ゲノム医療情報サービス提供の東大発スタートアップ「Genomedia」が資金調達

ゲノム医療情報サービス提供の東大発スタートアップ「Genomedia」が資金調達

ゲノム医療情報サービスの提供を行うGenomedia(ゲノメディア)は、第三者割当増資として資金調達を実施したと発表した。引受先は、住友商事、シップヘルスケアホールディングス、米Aflac Ventures LLC(アフラック・イノベーション・パートナーズが支援)。

Genomediaでは、今回の第三者割当増資に加え、住友商事およびシップヘルスケアとの業務提携により、ゲノム医療を推進する医療機関・研究機関・サービスプロバイダーなどに対するゲノム医療関連情報サービスのソリューション提供を加速する。また、臨床現場へのサービス提供実績の蓄積を通して、ゲノム医療情報を活用した創薬支援、ゲノム医療の質向上への貢献を進めていくとしている。

がんゲノム医療では、医療機関で患者のがん組織が採取され、解析センターなどでがん関連遺伝子解析が実施される。その結果検出された遺伝子異常などの検査結果は、エキスパートパネルと呼ばれる会議において検討され、治療法が決定される。エキスパートパネルとは、主治医のほか、がん薬物療法や遺伝医学、病理学、分子遺伝学、バイオインフォマティクスなど、がんゲノム医療に関わる複数の医師、専門家が参加する会議のこと。

エキスパートパネルにおいては、より良い治療法を決定するための様々な幅広い情報に基づいた検討を行う必要があるものの、情報収集や整理作業などの負担が医療現場の課題となっているという。

Genomediaは、2015年より、国立がん研究センターをはじめとするさまざまな医療機関、研究機関などに、ゲノム情報と臨床情報の統合システム「Genomedia Front」を提供。同社独自の知識データベースを用いたゲノム医療関連情報サービスの提供を通して、エキスパートパネルなどにおける情報収集や整理作業などの業務を支援している。

Genomediaは、2013年創業の東京大学発スタートアップ企業。「ゲノム情報を活用して、豊かな生活、より良い地球環境の実現に貢献する」というミッションのもと、2015年より、国立がん研究センターをはじめとする様々な医療機関、研究機関などに、ゲノム情報と臨床情報の統合システムGenomedia Frontを提供SCRUM-Japan第一期、第二期への提供を経て、ゲノム医療向けクラウドサービス「Genomedia Front Cloud Service」を開発・提供を行っている。

カテゴリー: ヘルステック
タグ: 資金調達Genomedia東京大学日本

ソフトバンクのダイバーシティ&インクルージョンファンドによる最初の投資は健康分野

SoftBank(ソフトバンク)のOpportunity Growth Fund(オポチュニティー・グロース・ファンド)は、健康保険のスタートアップであるVitable Health(バイタブルヘルス)に投資する。同ファンドは有色人種の起業家が創業したスタートアップへの投資に特化する1億ドル(約105億円)のファンドで、今回の投資は同ファンドからの最初のコミットメントとなる。

Y Combinatorで最近立ち上げられ(未訳記事)、フィラデルフィアを拠点とするVitable Healthは、サービスの行き届いていない低所得のコミュニティーに基本的な健康保険を提供する。

Vitable Healthは23歳の起業家であるJoseph Kitonga(ジョセフ・キントガ)氏が創業した。同氏の両親は10年前に米国に移住した。同社は保険が不十分または無保険の人々に手頃な価格で緊急ケアをカバーする医療保険を提供する。両親が経営する在宅医療機関の従業員が基本的な補償を受けるのにも苦労しているのを目の当たりにしてきたキントガ氏の経験から生まれた。

同社のブログ投稿によると、150万ドル(約1億6000万円)のコミットメントは、SoftBank Group Corp Opportunity FundがリードしY Combinator、DNA Capital、Commerce Ventures、MSA Capital、Coughdrop Capital、MercuryBankの最高経営責任者であるImmad Akhund(イマド・アクンド)氏やGainsightの最高執行責任者を務めたAllison Pickens(アリソン・ピケンズ)氏のようなエンジェルも参加した。

「優れたヘルスケアは、誰であれ、すべての米国人に当然に与えられるべき基本的な権利です」と、アトランタを拠点とするファンドのアーリーステージ投資リードであり、TechSquare Labsという投資ファンドの創業者であるPaul Judge(ポール・ジャッジ)氏は語っている。「私たちは、ジョセフ氏自身とこの課題に取り組む彼のアプローチに触発されました。Vitable Healthは患者ケアの重大な空白領域を埋めつつあり、無保険や保険不足の人、そしてもっと良いライフスタイルを求めるすべての人にとって必要不可欠なサービスとして浮上しています」。

ソフトバンクは、米国各地の都市で市民による抗議の波が起こる最中にOpportunity Growth Fundを創設した。白人警察官の手による黒人のミネアポリス市民、George Floyd(ジョージ・フロイド)氏の殺害がきっかけとなり、組織的人種差別と警察の残虐行為に対して抗議活動が頻発した。フロイド氏の殺害では、警察の残虐行為、警察当局の軍隊化、人種プロファイリングなどの問題をめぐって、全米の都市で市民と警察の間の緊張が再び激しく高まった。

ソフトバンク自身も2020年に、ポートフォリオに人種差別に関する問題を抱えていた。同社がファンドを立ち上げる数カ月前に、ポートフォリオ企業の1つであるBanjo(バンジョー)のCEOで創業者がかつてKKKと関係があったことが明らかになった後、辞任した

ソフトバンクはOpportunity Growth Fundから問題に取り組もうとしている。特に注目すべきはファンドが取引に関して従来のマネジメントフィーを徴収しないことだ。「その代わりに、有色人種の創業者や起業家の手元にできるだけ多くの資本を投入しようとしています」。

Opportunity Growth Fundは、過去数年間にソフトバンクが発表した中で3番目の投資ビークルだ。その中で最大は1000億ドル(約10兆5000億円)のビジョンファンド(Techmeme記事)だ。その後、2019年に、ラテンアメリカに特化した20億ドル(約2100億円)のイノベーションファンド(未訳記事)を発表している。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Softbank GroupOpportunity Growth FundVitable Health資金調達

画像クレジット:James Steidl / Shutterstock

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(翻訳:Mizoguchi

水を推進剤とする衛星用超小型推進機の実用化を手がけるPale Blueが7000万円を調達

水を推進剤とする衛星用超小型推進機の実用化を手がけるPale Blueが7000万円を調達

Pale Blueは10月21日、第三者割当増資(シードラウンド)および金融機関からの融資により、約7000万円の資金調達を発表した。引受先は、インキュベイトファンド、三井住友海上キャピタルの各社が運営するファンド。

同社は令和2年(2020年)4月に設立後、東大IPC 1st Roundや国および地方自治体の助成などを含め、創業半年で累計約1億4000万円を調達。これによって、世界初となる、水を推進剤とした超小型衛星向け統合推進システムの実用化に挑むとしている。

また、同ラウンドのリードインべスターであるインキュベイトファンドから、大学発スタートアップの立ち上げ支援経験を豊富に有する村田 祐介氏が同社社外取締役に就任した。

小型衛星製造企業NanoAvionicsとのMemorandum of Agreement(MOA)も締結。NanoAvionicsはアメリカ・イギリス・リトアニアに拠点を持ち、これまでに27ヵ国の企業・研究機関から75機以上の小型衛星の製造・インテグレーションを行ってきた実績を持つ。今回のMOAを契機とし、Pale Blueは水を推進剤とした超小型推進機の事業拡大を加速させる。

Pale Blueは、水を推進剤として用いた超小型推進機の技術を軸に、持続可能な宇宙開発・利用の実現を目指す、東京大学発スタートアップ。

同社によると、小型衛星のさらなる市場拡大には、宇宙空間で能動的に小型衛星を動かすための推進機が必要不可欠という。しかし、大型衛星用の推進機は高圧ガス・有毒物を推進剤として用いており、体積・重量・コストの観点から小型衛星に適用することは困難だった。

Pale Blueは、東京大学 小泉研究室で進めてきた安全無毒で取扱い性・入手性の良い水を推進剤とする小型推進機の技術を社会に実装することで、小型衛星の市場を拡大させつつ、持続的な宇宙開発・利用の実現を目指す。今回の資金調達を受け、まずは水推進機の複数の宇宙実証プロジェクトを推進する。

東京理科大学 木村研究室と水プラズマプルームの宇宙空間におけるカメラ撮影に関する共同研究を締結

またPale Blueは、東京理科大学 理工学部 電気電子情報工学科 木村研究室と、水を推進剤とする超小型統合推進システムから宇宙空間に排出される、プラズマ状態の水を指す「水プラズマプルーム」の宇宙空間におけるカメラ撮影に関する共同研究契約を締結。

Pale Blueは2020年5月、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「革新的衛星技術実証3号機の実証テーマに選定され、水を推進剤とした超小型統合推進システムの開発を進めてきた。同システムは、「レジストジェットスラスター」および「イオンスラスター」の2種類の推進機をひとつのコンポーネントに統合したものになるという。レジストジェットスラスターは、推進剤を電気エネルギーにより加熱した後に宇宙空間に排出し、その反力で推力を生成する推進系。イオンスラスターは、イオンを引き出すイオン源と、電子を引き出す中和器が対となって構成され、中和器から電子を放出することで宇宙機の電位を保ちつつ、イオン源からのイオン引出しにより推力を生成する推進系。

東京理科大学 木村研究室は、スペースデブリの除去を主な研究対象として、その実現に必要な技術にシステム技術・自律制御技術など総合的に取り組んでいる研究室。スペースデブリに自律的に接近するための画像誘導技術に関連して、宇宙用超小型カメラにも注力しており、小惑星探査機「はやぶさ2」はじめ、これまでに30台以上の宇宙用カメラの開発経験を持ち、宇宙開発において日本を代表する研究室となっている。

同共同研究では、革新的衛星技術実証3号機に搭載される水を推進剤とした超小型統合推進システムに関し、特に水イオンスラスターが宇宙空間で動作している様子を、宇宙仕様に工夫が施された超小型カメラによって撮影。宇宙空間において動作中の水イオンスラスターから排出される水プラズマプルームの放出特性をカメラによって撮影し取得することを目指す。

過去に宇宙空間における水イオンスラスターの作動およびそのプルームが撮影された例はなく、実現に成功すれば世界で初めての成果となる。加えて、通常は見ることのできない宇宙での推進機の作動の様子を可視化することは、科学技術のアウトリーチや製品の付加価値を高める観点でも非常に意義のあるものとなるという。

東京大学は、宇宙推進機を長年研究しており、推進機内における複雑なプラズマ物理の解明や電気推進の性能評価に関して、世界をリードする研究機関のひとつ。Pale Blueのメンバーは、東京大学在籍時から推進機の基礎研究に加えて、高周波電源や高電圧電源の小型化・高効率化に取り組み、成果を上げ、さらには実際の小型衛星に搭載する推進システムの開発を多数経験。水統合推進システムの実現において、東京大学のエンジン基礎研究の成果を社会実装・実用化する役割を担い、その収益をアカデミアに還元することを目指す。

水を推進剤とする衛星用超小型推進機の実用化を手がけるPale Blueが7000万円を調達

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カテゴリー: 宇宙
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介護士のシェアリングサービス「イチロウ」運営のLINKが6500万円を調達

介護士のシェアリングサービス「イチロウ」運営のLINKが6500万円を調達

介護士のシェアリングサービス「イチロウ」運営のLINKは10月22日、第三者割当増資として、6500万円の資金調達を9月1日に実施したと発表した。引受先は、ブラッククローキャピタル、三井住友海上キャピタル、マネックスベンチャーズの3社。

同社は愛知県名古屋市を中心にサービスを展開してきたが、今回の資金調達に伴い関東エリアでの本格的な展開や、プロダクトのさらなる磨き込みを行うという。カスタマーサクセスを中心としたオペレーション体制、象エリア内のケアマネジャーへの周知や取り込みなどマーケティング体制、「精度の高いマッチング」や「業務を最大限に効率化する」ためのシステム開発の強化を挙げている。

イチロウは、最期まで自宅で生活を送りたい要介護者と、そんな要介護者の家族のために、自宅や病院など様々な場面に介護士を派遣するサービス。

LINKによると、現在の公的介護保険サービスは、厳しい制度上のルールにより、自宅で最期を迎えたい要介護者の思いに応えられていないという。イチロウは、これまでの公的介護保険サービスの課題であったサービスの柔軟性の低さを改善し、要介護者が自宅で最期まで生活を送るサポートを行う。現代のテクノロジーを介護に活用することで、これまで軽視されてきたサービスの品質の向上にも取り組んでいるとした。

一方で、介護サービスを提供する介護士の賃金はとても低く、深刻な介護士不足を招いている。イチロウでは、介護士の低賃金を改善すべく、介護を必要とする人と介護士のマッチングからマネジメントまでの管理を独自のシステムで簡素化。業界平均の1.6倍の時給を支払うことを可能にしている。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、高齢者の集まる通所介護(デイサービス)や老人ホーム(特別養護老人ホーム・有料老人ホーム)ではなく、在宅介護が見直されつつある時代に、公的介護保険サービスと共に、新しい介護サービスの形を作っていくとしている。

カテゴリー: シェアリングエコノミー
タグ: イチロウLINK資金調達日本

物流業務プラットフォームの「オープンロジ」が約17.5億円のシリーズC調達、人材採用強化

物流業務プラットフォームの「オープンロジ」が約17.5億円のシリーズC調達、人材採用強化

物流業務プラットフォーム「オープンロジ」を展開するオープンロジは10月22日、シリーズC資金調達の第1回クローズを完了し、第三者割当増資およびデットファイナンスにより、総額約17.5億円資金調達を発表した。

引受先は、シニフィアンKID、新生ベンチャーパートナーズ1号投資事業有限責任組合、住友商事、Logistics Innovation Fund投資事業有限責任組合(セイノーホールディングスがアンカーLP)、ペガサス・テック・ベンチャーズ(双日CVC)、千葉道場2号 投資事業有限責任組合。主な借入先は、あおぞら企業投資、商工組合中央金庫、日本政策金融公庫、みずほ銀行、りそな銀行。

今回ラウンドを受けた累計調達金額は約27.5億円。引き続きその他投資家からも資金調達を進め、2020年12月末に同ラウンドを完了する予定。

調達した資金は、主としてサーバーサイド、機械学習に関わるソフトウェアエンジニアを中心とした人材採用、プロダクト開発に充当する予定で、物流業界内外からも広く人材を募り組織基盤の強化に取り組む。

またオープンロジは、今回の出資を通じて広範なステークホルダーを獲得し、国内外の商流において広域かつ豊富なネットワークを有する総合商社(住友商事、双日、ファンドを通じて出資済みの伊藤忠商事を含む)、国内有数の大手物流企業であるセイノーホールディングス/西濃運輸といった国内有力事業会社とのアライアンスを強化。インターネットからリアル空間を横断するテクノロジーを活用し倉庫や配送をネットワーク化し、データとアルゴリズムによってモノの動きをよりスムーズに最適化する「フィジカルインターネット」の実現に向け、さらなる事業拡大を進めていく予定。

このフィジカルインターネットとは、ジョージア工科大学フィジカルインターネットセンターのブノア・モントルイユ教授が提唱した概念。「相互に結び付いた物流ネットワークを基盤とするグローバルなロジスティクスシステム」と定義されている。従来のハブ・アンド・スポークの物流システムに代わるシステムとして、情報の流通において革新をもたらしたインターネットの概念を応用し、物流の課題を解決するアプローチを指すという。

2013年12月設立のオープンロジは、「テクノロジーを使い、サイロ化された物流をネットワーク化し、データを起点にモノの流れを革新する」をビジョンに掲げ、物流フルフィルメントプラットフォーム「オープンロジ」を提供。

このオープンロジは、独自の倉庫管理システムを通じた提携倉庫のネットワーク化、標準化した仕様とオペレーションによる物流業務の効率化と一元化を実現しており、固定費ゼロ・従量課金で利用可能なサービスとして展開。2020年9月末時点で利用企業数は約8000社、提携物流会社は40社以上にのぼるという。

主に倉庫事業者向けに提供している「OPENLOGIプラットフォームコネクト」では、荷主企業と倉庫事業者の間の面倒な業務のやり取りをウェブアプリ上で、効率化・一元化、自動化する機能を搭載している。

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カテゴリー: ネットサービス
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Beamはメモを取らないあなたのウェブ検索や閲覧からナレッジを集めるブラウザーを開発している

Netscape NavigatorやInternet Explorerを覚えているだろうか?1990年代に登場したこれらのアプリの名前は、ウェブを「ブラウズする」という単純な作業を強調して例えたものだった。いまでは、Google Chromeがウェブの探検者(explorer)だとは誰もいわない。

ウェブのブラウズは簡単な作業で、頭を使っていないことも多い。スマートフォンかコンピュータに向かい、新しいタブを開いてアドレスバーに何文字か入力するだけだ。

BeamはDom Leca(ドム・レカ)氏とSébastien Métrot(セバスチャン・メトロ)氏が創業した新しいスタートアップで、ウェブブラウザーでもありメモでもあるまったく新しいアプリを開発している。レカ氏は以前にmacOSとiOS向けのメールアプリであるSparrowを作り、2012年にGoogle(グーグル)に買収された。メトロ氏は数年間Apple(アップル)で働いていた。

レカ氏は筆者に「InstagramやFacebook(フェイスブック)に夢中になりすぎて時間を無駄にしてしまうことを誰もが不満に思っています」と話した。それでも、ウェブブラウザーには無限の知識と無限の可能性が示される。

ニッチなトピックに熱心な人なら、何かを読みビデオを視聴しフォーラムで情報交換をするなどして、たくさんのことを学べる。しかしブラウザーのウインドウを閉じると、すべて消えてしまう。

履歴の機能は確かにある。しかしそれはつながりのない長いリストだ。ページをブックマークしたり別のアプリでメモを取ったりすることも確かにできる。しかしそれは面倒だ。

そしてもっと困るのは、何が重要で何が重要でないかがわからない場合があることだ。夢中になれることは、何気ない検索から始まる。

Beamの謎めいたロゴ(画像クレジット:Beam)

Beamは利用者のウェブの履歴に意味を持たせようとしている。何かを検索するたびに、新しいメモのカードが作られる。ユーザーがリンクをクリックし、新しいページを開き、その内容を時間をかけて見ると、Beamは控えめにそれを追跡する。

ユーザーがタブを閉じると新しいカードが作られている。検索語句がカードのタイトルになり、ノートにリンクがすべて記録されている。カードにテキストを追加したり、関係のないリンクを削除したりすることもできる。

タブを閉じたときに自動でメモが作成されて小さな通知が表示されるので、ウェブのアクティビティを振り返ることができる。こうして自分自身や自分の習慣が詳しくわかる。もちろん、膨大な時間を無駄にしていると自覚することになるかもしれない。しかし、料理やロシアのクラシック音楽について自分が思っていた以上に関心を持っていたのだと気づくこともあるだろう。

レカ氏は「ある意味、私はメモを取らない人々のためにこれを設計しています」という。

とはいえ、メモ用アプリを使っている人にとっても複数のアプリの切り替えは作業の中断になる。レカ氏はメモツールのRoam Researchに投資し、このツールをとても気に入っている。しかしウェブをブラウズしていると健忘症になってしまうかのような問題がこのツールで解決するとは思っていない。

Beamは、当初の単純なコンセプトからさらに拡張する方法をすでに考えている。メモから直接、コンテンツを扱えるようになるかもしれない。YouTubeのリンクをクリックしてカード内でビデオを見たり、ポッドキャストのリンクをクリックして自動の字幕を表示したりといったことだ。

最終的にはBeamでカードを他のユーザーと共有できるようになるかもしれない。自分と同じことに関心を持っているユーザーのプロフィールをブラウズできるようになるかもしれない。

現在、BeamはブラウザーのエンジンとしてWebKitを利用してMac版のアプリを開発している。公開は数カ月後になる見込みだが、今後注目すべき企業になるだろう。

BeamはSpark Capital、Alven、C4Ventures、Amaranthine、Andrew Wilkinson(アンドリュー・ウィルキンソン)氏のTiny Capital、Tiny vc、Secret Fund、Antoine Martin(アントワーヌ・マーティン)氏、Simon Dawlat(サイモン・ドーラット)氏、Nicolas Cohen(ニコラス・コーエン)氏、Spetsesから300万ドル(約3億1000万円)を調達した。Tweetie for Mac開発者であるLoren Brichter(ローレン・ブリヒター)氏とiA Writer開発者であるOliver Reichenstein(オリバー・ライヒェンシュタイン)氏がBeamの相談役になっている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Beamウェブブラウザー資金調達

画像クレジット:Luca Bravo / Unsplash

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(翻訳:Kaori Koyama)

グルメコミュニティのSARAHが資金調達、セブン-イレブンやDDホールディングスとのタッグも

グルメコミュニティのSARAHが資金調達、セブン-イレブンやDDホールディングスとのタッグも

消費者の食行動に関わる技術革新を指す造語「EatTech」を掲げるスタートアップ「SARAH」は10月21日、第三者割当増資による資金調達の実施を発表した。引受先はセブン-イレブン・ジャパン(SEJ)、DDホールディングスベンチャーキャピタル(DDHVC)。

調達した資金は、おいしい一皿が集まるグルメコミュニティサービス「SARAH」(Android版iOS版)、企業向け外食ビッグデータ分析サービス「Food Data Bank」、飲食店向け電子メニューサービス「SmartMenu」の営業・マーケティング・サービス開発の強化に用いる。

データサイエンティスト、フロントエンジニア、営業、マーケティングのポジションを中心に採用強化も行う。

また、SEJによるスタートアップ企業への出資は今回が初のケースという。今回の出資に合わせてSEJは、Food Data Bankの導入も決定。今後、セブン-イレブン店舗で販売する商品開発への活用に加えて、外食ビッグデータの収集から活用をSARAHと合同で進めていく。

DDHVCは、DDホールディングスが全国展開する170ブランド約460店舗の飲食店運営の知見を提供し、飲食店向け電子メニューサービス「SmartMenu」を筆頭に、共同でサービスを発展させていく予定。

2014年12月設立のSARAHが提唱する「EatTech」とは、食材面のテクノロジーが目立つFood Techとは異なり、消費者の食行動(Eat・食べる)にまつわる技術革新を指す造語。

具体的には消費者個人単位での「食」に関する行動・好みなどのデータを取得し、これを基に食体験を向上させる取り組みを行うサービス・企業を含むという。

2015年リリースのSARAHは、レストランの一皿に対する投稿を中心とした、グルメコミュニティアプリ。レストラン単位ではなく、麻婆豆腐やポテトサラダなどのメニュー単位での投稿や検索も可能。「渋谷の本当においしいポテトサラダ」や、「福岡のもつ煮込み」といった、メニューごとの切り口から食事を探せる。

Food Data Bankは、SARAHユーザーの投稿(約70万のメニュー単位の外食データ)を基盤とする、外食トレンド分析サービス。「全国の飲食店で何が食べられているか」や「おいしいと思われるメニューの傾向」など分析を通し、今まで気づかなかった素材の組み合わせや、世の中のトレンドの傾向を把握できるという。

グルメコミュニティのSARAHが資金調達、セブン-イレブンやDDホールディングスとのタッグも

「より善いごはんとの出会いをつくる」という想いを実現するため、データ分析サービスを通し食に関する企業の商品企画・マーケティングを支援するとしている。

SmartMenuは、食事客がテーブルに設置したQRコードを読み取ると、スマホに最適化したデザインでメニュー表を表示するサービス。現在β版を提供しており、正式版ではオーダー・決済機能に加え、SARAHのデータを活用することで、客単価の増加、リピーター集客の増加、接客品質の向上に役立つマーケティングツールとしての提供を予定。

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カテゴリー: ネットサービス
タグ: 資金調達SARAH日本

ノーコードでビジネスインテリジェンスダッシュボードを作れるIndexが2.7億円を調達

Index(インデックス)の創業者であるXavier Pladevall(ザビエル・プラデバル)氏とEduardo Portet(エドゥワルド・ポルテ)氏は、ドミニカ共和国出身の幼馴染同士だ。米国の大学に入学した2人は、2019年に技術者ではないユーザーが、コーディングなしでビジネスインテリジェンス(BI)ダッシュボードを構築できるようにするためのスタートアップを立ち上げることを決めた。

米国時間10月20日、彼らはその開発の夢を続けるために、David Sacks、Slack、Gradient Ventures、 Y Combinator およびその他の個人投資家から260万ドル(約2億7000万円)のシード投資を受けた。

この投資を惹きつけたのは、エンジニアやデータアナリストなどの専門家の助けを借りずに、データダッシュボードを簡単に構築できるようにすることに情熱を注ぐ、2人の若い創業者の力に他ならない。

「基本的に私たちが行っているのは、企業がなるべく少ないコードや技術的な知識だけで、ビジネス指標のダッシュボードを構築できるようにすることです。その副産物は、社内の誰もが自分のチームのために独自のメトリックを構築できるようになることです」とTechCrunchに語るのは共同創業者のザビエル・プラデバル氏だ。

エンドユーザーは増え続けるデータソースのリストにアクセスすることが可能で、Indexはデータサイエンティストやデータアナリストの助けを借りずに、問い合わせの作成とユーザー向けのデータの表示を扱う。いまのところこれには、SalesforceやHubspot for CRMのデータ、Stripeの支払いデータ、そしてPostgresやMongoDBといった特定のデータベースが含まれている。

Indexの共同創業者のザビエル・プラデバル氏(左)とエドゥワルド・ポルテ氏(右) 。(画像クレジット:Index)

創業者たちは製品の開発にあたって、身軽であることを選んだ。2人の創業者とおそらく2人程度の追加エンジニアだけで進めるつもりだ。「実際に2名のフルタイムエンジニアの雇用を検討しています。そのことが私たちをシリーズAへと向かわせることになるでしょう。私たちはそれを投資家のみなさんに明言しています」とプラデバル氏はいう。

ラテン系移民の創業者として、彼らは多様で包括的な会社を作りたいと考えている。彼は、創業者の2人が有色人種を見つけることはそれほど難しくはないだろうと語った。なぜなら彼らはうまく関わることのできる多彩な人びとのネットワークの中で、友情を育んできたからだ。

「私たちがやるべきことは、今行っていることを継続することです。つまり、さまざまな人たちと友人になることです。なぜならそれが誠実なやり方だからです。一般的に単に多様性指向型の会社だというよりも、他の人たちに本当に多様性を実現しようとしていることをわかってもらいやすいからです」とプラデバル氏はいう。

2人の創業者とその家族は、彼らが子供の頃から友人だった。ドミニカ共和国で育った彼らは、コンピュータサイエンスの授業を受けることはできなかったが、インターネットにアクセスすることはできた。そしてこの記事のような米国の技術出版物を読んでスタートアップに夢中になり、YouTubeの動画やStackOverflow(スタックオーバーフロー)からコーディングを学んだ。彼らは2人とも米国の大学に入学し、大企業でインターンを行った。インターン先は、プラデバル氏はFacebook(フェイスブック)、ポルテ氏はニューヨークのMetadata(メタデータ)だった。

彼らのスタートアップのアイデアのきっかけとなったのは、プラデバル氏がフェイスブック社内用の似たようなツールを作っていたチームの一員となったことだった。彼はフェイスブックのようなリソースを持たない企業にとっても、それが商業的に実現可能アイデアだと考えたのだ。彼は幼馴染を誘い、パンデミックが迫る2020年1月に会社の設立を始めた。

彼は今年は苦労してきたことを認めているが、他に何もすることがなかったので、彼らが仕事に集中すること点では最適だったという。銀行に260万ドル(約2億7000万円)を持っていることに驚きを見せつつも、移民創業者の精神の一部だと彼が信じている「渇望」を、2人はまだ持っているのだと彼はいう。

「それは、自分自身を証明したいという渇望なのです。そのためにもしコーディングが必要なら、コーディングの方法を学びます。そしてそれが、数百万ドル(数億円)を調達してYCを卒業することよりもはるかに難しい(それはもちろん個人的な意見だけれど)ビザの申請手続きだとしても(きっとそれをやり遂げるでしょう)」と彼は語った。彼は、つまり必要なことは何でもやるということなんだという。

2人の友人同士が会社としての最初の一歩を踏み出したときには、彼らにはすでに初期の顧客が何人かいて、彼らは引き続き製品を改良し続けている。今回の資金調達とともに、彼らは2021年に向けた高い目標を掲げている。それには製品を成長させること、ARR(年間経常収益)で100万ドル(約1億円)に達すること、ダッシュボード用の配布パッケージを開発することなどが含まれる。

もしそれらの目標を達成することができれば、シリーズAを行うことができるはずだとプラデバル氏はいうが、私もそう思う。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Index資金調達

画像クレジット:Intpro / Getty Images

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(翻訳:sako)

絶滅危惧種など画像が少ないケースでも合成データでAIを訓練するSynthetaicが4.7億円を調達

Synthetaicは、人工知能の訓練に使用できるデータ、特に画像の作成に取り組んでいるスタートアップだ。

創業者でCEOのCorey Jaskolski(コーリー・ジャスコルスキー)氏の経歴には、National Geographicや3Dメディアのスタートアップがある。前者は彼を「今年のエクスプローラー」に指名した(Business Wire記事)。ジャスコルスキー氏によると、保護活動にもっとデータが必要だと気づかせてくれたのがNational Geographicでの仕事だったという。

自然保護と人工知能は、おかしな組み合わせだろうか?ジャスコルスキー氏によると、彼は映像から密猟者や絶滅危惧種の動物を自動的に発見するプロジェクトを担当していたが、最大の壁は密猟者はカメラを避けようとし、絶滅危惧種の動物は野生での生存数が少ないため、それらを見つけるようにAIを訓練できるほど多くの映像が得られないことだった。

また、他社では3Dワールドビルディング(「AIに学習させたい世界のレプリカを作る」こと)によって合成AIの学習データを作成しようとしているが、多くの場合、このアプローチは法外なコストがかかると彼は付け加えた。

対照的に、Synthetaicのアプローチは、3Dアーティストやモデラーの仕事と、生成的な敵対的ネットワークに基づいた技術を組み合わせたものであり、ジャスコルスキー氏によると、はるかに手頃な価格で拡張性が高いという。

画像クレジット:Synthetaic

Synthetaicのモデルには2つの部分があり、それらが相互作用する。ジャスコルスキー氏は、密猟者を見つける例でそれを説明する。まず3Dのアーチストたちは、AK-47ライフルといった武器の実物そっくりのモデルを作成する。それからは敵対的生成ネットワークを使って、その模型をさまざまな背景の上に置いた数十万点以上の画像を生成する。

そしてAIはSynthetaicの合成画像で訓練された後、そのAIを実際のデータでテストすることで、結果を検証する。

ジャスコルスキー氏はSynthetaicの最初のプロジェクトとして、世界を現在よりも良い場所にしようとしている団体と協力したかった。例えばSave the Elephantsは同社の技術を使って動物の個体数を調べている。ミシガン大学は、脳腫瘍のさまざまなタイプを同定するAIを開発している。

ジャスコルスキー氏は、同社が「エンド・ツー・エンド」のソリューションを提供しているため、Synthetaicの顧客は独自のAIの専門知識を必要としていないと付け加えた。

米国時間10月20日、同社はLupa Systemsがリードするシードラウンドで350万ドル(約3億7000万円)を調達したことを発表した。これにはBetaworks VenturesとTitletownTechが参加した。後者はMicrosoft(マイクロソフト)とGreen Bay Packersのパートナーシップだ。同社はこれまでに合計450万ドル(約4億7000万円)を調達した同社は、LupaとBetaworkの「インターネットの修正」に役立つ仕事をするスタートアップのBetalabプログラム(未訳記事)にも参加している。

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Synthetaic資金調達

画像クレジット:Andriy Onufriyenko / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

インサイドセールス向け通話記録のpickuponが8000万円を調達、外勤営業用iOSアプリも提供

インサイドセールス向け通話記録のpickuponが8000万円を調達、営業領域向けiOSアプリも提供

pickupon(ピクポン)は10月21日、調達と融資合わせて総額8000万円の資金調達を発表した。引受先はサイバーエージェント・キャピタル、East Ventures、MIRAISE、小出 斉氏。

今回の資金調達により、会話サマリーAI電話「ピクポン」について、インサイドセールス領域・通話シーンにとどまらず、あらゆる営業領域の会話のやり取りが発生するシーンのコミュニケーションの効率化・コスト削減ソリューションの提供を目指す。その第1弾として外勤向けにスマートフォンでの通話内容を自動でテキスト化・共有できるiOSアプリの提供を開始した。

インサイドセールス向け通話記録のpickuponが8000万円を調達、営業領域向けiOSアプリも提供

iOSアプリでは、従来PCブラウザー用で提供していた機能をすべて使用可能。以下3つの機能を提供しており、インサイドセールスだけでなく外勤営業の業務効率化、入力コスト削減を実現できるとしている。

  • アプリを使った架電・受電
  • アプリ上での通話のサマリー(テキスト×音声)を作成し、顧客管理システムへ自動入力
  • 顧客の重要発言(課題感や怒りを含む発言)をSlackの指定チャンネルに通知

また9月1日よりプレリリース版を提供開始しており、すでに三菱地所ハウスネットのDX拠点「Cube i 有楽町」、営業支援ツールを開発するマツリカ、営業コンサルティングや営業向け社内情報検索サービスを手がけるBUFFなどが先行導入しているという。

ピクポンは、電話の会話内容のサマリーをAIがテキスト×音声で作成し、自動入力・共有してくれるサービス。入力を意識することなく、顧客との会話内容をチームのワークスペース(CRM・SFAなど)にシェアを行える。これにより、営業の架電シーンにおける入力漏れを防げる上、入力コスト削減や、営業活動のブラックボックス化問題を解決する。同サービスは2019年9月の提供開始以来、スタートアップ企業を中心に前月比約120%のペースでユーザー数が増加し続けているという。

インサイドセールス向け通話記録のpickuponが8000万円を調達、営業領域向けiOSアプリも提供

2018年2月設立のpickuponは、文字・印刷技術・複製技術・インターネットなどのように、世界を大きく前進させる「情報を共有するコストを大きく下げるテクノロジー」の創出を目指すスタートアップ企業。その第1弾として、音声とテキストをブリッジさせ、情報の共有コストを圧倒的に下げる会話サマリーAI電話ピクポンを開発・提供している。

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カテゴリー: ネットサービス
タグ: 資金調達pickupon日本

シンガポールにあるテックベースの不動産業者「Propseller」がシードラウンドで約1.3億円を調達

シンガポールを拠点とし、テックプラットフォームと社内不動産エージェントを組み合わせて取引を迅速に完了させる不動産業者のPropsellerが米国時間10月19日、シードラウンドで120万ドル(約1億3000万円)を調達したと発表した。

このラウンドでは、Iterative、Hustle Fund、XA Network、Rapzo Capital、Lazada共同創業者のStein Jakabo(ステイン・ヤカボ)氏、Dot Property創業者のBen Neve(ベン・ネーブ)氏が投資した。Propsellerは「非公開の高度に戦略的な投資家も3者」あり、個人投資家からの再度の投資もあると述べた。

資金調達に関するPropsellerの前回の発表は2018年12月で、その時はシードラウンドで100万シンガポールドル(約7800万円)の調達だった(Propsellerの発表)。

2018年に創業し2019年にサービスを開始したPropsellerは、同社のテックプラットフォームで物件評価などの業務を支援することで取引を迅速に完了し、同社の社内不動産エージェントが取引を迅速に完了できるようになったので標準的な手数料を2%から1%に減らしているという。

Propsellerは現在、毎年7500万シンガポールドル(約58億円)相当の物件を取り扱っていると述べている。

新型コロナウイルス感染症により経済的な影響が発生しているが、シンガポールの不動産市場、特に住宅に関しては比較的早く回復すると予想されている(South China Morning Post記事)。新築分譲マンションの需要や海外投資があるためだ。Propsellerの創業者で最高経営責任者のAdrien Jorge(エイドリアン・ホルヘ)氏はTechCrunchに対し、第2四半期のPropsellerの売上は前四半期比で80%減少したが、回復しつつあると語った(LinkedInの投稿)。

新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の間も、オンラインダッシュボードやバーチャル見学といったテクノロジーを利用したサービスを活用して同社の担当者は顧客とのやりとりを続けることができた。シンガポールのサーキットブレーカーや一部のロックダウンの間も、Propsellerのプラットフォームは対面での見学の制限にすでに対応できていたので、オンライン見学のデジタルツールの採用を急ぐ必要はなかったとホルヘ氏は述べた。

シンガポールで不動産を扱い最近資金調達をしたスタートアップに、不動産情報プラットフォームのPropertyGuruがある。9月に同社はKKRとTPGから2億2000万ドル(約232億1000万円)を調達し、新たな東南アジア市場に進出すると発表した。PropertyGuruと最も直接的に競合しているのは99.coだが、テックプラットフォームを組み合わせたエージェントサービスを提供するPropsellerやOhmyhome、Greyloftなどのスタートアップもシンガポールの不動産市場の選択肢となっている。

ホルヘ氏によれば、OhmyhomeはFSBO(for sale by owner、所有者による売却)の取引をベースにし、従来型の業者よりも安い価格でエージェントサービスを提供するのは副次的なプロダクトであるため、PropsellerはOhmyhomeとは違うという。Propsellerはテクノロジーを活用する不動産業者であることに主眼を置いている。PropertyGuruや99.coは取引はせず物件の分類をメインとしているが、その一方でPropsellerのモデルは「従来型の業者を破壊するものであり、分類するものではない」であるとホルヘ氏は補足した。

今回の資金調達に関するPropsellerのプレス発表の中で、Iterativeのパートナー(であり、サンフランシスコを拠点とする不動産テックスタートアップ「Divvy Homes」の創業者)のBrian Ma(ブライアン・マー)氏は「世界的に見て、モダンな不動産業者がすでに市場のシェアを猛スピードで獲得しています。不動産価格が高く高品質のサービスを求められるシンガポールのような市場では、デジタル化が不可欠になると我々は考えています。その中でPropsellerが主導権を握ることを期待しています」と述べた。

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画像クレジット:Mlenny / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

農業×AIにより独自の農産物栽培方法を確立し農家支援を行うHappy Qualityが資金調達

農業×AIにより独自の農産物栽培方法を確立し農家支援を行うHappy Qualityが資金調達

農業×AIにより高品質・高機能な農産物を1年中安定的に栽培する方法を確立し、農業支援・青果卸売業務を展開するHappy Quality(ハッピークオリティー)は10月20日、資金調達を実施したと発表した。引受先はSony Innovation Fund、ベンチャー投資育成研究会。

調達した資金により、中部地方をはじめさらなるFC農家の展開に向けたマーケティング強化のほか、より高品質な栽培をしていくためのAI灌水システムの高度化、そして今後の事業展開に向けた採用強化を推進する。

Happy Qualityは、静岡県で「農業の新しいStandardを作る」というビジョンのもと、農家の減少や高齢化により匠の農業技術が失われるといった「農業における社会課題」を、「テクノロジー」で解決するためデータドリブン農業の実践・研究開発を展開。

現在、新規就農者が抱える課題として最も多い「所得が少ない」「技術が未熟」(農水省 平成23年度 ⾷料・農業・農村⽩書)という点に対して、市場流通や農学、テクノロジーといった専門知識を持つメンバーが研究開発を重ね、ビックデータやAI、光学センサーなどを用いて高品質・高単価なメロンやトマトの安定生産、FC農家からの全量買取および品質保証による高単価販売を実現してきた。

農業×AIにより独自の農産物栽培方法を確立し農家支援を行うHappy Qualityが資金調達

Happy Quality独自ブランド製品としては、「Hapitoma」(トマト)や「DOCTOR MELON」(メロン)を展開。

Hapitomaは「ストレス緩和機能」の機能性表示を取得済みで、光センサー選果機によって1粒ずつ糖度・形・リコピンを計測・選別し、厳しい基準をクリアしている。リコピンは通常のトマトの2倍以上のもののみを採用し、糖度別に6~10度のラインナップを用意している。

農業×AIにより独自の農産物栽培方法を確立し農家支援を行うHappy Qualityが資金調達

DOCTOR MELONは温室メロン出荷量日本一の静岡県で生まれた、甘さそのまま低カリウムメロン。カリウム濃度を低減化したことで、腎臓病疾患などカリウム摂取制限がある方も食べやすいという。またカリウム低減により、口内の刺激となるアレルギー抗原が低下、ピリピリとした刺激感が緩和、特有の青臭さも軽減している。

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カテゴリー: 人工知能・AI
タグ: 資金調達農業Happy Quality日本

食品デリバリーが好調を維持する中、GrubMarketが約64億円を調達

テクノロジーを活用して食品の調達と宅配に関するサービスをより使いやすくしてきた企業が今年、急成長を遂げている。新型コロナウイルスのせいでソーシャルディスタンスを確保するよう求められた(または強制された)数百万人の消費者が、ショッピングや外食を控えて人混みを避けるようにしているからだ。

そのような企業の1つであるGrubMarket(グラブマーケット)が本日、次のステップであるIPOを見据えた新たな資金調達ラウンドについて発表した。同社は、農産物やその他の商品を、消費者およびその他の食品再販サービス業者に供給している企業だ。

グラブマーケットは、消費者から農産物やその他の食品および家庭用品などの注文を受けて配達も行うB2Cプラットフォームであり、食料品店やキット食品会社、その他の食品系テックスタートアップ向けに再販用の農産物を供給するB2Bサービスでもある。同社は本日、シリーズD資金調達ラウンドで6000万ドル(約63億5800万円)を調達したと発表した。

グラブマーケットに詳しい筋からの情報によると、同社は利益を出しており、当初は2000万ドル(約21億1900万円)以上調達する計画はなかったが、その評価額は現在、前回ラウンドの2倍に相当する4億ドル~5億ドル(423億円~529億円)に達しているという。

調達資金の出資元は、BlackRock(ブラックロック)、Reimagined Ventures(リイマジンド・ベンチャー)、Trinity Capital Investment(トリニティ・キャピタル・インベストメント)、Celtic House Venture Partners(セルティック・ハウス・ベンチャー・パートナーズ)、Marubeni Ventures(マルベニ・ベンチャーズ)、Sixty Degree Capital(シックスティ・ディグリー・キャピタル)、およびMojo Partners(モジョ・パートナーズ)によって管理されているファンドとアカウント、および以前の投資会社であるGGV Capital(GGVキャピタル)、WI Harper Group(WIハーパー・グループ)、Digital Garage(デジタル・ガレージ)、CentreGold Capital(センターゴールド・キャピタル)、Scrum Ventures(スクラム・ベンチャー)、その他非公開の参加者だ。以前の投資会社にはY Combinator(ワイ・コンビネーター)も含まれている。グラブマーケットはワイ・コンビネーター主催の2015年冬季クラスに参加している。ちなみに、グラブマーケットの前回の資金調達は2019年4月で、評価額は2億2800万ドル(約241億6800万円)、調達額は2800万ドル(約29億6700万円)だった。

創業者兼CEOのMike Xu(マイク・シェイ)氏は次のように語る。「以前話した上場する計画は変わっていない。ただ、民間市場から問題なく資金を調達できていること、昨年から100%の成長を達成していること、現在(コロナ禍の影響で)IPO市場が不安定であることなどを考えると、正確な上場時期については明言できない」。とはいえ、同氏が近い将来の上場を見据えていることは明らかだ。

同氏は電話とメールの両方で「私の起業経歴において唯一の成功判定基準は、最終的に年商1000億ドル(約10兆5900億円)を達成できるかどうかだ」と話してくれた。「この目標を達成するためなら、粛々とハードワーキングを続ける。15年かかろうと50年かかろうと関係ない」。

この言葉に嘘はないと思う。今回同氏に電話をしたのもカリフォルニアでは深夜の時間帯だった。もう少し早い日中で都合のよい時間はないかと何度も尋ねたが無駄だった(食品ビジネスに忙殺されているため、朝の4時半くらいが最も頭が冴えるのだという)。同氏は落ち着いた振る舞いの大変穏やかな人物だが、この見かけに騙されてはいけない。仕事に対する集中力と意欲はすさまじい。

最近は、食品の購入、従来型の食料品店や実店舗の食品市場の話をするときに、食料品配達企業、レストラン配達プラットフォーム、キット食品サービスなど、アプリを使って利用者に食品や調理を届ける企業が話題にのぼることが多くなっている。利益は上げているもののあまり知られていないグラブマーケットは、こうしたあらゆるカテゴリーに属する食品関連企業を下支えする大手企業としての地位を築き上げてきた。今や、食糧生産者と対消費者企業との間の橋渡し役として重要な企業の1つとなっている。

同社は、市場のディスラプション(破壊的創造)と隙間という形のビジネスチャンスを見出した。食糧生産の世界では、配送業をはじめとする昔からの非テック系産業と同じく、昔ながらのやり方で大量の取引が行われている。そこでグラブマーケットは、食糧サプライチェーンのさまざまなセグメントを高速にかつ効率よく接続するソフトウェアを構築し、それを実行するための物流を提供し始めた。

もちろん、この分野はコロナ禍による健康被害がなくても進化しただろうと思われるが、コロナウイルスの発生と感染拡大によって、食料品宅配の需要が増大しただけでなく、食糧サプライチェーンを構成する各業者が、少ない接触頻度で、なおかつテクノロジーの導入によって効率よくやり取りできるようになったことが、グラブマーケットにとって追い風となったのは確かだ。

グラブマーケットのプラットフォームWholesaleWareによる売上高は、昨年の8倍以上に拡大しており、年間「数億ドル(数百億円)の食糧品卸売取引」を管理するまでになっている。

グラブマーケットのテクノロジーを支えているのはその莫大な取引量だ。まさに「規模の経済性」が機能している。同社は、サンフランシスコのベイエリア、ロサンゼルス、サンディエゴ、シアトル、テキサス州、ミシガン州、ボストン、ニューヨークなどで事業を展開しており、全米で21の倉庫を運営しているという。シェイ氏はグラブマーケットをベイアリアとカリフォルニアのその他の地域における「巨大食料品プロバイダー」と呼んでおり、サンフランシスコベイアリア東部の倉庫には226万キログラム以上の冷凍肉が保存されている。

同社の顧客には、500以上の食料品店、8000件のレストラン、2000社のオフィスが含まれており、Whole Foods(ホールフーズ)、Kroger(クローガー)、Albertson(アルバートソン)、Safeway(セイフウェイ)、Sprouts Farmers Market(スプラウツ・ファーマーズ・マーケット)、Raley’s Market(レイリーズ・マーケット)、99 Ranch Market(99ランチ・マーケット)、Blue Apron(ブルーエプロン)、Hello Fresh(ハローフレッシュ)、Fresh Direct(フレッシュダイレクト)、 Imperfect Foods(インパーフェクトフーズ)、Misfit Market(ミスフィットマーケット)、Sun Basket(サンバスケット)、GoodEggs(グッドエッグス)などの有名企業が名を連ねている。こうした企業は、グラブマーケットから供給された食料品をそのまま再販したり、キット食品などの自社製品に加工して販売したりしている。

グラブマーケットの成長の大部分は同社が扱う農産物と同様に有機的な(M&Aに頼らない自律的な)成長だが、その高い収益性を資金源としてM&Aにより成長した部分もある。同社は今年買収したBoston Organics(ボストン・オーガにクス)とEJ Food Distributor(EJフーズ・ディストリビューター)も含め、過去2年で15社ほどを買収している。

とはいえ、グラブマーケットにも成長期の苦しみがなかったわけではない。シェイ氏によると、食糧品配達業界の他社と同様、今年3月から4月にかけてのパンデミック発生時には大いに困惑したという。「一部の地域では1日あたりの配達量を制限する必要があった。また、新規の顧客は対応できるまで順番待ち状態になった」。それでも、B2Cビジネスは、市場によって差はあるが、3~5倍の成長を達成した。5月までには状況が落ち着きを取り戻し、B2B顧客の一部は各都市がロックダウンされた後も戻ってこなかったが、B2Bカテゴリー全体としては概ね回復したという。

グラブマーケットが企業として従量員と顧客の新型コロナウイルス感染を防ぐため非常に積極的な対策を講じている点は興味深い。ウイルス検査の実施がまったく追いついていない状況で、できるかぎり検査を実施するとともに、ソーシャルディスタンスや消毒なども徹底して行った。

「マスクに関しては強制はされていなかったが、広くマスクを配布した」とシェイ氏はいう。

これまでのところ、それが功を奏しているようだ。同氏によると、今年、検査結果が陽性だった従量員は数人だけだったという。4月に見つかった感染者は、検査ではなく(ミシガン州では検査は実施されていなかった)、毎日のチェックによって判明した。ある従業員に感染の兆候があることがわかったのだ。対応は迅速だった。同社創業以来、また食糧品サプライ業界全体で、最も忙しい時期だったにもかかわらず、施設は2週間閉鎖され消毒が行われた。

このような対応は、不正行為によって多くのリーダーたちに対する信頼が失墜しているように思われる時期において特筆すべきリーダーシップであり、グラブマーケットの力強い成長を後押しするものになる。

「急成長と純利益を継続している確かな実績があるグラブマーケットは、食糧品テクノロジーとeコマース分野のシリコンバレースタートアップとしては極めてまれなケースだ」とセルティックハウスベンチャーパートナーの管理パートナーJay Chen(ジェイ・チェン)氏は言う。「4年間で15倍の規模に成長した同社の創造性と資本効率性は、この分野では他社の追随を許さない。マイクは会社を慎重にかつ持続的に成長させるという素晴らしい仕事をした。同社が全米規模で急成長を遂げる時期にパートナーであることを誇りに思うと同時に、同社のSaaSスイートWholesaleWareの衰えを知らぬ勢いにわくわくしている。この分野では最高のSaaSスイートだ」。

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カテゴリー:フードテック

タグ:食品配達 資金調達 GrubMarket

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(翻訳:Dragonfly)

偏見や不適切な語調を検知するAIスタイルガイドサービスWriterがシードラウンドで約5億円を調達

オンラインやオフラインの文書作成ツールで文章を書く人なら誰でも、スペルが間違っている単語や拙い表現の下に必ず出現するあの波線にすっかり慣れていることだろう。しかし、別の意味合いを含む言葉や、堅苦し過ぎる表現、または馴れ馴れしい表現を使ってしまった場合、あるいは、ある集団に対して今は使われなくなった呼称を使ってしまった場合はどうだろうか。Writer(ライター)は、文章を打ち込んでいるときに指定のスタイルガイドや価値基準から外れている言葉を入力すると、その場で警告してくれるサービスだ。そのWriterが最近、事業を拡大するために500万ドル(約5億3000万円)を調達した。

Writerのサービスを利用する個人も企業も、単に文法やつづりの誤りを検知する以上のレベルで、文章の質を向上させたいと願っている。もし、インクルーシビティ(包含性)を大切にすると主張する企業のプレスリリースや社内ブログに時代錯誤な考え方や偏見を示す表現が散見されたら、その企業がインクルーシビティを大切にしたいという思いはその程度のものなのだ、と示すことになってしまう。

Writerの創業者兼CEOのMay Habib(メイ・ハビブ)氏はこう語る。「企業は自分たちの発言を裏付ける行動をしようと躍起になっている。ユーザーとの接点があるすべての場所で、一貫性のあるメッセージを発信できるようになりたいと考えているためだ。そこでWriterは、配慮に欠けた言葉やネガティブに受け取られかねない表現が文章に含まれていた場合に、それを作成者に知らせるサービスを提供し、企業がブランドのガイドラインを設定するサポートをしている」。

企業が提供するコンテンツや公式なコミュニケーションにおいては普通のことになっているとはいえ、従業員が使う言葉を企業が指図するなんて少し不吉な感じがすることは否めない、というのが第一印象だろう。 しかし、今回注目したいのは、権力を振るうために言論を統制するという側面ではなく、意思伝達を完璧に行える人間は存在せず、誠実であるためには助けが必要であるという事実を認めることである。警察というよりも、物知りの天使が「その弁護士のことを『エキゾチック』と表現して大丈夫?」と耳元でささやいて教えてくれるようなものだ。

Writerがチェックする項目の一例。出典:Writer

我々は皆、言葉の使い方の点で数えきれないほどの失敗をするものだ。気づかれにくいものもあるが、だからといって人を傷つける可能性が低くなるわけではない。広報の現場では特に、特定の集団を表すために、こちらが真っ先に思い浮かべた名称ではなく、その集団が好む名称を使うことが重要である。このような情報について、Writerは、当事者のコミュニティから収集した最新のライブラリを備えている。中には、ここ数年の間に政治的に別の意味合いを含むようになったフレーズもあるが、それを知らなくても心配はいらない。Writerが代替案を教えてくれる。必要以上に性別を意識させる表現を使いたくないと考えて言葉遣いに配慮したくても、ところどころでミスしてしまうことは誰にでもある。そんなときも、Writerを使えばそのミスに気づくことができるし、先述される代名詞と関連づけて判断して、匿名の情報源を性別に結びづけずに言及できる。

Writerには、「ポリティカル・コレクトネス」に関する非難が付いて回るだろう。しかし、ハビブ氏は次のように説明する。「これは政治的に正しいかどうか以前の問題である。特定の生き方または在り方をしていて、特定の表現の使用を好む人々を尊重するかどうか、という問題なのだ。自分の居場所があると誰もが感じられるコミュニティを企業が築けるようにすること、当社はその手助けをしている」。我々がテクノロジー業界で繰り返し目にしてきたように、企業がある理念をどんなに熱く語っても、同じ企業がその理念とは相反する方法で従業員を扱っている、というのはよくある話だ。正直なところ、単に適切な言葉を使うだけというのは、スタート地点としてはハードルが低すぎるのではないかと思う。

Image Credits: Writer

しかし、Writerは単に要注意表現をリスト化して更新していくだけのサービスではない。Writerの中核であるNLP(自然言語処理)エンジンは、文章構造の複雑さ、段落の長さ、語調などにも深く配慮して開発されている。Writerにはそのような奥深い理解が必要である。「指摘するために下線を表示するだけでは不十分である。どの箇所をどの表現で置き換えるべきかを理解する必要があり、その表現を文章になじませる必要もある。これらはNLP上の難問だ」と、ハビブ氏は説明している。

そのため、WriterのNLPエンジンは、インクルーシビティに配慮した表現だけでなく、さまざまな役割に適応できる。例えば、通常のスペルミスや文法ミスに加えて、フォーマルさの度合い、能動態、「生き生きした表現」(これが何であれ、筆者にはないものだ)など、ブランドのイメージを決定づける上で役立ついろいろなメトリクスに対応できる。

もちろん、Writerで自社独自のスタイルガイドを使うこともできる。そうすれば、編集担当者は目を皿のようにして、メインタイトルにシリアルコンマが使われていないか、emダッシュの代わりに二重ダッシュが使われていないか、「email」とすべきところが「e-mail」になっていないかをチェックする必要がなく、そのブランドとして一般に認識されるような文体を保つための細かいルールで頭をいっぱいにする必要もない。

Image Credits: Writer

Writerでは、複数のスタイルガイドを切り替えて使用することや、アプリやサイトによってスタイルガイドの調整や無効化を行うことができる。そのため、社内メールとプレスリリースでガイドラインを使い分けることも、ブログ投稿とニュースレターとでスタイルを分けることもできる。

この分野で明らかに最大のライバルとなるのがGrammarly(グラマリー)だが、ハビブ氏は、Grammarlyも、増え続けるブラウザ内・アプリ内校正サービスも、技術的な面にフォーカスしていると考えている。Writerにとっては、個々の文書作成者のミスを防ぐことよりも、複数の文書作成者の間で一貫性を確保し、言語面で同じ総合基準を守りながら作業できるようにすることの方が重要な課題だ。

もちろん、セキュリティも重要である。どんなに便利なツールだったとしても、キー入力した内容がすべて記録されることを望む人はいない。ハビブ氏は、Writerは現時点でブラウザ用プラグインとしてローカルで実行され、WordまたはChromeへのみ統合が可能だが、他のアプリやサービスにも今後対応していくと慎重な言葉遣いで強調した。同氏は「そのようなアプリやサービスのデータがWriterのサーバーに保存されることも、メタデータが生成されることもない。処理はすべてテキスト領域で実行される」と説明している。Writer側に送信されるデータは、例えば「should of」を「should have」に、「illegal aliens」を「undocumented immigrants」に修正したなど、提示された修正案が使用されたという事実のみだという。このモデルをトレーニングするためにユーザーのデータが使用されることはなく、修正そのもの以外のコンテンツがWriterに送信されることも、Writerのサーバーに保存されることもない。

Writerは現在、ベーシック版は1ユーザーあたり毎月11ドル(約1200円)で利用できる(もちろん、無料トライアル期間が必ず付いてくる)。複数のスタイルガイドが使用できて、盗用検出などの機能が使えるエンタープライズ版もあるが、利用料金は不明だ。また、対応している言語は英語のみである。もちろん、他の言語でもこのサービスのニーズはあるが、NLPモデルの奥深さと、同モデルが認識する表現がその言語において持つ特異性を考えると、他言語への展開は簡単にはいかない。例えば、スペイン語や韓国語に対応するには、まったく新しい製品を開発する必要があるだろう。そのため、現時点では英語のみの対応となっている。

Writerは創業して間もない企業で、NLPエンジンを(GitHubリポジトリで対ユーザー言語をモニタリングするという取り組みを前身として)18か月間、まるでステルスのようにひっそりと開発してきた。Upfront Ventures(アップフロント・ベンチャーズ)、Aspect Ventures(アスペクト・ベンチャーズ)、Bonfire Ventures(ボンファイア・ベンチャーズ)、Broadway Angels(ブロードウェイ・エンジェルズ)がリードしたシードラウンドで調達した500万ドル(約5億3000万円)が、同社のさらなる事業拡大を後押しすることは間違いない。同社の顧客にはすでに一流の有名企業が名を連ねている。その実績と今回の資金調達のおかげで、しばらくは安泰だろう。

関連記事:日本語に特化したAI文字起こしサービス「Rimo Voice」が登場、1時間の保存音声を最短5分でテキスト化

カテゴリー:人工知能・AI

タグ:資金調達 自然言語処理

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(翻訳:Dragonfly)

生徒同士が「つながり」を感じられるVR英語教育のImmerseが約1.6億円を調達

生徒同士が「つながり」を感じられるVR英語教育のImmerseが約1.6億円を調達

教育機関を対象にリアルタイムのVR英語学習プラットフォームを提供するImmerse Inc.(イマース)は、第三者割当増資により150万ドル(約1.6億円)の資金調達を発表した。引受先は、Eagle Venture Fund II(Eagle Venture Fund)。

Immerseによると、VRは、教育者の学習ツールの選択肢として現在認知が進んでいないものの、「生徒同士がつながっているように感じ、触発され、これ以上ない面白い学習体験を与えられる唯一のもの」としている。Immerseチームは、このシンプルで効果的なプラットフォームが学習機関に行き届くようサポートするとしている。

今回の資金調達により、Immerseのアメリカ人講師による英語レッスンの提供に止まることなく、高校・大学・英会話スクールなど英語教育機関に所属する英語講師がimmerseをライセンス利用できる「VR英語教育・学習プラットフォーム」を提供。より多くの教育機関で導入・活用してもらうことで、コーポレートミッションの「バーチャル・リアリティで、英語の教え方と学び方を変える。」を実践していく。

また、2020年10月発売の「Oculus Quest 2」にも2020年内をめどに対応。よりリッチなVR英語学習体験を学習者に与えることで、VR空間内で留学のようなタスクベースの英語教育を一般化させることを目標に、事業のサービス開発・販売拡大を目指す。

生徒同士が「つながり」を感じられるVR英語教育のImmerseが約1.6億円を調達

Immerseは、VR技術で実際に英語を使うシーンを再現したVR英語教育・学習ツールの「immerse」を開発している米カリフォルニア州アーバインシティのスタートアップ企業。これまで日本の高校・大学機関をはじめ世界中の教育機関・法人に、アメリカ人ネイティブ講師によるシームレスなVR英語学習体験を提供してきた。

VR技術により数十種類の現実に近い英語利用シーン(空港、オフィス、会議室、レストランなど)の中で現実に近い英会話を学習することで、英語学習への集中力と教育効果を高めるという。

またネイティブのアメリカ人講師とVR世界で実際に話すことで、より相互的でリアルな学習体験でき、留学に近い英語力上達の効果が期待できるとしている。

カテゴリー: VR / AR / MR
タグ: EdTechImmerse資金調達

東大発AI企業の日本データサイエンス研究所(JDSC)がシリーズBラウンドで29億円超を調達

東大発AI企業の日本データサイエンス研究所(JDSC)がシリーズBラウンドで29億円超を調達

UPGRADE JAPANをミッションとして掲げる東大発AI企業の日本データサイエンス研究所(近日中に「JDSC」に変更予定)は10月19日、第三者割当増資で約26億円と、当座貸越契約(デットファイナンス)の締結による約3億円の枠を合わせ、総額で約29億円超の資金調達を実施したと発表した。

第三者割当増資の引受先は、未来創生2号ファンド(スパークス・グループ)、東京大学エッジキャピタルパートナーズ、ダイキン工業、中部電力、SMBCベンチャーキャピタル、みずほキャピタル、三菱UFJキャピタル、複数名の個人投資家。借入先は、三井住友銀行、りそな銀行。これにより、創業2年強での累計資金調達額は、約33億円となる。

今回調達した資金は、現在のパートナーシップの大型化にともなうチーム拡充、ソリューションの多様化・安定化への対応、新たなパートナー企業とのDX推進/AI実装の案件獲得に備える。今後は、専門性の高いデータサイエンスやエンジニアリングの技術人材・豊富な経験を有するビジネス人材の登用、DX/AIソリューションの開発、新領域へのR&D投資などを強化する。

JDSCは数多くの産業のリーディングカンパニーと強固なパートナーシップを結び、共同でDX推進/AI実装を実施。これら連携の中で、需要予測ソリューション(demand insight)や電力データを活用したフレイル検知(要介護予兆の特定)、不在配送回避のソリューションなど産業共通の課題を解決する幾つものソリューションを創出している。

JDSCのアプローチの特徴は「再現性の高さ」にあるという。これは、AIアルゴリズム構築やシステム実装といった技術的知見を有するメンバーと、AI活用にyる具体的な解決策の提示や難易度の高いDXプロジェクト執行といったビジネス面の能力を有するメンバーを擁することで担保しているとした。

こうした背景から、技術知見とビジネス知見の双方を兼ね備えたAIベンチャーとして、多くのリーディングカンパニーとプロジェクトを推進するに至り、今回の資金調達にもつながったとしている。

東大発AI企業の日本データサイエンス研究所(JDSC)がシリーズBラウンドで29億円超を調達

カテゴリー: 人工知能・AI
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AIとサブスクモデルで補聴器に変革をもたらすWhisperが約37億円調達

数年前、Whisper(ウィスパー)の社長で共同創業者のAndrew Song(アンドリュー・ソン)氏は、祖父がつけていた補聴器について祖父と話していた。祖父は聴覚改善のために設計された医療機器に数千ドル(数十万円)を費やした。その過程で彼の生活の質は向上したが、補聴器は着けなくなってしまった。ソン氏の共同創業者も祖父母が同様の体験をしており、エンジニアや起業家として、より優れた最新の補聴器を開発するために行動を起こすことにした。

同社は10月15日、ゼロから構築した新しい補聴器とともにステルスモードから抜け出した。同社の補聴器は、騒がしいレストランにいるときやテレビを観ているときなどさまざまな聴覚の環境に対し、人工知能を利用して自動で学習・調整する。また、最初に数千ドル(数十万円)を払う必要はなく、3年間のサブスクリプションで月額料金を支払いさえすれば、その間無料でソフトウェアアップデートが受けられる。

同社は開発と並行して、Quiet Capital(クワイエットキャピタル)がリードする3500万ドル(約37億円)のシリーズBラウンドを発表した。既存投資家からはSequoia Capital(セコイアキャピタル)とFirst Round Capital(ファーストラウンドキャピタル)が参加した。同社は、本日発表した補聴器システム開発のために、累計では5300万ドル(約56億円)を調達した。

ソン氏は同社を立ち上げる前に祖父と話し、なぜ補聴器を装着しなくなったのか、どんな問題を抱えていたのか、なぜうまくいかなかったのか疑問に思うようになり、最終的にスタートアップを立ち上げることになった。

「そのことが我々を新しい製品の開発に向け突き動かしました。使用する人のニーズを適切にサポートし、時間が経つほどに良くなる補聴器です。補聴器自体が良くなると同時に、人工知能により使用者が捉える音を実際に改善する補聴器です」とソン氏は説明した。

創業チームにはテクノロジーとエンジニアリングのバックグラウンドはあったが、聴覚科学の専門知識がなかったため、UCSF(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)オーディオロジー学科からRobert Sweetow(ロバート・スウィートウ)博士を招いた。

同社が開発したテクノロジーは、3つの主要な部分で構成されている。まず、耳に合う補聴器があり、次にウィスパーブレインと呼ばれるポケットサイズの『外箱』がある。同社によればそれが「イヤーピースとワイヤレスで連携し、その中で独自のAIベースのサウンドセパレーションエンジンが動く」。最後に、システム上のソフトウェアを更新するスマートフォンアプリがある。

  1. Whisper1

  2. Whisper2

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ソン氏によると、他の補聴器と同社製品を分かつのはAIだという。「困難な体験に遭遇し毎日が荒れ狂う中で、当社がサウンドセパレーションエンジンと呼ぶものが、あなたを助けてくれます。これは当社が開発した一種のAIモデルで、信号処理を支援してくれます。本当に独自性のあるものだと思います」と同氏は述べた。

さらにソン氏によると、自動運転車が時間の経過とともに学習し、ドライバーから会社にフィードバックされるデータから恩恵を受けるのと同じダイナミクスが補聴器で機能する。補聴器が時間をかけて信号をより適切に処理する方法を学習する。特定の個人だけでなく、Whisperのすべての補聴器ユーザーの体験が利用される。

同社はこの補聴器を店頭ではなく、補聴器の専門家のネットワークを通じて提供する。ソン氏によると、これは複雑な機器であるため、製品のフィットとサポートのために製品の一生にわたりオーディオロジストを関与させることが重要だと同社が認識しているためだ。

Whisperは、補聴器を3年契約、月額179ドル(約1万8800円)のサブスクリプションベースで提供する。これには、すべてのハードウェア、ソフトウェアのアップデート、聴覚ケアのプロからの継続的なサポート、3年間の損害保険、業界標準の機器保証が含まれる。同社は期間限定で月額139ドル(1万4600円)の導入価格を設ける。

月額179ドル(約1万8800円)だと、補聴器を借りるのに3年間で合計6444ドル(約67万7000円)になる。サブスクリプション終了時に、ユーザーは(契約を)更新して最新のハードウェアを手に入れるか、またはハードウェアを返却することができる。ユーザーが補聴器を所有するわけではない。

Widex(ワイデックス)やStarkey(スターキー)など、他の補聴器会社も補聴器にAIを使用しており、どちらも外部ハブを必要としないことは注目に値する。多くの補聴器会社がさまざまな支払いプランやサブスクリプションプランを提供しているが、Whisperは補聴器に対し異なるアプローチを提供する試みだ。

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タグ:Whisper、補聴器

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(翻訳:Mizoguchi

新型コロナで好調のエクササイズコーチングアプリFutureが約25億円調達

米国中の何千というジムが新型コロナウイルスパンデミックの間に閉鎖を余儀なくされたが、在宅ソリューションを提供するフィットネス企業はかつていないほどのチャンスを手にしている。こうした状況はPeloton(ペロトン)のような上場企業の株価を驚くほどのものにした。同時にベンチャーキャピタリストを数多くのフィットネス業界ディールに向かわせた。なお、時価総額は約400億ドル(4兆2000億円だ)。

Future(ヒューチャー)は、ユーザーと実在のフィットネスコーチがバーチャルでチームを組む月額150ドル(約1万6000円)のサブスクを消費者に提供している。Apple Watchの健康情報を追跡できる能力を活用し、Futureはチームモチベーションやアカウンタビリティ、フィットネス洞察のためのプラットフォーム構築を目指してきた。

画像:Future

Kleiner PerkinsがリードしたシリーズAラウンドを発表してから18カ月近くたち、Futureは2400万ドル(約25億円)のシリーズBをクローズしたとTechCrunchに語った。本ラウンドはTrustbridge Partnersがリードし、既存投資家のCaffeinated CapitalとKleiner Perkinsが参加した。

在宅フィットネスブームでFutureの利用はかなり増えている。 CEOのRishi Mandal(リシ・マンダル)氏は、何千ものジムが閉鎖されたためにここ数カ月で同社は3倍に成長したと話す。外出禁止が、現在も続いているテックを使ったフィットネスサービスへのシフトを加速させた、と指摘する。忙しいユーザーはテックを活用したサービスによってエクササイズの時間を確保することができる。

「現代の生活はパンデミック期間に限らず通常においても本質的にはクレイジーだと当社は考えています」とマンダル氏は話す。「セットルーティーンを持つという考えは完全に誤っています」。

Futureは月149ドル(約1万5700円)で、PelotonやFitbit(フィットビット)、Apple(アップル)が提供しているデジタルフィットネスプログラムがターゲットとする消費者マーケットを取り込もうとしているわけではない。Futureはどちらかというと、パーソナルトレーナーを見つけようとしているがまだ実際にはそこまでいっていない、あるいは全体的なガイドラインやアカウンタビリティを必要としつつガイド付きのインストラクションはさほど求めていない、といったユーザーをターゲットとしている。

前回よりも大きな額を調達し、Futureはネットワーク拡大という大きな目標を掲げている。来年の今頃までにFutureプラットフォームのコーチの数を1000人にすることを目指す。規模を拡大することで、Futureは新たな取り組みができる。マンダル氏は、「人々の健康全般をサポートするところに真の機会があります」と話し、成長に伴ってコーチングサービスの対象をフィットネス以外にも拡大することにチャンスを見出している。

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タグ:Future、資金調達

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(翻訳:Mizoguchi

法律事務所のマーケティングと顧客管理を助けるLawmaticsが2.6億円を調達

弁護士のためのマーケティングと顧客管理ソフトウェアを構築しているサンディエゴのスタートアップLawmaticsが、250万ドル(約2億6000万円)のシード資金を調達したことを発表した。

CEOのMatt Spiegel(マット・シュピーゲル)氏は、かつて法律の勉強をしていたことがある。現在、テック企業にはさまざまなマーケティングツールが出回っているが、「弁護士は、特定のニーズに合わせた製品を必要としているため、それらを採用することができていない」という。

そこでシュピーゲル氏は、CTOのRoey Chasman(ロイ・チャスマン)氏とともにLawmaticsを創業した。シュピーゲル氏によると、

法律事務所とクライアントとの関係は、第1にインテーク(クライアントが法律事務所を雇うかどうかを決めるとき)、第2に活動中の法的事件、そして第3に事件が解決した後といった3つのフェーズに分けることができるという。ほとんどの法律ソフトは第2段階に対応するように設計されているため、Lawmaticsは第1段と第3フェーズにフォーカスしているという。

プラットフォームには、初期のクライアントの採用過程を管理するCRMシステムだけでなく、シュピーゲル氏はマーケティングの「ブロックと追跡」(クライアントの固定客化と長期アフターケア)と呼ばれるものの多くを自動化するツールが含まれている。マイナーなタスクのように聞こえるかもしれないが、彼らのビジネスの多くは紹介から始まるため、それらの関係を「育てる」ことが法律事務所にとって重要だとシュピーゲル氏はいう。

さらにシュピーゲル氏によると、Lawmaticsのアーリーアダプターはよくある一般消費者向け法律事務所であり、Google(グーグル)で「人身事故」や「倒産」、「遺産相続」などのワードで検索すると出てくるタイプだという。パンデミックは同社の成長を加速させた。「弁護士は現在、自宅にいて彼らのビジネスはバーチャルになっており、より多くのツールを必要としている」ためだ。

シュピーゲル氏は過去にも弁護士へのテクロノジー販売で成功しており、2012年には実務管理ソフトのスタートアップMyCaseはAppFolioに買収されている(AppFolioリリース)。また、AppFolioは最近、MyCaseを複数のファンドに1億9300万ドル(約203億4000万円)で売却している(GlobeNewswireリリース)。同氏によると両社の成長戦略は「ほとんど同じ」であり、プロダクトは異なるが、「実際には同じセグメントであり、同じ戦略をとっており市場への進出戦略が追加されているだけだ」という。

シードラウンドをリードしたのはEniac VenturesとForefront Venture Partnersで、Revel VenturesとBridge Venture Partnersが参加した。

EniacのTim Young(ティム・ヤング)氏は 「10年間の投資の中でこれほど情熱的で決意があり、業界に革命を起こすことができるチームを目の当たりにしたことはない。Lawmaticsは法律市場が見てきた中で、最高のソフトウェア製品を生み出しただけでなく、ムーブメントを起こしたのです」と声明で述べている。

関連記事:AIによる契約レビューで取引を加速させるThoughtRiverが10.6億円を調達

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Lawmatics資金調達

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ビジュアルデータを管理、アノテートに特化したAIデータ管理プラットフォームのDataloopが約11.55億円を調達

データセットのアノテートなど企業のAIプロジェクトに使われるデータのライフサイクル全般の管理を専門とするテルアビブのスタートアップ、Dataloopが米国時間10月14日、これまでの合計で1600万ドル(約16億8500万円)を調達したことを発表した。これは未発表だったシードラウンドの500万ドル(約5億3000万円)と、最近完了したシリーズAの1100万ドル(約11億5500万円)の合計だ。

シリーズAを主導したのはAmiti Venturesで、ほかにF2 Venture Capital、クラウドファンディングプラットフォームのOurCrowdNextLeap VenturesSeedIL Venturesが参加した。

DetaloopのCEOであるEran Shlomo(エラン・シュロモ)氏は「データのラベリングが制限されていることやリアルタイムで検証するには人間がシステムに入力する必要があることから、多くの組織がAIと機械学習のプロジェクトを最終版に移行するのに苦戦しています。今回の資金で我々はパートナーとともにこうした障壁を取り除き、グローバル市場でAI業界を変えイノベーションのための需要増に対応できる次世代のデータ管理ツールを提供することに努めます」と述べた。

基本的にDataloopは企業のビジュアルデータを管理しアノテートすることに特化している。どのような業界が顧客になるかはまだ定かではないが、ロボティクスやドローンから小売業、自動運転まで、あらゆる業界が対象になると考えられる。

プラットフォーム自体は「人間参加型」モデルを中心としている。これは自動化されたシステムを補完するモデルで、必要に応じて人間がモデルをトレーニングし修正できる。ホストされているアノテーションプラットフォームを開発者向けのPython SDKやREST APIと組み合わせ、データフローを自動化するKubernetesクラスタ上で動作するサーバーレスのFunctions-as-a-Service環境もある。

Dataloopは2017年に創業した。同社は新たに調達した資金で、イスラエルのスタートアップでよく見られるように欧米市場での成長を目指す。またエンジニアリングチームの強化も図る。

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Dataloop資金調達イスラエル機械学習

画像クレジット:Dataloop

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(翻訳:Kaori Koyama)