するのと同じく、どのように機能するかを評価し、必要に応じてデザインを繰り返していかなければならないと認識しており、新しいスペースやコラボレーションワークへの影響を評価し、必要に応じて調整していく予定だ。他者を支援するためにDropboxはVirtual First Toolkitと呼ばれるオープンソースのプロジェクトプランを公開している。

新しい働き方に移行し、必要なスペースが劇的に変化する中で、Dropboxはこのアプローチに全面的に取り組んでおり、既存のオフィススペースの多くを再利用する予定だ。大胆な一歩だが、ハウストン氏は自分の会社がユニークな立場にあると捉えて、Dropboxが他社にとって働き方を再構築する方法の模範になることを望んでいる。

関連記事:DropboxのCEOドリュー・ハウストン氏は「パンデミックが仕事とは何かを再考させてくれた」と語る

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Dropboxオフィスハイブリッドワーク

画像クレジット:Dropbox

原文へ

(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

グーグルがGoogle Playの課金をめぐり大規模な反トラスト訴訟に直面

37人の司法長官からなるグループが米国時間7月7日、複数州にまたがる2件目の大規模な反トラスト訴訟をGoogle(グーグル)に対して起こした。

ニューヨーク州のLetitia James(レティシア・ジェームズ)司法長官は、テネシー州、ノースカロライナ州、ユタ州の司法長官と共同でこの訴訟を主導している。超党派の連合体は、カリフォルニア、フロリダ、マサチューセッツ、ニュージャージー、ニューハンプシャー、コロラド、ワシントン、およびコロンビア特別区を含む、米国の36の州を代表している。

「Googleは、その違法行為により何億ものAndroid(アンドロイド)ユーザーが携帯電話やタブレットにダウンロードする何百万ものアプリケーションを確実にGoogleだけに頼るよう動きました」と、ジェームズ氏はプレスリリースで述べた。「さらに悪いことに、Googleは、ただ競争を求めているだけの何百万もの中小企業の活力を奪っています」。

2020年12月には、35の州がGoogleが検索ビジネスの独占を維持するために違法行為を行っているとして、Googleに対して別の反トラスト訴訟を起こした。司法省は同年10月、検索に焦点を当てた独自の独禁法訴訟を起こした。

関連記事:グーグルの「独占力」を非難する米国35州が新たな反トラスト法訴訟を提起

超党派の州連合は、この新しい訴訟の中で、Googleが「誤解を招くような」セキュリティ警告を用いて、消費者や開発者を壁に囲まれた同社のアプリガーデンであるGoogle Play Store(グーグルプレイストア)内に留めるようにしていると主張している(下の埋め込み資料参照)。しかし、GoogleがAndroidアプリの開発者から徴収している手数料が、この訴訟の本質であると思われる。

「Googleは、潜在的なライバルがGoogle Play Storeに対抗するのを妨害する違法行為を行っただけでなく、アプリ開発者や消費者をGoogleの決済システムに不当に閉じ込め、高額な手数料を請求することで利益を得ています」と、コロンビア特別区司法長官のKarl Racine(カール・ラシーン)氏は話した。

Googleは、Apple(アップル)同様、すべてのアプリの決済処理を自社のサービスであるGoogle Play Billingに集約し、すべての決済から30%を徴収することで利益を得ている。ここで批判されていることは、アプリのエコシステムをさらに厳しく管理しているAppleにもあてはまり、今後もそうあり続けると思われる。Googleは、iMessageに相当する専用アプリを持っていないため、同じようにユーザーを囲い込むことはできない。

この訴訟ではアプリ市場におけるGoogleの「独占力」が議論されているが、部屋の中の象のような存在はAppleだ。Appleは、モバイルソフトウェア分野におけるGoogleの強力な直接の競合相手である。訴訟では、消費者がAndroidのエコシステムに留まるよう圧力を受けていると主張しているが、少なくともAndroidに関しては、その多くが最終的には慣れとサンクコスト(すでに発生し回収不能な費用のこと)に起因している。Appleに対する主張の方がはるかに強いと思われる。

テック企業がアプリ開発者から高額なモバイル決済手数料を搾取しているという声は、ますます大きくなっている。今回の複数州にまたがる訴訟は最新のものだが、この話題は、Epic GamesがAppleの手数料を回避したいがためにApp Store以外でモバイル決済を行うことを求めてAppleと裁判を起こして以来、白熱している。Epicが回避策を確立したとき、AppleはEpicをApp Storeから追い出し、Epic Games対Appleの構図が生まれた

関連記事
アップルがフォートナイトを筆頭にEpic GamesのApp Storeアカウントを完全削除
Fortniteを削除されたEpic Gamesが反アップルキャンペーンを全力展開、提訴も準備

司法省は、Appleのアプリストアでの商慣習にすでに関心を持っていると言われている。いつでも同社に対して別の訴訟を起こすことができる多くの州の司法長官も同様だ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:GoogleGoogle Play反トラスト裁判Androidアプリ

画像クレジット:nurphoto

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

fundbookがM&Aマッチング後の交渉プロセスを可視化する「fundbook cloud」機能の無料提供開始

fundbookがM&Aマッチング後の交渉プロセスを可視化する「fundbook cloud」機能の無料提供開始

独立系M&A仲介企業fundbook(ファンドブック)は7月8日、同社M&Aプラットフォームのうち、M&Aマッチング後の交渉フェーズから最終合意までの交渉過程をオンライン上で可視化するM&A特化型システム「fundbook cloud」部分について、無料公開すると発表した。これにより、交渉中のアドバイザーのサポートがかたよることなく、透明性の高いM&Aが可能になり、さらに対面での取引が難しいコロナ禍での交渉も安全に行えるようになるという。

fundbookは、譲受企業が自ら候補先を選んでマッチングが行えるM&Aプラットフォームを2018年7月から展開している。これまでのM&A仲介で課題とされてきた「アドバイザーの先入観に左右されがちな属人的要素」を排除でき、時間や場所にとらわれないマッチングも実現するというものだ。

このM&Aプラットフォームを、「公平でスピーディーなM&Aを実現する総合プラットフォーム」に発展させようと、fundbook cloudとして「ディール管理」機能と「データファイルの受け渡し・保存管理」を可能にするクラウド機能を追加した。これら機能は、同社M&Aプラットフォームでマッチングを行い、ディールフェーズに進む譲受企業向けのサービスとなっている。

ディール管理については、M&Aの交渉に関わる日程やタスクを一元管理するというものだ。

データファイルの受け渡し・保存管は、交渉で必要となる機密情報や重要書類のやり取りをfundbook cloud上だけで安全に行い、送付履歴や修正履歴などの一元管理を可能にするというものだ(今回の実装では最終契約フェーズ前までのデータに限定)。

今後は、「ブラックボックスになりがち」なM&Aプロセス全体の可視化や、M&A後の統合プロセス(PMI)の管理機能なども加えて充実させゆくという。

関連記事
起業家と投資家が自分の時間の都合に合わせてつながれる非同期ピッチ動画プラットフォーム「GoToPitch」がリリース
個人向け銀行ローンマッチングの「クラウドローン」が累計1.56億円調達、オリコとの事前審査の連携開始も発表
店舗とユーザーのマッチングを自動で行う「オトコロAIマッチング」、店舗比較サイトのオトコロドットコムが提供開始

カテゴリー:ネットサービス
タグ:買収 / 合併 / M&A(用語)fundbook(企業)日本(国・地域)

TikTokに履歴書で求人に応募できるLinkedIn的な新パイロットプログラム

TikTok(ティックトック)が発表した新しいパイロットプログラムは、若者たちの動画ベースのソーシャルネットワークにささやかなLinkedIn(リンクトイン)的な機能を導入するものだ。

TikTokが、米国時間7月7日に呼びかけたのは、パイロットプログラムに参加するTarget(ターゲット)、Chipotle(チポトレ)、Shopify(ショッピファイ)、Meredith(メレディス)、NASCAR(ナスカー)、WWEなどの企業への応募に際して、動画による履歴書(レジュメ)を添えて応募することだ。応募者には、コンテンツにハッシュタグ#TikTokResumesをつけて、自分のスキルをクリエイティブにアピールすることを促す。

このパイロットプログラムは、TikTokによるブランドとクリエイターの関係をより洗練されたものにするための最新の取り組みであり、両者が同プラットフォームに時間と資金を投資する理由をさらに増やそうとするものだ。

TikTokのグローバルヘッドオブマーケティングのNick Tran(ニック・トラン)氏はこのパイロットプロジェクトに対して「#CareerTokはすでにプラットフォーム上で盛んなサブカルチャーですが、コミュニティがTikTok Resumes(ティックトック・レジュメ)をどのように受け入れ、採用と仕事の発見をどのように再構築してくれるかを見るのがとても楽しみです」と語っている。

この新しいパイロットプログラムについては、専用のハッシュタグや、応募のヒントやサンプル動画を掲載した独立サイトtiktokresumes.comで知ることができる。このサイトでは、誰でも雇用主別の求人情報を閲覧し、簡単なアンケートに答えて動画のリンクを添付することができる。そしてもちろん、好むと好まざるとにかかわらず、未来の雇用者に自分のLinkedInのプロフィールを紹介することは引き続き推奨されている。

TikTokはこの新しい試みを、同ブランドを宣伝するキャンパス内の代表者として学生を募集するカレッジアンバサダープログラムの「自然な延長」と考えている。今回のパイロットプログラムでは、7月31日までTikTok履歴書を受け付ける。

新しいサイトに掲載されている参加ブランドの中には、NASCARが販売員を募集していたり、Targetが夜勤を担当する時給制の倉庫作業員を募集していたりと、普通の仕事を募集しているものも少なくない(失業している人たちに対して、こうした普通の職種に応募するために、わざわざこんな応募手段を取らせるべきだろうか?)。

中には、All Recipes(オール・レシピ)で視聴者にふわふわビスケットの作り方を教える出演タレントを募集していたり、Popsugar(ポップシュガー)でスーパーバイジングソーシャルプロデューサーを募集していたりと、TikTokのスキルセットに見合った募集もある。

従来の履歴書は何年も変わってこなかった。これまで行ったことを1ページに書き出せというスタイルだ。しかし、ソーシャルメディアマネージャーやその他のコンテンツクリエイターを採用したいブランドは、TikTokの最新のクリエイターエコノミーの試みを利用するとよいだろう。

関連記事
・TikTokが動画の長さを最大60秒から3分に拡大
・TikTokが米国ユーザーの「顔写真や声紋」を含む生体情報の収集を表明

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TikTok求人履歴書

画像クレジット:AaronP/Bauer-Griffin/GC Images / Getty Images

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:sako)

トランプ氏がソーシャルメディア企業を訴える、「訴訟」という新たなツイートで世界に発信か

ソーシャルメディアのプラットフォームが、彼を締め出したのは間違いだと主張するトランプ氏による厳しい3つの訴訟は、前大統領にメディアの一時的な関心を集めることに成功したが、話はそれで終わりだろう。

トランプ氏は在任中に、通信品位法の230条を無効にしようとする、ドンキホーテ的で結局空しいクエストに取り組んだが、今回の新しい訴訟は単なる空騒ぎで、それを支える法的実体もない。

訴訟は、TwitterとFacebookとYouTubeが彼をそのプラットフォームから追い出すことで、トランプ氏の憲法修正第1条の権利を侵害したと主張しているが、修正第1条の意図は政府の検閲から国民を護ることであり、私企業が対象ではない。当時トランプ氏自身が連邦政府のトップだったという皮肉は、この訴訟が誰の手に委ねられても消えることはないだろう。

この訴訟は、TwitterとFacebookのCEOであるJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏とMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏、およびGoogleのCEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏を名指しして(YouTubeのSusan Wojcicki[スーザン・ウォジスキ]氏がまた漏れている!)、3つの企業が「立法府からの脅威と通信品位法230条への誤った依拠、および連邦政府関係者との共同行為への故意の参加に由来する許されざる検閲行為に関与した」と非難している。

訴訟はまた、これらテクノロジー企業が「民主党議員」とCDC(米疾病予防管理センター)およびAnthony Fauci(アンソニー・ファウチ)博士と結託した、と主張している。ファウチ氏は当時、トランプ政権の一員だった。

この議論の核心は、テクノロジー企業と国会議員と連邦政府とのコミュニケーションが、なぜかFacebook、Twitter、YouTubeを「国家の行為者(state actors)」に変えてしまった、という主張だ。その壮大なる飛躍は次のとおりだ。

被告Twitterの地位はかくして、いち私企業のそれを超えて国の行為者の地位になり、被告はそれが行なう検閲の決定において修正第1条の権利に束縛される。

トランプ氏が最高裁判事に指名したBrett Kavanaugh(ブレット・カバノー)氏は、2年前の本件と関連する訴訟で裁判所の意見書を発表した。それは、ニューヨークで公共テレビを放送している非営利団体が、修正第1条に縛られる「国家の行為者」の資格を持ちうるか検討しているものだ。裁判所は、一般公開される公共テレビを運営していることが、その非営利団体を政府機関に変えることはない、独自の編集意思決定を行なういち民間団体としての権利を保有するという判決を下している。

その判決でカバノー判事は「その資産を他による言論のために開く私企業が、その事実のみをもってして、国家kの行為者に変えられることはない」と述べている。

政府に話をしたことや、なぜか政府に脅迫されたことが、TwitterやYouTubeやFacebookを国家の行為者に変えると法廷が判決することもありえないだろう。

関連記事:米国時間1月20日の新大統領就任式での暴力の脅威がソーシャルメディアに長い影を落とす

トランプvs.230条(再掲)

修正第1条については、そもそも議論すべきことがあまりないが、ソーシャルメディアのプラットフォームは通信品位法230条で守られている。その簡潔な条文によって彼らは、彼らがホストするユーザー生成コンテンツだけでなく、削除するコンテンツを決めるモデレーションの意思決定においても責任を免除される。

テクノロジーの法的な保護に対するトランプ氏の激しすぎる軽蔑と歩みを合わせるかのように、この訴訟も230条を何度も痛罵している。訴訟は、議会が230条によるテクノロジー企業の保護を取り消すと脅したために、彼らはトランプ氏を禁じることを強制され、それによりどういうわけかソーシャルメディアが政府の一部になり、修正第1条の制約に縛られるという論理を主張しようとしている。

もちろん230条の撤回は、共和党議員トランプ自身の政権がしつこく迫っていたが、意味のない議論であるため何かが変わるわけでもない。

訴訟が主張しているのは、修正第1条によって保護されてしまう言論もありうるため、言論を意図的に検閲できるために議会が230条を工作したとする説だ。この法律ができた1996年には遍在的なソーシャルメディアなど存在しておらず、他の目的もあったことを、訴訟は無視している。

大統領だった4年間でトランプ氏は、ソーシャルメディア、中でもTwitterを利用して、その日のイベントを国と世界に告げてきた。その他の世界の政治指導者たちは、自分のアクションを伝えて宣伝するためにソーシャルメディアを使ったが、トランプ氏のTwitterアカウントはそれ自体がアクションだった。

ソーシャルメディアを禁じられた日以降、前大統領はインターネット全体にコミュニケーションする手段を再建できていない。5月に彼は「From the Desk of Donald J. Trump」という名前のブログを立ち上げたが、多くの関心を集めることができずに、1カ月後に閉鎖した。

トランプ派のソーシャルプラットフォームはいくつかあるが、言論の自由に関する極端な主張が嫌われ、アプリストアのコンテンツモデレーションの要求と苦戦している。しかし、それに懲りない最新の挑戦であるGettrは先週、波乱の多いローンチを迎えた

見方によっては、訴訟はトランプ氏のプラットフォームだ。それは彼自身を、自分の罪のせいで彼を切り離したオンラインの世界へ再び発信するための、最新の方法だ。その意味では訴訟は成功したようだが、その他の点ではだめだ。

関連記事
トランプ氏がツイッター、フェイスブック、グーグルを提訴、アカウント停止は不当な検閲と主張
保守派お気に入りのソーシャルメディアアプリParlerが数カ月の禁止を経てアップルのApp Storeに復活へ
トランプ派のためのSNS「Gettr」は早くも混乱状態

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TwitterFacebookYouTubeSNSドナルド・トランプ通信品位法230条

画像クレジット:Michael M. Santiago/Getty Images/Getty Images

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

【コラム】プログラマティック広告における広告詐欺と消費者プライバシー乱用との戦い方

編集部注:本稿の著者Jalal Nasir(ジャラール・ナセル)氏は、広告詐欺調査とマーケティング・コンプライアンスの国際プラットフォームであるPixalate(ピクサレート)のファウンダー兼CEO。以前はAmazonの詐欺防止およびリスク管理チームで初期のエンジニアの1人として働き、アドテックや企業プライバシーテクノロジーの構築でさまざまな製品を指揮した。

ーーー

プログラマティック広告(運用型広告)は、急成長中の大規模に広がりつつある2000億ドル(約22兆1135億円)の世界市場であり、Connected TV(CTV、スマートテレビ)が最近の加速要因となっている。しかし残念ながら、そこには詐欺と消費者プライバシーの乱用が蔓延し、CTV、モバイルをはじめとする新興メディアで特にその傾向が強い。

全世界における広告詐欺による損害は2020年350億ドル(約3兆8700億円)を超え、2025年には500億ドル(約5兆5287億円)に達するとWorld Federation of Advertisers(WFA、世界広告主連盟)は推測している。WFAによると、広告詐欺は「麻薬取引に次ぐ第2位の組織犯罪の収入源」だが、広告詐欺対策のための万能戦略はない。

モバイルやCTVにおけるビデオ広告を活用し、信頼できる広告効果測定を行うために、経営者は自分たちが、ボットではなく、顧客にリーチ(到達)することで事業目標を達成すべきであり、同時に最新の規制と法律を遵守する必要がある。

ビジネスリーダーが自らの評判と広告費用を守るための重要なステップがいくつかある。

  • 高度なツールを利用して、自社の広告費が餌食となっている広告詐欺のタイプを突き止める。
  • 予算を「質対リーチ」の観点から分析する。詐欺師たちは広告主の「歴史的なリーチへの強迫観念」につけ込んでいる。
  • 「プライバシーの時代」が到来したことを認識する。ビジネスリーダーはルールを守り、広告市場における自社ブランドのイメージを守らなくてはならない。

スマートテレビとモバイルアプリ広告のさまざまなタイプの広告詐欺を知り、自らの広告費を守る

貴重な広告費が不正なトラフィックに浪費される方法にはさまざまなタイプがあることを知っておく必要がある。現在米国世帯の78%がプロバイダーCTV広告を通じてリーチ可能となっている中、広告詐欺比率は2020年第4四半期に24%という高い数字を維持している。「なりすまし」(別のパブリッシャーのふりをする)や偽サイト、偽アプリなどの伝統的な広告詐欺攻撃は、CTVデバイスファームなどの高度な手法に取って代わられつつある。

広告詐欺が自分の広告費を蝕んでいることを知るのは第一歩だが、ビジネスリーダーはさまざまな策略を理解して、正しい方策を正しいタイミングで実行できるようにする必要がある。

質というレンズを通してリーチを見る

歴史的に、広告測定の標準的手法はリーチ(到達度)に焦点を当ててきた。しかし今や、トラフィックの質と結び付いていないリーチは「バニティメトリクス(虚栄心の指標)」でしかない。

質を無視してリーチを求めることは、広告詐欺に格好の機会を与える。偽トラフィックを生んで「リーチ」の幻想を作りだすやり方は、多くの広告詐欺の主要な方法であり、CTV詐欺の中にはボットを使って1日当り6億5000万回の入札を捏造するものもある、とThe Drumが伝えている。

実際の売上に結びつかない高インプレッション数と異常なプライシング(競争相手と比べて)は、トラフィック品質問題の有力な前兆だ。

CTVエコシステムの成長につれて高騰するプレミアム価格のために、広告主はバーゲンを探したくなる衝動に駆られるかもしれない。しかし、XUMOとPhiloをはじめとする大手ストリーミングTVプロバイダーは広告主に対し、うますぎる価格は詐欺行為の証かもしれない、と警告している。疑わしいデータを見たらトラフィックの出どころを確かめ、問いただす努力をすべきだ。

広告業界自身も、広告詐欺を阻止するためのツールをビジネスオーナーに提供することで応戦している。業界ではMedia Rating Council、Interactive Advertising Bureau、Trustworthy Accountability Groupなどの作業部会や監視機関が、特定のプラットフォームやサプライヤーを認定することで広告詐欺と戦っている。これらの組織は、詐欺行為に対処するための業界標準やプログラムも定期的に公開している。たとえばAds.txtというイニシアティブは広告主が合法的な第三者から広告枠を買う手助けをすることを目的としている。すべてのビジネスオーナーは、認定済みプラットフォームや新たなプログラムや標準を利用することで、広告詐欺の最新トレンドを掌握すべきだ。

ビジネスリーダーはブランドの安全とコンプライアンスを優先すべきだ

ブランドは広告品質の複雑な世界を安全に巡航することに加えて、付き合っているパブリッシャーがブランドにとって安全であり最新の消費者プライバシー・コンプライアンス法を遵守しているかどうかを検討すべきだ。

Pixalate(ピクサレート)の2021年予測によると、Apple App Store(アップル・アップストア)アプリの22%、Google Play Store(グーグル・プレイ・ストア)アプリの9%が、プライバシーポリシーを持たないプログラマティック広告を配信している。これが重要なのは、消費者データが広告詐欺策略の一部で悪用されたケースがすでに報告されているからだ。そしてGoogle Play Storeアプリの70%は、Googleが「dangerous permissions(危険な許可)」と呼ぶ要素を1つ以上含んでいて、これは2020年に5%増えた数字だ。また、プログラマティック広告を配信しているアプリのうち、Apple App Storeアプリの80%、Google Play Storeアプリの66%が、ユーザーの中に12歳以下の子どもを含んでいることから、COPPA(児童オンラインプライバシー保護法)遵守も視野に入ってくる。

ブランドの安全性に関してビジネスリーダーやブランドが知っておくべきことがいくつかある。最も重要なのは、あるブランドとって何が「安全」なのかはそのブランドのみに基づくということだ。黄金律は存在せず、なぜならブランドごとにビジョンもミッションもゴールも異なるからだ。ブランド安全性は主観的である。しかし、成功には不可欠である。

広告詐欺、ブランド安全性、およびデータコンプライアンスは常に進化を続けているので、リーダーは数値を追いかけ、市場の変化に遅れをとらず正しいパートナーに投資することで、最も影響力と効果のあるコンテンツに、ボットではなく、消費者が関わってくれるよう力を尽くさなくてはならない。

関連記事
Pinterestが広告ポリシーを改訂、減量を促す言葉や画像は掲載禁止に
グーグルがトラッキングクッキー廃止を2023年後半まで延期
アップルは検索広告で中国での売上増を狙う

カテゴリー:ネットサービス
タグ:コラム広告スマートテレビ詐欺プライバシー個人情報コンプライアンス

画像クレジット:wenmei Zhou / Getty Images

原文へ

(文:Jalal Nasir、翻訳:Nob Takahashi / facebook

進化したビデオ会議のmmhmmは半分ジョークの社名でもソフトバンクなどから約110.6億円調達

TechCrunchを頻繁に読んでいる方なら、おそらくmmhmm(ンーフー)という名前のスタートアップをすでにご存知だろう。これは創業者Phil Libin(フィル・リービン)氏のEvernote(エバーノート)に続く第2幕であり、おそらく他のどのスタートアップよりもパンデミックから生まれたといえる企業で、自動バックグラウンド除去や高度なプレゼンテーション機能など、改良されたビデオチャットツールを提供している。Bloombergの報道によると、設立から1年余りの同社は米国時間7月6日、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)が主導した1億ドル(約110億6000万円)の新たな資金投入により、合計資金調達額を約1億4000万ドル(約155億円)まで引き上げた。私のように最初の初期ベータ版を使用した記憶がある人であれば、いささか驚異的なことだ。

くだらない名前のスタートアップが多額の資金を集めるのはテック分野では例外的なことではないが、リービン氏のスタートアップの場合は、名前がほとんどないに等しい(言ってみればただの音、日本語にすると「ふうん」「うんうん」というような感じ)という点で、ボーナスポイントに値する。

mmhmmは、既存のビデオツールでは、特にプレゼンテーションにおいて、現代のテクノロジーが提供するすべての可能性にユーザーがアクセスできないという考えに基づいて設立された。mmhmmの中核となるプレゼンターツールは、あなたの会議を、透明なスライドショーやホワイトボードの書き込みに少し色をつけてデジタル化したものではなく、プロのニュース番組のように見せてくれる。mmhmmは創業以来、頻繁な改良を重ねながら、着実に機能を追加し、パフォーマンスを向上させてきた。

関連記事:ビデオ会議ソフトmmhmmが夏に向かって大量の新機能を発表

現在のところmmhmmは、Zoomをはじめとする、ユーザーがバーチャルミーティングに使用する既存のビデオサービスと連動するようになっている。しかしBloombergによると、mmhmmは近々、スタンドアローンのアプリとしても利用できるようになり、モバイルアプリ版も発表される予定だという。これは、SVFやSequoia Capitalなどから調達した新たな資金の有効な活用法といえそうだ。

パンデミック後の世界ではバーチャルミーティングの重要性が低下することが予想されるが、それでも、仕事の世界では欠かせないものになるだろう。しかし同時にmmhmmのフィーチャセットは、ワックスの翼を作って、調達額や評価額を上げようと高く翔ぼうとするスタートアップ企業への訓話として語られる「製品ではなく、機能」というコンセプトを定義しているようにも見える。

関連記事
Zoomが会議でのリアルタイム翻訳を実現するためにドイツのスタートアップを買収
リモートワーカー同士の「つながり・信頼・共感」を支援するGatheround
MSはコミュニケーション重視、Teamsのチャット機能が「Windows 11」に直接組み込まれる

カテゴリー:ネットサービス
タグ:mmhmmビデオ会議プレゼンテーションオンラインプレゼンテーションソフトバンク・ビジョン・ファンド資金調達

画像クレジット:mmhmm

原文へ

(文:Darrell Etherington、翻訳:Aya Nakazato)

トランプ氏がツイッター、フェイスブック、グーグルを提訴、アカウント停止は不当な検閲と主張

2021年初めに不名誉な形でホワイトハウスを去ってから初の記者会見で、前大統領のDonald Trump(ドナルド・トランプ)氏はTwitter(ツイッター)、Facebook(フェイスブック)、Google(グーグル)とこの3社のCEOに対して集団訴訟を起こすと発表した。3社が米憲法修正第1条に違反した、と主張している。

同氏はニュージャージー州ベッドミンスターに所有するゴルフクラブで開いた記者会見で「シャドーバン(アカウント凍結に近い状態)の終了、みなさんがよく知っている沈黙強制やブラックリスト掲載、追放、取り消しの停止を求める」と述べた。

米連邦議会議事堂で1月6日に起きた暴動を受け、ソーシャルメディアプラットフォームはすぐさま当時のトランプ大統領の投稿権限を禁じた。何年にもわたり、トランプ氏は誤情報と暴力的な脅しに関するプラットフォームの規約の限界を試してきたが、議事堂暴動があった日のトランプ氏の役割は一線を超えた。そして間もなく同氏は、Twitter、Facebook、YouTubeでの何百万というフォロワーにリーチするためのメガフォンを失った。

Twitter上でのトランプ氏の運命は知られている。前大統領は生涯Twitterの使用を禁じられている。しかしFacebookとYouTubeでは、トランプ氏のアカウントは復活する可能性がある。Facebookは外部の規約決定機関であるFacebook Oversight Boardがこの問題を同社に差し戻したことを受けて、まだ判断の審議を続けている。Facebookは現在、トランプ氏の無期限停止の期間を永久とするのか、それとも一定期間にするのかを決める必要がある。

トランプ氏は、フロリダ南部地区裁判所に起こす訴訟の原告代表になる。訴訟では「補償的損害賠償と懲罰的損害賠償」、そしてトランプ氏のソーシャルメディアアカウントの回復を求める。FacebookとTwitterはこの件に関するコメントを却下し、GoogleはTechCrunchのコメント要求に反応しなかった。

訴訟はすでに注意を引くという意図した効果を得たが、それ以上のものにはならなさそうだ。トランプ氏は米憲法修正第1条がうたう権利を侵害したとしてFacebook、Twitter、Googleを非難しているが、米憲法修正第1条は企業ではなく政府による言論の検閲に関係するものだ。

3社はまた、米通信品位法230条によっても守られている。230条はホストするコンテンツに対する法的責任からプラットフォームを守り、また現職大統領をプラットフォームから追放する決定も含め、コンテンツモデレーションの判断を行う権限をプラットフォームに与えている。

関連記事
Twitterがトランプ大統領のアカウントを永久停止(米議会議事堂暴動から追放までの経緯まとめ)
フェイスブックがトランプ前大統領の利用を2年間禁止に、有名人の利用禁止措置ルールも変更
トランプ派のためのSNS「Gettr」は早くも混乱状態

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Donald TrumpTwitterFacebookGoogleSNS

画像クレジット:Photo by Michael M. Santiago/Getty Images / Getty Images

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

トランプ派のためのSNS「Gettr」は早くも混乱状態

おやおや、早いね。Donald Trump(ドナルド・トランプ)氏の広報担当者であるJason Miller(ジェイソン・ミラー)氏が、Twitterクローンを立ち上げたのはほんの数日前だったが、この新しいソーシャルネットワークは早くも問題が山積みだ。

まず、ハッカーたちがいち早くGettrのAPIを利用して、ユーザー8万5000人ほどのメールアドレスを盗んだ。そのデータには、ユーザー名と本名、誕生日なども含まれており、セキュリティ企業Hudson Rockの共同創業者Alon Gal(アロン・ガル)氏がそれを明らかにしている。

ガル氏はTechCrunchの取材に対して「APIの実装がいい加減で、悪質なハッカーなどが機密情報を取り出せる状態なら、その結果はデータ漏洩事故と同じであるため、セキュリティの専門企業と規制当局に任せるべきだ」と述べている。

先週、TechCrunchのセキュリティライターであるZack Whittakerは、GettrはもうすぐAPIからデータを盗まれるだろう、と予言していた

データの窃盗はGettrの頭痛の1つにすぎない。実はこのアプリは、2021年6月、App StoreとGoogle Playに登場したが、Politicoへのポストが正式ローンチとなり、その後の7月4日にベータを終了した。アプリは反中国で名高いトランプ陣営に訴求することが目的のはずだが、Gettrの初期の資金を出したのは、トランプ氏の元アドバイザーであるSteve Bannon(スティーブ・バノン)氏を支持する中国の億万長者、郭文貴氏だったようだ。The Washington Postの報道によると、反ワクチンの主張やQAnonの陰謀説などを広めた大規模な偽情報ネットワークの中心人物が郭氏だったらしい。

7月2日にアプリのチームは、ダウンロードの急増によるサインアップの遅れを詫びたが、立ち上げ時のちょっとしたダウンタイムなどは、微々たる問題だ。週末にかけて、Marjorie Taylor-Greene(
マージョリー・テイラー・グリーン)氏やスティーブ・バノン氏、そしてミラー氏本人など複数の人たちの公式のGettrアカウントがハッキングされ、アプリの杜撰なセキュリティがさらに問われた。

そんな事件はともかくとして、フェイクアカウントがとても多いため、どれがGettrの正規ユーザーなのか判別しづらい。アプリ自身が行っているレコメンデーションも同じで、試してみると、アプリ自身のレコメンデーションの中にSteamの偽ブランドのアカウントがあったりする。

おかしなものは、もっとある。アプリのデザインがTwitterと同じなのは異様だし、しかもTwitterのAPIを使って一部のユーザーのフォロワー数やプロフィールをコピーしているようだ。Gettrは登録時に、Twitterのハンドルを使うよう新規ユーザーに勧める。そうすると、場合によってはツイートをコピーできるからだそうだ。しかし試してみたが、私はだめだった。GettrがTwitterとすごく似ていることや、APIの利用についてTwitterに確認しているが返答はない。

モバイル版のGettrは、基本的にはTwitterの完全なクローンだが、その細部はずさんだ。Gettrのコピーには、「最高のソフトウェア品質をユーザーに提供するために最善を尽くし、誰もが自由に意見を述べることができるようにする」とソーシャルネットワークであるという自慢も含め、陳腐で奇妙なものもある。

Gettrは自らを、メインストリームのソーシャルネットワークが極右の考え方に対し敵対的である、と信じている人たちのための代わりになるものだと位置づけている。Gettrのウェブサイトは、「メッセージのキャンセルを拒否せよ。自分の修正第一条を生かせ。自由を祝福せよ」といったトランプ流のメッセージに慣れている人たちを新規ユーザーとして歓迎している。

ミラー氏も週末に、前大統領の言葉を引用している。「ヒドロキシクロロキンは効く!誰もこのポストを取り下げたりアカウントを停止しない!#GETTR」。現在のところGettrでは、コンテンツのモデレーションは緩いかそれとも存在しないかだ。しかしParlerや、陰謀説のその他の避難所で見たように、こんなやり方は結構長く続くのだ。

関連記事:AWSから追放された極右が集うソーシャルネットワークParlerがオンラインに復活

ミラー氏やトランプ陣営の元スタッフであるTim Murtaugh(ティム・マートー)氏を通じてトランプ氏と広く関係しているにもかかわらず、元大統領はまだこのアプリで存在感を示していない。Gettrには、スティーブ・バノン氏(フォロワー数84.7万人)やMike Pompeo(マイク・ポンペオ)氏(フォロワー数130万人)など、トランプ氏の周辺にいる人物のプロフィールはあるが、トランプ氏を検索すると、非公式のアカウントしか出てこない。Bloombergの記事は、トランプ氏にはこのアプリに参加する計画がないという。しかし、ソニック・ザ・ヘッジホッグのポルノでのGettrの優位を見れば、彼を非難するのは気の毒だ。

アプリの技術的な問題やトランプ氏の不在が、Gettrへの関心を薄めるだろうか。Sensor Towerの推計によると、Gettrは6月以来、グローバルで130万インストールされている。米国に次いでブラジルが、このアプリの第2の巨大市場だ。

ネットワーク上のトランプ派のエコシステムは、2021年半ば現在も散在して残っている。FacebookやTwitterの上でトランプ氏は禁止され、QAnonの陰謀説ネットワークも歓迎されていない。そんな中でGettrは、メインストリームのソーシャルメディアから追放された多くの人たちの避難所と自らを位置づけている。しかしGettrは初期からの問題が山積みしており、Twitterの雑なクローンが世間の話題になるのも、ここらで終わりなのかもしれない。

関連記事:Twitterがトランプ氏の元側近や陰謀説QAnon関係者をプラットフォームから排除

カテゴリー:ネットサービス
タグ:GettrSNSドナルド・トランプ

画像クレジット:Drew Angerer/Getty Images/Getty Images

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ツイッターが新しいプライバシー機能のアイデアを公開、アカウントを検索から隠す方法も

米国時間7月6日、Twitter(ツイッター)は健全な会話とプライバシーに関わる新機能について同社が考えているアイデアをいくつか披露した。例えばTwitterの新しい会話制御オプションワンストップで利用できる「privacy check-in(プライバシー・チェックイン)」機能や、ユーザーのサービス内でのプライバシーを高めたり、公開ツイートとプライベートツイートや複数のアカウント間の切り替えを簡単にする仕組みなどがある。

この中でも、プライバシー・チェックインはおそらく最も利用される機能だろう。Twitterの最近のイノベーションの数々によってサービスがますます複雑化しているからだ。いずれは、Google(グーグル)やFacebook(フェイスブック)のPrivacy Checkup(プライバシー設定の確認)のように、ユーザーが自分のプライバシー制御を管理するための中央制御機能が必要になるかもれない。

Twitterのプライバシー・チェックイン機能では、一連の質問によってユーザーがTwitterプラットフォーム上でどのように公開またはプライベート状態でいたいかを考える手助けをする。例えば自分のツイートを全員が見ることができるか否か、誰が自分にダイレクトメッセージを送れるか、誰が写真に自分をタグ付けできるかなどだ。

他の検討中のアイデアには、投稿作成画面を改訂して今どのアカウントから投稿しているか(および公開ツイートかどうか)を強調したり、プライベート用アカウントから誰かにリプライしようとすると表示されるリマインダーなどがある。このリマインダーは、自分のアカウントが現在「非公開」に設定されているので相手はリプライを見ることができない、ということを警告する。ツイートを公開に切り替えて会話に参加できるようにするためのボタンもついている。

しかし、今検討されているもっと興味深いコンセプトが、発見されやすさ(discoverability)に関するものだ。誰かがある集団からいじめを受けると、望まない注目がいっそう増えるという問題がしばしば起きる。ユーザーは荒らしやいじめを通報できるが、すぐに攻撃が止むわけではない。この集団いじめ行為に対処するために、アカウントを非公開にしたりTwitterアカウントそのものを削除してしまうユーザーもいる。

Twitterが検討中の新機能は、第3の選択肢を提供する。アカウントを hidden(隠した)状態にすることだ。ユーザーは、自分のアカウントに対するネガティブな注目が増えているという警告をプッシュ通知で受け取ることが可能になり、新しいプライバシー管理画面に誘導され、他のTwitterユーザーが自分を検索で見つけられないようにすることができる。1つのトグルボタンは、自分のユーザー名を検索できるかどうか、もう1つは自分のアカウントが「Who To Follow(おすすめユーザー)」で推奨されるかどうかを切り替える。一定期間だけ隠しておきたいときのために、これらのオプションを無効化しておく期限を設定することもできる。

画像クレジット:Twitter/Lena Emara 

Twitterは、これらは単なるアイデアであり開発中の機能ではないと言っている。会社はTwitterユーザーコミュニティから意見を聞きたがっていて、そのフィードバックを今後重視していくつもりだ。

このところTwitterは、この種のデザインコンセプトをいくつも公表している。つい先週も、友達のみへのツイートや複数ペルソナなどの新しいアイデアを紹介した。2021年6月には、ユーザーが他人のツイートから自分のタグを外せる「unmention(アンメンション)」機能も披露した。

現時点でTwitterは、これらの新コンセプトのどれが実際に機能として提供されるのか、まだ決めていない。しかしこれは、何年もの停滞期間を経て再活性化された同社がより革新的に、より速いペースで変わろうとしてしていることを示す新たな例だ。たとえば2020年、Twitterは自社版ストーリー機能であるFleets(フリート)を全ユーザーに公開した。その後も重要な新機能を次々と展開あるいは展開予定で、オーディオ・ネットワーキング・サービスのTwitter Spaces(ツイッター・スペース)、クラウドソースを利用したファクトチェッカーであるBirdwatch(バードウォッチ)、プレミアム・サブスクリプションのTwitter Blue(ツイッター・ブルー)、Revue(レビュー)発行のニュースレター、投げ銭機能のTip Jarに加え、クリエイターのためのサブスクリプションSuper Follow(スーパーフォロー)のアプリケーションを公開した。

関連記事
Twitterが「友達だけへのツイート」「複数のペルソナ」など新機能を検討中
ツイッターが@mentionをユーザーが管理できる新しい攻撃防止ツールを検討
Twitterがストーリーズ機能の「フリート」を日本で公開
Twitterが音声によるソーシャルネットワーク機能「Spaces」のベータテストを開始
ツイッターがユーザーの手を借りた新ファクトチェック機能「バードウォッチ」の試験運用開始
ツイッターに月額330円サブスク「Twitter Blue」、間もなく登場か
ツイッターがお気に入りのツイートに投げ銭できる「Tip Jar」機能搭載、まずは英語で
Twitterが同社初となる有料クリエイターサブスク機能「スーパーフォロー」発表、サービスの構造が劇的に変わる可能性
ツイッターがクリエイターのための収益化ツール「Super Follows」「Ticketed Spaces」を導入

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TwitterSNS

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

米国防総省がついにMSとの1兆円超規模クラウド契約「JEDI」を白紙に、リセットしてやり直し

世界最大のクラウドインフラ企業が数年にわたって争奪戦を繰り広げてきた結果、米国防総省は米国時間7月6日、論争の的となっていた勝者総取りの100億ドル(約1兆1000億円)規模のJEDI契約をついに白紙に戻した。結局、誰も勝てなかった。

「テクノロジー環境の変化にともない、長い間延期されてきたJEDIクラウド契約は、もはや国防総省の能力ギャップを埋める要件を満たさないことが明らかになりました」と、米国防総省の広報担当者は述べた。

関連記事:ペンタゴンの100億ドル規模のプロジェクトJEDI(ジェダイ)が、クラウド企業たちを悩ます理由

契約調達のプロセスは、2018年に国防総省のクラウドインフラ戦略を担う100億ドル(約1兆1000億円)、10年にわたる契約のRFP募集から始まった。国防総省の広報担当者であるHeather Babb(ヘザー・バブ)氏はTechCrunchに対し、1人勝ち方式を採用する理由を次のように述べていた。「単一受注が有利なのは、特にセキュリティの向上、データへのアクセス性の向上、当省によるクラウドサービスの採用と利用を簡素化できるからです」と、当時同氏は語った。

しかし企業各社は当初から、マルチベンダー方式の方が国防総省にとって良い結果をもたらすと考え、1人勝ち方式に反対していた。特にOracle(オラクル)などは、入札プロセスがAmazon(アマゾン)に有利になるように設計されていると考えていたようだ。

関連記事
米国防省は1兆円超のJEDIクラウドの最終候補にMicrosoftとAmazonを選定、Oracleは選外
アマゾンとの入札競争に勝ったマイクロソフトは米国防総省の1兆円相当のクラウドを作る

AmazonとMicrosoft(マイクロソフト)の2社が最終選考に残り、最終的にはMicrosoftが選ばれた。しかし、Amazonは自分たちの方が優れた技術を持っているととともに、当時CEOだった(ワシントンポスト紙のオーナーでもある)Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏を公然と軽蔑していた前大統領が直接干渉したために、この契約を失ったと信じていた。

Amazonは決定に対して法廷で争うことにしたが、数カ月の遅れの後、国防総省はそろそろ先に進むべきだという判断を下した。Microsoftは7月6日のブログ記事で、この遅延を引き起こした原因として、Amazonを非難した。

「国防総省がMicrosoftをJEDIパートナーとして選定してから20カ月が経過し、政策立案者が注目すべき課題が浮き彫りになりました。1つの企業が、国を守る人々のための重要な技術アップグレードを何年も遅らせることができるのであれば、抗議プロセスには改革が必要です。Amazonは2019年11月に抗議申し立てを行いましたが、訴訟から判決が出るまでに少なくとも1年はかかると予想され、その後控訴される可能性もありました」と、Microsoftは契約終了に関するブログ投稿に記している。

しかしAmazonは独自の声明の中で、プロセスが公正に行われなかったとの考えを改めて示した。「当社は国防総省の決定を理解し、同意します。残念ながら今回の契約先決定は提案のメリットに基づくものではなく、政府調達にあるまじき外部からの影響を受けたものでした。米国の軍隊を支援し、戦闘員や防衛パートナーが最高の技術を最高の価格で利用できるようにするための当社のコミットメントは、これまで以上に強固なものとなっています。今後も国防総省の近代化を支援し、重要な任務を達成するためのソリューションを構築していきたいと考えています」と同社の広報担当者は述べている。

最初から、うまくいくわけがなさそうに見えたプロジェクトにふさわしい終わり方には違いない。国防総省がちょっと洒落っぽく「スター・ウォーズ」の名を冠したこの契約を発表したときから、この調達プロセスは昼ドラのように紆余曲折してきた。

初めの頃は騒々しく激しさが渦巻いたが、結果的には無意味な結果につながっていった。我々は、次に起こるであろうクラウド調達プロセスに注意を移すこととしよう。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:米国防総省MicrosoftJEDIAmazon裁判

画像クレジット:US Dept of Defense / Wikimedia Commons under a Public Domain license.

原文へ

(文:Ron Miller、翻訳:Dragonfly)

インド政府がツイッターは同国での免責措置を失ったと主張、新IT規制不遵守を理由に

インドの新しいIT規制をめぐり同国政府とTwitter(ツイッター)の間で緊張が高まっている中、インド政府は現地時間7月5日、Twitterはインドにおいて、ユーザーが作成したコンテンツに関して責任を問われない免責措置を享受できなくなったと、ニューデリーの高等裁判所に提出した書類で述べた。

インド政府は5日に提出した裁判所への申し立ての中で、米国のソーシャルネットワークであるTwitterが2021年2月に発表され5月下旬に施行されたインドの新しいIT規制に従わなかったため、同社はインドでの免責を失ったと主張した。

専門家たちはここ数週間、Twitterが世界第2位のインターネット市場である同国でセーフハーバー保護を維持できるかどうか決定する権限は、インド政府ではなくインドの裁判所にあると述べてきた。

インターネットサービスは「セーフハーバー」と呼ばれる広義の保護を受けており、ユーザーがネット上に投稿したり共有するコンテンツに関して、技術系プラットフォームは責任を問われないとされている。例えば、Twitterであなたが誰かを侮辱した場合、同社はその投稿を削除するよう求められることはあっても(侮辱した相手が裁判所に訴え、削除命令が出された場合)、ユーザーの言動に対して法的な責任を問われることはないだろう。

この保護がなくなれば、モバイル調査会社のApp Annieによるとインドに1億人以上のユーザーを抱えているTwitterは、名目上ではこれらのユーザーがプラットフォーム上で発言するすべての内容に対して責任を持つことになる。

「第79条第1項で媒介者に与えられる免責は、媒介者が第79条第2項および第3項の条件を満たすことを前提とした条件付きの免責であることを述べます。規則7に規定されているように、2021年情報技術規則を遵守しなかった場合、2000年IT法79条1項の規定は当該媒介者には適用されません」と、IT省のN Samaya Balan(N・サマヤ・バラン)氏は申請書に記している。

この動きは、インド政府とTwitterの間で緊張関係がエスカレートしているのを受けたものだ。この新規則では、重要なソーシャルメディア企業(インド国内に500万人以上のユーザーを抱える企業)は、チーフコンプライアントオフィサー、常駐グリーバンスオフィサー、および現場の懸念に対応するいわゆるノーダルコンタクトパーソンを任命することが求められている。Google(グーグル)やFacebook(フェイスブック)をはじめとする他のいくつかの該当企業は、新IT規制を部分的または全面的に遵守している。

Twitterは、これらの要件のいずれにも準拠していないと申し立ては批判している。Twitterは5日に提出された書類についてはコメントを差し控えたが、過去にはIT規制を遵守するつもりであると述べていた。

Ravi Shankar Prasad(ラビ・シャンカール・プラサッド)通信情報技術相は先週の会見でこう述べた。「インドは、すべてのソーシャルメディアプラットフォームのビジネスを歓迎しています。ラビ・シャンカール・プラサッド、または首相、誰を批判しても構いません。問題なのは、ソーシャルメディアの悪用です。彼らの中には、我々は米国の法律に縛られているという人もいます。インドで事業を行い、大金は稼いでいるが、米国の法律が適用されるという立場を取るのでしょうか。これは明らかに許容できません」。

免責措置が剥奪されると、インドのTwitter幹部は、プラットフォーム上で好ましくないと判断されたコンテンツに関して、いくつかの刑事責任を問われる可能性がある。インド警察は諸問題に関し、同社またはその関係者に対して、すでに少なくとも5件の訴訟を起こしている。

デリー警察の特殊部隊は、2021年5月下旬にTwitterの2つのオフィスを突然訪問し、多くの人がそれを威嚇戦術と受け止めた。Twitterは当時「インドの従業員に関する最近の出来事と、当社がサービスを提供している人々の表現の自由に対する潜在的な脅威に懸念を抱いている」と述べ、インド政府に対し、新しいIT規則に準拠するための3カ月間の追加猶予を要請した。

WhatsApp(ワッツアップ)も、新IT規制に完全には対応していない。今回のIT規制では、暗号化されたメッセージングアプリの運営者に対して、法執行機関が問題のあるメッセージの発信者を「追跡」できる方法を導入することも義務付けられている。インドで5億3000万人以上のユーザーを抱えるWhatsAppは「トレーサビリティ(追跡可能性)」を可能にすることは国民のプライバシーに関する憲法上の権利を侵害するとして、2021年5月にこの要件についてインド政府を訴えた

Signal(シグナル)もまた、このトレーサビリティの要求に応じていないと報じられている。同メッセージングサービスは、コメントの要請に応じなかった。インドで数千万人のMessages / iMessageユーザーを抱えるApple(アップル)が、トレーサビリティの要件を遵守しているかどうかは不明だ。Appleはこの件に関してコメントを控えている。

関連記事
インド政府がソーシャルメディアやストリーミングサービス企業に厳しい新規制を発表
フェイスブックやグーグルはインドの新IT規則を遵守、法令順守担当者を任命
インド警察が与党政治家の投稿に「操作メディア」とラベル付けした同国のツイッター支社を訪問

ツイッターがインド政府の威嚇行為に懸念を表明、新ITルール遵守期限の3カ月延長を要求

カテゴリー:ネットサービス
タグ:インドTwitterSNS

画像クレジット:Nasir Kachroo / NurPhoto / Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

アマゾンのベゾス氏が退任、新CEOにAWSトップのアンディ・ジャシーが就任

Amazon(アマゾン)の創業者でCEOのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏は常に、毎日がDay 1だと言って従業員を鼓舞することを好んだ。そして米国時間7月6日は、後継者であるAndy Jassy(アンディ・ジャシー)氏にとってのDay 1であり、正式にAmazonのCEOに就任した。

ベゾス氏は2021年2月、自身の慈善活動のDay 1 FundやBezos Earth Fund、億万長者である同氏の宇宙企業Blue Origin、2013年に買収した新聞The Washington Postなどの事業に注力するためにCEO職を退くと発表した

関連記事
ジェフ・ベゾス氏が2021年後半にアマゾンCEOを退任し会長へ、後任はAWSのアンディ・ジャシー氏
アンディ・ジャシー氏のアマゾンCEO昇格が意味すること

ベゾス氏はCEOを退任しても、取締役会長として残る。しかし今後Amazonの舵取りをするのは、大きな成功を収めたAWSクラウドインフラ部門の構築にこれまでのキャリアの大半を費やしてきたジャシー氏となる

ジャシー氏は1997年にAmazonに入社し、ベゾス氏のエグゼクティブアシスタントとしてしばらく働き、ウェブサービスを統合したAmazon Web Servicesを立ち上げるアイデアを具現化するのをサポートした。ジャシー氏は初期からAWSに関わり、年間売上500億ドル(約5兆5310億円)という大事業に育てるのを手伝った。そして2016年にAWSのCEOに昇格した。

ウォールストリートジャーナル紙は、現在ランレートが540億ドル(約5兆9730億円)であるクラウド部門のAWSがもし独立した会社であれば、Fortune 500社の中で69位にランクインする、と報じた。ジャシー氏がFortune 500社リストで2位に入っているAmazonを継ぐというのはすごいことだ。パンデミックによってオンラインショッピングが促進されたためAmazonは売り上げを大幅に増やすことができ、2020年の売上高は3860億ドル(約42兆6950億円)に達した

新型コロナウイルス感染が落ち着き、人々が再び対面で買い物し始めることができるようになるのにともない、ジャシー氏は成長を維持し続けることを含めて多くの困難に直面することになる。また、米国とEUにおける独禁法に絡む政府の動きAmazon倉庫の組合設立の推進Amazonの成長マーケット影響力に対する一般的な恐怖などに対処する必要もある。

経営移行のような役員のイス取りゲームでは影響力が働く傾向にある中で、Tableauの元CEOであるAdam Selipsky(アダム・セリプスキー)氏がジャシー氏の後任としてAWSのCEO職を継ぐ。セリプスキー氏は2016年にTableaump経営に携わるようになる前に、AWSの立ち上げで10年以上ジャシー氏を支えた。

立会時間前の取引でAmazonの株価は0.42%上昇し、市場関係者が同社での権限委譲がスムーズに行われることを予想していることを伺わせている。ジャシー氏は何年にもわたって経営陣の主要メンバーであり、初めから現在に至るまでAWSを築き上げたという点でかなり成功したが、現在、Amazon全体を経営することになり、その役割に適任であることを示す必要がある。

関連記事
新たなテックに懐疑的なFTCがアマゾンのMGM買収を審査するとの報道
アマゾンの物流労働者の組合結成に向けてチームスターズが積極的な支援を計画
Tableauのアダム・セリプスキー氏が古巣AWSに戻りAmazonの新CEOジャシー氏に代わりに同社を率いる

カテゴリー:ネットサービス
タグ:AmazonAWSJeff BezosAndy Jassy

画像クレジット:Ron Miller/TechCrunch

原文へ

(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi