ヒューマンエラーによるサイバーセキュリティ問題を防ぐCybSafeが8.3億円調達

サイバーセキュリティのスタートアップCybSafeは、「behavioral security(行動のセキュリティ)」に関するプラットフォームを自称する。同社はこのほどIQ CapitalがリードするシリーズAの資金調達ラウンドで790万ドル(約8億3000万円)を調達した。これにはHanover Digital Investments(HDI))GmbHとB8 Venturesが参加している。CybSafeはこの資金で、エンタープライズとミッドマーケットのクライアントベースを広げる意向だ。CybSafeは、ユーザーごとのサブスクリプションライセンスモデルを備えたSaaS製品だ。

テクノロジー業界の多くの人が知っているように、セキュリティに対する大きな懸念はシステムよりも人だ。たとえば実際に英国のデータベース侵犯は、その90%がヒューマンエラーが原因だ。

CybSafeの「行動を指標とする」プラットフォームは、行動科学とデータ分析に基づいて行動関連のセキュリティリスクを管理し、個人別のサイバーサポートを提供する。同社には15カ国に350社の顧客があり、その中にはCredit SuisseやAir Canada、HSBC、NHS Trustsなども含まれる。

CybSafeは、サイバーレジリエンスとインテリジェンスのエキスパートであるOz Alashe MBE(オズ・アラシェ)MBEが2017年に創業した。英国陸軍特殊部隊の中佐だった彼は、英国軍パラシュート部隊と特殊部隊において初めての黒人将校だった。同社のチームには英国政府のサイバーセキュリティ専門家や行動科学者、データサイエンティストそしてソフトウェアエンジニアなどがいる。

画像クレジット:CybSafe

アラシェ氏によると、彼のプラットフォームはユーザーのセキュリティに対するスキルと習慣の向上を助ける。認定されているマイクロラーニングコンテンツと適応型サポート教材、そして個人化されているナゲット(一編が10分未満の短編教材)を使用する。アラシェ氏の説明によると、具体的な状況に即したジャストインタイムのオンデマンドコンテンツにより、ユーザーは自分が今必要としているヘルプを得ることができるという。現在このプラットフォームは、9つの言語に対応している。

CybSafeはモバイルアプリとウェブアプリケーションで提供され、「ひと口サイズ」のガイダンスやアラート、そして通知を出す。

CybSafeはKnowBe4やWombat Security、Infosecなどと競合するが、アラシェ氏によるとCybSafeの強みは、平均的人間のセキュリティ意識に対応することだという。「セキュリティ意識は死んでいる。その現状は効果も効率もない。CybSafeは行動科学とデータ分析を利用して、実際に効果のある、セキュリティのための行動への介入を提供する。それらの行動介入は、もっとも効果の高いもので90%以上の効果がある」とアラシェ氏はいう。

チームのメンバーのCTOであるJonathan Webster(ジョナサン・ウェブスター)氏は、かつて女王陛下に仕える政府のデジタルサービスにいた。また John Blythe(ジョン・ブライス)博士は、英国心理学会の王室御用達心理学者で、行動科学部会のトップだ。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:CybSafe資金調達

画像クレジット:CybSafe

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hiroshi Iwatani)

復活したGowallaがARソーシャルアプリのためにGVなどから4.2億円調達

復活したばかりのGowallaは、初期から抱いてきたモバイルの夢を拡張現実の世界で実現すべく、そのための新たな資金を調達した。

このARスタートアップがTechCrunchに語ったところによると、同社が調達したのは400万ドル(約4億2000万円)のシード資金で、GoogleのVC部門であるGVとSpark Capitalがラウンドをリードした。他にもNianticやUpside Partnership、Otherwise Fund、Capital Factory、Form Capital、加えてApril Underwood(エイプリル・アンダーウッド)氏、Leah Culver(リア・カルバー)氏、Jason Calacanis(ジェイソン・カラカニス)氏、John Lilly(ジョン・リリー)氏、Scott Belsky(スコット・ベルスキー)氏、Dennis Crowley(デニス・クローリー)氏、そしてOffline VenturesのDave Morin(デイブ・モーリン)氏、Brit Morin(ブリット・モーリン)氏といったエンジェルが投資を行った。

Gowallaは2009年にFoursquareの競合相手として創業し、初期には投資家たちの関心と期待を集めて、1000万ドル(約10億5000万円)あまりを調達したが、2年後には関心も冷め、チームはFacebookに300万ドル(約3億1000万円)で買収された。共同創業者のJosh Williams(ジョシュ・ウィリアムズ)氏は、アプリを新たな共同創業者であるPatrick Piemonte(パトリック・ピエモンテ)氏とともに復活させた。TechCrunchの取材に対して、新しい開発はTikTokのソーシャルな側面と、プラットフォームとしてのRobloxをヒントにし、ユーザーが周りの世界を拡張現実で「開けてみる」ようにしたい、と語っている。

同社が「Street Team」と呼ぶそのアプリは、今後バッチがプッシュされていくにつれて徐々に明らかになるのだろうが、現在のところ最終的にどのようなものになるかよくわからない。そのためみなさんにどこをオススメしてよいのかもわからないが、ウィリアムズ氏によると、初期のFoursquareに似た面もあるという。つまり、ユーザーには投稿したデータのクレジットや、特定のタスクを完了するとバッジ与えられるとのことだ。

Gowallaのアプリ「Street Team」のスクリーンショット(画像クレジット:Gowalla)

「私たちが自問しているのは、物語としてのタイムライン、現実世界の空間と同じものは何か、そして同じ遍在性を持つゲーム化された共有フォーマットをどうやって作るかということです」とウィリアムズ氏は語る。

Gowallaのチームは具体的な日程を明らかにしていないが、今後数カ月のうちに最終的なローンチについてさらなる情報を提供し、初夏にはベータ版を公開したいと考えている。

関連記事:位置情報を利用したソーシャルサービスGowallaがゲーム要素を採り入れたARソーシャルアプリとして復活

カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:Gowalla資金調達

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hiroshi Iwatani)

フードメディアの事業拡大のため仏ソーシャルネットワークChefclubが約17.8億円調達

フランスのスタートアップのChefclubは2021年1月第5週初め、First Bridge Venturesが主導する1700万ドル(約17億8000万円)の資金調達を行ったと発表した。キッチン家電メーカーのGroupe SEBのベンチャー部門であるSEB Alliance、Korelya Capital、Algaé Venturesもラウンドに参加している。

Chefclubは、ソーシャルメディアのプラットフォーム上で一大メディアブランドを構築してきた。資金力のあるメディアブランドであるTastemadeやTastyと並ぶ、巨大なオーディエンスを集めている。

Chefclubの詳細については、こちらの記事を参照してほしい。

Chefclubはセールス行動の分析における興味深い例だ。同社はYouTube、Snapchat、Instagram、TikTokで1億人のフォロワーを持つ巨大なグループのトップを担っている。そして全体では、毎月10億ビュー以上を生成する。

Chefclubはその視聴者を活用して、料理本をはじめとした新製品を生み出している。同社はこれまでに70万冊の本を販売してきた。これらの書籍は自費出版されているため、同社は収益のかなりの部分を確保できる。

最近ではカラフルな計量カップや調理器具、わかりやすいレシピが付属する子供向けの料理キットを発売しており、15万人が製品を購入した。

Chefclubはパートナーシップを通じて、店舗でブランドを展開したいと考えている。そのために、Groupe SEBが投資家として参加することは理に適っている。共同ブランドの商品はChefclubのアカウントでプロモーションを行うことで、その効果が高まることは想像に難くない。

最後に、Chefclubは消費者向けパッケージ商品という新しい市場への参入を計画している。食品が商材となることを除けば、その背景にある考え方は同じだ。同社がオンライン広告を会社の未来を表すものとは考えていない点は、興味深い。そして、それは現在の経済危機においてはスマートな決定のように思える。

関連記事:フードメディアのChefclubが月間10億オーガニックビューを達成した背景

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Chefclub資金調達

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(文:Romain Dillet、翻訳:塚本直樹 / Twitter

米中貿易戦争の中、サプライチェーンの多様化需要に応える香港のスタートアップICW

米国の輸入業者にとって、困難なものになってきている。それは最近のサプライヤー探しは新型コロナウイルス(COVID-19)による渡航制限だけが理由ではない。米国政府によるエンティティリスト指定や人権関連の制裁、中国企業を対象とした貿易ブラックリストもまた、米国のサプライチェーンを揺さぶっている。

そんな中、世界中の企業の調達先探しを容易にすることを狙うInternational Compliance Workshop(インターナショナル・コンプライアンス・ワークショップ、ICW)という名の若い企業が、新たな資金調達のラウンドを完了した。この香港を拠点とするスタートアップはシリーズAラウンドとして575万ドル(約6億円)を調達したばかりだ。これによって資金調達総額は約1000万ドル(約10億5000万円)になったと、共同創業者でCEOのGarry Lam氏(ギャリー・ラム)氏がTechCrunchに語った。

ICWは、サプライヤーとバイヤーをつなぐマッチメーカーのような役割を果たすが、Alibaba(アリババ)のB2Bプラットフォームや国際的なトレードショーのような既存のオプションとは異なり、コンプライアンス、製品品質および認証に関しても、ICWがサプライヤーを審査する。同社は4万社以上(現在はそのうち80%が中国国内にある)のサプライヤーのすべての情報を、成長を続けるデータベースに集積し、個別のニーズに基づいてバイヤーに推奨を行う。

2016年に設立されたICWの現在の顧客リストにはRalph Lauren(ラルフ・ローレン)、Prenatal Retail Group(プリネイトル・リテール・グループ)、Blokker(ブロッカー)、Kmart(Kマート)、そして名前は公開できないが米国の大手薬局チェーンといった世界最大級の小売業者が含まれている。

ICWの最新資金調達ラウンドはInfinity Ventures Partnersが主導し、Integrated Capitalや既存の投資家であるMindWorks Capital、香港政府による20億ドル(約2094億円)規模のInnovation and Technology Venture Fundが参加した。

サプライチェーンのシフト

米中貿易戦争や中国内の人件費高騰などを背景に、中国以外への調達シフトが進む中で、ICWでもサプライチェーンの多様化を図る顧客が増えている。しかし、短期的な移行には限界がある。

「たとえばBluetoothデバイスやモバイルバッテリーといった特定の製品カテゴリーのサプライヤーを他国で見つけるのは、まだ非常に困難です」とラム氏は語る。「しかし、衣料品や繊維に関しては、すでに10年前から移行が始まっています」。

中国の製造業の多くの部分を置き換えてきた東南アジアでは、それぞれの国がある程度の専門性を持っている。たとえばベトナムは木製家具のサプライヤーが多いのに対して、タイはプラスチック製品で知られており、マレーシアは医療用品の良いサプライヤーだ、とラム氏はいう。

人権関連の制裁など、より扱いにくいコンプライアンスに関しては、ICWは第三者認証機関に頼ってサプライヤーのスクリーニングと審査を行っている。

「サプライヤーが企業としての社会的責任を果たしているかどうかを検証するための、(一種の)基準があります【略】たとえば工場が労働法を満たしているかどうか、最低限の労働権を満たしているかどうかや、給料を支払っているかどうか、などのすべてです」とラム氏は説明した。

ICWはこの新しい資金をコンプライアンス管理システム、製品テストプラットフォーム、B2B調達サイトといった製品の開発に使う予定だ。

カテゴリー:その他
タグ:International Compliance Workshop資金調達香港サプライチェーン

画像クレジット:STR/AFP / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:sako)

細菌を生きたまま不純物から分離し濃縮させる技術を確立したAFIテクノロジーが資金調達

細菌を生きたまま不純物から分離し濃縮させる技術を確立したAFIテクノロジーが資金調達

フューチャーベンチャーキャピタル(FVC)は1月29日、同社運営のイノベーションC投資事業有限責任組合(イノベCファンド)より、細菌を生きたまま不純物から分離し濃縮させる技術を確立したAFIテクノロジーに出資したと発表した。

2013年5月設立のAFIテクノロジーは、細菌・微生物を生きたまま不純物から抽出できる技術を用いた機械を開発しており、この分離技術は食品製造業の衛生管理分野での活用が期待されているという。

従来の食品衛生管理は、食品製造工程で滅菌処理した後、細菌が本当にいないかどうか培養することで検査しているが、同社の技術により細菌を抽出しリアルタイムで観察可能となる。これにより細菌検査の正確性の向上と作業時間の大幅な短縮が期待できる。

日本では、2021年6月から食品業者にHACCAP(ハサップ)基準に合った製造・調理工程の衛生管理となるよう「最適化」「見える化」することが求められる。細菌検査の重要性が増す中、検査の正確・迅速性を向上させる同社の技術は食品衛生管理の一助になり食品の安全・安心につながるとしている。

細菌を生きたまま不純物から分離し濃縮させる技術を確立したAFIテクノロジーが資金調達

イノベCファンドは、シード~レイターステージのベンチャー企業を対象とする、2018年8月に京都信用金庫とFVCが共同で設立したファンド。京都信用金庫営業エリア内で独創的な技術、サービスやビジネスモデルで地域経済の活性化に資するベンチャー企業を出資対象とし、当該企業の成長および社会課題解決等の実現に寄与することを目的としている。本件のAFIテクノロジーへの出資により、イノベCファンドからの出資は、合計17社となった。

FVCは、京都に本社を置く独立系ベンチャーキャピタル(VC)。地域のベンチャー企業を支援するための「地方創生ファンド」と事業会社のオープンイノベーションを促進するための「CVCファンド」に取り組んでいる。また資金を投入するだけでなく、長期的な事業継続に向け、事業育成、人材育成、事業コンサルティングなどの支援を行っている。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:AFIテクノロジー資金調達(用語)フューチャーベンチャーキャピタルVC / ベンチャーキャピタル(用語)日本(国・地域)

スマホ利用の非接触型チェックインが可能な宿泊施設向けシステムを提供するCUICINが6000万円調達

スマホ利用の非接触型チェックインが可能な宿泊施設向けシステムを提供するCUICINが6000万円調達非接触型チェックイン機能をベースにした宿泊施設向けシステム「aiPass」(アイパス)を提供するCUICIN(クイッキン)は1月29日、プレシリーズAラウンドとして、第三者割当増資による総額6000万円の資金調達を発表した。引受先は、リードインベスターのサイバーエージェント・キャピタル(CAC)、エンジェル投資家の大冨智弘氏、他複数の投資家。シードラウンドを含め、累計資金調達総額は1億円となった。

今後さらに「業務効率化」「顧客体験の向上」を実現する機能開発とサポート体制の強化を進めていくことで、宿泊・観光業界のDXを早期に実現していく。

スマホ利用の非接触型チェックインが可能な宿泊施設向けシステムを提供するCUICINが6000万円調達

クイッキンは「Making trip better for everyone.」をミッションに掲げ、より良い旅行体験を作るために、HotelStyle OSとして「aiPass」を2020年11月に提供開始。宿泊業のDXに取り組んでいる。

aiPassは、業務効率化やホスピタリティ向上などのプラグイン機能によりカスタマイズすることで、施設のスタイルに合わせた理想のOSを実現できるという。

無料で導入できる非接触型のスマートチェックイン機能を採用しており、旅行者のスマホを使うため、安心で快適な滞在を提供できるとしている。

スマホ利用の非接触型チェックインが可能な宿泊施設向けシステムを提供するCUICINが6000万円調達

またプラグイン機能では、「マーケティング」「ホスピタリティ」「業務効率化」の3カテゴリーのプラグインを提供。組み合わせは自由自在で、PMS(ホテル・宿泊予約管理システム。Property Management System)などのホテルの基幹システムとしての利用も可能という。

スマホ利用の非接触型チェックインが可能な宿泊施設向けシステムを提供するCUICINが6000万円調達

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:CUICIN資金調達(用語)PMS / ホテル・宿泊予約管理システム日本(国・地域)

生物の授業にマインクラフトの創造性をもたらす仮想科学プラットフォームInspirit

Inspirit(インスピリット)の創設者Aditya Vishwanath(アディティヤ・ビシュワナート)氏は、Minecraft(マインクラフト)が持つ創造性を、世界の子どもたちの日々の学業に取り入れたいと考えた。

「生徒たちはTikTok(ティックトック)で育ち、高度にインタラクティブで、とてもおもしろいRoblox(ロブロックス)のゲームで遊んでいます」と彼は話す。「そんな彼らが教室に入ると、人による20分間の授業を聞くことになります」。こうした陳腐化を打開しようと、彼とその共同創設者Amrutha Vasan(アムルタ・バサン)氏はソリューションを組み立てた。

彼らの仮想科学プラットフォームでは、学生と教師が、DNAの複製から放物運動実験まで、STEM(科学、技術、工学、数学教育)のシミュレーションを構築し体験できる。プレイヤーに自分だけの世界を建設したいと意欲を搔き立てるMinecraftにならって、Inspiritも、自分専用の科学実験や学習の世界をローコードを使って作り出すよう背中を押す。この3Dプラットフォームのコア技術は、ゲームの編集やインタラクティブなコンテンツの制作に使われるゲームエンジンUnity(ユニティー)上に構築されている。

同スタートアップは、どうしたらユーザーが特定の素材に自然に惹きつけられるようになるかを探ろうと、制作を完全にコントロールするところから始めた。現在は、教師が月や真核細胞の探求といった既存のコースを土台にして授業を組み立てることができる。またそこには解説、簡単なテスト、ナレーションも追加できる。

同社は、当初からマイクロレッスンのアプローチを採用しているが、ビシュワナート氏は教育版Minecraft構築に大きな可能性を見ている。Inspiritの原動力となっているのは、人は人生のさまざまなステージにおいて、自分で管理できて心惹かれる学習方法で、学校で習ったことを補習したいと望む、という基本的な信念だ。

 

このツールは、実際にはまだ仮想現実(VR)技術を採り入れておらず、まずはハードウェアに依存しないシステムでプロダクトマーケットフィットを探り、最大のユーザーベースを築くことに注力している。現在はOculus Quest(オキュラス・クエスト)の統合を実験しているが、一般ユーザーが試せるオプションはまだない。

Inspiritは2020年9月に予約受付を開始し、現在はプライベートベータテストにK-12(幼稚園から高校卒業まで)のユーザー5万人が登録している。

ゲーム形式でVRを活用したアプローチは、学習をもっと魅力的に楽しいものにしようと、ずいぶん前からEdTech分野では用いられてきた。そのためまだ公式ローンチ前のInspiritには、数多くのライバルがある。潤沢な資金を有するコペンハーゲンのスタートアップLabster(ラブスター)は、2011年に創設され、理科の授業に代わる研究室シミュレーションを提供している。最近になってこのスタートアップはプラットフォームの利用が急増し、その研究室ソフトウェアをアジアに拡大した。ビシュワナート氏は、子どもたちをユーザーではなくクリエイターになるよう促す点でInspiritはLabsterとは違うと考えている。

EdTechとVRが融合したもう1つの最近の例に、従業員のスキルアップのために1200万ドル(約12億5000万円)を調達したTransfr(トランスファー)がある。TransfrはInspiritが展開している市場はまったく異なり、労働者をターゲットとしているのだが、やはりこの会社も、モジュールのライブラリー構築に予算を振り向け、カリキュラムの拡大を急いでいる。

Inspiritの最大の試練は、Mincraftのような自発性や魔法を本当に再現できるかだ。生徒たちは本当にそのプラットフォームで創造的な気持ちを搔き立てられるのか、さらに重要なこととして、生徒たちは何度も繰り返し戻ってくるのかだ。ここで考慮すべきは、学校教育の補習というInspiritの動態だ。現在はカリキュラムベースの教育に大きく重点を置いている。もし生徒がInspiritを学校の復習に使おうとするなら、可能性は完全に無限とはいえなくなる。それどころか義務教育の規則に足かせをはめられてしまう。

そこが、ゲームとインタラクティブなシミュレーションとを分ける一線だ。

「たとえ初歩の理科においてさえ、Inspiritを推進するのは教師ではないと信じる強い思いと理由が、私にはあります」とビシュワナート氏はいう。ある12歳の生徒がInspiritの既存のモジュールを使って「量子ファンネル」を作った例を、彼は挙げていた。

Inspirit共同創設者アムルタ・バサン氏とアディティヤ・ビシュワナート氏(画像クレジット: Inspirit)

さらに同スタートアップは、その効果や能率性を証明しなければ、倫理上、エンドユーザーに販売するわけにはいかない。難しい問題をわかりやすくするという点で、仮想現実に大きな可能性があるのは明白だ。しかし、その技術をときどきつまみ食いする程度では、効果は得られない。

長期的には、EdTechは単に消費するものから、創造するものへシフトしていくとビシュワナート氏は考えている。そのビジョンで、彼はすでに多くの投資家を説得してきた。米国時間1月28日、その高い目標に向けたシード投資ラウンドによる資金の調達を発表した。360万ドル(約3億8000万円)というこのラウンドを主導したのはSierra Ventures。その他にもUnshackled Ventures、AME Cloud Ventures、January Ventures、Edovate Capital、Redhouse Education、Roble Venturesが参加している。

この資金は、ビジネスモデルと収益化プランの構築、そして人材確保に使われる予定だ。EdTechとゲームを混ぜ合わせることで、「急成長したものの、どうやってお金を稼ぐかを知らず葬られる教育系企業」になるのを防げると、ビシュワナート氏は考えている。

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カテゴリー:EdTech
タグ:InspiritMinecraftVR資金調達

画像クレジット:gorodenkoff / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:金井哲夫)

Shopifyを利用するオンラインショップを助ける専門家のマーケットプレイスStoretaskerがプロダクトを一新

StoretaskerはShopifyのマーチャントをデベロッパーやビジネスの成長を助けるエキスパートと結びつけることに焦点を当てたオンラインマーケットプレイスだ。

このプロダクトは、以前Loremとして知られていたスタートアップが所有している。協同創業者でCOOのCharlie Fogarty(チャーリー・フォガティ)氏によると、Lorem本来のミッションは、中小企業とデベロッパをつなぐことだったという。「Shopifyとeコマースが我々の主な顧客であることに気づきました。そのため私たちにとって主要な競合相手であるStoretaskerを買収し、2つのビジネスを合併し、社名をStoretaskerにしました」。

この買収(Storetaskerのプロダクトとエキスパートネットワークが主でチームは含まれていなかった)は実際には2020年に行われており、フォガティ氏によると「我々はこの10カ月、基本的にプロダクトを一から作り直してきました。私たちは何年もかけて学んできたことをリブランド化し、新製品やエンド・ツー・エンドの新しい顧客体験に結びつけました」という。

しかしメインの事業は以前と同じだ。ShopifyのマーチャントがStoretaskerを訪れて簡単な言葉で彼らのプロジェクトを説明すると、Storetaskerは数時間以内に同社のネットワークにいる専門家の1人とマッチングさせる。その後は顧客は、専門家と直接仕事をすることができる。

Storetaskerはこれまで、Shopify上の30000あまりのお店が利用している。それらの中には、Boll & Branch、Chubbies、Aisle、Alpha Industries、Truff Hot Sauce、Branch Furnitureなどの有名店もある。Fogarty氏によると、プロジェクトの平均サイズは工賃が300ドルぐらいで、Shopifyのストアにカスタムデザインやユニークな機能を加えるものが多い。

StoretaskerはすでにShopifyのBoll&Branch、Chubbies、Aisle、Alpha Industries、Truff Hot Sauce、Branch Furnitureといった3万以上のブランドで利用されている。フォガティ氏によると、プロジェクトの平均規模はわずか300ドル(約3万1400円)で、通常はShopifyのストアにカスタムデザインやユニークな機能を追加する必要があるという。

画像クレジット:Storetasker

UpworkやFiverrのような一般的なマーケットプレイスを利用してフリーランスの開発者を見つけることもできるが、Storetaskerはその才能を吟味するために5000回以上のインタビューを行い、それぞれの顧客に適した専門家を選び出している。フォガティ氏によると、他のプラットフォームでは「未審査の人材をふるいにかけなければならない【略】採用の負担は顧客にかかる」という。

さらにフォガティ氏は、顧客はStoretaskerを開発支援だけでなく、コンバージョンや「電子商取引のあらゆる側面」の専門家を見つけるためにも使うことができると指摘している。

買収後のプロダクト刷新と並んでStoretaskerは2020年に、FlybridgeやFounder Collective、FJ LabsからシリーズAで320万ドル(約3億3000万円)を調達している。フォガティ氏によると、成長の余地はとても大きく、Shopifyのエコシステムだけで手一杯だそうだとのこと。今やShopifyを利用してeコマースをやっているストアは100万店以上あり、その総売上は2000億ドル(約20兆9000億円)に達している。

カテゴリー:ネットサービス
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(文:Anthony Ha、翻訳:Hiroshi Iwatani)

コーチング習得プログラム「CoachEd」が1億円超を調達、システム開発・マーケティング体制強化

コーチング習得プログラム「CoachEd」が1億円超を調達、システム開発・マーケティング体制強化

コーチング習得プログラム「CoachEd」(コーチェット)を手がけるコーチェットは1月29日、既存株主を中心とした第三者割当増資および借り入れによる、総額1億円超の資金調達を発表した。また、新経営体制として、COO兼プロダクト責任者として吉田健吾氏、CCO兼マーケティング・社内コミュニケーション設計責任者に立山早氏が就任したと明らかにした。

今後は、システム開発体制およびマーケティング体制を強化し、より多くのリーダーが「人を生かし育てる」リーダーになるためにコーチェットのサービスを届けるべく、積極的な投資を行っていく。

CoachEdは、人を生かし育てるリーダーになるための、コーチング習得プログラム。プロのコーチからコーチングを受けて自己認識を深めながら、同時に人を生かし育てるコーチングスキルを身に付けられる、3カ月間のマンツーマンプログラムという。

集合研修型ではなく、マンツーマンで専属トレーナーが寄り添いながら、一人ひとりの目標や成長課題に合わせてカリキュラムをパーソナライズするため、確実な変化を期待できるとしている。

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カテゴリー:EdTech
タグ:コーチェットコーチング(用語)資金調達(用語)日本(国・地域)

従来型の仲介モデルを再構築する不動産テックAvenue 8が約4億円を調達

数多くの不動産テック系スタートアップが設立され、住宅の売買は大きく様変わりした。不動産テック企業の中には、何らかの理由で価格が下がった不動産を探して売買しているところもあれば、1つのスタートアップが住宅を買い上げてリフォームし、それを、リフォームに投資したくない買い手に再販する「iBuyer(アイプレイヤー)」モデルを活用しているところもある。しかし、住宅物件の大部分は依然として、不動産ブローカーを通じて働く不動産エージェントが担当するという従来の方法で売買されている。

米国時間2020年12月18日、あるスタートアップがシードラウンドの資金調達を行ったことを発表した。その目的は、ディスラプトするためでなく、よりフレキシブルなアプローチによって従来のプロセスを改善してエージェントの働き方を近代化し、最終的には不動産市場で働くエージェント数を増やすことだという。

400万ドル(約4億1500万円)を調達したそのスタートアップの名はAvenue 8(アベニュー・エイト)という。自らを「モバイルに特化した住宅用不動産ブローカー」と称する同社は、住宅の調達、販売、売却と、これらに関係する他の業務を遂行するための新しいツールを提供している。アベニュー・エイトは今回のシードラウンドで調達した資金を、既に事業を展開している都市(これまでサンフランシスコ地域とロサンゼルス地域で試験的に活動してきた)での事業をさらに拡大し、いくつかの都市へ新たに進出することに使う計画だという。

今回の資金調達は注目すべきものだ。アベニュー・エイトがシードラウンドという早期の段階から味方につけた投資家の顔ぶれが興味深い。同ラウンドをリードしているのは、David Sacks(デービッド・サックス)氏とBill Lee(ビル・リー)氏が共同で設立し、ポートフォリオに数多くの有名企業が連なるCraft Ventures(クラフト・ベンチャーズ)だ。Zigg Capital(ジッグ・キャピタル)と、Good Friends(グッド・フレンズ、Warby Parker(ワービー・パーカー)、Harry’s(ハリーズ)、Allbirds(オールバーズ)の創業者らによって設立されたアーリーステージ向けファンド)も参加している。

ここ10年間に不動産テック企業が調達した資金の総額は少なくとも180億ドル(約1兆8700億円)にのぼる。そして、クラウドコンピューティングやモバイルテクノロジーから、人工知能、データサイエンス、eコマースのイノベーションまで、テック業界から学び、それを不動産市場に応用するために、多大な努力が払われてきた。

アベニュー・エイトをJustin Fichelson(ジャスティン・フィシェルソン)氏と共に創業したMichael Martin(マイケル・マーティン)氏は、これだけのペースで変化が進んでいるということはつまり、常に新しいアプローチを考える必要があるということだ、と強く感じている。

不動産テック業界の最大手企業の1つで、独自の課題に直面しているCompass(コンパス)について、マーティン氏は次のように語っている。「コンパスが、同社のテクノロジーを従来型の不動産ブローカーに普及させることを成長戦略としていたことに留意することは重要だ。しかし、今それを作るなら、根本的にまったく違うものになるだろう」。

「違うもの」というのはつまり、アベニュー・エイトのようなものを指すとマーティン氏は考えている。

まず、アベニュー・エイトは、販売手数料をブローカーとエージェントとの間で(大抵の場合)標準的な30対70の割合で分配するモデルではなく、サブスクリプション型のモデルを採用している。

アベニュー・エイトは、その基本モデルに沿って、マーケティング用や分析用の新しいツールを直感的に使用するための各種ツールを開発した。これらのツールを使えば、物件の販売情報を複数のチャンネルに掲載したり、エージェントのパフォーマンスを測定・分析して今後の販売物件の内容を改善したり、十分な情報を得たうえで査定・販売に関する意思決定ができるように豊富な市場データを閲覧したりすることが可能になる。また、案内係を担当する人材のマーケットプレイスも提供している。この案内係は、販売情報を準備するために物件を整えて写真を撮影してくれる。そして、案内係に関する支払いは、物件が売れた場合にのみアベニュー・エイトから請求される。

アベニュー・エイトのサービスはすべて、モバイル用プラットフォームで提供される。常に動き回る仕事をする人にとっては、欠かせない特徴だ。

アベニュー・エイトは、これまでブローカーが提供するツール(多くの場合はブローカーのウェブサイトといくつかの付加的なポータルサイトのみ)を主に使って仕事をしてきたエージェントをターゲットにしている。これは、単により多くのリターンを生み出すだけでなく、賢いアプローチでもある。

ジッグ・キャピタルのパートナー、Ryan Orley(ライアン・オーレイ)氏は次のように語る。「各方面とのやり取りや物件を首尾よく管理するためにどのテクノロジーやツールをどのように使えばよいか分からずに苦労している、というエージェントの声を何度も聞いたことがある。買い主、売り主双方の要望が変化しているため、大半のエージェントのワークフローにおいてデジタル化が加速した。アベニュー・エイトは、エージェントがこの新しい現実に対応するのに役立つソフトウェアとリソースを開発し統合させている」。

もう1つ興味深いのは、アベニュー・エイトがどのように長期的にエージェントの数を増やすことにつながるのか、という点だ。

パンデミックが続く中でも不動産市場は特筆すべき回復力を見せている。金利の低下、全体的に低水準な住宅在庫、自宅で過ごす時間が増えたことによる快適な住宅へのニーズ増加が、大きな需要を作り出しているためだ。数々の業界が窮地にある中、アベニュー・エイトのようなフレキシブルなプラットフォームは、不動産エージェントになるための試験に合格して資格を取得した人たちが、自分をエージェントとして登録して、長時間でも短時間でも柔軟に仕事量を調節しながら働き、いわば「Uber(ウーバー)の不動産エージェント版」になる機会を開くものとなる。

今後の成長が非常に有望であることも、投資家の関心を引きつけた理由の1つだろう。

クラフト・ベンチャーズのゼネラルパートナーであるJeff Fluhr(ジェフ・フルール)氏は次のように述べる。「アベニュー・エイトの有機的成長は、モバイルに特化したデジタルプラットフォームを市場が求めていることを示す明確な証拠だ。マイケルとジャスティンは、エージェントを中心に据えて不動産業務を近代化するというはっきりしたビジョンを持っている。同社のモデルにより、エージェントは、手数料が圧縮される現在の環境の中でも、より多くの利益を確保できる」。

面白いことに、ちょうどUberがオンデマンド交通サービスの手配・提供方法を変えたように、アベニュー・エイトも、不動産市場における立ち位置に関連して、興味深いトラクションを獲得し始めている。当初はエージェントをターゲットとし、彼らにとって「より優れたブローカー」のような存在になること、つまり、ブローカーしか提供できないサービスを、より近代的な方法でエージェントに提供することを謳い文句にしていた同社だが、最近ではブローカー自体が同社に興味を示すことがあるという。マーティン氏によると、同社は既に中小規模のブローカー数社と取引があり、最終的には同社のツールを、業務改善に取り組む大手ブローカーにも提供する方法を検討していきたいとのことだ。

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タグ:資金調達 不動産テック

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

AI動画編集クラウド「VIDEO BRAIN」のオープンエイトが30億円調達、累計調達額約70億円に

AI動画編集クラウド「VIDEO BRAIN」のオープンエイトが30億円調達、累計調達額約70億円に

インハウスAI動画編集クラウド「Video BRAIN」(ビデオブレイン)を提供するオープンエイトは1月29日、第三者割当増資および融資調達と合わせて、計約30億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、既存投資家の未来創生ファンド(スパークス・グループ)と、新規投資家のJPインベストメント。借入先は日本政策金融公庫。累計資金調達総額は約70億円となった。

Video BRAINは、SNSコンテンツや広告などプロモーショナルな動画をインハウスで効率よく作成できることに加えて、これまでワードやパワーポイントで作成していた各種資料なども簡単に動画へ置き換えられるよう、「専門知識がなくても直感的に動画が作れる」ことを追求してプロダクトのアップデートを重ねてきたという。AIのサポートで誰でも簡単に高品質なストーリー性のある動画を数分で編集できるクラウドサービスとしている。

さらに同社は、世界中のクリエイターが手がけた作品を提供する素材サービス事業者とのAPI連携も行い、無料で使える素材の拡充も続けている。

同社に調達した資金の具体的な用途を確認したところ、同社は以下3点を予定として挙げた。

1. プロダクトの機能拡充

機能拡充の1点目として挙げたのが、業務マニュアルや採用コンテンツ、そして営業資料など様々なビジネスコンテンツを動画化するにあたり、求められる映像表現を実現するための機能。自然言語解析とコンピュータービジョンのAIに強みを持つ同社ならではの機能を中心に拡充を進める。

2点目が、企業のDXを動画で後押しするにあたり、求められる機能としていた。

2. マーケティング施策の拡充

より多くのビジネスパーソンへ、動画がビジネス成長の鍵となりえることを具体的に伝えるため、マスメディアやデジタルメディアなどを通じたマーケティング活動を展開する。

3. 体制の強化

スピーディなプロダクト開発、導入を検討する企業への提案、活用をより良いものとするサポートなどを向上させるため、エンジニアやプロダクトマネージャー、エンタープライズセールス、マーケター、カスタマーサクセスなど、全方位での採用を強化するとした。

オープンエイト代表取締役社長兼CEO 髙松雄康氏は、「サービスリリースからわずか2年しか経っていませんが、Video BRAINはあらゆる規模の企業の様々な用途に活用されるようになり、高まる需要への実感と事業に対する確かな手応えを感じております。

今回の資金調達は今後大きく成長していくであろう動画市場におけるナンバーワン企業になるため、より一層プロダクトに磨きをかけ同じ志を持った仲間を集めることを中心に投資を強化していければと思います」とコメントしている。

オープンエイトは、自然言語処理とコンピュータービジョンを中心とする独自のAI技術を開発し、アルゴリズム・ソフトウェアモジュール群からなる「OPEN8 CORE TECHNOLOGY」を保有するコンテンツテクノロジーカンパニー。

「AI × SaaSであらゆる企業の情報流通戦略の成長ドライバーとなる」ことをコンセプトに、動画広告事業及び動画メディア事業で培った動画コンテンツ制作・配信ノウハウと、AI技術を組み合わせて開発したインハウスAI動画編集クラウド「Video BRAIN」やSNS投稿・分析サービス「Insight BRAIN」(インサイトブレイン)、そして動画自動生成機能などのAPI提供を通じて企業による情報発信の支援を行っている。

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タグ:オープンエイト資金調達(用語)VIDEO BRAIN日本(国・地域)

NBAスターやノーベル受賞者がキュレーターのブッククラブ、Literatiが約41.7億円を調達

Literatiは一風変わったスタートアップの機会を追求するために、4000万ドル(約41億7000万円)のシリーズB資金を調達した。それは、ブッククラブである。

創業者兼CEOのJessica Ewing(ジェシカ・ユーイング)氏(元Googleのプロダクトマネージャー)によると、テキサス州オースティンを拠点とする同社は子供向けのブッククラブからスタートし、昨年大人向けのブッククラブ「Luminary」ブランドを立ち上げたという。Luminary(啓発者という意味がある)クラブはその名に負けていない。活動家でノーベル平和賞受賞者のMalala Yousafzai(マララ・ユスフザイ)氏、NBAスターのStephen Curry(ステフィン・カリー)氏、起業家で慈善家のSir Richard Branson(リチャード・ブランソン)氏、ジャーナリストのSusan Orlean(スーザン・オーリーン)氏、Joseph Campbell Foundation(ジョーゼフ・キャンベル財団)などの著名人・団体がキュレーションを担当している。

Literatiブッククラブに登録すると、毎月のセレクションを印刷した冊子とキュレーターからのメッセージが送られてくる。また、他の読者とその本について語り合うことができるLiteratiアプリにアクセスすることができ、そこではキュレーターが著者との会話を主催することもある。たとえば、カリー氏は「期待を超える」人々についてのノンフィクションに焦点を当てたブッククラブを主宰しており(彼はLiteratiに出資してもいる)、ユスフザイ氏は「世界中の大胆なアイデアを持った」女性による本を選んでいる

ユーイング氏は筆者に、25年前にアマゾンが起業されて以来初めての「新しい革新的な書店」を作ろうとしていると話してくれた。そして、彼女はキュレーションに焦点を当てることで、それを実現しようとしているとも。

同氏は「選択肢が多すぎて、リストが多すぎて、ほとんどの人は完全に圧倒されています」という。彼女は、キュレーションを行うために著名人やその他の大物を雇うことが助けになると主張している。「本は向上心に訴えるものです。誰ももっとビデオゲームをしようとは目指しませんが、人々はもっと本を読みたいと憧れています。そして自分よりも少し賢い人が勧める本を読みたいと思っています」。

Literati CEO Jessica Ewing

ユーイング氏がLiteratiに望むのは、「次の偉大な文学ソーシャルネットワーク」を作ることであり、Oprah’s Book Club(オプラズ・ブッククラブ)や女優Reese Witherspoon(リース・ウィザースプーン)によるReese’s Book Clubのような有名人主導のオススメ本リストと、彼女が「ワインとチーズを持ち寄るような超親密モデル」と表現するものとの間のギャップを埋めることである。

「新型コロナの環境から抜け出したら、ぜひ直接会うクラブも実現するといいなと思います」と彼女は付け加えた。「でも、その中間にもいろいろあると思います。今は(アプリ内で)スレッドによるディスカッションを可能にしていますが、本についての非同期の会話ができるのは素晴らしいことです」とも。

また、子どもの本の面でも、Literatiは、それぞれの子どもに最適な本を推薦するためのパーソナライゼーションツールの構築に取り組んでいる。

「私にとって、これは最もエキサイティングな技術の応用の一つです。適切な本とペアリングすることで、この世代の子供たちに、どうやって読書を好きになってもらうのか」とユーイング氏は語った。

Crunchbaseによると、Literatiは以前、Shasta Venturesなどから1200万ドル(約12億5000万円)の資金調達を行っていた。新しいラウンドは、Felicis VenturesのAydin Senkut(アイディン・センクト)氏が主導し、元TwitterのCEOであるDick Costolo(ディック・コストロ)氏、元TwitterのCOOである01 AdvisorsのAdam Bain(アダム・ベイン)氏、Founders Fund、General Catalyst、Shasta、Silverton Partners、Springdale Ventures、そして前述の通りステフィン・カリー氏が参加している。

「Literatiと一緒に自分のブッククラブを始めたいと思ったのは、読書を通じて世界をより良くするという彼らの使命が、起業家として、また父親としての私の価値観と自然に一致していたからです」とカリー氏は声明で述べている。「私は投資家になる前からファンだったので、一冊ずつ本を読んで人々の生活を向上させる会社の一員であることをとても誇りに思っています」。

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タグ:資金調達 読書

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(文:Anthony Ha、翻訳:Nakazato)

太陽光発電に融資するLoanpalが約834億円調達、再生エネルギーへの投資の波は続く

億万長者で投資家のChamath Palihapitiya(チャマス・パリハピティヤ)氏が太陽光発電および住宅改修への融資事業を営むSunlight Financialの13億ドル(約1350億円)での買収への関与を発表してから数日後、複数の投資家が再生可能エネルギーおよび住宅改修への別の融資業者であるLoanpal(ローンパル)への約10億ドル(約1043億円)の現金注入を発表した。

Loanpalへの8億ドル(約834億円)のコミットメントは、世界最大の投資家らが気候へのコミットメントを急ぐ動きと歩調を合わせるかたちとなった。

9兆ドル(約940兆円)の投資運用会社であるBlackrock(ブラックロック)のCEOであるLarry Fink(ラリー・フィンク)氏は米国時間1月26日、気候データのより厳格な会計と報告を求める年次書簡を発表した。Bank of America(バンク・オブ・アメリカ)も、国際ビジネス委員会と世界経済フォーラムが承認した気候と持続可能性に関する新しい報告基準に取り組むために他の60社とともに加わった。同氏は、Task Force on Climate Related Financial Disclosures(TCFD、気候関連の財務情報開示に関するタスクフォース)という別の報告スキームも承認した。このスキームは世界最大の金融投資家らが支援している。

こうした新しい基準は、温室効果ガス排出量を削減する企業への投資額を増やすだろう。温室効果ガスは地球全体の気候変動に影響している。そして、エネルギー効率がより高い機器や再生可能な設備への切り替えを奨励する融資プログラムは、金融サービス業界にとっておそらく最も成果を得やすい分野だ。

これがNEA、WestCap Group、Brookfield Asset Management、巨大なプライベートエクイティエネルギー投資ファンドのRiverstone Holdings(リバーストーンホールディングス)などの投資家がLoanpalを支援する理由の1つだ。

戦略的投資家に事業の持ち分を与えるセカンダリートランザクション(株主間の株式売買)だったこの取引は、実際には2020年に完了した。取引の結果、NEAのマネージングゼネラルパートナーであり、投資家としての長い経歴も持つScott Sandell(スコット・サンデル)氏と、WestCap GroupのマネージングパートナーであるLaurence Tosi(ローレンス・トシ)氏が同社の取締役会に加わった。

「私たちは多くのプレイヤーを会社に招待しました」と、Loanpalの創業者で会長兼最高経営責任者のHayes Barnard(ヘイズ・バーナード)氏は述べた。Tesla(テスラ)に買収される前のSolarCity(ソーラーシティ)の元最高収益責任者であるバーナード氏は、太陽エネルギー開発で長い経験を持つ。Loanpalでは投資家になる可能性のある人々の中から選べるだけのバランスシートを持っていた。「私たちは数十億ドル(数千億円)規模の企業です」とバーナード氏は述べた。

Loanpalの創業者で会長兼最高経営責任者のヘイズ・バーナード氏(画像クレジット:Loanpal)

「戦略的投資家を招き、彼らにどこで助けてもらえるか、そして彼らにどのように助けてもらえるかについて考えていたのは私たちです」とバーナード氏は語った。

Loanpalは収益性が高く、負債もなく、投資家に毎月配当している。「現在、私たちはバッテリーシステムと組み合わせた約1万5000のソーラーシステムに月額4億ドル(約420億円)の資金を融資しています」とバーナード氏はいう。同社は2018年の立ち上げ以来、合計で59億ドル(約6140億円)の消費者金融ローンを手がけた。同社はまた、ベンダーであるトップソーラー企業の約85%を顧客に数え、約1万2000人のセールスプロフェッショナルを擁している。

こうした数字により、同社は数十億ドル(数千億円)規模の金融サービス会社であるBlackstoneの元最高財務責任者だったトシ氏のような取締役を迎え入れることができた。「彼は資本市場を大規模に招き入れる方法を本当に理解しています」とバーナードは述べた。

とにかくBlackrock、Blackstone、Riverstone、および名前に石(ストーン)や岩(ロック)が入っていないあらゆる金融サービス会社からの注目は、これが大規模な資本の問題であることを示している。世界経済フォーラムによると、世界経済の脱炭素化は10兆ドル(約1040兆円)規模のビジネスだ。または、個人投資を行う人々にとっては、米国時間1月26日の株価で約667億ドル(約7兆円)のGamestopに相当する。

「私たちが今、参入しようとしている短期の市場は、1000億ドル(約10兆4000億円)の市場である持続可能な家庭向けソリューションです」とバーナード氏は述べた。

その10兆ドル(約1040兆円)のかなりの部分は、エネルギー消費を削減するための新しい消費者向け機器とハードウェアの開発・統合からもたらされる予定だ。「バッテリーストレージ市場、スマートサーモスタット市場、ソーラー市場はすべて絡み合い、統合されていると私たちは信じています」とバーナード氏は話した。「全体として最も重要なことは、これがより優れたテクノロジーにすぎないということです。ホワイトハウスに誰がいるかに関係なく、規模は拡大する予定でした。こういったテクノロジーは優れており、住宅所有者のお金を節約します。住宅所有者がやりたいのであれば、これは一種のIQテストです」。

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カテゴリー:EnviroTech
タグ:Loanpal資金調達再生可能エネルギー

画像クレジット:Will Lester/Inland Valley Daily Bulletin / Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

独Levityが誰でもワークフローオートメーションを作れる「ノーコード」AIツールを公開

ベルリンを拠点とする新しいノーコード企業のLevityは、これまでステルスで運営されてきたがこのほど製品を市場に投入した。同社はGil Dibner(ギル・ディブナー)氏のAngular Venturesが主導するプレシードラウンドで170万ドル(約1億7500万円)を調達している。LevityはAIを利用したワークフローオートメーションをあらゆる人にとって手の届くものにし、何度も繰り返される退屈な手作業をナレッジワーカーがコーディングを学ぶことなく自動化できるようにすることを目指している。

Levityは最初から幅広い分野にサービスを提供する方針で、カスタマーサービス、マーケティング、オペレーション、人事などに適している。自動化できる代表的な繰り返し作業には、書類や画像、テキストの確認と分類がある。このようなタスクは従来のルールベースのオートメーションソフトウェアでは自動化できない。認知機能が必要だからだ。そのため通常は手作業で行われている。このような場面では、もちろん機械学習が役に立つ。

Levityの共同創業者でCEOのGero Keil(ゲロ・ケイル)氏は「自動化できるような退屈な繰り返し作業に長い時間がかかるという問題を解決し、その分の時間で楽しくおもしろい仕事ができるようにしたいと思っています。AIならできると何十年も言われていたことなのにソリューションはほとんどありません。技術者でなくコードを書けない人々のためのものはなおさらです」という。

こうしたことから、Levity全体としてのミッションは技術者でないナレッジワーカーがこれまで自動化できなかったことを自動化できるようにすることだとケイル氏は語る。特に同社がターゲットとしているのは、画像やテキスト、PDFやその他のドキュメントなど、構造化されていないデータに関して判断することにかかわる仕事のプロセスだ。

ケイル氏はこう説明する。「たとえば会社に取引先や顧客からファイルが添付された膨大な数のメールが毎日届くとしたら、通常は誰かが添付ファイルをダウンロードし、それを見て、どうすればいいかを判断しなくてはなりません。Levityを使えば、これまでに蓄積されたすべてのデータからその会社に合わせてAIをトレーニングし、学習させた後はDropboxやGmail、Slackなど既存のツールやワークフローとシームレスに統合できます」。

同氏は広い意味で、「大量生産されたAI」に困っている多くの企業は「独自のAIソリューションを構築してプロセスに組み込むことのできる」エンド・ツー・エンドのプラットフォームがあれば恩恵を受けられるはずだと語る。

ケイル氏は、Levityの最大の競合は手作業で仕事をする人たちだというが、オートメーションの機械学習ツール、ワークフローオートメーション機能、ラベリングツールと競合することも認めている。

「我々は機械学習のバリューチェーンの1つひとつの分野を追求して大企業の開発者やデータサイエンティストを楽にするのではなく、最も重要な部分だけに集中してシンプルで楽しいUXにまとめ、そのほかの部分は省いています。これにより、これまで自動化できなかったプロセスをわかりやすい方法で自動化したい中小企業の非開発者にとって最適な製品になっています。自動化の問題を抱えている人が、自動化の問題を解決する人になります。これはWixやSquarespaceがウェブサイトにもたらしたのと同様のパラダイムシフトです」とケイル氏は語る。

Angular Venturesのゼネラルパートナーで創業者のギル・ディブナー氏は発表の中で「Levityはすべてのナレッジワーカーに影響を与える大きなシフトを起こしています。ナレッジワーカーが簡単にAIエンジンをトレーニングし、AIを利用したオートメーションを構築し、日常のワークフローにオートメーションを統合できるようにすることで、LevityはAIの恩恵を徹底的に民主化します」と述べた。

AngularのほかSystem.One、SumUp創業チームのDiscovery Ventures、Pipedrive創業者のMartin Henk(マーティン・ヘンク)氏、さらに匿名のエンジェル投資家もLevityを支援している。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Levityノーコード資金調達

画像クレジット:Levity

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(文:Steve O’Hear、翻訳:Kaori Koyama)

レーザー測距技術LiDAR活用し人の屋内位置測位技術の研究開発に取り組むHULIXが1.3億円調達

レーザー測距技術LiDAR活用し人の屋内位置測位技術の研究開発に取り組むHULIXが1.3億円調達

大阪大学ベンチャーキャピタル(OUVC)を無限責任組合員とするOUVC2号投資事業有限責任組合(OUVC2号ファンド)は1月28日、レーザー測位スキャナ(LiDAR)を活用して屋内における人の位置を測定できるシステム「ひとなび」を手がけるHULIXに対し、1億3000万円の投資を実行したと発表した。

HULIXは、今回の資金調達によりシステムの改良を行うとともに、プロダクトマーケットフィット(PMF。Product Market Fit)の検証を進め、更なる事業開発を加速化させる計画。

同社事業は、特に現在のようにコロナ禍で人の動きを把握する必要性が高くなっている状況において、社会実装する意義が大きいと判断したため、OUVCは同社に対する投資を決定した。OUVCからは取締役を派遣することで、ハンズオンで支援を継続していく。

HULIXは、人の屋内位置測位技術の研究開発に取り組む大阪大学情報科学研究科・山口准教授の研究成果を基にして、2020年7月に設立された大阪大学発のスタートアップ企業。大阪大学の起業支援施策である「起業プロジェクト育成グラント」の採択案件として、阪大・OUVCの全面的なバックアップのもと、人流空間解析プラットフォーム「ひとなび」の事業化に取り組んできた。

また同社は、LiDARを組み込んだオリジナルエッジ機器の開発を進めており、実証フィールドでの取り組みも進めているという。レーザー測位スキャナ(LiDAR)の点群データから、リアルタイムに人やモノを抽出し空間時系列データへと変換するAIエッジ技術を保有し、こちらも研究開発を行っているそうだ。

ひとなびは、LiDARを活用して屋内における人の位置を測定できるシステムで、大規模空間で不特定多数の人の流れを把握できるという特徴を有している。阪大独自のセンシング技術により、空間に「目」と「知能」を与え、高度な空間理解と空間制御を実現しているという。

また同システムを活用すると、大型商業施設内での消費者行動の分析や混雑状況の可視化や予測が可能になることから、三井不動産と連携し、同社運営の大型複合施設「EXPOCITY」(大阪府吹田市)では、歩行者の軌跡からリアルタイムで混雑状況を予測したり、消費者行動を分析する実証実験を開始している。

なおひとなびは、施設の様々な場所に設置されたセンサーからのデータを基に人の流れを把握しているため、個人情報を取得せずにフードコートや施設内の混雑状況の分析できるとしている。

OUVC2号ファンドは、2015年に設立されたOUVC1号ファンドの後継ファンドで、大阪大学のみならず他の国立大学の研究成果も社会実装する目的で2021年1月1日に設立された。同案件はOUVC2号ファンドの第一号案件となる。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AI / 人工知能(用語)大阪大学大阪大学ベンチャーキャピタル / OUVC資金調達(用語)デジタルツインVC / ベンチャーキャピタル(用語)LiDAR(用語)ロケーションテック(用語)日本(国・地域)

元Uberチームによる地理空間データ分析プラットフォームUnfolded.aiが約6.2億円を調達

数年前、Uberは問題を抱えていた。何百万人ものユーザーと何万人ものドライバーが世界中に散らばっている急成長中のモビリティ・スタートアップであった同社は、配車されたドライバーがどこから来るのか、目的地に到着するためにどこへ行こうとしているのか、より正確な地図をユーザーに表示したいと考えていた。課題は、地理空間データセットは容易にペタバイトのレベルに達することで、そのようなデータをどのように伝送し、可視化するかということだった。特に携帯電話上で。

「私たちはこの巨大な惑星サイズのデータセットを扱う仕事を任されました」と、Sina Kashuk(シーナ・カシュク)氏はUberのデータ可視化チームの目的について説明してくれた。「もし費用が問題でなければ、最高のパフォーマンスを発揮するためにはこれをどう構築するだろう?」それが、エンジニアとデータサイエンティストの4人組が直面していた解決すべき問題だった。カシュク氏、Shan He(シャン・ヘー)氏、Isaac Brodsky(アイザック・ブロツキー)氏、そしてIb Green(アイビー・グリーン)氏の4人は、合わせると約16年をUberで過ごし、彼らとUberのチームメイトたちは、現在のUberの広範な地理空間データ可視化システムを構築した。ヘー氏、ブロツキー氏、グリーン氏は2014年と2015年頃にUberに入社し、カシュク氏は2017年後半に入社したという。

ありがたいことに、彼らが開発したコードはUberアプリの中に閉じ込められたわけではなかった。彼らのエンジニアリングのコア要素は、2つのライブラリにオープンソース化されている。Kepler.glは地理空間データセットを取得して可視化できるWebアプリケーションで、
Deck.glは、地理空間データセットを処理して可視化する準備をするための拡張可能なアプリケーションフレームワークを提供する。カシュク氏によると、グリーン氏はDeck.glの開発リーダーの一人であり、1年後にはヘー氏がDeck.glをベースにKepler.glを開発したという。どちらのライブラリも、GitHubとUberのVisualizationチームを通じて活発な開発が続けられている。

最終的に4人は、オープンソースプロジェクトへの関心の高さから、これらのライブラリ上にあるサービスを他のビジネスにも提供できることに気付いた。「私たちが気づいたのは、(これらのライブラリは)すべて成熟しており、市場に出す準備ができているということと、Uberでの利用以外にも機会があるということです。そこで、これらの技術を次のレベルに引き上げることができると考えました」とカシュク氏は語った。4人はUberを離れ、最終的には2019年後半にUnfolded.aiを作るために団結した。

Unfolded.ai.の4人の創業者たち

このスタートアップの主要製品は「Unfolded Studio」と呼ばれるもので、データ管理やサーバー通信などのコンポーネントを扱うKepler.gl(それ自体はフロントエンドライブラリに過ぎない)の上に構築されたアプリケーションのBaaSとして機能する。具体的には、異なる地理空間データセットを一つにまとめ、それらすべてが一つの統一されたビューで相互作用できるように設計されている。

チームは当初、Google Earthを含むいくつかのコンサルティングプロジェクトで運営資金を調達したが、最近になって、チームとその野望をさらに拡大するためにシードラウンドを調達した。カシュク氏によると、Unfoldedはこれまでに600万ドル(約6億2000万円)以上の資金を調達しており、先週、S28 CapitalのShvet Jain(シュベット・ジェイン)氏が主導し、Fontinalis Venturesを含む他の投資家からの参加を得てシードラウンドを終了したという。元LiveRampのCEOで現SafeGraphのCEOを務めるAuren Hoffman(オーレン・ホフマン)氏が最初の個人投資家となり、最初の機関投資家はIA Venturesだった。

Unfoldedプラットフォームの初期の顧客の中には、農作物や家畜を持続可能な形で栽培・飼養する農家を支援するIndigo Agricultureのような、アグリテック分野の企業も含まれている。Unfoldedは、位置情報とビジネスが交差する多くの市場に可能性を見出しているが、今のところは、プラットフォームを構築し、より多くの顧客にサービスを提供できるよう準備を進めている。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:資金調達

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(翻訳:Nakazato)

たった5.99ドルの食事をレストランから宅配するClub Feastが約3.6億円を調達

食事宅配をより手頃な価格で提供するアプローチのスタートアップ、Club Feastは、General Catalystが主導するシードファンディングで資金350万ドル(約3億6000万円)を調達したと発表した。

同社は、Atallah Atallah(アタラ・アタラ)氏、Ghazi Atallah(ガジ・アタラ)氏、Chris Miao(クリス・ミャオ)氏によって設立された。基本的なコンセプトはいたってシンプルだ。レストランのデリバリーを一皿5.99ドル(約623円)で購入できる、つまり、他のデリバリーサービスで見つかるどの食事よりもおそらく安い(同社のサービスはそれに加え、2ドル(約208円)の配達料と、1食だけの注文の場合は1ドル(約104円)の手数料を請求している)。

以前にレストランリワード会社「Seated」を共同設立し、Club FeastのCEOを務めるアタラ・アタラ氏によると、同社はレストランと協力して、5.99ドルの価格で提供できる食事をいくつか選択しているという。一方、ユーザーは週ごとの食事プランにサインアップし、少なくとも24時間前に注文する。そうすれば、レストラン側は料理の購入量を正確に把握できるので、先回りして計画を立て、効率的かつ経済的な方法で料理を作ることができるというわけだ。

「当社は彼ら(レストラン)と協力して、ユーザーに合った価格で食事を作ることができるようにしています」とアタラ氏は述べている。さらに、Club Feast とそのパートナーは、すべての注文を事前に行うことで、オンデマンド配送を最適化するための高度なアルゴリズムを構築することなく、最適なルートを計画することができるとアタラ氏は指摘している。「最高のソリューションが最もシンプルなものであることもあります」。

Club Feast CEOのアタラ・アタラ氏 Image Credits: Club Feast

もちろんそのためには、より多くのプランニングと、ユーザーからの前もってのコミットメントが必要になる。しかしアタラ氏は、ミールクレジットは週単位で購入することができるが、いつでも一時停止や使用が可能であることを指摘している。また、アタラ氏はClub Feastをオンデマンド・フードデリバリーの直接の競合相手とは考えていないことを示唆した。その代わりに、急な注文や特別な日にはDoorDashやUber Eatsを使い続け、通常の食事にはClub Feastをより手頃な価格で利用することを提案している。

「当社の価格帯では、平均的なユーザーは月に8回注文しています」と彼はいう。「(変わらぬサイズの同じ市場を争うのではなく)パイ(全体)をもっと大きくするのはどうでしょう?」

アタラ氏は、Club Feastは、サイドメニューやデザートを追加することで、プラットフォーム上での食事の選択肢を多様化していると付け加えた。そして、いずれはもう少し豪華な食事のためにより高い価格を導入する可能性もあるが、彼は、「それが5.99ドルのコンセプトに影響を与えないようにしたい」と語っている。

同社は現在、サンフランシスコとサンマテオで配達を行っており、The Halal Guys、Kasa Indian Eatery、HRD、Kitavaなどのレストランと提携している。今回の新たな資金調達により、ベイエリア全域とニューヨーク市への拡大を計画しているという。

General CatalystのマネージングディレクターであるNiko Bonatsos(ニコ・ボナトソス)氏は声明の中で次のように述べた。「パンデミックにより、フードデリバリー業界の著しいギャップががむき出しになりました。レストランと消費者の両方にとって、より手頃な価格で食事を提供できるようにするというClub Feastのミッションを支援できて光栄に思います」。

関連記事:デリバリー中心の新しいレストランを2ヶ月以下で立ち上げるMealcoが約7.3億円調達

カテゴリー:フードテック
タグ:フードデリバリー 資金調達

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デリバリー中心の新しいレストランを2ヶ月以下で立ち上げるMealcoが約7.3億円調達

Mealcoは、シェフがデリバリーを中心に設計された新しいレストランを立ち上げるのを支援するスタートアップだ。同社は、シードファンディングで700万ドル(約7億3000万円)を調達したことを発表した。

これを読んでいる読者の方々にとっては、レストランの開業が高価でリスクの大きい提案であることは別にニュースではないだろう。そしてもちろん、パンデミックの間に多くのレストランが廃業したことも。

しかし、創業者兼CEOのDaniel Simon(ダニエル・サイモン)氏(同氏は以前はApplicasterでデベロッパーとプロダクトリーダーを務め、テルアビブのレストラングループR2Mでも仕事をしたことがある)は、どんなに景気が良い時でも、スタートするのに100万から200万ドル(約1〜2億円)かかるのは珍しいことではなく、「最初から早いペースで始めたいのであれば、焦点の98%は料理や顧客ではない」と述べている。

一方、Mealcoの場合は、リースやその他の先行費用を契約する必要がなく、シェフは実際に料理やメニューを作ることに集中できる。Mealcoは地元で食材を調達し、それらは同社のキッチンインフラを使って調理され、Uber Eats、DoorDash、Postmates、Seamlessなどの標準的なデリバリーアプリを通して提供される。

サイモン氏によると、Mealcoの場合、新しいレストランを立ち上げて稼働させるまでのプロセスは6~8週間で済むという。「(シェフたちには)もう玉ねぎやトマトを切る必要はないと伝えています。Mealcoの厨房で従業員がどのように(各料理を)下ごしらえすべきか、Mealcoのソフトウェアが伝えてくれます」。

Image Credits: Mealco

また、Mealcoはブランディング、マーケティング、ソーシャルメディアを中心としたサポートも提供しており、シェフにはメニューのパフォーマンスや顧客のフィードバックに関するリアルタイムのデータが表示されたダッシュボードへのアクセスを提供しており、必要に応じて迅速に調整を行うことができる。シェフは「スマートフォンからレストランを管理できる」という。

同社はすでに、ニューヨークのマンハッタン、ブルックリン、そしてクイーンズ地区にあるメキシコ料理店「Tributo」とテネシー州ナッシュビルの辛口チキンレストラン「Cayenne」(後者はシェフのHillary Sterling氏による)の2店のデリバリーを開始している。そして、ウェイティングリストには50人のシェフが登録されているという。

Mealcoのパートナーの誰かが、料理の準備と食体験から切り離されることを気にしているかどうか尋ねたところ、サイモン氏は、それはシェフによると述べた。

「もしあなたが一つの店舗をオープンして毎朝キッチンにいたいのであれば」、Mealcoはあなたには向いていない、と彼はいう。「それは間違っているか正しいかではなく、好みの問題です。しかし、ほとんどのシェフはクリエイターであり、アーティストです。彼らは食べ物を通して自分自身を表現している」。 Mealcoによって、彼らはその創造性に集中できるようになると同氏は考えている。

Rucker Park Capitalがこのラウンドを主導し、FJLabs、Reshape、2048.vc、Oceans Ventures、Wilshire Lane Partners、そして元SeamlessのCEOであるJonathan Zabusky(ジョナサン・ザバスキー)氏を含むエンジェル投資家たちが参加した。サイモン氏によると、今年はニューヨーク市とその周辺地域全体で立ち上げ、来年には他の都市に進出する計画だという。

Rucker Park CapitalのゼネラルパートナーであるWes Tang-Wymer(ウェス・タン・ワイマー)氏は声明の中でこう述べている。「ここ数年は、食品エコシステムの進化を肌で感じる機会となりました。これらの進歩をすべて取り入れ、新しいフォーマットで新しいブランドを立ち上げる時期が到来しているといえます。Mealcoでは、シェフがこれまで以上に迅速かつ低コストで『アイデアからテーブルへ』のプロセスを実現できるようにすることで、レストランのイノベーションのフロンティアをさらに押し進めるための最も説得力のあるモデルを見つけました」と述べている。

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カテゴリー:フードテック
タグ:資金調達

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(翻訳:Dragonfly)

84万人以上の専門家と企業をつなぐプラットフォームLynkが25億円を調達

Lynkの共同創業者でCEOのペギー・チョイ氏

利用者を広範な分野の専門家84万人のとつなぐ「サービスとしての知識」プラットフォームLynk(リンク)は、米国時間1月27日、2400万ドル(約25億円)を調達したと発表した。この投資を主導したのはBrewer Lane VenturesとMassMutual Ventures。そこにAlibaba Entrepreneurs Fundも参加している。同社はそのプラットフォームで、機械学習アルゴリズムを使用して、投資会社、Fortune 100に選ばれた企業、政府機関なども含むクライアントと専門家とのマッチングを行い、従来のコンサルタント業界や検索エンジンでは出会えない専門家を利用者に紹介してくれる。

「核となっているのは、この検索が、どんな仕事をしているかに加えて、何を知っているかに基づいて人の検索を行うという点です」と、共同創設者で最高経営責任者のPeggy Choi(ペギー・チョイ)氏はTechCrunchに語った。

2005年創設のLynkは、現在までにトータルで3000万ドル(約31億円)を調達した。従業員は香港、ニューヨーク、シンガポール、ロンドン、ムンバイ、上海、ハイデラバード、トロント、マニラの8つの都市の事業所におよそ200人を擁している。今回調達した資金は、製品のローンチと、この12カ月間で需要の高まりを見せている北米と中国への進出に使われる。

Lynkの主力製品であるLynk Answers(リンク・アンサーズ)は、現在およそ200の法人顧客が利用し、地理的な事業拡大、プロダクトマーケットフィット、適正評価といったプロジェクトの調査に役立てている。また、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの影響で出張ができなくなった多くの企業が、現地調査をこのプラットフォームに頼っている。たとえば投資家は、Lynkのアドバイザーの話を聞き、新技術や特定市場のダイナミクスの理解を深めることができる。ここ数年は、いくつもの企業がLynkを利用して、サプライチェーンに影響を与える出来事などの地政学的変化に迅速に対応してきた。出荷が税関で止められた企業や、東南アジアに工場を新設して製造を多様化したい企業が、サプライチェーンの専門家に相談するということもある。

Lynkを立ち上げる前、チョイ氏はロンドンのSilver Lake(シルバーレイク)やサンフランシスコのTPGなどの金融企業で働いていた。「毎日、企業幹部やさまざまな分野の専門家と数多く対話して、新しい産業や企業のことを、短時間で学ばなければなりません。その経験から、適切な人の話を聞けるかどうかが大きな差を生むと悟ったのです」と彼女は投資家時代を振り返る。

それとは対照的に、両親が画廊を立ち上げようとした際には困惑した。「毎日ビジネスに関する質問をしてくるんです。私が答えを知っていると思い込んで聞いてくることもありました。しかし私にもわかりません。両親にとって私は適切な相談相手ではなかったのです。そこで、適切な人物を探すことにしました」と彼女は話す。「そのギャップを実感して、データを使って、何を知っているかで人を分類してはどうだろうと思いつきました」。

法人顧客のサブスクリプション登録料を収入源とするLynkは、従来型のコンサルティングとQuora(クオラ)や中国の知乎(ジーフー)のような一般消費者向けのQ&Aプラットフォームとのギャップを埋めている。同プラットフォームは、メールチェーンに代わるSaaS機能も備えている。専門家との対話を後で利用者が整理、検索、参照ができるようにする協働ツールや自動筆記機能などだ。

「ナレッジパートナー」と同プラットフォームが呼ぶLynkの専門家には、「最高」クラスの企業幹部、独立系コンサルタント、弁護士、エンジニア、金融アナリスト、科学者などが揃っている。彼らは、デジタルマーケティング、ナレッジパートナーの紹介プログラム、団体、協会、機構といった提携先などを含むいくつものチャンネルを通して集められている。Lynkは、審査の後に彼らをプラットフォームに加え、彼らはそこで自身のレートを設定する。

利用者が質問をすると、Lynkの検索エンジンがその分野の専門家や地域などを基準に専門家のリストを提示する。利用者はその候補者にいくつか質問をして、相手が相応しい人物かを確かめる。Lynkは、その会話から抽出したデータを匿名化して、検索技術の洗練や、より正確なマッチングが行えるように役立てている。利用者に選出された専門家の対応には、いろいろなかたちがある。そのほとんどは質問に答える対話形式だが、講演やワークショップの開催、さらには長期的なプロジェクトへの参加に発展することもある。

チョイ氏は、多様性のある専門家の名簿を作りあげることがLynkの最優先事項だと話す。同社の従業員と役員は男女比が同等で、国籍は20カ国以上にわたる。同社は奉仕活動や企業トップの性差の解消を目指すLynk Elite Expert Women(リンク・エリート・エクスパート・ウイメン)などの運動を通じて、コンサルティング初心者も含めた人材を募集し、多様なデータベースを構築したいと考えている。

「Lynk Elite Expert Womenキャンペーンを行っていた間に私たちが学んだのは、これが自身の価値を高める斬新な手段なのだと気づいた人が大勢いたことです」とチョイ氏。「特に、ずっと1つのことに打ち込んできた人たちは、自分の分野に関して人々が何を知りたがっているかを知りたいと考えています」。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Lynk資金調達

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(翻訳:金井哲夫)

スマート配電盤のSpanがAmazon Alexaと統合、家庭内の電気系統が音声操作で制御・監視可能に

Span(スパン)のデジタルヒューズボックスと、Amazon(アマゾン)の音声認識インターフェース「Alexa(アレクサ)」の統合は、家庭内におけるエネルギー使用量の制御やデバイスの自動化を、少しだけ簡単にする可能性がある。

この統合に合わせて、AmazonのAlexa Fund(アレクサ・ファンド)と巨大保険会社Munich Re Ventures(ミュンヘン・リー・ベンチャーズ)のHSBファンドから、新たに2000万ドル(約20億8000万円)の資金が、このスタートアップ企業に投入された。

Alexaが統合されることで、Spanのスマート配電盤を使用している住宅では、家庭内のあらゆる電気回路や電化製品のオン / オフ、各電化製品が使用している電力の監視、どの電源が家庭で最も発電しているかの判断が可能になる。

たとえば「Alexa、Spanに確認して。今、最も電力を消費しているのは何?」と質問すると、答えが返ってくる。Spanの最高経営責任者であるArch Rao(アーチ・ラオ)氏によると、Alexaの統合によって、住宅所有者は家族が持つスマートフォンなどのデバイスや家電製品を、家庭内の配線と接続することが可能になるという。

Alexaの統合は、Spanにとってテック企業が長い間有望視してきたホームオートメーションのハブとなる方法だと、ラオ氏は考えている。

「今日の家庭には、あまりにも多くのデバイスがあり、あまりにも多くのアプリがあります。我々の利点は、一度設置してしまえば、今後30年から40年の間、家の中に永続的に存在し、家の中のすべての電気に接続されているということです」とラオ氏はいう。

エネルギー使用量や出力の監視に加えて、Alexaのコマンドを使えば、居住者はシステムにプログラムされている各デバイスの電源やスイッチをオフにすることもできる。

「私たちの配電パネルは、建築環境の中で家庭に仮想的なインターフェイスを提供します。それは非常に有能なエッジデバイスであり、住宅内の電気系統をリアルタイムで監視・制御することを可能にする、本当の意味での集約ポイントと神経中枢のようなものになります」とラオ氏は語っている。

今後は、Spanが家庭内の水センサーや火災報知器センサーなどの機器とも統合して、電気系統以外の制御も提供することをラオ氏は想定している。それが実現すれば、Munich Reのような保険会社にとって有益だ。

同社が調達した2000万ドルで、ラオ氏はSpanのデバイスをできるだけ多くの家庭に普及させるために、Munich Re保険会社やAmazonのようなパートナーと協力し、販売とマーケティングを大幅に強化させる予定だ。

ホームオートメーションとエネルギー効率のアップグレードに取り組んできたSpanは、現在大きな追い風を受けており、今後は同社の配電パネルのような技術を普及させるために、政府が補助金を設定する可能性もある。

ラオ氏はSpanの従業員数を増やすことも計画している。同社の従業員は現在35名で、ラオ氏は年末までにその数を2倍の約70名にしたいと考えている。

Spanの成長は、持続可能な選択肢の増加に向けて拡大するホームテクノロジーの分野に見られる幅広い動きのひとつだ。今や多くの家庭で電化が進む給湯器やコンロなどの製品だけでなく、電気自動車の充電ステーションや家庭用蓄電装置など、エネルギーの生成や管理を行うデバイスもすべて、電力網の一部として統合が推し進められている。

「それは家庭に天然ガスを供給するパイプを断ち、オール電化をもたらします。消費者が化石燃料への依存を断ち切ろうとしているように、既存の家庭システムは効率的ではありません。各製品が統合された1つのエコシステムの構築に向け、新たなパートナーシップの機会が見え始めています」とラオ氏はいう。「家電製品の状態を監視するようなアプリケーションや、家全体を見守るようなサービスに、我々が提供するデータを組み合わせれば、これまでにないことが可能になるでしょう」。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:SpanAlexaスマートホーム資金調達

画像クレジット:Span

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(翻訳:TechCrunch Japan)