TC Tokyo 2019にティアフォー加藤CTOの登壇決定、自動運転OS「Autoware」の開発者は何を語る?

TechCrunch Japan編集部では、通算9回目となるスタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo 2019」を11月14日(木)、15日(金)に東京・渋谷ヒカリエで開催する。現在、国内外のVCや投資家、スターアップ企業の経営者などに登壇を交渉中だが、今回4人目の登壇者を紹介できることになった。ティアフォーで取締役会長兼CTOを務める加藤真平氏だ。同氏は現在、ティアフォーでのCTO業務のほか、東京大学大学院・情報理工学系研究科の准教授、名古屋大学未来社会創造機構の客員准教授、The Autoware Foundation代表理事なども務める。

加藤氏といえば、国内外で200社以上の企業が採用する自動運転OSのAutowareを開発した人物。AutowareはLinuxとROS(Robot Operating System)をベースとしており、人工知能や各種センサーを制御する自動運転の頭脳にあたるモノだ。一般的な自動車はもちろん、トラックや車椅子、ゴルフカードなどさまざまな車両に実装可能なのも特徴の1つ。

現在はオープンソースで公開されているので、誰もが自由に試せるほか、ルールに従って改良を加えることもできる。Autowareの開発コミュニティーは現在のところ800人超となっている。

Autowareを使えば、LIDAR(ライダー、光センサー技術)やカメラ、GPSやGLONASSなどの全球測位衛星システムを利用して、現在位置や周囲の物体を認識しながら、カーナビから与えられたルート上を自律走行できる。自動運転用車両や実験場所などの環境さえ整えれば、自動運転の実証実験をすぐに始められるのだ。もちろん公道を走るには、各国の交通法規やさまざまな道路の形状をAI学習させる必要があるが、多くの企業が自動運転の基礎研究にすぐに使えるOSとして世界各国で注目されている。

さて加藤氏がCTOを務めるティアフォーは、愛知県名古屋市を拠点とする2015年12月設立のスタートアップ。7月4日にシリーズAで累計113億円の資金調達を発表したことで、業界内はもちろん、一般での知名度もさらにアップした。2017年12月に日本初の一般公道でのレベル4(無人運転)の自動運転、2019年2月には一般公道における5Gを活用した遠隔監視型自動運転の実証実験を成功させている。8月には、アップルのMacBook ProのなどのPC製造で有名な台湾クアンタ・コンピュータから10億円を調達し、Autowareを搭載した電子制御ユニット(ECU、Electronic Control Unit)の開発と商用化に共同で取り組むことも発表している。

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株主には、損害保険ジャパン日本興亜、ヤマハ発動機、KDDI、ジャフコ運営の投資事業有限責任組合、アイサンテクノロジーなどが名を連ねる。損害保険ジャパン日本興亜とアイサンテクノロジーは、自動運転に向けた保険商品の開発で同社と業務提携。ヤマハ発動機は低速自動運転車両の開発力を強化する目的で同社に出資している。KDDIはもちろん5G。低遅延通信と高速大容量通信が特徴の次世代通信規格である5Gをベースとした、通信ネットワークプラットフォームについて同社と開発を進めていく。

加藤氏は、TechCrunch Tokyo 2019で対話形式の公開インタビューであるファイヤーサイドチャットに登壇予定で、5G時代を迎える自動運転の未来についてじっくり話を聞く予定だ。

TechCrunch Tokyo 2019は、10月15日まで前売りチケットを3万2000円(税込)で販売中。10月16日からは4万5000円(税込)の一般チケットの販売に切り替わる。既報のとおり、加藤氏のほか、トヨタの自動運転開発子会社TRI-ADのCEOであるジェームス・カフナー氏、地球上を57兆個のマスに分割し3単語で表現するジオコーディングシステムを開発するwhat3wordsのCEOであるクリス・シェルドリック氏、汎用アームロボをチューニングした調理ロボットの開発を手がけるコネクテッドロボティクスの沢登哲也CEOの登壇も決まっている。

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それ以外の登壇者も続々と確定しており、プログラムの大枠は間もなく完成する予定だ。また現在、スタートアップバトルの募集も受け付け中。設立3年未満でローンチ1年未満もしくは未ローンチのプロダクトやサービスを開発しているスタートアップ企業は、ぜひこの機会を逃さないでほしい。

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Waymoが研究コミュニティが無償で津かっる自動運転のオープンデータセットをリリース

Waymo(ウェイモ)は、その重要な自動運転の蓄積データを、新しいOpen Data Setとして開放し、研究目的での利用を可能にする。このデータセットは商用利用向けではないものの、その「研究」の定義は極めて広く、大学はもちろん、他の企業の研究者も対象になっている。

昨年Waymoに入社する前に、ZooxとGoogleの両社に勤めていたこともある、Waymoの主任科学者兼研究責任者であるDrago Anguelov(ドラゴ・アンゲロフ)氏によれば、このデータセットは「これまで研究向けにリリースされた自動運転データセットの中で、最大かつリッチで、最も多様なものの1つ」だということだ。アンゲロフ氏は、ブリーフィングの中で、このデータ提供を推進し始めた理由を、この分野で仕事を進めているWaymoやその他の企業たちが「適切なデータセットが不足しているために、現在動きが鈍くなっているから」だと述べた。

「私たちは、最終的に学界の研究者たちが適切な質問を発することができるように、私たちのできる寄与を行うことを決断しました。そのためには研究者たちは適切なデータを必要としているのです」とアンゲロフ氏は語る。「そして私は、このことはこの分野にいるすべての人を助けることになると思います。私たち自身がこうした課題を解決できないと言っているわけではありません。しかし、効率、拡張性、必要なラベルの量に関しては、改善の余地が常にあります。これは発展途上の分野なのです。現状を考えると、あまりインパクトのない仕事を行うのではなく、主に他者を巻き込んで、私たちの問題を考えてもらい、私たちと一緒に仕事をしてもらおうとしているのです」。

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WaymoのOpen Data Setは、路上の自動運転車によって収集された1000個の運転セグメントを研究者たちに提供することで、ギャップを埋めようとしている。それぞれのセグメントは20秒の連続運転のデータを表したものだ。含まれる運転データには、アリゾナ州フェニックスで行われたもの、ワシントン州カークランドのもの、カリフォルニア州マウンテンビューのものが含まれる、そしてまた夜間や雨天、夕暮れ時などの様々な運転条件のものも提供されている。セグメントには、Waymo製の5つのライダーから収集されたデータと、正面および側面を向く5つの標準カメラのもの(高解像度でキャプチャされた360度のビューを提供)、そしてWaymoがライダーと画像データを融合するために使う同期データが含まれる。車両、歩行者、自転車、そして標識などの対象物にはすべてラベルが付けられている。

これまでのWaymoは、特にその収集されたデータに関してはより閉鎖的な企業の1つであり、その長い経験こそが競争上の優位性であることをしばしば口にするプレイヤーでもあった(Waymoは、当初GoogleのX Labとして、2009年に公式に産声を挙げた)。同社はまた、自動運転技術のライバルであるUberが、Waymoの元チームメンバーを雇用した際には、Uberとの間で知的財産権に関する有名な法廷闘争を行った。当然のことながら、このデータが実際にどのくらい「オープン」に利用できるかについて、懐疑的な人もいるだろう。

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Waymoの製品リーダーであるVijaysai Patnaik(ビジェイサイ・パトナイク)氏によれば、「研究」利用は多くの分野をカバーしていると説明する。ご想像のとおり、データセットには特定のライセンス契約が伴うがが、パトナイクは、ブリーフィング中に、誰がデータをどのような目的で利用するのかについて、彼らがどのように想定しているのかも説明した。

「想定されているのは、例えば学部やPhDの学生たちや、この分野に興味を持っている様々な大学の教授たちです、そして独立研究機関や、ロボット研究所なども含まれるでしょう」とパトナイク氏は語った。「ベイエリアにはそうした人たちがたくさんいます。【中略】企業は、ライセンス契約に準拠している限り、このデータセットを使用できます。あるいはドラゴ(アンゲロフ)のような個人や、他の組織内の彼のチームなども対象に含まれるでしょう」。

自動運転に取り組む他の企業も似たようなアプローチを採用しており、最近の例としてはLyftArgo AIの2つが挙げられる。とはいえWaymoは路上の実際の走行時間と走行距離に関して、この分野では圧倒的な優位を誇っている。このため自動運転と関連するロボット分野(コンピュータービジョンを含む)の研究者たちは、おそらく彼らのリリースするものを見たいと熱望するだろう。

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(翻訳:sako)

目指すは「世界で最も安全な自動運転車」、トヨタの自動運転開発子会社TRI-ADのCEOがTechCrunch Tokyoに登壇決定

トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)の最高経営責任者(CEO)、ジェームス・カフナー氏

今年は11月14日(木)と11月15日(金)に渋谷ヒカリエで開催する、日本最大級の最新テクノロジーとスタートアップの祭典、「TechCrunch Tokyo 2019」。去年はトヨタグループのベンチャーキャピタルファンドのToyota AI Venturesでマネージングパートナーを務めるジム・アドラー氏に登壇していただいたが、今年はトヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)の最高経営責任者(CEO)、ジェームス・カフナー氏に参加していただくことが決まった。

トヨタ自動車、デンソー、アイシンの3社によるジョイントベンチャーのTRI-ADは、トヨタの自動運転の取り組みに関わるソフトウェアの先行開発を行っている。世界で最も安全な自動運転車を作ること、そして自動運転の人工知能技術などに取り組むトヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)の研究成果とトヨタグループ内の研究・先行開発の連携強化が同社のミッションだ。

そんな2018年3月設立のTRI-ADを率いるのが、カフナー氏。同氏は2009年から2016年までの間、グーグルでリサーチサイエンティストやエンジニアリングディレクターを務めた。

カフナー氏はグーグルの自走車開発チームの創設メンバーの一人であり、2014年にはアンドロイド社を創業したことで知られるアンディ・ルービン氏とともに立ち上げたロボティクス部門のヘッドに就任。そして2016年からはTRIのCTOを勤めた。

カフナー氏は「TechCrunchのイベントには世界中から、とてもエキサイティングな新しいアイディアや、イノベーターが集まります。TechCrunch Tokyo 2019に参加させて頂けることを、今から楽しみにしています」とコメントしてくれた。

TechCrunch Tokyo 2018ではアドラー氏にトヨタが注目している技術分野に関して話を聞いたが、カフナー氏にはモビリティーカンパニーへとシフトしている同社の技術に関してはもちろんのこと、安全と自動運転に対するビジョンや、自動運転の技術がどのように世の中をより良くするのか、話を聞きたいと思っている。

現在は学生限定の「学割チケット」(5000円)、社会人など一般向けの「超早割チケット」(2万円)、専用の観覧エリアや専用の打ち合わせスペースを利用できる「VIPチケット」(10万円)、設立3年未満のスタートアップ企業の関係者向けの「スタートアップチケット」(1.8万円)、同じく設立3年未満のスタートアップ企業向けのブース出展の権利と入場チケット2枚ぶんがセットになった「スタートアップデモブース券」(3.5万円)の計5種類を発売中なので、気になる方はチェックしてみてほしい。

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ダイムラーとボッシュの無人駐車機能は人間の監督なしでの運用を認可

AIベースの自動運転システムが真に自律的なものになるための長い道のりの上で、私たちはまた新しいマイルストーンに達した。

このたびダイムラーとボッシュは、運転席に安全ドライバーを乗せることなく、その自律無人駐車機能を運用する認可を、ドイツの規制当局から得た。この認可が得られたのは、両社が同技術に対して共同作業を始めて4年後のことだ。

「規制当局によるこの決定は、自動駐車サービスのようなイノベーションが、まず最初にドイツで可能になるだろうということを示すものです」と声明で述べたのはボッシュの役員会メンバーであるマークス・ハイン(Markus Heyn)博士だ。「無人運転ならびに無人駐車は、将来のモビリティを構成する重要な構成要素です。今回の自動駐車システムによって、私たちがこの開発パスの上で既にどれほど進んでいるのかが示せました」。

SAE(米国自動車技術会)によって定義された自動運転レベル4では、自動車が、ある特定の条件下では人間の介在なしに全ての運転局面に対応することになっている。これまでのところ、他にもレベル4の試行は色々行われて来ているが、それらは全て運転席に安全要員として人間を乗せたものだ。

世界最大の自動車技術およびハードウェアサプライヤの1つであるボッシュは、自動駐車機能のインフラストラクチャ部分を担当する。これは、ダイムラーによるメルセデスベンツ車の車両技術と連携して機能する。利用者は、スマートフォンアプリを介して自動駐車サービスにアクセスする。

ボッシュとダイムラーは、2015年に完全自動無人駐車機能の開発を開始していた。当初のパートナーシップには、ダイムラーのカーシェアリング部門car2goが参加していた。彼らは2017年に、メルセデス・ベンツミュージアムの駐車場で、いわゆる自動駐車サービスをお披露目した。翌年には、徹底的なテストを経て、ミュージアムの訪問者は自動駐車サービスをテストすることができるようになった。ただし、ただ1つの重要な制限と共に。それは人間の安全ドライバーが常に運転席に座っていなければならないというものだ。

訪問者たちはスマートフォンのアプリを使って、施設の車を予約することができた。予約した車は、駐車場の中の指定されたピックアップスポットに自動的にやって来る。訪問者は車を乗り終えたら、返却ゾーンに車を戻す。その後、返却ゾーンに置かれた車は、駐車場のインフラストラクチャと車内センサーによって誘導されて、割り当てられた駐車位置まで自力で移動する。

このときのパイロットプログラムはやや自動化の範囲が狭く、安全ドライバーが必ず乗っているように制限がかけられていた。だが、このプログラムは、ボッシュ、ダイムラー、そしてドイツで自動運転機能の導入を望んでいる他の会社にとってさえ、重要な目的を果たした。

ドイツには、運転手がいない自動運転機能に対する正式な承認プロセスは存在しない。最初の段階から、ボッシュとダイムラーは、シュツットガルトとバーデンヴュルテンベルク州の運輸省の当局、そしてドイツの認証組織TÜV Rheinlandの専門家たちを招き入れていた。

ご想像の通り、このグループはボッシュとダイムラーの駐車機能の安全性を評価した。しかしこのプロセスは、シュツットガルトの1駐車場で行われたパイロットプロジェクトの枠を超えて、規制当局が使うことのできる、検証と認証の基準のためのガイドラインの作成に役立ったのだ。

たとえば、ボッシュとダイムラーは、このパイロットプロジェクトでライトのコンセプトをテストした。両社は、青緑色のライトを使用して、車両が自動運転モードになっていることを示し、通行人や他の道路利用者たちに、その車両が自律運転していることを知らせたのだ。最近発行されたSAE規格3134は、これらのライトテストに関する、ボッシュとダイムラーによる洞察を反映している。

だがこれは、ボッシュとダイムラーが共同開発する唯一のプロジェクトではない。両社は2017年に、「次の10年区切りの初めまでに」、完全自動運転車を都会の路上に登場させるためのパートナーシップを結んでいる。昨年両社はカリフォルニア州サンノゼで、robotaxiサービスを試験運行する計画を発表した。

この自動化されたメルセデス・ベンツSクラスの車両を利用する予定のrobotaxiの試験運行は、2019年後半にもダウンタウンとサンノゼ西部の間にあるサン・カルロスとスティーブンス・クリークに挟まれた限られたエリアで開始される予定だ。今回のパイロットプロジェクトでは、ダイムラー・モビリティ・サービスが運営するオンデマンドの配車サービスアプリケーションを使用する。

運行はすべて安全ドライバーによって監視される。

一方、ボッシュは、自動運転車、スマートホーム、そしてスマートシティのインフラに使用される半導体を製造するためにデザインされた、11億ドル(約1190億円)の施設を建設中である。このドレスデンを拠点とするチップ製造工場は、2021年に半導体の商業生産を開始する予定である。建設は2019年に完了する予定だ。

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(翻訳:sako)

テスラの自動運転オプション、8月に最大約100万円値上げ

Tesla(テスラ)車に搭載する自動運転機能オプションがさらに値上げされる。まだ完全に実用化されていないこの機能の値を同社が上げるのは、この数カ月間で2回目だ。

TeslaのCEO、Elon Musk(イーロン・マスク)氏は火曜日、完全自動運転オプションの価格が8月16日から最大1000ドル(約108万円)上がる、とツイートした。将来完全に自動運転能力を有するようになるとMusk氏が約束しているフルセルフドライビング(FSD)は現在6000ドル(約650万円)する。

Musk氏は以前、FSDは「何回か値上げされるだろう」と語っていた。5000ドルから6000ドルになった最初の値上げは5月1日に実行された。以前のツイートでMusk氏は、値上げ額は全部で3000ドルちょっとくらいになるかもしれない、と言っていた。つまり、Tesla車購入者は今回の値上げ以降もさらに値が上がることを覚悟しなければならない。

これは戦略の一環で、値上げのツイートに続き、Musk氏は「FSDオプションは数カ月ごとに値上げされるだろう。早く購入するとトクだ」とも発信した。

Tesla車は自動運転ではない。最終的にフル自動運転になるまで、高度運転支援システムは改善され続ける、とMusk氏は約束している。

Tesla車には、アダプティブ・クルーズ・コントロール(定速走行・車間距離制御装置)とレーン・ステアリングを提供する高度運転支援システム「Autopilot」が標準装備されている。Teslaはかつてこの機能も有料で販売していたが、2019年4月にスタンダードにした。

Autopilotよりも高機能なバージョンがFSDだ。FSDには、パーキング機能の「Summon」や、インターチェンジや車線変更を含む、高速道路の出口車線へ車を誘導するアクティブガイダンスシステムNavigate on Autopilotがある。ドライバーがナビゲーションシステムに目的地を入力すると、Navigate on Autopilotを利用できるようになる。

Teslaは2016年10月に、全ての車に「フル自動運転」に必要なハードウェアが装備されるだろう、と発表した。その後同社はハードウェアについて修正し、2019年春から新車には新カスタムコンピューターチップが搭載されている。

ゆくゆくは自動運転を提供するというオプションをTeslaが有料で提供するようになってから3年近くがたつ。そして顧客はまだ待たされ続けている。

TeslaはNavigate on Autopilotと広範なFSDの改善を無線でのソフトウェアアップデートを通じて続けている。Teslaはウェブサイトで、FSDは間もなく信号や停止サインを認識して反応できるようになり、街中の道路でも自動運転ができるようになる、と案内している。

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(翻訳:Mizoguchi)

Waymoが自動運転車でのLyft客ピックアップを開始

自動運転開発企業のWaymoが、ごく少数の車両を使ってフェニックスのテストゾーンでLyft客のピックアップを開始したとCNBCが報じた。これを利用するには、乗車をリクエストするLyftユーザーは、指定されている自動運転のテストゾーンであるフェニックスのエリア内で乗降しなければならない。

このトライアルに使用されているWaymoの車両は10台以下で、Waymoはゆくゆくは計10台以上にする計画だが、当面はまだだ。これは、このオプションを利用すると見込まれる人がそれほど多くはないことを意味する。しかし、利用を選択すれば、Waymoのバン(セーフティードライバーが乗車する)か、従来のLyft車両かを選べるようになる。

WaymoLyft5月に提携を発表しているが、WaymoはLyftとの提携と並行して、自動運転車による自前の配車サービスの展開も継続するつもりだ。

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(翻訳:Mizoguchi)

自動運転のスタートアップDrive.aiが廃業

自動運転技術のスタートアップで、評価額2億ドルだったこともあるDrive.aiが、設立4年で廃業する。規制当局の提出資料による。

San Francisco Chronicle紙が最初に報じた。同社はメディアの質問には回答しない、と広報担当者がTechCrunchに伝えた。

同社のカリフォルニア州マウンテンビュー本社は金曜日に閉鎖されると、カリフォルニア州雇用開発局に提出されたWARN文書に書かれている。企業は大量の解雇や事業所閉鎖の前にWARN(Worker Adjustment and Retraining Notification Act)文書を提出しなければならない。

ここ数週間、Appleがこのスタートアップを買収するという噂があった。今月、The Information誌はAppleがDrive.aiのアクイ・ハイヤーを検討していると報じた。特定の人材獲得を目的とした一般には小規模な買収だ。

Drive.aiの従業員90名の中には、好結果となった人もいたようだ。少なくとも5名がLinkedInのプロフィールを更新して、Appleの特別プロジェクトに転職したと書いている。San Francisco Chronicleの報道を受けてTechCrunchが確認した。

Drive.aiは2015年に、著名なAIエキスパート、Anrew Ng率いるスタンフォード大学人工知能研究所の卒業生らが設立した。NgはDrive.aiの取締役会会長となり、共同ファウンダーのCarol Reileyと結婚している。

当初同社は、自動運転ソフトウェア・システムおよびインテリジェント・コミュニケーション・システムに特化し、多くの注目と投資を受けた。後にディープラーニング・ソフトウェアおよび後付け用自動運転キットのハードウェア開発へとビジネスモデルを転換し、さらに資金を調達した。Pitchbookによると総調達額は7700万ドルだった。最後の評価額は2017年の2億ドルだった。

Drive.aiは2017年、2018年と事業を拡大していった。昨年にはテキサス州フリスコでパイロットプログラムを開始し、自動運転車によるオンデマンドサービスを試行した。しかし、事業拡大の一方で、経営チームは混乱があったようで、CEOの席は何度も入れ替わっていた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ドライバー支援システムができること/できないことをドライバーは理解していない

アウディ、BMW、GMのキャデラック、日産、そしてテスラのような自動車メーカーは、ある程度の運転タスクを代行することで、日々の高速道路通勤の苦痛を和らげてくれる十分に堅牢な先進的ドライバー支援システムを用意している。ここでの問題は何だろう?ドライバーたちがこうしたシステムの限界を理解していないということだ。このことは6月20日に「Insurance Institute for Highway Safety」(IIHS、ハイウェイ安全協会)からリリースされた2つの新しい調査で示された。

先進的ドライバー支援システムをめぐる理解の混乱は大きく、IIHSの調査によれば特にテスラのAutopilotシステムができることとできないことの理解に関する混乱が大きい。

この理解調査では、2500人に対して現在の車に搭載されている5種類の「レベル2」運転自動化システムについての質問が行われた。具体的には、Tesla(テスラ)のAutopilot、アウディとアキュラのTraffic Jam Assist、キャデラックのSuper Cruise、BMWのDriving Assistant Plus、そして日産のProPilot Assistだ。レベル2が意味するのは、ドライバーの監視の下でシステムが運転作業の2つ以上の部分をできるということだ。例えば、システムは車を車線の中心に保ちながら、同時に適切なクルーズコントロール(加速減速操作)を行うことができる。

調査対象者のうち48%が、Autopilotを使っているときにはハンドルから手を離しても安全だと答えている。IIHSの調査の中では、他のシステムに関してはいずれも33%もしくはそれ以下の人が安全だと答えている。IIHSの調査によれば、Autopilotの場合は、風景を見たり、本を読んだり、携帯電話で離したり、SMSを送ったりしても安全だと考えている人の割合もかなり高いという。さらに6%の人々はAutopilotを使っている最中に居眠りをしても大丈夫だと考えていた。他のシステムの場合は、この比率は3%だった。

この調査は意図的に一般人を対象として行われた。つまり、Autopilotがどのように動作するかをよりよく理解していると思われるテスラのオーナーを対象にした調査ではない。実際、テスラはこの調査に対して以下のような反論を行っている。

「この調査は、テスラの所有者やAutopilotの使用経験のある人々の理解を代表するものではありません。なので、この結果を強調するのは不正確です」とテスラは言う。「もしIIHSが『Autopilot』(自動操縦)という名前に反対だというのなら、おそらく彼らは同じように『Automobile』(自動車)という名前にも反対なのでしょう」。

テスラはそれに続けて、同社の車のオーナーたちに対して、Autopilotをいかに正しく使えばいいかの明快なガイダンスを提供していることはもちろん、システムを使う前、そして機能を利用中にも車内での指示を伝えていると語っている。Autopilotの利用中に、ドライバーが運転にきちんと注意を払っていないことを、もしテスラ車が検知した場合には、ドライバーはその機能を使うことが禁じられる。

だがテスラのオーナーたちがAutopilotを悪用もしくは誤用していることを示す多くのYouTubeビデオのことはとりあえず無視するとしても、テスラの主張する「トレーニング」の効果は、IIHSのもう1つの調査の結果には十分反論できるものではない。2番目の調査は、トレーニングの効果に焦点を絞り、ドライバーたちがDrive Pilotシステムを搭載した2017型メルセデス・ベンツE-Classのディスプレイから、レベル2自動運行情報を理解しているかどうかが調べられた。

IIHSはE-Classのディスプレイを使った理由を、他の自動車メーカーと比べても典型的なディスプレイだからと述べている。大きく異なるテスラのディスプレイを使って同じ研究を行ってみたら、おそらく興味深い結果になるだろう。

こちらの調査では80人のボランティアが、E-Classのハンドル越しの運転手の視点から録画されたビデオを見た。実験に際して被験者の半数は、システムの状態を示す機器のアイコンの意味についての、簡単な事前トレーニングを受けた。

トレーニングは効果を発揮しなかった。IIHSによれば、当初検出範囲よりも遠かったためにシステムが前方の車両を検知しなかった場合、大多数の人はそれが何を意味しているかを理解できなかったという。

要するに?ドライバー支援システムはより一般的で高性能になっているが、ドライバーたちはその変化に追いついていない。それは危険な組み合わせなのだ。

より率直に言えば、先進的ドライバー支援システム(ADAS)がどのように機能するのか、そしてシステムができることとできないことに関して、人びとはきちんと理解していない。ADASは決して自律性を意味しない。そして、一部のメディアや企業が主張していることにかかわらず、現在製品としての自動運転車は路上を走っていないのだ。

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(翻訳:sako)

中国初の自動運転ユニコーン企業Momentaは利益よりもデータを追う

Cao Xudong(曹旭東) は、ジーンズと彼のスタートアップ企業の名前である「Momenta」と書かれた黒いTシャツ姿で路肩に現れた。

昨年、企業価値10億ドル(約109億ドル)を記録し、中国初の自動運転系「ユニコーン」企業となったこの会社を立ち上げる以前から、彼は誰もが羨む生活を送っていたのだだが、自動運転は次なる大きな波だと自分に言い聞かせてきた。

曹は、完全な自動運転車で一発当てようと考えているわけではない。それは20年後の話だと彼は言う。むしろ彼は、半自動運転ソフトウエアを販売し、次世代の自動運転技術に投資するという、地に2本の足を着けたアプローチを取っている。

曹(中国語読みでツァオ)は、中国における人工知能研究者の第一世代のための「士官学校」と噂されるMicrosoftの基礎研究機関Research Asiaで働く機会を得たとき、まだ機械工学の博士課程にいた。彼は4年間以上Microsoftで辛抱した末、退職し、より現実的な仕事に手を付けた。スタートアップだ。

「その当時、学術的なAI研究はかなり成熟していました」と、現在33歳の曹は、Microsoftを去る決意をしたときを振り返り、TechCrunchのインタビューで語った。「しかし、AIを応用しようという業界の動きは始まったばかりでした。2012年から2015年までの学会での波よりも、業界で起きる波の方が大きくて強力なものになると私は信じていました」。

2015年、曹は、政府に納入している顔認証技術などによる高収益のお陰で今や世界で最も価値の高いAIスタートアップとなったSenseTimeに入社した。17カ月の在籍期間中、曹は研究部門をスタッフ0人からスタートして100人態勢の強力なチームに育て上げた。

間もなく曹は、またしても新たな冒険に惹かれるようになった。彼は、結果はあまり気にせず、「何かをやること」に重きを置いているという。その傾向は、名門精華大学の在籍中にすでに現れていた。彼はアウトドアクラブの部員だった。特別にハイキングが好きだったわけではないが、冒険のチャンスに恵まれ、彼と同様に粘り強く大胆不敵な仲間たちが大変に魅力的だったからだと彼は話している。

車ではなくコンピューターを作る

曹は、カメラやレーダーなど、自動運転車でよく目にする装置を取り付けた車に私を案内してくれた。トランクには、目に見えないコンピューターコードがインストールされている。我々は車に乗り込んだ。ドライバーは、Momentaが作成した高解像度のマップからルートを選択した。そして、ハイウェイに近づくなり、自動的に自動運転モードに切り替わった。複数のセンサーが、リアルタイムで周囲のデータをマップに送り始める。それをもとに、コンピューターは走行中の判断を下す。

試験車両にセンサーを取り付けるMomentaのスタッフ(写真:Momenta)

Momentaは車もハードウエアも作らないと、曹は念を押した。その代わりに、頭脳、つまり深層学習能力を作って自動車に自動運転機能を与えるのだという。これは事実上、いわゆるTire2のサプライヤーだ。IntelMobileyeと同じように、自動車部品を製造するTire1サプライヤーに製品を販売している。また、自動車を設計し、サプライイヤーに部品を注文して最終的な製品を製造するOEMとも、直接取り引きをしている。どちらの場合でも、Momentaはクライアントと協力しながら最終的なソフトウエアの仕様を決めている。

こうしたアセットライトなアプローチによって、最先端の運転技術が開発できるとMomentaは信じている。自動車や部品のメーカーにソフトウェアを販売することで、収益を得るだけでなく、たとえば、いつどのように人間が介入すべきかに関する大量のデータを収集でき、低コストでAIをトレーニングできる。

クライアントの企業名は公表しなかったが、中国内外の一流自動車メーカーとTire1のサプライヤーが含まれているとのことだ。数は多くない。なぜなら自動車業界での「パートナーシップ」は、深い資源集約的な協力を必要とするため、少ないほうが有利だと考えられているからだ。我々の認識では、後援者にDaimler AGが含まれている。またMomentaは、このメルセデス・ベンツの親会社が中国で投資した初めてのスタートアップでもある。しかし、Daimlerがクライアントかどうかは、曹は明かさなかった。

「1万台の自動運転車を動かしてデータを集めるとしましょう。その費用は、年間で軽く10億ドルに達します。10万台なら100億ドルです。巨大ハイテク企業であっても怖じ気づく額です」と曹は言う。「意味のあるデータの海を手に入れたければ、大量市場向けの製品を作ることです」。

自動車をコントロールする半自動運転ソリューションHighway Pilotは、Momentaの最初の大量市場向けソフトウェアだ。今後、さらに多くの製品が投入されるが、それには、完全自動駐車ソリューションや、都市部向けの自動運転ロボットタクシー・パッケージなどが含まれる。

長期的には、非効率的な中国の440億ドル(約48000億円)規模の物流市場に取り組みたいと同社は語っている。AlibabaJD.comが開発した倉庫向けのロボットのことはよく知られているが、全体的に中国の物流の効率は、まだ低水準にある。2018年、物流コストは中国のGDPの15%近くを占めていることが発表された。同じ年、世界銀行が発表した、世界の物流業界の効率を示した物流パフォーマンス指標ランキングでは、中国は26位だった。

MomentaのCEO曹旭東(写真:Momenta)

控えめなCEOである曹が語調を強めたのは、同社の地に2本の足を付けた戦略について説明したときだった。その2つセットのアプローチは「閉じた輪」を形成する。これは、同社の競争力について語るときに繰り返し登場した言葉だ。現在と未来の中間を拾うのではなく、Waymoがレベル4(基本的な状況下で人間の介入なしに自動運転できる車の区分)で行ったように、またはTeslaが半自動運転で行ったように、Momentaはその両方に取り組む。それには、収益がロボットタクシーのための研究費となり、現実のシナリオから収集されるセンサーのデータが研究室のモデルに投入されるHighway Pilotのような、利益を生むビジネスが利用される。そして、その研究室で得られた結果は、公道を走る車に供給する技術をパワーアップする。

人間かマシンか

昼間の公道での40分の試乗の間、我々が乗った車は、自動的に車線変更をし、合流し、乱暴なドライバーから距離を取るなどしていたが、ある一瞬だけ、ドライバーが操作を加えた。試乗の終わりごろ、ハイウェイの出口ランプの中央に停車していた危険な車を避けるために、ドライバーがレバーを引いて車線変更を行っている。Momentaはこれを、「インタラクティブな車線変更」と呼んでいる。同社は、これは自動運転システムの一部であり、厳格な定義によれば、人間の「介入」ではないと力説していた。

「人間による運転の介入は、これからも長きにわたって支配的な存在でいるでしょう。あと20年ほどは」と曹は指摘する。車は車内カメラでドライバーの動作を細かく把握しているため、この設定は安全性を一段階高くするとのことだ。

「たとえば、ドライバーが携帯電話に目を落としたとします。すると(Momentaの)システムは運転に集中するよう警告を発します」と彼は言う。

試乗中の撮影は許されなかったが、Momentaが公開している下の動画でハイウェイでの様子を少しだけ確認できる。

人間は、我々が思っている以上に、すでに自動化の範囲に組み込まれている。曹は、他の多くのAI研究者と同じく、最終的にはロボットがハンドルを握るようになると考えている。Alphabetが所有するWaymoは、すでに数カ月前からアリゾナでロボットタクシーを走らせている。Drive.aiのような比較的小規模なスタートアップですら、テキサスで同様のサービスを行っている。

業界にはさまざまな誇大宣伝や流行があるが、同乗者の安全、規制の概要、その他数多くの高速移動技術の問題など、厄介な疑問は残されたままだ。去年、自動運転車による死亡事故を起こしたUberでは、将来の計画が先送りされ、人々の批判を浴びることになった。上海に拠点を置くベンチャー投資会社は、先日、私にこう話した。「人類はまだ自動運転の準備ができていないのだと思う」

業界の最大の問題は、技術的なものではなく、社会的なものだと彼は言った。「自動運転は、社会の法体系、文化、倫理、正義に難題を投げかけている」。

曹も、この論争のことはよく知っている。未来の自動車を形作る企業であるMomentaは、「安全に対する大きな責任を負っている」と彼は認識している。そのため彼は、すべての幹部に、自動運転車で一定の距離を走り、システムに欠点がないかを確認するよう求めている。そうすれば、お客さんが遭遇する前に、社内の人間が欠点に遭遇する確率が上がる。

「この方針があれば、管理職はシステムの安全性を真剣に考えるようになります」と曹は主張した。

中国の蘇州に建つMomentaの新本社ビル(写真:Momenta)

信頼性を確保し、説明責任を明確にできるソフトウェアをデザインするために、Momentaは「システム研究開発のアーキテクト」を任命している。この人物は、基本的に、ブラックボックス化された自動運転アルゴリズムの解析の責任を負う。深層学習モデルは「説明可能」でなければならないと曹は言う。それは、何か不具合が起きたときに原因を突き止める重要な鍵となるからだ。故障箇所はセンサーなのか、コンピューターなのか、ナビゲーションアプリなのか?

さらに曹は、研究開発に多額の資金を投入してはいるが、利益を生もうと焦ってはいないと話している。ただし、ソフトウェア販売の利益が「大きい」ことも認めている。またこのスタートアップは、多額の資金に恵まれている。曹の経歴が投資を惹きつけているところが大きい。同じように、共同創設者であるRen Shaoqing(任少卿)とXia Yan(夏炎)もMicrosoft Researchの出身だ。

昨年10月の時点でMometaは、Daimler、Cathay Capital、GGV Capital、Kai-Fu LeeのSinovation Ventures、Lei JunのShunwei Capital、Blue Lake Capital、NIO Capital、それに蘇州政府を含めた著名な投資企業から少なくとも2億ドル(約217億円)を調達している。蘇州には、高速鉄道の駅のすぐ隣にMomentaの新本社ビルが建つ予定だ。

蘇州を高速鉄道が通過するとき、乗客はその車窓からMomentaの特徴的な新社屋を眺めることができる。数年もすれば、この中国東部の歴史ある街の新たなランドマークになるだろう。

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(翻訳:金井哲夫)

28億円調達でライダーシーンに登場した新しいアプローチ

ライダー(Lidar)は、多くの自動運転車やロボットシステムを構成する重要な部品だが、その技術も急速に進化している。Sense Photonicsという名の新しい会社が、米国時間6月11日に沈黙を破って、2600万ドル(約28億円)のラウンドAとともに登場した。とても広い視野と(文字通り)柔軟な設置を可能とするまったく新しいアプローチがその売りだ。

まだプロトタイプ段階ではあるが、8桁(数千万ドル)の投資額を引きつけるだけの魅力は確かに持っている。Sense Photonicsのライダーは、一見従来のものとは劇的に違っているもののようには見えない。だがその違いは裏側に隠れているものだけではない。

Velodyneのような初期のポピュラーなライダーシステムは、赤外線レーザーパルスを放射し検出する回転モジュールを使用して、光の往復時間を測定することによって周囲を検出していた。その後のモデルでは、例えばDLPタイプのミラーやメタマテリアルベースのビームステアリングといった、あまり機械的ではないもので回転ユニットが置き換えられている。

関連記事:いまさら聞けないライダーLidar)入門

これらのシステムはみな、光のビームや、柱、あるいはスポットを、風景に対してある決まった手順で順次照射していく「スキャン」システムである。しかし、風景全体を一度に大きな照射(フラッシュ)で照らし出す「フラッシュ」ライダーを、なんとか実装できた企業はごくわずかだった。

それこそがSenseの開発したもので、彼らは既存のシステムの通常の欠点、すなわち限られた解像度と範囲の問題を回避できたと主張している。それだけでなく、レーザーを放射する部品(エミッター)と、パルスを計測するセンサーを分離することによって、Senseのライダーは車全体を再設計することなく、設置することが簡単になる。

私は、レーザーシステムのベテランエンジニアでありCEO兼共同創業者であるスコット・バロウズ(Scott Burroughs)氏に、何がSenseのライダーを他の競合相手のものとは違うものにしているのかを尋ねた。

「まずレーザーエミッターですね」と彼は語った「私たちは、よりよい熱効率と目に対する安全性を達成するために分散された、文字通り莫大な数のレーザー素子で構成された装置を作る、秘密のレシピを持っています」。

これらのの小さなレーザー素子たちは、柔軟な裏地の上に貼り付けることができる。つまりレーザー素子の集まりを湾曲させることができるということであり、これによって大幅に視野が拡大する。通常のライダーユニット(360度のものを除く)は、おおよそ水平方向に120度の視野を持っていることが多い、これは水平面に置かれたセンサーとエミッターから確実に取得できるものがその範囲のものだからだ。そしておそらく垂直方向には50から60度の視野角度を持っているだろう。

「私たちは、前例がないと思われる、垂直方向に90度そして水平方向に180度の視野を得ることが可能です」とバロウズ氏は誇らしげに語った。「そしてそれが、これまで話をもちかけた自動車メーカーたちが、とても興奮している点です」。

ここで説明しておく価値があるのは、ライダーシステムは2種類のものに分かれ始めているということだ。1つは前方に向いた長距離用ライダー(LuminarやLumotiveによるものなど)で、200m前方の路上の障害物や人物を検出する。またもう1つは、より短距離で幅広い視野を持つライダーで、より近接した状況認識のために用いられる。例えばバックする車の後ろにいる犬や、数m先の駐車スペースから出てきた車などを検出する。Senseのデバイスは、この2番目のユースケースに非常に適しているのだ。

これらは単なるプロトタイプ装置だが、きちんと機能しており、単なる概念モデル以上のものである

彼らが提供する2番目の興味深いイノベーションがセンサーだ。これは通常はライダー装置の一部に組み込まれているものだが、このシステムではエミッターとは完全に切り離して設置することが可能な、少しばかり特殊なカメラなのである。つまり、エミッターはヘッドライトのようなカーブした部品に統合することが可能になり、一方小さな検出装置たちを既に従来カメラが設置されていたようなサイドミラーやバンパーなどの上に置くことができるのだ。

カメラのようなアーキテクチャは、設置に際して本当に便利なものとなる。また、システムが周囲の画像を再構築する方法にも根本的な影響を与えるのだ。彼らが使用するセンサーは普通のRGBカメラにとても近いものなので、前者からの画像は後者の画像に非常に簡単にマッチさせることができる。

ライダーの深度データと、従来のカメラ画像が、すぐにピクセル単位で対応付けられる

従来のほとんどのライダーは3Dの点群を出力する。これは、ビームが異なる範囲に対して発見した何百万もの点の集合である。これは、従来のカメラとは非常に異なる「画像」の形式であり、点群の深さと形状を2DのRGB画像に変換したり比較するためには、ある程度の作業が必要である。Senseの装置は、2Dの深度マップをネイティブに出力するだけでなく、そのデータを対になるカメラと同期させることができるので、可視光画像をピクセルごとに深度マップに一致させることができる。このことは計算時間を節約し、よって遅延を減らすことになるが、これは自律型プラットフォームにとっては良いことなのだ。

Sense Photonicsの装置は、ここに見られるような点群を出力することもできる

Senseのシステムの利点は明白だが、もちろん現段階ではまだ最初の装置を製品化することに取り組んでいるところだ。その目標に向けて、プレスリリースにもあるように「Acadia WoodsとCongruent Venturesが主導し、Prelude Ventures、Samsung Ventures、Shell Venturesを含む他の多くの投資家たちが参加した」ラウンドAで、2600万ドルの資金調達が行われたのだ。

現金が手元にあることは良いことだ。だが同社はまた、Infineonやその他の企業たち(その中には名前は明かされていないがティア1の自動車会社も含まれていて、明らかに最初のSense Photonics製品の開発に協力していることだろう)と提携も行っている。詳細に関しては、内容がより確定する今年後半を待たなければならないだろう。実際の製品生産はその数カ月後に始まることになる。まだ明確なタイムラインはわかっていないが、こうしたこと全てが今年中に行われることが期待されている。

バロウズ氏はプレスリリースで、「私たちのチームとテクノロジーに対する、投資家の皆さまからの信頼の厚さを、高く評価しています」と語っている。「私たちに寄せられた要求は、水面下で活動していた間でさえ、並外れて大きなものでした」。

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(翻訳:sako)

あなたの自律走行車はスポーティーなサリーか?血に飢えたクリスティーンか?

馬車が走る道に初めて自動車が登場したとき、馬はその技術の最初の犠牲者となった。ゆっくり走る自動車に襲われたわけではなく、驚いて逃げてしまったわけでもない。むしろ馬は、怪我に悩まされた。また、怯えた馬が通り道にあるものすべてを踏み荒らし、物や歩行者に損害や傷害を与えることもあった。

自動車がもっと速く走れるようになり台数も増えると、歩行者が走る自動車の直接の犠牲者になった。間もなく、交通規則、および製造物責任法と不法行為責任法が作られ、大虐殺を避けるための秩序がもたらされた。それでも、いまだに注意散漫で運転技術が未熟なドライバーは増加する一方であり、彼らが混雑した高速道路を、現実版のまったく笑えない「フロッガー」の舞台に変えている。

自律走行車に乗れば、ドライブのあらゆる恩恵がドライブせずに得られるようになる。自動運転を支持する人たちは、自律走行技術によって自動車はより安全になり、2050年までに事故発生頻度を90パーセント以上削減できると信じている。自動車事故の90パーセント以上が、ドライバーの運転ミスによるものだからだ。

たしかに、飲酒運転や不注意、その他のドライバーの行動に起因する死傷事故のニュースは後を絶たない。自律走行車なら、友だちにメッセージを送ったり、『ブラック・ミラー』を一気見したりしていてもオーケーだ。でも、本当にそうだろうか?それは、目の前に立っている歩行者は実際にはそこにいないと自律走行車が誤認しない限りにおいてのことだ。または、ゴミ収集トラックが引きずっているゴミを車線のラインと見間違えて、車ごとコンクリートブロックに突っ込まない限りにおいてだ。

他社に先んじて、完全な自動運転の実現を目の前にしている企業もあるが、運転環境での極限状況は改善されないままだ。つい最近も、アリゾナの暗い国道を自転車を押して渡ろうとしていた女性が自律走行車に跳ねられるという悲惨な事故があったばかりだ。車にはドライバーが乗っていて、事故にならないよう対処できたはずなのに、それをしなかった。積極的に奨励しないまでも、ドライバーが運転を手放せるようにすることが自律運転技術の本来の意義であるため、その車に乗っていた人の不注意を責めることはできない。

ほとんど必要とされないためドライバーが運転できなくなってしまうから「自律走行車のパラドックス」は危険だ。少なくとも当面の間、自律走行システムの信頼度が人間のドライバーとほぼ同じ98パーセントの安全率を上回るようになるまでは、緊急時や予想外の状況での人間のドライバーの補完を必要とするだろう。

この移行時期の間、そしてこの時期を過ぎてからも、事故の際に何が起きるのか、また誰がその責任を取るのか?自律運転技術が現れる前は、自動車事故は、ドライバーの過失とメーカーの製造者責任という2つ法理論のうちのいずれかが適用された。過失の法理論は、ドライバーの行動に責任を負わせ、ドライバーから、一般的には保険会社からだが、ハンドルを握っていた本人の行動に対する金銭的賠償を引き出そうとするものだ。製造者責任の法理論はその反対で、怪我の原因になったエアーバッグやイグニションスイッチやタイヤや、さらには自動車そのものなど、欠陥のある製品を製造し販売した企業に向けられるものだ。自律走行車の事故に現在の法理論を適用しようとすれば、数多くの問題が発生する。

人工知能(AI)、あるいは自動車を自律走行させるものなら何でも構わないのだが、それがカーブの路面が滑りやすくなっていることを検知または、それに応じて運転を補正できなかったとする。前を走る車から漏れた不凍液が路面を濡らしたようで、ハンドルを握る人間には認知できたものの、AIシステムにはほとんど見えなかった。もし、自律走行車に手動運転が優先される機能があり、それで事故が起きたなら、衝突を防ぐ操作をしなかったドライバーの責任が問われるのか?道路状況を検知したり、それに対処しなかった自動車のメーカーが責任を問われるのか?両方だとしたら、責任の割合はどうすべきか?

もし、通常の自動車だった場合、ドライバーに対する訴訟は、その人の行動が適切な注意義務基準に達していなかったことを証明できるかどうかにかかってくる。ハンドルから手を放していたなら、通常の自動車では過失行動とされることが多い。スマートフォンでメッセージを送っていて注意散漫になっていた場合もおそらく同じだ。しかし、自律走行車の自動運転機能は、本来の性質上、ドライバーが運転に注意を払わなくても、また運転に関わる必要性をなくすためのものだ。となれば、上記のような状況で、私たちは運転を引き継がなかったドライバーの責任を追及できるのだろうか?

従来型の自動車のメーカーも、法的責任はシステムや部品に欠陥がなかったかにかかってくる。状態のいい従来型の自動車で、サスペンションにもブレーキにもハンドルにも欠陥がなければ、上記のシナリオでも、メーカーが責任を問われることはまずないだろう。一方、人間の運転が優先される自律走行車のメーカーは、少なくとも責任の一部をドライバーに負わせようと試みる知れないが、そんなことを社会が許すだろうか?許すべきだろうか?ドライバーは、合理的な範囲で自律走行者に依存していたと主張するだろう。しかし、ドライバーの目には危険が目に見えていて、事故を防ぐための介入ができにも関わらず、メーカーが責任を負うべきなのだろうか?

その車が完全に自動化されていて、人間の介入が不可能であった場合は、結果は違ってくる。しかし、そんな車が現れるのは何年も先のことだ。

そうした自律走行者が市場に登場したとき、予期せず遭遇した滑りやすい路面を検知またはそれに対する補正に失敗したときは「欠陥車」とされるのか?または「欠陥車」と見なすべきなのか?もしそうなら、単に故障が発生したから欠陥車とされるのか、それとも、AIソフトウエアにエラーがあることを誰かが証明して見せなければならないのか?AIアルゴリズムは自身で進化することができ、膨大な距離と時間を費やして得たトレーニングデータに依存していることを考えると、どうしたらソフトウエアの中の「欠陥」を証明できるのだろうか?事故を起こした時点のアルゴリズムがオリジナルから大きくかけ離れていた場合、そしてその変化がAIアルゴリズムが自分で「教育」した結果であった場合、そのプログラマーやソフトウエアの提供業者に責任を負わせることが公正なのだろうか?

もうひとつの問題は「集団意識」だ。AIが学習する方法のひとつに、接続された他の複数のAIの集団的な体験を利用するものがある。これは、一時期Teslaが使用していた方法だ。もし、他のAIの誤ったデータがアップロードされ、それが事故に大きく関わっていたとしたら、どうだろう?

こうした問題の観点からすると、そして技術がますます人間の関与を減らす方向で発達すれば製造者責任の法理論を強化するよう法律も変化することになるだろう。おそらく、製造者責任は過失よりも厳しくなる。将来の自律走行車の価格が、研究開発と部品のコストだけでなく、事故のコストをカバーする「保険」を含めて決められるようになるとしても、突飛な話ではない。こうした進化は、人間のドライバーの役割が減るのに合わせて起こっていくだろう。しかし、自動車メーカーのAIシステムの学習プロセスを完全にコントロールする能力や、ましてや運転環境が同時に進化することはないだろう。

少なくとも、ある程度の人間の介在を必要とする移行期においては、責任に関する自動車メーカーの意見は分かれる。ボルボなどの一部のメーカーは、自動運転モードの最中に発生した事故に関しては全責任を負うと宣言している。しかし、テスラを始めとする他のメーカーは、ドライバーが若干の関与を要求される状況で発生した事故においては、たとえ自動運転モードであっても、ドライバーに責任を負わせようとしている。

例えば、かつてテスラでは、自律走行モードで他の車を追い越す機能を有効にするには、方向指示器を点灯させなければならなかった(テスラの新型車ではこの操作が不要になった)。ドライバーにこの操作を行わせる仕組みは、一見、大したことではないように感じられるが、そこには自動車メーカーが法的責任をドライバーに転嫁する意図がある。簡単な操作だが、車に追い越しを指示するだけでなく、その追い越しは安全に行えるという自らの判断によるものであり、その結果の如何に関わらず責任を負う、または負わなければいけないと、ドライバーに示唆するものでもある。

その基礎となる技術は、責任の所在を追求しようとすれば、さらなる複雑性を突きつけてくる。これまで暗に示してきたように、「機械学習」として特徴付けられるAIの側面は、無数の多様な入力データをもとに開発されていて、その振る舞いは多かれ少なかれ「ブラックボックス」化されている。厳格な数学的アルゴリズムと思われるため、本当に理解することは難しい。

言い換えるなら、私たちには、機械がどのように判断をしてその行動をとったのかを正確に知る手立てがないのかも知れないということだ。その場合、AIボックスが間違ったトレーニングを受けた、または現実の運転ではなくシミュレーター上で「訓練」されていたとしたら、AIボックスが極限的状況での対処を誤って事故につながった責任は、シミュレーターの開発者に負わされることにならないか?

AIのプログラミングやトレーニングの倫理の問題はどうだろう。最近の研究で、歩行者が有色人種だった場合、現在のAIシステムが彼らを認識できる能力は20パーセント低下することがわかった。これは、AIのトレーニングが多様性を踏まえていなかったためだ。他に説明があるだろうか?MITによる最近の調査では、衝突が避けられない極限状況において人の命を犠牲にするかどうかではなく、どの人の命を犠牲にするかの選択を迫られたとき、人は救うべき命をその上下関係で決めていることがわかった。この調査に参加した人たちは、動物よりも人の命を優先させるべきだと話している。少数の命よりも、大勢の命を救うべきであり、老人を犠牲にして若者を救うべきだと考えている。

興味深いことに、ベビーカーを押して交通法規を守って歩いている人を尊重するべきだとも考えられている。結論として、こうした倫理感に基づいて自律走行車がプログラムされた場合、交通の激しい道路をひとりで乱横断している人は自律走行者に跳ねられる確率が格段に高くなるということだ。この調査の道徳的序列では、猫、犬、犯罪者が保護対象としての最下層に位置する。だが、その人が犯罪者かそうでないかを車が判断できるのだろうか?刑務所の情報をリアルタイムで入手するのか?また、動物愛護活動家のハッカーが車のプログラムを、人より動物を尊重するように書き換えてしまったらどうなるのだろう?

MITのこの調査が信頼できるとすれば、こうした序列の意識や変動性が現に存在していることになる。それは、人間の潜在意識にしまい込まれているだけだ。機械の中ではない。次に道路を渡るとき、このことを考えてみてほしい。

【編集部注】
著者のLucas Dahlinは、Goodwin知的財産グループのアソシエート。複雑な知的財産問題を専門に取り扱い、特許と企業秘密に関する訴訟に豊富な経験を持つ。

Julius Jeffersonは、Goodwin知的財産訴訟グループのアソシエート。Goodwinに加わる以前は、デラウェア地区とテキサス西地区で判事の書記を務めていた。ロースクールに入学する以前は、Wyeth Pharmaceuticals(現Pfizer)の研究フェローとしてアルツハイマー病の治療法を研究していた。

Darryl M. Wooは、Goodwin知的財産訴訟グループの共同経営者。以前は法廷弁護士として特許訴訟やその他の複雑な技術関係の訴訟を専門に扱っていた。

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(翻訳:金井哲夫)

Uberが2018年に自動運転とeVTOLの開発に使った費用は512億円

4月11日にUberが提出したIPO趣意書によると、同社は昨年、自動運転、空飛ぶ車(eVTOLとして知られる)、その他の「テクノロジー・プログラム」の研究開発に4億5700万ドル(約512億円)を費やし、未来的なテクノロジー(まだしばらくは人間のドライバーに頼ることが予想されるが)に今後も集中的に投資を続ける。

UberのR&D費用は、自動運転車両部門であるUber ATGで発生している。同部門内のeVTOL部署Uber Elevateと他の関連するテクノロジーで、R&Dコスト全体の3分の1を占める。Uberの2018年のR&D費用は15億ドル超だった。

Uberは木曜日にS-1書類を提出したが、そこには来月株式公開する同社の基本的な考え方が示されている。この書類提出は、競争相手のLyftが上場デビューしてから1カ月もたたずに行われた。Uberはニューヨーク証券取引所にティッカーシンボル「UBER」で登場する見込みだが、公開価格はまだ明らかにされていない。

長期的にみて自動運転車両(AV)は株式公開の重要な部分を担うとUberは確信している。すなわち、AVは安全性を高め、乗車体験をより効率的なものにし、顧客が払う運賃を下げると考えている。

しかしUberは、どのように、そしていつ自動運転車両を展開するのかについてはIPO趣意書では慎重なトーンで記している。前CEOのTravis Kalanick(トラヴィス・カラニック)がAVを同社事業が抱えているリスクと呼んだ、Uber ATGの初期とは大きな差だ。

Uberは、「ハイブリッド・オートノミー」の長い期間があり、当面同社の主要事業は人間のドライバーに頼り続けるだろう」と主張している。たとえ、自動運転タクシーが展開されても「現在の交通、複雑なルート、異常な気象条件を含む」状況に対応するために人間のドライバーがまだ必要だ、としている。人間のドライバーはまた「十分に利用できる状態で、フル自動運転となっている車両が対応しきれない」コンサートやスポーツイベント、その他のかなりの需要を伴うイベントで必要とされるだろう、とUberはS-1書類に書いている。

以下にS-1書類からの抜粋を示す。

来るべき自動運転車の将来に向けては、ハイブリッド・オートノミーの長い期間があり、その期間中、自動運転車両は特異な利用ケースで徐々に展開される一方で、ドライバーが消費者の需要の大半に対応し続けると考えている。特異な自動運転車両の利用ケースを解決してから、我々は実際に自動運転車両を展開する。

Uberは、ハイブリッドオートノミーは人間のドライバーと自動運転車両が共にプラットフォームにあるというやや奇妙な過渡期のバランスを取るのに最適だ、と主張している。

「ゆえにドライバーは必須で、他社にはないアドバンテージであり、長期的に我々の大事なパートナーであり続ける」と書いている。

Uberの予想や控えめなトーンにかかわらず、同社は自動運転車両を前に進めている。

Uber ATGは2015年にピッツバーグでCarnegie RoboticsとCarnegie Mellon Universityからの研究者わずか40人で設立された。しかし今日ではUberATGはピッツバーグに加え、サンフランシスコ、トロントにもオフィスを構え、1000人超の従業員を抱える。

UberはS-1のリスク要因セクションに、自動運転車両テクノロジーの開発や商業展開ができないかもしれない、または競争に敗れるかもしれず配車・配達事業を脅かすかもしれない、としたためている。

自社にとっての最大の脅威についてのUberの見方は特に興味深い。Uberは競合する可能性のある12社近くの名前を挙げた。そこにはWaymoやGM Cruise、Zooxといったお馴染みの企業から、May MobilityやAnthony Levandowskiの新会社Prontio.ai.など、あまり知られていないスタートアップも含まれている。そのほかS-1に名前が挙がっているのは、Tesla、Apple、Aptiv、Aurora、Nuroだ。Fordの子会社Argo AIはリストにはない。

ATGはこれまでに250台以上の自動運転車を製造し、Volvo、トヨタ、Daimlerの3社と提携している。これは、UberのAVに対する複数の戦略を示している。

UberはVolvoと最初の契約を結んだ。2016年8月に発表された合意では、UberはVolvoの車両を所有し、そこにAVテックを搭載して、自社ネットワークで展開する計画だ。

Daimlerとの提携はまったく正反対だ。2017年1月に発表されたこの提携では、Daimlerは同社のAV車両をUberのネットワークに提供することになっている。これはLyftのAptivとの提携に似ている。

最後にトヨタだ。2018年8月に発表された比較的新しいこの提携はVolvo、そしてDaimlerのケースを合わせたようなものだ。Uberは、自社のAVテクノロジーをそれ用につくられるトヨタ車に統合してネットワークで展開することを想定している、と話している。

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(翻訳:Mizoguchi)

世界初のAIと測位による自動運転デモの成功を英国Wayveが主張

Google(グーグル)のWaymo、Uber、Cruise、Auroraは交通ルールに基づき、すべてのケースに対応するシステムをあらかじめ組み込み、たくさんのセンサーから得られるデータによる自動運転を実現しようとしている。これは非常に秩序立った環境では上手くいくが、現実のように刻々と状況が変わる環境に柔軟に対応することができない。

一方でマンパワーや設備の限られているスタートアップは、AI(人工知能)による問題解決を試みている。英国ベースのスタートアップ「Wayve」もそのうちの1社で、とうとう世界初のマシンラーニングを活用した自動運転のデモに成功したと主張しているのだ。

Wayveのシステムは、マシンラーニングにて一度もトレーニングしたことがない道を走ることができ、さらに高解像度マップも必要としない。これは、Waymoとの大きな違いだ。なお、テスト車両には2019 ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したジャガーの「 I-PACE SUV」を利用している。奇しくも、これはWaymoと一緒だ。

Wayveの創業者かつCTOを務めるAlex Kendall氏はTechCrunchに対し、「我々の車両はマシンラーニングのデータから運転を学習する。また、必要な場合には適時ドライバーが運転を取って代わり、これによりさらに学習が進められる。運転方法を教わるのではなく、人のように経験や具体例、フィードバックから学習するのだ。これは今日の他社のアプローチよりも安全かつ効率的だ」と述べている。

Wayveはケンブリッジ大学と共同で、英国の公道にて広域なテストをすでに実施している。

Kendall氏「他社によるアプローチは、高解像度マップや高価なセンサー、あらかじめ組み込んだルールによって、車を制御するというものだ。しかし我々はエンドツーエンドなマシンラーニングを採用した。これにより、世界初の公道での走行を可能にしたのだ。他社に比べ、コンピュターやセンサーの費用は10%以下しかかかっていない」

下の動画は、英国のケンブリッジにてWayveの車両が走行する模様だ。衛星ナビによるルートマップとベーシックなカメラだけで、未知の道を走行している。

「我々は運転の仕方について、あらかじめルールを組み込むことはしない。すべてはエンドツーエンドのマシンラーニングによる、データからの学習を利用する。これにより、未知の細くて複雑なヨーロッパの路地も走行できる」

「我々のシステムは車両の緯度と経度(ハンドル操作とアクセル操作)から、エンドツーエンドのマシンラーニングにより学習する。車両コントロールに最も必要な入力データを学習することで、より効率化が進むのだ。実際に、システムは一般的なラップトップで動作している。これによりセンサーやコンピューターの費用を10%以下にまで大幅に削減しているのだ」

おそらく英国のスタートアップが自動運転業界における大幅な進展を遂げたことは、今後確認されることだろう。なお、Wayveの出資者としてはUberでチーフサイエンティストを務めるZoubin Ghahramani教授の名前のみがあげられている。

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(文/塚本直樹 Twitter

Waymoは自動運転車両のさらなる路上投入を着々と準備中

Waymoはフェニックスエリアに、新たにテクニカルセンターを設ける。自動運転車両テクノロジースタートアップであるWaymoは商業車両を増やす準備を進めていて、新センター開所で同エリアでの収容能力が倍になる見込みだ。

85000平方フィートある新センターはメサに設けられ、今年後半に開所する予定となっている。フェニックス郊外チャンドラーにすでにある6万平方フィートの施設はそのまま残る。

前身はGoogleの自動運転プロジェクトで、スピンアウトしてAlphabet傘下企業となったWaymo2016年にアリゾナ州チャンドラーに初の施設を開所した。以来、Waymoはテストを強化し、アーリー・ライダープログラムを立ち上げ、そして商業展開へ向けて徐々に歩を進めてきた。20174月に始まったアーリー・ライダープログラムの参加者は、Waymoが最後に公開した数字では400人となっている。

昨年12月、Waymoは商業の自動運転車サービスとアプリのWaymo Oneの提供を開始した。このサービスはまだ広範で利用できるわけではなく、Waymoの訓練を受けたドライバーがまだ運転席に乗り込んでいる(Waymoはドライバーなしの車両をフェニックスの公道で走らせている)。

今回の新センター設置の発表は、おおよそ600平方マイルというフェニックスの広がりつつある中心地の大方をカバーするという最初の計画にWaymoがまだ取り組んでいることの表れだ。Waymoは最近ではチャンドラー、テンペ、ギルバート、メサで車両を展開している。これは、その地域の住人が今後、公道でさらに多くのWaymoの自動運転車両を目にすることを意味する。そうした体験は、一部の人にとってはすごく嬉しいものではなかったようだ(自動運転車両に腹を立てて過激な報復行動をとったという件がいくつか報告されている)。

Waymoが全世界で抱える車両は約600台で、その大半がフェニックスエリアにある。Waymoによると、新たなテクニカルセンターは2つめの派遣センターとしての役割を担い、車両のメンテナンスや清掃なども行う。

このセンター開所は、Waymoが今後数カ月内にさらに雇用することを意味する。Waymoが火曜日のブログで記したように、フェニックスでの運用拡大は今回が初めてではない。Waymoは昨年、チャンドラーのフルサービスセンターを6万平方メートルに拡張した。この施設は車両技術や車両派遣、乗客サポートなどを含む運営・サポートチームを抱えている。

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(翻訳:Mizoguchi)

Uberの自動運転車部門は月に22億円超を費やしていた

IPOの準備段階で、Uberの巨額の支出と巨大な野心の詳細が、裁判所への提出書類から明らかになった。

先週公開された裁判所の文書によれば、Uberは今年、路上に7万5000台の自動運転車を配備し、2022年までには13都市で無人タクシーサービスを運用する予定だったという。この野心的な目標を達成するために、今年後半に公開を予定している同社は、自動運転技術の開発に毎月2000万ドル(約22.3億円)を費やしていた。

2016年に遡るその数字が描き出すものは、その大胆すぎる自動運転の目標を必死で追い求め、そのためにはたとえ無謀であろうとも糸目をつけず支出を行う企業の姿である。Uberが今年後半のIPOを準備する中で、この新たに明かされた詳細は、同社がいまでも、創業者のトラビス・カラニック氏が提唱していた、Uberが未来に「生き残る」ため技術の開発を続けているという、困惑するような事実を思い出させるものかもしれない。

このレポートは昨年のWaymo(ウェイモ)との間の、特許及び企業秘密に係る窃盗訴訟のためにUber向けに書かれたものだ。この訴訟でWaymoは、元Googleの技術者だったアンソニー・レバンドウスキー氏が同社を辞めてトラックのスタートアップOtto(オット)を起業した際に、Googleの技術的な秘密を持ち出したと訴えた。Uberは2016年にOttoを買収している。Uberは、Waymoが被った経済的損害額に対するWaymo自身の18億5000万ドルという莫大な評価に対して疑問を投げかけるために、専門家の立場の証人として、レポートの著者であるウォルター・ブラティック氏を雇った。ブラティック氏のレポートは、Waymoの企業秘密と言われているものを独自に開発するためのコストは、60万5000ドルだと報告している。

Waymoは最終的にUberの株式の0.34%を受け取ることになった。これは最近の同社の評価額である900億ドルが正確であるなら、IPO後には3億ドル前後に相当するものとなる。

ブラティック氏のレポートは内部の詳細な分析を行い、Uberが2016年に行っていたProject Rubicon(プロジェクトルビコン)というコードネームのプロジェクトについて報告している。その年の1月のプレゼンテーションでは、2018年には無人車によってUberは利益を得ることができると予測していたが、それが2016年5月になると、Uberは2019年までには1万3000台の自動運転車を所有することになるだろうとしていた。そのたった4カ月後、その見積もりは7万5000台へと急増した。

現在のUberの自動運転技術の責任者であるエリック・メイホーファー氏は、Uberが2022年までに数十の都市に数万台の自動運転車を投入するという当初の想定は「非常に憶測的」な「仮定と見積もり」によるものだったと証言した。メイホーファー氏はそれ以外の数字の開示を拒否したが、以下のように語った「13カ所以上の都市を考慮する多くのシナリオを検討していた筈です。他のシナリオでは200、あるいは100もしくは300カ所の仮定をしていたかもしれません。それは目標を達成するためのパラメータを理解するために、回してみる必要のあったツマミ群なのです」。

当時Uberの自動運転車を担当していたエンジニアであるジョン・ベアーズ氏によって設定された、1つの具体的目標は、2020年までに人間のセーフティドライバーを不要にできるようにすることだった。同社の技術者たちは、Ottoとレバンドウスキー氏を獲得することでその進捗が劇的に進むと確信していたようだ。

「ある時点で、ジョン・ベアーズ氏と(元Googleのエンジニアである)ブライアン・マックレドン氏は、そのことで(自動運転車の開発が)12から24カ月早まると見積もったのです」と証言しているのは、Uber社の開発マネージャーの1人だ。

新たに開示された、2016年1月のレバンドウスキー氏とのミーティング議事録によれば、ベアーズ氏は単にレバンドウスキー氏と話すだけでも数億ドル分の価値があると考えていた:「彼は何を行うべきで、何を行うべきではないかについての、洗練されたアドバイスを提供してくれるでしょう。彼と1日過ごすことで私たちのチームは2020年に向けて何カ月もの節約をすることができるでしょう(1カ月==2000万ドルの支出)」。

TechCrunchの試算によれば、もしUberが2015年の初頭に始めたその自動運転プログラムに対して月々2000万ドルの経費をつぎ込み、そしてOttoの買収に2億ドルを使ったとすれば、Uberは自動運転車の研究に9億ドル(100億円)以上を使った可能性がある。対照的に、Waymoは2009年から2015年末までに、独自の自動運転車に対して11億ドルをつぎ込み、現在は毎年10億ドルを支出している可能性がある。

しかし、OttoとUberの新婚旅行の期間は短いものだった。訴訟の宣誓の中で、ベアーズ氏は、Ottoの買収によりUberの自動運転車への取り組みが進むとの期待は「2016年1月初頭から3週間から4週間」続いただけだったと述べた。2016年8月までには、彼の証言によれば、実際には後退であることが判明した:「私たちはそれを活かすことができませんでした。アンソニー氏の管理と指導が結果としてもたらしたのは私たちのスタッフに対する管理上の混乱でした」。

ブラティック氏のレポートには、Uberが自動運転車に投入していたスタッフの数が詳細に書かれている。2017年6月におけるUberのハードウェア部門の人数は155人であり、ソフトウェアには405人が取り組んでいたという。それよりも2カ月前に出た別のUberのレポートには、それよりも2倍多い1500人が自動運転ユニットで働いていると書かれている。とはいえこの数にはおそらくUberのテスト運用チームと車両操作担当者も含まれているのだろう。

今回新たに開示された文書では、Uberが行ったとされるWaymoの企業秘密の不正利用で、Uberは自動運転のテクノロジーを3年10カ月以上加速することができた、とWaymoが主張していたことも明らかにされた。

「これが意味することは、2022年までに13都市での商用運行を行うとするUberの想定を考慮すると、Uberは13都市での自動運転技術そのものの商用化の準備が2018年までには整っていなければならなかったということである」とブラティック氏は書いている。もちろんこれは実現していない。実際昨年3月のアリゾナ州テンペでの死亡事故の後、Uberはようやく最近になって、数少ない自動運転車を使う公道上のテストを再開したところだ。

Uberは2018年の第4四半期に8億6500万ドルの純損失を計上したが、これまで利益を挙げたことは一度もない。

画像クレジット: Uber

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(翻訳:sako)

フォードの自動運転車両プログラム、5番目の都市はオースティン

開発に詳しい情報筋によると、Ford(フォード)は2021年に自動運転タクシーと配達サービスを立ち上げるのを前にテストをさらに進めるため、オースティンでの自律走行車両プログラムを開始する準備をしている。

オースティンを拠点とする自律走行車両「マーケットスペシャリスト」の新たな求人が、その情報を裏付けている。このテストプログラムはすでに、デトロイト、マイアミ、ピッツバーグ、ワシントンD.C.で展開されていて、オースティンは5番目の都市となる。

Fordはオースティンが次の展開都市となることを肯定もしなければ否定もしなかった。

「我々が自動運転テクノロジーと事業試験の拡張を計画している次の都市は予定通り年末までに発表する。適切な時期により詳しい情報を提供する」とFordの広報は電子メールで述べた。

オースティンでの「自律走行車両マーケットスペシャリスト」の求人情報は以下の通りだ。

我々の成長中の自律走行車両(AV)事業チームに加わってくれる優れた人材を募集している。AVはFordの未来にとって重要な分野で、今後大きな成長を見込んでいる。クリティカル・シンキング、問題解決能力、そして自主性や連結性、モビリティ、分析、顧客体験においてFordをリーダーにするような戦略的決断をするのをサポートするような姿勢を備えている人が求められる。

Fordは米国で自律走行車両パイロットを立ち上げた他の企業とは少し異なっていて、2021年の商業展開の前にゆくゆくは連結される2本の路線を追求している。同社はAVビジネスモデルがどのようなものになるかテストする一方で、それとは別に自律走行車両テクノロジーを開発している。

Fordが2017年に10億ドル投資したピッツバーグ拠点のArgo AIはバーチャルドライバーシステムと、Fordの自動運転車両のための高解像度地図を開発中だ。一方、FordはWalmart(ウォルマート)Domino’s(ドミノ)、Postmates、そしていくつかの地元事業所といったパートナーとのパイロットプログラムを通じて市場開拓戦略を練っている。

Fordはこれまでの都市と同様の展開プランを始めることが予想される。Argo AIは最初にその都市の地図をつくるために自社のAV車両を使用する。一方、Fordはさまざまなビジネスケース(その多くはこれまでのケースでいえば地元の企業を巻き込むものだった)を試すために研究車両を使用する。

Fordはまた、自律走行車両テストプログラムを展開する各都市にターミナルを開設する。これらのターミナル、または営業センターはAVテスト車両が保管される場所になる。そしてメンテナンス施設とデータセンターとしての役割も果たす。

過去において、Fordはターミナルが完成する前に地図作成とテストを開始したことがある。テストを開始する少し前に自律走行車両営業ターミナルをまず完成させようとFordが試みるというのはありえることだ。

Fordはこのところ自律走行車両プログラムを強化していて、自律走行車両事業の構築に特化するために昨年創設されたLLCのもと、2023年までに40億ドルをつぎ込む計画だ。

Ford Autonomous Vehiclesは同社の自動運転システム統合、自律走行車両研究と高度なエンジニアリング、AV輸送サービスネットワーク開発、ユーザー使用体験、事業戦略、ビジネス開発のチームを抱える。40億ドルの予算の用途にはスタートアップArgo AIへの10億ドルの投資も含まれる。

LLCは、デトロイトにあるFordのCorktownキャンパスを主に拠点とし、Fordが持つArgo AIの株式を今後保有することになる。

イメージクレジット: Ford Motor

原文へ 翻訳:Mizoguchi)

Uberが自動運転ビジネス強化のためソフトバンクなどから約1100億円を調達か

Uberが新しい資金調達ラウンドの実施を検討しているみたいだ。The Wall Street Journalが3月13日(現地時間)に伝えたところによると、同社は10億ドル(約1100億円)の資金を調達するためにソフトバンクのビジョン・ファンドなどを含む投資家との協議を重ねているという。今回の資金調達は同社の自動運転部門に対して実施され、その評価額は50億ドルから100億ドルになると見られている。

WSJによれば、この資金調達ラウンドは早ければ来月にもクローズするという。Uberは2018年にIPOに向けた申請を行っており、それを考えるとIPOと今回の資金調達ラウンドの時期は重なることになる。

Uberはこれまでに、デットとエクイティを含めて約200億ドルを調達済み。現在のバリュエーションは約700億ドルにのぼる。

[原文]

(この記事は米国TechCrunchの記事を翻訳・編集したものです)

4.5km区間を自動運転バスが走る、名鉄が公道における実証実験開始

愛知県で自動運転バスの実証実験が始まる。愛知県内を中心に鉄道・バス網を持つ名古屋鉄道および名鉄バスは、群馬大学と共同で自動運転バスの実証実験を行うと発表した。4月8日から12日までの間で実施される。公道におけるバスの実証実験は、愛知県内ではこれが初となる。

自動運転バスの運行は、群馬大学などが所有する自動運転車(日野自動車製の「日野ポンチョ」をベースにした車両)や自動運転管制システムを利用する。自動運転の最中はテストドライバーが運転席に座り、安全な運行に支障をきたす場合は手動で運転する。

自動運転バスは尾張旭市にある名鉄尾張旭駅から、お隣の長久手市にある愛知医科大学病院を結ぶ4.5キロメートルの区間で運用される。ルートの中間地点にある大きな交差点は下の画像のような道路状況だ。

僕は偶然にも愛知県出身でこの道路もよく利用していたのでイメージをお伝えすると、運行エリアは都心部から離れているので道も広く走りやすいが、周辺は鉄道網が少なく交通量はピーク時には結構多くなる。同バスはその区間を9時30分から16時30分までの間で1日5往復する予定だ。

群馬大学は2016年12月に「次世代モビリティ社会実装研究センター」を設置し、企業や自治体と協働することで地域に根ざした自動運転サービスの創出を目指している。これまでには前橋市と共同で今回同様の実証実験を実施した。今後もこのような活動を続けていくことで、2020年には「技術的にも社会的にも自動運転に対応していく社会の実現、完全自動運転/無人自動運転移動サービス(レベル4)をはじめとする次世代モビリティの社会実装」を目指していくという。

全国初、愛知県で国産完全自動運転車を使った試験運用がまもなくスタート

ティアフォーは2月19日、4人乗りの完全自動運転EVなどを使ったモビリティサービス「One Mile Mobility」(OMM)の試験運用を開始する。対象地域は愛知県で、2019年春頃より開始。アイサンテクノロジーと岡谷鋼機と共同で実施し、自治体と一体となった新たなビジネスモデルの創出を目指すという。

ティアフォーは今回の試験運用に、完全自動運転EVの「Milee」(マイリー)と、そのモビリティサービス用ウェブプラットフォーム「Web.Auto)」(ウェブ・ドット・オート)を提供する。Mileeは、電動ゴルフカートをベースとし、車体に3次元レーザースキャナ(LiDAR)と単眼カメラを搭載。認知・判断・操作のすべてをオープンソースの完全自動運転ソフト「Autoware」で自動化した車両だ。

Web.Autoは、同社が開発を手がけるウェブプラットフォーム。配車管理や遠隔操縦のほか、3次元地図配信、人工知能(AI)のオンライン学習、走行データ管理、サポートセンター接続といった完全自動運転車両の運行に必要なウェブサービス機能が備わっている。MileeとWeb.Autoはモバイル回線を利用して接続する。

今回の試験運用では、Web.Autoが備える、配車管理(Autoware FM)、遠隔操縦(Autoware Drive)、3次元地図配信(Autoware Maps)を利用。Autoware FMSは、バス停やモバイル端末にインストールされたアプリからの配車依頼に対して完全自動運転車両の配車管理をする技術。Autoware Mapsは、Autoware FMSと連動して完全自動運転車両が必要とする経路探索と3次元地図配信する技術。Autoware Driveは、完全自動運転車両が走行不可能になるといった万一の場合に、モバイル通信を利用して車両を遠隔制御する技術だ。

本サービス開始に先立ち、2月下旬から3月にかけて愛知県長久手市にある「モリコロパーク」にて公園管理の道路を利用した試験運用を実施する。試験運用の後半には来園者の試乗も計画しており、専用アプリを使って走行ルート内でMileeを呼び出す、実験用に設置された模擬のバス停に移動するといった操作を体験できる。

同社によると、国産の完全自動運転車両とウェブプラットフォームが一体となってパッケージ化されたモビリティサービスの導入は全国初とのこと。

国内でも各社がさまざまな自動運転技術を開発中だが、法整備だけでなく道幅が狭く複数の路線が複雑に入り組んでいる大都市部での完全自動運転はもう少し先の話。今回の試験運用は、空港やゴルフ場など、バス専用道路など一般道以外での完全自動運転の実現にかなり近づくのではないか。

ソフトバンク、自動運転配達のnuroに9.4億ドルを資金提供

自動運転配達のスタートアップNuroが、9.4億ドルの資金をSoftBank Vision Fundから調達した。驚きの金額は同社の配送サービスの拡大、新規パートナー獲得、人材強化、自動運転ロボットの規模拡大などに使われる。

NuroはSoftBank、Greylock Partners、およびGaorong Capitalから合計10億ドル以上を調達している。

「われわれは過去2年半の期間に素晴らしいチームを結成し、最初の無人サービスをスタートし、素晴らしいパートナーたちと共にわれわれの日常生活を根本的に改善するテクノロジーを開発してきた」とNuroの共同ファウンダー、Dave Fergusonが声明で語った。「この提携によって、地域商業に関するわれわれのビジョン実現を次のステップに進め、われわれのテクノロジーを広く応用する機会を得ることができる」

Nuroは、自動運転システムを開発し、これを地元商品のラストワンマイル配達のために設計されたカスタム無人自動車と組み合わせてきた。配達車には車室が2つありレジ袋が最大6個ずつ入る。

「Nuroのワールドクラスのチームは、自動運転技術を実験室から路上へとスケールアップすることに成功した」とSoftBank Investment Adviserのパートナー、Michael Ronenが声明で語った。「わずか2年の間にDaveとJiajunらのチームは、ロボットを小売店や顧客とつなぐことによって、Nuroをコンセプトから真のビジネスへと発展させた」

2018年同社はKrogerと提携してアリゾナ州で配達サービスのパイロットテストを行った。テスト車には当初Toyota Priusが使われていたが、昨年12月には配達専用ロボット置き換えられた。R1と呼ばれる無人運転車は、アリゾナ州フェニックスに隣接するスコッツデールの郊外で非常用ドライバーなしの自動運転サービスを運行している。

今はこの自動配達サービスが注目を集めているが、Nuroが同社の自動運転技術を、無人トラック運送のスタートアップ、Ikeにライセンスしたことも注目に値する。

IkeはNuroのシステムのコピーを利用しており、今回のラウンドに基づくとその価値は数十億ドルと思われる。NuroはIkeの少数株を保有している。

先週Ikeは自身の5200万ドルの調達ラウンドを発表したが、Nuroとの継続的な技術関係はない。以前Ikeのファウンダー・CEO Aleden Woodrowは、このコピーは(完全に派生した互換性のない)「ハードフォーク」だと説明した。

このライセンス契約は、Nuroの経営陣がビジネスの多様化を望んでいることの現れだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook