グーグルが食料不安に悩む米国人向け新ウェブサイトとリソースを公開

Google(グーグル)は米国時間6月29日、全米で食料不足に悩む人々のための新たなリソースを提供するプロジェクトを開始する。このプロジェクトでは、ホットラインやフードスタンプの情報、地元のフードバンクやフードパントリー、学校給食プログラムの受け取り場所などを紹介するGoogleマップのロケーターツールなど、人々を食料支援リソースに結びつける新しいウェブサイト「Find Food Support」を立ち上げる。

Googleは発表の中で、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが米国における食糧危機の悪化を助長し、2020年の間に約4500万人(米国人の7人に1人)がある時点で食糧不安を経験することになったと説明しています。この数字は、2019年に比べて30%増加したと同社は指摘している。その4500万人のうち1500万人が子どもだった。

ビジネスが再開され、個人活動が再開されているためパンデミックの影響は収まり始めているが、学校給食プログラムが利用できなくなる夏の間、多くの子どもたちが空腹に耐えている。

このようなニーズに対応するため、グーグルの新しいウェブサイト「g.co/findfoodsupport」では、食料支援のリソース、米国の食料不安の問題に関するYouTubeの動画、Googleマップのロケーターツールを組み合わせて、近くのフードバンクやその他の食料支援の場所を案内している。

Googleは「No Kid Hungry」や「FoodFinder」、「米農務省」などの団体と協力して、米国50州で9万の無料フードサポートを提供する場所を捕捉したという。ウェブサイトの訪問者は、このオンラインツールで自分の住んでいる場所を入力すると、その地域の学校給食プログラムのピックアップサイト、フードバンク、フードパントリーを確認することができる。

画像クレジット:Google

本ツールでは、その場所の住所や電話番号、営業日や営業時間などの詳細が表示される。

このような情報は、Googleマップで直接見つけることができるが、適切なキーワードがわからないと難しい場合がある。例えば「food support」と検索すると、「Food Lion 」や「Lowe’s Foods」など、キーワードが一致するビジネスと一緒に、慈善団体、フードバンク、公共サービスが組み合わされて表示されました。一方、「food assistance」を検索すると、より詳細な情報を得ることはできるが、「US Food & Drug Administration」のような関連性のない結果も返される。このオンラインツールの検索結果は、より正確で精密なものになる。

新サイトでは、SNAPの特典情報や高齢者、子ども、家族など特定のグループに対するサポート、州ごとの給付ガイドライン、フードサポートホットラインなど、その他のフードサポート情報も紹介している。また、食料支援の問題に直面していない人のために、お金や時間、食料を必要としている人たちに寄付に関する情報も提供している。

またサイトには、食料不安の問題にそれぞれのコミュニティで取り組む団体が作ったYouTube動画もいくつかある。それらの動画は、軍人の家族や子ども、高齢者などいろいろな人たちが食料支援を利用している様子を見せて、食料不安は恥ずかしいことではないと説得しようとしている。Googleによると、軍人の家族というのは、まだ除隊になってない軍人兵士の家族の9人に1人は食料不安を経験しているとのことだ。また、子どもは6人に1人、学生は3人に1人、そして500万人あまりの高齢者が食料不安を抱えている。

この新しいサイトは、Emily Ma(エミリー・マー)氏が率いるGoogleの「Food for Good」計画から生まれた。Food for Goodは当初、元Google(X)、現在ではAlphabetのX事業の下の、よりスマートな食料システムの創造をめざすアーリーステージ・ムーンショットプロジェクトである「Project Delta」として始まった。チームが目指したのは、食品廃棄物が埋め立てへ向かうことを止め、食べ物を最も必要としている人たちに向けていくことだ。2020年12月にマー氏は、Project DeltaがGoogleに移行してスケールアップすると発表した。そのコアチームは「Food for Good」としてGoogleに加わり、食品追跡のチームはXに残って、より広範な問題に取り組むことになった。

Googleによると、本事業のGoogleマップ上の食料支援施設やサービスは、現在の9万から今後もっと多くなるという。

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タグ:GoogleGoogleマップ

画像クレジット:Danny O. / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

リアルでも開催されているMWC 2021、初日まとめ

「MWCが戻ってこれたことは、本当にすばらしいことです。Samsung(サムスン)を代表して、MWCに戻ってこれたことはとても名誉なことです」とSamsung UKの営業担当副社長であるJames Kitto(ジェームズ・キット)氏は、2021年の記者発表の冒頭で述べた。

厳密にいえば、2021年を「戻ってきた」と呼ぶことには大いに疑問の余地がある。Samsungは、2021年バルセロナで開催されるMWC(Mobile World Congress)に出展しないと発表していた企業の1つだ。主要企業が次々と出展を取り止め、GSMAがイベントの全面中止を余儀なくされた2020年のイベントの影響を感じずにはいられない。

1つは、MWCの開催時期が従来の2月下旬から3月上旬になったことで、新型コロナウイルス(COVID-19)がEUで猛威を振るった時期と重なってしまった。また今回は、、結果的に主催者に1年の準備期間があった。

 

最も簡単な方法は、CTAがCESで行ったように、すべてをバーチャルで行うことだ。最初のオールバーチャルCESにはもちろん多くの問題があったが、米国でのワクチンの普及を前に直接参加するという要素を試みることは、大きな混乱を招いただろう、

スペインでも世界の多くの国と同様に、新型コロナウイルス(COVID-19)の懸念はある。しかし、GSMAは、MWCを通常の日程から数カ月延期した上で、2021年のイベントの開催を決定した。GSMAはさまざまな安全対策を講じているが、会場で撮影された初期の映像を見る限り、今年のショーフロアでは、ソーシャルディスタンスが問題になることはなさそうだ。

画像クレジット:Samsung/Google

このイベントに「参加」している企業は、ほとんどがバーチャルで参加しているといっても過言ではない。。そもそも参加ベンダーのリストすら、バーチャルだった。

Samsungをはじめ有名企業の多くが、2021年の記者発表を、どこかで録画した動画によるバーチャルで行った。おそらく多くの企業が、バーチャルでも参加しないよりましと考えたのか、あるいは主催団体の顔をつぶしたくない配慮があったのだろう。皮肉な見方をすれば、スポンサーつきのセッションもその多くはバーチャルで良かったのではないだろうか。

関連記事:サムスンとグーグルが次期Galaxy Watchの発売に向けウェアラブルプラットフォームをプレビュー

最大の展示はSamsungだと思うが、記者発表は中身が薄かった。最大のニュースといえば、先月、2021年5のI/Oで発表されたGoogleとのパートナーシップだ。そして残りは2021年夏後半に行われるUnpackedイベントの宣伝だった。

画像クレジット:Samsung

それどころか、そのバーチャルイベントは「See you soon at the next Unpacked」と書かれた、念を押すような白黒のスライドがフィナーレだ。ハードウェアの発表は、何もない。

一方、Lenovoは元気だ。最近発表した / するハードウェアの種類がとても多いからだろう。それらを、MWCで宣伝しない手はない。

今回の発表では、スマホ用のワイヤレス充電パッドを内蔵したGoogleアシスタント対応目覚まし時計「Smart Clock」の新バージョンや、ハンガーとキックスタンドを組み合わせたYoga Tab 11および13を含む複数のタブレットが発表された。13インチモデルは外部モニターとしても使えるため、キックスタンドはとても便利だ。

画像クレジット:Lenovo

イベントに先駆けて、TCLはウェアラブル有機ELシネマディスプレイ「NXTWEAR G」を発表した。このヘッドマウントデバイスは、アスペクト比16:9の140インチディスプレイに相当する。また、米国で発売される「20 Pro 5G」の概要も明らかになった。この製品の価格は500ドル(約5万5000円)未満で、Snapdragonn750Gプロセッサーを搭載し、ヘッドフォンジャックも装備している。

TCLのNEXTWEAR G

以上が、今回のショー初日の主なトピックスだ。イベントは7月1日まで開催されている。実際に見に行くかどうかにかかわらず、まだ多くのショーが残されている。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:MWCMWC 2021SamsungGoogleウェアラブルデバイススマートウォッチLenovoTCL

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

サムスンとグーグルが次期Galaxy Watchの発売に向けウェアラブルプラットフォームをプレビュー

Samsung(サムスン)のMobile World Congress(MWC)でのプレス発表は、今回もウェアラブルにフォーカスしていた。中央ヨーロッパ時間6月28日のイベントでの大きなニュースは、同社のGalaxy Watch(ギャラクシーウォッチ)シリーズの一新されたインターフェイスをこれまでで最もよく見られたことだった。

One UI Watchは、Galaxyモバイルのインターフェイスから名前を取ったもので、そのデザイン言語はGalaxyシリーズスマートフォンと共通している。このOne UI Watchは、2021年夏の終わりに開催されるUnpackedイベントで発表され、新しいUIと、SamsungとGoogle(グーグル)の共同プラットフォームが搭載される予定だ。

画像クレジット:Samsung/Google

これら2社のテック大手がウェアラブルプロジェクトで提携すると発表されたのは、2021年5月に開催されたI/Oでのことだった。しかし、実際の名称を含め、このプロジェクトについての情報はまだほとんど明かされていない。

関連記事:グーグルの「Wear OS」とサムスンの「Tizen」が統合、アップルのwatchOSに対抗

当初この提携は、GoogleのWear OSと、Samsungが自社のスマートウォッチに長年採用しているオープンソースOSであるTizenの両方に対応した単一のアプリケーションを開発できるようにする「統一されたプラットフォーム」として発表された。当時TechCrunchが指摘したように、Apple(アップル)のウェアラブル分野における優位性に対抗するためには、サードパーティによるアプリ開発が両社にとってかなりのハードルとなっていた。

今回の提携により、接続されているスマートフォンにウォッチ対応アプリが一旦ダウンロードされると、ウォッチにもダウンロードされるようになる。GoogleマップやYouTube MusicのようなGoogleのファーストパーティアプリに加え、(当然ながら)Spotify、Calm、Strava、Adidas Running、Sleep Cycleなどがリストに含まれている。

画像クレジット:Samsung/Google

GoogleのSVPであるSameer Samat(サミール・サマット)氏は、このニュースに関連したリリースの中でこう述べた。「SamsungとGoogleは長い協力関係の歴史があり、協力するたびに、コンシューマーエクスペリエンスは誰にとっても劇的に向上してきました。それは、Samsungの新しいGalaxy Watchで初めて提供される、この新しい統合プラットフォームにも当てはまります。Samsungとのコラボレーションにより、バッテリー駆動時間の延長、パフォーマンスの向上、そしてGoogleのアプリを含む幅広いアプリを、まったく新しいウェアラブル体験に提供できることをうれしく思います」。

このようなパートナーシップは、一見すると奇妙に思える。Samsungは以前、GoogleのウェアラブルOSを用いず、独自に大幅にカスタマイズしたTizenを採用していた。しかし最終的には、世界市場の40%前後のシェアを持つAppleという一枚岩に対抗するために2社は団結したようだ。Samsungは2位につけているが、Fitbit(フィットビット)を傘下に収めたことを計算に入れてもGoogleの道のりはまだ長い。

また、Samsungは、このプラットフォーム向けにウォッチフェイスなどを簡単に作成できるように改良された開発ツールも紹介する予定だ。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:MWCMWC 2021SamsungGoogleウェアラブルデバイススマートウォッチWear OSTizen

画像クレジット:Samsung/Google

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

英国の競争・市場庁がアマゾンとグーグルのフェイクレビュー対応の調査を開始

英国の競争監視当局である競争・市場庁(CMA)がテック大企業に対する新たな調査を開始した。Amazon(アマゾン)とGoogle(グーグル)がどのようにフェイクレビューに対処しているかに的を絞ったものだ。

英国のCMAは2015年からオンラインレビューに関心を向けてきた。

CMAはまた、マーケットプレイスで横行しているとして、フェイクレビューの取引を取り締まろうと2019年にeBay(イーベイ)とFacebook(フェイスブック)に目をつけた。これらのプラットフォームに圧力をかけ続けた結果、CMAは両社からこれまでよりも対策に注力するとの約束を取り付けた。にもかかわらず、Facebookの場合、フェイクレビューを取引していた1万6000ものグループを取り締まったのは2021年4月のことだった。CMAはFacebookが意義ある行動を取るまでに1年以上かかったことに失望を表明した。

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そして現在、CMAはAmazonとGoogleをそのレーダーにとらえた。2社ともユーザーレビューを含むプラットフォームを運営している。これら2社がフェイクレビューから買い物客を守るために十分な行動を取らないことで英国の法律に反したかどうかを決定する証拠を集める、とCMAは話している。

消費者をミスリードする、あるいはミスリードから消費者を守る行動を取らなかった企業は、不正取引から消費者を守るための英国の法律に違反していることになる。

CMAはAmazonとGoogleの調査は2020年5月に開始した初期調査に続くものだと話す。初期調査ではいくつかのプラットフォームの内部システムとフェイクレビューを特定して対処するプロセスの評価にフォーカスしていた。

この調査により、テック大企業であるAmazonとGoogleが下記のことに十分に取り組んできたかどうか懸念が浮かび上がった。

  • フェイク、そしてミスリードするレビュー、あるいは疑わしい行動パターンを検知する。たとえば同じユーザーが似たようなプロダクトや会社を似たような時間帯にレビューしているもの、プロダクトや会社と関係がないもの、あるいはレビュワーが肯定的なレビューを書いて支払いやインセンティブを受け取っていることをうかがわせるものなど
  • 調査し、必要ならばすぐさまフェイクでミスリードするレビューをプラットフォームから削除する
  • フェイクレビューをなくすためにレビュワーや企業に十分な制裁を科す。ここにはこうした種のレビューを何回も書いたり公開したりした人物や企業が含まれる

当局はまた、Amazonのシステムがたとえば他のプロダクトより肯定的なレビューを組み入れるなどして「一部のセラーがプロダクトリストを操作するのを十分に防いだり抑止したりしてこなかった」と指摘した。

結局のところ、問題の販売アイテムとは明らかに無関係の製品特性に真剣に言及しているレビュワーによるプロダクトレビューだけに接しようと、Amazon上のプロダクトレビューをブラウズしたことがない人なんているだろうか。

ローカルビジネスを検索した後にたとえばGoogle Mapsに表示されるユーザーレビューは「スター5つ(あるいはスター1つ)の行動の「特殊なパターン」も表示する。

AmazonとGoogleがフェイクレビューの問題に十分に対応をとってこなかったという懸念を調査していることに関し、CMAのCEOであるAndrea Coscelli(アンドレア・コシェリ)氏は声明で次のように述べた。

我々の懸念はオンラインで買い物する何百万という人々がフェイクレビューを読んでミスリードされ、その後にそうしたレコメンデーションに基づいて金を使うことにあります。と同時に、自社のプロダクトやサービスを最も目立つようにするために一部の会社がスター5つのレビューをつけることができ、法を守っている会社が負ける、というのは純粋に公正ではありません。

我々はAmazonとGoogleが顧客や正直な会社を守るために十分にフェイクレビューを防いだり削除したりしてこなかったという懸念を調査しています。これらテックプラットフォームが責任を取ることは重要で、2社が十分に取り組んでいないことがはっきりすれば何らかの措置を取る準備はできています」

AmazonとGoogleにコメントを求めた。

Googleの広報担当者は次のような声明文をTechCrunchに送ってきた。

当社の厳しい規則は、レビューは実体験に基づくべきだと明白にうたっていて、規則違反を見つけた場合、当社は不適切なコンテンツの削除から、ユーザーアカウントの凍結まで、行動を起こします。ユーザーが関連する有用な情報をGoogleで見つけるのをサポートすべく、業界の先端をいく当社のテクノロジーとレビューのチームがいかに取り組んでいるか共有するために、引き続きCMAに協力することを楽しみにしています。

Amazonの広報担当は以下のように述べた。

顧客の信頼を得るために、フェイクやインセンティブが与えられたレビューがストアに表示されるのを防ぐのにかなりのリソースを注いでいます。顧客がプロダクトで得たエクスペリエンスがレビューに正確に反映されるよう、懸命に取り組んでいます。当社は引き続きCMAの問い合わせに協力します。当社の事業に対して何も結論は出ていないことを言い添えておきます。当社は絶え間なくストアを保護し、レビューを乱用しようとする人の規模やロケーションにかかわらずフェイクレビューを阻止するために行動を起こします。

2021年6月初めのブログ投稿で、おそらくCMAのこの問題に関する意図に気づいているAmazonは「当社のストアで本物のプロダクトレビューだけが許されるよう、絶え間なく刷新しています」と主張し、偽オンラインレビューの問題について語った。そして、実例の統計を示した(2020年だけで2億件超の「疑わしいフェイクレビュー」を顧客が目にする前に「プロアクティブな検出」を使用して阻止した)。

しかしブログ投稿はかなり守勢に立っていた。Amazon外で、特にソーシャルメディアサービスを通じてフェイクレビューを勧誘しようとする悪意ある行為が次第に増している」と述べるなど、フェイクレビュー問題の責任を拡大することを模索している。

Amazonはフェイクレビューを、調整された業界全体のソリューションを要する、業界にまたがる問題にしようとした。その一方で、(名指しはせず)「ソーシャルメディア会社」に矛先を向け、ソーシャルメディアがチェーン内の弱点であると指摘した。

フェイクレビューを促進するのに使われるているサービスを運用しているソーシャルメディア企業が積極的に詐欺やフェイクレビューの抑制に投資し、これらの悪行を阻止するために我々と提携し、消費者が自信を持って買い物できるようにサポートする必要があります。消費者と正直な販売パートナーを完全に守るには、絶え間ないイノベーション、そして業界と法執行当局間の提携が欠かせません。

Amazonのブログ投稿はまた「レビューを買う人やレビューを提供するサービスプロバイダー」などの「悪行」に対して訴訟を起こす既存の取り組みをサポートするために「世界中の」消費者保護規制当局の総合的な援助を求めた。

Amazonはまた、欧州でフェイクレビュープロバイダーに対する「何十もの」差止命令を勝ち取ったとTechCrunchに語った。加えて同社は法的措置を取ることをためらわない、とも付け加えた(例えば差止・強制命令を求めてAMZ Tigers、TesterJobというウェブサイトのオーナーに対する訴状を1月9日にロンドン商事裁判所に出したと同社は述べた)。

CMAの調査が行われていることを考えると、フェイクレビュー供給者に対する訴訟をサポートするよう規制当局の援護を求めるAmazonのブログ投稿は、CMAの視線をFacebookのマーケットプレイスに視線を向けさせようとする先制攻撃のようにみえる。

AmazonとGoogleに対する調査が、おそらく問題を悪化させているソーシャルメディアプラットフォーム上などでのレビュー取引グループの役割にも及ぶのかどうか、TechCrunchはCMAに問い合わせた。

CMAはこの点についてのコメントは控えた。しかしTechCrunchはAmazonとGoogleに対する調査は別物だと理解している。

今後何が起こり得るのかという点に関して、CMAは調査でAmazonとGoogleがさまざまな執行力を持つ英国消費者保護法を遵守しなかったかを考慮する。フェイクレビューの対処方法を変えるために正式なコミットメントを確保したり、必要に応じて裁判に発展させたりすることがあり得る。

しかし差し当たってAmazonとGoogleが法律を守らなかったどうか結論は出ていない。

CMAは予定されている英国の独占禁止法の刷新に準備するためにデジタルマーケットへ注意を次第に向け、テック大企業の規制で積極的に動いてきた。新たな独禁法では、競争を損なうプラットフォームのパワーに対処する体制を敷く模様だ。

CMAはテック大手に対し多くの調査を展開している。ここには、Googleが予定している閲覧追跡クッキーの廃止も含まれる。そしてCMAは最近、AppleとGoogleのモバイルエコシステムの独占に関するマーケット調査も開始した。

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CMAが主要プラットフォームにフォーカスしていること、そしてフェイクレビューに対して長らく注意を向けてきたことを考えると、Appleがこの問題に関して英国の調査に直面するかどうかを思索するのはおもしろい。

App Storeでのフェイクのレーティングやレビューに関する懸念は提起されている。

たとえば2021年初め、iOSアプリデベロッパーのKosta Eleftheriou(コスタ・エレフテリオ)氏は、App Storeが安全で信用できる場所だと主張することでAppleはアプリを制作するようデベロッパーを勧誘してきたが、デベロッパーの懸命な取り組みから利益を得る詐欺師たちから正当なデベロッパーを守らなかったと主張し、Appleを相手取って訴訟を起こした

CMAはすでにAppleのApp Storeについて取り調べている。Appleが不公正あるいは反競争的な条件をデベロッパーに課しているかどうかを調査すると3月に述べていて、CMAは今後App Storeを注視する。もし反競争的な条件を課していれば、これは最終的にはユーザーの選択肢が少なくなったり、アプリやアドオンに高い料金を払ったりすることになる。

しかし差し当たってCMAのフェイクレビュー問題での注意は公には他のところに向けられている。

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画像クレジット:Kiyoshi Hijiki / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

グーグルがトラッキングクッキー廃止を2023年後半まで延期

アドテックの巨人Google(グーグル)は、長らく計画していたサードパーティー製トラッキングクッキーの非推奨化の延期に傾いているようだ。

この計画は、Chromeのサードパーティー製クッキーを非推奨にするなど、オンラインマーケターや広告主がウェブユーザーを追跡することを困難にする長期的な取り組み発表した2019年にさかのぼる
2020年1月に同社は、2年以内に移行すると発表した。つまり、2022年までにということだ。

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TechCrunchが独自の情報源からの情報を確認するためにGoogleに連絡したところ、同社は英国時間6月24日午後17時(日本時間6月25日午前1時)に予定されているプライバシーサンドボックスの発表があることをTechCrunchに確認しました。

Googleの新しい公式スケジュールでは、2023年に実施されるという。

しかし大手企業の広報担当者は、直接の確認を避け「近日中に『アップデート』がある」と曖昧な表現をした。

担当者は「本日の発表で、プライバシーサンドボックスのアップデートについて、いくつかの情報を提供します」とも述べている。
Googleに対するプライバシーサンドボックスの実装を2023年に延期することの確認とそれに関連する声明をTechCrunchは求めたが、広報担当者は肯定的な回答(yep)をしたため、延期の可能性は高いと思われる。Googleがこの点に関して、どのように説明するかは、後に行われるプライバシーサンドボックスの時期発表でわかるだろう。

Googleは以前、2022年までにサードパーティーCookieのサポートを廃止するとしたが、当然ながらこのことは、プライバシーサンドボックスに関連する幅広いアドテックも導入する必要があるということを意味している。

2021年初めには、2022年のタイムラインにやや制限を設け、同年までにはいかなる変更もしないと1月には述べている

Googleにとっての問題は、その計画に対する規制当局の監視は強化されたことだ。これは、インターネットユーザーの追跡とターゲット設定の方法が大きく変わったことを受けて、アドテック業界から反トラスト法違反の苦情が寄せられたことを受けた措置となる。

欧州では、英国の競争・市場庁(CMA)が英国個人情報保護監督機関(ICO)と協力して、Googleが計画の競争とプライバシーへの影響を把握しようとしている。2021年6月初め、CMAはGoogleから提案されたコミットメントを受け入れる意向を表明しました。このコミットメントは、競争とプライバシーに適した方法でCookieの廃止を行うことができないと判断した場合、規制当局がCookieの廃止を阻止できるようにするというものだ。

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当時、TechCrunchはGoogleにCMAの関与が、プライバシーサンドボックスのスケジュールにどのような影響を与えるかを確認したが、同社はコメントを避けた。

ビッグテックに対する規制当局の監視が強化は、多くの影響をもたらす。最も明らかなのは、Googleのような巨大企業が「すばやく動き、破壊的に振る舞う」機会がなくなるということだ。

【更新】Googleは延期を確認し、ブログ記事でいわゆる「プライバシーサンドボックス」に関する英国の規制当局との取り組みにより、Chromeでトラッキングクッキーのサポートが段階的に廃止されるのは2023年後半になると述べた。

「私たちは今後もウェブコミュニティと協力して、広告測定、関連性の高い広告やコンテンツの配信、不正行為の検知など、主要な分野でよりプライベートなアプローチを構築していく予定です。現在、Chromeなどが30以上の提案を行っており、そのうち4つの提案はオリジントライアルで利用可能です」という。

「特にChromeについては、2022年後半までに主要な技術を導入し、開発者コミュニティがその導入を開始できるようにすることを目標としています。英国の競争・市場庁(CMA)との協議を経て、当社が提示したコミットメントに沿って、ChromeはサードパーティーCookieを2023年半ばから2023年末までの3カ月間で段階的に廃止する可能性があります」と述べている。

この延期により、アドテック業界は、トラッキングクッキー廃止後のオンライン領域に適応するための時間をより多く得ることになる。ただし、CMAがGoogleの大規模な再編成を許可した場合に限るが。

損失を被るのはインターネットユーザーだ。少なくとも今後数年間は第三者の追跡にさらされることになる(Chromeユーザーはそうなるが、他にもプライバシーに配慮したウェブブラウザはある)。

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画像クレジット:Ana Maria Serrano/Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hiroshi Iwatani)

グーグルとインドのJio Platformsが低価格Androidスマホ「JioPhone Next」を発表

インドの大富豪Mukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏が経営するJio Platforms(ジオ・プラットフォームズ)とGoogle(グーグル)は米国時間6月24日、手頃な価格のAndroidスマートフォン「JioPhone Next(ジオフォン・ネクスト)」を発表した。インド最大の通信事業者と米国の巨大テック企業は、世界第2位のインターネット市場でさらなるリーチ拡大を推し進める。

2020年7月、Googleから45億ドル(約5000億円)の出資を受けたこのインドの企業は、Googleと共同で低価格のスマートフォンを開発する計画を明らかにしていた。同社によると、JioPhone Nextは、インドでいまだに2Gネットワークを利用している約3億人のユーザーが、より高速なネットワークにアクセスできるように、機器をアップグレードしやすくするために開発されたものであるという。

Reliance Industries(リライアンス・インダストリーズ)のムケシュ・アンバニ会長は、現地時間6月24日に開催された同社の年次総会で、この「極めて最適化されたAndroid」モバイル・オペレーティング・システムを搭載した携帯電話は、インドの祝祭シーズンに先駆けて9月10日にまずインドで発売され、最終的にはインド国外でも販売される予定だと述べた。

アンバニ氏によると、JioPhone Nextは「超低価格の4Gスマートフォン」になるとのことだが、端末の価格やハードウェアのスペックは明らかにされなかった。

リライアンスの年次総会に映像で登場したGoogleのSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)CEOは、同社がJio Platformsと5Gクラウドのパートナーシップを結んだことも発表。「この提携によって、10億人以上のインド人がより速く、より優れたインターネットに接続できるようになります。それは企業のデジタルトランスフォーメーションを支援し、Jioが医療や教育などの分野で新しいサービスを構築するのに役立つでしょう。インドのデジタル化における次の段階の基盤を築くことができます」と、2020年インドに100億ドル(約1兆1085億円)の投資を約束したGoogleのCEOは語った。

5Gクラウドのパートナーシップの一環として、GoogleはリライアンスというGoogle Cloud(グーグルクラウド)の大きな顧客を獲得することにもなると、ピチャイ氏は述べている。

「これによってリライアンスは、GoogleのAIや機械学習、eコマース、需要予測などのサービスを利用することができるようになります。Google Cloudの信頼性とパフォーマンスを活用することで、リライアンスの各事業は顧客の需要に応えるために、必要に応じてスケールアップが可能になります」と、ピチャイ氏は付け加えた。

JioPhone Nextには、Googleの「Read Aloud(リード・アラウド)」や「Translate Now(トランスレート・ナウ)」などの機能がはじめから搭載されており、ウェブページやアプリ、メッセージなど画面に表示されるあらゆるテキストと画像の音声読み上げや翻訳に対応している。

アンバニ氏は現地時間6月24日に開催されたリライアンスの年次総会でJioPhone Nextを発表した(画像クレジット:Jio Platforms)

JioPhone Nextは、HDRに対応した「高速で高品質なカメラ」も搭載し、最新のAndroidリリースとセキュリティアップデートで保護されるとGoogleは述べているが、それが適用される正確な期間は明らかにしていない(通常、スマートフォンのベンダーは発売から約2年間、セキュリティと新しいAndroidソフトウェアのサポートを提供する)。

Googleは声明の中で「私たちはJioチームとエンジニアリングおよび製品開発において緊密に協力し、ユーザーが自分の言語でコンテンツを楽しんだり携帯電話を操作したりできる有用なボイスファースト機能や、優れたカメラ体験の提供、最新のAndroid機能およびセキュリティアップデートの取得を可能にしました」と述べている。

インドで販売されているスマートフォンの多くは150ドル(約1万6600円)以下だが、100ドル(約1万1000円)以下のスマートフォンを探している消費者にはほとんど選択肢がない。そして、その選択肢はここ数年の間にますます減少している。

調査会社のCounterpoint(カウンターポイント)によると、100ドル以下のスマートフォンがインドのスマートフォン市場に占める割合はわずか12%で、2019年の18%、2018年の24%から減少しているという。50ドル(約5500円)以下のスマートフォンが市場全体に占める割合は、2018年の4.3%から、2020年にはわずか0.3%にまで減った。

スマートフォンメーカーは、この市場の空白に気づいているが、需要を満たすことは非常に困難であることもわかっている。Jio Platformsをはじめとするいくつかのメーカーはこれまで、インドの小規模な都市や町に住む人々に訴求するために、さまざまなフィーチャーフォンを開発してきた。Jio Platformsが開発したKaiOS搭載のフィーチャーフォン「JioPhone(ジオフォン)」は、2021年2月末の時点で1億人の顧客を獲得している。

UBSのアナリストは、顧客に向けた最近の報告の中で、メモリー部品の最近の価格高騰を考慮すると、50ドル以下の価格のスマートフォンは原価で販売されている可能性が高いと述べている。

TechCrunchが入手したそのレポートには、次のように書かれている。「Jioのこの動きは、2Gから4Gへの移行を加速させるだろうが、私たちは他のスマートフォンメーカー、特にXiaomi(シャオミ)のような主要プレイヤーにとって、このカテゴリーがどれほど興味深いものになるかを査定してみました。我々の見解では、インドのスマートフォン市場で最大手のXiaomiが、50ドルのスマートフォンを発売して追従する可能性は低いと思われます」。

過去にはGoogleも、Androidの普及拡大に向けた取り組みをいくつか行ってきた。2014年には100ドルの低価格スマートフォン「Android One(アンドロイド・ワン)」プログラムを開始し、2017年には低リソース集約型のOS「Android Go(アンドロイド・ゴー)」を低スペックなデバイス向けに投入している。また、人気の高いフィーチャーフォン用オペレーティング・システム「KaiOS」の支援も行っていた。

Googleは声明の中で、JioPhone Nextは「当社のインドに向けたAndroidミッションの記念すべき一歩であり、Android製品およびエンジニアリングチームがインドで予定している数多くの取り組みのうち最初のものです」と述べ「私たちはインドのエンジニアリングチームも積極的に拡大していき、インドのスマートフォンユーザー独自のニーズに応える方法を見つける作業に、引き続き取り組んでいきます」と続けている。

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タグ:Jio PlatformsインドスマートフォンGoogleAndroid

画像クレジット:Google and Jio Platforms

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

インド当局がグーグルに対し印スマートTV市場での独禁法調査を命令

インドの独禁法監視当局は、Google(グーグル)が同国のスマートテレビ市場でAndroidの支配的地位を乱用しているとの疑惑について調査を命じた。このニュースは、Googleが広告テクノロジー分野での主導的役割を乱用しているとの疑惑について、EUが正式な反トラスト調査を開始した数時間後に発表された。

2020年にこれらの疑惑について調査を開始したインド競争委員会(CCI、Competition Commission of India)は、最初の審査で、Google(グーグル)が一定の反競争法に違反していると指摘した。このような規模の調査は解決までに数四半期、時には1年以上かかることもある。

「委員会は一応の見解として、端末メーカーが製造・流通・販売するすべてのAndroid端末について、ACC(Android Compatibility Commitments)への署名を条件にGoogleの独自アプリ(特にPlayストア)をプレインストールすることで、GoogleはAndroidの代替バージョン、すなわちAndroidフォークで動作する端末を開発・販売する端末メーカーの能力とインセンティブを減退させ、それによって商品やサービスに関する技術的・科学的な開発を制限し、競争法4条2項(b)に違反して消費者に不利益をもたらしたと考える」と、当局は24ページに及ぶ命令書で述べた。

「さらにACCは、OEMメーカーが、競合するフォークされたAndroid OSで動作する他のデバイスを製造、配布、販売することを禁じている。したがって、関連市場におけるGoogleの優位性と顕著なネットワーク効果を考慮すると、この制限によりそのようなフォークされたAndroid OSの開発者は市場へのアクセスを拒否されており、結果、同法4条2項(c)に違反している」とも述べている。

2020年にはインドに100億ドル(約1兆1100億円)の投資を行うことを発表し、ユーザー数では同国が最大の市場となっているGoogleは、不正行為を否定した。同社の広報担当者は声明で「当社のスマートテレビのライセンシング方法は、適用されるすべての競争法を遵守していると確信しています」と述べている。

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インド競争委員会は、Googleがテレビメーカーに対し、同社の「必須」アプリをすべてプリインストールし、代替アプリを選択できないようにすることは「スマートテレビ機器メーカーに不当な条件を課すことになり、競争法4条2項(a)(i)に違反する」と付け加えた。

「また、PlayストアにおけるGoogleの優位性を利用して、YouTubeなどが提供するオンライン動画ホスティングサービスなどの関連市場を保護することは、同法4条2項(e)に違反している。これらの点はすべて、詳細な調査を要する」とも競争規制当局は述べた。

2019年にインドで販売されたスマートテレビは約800万台に上り、そのうち60%以上がGoogleのAndroid OSを搭載していた。

インドでは、米国のテック巨人たちにとって厳しい1週間となっている。6月21日の夜、世界第2位のインターネット市場である同国は、Amazon(アマゾン)やWalmart(ウォルマート)傘下のFlipkartに打撃を与える可能性のある厳しいEC規則を提案した

この6月22日の命令は、インドがGoogleに対して開始した3件目の継続的な独禁法違反案件の調査となる。2020年末、インドの独禁法監視当局は、Googleが自社の決済サービスを促進するためにアプリストアの支配的地位を乱用した疑いで、同社に対する調査を開始していた。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:インドスマートテレビGoogle独占禁止法

画像クレジット:Sanjeev Verma / Hindustan Times / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

Androidスマホで「Googleが繰り返し停止しています」エラー多発、Google Japanが「不具合を修正中」として解決策を試すよう呼びかけ

Androidスマホで「Googleが繰り返し停止しています」エラー多発、Google Japanが「不具合を修正中」として解決策を試すよう呼びかけ

Androidスマートフォンで「Googleが繰り返し停止しています」というエラーが表示されるとの報告がSNSで相次いでいます。

筆者の手元のスマートフォン(Galaxy S21 Ultra)でも同様のエラーを確認しており、一時Googleアプリが開けなくなっていましたが、現在(15時21分)は開けるようになっています。(更新:15:32)再びGoogleアプリが開けなくなりました。

また、NTTドコモも公式Twitterアカウントで、一部のGoogleアプリが利用しづらい状況にあることを案内しています。

このエラーは、同社が配信したGoogeアプリの最新バージョン「12.23.16.23.arm64」に起因している模様。ストアで更新をアンインストールするか、設定からGoogleアプリを無効にするといった対処方法がSNSで紹介されています。

同様のエラーは日本のみならず、全世界で報告されています。

Androidスマートフォンでは、今年3月にもGoogle PlayやGmailなど一部のアプリが起動できなくなる不具合が発生しています。その際はシステムアプリの不具合が原因とされていました。

Google Japanは「不具合を修正中」とツイートしたうえで、問題が発生した場合、下記解決策を試すよう呼びかけています。

  1. Androidの設定アプリを起動
  2. アプリと通知をタップ
  3. 〇〇個のアプリをすべて表示をタップ
  4. アプリのリストから、Googleを探してタップ(あるいは右上の検索ボタンでGoogleを検索
  5. ストレージとキャッシュをタップ
  6. 「ストレージを消去」または「容量を管理」をタップ
  7. 「データを全て消去」をタップ

注:これにより、Google アシスタント の設定を含む、Google アプリの設定のいくつかが初期化されます。設定を変更していた場合は、再度見直して頂くようお願いいたします。

Engadget日本版より転載)

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:アプリ / モバイルアプリ(用語)Android(製品・サービス)Google / グーグル(企業)バグ / 脆弱性(用語)

グーグルのトラッキングクッキーのサポート終了は英国の競争規制当局が同意しない限り実現しない

大きな決定だ。Google(グーグル)がサードパーティークッキーのサポート終了に向けて動く中、英国の競争規制当局はこれを阻止できるサイドブレーキを手にする模様だ。Cookieは現在オンライン上のターゲティング広告に使用されているテクノロジーで、進行中の廃止計画によって競争に悪影響が及ぶとされている。

今回の出来事は、Google独自の「プライバシーサンドボックス」について、2021年初めに競争・市場庁(CMA)が行った調査を受けてのものだ。

規制当局は、GoogleがChrome(クローム)上でサポートしているCookieを削除しようとした場合に、少なくとも60日間この動きを停止するよう命じる権限を持つことになる。そのためには、規制当局はGoogleが提示した法的拘束力のあるいくつかの契約に同意する必要があるが、当局は現地時間6月11日、契約に応じる意思を示す通知を発表した。

また、Googleにトラッキングクッキーの廃止を停止するよう命じた段階で状況が思わしくない場合、競争・市場庁は全面的な調査を再開することもできるという。

その上、競争に悪影響を及ぼさない形でGoogleの「プライバシーサンドバッグ」テクノロジーに移行することはできないと規制当局が判断した場合、規制当局はこの広範なテクノロジーの移行を全面的にブロックする権限も有する。しかし、競争・市場庁は本日の発表で、競争に関するこの計画の懸念点はGoogleが提示した一連の契約によって暫定的に解消されたとの見方を示している。

現在は協議委員会が設けられ、業界が同意するかどうかのフィードバックを7月8日まで受け付けている。

競争・市場庁のAndrea Coscelli(アンドレア・コシェリ)主席常任委員は、声明で次のようにコメントしている。

Googleをはじめとする巨大なテクノロジー企業の台頭により、世界各国の競合規制当局は新しいアプローチを必要とする新たな課題に直面している。

そのため、競争・市場庁は世界をけん引して強大なテクノロジー企業と連携し、消費者の利益のためにこれら企業の行動を方向づけ、競争を保護する取り組みを進めている。

Googleから受け取った契約に同意した場合、これらの契約には法的拘束力が生じるため、デジタル市場での競争を促進し、ユーザーのプライバシーを保護しながら、広告を通じてオンライン上のパブリッシャーが売上を確保する権利を保護する助けとなるだろう。

Googleが契約内容を概説したブログ記事には「Consultation and collaboration(話し合いとコラボレーション)」「No data advantage for Google advertising products(Googleの広告製品にデータのアドバンテージはなし)」、そして「No self-preferencing(自社に対するひいきはなし)」という3つの大筋の副見出しが並んでいる。この記事の中で、Googleは競争・市場庁が契約に同意した場合はこれを「世界中で適用する」としており、英国の介入を顕著に示すことになる。

英国のEU離脱によって生じた少々意外な変化の1つは、世界のデジタル広告の規則に関して英国が主な決定を下す立場となった点だろう(欧州連合も大手プラットフォームの運営に関する新しい規則の制定に動いているが、プライバシーサンドボックスに対する競争・市場庁の介入に匹敵するほどの動きは、まだ欧州連合本部からは見られていない)。

Googleが英国の競争介入を世界的に適用するとした決定は、非常に興味深いものだ。もしかすると、競争・市場庁を世界の模範のように見せることで、当庁に提示内容を承諾してもらおうというごますり的な要素もあるのかもしれない。

同時に、ビジネスが求めるのは運営の確実さだ。Googleが(そこそこ)大きな英国市場で認められる規則を最終的にまとめられるのであれば、英国内の監督機関と共同で規則を策定し、それを世界中に展開する形となるため、これは将来他の規制当局が強制措置を取るような事態を回避する近道となる可能性がある。

そのため、Googleは今回の件について、アドテック事業をポストCookieの未来へ移行させる上での、よりスムーズな道のりと捉えているのかもしれない。もちろん、全面的な停止を命じられる事態を避けたいという思いもあるだろう(いや、どうだろうか?どちらの結果でも、Googleにはプラスとなるだろう)。

さらに広く見れば、テンポの速い英国の規制当局と連携することは、Googleにとって政治的なこう着状態やリスクを回避するための戦略とも考えられる。実際、他の市場ではデジタル規制に関する議論でこのような事態が見られているからだ(特に本拠地の米国では、巨大なテクノロジー企業を解体しようとする声が大きくなっている他、実際にGoogleは現在独占禁止法に基づく調査複数受けている)。

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Googleが求めているのは、規制当局の認可を受けた「準拠」のハンコをもらい、自社が築いた広告の帝国を解体する必要はないと証拠で示すことなのかもしれない(あるいは、プライバシー重視の変更を行ってはいけないと規制当局から命令を受けることかもしれない)。

Googleが提示した契約からは、巨大テクノロジー企業の力に立ち向かおうと最もスピーディーに動いた規制当局が、世界中のウェブユーザーに適用される基準と条件の定義づけを支援する立場となることが如実に表れている。少なくとも、より極端な介入が巨大テクノロジーになされない限りはそうだろう。

プライバシーサンドボックスとは

プライバシーサンドボックスは、(ユーザーのプライバシー面で最悪という見方の多い)現行の広告トラッキング手法を代替インフラストラクチャに置き換えるものとして提案されたインターロッキング技術の集合体だ。Googleはこれについて、個人のプライバシー保護の観点ではるかにすぐれていながら、アドテック業界やパブリッシング業界が(Google曰く、今までとほぼ同じように)ウェブユーザーのコーホート(オンラインで閲覧するコンテンツに基づいて「似た興味関心のボックス」別に分類)ごとにターゲティング広告を表示させることで、収益を生み出せるインフラストラクチャだという。

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本提案(これには、Googleが提案する、協調機械学習により生成されたコーホートに基づいた新しい広告IDのFLoCや、Turtledoveを拡張したGoogleの新しい広告提供テクノロジー、Fledgeなどが含まれている)の完全な詳細は、まだ確定されていない。

とはいえ、Googleは2020年1月の時点で、2年以内にサードパーティークッキーのサポートを終了するつもりであることを発表しているため、この厳しいタイムフレームが反対の声を呼び寄せたと思われる。アドテック業界や(いくつかの)パブリッシャーからは、業界レベルの広告ターゲティングが失われると広告の収益に甚大な被害が及ぶおそれがあるとして抵抗の声が上がっている。

競争・市場庁は、Googleが考案した新しいインフラストラクチャへの移行はGoogleの市場権力を増大させるものにすぎないと苦情が上がったことを踏まえ、Googleが計画しているトラッキングクッキーの廃止について調査を開始した。これらの苦情では、サードパーティーが広告ターゲティング用にインターネットユーザーを追跡できないようサードパーティーを締め出しておきながら、Googleは(消費者ウェブサービスを独占しているため)膨大なファーストパーティーデータにアクセスでき、オンラインでのユーザーの挙動を高レベルで把握できるという点が指摘された。

競争・市場庁が本日発表した通知書のエグゼクティブサマリーには、規制当局による適切な監督がない場合、プライバシーサンドボックスが以下の影響を生じさせる可能性があると懸念が示されている。

  • サードパーティーに対してユーザートラッキングに関連する機能を制限しながらもGoogle側の機能を保持することで、広告インベントリを提供する市場、さらには広告テクノロジーサービスを提供する市場の競争をゆがめる。
  • Google独自の広告製品やサービス、さらにはGoogleが所有および運用する広告インベントリをひいきすることで、競争をゆがめる。
  • 個人データをターゲティングや広告提供の目的でどのように用いるかという点で、クロームウェブの各ユーザーが幅広く選択する権利を拒否することで、Googleが持つ明らかに独占的な地位を不当に利用することを容認する。

一方、インターネットユーザーへの広告トラッキングやターゲティングに対するプライバシー面での懸念から、Googleは間違いなくクローム(当たり前だが、ウェブブラウザの市場シェアを独占している)を一新するよう圧力を受けている。他のウェブブラウザが何年もの間トラッカーをブロックするなどしてユーザーをオンライン監視の目から保護する取り組みを自発的にしていることも、この圧力の理由だ。

ウェブユーザーは、不快な広告を非常に嫌がる。彼らがこぞって広告ブロッカーを使うのもそのためだ。データにまつわる数えきれないほどの大スキャンダルも、プライバシーやセキュリティに関する認知度を高めてきた。その上、ヨーロッパをはじめとする国では、ここ数年の間にデジタルプライバシー規制が強化されたり、新たに導入されたりしている。つまり、広告事業がオンラインで行うアクションの「許容ライン」が変わってきているということだ。

しかし、ここでの主な問題は、プライバシーと競争規制がどのように互いに作用(あるいは衝突)するかという点だ。考えが足りず、切れ味の鈍い状態で競争介入が行われた場合、ウェブユーザーのプライバシー侵害を根本的に固定化させてしまうリスクはその顕著な例である。つまり、オンラインプライバシー規制の実施が緩やかな場合、インターネットユーザーに対して同意のない過剰な広告トラッキングやターゲティングを行う事業が利益を拡大する事態を許容することになり、本来の目的が失われてしまうということである。

禁止令発令の権力を振りかざす競争規制当局と、緩やかなプライバシー規制の実施というコンビネーションは、ウェブユーザーの権利を保護する上で理想的とは言えないだろう。

一方、この状況を楽観視するには注意が必要だ。

先月、競争・市場庁と英国個人情報保護監督機関(ICO)は共同声明を発表し、デジタル市場における競争とデータの保護の重要性について述べたが、ここで競争・市場庁によるGoogleプライバシーサンドボックスの調査が、きめ細かな共同作業を必要とするケースの好例として取り上げられているのだ。

共同声明の内容はこうだ。「競争・市場庁と英国個人情報保護監督機関は、Googleやその他の市場参入者と連携してGoogleの提案に関する共通理解を醸成するとともに、提案の詳細が明らかになる過程でプライバシーと競争に関する懸念を払拭できるよう徹底的に取り組む」。

英国個人情報保護監督機関が過去に権利を踏みにじるアドテックに対して実施した措置は、はっきりいうと存在しない。当機関がアドテック業界のロビー活動に対して規制の不履行を選ぶ傾向にあることを踏まえると、英国のプライバシーおよび競争を監督する規制当局が「共同作業」すると述べた事実は、ほんの小さな楽観的要素も打ち消す力があるだろう。

(対して競争・市場庁は英国のEU離脱後に今までより大きな調査権限を手にして以来、デジタル領域に関して非常に積極的に取り組んでいる。ここ数年の間にデジタル広告市場の競争実態が明らかになってきたこともあり、当庁が有する知識は膨大だ。また、当庁は競争重視の制度を監督する新たな機関の立ち上げも進めており、英国はこの機関を通じて大手テック企業の行動を制限する意思を明言している)

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Googleが同意した契約とは

競争・市場庁はGoogleがプライバシーサンドボックスについて「大規模かつ幅広い」契約を提示したとし、その一部として以下を開示している。

  • 競争のゆがみ、またクロームユーザーにとって不公平な規約の強制を回避する形で提案を策定し、実施する義務を負う。目標を確実に達成するため、これには提案の策定時に競争・市場庁と英国個人情報保護監督機関を関与させる義務が含まれる。
  • Googleが提案内容の実施を進める際には、その方法と時期、さらには評価の基準を公表することでGoogleの透明性を向上させる。これには、代替テクノロジーの有効性に関する試験結果を一般に開示する義務が含まれる。
  • サードパーティークッキーの削除後、Googleがデジタル広告の目的で使用または組み合わせる個人のユーザーデータの範囲を大幅に制限する。
  • Googleがサードパーティークッキーの代替となるテクノロジーを設計および運用する上で、競合他社に対し、自社の広告およびアドテック事業に有利になるような不公平な取り扱いをしてはならない。
  • Googleがサードパーティークッキーの削除に着手する際には、着手前の少なくとも60日間を休止期間とする。これは、顕著な懸念事項をGoogleが解消できなかった場合に競争・市場庁が調査を再開し、競争への悪影響を回避すべく、必要であればあらゆる暫定措置を課す機会を確保するためである。

Googleはこのようにも述べている。「この過程で、私たちは競争・市場庁や業界とオープンかつ建設的で継続的な対話を続けていきます。その一環として、競争・市場庁および広範なエコシステムに対し、プライバシーサンドボックス案の開発に関するタイムライン、変更、および試験について積極的に情報を共有し、今まで行ってきた透明性確保のアプローチを踏襲していきます」。

Googleの声明はこのように続く。「競争・市場庁が英国個人情報保護監督機関から直接意見を取り入れる過程で、Googleは競争・市場庁と協力し、新しい提案に関する懸念事項を解消するとともに、試験に用いる評価基準を共同で策定していきます」。

Googleの契約は、競争に直接関連する複数の領域を網羅している。自社へのひいきや、差別撤廃、さらにはサードパーティーと比較して自社のアドバンテージになる可能性のある特定のソースからはユーザーデータを組み合わせないといった規定だ。

一方、競争に関する検討事項の中にはプライバシーも明示的に織り込まれており、競争・市場庁はこれらの契約によって(私たち側に)以下が実現されると述べている。

Googleの提案を計画、実施、および評価する際に考慮に入れる基準を策定する。これは、プライバシーサンドボックス案に関する以下の影響を含めた基準とする。データ保護の原則と照らし合わせた際のプライバシー保護の実態とコンプライアンス。デジタル広告における競争と、とりわけGoogleとその他の市場参入者との競争のゆがみが生じるリスク。パブリッシャーが広告インベントリから収益を生み出す可能性。ユーザーエクスペリエンスとユーザーデータの使用に関する管理権。

英国個人情報保護監督機関の報道官はまた、競争・市場庁の介入を受けてGoogleから受け取った契約のうち、最初に受け取ったものの1つが「プライバシーおよびデータの保護に注力したもの」だったとしきりに述べている。

声明の中で、データ規制当局は次のように補足している。

私たちが受け取った契約は、プライバシーサンドボックス案の評価に際する重要な節目と言える。これらの契約からわかるのは、デジタル市場における消費者の権利を最もよい形で守るには競争とプライバシーの両分野を合わせて考慮する必要があるということだ。

競争・市場庁との最近の共同声明で概説したように、私たちは消費者のデータを合法的かつ責任を持って使用し、デジタルイノベーションと競争を促進することが消費者の利益になると確信している。私たちは引き続き競争・市場庁との建設的かつ密接な関係を強化し、提案を評価する過程で消費者の権益を確実に保護していく。

競争・市場庁の調査に関するこの進展は大小さまざまな疑問を呼んでいるが、そのほとんどは将来の主要ウェブインフラストラクチャについて、またGoogleと英国の規制機関との間でまとめられた変更事項が、世界中のインターネットユーザーにどのような影響を及ぼすのかという疑問だ。

ここでのカギとなる問題は、1つの巨大テクノロジー企業が消費者向けデジタルサービスとアドテックの両業界を複占していることで生じた市場権力の不均衡を修正する上で、監督機関との「共同策定」が本当に最適な方法なのかという点である。

また別の人は、Googleと消費者向けテクノロジーとGoogleのアドテックを解体する他権力乱用を修正する方法はない、それ以外の方法は非常に何もしないのと同じだ、というだろう。

例えばGoogleは、実施前の議論や微調整がいくらあったとしても、結局は変更事項の提案そのものを統括する立場にある。結局船を操縦しているのはGoogleのため、オープンウェブに関してこのような管理モデルを導入するのは許容できないと考える人は山ほど存在している。

しかし競争・市場庁は、せめて今のところはGoogleに全面的に任せたいようだ。

と同時に、注目すべきなのは英国政府と競争・市場庁がより広範な競争重視制度を打ち出そうと動いていることだ。これはGoogleやその他の巨大プラットフォームの今後の運営方法について、より大規模な調査の実施につながるかもしれない。さらなる調査の発生は、まず確実だろう。

とはいえ、今のところGoogleは英国の規制当局と協力状態にあることに喜んでいるようだ。Googleが思いのままに(あるいはしかたなく)細かな変更を重ね、監督機関の気を紛らわせることができるのなら、事業解体を命じられる(実際、競争・市場庁は以前解体に関する意見を募集している)よりも、Googleははるかに安心して状況を見渡せるだろう。

私たちは、Googleに対しプライバシーサンドボックス契約に関するいくつかの質問を提出した(更新:以下にいくつかの回答を記載)。

英国インターネット広告局(IAB)のCEOであるJon Mew(ジョン・ミュー)氏は、進展を受けて発表した声明の中で次のように述べている。

インターネット広告局は、サードパーティークッキーの段階廃止について、広告で賄われるウェブを根本的に改善する機会だと以前から明白に述べてきたため、今回一般的なユーザーIDソリューションすべてが遵守すべきと考える明確な原則を策定した。私は、プライバシーサンドボックスに関する競争・市場庁の調査、加えて競争に与えかねない影響の懸念事項を対処するためのGoogleの契約は、この過程において重要かつ価値のある動きと考える。

これらの契約により、幅広い業界がGoogleの提案について、競争とプライバシーの両面での方針を考慮に入れ、競争・市場庁による規制監督を経て策定されているとの確信を得ることができる。サードパーティークッキーの段階廃止はデジタル広告業界が経験してきた変化の中で最も重大なものであり、この分野における計画が適切な精査を受けるべきなのは当然である。

より広範囲な質問

私たちの質問を受け、Googleからいくつかの追加の背景情報を得ることができた。これらの補足では、Googleはプライバシーサンドボックスのいかなる「共同設計」の提案も拒否すること、そしてこの契約はあくまで競争・市場庁による監督と当庁との連携に関するものだとしている。とはいえ、これはGoogleの屁理屈に過ぎないかもしれない。

Googleはまた、提示した(設計および試験に関する)契約にはプライバシーサンドボックスで提案されているすべてのテクノロジーが記載されていることを認めている。つまり、これは明らかにトラッキングクッキーに限定された契約ではなく、それを置き換える(あるいは置き換えない)すべてのテクノロジーに適用されるということだ。

さらに、Googleはこの契約が正式に合意に至った場合、英国の競争・市場庁に対する契約を世界的に適用すると認めている。

競争・市場庁がトラッキングクッキーを廃止してはいけないと命令した場合、代替案はあるのか、あるいはそうした命令はそのままプライバシーサンドボックスの死を意味するのかという質問に対しては、Googleは明言を避けた。

しかしながら、Googleはプライバシーに関するユーザーの期待に応えなければウェブを危険にさらしてしまうと確信していること、そしてプライバシーサンドボックスプロジェクトの進行に向けて全力で取り組んでいくことを約束した他、競争・市場庁との連携が、移行計画に関する業界の懸念を和らげる助けとなることを願うと述べている。

また、競争・市場庁の議論の結果を待って作業を中断するのではなく、今後もプロジェクトの進行を続けていくとしている。

ただし、規制当局による介入によってプライバシーサンドボックスの本来の実装タイムラインに(遅延などの)変更が生じているかという質問に対しては、回答が拒否された。

プライバシーサンドボックスの管理モデルについて、またGoogleがウェブインフラストラクチャのこれほど核となる部分を再設計するのは公平かどうかという質問については、Googleはワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアム(W3C)などのフォーラムを通じ、業界と連携して進めていると主張した。

しかし、ワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアムグループには、Googleの決定に影響を及ぼす力はない。そのため、実際にはGoogleがオンライン業界全体に適用される大規模な再設計を一方的に進めていながら「見せかけのコラボレーション」を行っているのではないかという懸念が一部で上がっているのだ。そして、英国の規制当局を提案の議論に引き込み、アウトリーチを広げる目的で連携を進めていながらも、提案と決定権を持っているのは結局のところGoogleである。

管理面については、独立した立場にあるプライバシーおよびサイバーセキュリティ研究員・コンサルタントのLukasz Olejnik(ルカス・オレイニク)博士(プライバシー保護システムの管理についての著書あり)からTechCrunchに次のような所見が寄せられた。「Googleは確かに最善を尽くしてコラボレーションを進め、さまざまな関係者からの意見を聞こうとしているようだ。例えば、ワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアムグループの会場ではこのような場面が見られている。プライバシーサンドボックスに関する管理モデルがあるのかどうか、現時点でははっきりとは分からないが、私には存在しないように思われる。ここでの問題点は、契約の細かな点だ」。

「問題なのは、実装された変更や修正に関して同意する際のプロセスがなければならないという点だ。ふさわしい提案が出されたとして、それが本当に実装される保証はあるだろうか。また、提案に関する今後の維持管理や開発がどうなるのかも不透明だ。これを正当化していいのだろうか」。

「当然、Googleは自社のみが一方的に決定を下せるとは主張しない。その真偽についても、おそらく議論したくはないだろう。私が提案するのは、ユーザーやパブリッシャー、ユーザーエージェント、広告主、そしてプライバシーに関する専門家および研究員といった関係者から意見を受け付けたり、それを代表したりする準公式の管理構造だ。プライバシーを保護する広告システムの導入は今回が初めての試みとなるため、将来にも対応できるシステムにすることが重要だろう」。

他にも、TechCrunchはGoogleに対し、プライバシーサンドボックス案の広告配信について、そして提案されたアーキテクチャがどのようにユーザーのプライバシーを保護すると確信しているかについて伺った。

Googleからは詳しい回答は得られなかったが、トラッキングクッキーを使用した現行のシステム(個人レベルでのターゲティング)と比べ、タートルダヴ案ではプライバシー保護を強化できるとの示唆があった。タートルダヴでは、広告主が1つまたは複数の興味関心グループに基づいて広告を配信し、興味関心グループをユーザーのその他の情報とは組み合わせない仕組みとなっている。

また、この提案で述べられたフレッジはタートルダヴを基盤としており、信頼できるサードパーティーサーバーを導入することで、ブラウザ内に情報を保管することへの懸念に対応するとしている。

Googleは、プライバシーサンドボックスに関して競争・市場庁と協力する過程で、両方のテクノロジー提案の開発および試験についても積極的に連携していくとし、この過程で競争規制当局が英国個人情報保護監督機関から直接意見を取り入れることを補足した。つまり、繰り返しになるが、英国の規制当局は変更案が議論される際にはテーブルの最前列を確保できるということだ。

その上で、提示した契約が市場を安心させる大きな一歩であるとの確信が述べられている。

この「コラボレーション」がプライバシーサンドボックスの「競争重視」の面を促進しながらもユーザーのプライバシーを悪化させることになるのか、今後に注目だ。

そうなれば、競争・市場庁と英国個人情報保護監督機関が主張する(「プライバシーと競争に関する懸念を払拭」するための)共同作業は大きな失敗となってしまう。とはいえ、壮絶なロビー活動を行うアドテックの影響力を前に、ユーザーの権利が今までことごとくプライバシー規制当局に無視されてきたのは事実だ。

それでも、競争規制当局をこの議論に引き入れようとしていることから、アドテック企業は少なくとも主要な問題においては規制当局による措置を実行に移すかもしれない。ヨーロッパの他の地域では、プライバシーの侵害は競争の問題ともみなされている。どのような結末を望むのか、決定には注意が必要だ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:GoogleCookieイギリス競争・市場庁 / CMA広告プライバシー

画像クレジット:Tekke / Flickr under a CC BY-ND 2.0 license.

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

【コラム】SEO担当者はGoogleアルゴリズムアップデートに慌てる必要はない

編集部 注:本稿の著者Eli Schwartz(イーライ・シュワルツ)氏は、10年以上にわたりB2BおよびB2Cの大手企業で働いてきた経験を持つ、SEOの専門家でありコンサルタント。

ーーー

Googleのアルゴリズムアップデートの噂が流れるたびに、SEOコミュニティは大パニックに陥る。皆数字が分析されるまで息をひそめ、アルゴリズム・アップデートを(願わくば)無傷で乗り切ったときには、安堵のため息がもれる。

アップデートが公開され、特にGoogleによる承認があった場合には、Googleが何を変えたのか、新しいパラダイムで勝つにはどうすればいいのかを分析しようとする記事や専門家の分析が相次ぐ。

私はこの悩みはまったくの杞憂だと思う。

Googleアルゴリズムは、あたかも研究室で作られたようなある種の神秘的な秘密のレシピであり、不思議な全知の魔法使いの気まぐれでサイトを盗んだり、サイトに報酬を与えたりするかのように思われている。この時代遅れのスキーマにおけるすべてのSEOとウェブマスターの目標は、この魔法使いを騙して、すべてのアップデートの勝者になることだ。

この考えは、Googleアルゴリズムのアップデートで何が起こるのかに関する根本的な誤解、そしてGoogleに対する根本的な誤解に根ざしている。実際のところ、アルゴリズムは私たちの敵ではない。アルゴリズムは、より良い、より正確なユーザーエクスペリエンスを実現するために設計されているのだ。ここでは、アルゴリズムとの関係を再構築するためのいくつかの視点を紹介する。

Googleは力になろうとしているだけ

まず確認したいのは、Googleは、あくまでも手助けをしようとしているということだ。Googleは、検索する人に快適で高品質なユーザー体験を提供したいと考えている。それ以上でもそれ以下でもない。Googleは魔法使いではないし、そのシステムは恣意的にサイトを奪ったり、報酬を与えたりするためのものでもない。

それを念頭に置いて続けたい。

Googleのアルゴリズムは、大規模で複雑なソフトウェアプログラムであり、実際のシナリオに基づいて常に更新される必要がある。そうしないと、まったくの恣意的なものになってしまうからだ。ソフトウェアのバグが報告されて修正されるように、検索エンジンは何が機能していないかを発見し、解決策を生み出さなければならない。

Googleのアップデートは、他のソフトウェア企業と同様に、自社の製品やサービスを大きく飛躍させるものだ。ただし、Googleの場合は、単なる製品アップデートではなく「メジャーアルゴリズムアップデート」と呼ばれている。

これで、Googleのアルゴリズムアップデートとは何かという知識が身についたことだろう。慌てる必要がないというのはありがたいことではないだろうか?

検索トラフィックが減少しても、必ずしも不利になるとは限らない

大規模なアルゴリズムアップデート後にサイトの検索トラフィックが減少したとしても、それがサイト全体を対象としたものであることはほとんどない。通常、1つのURL群の検索順位が下がっても、他のページは改善されていることが多いようだ。

改善されたページを確認するには、Google Search Consoleを深く掘り下げて、どのURLでトラフィックが減少し、どのURLで増加したかを調べる必要がある。アップデート後にサイトが急激に落ち込むことは確かにあるが、それは通常、そのサイトで勝者よりも敗者が多かったためだ。

トラフィックが減少したとしても、それはアルゴリズムがサイトを懲らしめたからではないことは間違いない。

多くの場合、実際のトラフィックは減少しておらず、クリックに結びついていないインプレッションが減少しただけの可能性がある。最近のアップデートで、Googleは強調スニペットを掲載していたサイトの検索結果を削除した。その結果、インプレッション数は大幅に減少したが、クリック数はほとんど変わらなかった。アップデート後にサイトが勝った、あるいは負けたと決めつけるのではなく、詳細なデータを集めて研究し、より明確な情報を得るようにしたい。

Googleを見習い、優れたユーザー体験を重視する

ユーザーへの高品質ですばらしい体験の提供に注力しているウェブサイトは、アルゴリズムのアップデートを恐れる必要はない。むしろ、アップデートは優れた結果を出すために必要な原動力となることもある。怖がる必要があるのは、ユーザー体験の質が低いために、そもそも検索で上位に表示されるべきではなかったウェブサイトだけだ。

ウェブサイトがユーザーに優れた体験を提供しているのであれば、アップデートによって質の低いサイトが淘汰されるため、アップデートが実際に味方に付いてくれる可能性が高い。

ユーザー体験の質を重視していれば、アルゴリズムの更新でトラフィックが減少するページもあるだろうが、ほとんどの場合、全体としてトラフィックが増加するのが普通だ。何が変化したのかという詳細なデータを調べれば、ウェブサイトはアルゴリズムの更新によって苦境に陥ったり、影響を受けたりすることもなく、特定のURLだけが影響を受けるという見解が裏付けられるだろう。

アップデートは検索エンジンにとっての現実

Googleはアルゴリズムを継続的に更新していくであろうし、そうするべきだ。Googleの一番の目的は、ユーザーを満足させ、維持し続けることができる進化したプロダクトを提供することなのだ。

Googleがアルゴリズムを放置すれば、抜け道を利用したスパマーに蹂躙されるリスクがあることを考えてみて欲しい。スパム的な検索結果を多く提供する検索機能は、AOL、Excite、Yahoo、その他の検索エンジンのように、機能的にもはや存在しないものとなってしまうだろう。Googleは、アルゴリズムを更新することで、関連性を維持しているのだ。

アップデートは検索という行為の一部なのだ。

アルゴリズムではなく、ユーザーを追いかける

オーガニック検索に依存しているすべてのウェブサイトは、必ず変化するアルゴリズムを追いかけるのではなく、もっと重要なところ、つまりユーザー体験に焦点を当てるべきだと私は考える。

ユーザーは、結局のところ検索における顧客だ。サイトがユーザーに貢献していれば、検索体験を保護するために設計されたアルゴリズムの更新に対する免疫がつくだろう。アルゴリズムにおける魔法使いは存在しない。存在するのは、サイトに最適なプロセス、手順、行動を適用する方法を見出したSEOマスターだけだ。

アルゴリズムやアップデートの目的はただ1つ、ユーザーが求めるものを正確に見つけられるようにすることだけだ。サイトがユーザーの役に立っていれば、何も恐れることはない。

【編集部注】この記事は「Product-Led SEO:The Why Behind Building Your Organic Growth Strategy」(製品中心のSEO オーガニック検索における成長戦略を築く際の根拠)からの抜粋となる。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:GoogleSEO検索Google検索アルゴリズム検索エンジンコラム

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(文:Eli Schwartz、翻訳:Dragonfly)

Google協力、QunaSysが量子プログラミングや量子アルゴリズムを学ぶイベント「Cirq Bootcamp」開催

Google協力、QunaSysが量子プログラミングや量子アルゴリズムを学ぶイベント「Cirq Bootcamp」開催

QunaSys(キュナシス)は、Googleの協力のもと、量子プログラミングや量子アルゴリズムを学ぶイベント「Cirq Bootcamp」を開催すると発表した。開催期間は6月26日午前9時から14時(JST)。参加費は無料。対象は、量子コンピューティングに興味がある大学生・大学院生だが、高校生や社会人も参加可能としている。開催形態はオンラインのみ(Zoom)。申し込みの際登録したメールアドレスにZoomの招待リンクを送付する。

同イベントでは、Googleがオープンソースで開発している、量子プログラミングフレームワーク「Cirq」を解説する。NISQ(Noisy Intermidiate Scale Quantum)デバイスに特化したPython用ライブラリーにあたり、基本的な使い方から研究事例まで採り上げ、量子アルゴリズムの理解を深めることを目的としている。

イベント前半ではCirqの使い方を学び、後半では「Google Quantum AI」の研究者がCirqを活用した実際の研究を紹介する。

NISQデバイスとは、中規模の誤り訂正無しの量子コンピューターを指す。2019年にGoogleがNISQデバイスによる量子超越性を示して以来、NISQデバイス上で実行可能なアルゴリズム開発や誤り訂正の実現に向けた研究が加速している。

「Cirq Bootcamp」開催概要

  • 開催期間:6月26日午前9時から14時(JST)。途中抜け・途中参加可
  • 対象:大学生・大学院生。高校生・社会人などの参加も可能
  • 参加費:無料
  • 開催形態:オンラインのみ。申し込みの際登録したメールアドレスにZoomの招待リンクを送付
  • 申し込みCirq Bootcampの「Cirq Bootcamp 応募フォーム」より行う

プログラム概要

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グーグルがARM EPYCベースのTau仮想マシンをクラウド向けに発表

米国時間6月17日朝、GoogleはARMの第3世代EPYCプロセッサーをベースとする新たな仮想マシン系ファミリー「Tau」のローンチを発表した。同社によると、この新しいx86互換のシステムは、標準のVMに比べて42%高い価格性能比を提供する。とりわけGoogleは、AMD EPYCプロセッサーの利用を2017年にGoogle Cloudで始めているが、Amazonのクラウドでの利用は2018年からになる。

Googleの言い方では、Tauファミリーは既存のクラウドVMの複数世代をすべて「一気に跳び越えて」いる。構成は多様だが、最大は1VMあたり60vCPUで、メモリーは1vCPUあたり4GBだ。ネットワーキングの帯域は最大で32Gbps、そしてさまざまなネットワーク上にあるストレージを接続できる。

Google CloudのCEOであるThomas Kurian(トーマス・クリアン)氏は、プレスリリースで「あらゆる業界のお客様が、より要求の厳しいデータインテンシブなワークロードに対応し、パフォーマンスの向上とコスト削減のための戦略的な方法を模索しています。AMDのような重要な戦略的パートナーとの協力により、我々はサービスの幅を広げ、業界で最もクリーンなクラウド上で、計算量の多いビジネスクリティカルなアプリケーションに対して最高の価格でお客様に提供することができました」と述べている。

画像クレジット:Google

GoogleはすでにTwitter、Snap、DoITなど一部な高名な顧客と初期的トライアルの契約を結んでいる。TwitterのプラットフォームリードであるNick Tornow(ニック・トルノフ)氏は、ブログで次のように述べている。「2桁のパフォーマンス向上の可能性を示す初期テストに興奮しています。私たちは、Google Cloudと協力して、新しいTau VMファミリーを使用することで実現できる特定のコンピュートワークロードの価格と性能に関するメリットをより深く評価しています」。

画像クレジット:Google

2021年第3四半期にTauのVMがGoogle Cloudに登場する。同社は事前登録しているクライアントにはすでにシステムをオープンしている。料金は構成次第だ。例えば32vCPUのVMで128GBのRAMなら1時間約1.35ドル(約149円)になる。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:GoogleGoogle Cloud

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

グーグルが子供向けオンライン安全カリキュラムを更新、オンラインでのいじめやハラスメントに関するレッスンも追加

Google(グーグル)は、米国時間6月16日、同社のデジタルの安全性と市民権に関わるカリキュラム「Be Internet Awesome」のアップデートと拡張を発表した。学齢期の児童が責任感を持ってインターネットを行き来できるようになることを狙ったカリキュラムだ。Googleによると、4年前に導入されたこのカリキュラムも、現在では3カ国数百万人の子どもたちに届いている。今回のアップデートで、Googleは、と教育者のためのレッスンを10 個ほど増やし、オンラインゲームや検索エンジン、動画の消費、オンラインの共感、サイバーいじめなどのテーマを加えている。

Googleはニューハンプシャー大学の対児童犯罪研究センターに依頼してこの事業を評価してもらい、2019年には重要なアップデートとして、偽情報やフェイクニュースの判断方法を子どもたちに教えるためのレッスンを追加している。

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当時の評価では、この事業がサイバーいじめやオンラインの市民性とウェブサイトの安全性といった部分では、子どもたちの助けになっているが、その他の部分に関して改善が必要だと指摘されていた。

Googleはその後、Committee for ChildrenThe Net Safety Collaborativeといったオンラインでの安全性に関するエキスパートと協力して教材を改訂している。その結果、現在では、レッスンが年齢集団や学年別に調整され、テーマも増え、家族向けのリソースも加わった。

今回の新レッスンには、オンラインゲームと検索エンジン、動画消費に関するガイダンスが含まれ、児童生徒がサイバーいじめやオンラインでのハラスメントに対応できるようになるための社会や感情に関する学習も追加されている。

例えば一部の新レッスンでは検索メディアのリテラシーが議論され、Googleといった検索エンジンの正しい使い方とリンク、それらが返す結果を評価することを学ぶ。これらのレッスンが、メディアリテラシーに関する既存の教材に加わった。

他にも、オンラインでの共感の実践や親切の示し方、いじめなどの不適切で気が動転するようなものを見た / 遭遇したときの対応方法などのレッスンも加わっている。

オンラインゲーム関連のコンセプトが新レッスンに織り込まれたのは、リアルタイムチャットで他のプレイヤーと対話することも増えており、現在の子どもたちがオンラインゲームにおける大量のソーシャルなコミュニケーションを経験しているからだ。

また子どもたちは、「本当に子どもなのか」など、いろいろな視点からオンラインゲーマーの人物を検証できるようになる。教材は、オンライン上の人と共有してはいけない種類のプライベートな情報について説明している。

新たに追加された家族向けリソースでは、今回アップデートされたカリキュラムが親を、テクノロジーの利用を家族で管理するためのコツやツールの情報を提供する最近立ち上げられたオンラインハブ「families.google」に誘導する。

GoogleがアップデートしたFamily Linkアプリは、どのアプリをいつなら使ってよいかを、親が設定することが可能で、実際に子どもたちが画面を見たり、使ったりした時間が親に報告される。また2021年初めにはYouTubeに対するペアレンタルコントロール機能が加わり、YouTube Kidsの層よりも年は上だが、まだ自由に視聴させたくない年齢層、つまりティーンや10〜13歳の子どもたちの利用もコントロールできる。

Googleによると、アップデートされたカリキュラムは米国時間6月16日から、親や家族、教師、教育者らがBe Internet Awesomeのウェブサイトで利用できる。

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カテゴリー:EdTech
タグ:Google子ども10代ペアレンタルコントロールメディアリテラシー

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Android版「Googleアプリ」にセキュリティバグ、検索履歴などほぼすべての個人情報が危険に晒されていた

50億以上のインストール数を誇るGoogle(グーグル)の名を冠したAndroidアプリに、最近まで攻撃者が被害者のデバイスから個人情報をこっそり盗み出すことができる脆弱性があったことが明らかになった。

モバイルセキュリティを専門とするスタートアップOversecuredの創業者であるSergey Toshin(セルゲイ・トーシン)氏は、ブログ記事の中で、この脆弱性は、Googleアプリがアプリ自体にバンドルされていないコードに依存していることと関係があると述べている。Googleアプリを含む多くのAndroidアプリは、Android端末にすでにインストールされているコードライブラリに依存することで、ダウンロードサイズや実行に必要なストレージ容量を削減している。

しかし、Googleアプリのコードにあった欠陥のため、正規のコードライブラリではなく、同じ端末上の悪意のあるアプリからコードライブラリを引き出すように騙される可能性があったという。すると悪意のあるアプリがGoogleアプリの権限を継承し、ユーザーのデータにほぼ完全にアクセスできるようになっていた。このアクセス権には、ユーザーのGoogleアカウント、検索履歴、メール、テキストメッセージ、連絡先、通話履歴へのアクセスの他、マイクやカメラの起動、ユーザーの位置情報へのアクセスなどが含まれる。

攻撃が機能するためには悪意のあるアプリを一度起動する必要がある、とトーシン氏は述べているが、この攻撃は被害者の知識や同意なしに行われるという。悪意のあるアプリを削除しても、Googleアプリから悪意のあるコンポーネントを取り除くことはできないとのこと。

Googleの広報担当者はTechCrunchに対し、同社は2021年5月にこの脆弱性を修正しており、この欠陥が攻撃者に悪用されたという証拠はないと述べている。Androidに内蔵されているマルウェアスキャナー「Google Play Protect」は、悪意のあるアプリのインストールを阻止するためのものだ。しかし、どんなセキュリティ機能も完璧ではなく、これまでにも悪意のあるアプリがその網をすり抜けたことがあった。

トーシン氏によると、今回のGoogleアプリの脆弱性は、2021年初めに同社がTikTok(ティックトック)で発見した別のバグと類似しているという。そちらのバグは、悪用されると攻撃者がTikTokユーザーのセッショントークンを盗み、そのアカウントを支配することが可能になるというものだった。

OversecuredはAndroidのGoogle Playアプリや、最近ではSamsung(サムスン)のモバイル端末にプリインストールされているアプリなど、他にもいくつか同様の脆弱性を発見している。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:AndroidアプリGoogleバグ

画像クレジット:Nicolas Economou / Getty Images

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Aya Nakazato)

グーグル初の常設店舗がニューヨークに現地時間6月17日オープン

Googleは何年にもわたって期間限定のポップアップストアを多数開設してきたが、まもなく初の常設店舗がニューヨークのチェルシー地区にオープンする。Apple、Microsoft、Samsung、さらにはAmazonもマンハッタンに店舗を構え、そのうちのいくつかはGoogleの新しい店舗のすぐそばだ。Googleは実店舗のモデルに関してこうした同業他社の仲間入りを果たすことになる。

新しい店舗は現地時間の6月17日午前10時(日本時間6月17日午後11時)にオープンする。販売フロアの面積は5000平方フィート(464.5平方メートル、140.5坪)で、高額なウェストサイドの不動産にGoogleが大きな投資をして購入したビルにある。この場所には以前郵便局とスターバックスがあったが、新たに大家になったGoogleとのリース契約が満了となって退去した。

画像クレジット:Google and Paul Warchol

店舗レイアウトの設計は体験型で、増えつつあるGoogleのハードウェア製品と他社製品が置かれている。基本的には、スマートフォンのPixel、Home製品、Stadia、WearOS、そしてハードウェアの新製品やFitbitデバイスを旅行客や地元住民に紹介する店舗だ。

バイスプレジデントのJason Rosenthal(ジェイソン・ローゼンタール)氏はプレス向け内覧会で「我々はここ数年間ポップアップストアを通じて、Googleだけがお客様に提供できるものとして何が期待されているかについて理解を深めてきました。2016年、17年、18年、19年のポップアップストアから学び、それをチェルシーにオープンする店舗に取り入れています」と説明した。

コロナ禍による制限のため、内覧会はバーチャルで実施された。まもなく正式にオープンするが、ニューヨーク市が感染終盤期の対応をとっているため(収束を祈る)、Googleは引き続き標準的な安全対策を維持する。

コロナ禍でストアのオープンが計画より遅れたことはおそらく間違いないが、Googleは6月17日に全面開業することを約束している。オープンに先立ち、数週間の試験運用が実施された。試験運用では50人前後のストアスタッフがトレーニングを積み、Googleはエクスペリエンスの最終仕上げをした。さらにその前には、カリフォルニア州マウンテンビューの倉庫に実店舗大のモックアップを作ってアイデアを試していた。

画像クレジット:Google and Paul Warchol

17フィート(約5メートル)のウインドウには製品のスクリーンやジオラマが並び、ストア内の至るところに「サンドボックス」がある。大規模家具店にあるのと同様のリビングルームなど、実際の利用状況を効果的に試せるエリアだ。Stadiaをプレイできるゲーミングエリアや、さまざまなHome / Nest製品を試せる防音スペースもある。

Apple Storeと同様に、Pixelsなどのデバイスが故障した際に持ち込んで修理してもらうことができる。Googleは、店舗内で修理できるデバイスを増やしており、画面の破損などの特定の問題は同日修理が可能になる見込みだと説明している。

  1. Interactive-Hardware-Space

    写真:Paul Warchol
  2. Imagination-Space

  3. Here-to-Help-Support-Desk

    写真:Photos courtesy of Google and Paul Warchol
  4. Discovery-Boxes-from-interior

    写真:Photos courtesy of Google and Paul Warchol
  5. Discovery-Boxes-from-exterior

    写真:Photos courtesy of Google and Paul Warchol
  6. Discovery-Box-Sustainability

    写真:Photos courtesy of Google and Paul Warchol
  7. Discovery-Box-Organization-_-Pixel

    写真:Photos courtesy of Google and Paul Warchol
  8. Discovery-Box-Nest-Hub

    写真:Photos courtesy of Google and Paul Warchol
  9. Branded-Merchandise-Tote-Bag

    写真:Gus Van Zandt r
  10. Branded-Merchandise-Basketballs

    写真:Google and Paul Warchol

この店舗自体が実験的な位置づけであり、米国内の他の場所、そしておそらくハードウェアを販売している他の国でも、店舗をオープンする計画があるようだ。ただし現時点では、チェルシーにオープンするこの店舗以外についてGoogleは言及しないものとみられる。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Googleニューヨーク店舗

画像クレジット:Paul Warchol / Google

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(文:Brian Heater、翻訳:Kaori Koyama)

Androidに今夏導入される6つの新機能、安全性やアクセシビリティも向上

Android(アンドロイド)に2021年夏から導入される6つの新機能についての情報が、米国時間6月15日に公開された。それらの中には、テキストメッセージにスターを付けて後で簡単に探せるようになる機能や、入力中の言葉に応じて最適なEmoji Kitchen(絵文字キッチン)の候補を表示する機能など、単に「生活の質」を向上させるものもある。しかし、今回のアップデートにおけるそれ以外の面では、セキュリティ、安全性、アクセシビリティが強調されている。

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グーグルがAndroidスマホを地震計にする技術を発表、世界最大の地震検知ネットワークを作り出す

2020年の夏、Google(グーグル)はAndroidに、スマートフォンを地震計として活用することで「世界最大の地震検知ネットワーク」を構築する機能を追加した。このシステムは無料で、カリフォルニアで試験運用が行われた後、ニュージーランドやギリシャにも導入されている。Googleは今回、この機能をトルコ、フィリピン、カザフスタン、キルギス共和国、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンでも提供を開始すると発表。同社によると、2021年は地震のリスクが高い国を優先して、この機能の拡大を続けていくという。

画像クレジット:Google

Googleは2020年、Google Assistant(Google アシスタント)の音声コマンドを各種Androidアプリに対応させるアップデートを導入したが、こちらも今回、さらに拡張される。最初のアップデートでは、Spotify(スポティファイ)、Snapchat(スナップチャット)、Twitter(ツイッター)、Walmart(ウォールマート)、Discord(ディスコード)、Etsy(エッツィ)、MyFitnessPal(マイフィットネスパル)、Mint(ミント)、Nike Adapt(ナイキ・アダプト)、Nike Run Club(ナイキ・ラン・クラブ)、Kroger(クローガー)、Postmates(ポストメイツ)、Wayfair(ウェイフェア)といったアプリがサポートされていたが、今回のアップデートでは、eBay(イーベイ)、Yahoo!Finance(ヤフーファイナンス)、Strava(ストラバ)、Capital One(キャピタル・ワン)などのアプリが言及されている。これは、Apple(アップル)のSiriでiOSアプリを起動させたり、タスクを実行したり、カスタムコマンドを記録したりできる機能と似たものだ。

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アクセシビリティの面では、現在ベータ版として提供されている視線検出機能が強化される。この視線検出機能によって、ユーザーは画面を見ているときだけVoice Access(ボイス・アクセス)が反応するように設定できるので、スマートフォンへの指示と友人との会話を自然に切り替えることができる。Voice Accessでは、パスワードの入力も強化される。パスワードの入力欄を自動検知すると、例えば「大文字のP」とか「ドル記号」ということで、文字や数字、記号を入力できるようになるので、ユーザーはこの機密情報をよりすばやく入力できる。2020年10月、Google アシスタントは視線操作デバイスで利用できるようになり、同月にGoogleの研究者は、ビデオ会議で手話を使う人を「アクティブスピーカー」として識別できるようにするデモを公開した。アップルは2017年にアイトラッキング企業のSensoMotoric Instruments(センソモトリック・インスツルメンツ)を買収したものの、まだこれに匹敵するような視線検出機能を普及させていない。Googleが改良を続けているように、アップルでも同様のアクセシビリティ機能が開発されていることを期待したいところだ。

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今回発表されたAndroidのアップデートでは、Android Auto(アンドロイド・オート)のユーザーがより多くのカスタマイズを行えるようになる。例えば、スマートフォンからAndroid Autoのランチャー画面を設定したり、ダークモードを手動で設定したり、A-Zスクロールバーや「トップに戻る」ボタンを使ってメディアアプリのコンテンツをより簡単に探せるようになった。また、WhatsAppやMessages(メッセージ)などのメッセージアプリが、ランチャー画面から直接アクセス可能になり、簡単に新しいメッセージを読んだり送信したりできるようになる……が、運転中に注意散漫にならないように気をつけて欲しい。さらに、EVの充電ステーション検索や駐車場予約、ナビゲーションなどのサードパーティ製アプリが、Android Autoで使用できるようにもなる。車載システムの操作性や利便性は大幅に向上するばずだ。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:GoogleAndroidGoogleアシスタントAndroid Autoアイトラッキング地震

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

グーグルが総額2億2000万円の黒人ファウンダー基金を欧州のスタートアップ30社に分配

Google(グーグル)は、ヨーロッパのスタートアップ企業から、総額200 万ドル(約2億2000万円)の黒人ファウンダー基金の対象となる30社を決定した。これらの企業は現金とGoogle関係者とのネットワークを獲得し、Googleの価値のあるクラウドサービスを利用できることになる。

2020年秋に発表されたこの基金は、助成金や新たなスポンサーシップと並んで「すべての人にとってより公平な未来を築く」ための全社的な取り組みの一環として行われたものだ。800社以上の企業が応募し、Googleはそのうちの100社と面接を行い、最終的に米国時間6月3日発表された30社に絞られた

各企業には、最大10万ドル(約1100万円)の株式の希薄化を伴わない資金と、最大12万ドル(約1300万円)の広告助成金および10万ドル(約1100万円)のクラウド利用のクレジットが提供される(この資金がどのように分配されたのか、全額を受け取った企業があるのかどうかについて、Googleに詳細を問い合わせている。回答があれば記事を更新する)。

また、Googleの起業家ネットワークや技術サポートなど、数字には現れない資産も利用できるようになる。

そのうちの1人は、LINEDOCK(ラインドック) の共同設立者であるNancy de Fays(ナンシー・デ・フェイズ)である。LINEDOCKは、MacBook Pro用のクールなバッテリーとハブを組み合わせたガジェットを販売。このガジェットでたくさんのポートとバッテリーが追加され、見た目もスマートだ。展示会で彼女と話していると、多くのことを学ぶことができる。残念ながら筆者はほとんどの仕事をデスクトップで行っており、LINEDOCKのガジェットを使う機会がない。

黒人ファウンダー基金に選ばれたことを受けて、デ・フェイ氏はブログで、企業は社会変革のために力を尽くすべきであり、スタートアップ企業は多様性と公平性をリードしていかなければならない、と主張する。

私たちは、製品よりも価値や基準で選んで購入します。私たちは現実よりも理想の人生を購入します。大企業の発信力と、ブランドの価値やメッセージに対する消費者の受容性という2つのパラメータを方程式に入れると、このような社会変革を推進するためには、大企業が強いメッセージを発し、伝えていくべきだと私は思います。

創業者は、二次受傷に陥らずに多様性のあるチームを作る必要があります。共感と敬意を示し、最高の人材を採用しなければなりません。創業者は、自分たちの価値観を率直に語り、強力でグローバルな考え方を伝え、それを中心に組織を構築する必要があります。そして、その過程で多様性スコアが低いことに気づいたら、その理由を自問自答し、慈善事業ではなく行動に移すべきなのです。

最近よく聞く「企業はミッションに集中し、客観的であるべき」とは対極にある考え方だ。

Googleが支援する他の29社は以下のとおりだ(説明は各社のブログ記事から引用)。

Googleのスタートアッププログラムの詳細はこちら。続報をお楽しみに!

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Googleヨーロッパ

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)

グーグルのAirTable対抗ワークトラッキングツール「Tables」がベータを卒業、Google Cloud追加へ

2020年秋、Google(グーグル)の社内インキュベーターであるArea 120は「Tables」というワークトラッキングツールを披露した。そして米国時間6月14日、同社は、Tablesが正式にArea 120を「卒業」してGoogleプロダクトの一員になり、2022年中にGoogle Cloudへ加わると発表した。

Tablesのプロジェクトは、長年のGoogle社員で今はTablesのゼネラルマネージャーであるTim Gleason(ティム・グリーソン)氏が始めた。彼はGoogleに10年間在籍しているが、それ以前から長くテクノロジー業界にいる。グリーソン氏によると、Tablesを思いついたのは彼自身、プロジェクトの追跡管理が苦手だったからだ。複数のチームが、さまざまなドキュメントに分散している複数のノートやタスクを共有して仕事を進めるが、それらのドキュメントはすぐに陳腐化してしまう。

1つのプロジェクトに関連するノートやタスクが、人間が手作業でアップデートするさまざまなドキュメントに記述されているという状態を脱してTablesでは、ボットを使ってプロジェクトのチームメンバーをガイドし管理する。例えば仕事が遅れているときには、スケジュールを調節するためのリマインダーをメールで送らなければならない。新しいフォームが届いたらチャットルームでそれを告知する。一部のタスクを他の人たちのワークキューに移動する。スケジュールが変われば、タスクをアップデートする。これらの雑多な仕事をすべてTablesで管理できるようになる。

Tablesのチームによると、それはいろいろなユースケースでソリューションになりえる。例えばプロジェクト管理はもちろんのこと、ITの運用やカスタマーサービスの追跡、CRM、求人、製品開発など、さまざまな部門で使える。

画像クレジット:Google

このサービスは2020年9月にテストを始めたが、Googleによると、たちまちファンが増えたという。

Google Cloudの最上位管理者であるAmit Zavery(アミット・ザベリー)氏によると、初期の顧客からのフィードバックは好評で、しかもいろいろなプロジェクトで利用されていた。そのことからも、今後の成長性が伺われる。しかしザベリー氏は現在の顧客数を明かしていない。

ザベリー氏によると、パンデミックもTablesの採用の動機になっているだろうという。

彼は、誰もがあわててデジタル化に取り組むようになった現状に対して「新型コロナウイルスで起きたことを見てみれば、私が話を聞いた多くの顧客たちの中でワークトラッキングが大きな関心の的になったこともよく理解できます」という。

在庫管理、ヘルスケアのサプライトラッキング、住宅ローンのワークフローなどが最も多かったユースケースだ。しかし全体としてTablesは、チームが予想した以上に多様な業界で採用された。平均的な姿としては、およそ30名から40名の部、課、事業部などがTablesを使っている。

また、他のサービスからの乗り換えではなく、これまで手作業で行ってきたことをTablesで管理するというタイプのユーザーが最も多い。

「複数の文書に細切れ状態で分散していたり、それらの文書を複数の違う人が持っていたり、という状況はとても多いものです。またそういうところが最もテクノロジーのありがたさを感じてくれます。これからは中央の1カ所に情報が構造化されて集まり、それを確認したりアップデートしながら仕事を進めればいいのです。1つのユースケースやプロジェクトが15種類のスプレッドシートに分散し、それらの構造的関係を誰も知らない、という悲惨な状況が終わるのです」とザベリー氏は説明する。

Tablesの採用が急速に進んだのは、生産性が目に見えて向上したからだ。それには、既存のデータウェアハウスやその他のサービスを統合できることも大きい。現在、TablesはOffice 365やMicrosoft Access、Googleスプレッドシート、Slack、Salesforce、BoxそしてDropboxといった既存サービスをサポートしている。

Area 120からローンチしたプロジェクトは、有料サービスはとても少ない。Tablesはその少ない中の1つで、他にはチケットを販売するFundo、会話的広告プラットフォームのAdLingo、最近GoogleがローンチしたOrion WiFiなどがある。ベータのときは1人の個人がTablesを無料で利用でき、最大100テーブル1000行まで使える。有料プランは月額10ドル(約1100円)で最大1000テーブル1万行までの予定だ。有料になると大型のアタッチメントや、多様なアクション、履歴や共有、フォーム。自動化、ビューなどの高度化がサポートされる。

ただしGoogleによると、ベータ期間の課金はいっさいない。

TablesがGoogle Cloudの正規のプロダクトになれば、Googleのノーコードアプリ構築プラットフォームであるAppSheetと統合されるだろう。こちらも無料のティアがあるので、フリーミアムとしての利用は継続できる。高度な機能を使いたい人は、有料プランにアップグレードできる。AppSheetだけをスタンドアローンで使いたい、というニーズでもOKだ。

GoogleはTablesをWorkspaceにも統合して、ユーザー数をさらに増やすつもりだ。

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それについてザベリー氏は次のように述べている。「TablesはWorkspaceにも統合するつもりです。そのとても大きなユーザーコミュニティも、Tablesのような機能を欲しがっている人たちです。そのコミュニティには、大量のSheetsユーザーもいれば、大量のDriveユーザーもいる。しかも彼らが集めるデータは膨大です。Tablesは、彼らの仕事を自動化しその体験を強化できます」。

画像クレジット:Google

現在、ノーコードでしかもデータベースをスプレッドシートベースで構築するという、企業デジタル化の1つのタイプがブームだ。Tablesは明らかに、このブームに乗ろうとしている。たとえばTablesがリリースされる数日前には、AirTableが1億8500万ドル(約203億7000万円)のシリーズDを完了した。そのときの投資前評価額は、25億8500万ドルだった。

TablesがGoogle Cloudの一員になっても、2022年に完全にCloudのプロダクトとして利用できるようになるまでは、ベータバージョンを無料で使える。Google Cloudプロダクトの正規化とともに、ユーザーはそちらへ移行することになる。

AppSheetの統合を皮切りに今後のTablesはさらに新しい機能を加えていく予定だ。だから今後必ずしも、他のプロダクトに乗り換える必要はない。また、使いやすさやモバイルのサポート、インターネット接続、バックエンドの充実などでも改善していく、と同社は言っている。

正価は未定だが、上述している現在発表されているプランと大きくは変わらないだろう。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

グーグルが「Workspace」をすべての人に無料開放、アプリ間の統合がさらに深化、個人向け新有料プランも

Google(グーグル)は米国時間6月14日、以前G Suiteと呼ばれていたサービスであり、いくつかの新機能を備えたGoogle Workspaceを、無料のGoogleアカウントを持つ消費者を含む、すべての人が利用できるようにすると発表した。Workspaceの基本理念は、ユーザー間のより深いコラボレーションを可能にすることだ。多くの人がすでに利用しているGoogleの生産性向上アプリ(Gmail、Googleカレンダー、ドライブ、ドキュメント、スプレッドシート、スライド、Meet、Chatなど)と同じと考えることもできるが、新たなラッピングが施され、異なるアプリ間での統合がより深まっている。

Workspaceの機能をさらに充実させたい個人ユーザー向けに新しい有料サービスも用意されており、Google Workspace Individual subscriptionは月額9.99ドル(約1100円)、初期価格は月額7.99ドル(約880円)となっている。

これにより、ユーザーはスマートな予約サービス、プロフェッショナルなビデオ会議、パーソナライズされたメールマーケティングといったプレミアム機能を利用できるようになり、さらに多くの機能が追加される予定だ。これに関しては、2021年後半に発表される予定となっている。新しい有料サービスは、米国、カナダ、メキシコ、オーストラリア、ブラジル、日本で「間もなく」利用可能になる。

本サービスを利用するには、従来のハングアウト(RIP)から新しいGoogle Chatに切り替える必要があるが、今回のアップデートにより、すべてのユーザーが新しいGoogle Chatも利用できるようになる。これまでは、有料のWorkspace(G Suite)ユーザーのみが、この新しいWorkspaceユーザーエクスペリエンスにアクセスできた。

Google Workspaceの副社長兼GMであるJavier Soltero(ハビエル・ソルテロ)氏は「コラボレーションは職場にとどまりません。私たちのプロダクトは当初から、幅広い参加、共有、支援のために最適化されています」と述べている。「私たちが重視しているのは、消費者、労働者、教師、学生のすべてに平等なコラボレーションのアプローチを提供することであり、同時に、これらの異なるユーザーがコミュニケーションやコラボレーションに対して独自のアプローチを取ることができる柔軟性を提供することです」。

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この機能が有効になると、ユーザーインターフェイスはかなり変わる。例えば、左のレールは、現在のiOSおよびAndroidのGmailの下部にあるバーのようになり、Gmail、Chat、Meet、Spaces(詳しくは後述)を切り替えることができるようになる。右側のレールには、Googleカレンダー、Tasks、Keepといった機能へのさまざまなプラグインやショートカットが表示される。

多くの人、特にGmailがGmailであることを望んでおり、私生活でこのような共同作業に関心がない人は、これを嫌うだろう。しかし、少なくとも当面は、ハングアウトから新しいGoogle Chatに切り替えないことで、これまでのエクスペリエンスを維持することができる。しかし、GoogleにとってこれはWorkspaceが進むべき道を明確に示している。

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「2020年10月、コミュニケーションとコラボレーションのためのプロダクトラインとビジネスを大幅にアップデートしたことを発表しました。その中で、Google Workspaceの新しいブランドとアイデンティティから始めましたが、これは私たちが信じているプロダクトの将来の方向性と真のチャンスを表すものです。個々のプロダクトではなく、仕事の未来を象徴する統合されたエクスペリエンスを提供することが重要なのです」と今回の発表に先立ち行われたプレスブリーフィングで、ソルテロ氏は説明している。

次に「Spaces(スペース)」について。これまでGoogle Workspaceには「Room」というツールがあった。この「Room」が「Spaces」になる。理由はよくわからないが、Googleは「Google ChatのRoom体験を、Google Workspaceで人やトピック、プロジェクトを整理するための専用の場所へと進化させる」と述べている。

これはSlackのようなチャンネルで、チームは特定のトピックについて会話をするだけでなく、関連するファイルや今後のタスクを整理することができ、すべて統合されたGoogle Meetエクスペリエンスとファイルへの直接アクセスが可能となっている。それは結構なことだが、なぜGoogleが名称を変える必要性を感じたのかはわからない。おそらくSlackの「Room」とGoogleの「Room」を混同されたくないのだろう。また「Google Workspace」という名前である以上、Work「room」は「ない」。

Googleによると、Spacesの新機能は、インラインのトピックスレッディング、プレゼンスインジケーター、カスタムステータス、表現力豊かなリアクション、折りたたみ可能なビューなどがあるという。

新しいSpacesは、無料・有料問わず2021年後半にサービスが開始されると誰でも利用できるようになる。

もう少し待って欲しい。新しいWorkspaceの機能はまだある。例えば、Google Meetには「ハイブリッドな世界でのコラボレーションの公平性」を促進することを目的としたコンパニオンモードが追加された。これは、物理的な会議室にいて遠隔地の参加者と対話している参加者に、画面共有、投票、会議中のチャット、挙手、Q&Aのライブキャプションなどの機能を個人のデバイスで利用できるコンパニオン体験を提供するというものだ。また、コンパニオンモードを利用するすべての参加者には、自分専用のビデオタイルが提供される。本機能は2021年9月に提供開始予定だ。

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また、参加者がリモートで参加するのか、会議室で参加するのか(あるいはまったく参加しないのか)を選択できるRSVPオプションや、ホストが会議中のチャットを使用できないようにしたり、個々の参加者のミュートやミュート解除を行うことができる新しいモデレーションコントロールも追加されている。

また、セキュリティ面では、Googleは、ユーザーが自分の暗号化キーを持ち込めるようにすることも発表している。現在、Googleはユーザーのデータを暗号化しているが、キーの管理は同社が行っている。セキュリティを強化するために、ユーザーは自分のキーをサービスに持ち込みたいと思うかもしれない。そこでGoogleは今回、FlowcryptFuturex、Thales、Virtruといったプロバイダーと提携し、これを可能にした。

「クライアント側の暗号化により、Googleは顧客データを解読できなくなりますが、ユーザーは引き続きGoogleのネイティブなウェブベースのコラボレーションを利用したり、モバイルデバイスでコンテンツにアクセスしたり、暗号化されたファイルを外部と共有したりすることができます」と、Googleの製品管理担当ディレクターであるKarthik Lakshminarayanan(カルティーク・ラクシュミナラヤナン)氏とErika Trautman(エリカ・トラウトマン)氏は本日の発表で述べている。

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さらに、同社はGoogleドライブに「Trust Rules」を導入し、管理者が組織内や組織外でファイルを共有する方法をコントロールできるようにした。また、本物のフィッシングの脅威(社内のセキュリティ組織が数週間ごとに送信する偽物ではない)から保護するために、Googleは管理者に対して、社内コンテンツに対して現在提供しているものと同じフィッシング保護を有効にし、内部からのの脅威からもデータを保護できるようにしている。

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Katsuyuki Yasui)

Google Workspaceの暗号化キーをエンタープライズ顧客が自ら保存可能に

2020年1年間でGoogleドキュメントは至るところで使われるようになったが、Googleドキュメントを使用している無数の職場で見落とされがちな大きな批判は、エンド・ツー・エンド暗号化(E2EE)されていないため、Google(グーグル)やまたは要請する政府機関が企業のファイルにアクセスできてしまうということだ。しかしGoogleは今回の一連のアップデートにより、この重要な不満にようやく対処することになった。企業顧客は、自らの暗号化キーを保存することでデータを保護できるようになる。

企業のデータがGoogleには解読不能になるよう、Googleドキュメント、スライド、スプレッドシートを含む企業向けサービスであるGoogle Workspace(旧G Suite)にはこれからクライアントサイド暗号化(CSE)機能が追加される。

Google Workspaceを利用している企業は、現在4社あるパートナーのうちの1社を使い暗号化キーを保存できる。Flowcrypt、Futurex、Thales、Virtruの4社が、Googleの仕様に対応している。この動きは、金融、医療、防衛など、知的財産やセンシティブなデータがプライバシーやコンプライアンスに関する厳しいルールにさらされている規制産業を主な対象としている。

画像クレジット:Google

本当に重要な部分は、年内にグーグルがAPIの詳細を公開し、企業顧客が独自の社内鍵サービスを構築できるようにすることで、そうなれば各企業が暗号化キーを直接管理できるようになる。つまり、政府が企業のデータを欲しがっている場合、その企業の玄関を正面からノックしなければならず、裏口からこそこそ鍵の所有者に法的要求を出せなくなるというわけだ。

Googleはクライアントサイド暗号化がどのように機能するかの技術的な詳細を公開しており、今後数週間のうちにベータ版として提供開始する予定だ。

テック企業が法人顧客に自分の暗号化キーを管理させる例は、近年増加傾向にある。Slack(スラック)やクラウドベンダーのEgnyteは、企業ユーザーが独自の暗号化キーを保存できるようにし、事実上監視ループから自らを切り離すことでこのトレンドをリードした。しかしGoogleは長い間、暗号化について腰を上げようとしなかったため、数々のスタートアップ企業は、最初から暗号化を組み込んだ代替手段を構築しようとしている。

同社は、Googleドライブでのファイル共有に関する新たな信頼ルールを導入し、管理者がさまざまなレベルの機密ファイルの共有方法をより細かく設定できるようにした他「secret(機密)」や「internal(内部)」など、ドキュメントの機密レベルを示す新たなデータ分類ラベルを導入したと述べた。

また、マルウェア対策の強化として、組織内から共有されるフィッシングやマルウェアをブロックする機能を追加したという。これは、従業員が悪意のある文書を誤って共有するのを防ぐことを目的としている。

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Aya Nakazato)