Googleサービスがクラッシュする中、マイクロソフトのOutlookも断続的にダウン

米国時間12月14日のGoogle(グーグル)のサービス停止ほどの規模ではないが、Microsoft(マイクロソフト)のメールサービス、Outlookでも問題が発生していることがわかった。

読者からの報告によると、マイクロソフトのさまざまなOfficeサービスのサイトステータスの最新情報によると、一部のOutlookユーザーは、Active Directoryインフラストラクチャの不具合のために、Outlook.comにサインインして電子メールを使用することができない可能性がある。

マイクロソフトは、今回のサービス停止がヨーロッパのユーザーに影響を与えていることを確認するTechCrunchからのコメント要請に応じてくれた。回避策は、ページをリロードすることだ。

「ごく一部のヨーロッパのユーザーに、Outlookメールへのアクセスが断続的に妨げられている問題に対処しています」とマイクロソフトの広報担当者は述べた。「ユーザーが操作を再試行すると、アクセスできるようになります」。

影響を受けるユーザーの数は不明だが、すべてのユーザーが影響を受けるわけではない(筆者の英国のアカウントに問題なくログインできた)。

「当社では、Active Directory(AD)システム内のインフラストラクチャの一部が影響を及ぼしていると考えています。発生したエラーを分析して、これを確認します」とエンジニアはOutlookサービスのステータス更新ページに書いている。またこのページにはSkype、OneDrive、Teamsといった他のサービスはすべて正常に動作していることが示されている。

グーグルのシステム停止は全体的なもののように見えたが、実際に発生したときと同じくらい突然に修正され始めた(全体的な機能停止は約1時間続いた)。DownDetectorの統計によると、マイクロソフトの問題は少なくとも6時間は続いていたようだが、報告されたインシデントに関してはもっと長いかもしれない。同サイトによると、問題の大半(80%以上)はログイン時に発生しているという。

マイクロソフトのOutlookは、デスクトップ版Outlookとウェブメールサービスと、従来のHotmailのウェブ専用プロダクトを組み合わせたもので、ユーザーがマイクロソフトのすべてのウェブベースサービスにログインするための中心的な手段となっている。Outlookは、かつて独占的だったウェブベース(つまりクラウドベースの)メールの世界で初期の頃から存在していた。

しかしグーグルのGmailが登場し、その高速さ、簡素化されたインターフェース、そして迷惑メールやスパムを排除する性能の高さを気に入ったユーザーに受け、すぐに以前のライバルを追い抜いてしまった。2019年にはOutlookユーザーは約4億人と推定されていたが、Gmailユーザーは約15億人だった。

だからといって、システム停止による影響がないわけではない。複数のサービスに影響を与えたマイクロソフトの最後の停止は、Outlook、Teams、Officeが認証の不具合でクラッシュした2020年9月(未訳記事)だった。偶然にも、今回のグーグルの問題の原因が認証にあるという声もある。

グーグルとマイクロソフトのインシデントは間違いなく解決されるだろうが、それでも重大な問題を浮き彫りにしている。

私たちのコミュニケーションやデータ、生活の多くをひと握りの独自のクラウドベースネットワークに縛られていることの脆弱性、そして究極の不安定さが今回のインシデントで強調された。特に新型コロナウイルスのパンデミックで、私たちはかつてないほどバーチャルを使って生活をしているため、それらがダウンすると、その影響はかつてないほど重く感じられる。

我々はマイクロソフトにコメントを求めている。詳細が判明次第この記事を更新する予定だ。

【Japan編集部】マイクロソフトによるとOutlookのインシデントは現在、解決済み。影響範囲は考えられていたものよりも大幅に小さかったとのこと。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:MicrosoftOutlookGoogleシステムダウン

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:TechCrunch Japan)

マイクロソフトが反復の多い作業のワークフローを効率化するPower Automateの機能を強化するProcess Advisorを公開

Power Automateは、企業における反復の多い作業のワークフローを効率化することを目的とするMicrosoft(マイクロソフト)のプラットフォームだ(以前のMicrosoft Flow)。こうしたRPA(ロボット化によるプロセスオートメーション)ツールの市場は現在活況を呈しており、マイクロソフトがこの分野の強化に力を入れるのは驚くにあたらない。数カ月前、マイクロソフトのチームはSoftomotiveを買収し、同社のテクノロジーでPower Automate Desktopを立ち上げた。これは、ユーザーがレガシーのデスクトップアプリケーションのワークフローを自動化するのを助ける。

今回のニュースの目玉(Microsoftリリース)は、マイクロソフトがProcess Advisorという新ツールをプレビュー公開したことだ。これは業務のさまざまなアクティビティを可視化するプロセスマイニングツールの一種だ。デベロッパーと業務のユーザーが協力して自動化プロセスを作成できるコラボレーション環境が提供される。

業務を実施している企業は、特定のプロセスがどのように機能するのか最もよく知るユーザーだ。デベロッパーはオートメーションの専門家であっても特定企業における特定業務プロセスの詳細は知らない。Process Advisorを使用すると、たとえば払い戻し処理にあたってどんな活動が行われたかログを取得してデベロッパーに送信できる。

同様に重要なのはこのシステムが既存プロセスのボトルネックを特定できる点だ。その部分を自動化することにより既存のワークフローを大幅にスピードアップすることができる。

画像クレジット:Microsoft

マイクロソフトのローコードアプリケーション担当コーポレートバイスプレジデントのCharles Lamanna(チャールズ・ラマンナ)氏は取材に答えてこう述べている。

Power Platformについて以前から強調してきたことに戻りますが、困難な作業ですが開発はチームの努力だという点です。これがマイクロソフトの努力の焦点の1つです。デベロッパーとビジネスの現場は通常、接点がありません。こうした人々の間にコラボレーションできる環境を作り、スムーズに共同作業できるようにすることが目的です。ロボットを構築して自動化を行う専門家と、毎日プロセスを実行するビジネスユーザーを実際に結び付けることがオートメーションに素晴らしい結果を産みます。

このツールはPower Automateのバックエンドで作動し、ユーザーが何をどのように使っているか、あらゆる操作を正確にキャプチャーする。次にこの情報はすべてクラウドにアップロードされる。払い戻しのような単純な作業であれば動作を5〜6回記録するだけでPower Automateのシステムはプロセスをマッピングできる。ワークフローが複雑、特異である場合にはプロセスを構築にあたって何度も記録を得ることが必要になる場合もある。

画像クレジット:Microsoft

ラマンナ氏が指摘するように、企業がワークフローとプロセスマップを構築することは自動化のROI(投資効果)を正確に把握するのにも役立つ。

ワークフローマップは自動化を構築するために必須ですが、各ステップでどのくらいの時間がかかった把握し、各自動化のROIを把握するのにも役立ちます。Process Advisorは、今後登場するこれらすべてのローコード / ノーコードテクノロジに採用される最も重要なエンジンの1つになると考えています。企業はリソースを振り向ける価値がある箇所、つまスタッフをトレーニングし、アプリを構築し、AIを利用する価値がある作業を特定できます。効率化を要する部分がわかれば引き続きPower Automateを利用してプロセス・ロボット化していくことができます。

ラマンナ氏は、これをマーケティングにおいてROI(投資効果)を初めて定量化できるようになったデジタル広告の出現に例えた。

PowerAutomateのプロセスマイニング機能は現在プレビュー版として利用できる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Xboxクラウドゲーミングが2021年春にiOSとコンピュータにも対応

Microsoft(マイクロソフト)がクラウドゲーミングサービスのロードマップの一部を明らかにした(Xboxリリース)。同社はAndroidデバイス以外のプラットフォームにも対応する計画であることを認めた。2021年春には、iOSデバイスとコンピュータ上でクラウドゲーミングのサービスを開始する予定だ。

Project xCloudと呼ばれているマイクロソフトのクラウドゲーミングは、XboxのゲームをXbox以外のデバイスでプレイできるようにするサービスだ。ゲームはプレイヤーの近くにあるデータセンターのサーバーで動作する。ビデオはプレイヤーのデバイスにストリーミングされ、操作はリアルタイムでサーバーに中継される。

Xboxのクラウドゲーミングは単独のサブスクリプションではない。Xbox Game Pass Ultimateに1カ月14.99ドル(日本では1100円)で参加しているプレイヤーは、このサブスクリプションの一部としてクラウドゲーミングを利用できる。Xbox Game Pass Ultimateは、対象タイトルに加えEA PlayとXbox Live Goldを楽しめるプランだ。

新しいデバイスに対応するということで、もうじきコンピュータからXboxクラウドゲーミングのゲームを起動できるようになる。Xboxアプリとウェブブラウザでサービスを利用できる予定だ。

Xbox Game Pass Ultimateの参加者はコンピュータにゲームをダウンロードできるが、クラウドゲーミングはコンピュータのGPUがそれほどパワフルでないユーザーにとって特に有効だ。マイクロソフトがサービスの利用をWindowsコンピュータで動作するウェブブラウザだけに制限するのかどうか興味深い。多くのユーザーがMacからもサービスを利用したいと考えるだろう。

iOSに関してはApp Storeの規則による制限があるため、マイクロソフトはウェブブラウザに限定してクラウドゲーミングを開始する予定だ。NVIDIAはiOSのウェブブラウザを利用するGeForce Nowのベータ版を公開した。筆者はiPhoneとiPadからNVIDIAのサービスを利用してみたが、ウェブブラウザを利用する方法はうまくいっている。

Androidのスマートフォンかタブレットを持っていれば、XboxのクラウドゲーミングはXbox Game Passアプリからすでに利用できる。使い勝手はインターネット接続とWi-Fiネットワークの品質に大きく左右される。

レイテンシーを最低限に留めるには、データセンターが近くにあることも必要だ。Xboxのクラウドゲーミングを利用できる国が、米国、カナダ、韓国、ヨーロッパの一部に限られているのはこのためだ。

マイクロソフトはデータセンターを増やして市場を拡大すると述べている。Xboxクラウドゲーミングはオーストラリア、ブラジル、日本、メキシコでこれから利用できるようになる。

【訳注】日本でもProject xCloudプレビュー版の参加登録を受け付けている

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:MicrosoftXbox

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(翻訳:Kaori Koyama)

Microsoftがデンマークに初のAzureデータセンターリージョンを展開へ

Microsoft(マイクロソフト)はAzureデータセンターのグローバルなプレゼンスを急速に拡大し続けている。2020年10月にオーストリアと台湾の新リージョンを発表した同社は、米国時間12月7日、デンマーク(Microsoftリリース)に新リージョンを立ち上げる計画を明らかにした。

近日のマイクロソフトの発表の多くと同様に、デンマークの20万人(2024年までに)にデジタルスキルを提供するというコミットメントも発表されている。

「今回の投資により持続可能な成長、イノベーション、雇用創出を推進するために必要なデジタルツール、スキル、インフラをデンマークの社会と企業に提供するという長期的なコミットメントの新たな一歩を踏み出したことになります。デンマークの野心的な気候目標と経済回復をサポートするかたちで、私たちはデンマークのデジタルの未来への飛躍に投資しています」と、Microsoft DenmarkのゼネラルマネージャーであるNana Bule(ナナ・ブレ)氏は述べた。

画像クレジット:Microsoft

新しいデータセンターは100%再生可能エネルギーで稼働し、複数の利用可能ゾーンを備え、AzureやMicrosoft 365、Dynamics 365、Power Platformといった標準セットとなったマイクロソフトのクラウド製品をサポートする。

例によって、新リージョンはマイクロソフトのツールやサービスに低レイテンシでアクセスできるようにすることが目的だ。同社は以前から、世界中をローカルデータセンターでカバーする戦略を取ってきた。ヨーロッパはその好例であり、すでに十数カ国の地域(稼働中と発表のみの両方)がある。Azureは現在、米国内で13のリージョン(政府機関限定の3カ所を含む)を提供しており、西海岸でも近く新しいリージョンを提供する予定だ。

マイクロソフト社のBrad Smith(ブラッド・スミス)社長は、「これはデンマークのマイクロソフトにとって、誇らしい日です」と述べた。「デンマークに超大規模データセンターを建設するということは、デンマークのデータを同国に保管し、より高速にコンピューティングにアクセスできるようにし、弊社の世界クラスなセキュリティでデータを保護し、デンマークのプライバシー法でデータを保護し、同国の人々に当社の最高のデジタルスキルトレーニングを提供するために、さらに多くのことを行うことを意味しています。この投資は、デンマークのグリーンでデジタルなリーダーシップを世界的に評価し、同国の未来へのコミットメントを反映したものです」。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:MicrosoftMicrosoft Azureデンマーク

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

LINEがOpenAI「GPT」・Google「T5」同様の超巨大汎用言語モデルをNAVERと共同開発、世界初の日本語特化

LINEがOpenAI「GPT」・Google「T5」同様の超巨大汎用言語モデルをNAVERと共同開発、世界初の日本語特化

LINEは11月25日、韓国NAVERと共同で、日本語に特化した超巨大言語モデル開発と、その処理に必要なインフラ構築についての取り組みを発表した。超巨大言語モデル(膨大なデータから生成された汎用言語モデル)は、AIによる、より自然な言語処理・言語表現を可能にするもので、日本語に特化した超巨大言語モデル開発は、世界でも初めての試みとしている。

従来の特化型言語モデルは、Q&A、対話など各ユースケースに対して、自然言語処理エンジンが個別に学習する必要がある。一方、OpenAI開発の「GPT」(Generative Pre-trained Transformer)や、Googleの「T5」(Text-to-Text Transfer Transformer)に代表される汎用言語モデルでは、新聞記事や百科事典、小説、コーディングなど膨大な言語データを学習させた言語モデルを構築し、その上でコンテキスト設定を行うための「Few-Shot Learning」(FSL)を実行するだけで、対話・翻訳・入力補完・文書生成・プログラミングコードなど様々な言語処理が可能。これにより、個々のユースケースを簡単に実現できることが期待される。

FSLとは、ブログの書き出しや、プログラミングコードの一部など少ない情報を新たに与えると、事前に構築した情報を基に、最もそれらしいと判断した文字列を生成すること。事前に学習させた上で、新しい言葉(「おはよう」)を与えると、最もそれらしいと判断した文字列(「おはようございます」など)を返すなどが例として挙げられる。

今回のLINEおよびNAVERによる取り組みでは、日本語に特化した汎用言語モデルを開発するにあたり、1750億以上のパラメーターと、100億ページ以上の日本語データを学習データとして利用予定。これは現在世界に存在する日本語をベースにした言語モデルのパラメーター量と学習量を大きく超えるものとなる。パラメーター量と学習量については、今後も拡大していくという。今回の取り組みにより、日本語におけるAIの水準が格段に向上し、日本語AIの可能性が大きく広がることが予想されるとしている。

また現在、超巨大言語モデルは世界でも英語のみが存在・商用化しており(OpenAIが開発し、Microsoftがライセンスを保有する「GPT-3」)、他言語の開発についても、ごく少数の取り組みが発表されているのみとなっている。

これは、超巨大言語モデルの処理には数百GBものメモリーが必要と考えられているためで、世界でも指折りの性能を持つスーパーコンピューターなど、高度なインフラ環境が必要となる。

今回LINEはNAVERと共同で、同モデルを迅速・安全に処理できる700PFLOPS(ペタフロップス)以上の性能を備えた世界でも有数のスーパーコンピューターを活用し、超巨大言語モデルの土台となるインフラの整備を年内に実現予定。

LINEは、英語において実現している精度に匹敵またはそれ以上の、日本語の超巨大言語モデルを創出。開発された超巨大言語モデルは、新しい対話AIの開発や検索サービスの品質向上など、AIテクノロジーブランド「LINE CLOVA」をはじめとするLINEのサービスへの活用のほか、第三者との共同開発や、APIの外部提供についても検討予定。

GPTは、OpenAIが2019年2月に発表した、文章生成に強い能力を持つ汎用型言語モデルに関する論文。2019年11月に15億のパラメーターをもつ汎用型言語モデル「GPT-2」がリリースされた。2020年5月に1750億のパラメーターを持つ「GPT-3」の構想が発表され、 翌月にベータ版を公開、8月には商用化。「GPT-3」は「GPT-2」と比較して圧倒的なデータ量を持つことにより、長文の文章生成能力が飛躍的に向上し、世界的に注目されている。

GoogleのT5は、GPTと同じくトランスフォーマー(Transformer)と呼ばれる自然言語処理技術を用いるが、文章生成よりも翻訳・質疑応答・分類・要約などの文書変換処理を目的とした構成を採用。入力(タスク)と出力(回答)の両方をテキストのフォーマットに統一して、転移学習を行うことで、すべてのタスクを同じモデルで解く。学習データを変更することで、同じモデルで様々なタスクが解けるとされる。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Elon Musk / イーロン・マスク(人物)OpenAIMicrosoft / マイクロソフト(企業)LINE(企業・サービス)

レビュー:時代の先を行くMicrosoftのXbox Series X

最初のXbox One(エックスボックスワン)発売から7年、Microsoft(マイクロソフト) の最新ゲーム機Xbox SeriesX(エックスボックスシリーズX)が新しい境地を切り開き、これまでにない製品としてエックスボックスのエコシステムに加わった。マイクロソフトはサブスクリプションサービスGamePass(ゲームパス)とクラウドストリーミングのxCloud(エックスクラウド)を展開している。それでも、彼らはいまだ、非常にパワフルで巨大な金属製ボックスの製作に力を注ぎ、画期的な新規ゲームタイトルを消費者の家庭に届けようとしている。

最初に言っておくと、499ドル(約52500円)のシリーズXと299ドル(約31500円)のシリーズSのシステムはレビューするのが難しかった。最新のゲーム機の発売ラインナップにはいつも少し不満な点があるが、今世代は特にタイトル発売の遅れが多く、発売日に出たシリーズXのタイトルの中には、発売前にレビュアーにすら提供されなかったものもいくつかあった。発売日の遅れに関しては新型コロナウイルス感染症に伴う遅延が、すでにタイトなスケジュールに影響を与えていることが考えられるが、レビュアーへの提供タイトルが少ないことに関してはレビュアーに不必要な制限がかけられているように感じた。

とはいえ、そうしたタイトルがプレイできるようになったら、このレビューを更新したいと思う。

画像クレジット: Lucas Matney(ルーカス・マットニー)

エックスボックスシリーズXは高いスペックを備えている。コア数とテラフロップス数が多い。マイクロソフトが推し進めている未来的でギミックな機能はない。Kinect(キネクト)はセットになっておらず、VRヘッドセットもない。シリーズXはただ、それ以前のどのエックスボックスよりも優れたゲームプレイができる巨大な黒い箱だ。

シリーズXとシリーズSの大まかな違いをざっと紹介する(このレビューは主にシリーズXに焦点を当てている)。

シリーズX

  • 最大120fpsの出力に対応し、4Kでタイトルを実行。最終的には最大60fpsで8Kをサポートする*
    1TBストレージ
  • 4K UHDブルーレイドライブ
  • 非常に大きい
  • *開発者がゲームプレイ品質を決定する

シリーズS

  • 最大120fpsの出力に対応し、最大1440pでタイトルを実行
  • 512GBストレージ
  • 光学ドライブなし
  • シリーズXほど大きくない

前世代機は、ゲーム機の世代の概念を大いに揺るがした。それまでは、中間世代のハードウェアのアップデートは主に外観的なものだった(例:同じパワーを搭載しつつ、パッケージのスリム化を図る)。しかし、Xbox One S(エックスボックスワンエス)とOne X(ワンエックス)はそれまでの慣習を壊した。中間世代のアップグレードにおいてパフォーマンスの向上を提供し、新しい4Kテレビを最大限に活用できるとの触れ込みで、PlayStation(プレイステーション)からユーザーを奪おうとしたのだ。

その結果、今回はマイクロソフトの前作であるワンエックスに比べて圧倒的なアップグレードだという感覚がすぐにわかない。テラフロップスに関しては2倍高速だが、この特長を実際に活かせるタイトルがまだない。時代の先を行っているのだが、発売初日にゲーム機を購入する消費者は、その高機能を最大限に利用できるようになるまでかなりの時間待たなければならないと思われる。

グラフィックス的にはユーザーが発売タイトルのプレイ品質に圧倒され、衝撃を受けるといったことにはならないと思うが、ゲーム機の世界で当たり前になってしまった大きなイライラを解消するのに、いずれシリーズX/Sのパワーが大いに役立つだろう。

画像クレジット:ルーカス・マットニー

主に新しいSSDストレージによってロード時間が大幅に短縮されている。おそらくユーザーがすぐに気付く大きな変化はここだろう。これまでにない別の特長は、ゲーム機のファンがささやくように静かで、ゲームに熱中するとシリーズXから音がほとんど聞こえなかったことだ。さらに大きな性能の向上にQuick Resume(クイックレジューム)がある。これによりユーザーは、ゲーム全体をリロードしたりスタートメニューを行ったり来たりすることなく、少し前にプレイしていたゲームをすばやく再開できる。これはかなりの優れものであり、少なくとも当面の間プレイステーション5に導入されることがない機能だ。

こういったことすべてを考えると、実際のところ、理論上の話ではあるが、プレイアビリティの面でもシリーズXとソニーのPS5に大きな差はないと言えるだろう。どちらにも内部システムの大幅な改善、SSDによるロード時間の劇的な短縮、UIの改善といったメリットがあり、それにコントローラーも新しくなった。

両者の見た目は全く違う。 シリーズX本体は非常に大きく(PS5ほどではないが)、購入を考えている多くのユーザーがゲーム機用の棚に横置きで収まるかどうか寸法を確認する必要があるだろう。 シリーズXはゲーム機というより、デザイン性の高いゲーミングPCのような感じだ。シャシーは非常にしっかりとしていて密度が高く、これまでに見てきたゲーム機のシャシーの中でも非常に頑丈なデザインの部類に入る。ハードウェアに関して、シリーズX/Sのコントローラーは前世代と非常に似ているが、さりげない改良、特にその感触と質感は多くのユーザーが気に入るだろう。

これを読んでいる人のほとんどは、シリーズXを購入するかどうかすで決めていることだろう。そして、その多くは単に新製品という理由で購入するのだろう。シリーズXの性能に対する現時点での必要性や、その性能を手持ちのゲーム機器に活用できるかどうかといったことは二の次で、新しいタイトルをプレイし、時代に乗り遅れないようにしようと思っている。それは確かに悪い理由ではない。

画像クレジット:ルーカス・マットニー

シリーズX/Sまたはプレイステーション5を購入しようかどうか迷っている人もいるかもしれない。 アメリカの政治と同じように、私はそれほど多くの浮動層(決心のついていない人)がいるとは思っていない。 ユーザーは、どのシリーズもののタイトルがプレイステーション専用であり、どのタイトルがエックスボックスでのみ発売されるのかをよく知っている。Sony(ソニー)とマイクロソフトの両者とも数十年、独自のゲームタイトルの展開を推し進めているが、マイクロソフトはここ数年でゲームスタジオの買収に積極的になっていて、サブスクリプションサービスのゲームパス向けに膨大なタイトルからなるライブラリを構築しようとしているため、独占タイトルはすぐに増えていきそうだ。

とはいえ、迷っている人のほとんどは、自分が本当にプレイしたいゲームタイトル用のゲーム機を最終的に選ぶことになる。しかし今のところ、PS5やシリーズXの発売タイトルの中に何が何でもプレイしたいものがある場合や、前世代機でプレイできなかったタイトルが最適化された形式でプレイできるようになっている場合でもなければ、今すぐ決めるのは少し難しい。ホリデーシーズンに発売予定だったシリーズXの目玉タイトルHalo Infinite(ハローインフィニット )は2021年まで発売が延期された。現実問題、このハードウェアを本当にアピールできるゲームタイトルは、おそらく来年の終わりまで登場しないと思われる。

とにかく、ほとんどのユーザーは来年までシリーズXを最大限に活用できないだろう。自宅のテレビやAVレシーバーが、シリーズXの性能、つまり8Kゲームや高フレームレート(120fps)の4Kゲームを最大限に活用できる状態に対応していない可能性が圧倒的に高い。ハイエンドを実現するには、HDMI 2.1というテクノロジーが必要とされるが、これを採用しているのは一部の新しいテレビのみである。来年はもっと全面的に標準化されそうだが、今のところ、こういったテレビやAVレシーバーは実際に家庭ではあまり使われていない。4Kテレビが対応しているHDMI2.0があれば、シリーズXのタイトルを最大60fpsの4K解像度(前世代のエックスボックスワンエックスに近い品質)でプレイできる。

真新しいテクノロジーを取り入れる場合、妥協することが増えるが、それはシリーズX/Sも例外でない。 最先端の映像規格に対応したゲーム機はライフサイクルが長い。しかし最新のAVハードウェアを手に入れるまで、消費者は最適な環境でプレイできない。 発売初期に購入する人にとっては、たいてい新しいタイトルが少ないことも、とてもいら立たしい。 マルチプラットフォームのヒット作がいくつかお目見えするが、シリーズX/Sのパワーを最大限に活かせる、プレイ必須のタイトルはなさそうだ。 性能を重視してゲーム機を購入している消費者にとっては残念なことだが、シリーズX/Sのタイトルが徐々に充実していくことは間違いないと思われる。というわけで消費者は、シリーズX/Sの性能の向上を目当てに、2020年に思い切って購入すべきか否か決断を迫られている。

関連記事:フォートナイトがPS5とXbox Series X/Sで発売決定

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Xbox Microsoft レビュー

[原文へ]

(翻訳:Dragonfly)

Pythonの作者Guido van Rossum氏がMicrosoftに入社

プログラミング言語Pythonを作ったGuido van Rossum氏が今日(米国時間11/12)、引退生活をやめてMicrosoft(マイクロソフト)のDeveloper Divisionに入ったことを発表した。

Van Rossum氏は、最後はDropboxの社員だったが、同社に6年半在席したのち、昨年10月に引退した。しかし明らかに、その引退を長く続けるつもりはなかったようだ。彼によると、Microsoftでは、Windowsの上だけでなく一般的に、Pythonの使用を確実に改善していくという。

Microsoftのスポークスパーソンによると、とくに共有すべき詳細情報はないけれども、van Rossum氏が本当にMicrosoftに入社したことは確実だそうだ。スポークスパーソンは曰く、「彼がDeveloper Divisionの一員になったことはすばらしい。MicrosoftはPythonのコミュニティに寄与貢献し、共に成長することにコミットしており、Guidoの入社は、そのコミットの反映である」。

オランダ出身の彼は、のちにPythonになるものの開発を1989年に始めた。90年代半ばには彼はアメリカで、アメリカ国立標準技術研究所に勤めながらその言語の開発を積極的に続け、その後はさまざまな企業を転々とした。たとえばBeOpenではPythonLabsのディレクターになり、ZopeやElemental Securityにも在籍した。Dropboxに行く前は2005年から2012年までGoogleにいた。そこで彼は社内で使うコードレビューツールMondrianを開発し、App Engineの開発にも関わった。

[Guido van Rossum: 引退は退屈だと分かったからMicrosoftのDeveloper Divisionに入った。何をするのかって?候補が多すぎて一言では言えないね! でもPythonの使用を確実に改善していくだろう(Windowsの上だけではなくて)。ここにはオープンソースが大量にある。今後にご期待を。]

今のPythonは、もっとも人気のあるプログラミング言語のひとつであり、たとえばAIの研究者のためのデファクトスタンダードだ。

ほんの数年前なら、van Rossum氏がMicrosoftに入るなんて考えられなかっただろう。同社のオープンソースへのアプローチは、それぐらい不評だった。でも今やそれがすっかり変わって、今日のMicrosoftは他社と共にもっとも積極的なオープンソースへの企業コントリビューターだ。それに、今やGitHubのオーナーでもある。Rossum氏がMicrosoftで何をするのか、いまいちよく分からないが、彼は「選択肢が多すぎる」と言っているし、「ここには大量のオープンソースがある」のだそうだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ロシアと北朝鮮のハッカーが新型コロナワクチン製造会社を標的にしているとマイクロソフトが指摘

Microsoft(マイクロソフト)は、ロシアと北朝鮮が支援するハッカーたちが新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン開発に取り組んでいる製薬会社を標的にしていることを明らかにした。

マイクロソフトは米国時間11月13日、米国、カナダ、フランス、インド、韓国の企業7社を標的にした攻撃を明らかにした。そうした攻撃の「大半」は阻止されたが、一部は成功したことを同社は認めた。

マイクロソフトは、影響を受けた企業には通知したと述べたが、企業名は明らかにしなかった。

「攻撃は受け入れがたいもので、すべての文明社会によって非難されるべきものです」とマイクロソフトの顧客セキュリティ・トラストの責任者Tom Burt(トム・バート)氏はブログ投稿で述べた。

同社は3つのハッカーグループを非難した。同社はStrontiumと呼んでいるが、APT28またはFancy Bear(未訳記事)としてよく知られているロシアのグループはパスワードスプレー攻撃を使用した。この攻撃では往々にしてパスワードの使い回しや再利用を利用している。Fancy Bearは2016年の米国大統領選挙の準備期間オペレーションでの誤情報とハッキングで最も知られているかもしれない。しかし同グループはまた、報道機関や企業を標的にしたことで知られている攻撃でも非難されてきた。

他の2つのグループは北朝鮮が支援している。そのうちの1つをマイクロソフトはZincと呼んでいるが、それよりもLazarus Groupとして知られている。このグループはパスワードを盗むためにリクルーターを装っての標的型スピアフィッシング電子メールを使っている。Lazarusは2016年のSony(ソニー)へのハッキング、2017年のWannaCryランサムウェア攻撃、その他マルウェアを使った攻撃で非難された。

しかし、マイクロソフトがCeriumと呼ぶ、北朝鮮が支援するもう1つのハッカーグループについてはあまりわかっていない。同グループも、新型コロナパンデミックとの闘いに取り組む世界保健機構(WHO)の代表を騙って標的型スピアフィッシング電子メールを使った、とマイクロソフトは述べた。

同社の広報担当は、同社がCeriumに言及したのは初めてであることを認めたが、それ以上のことは語らなかった。

今回の動きは、ハッカーが自身の目的のために新型コロナパンデミックを利用する最新のものだ。2020年初め、FBIと米国土安全保障省はハッカーが新型コロナワクチン研究を盗もうとしていると警告した。

本日のニュースはParis Peace Forumと一致する。Paris Peace Forumではマイクロソフト社長のBrad Smith(ブラッド・スミス)氏が各国政府に、特にパンデミックの間はヘルスケア部門に対するサイバー攻撃の対策をこれまで以上に取るよう促す見込みだ。

「マイクロソフトは国際法がヘルスケア機関を守ることを断言し、法に則って行動を起こすことを世界のリーダーたちに求めています」とバート氏は述べた。「攻撃が政府機関によるものであるときだけでなく、政府が活動を許している、あるいは国内に抱えている犯罪グループによるものであるときにも法が適用されるべきだと考えています」。

関連記事:米サイバー司令局が北朝鮮ハッキンググループのマルウェアを正式公開

カテゴリー:セキュリティ
タグ:Microsoftハッカー

画像クレジット:Dogukan Keskinkilic / Anadolu Agency / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

9月にインドで禁止されたPUBG MobileがMicrosoftとの契約で同地復帰を計画

サイバーセキュリティへの懸念から2カ月前にインドでの販売が禁止された「PUBG Mobile」は、世界第2位のインターネット市場での復活を目論んでいると、この件に詳しい2人の関係者がTechCrunchに語った。

韓国のPUBG Corporationはここ数週間、グローバルなクラウドサービスプロバイダと提携し、ユーザーデータの居住性とセキュリティに対するインド政府の懸念を和らげるために、同国のユーザーデータを国内に保存していると、情報筋の1人は述べています。

【米国時間11月7日14時更新】PUBG Corporationの親会社であるKraftonは本日、Microsoft(マイクロソフト)とグローバルパートナーシップを締結したことを発表した。この契約の一環として、Kraftonまたはその子会社が開発したPUBG Mobileを含むゲームは、Microsoft Azure上でホストされることになる。Kraftonは「私たちにとってプライバシーとデータセキュリティは最優先事項であり、同社はマイクロソフトと協力し、Azureを通じて個人データの保護を確保していきます」と述べている。マイクロソフトは、インドの3カ所を含む世界各地でデータセンター事業を展開している。

PUBG Corporationは、インドの一部の高名なストリーマーに対して、2020年末までにインドにおけるサービスを再開する見込みであることを内密に伝えている、と別の情報筋は述べている。両情報筋はメディアに話をする権限がないため、匿名を希望している。11月5日にPUBG Corporationにコメントを求めたが、回答はない。

同社は、早ければ先週中にもインドでの今後の計画を発表する可能性があったという。また、今週行われるヒンドゥー教のお祭り、ディーワーリーの時期にはインド国内でのマーケティングキャンペーンを実施する予定だとある情報筋は語っている。

PUBGはここ数週間、SoftBankの出資を受けたPaytmや通信大手のAirtelなど、多くの現地企業とも協力して、人気モバイルゲームのインドでの配信に興味を持たれているかどうかを調査しているというが、Paytmの広報担当者はコメントを避けた。

当初、中国大手のTencent(テンセント)が、インドでPUBGモバイルアプリを公開していた。しかし、インド政府がPUBGモバイルを禁止した後、同社はインド国内でのテンセントとの配信提携を解消していた。禁止される前は、PUBG MobileのコンテンツはTencent Cloud上でホストされていた。

禁止命令から2カ月後である2020年10月末、PUBG Mobileはインドのユーザー向けサービスを終了している(未訳記事)。「ユーザーデータの保護は常に最優先事項であり、インドで適用されるデータ保護法や規制を常に遵守してきました。すべてのユーザーのゲームプレイ情報は、当社のプライバシーポリシーに開示されている通り、透明性のある方法で処理されています」と当時、同社は発表していた。

インドにおいて、月間アクティブユーザー数が5000万人を超えるPUBG Mobileは、禁止される前まではインドで最も人気のあるモバイルゲームだった。インドのゲーム市場のベテランアナリストであり、ニュースメディア「The Mako Reactor」の発行者でもあるRishi Alwani(リシ・アルワニ)氏は、PUBG Mobileのおかげで、同社はスポーツ関連企業のエコシステム全体を確立し、スポーツフレンドリーなゲームプレイを最大限に活用した観戦型のストリーマー産業小規模なストリーマー産業の確立にも貢献したという。

しかしながら、PUBG Mobileの復活はPUBGの不在を幸いと同様のゲームを開発している業界関係者や、現在進行中の資金調達ラウンドを巡ってベンチャーキャピタルと話し合っている企業などの問題を複雑にする可能性がある。

また2人の関係者は、インドでここ数カ月の間禁止されている他の200以上の中国製アプリが、ユーザーのデータを保存する場所を変更することで、インド政府の懸念を和らげようとしていることも示唆している。

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:PUBGMicrosoftインド

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(翻訳:TechCrunch編集部)

大統領選挙期間中、AppleやMicrosoftをはじめとしたハイテク株が急騰

米国時間11月3日の大幅な上昇を受けて、4日の時間外取引ではハイテク株が再び急上昇している。テック株の多いNASDAQ総合指数の先物取引は今朝、3.4%の上昇を示しており、より業種が幅広いS&P 500指数の1.7%という上昇予測を、はるかに上回っている。

世界で最も価値の高い企業の時価総額、つまりApple(アップル)は3.9%上昇し、Microsoft(マイクロソフト)が4.4%とさらに上昇したことで、数百億ドル(数兆円)の価値を追加した。

テック市場のより小さな他の企業も株価が上昇しており、時間外取引ではSalesforceが2.9%上昇し、Twilioが3.3%の時価総額を上げている。

取引量の多い資産の価格は過去24時間で急落(The Wall Street Journal記事)し、11月3日夜の米国政府債務の利回りは低下した。これは、投資家が経済全体に対して強気であったことを示している。その後、いわゆるBlue Wave(ブルーウェーブ)が形成されていないことが明らかになったため、再び上昇した。議会が分裂するという見通しが今後の景気刺激策を阻害する可能性があり、その可能性がここ数カ月の市場取引の重要な柱となっている。

11月4日朝、ハイテク株が上昇している理由は完全には明らかにはなっていない。明らかな1つの可能性としては投資家が取引市場に戻り、経済の不透明感が強い時期に定期的に成長する可能性のある企業に資産を集中するため、ソフトウェア関連企業の株を高く買うというシナリオだ。

議会の分裂が景気刺激策の足かせを意味するのであれば、以前のやり方に戻ってみてはどうだろうか。

年末までに、あるいは2021年初頭に株式を公開したいと考えているテック企業やテック関連企業にとって、今回の株価上昇は歓迎すべきニュースである。しかし2020年の選挙がそうであるように、状況はまだ変わる可能性がある。

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カテゴリー:その他
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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

クラウドインフラの前四半期売上は3兆4500億円で33%成長、新型コロナが大きく影響

世界の多くの国で、オフィスを閉鎖しクラウドに依存する企業が増え続けているため、クラウドインフラの市場は前四半期に活況を呈した。今週はMicrosoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)、Amazon(アマゾン)のビッグ3が揃って決算報告を行ったが、予想どおりその数字は良い。Synergy Researchの調査報告によると、売上の成長率は前年同期比で33%で、総額は330億ドル(約3兆4500億円)に近い。

それでもSynergyのチーフアナリストであるJohn Dinsdale(ジョン・ディンズデール)氏は、「成長が続くことは完全に予想していたが、第3四半期の成長はやや意外だ」と述べているように、市場がことほどの成長を続けていることに対して驚いている。

「総売上は前四半期から25億ドル(約2600億円)増え、前年比の成長率を押し上げた。このような巨大市場では、異例だ。はっきりしているのは、新型コロナウイルスが市場に力を貸したことであり、それはとても大きかったということだ」とディンズデールはいう。

例によってトップはアマゾンで116億ドルの売上、前四半期108億ドル(約1兆1300億円)からの上昇だ。前年同期比では29%になる。クラウド市場におけるアマゾンの成長は鈍化が続いているが、そのトップとしてのマーケットシェア33%はこのところかなり安定しており、同社がずっと維持している目を見張るような売上に比べると、成長はあまり重要でない。アマゾンの売上はライバルであるマイクロソフトのほぼ倍だ。

そのマイクロソフトはAzureの売上が前年比で48%上昇し、やはりやや鈍化はしているものの18%のマーケットシェアでしっかり2位を確保している。Synergyによる四半期総売上330億ドルに対してマイクロソフトの売上は59億ドル(約6200億円)で、前四半期52億ドル(約5400億円)から上昇している。

そしてグーグルは、クラウドの売上34億ドル(約3600億円)を発表したが、そこにはインフラだけでなくG Suiteなどのソフトウェアの売り上げも含まれている。Synergyの数字では、マーケットシェアは9%、売上は29億8000万ドル(約3100億円)で前四半期の27億ドル(約2800億円)から上昇、順位は3位だ。

AlibabaとIBMは、ともに5%で4位に並んでいる。売上はどちらも16億5000万ドル(約1700億円)となっている。

画像クレジット:Synergy Research

なお、Canalysの数字もSynergyと似ており、33%の成長率で総売上が365億ドル(約3兆8200億円)だ。順位は同じだがマーケットシェアの数字がやや違い、アマゾンが32%、マイクロソフトが19%、グーグルが7%、Alibabaが4位で6%だ。

Canalysは今後も成長が続くと見ており、特にハイブリッドクラウドが5Gやエッジコンピューティングのような新しい技術と合わさることで成長を牽引していくとしている。「3社ともモバイル事業者と協力して、彼らのクラウドスタックを事業者のデータセンターのエッジへデプロイしていく。これらは、企業顧客の中で5Gのサービスから利益を得ていく全体的な動きの一環だ。同時にまた、モバイル事業者のITインフラを変えていくことにもクラウドサイドの商機がある」とCanalysのアナリストであるBlake Murray(ブレイク・マレー)氏は、声明で述べている。

このところ成長率だけを見ると下降が続いているが、クラウドインフラのような成熟市場においてそれは当然予想されることだ。しかしながら、パンデミックで企業がワークロードをクラウドに移すことが今後も継続し、そのペースがより迅速になり、一方で5Gやエッジコンピューティングといった新しユースケースを彼らが見つけていけば、クラウドの市場は今後も大きな収益を獲得し続けるだろう。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:AmazonMicrosoftGoogle

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Googleがいまだに悪用されているWindowsのゼロデイバグを公表

Google(グーグル)が、現在のところ公表されていないWindowsの脆弱性について、その詳細を明らかにした。同社によると、その脆弱性は現在でもハッカーが頻繁に悪用しているという。グーグルはMicrosoft(マイクロソフト)に、1週間の修復猶予期間を与えている。そしてその締切が過ぎた米国時間10月30日の午後、脆弱性の詳細を公表した。

この脆弱性には名前がなく「CVE-2020-17087」というラベルが付いている。被害は主にWindows 7とWindows 10で生じている。

脆弱性を発見したグーグルのセキュリティグループであるProject Zeroによると、このバグによりWindowsの自分のユーザーアクセスのレベルを上げることができるという。Windowsの脆弱性とChromeの別のバグを一緒に用いるが、後者はグーグルが先週公表しフィックスしている。新しいバグでは、通常は他のアプリケーションから隔離されているChromeのサンドボックスを逃れて、オペレーティングシステムの上でマルウェアを動かすことができる。

Project Zeroの技術長であるBen Hawkes(ベン・ホークス)氏はTwitter上で、マイクロソフトが11月10日にパッチを発行する予定だと述べている。

マイクロソフトに問い合わせたが明確な返答はないが、声明で次のように語られている。「マイクロソフトは顧客への責任を重視して、報告されているセキュリティ問題を調査し、被害デバイスをアップデートして顧客を保護する。公表に関して、すべての研究者が締切を守るよう努めているが、それには今回のような短期間の締切も含まれている。セキュリティアップデートの開発は時宜性とクォリティとのバランスであり、顧客に迷惑をかけず最大限の顧客保護を実現することが、我々にとって究極の目標だ」。

犯人とその動機については不明だ。グーグルの脅威情報担当ディレクターであるShane Huntley(シェーン・ハントリー)氏によると、犯行は特定の人物を対象としているが、米国の選挙とは無関係だという。

マイクロソフトの広報担当者は、報告されている犯行は「極めて限られた、特定の目標を狙ったものであり、犯行が広範囲に及んだことを示すエビデンスは見つからない」と述べている。

2020年はWindowsの大きな欠陥が多く報告されたが、今回はその最新のものとなる。マイクロソフトは2020年1月に、NSA(国家安全保障局)の助力によりWindows 10の暗号のバグを発見したが、悪用のエビデンスはないという。しかし6月と9月には、国土安全保障省が、2つの重要なWindowsのバグを警告している。1つはインターネット全体に拡散力する可能性があり、もう1つは、Windowsのネットワーク全体に対する完全なアクセスを取得することができた。

【追記】マイクロソフトからのコメントにより本記事をアップデートした。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:MicrosoftGoogle

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Microsoftが台湾初のAzureデータセンターリージョン開設を発表、IoTとAIの研究や投資に続く取り組み

10月前半にはオーストリアに最新のデータセンターリージョンを開設しブラジルの拠点を拡大することを発表したMicrosoft(マイクロソフト)が、米国時間10月28日に台湾に新しいリージョンを開設する計画を明らかにした(Microsoft発表)。同社はすでに中国(運営は21Vianet)、香港、日本、韓国でデータセンターを運営しており、台湾の新しいリージョンは東アジアでのこれまでのプレゼンスを強化するものになる。台湾の新しいリージョンが開設すると、全世界で66クラウドリージョンとなる。

マイクロソフトはブラジルでの拡張と同様に、2024年までに台湾で20万人以上に対してデジタルスキルの向上を図り、台湾のAzure Hardware Systems and Infrastructureのエンジニアリンググループを強化することも発表している。同社は台湾でIoTとAIの研究やスタートアップアクセラレーターに投資しているが、これはそうした投資に続く取り組みだ。

マイクロソフトのエグゼクティブバイスプレジデント兼同社グローバルセールスマーケティング&オペレーション プレジデントのJean-Phillippe Courtois(ジャン-フィリップ・クルトワ)氏は「台湾への新たな投資は、ハードウェアとソフトウェアの統合に関する確固とした伝統を我々が信頼していることの現れです。台湾のハードウェア製造の専門性と新しいデータセンターリージョンにより、インテリジェントクラウドとインテリジェントエッジを広めて5GやAI、IoTの可能性をさらに推し進め、大きなトランスフォーメーションを実現できると期待しています」と述べている。

画像クレジット:Microsoft

新しいリージョンではMicrosoft Azureのコアのサービスを利用でき、Microsoft 365、Dynamics 365、Power Platformをサポートする。マイクロソフトが最近開設しているする新しいリージョンの計画は、ほぼこのようになっている。マイクロソフトのほとんどの新しいデータセンターリージョンと同様に、台湾のリージョンでも複数のアベイラビリティゾーンを提供する。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:MicrosoftMicrosoft Azure台湾

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(翻訳:Kaori Koyama)

Microsoft Excelでユーザーが独自のデータタイプを作成可能に

ここ数年間、Microsoft(マイクロソフト)は、クラウドから取り出す地理データやリアルタイムの株式データといった「データタイプ(データ型)」という概念をExcelに導入しようとしていた。Wolframとパートナーした現在のExcelには100を超えるデータタイプがあり、それらをスプレッドシートの中で使用することができる。また、このような定義済みのデータタイプだけでなく、ユーザーが自分独自のデータタイプを作って使うことも、そのうちできるようになる。

たとえば「カスタマー(顧客)」というデータタイプなら、サードパーティのサービスから充実したカスタマーデータをExcelに持ち込める。そのための導管は、Excelにそのデータを放り込めるようになったPower BIでもいいし、ExcelのPower Query機能でもよい。それによって多様なデータソースに接続できるようになる。データソースはSQL ServerやMySQL、PostreSQLのような一般的なデータベースでもいいし、あるいはTeradataやFacebookみたいなサードパーティのサービスでもいい。

画像クレジット:Microsoft

 

「柔軟性に富んだグリッド全体に数値やテキスト、数式などを配置できるため、すでに多く人がその機能を使って素晴らしいデータを作っている。データはフラットなものばかりではないし、データを2Dの構造に押し込めることには制限がある。しかしData Typesを使えば、Excelで3Dのデータでも扱えるようになる。どんなセルでも、たった1つのセルに構造化データのリッチな集まりを入れられる」とExcelのプロダクトマネージャーであるBrian Jones(ブライアン・ジョーンズ)氏は米国時間10月28非の発表声明で述べている。

これによりExcelの柔軟性は増すため、利用する企業は多いだろう。そのような企業はAirtableといったExcel的で新しいデータツールにすぐには移行できないが、データ分析のニーズは増える一方で、データの量自体もこれまでの単純なExcel技能では扱えないほど膨大になっている。しかもデータタイプという機能は、Google SheetsのようなExcelの競合製品がどこもまだ採用していない。

画像クレジット:Microsoft

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:MicrosoftExcel

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Microsoftの決算はAzureの好調で予想外の成績、でも株価は横ばい

今日(米国時間10/27)の取引終了後、Microsoft(マイクロソフト)が、2020Q3の決算報告を発表した。それは同社の会計年度では2021Q1に該当する。9月30日に終わる3か月でMicrosoftの売上は372億ドル、一株あたり利益は1.82ドルだった。

アナリストの予想では、同社の一株あたり利益は1.54ドル、売上は357億2000万ドルだった。

予想を上回る結果の後にもかかわらず、同社の株価は実質的にフラットで、時間外取引では小数点以下の上げがあっただけだ。Microsoftの午後の取引では2%弱のアップだったが、やや不均一な市場でもあった。

Microsoftの株価を上げた要因としては、Azureのアップデートが不可欠だった。Microsoft自身は、こう言っている:

サーバープロダクトとクラウドサービスの売上が、Azureの売上増48%(実質ベースで47%)に押されて22%(実質ベースで21%)増加した。

投資家心理としては40%台の下の方を期待していたようで、Azureの結果はそれに比べても強かった。

Azureが含まれるカテゴリーは「Intelligent Cloud」(インテリジェントクラウド)と呼ばれ、売上は130億ドルで前年同期比20%の増となった。それは、Microsoftの三大カテゴリーの中では最優秀で、OfficeとLinkedInが大きい「Productivity and Business Processes」(生産性とビジネスプロセス)が売上123億ドルで11%増、WindowsとXboxが鎮座する「More Personal Computing」(その他のパーソナルコンピューティング)は売上118億ドル6%増だった。

決算報告の聴衆に紛れ込んだ財務オタクである私は、読者のお楽しみのために以下の表をかっさらった:

決算報告をざっと見て、ほかに目立つものといえば、これらだ:

  • Surfaceの売上が強くて、前年同期比で37%の増。
  • Bingの売上は下降。同社によると、トラフィック取得費用を除いた後の検索広告の売上は10%減った。,
  • 商用クラウドの売上は152億ドルで前年同期比31%増。
  • LinkedInは四半期売上が16%増加した。
  • ゲームの売上は前年同期比22%増。
  • 消費者PCの需要によりProでないWindows OEMの売上が前年同期比で31%増加した。Pro向けのWindows OEMは22%減少。OEM全体としては5%の減となった。

次期(現四半期)の一株あたり利益のアナリスト予想値は1.60ドル、売上は404億ドルだ。同社自身の予想は、決算報告で発表される。

アップデート: MicrosoftのIRチームのMike Spencer氏から電話があり、今回の結果についてチャットした。COVID-19関連で広告収入の落ち込みについて聞いたら、Spencer氏はBingもLinkedInも初期の落ち込みからは回復した、と言った。両社とも、同社の期待を上回ったそうだ。前年同期比ではもちろん、LinkedInがBingより好成績だが、予想を上回ったこと自体は良い。Bingの数値は、Googleにとって何を意味するだろうか。

Spencer氏は、社内と社外の予想値が出る前から、Azureの数値を期待していた。ProでないWindows OEMについても、注目すべき数値だ、と。まさに、そのとおりだ。Azureの数値は、MicrosoftがAmazonやGoogleに対して善戦していることを示す。後者の消費者PCの伸びは、家に足止めを食らっている子どもたちのために買うコンピューターは、Chromebookだけではないよ、ということ。

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画像クレジット: TechCrunch

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iPad版Microsoft Officeがマウスとトラックパッドをサポート

予告どおり、Microsoft(マイクロソフト)がMicrosoft 360のiPadOSバージョンでトラックパッドとマウスをサポートしたことを発表した。WordとExcelとPowerPointもその対象に含まれており、タブレットとデスクトップの差を減らそうとするApple(アップル)の長年の努力に、また重要な一歩が加わることになった。これでiPadはさらに充実した生産性マシンになる。

アップルがそのための基盤を作ったのは、2020年3月のiPadOS 13.4のリリースのときだ。iPad Proの最新バージョンと合わせて、トラックパッドとマウスのサポート、そしてそれによる画面上のカーソルのサポートが発表された。TechCrunchではのRomain その詳細をまとめている。新しいタブレットとオペレーティングシステムのアップグレードとともに、トラックパッドを採用した高価なキーボードが紹介された。

画像クレジット:Microsoft

本日発表されたアップグレードはそれの実装であり、最新のiPadやiPad Pro、iPad Airでマイクロソフト製の生産性ツールを使うとき、デスクトップ版に近い使い方ができる。Officeの標準機能であるテキストの高輝度表示やExcelにおける一定範囲のセルのセレクト、グラフィクのサイズ変更などができる。以前からあったものばかりだが、これまでノートやデスクトップパソコンの上でそれらを使い慣れていた人には、ありがたいだろう。

アップデートでは他にも、より明快なインターフェイスや新しいメニュー編成などいくつかの追加がある。マイクロソフトによると、これらのエンドユーザーへの展開は「2週間後」になるとのことだ。

関連記事:アップルが新しいiPad Proを発表、iPadOSでマウスカーソルが利用可能に

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:MicrosoftAppleiPad

画像クレジット: Microsoft

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Surface Laptop Goは確かに軽い、サブ機としてフル活用するなら10万円超の上位モデルか

エレガントなデザインのままリバースエンジニアリングで低価格化

先週、Surface Laptop Goをバックパックに詰めてハイキングに行った。数日かけて30km以上歩き、森の中の小道を抜けて危なっかしい橋も渡ったが、Laptop Goは間違いなく軽かった。

MacBook Air(2.27kg)も持って行ったのだが実はLaptop Go(1.11kg)のほうが軽い。どちらにせよたいした重さではないと思われるかもしれないが、毎日8時間道なき道を歩き通すとなるとほんのわずかの重さも大きな差となる。

ただし、Laptop Goのスクリーンは屋外で使うにはあまり向いていない。パワーが十分でない低価格デバイスとしてはやむを得ないのだろうが、反射しやすいスクリーンのせいもあって画面輝度を最大にしても屋外では見にくい。もちろん、通常こうしたデバイスは室内で用いられるのでこの点は大きな問題ではないだろう。一方で、Microsoft(マイクロソフト)がこの製品を低価格で提供できた秘密の一部がわかった気がした。

Laptop Goは先行モデルをリバースエンジニアリングして低価格化に成功した典型的なケースだ。これにより同社は、Surfaceシリーズを入門機のゾーンに向けて大きく拡大できた。当初のSurfaceは専用Windowsを使ったデバイスを作る際の標準ハードウェアの役目を果たす高価格モデルだった。しかしその後Surfaceブランドは大きく多様化した。

 

マイクロソフトはSurfaceで長年アップルデバイスを使ってきたクリエイティブなユーザーをターゲットとすると同時に、低価格入門機の分野にも手を広げた。Laptop Goは明らかに後者のカテゴリーの製品だ。GoシリーズはSurfaceの開発にあたって長年利用してきたハードウェアの開発、製造テクノロジーが低価格デバイスにも適用できるかどうかを試す試金石だった。

この試みは理解できるし、同時に称賛すべきものだ。機能と信頼性が高いノートパソコンを入門機の価格で提供することができればメーカーにとってもユーザーにとっても大きなメリットとなる。もちろんここには数多くのハードルがある。例えばまず、価格を下げるには、どの機能を省くべきかを決定しなければならない。すでに多数のメーカーがChrome OSやWindows 10Sをベースにするマシンを市場に出している。

同社がWindows 10SとSurface Laptopを発表したのは数年前で、Chromebookのライバルをそれよりずっと高い価格で販売するというのは少し奇妙な戦略だった。しかし数年かかったものの、適切な価格でSurfaceノートを発売した。ここで多年培ってきたエンジニアリングのノウハウに大いに役立てたに違いない。

新しいLaptop Goは低価格だが外観がスマートなノートだ。他のSurfaceファミリーに混じっても見劣りがしない。筐体のトップとキーボード表面はアルミ製でポリカーボネート素材と組み合わされている。ただこの部分はいかにもプラスチックな手触りだ。キータッチは私の好みからするとややソフトでぐにゃっとした感触だが、慣れればさほど気にならない。ほとんどのケースに問題なく対応できるだろう。

ポートについては好みが分かれるかもしれない。筐体左側にはUSB-AとUSB-Cが1つずつある。既存のデバイスにも将来のデバイスにも対応しようという戦略だろう。しかしUSB-Cポートを複数装備するほうが適切だったのではないか。筐体右側にはSurfaceドック・コネクターが1つあるだけだ。同社が既存デバイスへの後方互換性を配慮したことは間違いないが、それを犠牲にしてもバッテリー充電をUSB経由にすべきだったように思う。

内部は評価が分かれる。Intel(インテル)の第10世代Core i5が標準搭載されており、8万4480円(Microsoftストア価格)で入門レベルのノートにしては強力なCPUだ。しかしベースモデルはメモリーが4GB、SSDが64GBなので多くのユーザーが8GB、256GBのバージョンを選ぶだろう。

 

ここでレビューしている個体も8GB、256GBモデルで、このスペックなら十分使える。しかし、ストレージを256GBにアップグレードすると12万6280円(Microsoftストア価格)となり、「驚くほど安い」カテゴリーには収まらなくなる。256GBモデルなら指紋認証センサー付き電源ボタンも搭載される。不思議なのはキーボードの周囲にしかバックライトがない点だ。キーボード自体が光らないのは奇異な印象を与える。なお、ベーシックモデルの本体色はプラチナのみで、それ以外のモデルではサンドストーンとアイスブルーを選べる。

Laptop GoのOSは標準搭載OSはWindows 10Sだ。このマシンが登場したときのレビューで、私は「大半のユーザーは購入と同時にOSをWindows 10Sから普通のWindows 10に切り替えるほうがいい」(未訳記事)と勧めておいた。そうした点を別にすれば、Laptop Goは低価格機市場への参入の最初の試みとして十分な成果だ。軽量だし外観もスマートで機能も十分なレベルのデバイスに仕上がっていると思う。特にサブ機として好適だ。しかしこうしたマシンを今すぐ必要としているのでないなら、次のバージョンを待つのもいい考えかもしれない。

画像:Brian Heater

カテゴリー:ハードウェア
タグ:マイクロソフト、Surface

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

フランスで欧州米国間での健康データ転送を回避するため該当サービスに米国クラウドプラットフォーム利用禁止の勧告

Mediapartの報道によると、フランスのデータ保護機関であるCNIL(La Commission Nationale de l’Informatique et des Libertés)は健康データを扱う同国のサービスに対していくつかの推奨事項を発表した。これらのサービスはMicrosoft Azure、Amazon Web Services、Google Cloudといった米国のクラウドホスティング企業の利用を完全に避けるべきだという。

これらの勧告は、2020年7月に欧州の最高裁判所が下した画期的な判決を受けたものだ。この判決は「Schrems II」と呼ばれ、EUと米国のデータプライバシーシールドを無効にした。プライバシーシールドの下では、企業はEUから米国にデータ処理を一括で外注することができたが、米国の監視法に対する懸念から、この仕組みはもはや認められなくなった。

CNILはさらに一歩進んで、健康データを扱うサービスや企業も米国企業との取引を避けるべきだと述べている。これはヨーロッパのデータをヨーロッパで処理するだけではない。米国の規制や規則に支配されることを避けようとするものだ。

規制当局はフランスの最高裁判所(Conseil d’État)にこれらの勧告を送った。組織と組合のグループであるSantéNathonは当初、フランスのヘルスデータハブに関する懸念をCNILに通告していた。

フランスは現在、国レベルで健康データを保存するプラットフォームを構築中だ。希少疾患の研究を容易にし、人工知能を使って診断を改善するためのハブを構築しようとしている。さまざまなソースからのデータを集約し、それらの特定のケースについて、公的機関や民間機関と一部のデータを共有できるようにすることが想定されている。

フランス政府は元々、Microsoft(マイクロソフト)とそのクラウドプラットフォームであるMicrosoft Azureとの提携していたため、技術的な選択は物議を醸している。

他の多くの企業と同様に、マイクロソフトはEUと米国のデータ転送については標準契約条項に依存している。しかし、EUの司法裁判所は、プライバシーや監視に関して、安全でない国にデータが転送されている場合は、EUの規制当局が介入しなければならないことを明確にした。

CNILは米国企業がヨーロッパでデータを処理しても、FISA 702やその他の監視法に該当すると考えている。データは依然として米国当局の手に渡るだろう。別の表現をすれば、Schrems IIはまだ展開中だが、CNILは今のところ、健康データの取り扱いに細心の注意を払っている。

フランスのデジタル担当相であるCédric O(セドリック・オ)氏は「プライバシーシールドが無効とされた今は、健康大臣のOlivier Véran(オリビエ・ベラン)氏ともに、ヘルスデータハブを(Azureでなく)フランスやヨーロッパのプラットフォームに移すことを検討している」とPublic Sénatに語っている

フランス政府は現在、ヘルスデータハブのための別のソリューションを探している。近い将来、フランスの最高裁がCNILの勧告を認めたら、DoctolibやAlanのような健康データを扱うフランスの企業にも、多少その効果が及ぶだろう。

カテゴリー:セキュリティ
タグ:フランスMicrosoft、ヨーロッパ

画像クレジット:Irwan Iwe / Unsplash

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

MicrosoftのEdgeが価格比較エンジンを搭載,

いまやEdgeブラウザーが安定バージョンになったMicrosoft(マイクロソフト)は、そのChromiumベースのブラウザーを競合製品から差別化する機能を作ることに力を注いでいる。

間もなくホリデーシーズンを迎えるため、同社が発表した新しい機能の1つが価格比較ツールあることは意外でないかもしれない。このツールはEdgeのブックマーキングサービス「Collections」の一部になる。目新しい機能ではないが、同社が機能を増やそうとしているのはいいことだ。今年はどんなホリデーシーズンになるのか予測もつかないが。

Edgeに搭載されるそのほかの新しい機能としては、CollectionsとPinterestの統合の一般的な可利用性、ウェブのコンテンツを捉える新しいスクリーンショットツール、PDFサポートの改良、テレビの番組などのストリーミングを離れた友だちと同期して見てブラウザーのサイドバーでチャットもできるTelepartyエクステンションのアップデートなどだ。

さらに、同社のMeet Nowサービスを統合して友達や家族や同僚とビデオミーティングができる。このビデオチャットの参加人数は最大50名で、画面の共有やミーティングの録画ができる。この機能は最初はEdgeのみの対応となるが、数週間後にウェブ上のOutlookやWindows 10のタスクバーからも使えるようになる。

決して新機能が少ないわけではないが、でも今回のハイライトはなんといっても価格比較エンジンだ。マイクロソフトのブラウザと検索ツール部門のプロダクトマネージャーを務めるDivya Kumar(ディバイヤ・クマール)氏は、「Collectionsは仕事や勉強のための便利な情報収集ツールだと思っていましたが、実はショッピングのために使う人がとても多いことがわかりました。そこで、Collectionsにもっといろんな情報があれば、いろんな人にとって便利だとひらめいたのです。そしてこの発想から、次にやることが決まりました」と語る。

Edgeは、Microsoft Bingの既存の価格比較エンジンとの接続を通じて、おそらくAmazonやBest Buyからユーザーが製品のサイトを保存していることを知り、価格を比較するオプションをブラウザーの右のツールバーに表示する。そこでチームにとって次の論理的なステップは、価格が変わったら通知することだ。同氏によると、それはすでにそのほかの機能とともにロードマップにあるが、そのほかの機能についてはまだ何も話せないそうだ。なお、Collectionsのリンクからユーザーが何かを買っても、マイクロソフトはアフィリエイト料金を請求しない。

ショッピングといえば、キャッシュバックプログラムのBing Rebatesがベータを終えてローンチした(その前に類似のプログラムを閉鎖した)。このプログラムには、WalmartやExpedia、Walgreens、Nvidiaなどが参加しているが、NVIDIAのキャッシュバック率は0.5%と小さい。一部の人にとっては、これがBingを使う理由になるかもしれないが、そのためにはMicrosoft Rewardsに会員登録しなければならない。

クマール氏は「Rebatesは私たちが提供しようとしているショッピングのストーリーの素晴らしい部分です。ブラウザーの中で、よりスマートなショッピング体験ができるはずです」と説明する。

また、Give with Bingプログラムの会員になると、慈善団体などにMicrosoft Rewardsのポイントで寄付できる。年末までは、ギフトにもポイントが付いていた。これが可能な国は、米国、英国、カナダ、オーストラリア、フランス、イタリア、ドイツ、そしてスペインだ。

ウェブで仕事をしていて、1日中スクリーンショットを取っている私のような人間にとっては、スクリーンショットツールのアップデートがありがたい。Edgeは以前からスクリーンショット機能は便利だったが、これまでは画面にあるものをコピーできるだけだった。今度からは、画面に表示されていなくてもページ全体をコピーでき、Edgeから直接保存や共有ができる。

iOSのユーザーでEdgeに切り換えた人や、切り換えを検討している人への朗報としては、iOS 14からのApple(アップル)の措置として、Edgeをデフォルトのブラウザーに指定できる。

関連記事:Microsoft Edgeでサーフィンができるようになった

カテゴリー:ソフトウェア
>タグ:Edge、マイクロソフト

画像クレジット: Microsoft

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

新型コロナウイルス感染拡大よるパーソナライズのニーズの高まりを受け、マイクロソフトが顧客データプラットフォームを強化

Microsoft(マイクロソフト)が2020年2月に顧客データプラットフォームを発表した際(未訳記事)、その主眼は単純にデータのサイロをつないでデータをシステムに取り込むことだった。しかし新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が世界的に拡大し、企業は自社の顧客についてもっと深く理解する必要が生じている。そこでマイクロソフトは米国時間10月1日、このプラットフォームの機能を強化した。

マイクロソフトのビジネスアプリケーショングループ担当プレジデントであるJames Phillips(ジェームズ・フィリップス)氏は、このプラットフォームは顧客をもっと深いレベルまで理解することを目指しているという。同氏はTechCrunchに対し「顧客を深く理解すれば、顧客のライフサイクル全体に対してエンゲージすることができます」と述べた。

これには顧客に合わせたキャンペーン、顧客が希望する方法での連絡、顧客のニーズを満たしたり支援したりする新しい製品やサービスの提案など、さまざまな活動が関連するだろうと同氏は語った。

さらに同氏は、新型コロナウイルスによって企業の優先順位が変わり、ビジネスの方法や顧客との関わり方を調整せざるを得なくなったと付け加えた。「すべてがデジタルになり、顧客を深く理解しエンゲージメントの効果を高めるニーズはパンデミックによってまさに高まっています」と同氏は言う。

マイクロソフトは、顧客を理解するために顧客データプラットフォーム(CDP)製品に追加する新しいコンポーネントをいくつか発表した。まず「Engagement Insights」というコンポーネントがあり、これはその名が示す通り、CDPにプッシュされたデータを活用して企業と顧客との関わりを向上させ、有意義なやり取りができるようにするものだ。このコンポーネントのプレビュー版が米国時間10月1日に公開された。

「Engagement Insightsはウェブやモバイル、接続されているプロダクトのデータを直接Customer Insightsに流し込むことで、顧客に対する理解を継続的に深めてより良いサービスを提供するものです」とフィリップス氏は言う。

次に、データとAIを活用し、顧客についてわかっていることをもとにマーケッターがこれまで以上に高度な予測ができるようにするコンポーネントがある。これはAzure Synapse Analyticsを活用しており、カスタマーチャーンの予測、製品の提案の自動化、顧客の生涯価値の推計といった要素に役立つAIのテンプレートがあらかじめ用意されている。

さらにマイクロソフトはデータの保護に役立つデータガバナンスプロダクトも提供し、Microsoft Customer Voiceと統合する。Microsoft Customer Voiceは同社の調査ツールで、企業はデータではわからないことがあるときに顧客に質問をしてデータの隙間を埋めることができる。

こうした機能はすべて企業のアジャイル性を高めるものであり、世界の変化、特に2020年の劇的な変化の中にあって、企業がこうした変化に素早く対応し、顧客の求めるものが変わってもそれに応えて業績を上げるのに役立つとフィリップス氏は言う。

このようなプロダクトを提供するのはマイクロソフトだけではなく、AdobeやSalesforce、SAPなどマーケティングツールを販売している大企業はどこも同様の理由で同様のプロダクトを提供している。

カテゴリー:ネットサービス
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(翻訳:Kaori Koyama)