ウォルマート提携のロボット企業SymboticがソフトバンクSPAC経由で株式公開へ

Walmart(ウォルマート)は、Amazon(アマゾン)のオンライン支配に対抗するためにあらゆる優位性を追求し、ロボティクス分野で浮き沈みを繰り返してきた。巨大な小売企業のWalmartは2021年7月、マサチューセッツ州を拠点とするオートメーション企業Symbotic(シンボティック)と契約を結び、同社との関係をさらに強化した。この新しい契約は、2017年に初めて試験的に実施された、Walmartの25の地域配送センターにロボットを導入するという提携を拡大した。

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完成までには「数年」を要する予定のこの提携は、Albertsons(アルバートソンズ)やC&S Wholesale Grocers(C&Sホールセールグローサーズ)とのパートナーシップに続くものだ。Symboticによると、現在導入しているのは「16州とカナダの8つの州の1400超の店舗」で、これはおそらく配送センターの影響を直接受ける場所を指している。同社の自律型ロボットシステムは、既存の倉庫構造を増強する。当然のことながら、同社は現在も続くサプライチェーンの問題に影響を与える方法にも積極的に取り組んでいる。

同社は米国時間12月13日、SoftBank Investment Advisers(ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズ)のSVF Investment Corp.3との合併により、SPAC経由で株式公開する計画を発表した。この取引により、Symboticのプロフォーマの株式価値は約55億ドル(約6250億円)となり、ソフトバンクからの2億ドル(約230億円)を含む7億2500万ドル(約820億円)の総資金を調達することができる。また、ソフトバンクにとっては、ロボットへの投資が非常に実り多い年として2021年を締めくくるものになる。

CEOのRick Cohen(リック・コーエン)氏は、リリースの中で次のように述べている。「ソフトバンクは、最先端の人工知能やロボティクスのイノベーターに投資してきたすばらしい経験を持っています。彼らとの提携は、当社の可能性を最大限に実現するための新たな洞察力、関係性、資本を提供してくれるでしょう。ソフトバンクとともに、Symboticがサプライチェーンの近代化において強力かつ長期的な力を発揮し、すべての人に利益をもたらすことを確信しています」。

想定どおり2022年上半期に取引が完了すれば、Walmartはロボット・AI企業の9%を所有することになる。Amazon Robotics(アマゾン・ロボティクス)の基盤となったKiva Systems(キヴァ・システムズ)のような企業の全面的な買収とまではいかないが、ロボットを使ったフルフィルメントセンターへの取り組みは将来に向けて不可欠なステップだとWalmartが判断したことは明らかだ。

画像クレジット:Symbotic

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

ソフトバンクは今年インドに約3420億円投資、2022年には最大1.1兆円の可能性

ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズのCEOであるRajeev Misra(ラジーヴ・ミスラ)氏は、ソフトバンクグループが2021年にインド企業に30億ドル(約3420億円)を投資しており「適切な企業」を「適切な評価額」で見つければ、2022年には同国に50億〜100億ドル(約5700億〜1兆1400億円)を投資できると述べた。世界第2位のインターネット市場であるインドに対するトップの投資会社の強気な姿勢を示す最新例だ。

「適切な企業を見つければ、2022年に50億〜100億ドルを投資するかもしれません」とミスラ氏は11月11日のバーチャル会議で述べ、ソフトバンクが「適切な評価額で」そのような機会を模索する、とも付け加えた。

ミスラ氏は、同社が中国への投資のペースを落としているとしながらも、アジア経済が世界のAIの主要な中心地であることから、今後も中国にとどまり続けると述べた。

世界第2位の人口を抱えるインドでは、多くのグローバル投資家が初期の勝者を探して過去10年間に数百億ドル(数兆円)を投資してきた。Tiger Global、ソフトバンク、Falcon Edge Capital、Sequoia Capital Indiaが積極的に案件を発掘し、過去最高の評価額で企業を支援したことで、2021年のディールフローは大幅に増加した。

特にTiger Globalは、2021年インドでスタートアップ20数社を支援し、その多くはまだ事業の初期段階にある。2021年初めにTiger Globalは株主に対し、新しいファンドではインドを最重要視すると述べたと報じられている。

ここ数年、ソフトバンクはインドに注力してきた。ミスラ氏は、かつては投資を正当化することが困難だったインドにおいて「驚くべき好転」があったと述べた。

ソフトバンクは、インドの重要なレイルロードを建設するために、多くの若いインドのスタートアップの形成をサポートした。その投資先には、決済サービスのPaytmや格安ホテルチェーンのOyoなどがあり、いずれも新規株式公開を申請した

また、2018年にWalmartに過半数の株式を売却したFlipkartの支援者にもなった。ソフトバンクはその後、Flipkartにさらに資本を投入している。同じくソフトバンクが支援している配車サービス大手Olaも、2022年には公開市場を開拓する予定だ。「テック系のIPOには多くの需要が埋もれています」とミスラ氏は話した。

2021年、インドで過去最多の30億ドルを投入したソフトバンクは引き続き、多くのスタートアップへの投資を検討している。

ミスラ氏は、ソフトバンクがインドでフォーカスしている主要なテーマの1つとしてフィンテックを挙げた。同氏は、ブルームバーグが開催したバーチャル会議で、インドが5兆ドル(約570兆円)規模の経済大国になるという目標を達成するためには、金融分野でイノベーションを起こすことが重要だと述べた。

画像クレジット:Drew Angerer / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

ソフトバンクグループが中南米で投資を拡大、約3290億円のファンド第2弾を発表

ソフトバンクグループは中南米への投資を拡大する。

日本の投資コングロマリットであるソフトバンクグループは9月14日、中南米のテック企業に照準を当てた2つめのプライベート投資ファンドSoftBank Latin America Fund II(ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドII)を発表した。さしあたり30億ドル(約3290億円)のファンドを新たに立ち上げる。

「ファンドIIは追加の資金調達も検討します」と同社は声明で述べている。

新たなファンドは、2019年3月に発表された50億ドル(約5480億円)のラテンアメリカ・ファンドに続くものだ。この第1号ファンドの初期規模は20億ドル(約2190億円)で、当初はInnovation Fund(イノベーション・ファンド)と呼ばれていた。

ソフトバンクによると、第1号ファンドでは6月30日時点で69億ドル(約7565億円)の価値がある計48の企業に35億ドル(約3840億円)を投資し、正味IRR(内部収益率)は85%となった。同社はこのファンドからユニコーン企業15社に投資した。ここには不動産テックスタートアップのQuintoAndarRappiMercado BitcoinGympassMadeiraMadeiraなどが含まれる。直近ではアルゼンチンの個人ファイナンス管理アプリUaláの3億5000万ドル(約380億円)のシリーズDを共同でリードした。

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ソフトバンクはまた、ポートフォリオ企業の「かなりの価値の上昇」に接したとも語る。例えばKavakとVTEXの価値は4.4倍に、QuintoAndarは2.6倍に、Banco Interは3.5倍になった(いずれも6月30日時点)。

ソフトバンクはブラジル、メキシコ、チリ、コロンビア、アルゼンチン、エクアドルなど中南米全域の企業に投資してきた。

ソフトバンクグループの副社長執行役員でCOOのMarcelo Claure(マルセロ・クラウレ)氏がソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドを率い、マネージングパートナーのShu Nyatta(シュー・ニアッタ)氏とPaulo Passoni(パウロ・パッソーニ)氏が同地域の投資チームをまとめている。オペレーティング・パートナーでソフトバンク・ブラジルのトップ、Alex Szapiro(アレックス・シャピロ)氏がファンドの運用チームを率いる。

投資と運用のチームは計60人を超え、マイアミ、サンパウロ、メキシコシティに散らばっている。

ファンドIIはテクノロジーを活用している同地域のあらゆる産業の企業に投資する。シードから公開までさまざまなステージの企業を対象とし、中でもeコマース、デジタル金融サービス、ヘルスケア、教育、ブロックチェーン、法人ソフトウェアなどの分野にフォーカスする。

声明文の中でソフトバンクの代表取締役会長兼CEOの孫正義氏は、中南米を「世界で最も重要な経済地域の1つ」と表現した。

「ソフトバンクは、中南米の何億もの人々の益となるテクノロジーの浸透を引き続き推進します」と孫氏は述べた。「中南米ではかなりのイノベーションとディスラプションが起こっており、中南米におけるビジネスの機運はこれまでになく高まっていると確信しています。中南米は当社の戦略で重要な部分を占めます。だからこそプレゼンスを広げ、マルセロの指揮のもとに投資規模を拡大します」。

クラウレ氏は、ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドの成功とリターンが同社の予想を「はるかに超えた」と述べた。今後の展望として、2022年は中南米の歴史の中で「最大のIPOイヤー」になる、と同氏は予想している。

TechCrunchは2021年初め、なぜグローバルの投資家が中南米に押し寄せているのかについて取り上げた。当時、ニアッタ氏は中南米のテクノロジーはどちらかというとディスラプションではなくインクルージョンだと筆者に語った。

「人口の大多数は消費のほぼ全部門で十分なサービスを受けられていません。同様に、ほとんどの企業が現代のソフトウェアソリューションのサービスを十分に提供されていません」とニアッタ氏は説明した。「多くの人、企業のために構築する余地がかなりあります。サンフランシスコではベンチャーエコシステムはすでに未来に住んでいる個人や企業のためにほんの少し暮らしを良いものにします。中南米では、テック起業家はあらゆる人の未来を構築しているのです」。

画像クレジット:abzee / Getty Images

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

ステルス状態が続く元Appleのデザイナーとエンジニアが共同設立したHumaneが約110億円調達

元Apple(アップル)のシニアデザイナーとシニアソフトウェアエンジニアが共同で創業し、静かに活動するスタートアップが、事業拡大に向け多額の資金を調達した。1億ドル(約110億円)を調達したHumane(ヒューマン)は「デザインとエンジニアリングの真のコラボレーション」によって「人間とコンピューティングの間の次のシフト」を象徴するような、新しいクラスの消費者向けデバイスやテクノロジーの開発を目指している。

今回の調達はシリーズBで、非常に著名な資金提供者が揃った。Tiger Global Managementがこのラウンドをリードし、ソフトバンクグループ、BOND、Forerunner Ventures、Qualcomm Venturesも参加した。シリーズBには、他にもSam Altman(サム・アルトマン)氏、Lachy Groom(ラッチー・グルーム)氏、Kindred Ventures、Marc Benioff(マーク・ベニオフ)氏のTIME Ventures、Valia Ventures、NEXT VENTŪRES、Plexo Capital、法律事務所のWilson Sonsini Goodrich & Rosatiなどが出資した。

Humaneは2017年の創業だが、シリーズAをクローズしたのは2020年のことだ。PitchBookによると、2020年9月に1億5000万ドル(約165億円)のバリュエーションで3000万ドル(約33億円)を調達した。それ以前には合計1200万ドル(約13億2000万円)弱を調達している。今回のラウンドの投資家の多くは、そうした初期の資金調達においてもHumaneに投資していた。

筆者が同社に確認したところ、今回のシリーズBでのバリュエーションは未公表だ。

Humaneはまだ何の製品もリリースしておらず、何に取り組んでいるのかについても多くを語っていない。また、一般的にハードウェアには固有の課題が多く、それゆえリスクの高い賭けと見なされることが多いことを考えると(昔から「ハードウェアは難しい」と言われている)、まだステルス状態にあるHumaneがなぜそれほどまでに投資家を集められたのか、不思議に思うかもしれない。

その理由の1つは、共同創業者であるImran Chaudhri(イムラン・チャウドリ)氏とBethany Bongiorno(ベサニー・ボンジョルノ)氏の夫妻が、それぞれアイコン的存在であることによる。HumaneのCEOであるボンジョルノ氏は、Appleでソフトウェア・エンジニアリング・ディレクターを務めていた。会長兼社長であるチャウドリ氏は、Appleの元デザインディレクターでiPhone、iPad、Macなど、Appleの最も重要な製品に20年間携わった。2人とも、当時の経験を生かして数十件の特許を取得しており、その後もいくつかの特許を取得した。

そうした最新の特許と、Humaneのサイトに掲載されている非常に広範な求人情報が、2人と彼らのスタートアップが何を作ろうとしているのかを知る最も近い手がかりとなるかもしれない。

特許の1つは「レーザー投影システムを備えたウェアラブル・マルチメディアデバイスおよびクラウドコンピューティングプラットフォーム」、もう1つは「不妊症およびホルモンサイクルを知るのに役立つシステムおよび装置」に関するものだ。

一方、同社では現在、カメラやコンピュータビジョンの経験を持つエンジニア、ハードウェアエンジニア、デザイナー、セキュリティの専門家など、約50件の求人情報を掲載している。また、同社にはすでに約60人のすばらしいチームが存在し、これも投資家をひきつけている点の1つだ。

「Humaneで働いている個々人の能力は信じられないほどすばらしいものです」とTiger GlobalのパートナーであるChase Coleman(チェイス・コールマン)氏は声明で述べた。「彼らは、世界中の何十億もの人々のために革新的な製品を作り、出荷してきた人々です。彼らが開発しているものは、今後のコンピューティングの標準となる可能性を秘めた画期的なものです」。

筆者は、この会社の製品ロードマップや会社の背景にある理念、そして潜在的な顧客が誰なのか、それは製品を設計する他の企業なのか、あるいは直接的にエンドユーザーなのか、などの詳細を尋ねた。

今のところ、ボンジョルノ氏とチャウドリ氏は、次のイノベーションの波の中でテクノロジーがどのような役割を果たすのかを再考することが、このビジネスを始めた動機の一部だと示唆した。これは多くの人が思いつく問いだが、その答えを見つけるために実際に投資しようとする人は多くない。それだけでも、Humaneが次に何をするのかに注目する価値がある(Humaneがそうさせてくれればの話だ。今はまだステルス状態だ)。

「Humaneは、デザインとエンジニアリングの真のコラボレーションによって、人々が真の意味で革新を起こすことができる場所です」と共同創業者らは共同声明で述べた。「我々は、人々の利益のために製品を作り、人を第一に考えたテクノロジー、つまり今日の常識を超えた、よりパーソナルなテクノロジーを作り上げるエクスペリエンスカンパニーです。我々はみんな、何か新しいもの、我々が生きてきた情報化時代を超越する何かを待っています。Humaneでは、情報時代と呼ぶもののためのデバイスとプラットフォームを開発しています。信頼、真実、喜びという我々の価値観に基づいて、これまでとは異なるタイプの企業を築くことを約束します。パートナーのみなさんのご支援のもと、コンピューターとの付き合い方に革命を起こすという我々が持つ情熱を共有しているだけでなく、どのように構築するかについて情熱を持つ人材を集め、チームの規模を拡大していきたいと考えています」。

【更新】記事公開後、Humaneの計画についてもう少し説明を受けた。同社の目的は「人間の経験を向上させ、善意から生まれるテクノロジー、自分自身、お互い、そして周りの世界とのつながりを取り戻す製品、そして魔法のように感じられ、喜びをもたらすインタラクションをともなう、信頼に基づいた経験」を開発することだ。これだけでは十分ではないが、一般的には、今日のサイクルから離れ、もっと心をこめて考えようとするアプローチだ。テクノロジーを全面的に否定するのではなく、むしろ構築しながらそれが実行できれば、何かが見えてくるかもしれない。

画像クレジット:peepo / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

ソフトバンクGも出資するインドのオンライン保険アグリゲーターPolicybazaarがIPOを申請

インドのオンライン保険アグリゲーターであるPolicyBazaar(ポリシーバザール)は、8億900万ドル(約880億円)の資金調達を目指す新規株式公開を申請し、インド市場でこの2カ月の間に公開市場を開拓した4番目のスタートアップ企業となった。

PolicyBazaarは、インドの市場規制当局に提出した書類の中で、5億400万ドル(約550億円)を新株発行によって調達し、残りは既存の投資家による株式の売却によって調達したいと述べている。

SoftBank Group(ソフトバンクグループ)、Falcon Edge Capital(ファルコン・エッジ・キャピタル)、Tiger Global(タイガー・グローバル)、InfoEdge(インフォエッジ)から支援を受ける創業12年目のスタートアップは、IPO前のラウンドで約約1億ドル(約110億円)の調達を検討する可能性があるという。ソフトバンクは2億5000万ドル(約275億円)分の価値の株式を売却する予定で、PolicyBazaarの創業者たちは5270万ドル(約57億4000万円分)の価値の株式の売却を検討していると、書類には書かれている。

PolicyBazaarは、生命保険、健康保険、旅行保険、自動車保険、不動産保険などの保険契約を、従来の代理店を通さずにウェブサイト上で比較・購入できるアグリゲーターとしてサービスを提供している。同社はインドの他中東で事業を展開している。

画像クレジット:PolicyBazaar

インドでは現在、13億人の中で保険に加入している人はごく一部にすぎないものの、このようなサービスを大衆に提供するためには、デジタル企業が重要な役割を果たすとアナリストたちは分析している。格付け会社のICRAによると、2017年の時点で保険商品が行き渡っているのは、インドの人口の3%にも満たないという。

World Bank(世界銀行)によると、平均的なインド人の年収は約2100ドル(約23万円)。2017年に保険商品を購入したことのあるインド人が支払った金額は、平均50ドル(約5500円)に満たないと、ICRAは推定している。

「インドの生命保険市場は、良好なマクロ指標、金融商品やサービスに対する意識の高まり、商品やプロセスのデジタル化と簡素化、オンライン販売網、商品のイノベーションとカスタマイズ、政府の政策や規制による後押しが原動力となり、年率18.8%で成長し、2030年度には31.9兆ルピー(約46兆8000億円)に達すると予想される」と、PolicyBazaarはこの書類の中で述べている。

Bernstein(バーンスタイン)のアナリストは、2021年初めのレポートで、PolicyBazaarはインドのオンライン保険販売市場で90%のシェアを占めていると推定している。このプラットフォームは、インドではAcko(アコ)やAmazon(アマゾン)と競合しており、ローンやクレジットカード、投資信託も取り扱っている。同社によると、毎月100万件以上の保険を販売しているという。

「インドは保険市場が浸透していません。その中で、Policybazaarのようなウェブ・アグリゲーターを通したデジタル販売は、業界の1%未満です。これは大きな成長の余地があるということです」と、Bernsteinのアナリストは顧客に向けて書いている。

7月に上場して見事な成果を収めたZomato(ゾマト)をはじめ、フィンテック企業のPaytm(ペイティーエム)やMobiKwik(モビクイック)も、ここ数週間以内に株式公開を申請している。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:インド新規上場PolicyBazaar保険ソフトバンクグループ

画像クレジット:Arijit Sen / Hindustan Times / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

入門ロボット「mBot」でプログラミングが学べる小中学生向け「mBotスタートガイドセット」が発売

入門ロボット「mBot」でプログラミングが学べる小中学生向け「mBotスタートガイドセット」が発売

SB C&S(旧ソフトバンク コマース&サービス)は7月12日、小学校中学校でのプログラミング教育およびSTEM教育用のMakeblock製入門ロボット「mBot」(エムボット)に、SB C&Sオリジナルのスタートガイドをセットにした「mBotスタートガイドセット」の発売を開始した。SoftBank SELECTION オンラインショップとAmazonで購入できる。SoftBank SELECTION オンラインショップでの直販価格は1万6500円(税込)。

同製品は、プログラミング学習用ロボット「mBot」(mBot V1.1-Blue Bluetooth Version)に、SB C&Sが制作した学習教材「楽しいプログラミング! mBotスタートガイド」をセットにして、プログラミングの基本からセンサーなどを使った応用的なプログラミングまで8つのレッスンが学べるというもの。また、モーターが回る仕組み、摩擦、色と光の関係など、プログラミング以外の物理的な要素も同時に学べる。

mBotは、STEM教育用機器の開発販売を行う中国深圳のスタートアップMakeblockの製品。簡単に組み立てられて、障害物回避やライントレースといったあらかじめ設定されている機能を使ってすぐに遊べる。Scratchベースの「mBlock」(エムブロック)という専用のビジュアルプログラミングソフトウェアでプログラミングでき、豊富な拡張パーツで世界を広げることもできる。

「mBotスタートガイド」で学べるレッスンは次の8つ。

  • 円を描こう(順次処理1):モーターの仕組みとプログラムの基本である順次処理を学び、mBotでいろいろな大きさの円を描くプログラミングに挑戦
  • 8を目指そう(順次処理2):摩擦について学び、mBotが8の字を描くプログラムに挑戦
  • 光と音のワンダーランド(LEDとブザー):繰り返し処理や色と光の関係、音が伝わる仕組みについて学び、パレードを行うプログラミングに挑戦
  • メッセージを伝えよう(メッセージ機能1):メッセージの機能について学び、メッセージを使って画面上のキャラクターを動かすプログラミングに挑戦
  • コントローラーで動かそう(メッセージ機能2):メッセージ機能を使い、mBotを自由に動かすコントローラーのプログラミングに挑戦
  • 目指せ! 自動運転車!(超音波センサー):音の周波数や超音波と超音波センサーの仕組みについて学び、mBotが壁にぶつからずに動き続けるプログラミングに挑戦
  • おやすみmBot(光センサー):光センサーの仕組みについて学び、明るさによって違う動きをするプログラミングに挑戦
  • 部屋の中のmBot(ライントレースセンサー):ライントレースセンサーの仕組みについて学び、黒い線の上に来たら、違う動きをするプログラミングに挑戦

「mBotスタートガイドセット」には、mBotスタートガイド、mBot組み立て用パーツ、ライントレースシート、組み立て用ドライバー、リモコン、USBケーブル、取り扱い説明書が含まれる。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:教育 / EdTech / エドテック(用語)ScratchSTEM教育(用語)ソフトバンクグループ / Softbank Group(企業)プログラミング(用語)Makeblock(企業)日本(国・地域)

SoftBankが米国のヒスパニック系移民向けサービスに大型投資

ロサンゼルスを拠点とするスタートアップWelcome Techは移民コミュニティを対象とした大規模なデジタル・プラットフォームを構築中だ。このほどTTV Capital、Owl Ventures、SoftBank Groupが立ち上げた1億ドル(約107億9000万円)のSB OpportunityFundが共同でリードしたシリーズBのラウンドで3500万ドル(約37億8000万円)の資金を調調達した。

Crosscut Ventures、Mubadala Capital、Next Play Capital、Owl Capitalもラウンドに参加しており、2010年のWekcome Techの創立以来の調達総額は総額は5000万ドル(約53億9000万円)に達した。同社はテキサス州サンアントニオにもオフィスがあるが、2020年3月に800万ドル(約8億6000万円)のシリーズAラウンドを実施している。

移民によって、移民のために作られたWelcome Techは、その名が示すとおり、米国への移民を歓迎し社会に慣れることを助け、大きな成功を収めるために役立つプラットフォームとなることを目的としている。

こうしたサービスでは金融商品をリリースして移民の便宜を図り、その結果移民コミュニティの信頼を得ようとすることが多い。しかしWelcomeのアプローチは逆で、地域社会のニーズを理解するために全力を上げ、まずコミュニティの信頼を得ようと努力するという点で異なっている。

具体的には、Welcomeは設立後1年間「新しい国で成功するために必要な情報、サービス、教育リソース」を提供するプラットフォームの構築に注力してきた。当初の対象は米国におけるヒスパニック系コミュニティだった。

このプラットフォームはSABER es PODER(スペイン語で「知は力なり」)と名づけられた。目的はヒスパニック系コミュニティのメンバーに「広く認知されて信頼される」リソースとなることだった。

Welcome Techは、その後蓄積した知識、データを元に、半年前にバイリンガルで利用できるモバイルアプリとデビットカードを含む銀行サービスを開始した。さらに2021年1月には病院や歯科医院などのリソースを割引価格で利用できる月額制のサービスを開始している。

TTVキャピタルの共同ファウンダーでパートナーのGardiner Garrard(ガーディナー・ガラード)氏はヒスパニック市場は、人口6280万人という米国最大のマイノリティコミュニティだと指摘し、次のように述べた。

しかしヒスパニック系世帯の半数は銀行サービスをフルに利用できていません。口座を開設することができないためクレジカードやデビットカードなどのサービスを利用できない世帯が多数あるのです。これほど大きなコミュニティにサービスを提供していないのは記録的な失敗です。Welcome Techはこの問題に正面から取り組んでいます。

Welcomeの共同ファウンダーでCEOのAmir Hemmat(アミール・ヘマット)によれば、同社のプラットフォームには現在300万人弱のアクティブユーザーを持っているという最終的な目標は「デジタル・エリス島 」だという。ニューヨークの自由の女神の近くの小島、エリス島には移民局が置かれていたことがあり、米国社会において移民歓迎の象徴となっている。

ヘマット氏はTechCrunchの取材に対し「移民の成功を運任せにするやり方はバカげています。企業が魅力的な人材を確保しようとあらゆる努力を払っていることを考えてみましょう。国の場合はほとんど逆のことをしています」と語った。

画像クレジット:Welcome Tech

特に、ヘマット氏と共同ファンダーのRaul Lomeli-Azoubel(ラウル・ロメリ・アズベル)氏は移民の成功には金融サービスへのアクセスが不可欠だと以前から認識していた。

「我々は最終的な目的は移民のためのより良い未来とより幅広いプラットフォームの構築ですが、そのための基盤、第1歩は間違いなく金融サービスの提供です」とヘマット氏は述べた。

Welcomeはヒスパニック系コミュニティのために英語・スペイン語バイリンガルの無料の銀行口座を提供する。この口座は「コミュニティのニーズに合わせて高度にカスタマイズ」されているという。

最近、TomoCreditGreenwoodなど、ヒスパニック系コミュニティを対象とした新しいデジタル・バンキングが数多く登場している。Welcomeは、さらに広範囲なプラットフォームを提供することでライバルとの差別化をを図っている。月額10ドルのサービスをサブスクリプションすれば、医療の割引やテレビの無料のテレビチャンネルのなどのサービスを受けることができる。へマット氏はこう述べた。

この点を検討した結果、移民に対してはデータをコンピュータで処理した「お勧め」が十分提供されていないことがわかりました。多くの移民は試行錯誤や口コミに頼っており、こうした情報源は場合によっては詐欺的であったりするのです。移民が置かれているこうした厳しい状況を改善するには、これまでばらばらだった人々をプラットフォームに集約することが必要です。これがさまざまなカテゴリーの消費者により良いサービスや製品、有利な価格、優れた体験などを提供するための大きな一歩となると考えています。

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今回の大型ラウンドで得た資金は、こうした目的を実現するためにより多くのパートナーの確保すると同時にWelcomeの認知度を高めるために用いられるという。

SoftBankのOpportunity Fundで投資ディレクター、グロースステージ投資責任者を務めるGosia Karas(ゴシャ・カラス)氏は、TechCrunchの取材に対し「米国では、移民人口が急増しているにもかかわらず、十分にサービスは提供されていません。このギャップにより、新たな参入者が金融サービスを提供する絶好のチャンスが生まれています」と述べた。

SoftBankはターゲットとなる市場を真に理解し着実にデータを収集するWelcomeのアプローチにに特に魅力を感じたといいう。カラス氏はこう述べた。

フィンテックサービスの分野に飛び込む前にWelcomeのファウンダーたちは十分に準備を重ね、経験を積んでいました。何年もかけて、移民というオーディエンスに対する理解を深め、コミュニティにおける信頼関係を構築してきました。これによりターゲットを絞りこみ、そのニーズに適合したコンテンツの構築ができました。これはがバイリンガルの銀行アプリ、デビットカードなどのサービスを展開するための優れたバックボーンとなっているのです。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Welcome Tech移民SoftBank Group資金調達アメリカ

画像クレジット:Nattanitphoto / Shutterstock

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:滑川海彦@Facebook

バナジウムイオン電池開発の韓国Standard Energyがソフトバンクから約9.7億円調達

バナジウムイオン電池を開発しているStandard Energyは、SoftBank Ventures Asia(ソフトバンク ・ベンチャー・アジア、SBVA)の出資により890万ドル(約9億7000万円)のシリーズCを調達したと発表した。韓国を拠点とする同社は、リチウムイオン電池と比較して発火の危険性が少ないことや、バナジウムの調達が容易であることなどを利点として挙げている。特に後者は、電気自動車メーカーがリチウムイオン電池の不足に直面していることから、重要なセールスポイントとなる。

しかし、Standard EnergyのCEOであるBu Gi Kim(キム・ブギ)氏は「リチウムイオン電池の代替ではなく、お互いに補完し合う関係にある」と述べている。バナジウムイオン電池は、高エネルギー、高性能、安全性を備えているが、リチウムイオン電池ほどコンパクトではない。

リチウムイオン電池はEVやスマートフォンなどのコンシューマデバイスのような、移動が必要なハードウエアには今後も使用されるだろうが、バナジウムイオン電池は、風力・太陽光発電所やEVの超高速充電ステーションなど「定置型」の顧客に適している(キム氏によると、Standard Energyは近々、ソウルの超高速充電ステーションに同社の電池を出荷する予定だという)。

韓国科学技術院(Korea Advanced Institute of Science and Technology、KAIST)とマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者たちによって2013年に設立されたStandard Energyは、これまでに総額2250万ドル(約24億5000万円)を調達している。同社の主な潜在顧客の1つはエネルギー貯蔵システム(ESS)分野で、同社によるとESSS市場は、今後5年間で現在の80億ドル(約8714億円)から350億ドル(約3兆8123億円)への成長が見込まれているという。

「リチウムイオンの不安定な電池性能のために、多くの再生可能エネルギープロジェクトが各地でスローダウン、あるいは中断されています。VIB(バナジウムイオン電池)は、リチウムイオンのようにコンパクトにすることはできません。しかし、再生可能エネルギー発電所を含むESSプロジェクトやソリューションでは、当社の製品をシステムに組み込むスペースが十分にあります」とキム氏はいう。

Standard Energyは実験室、認証された電池性能試験場、実際の運用を含めて、すでに合計100万時間以上の電池試験を行っている。キム氏は、この性能データによりバナジウムイオン電池の採用を検討する顧客を説得できる、と同社は確信していると述べた。

SoftBank Ventures AsiaのシニアパートナーであるDaniel Kang(ダニエル・カン)氏は、プレスリリースの中でこう述べた。「既存のESS市場は、急速に拡大する需要と、製品の安全性や効率性の問題により、インバランス状態にありました。Standard Energyは、革新的な素材と大規模な製造能力をともなう設計技術により、世界のESS市場に新たな基準をもたらすと期待されています」。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Standard Energyバナジウムイオン電池バッテリー韓国ソフトバンクグループ資金調達再生可能エネルギー

画像クレジット:Standard Energy

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(文:Catherine Shu、翻訳:Aya Nakazato)

新型コロナ需要で好調の在宅フィットネスTempoがソフトバンクなどから240億円調達

2020年、パンデミックによって人々が家に閉じこもることを余儀なくされたとき、ジム通いをしていた多くの人が有酸素運動と筋力アップのトレーニングの欠如を埋めようと在宅フィットネスメーカーに目を向けた。

そうした需要に対応しようと、Moawia Eldeeb(モアーウィア・エルディーブ)氏とJosh Augustin(ジョッシュ・オーガスティン)氏が5年前に創業したフィットネススタートアップTempo(テンポ)はソフトバンクがリードした2億2000万ドル(約240億円)のシリーズCラウンドをクローズした。Tempoは調達した資金でサプライチェーンを補強し、増大する消費者の需要に対応し、またR&Dやコンテンツなどの取り組みも促進する。同ラウンドにはBling Capital、DCM、General Catalyst、Norwest Venture Partners、Steadfast Capital Venturesなどが参加した。

Tempoが2020年2月に発売した自立型キャビネットには42インチのタッチスクリーンがある。絶えずスキャンし、運動するユーザーを追跡してコーチする3Dモーショントラッキングカメラを備える。

同社は現在3種のハードウェアパッケージを販売している。価格は2495ドル(約27万円)からで、バーベルやダンベル、折り畳み式ベンチ、ケトルベルシステム、スクワットラック、運動マット、リカバリー用フォームローラー、心拍モニターなどのアクセサリーから選べる。ユーザーはまた、オンデマンドとライブのクラスに参加するのに月額39ドル(約4250円)のサブスク料金を払う。

  1. Tempo1

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Tempoのコンセプトは、エルディーブ氏とオーガスティン氏がSmartSpotを開発した2015年に生まれた。SmartSpotは、トレーニング中にトレーナーがクライアントのフォームを分析して改善するのをサポートする、ジムに販売していたコンピュータービジョンの拡張スマートスクリーンだ。SmartSpotが生成・収集したデータの山を活用して、エルディーブ氏とオーガスティン氏はフィットネスユーザーの最も共通する動きのエラーを特定し、各ユーザーにユニークなレコメンデーションを提供するのに機械学習を使ったプログラムを開発した。このプログラムがTempoの基礎の一部となった。

「私はかつてパーソナルトレーナーだったのですが、1時間あたり150ドル(約1万6000円)の料金だったと覚えています」とエルディーブ氏は説明する。「より良いエクスペリエンスを作り、多くの人にかなり安価で提供したいのです。つまり、それを可能にするコアなテクノロジーに引き続き投資することを意味します」。

Tempoのサービス開始はかなり良いタイミングだった。パンデミックで在宅フィットネスソリューションに対する需要は空前の勢いだった。2020年初めにプレオーダー受付を始めて以来、売り上げは1000%増となり、納入は現在5〜7週遅れている。納入遅れはPeloton、Tonal、Echelonといった他のホームフィットネス企業も直面している問題だ。Tempoによると、同社のユーザーはこれまでに合計500万回のトレーニングを行い、4万時間をデバイスを使ったトレーニングに費やした。

「サプライチェーンは確かに問題です」とエルディーブ氏は認め、2020年に工場が一時閉鎖したりオペレーションが削減したりしたことによる生産面での問題を指摘した。「我々が大量生産するのは初めてのことで、立ち上げる前はプロダクトを少量生産していました。しかしマーケット展開した初年に当社はすべての問題を解決しなければならず、これまでに注文を受けたかなりの量のプロダクトをいまだに出荷しています。工場の従業員に安全でいて欲しかったため、基本的に当社は販売を減らさなければなりませんでした」。

事業拡大の機会は巨大だ。グローバルマーケットは2025年までに294億ドル(約3兆2062億円)に到達すると予想されている。エルディーブ氏は新たな資金でロジスティックとサプライチェーン、従業員を増やす。そして、ヨガやボクシングクラスを2021年後半に提供するためにコンテンツを拡大する計画でもって急増する需要に対応したいと考えている。

米国ではワクチン接種が着実に進み、それにともないジムが再開する中で、人々が在宅フィットネストレーニングに今後も執着するかどうかは大きな疑問だ。元のジム通いに戻るのか、あるいは両方を組み合わせたハイブリッドモデルを受け入れるのか。エルディーブ氏は、2021年初めに発表されたThe New ConsumerのConsumer Trendsレポートを指摘し、人々が在宅トレーニングに慣れるほど、その利便性を手放さないと確信している。レポートでは、40歳以下の人の81%が自宅でのエクササイズを好むことが示された。

もしそうなら、Tempoのような企業は在宅フィットネスへのシフトの恩恵を引き続き受けることになる。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:Tempoフィットネス資金調達ソフトバンクグループ

画像クレジット:Tempo

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(文:JP Mangalindan、翻訳:Nariko Mizoguchi

全米ロボット週間の話題を振り返る、隠れたものを拾い上げる技術からSPACまで

ロボティクス週間おめでとう。とはいえ、2021年は愛する人と一緒に過ごせない人も多いはず。ということは、ロボットツリーも、ロボットエッグの入ったロボットバスケットも、緑のロボットビールもない。しかし、National Robotics Week(全米ロボット週間)組織は、4月3日から11日までの期間中、全米50州でたくさんのバーチャルイベントを開催した。

この1週間には、注目すべき財務関連のニュースもあった。米国時間4月6日火曜日にはSarcos(サーコス)がロボティクス系SPACの薄い空気に加わった。スタートアップの世界でこのような活動が盛んに行われていることは事実だが、ロボティクス企業では特別買収目的会社による合併を受け入れる動きが遅れている。すぐに思い浮かぶ会社は、Berkshire-Grey(バークシャー・グレイ)くらいだ。

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画像クレジット:Sarcos Robotics

Sarcosは、James Cameron (ジェームズ・キャメロン)監督の映画のためにデザインされたようなロボットやロボット外骨格を製造している企業だ。同社は、2020年9月に4000万ドル(約43億8000万円)を調達するなど、すでに多くの資金を調達しているが、多くの読者にとって最も注目に値するのは、同社が最近のデルタ航空によるハイテク推進の中心となっていることだろう。デルタ航空は、従業員が大きな荷物を持ち上げる作業を支援するために、同社の技術の一部を使用することを計画している。

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画像クレジット:Rapid Robotics

一方、サンフランシスコに拠点を置くRapid Robotics(ラピッド・ロボティクス)は、シリーズA投資ラウンドにおける1200万ドル(約13億1000万円)の調達を発表。大規模なシードラウンドに続く今回のシリーズAラウンドで、同社のこれまでの資金調達額は1750万ドル(約19億1000万円)となった。同社の目的は、ロボット製造のためのプラグ・アンド・プレイ・ソリューションを提供することであり、さまざまな産業分野における製造オートメーションの参入障壁を下げることにある。

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この分野に強い関心を持ち続けているSoftBank(ソフトバンク)は、AutoStore(オートストア)の株式の40%を28億ドル(約3063億円)で買収し、このノルウェーの会社の評価額は77億ドル(約8424億円)に達した。同社の技術はロボットを使って倉庫の活用を最大限に効率化し、従来の約4分の1のスペースに集約することができるとしている。AutoStoreはすでにかなりの規模で事業を展開しており、約600の施設に2万台のロボットを配備しているという。ソフトバンクの孫正義CEOは、次のように述べている。

AutoStoreは、世界中の企業のために迅速でコスト効率の高い物流を可能にする基盤技術であると、私たちは見ています。AutoStoreと協力して、エンドマーケットや地域を積極的に拡大していくことを楽しみにしています。

投資のニュースばかりになってしまうといけないので(そうすることもできるのだが、誰がそんなのを望むだろう?)、最後にMITのクールな研究をご紹介しよう。同校の研究者は、ハーバード大学やジョージア工科大学の研究者とともに、電波を使って隠れた物を感知するロボットを披露した。この「RF-Grasp」と呼ばれる技術は、覆われていたり、視界に入らないものも、目標物としてロボットが拾い上げることを可能にする。MITのFadel Adib(ファデル・アディブ)准教授は、これを「超人間的な知覚」と表現している。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:MITSarcos RoboticsRapid RoboticsソフトバンクグループAutoStoreBerkshire Grey

画像クレジット:AutoStore

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ソフトバンクによるBetter.comへの約548億円出資で住宅ローン業界の魅力が証明された

デジタル住宅ローン融資のBetter.com(ベター)は、日本の投資コングロマリットであるSoftBank(ソフトバンク)から5億ドル(約548億円)の資金調達を行い、同社の価値を60億ドル(約6571億円)とした。

この資金調達はいくつかの理由で注目されている。まず、同社の60億ドルという新たな評価額は、2020年11月にシリーズD投資ラウンドで2億ドル(約219億円)を調達した際の評価額40億ドル(約4381億円)から50%アップしていること。2019年8月のシリーズCラウンドで資金調達した当時の6億ドル(約657億円)という評価額からは10倍にもなっている。

2つ目の理由としては、伝統的に「魅力的ではない」業界で、長い間分裂を必要としてきた住宅ローンが、公式にホットであるとさらに証明されたということだ。ソフトバンクが投資すれば、間違いなく人々は注目する。

新型コロナウイルスの大流行と過去最低水準の住宅ローン金利は、誰も予想しなかった方法でオンライン住宅ローン融資の分野を加速させた。これにベンチャー投資における全体的な熱気が合わされば、Better.comがわずか数カ月の間に7億ドル(約767億円)を調達したことも大きな驚きは与えない。

今回の投資によって、2014年の創業以来、Better.comが調達した資金総額は9億ドル(約986億円)を超えた。ソフトバンク以外の支援者には、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)、Kleiner Perkins(クライナー・パーキンス)、American Express(アメリカン・エキスプレス)、Activant Capital(アクティバント・キャピタル)、Citi(シティ)などが含まれている。

The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)によると、ソフトバンクはBetterの既存の投資家から株式を購入し、同社創業者でCEOのVishal Garg(ヴィシャル・ガーグ)氏に、同社に投資する「熱心さの表れ」として、すべての議決権を与えることで合意したという。

2020年10月に開催されたバーチャルイベント「LendIt Fintech(レンディット・フィンテック)USA 2020」で筆者が行った個別インタビューの中で、ガーグ氏は「IPOは間違いなく実現する」と語っていた。

「適切な時にやるつもりです」と、彼は言った。「米国資本主義の核となる信条の1つは、ある会社の顧客がその会社の株を買えるということです」。

そして2021年2月には、Betterが米国での新規株式公開に向けて、Morgan Stanley(モルガン・スタンレー)と Bank of America Corp(バンク・オブ・アメリカ)を起用したと、Bloomberg(ブルームバーグ)が報じた。IPOの前に多額の資金を調達することは珍しいことではない。例えば、後払いや分割払いによる決済サービスを提供するフィンテック企業のAffirm(アファーム)は2020年それを行った

2020年10月にヴァーグ氏が筆者に語ったところによると、新型コロナウイルス感染流行前のBetterは月に約12億ドル(約1315億円)のローンを処理していたが、2020年10月の時点では月に25億ドル(約2739億円)以上の資金を調達し、スタッフも1500人から世界中で約4000人に増えていたという。

「新型コロナウイルス感染拡大が始まったとき、私たちの収益は月に5000万ドル(約54億8000万円)にも満たないものでした。今はその2.5倍です」と、当時ヴァーグ氏は語っていた。

その後、この数字はさらに上昇している。同社の広報担当者によると、Better.comは2021年の第1四半期だけで140億ドル(約1兆5300億円)のローンを提供し、現在は月に40億ドル(約4380億円)以上のローンを提供しているとのこと。ちなみに、同社が2020年の全期間で提供したローンの総額は、250億ドル(約2兆7400億円)だった。また、現在の従業員数は6000人で、2020年10月からさらに2000人増加しているという。

関連記事:米不動産販売が急増しIPOが迫る中、住宅ローンのBetter.comのCTOにダイアン・ユー氏が就任

カテゴリー:フィンテック
タグ:Better.comソフトバンクグループ資金調達ローン不動産

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ソフトバンク・グループがビジョン・ファンド幹部へのインセンティブを半額に

Softbank Group(ソフトバンク・グループ)は米国時間2月8日、2021年3月期第3四半期の決算を発表した。その中には運用額986億ドル(約10兆370億円)のVision Fund(ビジョン・ファンド)の業績も含まれる。最近上場したDoorDash(ドアダッシュ)が数十億ドル(数千億円)の利益をもたらしたこともあり、その数字は魅力的なものだった。これは同ファンドにとって本当の意味での最初の大ヒット投資の1つである。同社は現在18件の投資を回収しており、そのうち10件は全部エグジットし、8件は現在公開市場で取引されている。

だが、同社の決算短信を注意深く見ると、ビジョン・ファンドのリーダーシップに割り当てられていたインセンティブを50億ドル(約5256億円)から25億ドル(約2628億円)に半減させたことが記されている。

この50億ドルのインセンティブ・スキームは、2018年4月にFinancial Times(フィナンシャル・タイムズ)などの出版物が最初に報じたときに物議を醸した。このモデルでは、基本的にソフトバンクが従業員に融資してビジョン・ファンドに出資させるという仕組みで、1000億ドル(約10兆5100億円)の資金調達のクロージングを加速させるためのものだった。同社は2018年第2四半期の決算で初めてインセンティブ・スキームに関する文言を追加し、こう記している。

2018年10月19日、ソフトバンク・ビジョン・ファンドは中間クロージングを行い、追加の出資コミットメント50億米ドルを取得しました。これにより同ファンドの累計出資コミットメント総額は967億米ドル(約10兆1470億円)となります。なお、当該追加出資コミットメントは、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの運営に係るインセンティブ・スキームの導入に向けたものです。

それ以来、同社は四半期ごとの決算報告書で50億ドルという数字について一貫した表現をしてきた。しかし、今回の最新の2020年度第3四半期決算では、インセンティブは「25億米ドル(前回の50億米ドルから減額)」になったことが記されている。

ソフトバンクのインセンティブ・スキームは、業界関係者の間で大きな論点となっている。2週間前のフィナンシャル・タイムズ紙の報道によると、ソフトバンクの4人のトップ幹部であるRajeev Misra(ラジーブ・ミスラ)氏、Marcelo Claure(マルセロ・クラウレ)氏、佐護勝紀氏、宮内謙氏は、ビジョン・ファンドに出資するために6億ドル(約631億円)をまとめて貸し付けられたという。その資金の一部は50億ドル(現在は25億ドル)のインセンティブ・スキームから出たものだが、全額がこの特定のプールからのみ充当されたのかどうかは明らかではない。

ソフトバンクがビジョン・ファンドのインセンティブを引き下げたのは、同ファンドの全体的な業績の低迷と、グループに大幅な損失をもたらしたWeWork(ウィーワーク)への悲惨な投資に対応したためと思われる。ビジョン・ファンドとしては最近のパフォーマンスははるかに良くなっているが、これらのインセンティブの一部を排除することで、ファンド全体の業績が向上し、最終的にはソフトバンク・グループの収益が改善されるはずだ。

ビジョン・ファンド1は2020年の時点で新規企業への投資を停止している。第2のファンドは、すべてソフトバンク・グループ自身からの出資で100億ドル(約1兆510億円)の資本を持ち、定期的に投資を行っている。ビジョン・ファンドはまた、2020年12月の1社目に続き、先週末に新たな2つのSPAC(特別買収目的会社)の申請も行っている

関連記事:ソフトバンクがSPACをさらに2社申請

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Softbank GroupSoftbank Vision Fund決算発表

画像クレジット:Carl Court / Staff / Getty Images / Getty Images

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(文:Danny Crichton、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ソフトバンクの好調な決算報告から同社が語らないWeWork回復の内情を探る

日本のテレコムコングロマリットであるSoftbank(ソフトバンク)のジェットコースター的な決算はいつもビジネスニュースの目玉になってきた。過去数年間同社が絶好調だと説明してきたストーリーの柱の1つはWeWorkだった。しかし問題のオフィスシェアリング企業の大失敗で好調さは一瞬で吹き飛んでしまった 。

数年前にWeWorkを包んでいたホットな炎は薄れ、「Billion Dollar Loser(10億ドルの敗者)」といった本にも取り上げられたWeWorkだが、最近のソフトバンクの財務プレゼンでは、WeWorkは滅多にスポットライトを浴びなくなっている。986億ドル(約10兆3800億円)であるVision Fund最大の投資先の1つであるにもかかわらず、2020年12月の同ファンドの四半期報告でも触れられていない。投資家向けプレゼンでも同社についての言及はない(ポートフォリオ一覧のページにはWeWorkのロゴが掲載されているが他社のロゴの中に埋もれている)。

財務から会社運営まで、ありとあらゆる悪いニュースを発してきたWeWorkだが、新型コロナウイルス流行後の世界における位置は予想よりもずっと良いようだ。

米国時間2月8日のソフトバンクが出した決算報告書の脚注を注意して読めば、WeWorkに関連したいくつかの良いニュースが埋もれているのに気づくだろう。WeWork向けの各種財務数字は2020年の最初の四半期と比較して13億6000万ドル(約1430億円)も改善している。

WeWorkが陥った不安定な状況を考慮して、ソフトバンクはその財務状況健全化のために家賃やローン支払いなど義務的経費をまかなうために多額の資金を確保していた。しかしソフトバンクによれば「主にWeWorkの信用状況が改善された」ため、2021年はWeWorkへの与信リスクが大きく改善されたという。WeWorkには、9カ月前のような財務的補助輪の必要性が薄れているという。

もちろんこうした数字は新手の会計操作かもしれないが、WeWorkのパフォーマンスが改善されしつつあることは、同社が再び上場を目指すことが期待されているというこの数週間の噂を裏づけている。

先週、Wall Street Journalは「ソフトバンクがSPAC(特別買収目的会社)を介して100億ドル(1兆500億円)でWeWorkの上場を図っている」という噂を報じた。この目論見はまだ正式に発表されておらず、SottBankはさらに2社、合計3社のSPACを設立しようとしている。つまりWeWorkを自社に統合する可能性は低いだろう。

関連記事:ソフトバンクがSPACをさらに2社申請

100億ドルという時価総額は2019年9月のロードショーでWeWorkが投資家を煽っていた強気な価格をはるかに下回っているが、それでも同社が2年前の首に重しのついた失敗企業ではなくなった可能性があることを示している。

関連記事:WeWorkが上場申請を撤回

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:SoftBank GroupWeWork決算発表

画像:KAZUHIRO NOGI/ Getty Images

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(文:Danny Crichton、翻訳:滑川海彦@Facebook

ソフトバンクがSPACをさらに2社申請

SPAC(特別買収目的会社)を巡る熱狂は衰えることなく続いており、時には新しいSPACがほぼ1時間ごとにSECに申請されることがある。

巨大なビジョンファンドとその後継ファンドを運用する日本の通信コングロマリットであるSoftbank(ソフトバンク)は取り残されたくないと考えている。同社は米国時間2月5日、2つの新しいブランクチェック(白紙小切手)会社に関して連続してSPAC登録届出書を提出した。

SVF Investment Corp 2(SVF2)は2億ドル(約210億円)、SVF Investment Corp 3(SVF3)は3億5000万ドル(約370億円)のビークルだ。それぞれのSPACには標準で約15%のオーバーアロットメントオプションがある。つまり、引受会社がオプションを選択したと仮定すると、最終的なサイズはそれぞれ2億3000万ドル(約250億円)と4億ドル(約420億円)になる可能性がある(計算していただくとわかるが、SVF3のオーバーアロットメントは15%よりわずかに小さい)。

2社の興味深い要素の1つは、ソフトバンクのビジョンファンド2に関連する先渡購入契約と呼ばれるものがあることだ。ビジョンファンド2はこの契約に基づき、対象となるスタートアップとの企業結合が始まるときにSPACの株を購入できる。つまり合併に参加する権利が与えられる。ビジョンファンド2はSVF2と1億ドル(約105億円)、SVF3と1億5000万ドル(約160億円)の契約を結んだ。

すべてのSPACと同様、登録届出書は単に資金を調達する意図で提出されているが、最近では大部分の申請が後になってクローズしている。

数字が示すように、ソフトバンクは以前SPACの申請を行っていた。これは2020年12月に申請され、2021年1月7日に正式にクローズした。このビークルは引受人のオーバーアロットメントオプションを含め合計6億400万ドル(約630億円)の資金調達を目標としていた。また、最新のビークル2社と同様、ビジョンファンド2との2億5000万ドル(約260億円)の先渡購入契約も含まれていた。

SPAC2社が探しているのは何か。提出書類によると「私たちはテクノロジーを利用するセクターでの事業を探索、買収、経営する意図があります。その分野で私たち経営陣は他とは異なる経験と洞察を有しています。モバイル通信技術、人工知能、ロボット工学、クラウドテクノロジー、ソフトウェア全般、計算生物学およびその他のデータ駆動型ビジネスモデル、半導体およびその他のハードウェア、輸送テクノロジー、消費者向けインターネットおよび金融テクノロジーが含まれますが、これらに限定されません」。

多くをカバーしているように見えるが、念のために、提出書類では「しかし、私たちは異なるまたは関連する業界の企業との取引を完了するかもしれない」と述べている。つまり基本的に何でも対象になる。

SPACがクローズされるタイミングついて決まった予定はまだないが、市場平均を考えると通常は4〜8週間だ。

カテゴリー:その他
タグ:Softbank GroupSPACSoftbank Vision Fund

画像クレジット:Alessandro Di Ciommo/NurPhoto / Getty Images

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(文:Danny Crichton、翻訳:Nariko Mizoguchi

ソフトバンクとアイリスオーヤマがロボット事業の合弁会社設立、AI除菌清掃ロボット「Whiz i アイリスエディション」発表

これまでSoftBank Robotics(ソフトバンクロボティクス)の製品に、強い印象を受けたことがなかったとしても無理もない。今のところ、同社の最も有名な製品は、2015年にフランスのロボット企業Aldebaran(アルデバラン)を買収したことから生まれた、挨拶や宣伝用に設計された人型ロボット「Pepper(ペッパー)」であることは間違いないだろう。

また、同じソフトバンクグループに属する投資会社がBoston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)を買収し、結局は売却したこともあった。この買収は確かに同社の市場進出を加速させるための手段となったが、2020年末には早くも手のひらを返し、現代自動車に売却された(ソフトバンクグループは20%を保持)。

だが、ソフトバンクのロボットに対する野望は衰えを知らない。その最新の動きは非常に興味深いものだ。日本時間1月27日、ソフトバンクロボティクスはアイリスオーヤマと提携を結び、合弁会社「アイリスロボティクス株式会社」を2021年2月1日に設立すると発表した。

このベンチャーの51%の株式を保有するアイリスオーヤマは(残りの49%をソフトバンクロボティクスが保有)、Reuters(ロイター)がいう「お米から炊飯器まで」を含め、幅広い製品を製造している日本のブランドである。

間もなくその中に、ロボティクスも加えることができそうだ。新たに設立されたアイリスロボティクスは、2025年までに1000億円の事業規模を目指すという非常に積極的な目標を設定している。

共同プレスリリースでは、新型コロナウイルス感染症がアイリスロボティクス設立の大きなきっかけになったと述べている。確かにそれは戦略として理に適っている。この1年で、ロボット工学と自動化への関心が本格的に高まったことは疑う余地もない。

しかし、このベンチャー企業が最初に手がける製品は、特に野心的なものではないようだ。まずは既存の2種類のロボットの「アイリスエディション」を提供・販売するという。ソフトバンクグループが出資しているBear Robotics(ベア・ロボティクス)社の配膳・運搬ロボット「Servi」と清掃ロボット「Whiz」だ。

ソフトバンクロボティクスの代表取締役社長兼CEOである冨澤文秀氏は、次のように述べている。

コロナ禍におけるニューノーマルの実現が急務となる中、ロボットにはさまざまな新しい期待が寄せられています。この度、強力なパートナーシップをアイリスオーヤマと結べたことはロボットソリューションの拡大、浸透にとって非常に大きな前進です。両社の強みを存分に活かし、社会が抱える課題にスピード感を持って応えていきます。

確かに、その技術的な野望は、Boston Dynamicsのような企業が現在取り組んでいるものと比べると地味に見えるが、家庭用ロボットの分野に向けてまず一歩を踏み出すとすれば、アイリスオーヤマは良い位置にいる企業といえるだろう。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:SoftBankアイリスオーヤマアイリスロボティクス

画像クレジット:SoftBank Robotics

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(翻訳:TechCrunch Japan)

通信衛星オペレーターの英OneWebがソフトバンクなどから約1450億円調達

破産を申請し、英国政府とBharti(バーティ)から救済の資金提供を受けるなど波乱の1年を乗り越え、2020年12月に一部の衛星打ち上げで再浮上したロンドン拠点のブロードバンド衛星オペレーターOneWeb(ワンウェブ)は米国時間1月15日、14億ドル(約1450億円)の資金調達をクローズしたと発表した。第1世代衛星648基の残りを打ち上げるのに十分な額だと同社は話している。

2020年12月にOneWebは新たに36基の衛星を打ち上げ、現在軌道にある衛星の数は110基になった。つまり、打ち上げる第1世代衛星はまだ500基超残っていることを意味する。

同社は野心を削ぎ落とし続けている。米国時間1月11日の週の初めOneWebは「コンステレーションを合理化」し、その結果米当局に出していたライセンスのリクエストを減らしたと発表した。元々同社は米連邦通信委員会にマーケットアクセスのために衛星4万7884基を申請していた。いまその数字は6372基に減っている。

SoftBank(ソフトバンク)グループとHughes Network Systems(ヒューズ・ネットワーク・システムズ)が資金を提供すると、OneWebは述べた。1カ月前にOneWebは3回目となる打ち上げで衛星36基を軌道に乗せた。当時、同社会長のSunil Bharti Mittal(スニル・バーティ・ミタル)氏は4億ドル(約415億円)調達に向け順調だと話していた。それが実現したようだ。

「OneWebのミッションはすべての人、すべての場所をつなぐことです。11月の連邦破産法11条から脱却して以来、我々は事業を再出発させるべく飛躍的に進歩を遂げました」と同社のCEOであるNeil Masterson(ニール・マスターソン)氏は声明文で述べた。「目標達成に向けて進歩していることの証拠としてのソフトバンクとHughesによる投資を、当社は歓迎します」。

OneWebは、バリュエーションを公開しないと広報担当は筆者に語った。今回のラウンドにより、同社の累計の調達額は約45億ドル(約4668億円)になったようだ。ただし、破産はかなりの資本増強と事業の再評価を意味し、そしてそうした数字にはリストラする前からの資金が含まれている。

ソフトバンクとHughesはどちらも過去にOneWebに投資し、パートナーでもあった。そのため今回の投資は以前の投資が完全に無駄にはなっていないことを確かめる保険証券のようなものだ(少なくともその一部は報道されている。ソフトバンクは数年前に部分的にOneWebへの投資のために240億ドル、約2兆5000億円という目を見張るような損失を計上した)。

一方のHughesは親会社EchoStar(エコースター)を通じて投資し、2017年にOneWebと同社の衛星と連携する地上インフラを建設する契約を結んだ。衛星テクノロジーの世界での建設と展開は何年もかかり、往々にして遅延に直面する。そのため3年間(あるいはそれ以上)契約から何も得られないというのはさほど驚くことではない。

OneWebは、投資家との長期の付き合いを受け入れ、地上ネットワークがまだHughesによって建設中であることを認めた。

「ソフトバンクとHughesから投資を受けることをうれしく思います。両社とも当社の事業に精通しており、未来に向けた当社のビジョンを共有しています。そして両社のコミットメントにより今後の急成長する機会に投資できます」とミタル氏は声明文で述べた。「両社の経験と能力から得るものがあり、当社は他に類を見ないLEO(地球低軌道)ネットワークを世界に提供します」。

Hughesは元々、最初のサービスを2019年に開始する計画だった。しかしそれはOneWebと同社のLEO衛星がまだかなり輝かしいアイデアで、ベンチャーファンディングで17億ドル(約1764億円)を集めたころのことだ。

最初のアイデアはいつでも素晴らしい。しかし、ムーンショット(壮大な挑戦)でもある。LEO衛星は他の手法ではリーチできない多くの遠隔地に地上波ネットワークがブロードバンド接続を提供するのを支え、有用なものであることがすでに証明されている。OneWebのアイデアはサービスを便利なものにし、400Mbpsという約束で地上のかなり多くのユーザーに使われるようにするというものだった。

その間にブロードバンド使用は爆発的に増えた一方で、OneWebがおそらく想定していなかったのは接続を提供するための非衛星システムの構築がネットワークの進歩において進むだろうということだった。あるいは、衛星を約束したタイムラインで打ち上げるためにどれくらいかかるのか、どのくらいの資金調達が必要なのかということだった。

高まる5Gユビキタス、IoT、接続生のニーズは全体的にまだOneWebのアプローチの力強いユースケースだと同社は話す。そこには「グローバル・ゲートウェー・ステーションのネットワークと、異なる顧客マーケットにリーズナブル価格で速く、広帯域、そして低遅延のコミュニケーションサービスを提供できる広範のユーザーターミナルが含まれます」と話す。

英ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)長官のKwasi Kwarteng(クワシ・クワーテング)氏は声明文で以下のように述べた。「OneWebへの我々の投資は英国の宇宙部門への継続的な取り組みの一環であり、最新の技術進歩の最先端に英国を押し出すものです。今日の投資によりOneWebはグローバルなブロードバンド接続を人々、事業者、政府に提供するというミッションの達成に一歩近づきます。その一方で英国においては新たな研究、開発、製造の機会を生み出すものになる可能性があります」。

ソフトバンクは今回のディールでOneWebに役員を1人送る。

「OneWebがキャパシティを増やし、商業化に向けて加速している中で、同社をサポートすることに興奮しています」とソフトバンクのCEOである孫正義氏は述べた。「世界中のインターネットアクセスを変革するというOneWebのミッションの達成をサポートするためにBharti、英国政府そしてHughesとの提携を継続することに胸躍らせています」。

Hughes社長のPradman Kaul(プラドマン・カウル)氏は次のように述べた。「OneWebは引き続き業界をインスパイアし、LEOコンステレーションの実現に向けてともに力を合わせるために業界におけるベストプレイヤーを引きつけています。Hughesとソフトバンクによる今日の投資は、世界中のブロードバンド需要に応え、そして加速させるという点において弊社の静止衛星サービスを補強する複数のトランスポートサービスでもって、企業、政府、モビリティの顧客をつなげるというOneWebのあらゆるポテンシャルの具現化をサポートします」。

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カテゴリー:宇宙
タグ:OneWebSoftbankHughes Network Systems資金調達

 画像クレジット:OneWeb

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(翻訳:Mizoguchi

現代自動車がBoston Dynamicsを買収、ソフトバンクから80%の株式取得へ

正式に発表された。Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)は現代自動車グループの一員になる(当然のことながら当局の承認次第ではある)。マサチューセッツ州ウォルサムに拠点を置くロボットメーカーの Boston Dynamicsは12月11日付けのプレスリリースで、韓国のテック企業が経営支配権を獲得すると明らかにした。Boston Dynamicsの企業価値を11億ドル(約1140億円)としたこのディールでは、現代自動車グループがBoston Dynamicsの株式の80%取得し、残り20%はソフトバンクが保有する。

この買収は、Boston Dynamicsにとってわずか7年の間に3回目の親会社変更となる。研究会社として四半世紀近く前に設立され(米国防高等研究計画局のような組織から資金援助を受けた)、2013年のGoogleによる買収で時のAndy Rubin(アンディ・ルービン)氏が率いる新しいロボティック部門の一部になった。

Google X Roboticsの大部分が解体された後、Boston Dynamicsは2017年に親会社が変わり、ソフトバンク傘下に入った。奇妙な組み合わせであり、ソフトバンクにとって厳しい年だったこともあって状況は改善しなかった。最も知られているロボットは人型ロボットPepper(ペッパー)であるソフトバンクに所有された後では、少なくとも現代自動車はBoston Dynamicsにとってより論理的な「ホーム」だ。

今回の買収についての初期の噂を報じる記事で指摘したように、現代自動車はロボット分野に大きな投資をしてきた。ここには、自動運転システム商業化のためのAptivとの合弁会社設立が含まれる。またUMV(ultimate mobility vehicles、脚を持つサイエンスフィクションのような乗り物)も発表した。

「繰り返しの作業や危険な作業を人間レベルのモビリティで自動で行うことができる最初のロボットをマーケットに投入し、Boston Dynamicsの商業事業は急速に成長してきました」とCEOのRob Playter(ロブ・プレイター)氏は買収に関するリリースで述べた。「当社と現代自動車はモビリティの変革力という視点を共有していて、最先端のオートメーションで世界を変え、引き続き顧客のために世界で最も困難なロボティクスの問題を解決する計画を加速させるために協業することを楽しみにしています」。

もちろんBoston Dynamicsはこの数十年、サイエンスフィクションと現実の境界線を曖昧にしてきた。しかし直近では、同社の高度な技術を商業化することに注力してきた。ソフトバンクのもとで、Boston Dynamicsはアイコン的存在のBig Dogを含め、何年もかけてロボティックのイノベーションに取り組み、四つ足ロボットSpotを立ち上げた。

Spotは昨年数量限定で発売された。現在は米国内で7万4500ドル(約770万円)という価格で販売されている。同社は、倉庫や仕分け作業関連目的のための車輪付きハンドルロボットの商業化も進めている。こちらは来年発売される見込みだ。ロボットの高度化と最終的な価格はかなりの懐疑論を巻き起こしたが、新型コロナウイルスによって企業が一時閉鎖を余儀なくされたことを受けて、投資家たちのロボットやオートメーションの企業に対する関心は高まった。

「現代自動車グループは、Boston Dynamicsがグループの製造能力やスケールメリットによる費用対効果にアクセスできるようにする戦略的パートナーとなります」とリリースにはある。「Boston Dynamicsは新たな資本、テクノロジー、関連顧客、そしてBoston Dynamicsのロボット製品の商業化機会を促進する現代自動車グループのグローバルマーケットへのアクセスの恩恵を受けるでしょう」

買収は来年6月までにクローズする見込みだ。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Boston Dynamics

画像クレジット: Boston Dynamics

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(翻訳:Mizoguchi)

ヒュンダイがBoston Dynamics買収でソフトバンクと交渉中と報道

Boston Dynamicsのオーナーがまた変わるかもしれない。Bloombergの記事によれば「事情に通じた筋」がそう語ったという。

韓国の大手自動車メーカーHyundai(ヒュンダイ)がBoston Dynamicsの買収に成功すれば三代目のオーナーとなる。この7年間でGoogle(グーグル)、次にSoftBank(ソフトバンク)グループが同社を買収してきた。Boston Dynamicsは4脚のBigDog、人間型のAtlasなどを含め、先進的なロボティクステクノロジーで世界に知られている。

TechCrunchではヒュンダイ、ソフトバンク、Boston Dynamicsの各社にコメントを求めている。回答があれば記事をアップデートする予定だ。

Boston Dynamicsは25年の間、主に開発研究と軍事用の応用に集中していたが、2017年にソフトバンクグループの一員となって以後、ロボットの商用化を積極的に推進し始めた。例えば同社は2019年に四足歩行ロボットSpotの販売を開始したが、チェルノブイリの放射能汚染の除去(The Telegraph記事)、ニューヨーク市警察のパトロール(New York Post記事)、新型コロナウイルス(COVID-19)治療のための遠隔医療など極めて広い用途で利用されている。

同社はまた車輪で移動するアームを持つHandleをフルフィルメントセンターなどの倉庫におけるパッケージ処理向けに提供している。これはパンデミックによって人手不足が生じている中で注目を集めているプロダクトだ。しかしながら、こうした先進的テクノロジーを用いたロボットは複雑かつ高価となり、量産・販売には困難な課題がある。また利用者側にも、十分なノウハウと多額の投資に耐える体力が必要だ。オーナーのソフトバンクはWeWorkへの投資失敗などもあり、2020年は波乱の年だった。

ソフトバンクのロボティクスに対する取り組みは、Aldebaran Roboticsが開発したPepperロボットでわかるように比較的シンプルな応用を主としているのに対して、ヒュンダイのビジョンはBoston Dynamicsのこれまでの歴史に近いといえる。ヒュンダイが2019年に発表したコンセプトカーであるElavate(Business Insider記事)は通常は4輪で走行するが、必要に応じて4脚に変身してどんな悪路も走破できることを目標としていた。つまり非常に高度なロボティクスを利用するものだった。

ヒュンダイは、2019年から自動走行車とロボティクスのテクノロジーに関心を示し始めた。同社は自動走行車開発のためにAptivと持ち分50%ずつのジョイントベンチャーでMotionalを創立(未訳記事)した。新会社の目標はレベル4からレベル5の段階の高度な自動走行テクノロジーの開発で、Hyndaiはこうしたテクノロジーを最終的に量産に結びつけようと狙っている。同社は2022年までに自動走行車の量産だけでなく、これを利用したロボタクシーの運用も目標としている。

Aptivとヒュンダイのジョイントベンチャーへの投資総額(研究開発費用や知財の価値を含む)は40億ドル(約4200億円)に上る。両社は当初、完全自動走行テクノロジーのテストは2020年までに開始され2022年の商業化を目指すとしていた。

実はヒュンダイはこれまで自動走行車にはさして多額の投資をしていいなかった。2019年10月には、次世代移動テクノロジー開発のために2025年までに41兆ウォン(約3兆8600億円)を投資するという計画を発表した。この資金の大部分は同社の自動車ラインナップのEV化に向けられるものだが、自動走行を含む各種の次世代テクノロジーにも強い興味があると述べている。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:ヒュンダイBoston Dynamicsソフトバンクグループ買収

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ソフトバンクのダイバーシティ&インクルージョンファンドによる最初の投資は健康分野

SoftBank(ソフトバンク)のOpportunity Growth Fund(オポチュニティー・グロース・ファンド)は、健康保険のスタートアップであるVitable Health(バイタブルヘルス)に投資する。同ファンドは有色人種の起業家が創業したスタートアップへの投資に特化する1億ドル(約105億円)のファンドで、今回の投資は同ファンドからの最初のコミットメントとなる。

Y Combinatorで最近立ち上げられ(未訳記事)、フィラデルフィアを拠点とするVitable Healthは、サービスの行き届いていない低所得のコミュニティーに基本的な健康保険を提供する。

Vitable Healthは23歳の起業家であるJoseph Kitonga(ジョセフ・キントガ)氏が創業した。同氏の両親は10年前に米国に移住した。同社は保険が不十分または無保険の人々に手頃な価格で緊急ケアをカバーする医療保険を提供する。両親が経営する在宅医療機関の従業員が基本的な補償を受けるのにも苦労しているのを目の当たりにしてきたキントガ氏の経験から生まれた。

同社のブログ投稿によると、150万ドル(約1億6000万円)のコミットメントは、SoftBank Group Corp Opportunity FundがリードしY Combinator、DNA Capital、Commerce Ventures、MSA Capital、Coughdrop Capital、MercuryBankの最高経営責任者であるImmad Akhund(イマド・アクンド)氏やGainsightの最高執行責任者を務めたAllison Pickens(アリソン・ピケンズ)氏のようなエンジェルも参加した。

「優れたヘルスケアは、誰であれ、すべての米国人に当然に与えられるべき基本的な権利です」と、アトランタを拠点とするファンドのアーリーステージ投資リードであり、TechSquare Labsという投資ファンドの創業者であるPaul Judge(ポール・ジャッジ)氏は語っている。「私たちは、ジョセフ氏自身とこの課題に取り組む彼のアプローチに触発されました。Vitable Healthは患者ケアの重大な空白領域を埋めつつあり、無保険や保険不足の人、そしてもっと良いライフスタイルを求めるすべての人にとって必要不可欠なサービスとして浮上しています」。

ソフトバンクは、米国各地の都市で市民による抗議の波が起こる最中にOpportunity Growth Fundを創設した。白人警察官の手による黒人のミネアポリス市民、George Floyd(ジョージ・フロイド)氏の殺害がきっかけとなり、組織的人種差別と警察の残虐行為に対して抗議活動が頻発した。フロイド氏の殺害では、警察の残虐行為、警察当局の軍隊化、人種プロファイリングなどの問題をめぐって、全米の都市で市民と警察の間の緊張が再び激しく高まった。

ソフトバンク自身も2020年に、ポートフォリオに人種差別に関する問題を抱えていた。同社がファンドを立ち上げる数カ月前に、ポートフォリオ企業の1つであるBanjo(バンジョー)のCEOで創業者がかつてKKKと関係があったことが明らかになった後、辞任した

ソフトバンクはOpportunity Growth Fundから問題に取り組もうとしている。特に注目すべきはファンドが取引に関して従来のマネジメントフィーを徴収しないことだ。「その代わりに、有色人種の創業者や起業家の手元にできるだけ多くの資本を投入しようとしています」。

Opportunity Growth Fundは、過去数年間にソフトバンクが発表した中で3番目の投資ビークルだ。その中で最大は1000億ドル(約10兆5000億円)のビジョンファンド(Techmeme記事)だ。その後、2019年に、ラテンアメリカに特化した20億ドル(約2100億円)のイノベーションファンド(未訳記事)を発表している。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Softbank GroupOpportunity Growth FundVitable Health資金調達

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(翻訳:Mizoguchi