暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.9.6~9.12)

暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.9.6~9.12)

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、重要かつこれはという話題をピックアップし、最新情報としてまとめて1週間分を共有していく。今回は2020年9月6日~9月12日の情報をまとめた。

「いきなりNFTトレカ」が10月3日よりSKE48とコラボでライブ撮りおろしデジタルトレカを販売、事前登録で限定トレカも

ブロックチェーン企業のcoinbookは9月11日、新しいデジタルトレーディングカードプラットフォーム「NFTトレカ」サービスの開始を発表した。同社は、NFTトレカ第1弾となる、アイドルグループ「SKE48」の大型配信ライブ「SKE48 12th Anniversary Fes 2020 ~12公演一挙披露祭~」の撮りおろし画像を収録した「いきなりNFTトレカ」を、10月3日より販売開始する。

「いきなりNFTトレカ」が10月3日よりSKE48とコラボでライブ撮りおろしデジタルトレカを販売、事前登録で限定トレカも

NFTトレカは、その名が示す通りイーサリアム(Ethereum)のブロックチェーン基盤を用いたERC-721準拠のNFT(Non Fungible Token。ノン ファンジブル トークン)として発行される。NFTは、代替不可能性を備え、発行するトークンそれぞれに固有の性質や希少性を持たせることができるため、技術的には世界に1枚しかないカードも表現できる。

NFTトレカは、発行時にアーティスト名・公演名・発行枚数・購入者(氏名など個人を特定するものではない)などのデータをブロックチェーン上に記録するため、データの改ざんができないことから複製も不可能となる。

また、ユーザー間でトレード(売買)を行った場合は、新しい購入者情報が記録される。これらの履歴は、すべてウェブ上で誰でも確認できるためカードの真贋性・希少性がブロックチェーンによって担保されるため、NFTトレカはデジタルトレーディングカードでありながら、既存トレーディングカードのようにコレクションとして楽しめる。

NFTトレカ第1弾は、SKE48とコラボレーション!

NFTトレカの第1弾は、SKE48とのコラボレーショントレカ「いきなりNFTトレカ」。10月3日~5日の3日間にわたって開催される配信ライブ「SKE48 12th Anniversary Fes 2020 ~12公演一挙披露祭~」の全12公演からの撮りおろし画像を収録したNFTトレカとなる。1パック5枚入りで税別価格1000円で販売される。NFTトレカの購入には、スマホ向け専用アプリケーション「NFTトレカ」(スマートアプリ提供)が必要になる(iOS・Android版、9月末リリース予定)。なお、ライブの状況によっては、販売開始時間が遅延する場合がある。

NFTトレカ第1弾は、SKE48とコラボレーション!

またNFTトレカは、同コラボを記念し「SKE48 Valentine’s Day Live 2020 ~CHOCOLATE in 静岡エコパアリーナ」 のライブ未公開写真を使った「限定シークレットNFTトレカ」をプレゼントするキャンペーンを行っている。対象は、キャンペーンページにおいてメールアドレスを登録した事前登録者全員。キャンペーン期間は、9月11日よりサービス開始まで(9月末予定)。特典の付与は10月上旬を予定、受け取りにはNFTトレカアプリのダウンロートが必要となる。

つくば市、市が支援する実証実験採択の最終審査にデジタルIDアプリを活用したインターネット投票を実施

茨城県つくば市は9月10日、マイナンバーカードとデジタルIDアプリ「xID」(クロスID。iOS版Android版)およびブロックチェーン技術を活用したインターネット投票を9月18日~25日に実施すると発表した。同市が募集する「令和2年度つくばSociety 5.0社会実装トライアル支援事業」の最終審査にインターネット投票を活用する。

つくば市、市が支援する実証実験採択の最終審査にデジタルIDアプリを活用したインターネット投票を実施
つくば市は、2018年および2019年の「つくばSociety 5.0社会実装トライアル支援事業」の最終審査にて、同インターネット投票を用いた実証実験を行ってきた。2018年の実証実験では、インターネット投票にブロックチェーン技術を活用することで、投票内容の改ざん防止や秘匿性の確保を検証。2019年は、顔認証技術による本人確認や遠隔投票について検証をしてきた。

3回目の実証実験となる2020年は、GovTech領域に取り組むxID(旧社名blockhive)が提供するスマホ向けデジタルID(身分証)アプリ「xID」を使い本人認証を行うインターネット投票を実施する。xIDは、ブロックチェーンを活用しマイナンバーカードと連携させることができる最新の身分証アプリ。

「Society 5.0」の社会実装に向けたトライアルとは

つくば市は、平成29年度(2017年度)から「Society 5.0」の実現を目指し、革新的な技術やアイデアで社会課題を解決する、Society 5.0の社会実装に向けたトライアル(実証実験)事業案を全国から公募し、採択事業を支援している。

Society 5.0とは、IoT・ロボット・AI・ビッグデータなどの新技術を取り入れ、イノベーションを創出し社会的課題を解決する新たな社会のこと。令和2年度は、「With/Afterコロナの生活スタイル」をテーマに企画を募集したところ、21件のエントリーがあったという。

エントリー案から一次審査を通過し、最終審査に進んだ提案を採択する最終審査会については、9月25日にオンライン開催および生配信を行う(YouTubeチャンネルで公開予定。9月14日時点では準備中)。審査は、市長・有識者による評価に加え、一般からインターネット投票の結果も加味される。投票期間は9月18日から25日まで。

また、一般の投票に先駆け、市長によるネット事前投票のデモンストレーションを9月16日に市役所にて実施される予定。ちなみに、提案者のプレゼンテーションは事前にネットにて公開される予定だが、こちらも20209月14日時点では調整中という。

スマホ向けデジタルID(身分証)アプリ「xID」

スマホアプリxIDは、マイナンバーカードと連携することで、本人認証を行えるデジタル身分証アプリ。xIDは、最初の設定でマイナンバーカードの基本4情報(氏名、住所、性別、生年月日)をスマホのNFC(近距離無線通信)を経由して読み取り、マイナンバーカードとxIDアプリをひも付ける。

ひも付け以降、xIDと連携したサービスでは、個人情報の入力や身分証を使用することなく、本人確認・電子認証・電子署名が可能となり、個人情報を何度も入力する手間を軽減できる。また、事業者もxIDに対応することでマイナンバーカードに紐づく本人確認情報を取得可能となるため、従来の本人確認業務やコストを削減できる。

また、マイナンバーカードから取得した個人情報は暗号化されてデータベースに記録されるため、xID運営者側も確認することはできない。

スマホ向けデジタルID(身分証)アプリ「xID」今回のインターネット投票では、xIDを設定しておくことで投票時のマイナンバーカード認証は不要となる。

投票は、市ホームページの特設ページにアクセスし、xIDによる本人認証後、投票画面において一番良いと考える提案を選択して投票する。投票対象は、一次審査を通過した9件の提案。すべての投票を対象に集計し、得票数1位を表彰する(ネット投票の1位として)。ただし、同投票で選ばれた案が最終決定案とは限らない。投票結果のうち、マイナンバーカードを利用した投票を対象に、最終審査にポイントとして加点されるという。

ちなみにインターネット投票は、アプリのダウンロードができないスマホは不可、マイナンバーカードの利用はNFC対応の機種のみに限定される。

なお、投票システムの開発・構築には、同実証実験に2018年から参加しているVOTE FORらが協力している。

コインチェック、「マインクラフト」内で利用可能なNFT取り扱いに向けEnjinと連携開始

暗号資産取引所「Coincheck」を運営するコインチェックは9月9日、ゲームとブロックチェーンのエコシステム構築を目指すシンガポールのEnjinとNFTマーケットプレイス事業において連携を開始したと発表した

コインチェック、「マインクラフト」内で利用可能なNFT取り扱いに向けEnjinと連携開始

コインチェックは2020年8月27日、NFTを暗号資産と交換ができるNFTマーケットプレイスの事業化検討を発表。2020年度内のサービス提供開始を目指し、NFTマーケットプレイスへの参加企業の募集をすでに開始している。

このNFTマーケットプレイスにおいて同社は、Enjinのブロックチェーン資産発行プラットフォーム「Enjin Platform」を通じ発行された、世界的人気ゲーム「Minecraft」(マインクラフト)で利用可能なNFT(Non Fungible Token。ノン ファンジブル トークン)を取り扱うことを目指すという。

コインチェックはは、暗号資産取引所Coincheck上にNFTマーケットプレイスを展開することで、ユーザーに対して、従来マーケットプレイスよりも手軽にかつ安全に取引できる環境を提供できるとしている。

コインチェック、「マインクラフト」内で利用可能なNFT取り扱いに向けEnjinと連携開始

Enjin提供のEnjin Platform

Enjin提供のEnjin Platformは、イーサリアムベースのERC-1155準拠トークンをサポートしており、既存ゲーム(あるいは開発中のゲーム)のブロックチェーン化を支援する開発ツールとしても利用可能。ゲーム開発者はEnjin Platformを導入することで、単一のスマートコントラクトでNFTを発行できる(ERC-1155の競合として、Loom Networkが提案した規格ERC-721xがある)。

またEnjinは、Enjin PlatformとしてJava用の開発キット「Enjin SDK for Java」を提供する。同SDKは、Javaで構築されたサービスとブロックチェーンを連携できる。

マインクラフトサーバーに導入可能なプラグインツール「EnjinCraft」

Enjinは同時に、ブロックチェーン技術を導入したオープンソースのプラグインツール「EnjinCraft」を開発した。

マインクラフトサーバーに導入可能なプラグインツール「EnjinCraft」

プラグインツールは、マインクラフトサーバーの所有者であれば、誰でも導入できるという。EnjinCraftをマインクラフトのサーバーに導入することで、ブロックチェーンとの連携が可能になる。またプレイヤーは、Enjin Platformによって発行されたNFTを、マインクラフト内での使用だけでなく、資産の一部として管理し、マーケットプレイスを通じてNFTの取引が行える。

月間プレイヤー数1億2000万人、累計販売本数2億本を超える人気ゲームマインクラフトにおいて、ゲーム上でNFTが発行可能となることで、NFTマーケット市場の活性化が期待できるという。

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カテゴリー:ブロックチェーン

タグ:仮想通貨 / 暗号資産

東京都のダイバーシティアワードで「外国人向け予防接種管理」と「まごチャンネル」が最優秀賞を受賞

2月12日、東京都が推進しているSociety 5.0実現への取り組みの一環として、「スマート東京シンポジウム&ダイバーシティTOKYOアプリアワード表彰式」が都内で開催された。

ダイバーシティTOKYOアプリアワードは2019年11月から12月にかけて応募を受け付けていたもので、イベント当日には1次審査を通過した団体のプレゼンテーションと最終審査、結果発表と表彰が行われた。

募集テーマは

  • 外国人が快適に過ごせるように
  • 障がい者がもっと活躍できるように
  • 高齢者が不安なく生活できるように

の3つで、「アイディア部門」と「アプリ部門」が設けられた。イベント当日はアイディア部門とアプリ部門の各3組、計6組がプレゼンを披露し、その後の審査を経て賞が決定した。

【アイディア部門】

最優秀賞
「子育て中の外国人の不安をなくす! 予防接種サービス」(株式会社エムティーアイ
在日外国人にとって子供に予防接種を適切に受けさせることは難しい。母子手帳アプリ「母子モ」を提供する同社が、海外と日本の予防接種の対応、日本のルールに従ったスケジュール、多言語対応などのサービスを提案した。

優秀賞
「住替えくん・馴染めるくん」(GDSC)
高齢になり生活スタイルが変化したために転居したいと思っても、多くの手続きや転居先でのコミュニティ形成などのハードルがある。そこでさまざまなデジタルサービスをパッケージ化して提供しようというアイディア。

優秀賞
「ご近魚さん」川野颯太氏
高齢者が金魚を模したアバターを通じてオンラインで交流するサービスの提案。個人情報を公開せず、簡単なアンケートから同じ悩みを持つ人を知り、共感を得る仕組み。

【アプリ部門】

最優秀賞
まごチャンネル with SECOM」(セコム株式会社 / 株式会社チカク)
チカクの「まごチャンネル」に、セコムの「みまもりアンテナ(センサー)」をプラスしたみまもりサービスで、2019年12月から提供されている。受賞決定後には記念として、2月28日までの新規購入キャンペーンが始まった。

優秀賞
「Payke(ペイク)」(株式会社Payke
主に外国人観光客向けのアプリで2015年に提供開始。商品につけられているバーコードをアプリでスキャンすると、多言語で商品説明を見ることができる。インバウンドデータの分析にも役立てられている。

優秀賞
Mayii(メイアイ)」(大日本印刷株式会社)
“移動に困っている人”と“手助けしたい人”を結びつけるアプリ。2019年7月に公開され、2020年2月7日時点でアプリのダウンロード数は2万5500件、登録者数は7550人だという。

審査委員長の坂村健氏は審査後の講評で「総じて社会的に弱い人をどう助けるかはよく考えられていたが、東京都が持っているデータを利用するとか東京都を窓口とするなど、今後は東京都をもっとうまく利用することを考えてほしい」と述べた。

審査委員の各氏。右から
INIAD東洋大学情報連携学部 学部長 坂村健氏(審査委員長)
武蔵野美術大学造形構想学部クリエイティブイノベーション学教授 山崎和彦氏
駐日外国政府観光局協議会事務局長 マサボ・イザベル氏
有限会社インフィニティ代表取締役 世代・トレンド評論家 牛窪恵氏
TechCrunch Japan編集統括 吉田博英

東京都の小池百合子知事から記念の盾が贈られた

6団体のプレゼン後、審査発表までの間には「スマート東京シンポジウム」と題して2つの講演があった。

まず東京大学空間情報科学研究センター&生産技術研究所教授の柴崎亮介氏からは、東京をさまざまなデータからとらえたスマートシティのあり方が語られた。都市の価値を高めるために重要な役割を果たすスタートアップについても言及があり、初期段階のスタートアップは東京の東部に多く分布している、全国的に見るとスタートアップも投資家も東京に集中している、海外から日本への投資はまだ少なく国際的な魅力を上げていく必要があるのではないかといった状況が紹介された。

続いて講演したのは東京都の宮坂学副知事で、「スマート東京」へ向けての課題や取り組みが説明された。東京が世界の都市間競争を勝ち抜くためにはデジタルトランスフォーメーションを加速度的に進めていく必要があり、2020年度は前年度比約8倍の158億円の予算をつけているそうだ。

宮坂副知事の講演中には、先端技術の紹介として日本国内ではソフトバンクロボティクスが展開するBoston Dynamics社の四足歩行ロボット「Spot」が軽快に動く様子がデモンストレーションされた。実際の動作のデモは日本では初めてとのことだ。

最後に挨拶に立った東京都の小池百合子知事は「今回のアワードには75件の応募があり、いずれも今のニーズを捉えた提案だった。デジタルトランスフォーメーションが進む中、まず5Gなどのインフラを整える必要があり、そこにどんなコンテンツをのせて都民のニーズに応えるかが重要だと思っている」とスマート東京の実現を目指す考えを述べた。