グーグル、GoogleドキュメントにMarkdownの限定サポートを追加

Google(グーグル)は、Google Workspaceの利用者に向けて、Markdown(マークダウン)ファンにとって朗報となるブログ記事を発表した。GoogleドキュメントはMarkdownフォーマットを自動的にリッチテキストに変換することができるようになった。

Markdownに馴染みのない方のために説明すると、このマークアップ言語は構造化されたドキュメント、特にウェブコンテンツを書きたい場合、ここ数年で非常に人気が出てきている。例えば、Notion(ノーション)やBear(ベアー)のような人気のメモ取りツールはMarkdown記法に対応している。WordPressのようなコンテンツ管理システムでも、新しい投稿を書く方法としてMarkdownを有効にすることができる。

Googleドキュメントのこの新機能は、デフォルトではオフになっている。まず、設定の中で手動でオンにする必要がある。この記事を書いているのはそのためだ。Markdownサポートを有効にしたい場合は、Googleドキュメントでドキュメントを開き、画面上部にある「ツール」から「設定」を選択し「Automatically detect Markdown(マークダウンを自動的に検出)」を有効にする。これで準備完了だ。今日(米国時間3月30日)、この機能がまだ表示されなくても、それは正常なことなので慌てずに。同社は、今後数日間にわたって新機能を順次展開していくとのことだ。

ここで、Markdownの広範なサポートを期待してはいけない。Googleドキュメントは依然としてリッチテキストエディタであり、Markdown機能を有効にしたところで、魔法のように変わるわけではない。

代わりに、Googleドキュメントは、一般的なMarkdown構文をリッチテキストに置き換える。例えば、丸括弧と角括弧を使用して「[この](https://techcrunch.com)」ようなリンクを作成することができる。または「*」記号でテキストを囲むことによって、イタリックにできる。

Googleドキュメントは、異なるレベルの見出し、ボールド、イタリック、取り消し線とリンクをサポートしている。番号付きリストと箇条書きリストは、以前のように自動的に書式設定される。

つまり、この新機能は、いくつかのキーボードショートカットを補完するものだ。また、他のアプリケーションからGoogleドキュメントにMarkdownコンテンツをコピーすることが容易になり、Ulysses(ユリシーズ)のようなMarkdownエディタを使用している場合、特に便利である。

だが……それは逆方向では動作しない。Markdownのすばらしいところは、複数のアプリやサービスと互換性のあるプレーンテキスト形式であることだ。

例えば、Googleドキュメントは、現在のドキュメントをMarkdownとしてネイティブにエクスポートし、Markdownがサポートされている場所であれば、すぐにコピー&ペーストできるようにするべきだ。そのためのプラグインがあることは知っている。しかし、すべての企業がプラグインを快く思っているわけではない。

ねぇ Google、これはすばらしい最初のステップだが、イタレーションして、より多くのMarkdown機能を提供してくれ、プリーズ。

画像クレジット:Jaap Arriens/NurPhoto / Getty Images

原文へ

(文:Romain Dillet、翻訳:Den Nakano)

Googleドキュメントでメール下書きの共同作成が可能に、ワンクリックでGmailにエクスポート

Google(グーグル)は米国時間3月16日、下書きメールでの共同作業を容易にすることを目的とした新機能をGoogleドキュメントに導入すると発表した。新しいGoogleドキュメントのEメール下書きテンプレートは、ユーザーがメールの下書きをし、それをGmailにエクスポートすることができる。

今回の発表は、Googleによるユーザーがすばやくアクションを実行できる「@メニュー」を活用したSmart Canvas(スマートキャンバス)のプッシュ戦略の一部だ。メールドラフトテンプレートは、Googleドキュメントの中で「@email」と入力することでアクセスできる。そうすると、To、Cc、Bcc、件名を含むテンプレートが表示される。メールを送信する準備ができたら、Gmailのアイコンを選択して、メールサービスに下書きをエクスポートできる。するとGmailのメール作成ウィンドウが表示され、すべてのメールフィールドに、Googleドキュメントのメールドラフトに入力した情報が自動的に入力される。

画像クレジット:Google

「新しいメールドラフトテンプレートにより、Googleドキュメントで下書きメールを簡単に共同作成できるようになりました」と、Googleは新機能についてのブログ投稿で述べている。「メールアドレスを覚えていなくても@メニューを使って受信者フィールドに名前をメンションしたり、コメントや提案を使ってメッセージ本文を共同作成できます」。

この機能は、2月に最初に予告され、現在、すべてのGoogle Workspaceの顧客だけでなく、レガシーG SuiteのBasicおよびBusinessプラン顧客にロールアウトし始めている。Googleは個人使用については言及していないが、TechCrunchは詳細を知るために同社に問い合わせている。Gmailの機能は、一般消費者向けに提供される前に、まずG Suiteの顧客向けに展開されることが多い。例えば、企業顧客はコンシューマーよりも先にGmailのチャット、ミーティング、ルームとのより深い統合を利用できるようになった。

新しいEメール下書きテンプレートは、チームで一緒にメールを共同作成する必要がある場合に便利だろう。GoogleドキュメントやGmailからテキストをコピー&ペーストすることももちろん可能だが、この新しい統合により、これら2つの製品を1つの場所で簡単に使用できるようになり、より速く作業を完了させることができる。

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Aisha Malik、翻訳:Den Nakano)

グーグルが「Workspace」をすべての人に無料開放、アプリ間の統合がさらに深化、個人向け新有料プランも

Google(グーグル)は米国時間6月14日、以前G Suiteと呼ばれていたサービスであり、いくつかの新機能を備えたGoogle Workspaceを、無料のGoogleアカウントを持つ消費者を含む、すべての人が利用できるようにすると発表した。Workspaceの基本理念は、ユーザー間のより深いコラボレーションを可能にすることだ。多くの人がすでに利用しているGoogleの生産性向上アプリ(Gmail、Googleカレンダー、ドライブ、ドキュメント、スプレッドシート、スライド、Meet、Chatなど)と同じと考えることもできるが、新たなラッピングが施され、異なるアプリ間での統合がより深まっている。

Workspaceの機能をさらに充実させたい個人ユーザー向けに新しい有料サービスも用意されており、Google Workspace Individual subscriptionは月額9.99ドル(約1100円)、初期価格は月額7.99ドル(約880円)となっている。

これにより、ユーザーはスマートな予約サービス、プロフェッショナルなビデオ会議、パーソナライズされたメールマーケティングといったプレミアム機能を利用できるようになり、さらに多くの機能が追加される予定だ。これに関しては、2021年後半に発表される予定となっている。新しい有料サービスは、米国、カナダ、メキシコ、オーストラリア、ブラジル、日本で「間もなく」利用可能になる。

本サービスを利用するには、従来のハングアウト(RIP)から新しいGoogle Chatに切り替える必要があるが、今回のアップデートにより、すべてのユーザーが新しいGoogle Chatも利用できるようになる。これまでは、有料のWorkspace(G Suite)ユーザーのみが、この新しいWorkspaceユーザーエクスペリエンスにアクセスできた。

Google Workspaceの副社長兼GMであるJavier Soltero(ハビエル・ソルテロ)氏は「コラボレーションは職場にとどまりません。私たちのプロダクトは当初から、幅広い参加、共有、支援のために最適化されています」と述べている。「私たちが重視しているのは、消費者、労働者、教師、学生のすべてに平等なコラボレーションのアプローチを提供することであり、同時に、これらの異なるユーザーがコミュニケーションやコラボレーションに対して独自のアプローチを取ることができる柔軟性を提供することです」。

画像クレジット:Google

この機能が有効になると、ユーザーインターフェイスはかなり変わる。例えば、左のレールは、現在のiOSおよびAndroidのGmailの下部にあるバーのようになり、Gmail、Chat、Meet、Spaces(詳しくは後述)を切り替えることができるようになる。右側のレールには、Googleカレンダー、Tasks、Keepといった機能へのさまざまなプラグインやショートカットが表示される。

多くの人、特にGmailがGmailであることを望んでおり、私生活でこのような共同作業に関心がない人は、これを嫌うだろう。しかし、少なくとも当面は、ハングアウトから新しいGoogle Chatに切り替えないことで、これまでのエクスペリエンスを維持することができる。しかし、GoogleにとってこれはWorkspaceが進むべき道を明確に示している。

画像クレジット:Google

「2020年10月、コミュニケーションとコラボレーションのためのプロダクトラインとビジネスを大幅にアップデートしたことを発表しました。その中で、Google Workspaceの新しいブランドとアイデンティティから始めましたが、これは私たちが信じているプロダクトの将来の方向性と真のチャンスを表すものです。個々のプロダクトではなく、仕事の未来を象徴する統合されたエクスペリエンスを提供することが重要なのです」と今回の発表に先立ち行われたプレスブリーフィングで、ソルテロ氏は説明している。

次に「Spaces(スペース)」について。これまでGoogle Workspaceには「Room」というツールがあった。この「Room」が「Spaces」になる。理由はよくわからないが、Googleは「Google ChatのRoom体験を、Google Workspaceで人やトピック、プロジェクトを整理するための専用の場所へと進化させる」と述べている。

これはSlackのようなチャンネルで、チームは特定のトピックについて会話をするだけでなく、関連するファイルや今後のタスクを整理することができ、すべて統合されたGoogle Meetエクスペリエンスとファイルへの直接アクセスが可能となっている。それは結構なことだが、なぜGoogleが名称を変える必要性を感じたのかはわからない。おそらくSlackの「Room」とGoogleの「Room」を混同されたくないのだろう。また「Google Workspace」という名前である以上、Work「room」は「ない」。

Googleによると、Spacesの新機能は、インラインのトピックスレッディング、プレゼンスインジケーター、カスタムステータス、表現力豊かなリアクション、折りたたみ可能なビューなどがあるという。

新しいSpacesは、無料・有料問わず2021年後半にサービスが開始されると誰でも利用できるようになる。

もう少し待って欲しい。新しいWorkspaceの機能はまだある。例えば、Google Meetには「ハイブリッドな世界でのコラボレーションの公平性」を促進することを目的としたコンパニオンモードが追加された。これは、物理的な会議室にいて遠隔地の参加者と対話している参加者に、画面共有、投票、会議中のチャット、挙手、Q&Aのライブキャプションなどの機能を個人のデバイスで利用できるコンパニオン体験を提供するというものだ。また、コンパニオンモードを利用するすべての参加者には、自分専用のビデオタイルが提供される。本機能は2021年9月に提供開始予定だ。

画像クレジット:Google

また、参加者がリモートで参加するのか、会議室で参加するのか(あるいはまったく参加しないのか)を選択できるRSVPオプションや、ホストが会議中のチャットを使用できないようにしたり、個々の参加者のミュートやミュート解除を行うことができる新しいモデレーションコントロールも追加されている。

また、セキュリティ面では、Googleは、ユーザーが自分の暗号化キーを持ち込めるようにすることも発表している。現在、Googleはユーザーのデータを暗号化しているが、キーの管理は同社が行っている。セキュリティを強化するために、ユーザーは自分のキーをサービスに持ち込みたいと思うかもしれない。そこでGoogleは今回、FlowcryptFuturex、Thales、Virtruといったプロバイダーと提携し、これを可能にした。

「クライアント側の暗号化により、Googleは顧客データを解読できなくなりますが、ユーザーは引き続きGoogleのネイティブなウェブベースのコラボレーションを利用したり、モバイルデバイスでコンテンツにアクセスしたり、暗号化されたファイルを外部と共有したりすることができます」と、Googleの製品管理担当ディレクターであるKarthik Lakshminarayanan(カルティーク・ラクシュミナラヤナン)氏とErika Trautman(エリカ・トラウトマン)氏は本日の発表で述べている。

画像クレジット:Google

さらに、同社はGoogleドライブに「Trust Rules」を導入し、管理者が組織内や組織外でファイルを共有する方法をコントロールできるようにした。また、本物のフィッシングの脅威(社内のセキュリティ組織が数週間ごとに送信する偽物ではない)から保護するために、Googleは管理者に対して、社内コンテンツに対して現在提供しているものと同じフィッシング保護を有効にし、内部からのの脅威からもデータを保護できるようにしている。

関連記事
Google Workspaceの暗号化キーをエンタープライズ顧客が自ら保存可能に
GoogleがWorkspaceの新機能を発表、現場で働く従業員向けのWorkspace Frontlineも追加
グーグルの「Workspace」アプリが相互連携を強化し12の新機能を追加、囲い込みがさらに進む
G SuiteがGoogle Workspaceにリブランド、チャットルームでドキュメント作成コラボも可能に

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:GoogleGoogle WorkspaceGoogleドキュメントGoogleスライドGoogleスプレッドシートGoogle Meet

画像クレジット:Spencer Platt / Getty Images

原文へ

(文:Frederic Lardinois、翻訳:Katsuyuki Yasui)

Google Workspaceの暗号化キーをエンタープライズ顧客が自ら保存可能に

2020年1年間でGoogleドキュメントは至るところで使われるようになったが、Googleドキュメントを使用している無数の職場で見落とされがちな大きな批判は、エンド・ツー・エンド暗号化(E2EE)されていないため、Google(グーグル)やまたは要請する政府機関が企業のファイルにアクセスできてしまうということだ。しかしGoogleは今回の一連のアップデートにより、この重要な不満にようやく対処することになった。企業顧客は、自らの暗号化キーを保存することでデータを保護できるようになる。

企業のデータがGoogleには解読不能になるよう、Googleドキュメント、スライド、スプレッドシートを含む企業向けサービスであるGoogle Workspace(旧G Suite)にはこれからクライアントサイド暗号化(CSE)機能が追加される。

Google Workspaceを利用している企業は、現在4社あるパートナーのうちの1社を使い暗号化キーを保存できる。Flowcrypt、Futurex、Thales、Virtruの4社が、Googleの仕様に対応している。この動きは、金融、医療、防衛など、知的財産やセンシティブなデータがプライバシーやコンプライアンスに関する厳しいルールにさらされている規制産業を主な対象としている。

画像クレジット:Google

本当に重要な部分は、年内にグーグルがAPIの詳細を公開し、企業顧客が独自の社内鍵サービスを構築できるようにすることで、そうなれば各企業が暗号化キーを直接管理できるようになる。つまり、政府が企業のデータを欲しがっている場合、その企業の玄関を正面からノックしなければならず、裏口からこそこそ鍵の所有者に法的要求を出せなくなるというわけだ。

Googleはクライアントサイド暗号化がどのように機能するかの技術的な詳細を公開しており、今後数週間のうちにベータ版として提供開始する予定だ。

テック企業が法人顧客に自分の暗号化キーを管理させる例は、近年増加傾向にある。Slack(スラック)やクラウドベンダーのEgnyteは、企業ユーザーが独自の暗号化キーを保存できるようにし、事実上監視ループから自らを切り離すことでこのトレンドをリードした。しかしGoogleは長い間、暗号化について腰を上げようとしなかったため、数々のスタートアップ企業は、最初から暗号化を組み込んだ代替手段を構築しようとしている。

同社は、Googleドライブでのファイル共有に関する新たな信頼ルールを導入し、管理者がさまざまなレベルの機密ファイルの共有方法をより細かく設定できるようにした他「secret(機密)」や「internal(内部)」など、ドキュメントの機密レベルを示す新たなデータ分類ラベルを導入したと述べた。

また、マルウェア対策の強化として、組織内から共有されるフィッシングやマルウェアをブロックする機能を追加したという。これは、従業員が悪意のある文書を誤って共有するのを防ぐことを目的としている。

関連記事
グーグルの「Workspace」アプリが相互連携を強化し12の新機能を追加、囲い込みがさらに進む
GoogleがWorkspaceの新機能を発表、現場で働く従業員向けのWorkspace Frontlineも追加
G SuiteがGoogle Workspaceにリブランド、チャットルームでドキュメント作成コラボも可能に

カテゴリー:セキュリティ
タグ:GoogleGoogle WorkspaceGoogleドキュメントGoogleスライドGoogleスプレッドシート暗号化エンド・ツー・エンド暗号化マルウェアフィッシング

原文へ

(文:Zack Whittaker、翻訳:Aya Nakazato)

リモートワーク時代のための高速で直感的なドキュメントエディター「Almanac」

ここ数年、Googleドキュメントの後継を支援することほど、シリコンバレーを拠点とする投資家の注目を集めているものは他にない。その確固たる評価を得た生産性スイーツは、さまざまなプロダクトへと分散し再パッケージ化され、マルチビリオンダラーのテックスタートアップを数多く生みだした。

その間ずっと、起業家たちは先人たちが絞った知恵の穴を探し、より早く、よりスリムでわかりやすいものを作り続けてきた。数多くある現世代の生産性スタートアップにとって、GoogleドキュメントとMicrosoft Officeに取って代わる旅は、2020年来のパンデミックによってリモートワークソフトウェア会社に注目が集まったことで、歴史的な刺激を与えられた。

「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、自分たちの働き方を変えなくてはいけないということを全員に知らしめました」とAlmanac(アルマナック)のCEO Adam Nathan(アダム・ネイサン)氏がTechCrunchに話した。「私たちが生産性ツールの中心として使っていたMicrosoft WordとGoogle ドキュメントは、今とまったく異なるタイプの仕事をしていたときのためのものです」。

Almanacは、ドキュメントエディターをNotion(ノーション)などのプロダクトより速く、従来のスイーツよりもはるかに直感的なパッケージへと改良しようとしている、とネイサン氏はいう。2020年、同スタートアップは、Floodgate(フラッドゲート)がリードしたシードラウンドで900万ドル(約9億8000万円)調達し、ベータ版の初期参加ユーザーたちのネットワークを静かに構築している。

画像クレジット:Almanac

このドキュメントエディターは、Dominoの店舗から動物病院までテックスタートアップ以外のさまざまなオフィスに進出を果たした。オープンソースのテンプレートライブラリー「Core」は、1対1ミーティングのやり方からカスタマーサービスチームの給与体系の作り方まで、ユーザーが投稿した手引書が集まるハブとなっている。Coreには5000件のドキュメントがあり、ログインしているユーザーならだれでも利用できる。全米の企業やオフィスが物事を行う確立した方法を求め始めている今、会社にとってかなり大きい顧客チャンネルと言える。

「ドキュメントを扱う人はシリコンバレーの中よりも外のほうがはるかにたくさんいます」とネイサン氏はいう。

ドキュメントエディターであるAlmanacの特徴は、ファイルをその会社で実際に行っている管理方法に合わせて管理できることだ。

目玉機能の1つが、ドキュメントの変更履歴の扱い方で、Googleドキュメントがまったく無能なものであるかのように感じさせる。ユーザーはドキュメントの自分用のコピーを作って編集し、オリジナルに統合した後、変更箇所を承認する、というプロセスを簡単にできる。さらに上司やネットワーク上の別のユーザーの承認を得たりフィードバックを依頼することもできる。

もう少し考慮が必要な仕事には、Almanacを使ってドキュメント自身の中にある別のユーザーのToDoリストにタスクを追加することができる。以前ならAsana(アサナ)のようなプロジェクト管理ツールを必要とした機能だ。指示を出したり出されたりした項目の情報更新は各自の受信箱に入り、ドキュメントの変更にともなって自動的に通知が流れる。Almanacの中にこうした機能があることで、企業ユーザーは不必要なSlack利用を減らし、ドキュメント自身に語らせることが可能になる、とAlmanacは信じている。

会社は新たなワークフローへとすばやく対応している。最近同社は、ハンドブックの作成と更新に特化した機能を公開したほか、よく使われるテキストブロックを保存しておき、新しい文書をすばやく作成する「Snippets」という機能も追加した。

混み合った生産性ソフトウェアの世界で、Almanacの成否はユーザーが同社製品を全面的に信じることにかかっている。それは生産性ツール群が混乱を取り除くと自称するツールであふれかえるポストMicrosoft時代における典型的な苦闘だ。多くの場合それはツール自身の問題ではなく、新しいソフトウェアをどうやって選ぶかという組織の問題だ。Almanacは、共通するワークフローをドキュメントの中に押し込むことで、ユーザーが別のアプリを開きたい衝動を抑え、1つのプラットフォームにフィードバックを集約することの利益を認識することを期待している。

関連記事
エンド・ツー・エンド暗号化対応Googleドキュメント対抗テキストエディター「Skiff」が4.2億円調達
クラウドを使わずドキュメント共同編集機能を実現するP2Pソフトウェア「Collabio」
iOS用ドキュメント作成アプリCraftが約8.8億円調達、ブラウザベースエディターも提供予定

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AlmanacテキストエディターGoogleドキュメントリモートワーク

画像クレジット:Almanac

原文へ

(文:Lucas Matney、翻訳:Nob Takahashi / facebook

エンド・ツー・エンド暗号化対応Googleドキュメント対抗テキストエディター「Skiff」が4.2億円調達

もしGoogleドキュメントがエンド・ツー・エンドで暗号化されて、Googleでさえ自分の文書をアクセスできないとしたらどうだろうか。Skiff(スキッフ)は、ひと言で表現すればそれをやっている。

SkiffはGoogleドキュメントと似たルック・アンド・フィールのテキストエディターで、文章の作成、編集、同僚とのリアルタイムの共同作業ができることに加えて、プライバシー第一で作られている。テキストエディターはエンド・ツー・エンド暗号化の基盤の上に作られているので、Skiff自身は誰の文章を見ることもできない。アクセスできるのはユーザー自身と共同作業に招待された人だけだ。

このアイデアはすでに投資家の注目を集めている。米国時間5月26日、Skiffの共同ファウンダーである、Andrew Milich(アンドリュー・ミリッチ)CEOとJason Ginsberg(ジェイソン・ギンズバーグ)CTOは、同社がベンチャーキャピタルのSequoia Capitalから370万ドル(約4億円)のシード資金を調達したことを発表した。2020年3月にSkiffが設立されてから1年と少しが過ぎたところだ。Alphabet(アルファベット)のチェアマンJohn Hennessy(ジョン・ヘネシー)氏、Yahoo(ヤフー)のCEOであるJerry Yang(ジェリー・ヤン)氏、Eventbrite(イベントブライト)の共同ファウンダーであるJulia Hartz(ジュリア・ハーツ)氏とKevin Hartz(ケビン・ハーツ)もラウンドに参加した。

ミリッチ氏とギンズバーグ氏はTechCrunchに、シード資金はチームの増員とプラッフォーム拡大に使うつもりだと語った。

Skiffは、エンド・ツー・エンド暗号化という意味ではWhatsAppやSignalと大きくは変わらないが、その上でテキストエディターを動かしている。「多くの人へにメッセージを送るためにこれを使う代わりに、私たちはこれを使って文章を細かいピースに分けて送り、それらをつなぎ合わせて共同作業ワークスペースを作ります」とミリッチ氏は言った。

しかし共同ファウンダーの2人は、重要な文章をクラウドに置くためにはユーザーがスタートアップに大きな信頼を寄せる必要があることを認識している、生まれて間もない会社ならなおさらだ。Skiffが自社のテクノロジーの仕組みを詳しく説明した白書を公開し、コードの一部をオープンソース化して、プラットフォームの中身を誰でも見られるようにしたのはそれが理由だ。ミリッチ氏は、本格的なセキュリティ監査を1回以上実施しており、Signal Foundation(シグナル・ファウンデーション)やTrail of Bits(トレイル・オブ・ビッツ)のアドバイスも受けている、と語った。

どうやら順調にいっているようだ。Skiffが招待のみのプログラムで限定公開を開始して以来、ジャーナリスト、研究者、人権派弁護士などを含む数千人のユーザーが毎日Skiffを使用しており、8000人がその行列に並んでいる。

「最も喜んでいるのは、プライバシーに気を使っているごく普通の人たちです」とギンズバーグ氏はいう。「このタイプの製品の支持者で、プログラムがどのように作られたのかを真剣に考え、大会社への信頼を失いかけている、そんなプライバシーコミュニティや人々が世界にはたくさんいます」。

「彼らが私たちの製品を使っているのは、エンド・ツー・エンド暗号化の構想と将来に大きく期待しているからです」と彼は語った。

関連記事
クラウドを使わずドキュメント共同編集機能を実現するP2Pソフトウェア「Collabio」
iOS用ドキュメント作成アプリCraftが約8.8億円調達、ブラウザベースエディターも提供予定

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:SkiffGoogleドキュメントテキストエディタープライバシーエンド・ツー・エンド暗号化資金調達

画像クレジット:Skiff / supplied

原文へ

(文:Zack Whittaker、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フェイスブックの投稿やノートをGoogleドキュメントやBlogger、WordPress.comに転送する新機能が登場

米国時間4月19日、FacebookはユーザーがFacebookの投稿やノートをさまざまな他社サービスに書き出せる新機能を発表した。Facebookに投稿した情報をダウンロードするツールはかなり前から提供されていたが、今回公開されたツールは投稿やノートをGoogleドキュメントやBlogger、WordPress.comなどの人気サービスに書き出すもので、データを保存する手段としてはこれまで以上に実用的だ。

この最新機能は「設定」の「あなたのFacebook情報」にある「あなたのFacebook情報のコピーを転送」から利用できる。画面に表示されたステップに従って設定し、自分のデータを目的の転送先にコピーする。

他の書き出しと同様に、転送が開始される前にデータ保護のためユーザーにパスワードの再入力を求めるという。また他社サービスとの間で転送する際にデータが暗号化されるとFacebookは説明している。

FacebookがニュースレタープラットフォームのSubstackと競合するサービスを開発していると報じられた中で、テキストベースのコンテンツの書き出しに対応したことは興味深い。Facebookはニュースレター業界の成長の勢いに乗ろうとしている。ニュースレター業界では最近、トップの書き手の多くが有料ニュースレターを通じて読者と直接つながろうと大手の発行元から去っている。Twitterもニュースレター企業のRevueを買収し、同様のゴールを目指している。Facebookは今回発表した書き出し機能が今後のプロダクトに含まれるかどうかについては言及していないが、Facebookが新しいサービスを展開するとなったらこの書き出し機能はあらゆる反競争的な主張に対する有効な防衛手段だ。

関連記事:TwitterがオランダのニュースレタープラットフォームRevueを買収、作家が報酬を得る方法を提供

今回の新機能はFacebookが参加しているData Transfer Projectの一環だ。Data Transfer Projectはテック大手企業の共同プロジェクトで、ユーザーが異なるサービス間で自分のコンテンツを移動する手段を増やすことを目的としている。このプロジェクトの成果として、例えば2020年にFacebookは写真やビデオをGoogleフォトに書き出す機能を公開した。現在は写真やビデオをBackblazeやDropbox、Koofrに書き出すこともできる。

Facebookは今回の発表とともに、データポータビリティの分野における規制についても主張している。同社は、どのデータをポータブルにするか、転送後のデータの保護に関して誰に責任があるかを定める法律が必要だと述べた。さらに、2020年にFTCに提出したコメントやデータポータビリティツールの開発に関するプライバシーの問題を研究したホワイトペーパーにも言及した。

関連記事
インターネット全体をソーシャルネットワークにするData Transfer Project、大きな実りを期待したい
FacebookがGoogleフォトへの書き出しツールを米国とカナダで提供開始、日本でも利用可能

カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookGoogleドキュメントBloggerWordPress.comData Transfer Project

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)