トランプ氏がナイジェリア政府のTwitter禁止を称賛、「他国も追随すべき」

米国時間6月8日、Donald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領は声明を発表し、ナイジェリア政府がる同国におけるTwitter(ツイッター)の事業を禁止する決定を支持した。

「自国大統領の利用を禁止したTwitterを禁止したナイジェリア国を祝福します」とトランプ氏が声明で述べた。

前大統領は他の国々に対しても、ナイジェリアにならってTwitterとFacebookを禁止するよう推奨した。

「もっと多くの『国』が、自由で開かれた言論を許さないTwitterとFacebook(フェイスブック)を禁止すべきです。あらゆる声を届けるべきなのです。一方でライバルたちは挙ってこの機会を捉えようとするでしょう。自分自身が悪だったら、果たして善悪を支配できるでしょうか?おそらく私が大統領だったときにそうすべきだったのでしょう。しかしZuckerberg(ザッカーバーグ)は何度も電話をしたりホワイトハウスにディナーにやってきては、どれだけ私が偉大だったかを話していたのです。2024年?」とトランプ氏は話した。

トランプ氏の称賛発言はナイジェリア政府が先週金曜日にTwitterを無期限中止した数日後に起きた。同国政府はTwitterがMuhammadu Buhari(ムハンマド・ブハリ)ナイジェリア大統領のツイートを、同社の虐待行為ポリシーに違反したこと、および国民から複数の削除要求があったことを理由に削除した。彼のツイートは、国の南東地区の分離独立論者を罰すると脅していた。

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ナイジェリア大統領は後に広報官を通じて、Twitter全面禁止は誤情報とフェイクニュースの拡散を防ぐための一時的措置だったと語ったが、新たな命令はそれと相容れない。政府は現地時間6月7日、放送メディアに対し、Twitterアカウントを削除し、Twitterをニュースソースとして使うのを止めるよう命令し、言論の自由を抑圧し、検閲を強制する政府の策略を確実にした。

「上記の命令に従い、放送局は自社のTwitterアカウントを削除し、Twitterをニュースの情報源とすること、および番組宣伝、特に視聴者参加のために使用することを中止するよう勧告する」と声明に書かれている。

トランプ氏はその一方で、1つならず2つの禁止措置を受ける側になっている。2021年1月初め同氏は、米国議会議事堂襲撃を扇動したことでTwitterを永久追放された。Twitterは「さらなる暴力誘因のリスク」への懸念を表明した。

その後トランプ氏はFacebookからも無期限追放された。6月4日、ソーシャルメディアの巨人は、トランプ氏の停止措置を2年以内(計算は1月から)に再検討する決定を下したことを発表した。

「当該期間終了後、当社は公共の安全のリスクが消滅したかどうかを専門家に評価してもらいます。私たちは外部要因、たとえば暴力事象、平和的集会の制限、その他の市民の不安を表す指標を評価します。その結果公共の安全への深刻なリスクが未だに存在すると判断した場合には、制限を一定期間延長し、リスクが消滅するまで再評価を続けます」とFacebookのGlobal Affiars and Communications担当副社長のNick Clegg(ニック・クレッグ)氏が語った。

最終的に停止が解除されたときには、将来トランプ氏がさらに違反を重ねた際に発動されるであろう強硬な制裁措置が施行され、同氏のページとアカウントの永久削除される可能性もある。

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ツイッターがインド政府の要求を受け政府に批判的な4アカウントをブロック

Twitter(ツイッター)は現地時間6月7日、インド政府からの新たな法的要求に応じて同国で4つのアカウントをブロックしたことを明らかにした。

Twitterはハーバード大学のプロジェクトであるLumen Databaseで、週末に政府からあった法的要求を満たすために、ヒッポホップアーティストのL-Fresh the LionやシンガーソングライターのJazzy B(ジャジー・B)など4つのアカウントに対しブロックする措置を取ったと述べた。対象となったアカウントにはインド国内で規制がかかるが、インド国外ではアクセス可能だ(透明性に関する取り組みの一環として、TwitterやGoogleなどの企業は政府や他の組織から受けた要請や命令をLumen Databaseで公開している)。

TechCrunchの分析では、インド政府が2021年初めに国内でブロックするよう命じた他のいくつかのアカウントと同様、今回の4つのアカウントはインド政府の農業改革に抗議し、インド首相Narendra Modi(ナレンドラ・モディ)氏の7年にわたる統治を批判するツイートを投稿したアカウントもあった。

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Twitterの広報担当は、有効な法的要求を受けると、同社の規則とその国の法律の両方に照らし合わせてレビューするとTechCrunchに述べた。

「コンテンツがTwitterの規則に反した場合、そのコンテンツは削除されます。特定の法域で違法だと認められ、ただTwitterの規則には反していないという場合、インドでのみアクセスできなくなるようにします。すべてのケースにおいて当社はアカウント所有者に直接連絡を取り、当社がアカウントに関する法的命令を受け取ったことを対象者は認識しています」と広報担当は付け加えた。

事前に報道されていなかった今回の新しい法的要求は、Twitterがインド政府の新しいIT規則を遵守しようと取り組んでいる中でのものだ。FacebookやGoogleなどいくつかの同業他社はすでに遵守している

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6月5日にインドの電子情報技術省はTwitterに2021年2月に発表された新規則を遵守するよう「最終通告」を出した。新規則では大手ソーシャルメディア企業にコンプライアンスや判断基準、苦情処理を担当する代表者を任命してその連絡先を政府と共有することを求めている。

Twitterとインド政府の間ではこのところ緊張が高まっていた。5月、デリの警察はインドの政治家のツイートを誤解を与えるものと分類した件について調べることを「正式に通知する」ためにTwitterのオフィスを訪れた。Twitterは従業員への影響を懸念を指摘してこの動きを脅迫の形態と呼び、市民の言論の自由を尊重するよう政府に求めた。

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5月下旬にTwitterはインド政府に対し、新規則の遵守期限を最低3カ月延ばすよう要求した。

Jack Dorsey( ジャック・ドーシー)氏が率いるTwitterは2021年、ユーザー数では同社にとって最大のマーケットであるインドでいくつかの厳しい問題に直面した。2021年初めにインド政府の命令に簡潔に従った後、同社はインド政府の政策やモディ氏に批判的なツイートを投稿したアカウントを復活させたとして怒りを買った。

そしてインド政府とTwitterは4月、インド政府がTwitterとFacebookに政府の新型コロナウイルスパンデミック対応に批判的な投稿を取り締まるよう命令した際に再び対立した。

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

フェイスブックの広告データ利用について英国と欧州の規制当局が競争規則違反の疑いで調査開始

Facebook(フェイスブック)は、欧州で新たに2つの独占禁止法違反の調査を受けている。

英国の競争・市場庁(CMA)と欧州委員会は現地時間6月4日、ソーシャルメディアの巨人であるFacebookの事業に対する正式な調査開始を発表した。そのタイミングはおそらく協調して合わせたものと思われる。

英国と欧州の競争規制当局は、Facebookが広告顧客やSSO(シングルサインオン)ツールのユーザーから得たデータをどのように利用しているかを精査し、特にこのデータを、クラシファイド広告などの市場で、競合他社に対して不公正な手段として利用していないかどうかを調査する。

英国が欧州連合から離脱したことで、英国の競争監視当局は、EUが実施している反トラスト調査と類似または重複する可能性のある調査を、より自由に行うことができるようになった。

Facebookに対する2つの調査は、表面的には類似しているように見える。どちらも広告データをどのように利用しているかに大きく焦点を当てているからだ(とはいえ、調査の結果は異なるかもしれない)。

Facebookが恐れるのは、英国とEUの規制当局が、共同で調査を行ったり、調査結果を相互参照する機会を得て(いうまでもなく、英国とEUの機関間では多少の調査競争が行われる)、両者から規制措置が取られた結果、より高い次元の監視が同社のビジネスに適用されるようになることだ。

CMAは、Facebookがオンライン・クラシファイド広告やオンライン・デートのサービスを提供する上で、特定のデータの収集・使用を通じて競合他社よりも不当に有利な立場にないかということを調査しているという。

つまり、これらの同種のサービスを提供する競合他社に対し、Facebookが不当な優位性を得ているのではないかと懸念していると、英国の規制当局は述べている。

Facebookはもちろん、オンラインクラシファイド広告とオンラインデートの分野で、それぞれFacebook Marketplace(フェイスブック・マーケットプレイス)とFacebook Dating(フェイスブック・デーティング)というサービスを展開して収益を上げている。

CMAのCEOを務めるAndrea Coscelli(アンドレア・コシェリ)氏は、今回の措置に関する声明の中で次のように述べている。「私たちは、Facebookのデータ利用を徹底的に調査し、同社のビジネスのやり方がオンライン・デートやクラシファイド広告の分野で不当な優位性を築いていないかを見極めるつもりです。そのような優位性は、新規事業や小規模事業を含む競合企業の成功を阻むものであり、顧客の選択肢を狭める可能性があります」。

欧州委員会の調査も同様に、Facebookが事業を展開している市場で、広告主から収集した広告データを利用して広告主と競合し、EUの競争規則に違反していないかということに焦点を当てている。

ただし、調査の対象となる市場で特に懸念される例として、欧州委員会はクラシファイド広告のみを挙げている。

EUの調査にはもう1つの要素がある。それは、Facebookが同社のオンライン・クラシファイド広告サービスをソーシャルネットワークに結びつけることが、EUの競争規則に違反していないかを調べることだ。

これとは別の(国による)動きとして、ドイツの競争当局は2020年末、FacebookがOculus(オキュラス)とFacebookアカウントの使用を結びつけていることについて、同様の調査を開始した。このようにFacebookは、米国で2020年12月に提起された大規模な独占禁止法違反の訴訟に加え、欧州でも複数の独占禁止法違反の調査を受けており、各地で苦しい立場に置かれている。

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欧州委員会は「Facebookとも直接競合する企業が、Facebookでサービスを宣伝する際に、商業的に価値のあるデータを同社に提供する場合があります。Facebookはデータを提供した企業と競合するために、そのデータを利用している可能性があります」と、プレスリリースで指摘した。

「これは特に、オンラインクラシファイド広告プロバイダーに当てはまります。多くの欧州の消費者が商品を売買するプラットフォームであるオンラインクラシファイド広告プロバイダーは、Facebookのソーシャルネットワーク上で自社のサービスを宣伝していますが、同時にこれらの業者は、Facebook独自のオンラインクラシファイド広告サービスである『Facebook Marketplace』と競合しています」。

欧州委員会は、すでに実施した予備調査で、Facebookがオンラインクラシファイド広告サービスの市場を歪めている懸念が生じていると付け加えた。委員会は今後、このソーシャルメディアの巨人がEUの競争規則に違反しているかどうかを完全に判断するため、より踏み込んだ調査を行うことになる。

欧州委員会の競争政策で責任者を務めるEVPのMargrethe Vestager(マルグレーテ・ベステアー)氏は、声明の中で次のように述べている。「Facebookは、毎月30億人近くの人々に利用されており、700万社近くの企業がFacebookに広告を出しています。Facebookは、そのソーシャルネットワークのユーザーや閲覧者の活動に関する膨大なデータを収集することができ、それによって特定の顧客グループをターゲットにすることが可能です。私たちは、特に人々が毎日商品を売買し、Facebookがデータを収集している企業とも競合しているオンライン・クラシファイド広告の分野で、このデータがFacebookに不当な競争上の優位性を与えているかどうかを詳細に調査していきます。現代のデジタル経済において、データを使用して競争を歪めることは、許されるべきではありません」。

今回の欧州の独占禁止法に関する調査についてコメントを求められたFacebookは、次のような声明を発表した。

当社は、Facebookを利用する人々の進化する需要に応えるために、常により良いサービスを開発しています。MarketplaceとDatingは、人々により多くの選択肢を提供し、どちらも多くの大手既存企業が存在する競争の激しい環境で運営されています。我々は調査に全面的に協力し、この調査が無意味であることを証明していきます。

これまで(特に) Google(グーグル)やAmazon(アマゾン)のような他の巨大テック企業に対して複数の調査と取締りを行ってきた欧州委員会の競争当局にとって、Facebookはちょっとした盲点だった。

しかし、ベステアー氏のFacebookに対する看過は、これで正式に終了した(Facebook Marketplaceに対するEUの非公式調査は、2019年3月から続いていた)。

一方、英国のCMAは、アドテック複占の翼を切り落とすという計画に基づき、FacebookやGoogleなどの巨大テック企業に真っ向から狙いを定めた、より広範な競争促進規制の改革に取り組んでいる。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

米App Storeトップに華々しく登場、作られた完璧さが並ぶアンチInstagramを謳う新SNS「Poparazzi」

Instagram(インスタグラム)の写真タグ付け機能だけで1つのアプリにしたら、バイラルセンセーションを巻き起こした「Poparazzi(ポパラッチ)」が生まれ、今やApp Storeのナンバー1アプリにまで上り詰めた。この新しいソーシャルネットワークアプリはTTYL(ティーティーワイエル)に開発されたもので、友達だけが写真を投稿できるソーシャルプロフィールを作成することができる。つまり友達を自分の「パパラッチ」にすることができるのだ。この新しいアプリは、公開前のTikTok(ティックトック)での宣伝活動によるApp Storeでの予約の促進から、公開後の支持者による好意的なツイートをはじめとするソーシャルバズの活用まで、公開初日からの猛ダッシュを実現するために計画された一連のミッションを完璧に遂行した。しかし、ユーザーのプライバシーと引き換えにネットワーク効果を高め、トップチャートを狙う向きもあり、長く力を維持できるかという点ではリスクの高い手法ともいえる。

TTYLは、編集された写真、過剰な自撮り、そして「安直なうわべだけの完璧さ」に満ちた今日のソーシャルフィードに反発しており、Poparazziをある種のアンチInstagramと位置づけている。人々の現実の生活は、多くの完璧ではない瞬間で成り立っており、そういったものが撮影され共有される価値を持つ、と同社はブログ記事で説明している。

このマニフェストは、タイムリーにユーザーに受け入れられた。ユーザー、特に若いZ世代が、大手テクノロジー企業に踊らされていることに気づくにつれ、見世物要素の低いソーシャルメディアに対するユーザーの需要は、何年も前から着実に高まっている。多くのスタートアップが同じようなスローガンを掲げてInstagramからユーザーを引き抜こうとしている。例えば、Minutiae(マイニューシー)Vero(ベロー)Dayflash(デイフラッシュ)Oggl(オグル)、そして最近では、一時バズったこともあるDispo(ディスポ)や、あまり目立っていないHerd(ハード)などが挙げられる。

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Facebookでさえも、こういった消費者の要望に気づき、FacebookやInstagramのユーザーが自分の投稿やフィードから「いいね!」の数を削除できる新機能を展開する予定だ。

Poparazziの中核となるアイデアは、必ずしも革新的なものではない。写真にユーザーをタグ付けする機能は、何年も前からあったからだ。実際、Facebookの初期に導入された最初のバイラル効果の1つだった。

Poparazziは、確実なロケットスタートをともなう成長戦略を慎重に遂行することで、チャートのトップに立った。

@poparazziapp

comment it! #greenscreen #poparazziapp #positivity #foryoupage

♬ Milkshake – BBY Kodie

同社は、公開前からTikTokを使って需要を喚起し、話題を集めた。TikTokは、モバイルゲーム「High Heels(ハイヒールズ)」などのApp Storeでのヒット作の創出にもひと役買っている。TikTokは、その姉妹アプリである「CapCut(キャップカット)」eコマースアプリの「Shein(シェイン)」など、いくつかのモバイルビジネスでダウンロード数の引き上げに貢献しているが、TikTokがアプリをトップチャートに送り込む潜在能力はまだ過小評価されがちだ。

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Poparazziは、TikTokで需要を喚起するだけではなく、略歴のページにリンクを置き、ユーザーをApp Storeの予約ページに誘導することで、実際に需要を獲得した。公開日を迎える頃には、Poparazziを試してみたいというZ世代の一団が形成されていた。

アプリを起動すると、イントロビデオの再生中に携帯電話を振動させて触覚に訴える巧妙なオンボーディング画面が表示される。これは、ユーザーがPoparazziの「かっこよさ」を話したり、投稿したりするのに十分な目新しさがあり、口コミによる有機的成長を生み出す可能性があるもう1つの仕組みだ。

Poparazziは、ユーザーをワクワクさせた後、本格的にデータ収集へと進む。

まず、電話番号を使ってサインアップし、ユーザーを認証する。Apple(アップル)がApp Storeのポリシーとして、ユーザーが自分の身元を保護するために「Sign In with Apple(Appleでサインイン)」できることを必要としているにもかかわらず、Poparazziには、このプライバシーを守るためのオプションはない。「Appleでサインイン」では、電話番号やアドレス帳によるアクセス方法に比べて、Poparazziの成長の可能性が制限されてしまうからだろう。

続いて、カメラへのアクセス許可(当然必要だ)、連絡先へのアクセス許可(なぜ全部必要なのだろうか)、通知の表示の許可を求める画面が表示される。しかし、ここからが問題だ。このアプリは、かつてのClubhouse(クラブハウス)がそうだったように、アドレス帳の完全なアップロードを要求する。ソーシャルメディアで友達を追加するには、お互いのQRコードのスキャン、ユーザー名の直接入力、検索など、他にも多くの方法があるため、アプリの使い方を考えると、これは不要だ。

しかし、Poparazziにとっては、ユーザーの連絡先データベース全体にアクセスできることで、プライバシーを気にする人のための機能を組み入れる必要がなくなる。さらに、ユーザーが登録した電話番号と、Poparazziが保存している電話番号を照合するだけで、すぐにフレンドグラフを作成することができる。

個々の許可を完了すると、Poparazziは緑色のチェックマークをつけてくれる。実際には、求められた許可を拒否しても、緑色のチェックは表示される。これではユーザーは、誤ってアプリにアクセス許可を与えてしまったのではないかと混乱するかもしれない。

アドレス帳のアップロードは「拒否」でき、ポップアップメッセージの「チェッ」という音とともに、Poparazziはまるで友達に舌打ちしているかのように警告してくるが、自分の電話番号を携帯電話に保存している他のPoparazziユーザーに見つけられることは避けられない。

ユーザー登録が終わると、アプリはユーザーのアドレス帳とPoparazziに登録されている電話番号を照合し、あっという間にそのユーザーは、既存のユーザーをフォローすることになる。逆に、すでに登録している友人がいれば、最初にログインした時点ですぐにフォローされる。

言い換えれば、Poparazziでは「フレンドグラフ」を手動でキュレーションすることはない。つまり、ユーザーのアドレス帳がフレンドグラフであり、Poparazziはそれを複製しているに過ぎないということだ。

もちろん、これが実生活での関係を的確に表しているとは限らない。

多くの若者、特に女性は、携帯電話の「連絡先」に迷惑電話の加害者やストーカー、以前の恋人やパートナーの電話番号を保存している場合がある。そうすることで、携帯電話に組み込まれている機能により、迷惑な電話やメールをブロックすることができるからだ。しかし、Poparazziでは電話番号で自動的に照合されるため、悪用しようと思えば、嫌がらせなどで狙われる人のユーザープロファイルにすぐにアクセスできてしまう。

もちろん、これは極端な例だ。しかし、見過ごせることではない。

こういった問題はよく知られており、初期の成長段階にあったClubhouseが、アドレス帳すべてのアップロードを要求していたことでも物議を醸していた。これは、標準とするにはひどい戦略であり、Clubhouseが短期的にも持続する囲い込みに成功したようには見えない。また、これは新しい戦術でもない。10年近く前、モバイルSNSのPath(パス)がユーザーにアドレス帳のアップロードをさせようとしたが、当時、ほとんどの人がこのアイデアを批判していた

Poparazziのデザインは非常に丁寧であり、アイコンには信頼性を象徴する青色を使っている。しかし、同社は意図的に穴埋めを狙ったのかもしれない。Poparazziは、ユーザーのプライバシーや安全性の一部と引き換えに、即席のフレンドグラフから得られるネットワーク効果を優先しているのだ。

このアプリの残りの機能は、ユーザーがそのフレンドグラフをさらに拡大し、他のユーザーを巻き込むように働きかけることだ。ユーザー自身のプロフィールは、他の誰かに写真をアップロードしてもらわない限り、空っぽのままだ。SnapKit(スナップキット)との連携により、Snapchat(スナップチャット)でフォトタグをおねだりできる。また、写真にタグ付けしてくれる友人が少ないと思えば「承認した人」だけでなく「すべての人からのポップを許可する」という設定に惹かれるかもしれない。

ソーシャルメディアのプロフィールへの写真のアップロードを「すべての人」に許すことが、悪用につながらないほど甘い世界ではないが、Poparazziは明らかにここで賭けをしている。こういった手段がもたらす影響に対処するのは、もっと先のことになると考えているのだろう。つまり、Instagramに不満を持った何百万人ものユーザーで、Poparazziのネットワークが満たされた後の話だ。

他にも、友人を招待したくなるいくつもの機能から、親友がどんどん投稿を続けるためのインセンティブとなるスナップチャット的な「Top Poparazzi」セクションまで、何十ものグロースハックがアプリ内に散りばめられている。

巧妙なからくりだ。このアプリは、コメントやフォロワーの数を表示しないが、強い影響力を追い求めるところを見れば「アンチInstagram」というほどのものではない。連写モードで撮影した写真はループGIFとして投稿することもでき、Instagramの写真ほど加工されておらず、より「本物」になるかもしれない。しかし、Poparazziのユーザーは、さまざまな絵文字を使って投稿にリアクションすることができ、その数は公開される。

探索ページで紹介されているベータテスターの投稿についていえば、リアクションは数百から数千にもなり、ポップの影響力の基準は効果的に確立されている。

最後に、自分がフォローしているユーザーは、写真の投稿を許可されているが、そのユーザーを自分のPoparazzi隊から除隊させても、つまりフォローを解除しても、そのユーザーが、自分のプロフィールに投稿することは止められない。結局のところ、自分のPoparazzi隊は「ポップを許可するアカウント」という別の設定で管理する。これはトラブルにつながるかもしれない。せめて、フォローを解除する時に、解除するアカウントからのプロフィールへの投稿許可も解除するかどうか、アプリがユーザーに確認してくれるといいのだが。

全体として、楽しいアプリだ。特に、このアプリがターゲットとする若い気楽な世代であればなおさらだ。友達を中心とした、皮肉めいた反インスタ映え的なスタンスも期待できる。しかし、プライバシーコントロールの強化や、乱用防止を目的とした、より詳細なフレンドグラフのコントロールの元で参加できるようになれば、それは歓迎すべき追加機能となるだろう。

TechCrunchは、Poparazziチームに連絡を取り、アプリのデザインと成長戦略についての展望を問い合わせたが、回答は得られていない(当面は鳴りを潜めるつもりだろう)。SignalFire(シグナルファイア)のJosh Constine(ジョシュ・コンスチン)氏とTechCrunchの確認により、元TechCrunchの共同編集者Alexia Bonatsos(アレクシア・ボナトソス)氏のDream Machine(ドリームマシン)Weekend Fund(ウィークエンドファンド)とともに、Floodgate(フラッドゲート)がこのスタートアップに投資していると承知している。

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タグ:PoparazziSNSApp Store

画像クレジット:Poparazzi

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

ナイジェリアが大統領の投稿削除を受けツイッターを無期限停止に

ナイジェリア政府は現地時間6月4日、情報文化省を通じて、ソーシャルメディアプラットフォームTwitter(ツイッター)の国内での活動を無期限に停止すると発表した。

Lai Mohammed(ライ・モハメド)情報文化相が発表し、同省のメディア補佐官Segun Adeyemi(セグン・アデヤミ)氏によって承認されたこの声明により、国内の通信キャリアがナイジェリアの人々のTwitter利用を妨げる可能性がある。

同省が発表した声明は以下の通り。

連邦政府は、マイクロブログおよびソーシャルネットワーキングサービスであるTwitterのナイジェリアにおける運営を無期限に停止しました。ライ・モハメド情報文化相は、金曜日にアブジャで発表した声明の中で、ナイジェリアにおける企業の存続を脅かすような活動にこのプラットフォームが継続的に利用されていることを理由に、この停止を発表しました。

同大臣によると、連邦政府は国家放送委員会(NBC、National Broadcasting Commission)に対し、ナイジェリアにおけるすべてのOTTおよびソーシャルメディア事業のライセンス取得プロセスを直ちに開始するよう指示しました。

4日の発表は、この1週間に起こった出来事が積み重なった結果だ。Twitterは6月3日、Muhammadu Buhari(ムハマドゥ・ブハリ)大統領が、同国南東部のIPOB(Indigenous People of Biafra、ビアフラ先住民族)と呼ばれる分離独立派集団を政府施設への攻撃の原因とした後、報復を示唆したツイートと動画を削除した。その後、同氏は1960年代のナイジェリア内戦の出来事に言及し、多くのナイジェリア人の怒りを買ったようだ。

1980年代に同国の国家元首を務め、軍で分離独立派と戦った経験を持つブハリ氏は、同国南東部の若いナイジェリア人たちは若すぎて、戦争中に起きた恐ろしい出来事を覚えていないと述べた。同氏によると、現在の分離独立派の活動は戦争に向かっている可能性が高いため、事前に武力で阻止することが先を見越した良策だという。

「30カ月間現場で戦争を経験した我々(のような古参者)は、彼らが理解できる言葉で接します」と同氏は述べていた。

Twitterは、同氏のツイートが不適切な行為に関するポリシーに違反しており、ナイジェリアのユーザーから何度も削除を求められたため、ツイートを削除することを選択した。また、Twitterは同大統領のアカウントを停止し、12時間の間「読み取り専用モード」にした。

Twitterの決定を受けてモハメド情報相は、この決定は偏っているとソーシャルメディアの巨人を非難し、大統領には国に影響を与える出来事について自分の考えを述べる権利があると述べた。彼はまた、同国におけるTwitterの意図にも疑念を呈した。「Twitterには独自のルールがあるかもしれませんが、それは世界共通のルールではありません。世界のどこかで大統領がある状況について非常に悪いと感じ、懸念しているのであれば、そのような意見を表明する自由があります。ナイジェリアにおけるTwitterの使命は、非常に疑わしいものです」。

報復行為としてナイジェリア政府は、同国におけるTwitterの運営停止措置を進めた。Twitterは同国にオフィスを持っていないが、この発表はまださらに進展する可能性がある。ナイジェリアの現政権は、インターネットや特定ウェブサイト、ソーシャルメディアへのアクセスを制限するための策略を講じることで知られている。2020年10月にナイジェリアで起きた「EndSARS(SARSを終わらせろ)」抗議活動の際も、そのような手段がとられた。アフリカの他の国々でも何らかの形でインターネットが制限されたり禁止された過去の出来事を考えると、これはナイジェリア政府がこうした戦術をさらに強化し、通信事業者を使って言論の自由を抑圧しようとする明らかな策略だ。

アフリカ初のオフィスをガーナに開設したばかりのTwitterは、TechCrunchへのメールで、「ナイジェリア政府が発表した、ナイジェリアでのTwitterの業務を停止するという発表は、非常に憂慮すべき事態です。現在調査を行っており、情報が入れば追加で提供します」と述べた。

その後、同マイクロブログプラットフォームは公共政策アカウントを通じて、次のようにツイートした。

ナイジェリアでTwitterがブロックされていることに深い懸念を抱いています。自由な#OpenInternetへのアクセスは、現代社会において不可欠な人権です。

ナイジェリアでTwitterを利用して世界とつながりコミュニケーションをとっているすべての人々のために、アクセスの回復に努めます。#KeepitOn

2021年4月にTwitterは、アフリカでの本拠地をナイジェリアにすると思われていたところ、ガーナを選んだ。その理由として、ガーナが言論の自由、オンラインの自由、オープンインターネットを支持していることを挙げていたが、今回の出来事を見る限り、これは賢明な判断だったといえるだろう。

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画像クレジット:Omar Marques/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Aya Nakazato)

フェイスブックとInstagramで「いいね!」の数を非表示可能に、徐々に展開中

Facebook(フェイスブック)は5月下旬に、2019年に開始した先行テストに続き、FacebookとInstagram(インスタグラム)の両方における投稿の「いいね!」を非表示にするオプションを公に展開する。「いいね!」の表示に関する決定を世界中のユーザーの手に委ねるというこのプロジェクトは何年も前から開発が進められていたものの、新型コロナウイルスのパンデミックと同社側の対応作業のために優先順位が下がっていたと同社は伝えている。

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当初、Facebookのソーシャルネットワークで「いいね!」の数を非表示にするというアイデアは、ユーザーが感じているプレッシャーを緩和させるという点に焦点を当てたものだった。自分の投稿に対する「いいね!」の数が少ないと人気がないと見なされ、ユーザーは度々不安になったり恥ずかしさを感じたりするという事実がある。この問題は特に友達からどう思われているかを重視する若年層のユーザーに顕著で、中には「いいね!」の数が少ない場合投稿を削除してしまうというケースもある。

特にInstagramでは「いいね!」の数を求めるという風習により、知名度や影響力を得るために投稿をするという環境ができ上がってしまい、その結果あらゆる投稿が信憑性に欠けたものになるという状況になっている。Facebookでは「いいね!」などのエンゲージメントを獲得することが、何らかのリアクションを必要とする偏向的なコンテンツの投稿につながることもある。

こういったプレッシャーが渦巻く中、人気度を気にすることなく友人やその他の人々との関わり合いを楽しめる「いいね!」の数から解放された安全な空間を求めるユーザーが増えてきたのである。その結果としてMinutiaeVeroDayflashOgglの他、 Dispoといったニューカマーや大人気のPoparazziなどのソーシャルネットワークや写真共有アプリが誕生した。

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FacebookとInstagramは「いいね!」の機能を完全に削除し、ソーシャルネットワークを新しい方向へと導くこともできたはずなのだが「いいね!」のメトリクスとプロダクトエクスペリエンスがあまりにも深く関わり合っているため、完全に削除できないことが分かったのだ。問題の1つに、インフルエンサーコミュニティが「いいね!」をある種の通貨として利用し、オンラインでの人気をブランドとの契約や仕事のチャンスとして取引しているということが挙げられる。こういったユーザーにとっては「いいね!」の削除など選択肢にないのである。

どの決定を下したとしても、どちらかのユーザーを怒らせることになるとInstagramは気がついた(どちらにせよアプリの使用率など他の中核的なメトリクスにはあまり影響がないのだが)。

画像クレジット:Instagram

「Instagramでの体験をユーザーがどのように感じ、どれだけ使うかという視点から見ると、自分や他人の『いいね!』の数は私たちが考えていたほど影響がないことが判明しました。ただし結果的にはかなり偏った意見となっています。とても良いと感じるユーザーと、まったく良くないと感じるユーザーのどちらかです」とInstagramの責任者であるAdam Mosseri(アダム・モゼリ)氏は話している。

「良いと感じたユーザーは我々が期待していた通りの意見で、これによってInstagramでのプレッシャーが緩和されると感じています。まったく良くないと感じるユーザーは『いいね!』を使ってInstagramやFacebookで何がトレンドになっているのか、何が人気なのかを把握しているため、それがなくなってしまい腹を立てていたのです」と同氏。後者のタイプには、ソーシャルメディアでの存在感を確立しようと努力している小規模なクリエイターなどが多いが、大物のインフルエンサーの中には『いいね!』の削除に対して好意的な人も少なくないという(モゼリ氏によるとケイティ・ペリーは『いいね!』削除の賛成者だという)。

最終的に同社はこの決定を分割することにした。オンラインコミュニティの将来に関する難しい選択を行う代わりに「いいね!」の非表示という選択肢を両プラットフォームでユーザーが自由に設定できるようにしたのである。

Instagramではコンテンツ消費者とコンテンツ制作者の両方の投稿に対する「いいね!」や「閲覧数」のカウントを非表示にすることができる。つまり、フィードをスクロールしているときに見えるこれらの数を表示しないようにすることも、自分が何かを投稿した際に他人が「いいね!」の数を閲覧できるかどうかを選択したりすることもできるのだ。これらは異なる2つの設定として分けられており、より柔軟にコントロールできるようになっている。

画像クレジット:Instagram

一方、Facebookでは「設定とプライバシー」から「ニュースフィードの設定」(デスクトップ版では「ニュースフィードの環境設定」)の新しい設定にアクセスすると、ここに「リアクション数を隠す」というオプションがあり、自分の投稿だけでなくニュースフィード、グループ、ページ内の他の人の投稿についてもこの設定をオフにすることができる。

この機能は公開プロフィールと非公開プロフィールの両方で利用可能で、以前に公開した投稿もこれに含まれるとFacebookは伝えている。

画像クレジット:Facebook

Instagramは2021年4月、グローバルユーザー向けにこの新設定を公開する前に、最終的なバグを解消するためこの機能のテストを再開し、またFacebookでのテストも間もなく開始すると発表している。それなのに現在すでにこの機能の公開を進めている。なぜこのような短期間のテストを行ったのかというTechCrunchの質問に対してInstagramは、2019年からこの件に関するさまざまなテストを繰り返し行ってきたため、世界規模での公開を進めるのに十分なデータを得ることができたと答えている。

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またモゼリ氏は「いいね!」に関する決定がネットワークに大きな影響を与えるという考えを否定している。「いいね!」数の削除はユーザーの行動に多少の影響を与えたものの、問題になるほどではなかったという。あるグループではむしろ投稿数が増えており、これは同アプリ使用にまつわるプレッシャーが減ったことを示しているのかもしれない。ただし、使用が減ったグループが存在することも確かだと同氏は話している。

画像クレジット:Facebook

 

「『いいね!』の数の多さを見てその投稿に興味を持ち、その投稿へのコメントを読んだりさらにスワイプしたりして深く見入っていく場合もあります。少なからず影響はあり、プラスの効果もあればマイナスの効果もありますが、いずれも小さなものです」と同氏。またユーザーは自分の気分次第であらゆるタイミングでこの機能のオンとオフを切り替えるだろうとInstagramは考えている。

さらにモゼリ氏はゲーム化されたソーシャルメディア空間がユーザーの精神衛生に悪影響を与えるという世間の懸念に反対し「『いいね!』が人々の健康に悪影響を与えるという厳密な研究結果はない」と主張。むしろ人々の1日の中でInstagramはまだ小さな存在であり「いいね!」がどう機能するかは人々の全体的な精神衛生には影響しないと主張している。

「Instagramの規模は大きいですが、その影響力を過大評価しないように注意しなければなりません」と同氏はいう。

同氏はまた、利用状況を直接測定するのではなく、ユーザーが自己管理するという方法に過度に依存しているというソーシャルメディアの使用の悪影響をうたう最近の研究に対して否定的である。

つまり、同社は人気度に起因する精神的な悪影響を考慮して「いいね!」数を削除しようとしているわけだけではないということだ。

競合であるTikTok(ティックトック)がFTC(連邦取引委員会)との和解後に行ったのと同様に、13歳未満の子どもにもInstagramアプリを利用できるようにするという計画もこれに関わっている可能性があると言えるだろう。この場合「いいね!」をデフォルトで非表示にするか、あるいはペアレンタルコントロールのオプションを追加する必要があるからだ。InstagramはTechCrunchに対し、子ども向けアプリで何をするかを決めるにはまだ機が熟していないが「いいね!」をデフォルトで非表示にするオプションについては「必ず検討していく」と話している。

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FacebookとInstagramの両社はTechCrunchに対し、この機能は米国時間5月26日から展開し、その後世界中のユーザーに向けて徐々に展開していく予定だと話している。Instagramに関しては数日で完了するかもしれない。

しかしFacebookに関しては、5月26日にこの機能が導入されるのはごく一部のユーザーのみだという。ニュースフィード上のアラートで通知されるこの機能は「今後数週間のうちに 」Facebookの世界中のユーザーに行き渡るとのことだ。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

フェイスブックがトランプ前大統領の利用を2年間禁止に、有名人の利用禁止措置ルールも変更

Donald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領に対するFacebook(フェイスブック)の利用禁止措置に関し、時間は刻々と過ぎている。以前は無期限禁止の措置だったが、現在2年となり、これは新たに発表された有名人の利用禁止に関するルールで最長の罰則期間だ。しかし時間がくれば、同社は禁止措置を再評価して、措置を終了するのか、延長するのか、あるいは無期限に一定期間の措置にするのかを決める。

2021年1月のトランプ氏に対する利用禁止措置はさまざまなグループで物議を醸したが、Facebookの監督委員会が結論を検討した際に直面した問題は、無期限禁止をサポートする基準がFacebookの規則になかったことだった。トランプ氏を永久追放するか、利用禁止に期間を設けるかだ、と同委員会は述べた

関連記事:【コラム】事前予想と異なるフェイスブック監督委員会によるトランプ氏への決定を掘り下げる

実際にはFacebookはどちらも選択しなかった。渉外担当副社長のNick Clegg(ニック・クレッグ)氏が書いているように、禁止措置を延長するというオプションはすべてFacebookの特権であり、2年の禁止はおおむね装飾的だった。

禁止措置期間の終わりに、公共の安全へのリスクが減少したかどうかを専門家に評価してもらいます。暴力事例、平和的な集会の制限、市民の不安のマーカーなど、外部要因を評価します。もし公共の安全への深刻なリスクがまだあるとの結論に至れば禁止措置を一定期間伸ばし、そのリスクが減少するまで再評価を続けます。

使用禁止措置が最終的に解除されれば、トランプ氏が将来さらに違反をした場合に発動される迅速な制裁拡大があり、最悪の場合トランプ氏のページとアカウントは永久削除となります。

監督委員会の提言を満たしているようではあるが、実のところ、トランプ氏の立場は以前より不安定なものではない。Facebookがいつでも決められる、取り消されたり、延長されたりする禁止措置はもちろん「期限が決まっていない」ものだ。

声明の中で、トランプ氏はこの判決を「侮辱」と呼んだ。

とはいえ、ここでのFacebookの決定はトランプ氏のケースを超えたものだ。監督委委員会はトランプ氏のようなケースでどのように対応すべきかを決める規則が必要だと提言し、基準のようなものを設けた。

画像クレジット:Facebook

かなり特異な「執行プロトコル」はFacebookがいう「真剣にとらえています」を見える化したものだ。有名な人物が体系的に適切な長さの禁止措置を受けるようにする量刑ガイドラインのようなものである印象を与える一方で、プロセスのあらゆる側面が勝手にFacebookによって決められる。

どのような状況がこうした「罰則の強化」の使用を正当化できるのか。どのような種の違反が禁止措置の対象となるのか。違反の重大さをどのように決めるのか。禁止措置の長さは誰が決めるのか。禁止措置期間が終わったときにもし「まだ公共の安全に深刻なリスクがある」場合は禁止措置を延長できるのか。有名な人物が一時停止後に直面する「迅速な制裁拡大」とは何なのか。決定に関する時間制限はあるのか。制裁は大っぴらに熟考されるのか。

こうした質問やその他にもまだたくさんある疑問についてFacebookが矛盾したり自分勝手に決めたり、あるいは誤った判断を下したりすると想定しなければならないということではなく、最も機能して欲しい危機のときにFacebookのモデレーションプロセスの中身に何ら新しい要素が加わらず、開示もされないということだ。

新しい正式な罰の配分表と、透明にすると幾度も繰り返された約束にもかかわらず、Facebookが提案するものに含まれているすべてのものはトランプ氏の禁止につながった決定のように、曖昧で自由裁量のもののようだ。

「当社が適用する、あるいは適用しないことを選択するペナルティは議論を呼ぶことを理解しています」とクレッグ氏は書いている。その通りだ。一部の人は決定を歓迎する一方で、別の人は怒っているが、罰則につながるプロセスを明瞭で、忠実に守られるものにしたいという思いは一致している。本日の規則変更はトランプ氏や他の人のケースにおいてもそうではないようだ。

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

ツイッターがユーザーの手を借りた新ファクトチェック機能「バードウォッチ」の試験運用開始

Twitter(ツイッター)は、熱心なツイート発信者のネットワークを利用して誤解を招くツイートにメモを追加する新プロダクト「Birdwatch(バードウォッチ)」で、誤情報の問題をクラウドソーシングで解決しようとしている。米国時間6月2日、TwitterはBirdwatchに関する注記をiOS、Android、デスクトップのパイロット版参加者に公開すると発表した。

同社がこのプログラムのパイロット版を立ち上げたのは2021年1月で、そのときは誤報にコンテキストを付加する1つの方法である、と説明していた。

関連記事:Twitterがコミュニティによるノートを付加して誤情報を防ぐ「Birdwatch」の試験運用を開始

当時、プロダクト担当の副社長であるKeith Coleman(キース・コールマン)氏は、ブログで「このアプローチは、誤解を招くような情報が広まった際、迅速に対応し人々が信頼し、価値を見出すような文脈を加えることができる可能性があると考えています。最終的には世界中のTwitterユーザーのために、広く多様な投稿者の合意が得られた場合、メモを直接ツイートに表示することを目指しています」と述べている。

Birdwatchの初期のパイロット参加者に、その時が来たようだ。

お待たせしました。エキサイティングなニュースです。現在、Android、iOS、https://Twitter.comでTwitterを閲覧していると、Birdwatchのメモが付いたTweetが表示されることがあります。メモは、ツイート上のカードに表示されます。現在のところ、この機能はパイロット参加者にのみ表示されています。

 

Twitterによると、Birdwatchのメモがツイートに追加されると、ユーザーはそのフィードバックが役に立ったかどうかを評価する機会が与えられる。参考にならないと判断された場合、Birdwatchカード自体は消えてしまうが、参考になると判断されたメモは、ツイート内に直接ポップアップ表示される。

現在のソーシャルメディアの枠組みの中で、どのようなBirdwatchであれば有効か、そもそも有効なのかという疑問は山積みだった。コミュニティによるフィードバックを利用することは、Facebookのような独立したファクトチェック組織を用いる中央集権的な方法とは異なるものだ。Twitterは明らかに、取り組みをできる限り分散化して、決定権をBirdwatchのコントリビューターたちの手にゆだねたいが、個々のツイート発信者のオーディエンスが事実検証努力の有益性と可視性を決めるという現在の方法では、かなり面倒な解決方法になることもあるだろう。

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タグ:TwitterSNSファクトチェック

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Twitterが認証バッジのリクエスト受付を再開、アプリやウェブ版から申請可能

Twitterが認証バッジのリクエスト受付を再開、アプリやウェブ版から申請可能

Twitter

Twitter が認証リクエストの受付を再開しました。Twitter アプリやウェブ版のアカウント設定・認証リクエストから申請できます。

Twitter の認証は、政府機関や企業・組織のブランドや著名人らのアカウントに対して、発言者が本物であるかを示すもの。発言内容がTwitter社のお墨付きというわけではなく、なりすましではない本人または公式であることを確認済みという意味です。

認証済みアカウントは名前の後ろに青いチェックマーク☑のなるとのような認証バッジがつくほか、認証ユーザーのみの機能が使えるようになったり、認証ユーザーだけが対象のフィルタに掛かるようになるといった違いがあります。

以前はTwitter側がいつの間にか認証するものでしたが、2017年にはユーザーからの申請に基づく認証手続きを開始。しかしSNS上でのヘイトスピーチや嫌がらせ、脅迫や暴力の煽動といった問題に注目が集まるにつれ、そうした発言を繰り返すアカウントに対しても「認証済」を与えて特別扱いするのはいかがなものか、Twitterが権威を与えているのではないかとの批判があり、認証プロセス自体の見直しを進めていました。

Twitter、批判受け認証バッジの仕組みを改定。再審査でルール違反者からの剥奪を開始 (2017年)

2021年にようやく受付を再開したものの、申請の殺到により一時停止。今度はいつになることかと思えば、一週間足らずで再び申請できるようになりました。

Twitter、認証バッジ申請プログラムを再開。まず政府関係者やジャーナリスト等から (2021年5月)

Twitter認証バッジは申請殺到で受付を一旦終了、「まもなく」再開予定 (2021年5月)

誰でも申請はできるものの、対象としては信頼性(発言内容ではなく当人かどうか)・著名性を満たし、かつアカウントがアクティブである必要があります。

認証の基準は、俳優やパフォーマーであればIMDBで5作品以上にクレジットされている、ジャーナリストであれば報道機関の要件を満たす組織に所属しているまたは署名記事を載せている等々、以前よりは分かりやすくなりました。

Twitterだけで活動しているインフルエンサーや有識者など、企業公式サイトからのリンクや作品クレジット等がない場合でも、フォロワー数やTwitter内で言及される会話量、注目度、Wikipedia記事の著名性基準をクリアしている等で認証される場合があります。

リクエストが通らなかった場合の再挑戦は30日に一回。ただし却下された場合でもTwitter側から個別の理由や基準は示されないため、認証ポリシーを自力で確認するしかありません。

また著名性の基準を満たし本人確認ができても、過去12か月のあいだにヘイトスピーチ禁止などTwitterポリシーへの違反で凍結などの処分を受けていた場合は自動で却下。凍結されても異議申し立てが通って復活していれば大丈夫です。

Twitterの認証バッジの要件 – 青いチェックマークの取得方法

Engadget日本版より転載)

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タグ:SNS / ソーシャル・ネットワーキング・サービス(用語)Twitter / ツイッター(企業)

デートアプリTinderはネットで新たに知り合いを発見する「ソーシャルディスカバリー」に足を踏み出す

デートアプリTinder(ティンダー)とその親会社Match(マッチ)が、アプリを通じた個人的なつながりの未来を模索している中で、どのようなアイデアを試し、破棄したのかをみていくのは興味深い。そうしたものの1つが「Tinder Mixer」(ティンダー・ミクサー)と呼ばれるもので、Tinderのユーザーがグループビデオチャットに参加したり、近くにいる人と「ゲーム」をしたりする方法が一時的に提供されていたのだ。

この機能は、2020年ニュージーランドで短期間テストされたとの情報を得ているが、今後の実運用はされない。

Tinder Mixer機能は、アプリ研究者のAlessandro Paluzzi(アレッサンドロ・パルツィ)氏が、TinderのAndroidアプリのコードの中に痕跡を発見したことで明らかになった。この発見はまだ公表されていなかったが、私たちはこの製品の起源について調べてみた。

画像クレジット:Alessandro Paluzzi

パルツィ氏によれば、彼がデートアプリの中で見つけたリソースは、まだ開発途中の製品のように見えたものの、結局それはTinderがデート市場で続けている実験の中で、すでにテストされてすぐに終了したものだったという。

Tinderによれば、このTinder Mixerのテストが2021年の製品ロードマップに影響を与えることはなく、上で言及したTinder Mixer体験が実際に登場することはないという。

とはいえ、この機能が特に興味をそそった点は、Tinderが短期かつ実験的とはいえ、Tinderがソーシャルディスカバリー(リアルの知人同士がつながるのではなく、新しく知り合いを「発見する」ソーシャル活動)分野に一歩踏み出したことだった。通常なら、Tinderのユーザーは1対1で、相手のプロフィールをスワイプし、マッチングし、チャットを行い、時にはビデオ通話を行う。しかし、グループでのライブビデオチャットのようなものは、今のTinderは提供していない。

画像クレジット: Alessandro Paluzzi

とはいえ、ビデオを使うライブというのはMatchにとって新しいものではない。

それはMatchがこれまでも実験を行ってきた分野だ。たとえば1対多のビデオ放送機能を提供する「Plenty of Fish」(プレンティオブフィッシュ)や、世界中の人々と1対1のビデオチャットができる「Ablo」(アブロ)などが挙げられる。こうした実験は、同社が考えている「デート隣接」体験なのだ。言い換えれば、このような動画でのやりとりを通じて誰かと出会うことは可能だが、それは必ずしも主目的ではないということだ。

画像クレジット:Alessandro Paluzzi

こうしたビデオ体験は、Match史上最大の買収案件となったソウルのHyperconnect(ハイパーコネクト)の17億3000万ドル(約1893億円)での買収が発表されても継続し「ソーシャルディスカバリー」やライブストリーミング市場を含む将来に向けた道筋をつけさせるものとなった。

関連記事:出会い系大手のMatchがソウル拠点のHyperconnectを同社最大規模の1809億円で買収

Matchは、ソーシャルディスカバリーが大きな可能性を秘めた分野であり、実際、デートの2倍の規模の市場になると見積もっている。

Match GroupのCEOであるShar Dubey(シャー・デュベイ)氏は、先日開催されたJPモルガン主催の「テクノロジー・メディア・コミュニケーション会議」でこの点について触れ、Matchのいくつかの大規模なプラットフォームでは、多くのユーザーが「プラットフォーム上で同じ指向を持つ独身者たちとの共有体験やコミュニティ意識」をより求めていることが観察されていると述べた。

彼女は、テクノロジーの進歩によって、従来のスワイプ、マッチ、チャットで行われてたデートの流れ以上の豊かな体験を通して、他者との交流が可能になったのだと指摘する。そうした体験には少数対少数、多数対多数、1対1などのものが含まれている。

Hyperconnectは、Matchがこうした分野に展開する際に必要となる技術の多くを提供できる。

現在Hyperconnectは、Azar(アザール)とHakuna Live(ハクナライブ)という2つのアプリを提供しており、ユーザー同士がオンラインでつながることができる。2014年に開始された前者は、1対1のライブビデオやボイスチャットに焦点を当てており、一方2019年に開始された後者はオンライン放送の分野をカバーする。これらのアプリが、MatchがPlenty of FishやAbloで行ってきたライブストリーム体験に対応するものであることは、偶然ではない。

このようなライブストリーミングサービスは、若い人たちによく使われていることが多いので、Matchが将来的な特定の製品開発のためのためではなく、単なるデータ集めのために、同じく若い層が多いTinderでもこのようなライブストリーミング体験をテストしたかったのは理解できる。

まもなく完了するHyperconnectの買収と同時に、Matchはまず、手に入るアプリを使ってライブストリーミングおよびソーシャルディスカバリー市場での活動をアジアで拡大することになる。なぜならHyperconnectの利用と収益の75%はアジア市場から得られているからだ。それからMatchは、その国際的な経験と知識を活用して、まだ開拓されていない他の市場での成長を加速させることを計画している。

しかし、買収のもう1つの大きな理由は、MatchがHyperconnectの技術を同社の既存のデートアプリのポートフォリオに導入することで、より豊かな体験を生み出せるだけでなく「西洋的」なオンラインデートのやり方はまだ完全には受け入れられていないものの、ソーシャルディスカバリーは受け入れられている市場でのユーザーに、アピールできる可能性があると考えているからだ。

デュベイ氏はJPモルガンの会議で「ソーシャルディスカバリープラットフォームで人気のあるエクスペリエンスを、私たちのデート・プラットフォームに持ち込むことで、真の相乗効果が得られると考えています。また、ソーシャルディスカバリープラットフォームを強化することで、利用者の方がデートの目的を果たすお手伝いをすることができるようになります」と説明した。

これらのことがTinderにとってどのような意味を持つのかは、まだはっきりしていない。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:デートアプリTinderMatch GroupSNSビデオチャットHyperconnect

画像クレジット:Tinder

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(文:Sarah Perez、翻訳:sako)

ツイッターがストーリーズ機能「フリート」に縦型全画面広告を試験導入、米国でパイロットテスト開始

ストーリーズ機能のTwitter(ツイッター)版である「Fleets(フリート)」に広告が登場する。同社は米国時間6月1日、米国でFleets広告のパイロットテストを開始することを発表した。これにより、Twitterに初めてフルスクリーンの縦型広告が導入され、Facebook(フェイスブック)、Instagram(インスタグラム)、Snapchat(スナップチャット)、TikTok(ティックトック)などのソーシャルメディアプラットフォームで提供されている縦長の広告に対抗できるようになる。

新しいFleet広告は、ユーザーがフォローしている人々のFleetsの間に表示され、9:16フォーマットの画像と動画の両方に対応している。動画広告は最大30秒のコンテンツをサポートし、ブランドは広告内に「スワイプアップ」するCTA(コールトゥアクション)を入れることもできる。

動画の場合、Instagram(最大120秒)やTikTok(最大60秒)よりも短いが、広告は短い方が良いとするベストプラクティス沿ったものでもある。

TwitterはスワイプしたときにFleet広告が表示される頻度については言及しておらず、ユーザーのエンゲージメントを知るために、この分野で「イノベート、テスト、ニーズへの適応を続けていく」とだけ述べている。

一方、広告主サイドでは、インプレッション数、プロフィールアクセス数、クリック数、ウェブサイトへの訪問数など、Fleet広告に関するTwitterの標準的な広告指標を受け取ることができる。また、動画広告については、動画再生回数、6秒動画再生回数、動画開始回数、完全再生回数、四分位レポートなどの指標が表示される。

画像クレジット:Twitter

このパイロットプログラムは、テック系、リテール系、飲食系、CPG系などを含むわずか10社の広告主を対象に米国で開始される。

Twitterはパイロットプログラムによって、この種の広告のTwitterでのパフォーマンスはどの程度か把握し、今後のFleet広告の最適化方法だけでなく、将来的にフルスクリーン広告を開始する可能性のある他のエリアにも役立てたいとしている。また、テストを続ける中で、フルスクリーン広告に対する人々の印象やエンゲージメントを知りたいと考えているという。

Twitterは2020年春に、ユーザーが一時的なコンテンツを投稿できるストーリーズのような製品体験を提供する方法として、Fleetsの実験を始めた。当時同社は、Fleetsが24時間後に消えることで、直接投稿することにともなうパフォーマンスのプレッシャーを軽減し、躊躇しているユーザーがコンテンツを同プラットフォームにより共有しやすくなることを期待していた。またFleetsはリツイートや引用ツイートのようにTwitter上に広まることもなく、検索やモーメントにも表示されない。

画像クレジット:Twitter

この機能は、2020年11月に全世界のユーザーに展開された。当初Fleetsは、ソーシャルアプリがどれも同じように見えてきたことの一例だと批判された。とはいえ、Fleetsは今やTwitterの中核的存在となっている。

今日では、人々は自分が投稿した他のツイートを紹介したり、個人的な近況や写真、コメントを共有するためにFleetsを利用している。しかし、SnapchatやInstagramのような他のプラットフォームのストーリーズとは異なり、Fleetsはクリエイターのツールという点では、まだかなり簡素で物足りない。背景の色を変えたりステッカーやテキストを追加することはできるが、それだけだ。

Twitterは現在Fleetsを採用しているアクティブユーザーの数や割合については言及を避けたが、Fleetsを投稿しているユーザーの73%が、他のユーザーが共有しているコンテンツも閲覧していると述べている。同社は、Fleetsへの投資を継続しながら、今後も新たなアップデートや機能を展開していく予定だという。

Fleet広告は、米国で本日6月1日よりiOSとAndroidの両方で提供開始される。

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タグ:Twitter広告アメリカSNS

画像クレジット:Spotify

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

フェイスブックが「新型コロナ人工説」を削除しないように誤報に関するルールを変更

Facebook(フェイスブック)は、誤報に関するポリシーにいくつかの注目すべき変更を加えた。その中には、新型コロナウイルスが人間によって作られたという主張を認めるというニュースも含まれている。これは、人間が動物から自然にウイルスに感染したというこれまでの一般的な仮説に反する学説だ。

Facebookの広報担当者は「新型コロナウイルスの起源に関する継続的な調査や公衆衛生の専門家との協議から、新型コロナウイルスが人工的に作られたという主張を、今後は当社のアプリから削除しないことにします」とTechCrunchに語った。「私たちは新型コロナウイルス感染症の進化する性質に対応するため、保健の専門家と協力を続けており、新しい事実や傾向が出てくると、定期的にポリシーを更新しています」。

Facebookは、ウイルスが実験室から流出した可能性があるという説を正当化する国際的な調査を踏まえ、新型コロナウイルス感染症の誤報に関するルールに調整を施した。この「ウイルス人工説」は現時点で調査が行われるほどの信憑性があることは明らかだが、嘘の治療法や、5G通信網が新型コロナウイルスの感染を拡大させるという説、そして最近ではAstraZeneca(アストラゼネカ)製ワクチンが接種者にBluetoothチップを埋め込んでいるというデマなど、明らかな誤報と織り交ぜて伝えられることが多い。

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Biden(バイデン)米国大統領は先週、中国の武漢にある研究所からウイルスが誤って流出した可能性について、複数の機関に情報報告を行うよう指示した。バイデン大統領は、この可能性を2つの「ありそうなシナリオ」のうちの1つと呼んでいる。

「……大統領に就任した直後の3月、私は国家安全保障顧問に、新型コロナウイルスの起源について、感染した動物と人間との接触から生じたものなのか、あるいは実験室での事故から生じたものなのか、最新の分析結果を報告書にまとめて用意するように依頼しました」と、バイデン大統領はホワイトハウスの公式声明で述べ、最終的な判断を下すのに十分な証拠はないと付け加えている。

感染流行の初期から、ウイルスは人工的に作られたあるいは実験室で作られたものだとする主張は、広く伝えられていたが、科学界では感染した動物から人間へ感染した自然の摂理によるものだろうとの見方が主流だった。しかし、ウイルスの起源については多くの疑問が残されており、米国はウイルスが中国の研究所から発生した可能性をまだ排除していない。このシナリオは、国際関係にとって爆弾となるだろう。

新型コロナウイルスに関するポリシー変更に先立ち、Facebookは誤った情報を繰り返し流している個人に対して、より厳しい処罰を行うことも発表している。既知の誤報を習慣的に発信していることが判明したアカウントからの投稿はすべて、ニュースフィードへの表示が制限されることになる。これは従来、同じルールを繰り返し破っているFacebookページ、グループ、Instagram(インスタグラム)アカウント、ウェブサイトに対して適用されていた制限だ。

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画像クレジット:dowell / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

EUがTikTokの利用規約を調査、子供の安全に関する苦情を受け

EUは現地時間5月28日、欧州の複数の消費者保護当局が2021年初めにTikTok(ティクトック)に対して提起した懸念に対応するため、同社に1カ月の期間を与えたと発表した。

欧州委員会は、動画共有プラットフォームである同社の商慣行とポリシーに関し、同社と「正式な対話」を開始した。

欧州委員会は特に懸念される領域として、密かなマーケティング、子どもを対象としたアグレッシブな広告手法、TikTokのポリシーの特定の契約条件を挙げた。

司法長官のDidier Reynders(ディディエ・ラインダーズ)氏は声明で「現在のパンデミックはデジタル化をさらに加速させています。これは新しい機会をもたらしましたが、特に脆弱な消費者にとっては新しいリスクも生み出しました。EUでは、動画内のバナーなどの偽装広告で子どもや未成年者を標的にすることは禁止されています。本日開始する対話は、TikTokが消費者保護のためにEU規則を順守するサポートになるはずです」。

背景には、欧州消費者機構(BEUC)が2021年2月、欧州委員会にTikTokのポリシーと慣行に関する多数の指摘を含めた報告書を送付したことがある。指摘事項の中には不公正な条件や著作権に関する取り扱いがある。また、プラットフォーム上で子どもが不適切なコンテンツにさらされるリスクも指摘し、TikTokのミスリーディングなデータ処理とプライバシーの取り扱いについて非難した。

関連記事:TikTokが欧州で消費者、子どもの安全、プライバシーに関する訴えを受ける

EU15カ国の消費者団体がほぼ同時期に苦情を申し立て、各国当局にソーシャルメディアの巨人の行動を調査するよう求めた。

EUの多面的な行動は、TikTokにとって、単に欧州委員会が小さな印刷物の詳細を調べているということではなく、各国の消費者保護当局のネットワークからの質問に直面していることを意味する。ネットワークを共同で主導しているのは、スウェーデンの消費者庁とアイルランドの競争・消費者保護委員会(プラットフォームに関連するプライバシーの問題を扱う)だ。

にもかかわらず、BEUCは欧州委員会がまだ正式な執行手続きを開始していない理由を問いただした。

「私たちは、各国当局がこの『対話』の中で屈服しないことを望んでいますが、これが執行手続きの正式な開始ではないことも理解しています。BEUCが提起したすべての点に取り組む消費者にとって、良い結果につながる必要があります。BEUCはまた、合意に達する前に、事前相談が持ち込まれることを望んでいます」と広報担当者はTechCrunchに語った。

TechCrunchがコメントを求めたところ、TikTokは公共政策ディレクターのCaroline Greer(キャロライン・グリア)氏のコメントとして、欧州委員会のアクションに関して次の声明を送ってきた。

「消費者保護や透明性などの問題に関する規制当局やその他の外部ステークホルダーとの継続的な取り組みの一環として、アイルランド消費者保護委員会およびスウェーデン消費者庁との対話に取り組んでおり、すでに導入した措置について議論することを楽しみにしています。さらに、16歳未満のすべてのアカウントをデフォルトで非公開にし、ダイレクトメッセージングへのアクセスを無効にするなど、若いユーザーを保護する多くの措置を講じています。さらに、18歳未満のユーザーはバーチャルギフトを購入・送受信することはできません。また、デジタルコンセントの年齢未満のユーザーに直接訴えかける広告を禁止する厳格なポリシーもあります」。

同社は、パーソナライズド広告を打つ際、年齢確認を実施していると述べた。ユーザーが広告を受け取るには、13歳以上であることが確認されている必要がある。また、EU各国でデジタルコンセントの年齢を超えていることや、ターゲット広告を受け取ることに同意していることも必要だ。

しかし、TikTokの年齢確認技術は以前から脆弱であると批判されてきた。イタリアのデータ保護当局が最近、子どもの安全を対象とする緊急措置を取ったため、TikTokはイタリア国内での年齢確認プロセス強化を約束することになった。

TikTokは2021年5月初め、イタリアの執行措置を受け、13歳未満のユーザーであるとの疑いがある50万超のアカウントを削除した。さらにこの件は、13歳未満のユーザーが、プラットフォーム上のターゲット広告に日常的にさらされていないと本当に主張できるのかという疑問を投げかけることになった。

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TikTokは、スポンサーコンテンツに明確なラベルづけを行っていると主張している。だが、同社はまた、ビデオ広告に付されるラベルを「スポンサー」から「広告」に切り替えてより明確にするなど、最近いくつかの変更を加えたことにも言及した。

また、TikTokによると、新たにトグルを設け、他のユーザーによって広告にさらされる可能性がある場合に、それをはっきりさせるよう取り組んでいるという。トグルにより、そのユーザーが自分のコンテンツに広告が含まれていることを目立つよう開示できるようにする。

TikTokは、このツールは現在欧州でベータテスト中だが、2021年の夏に一般への提供に移行する予定であり、コンテンツに広告が含まれている場合、常にこのトグルを使用するようユーザーに求める利用規約の修正を予定していると述べた。(ただし、適切な強制力がなければ、見過ごされ、簡単に悪用される設定になってしまう可能性がある)

同社は最近、欧州事業に関して提起されている懸念の一部に対処する動きの一環として、欧州に透明性センターを設けると発表した。EUで展開されているすべてのデジタルプラットフォームに対して徐々に強まる監視に備えることも目的としている。EUは現在、デジタルルールブックの更新に取り組んでいる。
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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

ツイッターに月額330円サブスク「Twitter Blue」、間もなく登場か

文字数が多いTwitterユーザーに朗報だ。月額2.99ドル(約330円)のサブスク、Twitter Blueが間もなく登場しそうだ。

2週間前に研究者のJane Manchun Wong(ジェーン・マンチュン・ウォン)氏が、Twitterが新しいサービスを準備中だと最初にレポートしていた。しかし米国時間5月27日、TwitterのiOS App Storeリスティングでアプリ内購入としてTwitter Blueが加わった。これは非公式ソースである先の発見を裏づけるものだ。ユーザーはアプリのアップデートをダウンロードした後でもまだTwitter Blueを購読できないが、ローンチは間もなくだと思わせるサービス詳細をウォン氏が「掘り起こし」た。

ウォン氏が2021年3月に見つけ出したUndoボタンに加えて、Twitter Blueはリーダーモードを含む。これはツイートのスレッドを「読みやすいテキスト」に変えるものだ。Twitterは2021年、アプリでの読むエクスペリエンスを改善しようと、ScrollRevueを買収した。なので、このリーダーモードの追加は納得だ。また、ユーザーはTwitterアプリのアイコンの色、そしてタイムラインのカラーテーマを変えることができる。この機能はすでにウェブでは提供されている。Twitter Blue購読者はツイートを整頓してCollectionsに収納することもできる。この機能はBookmarksのアップデートバージョンのようにみえるが、ツイートをフォルダーに分類できる能力が加わっている。

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現在Twitterの売上高の85%は広告からだ。ユーザー成長が鈍化するなか、同社はプラットフォームで収益を上げる新たな方法で「研究と実験」を行う計画だと2021年2月にBloombergに述べた。しかし過去数カ月にわたりTwitterは、2018年に140字というツイート文字数制限を倍増させて以来最大となる変更の一部を垣間見せてきた。そこにはSuper FollowsTip JarTwitter Spacesなどが含まれる。

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今週開かれたJ.P. Morganのグローバルテクノロジー・メディア・コミュニケーション会議で、TwitterのCFOであるNed Segal(ネッド・シーガル)氏は、同社がTwitter BlueとSuper Followsを異なる2つの種のサブスクだとみていると指摘した。Google PlayではTwitterアプリのページにアプリ内プロダクトの価格は月4.99ドル(約550円)とある。これは今後導入されるSuper Followsを指しているのかもしれない。シーガル氏はまた、Twitterが数カ月以内にサービスについてさらに情報を提供し「最終的には世界中の人に提供する」とも述べた。

最後に、不思議に思っている人のためにいうと、今回は「ツイートを編集する」ボタンの計画への言及はない。

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

ツイッターがインド政府の威嚇行為に懸念を表明、新ITルール遵守期限の3カ月延長を要求

Twitter(ツイッター)は、同社インド支社への警察による訪問を、一種の威嚇であると指摘し、インド政府が制定した新ITルールの要求に懸念を表明した。

現地時間5月24日にインド警察の特別取締隊が同社オフィスに抜き打ち操作を行って以来初めての発言でTwitterは「インド国内の当社従業員に関する最近の出来事、および当社がサービスを提供している人たちの言論の自由に対する潜在的脅威を懸念していると語った。

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さらに同社は「当社の世界共通の利用規約の執行に対する警察による威嚇戦術の利用、およびインド政府の新ITルールの重要項目に関して懸念を示している」インド国内および世界中の数多くの組織に同調する、と述べた。

Twitterの広報担当者は次のように付け加えた。「私たちは、自由で開かれた公開の場の会話を禁止するこれらの規制項目の変更を要求します。今後もインド政府と建設的話し合いを続けるつもりであり、協力した取り組みが不可欠だと信じています。国民の利益を守ることは、公選された議員、業界、および市民社会の共同責任です」。

米国のテック巨人Twitter、Facebook(フェイスブック)とインド政府の間の緊張は、ここ数カ月高まり続けている。Twitterは、インド政府の改革とNarendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相を批判したアカウントのブロックを拒否した後、政治家たちから非難を浴びた。

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インドは米国テック企業にとって最大市場の1つであり、この10年間に何十億ドル(何千億円)という資金を注ぎ込んで、より多くの人たちをウェブとつないできた。インド政府の推計によると、Twitterはインドに1億7500万人のユーザーを有し、WhatsApp(ワッツアップ)には5億3000万人以上のユーザーがいる。

5月26日にWhatsAppが、デリー市の法廷で新しいITルールについてインド政府を訴えて以来、緊張はいっそう高まった。同社は、新ルールはユーザーのプライバシーを侵害し、インド政府に大量監視を実施する力を与えると指摘した。

インド政府は新ITルールを2月に発表し、企業が遵守するまでに3カ月間の猶予を与えた。今週その期限が切れ、TechCrunchが最初に報じたように、電子情報技術省は26日にソーシャルメディア企業に対して遵守状況を報告するよう依頼した

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Twitterは27日、新ITルールが要求しているコンプライアンス責任者のプラットフォーム上のコンテンツに対する刑事責任、事前の監視、およびユーザー情報の要求に関する無制限の権利は、危険な過剰範囲拡大であり、オープンで民主的な原則と相容れない、と発言した。

さらに同社はインド政府に対し、新ITルール遵守期限の最低3カ月間の延長、および公開協議プロセスの標準運用手続きの公表を要求した。

Twitterは、最近インド政府から別の不遵守通知を受け、通知に特定されていたコンテンツの一部を公開停止したと語った。特定されたコンテンツは、2021年2月のブロック命令に書かれていたものだとTwitterは言った。

最近同社は、不遵守通知に従ってコンテンツを非公開にせざるを得ない状況であると語った。従わない場合、Twitter従業員に多大なリスクがかかる刑事罰が課される、と同社は言った。

5月27日、Google CEOのSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏は、同社は新ITルールの遵守を誓約していると語った。「今は始まったばかりで、当社の現地チームは非常に忙しい。ご存知の通り私たちは現地法を守っており、同じ枠組みに沿ったアプローチをとっていきます」とピチャイ氏はいう。

「私たちは情報の重要性を全員に説明し、情報の自由な流通を推進していますが、民主主義国家の立法プロセスを尊重したいと考えています。ルールの遵守を誓約します」と彼は話し、同社が応じた要求はすべて、透明性レポートで報告することを付け加えた。

Twitterの声明に対するインド政府の反応。

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(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ツイッターがグローバルで展開予定の有料「プレミアム」サービスを予告

あなたはアップグレードされたTwitterにお金を払うだろうか?これは、Twitterが有料利用者限定の拡張機能を提供する新しいサブスクリプションサービスを公開するときに答えが明らかになる質問だ。Twitterが以前に発表した、個々のクリエイターの独占コンテンツにアクセスできる「スーパーフォロー」のサブスクリプションプランとは別のもので、新しいサブスクリプションは頻繁にツイートするなど熱心に利用しているパワーユーザーにTwitterをもっと活用するために支払いをしたいと思わせるようなサービスだ。

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Twitterは今後登場するサブスクリプションプランについてすでにざっくりとほのめかしている。2021年2月にはBloombergに対し、2021年以降に広告以外の売上を多角化する手段を「研究し実験する」だろうと述べている。広告はTwitterの売上の85%を占めているが、ユーザー数はしばしば微増、あるいは横ばいになっている。このため同社は既存のユーザーから稼ぐ新しい手段を検討することになった。同社はBloombergに対し、この計画には企業やユーザーが「独自の機能」を利用できるようになる「サブスクリプション」などのアプローチが「含まれる可能性」があると語った。

2021年2月に開催されたTwitterアナリストデイでも、同社は「サブスクリプションの実験」をする予定だと語り、サブスクリプション製品への関心を再び示した。同社のIRアカウントは2021年3月に「サブスクリプション製品を公開してテスト」するだろうとツイートした

しかし今のところ、Twitterが詳しく説明しているサブスクリプション製品はアナリストデイで発表されたスーパーフォローだけだ。その他のサブスクリプションのテストがどのようなものになるかは具体的に説明されていないし「2021年中に」テストを開始するという以外はいつサブスクリプションが公開されるかも一切明らかにしていない。

Twitterのこの取り組みに関して公式の情報は得られていない。

一方、アプリ研究者のJane Manchun Wong(ジェーン・マンチュン・ウォン)氏は2021年5月中旬に、Twitterのプレミアムサブスクリプションの存在に加えてその名前と価格もスクープした。同氏が発見したところによると、今後登場するサブスクリプションプランは現在「Twitter Blue(ツイッターブルー)」と呼ばれていて、費用は月額2.99ドル(約320円)、ブックマークコレクションや、TwitterがCNETに対してテストしていることを以前に認めていたツイートの取り消しなどの新機能を利用できるという。

ただし、テックニュースサイトのThe VergeがTwitterブルーについて問い合わせたが、Twitterはコメントを拒否した。

米国時間5月25日、JPモルガンのグローバルテクノロジー / メディア / コミュニケーションカンファレンスで、Twitterはもう少し詳しい話をした。

以前のように「人々やあらゆる規模の企業が独自の機能を利用できる」(よくある商売用語!)ような「実験」やテストについて漠然とほのめかすのではなく、TwitterのNed Segal(ネッド・ シーガル)CEOは投資家に対し、同社の新しい「プレミアムサービス」はTwitterのサービスを利用している人々を対象としたもので「人々はこのサービスにお金を払う」と述べた。

シーガル氏は、このプレミアムサービスはTwitterが取り組んでいる2種類のサブスクリプションの1つで、もう1つはスーパーフォローだと語った。

プレミアムサービスは、以前にTwitterが検討していたプランより「実験」的ではない模様だ。以前の話では、Twitterのプレミアムサブスクリプションに需要があるかどうかを研究する何らかのプロジェクトを始めたように見えた。同社の過去の説明では、どの程度真剣な取り組みなのかがわからなかった。

シーガル氏は、今後数カ月のうちにTwitterのプレミアムサービスについて詳細を話すとし、同社はさらに詳しい調査のためにサービスをテストするが、その後「最終的に世界中のユーザーにこの機能を公開する」と述べた。

これは「実験」ではない。ロードマップだ。

心配している人のためにお伝えすると、同社の中核である無料の製品に代わるもののではないとシーガル氏は明らかにした。プレミアム機能は「誰もがずっと使い続けられるサービスの無料版を中心として改良を続けるという(Twitterの)考え方の上で」提供される。

Twitterはこの新しいサービスをそれほど調整する必要はないだろう。2020年のアンケートなど、ユーザーはどんな機能に最も興味を示すかに関する事前の研究をすでに十分実施しているからだ。当然のことながら、ツイートを取り消すオプションは「編集」ボタンの登場と並んでユーザーが最も望んでいる機能だった。

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これまでに仮説やリーク、曖昧な確認はあったものの、Twitterは我々が知らないことを何も語ってこなかった。今後登場する製品が世界中のユーザーにとってどんなものになるかがある程度明確にされたのは良いことだ。

シーガル氏は「我々は自社の利益のために、そしてサービスを使う人々の利益のためにも、長く続くビジネスをしていきたいと思っています」と述べた。

残る問題は、Twitterユーザーが本当にサブスクリプションにお金を払うかどうかということだ。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

インド政府が大手ソーシャルメディアに新ルール遵守状況の報告を要求

インド政府はソーシャルメディア企業に対し、新しいITルールに従っているかどうかを「早急に」「できれば今日中に」報告するよう求めている。しかし、現在この新たな規則に対してWhatsApp(ワッツアップ)が異議を唱えている

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現地時間5月26日に「主要ソーシャルメディア仲介者」(インド政府が、インド国内に500万人以上の登録ユーザーをもつソーシャルメディアをこう定義している)宛に発信されたレターで電子情報技術省は、新ITルールの対象となるアプリ、ウェブサイト、あるいはサービスの名称および遵守状況を報告するよう企業に求めた。

TechCrunchが入手したレターによると、政府はさらに、規則に沿って各社が任命したインド国内の最高コンプライアンス責任者、ユーザー対応責任者、および常駐苦情処理責任者の氏名と現地オフィスの所在地も要求している。2021年2月に公表された新ルールは、問題に迅速に対応するためにインド国内に何人かの責任者を配置することを企業に義務付けている。

レターは、インド政府がソーシャルメディア企業に対して、5月26日の新ルール遵守期限の延長を認めるつもりがないことも示唆している。「SSMI(主要ソーシャルメディア提供者)に要求されている報告義務は、SSMIに与えられた3カ月の追加期間が終了する本日をもって発効する」と書かれている。インド政府はこの新ルールを公開した直後に、3カ月以内に遵守するよう対象企業に通知している。

「自社がSSMIに該当しないと考えられる場合は、その理由を貴社が提供する各サービスの登録ユーザー数とともに提出されたい」。「政府は、この規則およびIT法で許されている範囲で、追加情報を要求する権利を有している」とレターは続く。

5月26日、WhatsAppはインド政府を訴え、当局が人々のプライベートなメッセージを「追跡可能」にし大規模監視を実施することを許すこの世界第2のインターネット市場の新ルールに異議を申し立てた。

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Twitterがインド当局のさらなる警告を受け500以上のアカウントを停止

この3カ月間、米国テクノロジー巨人とインド政府との間で緊張が高まっている。2021年2月、Twitter(ツイッター)はインド政府とナレンドラ・モディ首相を批判したアカウントのブロックを拒否した。

2021年4月、インド政府はFacebook(フェイスブック)、Instagram(インスタグラム)、およびTwitterに対し、モディ首相の新型コロナウイルスパンデミック対応を批判する投稿を削除するよう命令した。先週には、Twitterによる同国政治家のツイートに対する「操作メディア」判定に異議を唱えた。そして今週、インド警察は複数のTwitterインド支社を訪れ、政治家のツイートを誤解を招くと分類した根拠について情報を求めた。

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「Facebook、Twitter、Instagram、WhatsApp、およびGoogleのような大型テック企業は、しばしばひどいポリシーを作り数百万のインド国民に害を与える決断を下しています。我々インターネット自由財団(IFF)全員は、他の公共機関とともに、問題解決を助けるユーザーの権利を重視した規則を一貫して支持します、とニューデリー拠点のデジタル権利団体であるIFFが声明で語った

「この仲介者規則は、こうした未解決の問題を解決するものではなく、手続き的、実質的に重要な法的欠陥に悩まされ、最終的に私たちの権利やインターネットをこれほどすばらしく胸踊らせるものにしているイノベーションに害を及ぼすことになると私たちは確信しています。今こそ私たちは、先人の歩んだ道とインド憲法の価値をこれまで以上に追求しなければなりません」。

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(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

インド政府がWhatsAppの新規制撤回を求める訴訟は「反抗行為」「無謀」と批判

インド政府は現地時間5月26日、WhatsApp(ワッツアップ)が同国の新しいIT規則に異議を唱えた訴訟は、新規制の発効を阻止しようとする「不穏当な土壇場の」試みであるとともに「明らかな反抗行為」だとし、Facebook(フェイスブック)傘下の同サービスは2018年10月以降、トレーサビリティーの要求について書面での具体的な異議申し立てを一度も行っていないと指摘した。

インドのRavi Shankar Prasad(ラヴィ・シャンカール・プラサッド)電子IT大臣は、26日に期限が切れるガイドラインの遵守をWhatsAppが拒否したことは「その意図を疑いようがない、措置に対する明らかな反抗行為」であると述べた。

WhatsAppは26日未明にデリー高等裁判所でインド政府を提訴し、世界第2位のインターネット市場である同国の新しいIT規則により、当局が人々のプライベートなメッセージを「追跡可能」にし、集団監視を行うことが可能になると主張している。

電子IT省によると、政府は「特にインドの主権、一体性、安全に関連する犯罪、公共秩序・レイプに関わる犯罪の扇動、5年以上の禁固刑に値する性的表現物、児童性的虐待物の予防、調査、処罰などの目的」で、メッセージの最初の発信者を追跡する必要があるという。

「このような犯罪につながる悪事を始めた者を発見し、処罰することは公共の利益につながります。多くの集団リンチや暴動事件で、すでにパブリックドメインにあるWhatsAppメッセージの内容が繰り返し拡散されていることは否定できません。だからこそ、誰が発信したかということが非常に重要なのです」。

インドは2018年、メッセージの発信者を追跡可能にするためのソフトウェア変更を展開するよう、WhatsAppに初めて提案した。この提案は、デマの流通により現実に複数の死傷者が出ていた中、WhatsAppがインドでの偽情報の拡散防止に取り組んでいた時期に行われた。同提案は、2021年2月に新規則の一部となった。

一方WhatsAppは、ユーザーに提供しているエンド・ツー・エンド暗号化はセキュリティや政策の専門家が以前から高く評価していたもので、世界中で20億人以上のユーザーが利用している同社がユーザーを特定できる情報を見つけることは不可能だと主張してきた。

インドは、フェイスブック傘下の人気インスタントメッセージングサービスにとってユーザー数では最大の市場だ。政府の推計によると、WhatsAppはインドで5億3000万人以上のユーザーに利用されている。

電子IT省は、インドでの企業活動はいかなる会社でも「国法の対象」であるとし、他の市場でも類似の、あるいはより厳しい規制が施行されたり提案されていると主張している。

同省は「インドが求めているものは、他の国々が要求しているものよりもはるかに少ない」と述べ、新規則の目的を疑うことは「無謀」であると付け加えた。

同省はさらにこう述べた。「WhatsAppは一方で、マーケティングや広告を目的として、すべてのユーザーのデータを親会社であるFacebookと共有するというプライバシーポリシーを義務づけようとしています。そのまた一方で、法と秩序を維持し、フェイクニュースの脅威を抑制するために必要な情報仲介企業ガイドラインの制定を拒否しようとしています」。

TechCrunchが最初に報じたように、電子IT省は26日にソーシャルメディア企業各社に書簡を送り、新ルールを遵守しているかどうか最新情報を求めた。この書簡の中で同省は、現地での懸念に対応するために職員が地元に常駐することを義務付ける新規則のコンプライアンスの一環として、企業が任命した担当者の情報(氏名と連絡先)を求めている。

「WhatsAppはインドの仲介企業ガイドラインがプライバシー権に反するものであると主張していますが、これは見当違いです。【略】インド政府は『プライバシー権』が基本的な権利であることを認識しており、国民にその権利を保証することを約束します」と同省は声明で述べた。

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

Instagramのリールが新機能「Insights」でクリエイター待望のオーディエンス分析データ確認が可能に

2020年、InstagramはInstagram ShopShopping in Reelsなど、独立したクリエイターの生計を助けるための機能をたくさん追加した。そして米国時間5月24日、InstagramはProfessional Dashboardに、ReelsとLiveの「Insights」をローンチして、企業やクリエイターに彼らのコンテンツのリーチに関する重要なデータを提供する。Reelsはこれらのツールによって、すでにユーザーに詳細な分析データを提供しているライバルのTikTokに追いつくことになる。InstagramとTikTokのこのような追いかけっこが続くのは、収入をこれらのプラットフォームの利用に依存しているインフルエンサーや小企業にとってうれしいことだ。

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それまでInstagramのクリエイターたちは、視聴数やいいねの数、Reel上のコメントなど一般的に入手可能なデータを見ることしかできなかった。今後は、コンテンツが獲得したアカウント数や、自分のReelsの保存数や共有数などにアクセスできる。さらにInstagramは、Liveの動画の視聴者数をカウントする「同時に見ている視聴者数のピーク時の数」もシェアする。アプリのAccount Insights(アカウント詳細情報)では、自分のコンテンツがどのような種類のアカウントにリーチしているのか、そしてどのようなコンテンツが最も多くのエンゲージメントを獲得しているのかを知ることができる。

ソーシャルコマースの上でビジネスをしている起業家やコンテンツクリエイターにとって、このような分析はあまり重要ではないかもしれないが、プラットフォームの利用は確かに簡単になる。Reelsのショッピング機能でアプリ内販売が簡単にできるようになったが、これまで潜在的な顧客に確実にリーチするために動画などをカスタマイズする際に参照するデータが、ほぼなかった。一方、TikTokの分析はかなり前から動画の平均視聴時間や、トラフィックのソース(どっから来たのか)タイプ、場所(国など)による視聴数の違いといったデータをクリエイターに提供している。口コミで広まるこの動画アプリは2021年5月初めに、ストリートウェアのHypeなど特定のブランドと協力してアプリ内販売をテストする、と発表している。これでInstagramとの競争は激化するだろうが、本機能の一般公開スケジュールは未定だ。そこで、InstagramのInsightsによって、これまでのアプリ内ショッピングと組み合わせることでコンテンツクリエイターは、目的とするオーディエンスにもっと到達しやすく、収益化もしやすくなるための、強力な戦略を作り出せるようになる。

ロサンゼルスでハンドメイドのジュエリー工房KIKAYを経営しているQuinn Jones(クイン・ジョーンズ)氏は「Insights for Reelsがないのはおかしい、と前から思っていました。それがないと暗闇で銃を撃つようなものです」という。彼のショップは9万以上のInstagramとTikTokを合わせてフォロワーがあるが、一般的にZ世代のクリエイターはソーシャルメディアを利用してオーディエンスを広げ、売上を増やしている。KIKAYが口コミ的に利用しているのはTikTokだが、ジョーンズ氏は、小企業がフォロワーを獲得する方法としてはInstagramの方が良いという。

「Insightsは今後確実に便利なツールになるでしょう。これまでは、自分の動画がどのような人たちにリーチしているのか、まったくわかりませんでした。しかしInsightsがあれば、フィードバックに基づいてコンテンツを改良することができます」とジョーンズ氏は語る。

インフルエンサーにとっても、ブランドと協力してスポンサーつきコンテンツを作ったりする際、これらの分析が役に立つ。

LGBTQ+のコンテンツクリエイターで、マイクロインフルエンサーでもあるCara Cochran(カラ・コクラン)氏は「Insights for Reelsを随分長く待っていました。それまで視聴数といいねの数とコメントしか見れませんでした」という。彼女によると、Instagramがインタフェイスのデザインを変更してからは、クリエイターに頼んでReelsの動画を作らせるブランドが増え始めていたそうだ。

「これから分析も確認できるため、ブランドもInstagramに静的コンテンツをポストするだけでなく、Reelsにどんどん動画をポストするようになるでしょう。そうなれば、彼らのプロダクトも新鮮に見えるようになり、静的な広告ではなくコマーシャルのような効果を発揮するでしょう」とコクラン氏はいう。

Instagramは米国時間5月24日からInsightsを展開する。また数カ月後には、一定の期間内のエンゲージメントを計測できるようになり、さらにデスクトップでもInsightsをサポートするという。

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hiroshi Iwatani)

インド警察が与党政治家の投稿に「操作メディア」とラベル付けした同国のツイッター支社を訪問

インド中央政府の管轄下にあるデリー警察は、現地時間5月24日の夕方、首都デリーとその近隣のハリヤナ州グルガオンにあるTwitter(ツイッター)の2つのオフィスを訪れ、同国の与党であるインド人民党(BJP)の広報担当者によるツイートに「操作されたメディア」とラベルを付けたTwitterの根拠についての情報を求めた。

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現地の複数のニュースチャンネルが生中継したところによると、テロなどの犯罪を捜査するデリー警察の特別捜査班は、捜索開始から1時間後、Twitterのオフィスが閉鎖されており、社内にTwitterの従業員がいなかったことから、オフィスを立ち退いたという。

Twitterの広報担当者はコメントを控えている。世界第2位のインターネット市場であるインドは、Twitterをはじめとする多くの米国のテクノロジー企業にとって重要な海外地域だ。

インド政府は先週、Twitterがインドの与党BJPの広報担当者であるSambit Patra(サンビット・パトラ)氏のツイートを「操作されたメディア」とラベル付けしたため、同社に通知を送った。

このツイートの中でパトラ氏は、インドの最大野党であるインド国民会議が、インド政府の新型コロナウイルス感染に対する取り組みを阻害するために、いわゆる「ツールキット」を使用していると主張していた。なお、インドの主要なファクトチェックの非営利団体であるAlt Newsは、パトラ氏の主張を虚偽であると否定している。

デリー警察は、パトラ氏のツイートのラベル付けについて苦情を受けているため現在調査中であると発表し、Twitter Indiaのトップに調査の通知を出すためにオフィスを訪れたとしている。警察は声明の中で、この件に関するTwitter Indiaの最高責任者の返答は「非常にあいまい」だったと述べている。

Twitter Indiaのオフィスが閉鎖されていることを知り、デリー警察の特別捜査班がグルガオンから戻るところです。どうやらTwitter Indiaでは2020年3月から自宅で仕事をしているようです。この動きは政府からのメッセージなのでしょうか?

「デリー警察は、シュリ・サンビット・パトラ氏(BJP広報担当者)のツイートを『操作的』と分類したことについてTwitterに説明を求める苦情を受け、現在調査を行っています。Twitterは我々が知らない情報を持っていて、それに基づいてそのように分類したようです」と、デリー警察は地元のTV局やその他のジャーナリストに向けた先の声明で述べている。

そして「この情報は調査に関連しています。調査を行っている特別捜査本部は真実を解明したいと考えています。根本的な真実を知っていると主張しているTwitterは、それを明らかにすべきです」と続けている。

その後の声明では、デリー警察はこの日の出来事を「強制捜索」と呼ぶことに異議を唱えている。

複数の政策担当者などが、デリー警察の動機を疑問視している。

Rohan Venkat@RohanV
デリー警察(インドの中央政府によって管理されている)が、インドのTwitterのオフィスを強制捜索しています。BJPが支配する中央政府は、Twitterが党のプロパガンダを「操作されたメディア」とラベル付けしたことに不満を持っているからです。

Tanvi Madan@tanvi_madan
インドは国際社会、特に米国からの優先的な援助を求めているので、これはインドが目前の本当の問題に力を入れていることを彼らに納得させる1つの方法ではないかと私は思います。

ANI@ANI
デリー警察の特別捜査班が、デリーにあるTwitter Indiaのオフィスで捜索を行っています。詳細が待たれます。

Raman Chima@tame_wildcard
与党の広報担当者のツイートを「操作されたメディアを含んでいる」とラベル付けすればどうなるか。連邦政府はデリー警察の特殊部隊を首都圏にある御社のインド子会社のオフィスに送り込み、思い知らせてくれるでしょう。

あからさまな権威主義ですね。

Bar & Bench@barandbench
デリー警察がデリーのラド・サライとグルグラムにあるTwitter Indiaのオフィスを家宅捜索したとANIが報じています。

Raheel Khursheed@Raheelk
これが悲劇でないなら不可解だ。デリー警察は、@TwitterIndiaのオフィスには物理的にデータが保存されていないことを知っているのだから、家宅捜索の目的は脅迫に他ならない。

今回の動きがあったのは、TwitterとFacebook(フェイスブック)に、インドのソーシャルメディアを規制する新ガイドラインに準拠する期限が目前に迫りつつある時期のことだった。

インド政府は両社に対する新たな通告の中で「IT規則に従わない場合、仲介業者(intermediary)としての地位や保護を失う可能性がある」と警告している。

今回の出来事は、ここ数カ月の間、インド政府との平和的関係を維持するのに苦労してきた米国企業にとって、新たな頭痛の種となっている。

Twitterは2021年初め、インド政府の要請に一時的に応じた後、政府の政策やNarendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相に対する批判的なツイートを投稿したアカウントを復旧させたことで、政府から非難を浴びた。

インド政府が2021年4月、TwitterとFacebookに対して、新型コロナウイルス感染流行に対する政府の対応に批判的な投稿を削除するよう命じたため、両者は再び公の場で対立することになった。

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)