トランプ大統領が投稿したフェイクニュースを非難するビデオをTwitterがフェイク認定

Facebook(フェイスブック)がトランプ陣営の広告を嫌悪的シンボルの表示に関する規約に違反したとして削除したその日にも、トランプ大統領はソーシャルメディアにおける自身の存在を最大限に誇示した。米国時間6月18日夜、トランプ氏がシェアした雑に編集されたビデオには子供が2人が映っていて「怯えた幼児が人種差別する赤ん坊から逃げている」という偽のCNNテロップが付けられていた。皮肉なことに、その後ビデオには「問題は米国ではない、フェイクニュースだ」と表示された。

本稿執筆時点でそのビデオは790万回再生され、Twitter(ツイッター)では「操作されたメディア」の警告ラベルがツイートのすぐ下に表示され、そのコンテンツは見たとおりのものではないことを示していた。警告ラベルをクリックすると、ツイートの事実確認を行うページに飛び、そこには子供2人の映像に「この二人の子供は実世界の親友は何かを見せている」というタイトルの付けられたCNNの元の動画へのリンクも貼られている。

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改変されたビデオの右下隅には「@carpedonktum」のタグが付けられていて、作ったのがこの別名で活動する悪名高いトランプファンのミーム作者であることがわかる。Carpe Donktum(カルペ・ドンクトゥム)、別名Logan Cook(ローガン・クック)氏は昨年、ホワイトハウスのソーシャルメディアサミットに参加したが、そこはソーシャルメデアの反保守的偏見に対する根拠のない不満を言いふらすイベントだと言われている。

トランプ氏は以前にもクック氏に由来するバイラルなビデオをシェアしたことがあり、ジョー・バイデン氏が背後から忍び寄ってトランプ氏の肩を揉むビデオもあった。Meme Worldというサイトを運営するクック氏は昨年、同サイトのメンバーが作ったトランプ氏がメディアの批判者を殺すところを描いたビデオのために、短期間Twitterアカウントを停止(Daily Beast記事)された。

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画像クレジット:Alex Wong / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

厚生労働省が新型コロナ濃厚接触通知アプリ「COCOA」の配布開始、通知は1日1回

厚生労働省が開発を進めていた、新型コロナウイルス感染者と濃厚接触したかどうかを確認するアプリ「COCOA」の配信が始まった(iOS版、Android版)。COCOAは、COVID-19 Contact-Confirming Applicationの略とのことだが、日本語では「ココア」と読める。飲み物やペットの名前としても有名な名称なので、この愛称には残念ながらセンスを感じない。

COCOAは、iPhoneやAndroidで動作するスマートフォン専用アプリで、アップルとグーグルが共同開発した「Exposure Notification Framework」を利用している。アップルのApp Store、もしくはGoogleのPlay Storeから無償でダウンロード可能だ。対応するOSのバージョンは、iOS 13.5以上、Android 6.0以上。日本語のほか、英語、中国語に対応している。なお、アプリを削除して再度インストールした場合、それまでの接触履歴も削除されるので注意。現在のバージョンは1.0.0で、同省によると公開から1カ月間は、試行版(プレビュー版)とのこと。

各スマートフォンが内蔵する無線通信機能であるBluetoothを利用して、オフィスや飲食店、街中などで接触した可能性のある人を検知する。ただし、接触と判別されるのは約1m以内の距離で15分以上近接した状態なので、街中ですれ違う程度では濃厚接触とはならない。

このアプリを使っているユーザーが新型コロナウイルスの陽性となった場合、同様にアプリをスマートフォンにインストールしているユーザーは過去14日以内に該当者に接触した可能性があるかどうかを通知してくれる。

陽性者が通知を許可しない限り同機能は有効にならないが、氏名や電話番号、メールアドレスといった個人を特定する情報の入力や登録は不要で、陽性者との接触の照合も各自の端末内で実行されるためクラウドには残らない。個人情報が漏洩する確率は低いので、陽性になってしまった場合は積極的に情報を共有したいところだ。

日本時間6月23日午前2時に開催迫る、アップルのWWDC 2020で期待できること

iOS、macOS、そしてARMプロセッサーが、初めてのオンラインオンリーのイベントに組み込まれている

さて、何よりもまず 、これは奇妙なイベントになるだろう。その主な理由は、なんと言っても今年が2020年で、すべてがただ奇妙な状況にあるからに他ならない。そして次にさらに奇妙な出来事が起こるまでは、それに対処して行かなければならないのだ。しかし、オンラインのみのWorld Wide Developer Conference(WWDC、世界開発者会議)がApple(アップル)にとって前例のないものであることは確かだが、どのようなものになるかを予感させるライバルたちのオンライン事例がいくつか存在している。

Microsoft(マイクロソフト)のBuildは、企業がホストするオンラインのみの開発者会議の先例として、さまざまな要素が寄せ集められていた。なおGoogle(グーグル)は開発者会議のI/Oを完全にスキップしている。CEOのSatya Nadella(サティヤ・ナディラ)氏からの講演は、直接的なスタイルで直接的に開発者に届けられるという、本来そうあるべき形に収まっていた。このイベントは、数日間にわたるショーをぎこちなくつないでいく、2人の従業員によって進行が行われた。くだらない開発者向けユーモアもちりばめられていた。ときどき困った事態に落ち込むこともあったが、ほとんどは無事に進行した。

ビデオを使った有名人のカメオ出演は、近年のアップルのイベントにおける一種の定番になっているので、今回もそうなることが期待される。実際、Apple TV+の発表と、事前に準備されたイベントの単調さを解消したいという一般的な衝動との間で、アップルがそのコンテンツの充実にさらに傾倒する可能性は高い。

ともあれ、奇妙な感じのものになることは間違いない。さまざまなことが、例年ならスタッフと開発者たちの間のいきいきとしたやり取りとなるようにデザインされている。聴衆なしでは物事は奇妙に感じられることになるだろう。このあとで、NetflixでMASHのエピソードを観てほしい。プロデューサーが、時間をかけてゆっくりと笑いの路線に進み始めたために、奇妙な移行状況を見ることになる。1つのやり方が他のやり方よりも優れているということではない。この種の移行を処理するのが私たちの脳にとって難しいということなのだ。

もちろん、アップルのイベントのオープニングは、マイクロソフトのものよりもさらに消費者向けのものになっている。会議本体に踏み込む前に、アップルはTim Cook(ティム・クック)氏の基調講演を、新製品発表のための数少ない重要なプラットフォームの1つとして利用している。原則的に、ニュースは一般にアップルのさまざまなオペレーティングシステムのアップデートを中心に展開する(なにしろ、これは開発者会議なのだ)が、ハードウェアの話題がそこにしばしば差し込まれる。16インチMacBook Proへの最近のアップデートと、Mac Proのストレージをアップグレードするための新しいシステムのことを考えると、アップルがイベントでより大きな発表を行なう余地を作っている可能性は高い。

私はハードウェア野郎なので、そちらから始めよう。これまで今回のイベントに向けて流されている最大の噂は、長い間囁かれ続けてきた自社製ARMプロセッサへの移行だ。このことで10年以上続いたIntel(インテル)チップへの依存から脱却することになる。 Mac ARMへの移行は、モバイル側ではすでに大きな前進を見せている同社の半導体独立性に向けた、また別の重要な動きを示すものである。

新しいチップには、アップルが関連部品を含めてより大きな取り分を占めることができるようになるというだけに留まらず、電力効率の向上やラップトップの薄型軽量化などの、いくつかの決定的な利点がある。実際には、ARMベースのMacの実機が登場するのは来年になるだろう。むしろここでの目的は、参加している開発者たちに、差し迫った変更に備えてソフトウェアを調整し始めるチャンスを与えるロードマップを概説することだ。

その他に登場が噂されているハードウェアには、アップルの人気の高いオールインワンデスクトップの、再設計されたバージョンが含まれている。この方面でのアップデートはたしかに遅れている。iMacのデザイン言語は2012年以降ほとんど変更されていない(それ以前のユニボディデザインと比べると比較的小さな変更だった)。審美的な観点からは、再設計されたシステムは、iPad Proの路線に沿うものになることが期待される、すなわちベゼルがより薄くなっているということだ(デスクトップは、アップルにとってベゼルの名残が残されたままのものの1つだ)。T2チップもついに製品ラインに入ると言われている(@SonnyDicksonツイート)。

そのほかのあり得るハードウェアの噂の中には、Tile(タイル)の製品に似たハードウェア追跡タグであるAirTagsの登場がある。これはここしばらく開発が噂されていたものだが、ここに来て急に事態が熱気を帯びてきた、これはTileからEUに対して提出された、アップルによる反競争的行為に対する異議申し立てのためだ。またかなり大きな噂になっているのがAirPods Studio(Bloomberg記事)だ。アップルは、自分自身の成功したBeatsブランドよりも、音質に優れた競合製品を立ち上げると噂されている。モジュール式の磁気コンポーネントとともに、ハイエンドのノイズキャンセルプレミアムサウンドの登場が予定されている。また発表リストには、いくつかのiPadやHomePodへの待望のアップデート、またはスマートスピーカーのより小型で安価なバージョンの追加も含まれる可能性がある。

そして常に重要なオペレーティングシステムに関して言えば、iOS 14、iPadOS 14の詳細を知ることができるようになるのは間違いない。主なアップデートとしては、未読の通知やその他のさまざまな方法で並べ替えることができるリストビューを含む、自動的に並べ替え可能な新しいホーム画面が含まれている。オペレーティングシステムの他の噂としては、iPadスタイルのマルチタスクの採用が含まれている。画面サイズが小さいと、タブレットの場合よりも実行が難しくなるものの、Androidデバイスでは同様の機能がすでに実現されている。また、新しい拡張現実(AR)とフィットネスアプリも準備されていると噂されている。

さらには、少なくとも噂が正しければ、macOSは10.16への比較的軽いアップデートになるようだ。macOSとiPadOSの間でソースコードを共有するCatalystのおかげで、より多くのiOSから移植されたアプリがリストの一番上に並ぶ。また開発者によってカスタマイズ可能なSiriもある(これもまたiOSのアップデートの1つだ)。一方、アップルのハードウェアを使って車のドアのロックを解除する機能が提供されるCar Keyは、iOSに加えてwatchOSにも登場する可能性がある。子供向けモードや改善された睡眠トラッキングも、開発中であると噂されている。

基調講演の開始は、米国太平洋夏時間6月22日午前10時(日本時間6月23日午前2時)だ。その週の残りは、オンラインイベントが続く。それはこれまでのものとは違うものになるだろうし、アップルが再びまったく同じ方法でそれを行うことはおそらくないだろう。そういった奇妙さを楽しもう。

画像クレジット: David Paul Morris / Bloomberg / Getty Images

 

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(翻訳:sako)

米最高裁がテック業界の意向を支持、トランプ大統領による若年移民保護プログラム中止を撤回

米国時間6月18日、連邦最高裁判所は子供時代に入国した移民に一時的法的地位を与える連邦政府政策をドナルド・トランプ大統領政権が中止した措置を違法であると裁定した。

18日に発行されたこの決定は、「オバマ時代に制定された『若年移民に対する国外強制退去の延期措置』(DACA)と呼ばれるプログラムの中止は『恣意的で気まぐれ』である」とした。この裁定によって、米国に住む64万人近い人たちが一時的に国外追放を免れる。

トランプ政権にとって打撃となるこの決定だが、テック業界やそのリーダーたちがほぼ全員一致で支持することはまちがいない。彼らは、今の大統領とアドバイザーたちがプログラムを中止しようとした時、強くDACAを支持する姿勢を表明(未訳記事)した。。

関連記事:ティム・クック、Appleで働く「ドリーマーズ」250人を支持すると発言

2018年初め、Apple(アップル)、Facebook(フェイスブック)、Amazon(アマゾン)、Google(グーグル)のCEOといったテック業界の大物を含め、100人以上の米国ビジネスリーダーが、DACAプログラムが失効する3月までに行動を起こすよう議会に求める公開書簡を提出した。

Tim Cook(ティム・クック)氏、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏、Sundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏の4人はプログラムの保護を強く訴え、米国に子供として入国し同プログラムによって滞在許可を与えられた「ドリーマーズ」と呼ばれる無許可移民たちが、この国で国外追放のリスクを負うことなく生活し、働き続けられるよう法案を通すことを議会に要請した。

当時テック業界の幹部たちは、プログラムを終了すれば米国経済に最大2150億ドルの損失を与える可能性があると訴えた。

クック氏は2017年のツイートで、アップルには約250人の「ドリーマーズ」が働いていると語った。

DACAプログラムの支持を表明したテック幹部のリストは長い。IBM CEOのGinni Rometty氏、Microsoftのプレジデント・最高法務責任者、Brad Smith氏、Hewlett Packard Enterprize CEOのMeg Whitman氏、そのほかAT&T、Dropbox、Upwork、Cisco Systems、Salesforce、LinkedIn、Intel、Warby Parker、Uber、Airbnb、Slack、Box、Twitter、PayPal、Code.org、Lyft、Etsy、AdRoll、eBay、StitchCrew、SurveyMonkey、DoorDash、そしてVerizon(TechCrunchを所有するVerizon Media Groupの親会社)といった企業の幹部が名を連ねている。

今回の裁定で注目すべきなのは、2017年9月のプログラム終了について国土安全保障省が十分な理由を与えなかったと大多数が見ていることだ。これでこの在留資格問題の議論は、ホワイトハウスと議会に差し戻された。

Boston Globe紙は最近の記事で、John Roberts裁判長が記載した多数決判定は、オバマ時代の政策やその撤回が正しかったかどうかは断定しておらず、国土安全保障省が政策終了の十分な理由を提供しなかったことだけを決定(Boston Globe記事)したと報じた。

「我々は同省がその行動について理にかなった説明を提供するという手続き上の要件を満たしていたかどうかのみを検討した」とロバート氏は書いている。

最高裁の決定は「ドリーマーズ」にとって良い知らせであるが、彼らのこの国における市民権の問題は解決にはほど遠い。米国政府の新型コロナウイルスに対するパンデミックへの対応では、国の移民関連の処理はできる限り凍結するとしている。

4月末の大統領命令によって、移民候補者のグリーンカード手続きが凍結され、政権はH1-Bビザによる一時労働者の禁止を検討しているとも噂された。実際に大統領は、厳格な国境管理政策や、合法、非合法両方の移民を抑制するその他の規制によって弾圧を強化している(Boston Globe記事)。

オバマ政権の作った2012年のプログラムによって、80万人以上がこの国の労働力に加わった。DACAは30歳以下で、米国に入国した時16歳以下で犯罪歴がなく、働いているか学校に行っていれば誰でも申請できる。

最高裁の裁定を受けてトランプ大統領は「最高裁が私を好きじゃないという印象を受けたかな?」とツイートした。

画像クレジット:Jose Fuste Raga (opens in a new window)/ Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

奴隷解放の6月19日を記念する動きが米テック企業の間で続出

George Floyd(ジョージ・フロイド)、Breonna Taylor(ブレオナ・テイラー)、Tony McDade(トニー・マクデード)、Rayshard Brooks(ラオシャード・ブルックス)、そしてAhmaud Arbery(アマド・オーブリー)の各氏が警察によって殺害されたことを考慮して、Juneteenth(ジュンティーンス)はあっという間にテック企業に取り上げられるようになった。

1865年6月19日、米国テキサス州ガルベストンの奴隷たちは自由を手にした。南部連合のロバート・E・リー軍司令官がヴァージニアで降伏してから2カ月後、アブラハム・リンカーン大統領が奴隷解放宣言をして2年半以上たってからのことだ。

ここ数週間、多くのテック企業がJuneteenthを従業員の休日にしたり、別の方法でこの日を特別なものにすると発表してきた。Square(スクエア)とTwitter(ツイッター)のCEO、Jack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏はそうした動きをみせた主要テック企業CEOの最初の1人で、同社はこの日を有給休暇にすると発表した。それ以来、Facebook(フェイスブック)やGoogle(グーグル)、Amazon(アマゾン)、Uber(ウーバー)、Lyft(リフト)といった企業が6月19日を記念するそれぞれの計画を発表した。

そして米国時間6月18、LyftはJuneteenthの重要性をテーマとするJuneteenth座談会を開催する計画を発表し、Citi Bike経由でJuneteenth自転車ルートマップもシェアした。この取り組みは6月19日を会社の休日とするのに続く動きだ。

「1つの行動だけでなくもっとすべきことがあるとLyftは認識している。Juneteenthを祝うことは我々の今後の道のりにおいて1つのステップにすぎない」と同社はブログに書き込んだ。「具体的かつ大衆的なやり方でベストを尽くすことを約束する」。

他の企業の取り組みには、従業員に6月19日を人種的不平等について学んだりGoogle Calendar上で正式に記念したりするよう促すというものがある。Apple(アップル)が2018年までさかのぼってiOSカレンダーにJuneteenthを加えたことは記すに値するだろう。

そうした歴史的な日を認識するのは良いことだ。しかしこれら企業が自社の計画を公にする手法は、称賛を求めているように思える。正しいことをやるのは真に受け入れるべきもので、それで評価を稼ぐものではない。謙遜を示すものだ。そして企業が体裁を保つよりも従業員が正しいことをすることに関心を持っているということを示すものだ。

もちろん、これらの企業がそれぞれのJuneteenthの計画を公にしていなかったら、他の企業が追随していなかったというのはあり得る。しかしJuneteenthを祝うと決めたり、黒人コミュニティと共にあることについて声明を発表したり、寄付したりする以上に、企業はテック業界における人種差別と戦うためにより多くのアクションを取ることを保証する必要がある。

Hustle Crewの創業者であるAbadesi Osunsade(アバデシ・オスンサーデ)氏は、テック企業が一度限りのアクション以上のことをし、人種的正義の取り組みに関して習慣を形成する必要がある、と述べた。黒人の採用、黒人従業員の昇進、黒人従業員に公平に賃金を支払うこと、黒人創業者に資金を提供すること、幹部職に黒人をあてる余地を確保することなどの習慣を形成することは、この業界における確たる変化につながる。

一方、最近の警察による暴力への対応として、多くのテック企業が自らを棚に上げる声明を出した。一部の企業がいかに従業員の多様性を形成できていないか、プラットフォーム上でのヘイトスピーチにいかに対応してきたか、あるいはどのように警察部門と契約を続けてきたかを考えたとき、そうした企業によるサポートの意を示す声明の多くは意味を欠いている。

6月18日、Facebookは黒人運営のサプライヤーに毎年少なくとも1億ドル(約107億円)を投じると発表した。今月初め、Reddit(レディット)の創業者Alexis Ohanian(アレクシス・オハ二アン)氏は黒人に席を譲るために同社の役員会から退いた。一方、Kapor Center for Social Impactは6月19日を黒人コミュニティに奉仕するのに使うことをスタッフに推奨している。これらは全て正しい方向にある取り組みであり、テック業界における永続的変化につながるかもしれない。今後を見守りたい。

「そう、Juneteenthは1日だけだ。国が今後数カ月、あるいは数年、不公平にどう対応するのか、まだわからない」とKapor Centerの責任者Matt Perry(マット・ペリー)氏はブログに書いた。「Juneteenthが持続可能な変化、そしてアクションを促進するものになることを願っている」

情報開示:TechCrunchは最近Juneteenthを休みとすることを決めた。そして筆者はJuneteenthのために仕事をする。

画像クレジット: Alex Wong/Getty Images / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Facebookがナチのシンボルを使ったトランプ大統領の選挙運動広告を削除

米国時間6月18日、Facebookはトランプの一連の扇情的な選挙広告をヘイト集団の画像をめぐるルールに違反しているとして削除した。それらの選挙広告は、反ファシスト勢力のAntifa(アンティファ)を攻撃している。Antifaは分散的な反ファシズム運動で、頻繁に大統領の怒りの対象になっていた。それらの広告で使われていた画像は赤い三角形を上下逆にしたもので、よく知られている(Musée Holocauste記事)ように、ナチの強制収容所に収監された政治犯が着けていた。

該当の広告はFacebookのAd Libraryで今でも見ることができるが、トランプ大統領自身のFacebookページや副大統領マイク・ペンス氏のページ、そして選挙運動本部Team Trumpのアカウントにリンクしている。

画像クレジット: Facebook Ad Library

トランプ大統領の選挙運動本部はTwitter上で、革新派の監視団体であるMedia Matters for Americaからの批判に応えて、そのシンボルは絵文字であり、「Antifaが広く用いている」と説明している。その赤い三角形のシンボルが絵文字であることは確かだが、後半の主張は間違っている。Antifaがよく使っているシンボルは、三つの下向き矢印赤と黒の旗だ。

しかしトランプの選挙運動本部は、赤い三角形は「FacebookのAd Libraryのヘイトシンボルデータベースにない」とツイートした。

Media Matters:Facebookが載せているトランプの選挙運動の88の広告には、逆さの赤い三角形がある。それは、悪名高きナチのシンボルだ。

Trump War Room:これは絵文字だ。Antifaが広く使っている。Antifaに関する広告でも使われていた。それはAd Libraryのヘイトシンボルデータベースにない。

Facebookのスポークスパーソンは、TechCrunchに提供した声明で「これらのポストと広告は組織的ヘイトに反対する弊社のポリシーに違反しているので削除した。弊社のポリシーは、禁じられているヘイトグループのシンボルを使って、そのシンボル非難したり議論する文脈もなく、政治犯を指すことを禁じている」と反論している。

Facebookは、広告とそのシンボルのある選挙運動本体のポストの両方を、ヘイト団体に結びついているシンボルに対する同社のポリシーに違反しているとして取り外した。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

NBAシーズン再開に向けスマートリング「Oura Ring」の装着が検討されている

スポーツ誌のThe Athletic(ジ・アスレティック)が入手した文書には、6月末に開始される2019〜2010年シーズンの続きをどう実施するかに関するNBAの計画が詳しく書かれている(Engadget記事)。リーグが活動を再開するための方法がかなり詳細にわたり「プレイに戻らない権利があることを全プレーヤーが理解することが極めて重要である」といった注目すべき件もある。

スポーツは間違いなく、平常に戻ろうとしている社会で重要な位置を占めている。日々の2020年ホラーショウから立ち直るために大いに必要な娯楽のひとつだ。しかし伝染性の高いパンデミックの中、こういう密な活動には数々の安全対策が必要だ。

週毎に分けられたガイドラインの長いリストの中には、スマートリングのOuraという驚きの項目もある。書類には、このウェアラブルは「新型コロナウイルスの早期検出に役立つ可能性があり、体温、呼吸、心拍などを測定できる」と書かれている。選手は新型コロナウイルスの前兆を見つける安全対策のひとつとして、このリングをつけることができるとNBAは説明している。

関連記事:医療機器メーカーOuraとUCサンフランシスコ校がスマートリングによる新型コロナ検出を共同実験中

研究者は数カ月前からこのリングを新型コロナ検出システムとして使うことに関心を示している。3月にはUCSF(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)が、最前線の医療従事者数千名の協力を得て、体温、睡眠状態などの健康データを追跡する研究を実施した。

今回、このリングははるかに大きいパズル(NBAの計画書は全113ページからなる)のほんの一部分にすぎない。通常の検温や検査が必要なのは言うまでもない。特にPCR検査は無症状感染者による感染拡大を防ぐための鍵だ。メジャー・リーグ・ベースボールも同様に長らく延期されたシーズンを開始しようとしているが、オーナーと選手の対立は行き詰まり状態にある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

中国のゲイ専門デートアプリ「Blued」がNASDAQにIPO申請

20年ほど前のことになる。Baoli Ma(バオリ・マー)氏は中国でゲイであることに絶望と孤独を感じ、寝室に隠れていた。

その後、マー氏の人生は大きく変わった。6月16日、同氏が立ち上げたゲイを専門とするデートとライフスタイルのプラットフォームBlueCity(ブルーシティ)がNASDAQ(ナスダック)にIPOを申請したのだ。

「私にとって、インターネットの力が大きい。インターネットによって私たち自身の存在を高めることができ、また性的指向のために孤独や絶望感の中で暮らしている世界中の全ての人に思いやりを届けることができる」とCEOのマー氏は米国証券取引委員会への趣意書に書いた。

IPOで5000万ドル(約53億円)の調達を目指すとしたが、米国預託証券(ADS)の公募価格は決めていない。上場で調達する資金は新たなテクノロジーや国内外マーケットの拡大にあてる。現在は月間ユーザーの半分が海外マーケットだ。

ゲイであることを公表していなかった元警官のマー氏は、 LGBTQにフォーカスしたオンラインフォーラムとしてDanlan.orgを2000年に立ち上げた。そして2011年にBlued(ブルード)を設立するために仕事を辞めた。Bluedはゲイ専門のデートアプリでBlueCityが親会社だ。

当初は、多くの人がBluedをGrindrのコピーキャットとして見ていた。Grindrはカリフォルニアのスタートアップで、セキュリティ問題で売却を余儀なくされる前は中国企業が所有していた。Bluedは差別化を図るために数多くの機能を考案した。Bluedは主に同性愛の男性が使用していて、チャットやライブブロードキャストができるようにデザインされている。ただ、このアプリにはあらゆるLGBTQの人々のためのサービスが含まれ、6月には中国のレズビアンデートアプリを買収するための株式投資の落札内示書を出した。

3月時点のBluedの月間アクティブユーザーは600万人、登録ユーザーは4900万人だ。インドや韓国、タイ、ベトナムといった海外マーケットのファンも引きつけている。

Bluedの売上高の大半はライブブロードキャスティング中のバーチャルアイテムの販売によるものだ。1億700万ドル(約114億円)だった2019年売上高の88.5%がバーチャルアイテム販売だ。他の収入源は広告と会費で、会費を払うとユーザーはアプリ内のプレミアム機能を利用できる。

近年同社はLGBTQコミュニティのためのヘルスサービス提供を模索している。HIV相談や、クライアントへの海外の代理母の紹介(Blue Babyサイト)などだ。

BlueCityが想定しているビジネスリスクは、政府の政策と、さまざまな地域のマイノリティコミュニティに対するネガティブな社会の目だ。2018年初め、インドネシア政府はGoogle Play Storeに、Bluedを含むその部門の何十ものアプリを削除するよう求めた。ユーザーの安全を確保するのも極めて重要だ。2019年にBluedは未成年のユーザーに性的搾取をさらし、年齢確認に不備があったとして非難され、ユーザー登録の一時停止を余儀なくされた(Caixin記事)。

中国は1997年に同性愛を解禁し、2001年に精神疾患のリストから同性愛を除外したが、同性愛の公表はまだ微妙だ。中国で人気のミニブログサイトのSina Weibo(新浪微博)が同性愛に関連するコンテンツの禁止を発表したとき、同性愛コミュニティや多くの市民の間で大きな抗議が起こった。Sina Weiboは後に禁止を撤回(The Guguardian記事)した。

画像クレジット: Blued via App Store

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(翻訳:Mizoguchi

Googleが違反コンテンツで「ZeroHedge」の広告収益化を停止、「The Federalist」 には警告

Google(グーグル)は、極右ウェブサイトのThe Federalistを広告プラットフォームから追放した。警察の暴力に対する現在進行中の抗議活動に関するコンテンツが、ヘイトスピーチを禁止する同社のポリシーに違反したためだ。

NBC Newsによると、グーグルはThe Federalistおよび右翼ウェブサイト ZeroHedgeのいずれもが「憎悪、不寛容、暴力、人種差別を助長する」コンテンツによる収益化を禁止する同社ポリシーに違反したと判断した。

「ページやサイトが当社のポリシーに違反した場合、我々は措置を講じる。今回のケースでは、両サイトがグーグルで収益化する機能を削除した」とグーグルの広報担当者がNBCへの声明で語った。

アップデート:グーグルは自身の声明を撤回したか、あるいはNBC Newsの報道に異議を唱えているかのどちらかのようだ。同社広報のChrista Muldoon(クリスタ・マルドゥーン)氏はTechCrunch宛の声明で次のように語った。
「誤解のないよう言うと、The Federalistは現在収益化を禁止されていない。当社には広告を掲載できるコンテンツやコメントを規定する厳格な出稿ポリシーが確かにある。これは長年続いているポリシーだ」。

さらにグーグルは、両サイトの問題はコメントセクション内のコメントが、「危険または中傷的」なコンテンツに関するポリシーに違反したことによるものだと語った。

どうやらThe Federalistは、問題のコンテンツを削除しなければ収益化禁止の措置を受けるという警告を受け、一方ZeroHedgeは、以前警告を受けたがポリシー違反を修正しなかったために、収益化を禁止されたようだ。

英国の監視団体であるThe Center for Countering Digital Hate(デジタルヘイト反対センター)は、最近グーグルに通知を送り、進行中の抗議活動を対象とした人種差別コンテンツを複数の米国サイトについて報告し、The FederalistとZeroHedgeもその中に入っていた。その報告には、問題のサイトがグーグルの広告プラットフォームを通じて大金を稼いでいることも指摘されていた。

NBC Newsの報道によると、ZeroHedgeは抗議運動が実際にはフェイクであると主張する記事を公開し、一方The Federalisは、デモの現場で起きていることについてメディアは嘘をついているという説を広めようとした。The Federalistは自社サイトで「The Federalistは、新たな仕事への忠誠心の欠如から解雇された人の数を記録している」と、現在の人種間平等運動からの脱落者を引き合いに出した。本誌はグーグルに対して、具体的にどの記事がきっけかで行動を起こしたのかについて追加情報を求めている。

両サイトととも、他のソーシャルメディアからの監視対象にもなっていた。2020年3月にTwitter(ツイッター)は、新型コロナウイルス(COVID-19)の解決策として「管理された自主的感染」を推奨したThe Federalistのツイートを削除した(未訳記事)。人々がウイルスを拡散するリスクを高める恐れのあるコンテンツを禁止する同社のルールに違反したためだ。

2020年2月にツイッターは、コロナウイルス陰謀論に関わっているとされた中国人科学者の個人情報を公開したZeroHedgeのアカウントを停止(CBS NEWS記事)した。しかし調査の結果、先週末ツイッターはZeroHedgeを復活(THE VERGE記事)させ、アカウントの停止は執行上の誤りであったと説明した。

関連記事:With the coronavirus, usually distinct conspiracy groups turn to a shared interest (未訳記事)

画像クレジット:Beata Zawrzel/NurPhoto / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

米食品医薬品局が臨床試験で死亡例が続いた抗マラリア薬の緊急使用許可を撤回

米国食品医薬品局(FDA)は、クロロキンとヒドロキシクロロキンに対して出していた緊急使用許可(EUA)を撤回したとThe Washington Postが報じている。いずれも抗マラリア薬で慢性関節リウマチの治療にも用いられている。この薬品はDonald Trump(ドナルド・トランプ)大統領が新型コロナウイルス(COVID-19)の治療に効果があると発言していることでよく知られているが、現在進行中の世界的なパンデミックを起こしている感染症に対する効果の可能性を示した初期の医学研究結果は、科学的正当性に乏しく重大な懸念が指摘されている。

その後の研究では相反する結果が出ており、ある研究チームは、多数の死者が出たためにこの薬剤の臨床試験を中止した。2020年3月下旬にFDAは、クロロキンとヒドロキシクロロキンの使用に対してEUAを発行したが、有効性と安全性に関する検証結果が実にさまざまであることから医学界、薬学界による強い批判を呼んだ。その後の臨床試験で死亡例が続いたことを受け、FDAは同薬品の使用に関する警告の声明を発表した。

FDAは、同局の完全かつ厳格な承認プロセスを経ていない治療法や機器の使用を迅速化することがリスクを上回る、と判断した場合にEUAを与える。新型コロナパンデミックによって、FDAは通常よりも多くのEUAを発行しており、中でもその発症原因である新型コロナウイルスによる感染を診断する検査機器に対しては特に多い。

トランプ大統領はクロロキンとヒドロキシクロロキンの効果を無責任に吹聴した挙げ句、感染を免れると誤って信じている予防手段として自分自身でこの薬品を服用し始めた。同薬品の供給は、高まる需要によって強い圧迫を受け、紅斑性狼瘡や慢性関節リウマチなど、承認済みでその効果が臨床的に実証されている疾病のために必要としている人びとが、悲惨な状況に直面する恐れを生んでいる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

シリコンバレーは黒人の起業家と投資家を応援している

警察による残虐行為と体系的人種差別から生じる経済的不平等への抗議行動が米国で続くなか、テクノロジー業界がこの大義への支持を表明しており、ベンチャーキャピタル企業もこの輪に加わっている。

テクノロジー企業の経営陣や彼らを支持する投資家たちは、この抗議運動とBlack Lives Matter(黒人の命の大切さを訴える)運動を支持する声明を発表している。Benchmark(ベンチマーク)、Sequoia(セコイア)、Bessemer(ベッセマー)、 Eniac Ventures(エニアックベンチャーズ)、Work-Bench(ワークベンチ)といった企業、そして SaaSTR Fund(SaaSTRファンド)の起業家であるJason Lemkin(ジェイソン・レムキン)氏などがこの大義を支持し、ベンチャーキャピタル業界での人種的偏りを改善する手立てを講じるとツイートした。

しかし、一部の黒人起業家および投資家は、テクノロジーおよびベンチャーキャピタル業界が歴史的不平等に対しこれまで何らのアクションも起こしてこなかった事実を踏まえ、これらの企業の動機に疑問を呈している

「テクノロジー業界で黒人を見出し、雇用し、資金を融資するのは、他のグループを見出し、雇用し、資金を融資するプロセスと同じです。まずそのグループに属する人々と関係を築き、そのコミュニティーのオピニオンリーダーを探し、彼らから学んだ上で、採用チームや投資チームに対し融資の専門知識に欠けた部分があることを伝え、それを埋めるのです。一人の人物に形ばかりの関与をしたり、一度きりの取り組みに資金を提供したり、情報ルートの問題として処理するのは正しいやり方とは言えません」と、Cleo Capital(クレオキャピタル)のマネージングパートナーであるSarah Kunst(サラ・クンスト)氏はメール上でTechCrunchに語る。「これらのファンドが持つ有り余るスキルやリソースを使って学び、関係を構築し、資本を展開する。これこそが重要な点です」。

「採用し、資金を提供する」

投資家の取るべきステップは主に2つに絞り込まれるという。人々を採用し、投資するというアクションだ。

Mediumへの投稿で、ニューヨークを拠点とする投資会社Work-Benchは黒人起業家や投資家への支援を確実に行うための詳細な手順を示した。

同社は、Equal Justice Initiative(イコールジャスティスイニシアチブ)Southern Poverty Law Center(サザンポバティローセンター)Color of Change(カラーオブチェンジ)といった組織への経済的支援に加え、 自社の事業が黒人起業家や投資家支援につながることを保証する新しいステップを導入中である。

同社は、「関心のある場合」に取るその他数々のステップについても詳しく述べている。そのステップには、他のエンタープライズVCのためにエンタープライズスタートアップに取り組んでいる黒人起業家の公開データベースを照合したり、HBCUvc(VCやテクノロジー産業でのキャリアのために黒人を訓練する非営利組織)や黒人が関与するその他のVC企業と協力したりするといったことが含まれている。

一部の企業は、HBCU(歴史的黒人大学)から発生した企業に独占的に焦点を当てる専門プレシード投資ファンドを創設するなど、さらに一歩進んだ手段を講じている。

これらのイニシアチブは始まったばかりの初期段階にあり、投資家たちは彼らの取るステップについて明らかにする準備が整っていないが、彼らは独占的ファンドの枠を大きく拡大している。投資家たちはHBCUやランドグラント大学での採用活動を強化し、多様な候補に目を向けポートフォリオ企業内での社内トレーニングに力点を置き、広範囲かつ強力な社内起業家プログラムを通じて新世代のマイノリティ起業家を生み出そうとしている。

またこういった企業らは、進捗状況を監視し、企業内やポートフォリオの足りない部分を見出すためにベンチマークを設けることや社内調査を実施することを検討している。これを開始するには、まず企業が今まで何人の黒人起業家に投資したかを年次フォローアップとともに透明性と説明責任をもって公開するとよいだろう。

投資家たちはこれらのデータに内々でアクセスできるが、こういった統計を一般公開している企業は稀だ。Initialized Capital(イニシャライズドキャピタル)は月曜日、 最新のファンドのうち、黒人の起業家に率いられている企業は7%であることを発表した

Backstage Capital(バックステージキャピタル)の起業家Arlan Hamilton(アラン・ハミルトン)氏が我々へ送ってくれたメッセージの中で書いていたように、多様性の問題はファンド自体にも及んでいる。

「どこへ行っても投資家たちは、自分たちに何ができるだろうかと私に尋ねてきました。なにも複雑なことではありません。黒人の起業家に投資してください。『すべての』黒人起業家に投資する必要はありません。日頃のセオリーや、いわゆる『基準』を維持して、投資する黒人起業家を何人か見つければよいのです。必要とあらば私のところに130社のポートフォリオ企業がありますし、さらに雇用をおすすめできる数十人の黒人投資家をまとめた厳選リストを紹介することもできます。私のメールアドレスは、ARLAN@BackstageCapital.comです。もうこれで言い訳はできないでしょう」。

VCパートナーを採用する内部活動は、本質的に偏りのあるものだ。これをドミノ効果として考えていただきたい。LPが白人のGPだけに融資する場合、白人のGPは採用すべき他のパートナーを既存のネットワークの中で探すことになる。多様性に欠けるVC企業が、採用担当者または過小評価グループに属する起業家を通じて既存のネットワークを打ち破らない限り、このドミノ効果は今後も続いていくだろう。

「小切手を切りたい」

ベンチャー企業のパートナーたちは、黒人起業家のコミュニティを今後より強くサポートしていくことを約束している。

「私は一年の内そうたくさんの投資をする方ではありませんが(私はじっくり型の静かな投資家です)、あなたの会社の説明資料をメールしてください。6月は黒人起業家とだけ会う、またはZoomミーティングをするつもりです」とJason Lemkin(ジェイソン・レムキン)氏はTwitterに投稿した

ニーヨークを拠点とするEniac Ventures(エニアックベンチャーズ)の起業家Nihal Mehta(ニハル・メタ)氏はTwitterで、一対一のビデオ通話サービスを提供するSuperpeerを使用して、黒人起業家から無料でアポイントメントを受け付けると発表した。メタ氏のツイートから24時間以内に夏の間の予約がすべて埋まった。彼は黒人起業家と103回のミーティングを今後行う。

「これは相当な需要があり、黒人起業家とテックコミュニティーの間に埋めなければならない大きなギャップがあることを意味します」とメタ氏は言う。

Eniac Venturesチームは全社で、黒人起業家と話し投資を行うための無料の専用Superpeerコンサルティングスロットを設けている。

Spero Ventures(スペロベンチャーズ)のパートナー、Ha Nguyen(ハ・グエン)氏は金曜日に黒人起業家向けの朝食会とAMA昼食会を主催している。また、グエン氏は黒人起業家に対し、資金調達プロセス、会社説明、次のチェックのための紹介文について支援が必要なときには連絡を取るように提案した。「そして私は小切手を切りたいと思っています」とグエン氏はLinkedInに投稿している

Hustle Fund(ハッスルファンド)のElizabeth Yin(エリザベス・イン)氏は同社のポートフォリオ企業の15%がネットワーク外の企業であると述べ、起業家に対し同社に今後も完全なインバウンドピッチを送るよう促している。

またイン氏は、Score 3で働いている同社のベンチャーアソシエイトインターンJasmin Johnson(ジャスミン・ジョンソン)氏、あるいはBackstageの元プリンシパルであり、自身の投資家マッチングプログラムを立ち上げたLolita Taub(ロリータ・タウブ)氏のような、多様なネットワークを持つ起業家と非公式な取引フロー関係を築こうとしているところであると伝えた。

タウブ氏は、固定ツイートGoogleフォームを掲載し、そこでスタートアップからの投稿をレビューしている。その企業が彼女のお眼鏡にかなう場合には彼女から連絡し、他の投資家(Backstage Capital、Harlem Capital、Hustle Fund、WXR Fund)にふさわしいようなら、タウブ氏は両者を引き合わせる。

タウブ氏はテック業界とベンチャーキャピタル業界において華麗な実績を持っているため彼女のネットワークは広範囲に渡る。しかし彼女の投資プログラム自体はシンプルだ。これは多様なネットワークを持つバレーのスーパーコネクターなら、誰にでも再現可能な手法だ。

「才能はいつも身近にあった」

投資コミュニティーが黒人コミュニティーへのサポートを先を争って表明する中、黒人投資家やスタートアップ起業家はそうした動きに疑問を投げかけている。

抗議運動が長引き、数え切れないほどの黒人男性や黒人女性が警察の手によって命を失って後、やっと投資家がこの業界、そして国全体が直面する問題について行動を始めたという点にこの問題の深さが表れている。

黒人投資家が率いる企業、Precursor(プリカーサー)は日曜日次のような声明を発表した。

MaC Venture Capital(マックベンチャーキャピタル)のMarlon Nichols(マーロン・ニコラス)氏、Upfront Ventures(アップフロントベンチャーズ)の Kobie Fuller(コビー・フラー)氏といった投資家は、自らの投資活動とアフリカ系アメリカ人の人材ネットワークであるValence(ヴァレンス)のようなスタートアップの創設を通じて、優先事項として多様な起業家グループの育成を行ってきた

ニコラス氏が本日の投稿で指摘したように、業界における不平等を示すデータは驚異的である:

  • 黒人はスタートアップの幹部ランクにおいて82%過小評価されている
  • 調達された全ラウンドの75%以上が白人の融資チームに渡っている
  • 人種的に多様性のある創設チームおよび経営陣チームは、全員が白人の創設チームおよび経営陣チームよりも、買収とIPOにおいて高い実現倍数(RM)を生み出している(それぞれ3.3倍対2.5倍、および3.3倍対2倍)

ですから、心から人種差別に反対であるなら、今すぐに始めることができるのは、黒人男性や黒人女性が率いるスタートアップやファンドに投資しない理由についてあれこれ言い訳するのをやめることです。そのかわりに投資し、ネットワークを広げ、我々をリーダーシップ/意思決定ポジションで雇用し、白人が率いるスタートアップやファンドに適用している基準を我々にも適用してください。

改善への道のりは長く、投資家が現状を変えるためにできることは山程ある。

「あらゆるトップMBAプログラムには黒人の学生組織があり、あらゆるトップテック企業には黒人ERGがいます。まずはこの集団に対し採用活動を行ってください。黒人テックリーダーが率いるUlu(ウル)、Precursor、そして私自身のファンドCleo Capitalなど、とても有力なファンドがあります。 Chris Lyons(クリス・ライオンズ)、Ken Chenault(ケン・シュノー)、Adrian Fenty(エイドリアン・フェンティ)、そしてMegan Maloney(ミーガン・マロニー)といった非常に優秀な投資家もいます」とクンスト氏は書いている。

「私たちは皆、テック分野の黒人を見出しサポートするためどういったところで時間を費やしているか、熱心に発言しています。私たちはCulture Shifting WeekendやBlack Women Talk Techといったイベントで話し、Code2040やHBCUVC、Blck VCといった団体をサポートしています。簡潔に言うと、私たちは活動に尽力してきましたし、人材は常にそこあったのです。あとは何が残っているかというと、大規模ファンドがこの流れに乗って黒人のVCを雇用したり黒人の起業家に融資をするために真摯な取り組みを行ったりし、また彼らのポートフォリオ企業に対し、リーダーシップポジションに黒人を採用するよう促すことです」。

大規模なベンチャーキャピタル企業が過去数日間で発表した取り組みにより、過小評価グループに属する起業家がベンチャーキャピタル資金や意思決定者にアクセスする機会が拡大し、それが小切手につながるかもしれない。しかし、カレンダー上のアポやメールだけでは人種差別の問題は解決しない。黒人起業家に限定し、1ヶ月間独占的なミーティングを行っても、ベンチャーキャピタル業界に体系的に巣食った問題を解決するには至らない。

それゆえ、ベンチャーコミュニティーはより強固なアクションを取る必要がある。なぜなら言葉だけの声明は、小切手を切ったり採用を行うことほどの力を持たないからである。

関連記事:シリコンバレーは黒人が経営する企業の支援で組織的人種差別と戦うことができる

Category:パブリック / ダイバーシティ

Tag:差別 アメリカ

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(翻訳:Dragonfly)

インターネットアーカイブが無料の電子書籍プログラムを2週間前倒しで終了、出版社からの訴訟を受け

National Emergency Library(NEL、全国非常時図書館)は、最終的に反発を招く運命となった多くの善意に基づくアイデアのひとつだ。これはInternet Archive(IA、インターネットアーカイブ)の発案によるプラットフォームで、130万冊を超える本を無料で借りることができる。新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより全国の図書館が閉鎖されていたために、このシステムは教育者の本のニーズを補うようにデザインされていた。

その一方で出版社はそれを良しとしなかった。2020年6月初めに、出版社4社によるコンソーシアムがインターネットアーカイブに対して訴訟を起こした。「『オープン・ライブラリ』という名称にもかかわらず、インターネットアーカイブの行為は合法的な図書館サービスを大幅に上回り、著作権法を踏みにじり、産業規模で故意にデジタル著作権侵害を構成しています」とHachette(アシェット)、HarperCollins(ハーパーコリンズ)、Wiley(ワイリー)、Penguin Random House(ペンギン・ランダムハウス)の4社はニューヨーク連邦裁判所宛の訴状に書いている。

その脅しだけで十分だった。インターネットアーカイブは米国時間6月12日、ライブラリが米国時間6月15日に閉鎖されると発表した。これはもともと閉鎖を予定していた6月30日よりも2週間早い日付だ。

「この苦情は、デジタルブックを所有およびそれを貸し出すという図書館の概念全般を攻撃し、図書館がデジタルの世界でどのようなものかという、考えそのものに異議を唱えているのです」とインターネットアーカイブは述べている。「この訴訟は当初NELについて懸念を表明したものの、最終的には私たちと協力して物理的な学校や図書館から切り離された人びとに、アクセスを提供することを決定した一部の学術出版社たちとは対照的なものです。私たちは、ここでも同様の協力が可能であること、そして出版社たちが費用のかかる攻撃を中止することを望んでいます」。

インターネットアーカイブはさらに、このサービスを利用したすべての教育者や、それを利用して最前線で働く労働者たちに健康維持マニュアルを提供している司書の言葉を引用している。しかしそうした美談を前にしても、出版社たちがひるむことはなかった。訴訟を起こした出版社たちは、特にインターネットアーカイブがライセンス料を払わないことや、従来の図書館と合意してきた制限を欠いていることを問題にしている。

それは出版社たちがインターネットアーカイブに対して抱いてきた長年の不満であり、ついには「産業規模で故意にデジタル著作権侵害」を構成しているとまで言わしめたものなのだ。最終的には、数週間早く店仕舞をすることが最も抵抗が少ない道だったようだ。だがインターネットアーカイブはその投稿を、将来のコラボレーションに含みを残しつつ締めくくっている。「役に立つデジタルシステムをともに作り上げていきましょう」と。

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(翻訳:sako)

バイデン氏がトランプ氏の勝手を許すFacebookを非難しポリシー変更を要求

政治的発言の管理に関して責任回避を続けるFacebookの態度に、ジョー・バイデン氏はしびれを切らしたようだ。

米国時間6月11日、民主党大統領候補はFacebook幹部に対する反対運動を起こし、Facebookの一連の決定を非難する公開書簡を発表するとともに、#MoveFastFixIt という人目を引くハッシュタグをつくった。これは悪評だったFacebookの初期のスローガン、 “Move fast and break things” [素早く動いて破壊せよ]をもじったものだ。

ソーシャルネットワークの巨人を痛烈に批判するバイデン氏は、彼の支持者、さらにはおそらくFacebookを批判する人たち全員に向けて、同社が「フェイクニュース」(トランプ大統領が気に入っている言葉だがここでは意味が違う)を広めるのをやめ、素早く動いてバイラルな偽情報を削除するよう要求することを訴えた。さらに、投票を阻止するコンテンツに反対し、PAC(政治活動委員会)や立候補者がFacebookで「嘘を広める」ことを、特に投票日の2週間以内には、やめさせるよう呼びかけた。

大部分の指摘はFacebookに対してよく言われている批判だが、2週間の「選挙前期間」に政治的広告が配信される前に、Facebookが事実確認を行うべきという提案は今までになかった。

これまでFacebookは、政治広告に対して無干渉を続けてきた。Facebookとは大きく異るポリシーを掲げるTwitterは、昨年末に政治広告そのものを禁止した。しかし、Facebookがその道を選択しているとしても、同社が2016年の大統領選挙で海外からの誤情報拡大に一役買ったという自己意識が働いていることを踏まえれば、バイデン陣営はこの「2週間」の要求を勝ち取ることができるかもしれない。

バイデン氏はFacebookの失敗とされている事象に対する攻撃の一環として、支援者に嘆願書の署名を呼びかけている。キャンペーンページには、FacebookのTwitterアカウントにダイレクトメッセージを送って説明責任を要求するためのテンプレート文へのリンクまで載っている。

「2020年選挙まで5ヶ月を切った今、2016年選挙以来今も民主主義を脅かしている偽情報が再び悪事を起こさないためには、Facebookのプラットフォームに関するポリシーと、その実行方法に本当の変化をもたらすことが必要だ」とバイデン陣営の広報担当者、Bill Russo氏がTechCrunch宛の声明で語った。「われわれは改革を求めるこの呼びかけで、支援者が自分たちの意見を聞いてもらえるよう努力することを強く求めている」

アップデート:Facebookは、バイデン氏の批判発言に対する公開回答を発表した。奇妙なことに、先月のトランプ大統領のソーシャルメディアに関する執行命令に言及している。これは、執行されていれば、Facebookなどのソーシャルネットワークに関する重要な法的保護を根底から揺るがすものだった。全文を以下に掲載する:

私たちは民主主義社会を生きていて、そこでは選ばれた議員が選挙運動のルールを決めている。2週間前、米国大統領は執行命令を発行し、ソーシャルメディアによる政治的声明の事実確認のような行動を禁じるよう連邦政府関係機関に指示した。今週、民主党大統領候補が嘆願活動を開始し、当社にその正反対のことを要求している。米国政府が放送ネットワークに対して、政治家の選挙運動広告を拒否することを禁止しているのと同じように、国民に選ばれた代表者がルールを決めるべきであり、われわれはそれに従う。11月には選挙あり、われわれは政治的発言を保護する、たとえ全く違う意見であっても。

関連記事:
Facebook社員がバーチャルストを敢行、トランプ米大統領の投稿に対する会社の態度に抗議

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ナスダック総合指数10000ポイント達成の意味とは?

米国時間6月9日、1万ポイントの節目を迎えたNASDAQ(ナスダック)総合指数は、Yahoo Financeによると6月10日午前に1万28.61という日中最高値の新記録を更新した。

平常時であれば、これはお祭り騒ぎの出来事だった。業界の勢力を示すテック中心インデックスが長年伸びてきた結果の最高潮だ。しかし、経済は国が正式に認めた不況(Yahoo Finance記事)となり、失業率は大恐慌の数字を上回り、毎日約1000人の米国人が新型コロナウイルス(COVID-19)で命を落としているいま、悲惨な失業率の中でのインデックスの反発は、少々薄汚い印象を受ける。

シャンパンを開けよう。

最近の株価反発を巡っては警鐘を鳴らす向きもあった。きっかけは民間投資家と思われ(Business Insider記事)、アナリストらのテック株の格下げ(@DeItaOneのツイート)や、絶好調のSaaS分野の売上減少などもあった。しかしそんなことは関係ない。本日Tesla(テスラ)は1005.38ドル(未訳記事)だった。そして、Tesla(テスラ)の競合となるかもしれないNikola(ニコラ)は、6月10日に10%値を下げたが、まだ売上もない中で260億ドル(約3兆円)の時価総額を維持している。

公開市場は異常な状態であり、誰もが買いに走っている(@stoolpresidenteのツイート)。そんなときのナスダック1万ポイント超えには意味がない。真のイマジネーションに欠ける我々人間が、実体のあるものと思い込もうとしているランダムな数字にすぎない。

いずれは今週を振り返って、この反発は登っているはしごの一段にすぎなかったことに気づくのだろう。あるいは、ドットコムバブルのNasdaq 5000と同様、現在の数字は最高水位であり、イカロスの翼をとめた蝋が溶け始め、太陽が少々暖かすぎると感じる前にどこまで高く飛べるかを示しただけなのかもしれない。

関連して、利益率5%前後を誇り、6月9日に上場したオンライン中古車販売のVroom(未訳記事)は、2日間でIPO価格の22ドルから143%値上がりした。

ともあれは、我々はナスダックの節目に言及した。礼はいらない。

画像クレジット:Siavash Ghanbari / Unsplash under a Unsplash License(画像は加工済み)

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

マイクロソフトと米警察機関との契約中止を社員グループが要請、支援者は250人、グループメンバーは1万人

Microsoft(マイクロソフト)の社員グループが経営陣宛てにレターを送り、会社と警察機関との契約を打ち切るよう求めた。

OneZeroの報道によると、Eメールで送られたそのレターは、同社若手社員が集まるFacebookグループから生まれた。レターはマイクロソフトのCEOであるSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏と執行副社長のKurt DelBene(カート・デルベーン)氏に直接宛てられ、250人の支援者にコピーが送られた。過去にはマイクロソフト社員が別の活動を同じFacebookグループから組織したことがある(OneZero記事)。現在グループには約1万人のメンバーがいる。

メールは会社に対して警察機関との契約を破棄し、シアトル警察署の「資金援助打ち切りと非軍事化」の支援と、Black Lives Matter Seattle(ブラックライブズ・マター、シアトル)の支持を要求している。さらに経営陣に対して、生産性への期待値を緩和し、新型コロナウイルス(COVID-19)とジョージ・フロイド事件への抗議運動という二重の危機の中で、週4日労働の実施を要求している。

レターは地元警察による残忍行為の事例をいくつも挙げ、「シアトルから何マイルも離れた場所に住む同僚、マネジャー、幹部」に向けて格差をなくすよう呼びかけ、24時間続くヘリコプター騒音、催涙ガス、閃光発煙筒、ゴム弾、銃撃、武装警官でいっぱいのワゴン車やバスなど、シアトル中心部で明らかにされた国家が認める暴力の実態を示した。

「あらゆるレベルの幹部や管理職を通じた認知と共感が今すぐ必要である。そうすれば公共の安全と精神衛生の危機の中にいる同僚たちに同僚を教育する負担がかかることはなくなる」とレターには書かれている。

先週ナデラ氏は、現状の人種的不公平に対する会社の方針をメールで従業員に伝え、会社は「目を見開き組織の状況を調べて最善を尽くす」と語った。同氏は、人種不公平と警察解体に関するMinnesota Freedom FundBlack Lives Matter FoundationInnocence Projectといった6つの運動に150万ドル(約1億6000万円)を追加で寄付することを約束した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

米アップルが新型コロナ対策アプリに症状と健康状態を匿名で共有できる機能を追加

Apple(アップル)は自社製の新型コロナウイルス向けのiOS用対策アプリウェブサイトに新機能を追加した。ユーザーの年齢、これまでの健康状態、症状、潜在的な暴露のリスク、居住している州といった情報を匿名で共有できるようになった。同社によれば、こうした情報は個人を特定するいかなるデータとも関連付けられていない。集計情報としてCDC(米疾病管理予防センター)に提供され、同センターが新型コロナウイルス感染症のスクリーニングプロトコルを改善するのに役立てられるという。

またこのアプリは、集計されたデータによって公衆衛生機関とCDCを支援し、新型コロナウイルス感染症に関して、および暴露の内訳と暴露リスクに関して、潜在的なリスク要因についての入手可能なベストな情報を一般に提供できるようにする。

アップルはすでに3月に、コロナウイルスのスクリーニングアプリとウェブサイトを立ち上げていた。検査すべきかどうかのアドバイスをユーザーに提供するためのスクリーニングツールや、手洗いや消毒のベストプラクティスといった予防策に関するヒントも提供してきた。

このアプリとウェブサイトは、アップルとGoogle(グーグル)の共同作業によるCOVID-19 Exposure Notification APIとは別物だ。そのAPIは、公衆衛生機関や、そのパートナーが利用できるデベロッパー向けのツールで、匿名化され、プライバシーに配慮した通知機能を実現するもの。新型コロナウイルス感染症の人と接触した可能性があるか、暴露したかもしれないユーザーに対して警告する。ここで取り上げたアップルのアプリは、情報の提供とスクリーニングのためのツールに過ぎない。とはいえ、今回のアップデートにより、匿名化された集計データの収集を通して、公衆衛生機関とCDCが新型コロナウイルス感染症の広がりを、よりよく理解するためのリソースとしても機能するようになる。

どのように受け取られているかはともかくとして、新型コロナウイルスが登場してから、まだそれほど長くは経っておらず、科学者や研究者も、まだ十分に理解できているとは言えない。感染した集団について、より多くのデータや情報を収集して研究することは、健全なコミュニティとして、新型コロナウイルスに関して多くを学び、その脅威をどのように緩和するのがベストなのか知るための重要な手がかりとなる。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

軍隊化に対する批判が高まる中、米警察に軍の装備を提供する「1033プログラム」に再び注目が集まる

George Floyd(ジョージ・フロイド)氏の死と世界中の抗議運動は、米国における警察の役割を巡る大きな議論を呼び覚ました。米国時間6月7日、フロイド氏の地元ミネアポリス市は、市議会の拒否権に対抗できる過半数決議によって市警察の解体計画を発表した。

さまざまな要素が警察の行動に対する一部市民の懸念を高めさせている中、全米の都市で軍隊的存在が映し出された画像が絶え間なく流れてくる。抗議運動中ののミネアポリスやシアトルなどの都市では、MRAP(耐地雷・伏撃防護車両)が主役の座を占めている。

MRAPは、軽量の戦闘用車両でIED(簡易爆破装置)による攻撃に対処するために作られた。イラク戦争向けに設計されたこの車両は、装甲型ハンビー(高機動多目的装輪車)に似ていて、米国の道路で警察が抗議する人々衝突する前を、揃って走行していた様子は記憶に残る映像だ。

このMRAPは、1033プログラムを通じて警察の所有となった数あるお下がり軍用備品のひとつにすぎない。1997年にクリントン政権下で可決された国防権限法の一部として制定された同プログラムは(法案の第1033項に掲載されていた)、戦闘用軍装備品が警察機関の手に渡る主要な手段となっている。

プログラムはその目的に対して大成功を収め、大都市から小さな町にいたるまでが利用した。著書「Rise of the Warrior Cop : The Militarization of America’s Police Forces(警官戦士の誕生:米警察の軍隊化)」の中でRadley Balko(ラドリー・バルコ)氏は、同プログラムによって340万件の注文が、全50州で1万1000カ所の警察機関に届けられた。バルコ氏の本が出版された1年後、警察官だったDarren Wilson(ダレル・ウィルソン)氏がMichael Brown Jr. (マイケル・ブラウン・ジュニア)氏を銃撃した後、ミズーリ州ファーガソン市は国民の注目の的となり、1033プログラムは国中の監視にさらされることとなった。

「それらの軍装備品に、国の薬物監視予算と財産没収予算が加わったことで、SWATチームが欲しい警察署長は誰でも手に入れて予算をつけられるようになった」とバルコ氏は書いた。「トレンドはもっと小さな町にも広がった。2000年代中頃までに、SWATはペンシルベニア州ミドルバーグ(人口1363人)、フロリダ州リースバーグ(人口1万7000人)、オハイオ州マウント・オラブ(人口2701人)、ウィスコンシン州ニーナー(人口2万4507人)、マサチューセッツ州ハーウィッチ(人口1万1000人)、ミズーリ州バトラー(人口4201人)などの街にもやってきた。

数カ月前、ACLU(米国自由人権協会)は警察の軍事化に関する膨大なレポートである「War Comes Home(戦争が街にやってくる)」を出した。26州およびワシントンDCの警察機関に請求した公文書に基づくこのレポートで、1033は調査の中心的役割を果たした。ACLUはアリゾナ州だけで対爆スーツ32着、銃1034丁、多目的トラック120台、装甲車64台、ヘリコプター3機などを格納した倉庫を見つけた。

1990年代末以降、同プログラムによって74億ドル(約8000億円)の武器その他ペンタゴン備品が警察の手に渡った(WIRED記事)。プログラムは当然のことながら政治家たちの監視にされた。6月3日抗議運動の最中、少数派院内総務のChuck Schumer(チャック・シューマー)上院議員宛てに書かれた書簡でBernie Sanders(バーニー・サンダース)上院議員は、「攻撃用軍事物資の警察署への移管」禁止を訴えた(Twitter投稿)。

実は、同プログラムに対する批判は超党派的行動だ。2014年にTime誌の論説記事で、ケンタッキー州選出のRand Paul(ランド・ポール)上院議員は「この警察の軍事化と市民権の崩壊が組み合わさったとき、【略】私たちは極めて深刻な問題を抱えることになる」と書いている(TIME記事)。

2020年6月8日、下院民主党議員らは警察の不法行為の透明性を高めることを目的とした法案を提出した。ニューヨーク州議会は別に独自の法案を発表した。いずれもミネアポリスほど踏み込んではいないものの、多くの人々が米国警察の劇的な改革に関心をもっていることは明らかだ。25年近く前に制定された1033に対する長年の注目を踏まえると、このプログラムがこうした変革の格好の標的になることは間違いない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ディープフェイクテキストが国家の危機を増幅する

編集部注:本稿はJinyan Zang氏、Latanya Sweeney氏、Max Weiss氏による寄稿記事である。Zang氏はハーバード大学のData Privacy Labの研究者、Sweeney氏はハーバード大学で「政府とテクノロジー」を専門にする教授、Weiss氏は今回のディープフェイクテキスト実験を実施したハーバード大学の学生だ。

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米国の連邦政府機関は国内における新型コロナウイルスのパンデミック拡大を阻止しようとさまざまな措置を講じており、その厳しさは増すばかりだ。連邦政府により策定される規則の影響を受ける米国民と企業は、自分たちの意見や経験をどのように政府に伝えることができるのだろうか。移動の制限監視の強化などをはじめとする新たな規則の多くは、施行に際して連邦政府の権限を平時よりも拡大する必要がある。このような場合、米国の法律では、連邦政府が規則案を一般に公開し、国民がオンラインで意見を投稿できるようにすることが義務付けられている。しかし、米国の民主主義にとって不可欠な仕組みである連邦政府のパブリックコメントウェブサイトは、今回のような危機に際して安全に機能するのだろうか。ボットによる攻撃に対して脆弱ではないだろうか。

2019年12月、筆者らは、自動化された攻撃に対するパブリックコメントプロセスの脆弱性に関する実調査についてまとめた新しい研究論文を発表した。この調査では、誰でも利用できる人工知能を使用してディープフェイクテキスト(コンピュータが深層学習により人間の発言を模倣して生成するテキスト)によるコメントを1001件生成し、それを実際にアイダホ州のメディケイド被保険者に就業状況報告を義務付ける連邦規則案に関するパブリックコメントを募集するためにCenters for Medicare & Medicaid Services(メディケア・メディケイド・サービス・センター、CMS)が開設したウェブサイトに投稿するという実験を行った。

ディープフェイクテキストを使用して作成したコメントは連邦パブリックコメント期間中に投稿されたコメント総数1810件の55%以上を占めた。筆者らは、その後の追跡調査で、これらのコメントがボットによるものだと思うか、実際に人が書いたものだと思うかを尋ねるアンケートを実施した。回答者の正答率は50%、当てずっぽうで答えたときの確率と同じだった。

Image Credits: Zang/Weiss/Sweeney

上記はボットによって生成されたディープフェイクテキストの例だ。アンケート回答者全員がこのテキストは人が書いたものと判断した。

筆者らは実験終了後、ディープフェイクコメントを投稿したことをCMSに通知し、それらのコメントを投稿履歴から削除したが、悪意のある攻撃者がそれと同じことをするとは思えない。

連邦ウェブサイトに対する大規模なフェイクコメント攻撃は過去にもあった。例えば、2017年、ネット中立性規制を撤廃する規則案について、連邦通信委員会(FCC)のウェブサイトに対してフェイクコメント攻撃が行われたことがある。

ネット中立性規則に関するパブリックコメント期間中、通信業界団体のBroadband for America(ブロードバンド・フォー・アメリカ)に雇われた複数の企業が、ボットを利用してネット中立性規則の撤廃を支持するコメントを作成したのだ。こうして投稿された数百万件のコメント(中にはすでに亡くなっている有権者や架空の人物になりすましたものもあった)によって、世論がねじ曲げられたのである。

ネット中立性に関するコメントを事後にテキスト解析したみたところ、FCCのネット中立性撤廃案に対する2200万件を超えるコメントのうち実に96~97%がボットを使ったコメント操作だった可能性が高いことがわかった。このコメント操作では比較的単純で目立つ検索・置換方式が使われていたため、FCCのように膨大な数のコメントが投稿された場合でも容易に検出できたはずだ。しかし、調査の結果、簡単な検索・置換方式で作成された不正なコメントであることが判明した後も、FCCはそれらのコメントを正当なパブリックコメントとして受理していた。

このように、比較的単純な方法でも連邦政府の政策決定に影響を与えることができたという前例がある。しかし、ボットによるディープフェイクテキスト投稿がもたらす脅威について筆者らが行った実験から、今後の攻撃はより高度で検出困難になる可能性が明らかになった。

パブリックコメントに関する法律と政策

はっきりさせておこう。自分たちの要求を伝えそれを検討してもらうことができる仕組みは民主主義モデルの根幹である。憲法に明記され、人権擁護団体によって厳密に保護されているとおり、すべての米国民は、投票、自己表現、異議申し立てなどにより、政府に参加する役割を保証されている。

Image Credits: Zang/Weiss/Sweeney

連邦政府機関が全米市民に影響を与える新しい規則を策定する際には、規則案によって最も影響を受ける一般市民、権利擁護団体や企業が連邦機関に対して懸念を表明できるようにパブリックコメント期間を設け、その規則について最終決定を行う前にそれらのコメントを検討することが法律で義務付けられている。このようなパブリックコメントの義務化は、1946年の行政手続法の成立により導入され、2002年には電子政府法により、連邦政府はパブリックコメントを受信するオンラインツールを作成することを求められるようになった。それ以来、投稿されたコメントを実際に調査したことを証明すること、およびパブリックコメントに基づいて下した決定に関連する分析結果や決定の正当性を示すものを開示することを連邦政府に要求する判決がいくつも下されている[Overton Park保護団体対Volpe 401 U. S. 402, 416(1971)Home Box Office対FCC 567 F.2d at 36(1977)Thompson対Clark 741 F. 2d 401, 408(CADC 1984)を参照のこと]。

実は、筆者らがCMSのパブリックコメントサイトでディープフェイクテキスト投稿に対する脆弱性をテストしたのは、2019年6月、米国最高裁が7対1で「CMSは、州内でのメディケイド資格取得規則に就業状況報告義務を追加するという州政府の提案を検討する際に、行政手続法のパブリックコメント検討義務を省略することはできない」という判決を下したからだ。

政治学者の研究によると、パブリックコメントは連邦政府機関による最終決定に大きな影響を及ぼす可能性がある。例えば、ハーバード大学が2018年に行った調査によると、連邦準備制度が定めるドッド-フランク法関連規則についてコメントを投稿した銀行は、コメントしなかった銀行よりも70億ドル(約7600億円)多い超過リターンを獲得していたことが判明した。さらに、同調査においてボルカー規則とデビッドカード交換規則について投稿されたコメントを分析した結果、さまざまな銀行から投稿されたコメントが、初期草案から最終案に至る「不透明なプロセス」に重大な影響を与えたことがわかった。

2017年のネット中立性撤廃規則では、業界団体のブロードバンド・フォー・アメリカが、正式な社名を使って直接コメントするだけでなく、ネット中立性撤廃を支持する数百万件のフェイクコメントを投稿することで、FCCの規則案が米国市民によって広範に支持されているという誤った認識を作り上げた。

ディープフェイクテキストによるパブリックコメントへの投稿を阻止するテクノロジー

筆者らの研究はディープフェイクテキストの脅威がパブリックコメントウェブサイトに混乱をもたらすことを示しているが、これは、長年にわたり米国の民主主義を支えてきたパブリックコメントウェブサイトという仕組みを終わらせるべきだということではない。テクノロジーを活用して、人間が書いたパブリックコメントのみを受け入れ、ボットによるディープフェイクテキストは拒否する革新的なソリューションを実現する方法を見つける必要がある。

パブリックコメントプロセスには、コメントの投稿とコメントの受理という2つの段階があり、どちらの段階でもテクノロジーを活用して問題を解決できる可能性がある。

まず、コメントの投稿という最初の段階にテクノロジーを利用することで、そもそもボットがディープフェイクコメントを投稿するのを阻止できる。そうなると、攻撃者はボットの代わりに大勢の人を使わざるを得なくなり、コストが高くなって攻撃自体が割に合わなくなる。すでに広く浸透しているソリューションの1つにCAPTCHAボックスがある。インターネット上の入力フォームの末尾で、ある単語を視覚的に判読するか音声で判別するように求め、正解した場合にのみ送信をクリックできるようにする仕組みだ。CAPTCHAでは余分な手順の追加によりボットによる送信実行が困難になる。こうしたツールは、障がい者でも使えるように改善する余地はあるものの、正しい方向への一歩といえるだろう。

ただし、海外の安い労働力を使ってCAPTCHAの入力を行わせディープフェイクコメントを投稿するという手段を取られたら、CAPTCHAでは攻撃を阻止できない。これに対抗する1つの方法として、コメントを投稿するたびに毎回厳密な個人情報の入力を求めるという方法が考えられるが、その方法だと、CMSやFDA(食品医薬品局)によって現在行われている匿名コメントの受け付けが不可能になる。匿名コメントは、ヘルスケアなどのデリケートな問題に関する規則案によって多大な影響を被る可能性のある個人がプライバシーを守りつつコメントする方法として有用だ。したがって、ユーザーの認証手順とコメントの投稿手順を切り離して、認証された個人だけがコメントを匿名で投稿できるようにすることが技術的な課題となるだろう。

最後に、第2段階のコメントの受理においては、より高度なテクノロジーによって、ディープフェイクテキストと人間による投稿を識別できる。筆者らの研究では100人を超える調査対象者がディープフェイクテキストの例をフェイクとして判別できなかったが、より高度なスパム検出アルゴリズムが登場すれば、判別率は向上するだろう。今後、機械学習による手法が進歩するにつれ、ディープフェイクテキストの生成アルゴリズム開発と判別アルゴリズム開発がせめぎ合うようになるかもしれない。

当面の課題

将来、テクノロジーの進歩によってさらに包括的なソリューションが可能になるとはいえ、ディープフェイクテキストが米国の民主主義に及ぼす影響は現在進行中の脅威である。そのため、連邦政府のすべてのパブリックコメントウェブサイトで、当面のセキュリティ措置として最新のCAPTCHAを採用することを推奨したい。この方針は、米国上院調査委員会のReport on Abuses of the Federal Notice-and-Comment Rulemaking Process(連邦告知とコメント規則策定プロセスの乱用に関する報告)でも支持されている。

加えて、より優れたテクノロジーソリューションを開発するために、政府、研究者、民間のイノベーターという産学官の連携を確立する必要がある。ハーバード大学が、他の20の教育機関およびニューアメリカ財団、フォード財団、ヒューレット財団と共にPublic Interest Technology University Network(パブリックインタレストテクノロジー大学ネットワーク)に参加したのもそのためだ。このネットワークは、公益に資することを目指す新世代の技術者や政策担当者を支援することに専念している。さまざまなカリキュラム、研究および実験的な学習プログラムを通して、パブリックインタレストテクノロジーという分野を構築するのが目的だ。将来的には、最初から公共の利益を考えてテクノロジーの開発と規制が行われるようになることを目指している。

新型コロナウイルスによって米国社会のさまざまな部分が大きな打撃を受けたが、トランプ政権下の連邦機関が規制緩和規則を提案する動きは弱まっておらず、それらの緩和規則が及ぼす影響は現在のパンデミック収束後も長く続くだろう。例えば、2020年5月18日に環境保護庁(EPA)が、EPAによる規制の支持に使用できる研究調査の制限に関して新しい規則を提案したが、この規制案には2020年4月6日時点で61万件のコメントが寄せられている。また、2020年4月2日には、教育省がオンライン教育と遠隔教育に関する規制を恒久的に緩和する新しい規則を提案した。さらに、2017年に2200万件ものボット生成コメントが投稿されたFCCのネット中立性規則に関するパブリックコメントは、「FCCはネット中立性規則の廃止が公共の安全と低所得者向け携帯電話アクセスプログラムに及ぼす影響を無視した」という連邦裁判所の判決をうけて、2020年2月19日にコメント募集が再開された。

連邦機関のパブリックコメントサイトは、規則の最終案が決定される前に米国の市民と団体が連邦機関に対して懸念を表明する唯一の手段だ。より高度なテクノロジーを活用して不正防止を図ることにより、国家の危機の際に米国の民主主義がディープフェイクテキストによってさらなる脅威にさらされるという事態を防ぐ必要がある。

“新型コロナウイルス

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Category:パブリック 人工知能・AI

Tag:ディープフェイク ディープラーニング

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(翻訳:Dragonfly)

Reddit創業者アレクシス・オハニアン氏が役員を退任、後任に黒人の指名を要望

米国6月5日、Reddit(レディット)の創業者で前CEOのAlexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏が役員から退いた。ミネアポリスの警察が武器を所持していなかった黒人男性のGeorge Floyd(ジョージ・フロイド)氏を殺害したのち、警察の残忍な行為に対し米国全土で抗議が展開されている中での発表だ。

オハニアン氏は彼が創業した会社に対し、後任には黒人を指名するよう求めている。これは、人種問題に関して不安定な道を辿ってきた同社にとって明確に態度を示すステップとなる。

「辞任は、現在力を持つ人々のリーダーシップの行為になると確信している」とオハニアン氏は発表の中で述べた。「分断された我々の国を正すために闘っている人々へ:止まってはいけない」。

今回の決断とともに、同氏は自身が保有するReddit株の今後の利益を「主に人種の憎悪に取り組む」黒人コミュニティに投資することも明らかにした。信頼できる情報筋によると、その額は5000万ドル(約55億円)ほどになりそうだという。最初の取り組みはアメリカンフットボール選手Colin Kaepernick(コリン・キャパニック)氏が立ち上げた組織のKnow Your Rights Campに100万ドル(約1億1000万円)を提供する。この組織はブラックとブラウンコミュニティの自己啓発と安全に注力している。

テック業界の多くのリーダーが、根深い人種差別に取り組むそれぞれの方策を持つよう業界に求めている。オハニアン氏の動きはそうした取り組みを増幅させることになりそうだ。

テック企業は最高幹部レベルに黒人を含んでいないとして長らく批判されてきた。この黒人幹部の欠如が人種をめぐる多くのポリシー失敗の原因となってきた。実際、Facebook(フェイスブック)が白人至上主義を禁止した(未訳記事)のは1年前だ。

「私は15年前に人々がコミュニティと帰属意識のようなものを探すことができるようRedditを共同で創業した。正しいことをするためにずいぶんと時間がかかった。私は自分のために、家族のために、そして国のために実行する」とオハニアン氏はTwitter(ツイッター)に書いた。「黒人である私の娘が『父さんは何をしたの?』と尋ねた時に回答できるようにしておく必要がある父親としてこう語っている」

アップデート:RedditのCEO、Steve Huffman(スティーブ・ハフマン)氏は、オハニアン氏の後任として黒人の役員をメンバーに加えてほしいという要望(Raddit記事)を社は尊重すると述べた。

オハニアン氏は2018年にRedditでの日々の任務からは退いた(Wall Street Journal記事)が、役員会には席を残していた。自信が創業した社の業務から離れるという変化は、最後の数年間少しずつ進んでいた。というのも、共同創業したアーリーステージのベンチャーファンド、Initialized Capital(イニシャライズド・キャピタル)により時間を費やすようになっていた。近年、同氏はまた有給育児休暇のような規則(Medium記事)を声高に推進するようになっていた。より公平でフレキシブルな育児休暇規則を求め、父親としての自身の経験も語っていた。2017年、彼の妻でテニス界のレジェンンドであるSerena Williams(セリーナ・ウィリアムズ)氏との間に娘が生まれた。

ソーシャルメディアプラットフォームの中でRedditはユニークな位置にいる。FacebookやTwitterといったプラットフォームが浴びているスポットライトは避けてきたが、問題がないわけではなかった。注目を集めてはこなかったが、Redditは近年有害なコンテンツへの対応を迫られた。r/blackpeoplehateやr/The_Donaldなどのようなサブコミュニティでの人種差別コンテンツをホストしているものだ。そうしたコミュニティに対し、Redditはすぐさまそれらを禁止(未訳記事)したり、「隔離」措置(未訳記事)にしたりと対応してきた。隔離措置になると、そのコミュニティは検索やレコメンデーションで表に出てこず、閲覧するにはユーザーはクリックしなければならない。

経営陣を多様化させる同社の歴史は紆余曲折がある。2015年に社内騒動とユーザーからの批判を受け、暫定CEOのEllen Pao(エレン・パオ)氏が辞任(Guardian記事)する事態となった。2016年にTechCrunchが報じたように、12人以上の古株の従業員(彼らの多くは女性、有色人種だった)が社を去り、騒動となった(未訳記事)。暴力やヘイトスピーチを取り締まるために遅きに失した取り組みを続け、Redditは昨年、Porter Gale(ポーター・ゲイル)氏を初の女性役員として迎えた(Variety記事)。

Redditへの投稿の中で、ハフマン氏は暴力的で極度の人種差別的コンテンツをプラットフォームで野放しにしてきた同社の問題ある歴史を認めた(Raddit記事)。

「2018年に私は、人種差別はルールを破っていないが『Redditでは歓迎されない』という紛らわしい発言をした。我々のコンテンツポリシーと価値観のギャップは、Reddit上のヘイトや人種差別との戦いという点で効果を蝕んできた。この責任はすべて私が負うものだ」とハフマン氏は述べた。

同氏はまた社のポリシー決定に関して従業員が持っている懸念も認めた。ハフマン氏がジョージ・フロイド氏殺害や現在も続いている抗議について送った電子メールに対し、今週、従業員から懸念が示された。「真の痛みからきている、そして私が心に留めているこうした疑問は、声明そのものだ。人として、社としての我々の信念と、我々のコンテンツポリシーの間には受け入れ難いギャップがある」とハフマン氏は述べた。

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(翻訳:Mizoguchi

シリコンバレーは黒人所有企業を支援して構造的人種差別と戦うべきだ

米国で警察の暴力に対する大規模な抗議活動が第2週目に突入する今、この国の人種格差には短期的、長期的に思い切った対応が必要であることは火を見るよりも明らかだ。しかし、こうした変化を求める声の大半は、シリコンバレーが人種格差の改善に果たせる、果たすべき役割を軽視している。

たった今、活動家たちは国が2つの重要な手段を講じることを正当に要求している。州と地方自治体のリーダーを投票によって辞職させること、そして黒人所有の企業を支援することだ。どちらも必要な措置だが、後者の重要性はほとんど注目されてこなかった。リーダーは政策を変えることはできるが、米国における構造的人種間格差の大部分は経済的問題だ。黒人労働者が農業、家事、サービス業などの低賃金職に就いている割合は著しく高い。

彼らは失業する率もはるかに高い(平常の経済状態でも。パンデミック下では特に)。スタンフォード大学の研究によると、黒人が所有する企業のうち、最初の年に融資を受けたのはわずか1%だった。これは、白人所有企業の7分の1だ。

つまるところ、新法を制定して古い法律を廃止したとしても、何十年も続く投資判断の偏見はすぐには変わらない。ソーシャルメディアで黒人企業製品の購入を促進する草の根運動が広まっているのはそれが理由だ。WeBuyBlackeatOkraなどのアプリは、商店やレストランを集めた中央データベースを作り、Bank Blackなどの組織は、黒人所有のファンドや黒人所有企業への投資を働きかけている。

しかし、ハッシュタグがトレンドから外れ、抗議デモに人が集まらなくなり、Twitter(ツイッター)のフィードが有名人のゴシップやリアリティショーへのリアクションに戻った時に何が起きるのか?

多くの組織が心配しているのは、ジョージ・フロイド事件の抗議がメディアに採り上げられなくなったら、構造的人種差別を改善することへの関心が消えてしまうことだ。アプリは黒人企業のてこ入れには役立つかもしれないが、企業は顧客の購入・消費習慣が根本的に変わることに頼っている。新型コロナウイルス(COVID-19)とフロイド氏の死亡が重なった最悪の状態の中、消費者行動に大規模な変化が表れる可能性がある。しかし、それは自然に起きるものではなく、仮に起きたとしても十分ではない。

黒人企業に対する投資不足を構造的に修正するためには、巨大テック企業が立ち上がる必要がある。今すぐに。

中でも、Facebook(フェイスブック)やGoogle(グーグル)のアルゴリズムが暗黙的に人種差別するのを防ぐ「アルゴリズムによる偏見」に関する議論が最近、数多く交わされる一方で、「アルゴリズムによる平等」を積極的に要求する議論は十分とはいえない。もし、例えばテック企業が自社システムに内在する偏見を取り除くことに集中するだけでなく、黒人企業や黒人投資家や黒人の声を積極的に「引き上げる」ようにアルゴリズムを再構築したとしたらどうだろうか。

この変化は必然的に、黒人の作った製品やレストランがAmazon(アマゾン)やGrubhubなどのランディングページに掲載される割合を増加させる可能性がある。少々地味だが、SEOの仕組みに手を入れて、ユーザーの人種や地域の違いを取り込むよう改善することもできる。 Pandaのようなアップデートの背景にあるアルゴリズム構造を流用して、黒人に関係するコンテンツ消費を体系的に推進することができれば、黒人の声や黒人の企業が米国消費者の間にもっと広まるだろう。

ちなみに、こうした変更がユーザー体験を損なうと考える正当な理由はない。最近のBrookingsの研究によると、マイノリティーが所有する店舗は白人所有の店舗と比べてYelp(イェルプ)で同じレベルの評価を受けている。しかし、マイノリティーの店は白人の店と比べて成長が遅く、集客も良くない。その結果、年間39億ドル(約4300億円)の損失が黒人企業全体で生まれている。この明白な(そして不必要な)不均衡を解決するために、Yelpは優れた実績のある黒人所有企業を強化するようにアルゴリズムを変更すればいい。そうすれば優れた黒人起業家の年間収入が著しく増えるだけでなく、黒人経営の中小企業に対する投資の可能性も高まる。

最低でも、テイクアウトとデリバリーサービスでマイノリティー企業に短期的なアルゴリズム優位性を与えることで、新型コロナウイルスが引き起こした巨大な経済的打撃を軽減し,パンデミックのために閉店した40%のマイノリティー所有店舗を救うことができるはずだ。

George Floyd(ジョージ・フロイド)氏、Breonna Taylor(ブリオナ・テイラー)氏、Ahmaud Arbery(アマッド・アーバリー)氏、その他この国の破綻したシステムによって不当に命を落とした多数の黒人を取り戻すためにできることは何もない。我々に今できるのは、説明責任と行動を要求することだ。この国の政治指導者たちにも、Eコマースを作っているシリコンバレーのCEOたちにも。

思いやりのある、データに基づく改変によって、オンラインプラットフォームは黒人の起業家、クリエイターたちに競争の機会を与えることができる。それはあまりにも長い間否定されてきた平等だ。

【編集部注】筆者のWill Walkerはハーバード・ロー・スクールのJD候補であり「Incomprehensible!: A Study of How Our Legal System Encourages Incomprehensibility, Why It Matters and What We Can Do About It」の著者のひとりでもある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook