奴隷解放の6月19日を記念する動きが米テック企業の間で続出

George Floyd(ジョージ・フロイド)、Breonna Taylor(ブレオナ・テイラー)、Tony McDade(トニー・マクデード)、Rayshard Brooks(ラオシャード・ブルックス)、そしてAhmaud Arbery(アマド・オーブリー)の各氏が警察によって殺害されたことを考慮して、Juneteenth(ジュンティーンス)はあっという間にテック企業に取り上げられるようになった。

1865年6月19日、米国テキサス州ガルベストンの奴隷たちは自由を手にした。南部連合のロバート・E・リー軍司令官がヴァージニアで降伏してから2カ月後、アブラハム・リンカーン大統領が奴隷解放宣言をして2年半以上たってからのことだ。

ここ数週間、多くのテック企業がJuneteenthを従業員の休日にしたり、別の方法でこの日を特別なものにすると発表してきた。Square(スクエア)とTwitter(ツイッター)のCEO、Jack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏はそうした動きをみせた主要テック企業CEOの最初の1人で、同社はこの日を有給休暇にすると発表した。それ以来、Facebook(フェイスブック)やGoogle(グーグル)、Amazon(アマゾン)、Uber(ウーバー)、Lyft(リフト)といった企業が6月19日を記念するそれぞれの計画を発表した。

そして米国時間6月18、LyftはJuneteenthの重要性をテーマとするJuneteenth座談会を開催する計画を発表し、Citi Bike経由でJuneteenth自転車ルートマップもシェアした。この取り組みは6月19日を会社の休日とするのに続く動きだ。

「1つの行動だけでなくもっとすべきことがあるとLyftは認識している。Juneteenthを祝うことは我々の今後の道のりにおいて1つのステップにすぎない」と同社はブログに書き込んだ。「具体的かつ大衆的なやり方でベストを尽くすことを約束する」。

他の企業の取り組みには、従業員に6月19日を人種的不平等について学んだりGoogle Calendar上で正式に記念したりするよう促すというものがある。Apple(アップル)が2018年までさかのぼってiOSカレンダーにJuneteenthを加えたことは記すに値するだろう。

そうした歴史的な日を認識するのは良いことだ。しかしこれら企業が自社の計画を公にする手法は、称賛を求めているように思える。正しいことをやるのは真に受け入れるべきもので、それで評価を稼ぐものではない。謙遜を示すものだ。そして企業が体裁を保つよりも従業員が正しいことをすることに関心を持っているということを示すものだ。

もちろん、これらの企業がそれぞれのJuneteenthの計画を公にしていなかったら、他の企業が追随していなかったというのはあり得る。しかしJuneteenthを祝うと決めたり、黒人コミュニティと共にあることについて声明を発表したり、寄付したりする以上に、企業はテック業界における人種差別と戦うためにより多くのアクションを取ることを保証する必要がある。

Hustle Crewの創業者であるAbadesi Osunsade(アバデシ・オスンサーデ)氏は、テック企業が一度限りのアクション以上のことをし、人種的正義の取り組みに関して習慣を形成する必要がある、と述べた。黒人の採用、黒人従業員の昇進、黒人従業員に公平に賃金を支払うこと、黒人創業者に資金を提供すること、幹部職に黒人をあてる余地を確保することなどの習慣を形成することは、この業界における確たる変化につながる。

一方、最近の警察による暴力への対応として、多くのテック企業が自らを棚に上げる声明を出した。一部の企業がいかに従業員の多様性を形成できていないか、プラットフォーム上でのヘイトスピーチにいかに対応してきたか、あるいはどのように警察部門と契約を続けてきたかを考えたとき、そうした企業によるサポートの意を示す声明の多くは意味を欠いている。

6月18日、Facebookは黒人運営のサプライヤーに毎年少なくとも1億ドル(約107億円)を投じると発表した。今月初め、Reddit(レディット)の創業者Alexis Ohanian(アレクシス・オハ二アン)氏は黒人に席を譲るために同社の役員会から退いた。一方、Kapor Center for Social Impactは6月19日を黒人コミュニティに奉仕するのに使うことをスタッフに推奨している。これらは全て正しい方向にある取り組みであり、テック業界における永続的変化につながるかもしれない。今後を見守りたい。

「そう、Juneteenthは1日だけだ。国が今後数カ月、あるいは数年、不公平にどう対応するのか、まだわからない」とKapor Centerの責任者Matt Perry(マット・ペリー)氏はブログに書いた。「Juneteenthが持続可能な変化、そしてアクションを促進するものになることを願っている」

情報開示:TechCrunchは最近Juneteenthを休みとすることを決めた。そして筆者はJuneteenthのために仕事をする。

画像クレジット: Alex Wong/Getty Images / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

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