NFTマーケットプレイスを手がける暗号資産取引所コインチェックがCyberZとエンタメ領域で協業

暗号資産取引サービス「Coincheck」を運営するコインチェックは6月15日、サイバーエージェント子会社のCyberZとNFT事業において協業を開始すると発表した。両社は、エンターテインメント領域におけるNFT活用を推進する。

コインチェックは2021年3月、NFTマーケットプレイス「Coincheck NFT(β版)」を提供開始。Coincheck NFTは、NFTの取引において課題となっているネットワーク手数料(Gas代)の高騰、複数サービスを介した難しい取引などの解決を目指したサービスだ。

一方CyberZは、スマートフォン広告における運用・効果検証、交通広告やウェブCMの制作など、幅広いマーケティング事業を展開。ライブ配信プラットフォーム「OPENREC.tv」、eスポーツ事業として、国内最大級のeスポーツイベント「RAGE」を運営しいる。

両社は、タレント・アーティスト・アニメ・ゲームなど、多くのエンターテインメント事業者に対してCoincheck NFTとの連携を推進し、NFTビジネス創出を推進する。またCyberZのこれまでの知見やノウハウを活用し、Coincheck NFTを通じたエンターテインメントの新しい体験の創出を目指す。

これによりコインチェックとCyberZは、事業者収益機会の多様化や新たな顧客体験の創出を支援していくとしている。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:NFT / 非代替性トークン / クリプトアート(用語)コインチェック(企業・サービス)日本(国・地域)

暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.9.6~9.12)

暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.9.6~9.12)

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、重要かつこれはという話題をピックアップし、最新情報としてまとめて1週間分を共有していく。今回は2020年9月6日~9月12日の情報をまとめた。

「いきなりNFTトレカ」が10月3日よりSKE48とコラボでライブ撮りおろしデジタルトレカを販売、事前登録で限定トレカも

ブロックチェーン企業のcoinbookは9月11日、新しいデジタルトレーディングカードプラットフォーム「NFTトレカ」サービスの開始を発表した。同社は、NFTトレカ第1弾となる、アイドルグループ「SKE48」の大型配信ライブ「SKE48 12th Anniversary Fes 2020 ~12公演一挙披露祭~」の撮りおろし画像を収録した「いきなりNFTトレカ」を、10月3日より販売開始する。

「いきなりNFTトレカ」が10月3日よりSKE48とコラボでライブ撮りおろしデジタルトレカを販売、事前登録で限定トレカも

NFTトレカは、その名が示す通りイーサリアム(Ethereum)のブロックチェーン基盤を用いたERC-721準拠のNFT(Non Fungible Token。ノン ファンジブル トークン)として発行される。NFTは、代替不可能性を備え、発行するトークンそれぞれに固有の性質や希少性を持たせることができるため、技術的には世界に1枚しかないカードも表現できる。

NFTトレカは、発行時にアーティスト名・公演名・発行枚数・購入者(氏名など個人を特定するものではない)などのデータをブロックチェーン上に記録するため、データの改ざんができないことから複製も不可能となる。

また、ユーザー間でトレード(売買)を行った場合は、新しい購入者情報が記録される。これらの履歴は、すべてウェブ上で誰でも確認できるためカードの真贋性・希少性がブロックチェーンによって担保されるため、NFTトレカはデジタルトレーディングカードでありながら、既存トレーディングカードのようにコレクションとして楽しめる。

NFTトレカ第1弾は、SKE48とコラボレーション!

NFTトレカの第1弾は、SKE48とのコラボレーショントレカ「いきなりNFTトレカ」。10月3日~5日の3日間にわたって開催される配信ライブ「SKE48 12th Anniversary Fes 2020 ~12公演一挙披露祭~」の全12公演からの撮りおろし画像を収録したNFTトレカとなる。1パック5枚入りで税別価格1000円で販売される。NFTトレカの購入には、スマホ向け専用アプリケーション「NFTトレカ」(スマートアプリ提供)が必要になる(iOS・Android版、9月末リリース予定)。なお、ライブの状況によっては、販売開始時間が遅延する場合がある。

NFTトレカ第1弾は、SKE48とコラボレーション!

またNFTトレカは、同コラボを記念し「SKE48 Valentine’s Day Live 2020 ~CHOCOLATE in 静岡エコパアリーナ」 のライブ未公開写真を使った「限定シークレットNFTトレカ」をプレゼントするキャンペーンを行っている。対象は、キャンペーンページにおいてメールアドレスを登録した事前登録者全員。キャンペーン期間は、9月11日よりサービス開始まで(9月末予定)。特典の付与は10月上旬を予定、受け取りにはNFTトレカアプリのダウンロートが必要となる。

つくば市、市が支援する実証実験採択の最終審査にデジタルIDアプリを活用したインターネット投票を実施

茨城県つくば市は9月10日、マイナンバーカードとデジタルIDアプリ「xID」(クロスID。iOS版Android版)およびブロックチェーン技術を活用したインターネット投票を9月18日~25日に実施すると発表した。同市が募集する「令和2年度つくばSociety 5.0社会実装トライアル支援事業」の最終審査にインターネット投票を活用する。

つくば市、市が支援する実証実験採択の最終審査にデジタルIDアプリを活用したインターネット投票を実施
つくば市は、2018年および2019年の「つくばSociety 5.0社会実装トライアル支援事業」の最終審査にて、同インターネット投票を用いた実証実験を行ってきた。2018年の実証実験では、インターネット投票にブロックチェーン技術を活用することで、投票内容の改ざん防止や秘匿性の確保を検証。2019年は、顔認証技術による本人確認や遠隔投票について検証をしてきた。

3回目の実証実験となる2020年は、GovTech領域に取り組むxID(旧社名blockhive)が提供するスマホ向けデジタルID(身分証)アプリ「xID」を使い本人認証を行うインターネット投票を実施する。xIDは、ブロックチェーンを活用しマイナンバーカードと連携させることができる最新の身分証アプリ。

「Society 5.0」の社会実装に向けたトライアルとは

つくば市は、平成29年度(2017年度)から「Society 5.0」の実現を目指し、革新的な技術やアイデアで社会課題を解決する、Society 5.0の社会実装に向けたトライアル(実証実験)事業案を全国から公募し、採択事業を支援している。

Society 5.0とは、IoT・ロボット・AI・ビッグデータなどの新技術を取り入れ、イノベーションを創出し社会的課題を解決する新たな社会のこと。令和2年度は、「With/Afterコロナの生活スタイル」をテーマに企画を募集したところ、21件のエントリーがあったという。

エントリー案から一次審査を通過し、最終審査に進んだ提案を採択する最終審査会については、9月25日にオンライン開催および生配信を行う(YouTubeチャンネルで公開予定。9月14日時点では準備中)。審査は、市長・有識者による評価に加え、一般からインターネット投票の結果も加味される。投票期間は9月18日から25日まで。

また、一般の投票に先駆け、市長によるネット事前投票のデモンストレーションを9月16日に市役所にて実施される予定。ちなみに、提案者のプレゼンテーションは事前にネットにて公開される予定だが、こちらも20209月14日時点では調整中という。

スマホ向けデジタルID(身分証)アプリ「xID」

スマホアプリxIDは、マイナンバーカードと連携することで、本人認証を行えるデジタル身分証アプリ。xIDは、最初の設定でマイナンバーカードの基本4情報(氏名、住所、性別、生年月日)をスマホのNFC(近距離無線通信)を経由して読み取り、マイナンバーカードとxIDアプリをひも付ける。

ひも付け以降、xIDと連携したサービスでは、個人情報の入力や身分証を使用することなく、本人確認・電子認証・電子署名が可能となり、個人情報を何度も入力する手間を軽減できる。また、事業者もxIDに対応することでマイナンバーカードに紐づく本人確認情報を取得可能となるため、従来の本人確認業務やコストを削減できる。

また、マイナンバーカードから取得した個人情報は暗号化されてデータベースに記録されるため、xID運営者側も確認することはできない。

スマホ向けデジタルID(身分証)アプリ「xID」今回のインターネット投票では、xIDを設定しておくことで投票時のマイナンバーカード認証は不要となる。

投票は、市ホームページの特設ページにアクセスし、xIDによる本人認証後、投票画面において一番良いと考える提案を選択して投票する。投票対象は、一次審査を通過した9件の提案。すべての投票を対象に集計し、得票数1位を表彰する(ネット投票の1位として)。ただし、同投票で選ばれた案が最終決定案とは限らない。投票結果のうち、マイナンバーカードを利用した投票を対象に、最終審査にポイントとして加点されるという。

ちなみにインターネット投票は、アプリのダウンロードができないスマホは不可、マイナンバーカードの利用はNFC対応の機種のみに限定される。

なお、投票システムの開発・構築には、同実証実験に2018年から参加しているVOTE FORらが協力している。

コインチェック、「マインクラフト」内で利用可能なNFT取り扱いに向けEnjinと連携開始

暗号資産取引所「Coincheck」を運営するコインチェックは9月9日、ゲームとブロックチェーンのエコシステム構築を目指すシンガポールのEnjinとNFTマーケットプレイス事業において連携を開始したと発表した

コインチェック、「マインクラフト」内で利用可能なNFT取り扱いに向けEnjinと連携開始

コインチェックは2020年8月27日、NFTを暗号資産と交換ができるNFTマーケットプレイスの事業化検討を発表。2020年度内のサービス提供開始を目指し、NFTマーケットプレイスへの参加企業の募集をすでに開始している。

このNFTマーケットプレイスにおいて同社は、Enjinのブロックチェーン資産発行プラットフォーム「Enjin Platform」を通じ発行された、世界的人気ゲーム「Minecraft」(マインクラフト)で利用可能なNFT(Non Fungible Token。ノン ファンジブル トークン)を取り扱うことを目指すという。

コインチェックはは、暗号資産取引所Coincheck上にNFTマーケットプレイスを展開することで、ユーザーに対して、従来マーケットプレイスよりも手軽にかつ安全に取引できる環境を提供できるとしている。

コインチェック、「マインクラフト」内で利用可能なNFT取り扱いに向けEnjinと連携開始

Enjin提供のEnjin Platform

Enjin提供のEnjin Platformは、イーサリアムベースのERC-1155準拠トークンをサポートしており、既存ゲーム(あるいは開発中のゲーム)のブロックチェーン化を支援する開発ツールとしても利用可能。ゲーム開発者はEnjin Platformを導入することで、単一のスマートコントラクトでNFTを発行できる(ERC-1155の競合として、Loom Networkが提案した規格ERC-721xがある)。

またEnjinは、Enjin PlatformとしてJava用の開発キット「Enjin SDK for Java」を提供する。同SDKは、Javaで構築されたサービスとブロックチェーンを連携できる。

マインクラフトサーバーに導入可能なプラグインツール「EnjinCraft」

Enjinは同時に、ブロックチェーン技術を導入したオープンソースのプラグインツール「EnjinCraft」を開発した。

マインクラフトサーバーに導入可能なプラグインツール「EnjinCraft」

プラグインツールは、マインクラフトサーバーの所有者であれば、誰でも導入できるという。EnjinCraftをマインクラフトのサーバーに導入することで、ブロックチェーンとの連携が可能になる。またプレイヤーは、Enjin Platformによって発行されたNFTを、マインクラフト内での使用だけでなく、資産の一部として管理し、マーケットプレイスを通じてNFTの取引が行える。

月間プレイヤー数1億2000万人、累計販売本数2億本を超える人気ゲームマインクラフトにおいて、ゲーム上でNFTが発行可能となることで、NFTマーケット市場の活性化が期待できるという。

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カテゴリー:ブロックチェーン

タグ:仮想通貨 / 暗号資産

暗号資産取引所コインチェックが企業独自の電子トークンで資金調達可能なIEOプロジェクト発足、Hashpaletteとタッグ

暗号資産取引所コインチェックが独自トークンで資金調達を行う日本初のIEOプロジェクト発足、Hashpaletteとタッグ

マネックスグループ傘下の暗号資産取引所コインチェックと、ブロックチェーンを活用したコンテンツ産業のデジタル化を目指すHashpaletteは8月25日、独自トークンによる資金調達を行える日本初のIEO(Initial Exchange Offering。イニシャル・エクスチェンジ・オファリング)の実現に向け、共同プロジェクトを発足したと発表した。日本のコンテンツのさらなるグローバル化とともに、投機対象としての暗号資産ではなく、社会的意義を有する暗号資産の創造に取り組むとしている。

Hashpaletteは、合計1000万MAUのマンガアプリ群を運営するLink-Uと、ブロックチェーン領域の事業立案・製品開発を支援するHashPortとによる合弁会社。

今回の共同プロジェクトでは、Hashpaletteがユーティリティ性を有するトークン「パレットトークン」(PaletteToken、PLT)をイーサリアム(Ethereum)上で発行し、コインチェックがPLTを販売する予定。PLTは、マンガ・アニメ、スポーツ、音楽などコンテンツのためのブロックチェーンプラットフォーム「パレット」(Palette)において利用される。

パレットは、コンソーシアム型(プライベート型)ブロックチェーン「パレットチェーン」(Palette Chain)を基盤とし、一定条件を満たす複数のコンテンツ企業がコンセンサスノードとしてコンソーシアムを運営する。コンソーシアム参加企業については現在複数社と協議中で、今後順次発表する予定としている。PLTは、クロスチェーン技術により「パレットチェーン」とイーサリアム上を自由に行き来可能という。

またHashpaletteは、これら詳細をまとめたホワイトペーパー公開時にPLTの発行総額および販売による資金調達額を公表する予定。ホワイトペーパーの公開時期は明らかにしていない。

暗号資産取引所コインチェックが独自トークンで資金調達を行う日本初のIEOプロジェクト発足、Hashpaletteとタッグ

IEOは、企業・プロジェクトが発行した電子的なトークンを、委託を受けた暗号資産取引所が販売する形で資金を調達するという仕組み。スマートコントラクト利用などの体裁で、発行体自身が投資家への販売も手がけるICO(Initial Coin Offering)との違いは、販売をになう暗号資産取引所が主体的な管理・支援を行う点にある。

ICOは、従来の新規株式公開(IPO)に比べ、スタートアップなど企業が資金を手軽に調達できる手法として一時注目されたものの詐欺を含め信頼性の低い案件が数多く存在したことから、2017年には日本の金融庁も消費者・事業者に向けた注意喚起を発するなどを行った。また現在では、販売するトークンが改正資金決済法における暗号資産に該当する場合は、金融庁に対して「暗号資産交換業」の登録を行う必要がある。

IEOでは、暗号資産取引所が、発行体およびトークンについて健全性の調査・審査を行った上販売する形態となる。海外の例では、ゲーム開発会社Animoca Brands(アニモカブランド)が、暗号資産取引所Binance提供のIEOプラットフォームを通じて、ブロックチェーンゲーム「The Sandbox」のSANDユーティリティトークン300万ドル(約3億1700万円)相当を販売すると発表したものがある。

先に触れたパレットは、ファンコミュニティにおいてコンテンツを活用したデジタルアイテムを発行・管理・流通させるためのプラットフォーム。デジタルアイテムは、ノン ファンジブル トークン (Non Fungible Token。NFT)として発行される。様々なコンテンツをNFTとしてデジタル化することで、誰でも簡単に所有・売買可能になると考えているという。将来的には、「マンガの限定読切閲覧権」や「限定コンサート参加権」などの体験をクリエイターやアーティストがユーザーに提供できるエコシステムを構築できるとしている。

PLTは、パレットチェーンにおけるコンセンサスノード運営報酬の支払い、スマートコントラクトの発行手数料(GAS)、NFT売買の決済などの用途で使用される。

NFTの決済にPLTを用いることで、NFTの送付と金銭の受け渡しを同時に実施可能となり、中間者にあたるエスクローサービスを介することなく、安全な2次流通市場を構築可能としている。またPLTは、パレットチェーンの維持・運営におけるインセンティブ設計においても重要な役割を占めるとしている。

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仮想通貨交換業から建設業へ転身、ユニオンテックCFO木村氏の挑戦

ユニオンテックは12月1日、CFO(Chief Financial Officer)として、元コインチェックCFOだった木村幸夫氏の就任を発表した。同社は経営陣に新たな人材を加えることで組織体制の強化を図り、ネット関連事業をいま以上に加速展開させる狙いだ。

写真に向かって左から、ユニオンテックの新CFOに就任した木村幸夫氏、代表取締役社長の韓 英志氏

ユニオンテックは、現会長の大川祐介氏が2000年に内装仕上げを主力事業として立ち上げた建設会社だ。2016年にはネット事業に参入し、建設業界の受発注に特化したマッチングプラットフォーム「SUSTINA」(サスティナ)を提供。現在の会員企業数は1万1000社超、登録職人は11万人超と国内有数のサービスに成長している。

2018年9月には元リクルートの韓 英志氏が社長に就任。会長の大川氏と二人三脚で建設業界のディスラプトを進めてきた。18歳のときにクロス職人として建設業界に入った大川氏は、2018年10月に日本SHOKUNIN総研(日本職人総研)を設立し、建設業界の環境改善や建設職人の意識改革に取り組んでいる。

一方の韓氏は、SUSTINAをはじめとするネット事業に注力。職人仲間からの紹介・斡旋が中心だった仕事の受発注を、適正な評価システムなどを活用して、職人企業の新規顧客開拓を支援している。同社は建設会社としては珍しく、著名なネット企業から転職してきたエンジニアを中心とした、20人超の抱えるプロダクトチームを擁し、オフショアではなく自社でサービスを開発・運営しているのも特徴だ。2019年1月には、DCMベンチャーズを引き受け先とする第三者割当増資で9.7億円の資金調達も実施した。

関連記事:建設職人マッチングのユニオンテック、設立20年目にして米VCから約10億円調達、なぜ?

直近の同社の活動としては、10月に発生した台風19号の被災地域で、SUSTINAのネットワークを活用して、首都圏だけでなく全国から職人を募って、ブルーシートの張り替え作業などを支援。最初に支援協力した千葉県富津市では、高齢者や損壊の激しい家屋を中心に、同社が職人の手配から職人の滞在費、資材費、ブルーシートの張り替えなどの施工費まですべてを負担して、ボランティアとして活動。その後、千葉県庁からの依頼で県下の被災地全域での支援に切り替わり、千葉県に寄せられた約700件の案件のうち、200件超の案件をユニオンテックが請け負ったという。なお、富津市以外の案件については、職人の派遣をユニオンテックが担当し、滞在費(宿泊日)や交通費は千葉県が負担した(資材費や施工費は、被災者負担)。

韓氏によると「被災地に個人でブルーシートを運んでいたときに富津市役所の関係者の方との出会いがあり、すぐに支援することを決めた」とのこと。こうして富津市でのボランティアが始まった。その後、千葉県からの要請を受け、被災地支援専用のコールセンターをユニオンテック社内を設け、多いときは1日200件を超える連絡を受けたという。

なお、被災地支援中に自衛隊による復旧作業も並行して実施されたが、自治体でも正確な情報を把握することは難しいほど混乱した状況だったそうだ。「ブルーシートをきちんと張り付けられる高所作業に長けた職人は現地では圧倒的に足りず、自衛隊の支援を除くと数週間から数カ月待ちだった」と同氏。損壊した瓦の復元工事に至っては、被災者にとっては気の遠くなる1年半待ちという状態だったそうだ。

自治体すら把握できない混乱状態だったので、復興支援に見せかけた詐欺や工事代金の高額請求などのトラブルが発生する懸念があった。そこで同社は、被災地への職人の派遣にSUSTINAのデータベースと建設会社として20年間積み上げてきた実績をフル活用。同社と実際に取引があり信頼のおける1500社超の建設会社に被災地支援を打診したところ、職人がすぐに呼応。北は北海道から、西は兵庫県から職人が千葉県に駆けつけたそうだ。

関連記事:台風15号の被災地・千葉県富津市をユニオンテックが復興支援、建設職人マッチングサービス「SUSTINA」を活用

金融業界と建設業界は実はよく似ている

このユニオンテックに、元コインチェックの木村氏が新たにCFOとして加わることになる。同氏は、コインチェックが旧社名のレジュプレスのときの2016年に、CFOとして参画した人物。それ以前は、2000年に監査法人トーマツに入所し、2004年公認会計士登録。2006年からはコンサルティング会社のグローウィン・パートナーズで、シニアコンサルタントとして数十件のM&A案件を担当し、財務デューデリジェンス、株価算定業務に従事したほか、IPO支援、業務改善などにも携わった。2010年には、保険持株会社であるアニコムホールディングスに入社して、財務部長、給付管理部長、経営企画部長を歴任。東証一部への市場変更のプロジェクト責任者などを務め、子会社のCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)であるアニコム キャピタルの社長も兼務していた。

「コインチェックは入社してすぐに会社の規模が非常に大きくなり、IPOに向けた準備もしていたが、2018年1月に仮想通貨流出という大事件を起こしてしまった。事件後は、もう一度コインチェックを復活させ、会社に残った社員がきちんと働ける環境を整えることを目指して、被害者への補償やセキュリティの強化などに務めた」と同氏。事件から3カ月後の同年4月にマネックスグループ入りして事業を続行してきた同社は、2019年1月にそれまでの「みなし業者」から正式な仮想通貨交換業者として金融庁の登録が認められるまでに回復した。

木村氏によると「ユニオンテックへの移籍は金融庁の登録が契機ではないが、コインチェックのマネックスグループ入り後は、株主構成や経営体制も変わってきたことで経営基盤が安定したことから、次のチャレンジに向けた活動の機会を模索していた」という。ユニオンテックではCFOという役職に就任するが、当面は同社の組織運営を含めたCOO的な役回りも担当し、社長の韓氏とともに建設職人マッチングサービスのSUSTINAを中心に、ネット関連事業の拡大を進めていく。

「転職時に特に業界は決めていなかったが、建設業界の現状を知りユニオンテックでぜひ仕事をしたいと感じた。建設業界も市場やプレイヤーが巨大かつ長い歴史があるゆえに、まだまだITの進展によるビジネスチャンスの余地が大きいと感じている。まずは社内組織の改善を進めて、今後の攻めにつなげていきたい」と木村氏は力強く語ってくれた。

需要逼迫なのに人手不足に陥る建設業界をテクノロジーで解決

建設業界は、2030年には需給のバランスが大きく崩れることが指摘されている。大都市部では今後、築後10年や20年を経過したタワーマンションや超高層ビルなどの大規模修繕の需要が激増するほか、来年の東京五輪や2025年の大阪万博などで新規着工も増える。一方で、少子高齢化や職場環境の問題で職人の人手不足は深刻だ。そのため、建設投資額が増えるが、技能労働者、すなわち建設職人が減っていく。その結果、建設コストの高騰はもちろん、職人が集まらずに建設計画の見直しを余儀なくされるケースも多数出てくると考えられる。

建設業界も、ドローンやGPSを使った測量をはじめとして今後は機械化やロボット化が進むと考えられるが、それはミリ単位での調整が不要な土木工事などに限られる。図面どおりには建てられず日々の修正が必要になる建築物については、職人の手がどうしても必要になるのだ。

しかし、今後訪れる職人の人手不足はミスマッチを減らすことである程度軽減できる。そして労働環境が改善されると、職人を目指す人材も増えるはずだ。ユニオンテックはこういった問題を解決して好循環を生み出すため、今後ネット事業を主力事業に育てる戦略を掲げている。「現在請け負っている仕事で、ユニオンテックが請けるより、SUSTINAの登録会社が担当したほうが適切と判断した仕事はどんどん譲っていきます」と韓氏。建設会社は一人親方のケースも多く、小規模な工事であれば工期や工事代金などをユニオンテックよりも柔軟に対応できるケースもある。ユニオンテックがプラットフォーム事業に注力することによって、小規模な建設会社の新規顧客開拓につなげるという狙いもあるようだ。

そして同社がいま取り組んでいるのは、前述したユニオンテックとの取引実績がある1500社超のデータベースと同じものを、SUSTNAの法人会員1万社超に広げていくこと。所在地や従業員数はもちろん、人工単価、取得資格、夜間工事可能かどうか、得意とする工事、取引先、保険といった信用情報を蓄積することで、SUSTINAを介した取引量の増加を目指していく。

従来の職人仲間からの仕事の斡旋だけでは非効率だった受発注をSaaSで提供することで建設職人自身の働き方改革も目指す同社。韓氏は「今後は建設職人の空き時間までリアルタイムで可視化できるようにして職人の流動性を高め、受発注のミスマッチをなくしていく」と語る。

金融庁、コインチェックを仮想通貨交換業者として正式登録

金融庁は1月11日、仮想通貨交換業者のコインチェックを改正資金決済法にもとづく業者として正式登録したと発表した。同社は2018年1月に約580億円相当の仮想通貨NEMが流出したことを発表。同社はこれにより、日本円を含む取り扱い通貨全ての出金を停止するなどサービス一部の一時停止を余儀なくされた。また金融庁はこれを受け、コインチェックに対して2度の業務改善命令を出すなどしていた。

コインチェックは2018年11月までに事件の発端となったNEMを含む全仮想通貨の購入、入金を再開するなど徐々に提供サービスの再開を進めてきたが、ついに今回金融庁はコインチェックを正式な登録業者として認めることとなった。同社は今後、登録を受けていない「みなし事業者」ではなくなり、登録済みの仮想通貨取引所として運用できるようになる。

コインチェックなど仮想通貨関連記事が上位に(2018年1月ランキング)

2018年にアクセス数の多かった記事を月別に紹介していく年末企画。まず2018年1月を振り返ってみると、仮想通貨(暗号通貨)関連の記事にアクセスがトップ4を独占した。TechCrunch Japanでは、仮想通貨やブロックチェーンに関する記事は1年を通じて人気があるが、1月のアクセスは異常ともいえる規模だった。

注目はやはり、1月26日未明に発生した仮想通貨の取引所であるコインチェックから仮想通貨MEMが流出した事件。コインチェックはこの後、マネックスグループ傘下となり取引所のセキュリティ体制を強化。日経報道によると、まもなく金融庁から仮想通貨の登録業者として認可される見込みだ。

5位に入ったのはiPhoneのバッテリー問題の記事。バッテリー劣化による突然のシャットダウンを回避するため、Appleが意図的に旧iPhoneの性能を落としていたことが発覚し大騒ぎとなった。その後、Appleは低価格でのバッテリー交換に応じる決断を下した。

1位 Bitcoin、Ethereum、その他ほとんどすべての暗号通貨が暴落
2位 コインチェックが580億円のNEM不正流出について説明
3位 仮想通貨の税金計算をサポートする「G-tax」ベータ版公開
4位 Bitcoinを150ドルから1000ドルに釣り上げたのは一人の仕業だったらしい
5位 iPhoneの29ドルのバッテリー交換はほとんど無条件になった

コインチェック、イーサリアムやネムなど3通貨の入金・購入を再開

コインチェックは10月12日、仮想通貨イーサリアム(ETH)、ネム(XEM)、リスク(LSK)の3通貨について入金と購入を再開した。本日よりサービス再開となる。「外部専門家による協力を受け技術的な安全性の確認が完了」したためとコインチェックはコメントしている。なかでも特に、XEMに関してはコインチェックの仮想通貨流出事件で実際に流出した通貨にあたるため、今回のサービス再開は大きな進歩と言える。

同社は10月30日に新規口座開設と4種類の仮想通貨(BTC、BCH、LTC、ETC)の入金と、3種類の仮想通貨(BCH、LTC、ETC)の購入を再開している。同社がこれまでに再開してきた各取扱仮想通貨のサービス・機能は以下の通り。

このほか、コインチェックは現在、XRPとFCTの入金・購入、レバレッジ新規建取引、Coincheck Payment、Coincheck でんきのサービス再開準備を整えているところだ。

コインチェック、新規口座開設と一部通貨の入金・購入を再開

コインチェックは10月30日、2018年1月に発生した仮想通貨流出事故の影響でこれまで停止していた新規口座の開設、および一部仮想通貨の入金・購入を再開すると発表した。仮想通貨の入金再開対象となる通貨は、BTC、ETC、LTC、BCH。購入再開の対象通貨は、ETC、LTC、BCHとなる(BTCの売買はもともと停止対象外だった)。

今回の一部サービス開始により、コインチェックにおいて現時点で利用できるサービスは、新規口座開設、仮想通貨の入金・購入(BTC、ETC、LTC、BCHに限る)、仮想通貨の出金・売却(全取扱通貨)、日本円の入出金、レバレッジ取引における決済と証拠金の入金、Coincheck貸仮想通貨サービス(全取扱通貨)となる。

なお、コインチェックは仮想通貨ETH、XEM、LSK、XRP、FCTの入金・購入や、ビットコイン決済サービスの「Coincheck Payment」などの各種サービスについて、「引き続き安全性の確認を行い、準備が整い次第、順次再開してまいります」とコメントしている。

マネックスG代表取締役の松本氏、「コインチェックには素晴らしいブランド価値がある」

4月6日、NEM流出事件の渦中にあったコインチェックを36億円で買収すると発表したマネックスグループ。同日、そのマネックスグループとコインチェックは合同で記者会見を行った。

コインチェックは、一時はTVCMを大々的に放映し、顧客口座数も170万件を超えるほどの勢いがあった。とはいえ、重大なセキュリティ不全による流出事故を起こしたコインチェックを買収し、仮想通貨交換業に参入するのには、もちろんそれなりのリスクがある。その買収を決断したマネックス代表取締役の松本大氏は、本日開催された記者会見でコインチェックのブランド価値と仮想通貨に対する熱い期待を語った。

松本氏は、「コインチェックには素晴らしいブランド価値がある」と強調する。その証拠に、マネックスグループは買収後も“コインチェック”という社名とサービス名を維持する考えだ。また、外部牽制が必要との考えから、コインチェックを将来的に上場するという将来像も明らかにしている。「リスクは管理できるもので、どんなリスクにも値段がある。ただ、コインチェックが築いてきたブランド価値や顧客基盤をイチからつくることは到底できない」と、買収を決断した理由について語った。

「今回の買収を伝える報道も、日本語だけでなく、スペイン語やロシア語でも報道されている。マネックスグループとしては、こんなことは過去にはなかった。それだけ、コインチェックのブランドには価値がある」(松本氏)

今回の買収は、コインチェックから持ちかけた話だった。約3年前からコインチェックのユーザーとして個人的に仮想通貨の取引を行っていた松本氏は、かねてからコインチェック代表取締役の和田晃一良氏とCOOの大塚雄介氏とは交流があったという。

NEM流出事件後、松本氏はすぐに和田氏たちに対して「何かできることがあれば教えてほしい」と連絡をしていたのだそうだ。その後、両社のコミュニケーションは途絶えたが、3月半ばごろ、コインチェック側からマネックスグループに対し、会社売却の打診があったという。コインチェックは、この打診をマネックスグループを含む複数社に対して行っていた。

仮想通貨に対する松本氏の期待は熱い。「仮想通貨の時価総額は、金(きん)の時価総額の5%にまで達した。時価総額が1兆円規模の資産はいつか衰えるかもしれないが、ひとたび時価総額が50兆円にまでなった資産は、これからも伸びていく」と松本氏は話す。「金だって、偽物かもしれない。金だって、盗まれるかもしれない。仮想通貨はその真正性を証明することは必要だが、金よりも軽い仮想通貨は支払い手段としてメジャーになっていく」。

しかし、今回の事件を期に、多くの人々が仮想通貨取引の安全性について疑問を持ち始めたのは間違いない。コインチェックという名前を聞くと、まず今回の事件を想起するという人もいるはずだ。そのため、コインチェックの看板を文字通りに引き継ぐマネックスグループは、経営体制の抜本的な見直しを行い、サービスの安全性を高め、それをユーザーにアピールする必要がある。既報にあるように、コインチェック創業者兼CEOの和田氏とCOOの大塚氏は、経営責任を取り、現職を退任することが決定している。

和田氏は、「一番重要なのは顧客資産を保護することだと考えている。内部管理体制の強化のためには、私が代表取締役を退任することは手段の1つ。それによって体制が強化されるのであれば、(コインチェックを手放すことに)躊躇はなかった」とコメントした。

コインチェックは、460億円にものぼるNEM保有ユーザーへの保障金をすべて自己資金で賄うと発表していた。その保障も買収が決まる以前にすでに完了していたという。その事実からも分かるように、流出事件が起きる以前のコインチェックはそれ相応の利益をあげるだけの実力があった。

今回の買収は、のちに“それだけの実力をもつビジネスをお買い得価格で買えた”と評価されるのだろうか、それとも失敗だったと評価されるのだろうか。それは、マネックスグループが培ってきた金融企業としての経験や知恵をコインチェックにどれだけ活かせるかにかかっている。

松本氏は、「ほんの25年ほど前まで、国債の取引の現場では、数百億円もの有価証券をアタッシュケースに入れて日銀の5番窓口まで持っていっていた。金融の世界でも、案外最近まで色々なリスクを内包させながらビジネスをやってきたということだ。しかし、私たち金融業界の人間がビジネスをあり方を改善してきて今がある。そのような経験は、コインチェックの今後の発展に活かすことができる」と話す。

新生コインチェックは、4月16日をもって新しい経営体制を確立。これまで継続してきた管理体制の強化を4月以降も行い、約2ヶ月後をめどに仮想通貨交換業登録の取得とサービスの全面再開を目指すという。

NEM流出事件の渦中にあるコインチェックをマネックスが買収か

580億円相当の仮想通貨NEMが流出した事件で、金融庁から二度の業務改善命令を受けていたコインチェック。同社は3月12日、NEMを保有していたユーザーに対する保障と、一部仮想通貨の出金・売却を開始すると発表していた。

その同社に対して、ネット証券のマネックスグループが買収提案を提示したと4月3日に日経新聞が報じた

同紙によれば、マネックスグループはコインチェックの議決権の過半数を取得し、経営陣を刷新する。コインチェックの創業者である和田晃一氏と、COOの大塚雄介氏は取締役から外れる。報道によれば、買収額は数十億円になる見込みだという。両社は週内にも今回の買収提案について会見をひらく見通しだ。

TechCrunch Japanは現在、コインチェックに対して事実確認を行っている最中だ。新しい情報があれば記事をアップデートする。

コインチェックがNEM保有者への補償と一部仮想通貨の出金・売却再開を発表

3月12日、コインチェックは、1月26日に起きた仮想通貨NEMの不正送金に関する補償と、一部仮想通貨の出金・売却再開について発表を行った。

まず、仮想通貨NEMの不正送金に関する補償については、同日中に行うとコインチェックでは述べている。補償対象は日本時間2018年1月26日23:59:59時点でNEMを保有していた顧客で、補償金額は88.549円×同時刻での保有数。補償は日本円で行われ、顧客のCoincheckアカウントの残高に補償金額が反映される。NEMと日本円のレートは1月28日に発表されたものと同額。3月8日の同社の会見では、補償対象のNEM総数は5億2630万10XEMと発表されており、補償総額は約466億円となる。

日本円での補償にともなう課税については国税当局に同社が相談を行っており、分かり次第アナウンスが行われるという。平成29年分の確定申告には影響はない。

一方の一部仮想通貨の出金・売却再開については、同日から順次行われるという。再開される機能は一部仮想通貨の出金と売却で、入金・購入は対象外。出金再開対象となるのは、ETH、ETC、XRP、LTC、BCH、BTCの各通貨。売却再開対象はETH、ETC、XRP、LTC、BCHの各通貨(BTC売却は停止されていない)。

コインチェックでは今回の再開について「外部専門家による協力のもと技術的な安全性等の確認が完了した」ことを受けてのものだと述べている。再開は技術的な安全性等の確認が完了した機能、通貨から順次行う、としている。

また「全ての仮想通貨の入金、購入、新規登録等については、経営管理態勢及び内部管理態勢が整い次第再開する」という。コインチェックでは3月8日の金融庁による業務改善命令を受け、内部管理態勢、経営管理態勢等を抜本的に見直すとコメントしていた。

NEM不正流出から現在までの主な流れは、以下の通り。

NEM保有者への補償は来週めど――2回目の業務改善命令を受けたコインチェックが会見

580億円相当のNEMが流出した事件で金融庁から業務改善命令を受けていたコインチェック。同社は3月8日16時より、「これまでの経緯及び今後の対応」を説明するとして記者会見を開いた。

会見に先駆けてコインチェックは同日午前11時、今回のNEM流出事件に関連し、金融庁から2度目の業務改善命令を受けたことも明らかにしている。そのプレスリリースによれば、コインチェックは金融庁に対し、3月22日までに業務改善計画を書面で提出するとともに、業務改善計画の実施完了までのあいだ、1ヶ月ごとの進捗・実施状況を翌月10日までに書面で報告するとしている。

コインチェックは流出事件が発覚したあと、自社および外部のセキュリティ会社5社による調査を実施した。同社は記者会見の中で発生原因の調査結果を明らかにした。以下はその概要だ。

今回の流出事件を起こした外部の攻撃者は、コインチェック従業員の端末にマルウェアを感染させ、外部ネットワークから当該従業員の端末経由で同社のネットワークに不正にアクセス。攻撃者は、遠隔操作ツールにより同社のNEMのサーバー上で通信傍受を行いNEMの秘密鍵を窃取したという。その秘密鍵を利用した不正送金を防げなかったのは、コインチェックがNEMをホットウォレットで管理していたのが原因だ。

コインチェック取締役の大塚雄介氏によれば、同社はセキュリティ強化策の一環として、以下を実施したという。

  • ネットワークの再構築:外部ネットワークから社内ネットワークへの接続に対する入口対策の強化および、社内から外部への接続に対する出口対策の強化。
  • サーバーの再設計及び再構築:各サーバー間の通信のアクセス制限の強化、システム及びサーバーの構成の見直しを実施
  • 端末のセキュリティ強化:業務に使用する端末を新規購入し、既存端末を入れ替え
  • セキュリティ監視:社内のモニタリング強化など
  • 仮想通貨の入出金等の安全性の検証:コールドウォレットへの対応など、安全に入出金などが行える技術的な検証を進める。

また、同社はこれらの技術的なセキュリティ対応に加えて、以下のシステムリスク管理態勢の強化を図る。

  • システムセキュリティ責任者の選定と専門組織の設置
  • システムリスク委員会を設置
  • 内部監査態勢の強化
  • その他経営体制の強化

これらの対応をとったうえで、同社は「一時停止中のサービスの再開に向けて全力を挙げて取り組むとともに、金融庁への仮想通貨交換業者の登録に向けた取り組みも継続し、事業を継続する」と述べている。

また、注目されていたNEM保有者への保障については、来週中をめどに実施することを明らかにした。補償総額を算出するNEMと日本円のレートは、先日同社が発表していた1 NEM = 88.549円となる。

当初、コインチェックは保証対象のNEM総数を5億2300万XEMとしていたが、同社は本日の会見でその総数が5億2630万10XEMとなることを発表。これに先ほどのレートをかけ合わせると、補償総額は約466億円となる。

現在、コインチェックの記者会見では質疑応答が進行中だ。詳細はのちほどアップデートしてお伝えする。

日本円の出金は401億円、事業継続と業者登録を目指す——コインチェック大塚COOが説明

コインチェック取締役COOの大塚雄介氏

仮想通貨「NEM」の不正流出事件が起こり、仮想通貨の売買や日本円の出金を停止していた仮想通貨取引所「Coincheck」。サービスを運営するコインチェックは2月13日、日本円の出金を再開した

コインチェックでは同日20時から本社が入居するビルのエントランスで会見を実施。同社取締役COOの大塚雄介氏が現状を説明した。なお、同日午後には複数メディアで同社が会見をするとの報道があったが、報道後も同社広報は「会見は行わない」としていた。

冒頭、大塚氏は「まだすべて話をするわけではなく、後日改めてその機会を設けさせていただきたいと思う」とした上で、現時点での同社の状況を説明した。

コインチェックでは2月13日付けで金融庁の業務改善命令に対して、報告書を提出。「継続して事業をさせて頂くところを一歩一歩、改善を進めている。まず一歩目だが、日本円の出金を再開した」と説明。すでに13日だけで401億円の出金を終了しているという。また明日以降についても、順次出金を行うという。すでに発表済みのNEMに関する補償については「ある程度の目処はついている」としたものの、時期や詳細については「確定したらご報告する」とするにとどめた。

現時点ではいまだ中止している仮想通貨の送金や売買に関しては、外部のセキュリティ専門会社と安全を確認した後に再開するという。ただしこちらに関しても具体的なスケジュールは明示せず、「明確に決まり次第、ちゃんとご報告をさせていただく」とした。

大塚氏かra

説明があったあと、報道陣との質疑応答が行われた。以下はその概要だ。なお会見は「後ろの予定が詰まっている」(同社)とのことで20時20分で終了した。最後に報道陣が投げた「被害者に対してひと言」という質問に回答することなく、大塚氏はその場を去っている。

–業務改善報告書の内容、金融庁とのやり取りについて
お答えすることができないかたちになっている。(記者からの話せる範囲で、という質問に対しても)ちょっとお答えできない。すみません。基本的には今、進めている最中。内容についても、プレスリリースには出しているが、改善報告書の項目の中身に関しては答えられない。

–再発防止策において、不正監視の回数増加やコールドウォレットの扱いについて
今の時点でお答えできない

–経営体制や第三者委員会の設置について
(前の質問と)一緒で、そこについてもお答えできることない

–補償のめどについて
改善計画については、お答えできない。補償のめどなど日付については正式に決まったら。補償金額と数量については報告していることがすべて。(残りの入金額については)今時点ではお答えできない。(ユーザーから返金依頼があれば返せるかについては)はい。

–NEMの補償時期がはっきりしない理由について
資金自体はすでにある。そこの調整を行って、問題ないことを1つ1つ確認していく。補償の資金となる現金は手当できている。(財務状況を金融庁に報告しているかについて)金融庁とのやり取りに関しては話せない。

–NEMの補償時期が言えないと不信感がある
おっしゃることはまさにそうだが、お答えできない。1つずつ確認しているので、確認できれば報告させて頂く。

–顧客資産と会社資産を分別した上で返せるということか
はい。もともと分別管理が前提。今回の日本円の出金も、預かった資金から出している。
(補償の資金についても)自己の資金から。(他の仮想通貨も分別管理しているかについては)、はい。

–そもそも金融庁の仮想通貨交換業者登録が遅れた理由について
事件と関係がないのでお答えしかねる。

–売買機会を逸したユーザーからの損害賠償の動きについて
売買については今しばらくお待ち頂く。(補償については)まだ確認できていないのでお答えしかねる。

–事業者登録ができる確信があるか
はい。基本的には事業を継続する。登録もさせて頂く。(登録ができなければ)違法になるので事業ができないと思う。

–NEM流出からの2週間で決まったことは
外部の専門家にセキュリティの確認をして、日本円の出金ができるようになった。加えて仮想通貨売買も前に進めている。(解決までの時間について)ある程度の見通しはついているが、正式にはまだ。目処についてもお伝えできない。私たちのシステムとして安全に送金できるのかどうかを確認中。一番はユーザーの資産が手元に戻る事。

–だいたいでいいので目処を示せないのか
見通しとズレがないようにしてから正式に報告する。

–なぜ代表取締役社長の和田晃一良氏はいないのか。
私が責任を持っているから。(和田氏は)今日は業務改善命令の報告をしていた。今もオフィスにおり、サービス改善に関わっている。

–コインチェックの現預金について
お答えしかねる。(売上高や営業利益、純利益なども)お答えは控える。(開示の意向について)現時点では、ない。

–経営責任について
繰り返しになってしまうが、業務改善命令の中身に関してお答えできない。(責任の取り方については)今ちゃんと考えているところ。正式な内容がきまれば報告する。(経営陣の辞める意向については)そこらへんも含めて中身が決まれば報告する。

–出金停止、業務停止の是非について
ユーザーの資産を一番に考えて、これ以上被害が出ないためにも妥当な判断だと思っている。

–破産申請の可能性について
破産するつもりはなく、事業継続の意思がある。ある程度の見通しも立っている。事業の継続と金融庁への登録を継続する。

–不正アクセスの原因究明について
報告の内容になるため話せない。(ユーザーへのアナウンスについて)目処が立ち次第報告する。

–不正流出したNEMが換金されているという話について
捜査関係の話はできない。

コインチェックが日本円の出金再開を正式に発表、2月13日から

今朝から一部報道で伝えられていたが、コインチェックは2月9日、日本円の出金を2月13日より再開することを正式に発表した。

同社ではNEMの流出騒動があった1月26日の16時30分すぎから、顧客の資産保護と原因究明のために日本円を含むすべての通貨の出金を一時停止していた。

今回の発表内で「日本円出金機能につきまして、外部専門家による協力のもと技術的な安全性の確認を完了いたしました」と説明。現在顧客の日本円の資産は金融機関の顧客専用口座内で安全に管理されている状況で、2月13日より出金を再開するという。

仮想通貨の出金や出金以外の機能についても技術的な安全性などの確認ができ次第、順次再開するとしている。

なお共同通信によると、流出したNEMは匿名性の高い「ダーク(闇)ウェブ」のサイトを介して、ビットコインなど他の仮想通貨に交換された疑いがあることがわかったという。現時点で交換された疑いがあるNEMは5億円分を超えたと報じられている。

金融庁がコインチェックへの立入検査、CAMPFIREなどみなし仮想通貨交換業者15社にも報告徴求命令

金融庁は2月2日、資金決済法に基づきコインチェックへ立入検査を行ったことを明らかにした。

1月26日に580億円に相当するNEMの流出が発覚してからちょうど1週間が経った。28日にコインチェックが保有者約26万人に日本円での返金を発表、翌29日には金融庁が同社に対し業務改善命令を発令したばかり。2月13日までに事実関係や原因の究明、顧客への適切な対応などを「書面で報告すること」ということだったが、それを待たずしての立ち入り検査となった。

金融庁では合わせて1日に同社以外の仮想通貨交換業者(16社)と、みなし仮想通貨交換業者(15社)に対しシステムリスク管理態勢に関する報告徴求命令を出したことも明かしている。

コインチェックは金融庁の審査待ちで「みなし仮想通貨交換業者」という扱いだったが、同じく現在審査中とされる15社の社名も公開された。

  • みんなのビットコイン
  • Payward Japan
  • バイクリメンツ
  • CAMPFIRE
  • 東京ゲートウェイ
  • LastRoots
  • deBit
  • エターナルリンク
  • FSHO
  • 来夢
  • ビットステーション
  • ブルードリームジャパン
  • ミスターエクスチェンジ
  • BMEX
  • bitExpress

なおbitFlyerやテックビューロなど仮想通貨交換業者16社については金融庁のサイトで公開されている。

 

 

NEM流出事件でコインチェックに業務改善命令、金融庁は「9月までのBSは把握済み」

コインチェックが顧客から預かっていた580億円相当の仮想通貨「NEM」が1月26日に不正流出した件を受け、金融庁は1月29日に仮想通貨交換業者の行政対応に関する記者説明を行った。

関東財務局が同日発表した資料によれば、事件発生当日の26日、当局が今回の流出事件についての報告をコインチェックに求めた結果、「発生原因の究明や顧客への対応、再発防止策等に関し、不十分なことが認められた」という理由により、以下の業務改善命令を発令した。

  1. 本事案の事実関係及び原因の究明
  2. 顧客への適切な対応
  3. システムリスク管理態勢にかかる経営管理態勢の強化及び責任の所在の明確化
  4. 実効性あるシステムリスク管理態勢の構築及び再発防止策の策定等
  5. 上記1〜4までについて、2月13日までに、書面で報告すること。

また、金融庁の会見内容を伝えた「bitpress」のツイッターアカウントによれば、以下のような質疑があったという、

・金融庁は今後、業務改善命令に基づき、精査とフォローアップを行う。場合によっては立入検査の実施も検討中である。

・利用者保護の観点など総合的に判断し、業務停止命令を出さなかった。

・今回の流出事件を受け、コインチェックはハッキング被害にあった26万人に対し日本円で補填をするという旨の方針を発表している。補填総額は460億円相当で、同社はこの支出を自己資金で賄うとしているが、「9月時点での貸借対照表は把握しているものの、直近のものは現在確認中」

ここ数年で大きな盛り上がりを見せた仮想通貨だが、今回の流出事件により規制強化の対象になるのかはまだ分からない。金融庁は仮想通貨に対する規制を強化するか否かは現在、関係省庁全体で協議のうえ検討中だとしている。

コインチェック、流失したNEMの保有者約26万人に日本円での返金を発表

1月26日に約580億円に相当する仮想通貨「NEM(ネム)」の不正流出を発表していた、仮想通貨取引所を運営するコインチェック。

同社は28日、流出の影響を受けたNEMの保有者が約26万人であったことを報告。その上でNEMの保有者全員に、日本円でコインチェックウォレットに返金する形で補償することを明かした。

補償金額は88.549円×保有数となり、総額は日本円で約460億円。補償時期や手続きの方法については現在検討中で、返金原資については自己資金より実施する。

なお金額の算出方法については、NEMの取扱高が国内外含めて最も多い仮想通貨取引所Zaifの価格を参考にし、CoincheckにおけるNEMの売買停止時から本発表まで(2018/01/26 12:09〜2018/01/27 23:00 )の加重平均の価格で、日本円にて返金する。

コインチェックが580億円のNEM不正流出について説明、補償や取引再開のめどは立たず

既報の通り、仮想通貨「NEM(ネム・XEM)」の不正流出が明らかとなり、NEMを初めとした仮想通貨の売買を中止している仮想通貨取引所「Coincheck」。サービスを運営するコインチェックは1月26日、その詳細を説明する会見を東京証券取引所で行った。23時30分にスタートした会見は(当初のアナウンスは23時開催)、27日1時過ぎまで続く異例のものとなった。

会見には、コインチェック代表取締役社長の和田晃一良氏、取締役COOの大塚雄介氏、同社の弁護士である堀天子氏が出席。冒頭、和田氏は「本件に関しまして、皆様をお騒がせしていますことを深くお詫び申し上げます。たいへん申し訳ございませんでした」と謝罪。その後、大塚氏が状況を説明し、記者からの質疑に回答するかたちで会見は進められた。

大塚氏による説明および当日配布された資料によると、今回の不正送金の経緯は以下の通り。

2時57分(以後、すべて1月26日):事象の発生(コインチェックのNEMアドレスから、5億2300万NEM(検知時のレートで約580億円)が送信される。

11時25分:NEMの残高が異常に減っていることを検知

11時58分:NEMの入出送金を一時停止

12時7分:NEMの入金一時停止について告知

12時38分:NEMの売買一時停止について告知

12時52分:NEMの出金一時停止について告知

16時33分:日本円を含むすべての通貨の出金を一時停止について告知

17時23分:ビットコイン以外の仮想通貨の売買、出金を一時停止・告知

18時50分:クレジットカード、ペイジー、コンビニ入金の一時停止について告知

コインチェックでは、今回の不正アクセスによる送金を金融庁および警視庁へ報告。NEMのコミュニティをとりまとめるNEM財団やNEMを取り扱う国内外の取引所と連携して、送信されたNEMの追跡および売買停止要請をしているという。なお、今回の取引に関しては、NEM財団との話し合いの中で、ハードフォークやロールバックによって被害を受けたユーザーを救済することはできかねる、といった旨の回答を受けているという。

被害ユーザー規模は調査中、運用体制に不備

流出の影響を受けるユーザーの数は「現在調査中」(大塚氏)で、規模感も把握できていないという。補償については、「お客さまの保護を最優先に検討しており、対応中」という表現にとどめて、現時点で具体的な施策を明らかにしていない。コインチェック社への財務的な影響についても精査をしている状況であり、確認ができ次第対応を報告するとしている。また、サービス復旧の見通しについては、原因を究明中であり未定。見通しは立っていないとした。

今回の不正流出の原因は、現時点では不明。だが、NEMはホットウォレット(ネットワークに接続されたウォレット。手軽に仮想通貨を取り出しやすい一方で、今回のように不正な送金をされる可能性がある)で管理されており、マルチシグ(仮想通貨の秘密鍵を分割し複数管理することでセキュリティを高める技術)を実装していない状態だったという。一方でコインチェックはビットコイン(BTC)に関してはコールドウォレット(ネットワークに接続されていない環境に秘密鍵を保存したウォレット)を利用し、マルチシグを実装。Coincheckで取り扱う代表的オルトコインのイーサリウム(ETH)に関しても、コールドウォレットでの管理を行っていた。

会見では、この運用体制に関する質問が報道陣から相次いだ。大塚氏、和田氏はセキュリティに関しては「何より最優先していた」と説明するも、マルチシグ実装予定についての質問には「他の優先事項が高い項目もあり、具体的な見通しがついていたわけではない」(大塚氏)と回答。それに対して記者が「結果的にこういう自体を引き起こしたのは、やはりセキュリティが甘かったのではないか」とさらに追求し、大塚氏が数十秒の間回答に窮するという場面もあった。

あくまで主観的に現場の空気を伝えると、マルチシグの未実装、ホットウォレットでの管理という観点で「セキュリティの甘さ」について何度も具体的な回答を求める報道陣(会見の後半になると、参加している僕ですらうんざりするような質問の仕方もあったけど)に対して、「セキュリティは万全だった」と答えるコインチェックが噛み合わない状況だった。会見後に話した投資関係者からは、「これはセキュリティの不備を認めることで、善管注意義務違反に問われることを避けたのではないか」といった声も聞いた。

数字の公開「株主を含めて協議」

また、影響を受けるユーザーの数をはじめとして、金額以外の数字を公開しなかったことに対しても質問が集まった。これに対して、大塚氏らが「公表するかどうか株主を含めて協議する」と回答したが、和田氏、大塚氏が株式の過半数を持っていると説明したところ、会場の報道陣の一部からは笑い——どちらかというと失笑だ——が起き、「(過半数あるのであれば)2人が情報の公開を決めれば他の株主の反対を排除できるのではないか」といった指摘も飛んだ(これについては、「株主」という言葉がスタートアップコミュニティと、一般の市場で異なる性質を持っていることをより認識してもよかったのではないかとも感じた。スタートアップにとっては過半数未満の株主も成長を支援するパートナーという意味もあるが、世のマーケットを見ている人たちからすればそれは想定している「株主」とは異なるからだ)。

もう1点質問が多かったのは、テレビCMと仮想通貨交換業者の登録についてだ。コインチェックは仮想通貨交換業者への登録申請をしているが、現時点までに登録が完了していない(登録申請自体は行っており、受理されてはいるが認められていない状況)。だがその一方で、すでにテレビCMを含めたマーケティングを積極的に行っている。業者登録前にCMを積極的に流すのは良識が無いのではないかと問われると、「登録申請、セキュリティに関しては、経営上最優先でやってきた。その上で、さらに使っていただきたいというところで……優先順位としては2番目で、CMもやらせていただいた」(大塚氏)と回答した。

会見の後半、和田氏は、今回の最悪のケースについて「顧客の資産が毀損し、お返しできないことだと考えている」と語った。コインチェックは「顧客最優先」と再三説明し、今後情報も開示していくことを検討しているという。だが、現状はその内容のほとんどが「調査中」という状況だ。

【更新】仮想通貨取引所「コインチェック」が出金を一時停止、何らかのトラブル発生か

仮想通貨取引所 「コインチェック」が1月26日の午後から、日本円を含む取り扱い通貨全ての出金を一時中止するなど、大きな騒動となっている。

コインチェックでは同日12時過ぎに仮想通貨「NEM」の入金について制限したことを発表。そこから矢継ぎ早にNEMの売買、NEMの出金を一時停止。16時30分すぎに公式ブログにて「現在、JPYを含め、取り扱い通貨全ての出金を一時停止しております。大変ご迷惑をおかけしてりますが、ご了承くださいますようお願い申し上げます。」と発表した。

さらに17時すぎにはBTC以外(オルトコイン)の売買について、19時前にはクレジットカード、ペイジー、コンビニ入金による入金についても一時停止した。

Twitterを中心にSNSなどでは様々な憶測が広がり、大きな騒動となっている。20時の時点では本件に関する公式の発表は行われていないが、コインチェックのオフィス前にも、多数のユーザーとメディアが集まっている状況だ。

【1/26 21時10分 更新】: あくまでも現時点で公式発表はされていないが、今回NEMが盗まれたと言われている。NEM.io財団の代表ロン・ウォン氏も20時27分に本件についてTwitterで言及。ロン氏がシェアしたcryptonewsの記事では約5.2億XEMが盗まれたとしていて、記事内で同氏は「コインチェックがNEMのマルチシグを活用していなかったため、今回の事件が起こった」という旨のコメントをしている。

ビットコイン取引所「Coincheck」でサービス障害、現在は復旧済み

ここ数日で価格が高騰している仮想通貨。代表格のビットコインは、5月9日午後時点で1ビットコイン=20万円台にまで上昇している。

そんな中、コインチェックが手がけるビットコイン取引所「Coincheck」で5月9日午前、サービス障害が発生。入出金や売買などの取引を停止したと発表した。

コインチェックによると、5月9日午前11時台から正常はでない価格が表示されるという障害が発生したため、取引を停止。アプリやウェブサービスへアクセス・ログインできない状況が続いた。その後、障害が起きた5月9日午前11時25分へのロールバックを実施。

午後4時30分には全機能を復旧させ、Twitterアカウントでもアナウンスをしている。なお、取引再開時点でのレート前後の金額の注文はキャンセルになり、障害発生前の時点で対象となったロスカットが実行されている。

同社では、この障害がハッキングなど外部からの攻撃によるものではないと説明。ユーザーの個人情報や資産流失はないと説明している。原因や再発防止施策については、Twitterアカウントやブログ等を通じて逐次報告する予定だ。