現代自動車がBoston Dynamicsを買収、ソフトバンクから80%の株式取得へ

正式に発表された。Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)は現代自動車グループの一員になる(当然のことながら当局の承認次第ではある)。マサチューセッツ州ウォルサムに拠点を置くロボットメーカーの Boston Dynamicsは12月11日付けのプレスリリースで、韓国のテック企業が経営支配権を獲得すると明らかにした。Boston Dynamicsの企業価値を11億ドル(約1140億円)としたこのディールでは、現代自動車グループがBoston Dynamicsの株式の80%取得し、残り20%はソフトバンクが保有する。

この買収は、Boston Dynamicsにとってわずか7年の間に3回目の親会社変更となる。研究会社として四半世紀近く前に設立され(米国防高等研究計画局のような組織から資金援助を受けた)、2013年のGoogleによる買収で時のAndy Rubin(アンディ・ルービン)氏が率いる新しいロボティック部門の一部になった。

Google X Roboticsの大部分が解体された後、Boston Dynamicsは2017年に親会社が変わり、ソフトバンク傘下に入った。奇妙な組み合わせであり、ソフトバンクにとって厳しい年だったこともあって状況は改善しなかった。最も知られているロボットは人型ロボットPepper(ペッパー)であるソフトバンクに所有された後では、少なくとも現代自動車はBoston Dynamicsにとってより論理的な「ホーム」だ。

今回の買収についての初期の噂を報じる記事で指摘したように、現代自動車はロボット分野に大きな投資をしてきた。ここには、自動運転システム商業化のためのAptivとの合弁会社設立が含まれる。またUMV(ultimate mobility vehicles、脚を持つサイエンスフィクションのような乗り物)も発表した。

「繰り返しの作業や危険な作業を人間レベルのモビリティで自動で行うことができる最初のロボットをマーケットに投入し、Boston Dynamicsの商業事業は急速に成長してきました」とCEOのRob Playter(ロブ・プレイター)氏は買収に関するリリースで述べた。「当社と現代自動車はモビリティの変革力という視点を共有していて、最先端のオートメーションで世界を変え、引き続き顧客のために世界で最も困難なロボティクスの問題を解決する計画を加速させるために協業することを楽しみにしています」。

もちろんBoston Dynamicsはこの数十年、サイエンスフィクションと現実の境界線を曖昧にしてきた。しかし直近では、同社の高度な技術を商業化することに注力してきた。ソフトバンクのもとで、Boston Dynamicsはアイコン的存在のBig Dogを含め、何年もかけてロボティックのイノベーションに取り組み、四つ足ロボットSpotを立ち上げた。

Spotは昨年数量限定で発売された。現在は米国内で7万4500ドル(約770万円)という価格で販売されている。同社は、倉庫や仕分け作業関連目的のための車輪付きハンドルロボットの商業化も進めている。こちらは来年発売される見込みだ。ロボットの高度化と最終的な価格はかなりの懐疑論を巻き起こしたが、新型コロナウイルスによって企業が一時閉鎖を余儀なくされたことを受けて、投資家たちのロボットやオートメーションの企業に対する関心は高まった。

「現代自動車グループは、Boston Dynamicsがグループの製造能力やスケールメリットによる費用対効果にアクセスできるようにする戦略的パートナーとなります」とリリースにはある。「Boston Dynamicsは新たな資本、テクノロジー、関連顧客、そしてBoston Dynamicsのロボット製品の商業化機会を促進する現代自動車グループのグローバルマーケットへのアクセスの恩恵を受けるでしょう」

買収は来年6月までにクローズする見込みだ。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Boston Dynamics

画像クレジット: Boston Dynamics

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(翻訳:Mizoguchi)

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TechCrunch Japan

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