音を使ってロボットの知覚を改善するカーネギーメロン大学の研究

ロボットは主に、視覚と触覚という2つの基本的な感覚に依存している。しかしその触覚さえも、先行する視覚のスピードに追いつくにはまだまだ長い時間がかかるだろう。現在、カーネギーメロン大学(CMU)の研究者たちが、機械が周囲の世界に対する知覚を高める手助けになる潜在的な追加感覚として(CMUリリース)、聴覚に注目している。

CMUの新しい実験は、Rethink Robotics(リシンク・ロボティクス)のSawyer(ソーヤー)を使い、金属製のトレイ内で物体を動かして、回転したり、滑ったり、側面にぶつかったりしたときに発生する音を収集している。工具、木製ブロック、テニスボール、リンゴなど全部で60種類の物体があり、1万5000回の「相互作用」が記録され、カタログ化されている。

チームによって「Tilt-Bot」(傾けるロボット)と名付けられたこのロボットは、金属製のドライバーとレンチといった比較的違いの小さな物体を決定する場合でも、76%の正確さで物体を識別することができた。音のデータを使うことで、このロボットは、物体の材質をしばしば正しく決定することができた。

CMUのOliver Kroemer(オリバークローマー)助教授は、この調査に関連するリリースの中で、「本当にエキサイティングだったのは、ロボットが失敗したときだったと思います。失敗するだろうなと思っていたものに対して本当に失敗をしていました」と述べている。「しかし、もしそれがブロックとカップのように別の物体である場合には、それを区別することはできました」。

これはまだ研究初期段階のものであり、最初の結果が公開されたばかりだが、研究は、ロボットの感知道具に加わる新しいツールとして、音検出を利用する可能性を探っている。さまざまな可能性の中には、「杖」も含まれている。機械は材質をより正確に判断するために物体を叩くことができるのだ。

カテゴリー:ロボテックス

タグ:カーネギーメロン大学

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(翻訳:sako)

野菜収穫ロボのRoot AIが7.7億円調達、新型コロナ需要により米国とカナダで配備数拡大へ

誰に聞いても、新型コロナウイルスの感染蔓延は、少なくともロボット工学と自動化の導入タイミングを数カ月加速させた。理由はかなり明確だ。ロボットは病気になることもないし、人間と同じように病気の媒介者にもならない。食品生産と農業がこの傾向から最大の勝者の一人になると見られているように、Root AIが新たな資金調達ラウンドを発表しているのも不思議ではない。

ボストンを拠点とするこのスタートアップ企業の農産物のピッキングロボットは、すでにかなりの注目を集めている。今週、同社は720万ドル(約7億7000円)のシードラウンドを発表し、PJCのRob May(ロブ・メイ)氏、First Round CapitalのJosh Kopelman(ジョシュ・コペルマン)氏、Outsiders FundのJason Calacanis(ジェイソン・カラカニス)氏とAustin McChord(オースティン・マクコード)氏の協力を得て、同社の資金調達総額は950万ドル(約10億1600億円)に達した。

農業は人手不足で離職率が高い仕事の1つで、農産物のピッキングに特化したロボットは数多く存在する。しかし同社のVirgoロボットがほかロボットとは一線を画しているのは、その適応能力の高さだ。ほとんどのロボットは単一の種類の農産物に焦点を当てているが、Virgoの器用さとソフトなグリッパーは異なる農作物にも対応できるように設計されている。

「最初の商用ユニットはトマトの収穫に焦点を当てる予定だ」とCEOのJosh Lessing(ジョシュ・レッシング)氏はTechCrunchに語った。「将来のソフトウェアアップデートで新たな作物の収穫も可能にする予定だ」と続ける。常に限られた数量ではあるが、同社のロボットはすでに現実の世界に出回っている。現在カリフォルニアの畑には2台が配備されており、新型コロナウイルス感染蔓延の影響による需要増加に対応するため、今年後半には米国とカナダにもロボットが配備される予定だ。

画像クレジット:Root AI

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(翻訳:TechCrunch Japan)

全エンジニアがGoogle出身のスマイルロボがNEDOスタートアップ事業化支援公募で採択、新たな資金調達も実施

スマイルロボティクス

スマイルロボティクス(スマイルロボ)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)実施の2020年度「研究開発型スタートアップ支援事業/シード期の研究開発型スタートアップに対する事業化支援」(NEDO STS事業)第1回公募において、ロボティクス領域から唯一のスタートアップ企業として採択されたと発表した。

さらに、NEDO認定VCのANRIから、新たに追加の資金調達を完了したことも明らかにした(NEDO STS事業への採択は認定VCからの出資が条件)。

スマイルロボは「ロボット技術で全人類を笑顔に」をミッションに、東京大学情報システム工学研究室(JSK)出身で元Googleのロボットエンジニアが集まり、2019年に創業したロボット開発スタートアップ。

同社は、ロボット制御技術・ディープラーニング技術を活用し、飲食店のホールなどを中心に「片付け」のオペレーションを省力化すべく「モバイルマニピュレーター型自動下膳ロボット」の開発を進行。NEDO STS事業第1回公募関連の交付決定先一覧によると、他にロボティクス領域案件は見当たらず、スマイルロボが「唯一のロボットスタートアップ」として採択されたことになるという。

今回のNEDO STS事業の助成金、ANRI・DEEPCOREから新たに追加で調達した資金は、ソフトウェアエンジニア・ハードウェアエンジニアの採用強化、モバイルマニピュレーターの研究開発および実証実験に用いる。

同社ロボットは、「自律走行型のロボットアーム」といえる「モバイルマニピュレータ型」である点が大きな特徴。社会実装においては、「アームのない搬送ロボットとは異なり、例えば飲食店では、顧客(もしくは店員)が『ロボットとテーブル間の皿の乗せ替えをする』必要がない」、「自律走行型であり、テレプレゼンスでの『遠隔操作』や『床にガイドを貼る』必要がない」というメリットがあるとしている。

また昨今のコロナ禍による社会的な非対面化ニーズ・自動化ニーズの高まりを受け、「飲食店においては、従来の『下膳』に加えて『配膳』なども含む『運搬作業全般』への対応」、「飲食店に限定せず、様々な施設における『つかむ・はこぶ』作業を自動かつ非対面で行えるような対応」に関する開発を、現在急ピッチで進めているという。

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Boston Dynamicsのイヌ型ロボットがフォードの改修を重ね現状がわからなくなった工場のマッピングに採用

 
Ford(フォード・モーター)はトランスミッション工場の改修のためのマッピングにBoston DynamicsのSpotロボット2台を利用してテストを行うことを発表した(Fordリリース)。Spotはイヌに似た四脚で移動するロボットで重量は32kgだ。

フォードの説明によれば、この工場は建設されて以来、新型トランスミッションを製造するために何度も改修を重ねているため、現在フォードが計画している改修計画が現状に整合しているかの確認が困難になっているのだという。Spotはレーザースキャナーなどの視覚センサーを備えており、極めて詳細で精密な地図を作成することができる。フォードではこのバーチャルマップに基づいて工場の近代化計画を立てる。

Spotを使用して工場をマッピングすることには大きなメリットがある。従来、こうした作業は多くのポイントに三脚を設置し、レーザースキャナーによって周囲をマッピングしていた。しかしこれは非常に時間のかかるプロセスだ。イヌ型ロボットのSpotなら移動しながら連続的に周囲のスキャンを続けることができ、作業時間を最大で50%も削減できるという。

Spotはレーザースキャナーに加えて5台のカメラを装備しており、時速4.8kmほどで連続2時間作動可能だ。 Spotが収集したデータと広範囲のデータを総合することで工場全体のマッピングできる。さらにSpotは小型で軽快であるため、人間が入り込めないような場所を動き回って計測を行うこともできる。

今回のプログラムはテストであり、使われる2台のSpotはフォードがBoston Dynamicsからリースしたものだ。しかしロボットがフォードが期待するとおりの性能を発揮できた場合、他の様々な用途に採用されるようになることは容易に想像できる。

画像クレジット:Ford

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

互いに協力できる倉庫用ロボットのDexterityがステルスを脱して60億円相当を調達

Dexterityは今週ステルスを脱し、複数のロボットがコラボレーションするシステムを作るための、フルスタックのソリューションを発表した。そのハードウェアとソフトウェアから成るシステムは、大箱からの個別製品の取り出し(ピッキング)や、その逆の荷詰め(パッキング)など、主に倉庫の荷受け配送部門やロジスティクスで必要になるさまざまなタスクをこなす。

画像クレジット: Dexterity

ベイエリアに拠点を置く同社は、すでに投資家から積極的に支持され、これまで5620万ドルを調達した。長くなるがその投資家たちのリストは、Kleiner Perkins、Lightspeed Venture Partners、Obvious Ventures、Pacific West Bank、B37 Ventures、Presidio(Sumitomo)Ventures、Blackhorn Ventures、Liquid 2 Ventures、そしてStanford StartXなどだ。

画像クレジット: Dexterity

同社は2017年に、CEO Samir Menon氏のスタンフォード大学の卒論の延長として創業された。同社の説明では、「Menonは、人間の脳が体をコントロールし調整するときの、コントロールの仕組みを研究し、その研究をベースに、人間のスキルを、ロボットを人間のように優雅に制御する数学的プログラムへ蒸留するためのモデルを作った」という。

同社の魅力は、そのロボットの多芸にあるようだ。それは人間と一緒に仕事ができるためであり、人間と協力できるためだ。初期の採用企業の中には、「グローバルな食品製造企業」や「世界的なパッケージデリバリプロバイダー」、それに日本の川崎重工業がいる。

Dexterityによると、COVID-19パンデミックによる必須的サービスの需要増も業績アップに貢献した。ロボットやオートメーションの企業は、どこもそんな傾向だった。たとえば同社のシステムは、「50万個のパッケージ食品」の出荷業務に関与した。

画像クレジット: Dexterity

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

アマゾンは小型ロボット「Scout」での配達サービスを拡大、ジョージア州とテネシー州でも開始

Amazon(アマゾン)のロボット「Scout」について、確かなことが1つある。それはScoutはブランドのアンバサダーであると同時に、ラストマイル配送の未来の実験でもあるということだ。2019年初めにデビューした後、同社は限定した地域でのみScoutを展開していた。カリフォルニア州アーバインと、アマゾン本社があるキング郡に隣接するスノホミッシュ郡だ。このロボットは、6輪を備えたアマゾンのサービスのための移動する広告塔のようなものである。

アマゾンによると、新型コロナウイルス(COVID-19)による閉鎖の間、ロボットは必須の労働力という地位を維持できたため、ロボットは有用なツールとなっている。人間の「スカウトアンバサダー」と一緒に、パンデミックの間もクーラーボックスサイズのロボットが働き続けている。

そして今週から、Scoutは米国南東部の2都市であるジョージア州アトランタとテネシー州フランクリンで運用を拡大する。フランクリンはナッシュビルのすぐ南に位置する人口約8万人の非常に小さな都市だ。どちらのケースでもScoutの配達はかなり小規模で、これらの都市の「特定の顧客」をターゲットにしている。

画像クレジット:www.erinleeallender.com

ロボット配送業界のすべての企業と同様に、アマゾンは運用拡大の計画を慎重に検討する必要がある。ニューヨークやサンフランシスコといった大都市は、すでに都市部の歩道が混雑しているため、この構想を歓迎していない。Scoutの運用拡大は主に住宅地をターゲットにしているが、アトランタは明らかに例外だ。

アマゾンは発表の中で、安全性に関する懸念を解消しようとしており「Scoutの配送ロボットは本質的に安全に設計されている。これは小型のクーラーボックスほどの大きさで、歩くようなペースで移動する。それぞれの配送ロボットはペットや歩行者、その他の物体(サーフボードでも)を避けて移動できる」と説明しているが、おそらくほとんどの人口が多い都市の議会は、注意してこのトピックに取り組み続けるだろう。

またアマゾンはScoutを利用して、新たな都市におけるロボット工学やSTEM(科学技術)関連の活動を支援する計画など、地域社会へのさらなる支援活動を推進している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

配達ロボットのKiwibotが食料品配達をサンノゼでShopifyなどと提携して展開

カリフォルニア大学バークレー校キャンパスの学生にブリトーやスナックを届けている配達ロボットスタートアップのKiwibot(キウィボット)は、Shopify(ショピファイ)、Ordermark(オーダーマーク)との提携のもと、サンノゼで新たなビジネスモデルを展開する。

約25台のKiwibotが米国時間7月21日、サンノゼとブエナビスタのダウンタウンで顧客への食品などの配達を開始する。このエリアは市中心部の南西に位置し、中南米系の人が多く住む。顧客への配達でKiwibotを利用するレストランや事業所に課す料金は1回あたり3.99ドル(約430円)だ。

サンノゼでのローンチは単に地理的な拡大ではない。Kiwibotの新たなB2B戦略の正式立ち上げとなる。

「ロボットインフラやマーケットプレイスを構築する代わりに、我々はロボットインフラ構築だけにフォーカスし、マーケットプレイスを専門とする企業と提携しようと考えた」と共同創業者でCEOのFelipe Chavez(フェリペ・チャベス)氏は述べた。

Kiwibotは2020年1月に路線を変更し、あらゆる事業所が自社のプラットフォームに取り込めるようB2BのAPIの構築を開始した。ShopifyとOrdermarkは、Kiwibotにとって新指針下での初のパートナーだ。

提携が意味するところは、Shopifyプラットフォームを活用している事業者はオンラインストアにKiwibot APIを加え、プロダクトを直接顧客に届けることができるということだ。一方、事業所にオンライン注文プラットフォームを販売しているOrdermarkは、Kiwibot APIをプロダクトに取り込んだ。現在、Ordermarkのダッシュボード上には、他のさまざまなサービスとともにKiwibotも表示される。

チャベス氏によると、Kiwibotはサンノゼ市とも緊密に連携をとっている。市の輸送当局は、Mobility Data Specification(MDS)を介して各ロボットの位置をリアルタイムに把握できるようになる見込みだ。スクーターなどシェアリング用車両を追跡するためのツールとしてMDSを活用する自治体は増えている。しかしチャベス氏は、サンノゼがロボット企業のAPIを統合する初の自治体だと主張する。顧客の個人情報を保護するためにデータは暗号化される、とも同氏は述べた。

画像クレジット:Kiwibot

Kiwibotは完全自動ではない。少なくとも「今はまだ」だ。チャベス氏はKiwibotを表現するのに「半自動」という言葉を使う。それが意味するところは、つまり配達ロボットはカメラを搭載し、周囲にある物体を感知しながら走行できる。しかし特定の状況ではリモートで人間がサポートしたりコントロールしたりする。1人の人間が最大3台を遠隔モニターできる。こうしたテレオペレーターもしくは監督者は経路計画や設定の方法、ルートに沿った中間地点の調整を提供する。また、問題が起こったときに介入して直接コントロールすることもできる。同社によると、監督者の多くはコロンビアにいて、そこからロボットの全ての道路横断をコントロールする。コロンビアは、チャベス氏と彼の共同創業パートナーSergio Pachón(セルジオ・パチョン)氏の出身地だ。

このロボットは今後人間への依存を減らすことが目的だ。次世代のKiwibot 4.0はひと回り大きくなる。人目につかない部分では、センサーが追加で加わる。カメラが増え、LiDARも搭載する。Kiwibot 4.0は年末までに登場する予定だ。

画像クレジット:Kiwibot

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(翻訳:Mizoguchi

マップがなくてもロボットが物体を認識し自らをナビする研究をカーネギーメロン大学が披露

カーネギーメロン大学(CMU)が、ロボットの移動やナビゲーションに関する新しい研究(CMUリリース)を披露した。同大学はFacebook AI Research(FAIR)の協力により、ロボットが見慣れた物体を認識しながら動いていくセマンティックナビゲーションを設計した。

SemExpというこのシステムは、最近行われたHabitat ObjectNav ChallengeコンテストでSamsung(サムスン)を破って優勝したが、機械学習を利用して物体を認識させる訓練を行う。認識するのは、単純な表面的特徴だけではない。CMUが挙げた例では、ロボットがエンドテーブルとキッチンテーブルを区別し、それがどの部屋にあるかを推定する。しかし冷蔵庫は個性的で区別しやすく、置き場所が限定されるので部屋の見分けはもっと簡単だ。

「常識的に、冷蔵庫を探しているならキッチンに行くべきだ。しかし従来のロボットナビゲーションシステムは、障害物を示すマップを作ってからスペースを調べる。それによってロボットは、どこへ行くべきかを理解するが、そのルートが遠回りになることもある」と機械学習博士課程のDevendra S. Chaplot(デベンドラ・S・シャプロ)氏はリリースで述べている。

CMUによると、同大がロボットにセマンティックナビゲーションを応用するのは、今回が初めてではないが、これまでの取り組みは、物体がどこにある可能性が高いかを推論させるのではなく、物体がどこにあるかを記憶することに大きく依存していたという。

画像クレジット:Carnegie Mellon University

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ロボティクスプラットフォームのRapyuta RoboticsがBizTech ファンドから資金調達

Rapyuta Robotics rapyuta.io マーキュリア

ロボティクスプラットフォーム「rapyuta.io」提供のRapyuta Roboticsは7月20日、マーキュリアインベストメントおよび伊藤忠商事が共同組成したBizTech ファンド(マーキュリア・ビズテック投資事業有限責任組合)からの資金調達を発表した。調達額は非公開。

調達した資金は、複数・異種ロボットの協調連携を実現する、同社独自の群制御AIおよびソフトウェアの開発に投資する予定。同分野は、まだ世界的にも黎明期にあり、rapyuta.ioの技術を発揮できる分野であること、様々な商品を扱う倉庫物流を自動化する上で不可欠な技術となることから、戦略的な注力分野と位置づけているという。

Rapyuta Roboticsは、チューリッヒ工科大学(ETH Zürich)からスピンオフした大学発スタートアップ。2014年7月設立の同社はEU出資の研究プロジェクト「RoboEarth」出身チームにより日本で創業した。

「ロボットを便利で身近に」をビジョンに掲げ、世界でも最先端の制御技術および人工知能技術を活用した次世代クラウドロボティクス・プラットフォーム「rapyuta.io」を開発。

複数および複数種類のロボットの協調制御を得意としており、特に倉庫物流の自動化に注力している。自律移動ロボットや自動フォークリフト、ロボットアームなど、多種多様、かつ複数のロボットを、クラウドから一括管理し、協調制御や、ロボットナビゲーションなどが可能となる。

また、rapyuta.ioにより、システム構成要素を一から作り上げる必要がなくなり、ユーザーが得意とする技術分野の開発に集中できるとしている。

2020年5月には、このプラットフォーム構想の第1歩として、物流倉庫用協働型ピッキングアシスタントロボット(自律走行型のAMR、Autonomous Mobile Robot)の商用化を実現した。

マーキュリアインベストメントは、日本政策投資銀⾏が中心となり設⽴された、東証一部上場のプライベート・エクイティ投資の運⽤企業。BizTech ファンドは、マーキュリアの戦略株主である伊藤忠商事を中心に、不動産・物流業界の事業会社をパートナーに迎え、当業界の変革に挑戦する企業の⽀援を目的としている。

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FedExはロボットアームを使ってメンフィスの施設で荷物の仕分けを行う

宅配大手のFedEx(フェデックス)は、これまでもロボット技術にトライしたことがある。よく知られているのは自律配送ロボットのRoxoだが、2019年にニューヨークでデビューしたときは市長のBill de Blasio(ビル・デブラシオ)氏に冷たくあしらわれた(未訳記事)。しかし最近では、新型コロナウイルス(COVID-19)のために多くの企業がサプライチェーンから人を減らすことを考えるようになり、ますます自動化が急務になっている。

このロジスティクスの大手から今週、TechCrunchにここ数カ月、以前とは違う方法でロボットを使っていると連絡があった。FedExは同社のメンフィスの施設における大量の荷物の仕分けを支援するためにYaskawa AmericaとPlus Oneから4台のロボットアームを導入した。

しかしこの分野に詳しい人はよくご存知と思うが、様々な理由で、その工程において人間の役割は依然として大きい。同社ではこれまで仕分けを担当していたSmall Package Sort Systemチームの数名が、ロボット従業員の働きを監督している。

FedExによると、この技術には新型コロナウイルスの流行前から積極的に取り組んでいたという。「新型コロナがこの技術の採用を加速したわけではないが、ウイルスのためにメンフィスのハブを通過するeコマースのパッケージの量が急激に増加し、そのため新型コロナがこの技術の必要性と、メンフィスで働くチームへの支援の必要性を確認した」という。

そもそもこの業界はしばらくの間、この方向を目指してきた。ロボティクス企業への投資や買収に大金をつぎ込んできたAmazon(アマゾン)は、人間とロボットが一緒になって大量の荷物をさばいていく工程の、ベストモデルといえるだろう。UPSもやはり、さらなる自動化を目指している。2019年に同社は、パッケージの80%を自動化施設で処理するという目標を掲げた(BUSINESS INSIDER記事)。新型コロナウイルスのような現在進行中の大規模な健康危機は、労働者と顧客の両方にリスクをもたらしており、自動化の拡大は多くのこの種の企業にとって、当然やるべきことになっている。

FedExによると、同社はこれまでのところロボティクス企業への投資は行なっていない。

画像クレジット:FedEx

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

室内を紫外線で消毒する3Dマッピング搭載の自律型ロボ「SmartGuardUV」

Fetch(未訳記事)は、Amazon(アマゾン)などと直接競合して成功を収めた倉庫作業用ロボットで確かによく知られている。しかしうまくやっている自律型ロボティクスのプラットフォームはどこもそうだが、Fetchもさまざまな懸念の解決に適応できるようモジュール式のシステムを提供している。

ここ数カ月の新型コロナウイルスのパンデミックの中で、数え切れないほどの企業が、そしてFetchも自社技術のニーズを認識した。同社は6月に消毒スプレーロボットのBreezy One(PR Newswire記事)を発表した。それから1カ月も経たないうちに、今度はSmartGuardUVを発表した。Breezy Oneと同じ考えに基づくものだが、SmartGuardUVはPURO Lightingから厚意で提供を受けたキセノンUV装置を使い、UV-C、UV-B、UV-Aのライトで消毒をする。

Fetchのほかのロボットと同じくSmartGuardUVも自律的に動作するので、病院や店舗、小売業などの広いスペースや、再開にあたって安全対策に関心を寄せているオフィスで利用できる。

FetchのCPOであるStefan Nusser(ステファン・ナッサー)氏はリリースで次のように述べている。「新型コロナウイルス(COVID-19)から従業員と顧客を守るために十分な備えをしている施設は、消毒に細心の注意を払い、いつでも配備できる自動化ソリューションに信頼をおいている。どんな規模の企業も、信頼できる消毒手順の必要性を認識している。SmartGuardUVを使えば、従業員が通常の業務から手を離すことなく、1日中いつでも確実な安全対策をすることができる」。

このシステムでは3Dマッピングに加え、Piedmontの4Siteクラウド分析プラットフォームを利用して作業の際に消毒の指標も提供する。Fetchによると、最大で99.9%のウイルスと細菌を消毒する能力があるという。

画像クレジット:Fetch Robotics

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(翻訳:Kaori Koyama)

モーションリブが力加減を双方向に伝送する遠隔操作システムを開発、汎用力触覚ICチップを利用

慶應義塾大学 モーションリブ 力触覚 ハプティクス AbcCore

慶應義塾大学発スタートアップのモーションリブは7月17日、汎用力触覚ICチップ「AbcCore」により、市販の協働ロボットを使って力触覚を双方向に伝送する遠隔操作システムを開発したと発表した。

ロボットの遠隔操作による人手作業の代行は、危険作業における作業員の安全確保や、製造・保守作業のリモート化による業務効率改善など、様々な場面での活用が期待されている。また、力加減を伴う作業をロボットの遠隔操作で行う場合、位置や力の力触覚情報をリアルタイムかつ双方向に伝えることが作業効率に影響することが知られている。

モーションリブが開発したシステムでは、市販の協働ロボットで「作業者の力加減を伴う動作」「作業対象のモノの感触」といった力触覚情報を双方向に伝送する遠隔操作システムを構築可能。協働ロボットの力加減を直感的に操作できるため、離れた場所からの安全・柔軟な遠隔作業を行えるようになる。

また、力触覚を有する遠隔操作システムをAbcCoreで構築するには、これまで専用装置の製作が必要だったが、今回のシステムでは市販協働ロボットをそのまま活用できるようになった。短期間かつ容易に、力触覚伝送機能を有する安全な遠隔操作システムを構築可能としている。

モーションリブは、機械による力触覚の制御に必要なリアルハプティクス(Real-Haptics)について、機械への実装に向けた研究開発から、AbcCoreの製造販売までを行う慶應義塾大学発スタートアップ。リアルハプティクスとは、アクチュエーター(サーボモーターなど)の力加減を思うように制御できる、慶應義塾大学が発明した技術。この技術により、力触覚の可視化・分析、遠隔操作、自動化、感触が再現可能。

AbcCoreは、力センサーや特殊なモーターなどを必要とせず、市販モーターを使って力加減や力触覚伝送の制御を実現できる点で技術的優位性を備えるという。モーターにかかる負荷力は推定アルゴリズムにより算出するため、力センサーやトルクセンサーも不要。AbcCoreは、すでに50社以上の企業に先行提供されており、共同研究や実用化が始まっている。

慶應義塾大学 モーションリブ 力触覚 ハプティクス AbcCore

また同社は、共同研究を行うソリューション事業、AbcCoreを提供する「デバイス事業」、技術を提供するライセンス事業の3事業を柱に、顧客の製品企画から量産販売までをサポートできる体制を構築している。

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ロボットに透明な物体をつかませる方法をカーネギーメロン大学が開発

元グーグルのロボティクス担当ディレクターが家庭内で動き回るロボットのプラットフォームを発表

ロボットの名前はStretch(ストレッチ)。厳密に言うならStretchの研究エディションだ。背が高くてガリガリでミニマルな家庭用ロボットのデザインをまさに表している名前だとう。単純でテクニカルなデザインのStretchは、ちょっと変わっているがなんとなく親しみを感じる。標準的なロボティクスの要素を多数取り入れた設計で、家の中を動き回り、邪魔になりそうなときにはよけることができる多目的のマシンを実現しようとしている。

Stretchは、ベイエリアを拠点とするHello Robotの初の製品だ。同社は3年間ステルスで活動し、ここにきて姿を現した。創業したのはジョージア工科大学出身でCEOのAaron Edsinger(アーロン・エドシンガー)氏。Google(グーグル)が2013年にエドシンガー氏の会社であるRedwood Roboticsを買収後、同氏はグーグルでロボティクス担当ディレクターを務めていた。

Stretchはまだ初期段階の製品だ。価格は1万7950ドル(約192万円)で、現時点では開発者向けプラットフォームだが、ゆくゆくは適切なソフトウェアを用意して商用ベースにできるだろうということは容易に見てとれる。エドシンガー氏は「Stretchの今後のエディションは、もっと直接的に商用での利用をターゲットにしたものになるだろう。しかし現時点では、研究エディションでできるだけ優れたカスタマーエクスペリエンスを提供することに集中している」という。このロボットには、グリッパーのほか、ナビゲーションのための3Dカメラとレンジファインダー、オンボードのコンピュータが搭載されている。ソフトウェアはROSとPythonを組み合わせて使用している。

プラットフォームはオープンソースで、家庭や小売店で役に立ちそうなタスクに関するロボット開発のために設計されている。

エドシンガー氏はリリースで次のように述べている。「このロボットの特徴は際立って長いリーチだ。だから我々はこのロボットをStretchと名付けた。この設計は特許出願中で、家庭で高齢者を補助する、食料品を棚にしまう、職場で感染の恐れがある場所を清掃するなど、さまざまな応用が可能だ。Stretchはこうした未来を作ろうとしている研究者や開発者にとってゲームチェンジャーとなるプラットフォームだと考えている」。

繰り返しになるが、これはまだ初期段階だ。Hello Robotは小規模なチームで、従業員は現時点で10人に満たない。これまでのところ、同社は完全に自力で運営されている。エドシンガー氏はTechCrunchに対し「これまでの顧客の反応をもとに、健全で収益性の高いビジネスにしていきたい」と述べた。

画像クレジット:Hello Robot

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(翻訳:Kaori Koyama)

ロボットに透明な物体をつかませる方法をカーネギーメロン大学が開発

ロボットにとって、透明の物体をつかむのは難しい作業だ。これまでのカメラやセンサーの多くは、つかむ場所を指示するための情報を十分に得ることができなかった。赤外線カメラからの光は処理中に物体を通過し散乱する。デプスカメラは不透明な面がないと形を適切に判断できない。

こうしたことから、ロボットの手が触れるものを図式化しようとする際に高い確率でエラーになってしまう。プラスチックやガラスのボトルはたいてい透明なので、ボトルのリサイクルにロボットを利用したい場合は、このことが問題になる。

カーネギーメロン大学は2020年7月第3週に、一般的な民生品のカメラを使ってこのプロセスを改善する可能性のある新しい研究結果を公表した。研究チームは、色を読み取って透明な物体の形を判断できるカラーのカメラを製作した。まだ完全ではなく、不透明な物体ほど正確ではないものの、研究チームによれば透明な表面をこれまでの方法よりもずっと高い確率でつかめるようになったという。

この発表に関するリリースでカーネギーメロン大学でロボティクスを研究するDavid Held(デビッド・ヘルド)助教授は「ときどきミスはあるが、ほとんどの場合で成果があった。透明な物体や反射する物体をつかむことに関して、これまでのどの方法よりもずっと優れている」と述べている。

研究内容の詳細は、2020年夏の後半に開催されるバーチャルロボティクスカンファレンスで発表される。

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(翻訳:Kaori Koyama)

ボストン・ダイナミクスのSpotとPepperのロボット軍団が福岡PayPayドームでソフトバンクホークスを応援

NPB(日本プロ野球)の試合の魅力は、フィールド上でのプレーだけではない。しかし、誰もいない球場でプレーする新型コロナウイルス(COVID-19)の時代には、どうすればいいのだろうか。韓国のKBOリーグや短縮開催されるMLBを含む多くのリーグによる、座席上の人形のダンボールの切り抜きは、非現実的な体験を身近なものにしようとする試みである。

一方、日本はシュールさへと向かっている。福岡ソフトバンクホークスは、おなじみの2種類のロボットに応援を手伝ってもらった。ソフトバンクのPepperとソフトバンク傘下のBoston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)が開発したSpotが今週の楽天イーグルスとの対戦で、応援席を形成したのだ。このパフォーマンスは2020年7月末まで実施される。

ソフトバンクにによると「Spotがスポーツイベントでダンスを披露したのは初めて」だという。ボストン・ダイナミクスのロボットは最近多くの仕事を引き受けており、25年以上の同社の歴史の中で初めて売りに出された。建設とセキュリティがこのロボットの主な用途だが、ソフトバンクがショーにも興味を持っているのは明らかだ。一方、ソフトバンクが2015年に買収したAldebaran Robotics(アルデバラン・ロボティクス)が開発したペッパーは、接客業界で活躍している。

7月下旬に米国で開催されるMLBの短縮シーズンでは、多くのチームがボール紙の切り抜きでスタンドを埋めている。Oakland A’s(オークランド・アスレチックス)は、等身大の人形ダンボールにファンが自分の肖像を展示する有料サービスを発表した(Oakland Athleticsリリース)。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

オリィ研究所が分身ロボット利用の新しい働き方を開拓するプロジェクト公開、パイロットを募集

オリィ研究所 AVATAR GUILD

オリィ研究所は7月7日、外出困難な人達が分身ロボットOriHime(オリヒメ)のパイロットとなり、新しい働き方を開拓するプロジェクト「AVATAR GUILD」(アバターギルド)を開始した。

AVATAR GUILDは、育児・介護、難病や障害など様々な理由で外出困難となっている人が、企業・自治体とともに新たな働き方の開拓を目指すプロジェクト。従来在宅での就労が困難だった意欲のある方が、分身ロボットカフェで就労訓練を受けることが可能。また企業への就労も支援する。

オリィ研究所は、就労経験がない、あるいは10年以上働けていないなどブランクがあっても、トレーニング、就労準備、就労定着まで従来以上にフォローする体制を構築。社会参加したい方が働ける事例を増やすとともに、 障害を持つ方の雇用を検討、あるいは慢性的マンパワー不足を感じる企業も支援する。

パイロット希望者は、公式サイトでのパイロットエントリー登録後、書類審査および面談(ビデオ面談)による合否を経る必要がある。審査を通過するとオリィ研究所公式パイロットとして登録される。オリィ研究所では、採用を検討している企業の募集も行っている。

オリィ研究所は、2012年より、外出困難な人々が外の世界への参加を実現する遠隔操作型ロボット「OriHime」(オリヒメ)、「OriHime-D」(オリヒメディー)を開発・提供。

2018年には、遠隔操作型ロボットがオーダー、給仕などの接客を行う「分身ロボットカフェ」を期間限定で開催。重度障害者を雇用するなど、分身ロボットを活用した新しい働き方の実証実験を実施。これを受け、従来困難だった重度障害者やテレワークでの雇用に関心のある企業・自治体からの問い合わせ、分身ロボットでの在宅就労を希望する外出困難者が増加したという。すでに過去1年間で、神奈川県庁、日本電信電話、日本マイクロソフト、共和メディカル、三菱地所ホームなどにおいて、難病や重度の障害などで外出困難な方々を紹介し、就労を開始している。

オリィ研究所 AVATAR GUILD

オリィ研究所は、PC・スマホから操作できる分身ロボットを使えば、入院中、重度身体障害があり首から下を動かせなない、あるいは育児や介護、感染防止などで外出が困難という場合でも、カフェ・受付での接客や案内、会議への出席、講師や秘書など、これまでテレワークでは困難だった業務を行えるとしている。

オリィ研究所 AVATAR GUILD

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さまざまな産業に適応するロボットを開発するスタンフォード発のRIOSが5億円超を調達

米国サンフランシスコ・ベイエリアのロボティクスのスタートアップであるRIOSは米国時間6月29日、ステルス状態を脱して500万ドル(約5億3700万円)の資金調達を発表した。そのラウンドをリードしたのはValley Capital PartnersとMorpheus Venturesで、参加した投資家はGrit Ventures、Motus Ventures、MicroVentures、Alumni Ventures Group、Fuji Corporation、NGK Spark Plug Coなどとても多い。

ちょうどいまは、工場の自動化への関心が再び高まっている時代だ。最近ではさまざまなスタートアップが大量の資金を獲得している。例えば1月には、Berkshire Greyが2億6300万ドル(約282億7600万円)の巨額を調達した。それに比べればRIOSの調達額は小さいが、まだまだこれからの若い企業だ。

それでも、グローバルなパンデミックの最中で多くの産業が停滞し、ウイルスを媒介する人間という要素のない生産工程が求められている中で、オートメーションへの投資家の関心も大きく膨らんでいる。

RIOSは2018年に創業したスタンフォード大学からのスピンアウトだが、Xerox PARCの技術者が多く関与している。過去1年半ほどステルスで過ごした同社は、その間パートナーの企業グループとともに技術のテストを進めていた。

同社の最初の製品であるDX-1は、さまざまな産業のさまざまなタスクを狙っている。その中には、製品の箱詰めやコンベアベルトの操作もあるだろう。そのシステムは同社のAIスタックで動き、その中には感知システムやロボットの手に装着したさまざまな触覚センサーもある。

料金は月額固定料金制を予定しており、提供されるサービスはプログラミングやメンテナンス、モニタリング、定期的アップデートなど実にさまざまだ。

画像クレジット: RIOS

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Festoの生体模倣ロボット最新作は人工羽毛で飛ぶ鳥と自律移動アーム

ドイツのFestoというロボティック会社は、プロトタイプロボットでカンガルーやクラゲなどの生物をつくっているだけだと思っているかもしれない。実は本格的な産業ロボットも作っているのたが、彼らのバイオメトリクス経験には驚嘆せざるをえない。代表例が羽の生えたBionicSwift(バイオニックスウィフト)とおかしな自律ロボットアームのBionicMobileAssistant(バイオニック・モバイル・アシスタント)だ。

Festoはこれまでにも空飛ぶ鳥のロボットを作っていて、10年近く前に私も記事を書いている。そのあとには空飛ぶコウモリも作っている。 しかし、BionicSwiftはもっとすごい。なぜなら、空を飛ぶ感覚を本物に近づけるために、人工羽毛を使って飛ぶからだ。

画像クレジット:Festo

1枚1枚の羽は超軽量で柔軟性がありながら極めて堅牢な発泡体で作られていて、瓦のように隣と重なり合っている。カーボン製の羽柄(はがら)に繋がれた羽は、本物と同じような翼を構成する。

関節構造の羽は鳥の羽と同じように働き、下向きの動きでは一体となって空気を押し下げ、上向きに動く時はバラバラになって空気抵抗を減らす。制御はすべて本体内で行われ、室内位置決めシステムも内蔵している。BionicSwiftsの集団は、狭い場所でも超広帯域通信を使って互いに避けながら飛び回ることができる。

もうひとつのBionicMobileAssistantの方が多少実用的に見えるかもしれないが実はそうでもない。このロボットは、車輪のついた球状の本体から腕が伸びているような形状だ。3つの “omniwheels”(オムニホイール)で駆動され、最小限の接地面積でどの方向にも簡単に移動できる。

手は、最新式ロボティック・グリッパー・デザインの集大成で、あらゆる種類の最新技術が詰め込まれている。ただし、結果は部品を足し合わせた合計に及ばない。今どきの「良い」ロボットハンドの特徴は、手のひらや指に多数のセンサーをつけたり、親指を自由に動かしたりすることではなく、掴んでいるものを認識する能力にある。飾り気のないハサミ状の手の方が、本物そっくりなものよりも、良い「手」であるかもしれない。それを支えるソフトウェア次第だ。

移動する球体という戦略も、本体の不安定さを生む。このロボットが食べ物や部品ではてぐ、スカーフを運んでいたことがそれを露呈させている。

もちろん、この手の機械を批判するのは間違っている。大切なのは実用よりも野心だ。そして、Festoから出てくるこうした興味深い作品が、ほかの何よりも未来の可能性のヒントあると理解することが重要だ。

画像クレジット:Festo

[原文へ]

球体(翻訳:Nob Takahashi / facebook

室内用フードデリバリーロボットを開発する中国のPuduが約16.1億円調達

ロボティクスの分野は近年、クリティカルマスのような状況になっていた。しかし、この半年間で新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが発生し、パンデミック以外の面では慎重な多くの投資家が思い切った行動に出ている。米国時間7月1日、深圳を拠点とするPudu Roboticsは、北京の食品サービスグループのMeituan(美団)のみが投資したシリーズBで1500万ドル(約16億1000万円)を調達したと発表した。

Puduは自社を「スマートデリバリーロボティクス」企業と称している。同社製品の大半は、フードサービス業向けのものだ。料理の提供と食器の回収をする複数のロボットSKUがあり、すべて室内向けモデルだ。デリバリーアプリに対応するためのロボットではなく、ホテルやレストラン、オフィスビルなど同じ建物内でのさまざまな用途のために設計されている。

2020年6月(Business Wire記事)にPuduはパンデミック下で「数百台」のユニットが韓国と中国の病院に導入されたと発表した。ほかにもレストランやホテルに導入されており、いずれも新型コロナウイルスの感染防止のために人と人との接触を減らす手段として期待されている。これまでに合計で20カ国、200都市に同社のロボットが導入されたという。

CEOのZang Tao(ザン・タオ)氏は6月に発表したプレスリリースで「人間以外との接触は安全で、オートメーションによって人間の苦労を減らせる。人間の生命を考えると、この2つの利点はさらに重要性を増すだろう。新型コロナウイルスの感染が拡大し公衆衛生のシステムに不可逆的な影響を及ぼす中で、多くのテック企業がインテリジェントな消毒、人手を介さないデリバリー、インテリジェントな診断において重要な役割を果たしてきた」と述べた。

もちろん「不可逆的な」という部分はまだ見えていない。しかし、新型コロナウイルスはこの種のテクノロジーの有効性と必要性をテストするための重要な場になるだろうということは、おそらく確かだ。

1年前にはせいぜい道楽のように思えたことが、今では食品を扱うプロセスに欠かせない部分になる可能性が見えてきた。新型コロナウイルスによって投資家の関心は確かに加速したが、期待に応える準備ができていることを示せるかどうかはスタートアップ次第だ。

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

外骨格スーツのGerman Bionicが最新パワードスーツを8.4万円からのサブスクで提供開始

German Bionic Cray X

German Bionicは7月1日、最新世代スマート・パワードスーツとして、カーボンファイバー・フレーム採用の第4世代Cray Xを発表した。RaaS(Robot as a Service)として複数の価格プランとサービスレベルを設定しており、月額8万4000円からのサブスクリプションモデルによる導入が行える。

同社は、ベルリンと東京を拠点とする、EU初の工業向けエクソスケルトン(外骨格)/パワードスーツ開発メーカー。第4世代Cray Xは、航空機などに用いられるカーボンファイバー製のフレームを採用し、鉄よりも高い強度の確保とともに軽量化を実現。重量物の持ち上げ時は、内蔵サーボモーターにより最大28kgの負担低減を行い、装着者の腰などを保護する。また交換可能な標準バッテリーにより8時間の動作が可能。

German Bionic Cray X

German Bionic Cray X

また世界初のパワードスーツ向けIoTスイート「German Bionic IO」により、Cray Xとクラウド環境を接続可能。産業機械・装置などのインダストリアルIoT(IIoT)、またIoTの積極利用による装置の故障・異常の事前検知など予知保全を重視したスマートファクトリーと簡単に統合できる。さらに無線ネットワークを利用した自動OTA(Over The Air)ソフトウェア更新などにより、システムの連続稼働性能など可用性を最大化を行う。

この他、AR表示機能を備えたスマートCrayバイザーを用意。Cray Xとワイヤレス接続を行い、装着者のヘッドアップ・ディスプレーに対して、装着者への指示ほかGerman Bionic IO基盤のIIoTやスマートファクトリーからの情報を表示する。

German Bionic Cray X

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