Teslaが従業員の多様性についてのレポートを初公表、管理職のほとんどが白人男性

Tesla(テスラ)の管理職は白人と男性に偏っており、そうした役割を担う黒人はわずか4%にすぎない。米国時間12月4日に公表された同社初のダイバーシティインクルージョンレポートで明らかになった。

カリフォルニア州、ネバダ州、そしてニューヨーク州に工場を抱える同社の全従業員には女性、黒人、ヒスパニック系、アジア系の従業員が含まれることがレポートで示されている。全従業員の60%が黒人、ヒスパニック系、アジア系、ネイティブアメリカン(先住民)、パシフィックアイランダー(太平洋諸島系)で構成される。しかし従業員の大半は男性でその割合は79%だ。管理職における男性の割合は83%にのぼる。また、管理職の59%が白人だ。

同社の米国従業員の統計は以下の通りだ。

  • 黒人従業員:全従業員の10%。ディレクター職以上の管理職に占める割合は4%で、前年比60%増。2020年の新規雇用の12%が黒人、アフリカ系米国人で、前年比9%増。黒人従業員は2020年に10%が昇進し、この割合は前年比11%増だった。
  • アジア系従業員:全従業員の21%。アジア系従業員の25%が管理職。新規雇用の20%、昇進者の23%をアジア系従業員が占めた。昇進者は2019年に比べ15%増えた。
  • ヒスパニック系・ラテン系従業員:全従業員の22%。ディレクター職以上の管理職に占める割合は4%。ヒスパニック系とラテン系の従業員の今年の昇進者の割合は24%で前年比14%増。2020年の新規雇用の27%がヒスパニック系、ラテン系だった。
  • 女性:米国全従業員の21%を占める。今年の昇進者の割合は23%で、前年比5%増。「ディレクター」「バイス・プレジデント」職の17%が女性。2020年の米国での雇用の25%近くが女性だった。
  • 男性:米国全従業員の79%、管理職の83%を占める。
  • 退役軍人:米国全従業員の4%を占める。
  • その他のグループ:ネイティブアメリカン、ネイティブハワイアン、アラスカネイティブ、パシフィックアイランダー、複合人種の全従業員に占める割合は7%、管理職においては1%。

Teslaは少数民族の従業員の保持について詳細は明らかにしなかった。そうした情報では同社のカルチャーについて、また同社のインクルージョンに関する取り組みが成功しているかどうかについて知見が得られる。レポートではまた、従業員のうち何人が身体障害を持っているのかについても示されなかった。TeslaはLGBTQ従業員がサポートを受けていると言及しているが、何人のLGBTQが雇用されているのか、そして何人が管理職にあるか詳細は示されていない。

同社は数字を改善するために「取り組まなければならない」ことがあるとの認識を示した。

「女性はテック業界や自動車産業において歴史的に過小評価されていて、この点ですべきことがあると認識しています」と同社はレポートの中で述べた。同社は女性へのコンタクトを増やし、雇用と保持を支えるインクルーシブなカルチャーを構築するために「積極的な策を取っている」ともレポートにはある。「全レベルにおいて、なかでも管理職で女性を増やすことは2021年の最優先事項です」ともある。

歴史的にアフリカ系米国人の学生を受け入れてきた大学での採用活動や、インターンプログラムの拡充など、Teslaは女性やマイノリティの従業員を確保し、保持するためのいくつかの取り組みをリストアップした。しかし同社は最終的な目標、そしてダイバーシティやインクルージョンの数値を改善して目標を達成するためのタイムラインは示さなかった。

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(翻訳:Mizoguchi

早稲田大学発スタートアップ「ELternal」が早稲田ファンドから3000万円を調達

早稲田大学発スタートアップ「ELternal」が早稲田ファンドから3000万円を調達

ELternalは12月4日、早稲田大学専用ファンド(早稲田ファンド)から3000万円のシード期資金調達を実施することが決定しました。同案件は、早稲田ファンドが同大学の起業家教育プログラム出身のスタートアップ企業に投資する、初めての案件。

調達した資金によりELternalは、「日本に、感動を。」というミッションの実現に資する事業開発を一層加速していく。

ELternalは、早稲田大学大学院経営管理研究科および同大学院先進理工学科のメンバーを中心に、2020年7月に創業。全国の寺院・神社による協力のもと、社会課題解決型事業の展開へ向け、事業開発を行っている。

現代の日本では、少子化に伴う核家族化、若年層を中心とした経済的困窮、さらに昨今の新型コロナ禍による経済危機といった現象を背景に、様々な社会課題が生じている。代表の小久保氏をはじめ同社創業メンバーには寺院出身者・現役僧侶が複数参画しており、こうした状況下において寺院がこれらの社会課題と密接に関わっていることと同時に、多くの寺院の存続が危ぶまれている状況に危機感を感じてきたという。具体的には、以下のような社会課題を認識しているとした。

  • 日本に暮らす人々が抱える課題:世代を超えた家族のつながりの希薄化、お墓の維持管理困難・無縁墓の増加
  • 日本の寺院や神社が抱える課題:寺社仏閣と地域社会の関係の希薄化、寺院や神社の檀家数や参拝者数の減少による規模縮小
  • 地域が抱える課題:新型コロナの影響による観光需要減少、人口減少に伴う地域財政の悪化

ELternalは以下ふたつの方向性を掲げ、上記の社会課題の解決を目指すという。今後の事業展開を通じて、日本人の世代を超えた繋がりや精神的な豊かさを再発見し、未来の日本をより豊かに変えていくことが使命としている。

  • 全国の寺院、神社、自治体と目指す未来を共有し協力
  • 最新のテクノロジーの力を、適切な形で利活用

早稲田大学専用ファンドは、「早稲田大学に関係するベンチャー企業」への出資を行い、早稲田の地からグローバルに成長するベンチャー企業を多数創出することを目的とし、組成された。同ファンドの銘柄選定・運用・管理については、早稲田大学の提携ベンチャーキャピタル「ウエルインベストメント」がGP(General Partner)を務める。

同ファンドの支援対象となる「早稲田大学に関係するベンチャー企業」とは、早稲田大学が有する技術成果(知的財産)の事業化に取り組む企業、早稲田大学インキュベーションセンターでの支援を受けている企業、WASEDA-EDGEプログラムや早稲田大学大学院経営管理研究科などのアントレプレナー教育を通じて設立に至った企業を含む。

ウエルインベストメントは、1998年に早稲田大学アントレプレヌール研究会を母体として設立された、大学系としては我が国で最も業歴の長いベンチャーキャピタル。

社内で独自のリサーチ部門を擁し、技術・産業テーマごとに仮説を組み立てることで、早稲田大学に限らず、東京大学、京都大学、スタンフォード大学などの有望な研究シーズを早期に発掘しており、今までに数多くの投資育成実績を有している。

2018年10月30日に株式公開を行なったVALUENEXなど、グローバルな成長を目指すベンチャー企業を支援しており、投資先の20社以上がすでに株式公開を実施している。

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iPhoneはボタンやUI要素を自動認識して視覚障がい者向けにラベル付けしている

Apple(アップル)は障がいをもつユーザーのための機能開発に関して常に努力している。iOSのVoiceOver(ボイスオーバー)は目の不自由な人にとってかけがえのないツールだ。ただし、インターフェースの要素すべてに手動でラベルが付けられている必要がある。しかしアップルは、機械学習を使ってあらゆるボタンやスライダーやタブを識別してラベル付けする新機能を公開した。

Screen Recognition(画面認識)はiOS 14に導入されたコンピュータービジョンシステムで、現在利用されている何千種類ものアプリの画像から、どんなボタンがあるかアイコンは何を意味するかを学習している。システムは柔軟性が高く、与えるデータによって、ネコや表情、そして今回のケースではユーザーインターフェースのさまざまな部分を認識するエキスパートになることができる。

その結果、どんなアプリでも、ユーザーが立ち上げてから1秒と経たないうちに画面上のあらゆるアイテムにラベルが付けられる。そして、「どんなアプリでも」は文字通り「どんなアプリでも」という意味だ。つまるところスクリーンリーダーは、写真(iOSはしばらく前から1文の要約を作ることができている)やよくあるアイコン(「ホーム」「戻る」など)からありとあらゆる場面に登場する「…」メニューのようなコンテキスト特有のものまで、目が見えるユーザーが見て、触れることのできるものすべてを認識しなければないない。

これは、手動のラベル付けが不要になるといっているのではない。デベロッパーは自分のアプリにどうラベル付をするのが良いかを最もよく知っている。しかし、アップデートや標準の変更、困難な状況(ゲーム内のインターフェースなど)によって、本来よりもアクセシブルではなくなることもある。

私はアップルのiOSアクセシビリティ技術チームのChris Fleizach(クリス・フライザック)氏とAI / ML(人工知能 / 機械学習)チームのJeff Bigham(ジェフ・ビガム)氏の2人から、この驚くほど有益な新機能の起源について話を聞いた(この内容は来年発表される論文に記載される)。

alt= スマートフォン画面にふたりの女性が微笑んでいるところとボイスオーバーがそれを説明している写真が表示されている。

画像クレジット:Apple

「私たちは自分たちがアクセシビリティに貢献できる分野を探しました、画像の説明はその1つです」とフライザック氏はいう。「iOS 13ではアイコンに自動でラベル付けをしました。Screen Recognitionはそれをさらに一歩前進させました。画面のピクセルを見て触れることのできるオブジェクトの階層を認識することを、デバイス上で1秒の何分の一かの間に行います」。

この考えは、厳密にいえば新しくない。ビガム氏が名前を挙げたOutspoken(アウトスポークン)というスクリーンリーダーは、ピクセルレベルのデータを使ってUI要素を識別する方法を数年前に試みている。しかし、そのシステムが正確な一致を必要としていたのに対して、機械学習のファジー理論とiPhoneの内蔵AIアクセラレーターを利用するScreen Recognitionは、はるかに柔軟で強力だ。

ほんの数年前には不可能だった。機械学習の当時の状況に加え、それを実行する専用ユニットがなかったことを踏まえると、システムに多大な負荷を与え、はるかに時間がかかり、バッテリーをたちまち消費させていただろう。

しかし一度、この種のシステムが可能になったとみるや、チームはプロトタイピングをスタートし、アクセシビリティの専門スタッフとテスティング・コミュニティの力を借りた。

「VoiceOverは長年、視覚アクセシビリティの先陣を切ってきました。Screen Recognitionの開発過程を見てもらえば、さまざまなチームのコラボレーションに基づいていることがわかるでしょう。アクセシビリティチームは何から何まで、そしてデータ収集と注釈付けのパートナーたち、AI / MLチーム、もちろんデザインチームも。私たちは自分たちの機械学習開発が完璧なユーザー体験に間違いなく進むためにこれをやってきました」とビガム氏はいった。

それは人気のアプリやゲームのスクリーンショットを何千枚も撮り、それぞれをいくつかの標準UIエレメントの1つとして手動でラベル付けすることによって行われた。このラベル付けされたデータを与えられた機械学習システムは、すぐに同じエレメントを自力で選り分けることに熟達した。

これはいうほど簡単ではない。我々人間は、グラフィクスやテキストの断片が何を意図しているかを理解するのがかなり得意であり、抽象的や創造的なデザインのインターフェースであってもほとんど操作に困らない。それは機械学習モデルにとっておよそ明確ではなく、スクリーンリーダーの解釈が意味を成すために、開発チームは複雑なルールや階層の組み合わせを作らなければならなかった。

この新機能が、無数のアプリを目の不自由な人たちにとってもっとアクセシブルに、あるいは初めてアクセシブルにする一助となることは間違いない。iOSの設定アプリで「アクセシビリティ > VoiceOver > VoiceOver認識」を開くと、画像説明、画面認識、テキスト認識をそれぞれオン / オフできる。

画面認識をMacなどほかのプラットフォームに移植することは容易ではないので、すぐには期待しないように。原理はしっかりしているが、モデルそのものはデスクトップに適用できない。デスクトップアプリはモバイルアプリと大きく異なっているからだ。おそらくほかの誰かがその仕事を引き受けるだろう。AIを利用したアクセシビリティ機能の可能性はまだ認識され始めたばかりだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

女性とマイノリティが大麻薬局を開く支援を行う31億円の基金をCurio Wellnessが立ち上げ

「私たちは多様性が大麻産業の要だと考えています」とCurio WMBE FundのマネージングディレクターであるJerel Registre(ジェレル・レジスター)氏はTechCrunchとの対談で語った。レジスター氏のこのプログラムに対する信念は、ファンドが取り組んでいる問題について説明していることからも明らかだ。

メリーランド州に本拠を置く医療用大麻企業Curio Wellnessが立ち上げた新しいファンドは、大麻市場に参入する十分なサービスを受けていない起業家を支援することを目的としている。Curio WMBE Fundは3000万ドル(約31億3000万円)の投資で女性、マイノリティ、障害を持つ退役軍人(Rewire News Group記事)のうち最大50人への投資を行いCurio Wellnessのフランチャイズをオープンして運営し、3年間で100%の所有権を得ることを目指している。

レジスター氏は、実績のあるビジネスモデルを通じて、より多様なオーナーシップを生み出すことが目標だという。プログラムの参加者は、資本と経営資源を利用することができる。

Curio Wellnessはメリーランド州で有名になり、市場シェアで最大の大麻栽培業者だ。2014年に設立されたこの家族経営の企業は、患者中心のアプローチに根ざした診療所を運営している。Curio WMBE FundはCurio Wellnessと法的には独立しているが、加盟店にCurio秘伝のソースを提供することを目的としている。

「女性、マイノリティ、障がいを持った退役軍人が資本にアクセスする際に直面する組織的な障壁に着目し、私たちはこの大きな経済格差への直接的な解決策を開発することにしまし。」とCurio WellnessのCEOでありMichael Bronfein(マイケル・ブロンファイン)氏はいう。「ファンドは、Curio Wellness Centerのフランチャイズ加盟者になるために必要な投資資金を必要な起業家に提供するとともに、クラス最高の事業運営を通じてその成功を保証しています」。

「成功を瓶詰めしましょう」とレジスター氏は付け加えた。彼はフランチャイズモデルをMcDonald’s(マクドナルド)に例えている。マクドナルドは、国営企業が実証済みの標準的な運営手順と継続的なサポートを運営者に提供している。

「私たちのファンドは業界の他のファンドと異なります」とレジスター氏はいう。「資格のある起業家は、最短3年で100%の所有権を得るための明確な道筋をつけることができます。他の多くのファンドは、ライセンスを取得する手段として少数民族の起業家を利用するモデルに依存している。Curio Wellnessのアプローチは、多様な起業家に権限を与え、その過程にある彼らをサポートすることで、このモデルを反転させている。投資資金で運営されているフランチャイズに何かが起こり債務不履行に陥った場合には、他のマイノリティや女性オーナーと入れ替わらなければなりません。これは、多様な起業家を支援するというファンドの最終的な使命を確実に達成しながら、ライセンシーが立ち上げに必要な財政的支援を受けることを保証するものです」。

レジスター氏は、多様性がCurio Wellnessにとっても重要だと説明する。同社200人の従業員のうち、40%が女性で半数以上がマイノリティだ。リーダーシップレベルでは、管理職の38%が女性で、44%がマイノリティコミュニティのメンバーであると認識している。

「多様性は、私たちの成功と将来に不可欠な資産であると認識しており、それがこの投資ファンドを設立することを決めた理由です」とレジスター氏はいう。

基金は2段階の支援を提供する。1つはフランチャイズ加盟者がCurio Wellness Centerを開設し、ライセンスの取得、場所の選定、従業員の雇用・トレーニングを支援するための資金を提供するものだ。開設後は管理、販売およびマーケティング、店舗運営、従業員が製品情報の更新といった継続的なサポートを提供していく。

同社は、そこをただ大麻を扱う医療機関以上のものだと考えている。そのため同社はそれらをCurio Wellness Centerと呼んでいる。

「Curioの店舗は、医療大麻を扱う薬局でこれまで人々が経験してきた以上のものであり、免許を持つ薬剤師が主導する総合的な健康の場です」とレジスター氏は説明する。「患者の健康は、私たちが行うすべてのことの中心であり、私たちが提供するさまざまな総合的な健康製品、サービス、および教育プログラムによって実証されています。医療大麻の患者体験に加えて、医療大麻カードを持っている人だけに医療体験を制限するのではなく、地域社会全体に店舗伊を開放しています。薬剤師主導のモデルを通じた患者第一の考え方を実践することで、私たちは正面玄関から入ってくるすべて人のための健康の追求を本当に主導することができます」。

本稿執筆時点で、同ファンドは目標額の3000万ドル(約)の半分を調達している。同社によると、このファンドは意図的に女性やマイノリティを含む投資プールをターゲットにし、売り込み、確保したという。同ファンドは2020年末までに終了し、申請は2021年初めに開始される予定だという。

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タグ:Curio WellnessCannabis / 大麻

画像クレジット:Curio Wellness

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(翻訳:TechCrunch Japan)

女子大学生のための「ハッカーハウス」がない、だから自分たちで作る

リモート勤務が長引くにつれ、「ハッカーハウス」が起業家たちの間で復活しつつある。企業創設者たちは、自宅に閉じ込められる現在のスタイルを受け入れられても、20代の女子大学生たちは、大学を卒業してそうしたライフスタイルに飛び込むまでの間、ただ待ってはいられない。

大学2年生のCoco Sack(ココ・サック)氏とKendall Titus(ケンダル・タイタス)氏が立ち上げたWomxn Ignite(ウムエックスエヌ・イグナイト)は、女子またはノンバイナリーの学部学生がコンピューターサイエンスを学ぶための家だ。このアイデアは、サック氏とタイタス氏が、それぞれエール大学とスタンフォード大学のリモート授業に疲れ切ってしまったことから生まれている。退屈なZoom講義をさんざん聞かされた挙げ句に、彼女たちは休学し、もっと生産的な時間の過ごし方を模索し始めた。

「高校でコーディングを学んだ若い女性のためのプログラムはたくさんあります。また、就職の機会を逃した女性のための、企業グループや企業創設者のグループも数多くあります」とタイタス氏。「しかし、20歳から25歳の間の、自分で道を切り開き、声を上げ、自分の立場で踏ん張ろうとするすべての女性のための場所がありませんでした」。

そこで彼女たちは、独自のプログラムをスタートさせた。2人は、カリフォルニアのウェディングリゾート施設を借り、ライフスタイルの冒険を望み1年間の休学ができる女性を募った。40%以上の学生が休学を考えているこの時期だけに、みるみる学生の関心が集まった。参加申し込みは500人を超え、そこから20人だけが選ばれた。

Womxn Igniteは、住み込み式のインキュベーターとして整備された。参加者は興味のある分野ごとにグループ分けされ、それぞれに解決すべき課題が与えられる。

こうすることで、各グループはさまざまなメンターセッションが受けられるようになる。月曜日と火曜日と木曜日には、女性起業家が持ち回りでメンターセッションを行うことになっている。また1週間を通して、Melinda Gates(メリンダ・ゲイツ)氏やBumble(バンブル)のWhitney Wolfe Herd(ホイッニー・ウルフ・ハード)氏といった著名な起業家による講演もちりばめられている。

週の終わりには、各グループは課題、解決策、顧客による検証、製品開発の進捗状況をプレゼンテーションする。

タイタス氏によれば、目標はすべての参加者が会社を興すことではなく、むしろ豊富な人脈を築き、事業を立ち上げる際に役立つ豊かなアイデアを身につけて卒業してもらうことだという。ある参加者は、テック業界で生きる黒人女性を題材にしたテレビ番組の脚本を書いている。また別の参加者は、Womxn Igniteのようなプログラムを、もっと簡単に大規模に実施できる企業を創設しようとしている。

セッションの空き時間は、多くがグループ単位の協調とネットワーク作りにあてられる。テーマを持たせたディナーや、ペアを組んで近所を散策したり一緒に何かを行って、互いをよく知り合うための「プラトニック・デート・ナイト」も催される。週末には、彼女たちは、顔認証に対する倫理的な懸念やナノスケール素材など、各自のニッチなこだわりを語る会に招かれる。

タイタス氏とサック氏は、参加費は5000ドル(約52万円)以上にはならないと話しているが、大半の参加者は匿名の起業家が出資する奨学金を利用している。

コホートの多様性は、経歴にこだわらず女性の力を組織的に高めるコミュニティを作ろうとする際に物をいう。Womxn Igniteでの割合は白人が最も多く、次いで黒人とラテン系、中東系、アジア・インド系がそれに続いている。全員がスタンフォード、エール、ジョージタウン、コロンビア、ハーバード、ダートマス、MITといった一流大学の在学生だ。

参加者たち(画像クレジット:Womxn Ignite)

参加者たちは、多くが大学に戻りたいと考えている。人生の中のいまの時期を踏まえ、デモデーや最初に受け取る小切手などといった古典的なアクセラレーターで聞かれる言葉にはこだわってはいない。反対に、プログラムの修了時、各参加者はこんな誘いを受ける。「今後5年間、年収の1%をシンジケート作りに寄付してくれますか?」と。2人の共同創設者によれば、ほとんどが大学に戻ろうといているわけだが、それでもいまのところ、ほぼ全員がイエスと答えているという。

この資金は、企業を創設したいを女性への投資と、Womxn Ignite卒業生のそれぞれの職種での成長のために使われる。

「その額が増えていくことを期待しています」とタイタス氏。「私たちのような企業創設を目指す女性を応援するために、どのように資金を活かせばよいかをみんなで考えられるよう、共同出資していきます」。

Womxn Ignite参加者のClara Schwab(クララ・シュワブ)氏は、この契約はもっと多くの女性が、若い時期から、男性に支配されているベンチャー投資の世界に参加できるようにするものだと話していた。

「私自身と、その他19人の本当に才能があり頭がよくて意欲があって、全員がテクノロジーに興味を持っている女性が集まって、こんな話ができる環境も状況も、他には知りません」と彼女はいう。

2人の共同創設者は、2月に新しいコホートを迎え、彼女たちのためのデジタルコミュニティー作りに専念する計画だ。

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タグ:Womxn Igniteアントレプレナーシップ学生

画像クレジット:Softulka / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

フランスが大手テック企業への課税を開始へ

フランスは大型テック企業に課税する計画を進めている。同国政府はテック巨人各社に通知を送ったとFinancial TimesReuters and AFPが伝えている。これによって米国のフランス製品に対する報復関税が実施される可能性がある。

この数年、フランスのBruno Le Maire(ブリュノ・ル・メール)経済・財務大臣は税制改革を強硬に進めてきた。欧州の多くの経済大臣がテック企業は適切に課税されていないと考えている。1つの国で売上を立て、別の国の税当局に申告する。法人税の安い国を利用することで利益を最大化している。

ル・メール氏は、欧州が巨大企業に現地売上に基づいて課税するという考えを主張した(未訳記事)。しかし他のEU加盟国の支持を得られなかった。欧州の税務政策はEU加盟国の全会一致を必要としている。

フランス政府は他の欧州各国を待つことなく(未訳記事)独自のデジタル税の検討を開始した。課税される条件は2つ。

  • 売上が全世界で7億5000万ユーロ(約933億円)以上、フランス国内で2500万ユーロ(約31億円)以上あること。
  • および、マーケットプレイス事業(Amazonのマーケットプレイス、Uber、Airbnbなど)あるいは広告事業(Facebook、Google、Criteoなど)を営んでいること。

この2つの条件に合致すると、フランス国内売上の3%を納税しなくてはならない。

これと同時に、OECD(経済協力開発機構)は、世界を横断して適用可能な標準化されたルールによって、テック企業に適切に課税する方法を検討している。

フランスと米国はここ数年間、テック関連税を巡って断続的に議論を重ねてきた。2019年8月、米国のDonald Trump(ドナルド・トランプ)大統領とフランスのEmmanuel Macron(エマニュエル・マクロン)大統領は、テック企業の運営する国が適切に課税する方法をOECDが見つけ次第、フランス政府は自国での課税をやめることで合意に達した。

2019年12月、米国はフランスのワイン、チーズ、およびハンドバッグに100%の関税をかけることを約束し、それは以前の取り決めが十分ではなかったからだとした。2020年1月(Financial Times記事)、両者はOECDの枠組みができあがるまだ、少し様子を見ることで合意した。

そして現在、ここにいる。フランス政府によると、OECDの交渉は失敗したためいまはフランスがデジタル税の徴収を始める時だという。果たしてトランプ・バイデン移行の最中に米国がどう反応するか注目だ。

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タグ:フランス

画像クレジット:Ludovic Marin / AFP / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

スタンフォード大学の学生らがラップトップを最も必要としている全米の子供たちのため支援を急ぐ

情報格差(デジタルデバイド)は今更驚くような現象ではない。しかし、Covid-19の猛威によりアメリカ国内で学級閉鎖が始まりつつあった3月、学校関係者らはオンライン授業を進めることがいかに難しいかを目の当たりにし、そしてこの事実はアメリカ人に大きな驚きを持って受け止められた。

生徒たちへのカリキュラムを変更すればよいという話ではない。多くの生徒がインターネットへのアクセスやパソコン自体、またはその両方を持っていないという状況だったのだ。元Microsoft(マイクロソフト)CEOのSteve Ballmer(スティーブ・バルマー)氏が資金提供した無党派組織、USAFactsによると、パンデミックの間、子供のいる440万世帯の家庭がオンライン学習のためパソコンを継続的に使用できる環境になかったのだ。

この問題にスタンフォード大学の学生、Isabel Wang(イザベル・ワン)氏とMargot Bellon(マーゴット・ベロン)氏の2人が果敢に取り組んでおり、その努力が一部実を結んでいる。2人が6か月前に設立した501(c)(3)組織、Bridging Tech(ブリッジング・テック)を通し、彼らはすでに400台以上の修理調整済みノートパソコンを、それを最も必要とするホームレスシェルターに住む子供たちに提供している。サンフランシスコだけで推定2000人のホームレス生徒がいるとされており、2人はベイエリアからこの活動に着手した。

これは2人の純粋な情熱によって開始されたプロジェクトではあるが、当然のことながら2人は同組織を永続的に構築していきたいという強い意思を持っているようだ。彼らは常にデジタルデバイドの問題を気にかけてはいたものの、現状を知ってしまった今、ここからただ立ち去ることはできない。

オハイオ州クリーブランドに位置する裕福な郊外、シェーカーハイツで育ったワン氏は、そこには「常に人種的な緊張感があった」と振り返る(ベストセラー小説の『Little Fires Everywhere』も同様の理由からこの地を背景に書かれている)。「コミュニティに存在した人種差別」の影響もあり、ワン氏は早い時期から十分なサービスを受けられていない人々を対象とした公衆衛生に関する取り組みに関わるようになる。そこで同氏が熱心に取り組んだのは教育への公平なアクセスを中心としたものだった。

生物学専攻のベロン氏は、スタンフォード大学の学生らが主催するアウトドアをテーマにしたOutdoor Houseでワン氏と知り合った。同氏は2人が初めから同じような興味を持っていたと語る。カリフォルニア州サンマテオで育ったベロン氏は、高校とカレッジ時代にホームレスシェルターでボランティア活動をした経験から、テクノロジーへのアクセス不足がもたらす課題に気付く。多くの人にとって、Wi-Fiを使うためにはスターバックスの外で過ごさなければならないという事実があり、また彼らにとっては図書館の中にしか利用可能なパソコンがないと同氏は指摘する。

今年の春世界が閉ざされたと同時に、ベロン氏は多くの人にとってこのような選択肢さえもがなくなってしまったことに気づく。同様にワン氏も同じ心境を抱えていた。友人たちの力も借り、今ではほぼ全員スタンフォードの学生から構成される30名のボランティアとともにこの取り組みに力を注いでいる。

これまでBridging Techはテクノロジーにアクセスできない生徒のためにラップトップを確保することに大きな重点を置いてきた。Citrix Systems(シトリックス・システムズ)とGenetech(ジェネンテック)が大口寄付企業として存在するが、同新興組織がより多くのテック大手からの支援を必要としていることは容易に想像がつく。

状態の良い中古パソコンが手に入ると、Bridging Techが提携している数社の修理調整業者に渡される。どの業者も1年間の保証をつけている。そのうちの1社で、サンディエゴを拠点とするComputers 2 Kidsは、子供たちがあまり助けを借りずにすぐにパソコンを立ち上げて使えるように分かりやすい説明書を添えている。

ベロン氏によると、通常ベイエリアのホームレスシェルターには技術ボランティアがおり、子供たちがコンピューターの電源を入れたり設定したりするのを手伝っているという。ShelterTechという組織は、Bridging Techと提携してコンピューターを受け取ったこれらの子どもたちがWi-Fiにもアクセスできるように取り組んでいる。

これらのデバイスは贈り物として、子供たちに恒久的に使用してもらうことができる。

またBridging Techは、コンピューターサイエンスなどよりスキルに基づいた活動をベースとしたメンターシッププログラムの他、個人を指導するチュータープログラムも開始している。

つい最近まで次の課題をやり遂げることに主に力を注いでいた2人の大学生にとって、非常に大変な取り組みである。しかし北カリフォルニアに彼らがもたらした変化を、他の地域でも引き起こさない訳にはいかない。ベロン氏によると、ニューヨーク、ロサンゼルス、ボストン、ワシントン、アトランタを含むその他の都市のシェルターとすでに話を進めているそうだ。

パンデミックの影響でリモート教育を強いられた恵まれない子供たちが、さらに遅れをとる結果となっており、全米中でこの問題は日に日に深刻度を増している。

これは連邦政府や州政府が真剣に取り組まない限り、簡単に解決する問題ではない。Pew Research Center(ピュー研究所)による2018年の調査によると、アメリカのティーンエイジャーの約5人に1人がコンピューターやインターネット接続へのアクセスが不十分なために宿題を完了できないことが多い、またはそういったことが時々あると答えている。同じ調査内で、低所得層のティーンエイジャーの4分の1が自宅にコンピューターがないと答えている。

ワン氏とベロン氏にとっての最大の問題の1つとして、今後彼らの志をどのように広げていくかという点がある。例えば現在、Bridging Techが修理調整したコンピューターは、ボランティアによって車でシェルターに直接届けられている。Bridging Techは、他の都市でも同じことを可能にするためのネットワークやインフラをまだ備えていない。

2人とも自分たちの限界を認識している。ワン氏は、Bridging Techに必要なのはデバイスの寄付を増やすことだけではなく、助成金の申請書を準備してくれる人材やマーケターそして、他の潜在的なパートナー組織に同組織を紹介してくれる開発の専門家などが必要だと述べている。「私たちは大学生なので、何か教えてもらえることがあれば何でもありがたいのです」と同氏は言う。

また同氏は「Bridging Techは他の都市ではデバイス寄付のプロセスを確立できていないので、ほとんどの都市でデバイスの購入を始めている」と明らかにしている(Whistleと呼ばれる組織を通して購入するのが1つの方法である。この組織は古いデバイスをユーザーから買い取るだけでなく、ユーザーが売却で得た利益を寄付できるような仕組みをとっている)。

ワン氏の新学期が始まり、またベロン氏が来年から修士課程に移った後も、2人はこの活動を続けていきたいと考えている。

「より公平な社会を実現するためには、テクノロジーが公平である必要があります。Covid-19はこれらの問題を悪化させていますが、あらゆるものにテクノロジーが必要であり、これが変わることはありません」とベロン氏は語る。

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タグ:情報格差 アメリカ スタンフォード大学

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(翻訳:Dragonfly)

インドが新たに43の中国企業アプリを禁止、安全保障の懸念を理由に

インドの中国アプリを禁止する動きは終わっていない。世界第2位のインターネットマーケットであるインドはここ数カ月で隣国である中国に関係する175超のアプリを禁止してきたが、米国時間11月24日にさらに43の中国企業のアプリを禁止すると明らかにした。

前回の禁止命令と同様、インドはこれらアプリを禁止する理由についてサイバーセキュリティの懸念を挙げた(インド政府リリース)。「インドの主権と保全、防衛、国防、治安を損なっている活動に従事しているこうしたアプリに関する考えに基づいてこの措置を取ることにしました」とインドのIT大臣は声明文で述べた。

大臣は「内務省サイバー犯罪コーディネーションセンターからの包括レポートに基づき」これらアプリを禁止する命令を出した、と話している。

禁止されたアプリには、このところランキングでトップになっていた人気のショートビデオサービスSnack Video、eコマースアプリAliExpress、配達アプリLalamove、買い物アプリTaobao Liveなどが含まれる。全リストはここで閲覧できる。現時点で、インドで使用されているトップ500のアプリに中国アプリは残っていないようだ。

11月24日の禁止命令はPUBG MobileやTikTokといったいくつかのアプリがインドでの復活を模索する中でのものだ。ここ数週間でPUBGはインドでローカル企業を登録(未訳記事)し、コンピューティング需要のためにMicrosoft(マイクロソフト)と提携し、インドに1億ドル(約105億円)投資することを公約した。それでも、インド政府はまだ何の反応も示していない。

世界で人口が最も多い2国の間にある緊張は、6月にヒマラヤで起きた軍事衝突でインド軍兵士20人超が殺害された後に高まった。以来、多くの人が中国製のスマホやテレビ、その他製品を破壊する様子を撮影したビデオを投稿し、「ボイコットチャイナ」感情がインドのソーシャルメディアでトレンドとなった。

4月にはインドは海外投資政策に変更を加え、近年インドのスタートアップに何十億ドル(何千億円)も投資してきた中国の投資家が新たにインドの企業に投資するには、インド政府からの許可を得ることを義務付けた。この措置により、インドのスタートアップのここ数カ月のディールフローにおける中国の投資家の存在感は著しく減っている。

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Redditが2人目の黒人取締役を指名、アクセンチュア取締役のプライス氏

Reddit(レディット)はPaula Price(パウラ・プライス)氏を取締役会のメンバーに指名した。同氏はAccenture(アクセンチュア)やDeutsche Bank(ドイツ銀行)など公開企業6社で取締役を務めた経験がある。今回の指名により、同氏はRedditにおける2人の黒人取締役の1人となる。

「ワールドクラスの財務部門リーダーとして、並びに戦略アドバイザーとしてのパウラの幅広い経験は当社にとって今後大きな財産となります」とRedditのCEOであるSteve Huffman(スティーブ・ハフマン)氏は声明文で述べた。「とりわけ、パウラは今回の取締役指名において我々にとって最も大事な2つの要素を満たしています。変革をともなう成長期に企業をリードする専門知識を持っていること、それからRedditのミッションに真のパッションを持っていることです」。

Redditの共同創業者Alexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏が取締役会から退き、後任に黒人の取締役を指名するよう同社に求める前、同社の取締役会に黒人は皆無だった。同社はオハニアン氏のアドバイスに従ってY Combinator(Yコンビネータ)のMichael Seibel(マイケル・サイベル)氏を指名した

ここ数年、テック企業の取締役会で黒人の取締役が増えている。直近では、Pinterest(ピンタレスト)が8月に初めて黒人を取締役会に迎え、2020年10月に2人目を加えた。

主要なテック企業の取締役会における黒人の数は以下の通りだ。

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PayPalがクラウドソースの募金呼びかけプラットフォームを米国で立ち上げ

PayPal(ペイパル)はGenerosity Networkを立ち上げ、資金集めに関する取り組みを拡大する。オンラインでの寄付を通じて人々が慈善事業をサポートできるようにするPayPal Giving Fundと異なり、新しいGenerosity Networkでは人々が自分たちのため、あるいはサポートを必要としている人や零細事業者などの組織、慈善事業のために募金を呼びかけることができる。このサービスはGoFundMeやFacebook Fundraisersといった他の資金集めプラットフォームと直接競合するものだ。

立ち上げにあたり、 Generosity NetworkはPayPalの米国の顧客のみに提供される。ユーザーは30日間にわたって最大2万ドル(約210万円)の資金集めキャンペーンを展開できる。

PayPalは、新型コロナウイルス感染症パンデミックを受けてP2Pの資金集めマーケットが成長していることから、この新たなサービスを立ち上げることにしたと話す。また、パンデミックにより従来の慈善事業団体が以前のように金を集めることが困難になっている、とも指摘した。Association of Fundraising Professionalsの調査(PDF)を引き合いに出し、パンデミックによる経済的困難の結果、米国の慈善事業団体の半分以上で2020年の募金額は2019年より少なくなることが予想されると話した。

加えて、パンデミックで6500万人超の米国人がこれまでに失業し、これは往々にして家族や友人、コミュニティに追加の支援を求めることにつながっている、とも述べた。

PayPalが社会的な資金集めにフォーカスして開発したプロダクトはこれが初めてではない。数年前、同社はMoney Poolsを立ち上げた。これはサプライズパーティーやグループでの贈り物、旅行資金など分担し合う費用を貯めるために友人や家族が寄付できるようにするものだ。Generosity Networkはそうした取り組みの延長線上にある。

Generosity Networkでの募金集めはPayPalのウェブサイトから直接行うことができ、寄付は募金活動運営者の口座に直接入金される。そして運営者は必要に応じて集まった資金を分配できる。募金を呼びかけるキャンペーンはGenerosity Networkのプラットフォームで広く共有され、運営者が投稿やソーシャルメディア、ウェブを通じて呼びかけるよりもずっと多くの人に訴えることができる。

すでにPayPalユーザーは災害救援、葬式費用、医療費、コミュニティの活動、組織のためなどの資金を募っている。

他の資金調達プラットフォームと同様、PayPalのGenerosity Networkも手数料を徴収する。しかし当面はクレジットカードやデビットカードを使った寄付の手数料を免除するとしている。ただし国境をまたぐ手数料と為替手数料は徴収する。

参考までに、Facebook(フェイスブック)は慈善団体への寄付では手数料を免除しているが、個人の資金調達には課している(米国では2.60%+0.30ドル)。GoFundMeの米国の取引手数料は2.9%+0.30ドルだ。

TechCrunchはPayPalに手数料体系を尋ねたが、同社は2021年初めまで詳細を提供できないと述べた。

実際、ウェブサイトには手数料に関する情報が示されていない。FAQのリンクはMoney PoolsのFAQに飛ぶようになっている。これはGenerosity Networkの展開準備がまだ完全に整っていないことを暗示している。加えて、PayPalアプリとウェブのMoney Poolsプラットフォームを利用する顧客にはいま、Generosity Networkでキャンペーンを展開するオプションが提供される。

一般にホリデーシーズンには募金活動が活発になるが、PayPalはおそらくこの時期に増加するユーザーを獲得し、手数料を免除することで競争で優位に立つことを描いているのだろう。

同社は審査プロセスにはさほど関与していないようだ。その代わり、同社のAcceptable Use Policyに加えて、Generosity Networkキャンペーン同意基準を導入した。この基準はGenerosity Network Termsで案内されている。しかし、顧客がこのサービスを使用するにあたって同意しなければならないガイドラインがある。ここには、要請があればPayPal情報や説明を送ることに同意するというものがある。審査手順についてPayPalは詳細を明らかにしなかった。

「高リスクの人へのグローサリー配達のための募金集めから、教育者やフロントラインワーカーをサポートするための資金調達キャンペーンまで、PayPalコミュニティがこの前代未聞の年に当社のプラットフォームを使って互いに助け合おうとする溢れ出る善意を目の当たりにしてきました」と PayPalの副社長、Oktay Dogramaci(オクタイ・ドグラマシ))氏は声明文で述べた。「Generosity Networkは、アクセスしやすく簡単で安全な寄付を募る方法を顧客に提供しようと、またそうした活動を行う人と、ホリデーシーズンやそれ以降もサポートを提供できる何百万というPayPal顧客をつなげるようデザインされました」と話した。

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「Googleに葬られる前に制裁措置を」135の企業や組織がEUの独占禁止法トップに訴える

旅行、宿泊、雇用などの業界でサービスを提供する135のスタートアップとハイテク企業の連合が、Google(グーグル)に対して独占禁止法違反の制裁を課すよう欧州委員会を促す書簡を提出し、制裁を迅速に実施しなければ存続が危ぶまれる企業もでてくると警告した。

同連合はまた、欧州委員会は今すぐ行動を起こす必要があり、そうでなければ、12月初めに草案がまとめられることになっているデジタル規制の順調な改革が台無しになるリスクがあると主張している

この書簡には、Booking.com(ブッキングドットコム)、Expedia(エクスペディア)、Kayak(カヤック)、OpenTable(オープンテーブル)、Tripadvisor(トリップアドバイザー)、Yelp(イェルプ)などの老舗インターネット企業をはじめ、冒頭で挙げた3つの業界のいずれかに属する数多くの(ほとんどの場合)小規模な欧州スタートアップが署名している。

それ以外の30の共同署名者には、メディア・出版などの関連分野、他の分野の業界団体や組織が名を連ねており、合計165の団体が、グーグルに対して迅速に独占禁止法違反の制裁を課すよう求めている。

TechCrunchが問い合わせたところ、欧州委員会の広報担当者はグーグルを批判する連合からの書簡を受け取ったことを認め、「時期が来れば」返答すると述べた。

「実力で勝負していない」

この点は以前から指摘されており、旅行業界ではすでに何年も前から苦情の声が上がっている、と欧州委員会は述べている。企業連合(米国に拠点を置く企業を含む)は拡大しており、グーグルの活動を制限するよう、団結してEU独占禁止法の担当者に圧力をかけている。例えば、TechCrunchは最近、旅行関連スタートアップの苦情について報じたが、雇用関連企業も同様の苦情を訴えるようになっている。

先に書簡を受け取ったReuters(ロイター)によると、この企業連合による訴えは、EU競争当局に対する共同の訴えとしてはこれまでで最大規模であるという。

TechCrunchも同書簡の内容を確認することができた。この企業連合は、グーグルがGoogle Shopping(グーグル・ショッピング)をめぐる2017年のEU競争法の執行決定に違反している、と主張している。この執行決定は、巨大IT企業であるグーグルが自社を優先しライバルを不当にはじき出すことを禁じている。

同連合は、グーグルがインターネット検索における支配的な立場を不当に利用して、同社が事業を展開する分野で市場シェアを獲得していると主張している。具体的には、グーグルが一部の検索結果を上部に表示する機能(「OneBoxes(ワンボックス)」と呼ばれる)について、それがインターネットユーザーに対して同社のサービスを強調し、同時にライバル企業のサービスからユーザーを遠ざけていると指摘する。

欧州委員会は、今後の立法案でこのような自社優先機能を制限することを検討している。この案は「ゲートキーパー」としての主要なインターネットプラットフォームへの適用が考えられており、グーグルはおそらくこれに分類されるだろう。

今のところ、このような事前規制は存在しない。しかし連合は、自分たちの企業にとって手遅れになる前に、欧州委員会はすぐに既存の独占禁止法の権限を行使して、市場におけるグーグルの不正行為を止める必要がある、と主張している。

「ほぼグーグルの独壇場である一般検索サービスに、自社に特化した検索サービスを技術的に統合したことは、明らかに支配的立場の濫用である 」と、彼らはVestager(ベステアー)氏への書簡で主張している。

書簡では次のように述べられている。「これまでのサービスとは異なり、グーグルは他者、つまり我々を犠牲にして、こうした市場での競争に関連するデータやコンテンツを蓄積してきた。グーグルは、市場での地位を実力で戦って獲得したのではない。 それどころか、グループ化された特定の検索結果をさまざまな形式で表示して自社サービスを一般的な検索結果ページ内で優先的に扱うことで、グーグルは不当な利益を得ている、というのが世界的なコンセンサスだ」。

グーグルがライバルを犠牲にして自社のサービスを不当に推し進めていることに関する同様の苦情は、2020年10月に提起された米国司法省の反トラスト法訴訟にも見られる。これは間違いなく、欧州でグーグルへの苦情を申し出た企業がその取り組みを強化するための後押しとなる。

2017年、欧州委員会はグーグルがインターネット検索の支配的企業であると判定した。 このことは、EU法の下では、グーグル・ショッピング訴訟で特定された侵害行為と同種の行為を、その市場シェアに関係なく、他のビジネス分野でも行わない責任があることを意味する。

独占禁止法担当者のMargretheVestager(マルグレーテ・ベステアー)氏は、欧州委員会で競争政策の担当者として在任した1期目(現在は2期目)に大手テック企業と対決したことで高い評価を得たが、現在はEUのデジタル戦略を構想するEVP(エグゼクティブバイスプレジデント)としての役割も兼ねている

しかし、彼女の監視下で、グーグルはグーグル・ショッピング検索(2017年)、Android(アンドロイド)モバイルOS(2018年)、AdSense(アドセンス)検索広告仲介事業(2019年)をめぐる独占禁止法の執行に直面してきている一方、独占禁止法違反を申し立てた側は、巨大IT企業グーグルの支配を取り除き、特定の市場や他の場所に競争を回復する上で、規制措置は何の役割も果たしていないと述べている。

企業連合は2020年11月12日付の書簡の中で、「2017年6月27日の欧州委員会のグーグル検索(ショッピング)判決は、グーグルが同社の支配的一般検索サービスの検索結果ページ内で自社サービスを売り込むことは許されないという先例を示した(と思われていた)。しかし、現時点では、この判決はグーグルが重要な何かを変えることにはつながっていない」と主張している。

欧州委員会は、同グーグルショッピング判決により、競合他社がグーグルに掲載した商品の「ショッピング」タブでの表示率が大幅に増加した(73.5%増)と主張し、「ショッピング」タブでクリックされたグーグルの商品とライバル企業の商品の割合はほぼ同等であることも指摘している。ただし、グーグルがショッピング検索での(一部の)市場シェア喪失を、他の分野(旅行や雇用など)のシェアを拡大することで補っているのであれば、バランスのとれた効果的な独占禁止法上の改善措置とはならない。

また、興味深いことに、今回の書簡にはFoundem(ファウンデム)のCEO、つまりグーグル・ショッピング訴訟におけるショッピング比較エンジンの不服申立人の署名も含まれている。

欧州委員会の広報担当者は本日発表した声明の中で、「我々は、規制措置の有効性を評価する観点から、引き続き慎重に市場を監視していく」と語り、「グーグル・ショッピングは、同社が提供する専門検索サービスの1つにすぎない。 2017年6月に下した判決により、グーグルの求人やローカル検索など、他の専門検索サービスについても検討できるフレームワークが整っており、これに関する予備調査はまだ進行中だ」と続けた。

欧州委員会が今後予定している「デジタルサービス法」と「デジタル市場法」の一括政策について、企業連合は、グーグルによる不正行為を抑制するための措置が現在十分に取られていないことが原因で、これらの今後の規制によって不正行為を是正することが不可能になるおそれがあると示唆している。

「懸案の競争調査において、欧州委員会がグーグルの現在の行為を『公平な扱い』として受け入れる場合、これは、今後の自己優先に対する法的禁止措置の意味を事前に定義するリスク、故にその価値を下げるリスクを生む。競争抑制的な拡大の進行を防ぐために必要な対策が今すぐに講じられないというだけで、競争とイノベーションは阻害され続けるだろう」と企業連合は警鐘を鳴らす。

さらに彼らは、立法化があまりに遅すぎて独占禁止法の是正措置として役に立たないと主張している。その間、他の企業は、グーグルの存在によって生き残れなくなるリスクを抱えたままビジネスを続けることになる。

「デジタルゲートキーパーに的を絞った規制は長期的には有効かもしれないが、欧州委員会はまず、既存の手立てを使ってグーグル・ショッピングの判例を強化し、グーグルの一般的な検索結果ページ内での平等な扱いを確保すべきだ」と彼らは主張し、「支配的一般検索エンジン」を規制するための欧州委員会のプランはおおむね歓迎するが、スピードが最も重要であることを強調したい、と付け加えた。

企業連合は次のように続ける。「我々は、グーグルによって排除されるという差し迫ったリスクに直面している。 我々の多くは、このような規制が実際に施行されるまで耐えられるだけの強みやリソースを持っていないかもしれない。今こそ行動が求められている。何らかの有意義な規制が発効するまで、グーグルが自社の専門検索サービスの競争抑制的な優遇を続けることが許されるならば、我々のサービスは取引量やデータ、そして実力による革新の機会が不足し続けることになるだろう。規制が発効するまで、我々のビジネスは、グーグルの競合サービスに利益を提供しながら、長期的には自社のサービスを陳腐化させるという悪循環に陥り続ける」。

グループのビジネス手法に対する批判への対応を求められたグーグルの広報担当者は、次のような声明を出している。 「ユーザーがグーグルに期待しているのは、最適で高品質な、信頼できる検索結果を提供することであり、特定の企業や商業上のライバルを他の企業よりも優先したり、ヨーロッパの人々にとってより多くの選択肢と競争を生み出す有用な新サービスの提供をやめたりすることは期待していません」。

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(翻訳:Dragonfly)

Facebookのコンテンツモデレーターたちが新型コロナ禍でも安全な労働条件を要求

Facebook(フェイスブック)のコンテンツモデレーター200名ほどと、一部のフルタイム社員が、「モデレーターの命を不必要に危険にさらすのをやめよ」と求めている。彼らはその公開書簡をフェイスブックとコンテンツモデレーターを管理しているAccentureやCovalentheyのような契約企業に送付した(Foxgloveリリース)。以前にはThe Interceptの記事が、性的虐待や露骨な暴力を扱うフェイスブックのコンテンツモデレーターの一部が、パンデミックの間にオフィスに戻るよう要求されたと報じている。彼らがオフィスに戻って数日後に、フェイスブックのコンテンツモデレーターの1人が新型コロナウイルスの検査で陽性だったと報じられている。

「コンテンツモデレーターは何カ月も在宅勤務を許されたが、その間ずっとフェイスブックを憎しみと偽情報のない場所にするための重いプレッシャーに直面していた。そして、いまとなってあなた方は私たちに、オフィスに戻るよう強制している。しかし新型コロナウイルスのリスクに関する医師のメモを持つモデレーターは出勤することを免除されているが、体の弱い親戚などがいて、私たちから新型コロナウイルスに感染すると死ぬ可能性のあるモデレーターには免除措置がない」と公開書簡には書かれている。

モデレーターたちは現在、フェイスブックに本人が新型コロナウイルスで重症者になるリスクの高い者であったり、リスクの高い者と一緒に住んでいる者が無期限で在宅ワークができることを求めている。さらにモデレーターは、フェイスブックが在宅ワークの時間を最大化することを求めている。

さらに書簡には、次のように書かれている。「コンテンツモデレーションはセキュリティ上の理由でリモートではできないといわれたが、もしそうなら、いまこそその仕事の編成のされ方を抜本的に変えるべき時である。フェイスブックには不必要に秘密主義的な企業文化が蔓延している。犯罪関連など一部のコンテンツはフェイスブックのオフィスでモデレーションされる必要があるが、そのほかは自宅で行われるべきだ」。

彼らはさらにフェイスブックに、危険手当とヘルスケア、および心のケアを求めている。また、モデレーターはいまのような外注ではなく正規雇用にせよと要求している。

一方、フェイスブックの広報担当者はTechCrunch宛の声明で次のように述べている。「コンテンツレビュワーの貴重なお仕事には感謝しており、彼らの健康と安全を重視している。社内でオープンな対話が行われることは重要だが、これらの議論は誠実でなければならない。現状、世界中で1万5000名いるコンテンツレビュワーの大半が在宅勤務であり、パンデミックの間はずっとそうだ。全員がヘルスケアにアクセスでき、雇用の最初の日から福利リソースを利用できる。そしてフェイスブックには、オフィス内のどんな仕事も安全であるための優れたヘルスガイダンスがある」。

モデレーターたちは書簡で、フェイスブックの現状のアルゴリズムではコンテンツの良質なモデレーションができないという。また彼らによると、そのアルゴリズムは「フェイスブックの心臓部」だという。

「私たちの仕事がなければ、フェイスブックは利用できない。優れたコンテンツモデレーションがなければ、帝国は崩壊する。現在のアルゴリズムは、風刺を識別できない。ジャーナリズムと偽情報を区別できない。自損行為や児童虐待に即応できない。私たち人間にはできる」と書簡にhある。

このグループは米国とヨーロッパのコンテンツモデレーターを代表しており、法務支援企業であるFoxgloveが支えている。Foxgloveのツイートによれば、今回は「これまでで最大のフェイスブックコンテンツモデレーターたちの国際的で集団的な取り組み」だという。

【更新】フェイスブックのフルタイムの社員の一部がコンテンツモデレーターたちと連帯して、同様の変化を要求している。

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タグ:Facebook

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a..k.a. hiwa

トランプ大統領が選挙の偽情報を暴露したサイバーセキュリティー責任者クリス・クレブス氏を更迭

米国政府で最も経験のあるサイバーセキュリティ担当高官の1人であるChris Krebs(クリス・クレブス)氏が更迭された。

クレブス氏はサイバーセキュリティ・インフラストラクチャー・セキュリティ庁(CISA)の責任者を、2018年11月から解任されるまで務めた。現在、誰がCISAを指揮しているのかはわかっていない。同庁の広報官はすぐにはコメントしていない。

Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領は米国時間11月17日遅くにクレブス氏を更迭し、CISAが先週公開した文書に言及した。そこには「いかなる投票システムにおいても、票の削除あるいは紛失、改変、その他いかなる方法によっても侵害された証拠はない」と書かれていた。トランプ氏は再三証拠を挙げることなく選挙の不正を主張し、CISAの声明は「著しく不正確」であると断言した。

その後すぐに、Twitter(ツイッター)はトランプ氏のツイートに、選挙の不正に関する「疑わしい」主張をしているとするラベルを付加した。

Reuters(ロイター)はクレブス氏解任の可能性について先週最初に報じていた

クレブス氏は、2018年11月、新たに設立されたサイバーセキュリティ機関の責任者としてトランプ大統領から指名された。中間選挙終了からわずか数日後だった。クレブス氏は以前、CISAの前身であるNational Protection and Programs Directorate(NPPD)の次官を務めていたほか、Microsoft(マイクロソフト)でサイバーセキュリティ・ポリシー担当職に就いたこともある。

政府在職中にクレブス氏は、選挙セキュリティに関して最も発言力のある人物の1人となり、在任中の2018年から2020年まで、ほとんどの破壊的サイバー攻撃を回避した(未訳記事)。それは2016年大統領選挙を蝕んだサイバー攻撃と誤情報に対する予防措置の成果だった。

彼は「この政権の中で、政党を問わず誰もが敬意を払う数少ない人物」だったと、上院情報委員会の委員であるMark Warner(マーク・ウォーナー)上院議員がツイートで語った。

クレブス氏はこの1年間にCISAを去った最後の高官だ。同庁でインフラストラクチャー保護を統括していたBrian Harrell(ブライアン・ハレル)氏は在職1年未満で8月に辞任(FCW記事)し、Jeanette Manfra(ジャネット・マンフラ)氏は2019年の終わりに(未訳記事)辞任してGoogle(グーグル)へ行った。11月12日にCyberscoop誌は、CISAのサイバーセキュリティ担当高官のBryan Ware(ブライアン・ウェア)氏が職を離れ、民間企業に転身したことを報じている(Cyberscoop記事)。

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マーク・ザッカーバーグ氏とジャック・ドーシー氏が再び米国議会に召喚、今回は選挙について

迫りくる召喚の脅威屈した後、テック界最大級の巨人2人が再び議会で厳しい追及を受ける。

米国時間11月16日、上院司法委員会はTwitter(ツイッター)のJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏とFacebook(フェイスブック)のMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏を召喚し、再び数時間にわたるであろうさまざまな苦情の放映を主催する。このラウンドでは、共和党議員らが公聴会を開き、「検閲、抑圧、および2020年選挙」についてテック界の大物2人に圧をかける。公聴会は選挙前に予定されていたもので、両プラットフォームが、次期大統領となったJoe Biden(ジョー・バイデン)氏と息子のHunter Biden(ハンター・バイデン)氏を巡るウクライナ疑惑を示唆すると称するリーク情報を掲載したNew York Postのあやしげな記事(未訳記事)の配信を制限する決定を下したことがきっかけだったと思われる。

もし前回の公聴会が何かの兆候であるなら、そしておそらくそうなるだろう。17日のテック vs 議会の対決は、議題に関する2大テックプラットフォームCEOのためというよりも、議員らのさまざまなお気に入りの議題に対する超党派の独り言によって強調された反保守的バイアスに対する、共和党員らによる現在進行中の不満に関する広範囲な苦情処理の場になりそうだ。2020年10月に上院商業委員会で開かれた公聴会は通信品位法230条改訂に関するものであることが明確に示されていたが、差し迫った政策問題はほとんど議題に上がらなかった(未訳記事)。

17日は選挙後初めてのソーシャルメディア経営者が議会登場となることから、対立する政治情勢の戦いも期待できる。一方は、テクノロジーやメディアによる不当な非難を受けながら、いまだになんとか大統領候補でいるトランプ大統領。もう1つ(こちらが本物)は、選挙で圧勝したがその勝利はいまも ソーシャルメディアの誤情報にまみれている(未訳記事)次期大統領ジョー・バイデン氏。後者のシナリオは、ツイッターとフェイスブックが、迫りくる選挙後の陰謀論を統制するために編み出したさまざまな特別ツールや規則の存在にも関わらず演じられてきた。

上院司法委員会は、トランプ批判者転じて大統領に選挙の敗北を認めないよう強く勧めている共和党のLindsey Graham(リンゼー・グラハム)上院議員が率いている。裏切って選挙結果の現実を認識した共和党Ben Sasse(ベン・サス)上院議員も、ザッカーバーグ氏とドーシー氏に質問する機会を得ている。委員会の民主党議員には、上院議員のCory Booker(コリー・ブッカー)氏、Amy Klobuchar(エイミー・クロブシャー)氏、そして今や次期副大統領のKamala Harris(カマラ・ハリス)氏ら、2020年指名候補者がずらりと顔を並べているが、政権移行手続きの最中で出席する可能性は低い。

17日の進行をその目で確かめたい人は、委員会の専用ページまたはC-SPANで11月17日太平洋標準時午前7時(11月18日午前0時)から、公聴会をライブで見られる。そうでない人は(見ることをおすすめもしないが)、終了後にTechCrunchでレポートをまとめる予定だ。しかし、最後に1つ疑問が残る。YouTube(ユーチューブ)のCEOであるSusan Wojcicki(スーザン・ウォジスキ)はどうやって巻き込まれずにすんでいるのだろうか?

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画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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Amazonはパンデミック中に労働者に個人防護具を提供しなかったと訴えられる

米国時間11月12日、Amazon(アマゾン)の倉庫で働いていたChristian Smalls(クリスチャン・スモールズ)氏は、新型コロナウイルスのパンデミックの間に、黒人とラテン系の労働者に個人用防護具(personal protective equipment、PPE)を提供しなかったとして同社を訴訟した。

この集団訴訟では、アマゾンがその倉庫労働者を正しく保護せず、ニューヨーク市と連邦および州の人権法に違反したと申し立てている。

「私はアマゾンの忠実な労働者であり、すべてをアマゾンに捧げてきたが、突然解雇され、ごみのように放り出された。なぜなら私が、アマゾンがその献身的な労働者たちを新型コロナウイルスから守るよう主張したからだ。私はただ、アマゾンが労働者に基本的な保護具を提供し、仕事場を消毒するよう求めただけだ」と声明でスモールズ氏は述べている。

今日私は、アマゾンのすべての従業員と、このパンデミックの間に世界中で保護されていないすべてのエッセンシャルワーカー(必要不可欠で休めないワーカー)に代わって、ニューヨーク州で集団訴訟を起こした。最初に述べたように、これはアマゾン対クリスチャン・スモールズの問題ではなく、アマゾン対人の問題である。

この訴訟についてアマゾンはコメントしなかったが、黒人の従業員や顧客そしてパートナーとは連帯していると述べている。

「アマゾンのミッションは地球上で最も顧客中心の企業になることであり、そしてこのミッションは、多様性とインクルージョンにおける私たちの活動の中心となっています」とアマゾンの広報担当者であるLisa Levandowski(リサ・レヴァンドフスキー)氏はTechCrunchに対して語っている。「多様なチームは、私たちが顧客のために構築する製品やサービスや職場の日常的な性質について、より大きく、より異なった考え方をするのに役立ちます。このことは、私たちの「14 Leadership Principles(リーダーシップの14の原則)」で強化されています。この原則は、チームメンバーが多様な視点を求め、学び、好奇心を持ち、常に他人の信頼を得ることを思い出させるものです」。

Jesse Jackson(ジェシー・ジャクソン)牧師もこの訴訟を支持し、自分はスモールズ氏とその他のアマゾンの倉庫労働者と連帯すると述べている。

「新型コロナは倉庫や刑務所などさまざまなレベルで、黒人とブラウンのコミュニティに特に大きな被害を与えた。それは、私たちのコミュニティを脅かす目に見えない敵だ。クリスのケースは、企業の貪欲さと無神経さが文字通り、コミュニティを語られることのない不要なリスクにさらすという、典型的な例だ」とジャクソン牧師は声明で述べている。

スモールズ氏は、スタテンアイランドのフルフィルメントセンターでストライキを組織し、3月にアマゾンを解雇された(CNBC記事)。その結果、ニューヨークの司法長官はアマゾンが国の労働者安全法とニューヨーク州の内部告発者保護法に違反して、スモールズ氏を解雇したのではないか調べている(npr記事)。

スモールズ氏の解雇はそのほかの倉庫労働者を行動に駆り立て、後に彼らは国際的な組織を作ってアマゾンの倉庫の内部を変えるよう要求した。​主催者側は、労働者の報復行為がAmazon Workers International設立の推進要因の1つだと指摘している。一方、アマゾンの幹部らは、スモールズ氏の信用を失墜させ、彼を組織化運動の顔にすることについて議論したと報じられている(VICE記事)。

アマゾンのの1人はかつてTechCrunchに、スモールズ氏は抗議活動を組織化したために解雇したのではない、と述べた。代わりにアマゾンは、彼が「他の人びとの健康と安全を危うくし、雇用条件に違反した」から解雇したと話している。

「スモールズ氏は、ソーシャルディスタンスの指針に違反して何度も警告を受けた。彼はまた、検査で新型コロナウイルス感染者と確認された同僚と密に接触したことがわかり、14日間の有給での自宅待機を命じられた。有給での自宅待機は弊社が全世界の事業所で採用している措置だ。在宅の指示にも関わらず、彼は現場に来て、チームをさらに危険にさらした」と広報担当者は述べた。

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チャン・ザッカーバーグ・イニシアチブの元従業員が組織の人種差別を告発

Chan Zuckerberg Initiative(CZI、チャン・ザッカーバーグ・イニシアチブ)の元従業員であるRay Holgado(レイ・ホルガド)氏は、人種差別に関する告発をカリフォルニア公正雇用居住局に提出した。ホルガド氏は黒人で、2018年9月から2020年8月までCZIで働いていた。

「社会的公正という美辞麗句を掲げていながら、CZIは黒人従業員にとって心地よい環境ではありません」とホルガド氏は告発状に書いている。「黒人従業員は不当な低賃金で、過小評価され、成長の機会を奪われ、軽んじられています。組織で昇進を望む黒人従業員は、抑圧され、自己主張が強すぎる、攻撃的すぎるというレッテルを貼られます。一方、黒人以外の従業員は厚遇され励まされます。黒人従業員がこうした不安をCZIの経営陣に訴えると、CZIは防衛反応を示し根本原因に対処しようとしませんでした。CZIは黒人従業員のために『包括的で公正で健全な未来を作る』ことがまったくできていません」。

ホルガド氏は告発状の中で、自分と同じような仕事をしている一部の同僚よりも給料が安かったと主張している。告発状によると、採用担当者はホルガド氏の給与交渉の要求を拒否したが、後に同氏は、他の非黒人従業員は給与交渉が可能だったことを知った。さらにホルガド氏は、自分が昇進と成長の機会を奪われた疑いがあり、人種のために異なる扱いを受けたことについても記述している。

自身の体験に加えて、ホルガド氏はCZIの差別問題は構造的であると語る。告発状によると、ホルガド氏はCZIの共同ファウンダーであるPriscilla Chan(プリシラ・チャン)氏に、組織の多様化アプローチは黒人を雇うことには成功しているが、黒人従業員に自信を持たせるために十分なことをしていないと伝えた。それに対してチャン氏は、問題を認めたものの「DEI(Diversity Equality Inclusion、多様・公正・包括)は人によって見え方が違うものです」と述べたという

CZIはTechCrunch宛の声明で訴えを否定した。

「私たちはあらゆる差別の訴えを深刻に捉え、今後も続ける所存ですが、元従業員によるこの訴えについてはすでに社内で取り上げられており、調査の結果、根拠がないと判断されています」と広報担当者は語った。「チャン・ザッカーバーグ・イニシアチブはCZIチーム全員の公正な扱い、アクセス、および進歩を約束しています。私たちはいかなる差別も許しません、断固として」。

この告発は、2020年6月に70名以上の従業員グループがCZIに対して、慈善活動をもっと包括的にする12の変更への同意を求めた(Vox記事)のを受けたものだ。その後8月にThe Washington Postは一部の黒人従業員らがCZIに対してもっと人種的に平等なレンズを通して仕事をするよう要望していると報じた。彼らはチャン氏に書簡を送り、CZIには人種差別、不当な扱い、反黒人的な構造的問題があることを訴えた。

「残念なことに、チャン氏はこのときも書簡で取り上げた問題の深刻さを理解せず、グループの要求のいくつかを拒否しました。中でも重要なのは、CZIの黒人従業員に関する給与公正性データの透明化を拒否したことです」とホルガド氏が11月11日にNational Committee for Responsive Philanthropy(全米慈善責任委員会)のサイトに書いている(NCRPリリース)。「黒人従業員が提出した行動計画を実行する代わりに、彼女は最近雇った最高執行責任者に仕事を押し付け、代替案を策定、実行するよう命じました。責任を転嫁し従業員を中途半端に沈静化させようとする組織の体質を複数回目撃したことで、私はこれ以上の努力は無駄であることを認識しました」。

TechCrunchはCZIに連絡をとっており、返答があれば本稿を改訂する予定。

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大麻株がバイデン氏勝利で高値更新中

カナビス(大麻)は米国選挙で大きな勝利を得た。業界各社の株価は選挙結果と最新の収益両方によって高騰している。Canopy Growth Corporation(キャノピー・グロース)やTilray(ティルレイ)、Aurora Cannabis(オーロラ・カナビス)などの企業は、業界の吉報が増えるにつれ時間外取引で高値をつけている。

市場が正式に始まる前に2桁の伸びを見せている会社もある。Aurora Cannabisは本稿執筆時点で50%以上値上がりしている。これは、有望な新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンのニュースに世界の株式市場指標が爆発している中の出来事だ。

Aurora Cannabis、Tilray、Canopy Growth Corporation各社の最新決算報告は、業界改革の実態をよく表している。パンデミック下、各社は大麻への関心が高まる中で労働力コスト削減に苦闘してきた。中には前の四半期より減収した会社もあるが、投資家は明るい未来をはっきり見すえている。

例えばCanopy Growthは時間外取引で10%高、Tilrayは25%高だった。もしこのレベルが市場開始後も維持されれば、2020年の株価水準は2018年に上場した直後のカナビス株高騰に匹敵する。

ほとんどの大麻企業がカナダに本社を置いており、大麻に対する米国の連邦品目分類は、カナダ企業による米国消費者との自由なやりとりを妨げている。それが変わる可能性がある。先週、大麻合法化法案が5つの州で提出されすべて州で勝利した。米国時間11月7日土曜日、Joe Biden(ジョー・バイデン)氏は大統領選挙に勝利宣言し、同氏は以前、大麻法制度の改訂を検討すると発言していた。

米国で合法大麻がこれほど実現に近づいたことはない。投資家は民主党によるホワイトハウスを明確に望んでいる。

今後数カ月間、議会は大麻に関する重要議題をいくつか取り上げ、銀行が国の法的措置を恐れずに大麻企業と取引できるようにするSAFE Banking(安全で公正な執行)法もその1つだ。別の法案(STATES Act)では州が国による介入のリスクなしに大麻を合法化できるようにする。さらに、MORE Actは国のControlled Substance Act(規制物質法)から大麻を除外する。議員の中には、死に体の議会はこれらの問題を会期終了直前に取り上げるだろうと予想する向きもある。

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「ギグワーカーは個人事業主」の是非を問うカリフォルニア州住民投票で賛成多数

カリフォルニア州の住民立法案「Proposition(プロポジション) 22」を支持してきたUber(ウーバー)、Lyft(リフト)、Instacart(インスタカート)、DoorDash(ドアダッシュ)は目的を達成しつつある。ギグワーカーは個人事業主という分類を継続させる住民立法案は承認される見通しとなった。AP通信が途中経過として開票率67%で賛成多数を報じた。

この記事公開時点で、投票者の58.2%(630万人超)がProp 22に賛成し、41.5%(約450万人)が反対した。

住民立法案は最低賃金の少なくとも120%の収入、業務中の1マイルあたり30セントの経費支払い、医療費、業務中の事故に対する労災保険、差別・セクハラからの保護、そして自動車事故および賠償責任保険を保証する見込みだ。そうした収入保証や経費支払いはドライバーが仕事に従事している間だけに適用され、乗車やデリバリーの合間は考慮されないことは記すに値するだろう。

Prop 22の提案者は、投票者の57%が賛成した米国時間11月3日夜時点で勝利を宣言した。UberのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は電子メールでこのニュースをドライバーに知らせた。

「今回の投票でドライバーや配達員は、望んでいたあるいは維持したいと考えていたフレキシビリティや独立性を失うことなく、福利厚生や保護へのアクセスといった多くの人が熱望していたものを手に入れます」とコスロシャヒ氏はメールに記している。「あなたたちのようなドライバーの多くが声を上げて意見を述べ、そうした声に州内の投票者が耳を傾けました。個人事業の未来は、より確固たるものになります」。

Uberは今後数週間以内に、労働災害保険やヘルスケア助成といった新たな保障をどのように申し込むか、ドライバーに詳細を知らせると述べた。一方、Prop 22反対者は敗北をしぶしぶ認めた。

「我々は今夜の結果に落胆しています。今回のキャンペーンの成功が嘘や恐怖の利用によるものだからです」とGig Workers Collectiveはブログへの投稿に書いている。「企業は投票を買収できるべきではありません。しかし我々はまだ目的に専念し、戦いを継続します」。

Gig Workers Risingもまた、戦いは終わっていないと述べた。

「この争いは、ギグワーカーが権利や福利厚生、あって然るべき威厳ある労働条件を手にするための戦いを継続する手法に他なりません」とGig Workers Risingは声明文で述べた。

Prop 22は主にUber、Lyft、DoorDash、Postmatesが支持していた。先週DoorDashは「Yes on 22(Prop 22に賛成)」キャンペーンに追加で375万ドル(約4億円)を注ぎ込んだ。11月2日には、Uberも追加で100万ドル(約1億円)を出した。そうした資金の注入もあってYes on 22が集めた総額は約2億500万ドル(約214億円)になる。これによりProp 22は1999年以来、カリフォルニア州で行われた住民投票で最も費用をかけたものとなった。

一方、主なProp 22反対者はService Employees International Union(サービス従業員国際労働組合)、United Food & Commercial Workers(全米食品卸業労働組合)、International Brotherhood of Teamsters(全米トラック運転手組合員労働組合)などだ。

「企業が自前の労働法を書くことを許す危険な前例となります」とギグワーカーでGig Workers Collectiveの組織メンバーであるVanessa Bain(ヴァネッサ・ベイン)氏はつい最近TechCrunchにこう語っていた。「この法案では労働者の不利益で企業が一方的に利益を得ることになります」。

Prop 22は、ギグワーカー州法AB-5に反対する動きだ。AB-5はUber、Lyft、DoorDashといったギグエコノミー企業が労働者を独立請負業者として扱うことを難しくするものだ。

AB-5は、雇用主にABCテストを適用することでギグエコノミー労働者が最低賃金、労災保障、その他の福利厚生を受けられるようにするのをサポートしている。ABCテストによると、雇用する企業が合法的に労働者を独立請負業者として分類するには、労働者が雇用側の管理や指示から自由で、対象となる企業の事業以外の業務を行い、定期的に独立が確立された業務あるいは同様の業務に従事していることを証明する必要がある。

目下、UberとLyftは、カリフォルニア州司法長官であるXavier Becerra(ザビエル・べセラ)氏、そしてロサンゼルス、サンディエゴ、サンフランシスコの法律顧問がAB-5をめぐって2020年5月に起こした訴訟で争っている。べセラ氏らは、UberとLyftが労働者を誤って独立請負業者として分類することで違法な競争上の優位を得ている、と主張した。その後6月に原告はUberとLyftにドライバー再分類を強制することを求めて裁判所に差し止め命令を要望した。

8月に裁判所は差し止め命令を出した。UberとLyftは控訴したが、控訴裁判所は先月下級裁判所の判断を認めた。だが、判決は裁判所が伝達を出した後、30日間延期されることになった。一方、UberとLyftはその前に控訴を検討していると話していた。

この件では、UberとLyftはドライバーを従業員として再分類することによって取り返しのつかない害を被ることになると主張してきた。2020年10月の判決で、裁判官は会社が「法を破ることを禁じられることで、重大または取り返しのつかない害を被ることにはならず」、各企業の経済的負担は「取り返しのつかない害のレベルにまではいかない」と述べている。

しかし現在、Prop 22が承認される見通しとなり、この訴訟は法的根拠が揺らいでいる。また、Uberは他の州でも同様の法案を追求すると述べていることも記すに値するだろう。

カリフォルニア州の州務長官は太平洋時間午後8時に州内58郡の投票結果を段階的に発表し始めた。しかし最終的な投票結果は11月4日夜あるいは11月5日にはわからないだろう。これは部分的にはカリフォルニアが11月3日までの消印の不在者投票を受け付けるためだ。一方、郡選管は12月1日までに最終結果を出すことになっている。

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(翻訳:Mizoguchi

エクイティ報酬における本当の公正の必要性

著者紹介:Carine Schneider(キャリン・シュナイダー)氏はAST Financial(ASTファイナンシャル)事業部AST Private Company Solutions, Inc.(株式会社ASTプライベート・カンパニー・ソシューションズ)の社長を務めている。

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私のキャリアは1980年代中盤のOracle(オラクル)から始まり、おなじみの界隈、特にシリコンバレーでフォーチュン50からグローバルコンサルティング企業まで、さまざまな企業で働いたり、提携したりしながら、現在率いるSaaS企業を含む数多くのスタートアップを先導してきた。私はキャリアを通じてテクノロジー企業との連携で特定分野を開拓してきただけでなく、グローバル報酬プログラムの設計や実装にも重点を置いてきた。

つまり、テクノロジーと報酬の仕組みの2つに関しては熟知している。

私が35年以上にわたり目の当たりにしてきた報酬の進化は飛躍的だ。中でも女性の地位と報酬においては本質的にとてつもない変化、主に良い方向への変化を遂げている。だが、中には外見だけ取り繕っているというケースもあるのが現実だ。企業が、多様性を重視する強固な文化を持っていると公表するのは、良いPRになる。優れた人材を引き寄せることができるからだ。だがそれを有言実行しないと、社員の大量退職や訴訟に発展する場合がある。最近で言うと、Pinterest(ピンタレスト)Carta(カルタ)がそうだ。

男女における報酬の平等へのコミットメントを公表しているIntel(インテル)、Salesforce(セールスフォース)、Apple(アップル)のような企業では、もう何も確認することはないのだろうか?いや、実際にはまだまだ最終ゴールには程遠い。 もちろんガラスの天井にひびは入ったが、ロングテールで多岐に及ぶ女性への報酬に関する、深刻かつ大きな未解決の溝が、特にスタートアップでは埋まっていない。企業のストックオプションといった経済的報酬の基本的な措置が、同一賃金の会話で検討さえされないことも多い。

基本的に進捗していることは明らかだが、控えめに言っても報酬の男女差は未完の計画だ。近年、米国労働統計局によって、白人女性の報酬は白人男性の83.3%、アフリカ系アメリカ人女性の報酬は同男性の93.7%、アジア人女性の報酬は77.1%、ヒスパニック系の女性の報酬は85.1%であったことが判明している

Payscale(ペイスケール)によると、収入の中央値で比べた男性と女性の賃金差は2015年以降、たったの0.07ドル(約7円)減っただけで、2020年では、男性が1ドル(約105円)稼ぐところを女性は0.81ドル(約85円)となっている。長期的にみて、40年間のキャリアで与えられる推定昇給額を計算すると、女性は自身のキャリアを通じて90万ドル(約9500万円)ほど損失する可能性がある。

だがこれは氷山の一角にすぎない。性別による報酬格差を単に脱し、現金給与格差だけになったとしても、まだほかにも見直すべきところがある。有名な商品宣伝のセリフ「ちょっと待ってください!まだほかにもあります!」を引用するが、私はその「まだほかにも」がもっともっと問題だと思う。

シリコンバレーやニューヨークのシリコンアレーなどの革新的なスタートアップが引き続きビジネス環境を新しい形に整える中で、ほとんどのスタートアップが聡明な起業家精神あふれる人材を引き付けることができる方法は何なのか?企業には素晴らしいアイデアと、もしかしたらサンドヒルロード(シリコンバレーの心臓部)のVCへの足掛かりがあるだけなので、給料でないことは明白だ。高給も充実した手当もない。その代わりに株式/エクイティ報酬というお馴染みのニンジンをぶら下げる。

「あなたがApple(アップル)にいけば、18万ドル(約1900万円)は得られることは承知しています。でも当社は4万8000ドル(約500万円)と現在1株あたり62ドル(約6500円)の自社株式1000株を用意します。ベイエリアのエリートぞろいの当社の役員会では、株価は2年間で急騰すると予想しています。公開されるのを待つだけです」。

少なくともあなたが有望な男性だったら、これは口説き文句だ。だが女性の場合は歴史的に、さまざまな理由でこうした有利な報酬パッケージから取り残される傾向なのだ。

どうしてこうなったのか?ビジネス文化を推進させるだけでなく、株式会社の報酬と株式分配における不平等を解決するための法的措置はあるが、株式会社が株式値上がり益の分配や管理をする方法については、何も制定されていない。そして言うまでもなく、値上がり益は莫大になる可能性がある。

これは道理にかなっている。多くの企業は、さらには世間知らずの求職者でさえ、株式を役職/報酬(2つは繋がっている)や手当の先にある、報酬の「第三の柱」として考えているのだ。誤って導かれているのであるが、男女の給料格差を考える多くの人にとって、スタートアップの株式は最重要ではなく、無視または誤解されることが多い。

「Journal of Applied Psychology(ジャーナル・オブ・アプライド・サイコロジー)」で公表された最新の調査によると、男女間のエクイティベースの報酬の差は15%~30%であるという。会社での職務や勤務年数の差を含め、女性の給与が歴史的に男性よりも少ない一般的な理由の説明を超えている。こうした企業の多くが大規模な査定に取りかかる予定で、中には利益をもたらすIPOや買収に取りかかる企業もあるそうだ。

これは私が大分前に認識した問題であり、ニューヨークベースの親会社ASTを代表して、ベイエリアのスタートアップを先導することに同意した大きな理由だ。私は、共有の倫理基準によって植え付けられた純粋に公平な文化へのコミットメント、男女平等を支援する企業の方が業績もリターンも良いという信念、多様性が独自の視点をもたらし、人材の確保を促し、より強固な文化を築いて、クライアントの満足を支援するという確信を得た。

業界仲間と話す際に、CEO(男性でも女性でも)が解決のために尽くしていることが分かる。私は、報酬についての幅広い概観をつくることが、スタートアップや、グローバル複合企業、その中間のすべての企業にとって不可欠だと信じている。あなたが指導的地位にいて、これが自社で解決が必要な課題であると認識しているのであれば、次の手順を実施することをお勧めする。

  1. データを確認:分析する。これが自社で本当に問題になっているか確認し、もしそうであれば、均等な機会作りにコミットする。改善戦略を通じてサポートできる経験豊富なコンサルタントは大勢いる。
  2. 主観を取り除く:独立した裁定人を雇用しデータを分析してもらう。これにより権力闘争や感情、作業生産物の先入観を排除できる。
  3. バンド型報酬を作成:政府のGS制度のように、特定の役割のバンド型報酬といった給与等級制度を設ける。人材を雇用する前に、その職務が割り当てられるバンド(給与の幅)を決める。
  4. 優秀な人材に権限を持たせる:社内で平等を本当に推進する優秀な人材、つまり会社全体における平等性の実現に基づいて業績を評価された人材を特定し、権限を持たせる。人事部長に任命する代わりに、チーフ・ダイバーシティ・オフィサー(Chief Diversity Officer、CDO)の役職を与える。結局これは、給与や保険手当よりも大きい。これは会社の文化であり、よって基盤となる。
  5. 役員会を参画させる:平等性が重要な理由について役員会を教育する。役員会がこれを重視しない場合は、最終的には重要でなくなってしまう。企業に監査委員会議長や指名・推薦議長を設け、「社風担当議長」を特定する。

私たちが最初に作成したレポートの1つは「給与比較レポート」だ。マネジメント職の誰もが簡単に使えるツールで、全従業員の株式付与を確認し、異なる人種や性別間で平等性を実現できる。確認しようという気があれば容易にできる。

私が大学を卒業し、ロナルド・レーガンが大統領であった年、私たちは女性がガラスの天井を突き破る可能性について話していた。長年を経た現在、手をたたくだけでスイッチの切り替えができる照明が開発されたし、ほとんどの人はスーパーコンピューターを手に歩き回っている。報酬の3柱(現金、手当、株式)を含む、男女における平等な報酬を優先事項として要求することは、本当に無理難題なのだろうか?

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(翻訳:Dragonfly)

トランプ大統領就任時の米国が中国人留学生に発行したビザは4月以来99%減少との報道

Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領がさまざまな手を尽くして外国人を米国から締め出そうとしてきたことは周知の事実であり、高い技術を持つ外国人労働者向けのH-1Bビザプログラムの最近の大改訂(The Wall Street Journal記事)によって、雇用者はH-1B労働者に高い給与を支払うことを強制され、申請者の資格を得るのに必要な学位の種類の範囲が狭められたのもその一例だ。この行動はすでに多数の訴訟の引き金(The Wall Street Journal記事)となっている。

それでも、2020年世界中の学生に発行された米国ビザが、これほど劇的に減少したことには驚く人もいるだろう。米国国務省のデータを挙げたNikkei Asia(日経アジア)の最新記事によると、中国本土の申請者に対して4~9月の間に発行されたF-1学生ビザはわずか808件で、2019年同時期に発行されたF-1学生ビザ、9万410件より99%少なかった。他の国の学生についても状況は変わらず、インドの学生に発行されたF-1ビザは88%、日本の学生は75%、韓国の学生は75%、メキシコの学生は60%それぞれ前年から減少している。

いったい何が起きているのか?いくつかの要因が重なっているようだ。

新型コロナウイルスはもちろんその1つで、家族は子どもたちを米国に送り出すことにいっそう躊躇している。米国の新規感染者数は11月1日だけでも9万3581件で、一方中国は24件、インドは3万8000件、日本は486件、韓国は97件、メキシコは3762件だった。

人種問題もある。多くのアジア人とアジア系アメリカ人が、ドナルド・トランプ氏の新型コロナウイルスを巡る発言は自分たちが生活全般で直面している人種差別を悪化させていると指摘し、「kung flu(カンフー・インフルエンザ)」や「China virus(中国ウイルス)」などの言葉を使われたという回答が多数(ScienceDaily記事)あった。ワシントン州立大学研究チームの最新の研究によると、新型コロナウイルスパンデミック以来増えている人種差別の報告は、健康被害の報告とも一致している(日経アジアは、すでに米国で学んでいる学生も標的となっていると指摘し、米国から出ていけと罵倒された23歳の中国人女性の話を掲載している)。

中国によるワシントンでのスパイ活動への積極的な注目も大きな役割を果たしていると同誌はほのめかし、米国ビザ取得が困難なために一部の中国人学生はカナダなど別の国に向かっていると推測している。

例えばMike Pompeo(マイク・ポンペオ)国務長官は7月にリチャード・ニクソン図書館で行った演説で、「我々は両手を広げて中国国民を歓迎したが、中国共産党は我々の自由で開かれた社会を利用しただけだった。中国は我々の記者会見、研究センター、高校、大学、さらにはPTA集会にまで(USA TODAY記事)活動員を送り込んだ」と語った。

中国人学生に対する反発に限っていえば、トランプ政権では新しいことではないが、ここ数カ月間かなりエスカレートしている。2018年から、国務省は特定の研究分野で学ぶ中国人大学院生のビザを1年間に制限し(The New York Times記事)、経過後は再申請が必要とした。この動きはオバマ政権時代に中国人に5年間の学生ビザを保証した政策(The White Houseリリース)を撤回するものだった。

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