印大手ソフトウェア企業Wiproが英国の技術コンサルタント会社Capcoを約1576億円で買収すると発表

Wipro(ウィプロ)は、英国の技術コンサルタント会社Capco(カプコ)を、14億5000万ドル(約1576億円)で買収することで合意に達したと、現地時間3月4日に発表した。このインドの大手ソフトウェア輸出会社は、欧州とアジアで顧客を獲得しようとしている。

Wiproは米国を最大の市場としているが、この2社は「補完的なビジネスモデル」を共有すると述べている。買収は2021年6月末までに完了する予定だという。

ロンドンに本社を置くCapcoの顧客には、グローバルな金融サービス業界における「多くの有名企業」が名を連ねており、その中には銀行、資本市場、資産管理、保険部門の「取締役会や経営役員」が含まれていると、Wiproはインドの証券取引所に提出した書面(PDF)で述べている。

1998年に創設されたCapcoは、約5000人のコンサルタントを雇用し、20年前に投資家から約8000万ドル(約87億円)を調達した。同社は「その深い領域とコンサルティングの専門知識、リスクと規制への対応、そして業界の主要なテクノロジーの課題と機会に関する思想的リーダーシップで広く認知されています。加えて、エネルギーおよび商品取引分野の顧客にサービスを提供しています」と、両社は共同プレスリリースで述べている。

Wiproの証券取引所提出資料のスライド(画像クレジット:Wipro)

「WiproとCapcoは、最上級のコンサルティングとテクノロジーの変革、そしてオペレーションをお客様に提供することができます。WiproとCapcoは補完的なビジネスモデルと、核となる指導的価値観を共有しており、Capcoの新しい仲間たちは、誇りを持ってWiproをホームと呼んでくれると確信しています」と、2020年Wiproのトップに就任したCEO兼マネージングディレクターのThierry Delaporte(ティエリー・デラポート)氏は述べている。

デラポート氏の前任としてWiproを4年間率いてきたAbidali Neemuchwala(アビダリ・ニームフワラ)氏は、2020年までに150億ドル(約1兆6300億円)の企業になるという同社の目標を達成できなかった。2020年3月末の同社の収益は81億ドル(8800億円)だった。

新たなリーダーシップの下、Wiproは欧州とアジアでの顧客獲得を加速させている。同社は2020年、欧州のクリーンエネルギー企業であるFortum(フォータム)やE.On(エーオン)からの受注を獲得した。Wiproは企業買収も視野に入れていると公言してきた。

「私たちはともに、今後さらに規模が拡大する革新的なテクノロジーを駆使して、変換をもたらすエンドツーエンドのソリューションを顧客ごとに提供し、金融サービス業界をリードする新たなパートナーとなることを目指しています。両社の補完的な能力と類似した文化を活用して業界の変革を推進し、顧客と社員の双方にエキサイティングな機会を提供できることを楽しみにしています」と、CapcoのCEOであるLance Levy (ランス・レヴィ)氏は声明の中で述べている。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Wipro買収インド

画像クレジット:Thierry Falise / LightRocket / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テスラが大規模なエネルギー貯蔵プロジェクト施設をテキサスに建設と報道

Elon Musk(イーロン・マスク)氏は、大規模なバッテリー施設の野望をローンスターに持ち込もうとしている。

テキサス州の公益事業委員会(Public Utilities Commission of Texas)への申請書などの文書によると、これまで知られていなかったTesla(テスラ)の子会社がテキサス州アングルトンにて、100MWのエネルギー貯蔵プロジェクトの建設に取り組んでいるという。この文書を最初に報じたのはBloomberg(ブルームバーグ)で、これまで知られていなかった同子会社とTeslaを結びつけた。

Gambit Energy Storage LLCは2020年6月、テキサス州の電力会社を監督する規制機関であるテキサス州公益事業委員会に申請を行った。TechCrunchが閲覧した申請書によると、Gambitはテキサス州エネルギー信頼性評議会(Energy Reliability Council of Texas)の送電網で電力のホールセールとグリッドバランシングサービスを提供する意向だという。このプロジェクトはガルベストンから西に約50マイル(約80キロメートル)のメキシコ湾岸に近い町アングルトンで計画されている。

Bloombergの報道によると、このプロジェクトの商業運用の開始予定日は2021年6月1日となっている。

テキサス州の送電網は22021年月中旬以降、北極圏の未曾有の大規模な異常気象によりピーク時には送電網全体の発電容量の3分の1以上となる46万MWの電力が遮断され、監視の対象となっている。この災害により数百万人のテキサス州民が、数日間も氷点下の環境にさらされた。ERCOTの取締役会はCEOを解任し、PUCTの議長は大惨事を受けて辞任し、テキサス州の州都の議員たちは同州の電力市場運営の大規模な変更を検討している。

TeslaはすでにCalifornia Utilities Southern California EdisonおよびPG&Eとバッテリーストレージシステムの契約を結んでいるが、これは同社にとって他の場所での初の大規模プロジェクトとなる。

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カテゴリー:その他
タグ:Teslaバッテリー

画像クレジット:David Paul Morris / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:塚本直樹 / Twitter

ハイテク株の下落が続く、被害はソフトウェアやインシュアテックも含む広範囲に

米国時間3月5日、これまで高値を維持していたソフトウェア会社の株さえもが下落し、ハイテク株がさらに打撃を受けた。

1年間太陽の下で楽しんできたセクターにとって、最近の取引は市場の崇拝期間に穴を開けるものだ。市場がハイテク株の評価を見直しているというのは早計だが、今回の下落は重要なポイントに達しており、注意しなければならない。

関連記事:再び上昇するSaaSの評価額に何が起きているのか?

この記事を書いている時点で、ハイテク株の多いNASDAQ総合指数は、前回の下落に続いてこの日も1.2%下落している。今や有名になったアークイノベーションETF(上場投資信託)は6.5%下落しており、テックセクターで注目すべき下落銘柄のリストは非常に長くなっている。

市場心理の変化は、最近の結果を見ても明らかだ。ここでは、テック系のNASDAQ総合指数を見てみよう。

NASDAQ総合指数の52週高値:14,175.12
米国時間3月5日のNASDAQ総合指数:12,561.13
変動率:-11.4%

そしてSaaSやクラウド株だけで考えると被害は激化する。この分野を追跡しているBessemer cloud index(ベッセマー・クラウドインデックス)を見てみよう。

ベッセマー・クラウド・インデックスの52週高値:2,884.23
米国時間3月5日のベッセマー・クラウド・インデックス:2,185.62
変動率:-24.2%

簡単に言えば、NASDAQは玉整理に入っており、SaaS株は弱気相場の領域に達しているということだ。両者とも最近の高値維持から大きく転換した。

ソフトウェアだけではない

米国時間3月4日のTechCrunch編集室では、もう1つのネオ保険会社であるHippo(ヒッポ)の株式公開を前に、インシュアテック(保険テクノロジー)株の価値が急落していることを指摘した記事が書かれていた。

SPAC主導によるHippoの株式上場は、ウォームマーケットに着地しないだろう。米国時間3月5日の同時代の企業は以下のようになっている。

Lemonade(レモネード)の52週高値:188.30ドル
Lemonadeの現在の株価:84.72ドル
変動率:-55.0%

Root Insurance(ルートインシュアランス)52週高値:29.48ドル
Root Insuranceの現在の株価:12.38ドル
変動率:-58.0%

MetroMile(メトロマイル)の52週高値:20.39ドル
MetroMileの現在の株価:10.04ドル
変動率:-50.8%

被害は広範囲に及ぶ。最近のIPOの成功事例であるSnowflake(スノーフレーク)は米国時間3月4日、収益が前年同期の8800万ドル(約95億5000万円)から、直近の四半期では1億9000万ドル(約206億円)に成長したと発表した。そして、その株式は翌日、7%以上下がっている。

この評価の変化がほんの一過性のものなのか、それとも風向きが落ち着いた変化なのか、その判断は読者におまかせする。しかし、外部ではまた違った反応が見られる。

スタートアップ企業にとって、これらはすべて悪いニュースだ。2020年には好調だった企業価値が、2021年にその輝きが失われると、後期ステージの価値が圧縮される可能性があり、シリーズAやBラウンドでは成長を続けたスタートアップの上昇傾向が制限されることになるかもしれない。しかし、そのような影響は市場には及ばないため、まだ状況が変わると判断するのは早いだろう。

それでも、すべての個人投資家は、自分たちの案件についてはイグジットに目を向けている。そのイグジットが突然縮小した場合、次の投資では非常に多くの利益を得ることに関心が向く可能性が高くなる。

カテゴリー:その他
タグ:インシュアテック株式市場SaaS

画像クレジット:Hiroshi Watanabe / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テキサスの大寒波はテック企業の移転を阻むか

オースティンは穏やかな冬の気候で知られているが、米国時間2月12日、テキサス州に大寒波が襲来し、氷点下の気温が1週間以上続いた。同州の何百万人にもおよぶ住民が停電や断水、またはその両方の影響を受けるという州全体での災害となった。

死亡者や物的損害、経済活動の損失の正確な数字が出るには早過ぎるが、今回の災害は多方面で破滅的な影響を与え、その影響は長引くことだろう。オースティン地区では今週、病院でさえも断水となった。これは現状がいかに最悪かを示している。

私の家でも、断続的な停電になっている。2月17日には断水し、いつ回復するのか見当もつかなかった。私よりも困窮している人々は他にたくさんいると思う。ここでは同情を買うようなみじめな経験は割愛するが、トイレを流すために雪や氷を温めて使ったり、わずかに残っていたペットボトルの水を制限しながら飲んだり、配管の凍結や破裂を恐れながら生活した。少なくとも私の家ではこの数日間、暖をとれているが、未だに停電の家は多い。

その一方で過去数カ月(実際は何年間も)、オースティンは別のニュースで見出しを賑わせていた。非常に多くのテック企業や、あのElon Musk(イーロン・マスク)氏を含む創業者、投資家が本社を移動(Oracle)させている他、大きな工場(Tesla)やオフィス(Apple、Google、Facebook)を建築するか、完全な移転を考えているのだ。

州に所得税がないことと、住居 / 土地 / オフィスがベイエリアに比べると安価であることが多くの人を引き付けている理由だ。これは今に始まったことではないのだが、パンデミックによってリモートワークが奨励・強制される中でさらに加速したかたちだ。

このようなメリットによりテキサスは企業にとってかなり魅力的な州となったが、皮肉なことにこれは危機にも繋がってしまった。税金が少ないということは、まずインフラストラクチャに費やせる金額も少ないのだ。

だがそれだけではない。他の多くの州は、テキサス州で現在起こっている停電や断水を発生させることなく、氷点下の天候をしのいできている。The Washington Post(ワシントンポスト)で先に報道されたように、同州の電気料金の規制撤廃によって「電力会社が冬に備えることができるようなインセンティブを設けない発電の財政構造ができた。批評家によると、規制撤廃と自由市場によって、テキサスには信頼できるサービスよりも安い価格を強調した配電網ができてしまったとされている」。

マスク氏でさえTwitterで不満をあらわにしていた。

テキサスには、この新しい危機への対応、つまり準備不足と管理不行き届き(クルーズ上院議員、あなたのことです)の両方への批判が殺到したと言えるが、この1週間の事象により、テック企業と投資者の移転先の可能性としてのオースティンの魅力はなくなったのだろうか?これによって人々はここに引っ越したいと思わなくなるのだろうか?焼けつくような夏の熱さのためにここに引っ越したくなかった人々が、大寒波の影響を受けて、この街や州への扉をぴしゃりと閉めているのであれば、これもまた皮肉な話ではないだろうか?

この状況下、積極的なテック系レポーターなら誰でもするであろうことを、私もTwitterを使って行った。結果はほぼ予想どおりで、どちらサイドにもさまざまな熱い意見があった。

オースティン在住者からの、街を擁護し、危機的状況で住人がどのように一致団結したかを褒め称えるツイートが多く見られた。

そしてかつては住んでいたが状況にうんざりして失望した人からのツイートもあった。

また中には、テキサスへの引越しはもう決して検討しないとツイートした人や、準備不足に幻滅したとツイートした人もいた。

そしてここに住んではいないが、この災害は人々を遠ざけるには十分だったという考えを言い放った人や、自然災害はどこでも起こり得ると指摘した人もいた。

またこの災害は「カリフォルニアの人々を遠ざける」ための策略として計画されたとか、少なくともその効果はあったといったジョークも見られた。

私は東海岸、西海岸、湾岸で暮らしたことがある。それぞれにプラス面とマイナス面があり、またこの危機が人々のテキサスへの移住を止める抑止力になるとは思わない。しかしテキサスは電気料金の規制撤廃を決めた時点で、もっと十分に準備ができたはずだと私は思う。この街や州で暮らす人々が直面しているあらゆる苦労に心が痛み、今すぐにでも、新型コロナのパンデミックへの対応が唯一の危機であった「通常」に戻ることを願っている。こんなことを願う日がくるとは思ってもみなかったが。

コンピューター技術者の移住によって、将来、同様の災害を防げるかもしれない解決策ができることに期待したい。

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カテゴリー:その他
タグ:テキサス自然災害

画像クレジット:Carlos Alfonso / Unsplash under a license.

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Dragonfly)

柔軟な保険を提供する独インシュアテックHepsterがシリーズAで10.8億円調達

ドイツのインシュアテックプラットフォームであるHepster(ヘプスター)は、Element Venturesが主導するシリーズAラウンドで1000万ドル(約10億8000万円)を調達した。また、Seventure Partners、MBMV、GPS Venturesや、既存投資家も参加した。この資金は、自動化に重点を置きながらHepster保険エコシステムとそのネットワークを拡大するために使う。

ドイツの保険市場は新しいやり方が採用されるのが遅いことで有名だ。Hepsterはこの状況を利用するドイツの保険スタートアップとして、新しい波の一翼を担う。Hepsterを利用すれば、企業は個々のサービスや業界のニーズに合わせて保険契約をゼロから構築できる。例えばeコマースプレイヤーはHepsterが提供するような保険商品をeコマースの旅に組み込むことができる。

したがって、同社の製品は新しいセクターにより適している。例えばドイツの従来のブローカーがカバーすることが滅多になかったようなeバイクのシェアやピア・ツー_ピアレンタルプラットフォームなどだ。ただし、Hepsterは従来の確立された業界にも対応している。

同社には現在700を超えるパートナーがいる。欧州の自転車小売とレンタルを行うGreenstorm MobilityやBaron Mobility、ベルリンを拠点とするカーゴバイクプロバイダーのCitkarやミュンヘンのeバイクスタートアップSUSHIなどだ。

Hepsterの共同創業者でCEOのChristian Range(クリスチャン・レンジ)氏は、声明で次のように述べた。「API主導のエコシステムを備えた最先端のテクノロジーと高度なサービス指向のアプローチにより、私たちは他社とは一線を画しています」。

「ドイツは最もタフな市場であり、最も多くの規制、最も多くの法律があります。ドイツには『ドイツで上手く行くならどこでも上手くいく』という表現があります。また、ドイツ人はあらゆる意味で保険が大好きなので、保険商品の販売という点では大きな市場です。したがって、ドイツには大きな市場の可能性があると思います」とレンジ氏はインタビューで語った。

Element VenturesのパートナーであるMichael McFadgen(マイケル・マクファジェン)氏は次のように述べた。「新しい業界やビジネスモデルが出現するにつれ、企業は従来のブローカーが現在提供してきたものよりもはるかに柔軟な保険の提案を必要とするようになっています。Hepsterはこの分野で突出した企業です。組み込み保険に注力することにより、今後数年間で見返りがあると思われます」。

カテゴリー:その他
タグ:Hepster保険ドイツ資金調達

画像クレジット:Hepster

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nariko Mizoguchi

三人三様、中国のテック巨人CEOが国会の年次総会で提案すること

中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代、NPC)とその国政助言機関、人民政治協商会議(政協、CPPCC)の年次総会が今週、北京で開催されている。数千人の代表が出席し意見を述べる中には、中国のビッグテックの経営トップも含まれている。ここでは、中国のデジタル経済のためにテック大手のボスたちが何を提案しているか、垣間見ることができる。

Tencent、Pony Ma(ポニー・マー、馬化騰)

中国国営の人民郵電報の報道によると、Tencent(テンセント)の創業者兼CEOである馬氏は、軌道に乗り始めた同国のインターネット経済の発展のためには、規制当局による精査がさらに必要であると述べ、ガバナンス強化を訴えた。全人代の代表として、馬氏は9年連続で出席した国会の会議中に合わせて50以上の提案を提出している、と同ニュースは報じた。

具体的には、P2P金融、バイクシェア、長期賃貸アパート、オンライン食料品のグループ購入など、資金流出の激しい競争の中でビジネスが破綻している新興分野の厳格なガバナンスを求めている。

馬氏の意見は、規制当局が国内の巨大テック企業への監視を強めている中でのことだ。ここ数カ月の間に、中国政府は反競争的な慣行をめぐってAlibaba(アリババ)や他のテック企業への調査を開始し、プラットフォームがユーザー情報を収集する方法を制限する包括的なデータ法を策定している。

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Xiaomi、Lei Jun(レイ・ジュン、雷軍)

製造業のバリューチェーンで地位向上を目指す中国の壮大な計画の中で、スマートフォンや他のハードウェアデバイスを多数製造しているXiaomi(シャオミ、小米科技)は、工場のアップグレードを支援することに熱心に取り組んでいる。

XiaomiのCEOである雷氏は、全人代の代表の1人だ。同氏は中国はスマートマニュファクチャリングで遅れをとっており、自国のイノベーションに欠け、外国の技術に過度に依存していると認識している、と提案書の中で述べている。研究開発の努力は、最先端のセンサーや産業用ロボット用の精密減速機などの重要部品に向けられるべきだ、とも。

また、中国には工場のイノベーションを推進する人材が不足しており、政府の政策は企業が外国人の技術者を誘致し、産学連携を促進することを支援すべきであると雷氏は指摘している。

Baidu、Robin Li(ロビン・リー、李彦宏)

中国最大の検索エンジンを提供するBaidu(百度)は、AIへのピボットの一環として、スマートドライビング技術に多額の投資を行っている。アルゴリズムを訓練するために大量のデータを必要とするBaiduのような自律運転企業にとって、規制は大きなハードルとなっており、試験許可証の発行率は地域によって大きく異なる。

BaiduのCEOで政協のメンバーでもある李氏は、規制当局に対し、より革新的になり、自律走行の合法的かつ大規模な商用化への道を切り開くよう促している。自律走行の商用化を一丸となって推進するために、さまざまな政府機関、業界関係者、学界が連携した仕組みを作るべきであると同氏は述べた。

さらに李氏は、中国では、よりシニアに優しい技術、政府のデータへの一般アクセスの拡大、未成年ユーザーのオンライン保護の改善も呼びかけた。

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カテゴリー:その他
タグ:中国TencentXiaomiBaidu

画像クレジット:VCG/VCG via Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

会員制捜索ヘリサービス「ココヘリ」を運営するAUTHENTIC JAPANが総額2億2000万円の資金調達実施

総額2億2000万円の資金調達を実施

総額2億2000万円の資金調達を実施

会員制捜索ヘリサービス「ココヘリ」を運営するAUTHENTIC JAPANは3月5日、第三者割当増資による1億5000万円の資金調達を行ったと発表した。引受先はUNICORNファンド投資事業有限責任組合と西日本新聞社、NCBベンチャー投資事業有限責任組合の3者で、日本政策金融公庫による7000万円の借入を合わせ、今回の調達総額は2億2000万円となった。

ココヘリは、山で遭難などが発生したとき、発信機型会員証と全国エリアの捜索ネットワークで会員の居場所を正確に把握し、位置情報を救助機関に引き継ぐ会員制捜索ヘリサービスだ。捜索は3回のフライトまで無料で、会員数は3万人を超えている。スタンダードプランは初年度の年会費が3650円で、以後5000円となる。プランにはスマホでの捜索機能や個人賠償責任制度、アウトドア用品保障が付いている。

ココヘリサービスで使用する発信機(会員証)は同社が開発し、専用アンテナを使えば最長16キロメートル先の遭難者の電波を捉える。山間部でもピンポイント、短時間で発見できる上、積雪時でも探し出すことができるという。全国34都道府県の警察、消防が導入している。

また、ココヘリによるこれまでの捜索案件28件中24件を解決した。未解決となった4件のうち1つは原因が不明だったが、1つは発信機の不携帯、2つは電源の入れ忘れと、サービスは高い捜索実績を持つ。

山岳遭難の捜索現場で実績を築いてきた同社は2020年11月に、捜索エリアを山から街に拡大し、年々増加する自然災害への対策として、災害特化捜索サービス「ココヘリタウン」をリリースした。今回の資金調達で、とくに自然災害の多い九州エリアでココヘリタウンのサービス展開を促進していく考えだ。

ココヘリタウンは、ココヘリ発信機(会員証)などを所有している人が行方不明になった場合や、救助を待っているときなど、上空から発信機の電波を捉える捜索ヘリコプターを有料でチャーターすることできる。自然災害に限らず、外出先での失踪や迷子、徘徊などでも出動するという。ココヘリと同様に、発信機による位置特定を行った後、救助機関に情報を引き継ぐサービスとなっている。

ココヘリタウンによるヘリチャーター料金の目安は1時間あたり20万円からとなる。価格は民間のヘリの場合で、警察や消防がヘリを動かす場合は費用がかからないこともある。

英競争当局がアップルのApp Store独禁法調査を開始

Apple(アップル)はiOS App Storeについて欧州で新たな独占禁止法の調査に直面している。

英国の競争・市場庁(CMA)は現地時間3月4日、デジタル部門での不平等な条件とその結果についてデベロッパーからの数多くの苦情を受けて調査を開始した、と発表した

「CMAの調査は、Appleが英国においてAppleデバイスでのアプリ配信で支配的な地位にあったかどうかを考慮します。もしそうであるなら、Appleが不公正あるいは反競争の条件をApp Storeを使っているデベロッパーに課し、結果的にユーザーが選択肢を失ったりアプリやアドオンに高い料金を払うことになったのかが焦点となります」とプレスリリースで述べられている。

「これは調査の始まりに過ぎず、Appleが違反しているかどうかまだ決定は下されていません」と付け加えた。

声明の中で、CMAのトップAndrea Coscelli(アンドリア・コシェリ)氏は次のように述べた。「何百万という人が天気をチェックしたり、ゲームしたりあるいは持ち帰りを注文したりと毎日アプリを利用しています。Appleが不公正だったり競争や選択を阻害するような条件を課すのに市場での地位を使っているという苦情について、これは結果として顧客がアプリを購入したり使ったるする際に不利益を被っているかもしれず、注意深く精査します」。

Appleの広報担当は、CMAの調査開始に対し次のような声明をTechCrunchに出している。

当社は顧客が好きなアプリをダウンロードできる、そしてデベロッパーがすばらしい事業機会を得られる、安全で信頼できる場所としてApp Storeを作りました。英国だけでもiOSアプリの経済は数十万人の雇用を支えており、すばらしいアイデアを持っているデベロッパーは世界中のAppleの顧客にリーチできます。

あらゆるすばらしいアイデアが溢れている、活気があり競争が展開されているマーケットを当社は信じています。App Storeはアプリデベロッパーにとって成功のエンジンであり続けました。これは部分的には顧客をマルウェアから守り、同意なしの顧客データ収集の横行を防ぐために当社が定めている厳格な基準によるものです。基準はすべてのデベロッパーに公正平等に適用されます。当社のプライバシー、セキュリティ、コンテンツに関するガイドラインがいかにApp Storeを消費者とデベロッパーの両方にとって信頼できるマーケットプレイスにしてきたかを説明するために、英国の競争・市場庁に協力することを楽しみにしております。

EUは音楽ストリーミングサービスSpotify(スポティファイ)による2019年の苦情申し立てを受けて、すでにAppleの事業の多くの要素について独禁法調査を行っている。EUは2020年夏にApp StoreとApple Payについての調査を発表していた。

米国の議員もまたテック大企業に対する主要な独禁法調査の一環としてAppleを問いただしてきた。アリゾナ州ではちょうど、AppleとGoogle(グーグル)にそれぞれのスマホストアでサードパーティの決済オプションを認めることを強制する目的の法案に進展があった

一方、EUのAppleに対する調査はまだ継続中だ。ビデオゲーム開発のEpic Games(エピックゲームズ)は、Appleがデベロッパーに課している不平等な「税」と呼ぶものについてAppleと激しい論争を展開してきたが、2020年2月に欧州委員会に苦情を申し立ててEUの調査に加わろうとした。

関連記事:フォートナイトのEpic Games創設者、Appleとの闘争を公民権運動に例えて語る

Epicは以前、同様の苦情を英国でも申し立てた。なので同社はCMAが引用した不満のあるデベロッパーの1社だ。

英国はEUから離脱したことから、CMAは英国の当局として重要な役割を担うようだ。ブレグジット後、コミッションとして同じ問題を自由に調査できる(一方、EUの規則では各国の当局は重複を避けることが求められる)。

英国がEUの当局よりすばやく動くことができれば、テック大企業に適用する基準を形成する機会を得るかもしれない(CMAは3月4日「グローバルな懸念」と表現したものに取り組むためにEUや他の当局と「引き続き緊密に連携を取る」と述べた)。

また英国は2020年秋に、テック大企業のマーケット支配力に取り組むことを目的とする、競争促進の規制体制を確立する計画を発表した。これはCMAが実施したオンラインプラットフォームとデジタル広告についての主要な市場調査を受けてのものだ。CMAは2020年12月に規制体制の確立を政府に提言している

「現在の執行力を補うことになる提言についてCMAは政府と協業している一方で、こうした分野における競争を保護するために既存の力を引き続きフル活用します」とCMAは述べた。

「我々の継続中のデジタルマーケット調査ではすでに懸念すべきトレンドがいくつか見つかっています」とコシェリ氏は付け加えた。「もしテック大企業による反競争のプラクティスが野放しにされれば、事業者そして消費者が実害に苦しむことになります。だからこそ、我々は新たな機関Digital Markets Unitを設置し、必要に応じた新たな調査の立ち上げで前進しています」。

テック大企業を狙った最近の他の動きでは、CMAはGoogleのサードパーティ追跡のクッキーを廃止する計画について調査を開始した。またUberが予定している英国拠点のSaaSメーカーAutocabの買収についても調査を始めた。

関連記事:UberのAutocab買収を英国の競争監視当局が調査

CMAは2020年のオンライン広告マーケットについての最終レポートの中で、GoogleとFacebook(フェイスブック)のマーケット支配力はあまりにも大きく「広範で自己強化」の懸念と要約したものを解決するために、新しい規制アプローチと専従の監視機関が必要との結論を出した。間もなく立ち上がるDigital Markets Unitはテック大企業に対する英国の当局対応の主要部分を担う。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Appleイギリス独占禁止法App StoreEU

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

中国のD2Cコスメブランド「完美日記」のYatsenが創業35年の名門スキンケアブランドEve Lomを買収へ

中国のコスメ市場では歴史的に見ると海外ブランドが崇拝されてきたが、近年は中国国内のスタートアップがより安価でローカライズされたオプションを提供して、Z世代の消費者を獲得することが増えている。その中でも特に注目されているのが、設立5年のスタートアップYatsen(逸仙控股)が所有するD2Cブランド「Perfect Diary(完美日記)」だ。

Yatsenは2020年11月にニューヨーク証券取引所(NYSE)で6億1700万ドル(約660億円)のIPOを行い、資本市場にその存在を知らしめた。同社の主力ブランドであるPerfect Diaryは、オンライン売上高では、L’Oréal(ロレアル)や資生堂に次ぐトップメイクアップブランドとして常にランクインしている。そして今、同社は新たに、英国のプライベートエクイティ企業Manzanita Capitalが所有する創業35年のスキンケアブランドEve Lom(イヴロム)の買収に乗り出すという、大きな動きを計画している。

中国時間3月3日、中国革命の父である孫文(孫逸仙、広東語ローマ字表記Sun Yat-sen)にちなんで名づけられたYatsenは、クレンザーで知られるEve Lomを買収するための最終契約を締結したと発表した。この取引は数週間以内に成立する見込みで、Manzanitaは少数株主として同事業に参画し続け、戦略的パートナーとしての役割を果たすという。

取引の規模は非公開だが、2021年2月にBloombergは、Manzanita Capitalが2億ドル(約214億円)程度でEve Lomを売却しようとしていると報じていた。

Perfect Diaryは口紅、アイシャドーパレット、ファンデーションなどの商品をXiaohongshu(小紅書)などのソーシャルコマースプラットフォームでレビューする多数のインフルエンサーと提携し、中国での知名度を上げてきた。また同社は、中国で豊富に存在する化粧品やパッケージのサプライヤーの多くが国際的なトップブランドと提携しているという利点を活かしている。これらの戦略により、Perfect Diaryは品質に妥協することなく手頃な価格を提供し、「Xiaomi(シャオミ、小米科技)のコスメ版」というあだ名を得ている。

Yatsenは創業以来、飛躍的な成長を遂げてきた。効果的なEC戦略のおかげで、2019年の総売上高は2018年から4倍以上の35億元(5億4000万ドル、約578億円)になった。しかし、損失も膨らんだ。同社は2020年9月までの9カ月間に11億6000万元(1億7000万ドル、約182億円)の純損失を計上したが、前年同期には2910万元(約4億8000万円)の純利益を計上していた。

目論見書に記載されているように、Yatsenは製品ポートフォリオの多様化を図るため、買収の可能性を模索してきた。Eve Lomとの縁組により、同社は「グローバルなブランド構築能力と提供する商品をより豊かにしていきたい」と、Yatsenの創設者兼CEOであるJinfeng Huang(黄金峰)氏は声明の中で述べた。

Yatsenはすでに国際展開を開始しており、まず東南アジアに上陸し、Shopee(ショッピー)のようなeコマースサイトで販売している。同社は目論見書の中で、今後は「国際的な拡大を加速し、製品をローカライズするために、現地パートナーと選択的に協力していく」計画だと述べていた。確立されたブランドが多く競争の激しいメイクアップコスメ業界で、Yatsenの海外市場での冒険はこれから間違いなく注目に値する。

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カテゴリー:その他
タグ:Yatsen買収美容中国

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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

小規模メーカーと大手建設業者を結ぶInfra.Marketが106億円調達、インドの最新ユニコーンに

インドで最新のユニコーン企業になったのは、世界で2番目に人口の多い同国の建設・不動産会社が資材を調達し、プロジェクトの物流を管理するのを支援するスタートアップだ。

設立4年目のInfra.Marketはインド時間2月25日、Tiger Globalが主導するシリーズCラウンドで1億ドル(約106億円)を調達したと発表した。Foundamental、Accel Partners、Nexus Venture Partners、Evolvence India Fund、Sistema Asia Fundなどの既存投資家もこのラウンドに参加し、同社を10億ドル(約1063億円)と評価した。

この新しいラウンドは、Infra.Marketのこれまでの調達総額を約1億5000万ドル(約159億円)に引き上げるもので、ムンバイに本社を置く同スタートアップがシリーズBラウンドを終了してからわずか2カ月後のことだ。同社は2020年12月のラウンドではポストマネーで約2億ドル(約212億円)の評価を受けていたと、この件に詳しい人物がTechCrunchに語った。この新ラウンドについて、Avendus CapitalがInfra.Marketにアドバイスを提供したという。

Infra.Marketは、塗料やセメントメーカーなどの小規模事業者が生産品質を向上させ、さまざまなコンプライアンスに対応できるように支援している。同社は、品質の低下がないことを保証するために、これらの小規模企業の製造設備にロードセルを追加し、さらにより良い原料を提供し、価格設定のガイダンスを提供できる他の企業との連携を支援している。また同社は企業と緊密に連携して、納期どおりに納品が行われるように保証している。

共同設立者のSouvik Sengupta(ソヴィク・セングプタ)氏は、このような改善により小規模製造業者は、取引先に対する期待度が高いより大口の顧客を獲得することが可能になったと説明している。同氏によると、Infra.Marketは小規模メーカーがインド国外の顧客を獲得するのにも役立っているという。同社のクライアントはバングラデシュ、マレーシア、シンガポール、そしてドバイにも存在する。

12月のTechCrunchのインタビューに対しセングプタ氏はこう語った。「当社は、これらの小規模製造業者にサービスレイヤーを提供し、彼らのビジネスを成長させることを可能にしています。当社はアセットを所有していませんが、プライベートブランドを作っています」。Infra.Marketは170社以上の小規模メーカーと提携しており、Larsen & Toubro、Tata Projects、Ashoka Buildconのような大手建設・不動産会社の大半を顧客としている。セングプタ氏によると、同社は400社以上の大口顧客と3000社以上の小規模小売業者に販売しているという。

セングプタ氏は12月に、2020年の初めにパンデミックが発生する前、同社はARR(annual recurring revenue、年間経常収益)1億ドル(約106億円)を叩き出す軌道に乗っていたと語った。少なくともパンデミック初期の2カ月間は、同社のビジネスはほぼ半減したという。しかし、同社は再びペースを取り戻し、現在は1億8000万ドル(約191億円)のARRを達成する見込みだ。同社はさらに、この数字を3月までに3億ドル(約318億円)に成長させることを目指している。

Tiger Global ManagementのパートナーであるScott Shleifer(スコット・シュライファー)氏は声明の中で、次のように述べた。「インドの建設資材サプライチェーンを再形成しつつあるInfra.Marketの成長の旅路において、ソヴィクとアーディータ(共同設立者Aaditya Sharda、アーディータ・シャルダ氏)と提携することができ光栄です。先駆的な技術革新とプライベートブランドを統合する能力を持つInfra.Marketは、力強い成長と健全な経済性、収益性を備えています」。

また、セングプタ氏は25日、次のように付け加えた。「インフラや不動産企業は、一貫した品質を確保し、遅延を最小限に抑えるために調達をシフトしようとしているため、需要は急速に加速しています」。

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画像クレジット:Dibyangshu SARKAR / AFP / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:TechCrunch Japan)

まだまだ有効なダイレクトメールをデジタルで効果的に管理するLobが50億円を調達

Lobは、企業が従来の郵便物をもっと迅速に低費用で、しかも、もっと個人化(パーソナライゼーション)をともなって送るための手助けをする。

同社の推計によると、米国で各世帯に配達される郵便物の2つに1つは同社のサービスが使われているという。そして米国時間2月24日、同社は、シリーズCで5000万ドル(約53億3000万円)を調達したことを発表した。

CEOのLeore Avidar(レオーレ・アビダール)氏によると、彼はHarry Zhang(ハリー・チャン)氏とともに10年前にLobを作り「郵便物をプログラミングによって送ること」を目指した。その後同社はエンタープライズに特化するようになり、現在の8500社あまりの顧客の中にはTwitterやExpedia、Booking.comなどがいるが、中小企業向けのプロダクトを提供することは、ずっと念頭にあるという。

アビダール氏の説明では、デジタルの時代にはLobが顧客のためにサポートを続けるべき郵便物の種類が2つあるという。1つは、規制やコンプライアンスのために送られる郵便物で、企業はそれらを印刷物で送ることが法的に決められている。2つ目は、マーケティングとして送られるダイレクトメールだ。Avidarによると、現在、多くの企業がこのダイレクトメールを再発見しつつある。

「マーケティングは常に、訴求が有効に働くためのユニークなチャネルを探している。いろんなチャネルの中で、現在はソーシャルが高い。GoogleのAdWordsなどはとても高額だ。郵便であれば簡単に取り止めもできるし、どんなにダイレクトメールが読まれてもビュー単価などを支払う必要がなく、需給に応じて料金が上がることもない」とアビダール氏はいう。

Lobによると、同社はダイレクトメールキャンペーンの実行時間を95%減らし、90日から1日以内にすることができる。印刷や投函に関しては、国中に張り巡らしたパートナーのネットワークがある。またPostPilotやPostalyticsのように、Lobを利用するマーケティングサービスもある。

同社のこれまでの調達総額は8000万ドル(約85億3000万円)だ。今回のシリーズCはY CombinatorのContinuity Fundがリードした。LobはYCのアクセラレーターを受講したことがあり、またContinuity Fundは同社のこの前の投資ラウンドもリードしてている

アビダール氏によると、2021年は同社の扱い郵便物の量を従来の3倍にしたいという。そのために、今回の資金で同社のPrint Delivery Networkを継続的に拡張、社員数を260人以上に増やしたいとのことだ。

YCのマネージングパートナーでLobの取締役でもあるAli Rowghani(アリ・ロウガニ)氏は、声明で次のように述べている。「LobはダイレクトメールのDXを先導している。それは地球上のすべての企業が利用してきたビジネスプロセスだが、長年、ソフトウェアにとってアンタッチャブルだった。Lobは、ダイレクトメールの費用を下げて配達可能性と追跡、報告とROIを改善するため、世界最大の送り主たちが重宝している。ダイレクトメールの最も複雑高度な送り主にとっても、LobのAPI駆動のプロダクトはレガシーなアプローチよりもはるかに優れている」。

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画像クレジット:Ron Watts/Getty Images

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hiroshi Iwatani)

カナダのコーヒーチェーンTim Hortonsが中国事業拡大でTencentなどから資金調達

カナダのコーヒーとドーナツのチェーンTim Hortons(ティムホートンズ)は中国事業向けに新たな資金を調達した。この投資ラウンドはSequoia Chinaがリードし、中国におけるTim HortonsのデジタルパートナーであるTencentとEastern Bell Capitalが参加した。Tim Hortonsは2年前にブームを迎えていた中国のコーヒー産業に進出した。

Tim Hortonsは最新の調達額を明らかにしなかったが、ソーシャルメディアへの投稿で資金はさらなる店舗展開、デジタルインフラの構築、ブランドプレゼンスなどに使うとした。

中国のソーシャルメディアエンターテイメント大企業Tencentは2020年5月に創業57年のTim Hortonsに初めて出資した。当時、両社のタイアップは  Tencentの最大のライバルであるAlibabaへの対抗措置だとみられていた。Alibabaは米国のコーヒー大手Starbucksが中国で事業を展開し、デジタル化を進めるのをサポートするために提携していた。

Tim HortonsのWeChat親会社とのコラボレーションは同じようなものだ。同社はこれまでのところ、インスタントメッセンジャーの中で動く軽量アプリの一種であるWeChatミニプログラムを通じて会員300万人を集めている。中国の若い消費者にアピールするために、Tim Hortonsは中国最大のゲーム会社であるTencentとeスポーツがテーマのカフェを開いた。

中国で事業を展開して2年が経つTim Hortonsは主要10都市150店舗を開き、店頭レベルでは黒字になっていると話す。2021年はさらに200店舗超を追加し、今後5年で中国で1500店舗を展開する計画だ。

コーヒーデリバリースタートアップのLuckinのドラマティックな躍進凋落は中国のコーヒーマーケットの見通しを前面に押し出した。Luckinや他のコーヒー会社をめぐる投資の熱狂にもかかわらず、米国やドイツのような国に比べると中国ではコーヒーを飲む習慣はあまり浸透していない。一方で、中国のコーヒー消費量は世界平均2%を優に上回る15%という割合で急増していて、Dongxing Securitiesの2020年レポートによると、2025年には1兆人民元(約16億円)のマーケットに達すると予想されている。

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画像クレジット:Tim Hortons via Weibo

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

立命館が学生向け社会起業家支援プラットフォームRIMIXを本格化、10億円規模のファンドを創設し起業を後押し

立命館は学生起業の支援に注力している

立命館は学生起業の支援に注力している

学校法人立命館は、学生起業を対象にした支援事業を本格化している。2019年に始めたばかりだが、ピッチイベントなど学生の活動にも熱を入れている。また、立命館は自らの資産だけで10億円規模のファンドを創設し、ソーシャルインパクトを踏まえて、長期的な視点で学生起業を後押ししている。この支援事業は、スタートアップのジレンマでもあるLP投資家に短期間でリターンを求められるといった構造と無縁のものだ。

社会起業家を目指す学生たちに手を差し伸べるRIMIX

「他の大学では真似できないことができるのではないか。立命館らしさを出していきたい」と立命館大学の酒井克也財務部次長兼人事部次長は語る。同氏は立命館による社会起業家支援プラットフォーム「RIMIX」の立ち上げ時から関わっている。

2019年9月にスタートしたRIMIXは「Ritsumeikan Impact-Makers Inter X(Cross) Platform」の略称となる。立命館は、立命館大学や立命館アジア太平洋大学のほか、付属の小中高、大学院まで一貫教育を行う私立総合学園だ。そのため、RIMIXの対象は主に立命館に所属する小中高大院までの学生やその卒業生となる。

同プラットフォームは、社会にインパクトを与える人=「社会起業家(Impact-Makers)」と位置づけている。単に起業家支援というよりも、教育機関としてSDGsをはじめとする社会課題を解決するために起業する学生らの支援に的を絞っており、ソーシャルインパクトをより重要視する。

またRIMIXでは、立命館で行う社会起業家を目指す人材やマインド養成から本格的な起業支援などの取り組みを、1つのプラットフォームとして見える化している。立命館のさまざまな教育プログラムを有機的に組み合わせ、ビジネスを通じて社会課題を解決するImpact-Makersを育成していく考えだ。さらにSony(ソニー)をはじめとした外部機関との連携も含め、起業までの道のりをしっかりと整えている。

ソニー×「総長PITCH CHALLENGE」

ソニーは、自社で行っているスタートアップの創出と事業運営を支援するプログラム「SSAP(Sony Startup Acceleration Program)」を通じてRIMIXと連携する。RIMIXは「総長PITCH CHALLENGE」というコンテストを主催している。学生たちは約半年間、「ワークショップ」「インプット」「ブラッシュアップ」の3段階に分けて、SSAPの支援を受けながら社会起業家を視野に入れたビジネスプランを作り上げ、ブラッシュアップしていく。

総長ピッチで学生は「起業」を学んでいった

総長ピッチで学生は「起業」を学んでいった

2020年の「総長PITCH CHALLENGE」には32チーム(87人)の応募があり、オーディション後、7チーム(17人)が最終決戦の舞台となるピッチイベント「総長PITCH THE FINAL 2020」に挑んだ。

最後のイベントとなる「総長PITCH THE FINAL 2020」は2020年12月19日に開催、その模様はオンラインで配信で配信されている。当日は、立命館大学学長も兼任する学校法人立命館の仲谷善雄総長のほか、Sony Startup Acceleration Programの副部門長小田島伸至氏、新生企業投資インパクト投資チームシニアディレクターの高塚清佳氏、ジャフコグループのパートナーである佐藤直樹氏ら、スタートアップ分野の第一線で活躍する面々を審査員に迎えた。チームにはピッチを行うための5分間と審査員による質疑応答の3分間が与えられ、それぞれのチームが努力の成果を披露した。

ここで、ファイナルの舞台に立った学生の声を紹介したい。

下着を通して性が多様であることが当たり前の世界の実現を目指す「KAKITSUBATA」の代表を務める立命館アジア太平洋大学国際経営学部3回生の安藤晶美さんは「参加前は起業に対する知識もなく、私のビジョンをどうカタチにすればいいのか悩んでいた。しかし参加してみると、起業までのインプットはもちろん、当事者へのインタビューや検証、商品サンプル作成まで進み、商品化の一歩手前までくることができた。この経験を糧に事業の実現に挑みたい」と振り返る。

同大学アジア太平洋学部2回生の三浦宗民さんは「総長PITCHで身につけた知識やスキルをさまざまな場面で活用して、『温もり』や『優しさ』といった目に見えない価値を世の中に広め続けていきたい」と話す。

三浦さんは、人から人へ感謝の物語を紡ぐ珈琲と手紙のセットで、思いやりが循環する社会の創出を目指す「ものがたり喫茶」の代表だ。「総長PITCHで資料作成やプランの順序といった知識を深めた上で、ブラッシュアップをしてもらい、事業の仕組みや規模感なども実践的に学ぶことができた。私たちだけでは気づけなかった視点や方向性を知ることは、今後の活動への良い刺激であり、貴重な経験になった」と振り返った。

総長ピッチのファイナルの舞台に立つ学生たち

総長PITCHのファイナルの舞台に立つ学生たち

酒井氏は「RIMIXは初め、小さな取り組みの1つだったが、総長ピッチによって学園内での認知度も高まりつつある」と期待を寄せる。

他にもマネーフォワードREADYFORコモンズ投資JAFCOSDGs Impact Laboratoryといった企業もRIMIXの取り組みに参画している。外部機関をの招聘は、教育機関だけではフォローできない具体的、実践的なノウハウを補完してもらうことが狙いだ。

立命館単独のファンドで長期的な支援を

10億円規模の立命館ソーシャルインパクトファンド(RSIF)は立命館のみの資産で創設され、単独LP投資家のようなカタチになっている。他のLPを入れるとリターンについての議論に陥ってしまいだが、RSIFは他のLPがいないため、RIMIXのプラットフォームにおける投資機能に集中することができる。酒井氏は「金銭的なリターン目線はやや抑え目であり、融通の利くスキームを取り入れている」と説明する。

ソーシャルインパクトも重要視した支援を図る

ソーシャルインパクトも重要視した支援を図る

学生起業は社会経験を経た大人たちによる起業と比べて、成果が出るまで時間がかかることが多い。RSIFは単独で10億円規模の資金があるため、学生に寄り添いながら未来を見据えた投資回収を考えることができ、社会課題の解決を目指す学生たちの「やりたいこと」に軸足を置いた運用をしやすくなっている。

またRSIFは、経済的リターンだけでなく、事業活動による社会的・環境的な変化や効果といったソーシャルインパクトも求めており、RIMIXの理念に通底している。

RSIFがあることで、RIMIXは経済的な面においてもその社会起業家を産み、育てる環境が盤石なものになっている。短期的なリターンではなく、長期的に事業の成長を支える仕組みは、スタートアップ業界において理想的なものだ。

RSIFによる投資の第一号案件は2020年9月、居住拠点プラットフォームを提供するADDressに対して行われた。代表取締役社長の佐別当隆志氏は、立命館大学の卒業生。空き家対策といった社会課題の解決に挑むサービスなどが、RIMIXの理念と合致した。なお、投資先の選定はプラスソーシャルインベストメントに委託している。

一貫教育で起業への道筋を若い世代から

小学校から大学院までの一貫教育を行う立命館には約5万人の学生が在籍している。RIMIXは小学生を対象にしたSDGs関連イベントなども行っており、いつでも社会起業家を目指せる土壌を用意をしている。

また、付属校から高校、大学に進学する際に入試がないことも強みだ。国立大学などを受験するとなれば、学生は試験勉強でいっぱいになってしまうものだ。立命館では、試験勉強に充てる時間を削減できることで、学生は起業までの効率的なルートを歩むことができる。

幼い頃から起業を啓発し、卒業生らが将来、RIMIXの取り組みを手助けするといったエコシステムの確立も目指している。酒井氏は「社会起業家に興味がある子に起業までの道筋を示すとともに、こちらからも積極的にアプローチしていきたい」と意気込む。

多角的にへ起業の道筋を用意するRIMIX

さまざまな起業への道筋を用意するRIMIX

支援体制のさらなる強化を図るRIMIX

今後は起業を夢みる学生に向けた支援の幅を広げていく。卒業生らが学生をメンタリングしていく枠づくりや、起業だけでなく投資に回る人材などの育成分野も開拓していきたい考えだ。「もうひと段階アクセルを踏まないといけない」と酒井氏はいう。

また、現状はRIMIXによる取り組みは単位取得にはつながらないが、酒井氏は「教育機関としての役割を強める意味も込め、RIMIXと教学との関係をより密にするカタチも検討していきたい」とさらなる展望を語った。

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タグ:立命館起業学生

米通信AT&Tが衛星放送DirecTVを独立企業に転換、株式の3割はTPGへ

AT&Tは、同社が株式の大半を引き続き保有するもののDirecTVを独立した会社にするというプライベートエクイティファームTPGとの合意を発表した

具体的には、AT&Tは新会社の株式の70%を保有し、TPGが残る30%を持つ。この取引によりDirecTVの価値は162億5000万ドル(約1兆7255億円)となり、通信会社とメディア間の買収の波の中でAT&TがDirecTVを2015年に買収したときに支払った485億ドル(約5兆1487億円)を大幅に下回る(AOLの買収によりVerizonはTechCrunchを所有している)。

AT&T TVのような新たな商品(DirecTV、U-Verseサービスとともに独立会社の一部となる)があっても有料テレビの契約者数は減少していて、直近の四半期でAT&Tは61万7000人のプレミアムビデオ契約者を失ったと報告した。同社は「契約者の減少は2019年がピークだった」「プレミアムビデオの純損失は5四半期連続で改善している」と指摘し、数字の中にポジティブなトレンドを見出そうとしている。

一方で同社はTime Warner(現在はWarnerMedia)の大型買収を行い、テレビに関する野心はストリーミングサービスHBO Maxにフォーカスされているようだ。

関連記事:ワーナー・ブラザースが2021年の全劇場作品を動画配信サービスHBO Maxで同時公開へ

「有料テレビ産業が進化し続けているなかで、米国のビデオ事業を別に運営するためにTPGと新たな会社を作ることで、高品質の顧客ベースと事業の収益性というニーズに応え続けるために必要なフレキシビリティとマネジメントフォーカスが得られます」とAT&TのCEOであるJohn Stankey(ジョン・スタンキー)氏は声明で述べた。「TPGはこの取引の正しいパートナーであり、新たな会社を設置することは最適な価値創生のためにビデオ事業を組み立てて管理する正しい方法です」。

この取引は2021年第2四半期に完了すると述べた。結合後の企業はAT&Tに78億ドル(約8273億円)を支払う見込みで、AT&Tはその金を借金返済に充てる。同社はまた、取引が完了すれば現在AT&Tの米国ビデオ事業の社長であるBill Morrow(ビル・モロウ)氏がDirecTVのCEOに就任するとも述べた。

ウォール・ストリートジャーナルは2020年、AT&TがDirecTVのディールを検討していると報じていた

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タグ:AT&T

画像クレジット:Toby Jorrin / Getty Images

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(文:Anthony Ha、翻訳:Nariko Mizoguchi

民泊管理ツールなど提供のmatsuri technologiesがシリーズBのエクステンションラウンドで資金調達、民泊業界の支援進める

アフターコロナマーケットに向けて支援策を講じていく(画像は同社HPより)

アフターコロナマーケットに向けて支援策を講じていく(画像は同社HPより)

民泊管理ツールやコロナ禍における自主隔離物件などを提供するmatsuri technologiesは2月26日に、シリーズBエクステンションラウンドにおいて第三者割当増資を行ったと発表した。エクステンションラウンドでの金額は非公開。調達資金の一部は、「コロナを超える」をスローガンにアフターコロナに向けた産業全体への投資を進める資金とする。コロナ禍で深刻なダメージを受ける民泊業界。同社は資金繰りが難しい現在におけるクッションとなりつつ、アフターコロナを見据えた業界活性化の環境づくりを進めていく。

引受先はオールアバウト、ALL-JAPAN観光立国ファンド投資事業有限責任組合、個人投資家の坂野敦氏(資産運用会社Aspex Managementのパートナー)、既存投資家となる。今回は2019年9月に実施した総額約5億8000万円の資金調達に続くものだ。

今回の資金調達とコロナ禍での金融機関の融資によって、2016年8月からの累計資金調達額は約14億円となった。調達した資金は人材の獲得費用や既存製品の強化、民泊施設の拡充のほか、組織・事業の強化もはかる。

「コロナを超える」キャンペーンの背景

民泊市場はコロナ禍で大きく傾いた。日本政府観光局(JNTO)によると、2020年の訪日外国人旅行者数は約412万人(推計値)で、19年の約3188万人と比べて約87%の減少となった。2020年の1月下旬以降の新型コロナの拡大や、2月から順次水際対策が強化されたことに伴って、訪日外国人旅行者数は激減。民泊は訪日外国人旅行者が約7割を占めるマーケットであるため、民泊関連の事業者はかなりの深手を負った。

2021年1月に出された2度目の緊急事態宣言は追い打ちをかけた。コロナ禍であっても、事業者らは人員を削り、業務のスリム化をはかるなど傾くマーケットに対抗してきた。政府主導の「Go To トラベルキャンペーン」で少しずつだが戻りつつあった客足も、途絶えることとなる。「もうどうすればいいかわからない」。そんな悩みが同社の吉田圭汰代表のもとに多く寄せられたという。

「このままでは旅行・宿泊需要が回復するまでに、民泊マーケットそのものが崩壊してしまい、人が戻ってくることが難しくなるのではないか。その危惧が現実とならないようにアフターコロナに向けたキャンペーンを展開していく」(吉田代表)。

3本柱のキャンペーンで支援

アフターコロナを視野に同社は3本柱のキャンペーンを打つ。

1つはコロナ期間(2021年4月からの半年間)に、民泊物件などの運営代行サービス「m2m Premium」の各種プランの手数料を無料とする。さらに、宿泊施設向け本人確認ソフトウェア「m2m Check-in」でも4月からの半年間、タブレット代金・ソフトウェア利用料を不要とする。

もう1つは、民泊物件のマンスリーマンション化を支援するというもの。コロナ期間を乗り越えるため、政府の「事業再構築補助金」の活用なども含めた上で行う見通し。

民泊は旅行需要ありきだが、マンスリーマンションに転換することで受け皿を広げる。マンスリーマンション化によって、1カ月といったように長いスパンで利用者が借りることになる。同社はテレワーク用のデスクの用意といったハードウェア部分や、集客プラットフォームに関わる費用などを支援する考え。

残りの柱としては、別荘オーナーが使用しないとき、貸別荘として運用して収益を生む「S-Villa」の販売を一般公開する。同社が別荘を選定し、貸別荘としても運用可能な物件を紹介。別荘購入後はオーナーの代わりに同社が、別荘のリフォームから運用、清掃、清算、管理まで行っていく。また、すでに別荘オーナーである場合は、貸別荘への変更や運用代行にも対応する。

「長期的に繁栄するアフターコロナマーケットを作り上げるための、包括的なキャンペーンとなっている」と吉田代表は説明する。

コロナ禍でも新事業を次々に展開

民泊オーナーだけでなく、コロナ禍で不況のあおりを受けたのは同社も同じだった。コロナ禍によって既存のオフィスを解約し、規模を縮小したオフィスに移転した。

一方で、向かい風を受けながらも、2020年には6つの新事業を展開。事業の巻き返しをはかった。政府からの自主隔離規制要請に合わせた「一時帰国.com」や新型コロナ陽性者の濃厚接触者の避難所を提供する「自主隔離.com」では、旅行者がいなくなった民泊物件などを活用した。

2020年の半ば、新型コロナが一時的に落ち着いたタイミングも見逃さなかった。カップル向けに「お試し同棲」を始め、新たな需要の掘り起こしに力を入れた。初期費用なしで、家具家電付き物件に文字通り「お試し」で住めるというサービスだ。20代前半の若年層から人気を博し、多いときには1時間で300件ほどの問い合わせがあったという。

さらにスマホで完結する短期賃貸プラットフォームの「Sumyca(スミカ)」もリリース。「一時帰国.com」や「自主隔離.com」、「お試し同棲」はSumycaのプラットフォームを通して事業を回せるようにした。

6つの新事業で巻き返しを図った

6つの新事業で巻き返しを図った

吉田代表は「6つの事業展開により、一時期は9割ほど落ち込んだ売り上げも最終的な着地では前年を超える見通しとなり、資金調達の実施もできた」とし、その上で「コロナ禍に対して我われがいまできることに力を注ぐ」と強調する。

アフターコロナマーケットを盛り上げる

民泊市場はまだまだこれからが勝負の市場だ。旅行需要について吉田代表は、ワクチンが国民に行き届き、新型コロナの変異などが起きなければ「はやくて秋ごろ、遅くても来年の春前には回復するのではないか」と予想する。

コロナ禍の暗闇から新たな灯がともるまで、もうひと踏ん張りの力がほしい。そんな民泊オーナーや事業者に支援の手を差し伸べるmatsuri technologies。吉田代表は「コロナ禍で悲観的な考えに陥ってしまう気持ちはよくわかる。アフターコロナマーケットを大きく盛り上げるため、いまを一緒に乗り越えましょう」と呼びかける。

関連記事:民泊や短期賃貸物件の共有データベース「nimomin」が正式リリース

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タグ:matsuri technologies資金調達旅行新型コロナウイルス民泊日本

フードデリバリーのFavorを設立した2人が不動産賃貸のSunroom Rentalsで11.6億円を調達

不動産テックのスタートアップSunroom Rentals(サンルーム・レンタルズ)は、不動産管理者やアパートのオーナーに代わって賃貸を行う会社だ。このほどシリーズAで1100万ドル(約11億6000万円)を調達した。Gigafundがラウンドをリードした。

Ben Doherty(ベン・ドハティ)氏とZachary Maurais(ザカリー・モーライス)氏は、フードデリバリーアプリであるFavorの共同ファウンダーで、2018年5月に中規模の不動産管理者とアパートオーナーに賃貸業務をアウトソーシングする手段を提供することで「収益性を高める」ことをミッションとしてSunroomを設立した。

2人は2018年にFavorをテキサスの食料品会社H-E-Bに売却すると、すぐに方向転換してSunroomの設立を目指した。テキサス州オースチン拠点の同社は、賃貸者が物件の内覧、申し込み、契約まで「すべてオンライン」で行えるようにするアプリを開発した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、多くの賃貸者が物件の調査、確保をバーチャルに行う方法を求めるようになった。

「私自身、消費者の最も基本的なニーズを満たす商品を作ることが大好きなのです」と社長のモーライス氏は言った。「食料品の経験を元に、住宅に焦点を当てることを決めました」。

フードデリバリーと住宅に、消費者ニーズを満たすこと以外に共通点があるのか気になるところだが、CEOのドハティ氏は、2021年の賃貸市場は2013年のフードデリバリー市場とよく似ている、という。

「2013年に、Grubhubは多くのレストランのメニューをオンライン化することに成功しましたが、注文や配達プロセスの大部分はオフラインのままでした」と同氏がTechCrunchに話した。「私たちは賃貸市場で同じような位置にいます。なぜなら、ほとんどの賃貸物件はオンラインで見ることができますが、物件の申込みや賃貸契約は未だにオフラインで行われているからです。

Sunroom Rentalsは、設立以来2000件の賃貸契約を完了し、10万以上の賃貸者が急成長するオースチン市で同サービスに登録した。会社が最初にビジネスの焦点を当てた場所だ。

「米国国勢調査局によると、その数字はオースチン都市圏の賃貸者の約10%に当たる」とモーライス氏は言った。「広く浅く全米を対象にする代わりに、市場に深く入り込んでネットワーク効果を得ようという決断を下しました。これはFavorのときにうまくいった戦略です。

Sunroom Rentalsは、市場平均よりも5日早く物件を貸し出しているという。これは不動産管理者にとって成長を早め「賃貸効率を高められる」恩恵があるとドハティ氏はいう。

今後同社は、調達した資金を使ってヒューストン、サンアントニオ、ダラスをはじめとするテキサス州全体への拡大を計画している。また、パートナーのポータルにも投資して、オーナーや管理者が賃貸状況をリアルタイムで監視できるようにする。

Sunroom Rentalsの社員は現在18名で、2021年中に2倍以上にすることを目標にしている。中でもエンジニアリング、プロダクト、営業の各部門に力を入れている。

先に述べたように、シリーズAラウンドはGigafundがリードし、NextGen Venture Partners、Calpoly Venturesの他、GoolgeおよびSquareのGokul Rajaram(ゴクール・ラージャーラム)氏、HomewardのTim Heyl(ティム・ヘイル)氏をはじめ多数のエンジェル投資家が参加した。既存の出資者には、Founders Fund Seed、Draper Associates、Boost VC、Capital Factoryらが名を連なる。このラウンドはSunroomにとって初めての「Priced Round(株価を決定した上で株式による調達)」であり、初めて株を手放したことを意味している。

NextGen Venture PartnersのマネージングパートナーであるJonathan Basset(ジョナサン・バセット)氏は、Sunroomはまさしく正しい位置に正しい時にいる「新型コロナ以前から非接触賃貸のトレンドに乗っていた」と評している。

「私は、彼らがFavorで競争の激しい市場で収益の上がる消費者マーケットプレイスを作り上げたのを見て、彼らの鋭敏さに感心していました」とバセット氏はいう。「この種のビジネスには驚くほど多くの類似性があり、彼らが困難を乗り越えることを確信しています」・

先週、TechCrunchはこの益々競争の激しくなる分野で新たなスタートアップが育っていることを報じた。シアトル拠点のKnock は、不動産管理会社に競争力を与えるツールを開発し、最近Fifth Wall Venturesがリードしたグロースファンディング(成長のための資金調達)ラウントで2000万ドル(約21億1000万円)を調達した

Knockの目標は、CRMツールを提供して不動産管理会社の事務部門を近代化して、バーチャルツアーやテキストメッセージ、メール、ソーシャルメディアによる賃貸者とのやりとりを「1枚の会話画面」でできるようにすることだ。Knockは賃貸者のために、もっと簡単に家主と会話をし近づくための手段を提供している。

モーライス氏は、Knockが賃貸業社向けのCRMであるのに対して、Sunroomはマーケットプレイスとして賃貸者が賃借人と出会い、内覧し、提携物件に購入申込みをする場である点が異なっていると指摘する。

「Sunriseは、パートナーに一連の賃貸・分析ソフトウェアも提供し、取引だけでなく定期収入も生み出せるようにします」とモーライス氏は付け加えた。

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タグ:Sunroom Rentals不動産資金調達

画像クレジット:Sunroom Rentals

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nob Takahashi / facebook

世界的ハイテク株急落の原因について諸説を紹介

米国時間2月23日、テクノロジー株の比重が高いNASDAQ総合指数が前日から 2.34%ダウンした。Tesla株は6%以上下がっている。Teslaは2021年初めに史上最高値を更新した後、弱気相場による修正局面に入っている。Appleも122.02ドルと、145ドル以上だった最近の高値からダウンしている。

ハイテク株ばかりが買われていると感じられる期間が長く続いたが、最近の修正には実質的なものがありそうだ。

売りの程度を測定する方法として、 たとえばBessemerのクラウド指数は米国時間2月22日、5%を下げた後、続いて今日4.5%ダウンした。多くの投資家が急成長テクノロジー株投資の目安としてきたARKのETF(上場投資信託)、ARKK(ARKイノベーションETF)も同日5.9%下落し、さらに23日には6.6%下がった。

なんと、最近無敵の値上がりを見せていたBitcoinでさえここ数日打撃を受けている。

テクノロジー企業、またテクノロジーに特化した各種指数、また暗号通貨のような隣接分野の市況を突然逆転させた理由は何だろう?もちろん、世界の株式市場のように途方もなく複雑な環境では単に1つの要因だけでものごとが起きることはない。しかし、いくつか検討すべき説明が登場している。

「『金余り、債権安でみんなが株を買う』という主張が勢いを失った」とする説明には聞くべきものがある。債権利回りが上昇するにつれ、債券投資の魅力が増している。同時に新型コロナワクチンの大量接種が開始されたことで、株式投資家も、景気回復をにらんで資金をハイテク以外のカテゴリーに振り向き始めた。

ものの見方がシフトするにつれて、テクノロジー企業の背中を押していた順風が少なくとも今のところ弱まった。この天気の変化がテクノロジー株価が新たな均衡点に達するまで続くならば、新規株式公開(IPO)への意欲は減退するだろう。スタートアップの会社評価額が下落するといった事態が発生する可能性もある。

以下は2月23日の「何が変わったのか」を説明するCNBCの説明だ。

金利の上昇とパンデミック後の景気回復に連動した銘柄への転換が進んだことを受けて、火曜日(2月23日)にもハイテク株の下落が続きました

同じテーマについて2月22日のWall Street Journalはこう書いている。

利回りの上昇は景気回復が堅調に進むという投資家の期待を強く反映している。しかし、投資家やアナリストらによると、企業の借り入れコストの上昇、株式に代わる選択肢がほとんどない投資家の選択肢の増加、一部のハイテク株の評価モデルの悪化などが、担保としてのダメージにつながる可能性がある。

こちらは2月23日のBarronsの記事だが、今見ている現象は米国株式市場だけの問題ではないとしている。

米財務省証券10年債の利回りが上昇したことでTesla、Facebook、AppleなどNYSE FANG+指数のメンバー各社の株価は急落している。これは外国市場でも同様の傾向だ。

もちろん市場は反発するかもしれないし、しないかもしれない。今後数日間、株式市場の動きを注視する必要がある。

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:滑川海彦@Facebook

通信品位法230条の改定法案に対し同法擁護者は重大な悪影響について警鐘を鳴らす

バイデン政権にとって最初の主要法案となる230条改正案が提出された。新しい法案の中で上院民主党のMark Warner(マーク・ワーナー)議員(民主党、バージニア州選出)、Mazie Hirono(メイジー・ヒロノ)議員(民主党、ハワイ州選出)、Amy Klobuchar(エイミー・クローブチャー)議員(民主党、ミネソタ州選出)は通信品位法230条(セクション230)の改正を提案しており、これは近代的なインターネットを育て上げたと評価されている1996年の法律を根本的に見直す内容となっている。

セクション230は、FacebookやTikTok、Amazonのレビューやコメントのセクションなどのユーザー生成コンテンツから、そのホスティングを提供するインターネット企業を法的に保護するものだ。SAFE TECH Actと称される新しい法案では、その仕組みを変えるためにいくつか変更が加えられている。

まず、この変更はセクション230の中核をなす言語を根本的に変更することになるだろう。そもそも、現行法にいかに簡潔な言語が使われていたかを考えれば、どのような変更も大きな変化である。新しい改正案の下では、230条は支払いをともなう場合には保護措置を提供しないことになる。

現行は以下のようになっている。

インタラクティブ(双方向性)コンピューターサービスの提供者または使用者は、他の情報コンテンツ提供者が提供する情報言論の発行者(Publisher)または表現者(Speaker)として扱われないものとする。

SAFE TECH Actによる変更点は次のとおりである。

インタラクティブコンピューターサービスの提供者または使用者は、他の情報コンテンツプロバイダーによって提供された情報言論の発行者または表現者として扱われないものとする。ただし、提供者または使用者が、言論を利用可能にするための支払いを受け入れた場合、または全体若しくは一部においてスピーチを作成、若しくはスピーチの作成に資金を提供した場合はこの限りでない。

(B) (c)(1)(A)は、他の情報コンテンツプロバイダーから提供された言論に関して、インタラクティブコンピューターサービスプロバイダーがその言論の発行者または表現者であり、インタラクティブコンピューターサービスプロバイダーが証拠の優位性により立証責任を有するとする主張に対する積極的抗弁となる。

大したことではないように思えるが、大きな変化をもたらす可能性がある。ワーナー上院議員は法案を推進するツイートの中で、オンライン広告を「あらゆる種類の詐欺や詐欺の主要な媒介物」と表現しており、広告におけるプラットフォームの乱用に焦点を当てることが表向きの目標となっている。しかし現在の文言では、SubstackやPatreonなどの有料オンラインコンテンツからウェブホスティングまで、他の多くの種類の有料サービスが影響を受ける可能性がある。

「優秀な弁護士なら、これは有料広告をはるかに超える多種多様な取り決めをカバーしていると主張できるでしょう」と、米海軍アカデミーのサイバーセキュリティ法教授でセクション230に関する書籍を執筆したJeff Kosseff(ジェフ・コセフ)氏はTechCrunchに語った。「プラットフォームは、言論を一般に『利用可能』にする過程で幅広い当事者からの支払いを受け入れている。法案はプラットフォームが表現者からの支払いを受け入れる場合の例外を定めていない」。

インターネット企業の大小を問わず、その運営はセクション230による保護に依存しているが、新法案で提案された規則が成立した場合、事業を再考しなければならない企業が出てくるかもしれない。セクション230の原執筆者の1人であるRon Wyden(ロン・ワイデン)上院議員(民主党、オレゴン州選出)は、新法案には善意の意図があることを指摘しながらも、その意図しない結果によって引き起こされる可能性のある反動に対して強い警鐘を鳴らした。

「残念なことに、すでに述べたようにこれはオープンなインターネットのあらゆる部分を破壊し、オンライン上の言論に大きな副次的損害をもたらすでしょう」とワイデン上院議員はTechCrunchに語っている。

「すべての商業的関係に責任を負わせることは、ウェブホスト、クラウドストレージプロバイダー、さらには有料の電子メールサービスまでもが、議論を呼ぶ発言をネットワークから一掃することになります」とワイデン上院議員は続けた。

Fight for the FutureのディレクターであるEvan Greer(エヴァン・グリア)氏も、法案は善意に基づくものだが、同じ懸念を持っているという意見を述べている。「……残念なことにこの法案は、すでに述べられているように、人権と表現の自由に甚大な意図せぬ結果をもたらすことになるでしょう」とグリア氏は語る。

「この変更によりセクション230は広告だけでなく、ウェブホスティングや(コンテンツ配信ネットワーク)などの有料サービス、さらにはPatreon、Bandcamp、Bandcamp、Etsyなどの小規模サービスにも多大な影響を与えるでしょう」。

その焦点が広告や企業による支払いの受け入れに当てられていることを踏まえると、この法案が効果的な改革を提供するには、規模が大きすぎると同時に狭すぎるかもしれない。オンライン広告、特に政治広告は最近のプラットフォームの取り締まりに関する議論でホットな話題になっているが、暴力的な陰謀や誤報、組織的な憎悪の大部分はオーガニックコンテンツによるものであり、有料コンテンツによるものではない。また、Anna Eshoo(アンナ・エシュー)下院議員(民主党、カリフォルニア州選出)とTom Malinowski(トム・マリノフスキ)下院議員(民主党、ニュージャージー州選出)が下院で提案した小規模なセクション230改定提案で特に重視されているアルゴリズムの役割についても触れていない。

新たな例外

SAFE TECH Actの他の部分では、Anti-Defamation League、Center for Countering Digital Hate、Color of Changeを含む多くの市民権団体からの賛同を得て、名誉毀損防止や差別などの問題に対応しようとしている。セクション230に補遺を追加するこの新たな法案により、一部のケースではインターネット企業に民事責任を問うことが可能になり、サイバーストーカー、標的型嫌がらせ、差別、不法死亡の被害者が、訴訟を起こす機会を与えられるようになる。

またSAFE TECH Actは、インターネット企業が掲載するコンテンツが「回復不能な損害」を引き起こす可能性がある場合に、個人が裁判所の命令を求めることができるようにしたり、海外での人権侵害について米国のインターネット企業を相手取って米国の裁判所で訴訟を起こすことも可能にするだろう。

ワーナー議員はプレスリリースで、この法案は1996年の法律を最新のニーズに合わせて改正するものだと述べた。

「現行のセクション230は、サービスプロバイダーが効果的にコンテンツを規制するためのツールやポリシーを開発することを奨励するためのものでありながら、自社製品やサービスの悪用による、予見可能で明白かつ繰り返し起こる有害行為に何の対処もしない場合でも、オンラインプロバイダーに完全な免責を与えているのです」とワーナー議員はいう。

セクション230の改革についてのアイデアは数多くあり、党派を超えて議論されている。例えばBrian Schatz(ブライアン・シャッツ)上院議員(民主党、ミシガン州選出)とJohn Thune(ジョン・スーン)上院議員(共和党、サウスダコタ州選出)による超党派のPACT法は、コンテンツ規制の透明性に重点をおき、連邦政府や州の規制に対する企業への保護を狭めることに焦点を当てている。Lindsey Graham(リンジー・グラハム)上院議員(共和党、サウスカロライナ州選出)とRichard Blumenthal(リチャード・ブルメンタール)上院議員(民主党、コネチカット州選出)は広範な改革であるEARN IT法を提案しているが、この法案はセクション230の擁護論者とインターネットの自由の支持者からは、憲法違反なだけでなく過度に広範で重大な悪影響をおよぼすとものとみなされている。

セクション230の改正案がすでに数多く浮上している中で、SAFE TECH Actのような法案が優先される保証はまったくない。唯一確実なのは、私たちが今後、現代のインターネットに多大な影響を与える小さな法律の断片について、さらに多くの情報を耳にするだろうということである。

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画像クレジット:画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Dragonfly)

スタートアップ社員のストックオプション行使を支援するEquityBeeが21億円を調達

ストックオプションのマーケットプレイスEquityBee(イクイティー・ビー)がシリーズAラウンドで2000万ドル(約21億円)調達した。

Group 11がラウンドをリードし、Oren Zeev Ventures、Battery Ventures、およびICON Continuity Fundも参加した。これで同社の2018年設立以来の総調達額は2800万ドル(約29億4000万円)となった。

EquityBeeのCEOで共同ファウンダーOren Barzilai(オレン・バルジライ)氏は、スタートアップの従業員にストックオプションの意味を教え、購入するための資金を提供することが会社のミッションだと語っている。

「多くの友人や同僚が500ドル(約5万3000円)の昇給を交渉しているところを見てきましたが、ストックオプションのことは完全に忘れています。それはストックオプションの世界全体が完全に不透明なため、彼らに知識がないからです」とバルジライ氏はいう。同氏はTapingo(タピンゴ)のファウンダーでもあり、2018年に1億5000万ドル(約157億6000万円)で同社をGrubhubに売却した。「私はファウンダーとして、会社の立ち上げに関わったチームメンバーが、早期に会社を辞めストックオプションを行使しなかったために、成功を分かち合えなかったのを見てきました」。

仕組みはとても簡単だ。EquityBeeはスタートアップの社員が、ストックオプションを購入するための資金を提供する。社員はストックオプションの行使と税金に必要な金額を受け取る。資金提供に協力した出資者は、「流動性イベント」があった場合に利益の一部をリターンとして手にする。EquityBeeは投資家が出資する日に前払い手数料を徴収し、イグジットやIPOの際に利息を受取る。

バルジライ氏によると、多くの社員が会社を辞めた後、約90日間で行使期間が消滅することを知らないという。また、知っている場合でも行使する資金があるとは限らない。EquityBeeが助けたいのはそこだ。

会社はイスラエルで設立され、その後米国市場に参入し2020年2月にシリコンバレーに本社を移した。それ以来、「何百」という会社の社員たちに資金を提供してきた。企業にはAirbnb(エアービーアンドビー)、Palantir(パランティア),DoorDash(ドアダッシュ)、Unity(ユニティ)らの名前があり、資金はFamily Office、ファンド富裕層など8000社からなる投資コミュニティから提供されている。

2020年はEquityBeeにとって良い年であり、ストックオプション購入を支援するために集めたファンドは560%増えたとバルジライ氏は言った。同社のプラットフォームを通じて資金を受け取った社員数も360%増えた。

今後について、現在33名からなる同社は、調達した資金を新規雇用とサービス拡大に使う予定だ。

Group 11の創立パートナーであるDovi Frances(ドヴィ・フランシス)氏は、2020年2月の660万ドル(約6億9000万円)の調達ラウンド以来EquityBeeに賭けている、それはこの会社の「完全なプロダクトマーケットフィット」と3桁の成長率に魅了されたからだと語った。

WeWorkの共同ファウンダーであるAdam Neumann(アダム・ニューマン)氏は2018年9月にEquiteeBeeが実施した150万ドル(約1億6000万円)のシードラウンドをリードした。

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タグ:EquityBee資金調達

画像クレジット:Ammentorp Photography / Shutterstock(Image has been modified)

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nob Takahashi / facebook

米FCCが生活困窮者に対し緊急時にブロードバンド接続を提供する補助事業を起案

FCCが、パンデミックの間にブロードバンドの料金を払えない人々を経済的に支援する大きな一歩を踏み出した。Emergency Broadband Benefit Program(EBBP)と呼ばれる施策は、承認されれば数百万の世帯に月額50ドル(約5200円)を助成し、部族の所有地にはさらに多くの助成を行う。

EBBPは2021年初めに議会を通過した予算の中にあり、困窮世帯のブロードバンド費用を補うために32億ドル(約3358億6000万円)を割り当てている。

FCCの委員長代理であるJessica Rosenworcel(ジェシカ・ローゼンウォーセル)氏は、次のように声明で述べている。「この度の危機で、インターネット接続がなければ、多くの世帯が仕事や医療、教育をはじめとした現代の生活から締め出されてしまうということが明らかになりました。ブロードバンドがもはや便利なだけのものでないことは、これまで以上に明らかです。必要不可欠なものです。しかし、米国民の多くは、この重要なサービスを利用できるだけの費用を用意することができないでいます」。

EBBPの全体的なところはすでに知られているが、2020年に議会が提案して以来、実際の形状を決めるのはFCCに任されている。ローゼンウォーセル氏が米国時間2月22日に内部的に回覧した規則は、それをアイデアから現実のものにするための重要な一歩となっている。

その重要な点は、誰がその恩恵を受ける資格があるのかを正確に説明するところにある。

  • FCCの既存のライフライン接続性補助プログラムの対象
  • 給食や朝食の助成を受けている人
  • 政府の返還不要奨学金の受給者
  • インターネップロバイダーの既存の低所得者補助やパンデミック関連事業の受給資格を満たす者
  • 2020年2月29日以降、大幅な損失を計上した者

最後の項は少々曖昧であるため、FCCに詳細を確認している(提案された規則はまだ公表されていない)。失業保険の受給者や、所得の減少率を文書で示せる者が対象になるのだろうか。その定義によっては、プログラムの対象は相当な数になるだろう。その点も現在、FCCに問い合わせている。

有資格世帯の多くが月額50ドルを受給し、部族所有地の住民は月額75ドル(約7900円)を受け取る。またデバイスの購入費用補助として、特定の業者から買った者には100ドル(約1万500円)が、1回限り提供される可能性もある。

この補助制度は、ルールからも想像できるように、実際に受給できるまでの手順が面倒なことになりそうだ。何よりもまずFCCのルールを議会が承認しなければならず、それは最速で進んでも2カ月はかかるだろう。その後、プロバイダーからのリクエストの検討にさらに時間を要する。あらゆる処理が最速で行われたとしても、最低で3カ月、問題が起きればさらにそれ以上を要するだろう。

ルールができた以上は、あとは時間の問題となる。低所得者はホッとしたかもしれないが、まだ先が長い。

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画像クレジット:John Lamb/Getty Images

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)