ブルーオリジン初の有人宇宙飛行後、ベゾス氏とクルーが記者会見「より重大なミッションの練習」

Amazon(アマゾン)の創業者Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏は、2000年にBlue Origin(ブルーオリジン)を設立してから21年目にして初の有人宇宙飛行を達成した後の記者会見で、意気揚々と勝ち誇った様子だった。億万長者の同氏は、会社の将来と自分の役割について語り、さりげなく数億ドル(数百億円)を寄付した。

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ベゾス氏は、New Shepard(ニューシェパード)の「RSS First Step(RSSファーストステップ)」カプセルに搭乗した4人のうちの1人で、他には資本家である彼の兄のMark(マーク)氏、航空界の伝説で「マーキュリー13」パイロットの1人である82歳のWally Funk(ウォーリー・ファンク)氏、そしてBlue Originの座席オークションで2番目に高額な落札者だった人物の息子である18歳のOliver Daemen(オリバー・デーメン)氏が搭乗した(最高額の2800万ドル / 約31億円を入札した落札者は、スケジュールの都合で参加を延期した)。

Blue Originはこれで、民間人を宇宙に送り出したごく少数の企業の仲間入りを果たし、まだ始まったばかりの宇宙旅行産業にとっては最大の追い風となった。米国時間7月20日はアポロ11号の月面着陸から52周年にあたり、宇宙旅行の次のステップとして最初の有人宇宙飛行に敬意を表している。

記者会見の冒頭で4人は、宇宙に行った人に与えられる伝統的なバッジである宇宙飛行士の「翼」をつけてもらい、にこやかな表情を浮かべていた。記者会見でベゾス氏は、カプセルから出てきたときと同じクリーム色のカウボーイハットをかぶり「とてもうれしいです」と語った。

ベゾス氏はそして、テキサス州ヴァンホーン市に感謝し、Blue Originが同市に「へこみ」を作ったことを認め(「made a dent」が「効果、影響を与えた」という意味であることからのおやじギャグ)、続いて、Amazonの全従業員と何百万人もの顧客に感謝した。「まじめな話、この費用を支払ったのはあなた方です」。

また、4人のクルーが4分間の無重力状態ではしゃぎ回っている様子を簡単に紹介し、その中には宙に浮いているSkittles(スキットルズ)キャンディーを口でキャッチしているクルーの映像も含まれていた。

民間人のみが搭乗する弾道飛行ミッションは2021年7月だけで2回目となり、これは史上初のことだ。1回目は、7月11日にVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)の弾道ロケット搭載スペースプレーン「VSS Unity(VSSユニティ)」が達成したミッションで、創業者である大富豪のRichard Branson(リチャード・ブランソン)氏が搭乗したことで、2人の超富裕層の創業者の間で実に狭量な論争が勃発した。それはさておき、この2回のフライトによって、商業宇宙旅行はこれまで以上に現実味を帯びてきた。

今回のフライトは、Blue Originの商業用重量物運搬ロケット打ち上げ部門にとっても追い風となるだろう。その分野は、今のところElon Musk(イーロン・マスク)氏が率いるSpaceX(スペースX)が中心となっている。New Shepardの再利用性を完成させるために使われる同じ技術が、同社の大型軌道打ち上げロケットであるNew Glenn(ニューグレン)の開発に役立つかもしれない。ベゾス氏は2021年2月、同社がNew Glennの初号機打ち上げを2021年後半から2022年後半の四半期に延期すると述べた。

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画像クレジット:Blue Origin / YouTube

ベゾス氏はこう語った。「実際のところ、私たちが選んだ構造と技術は、宇宙旅行にはまったく過剰なものでした」。それよりも、Blue Originがそれらを選んだのは「スケールできるから【略】、より大きく重いミッションのための練習」だったという。

Blue Originが液体燃料を選んだ理由について、同氏は「将来の打ち上げのための練習」と繰り返した。「このスペースツーリズムミッションを飛ばすたびに、New Glennの第2段を飛ばす練習になります」とも。

2020年12月、NASAはLaunch Services IIプログラムで契約を競うことができる宇宙企業のリストにBlue Originを加えた。New Glennやその他のBlue Originのロケットが打ち上げ契約を獲得することを保証するものではないが、そのための第一歩となる。

ベゾス氏は、Blue Originが2021年だけでさらに2回の有人打上げを行うことを確認したが、1座席あたりの価格についてはまだ発表していない。「当社は、ケイデンスを非常に高くしていきたいと考えています。【略】すでにプライベートセールスは1億ドル(約110億円)に近づいています」。1座席あたりの価格を下げるにはどうすればよいかという質問に対して、同氏は、スペースツーリズム産業は、現在では毎年何百万人もの旅行者に広く利用されている民間航空旅行のような軌跡をたどるだろうと述べた。

会見の最後にベゾス氏は、1人につき1億ドル(約110億円)の「Courage and Civility Award(勇気とシビリティ賞)」を始めることを発表し、CNNのコントリビューターであるVan Jone(ヴァン・ジョーンズ)氏とミシュラン星獲得シェフであるJosé André(ホセ・アンドレス)氏が最初の2人の受賞者に選ばれた(アンドレス氏の設立した慈善団体は、パンデミック中2500万食を必要としていた人々に提供した)。受賞者はそのお金を自分の選んだ慈善団体に寄付できる。この賞は、礼節を重んじ、個人攻撃を拒む人に贈られるらしい。行間を読むと(正直、そんなことをする必要もないのだが)、現代の政治的議論、特に意見の相違における礼節の重視についてのコメントのように思える。

ベゾス氏はこれからはBlue Originと、気候変動に焦点を当てた100億ドル(約1兆1000億円)規模の投資ファンドであるBezos Earth Fund(ベゾス・アースファンド)の両方に時間を割くと述べている。

「これは地球を脱出しようという話ではありません。肝心なのは、太陽系の中で良い惑星はこの惑星しかないということです」と同氏。「私たちはそれを大切にしなければなりません」。

記者会見の模様はこちらからご覧いただける。

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カテゴリー:宇宙
タグ:Blue Originジェフ・ベゾス有人宇宙飛行民間宇宙飛行New Shepard

画像クレジット:Blue Origin / YouTube

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

Blue Origin初の有人飛行成功、ベゾス氏ら4人が宇宙を体験

Blue Origin(ブルーオリジン)は米国7月20日、同社創業者のJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏を含む4人を宇宙に送るという初の有人飛行を成功させた。何十億ドル(何千億円)という投資、何十回というテスト打ち上げ、超大富豪の創業者間でのささいな喧嘩の結果、今月、2021年7月初めのVirgin Galacticの打ち上げ成功とともにNew Shepardの偉業は間違いなく宇宙旅行の新時代の幕開けを告げている。

かなり報道映えするものだった。ミッションは、テキサス州の小さな町バンホーンから30マイル(約48km)北にあるBlue Originの広大で秘密の施設であるLaunch Site Oneで実行された。打ち上げに先立ち、このイベントのためにやってきた見物客でバンホーンとその周辺の町のすべてのホテルは数日前から満室となった。その一方で、大勢の地元民や米国民、そしてオンライン視聴者(あなたも含め)が米国中部標準時間午前2時半からプレスサイトに群がった。早朝は雨が降るとの予報にもかかわらず、天候は晴れで、万事ほぼ順調に進んだ。

ベゾス氏、同氏の弟マーク氏、18歳の学生Oliver Daemen(オリバー・デーメン)氏、そして航空パイオニアでMercury 13のベテランであるWally Funk(ウォリー・ファンク)氏の4人のクルーはトレーニングセンターから登場し、Rivianの電動SUVであるR1Sで打ち上げ45分前に打ち上げパッドに到着した(ベゾス氏は前回のテストの後に着陸サイトまでRivianのR1Tピックアップトラックを運転した。AmazonはRivianにかなりの額を投資している)。4人のクルーは打ち上げタワーに上り、RSS First Stepと命名されたカプセルに乗り込む前に隣接するシェルターで短い休息をとった。

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打ち上げ15分前でしばし停止があり、これにより打ち上げは予定より若干ずれ込んだ。New Shepardは米国中部標準時間午前8時11分に離陸した。カーマン・ライン(地球の大気圏と宇宙空間との境目)を8時15分に通過し、その後カプセルは分離された。ブースターは同午前8時19分に自動で帰還し、大きな音ともに打ち上げサイトに着陸した。クルーが乗り込んだカプセルはパラシュートを使ってゆっくりと地球に戻り、同午前8時22分に着陸した。飛行時間は11分だった。

画像クレジット:Blue Origin

飛行は、4月に行われたリハーサル打ち上げを含む、再利用可能なNew Shepardロケットでの15回にわたるテストに続くものだ。4月のリハーサルでは飛行準備とカプセルへのクルー乗船(そして打ち上げ前に下船した)の予行演習も行われた。Blue Originはいま、民間搭乗者を軌道へと送る極めて少数の商業宇宙企業の1社として、ライバルのVirgin Galacticの仲間入りを果たした。

デーメン氏は、オークションにかけられた初の有人フライトの座席を2800万ドル(約31億円)で獲得した匿名の落札者がスケジュールの都合により搭乗を辞退しなければならなくなった後に搭乗メンバーに加わった。オランダのプライベートエクイティファームSomerset Capital PartnersのCEOであるデーメン氏の父親が2番目に高い額をオークションで提示したとCNBCは報じた。宇宙旅行者として、18歳のデーメン氏は史上最年少、82歳のファンク氏は史上最高齢だ。

有人宇宙飛行までの歴史

ベゾス氏はeコマース大企業Amazonの事業開始から6年後の2000年にBlue Originを創業した。Blue Originは宇宙旅行に注力し、同社は今回のフライトを顧客を宇宙へと運ぶのに必要な概念実証ととらえている。そのために、New Shepardカプセルには観光に適した大きな窓がある。同社によると、これは宇宙飛行史上、最大の窓だ。「これらの窓はカプセルの3分の1を覆っていて、広大な宇宙と人生が変わるような我々の青い地球の眺めに浸ることができます」とBlue Originのウェブサイトには書かれている。

打ち上げはまた、ベゾス氏と、同氏の宇宙飛行ライバルである富豪Richard Branson(リチャード・ブランソン)氏との間で数週間にわたって繰り広げられた小競り合いの集大成でもある。ブランソン氏は10日前に宇宙へと飛んだ。しかし表向きはパンチでベゾス氏を負かしたにもかかわらず、両氏の戦いは実際のところ、ブランソン氏のフライトを宇宙飛行としてカウントするかどうか、Virgin Galacticのロケットで飛ぶ宇宙飛行機VSS Unityが実際に宇宙に到達したかどうかをめぐってのものだった。

画像クレジット:Blue Origin

この騒動はカーマン・ラインとして知られるものをめぐってだ。カーマン・ラインは国際的に、地球の約60マイル(約96km)上空の宇宙との架空の境界として認識されている。VSS UnityはNASAに認識されている境界を超えて約51.4マイル(約82km)まで飛んだ。「初めからNew Shepardはカーマン・ラインを超えて飛ぶようにデザインされていましたので、当社の宇宙飛行士は名前の横にアスタリスクの記号がつくことはありません」とBlue OriginはVirgin打ち上げの2日前にツイートした。このツイートにはまた、Virginのフライトにさらにケチをつけるインフォグラフィックも含まれた。

Blue Originにとって今回のフライトは始まりに過ぎない。宇宙飛行販売担当ディレクターのAriane Cornell(アリアン・コーネル)氏は7月18日にあったミッション前ブリーフィングで「今後行われる打ち上げに申し込んでいる(同社の)未来の顧客の多くと連絡を取っている」と話した。同社は2021年さらに2つの飛行を実施する意向であり、CEOのBob Smith(ボブ・スミス)氏は2回目のNew Shepard有人飛行が9月か10月に実施されると想定している、とコーネル氏は付け加えた。

我々にとって(銀行口座に数百万ドルという遊んでいる金を持たない人にとって)これは何を意味するのだろうか。いわゆる億万長者の宇宙レースはつまらない喧嘩だが、Blue OriginそしてVirgin Galacticの打ち上げは消費者や科学者などにとって宇宙旅行新時代の幕開けとなる。当面は富裕層に限定されるだろうが、TechCrunchのAlex Wilhelm記者が主張するように、今後費用は下がり、科学者や研究者、そしてもしかすると筆者やあなたも含め、多くの人が宇宙に行くようになるかもしれない。

もしあなたがBlue Originの打ち上げを見逃したのなら、こちらのアーカイブ化されたライブストリームで打ち上げの一部始終を閲覧できる。

カテゴリー:宇宙
タグ:Blue Originジェフ・ベゾス有人宇宙飛行民間宇宙飛行New Shepard

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

NASAがハッブル宇宙望遠鏡を約1カ月ぶりに復旧・再稼働、科学観測を再開

NASAがハッブル宇宙望遠鏡を約1カ月ぶりに復旧・再稼働、科学観測を再開

NASA

NASAはコンピューターの不具合によってアイドル状態に保たれていたハッブル宇宙望遠鏡を約1か月ぶりに再稼働しました。どうやら、心配された宇宙望遠鏡の寿命が来たわけではなかったようです。

ハッブルのコンピューターが突然シャットダウンし、セーフモードに陥りました。原因はコンピューターのメモリーモジュールの劣化が原因と考えられ、当時NASAのハッブル運用チームは何度か再起動を試みたものの失敗。今度はバックアップモジュールに切り替えようとしたものの、バックアップの起動コマンドもエラーで停止しました。

NASAはその後数週を費やして問題を診断解析し、PCU(Power Control Unit)の電圧レベルを監視する制御回路が不調となり、電圧の監視値が規定範囲を逸脱したと判定したか、電圧レギュレーターが劣化して安全のために電力供給を遮断したと判断。その状態でバックアップモジュールに切り替える方法を検討しました。

そしてハッブルのチームは7月15日、バックアップPCUと、コマンドやデータを送信・フォーマットするCU/SDF(Command Unit/Science Data Formatter)のバックアップ電源を入れることに成功、代替インターフェースを用いてその他のコンポーネントもバックアップ側に切り替えたとのこと。こうしてバックアップ用ペイロードコンピューターを起動し、新しいソフトウェアの導入、動作試験を経てようやく科学観測運用を再開しました。

もはやこれまでかと思われたハッブルの復旧は、1990年の打上げ以来幾多の成果をあげてきた宇宙望遠鏡が、まだしばらくは稼働できることを意味します。何度も遅延し、さらに新型コロナのパンデミックや機体の打上げ場所までの輸送の問題から、10月末の打上げ予定がさらに延期する可能性が伝えられたジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡とも連携した運用が期待されるところです。

(Source:NASAEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:宇宙
タグ:天文学(用語)NASA(組織)

ジェフ・ベゾス氏の宇宙飛行生中継は日本時間20日午後8時半スタート

Blue Origin(ブルー・オリジン)は完全再利用可能な宇宙船New Shepardを米国時間7月20日に初めて有人で打ち上げ、Amazon(アマゾン)創業者で富豪のJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏、ベゾス氏の弟、そして記録保持者となる2人の宇宙飛行士を宇宙へと送る。打ち上げのライブストリームは米国中部標準時間午前6時半(日本時間午後8時半)から始まり、実際の発射は同午前8時(日本時間7月20日午後10時)が予定されている。

発射を含むフライトの管理はすべて西テキサスにあるBlue Originの施設からリモートで行われ、離陸後は大気圏を超えて高度約62マイル(約100km)まで飛行する。ベゾス氏以外の搭乗者は、ベゾス氏の弟マーク・ベゾス氏、82歳のWally Funk(ウォリー・ファンク)氏、18歳のOliver Daemen(オリバー・デーメン)氏だ。一行はNew Shepardのカプセルの中で3、4分無重力を体験したのち、パラシュートで減速しながら地球に帰還する。西テキサスの砂漠にタッチダウンし、Blue Originのスタッフがリカバリーに向かう。

今回の打ち上げのスケジュールや流れは、Blue Originがこれまでに実施した15回のNew Shepardフライトとさほど変わらないが、(世界で最も金持ちの人物を含む)人間を乗せた初の打ち上げとなり、もちろん必見だ。

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カテゴリー:宇宙
タグ:Blue Originジェフ・ベゾスNew Shepard民間宇宙飛行

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

Axiom Spaceの民間宇宙ステーション加圧モジュール開発は仏伊Thales Alenia Spaceが担当

ヒューストンに本社を置くAxiom Space(アクシオム・スペース)は、世界初の民間商業宇宙ステーションを建設・運営するという野心的なプロジェクトを進めており、その詳細が明らかになりつつある。

Axiom宇宙ステーションの2つの与圧モジュールの開発は、欧州の航空宇宙メーカーであるThales Alenia Space(タレス・アレーニア・スペース)が担当する。2024年と2025年に打ち上げられる予定のこれら2つの要素は、国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングした後、最終的には切り離され、完全に独立した商業ステーションとして運用される。

両社は、1億1000万ユーロ(約143億円)の最終契約を締結したと米国時間7月15日に発表した。各モジュールには4人の宇宙飛行士が搭乗できる。また、Thales Aleniaは、各モジュールの微小隕石・デブリシールドシステムの設計も担当する。

Thales Aleniaによると、このモジュールはまだ設計段階にあるという。同社は最近、イタリアのトリノにある施設で、第1モジュールの4つの放射状バルクヘッドの開発を完了した。これらの隔壁が連結されると、シリンダーが形成される。その構造は、共通のバースメカニズム、ISSに接続するモジュールの部品、ハッチなどに取り付けられる。

画像クレジット:Thales Alenia Space

これら2つのモジュールの道のりは長い。フランスのThales Group(タレス・グループ)とイタリアのコングロマリット、Leonardo(レオナルド)の合弁会社であるThales Aleniaがまず、2021年9月から2022年にかけて第1モジュールの溶接を開始する。そのモジュールは、2023年7月にAxiomのテキサス州の施設に送られ、その後Axiomが基幹システムを統合し、2024年の打ち上げに向けて準備を進める。

NASAは、2020年1月にISSの最初の商用居住モジュールの建設をAxiomに依頼した。ISSが退役した後、Axiomのステーションは切り離され、将来のミッションや科学実験のための商業拠点として機能する。これは、急成長する地球低軌道経済の成長と、他の民間軌道ラボや商業施設の構築を促進するNASAの計画の主要な部分だ。

Axiomは、2022年1月に予定されているISSへの初の完全民間ミッションの運用も行う。Axiom Mission 1では、4人の民間宇宙飛行士をSpaceX(スペースX)のCrew Dragon(クルー・ドラゴン)ロケットに搭乗させ、8日間のミッションで宇宙に送り出す予定だ。

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カテゴリー:宇宙
タグ:Axiom Space国際宇宙ステーション民間宇宙飛行

画像クレジット:Thales Alenia Space

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

【インタビュー】人工流れ星の2023年に商用運用開始へ、10年の節目を迎える日本の宇宙スタートアップ「ALE」

人工の流れ星で夜空を彩る。岡島礼奈代表が2011年9月に立ち上げ、2021年で10年の節目を迎える民間宇宙スタートアップのALE(エール)は、人工衛星から人工流れ星の素となる流星源を放出し、時刻・場所を指定して大気圏に再突入させ流れ星を発生させる「Sky Canvas」事業を進めている。

ALEは「科学を社会につなぎ 宇宙を文化圏にする」をミッションに掲げ、人工流れ星などにより宇宙の美しさやおもしろさを届け、人々の好奇心を刺激し、宇宙開発のきっかけを創出していく。また、宇宙から貴重なデータを取得し、地球の気候変動のメカニズム解明に寄与することを目指し、宇宙デブリ防止装置開発事業で軌道上環境の維持に貢献し、宇宙産業の持続的発展をはかる。これらのアプローチで、ALEは科学と人類の持続的な発展に貢献していく考えだ。

岡島氏は東京大学大学院理学系研究科天文学専攻で、博士号(理学)を取得している。学生のころ、友人らとしし座流星群を見たことがきっかけで「流れ星を人工で作れるのでは」と思い立ったという。その後、基礎科学の発展の為に何かできないかと考え、人工流れ星のアイデアで民間宇宙スタートアップとして挑戦を始めた。岡島代表に事業内容や現在までの歩みを聞いた。

夜空に好きな時に流れ星を生む「Sky Canvas」

人工流れ星の実現を目指す「Sky Canvas」事業は現在開発中の人工衛星3号機を2023年に打ち上げ、同年に人工流れ星のサービス開始を予定している。

天然の流れ星は宇宙空間に漂うチリが大気圏に突入した時に、チリ前方の空気が強く圧縮されて発光するもの。この現象を人工的に再現するため「アーク風洞」と呼ばれる装置を内製し、グリーンやオレンジ、ブルーなどさまざまな色に光る流星源の材料設計も進めている。

流星源は1粒1cmほど。人工流れ星は、流星源を人工衛星の格納庫から放出機構に送り出し、円筒内で加速して放出させる仕組みだ。実験では秒速最大400mの放出速度と、速度誤差1%未満の精度をクリア。人工流れ星は高度約60~80kmで消滅するため、宇宙デブリとはならないという。

流星源1粒は地上200km圏内で見ることができ、広さで例えればほぼ関東全域をカバーする。人々がオーロラを見に行くように「この国、この地域に行けば流れ星を見ることができる」と、ALEは人工流れ星を観光誘客のキラーコンテンツにしていく考えだ。すでに海外からも引き合いが多くあるという。

別の仕事で得た収入を研究費につぎ込む日々

岡島氏は2009年から人工流れ星の研究を始め、2011年にALEを設立後、大学研究室などとともに、人工流れ星に必要な要素技術の研究を進めていった。14年には流星源の実験により、相当の輝度が得られたことで初めて事業化が見えてきた。

ただ、岡島氏はそれまで、ALEの事業にフルコミットしていなかった。岡島氏は外資系大手金融企業に勤めていた経験を活かしたコンサルティングや調査など、別の仕事を個人で受け、その収入を研究費につぎ込んでいたのだ。

人工流れ星の事業化が視野に入ったのち、岡島氏は2016年にエンジェル投資家を中心に約7億円の資金調達を実施。ALEとしてメンバーの増員も行った。ここから人工流れ星事業は勢いを増す。

2017年に宇宙関連の新たな要素技術に関する実証などを行うJAXAの「革新的衛星技術実証プログラム」採択され、18年に初号機となる人工衛星ALE‐1が完成し、19年にはALE‐1の打ち上げに成功した。

勢いに乗っていた「Sky Canvas」事業だったが、壁が立ちはだかる。2019年末に打上げた2号機で世界初の人工流れ星を実現させる計画だったが、宇宙空間特有の影響が予測よりも大きく、流星源を放出装置に送り込む部品が正常に動作せず、失敗に終わった。他の機器はすべて正常に動いていた。

「とても悔しかった」と岡島氏。その後、社内の開発体制を強化し、宇宙業界出身のマネージャーや外部レビュアーらも増員。2021年2月には、シリーズAの追加ラウンドとして総額約22億円の資金調達を行い(シリーズAを含むALEの累計調達金額は約49億円に上る)、現在は同資金を基に2023年に人工流れ星の実現を目指している状況だ。

また、ALEの人工流れ星事業を不安視する声もあった。岡島氏は「我われの事業は安全性に特に配慮していますが、このことをさまざまな人々に説明し、理解してもらうまでにも長い道のりがありました」と振り返る。

他の人工衛星と同様に、ALEの人工衛星には必要最低限ではなく余裕を持たせて装置を搭載し、障害時にも対応できるよう冗長性を持たせている。例えば、星の位置から人工衛星の位置や角度を把握し姿勢制御を行うセンサー「スタートラッカー」は1つだけではなく3つあり、GPSやCPUも3つずつある。

岡島氏は「いずれかの機器に誤作動が起きたときには、流星源の放出はできないシステムになっています。この辺りの安全性の担保をJAXAとともに進めてきました」と説明する。

さらにALEでは現在の宇宙空間にある人工衛星などのデータをNASAや18SPCS(米国空軍)のデータベースで確認。それを元に衝突確率を算出すシステムを作り上げている。流星源を放出する時間帯に、他の人工衛星が現れないかといったことをすべて計算し、クリアにしてから稼働させるようにしているのだ。

また、世界各国の宇宙関連機関で構成される国際機関間スペースデブリ調整委員会(IADC)に対しても、ALEの事業ミッションについて説明していく中で「国際的なデブリの権威の方々にも安全性を認めてもらえるようになりました」と岡島氏は語った。

ALEが展開する3つの事業

ALEが進めている事業は、人工流れ星だけではない。この他に「大気データ取得」とデブリ防止装置を開発する「小型人工衛星技術研究開発」事業がある。事業としてはそれぞれ独立しているものの、根幹にある要素技術はつながっているという。

岡島氏は「人工衛星を小型化し、小さなスペースに高密度で技術を搭載して、宇宙空間であっても精緻な動作を実現することが、我われの強みでもあります。この技術はデブリ化防止装置にも、大気データ取得にも必要なモノです」と語った。

大気取得データ事業は2020年代半ばから宇宙実証および商用化を始める予定だ。人工流れ星で培った衛星技術を活用し、大気データを取得し、解析することで、気象予測の精度向上や異常気象のメカニズム解明へ活用していく。将来的には、人工流れ星の衛星に大気データ取得のセンサーを取り付けることで、気象観測により貢献していくことなども検討している。

一方、小型人工衛星技術研究開発は、宇宙デブリ防止装置をJAXAと事業協同実証を通じて開発中だ。同装置を打ち上げ前の人工衛星に搭載し、人工衛星のミッション終了後に長い紐(EDT)を宇宙空間で展開。地球磁場や大気抵抗を使って軌道高度をより短期間で降下させることで、人工衛星を地球大気に再突入・焼却廃棄させることができるという。

すでに2020年8月26日付で、宇宙産業における総合的なサービスを展開するSpace BDとデブリ化防止装置の全世界を対象とする販売代理店契約締結に向けた基本合意書を締結している。

なお、岡島氏は人工流れ星とは別に、新たな宇宙エンタメ事業の構想も進んでいると話した。「まずは人工流れ星を成功させることが先決ですが、新たな要素技術の開発も細々と進めています。結構おもしろいことができるのでないかと、考えています。楽しみにしていてください」と笑顔で語った。

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カテゴリー:宇宙
タグ:ALEインタビュー日本人工衛星

宇宙実験・製造を可能とする日本初の宇宙環境利用プラットフォームを開発する「ElevationSpace」が3000万円を調達

宇宙実験・製造を可能とする日本初の宇宙環境利用プラットフォームを開発する「ElevationSpace」が3000万円を調達

国際宇宙ステーション(ISS)に代わる日本初の宇宙環境利用プラットフォームを開発する東北大学発スタートアップElevationSpaceは7月13日、プレシードラウンドにおいて、第三者割当増資による約3000万円の資金調達を発表した。引受先は、MAKOTOキャピタル、事業会社、個人エンジェル投資家の計8者。補助金なども含めた累計調達額は創業半年で約4000万円となった。

ElevationSpaceは、東北大学吉田・桒原研究室でこれまで開発してきた10機以上の小型人工衛星の技術を基に、2021年2月に設立された東北大学発宇宙スタートアップ。調達した資金により、2023年の打上を目指し開発中の技術実証機「ELS-R100」の開発を加速し、大気圏で燃え尽きず地球に帰還させる技術「大気圏再突入技術」の獲得を目指す。

宇宙実験・製造を可能とする日本初の宇宙環境利用プラットフォームを開発する「ElevationSpace」が3000万円を調達
同社は、小型人工衛星内での宇宙実験・製造を可能とする小型宇宙利用・回収プラットフォーム「ELS-R」を開発しており、微小重力環境でのサイエンス研究や地球では不可能な高品質材料の製造を実現、その成果物を地上まで持ち帰ることができるという。

宇宙実験・製造を可能とする日本初の宇宙環境利用プラットフォームを開発する「ElevationSpace」が3000万円を調達

基礎科学的な実験から創薬などの産業利用まで、すでにISSが利用されているものの、構造寿命などの関係から2024年以降のISSの運用は未定という。その運用終了後は、宇宙環境利用を行う場所がなくなると考えられているそうだ。ISSは有人宇宙ステーションであり、国が管理しているプラットフォームであるため、安全管理の複雑さやリードタイムに課題がある。一方ElevationSpaceのサービスでは、小型かつ無人の人工衛星を用いるため、簡単に素早く利用でき、他の手段と比べて優れたユーザビリティを有するとしている。

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カテゴリー:宇宙
タグ:ISS / 国際宇宙ステーション(用語)ElevationSpace(企業)人工衛星(用語)東北大学(組織)資金調達(用語)日本(国・地域)

ブルー・オリジン初有人宇宙飛行の最後の乗客は史上最年少18歳

7月20日に打ち上げられるBlue Origin(ブルーオリジン)の初の有人宇宙飛行の最後の座席を誰が獲得するのかという謎が解けた。同社は米国時間7月15日、オークションで2800万ドル(約31億円)を払って搭乗権利を獲得した人物は、実際には2回目以降のミッションに参加し、初のフライトの残る座席には高校を卒業し、ユトレヒト大学に進学することになっている18歳のOliver Daemen(オリバー・デーメン)氏が座ると発表した。デーメンさんは宇宙へ行く史上最年少の人物となる。つまり今回の打ち上げでは史上最年少と史上最高齢の人物が乗り込む。

Blue Originは7月20日に初の有人フライトで同社の創業者Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏を宇宙へと送る。このフライトではベゾス氏の弟、そして82歳の航空宇宙のパイオニア、Wally Funk(ウォリー・ファンク)氏も乗せて準軌道まで飛び、テキサス州西部に帰還する前に数分間の無重力と壮大な眺めを体験する。

最後の座席は、ライブオンライン入札競争で最高潮に達した数段階のプロセスを経てオークションにかけられ、最終的にこの座席に支払われたのはなんと2800万ドルだった。この額は宇宙飛行船New Shepardの通常の商業フライトで提供される平均的な座席の価格をかなり上回っている。いまのところまだ匿名であるチケット落札者は「スケジュールの調整がつかない」ために最初の有人フライトを断った。チケットオークションによる売上は実際にはBlue Originの収入とはならず、STEM教育の推進に注力している非営利団体Club for the Futureに寄付される。

Blue OriginのNew Shepard打ち上げビークルは、旅行と研究の目的を含むサブオービタルの商業有人宇宙飛行のためのものだ。完全に再利用できるシステムはブースターと、クルーカプセルを含む上段ロケットから構成される。2015年に始まった一連の試験飛行を経て、商業化前の最後のデモンストレーションとして、いまBlue Originは初めて有人飛行する準備が整っている。

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

GPSのような月面ナビネットワークをマステン・スペース・システムズが開発中

2023年に月面に着陸機を送ることを目指しているスタートアップ企業のMasten Space Systems(マステン・スペース・システムズ)は、地球におけるGPSのような、月面でナビゲーションとポジショニングを行うシステムを開発する。

このシステムの試作機は、Air Force Research Laboratory(米空軍研究所)のAFWERXプログラムを通じてMastenが受注した契約の一環として開発されており、実用化されたら人類初の地球外ナビゲーションシステムとなる。

これまで月に向かう宇宙船には、危険を検知してナビゲーションを補助する機器が搭載されていた。共通のナビゲーションネットワークが確立されていないことも、ある程度は納得できる。人類が月面に着陸したことは数えるほどしかなく、無人探査機の着陸は何度も行われているものの、未だ月面ミッションが定期的に行われるようになったわけではないからだ。

しかし、SpaceX(スペースX)のような企業による打ち上げ技術の革新もあって、軌道やそれより先へ行くためのコストが劇的に減少しているため、宇宙はもっとにぎやかになりそうだ。多くの民間企業や国の宇宙部門が、特に月に狙いを定めている。Mastenもその1つであり、同社は月の南極にあるHaworth Crater(ハワース・クレーター)付近のサイトにペイロードを届ける業者としてNASAに選ばれた。当初2022年12月に予定されていたそのミッションは、2023年11月に延期されている。

関連記事:SpaceXが2022年にMasten製の月面着陸機「XL-1」を初打ち上げへ、月の南極点へペイロード運ぶ

他の組織も月へ行くことを目指している。その中で最大規模のものは、2024年に2人の宇宙飛行士を月面に送るNASAの「Artemis(アルテミス)」計画だ。このようなミッションは、今後数十年の間にさらに増えていくことが予想されるため、共通のナビゲーションネットワークが必要になってくる。

「地球と違って、月にはGPSが展開されていないため、月宇宙船や軌道上の機器は、基本的に暗闇の中で運用されています」と、Mastenの研究開発担当バイスプレジデントであるMatthew Kuhns(マシュー・クーンズ)氏は声明の中で説明している。

このシステムは次のような仕組みになっている。まず、宇宙船が月面にPNT(ポジショニング、ナビゲーティング、タイミング)ビーコンを展開する。PNTビーコンによって、無線信号を放送する地表ベースのネットワークが構築される。宇宙船や他の軌道上の機器は、このネットワークに無線で接続し、ナビゲーション、タイミング、位置追跡の情報を取得する。

画像クレジット:Masten Space Systems

Mastenはすでに、PNTビーコンのコンセプトデザインを完成させるというプロジェクトのフェーズIを終えている。しかし、技術的な課題の多くは、PNTビーコンを開発するフェーズIIで直面することが予想される。ビーコンは月の過酷な環境に耐えなければならないため、Mastenは防衛・技術会社のLeidos(レイドス)と提携し、衝撃に強いビーコンの筐体を作ることにした。フェーズIIは2023年の完了を目指している。

「月面における共有ナビゲーションネットワークを構築することで、宇宙船のコストを数百万ドル(数億円)削減し、ペイロードの容量を増やし、月面で最も資源の豊富な場所の近くに着陸する精度を向上させることができるようになります」とクーンズ氏は述べている。

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画像クレジット:Masten Space Systems

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ヴァージン・ギャラクティックとブランソン氏は宇宙への乗客初打ち上げを祝う

Virgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)は、億万長者である創業者のRichard Branson(リチャード・ブランソン)氏を含む最初の乗客を宇宙に運ぶことに成功した。ニューメキシコ州のスペースポート・アメリカで開催されたイベントでは、ブランソン氏とクルーによる早朝のハリッドセットやヒーローウォークなどが行われ、報道関係者や従業員にとってちょっとした運動会となった。

「想像してみてくださいあらゆる年齢、あらゆるバックグラウンド、あらゆる性別、あらゆる民族の人々が宇宙に平等にアクセスできる世界を。新しい宇宙時代の幕開けにようこそ!」と着陸後、ブランソン氏は語る。

もちろん、この発言は時期尚早なものであり、そのような世界が訪れるのはまだ先のことだが、今回の打ち上げが、始まったばかりの宇宙旅行産業にとって歴史的な瞬間であることは間違いない。現在のところ、搭乗者はまだエリート階級となるが、この日の出来事は、その変化かつてないほど近づいていることを示している。

スペースポートへのシャトルは現地時間午前2時45分に、近くのラスクルーセスから出発したが、この日のイベントは遅れて始まった。一晩中、雷雨に見舞われたため、濡れてはいけない宇宙船を展開することができなかったのだ。

画像クレジット:Devin Coldewey / TechCrunch

やがて日が昇り、大勢の人々が集まってきた。VIP、従業員、地元の学生たち、そしてブランソン氏自身のゲストリスト(約150人と言われている)。Elon Musk(イーロン・マスク)氏も現れたが、おそらく宇宙飛行士仲間である億万長者から億万長者への個人的なお祝いのためだろう。

現地時間8時30分、VMS Eveのエンジンが始動した。VMS Eveは、ブランソン氏がヴァージン・ギャラクティックのBeth Moses(ベス・モーゼス)氏(2回目の飛行)、Sirisha Bandla(シリシャ・バンドラ)氏、そしてColin Bennett(コリン・ベネット)氏とともに宇宙の端まで乗るロケット動力の宇宙船VSS Unityを運ぶ「母船」だ。

VMS Eveが離陸(画像クレジット:Virgin Galactic)

VMS Eveは8時40分に車輪を上げて地上で待機し始め、約3万6000フィートまで上昇。VSS Unityは9時24分頃に切り離され、ロケットでの上昇を開始し、マッハ3に達した後、2分後には予定どおり、ピーク高度約28万2000フィート(約53マイル、約86km)に達した。

乗組員と乗客は1~2分間の微小重力を楽しみ、それを有効に活用したようだ。

画像クレジット:Virgin Galactic

ブランソン氏が予定していた空中でのスピーチは、信号が途切れ途切れになったために不可能となったが、機体自体はより信頼性が高く、9時38分に着陸した。

ブランソン氏は、Khalid(カリード)氏による短いコンサートに続いてステージに登場した。「暑いですね、すいません」と始まった話は、すぐに感動的なものになった。「子どもの頃からこの瞬間を夢見てきましたが、宇宙から見る地球の景色に対して何の準備もできませんでした。私たちは新たな宇宙時代の先頭に立っています」。

その後の記者会見では、ブランソン氏が小学生からの質問に答えたり、クルーが宇宙からの眺めや惑星を見たかどうかを説明した(パイロットが「降下中に振り払ったエイリアンを見ただけだ」というと、私が見た限り1人の子どもはそれを信じていた)。

宇宙への長い道のり

ヴァージン・ギャラクティック宇宙飛行システムに向かう同社のパイロットたち(画像クレジット:Virgin Galactic)

ヴァージン・ギャラクティックとブランソン氏にとって、これは長い間待ち望んでいた成功だ。同社は、宇宙旅行という野望を掲げて先行していましたが、2014年に行われたテストフライトでは墜落事故が発生し、パイロットの1人が亡くなっている。

しかし、ヴァージンのエンジニアとリーダーたちは、この事故を乗り越えて、より強力で優れた宇宙船開発し、当時まだ存命だったStephen Hawking(スティーブン・ホーキング)博士に「Unity(ユニティ)」と命名してもらっている(驚くなかれ、ホーキング博士はいつか乗ってみたいと思っていた)。

パイロットたちは何年にもわたってテスト飛行を繰り返し、徐々に出力を上げていき、2018年にはついに宇宙の端に触れることができた。ただし、大気が宇宙に放出される正確な高度が完全に合意されていないという点で、若干の論争がある。カルマン・ラインと呼ばれる仮想のラインを、海抜100kmとする専門家もいれば、50マイル(約80km)とする専門家もいる。

Unity 22は降下中にその「羽」を広げる(画像クレジット:Virgin Galactic)

ヴァージンは低い仮想ラインを使い、ライバルであるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏のBlue Originは高い仮想ラインを使っている。これを受けて、ベゾス氏はヴァージンのフライトに陰口を叩き、顧客は宇宙への旅に「注意点」があることを望まないと述べた。以前、このことについて質問したとき、ヴァージン・ギャラクティックの担当者は、NASAや米空軍と同じ基準を使っていると述べた(パイロットは高度50マイルを飛行すると「宇宙飛行士の翼」を与えられる)。

カールマン博士の言い分はさておき、宇宙への乗客輸送競争は最近激化している。ベゾス氏は先日、7月22日にブルーオリジンのNew Shepardロケットが初の有人打ち上げに参加することを発表した。その際には、2800万ドル(約31億円)を支払った謎の乗客であるベゾス氏の弟と、1961年に宇宙飛行士になるための訓練を受けたが宇宙に行けなかった最初の女性の1人であるWally Funk(ウォリー・ファンク)氏も一緒に参加するという。

しかし、その後すぐにブランソン氏はその約1週間後前に行われるヴァージン初の乗客がいる打ち上げ(クルーとパイロットは何度も打ち上げられている)に搭乗することを発表し、ベゾス氏のパレードに雨を降らせた。

ブランソン氏は、自分とベゾス氏との競争を気さくに否定しているが(「我々はジェフの成功を願っている」と述べ、飛行前にベゾス氏が好意的なメッセージを送ってきたと付け加えた)、それが完全に真実だとは思えない。しかし、ブランソン氏が単に宇宙に行くだけではなく(彼は生涯の夢だったと言っている)、新興のライバルよりも先に宇宙に行くことに満足しているのは確かだろう。本人がどんなに否定しても、この物語は完全に打ち消すにはあまりにも魅力的なものだ。

現在、ヴァージン・ギャラクティックが進むべき方向は、明らかに有料の顧客に向けたものであり、そのために多くの顧客が登録されている。もちろん、彼らはみんな25万ドル(約2750万円)の余裕がありますが、あなたはそうではないかもしれない。そんなあなたのために、ブランソン氏は特別なオファーを用意た。ブランソン氏はOmazeと提携しており、選ばれた慈善団体に寄付をすると、抽選でヴァージン・ギャラクティックのフライトのチケット2枚が当たるというものだ。「ウィリー・ウォンカの帽子をかぶって、スペースポート・アメリカのガイドツアーをご案内します」とブランソン氏は付け加えた。

ブランソン氏は、寄付が続く限り、このイベントが継続的なものになることを期待している。これが、彼が頻繁に約束している、誰もが宇宙を利用できるようにするための答えなのかもしれない。

当日の様子は、以下のヴァージンギャラクティックのライブストリームで観ることができる。

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タグ:Virgin Galacticロケット民間宇宙飛行

画像クレジット:Virgin Galactic

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Katsuyuki Yasui)

無料で宇宙に招待、Virgin Galacticが宇宙旅行チケットが当たる懸賞を開催

無料で宇宙に招待、Virgin Galacticが宇宙旅行チケットが当たる懸賞を開催

Omaze/Virgin Galactic

創業者リチャード・ブランソン卿の宇宙旅行を無事に成功させたVirgin Galacticが、一般の人々にも同じ体験を提供すべく、SpaceShipTwoの商業宇宙飛行のチケットを無料で獲得できる懸賞を行うと発表しました。

これはVirgin GalacticとOmaze社の提携による企画。Omazeは商品や何らかの財産、著名人との何らかの体験などを懸賞として慈善団体への資金を集める企業。そのため今回のチケットも無料で応募することができるものの、宇宙旅行をもっと身近にするための慈善団体”Space for Humanity”への寄付をすれば応募口数を増やす(5ドルで50口、100ドルなら2千口)ことが可能になっています。

応募の〆切は9月1日(現地時間)までで、当選発表は9月29日。もし当選した場合は、通常なら約25万ドル(約2750万円)かかる宇宙へのチケットを無料で手にできる一方で、SpaceShipTwoに搭乗するために必要な訓練を受ける必要があるため、会社や学校を一定期間休む必要があります。なお、当選者には副賞として宇宙への発着場となるSpaceport Americaの見学ツアーもあります。

このキャンペーンはVirgin Galacticにとっては格好の宣伝材料になるはずです。さらにわれわれ庶民にとっても、お金か強運があれば宇宙へ行ける時代が唐突にやってきました。

(Source:OmazeEngadget日本版より転載)

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タグ:チャリティー / 慈善活動(用語)Virgin Galactic(企業)民間宇宙飛行(用語)有人宇宙飛行(用語)ロケット(用語)

ヴァージン・ギャラクティック初の旅客機が宇宙へ離陸する様子をライブで観よう!グループ創設者ブランソン氏搭乗

Virgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)社は、7月11日朝に、最初の乗客を宇宙に送り出す予定だが、その一部始終をここで見ることができる。打ち上げは太平時間午前6時(日本時間7月11日午後22:00)に予定されており、1時間後にはストリーミングによる祝賀イベントも始まる。

今回の打ち上げは、ヴァージン・ギャラクティック初の宇宙船であるVSS Unity(VSSユニティ)にとって22回目の大気圏外への打ち上げとなる。前回同様、ユニティはVMS Eve(VNSイブ)の腹部に取り付けられてスペースポートを離れ、大気の最も厚い部分から上昇する。

ドロップしたUnityは、ロケットエンジンに点火し、宇宙とされる最低高度の80km地点に到達するまで、マッハ3に近い速度で到達する。エンジンが停止すると、パイロットと乗客は短時間の無重力状態になり、すばらしい景色を楽しむことができる。

その様子は、地上から、接続が良ければ船体からもライブ配信される。無事に帰還した際には、凱旋記者会見が行われ、Khalid(カリード)のライブ演奏も披露される。

筆者は現地にいるが、私が目にする光景は以下の公式ストリーム配信で見ることができる。

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Katsuyuki Yasui)

約200機からなる地球観測衛星コンステレーションのPlanetが約3097億円のSPAC合併で上場へ

約200機の衛星ネットワークを運用し、地球イメージングとその観測から得られたデータのアナリティクスを提供しているPlanet(プラネット)は、特別目的買収会社(SPAC)であるdMY Technology Group IVとの合併により株式を公開すると発表した。買収後の株式価値は28億ドル(約3097億円)で、Planetは、dMY IVの出資による3億4500万ドル(約382億円)、BlackRockが運用するファンド、Koch Strategic Platforms、Marc Benioff(マーク・ベニオフ)氏のTIME Ventures、およびGoogle(グーグル)から提供される2億ドル(約221億円)のPIPE(上場企業の私募増資)を含め、クローズ時に5億4500万ドル(約603億円)の現金残高を得ることになる。

少しの途切れの後、Planetは、今週SPACルートで公開市場に参入する2社目の重要な民間宇宙企業となった。両社とも地球観測事業を行っているが、7月6日にSPACによる合併を発表したSatellogicは、現在のところはるかに小さな規模で事業を展開している。2010年に設立されたPlanetは、これまでに約3億7400万ドル(約413億円)を調達し、現在稼働している中で最大の地球観測衛星コンステレーションを運営している。

同社のミッションは、地球イメージングデータが収集され、地球上の商業的利益に提供される方法を変革することだ。Planetの衛星ネットワークは、地球上のすべての陸地を毎日完全にスキャンすることができ、同社の創業者兼CEOであるWiill Marshall(ウィル・マーシャル)氏の言葉を借りるならば「地球データのBloombergのようなターミナルを介して」顧客に提供できるという。このサービスはサブスクリプションで提供されており、Planetによると、2021年1月に終了した直近の会計年度で1億ドル(約110億円)以上の収益を上げているとのこと。

Planetは、合併によって得られた資金を、既存の負債の返済に加え、既存事業の運営資金および「新規および既存の成長イニシアティブの支援」に使用する予定。同社は2021年後半に合併を完了させることを目指しており、その時点で、合併後の企業はニューヨーク証券取引所(NYSE)でティッカー「PL」で取引されることになる。

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画像クレジット:Planet under a CC BY-NC 2.0 license.

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Aya Nakazato)

衛星画像スタートアップのSatellogicがSPAC合併で上場へ、評価額は約940億円

宇宙分野におけるSPAC狂騒は鎮まったかもしれないが、まだ終わっていない。地球観測スタートアップのSatellogic(サテロジック)はSPAC上場の最新例となる。同社はCantor FitzgeraldのSPAC(特別買収目的会社)であるCF Acquisition Corp. Vとの合併を通じて上場する。

Satellogicはすでに軌道に衛星17基を打ち上げており、毎日アップデートされるサブメーター解像度の地球画像を提供するのに衛星コンステレーションを300基に拡大することを目指している。

SPAC取引ではSatellogicを8億5000万ドル(約940億円)と評価し、ここにはソフトバンクのSBLA Advisers GroupとCantor Fitzgeraldによる1億ドル(約110億円)の私募増資も含まれる。合併会社の売上高は2025年までに約8億ドル(約885億円)になると見込んでいて、取引完了時の現金残高は約2億7400万ドル(約300億円)とSatellogicは予想している。

同社は2010年の創業以来、TencentやPitanga Fundといった投資家から計1億2400万ドル(約140億円)弱を調達した。Satellogicは、比較的リーズナブルな価格でそうした解像度の衛星写真を商業顧客に提供することができるのは自社の衛星だけ、とうたっている。

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衛星コンステレーションから地球上の山火事の端緒を見つけ警告するOroraTech

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

大富豪による宇宙飛行レースも最終局面、ヴァージンのブランソン氏がアマゾンのベゾス氏より早く大気圏外へ

2人の大富豪がカーマン・ライン(高度約100キロメートル)へのラストスパートで先頭を争っているが、Richard Branson(リチャード・ブランソン)氏が7月11日にVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)の宇宙船で飛行し、現地時間7月20日にBlue Origin(ブルーオリジン)の New Shepard(ニューシェパード)カプセルでの飛行を予定しているJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)を僅差で抑えるかもしれない。誰が勝つにせよ、ここでの真の教訓は、十分な資金があれば、本当に何でもできるということだ。

このニュースは、Virgin Galacticからの発表という形をとった。次の試験飛行の打ち上げウィンドウが米太平洋時間の7月11日午前6時に始まること、このミッションが2人のパイロット、3人のスペシャリスト、そして1人の大富豪というフルクルーを乗せた初めてのミッションになることが述べられている。(ブルーオリジンは独自の発表を行った)。

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Dave Mackay(デイブ・マッケイ)氏とMichael Masucci(マイケル・マスッチ)氏がVSS Unity宇宙船を操縦、チーフ宇宙飛行士インストラクターのBeth Moses(ベス・モーゼス)氏が飛行を監督、リード・オペレーション・エンジニアのColin Bennett(コリン・ベネット)氏が機内の設備と手順を監視、政府業務・研究業務担当副社長のSirisha Bandla(シリシャ・バンドラ)氏がフロリダ大学の微小重力実験を担当、最後にリチャード・ブランソン卿が「民間宇宙飛行士としての経験を評価する」としている。つまり、ブランソン氏は初めての一般人の旅客となる。

「私は、宇宙が私たち全員のものだと心から信じています」と、宇宙旅行会社の大富豪の創業者で個人的な出資者でもあるであるブランソン氏は、同社のプレスリリースで述べた。「16年以上にわたる研究、エンジニアリング、試験を経て、Virgin Galacticは新たな商業宇宙産業の先陣を切っており、宇宙を人類に開放し、世界を良い方向に変えようとしています。誰もが宇宙にアクセスできるようにするという夢を持つことと、信じられないようなチームが一丸となってその夢を現実のものにすることは別のことです。すばらしいミッションスペシャリストの一員として、未来の宇宙飛行士の旅を検証し、Virginに期待されているユニークな顧客体験を提供する役割に貢献できることを光栄に思います」。

このミッションは、Virgin Galacticの他の分野におけるスタイルと同様に、通常の方法で高い高度まで飛行した後、ロケットエンジンを搭載したVSS Unityが飛行機から切り離され、一般的に(誰もがそうとは限らないが)宇宙との境界であると考えられている80キロ以上の高さまで迫る。ブランソン氏は、将来のVirgin Galacticの宇宙旅行者が受けるのと同じ訓練を受け、もちろん同じ青い特別スーツを着用する。

すべてが計画通りに進めば、ブランソン氏はベゾス氏よりも1週間強早く宇宙に到達し、おそらく長年の賭けに勝つことになる。

ベゾス氏は(遅れをとっているものの)7月20日に、より伝統的なロケットであるBlue OriginのNew Shepardで、同氏の弟と幸運なチケットホルダーとともに宇宙へ向かう予定だ。幸運でリッチな、ということだ。つまり、このチケットはオークションにかけられ、2800万ドル(約31億円)で未公表の人物が落札した。

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しかし、同社は7月1日、初の有人飛行の4人目の乗客が、1961年に女性宇宙飛行士を養成したNASAのマーキュリー13プログラムの最初の卒業生であるWally Funk(ウォーリー・ファンク)氏であると発表した。当時、ミッションはキャンセルされ、ファンク氏は宇宙に行くことはなかった。50年間待ち続けた同氏に、ようやくチャンスが巡ってきたようだ。

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

SpaceXが88機の衛星を軌道に乗せ、2021年初めて1段目の地上着陸に成功

SpaceX(スペースエックス)は、米国時間6月30日外部顧客向けの衛星85基とStarlink(スターリンク)衛星3基を軌道に打ち上げ、同社のライドシェアミッション(相乗りミッション)で2回目の成功を収めた。このTransporter-2(トランスポーター2)ミッションは、1回目のライドシェアミッションよりも宇宙に送り出す物体の数は少なかったものの(Transporter-1では143個の衛星を打ち上げ、新記録を達成した)、全部を合わせた質量はより大きなものになった。

このTransporterの打ち上げは、同社のライドシェアビジネスモデルの一環である。2019年に発表されたこれらのミッションは、ロケットのペイロード容量を複数の顧客に分配することで、それぞれの顧客のコストを低減させる。多くの顧客は、こうした手段を使うことなしには、軌道に乗せるための費用を支払うことが不可能な中小企業だ。それでも今回SpaceXは、ロケットを満載にし、運用をまかなうための収入を手にすることができた。

今回のFalcon 9(ファルコン9)ロケットは、米国東部時間6月30日午後3時31分(日本時間7月1日午前5時31分)頃、フロリダ州のケープ・カナベラルから離陸した。これは2021年における、20回目のFalcon 9の打ち上げで、ロケットの1段目を海上の無人船ではなく陸上に戻すことを狙った2021年最初の打ち上げだった。1段目のブースターは米国東部時間6月30日午後3時34分(日本時間7月1日午前5時34分)頃に分離してケープカナベラルに戻り、発射から約8分後には着地に成功した。今回は同ブースターにとって8回目の飛行となる。

画像クレジット:SpaceX

このミッションには10社近くの顧客が参加しており、その中には14社の顧客に代わって36機の小型衛星を打ち上げるSpaceflight(スペースフライト)のような顧客のペイロードを編成する打上げサービス事業者や、同社のSherpa-LTEという名の電気推進機なども含まれている。また、宇宙情報企業Umbra(アンブラ)の初の打ち上げ衛星や、Loft Orbital(ロフト・オービタル)の「ライドシェア」衛星であるYAM-2とYAM-3も搭載されている(それぞれの衛星には、別々の顧客のための5つの独立したセンサーが搭載されている)。

今回の打ち上げはSpaceXにとって2021年20回目にあたるものだったので(これまでの総ミッション数としては127回目)、2021年の打ち上げ回数は2020年の記録である26回をはるかに上回ると考えても良いだろう。

今回のTransporter-2の打ち上げは、当初米国時間6月29日に予定されていたものが延期された2回目の試行だった。1回目の打ち上げは、プロペラ機がフライトゾーンに侵入してきたために、発射11秒前に中止された。このことを受けて、SpaceX CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は、規制システムが壊れていると発言した。

残念ながら、無闇に巨大な「立入禁止ゾーン」に他の航空機が侵入してしまったため、本日の打ち上げは中止となりました。

大規模な規制改革なしに、人類が宇宙飛行文明を手に入れることはできません。現在の規制システムは壊れています。

関連記事:スペースXが最新Falcon 9打ち上げで衛星投入数の記録達成、143機の衛星を軌道上へ

カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceXFalcon 9Starlink人工衛星

画像クレジット:SpaceX

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(文: Aria Alamalhodaei、翻訳:sako)

小さいほうがコストも下がる、小型ロケットに特化した豪スタートアップGilmour Spaceが約50億円調達

オーストラリアのロケット打ち上げスタートアップGilmour Space Technologies(ギルモア・スペース・テクノロジーズ)は、大きければいいとは限らない、という考えに賭けている。同社はErisと呼ぶ、最大215kgのペイロードを太陽同期軌道へと運ぶことができる小型の打ち上げビークルを開発した。そして現在、同社はErisを2022年に宇宙へと送るためにシリーズCラウンドで6100万豪ドル(約50億円)を調達した。

Gilmour Spaceの創業者、アダム・ギルモア氏とジェームズ・ギルモア氏(画像クレジット:Gilmour Space Technologies)

Erisは他の打ち上げ会社のロケットよりもずいぶん小さい。Relativity SpaceのTerran Oneの地球低軌道への最大ペイロードは1250kgで、SpaceXの初かつ最小の軌道ロケットFalcon 1ですら450kg運ぶことができた。Gilmour Spaceは、軽量のペイロードの方がスペースクラフトを軌道に送ろうとしている急増中の顧客のためにコストを下げることができると請け合っている。

調達した資金は、同社の従業員を70人から120人へとおよそ倍増させるのに、そしてオーストラリア・クイーンズランド州のアボットポイントに新規の商業スペースポートを設置するのにも使われる。オーストラリアの当局は5月に打ち上げサイトの建設を承認した。同社はまた、極軌道打ち上げを促進するために南オーストラリア州にある提案された打ち上げサイトを調査している。

Gilmour Spaceはすでに、将来のEris打ち上げのために見込み顧客との契約書にサインした。ここには、オーストラリアの宇宙スタートアップ2社との契約も含まれる。1社はEris初打ち上げで35kgのスペースクラフトを打ち上げる予定のSpace Machines Company、もう1社は2023年に小型衛星6基を運ぶ予定のFleet Space Technologiesだ。Gilmour Spaceは米国拠点のMomentusとも同社の軌道移行サービスの使用で契約書を交わした。

シリーズCラウンドはFine Structure Venturesがリードし、オーストラリアのVCであるBlackbirdとMain Sequence、豪州年金基金HESTA、Hostplus、NGS Superなどが参加した。BlackbirdはGilmour SpaceのシリーズAを、Main SequenceはシリーズBをリードした既存投資家だ。今回のラウンドは、オーストラリアの宇宙企業によるプライベートエクイティ調達額としては過去最高で、Gilmour Spaceの累計調達額は8700万豪ドル(約72億円)となった。

カテゴリー:宇宙
タグ:Gilmour Space資金調達オーストラリアロケット

画像クレジット:Gilmour Space Technologies

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

ヴァージン・オービットが初の商業ペイロード輸送の打ち上げに成功

Virgin Orbit(ヴァージン・オービット)が、初の商業打ち上げを成功させた。これにより、宇宙へのペイロード輸送の実績がある小型衛星打ち上げ業者が、正式にもう1社誕生したことになる。ヴァージン・オービットのLauncherOne(ランチャーワン)ロケットは、東部夏時間の午前11時45分頃に運搬用航空機から発射され、一連のエンジン燃焼とステージ分離に成功して地球低軌道に到達した。

今回の打ち上げでヴァージン・オービットは、オランダ初の防衛衛星や、米国防総省が推進するRapid Agile Launch Initiative(ラピッド・アジャイル・ローンチ・イニシアティブ)のために開発されたキューブサット(超小型衛星)など、7つのペイロードを輸送した。このイニシアティブでは、柔軟性の高い打ち上げプラットフォームを用いて、比較的迅速に小型の宇宙船を宇宙に送り出すことの可能性を検証しようとしているが、ヴァージン・オービットは一般的な滑走路から水平に離陸することができるので、米国防総省の構想に適う打ち上げが可能だ。

ヴァージン・オービットは、ポーランドのスタートアップ企業であるSatRevolution(サットレボリューション)から2基の地球観測衛星の輸送も請けている。同社が計画している14機の衛星コンステレーションを構築するため、今後もさらに多くの衛星を運ぶ予定だ。

2021年1月、ヴァージン・オービットは最後の試験飛行ミッションを完了し、LauncherOneによる初めての軌道投入に成功した。それが今回の商業打ち上げへの道を開いたわけだが、同社は今後、商業ミッションのペースと頻度を高めていくことを計画しており、2021年後半に少なくともあと1回、2022年にはさらに多くのミッションを予定している。

ヴァージン・オービットのLauncherOneは、地球低軌道に約500kgのペイロードを輸送することができる。これは同じ目的地に約300kgまでの積載物を運搬できるRocket Lab(ロケットラボ)のElectron(エレクトロン)と比べても勝っている。

これは現在多くの需要がある小型衛星事業者向けのサービスとして適しており、SpaceX(スペースX)も同様のライドシェアリング・ミッションを提供しているが、ヴァージン・オービットは、小規模な衛星コンステレーションのために数機の小型宇宙船を打ち上げたいと考えている事業者に、より専門的なサービスを提供できる潜在能力を持っている。また、前述したようにヴァージン・オービットの打ち上げシステムは、さまざまな場所から離陸が可能であるため、将来的にはそれが防衛・安全保障産業において高い競争力を発揮する大きな利点となるだろう。

関連記事:ヴァージン・オービットがオランダ初の防衛衛星を打ち上げ、航空機を使った同社の柔軟な打ち上げ能力を実証へ

カテゴリー:宇宙
タグ:Virgin OrbitLauncherOneロケット

画像クレジット:Virgin Orbit

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Relativity Spaceが生産能力を10倍にすべく9万平米超の工場を建設、再利用可能3DプリントロケットTerran R製造へ

6億5000万ドル(約722億円)のシリーズEラウンドで資金調達を終えたばかりの3Dプリントロケットのスタートアップである Relativity Space(リラティビティー・スペース)が、その生産能力を10倍に増やすべく、100万平方フィート(9万2900平方メートル)の本社工場をカリフォルニア州ロングビーチに建設する。

Relativityの同じくロングビーチにある15万平方フィート(1万3900平方メートル)の現工場も生産を続ける。この工場は同社初のロケットとなる使い捨て型Terran 1に、引き続き焦点を当てる。このロケットは少量貨物向けの設計だ。新しい工場はRelativityの重量貨物用完全再利用可能な2段ロケット、Terran Rの開発および生産を目的としている。どちらのロケットもまだ軌道を見たことはないが、RelativityはTerran 1を2021年末に、Terran Rを2024年初めに打ち上げる計画だ。

2022年1月の新工場稼働に合わせて、同社は雇用の拡大も計画している。2021年中に少なくとも200名の社員を追加したい、とCEOのTim Ellis(ティム・エリス)氏がTechCrunchに語った。新工場の必要労働力は2000人を超えるため「Terran 1の打ち上げとTerran Rの開発開始に向けて1000人単位の新規雇用を行うことは間違いない」とエリス氏は言った。

画像クレジット:Relativity Space

Relativity独自の3DプリンターであるStargate(スターゲート)は、同社のどちらのロケットもプリントできる。しかし、能力はそれにとどまらない。少なくとも理論的には。Terran Rは再利用可能なので、巨大な新工場で生産可能な数よりもはるかに少ないロケットしか必要としないはずだ。そこで疑問が生じる。一連のプリンターは何を作ることになるのか?

エリス氏はいくつか可能性を示唆した。「ここではTerran Rを製造し、当初は開発を行いますが、長期的には次に当社が宇宙に送り込む何かを作るために、この工場の改善と再構成を続けていくことができるでしょう」と彼は言った。しかし、それがどんなものなのか正確には言わなかった。

「たしかに時間とともにプリント能力に余剰ができます、Terran Rは再利用するので。このため、ある時点で私たちには山ほどのプリンターと大量の空き時間があることになります。そんな能力を得たら何ができるか想像してみてください。次の破壊的製品に向けて突き進むだけです」。

Stargateプリンター群に加えて、敷地内にはカスタマイズ版DMLS(直接金属レーザー焼結方)メタル・プリンター、冶金研究所、機械工場、ミッション管制センターなどがある。ミッション管制センターではその名の通りミッションオペレーターが、フロリダ州ケープ・カナベラルとカリフォルニア州ヴァンデンバーグ空軍基地で行われる打ち上げの監視と管理ができる。

Relativityはこの場所を、土地所有者であるGodman Groupから「長期間契約」で賃借しているとエリス氏は言った。かつて当地は、Boeing(ボーイング)が軍用輸送機C-17の製造に使用していた。

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カテゴリー:宇宙
タグ:Relativity Space工場3Dプリントロケット

画像クレジット:Relativity Space

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nob Takahashi / facebook

「Starlink衛星通信端末は製造コストの半値以下で提供」とマスクCEO、黒字化までもうしばらく時間がかかりそう

Starlink(スターリンク)が黒字化するまでには、もうしばらく時間がかかりそうだ。この衛星ネットワークを利用して世界中に高速ブロードバンドを提供するというSpaceX(スペースX)のプロジェクトは、顧客にベータ版キットを約500ドル(約5万5300円)で販売しているが、実際にはそれ以上の製造コストがかかっていると、Elon Musk(イーロン・マスク)CEOは米国時間6月29日のインタビューで語った。

このベータ版キットには、顧客が衛星に接続してブロードバンドアクセスを可能にするユーザー端末(アンテナのようなもの)が含まれている。「率直に言って、現時点ではその端末で損しています」と、マスク氏は語った。「この端末のコストは1000ドル(約11万500円)以上するので、当然ながら私がその費用を補助しています」。SpaceXではそれと同じ機能を持ちながら、より低コストで製造できる次世代端末の開発に取り組んでいると、マスク氏は続けた。

このプロジェクトに対するSpaceXの全体的な投資額は、当初は50億〜100億ドル(約5530億〜1兆1055億円)の間になると見られていたが、長期的には300億ドル(約3兆3164億円)に達する可能性があるとのこと。それは同社が今後も改良を続け、携帯電話通信網の技術に対して競争力を維持していくためだと、マスク氏は語った。

バルセロナで現地時間6月29日に開催されたMobile World Congress(モバイルワールドコングレス)のバーチャル基調講演で、このように語ったマスク氏は、Starlinkの現在の状況について他にも詳細を述べている。このプロジェクトは今後12カ月以内に50万人以上のユーザーを獲得できる見込みで、約12カ国で運用されており、それは「毎月増えている」とのこと。

SpaceXは衛星バージョン1.5の打ち上げも間近に控えているが、これはレーザーによる衛星間リンクを備え、高緯度や極地での継続的な接続を可能にする。来年にはバージョン2の打ち上げが予定されており「性能は格段に向上する」とマスク氏は強調した。

望遠鏡で観測すると光の筋に見えるStarlink衛星(画像クレジット:SpaceX)

このプロジェクトでは、2つの大手通信会社との提携に取り組んでいるというものの、マスク氏はその社名を明かさなかった。

Starlinkは、SpaceXが成し遂げた再利用可能なロケットの飛躍的向上抜きには考えられないプロジェクトだ。「しかし、まだ私たちは、Starship(スターシップ)の開発によって、これを次の段階へと進化させる必要があります」と、マスク氏はいう。この新型ロケットは、迅速に再利用できることを目指している。つまり現在の航空機のように、一度の飛行を終えたら地上でそれほど時間を要せず、すぐに再発射が可能になるということだ。

Starshipは、月面に基地を建設したり火星に都市を建設するというマスク氏のビジョンの鍵となるものだ。SpaceXでは今後数カ月以内に、Starshipによる初の軌道への打ち上げを試みたいと考えていると、マスク氏は語った。SpaceXは、Starshipの打ち上げシステムと地上との間で「高データレートの通信を実証する」ために、Starlink端末を新しい宇宙船に搭載して飛行させる承認申請を、連邦通信委員会(FCC)に提出した。

関連記事:SpaceXがStarship軌道試験でStarlinkインターネットを使った接続品質の実証を行う予定

カテゴリー:宇宙
タグ:イーロン・マスクMWCMWC 2021StarlinkStarshipSpaceX

画像クレジット:Mobile World Congress

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)