知らない送信者からのメールに寄付を求めるGatedでメール削減

もしあなたが最近、電子メールの山に埋もれたことがないとしたら、電子メールのアカウントを持っていないか、マーケティング担当者がまだ気づいていない若い人かのどちらかだろう(彼らはいずれ気づく)。

このような状況を打開するため、ベイエリアを拠点とする設立10カ月のGated(ゲーテッド)というスタートアップが登場した。同社は、メールに圧倒されている人を助け、できれば社会全体に利益をもたらすようなアプローチをとる。もし見知らぬ送信者が、あなたの受信トレイにメールを送りたいなら、あなたが選んだ非営利団体に寄付をしなければならない、というのがその構想だ。まったく知らない人に、来月のイベントや、会社の売り込みや、機器のセールスをしたいなら構わない。でも、それにはコストがかかる。誰にリーチするかにもよるが、かなりのコストがかかるだろう。

Gatedは、エンジェル投資家で、直近では従業員エンゲージメントのスタートアップCultureAmp(カルチャーアンプ)で成長事業担当副社長を務めていたAndy Mowat(アンディ・モワッ卜)氏が創業した。Gatedは、Gmailアカウントにフォルダを作成すると機能する。モワッ卜氏によると、このソフトウェアは、メール所有者が以前にやり取りをした人の情報から「許可した送信者」のリストを自動的に作成する。見知らぬ送信者が接触してきた場合は、作成した別フォルダにメールが移され、メール受信者が選んだ慈善事業に寄付をした場合のみ受信箱に届くよう設定される。メール1通あたり2ドル(約244円)からで、その70%が非営利団体に支払われ、残りはGatedに流れる。同社のソフトウェアは無料だ。

当然のことながら、毎日何百もの売り込みのターゲットになるベンチャーキャピタリストらは、このアイデアを気に入っている。実際、Corazon Capitalがリードし、Precursor Ventures、Burst Capital、Tuesday Capital、その他のアーリーステージのファンドが参加したシードラウンドで330万ドル(約4億円)を調達したとGatedは発表した。

もちろん、このコンセプトは潜在的なユーザーの共感を得るかもしれないが(手を振って)、何よりもまずプライバシーの問題を含め、疑問も投げかけている。

それについてGatedは、同社がメッセージの中身を読むことはないという。「私たちが見ているのはメタデータ、『to』と『from』だけです」とモワット氏は話す。とはいえ、知らない人からの依頼が殺到している人は非常に多数にのぼるため、Gmailのフィルターでは不十分だ。その中には、自らのやり方で影響力を及ぼす人もいるはずで、Gatedが時間をかけて自身の連絡先をマッピングしていくことを好まない人もいるかもしれない。

もう1つの課題は、誰もがGmailを使っているわけではないことだ。Gmailは、これまでGatedのソフトウェアの使用を承認した唯一のプラットフォームだ(モワット氏によると、同社はMicrosoftと「次の審査」を進めているという。また、いくつかの電子メールプラットフォームが「過去に他のパートナーのせいで損害を受けた」ため「すべてのパートナーをセキュリティ審査の対象としている」とも指摘した)。

Gatedはまた、儲かるビジネスとしてスタートしていない。ほとんどのスタートアップがそうであるように、もちろん変わる可能性がある。モワット氏が語るように、Gatedが受け取る収益の大部分は、取引にかかる決済手数料に充てられることになりそうだ。モワット氏と彼の小さなチームは、Gatedがマイクロペイメントの仕組みをすでに考えており、クレジットカードの手数料に取って食われないようにと思っているが、まだそこまでには至っていない。

Gatedがどのように成長していくかについては、この記事のような紹介以外では、まず口コミ的要素に頼っているようだ。モワット氏によれば、2週間前の時点で、Gatedはまだ公開されていないにもかかわらず、すでに2500人のウェイティングリストを抱えていたというから、このアプローチは合理的なものだと思われる。

今後、GatedはB2B(法人向け)の製品も開発する予定だ。マーケティング担当者がGatedと協力して財源を確保し、営業チームが月に一定数のメールを送信できるようにするのだという。

ちなみに、気になる方にお伝えすると、Gatedを利用するメール受信者は、誰かが金を払ってGmailアカウントに侵入してきたとしても、メールに返信する義務はない。

モワット氏によれば、利用し始めたユーザーからの回答率は平均よりも高いという。「寄付の対象となったメールの40〜60%が返信されています。中には、自分の時間を大切にしてくれる人に感謝して、すべてのメールに返信するユーザーもいます」。「ただし」と同氏は付け加え「非常にまれにしか」返信しないユーザーもいるという。

また「寄付者」は、メール受信者の受信トレイに永遠に自由なアクセスが与えられるわけではないことも注目すべき点だ。「それについては微妙なところがあります」とモワッ卜氏は話す。しかし、基本的には、受信者がメールに返信すると、そのメール送信者はデフォルトで既知の送信者グループに分類される。ただ、その送信者をいつでもGatedフォルダに戻すことができ、また『ミュート』モードにすることもできる。

モワット氏はいう。「これは基本的に、『もうチャレンジメールを送らないで欲しい。私の受信トレイにも入れないでください』という意味です」。

画像クレジット:erhui1979 / Getty Images

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nariko Mizoguchi

Googleドキュメントでメール下書きの共同作成が可能に、ワンクリックでGmailにエクスポート

Google(グーグル)は米国時間3月16日、下書きメールでの共同作業を容易にすることを目的とした新機能をGoogleドキュメントに導入すると発表した。新しいGoogleドキュメントのEメール下書きテンプレートは、ユーザーがメールの下書きをし、それをGmailにエクスポートすることができる。

今回の発表は、Googleによるユーザーがすばやくアクションを実行できる「@メニュー」を活用したSmart Canvas(スマートキャンバス)のプッシュ戦略の一部だ。メールドラフトテンプレートは、Googleドキュメントの中で「@email」と入力することでアクセスできる。そうすると、To、Cc、Bcc、件名を含むテンプレートが表示される。メールを送信する準備ができたら、Gmailのアイコンを選択して、メールサービスに下書きをエクスポートできる。するとGmailのメール作成ウィンドウが表示され、すべてのメールフィールドに、Googleドキュメントのメールドラフトに入力した情報が自動的に入力される。

画像クレジット:Google

「新しいメールドラフトテンプレートにより、Googleドキュメントで下書きメールを簡単に共同作成できるようになりました」と、Googleは新機能についてのブログ投稿で述べている。「メールアドレスを覚えていなくても@メニューを使って受信者フィールドに名前をメンションしたり、コメントや提案を使ってメッセージ本文を共同作成できます」。

この機能は、2月に最初に予告され、現在、すべてのGoogle Workspaceの顧客だけでなく、レガシーG SuiteのBasicおよびBusinessプラン顧客にロールアウトし始めている。Googleは個人使用については言及していないが、TechCrunchは詳細を知るために同社に問い合わせている。Gmailの機能は、一般消費者向けに提供される前に、まずG Suiteの顧客向けに展開されることが多い。例えば、企業顧客はコンシューマーよりも先にGmailのチャット、ミーティング、ルームとのより深い統合を利用できるようになった。

新しいEメール下書きテンプレートは、チームで一緒にメールを共同作成する必要がある場合に便利だろう。GoogleドキュメントやGmailからテキストをコピー&ペーストすることももちろん可能だが、この新しい統合により、これら2つの製品を1つの場所で簡単に使用できるようになり、より速く作業を完了させることができる。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Aisha Malik、翻訳:Den Nakano)

Cloudflare、フィッシングメールが受信トレイに届く前にブロックするArea 1 Securityを買収へ

Cloudflare(クラウドフレア)は、フィッシング攻撃が従業員の受信トレイに届く前に阻止する製品を開発したセキュリティスタートアップ、Area 1 Securityを買収する予定であることを発表した。Cloudflareは、現金と株式両方によるこの買収に約1億6200万ドル(約187億円)を投じる予定だ。

Cloudflareは、ゼロトラスト・セキュリティモデルを採用した独自のセキュリティ製品群を開発してきた。これらのセキュリティソリューションは、従業員がオフィス以外の場所にいる場合や会社のVPNを使用していない場合でも、データ損失やマルウェア、フィッシング攻撃を防ぐことができる。

米国時間2月24日の買収により、同社はそれらのゼロトラスト製品群に、成熟した電子メールセキュリティ製品を追加することになる。Area 1 Securityは、2021年だけで顧客のために4000万件以上のフィッシング詐欺キャンペーンをブロックしたと述べている。

Cloudflareの共同創業者兼CEOであるMatthew Prince(マシュー・プリンス)氏は声明で次のように述べている。「電子メールはインターネット上で最大のサイバー攻撃経路であり、真のゼロトラスト・ネットワークには統合された電子メールセキュリティが不可欠となります。それを含めて、Cloudflareのプラットフォームをゼロトラストの明確なリーダーにするために、本日、Area 1 Securityを同社に迎え入れることを歓迎します。当社にとってゼロトラストの未来とは、最も一般的なクラウドアプリケーションである電子メールを含む、組織のすべてのアプリケーションを保護するための統合されたワンクリックのアプローチです。私たちは共に、市場で最も速く、最も効果的で、最も信頼できる電子メールセキュリティを提供することを期待しています」。

Cloudflareのメール製品はこれが初めてではない。同社は2021年、最初のメール製品をローンチしている。たとえば、Cloudflareのアカウントにドメイン名を関連付け、CloudflareのインターフェースからカスタムEメールアドレスを作成することができる。受信したメールは、他のメール受信箱にリダイレクトすることが可能だ。

また、Cloudflareは、DNSレコードの改善やメールの安全性を高めるためのガイドも行っている。たとえば、スプーフィング攻撃の防止を支援することなどだ。

そして、Area 1 Securityは、Cloudflareが提供するEメール関連製品の重要なギャップを埋めるものだ。Area 1 Securityは、常に新しいフィッシング攻撃の発見と特定をしようとする。従業員が新しいメールを受信すると、Area 1 Securityは受信メールをスキャンしてフィッシングの試みがないか調べる。

不審なメールは、受信トレイに入る前に自動的にブロックされる。スパムフォルダに振り分けられるだけでなく、完全にブロックされるのだ。

舞台裏では、顧客はDNSレベルでMXレコードを変更することでArea 1 Securityの利用を開始することができる。その後は、クラウドファーストの製品なので、顧客がソフトウェアをインストールしたり、パッチを当てたりする必要はない。会社がGoogle WorkspaceやOffice 365を利用している場合、Area 1 Securityはこれらのメールプロバイダーと連携して動作する。

DNSサーバー分野でのCloudflareの深い専門性を考えると、この買収は理に適っている。Cloudflareは、すでに自社の従業員の受信トレイにArea 1 Securityを使用していた。つまり、自分たちが何を買収しているのか、すでによく知っているのだ。

画像クレジット:Daria Nepriakhina / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Den Nakano)

グーグルのInboxを復活させてSlackも混ぜたメールクライアント「Shortwave」

Google(グーグル)による「Inbox」の実験は、それが続いていた間は輝かしいものだった。2014年に招待制のサービスとして開始されたInboxは、同社の次世代のメールクライアントだった。あまりにも優れていたため、Googleが2019年にサービスを終了させたことも意外ではなかった。しかし、ありがたいことに、Google / Firebase(ファイアベース)の元従業員グループが現在、Inboxの体験を復活させている……Slack(スラック)のユーザー体験も少し混ぜて。

Shortwave(ショートウェーブ)のAndrew Lee(アンドリュー・リー)CEO、Jacob Wenger(ジェイコブ・ウェンガー)CPO、Jonny Dimond(ジョニー・ダイモンド)CTOは、全員が以前、GoogleでFirebaseを担当していた。同社の初期から働く社員たちの多くも同じだ。

  1. conversation

    画像クレジット:Shortwave
  2. channel

    画像クレジット:Shortwave
  3. inbox

    画像クレジット:Shortwave

Inbox for Gmailと同様に、Shortwaveは基本的にGmailを中核とするメールクライアントであり、ユーザーは両者を簡単に行き来することができる。しかし、それ以上のものでもある。それは2022年に向けて再考されたInboxのようなものだと考えればよい。

リー氏が筆者に話してくれたように、同社のチームはInboxから2つの重要なインスピレーションを得た。「1つは、メールをグループ分けして処理するべきという考え方です」と、リー氏は述べ、Inboxのトピックごとにメールを束ねる機能を引き合いに出した。「受信箱の中でメールの量が増えると、すべてのメールに目を通すのは現実的ではありません。キーボードショートカットを駆使し、アプリが高度に最適化されていたとしても、すべてのメールに目を通すだけで長い時間がかかります」。例えば、カレンダーの通知のような自動化されたメールが届いても、招待はカレンダーですでに受け入れている場合があるだろう。そこで、数回のクリックですべてのメールを既読にしたり、スヌーズして後で見るようにしたりすれば、時間を大幅に節約できる。

画像クレジット:Shortwave

さらに、チームは「受信箱は、好むと好まざるとにかかわらず、ToDoリストである」という考えのもと、Shortwaveを開発した。「そうすると、ユーザーにToDoリストのように管理するツールを提供するか、あるいは頭の中で管理することを強要するかのどちらかになります」と、リー氏は説明する。「彼ら(Inboxの開発者たち)は、Inboxに文字通りチェックマークを追加して、『これは完了したものとしてマークされているよ』ということを表現するなど、ToDoリスト型の機能を追加しました。我々も同じことをしました」。

画像クレジット:Shortwave

Shortwaveでは、例えばメールを受信箱の一番上に固定することができる。筆者にとって、これはGmailのスター機能を使うよりも良い方法だが、これは個人的な好みの問題かもしれない(私はよくメールにスターを付けるが、その後、そのメールに戻ることはまずない)。また、必要に応じて受信箱内のメッセージを並べ替えたり、自分で作成したバンドルに整理したりすることもできる。

現代のメールクライアントに期待されるような、メッセージをスヌーズする機能も備えている。

Inboxのユーザー体験に加えて、チームはSlackのような最新のチャットクライアントの機能も実装した。例えば、GIFや絵文字を使って返信することができるなど、ShortwaveにはSlack風のリアクション機能が搭載されている。また、グループ会話用のチャンネルや通常の@メンションなど、特にビジネスシーンでのグループ会話を容易にするためのさまざまな機能も用意されている。

会話に参加している全員がShortwaveを利用している場合は、入力中を伝える通知も届き、他の人がオンラインにいるかどうかも確認できる。

筆者は数日前からShortwaveを試しているが、確かにこれは初期のInboxを思い出させる(ただし、iOSアプリとは異なり、Androidアプリはまだ少し粗い部分があり、チームもそれを認識している)。

リー氏の話によると、チームは主にビジネスユーザーをターゲットにしているという。また、誰でも無料でサービスを利用できるが、90日以上のメール履歴をサービスに残したい場合は有料になるという、Slackのようなマネタイズモデルを採用している。

画像クレジット:Shortwave

Shortwaveは米国時間2月15日、シリーズAラウンドで900万ドル(約10億4000万円)の資金を調達したことも発表した。このラウンドは、実はチームが製品開発に着手した直後の2020年4月にクローズしており、USVLightspeed(ライトスピード)が主導し、共同創業者たちも出資した他、Flybridge Capital(フライブリッジ・キャピタル)とAfore Capital(アフォア・キャピタル)が参加した。また、Mercury(マーキュリー)のCEOであるImmad Akhund(イマド・アクンド)氏、Segment(セグメント)の創業者であるPeter Reinhardt(ピーター・ラインハート)氏とIlya Volodarsky(イリヤ・ヴォロダースキー)氏、Voyage(ボヤージュ)の創業者であるOliver Cameron(オリバー・キャメロン)氏など、多くのエンジェル投資家も出資している。

画像クレジット:SKrow / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

「思わず開きたくなる営業メール」の制作を支援するDyspatch

Dyspatchのマット・ハリスCEO(画像クレジット:Dyspatch)

マーケターの中には、より多くのお金を稼ぐためには、より多くのEメールを送らなければならないと考える人がいる。Dyspatch(ディスパッチ)の創業者でCEOのMatt Harris(マット・ハリス)氏は、これを「Eメールの法則」と呼んでいる。

「結局、そうしたEメールすべてが、開封エンゲージメント率の低下を招いています」と同氏はTechCrunchに語った。「さらに、Eメール中心ではない新しい世代が社会人になっています。彼らはそもそもEメールの使い方から学ぶ必要があります」。

ほとんどのマーケターは、Eメールマーケティングに関する研修を受けておらず、むしろ実地で学ぶスキルになっていると同氏は付け加えた。時が経つにつれて、人々は自分でデザインし、自らが使うEメールシステムにコードの行をコピー&ペーストするようになった。

Eメール配信のためのツールやリソースが複数登場し、それが課題となった。なぜなら、人々はさまざまなEメールシステムの使い方を学ばなければならず、また、頼るコードが常に機能するとは限らないからだ。

ハリス氏は、2018年にSendwithusというソリューションからスタートした。これはEメール領域における開発者向けの製品だった。その後、同氏とそのチームはEメール制作が大きな問題であると認識し、Eメールのデザインにドラッグ&ドロップのアプローチをもたらすためにDyspatchにピボットした。同社のEメール制作ツールは、基本的に、Eメールをうまくデザインしている人たちからヒントを得て、それを広く利用できるようにしたものだ。

Dyspatchは、Google(グーグル)のAMP for Emailを活用し、AMPメールの要素を非技術系ユーザーでも簡単に実装できるインタラクティブなメール製品「Apps in Email」を2021年発表した。

このツールは現在300社以上の顧客に利用されている。その中にはCanva(キャンバ)も含まれている。同社はAMPメールを利用してコメント返信通知でエンゲージメントを高めている。

「Dyspatchは、私たちのチームがEメール制作に費やす時間を大幅に削減し、コンテンツ制作の規模を拡大することを可能にしました」とCanvaのライフサイクルマーケティング担当グローバルヘッド、Megan Walsh(ミーガン・ウォルシュ)氏は声明で述べた。「私たちは週に20通以上のEメールを制作しています。このプラットフォームは、エンジニアリングの努力なしに、すべてのEメールがブランドに則り、ローカライズされ、すぐ答えが返ってくることを保証してくれます。また、AMPコメント返信メールにインタラクティブ性を持たせることもできました。Dyspatchチームは、このプロジェクトにとても協力的で、ユーザーにも大好評でした」。

Dyspatchの予約デモ(画像クレジット:Dyspatch)

Dyspatchはすでに、フル機能のインタラクティブAMPメールキャンペーンを経て、ブランドのEメールエンゲージメントが500%、Eメールコンバージョンは300%増加することを証明することができるとハリス氏は述べている。

同社は現在、新規顧客の増加をサポートするために、市場開拓チームと技術チームの規模を拡大する段階にあり、そのために600万ドル(約6億8400万円)のシード資金を調達した。Gradient Venturesがこのラウンドをリードし、Initialized Capital、Baseline Ventures、Blue Run Ventures、Scott Banister、VanEdge Partnersが参加した。Dypatchとって今回が初めての資金調達だが、前身の会社と合わせて合計1100万ドル(約12億5400万円)を調達した。

また、Dyspatchは今回の資金調達により、Oracle EloquaやSalesforce Marketing CloudなどのEメールサービスプロバイダーとの連携をさらに進め、ユーザーがどのリソースを使ってEメールを送信しても、シームレスなメールワークフローを確保できるようにする予定だ。

同社は、このアプリをどれだけの人が使っているかを重視している。顧客数はこの1年で2倍以上に増えた。ハリス氏の目に映る繰り返しのパターンの1つは、顧客が毎年戻って来て、さらにユーザーを増やす動きだ。例えば、ある有力顧客は、契約初年度に当初10席のユーザーシートを購入したが、半年でそれを10倍に増やした。

今後は、サードパーティに技術を開放し、Eメールでのカレンダー予約など、顧客から要望のあった機能を構築していく。

「今は、アプリ、アンケート、承認アプリのビルディングブロックを構築していますが、私たちのDNAはエンジニアリング会社ですので、サードパーティが私たちのマーケットプレイスでアプリを構築できるようにしたいと考えています」とハリス氏は付け加えた。

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

要点をもとにAIが流れるようなEメール用文章を生成、受信トレイをゼロにするライティング生産性向上ツール「Flowrite」

TechCrunchがFlowrite(フローライト)に「強化されたGrammarly」ではないかと尋ねると、共同創業者でCEOのAaro Isosaari(アーロ・イソサーリ)氏は笑いながら、2020年夏の終わりから構築しているAIライティング生産性向上ツールに対しいつもそのようなコメントが返ってくると答えた。

このAIを搭載した相棒がいれば、電子メール作成のスピードアップによる「受信トレイゼロ」を目指すことも容易になりそうだ。少なくとも、毎日のように定型的なメールを大量に送信しているような人にとってはそうだろう。

Flowriteは具体的に何をするのか?Flowriteは、いくつかの指示(これを入力しなければなならない)を、本格的で読みやすい電子メールに変える。つまり、Grammarlyが文法や構文、スタイルなどの調整を提案して(既存の)文章を改善するのに役立つのに対し、Flowriteは電子メールやその他の専門的なメッセージングタイプの通信である限り、そもそも文章を書くのに役立つ。

電子メールは、FlowriteのAIモデルが訓練されたところだ、とイソサーリ氏はいう。そして、メール作成にどれだけの時間を費やす必要があるかという不満が、このスタートアップのインスピレーションとなった。そのため、GPT-3が使用されているコピーライティングなど、AIが生成する言葉の幅広い使用例ではなく、プロフェッショナルなコミュニケーションに焦点を当てている。

「以前の仕事では、電子メールやその他のメッセージングプラットフォームでさまざまな関係者とのコミュニケーションに毎日数時間を費やしていたので、これが自分の抱える問題であることはわかっていました。これは共同設立者である私たちだけの問題ではなく、何百万人もの人々が日々の仕事でより効果的かつ効率的なコミュニケーションをとることで恩恵を受けることができるのです」。

Flowriteの仕組みは次の通りだ。ユーザーが言いたいことの要点を箇条書きにした基本的な指示を出す。すると、AIを搭載したツールが残りの作業を行い、必要な情報を流れるように伝える完全な電子メールのテキストを生成してくれる。

丁寧な挨拶や署名を記入したり、求められているトーンや印象を伝えるための適切な表現を考えたりといった、文字数の多い作業は自動化されている。

電子メールテンプレート(電子メール生産性向上のための既存技術)と比較すると、AIを搭載したツールは文脈に適応し「固定されていない」ことが利点だとイソサーリ氏はいう。

当然のことだが、重要なポイントとして、ユーザーは送信する前にAIが提案した文章を確認し、編集や微調整を行うことができるので、人間はしっかりとエージェントとしてループに参加したままだ。

イソサーリ氏はセールスの電子メールを例に挙げる。この場合「すばらしい・電話で詳しい話をしよう・来週月曜日の午後」と指示を入力するだけで、必要な詳細情報に加えて「すべての挨拶」や「追加の形式」を含むFlowriteが生成したメールが送られてくる。

補足:FlowriteのTechCrunchへの最初の売り込みは電子メールによるものだったが、そのツールの使用は明らかに含まれていなかった。少なくとも、その電子メールには「この電子メールはFlowrittenされました」という開示はなかったが、後にイソサーリ氏から送られてきた(依頼されたPRを送るための)メールにはあった。これはおそらく、(AIを使って)スピードライティングしたい電子メールと、人間の頭脳をもっと使って作成したい(少なくとも自分で書いたように見せたい)電子メールの種類を示しているのではないだろうか。

イソサーリ氏はTechCrunchに次のように話した。「私たちは、あらゆる種類のプロフェッショナルが、日々のワークフローの一環として、より速く文章を書き、コミュニケーションを図ることができるよう、AIを搭載したライティングツールを構築しました。何百万人もの人々が、内外のさまざまな関係者との仕事上の電子メールやメッセージに毎日何時間も費やしていることを知っています。Flowriteは、人々がそれをより速く行えるようにサポートします」。

また、このAIツールは、失読症や英語が母国語ではないなどの特定の理由で文章を書くことが困難な人にとっても大きな助けとなる可能性があると、同氏はいう。

Flowriteは英語の電子メールしか作成できないという明らかな制約がある。GPT-3は他の言語のモデルを持っているが、イソサーリ氏は、そうした英語以外の言語の「人間らしい」反応の質は、英語の場合ほど良くないかもしれないと示唆し、よってFlowriteは当面の間、英語にフォーカスすると話す。

GPT-3の言語モデルを中核のAIテックとして使用しているが、最近では、自社で蓄積したデータを使って「微調整」を始めていて、イソサーリ氏は「すでに私たちは、GPT-3の上にラッパーを作るのではなく、さまざまなものを構築しています」と説明する。

また、この電子メール生産性向上ツールでは、AIがユーザーの文体に適応することを約束している。これにより、メールが速くなったからといって、無愛想なメールになることはない(「大丈夫?」と尋ねる新鮮な電子メールにつながるかもしれない)

この技術は、電子メールの履歴をすべてマイニングしているわけではなく、電子メールのスレッドの中で(ある場合は)直前の文脈だけを見ているとイソサーリ氏は話す。

Flowriteは、GPT-3の技術を利用しているため、現在はクラウド処理に依存しているが、今後はデバイス上での処理に移行したいと考えているという。当然ながら機密保持の問題にも対応できるはずだ。

今のところ、このツールはブラウザベースで、ウェブメールと統合されている。現在はChromeとGmailにしか対応していないが、今後はSlackなどのメッセージングプラットフォームにも対応していく予定だ(ただし、少なくとも当初はウェブアプリ版のみ)。

このツールはまだクローズドベータ版で、Flowriteは440万ドル(約5億円)のシード資金調達を発表したばかりだ。

同ラウンドはProject Aが主導し、Moonfire Venturesとエンジェル投資家のIlkka Paananen(イルッカ・パーナネン)氏(Supercellの共同創業者でCEO)、Sven Ahrens(スヴェン・アーレン)氏(Spotifyのグローバル・グロース・ディレクター)、Johannes Schildt(ヨハンズ・シルト)氏(Kryの共同創業者でCEO)が参加した。また、既投資家であるLifeline VenturesとSeedcampも今回のラウンドに参加した。

Flowriteは、どのようなタイプの電子メールや専門家に適しているのだろうか?コンテンツ面では「一般的に、返信する際に何らかの既存の文脈がある場合の返信」だとイソサーリ氏はいう。

「Flowriteは状況をよく理解し、自然な形でそれに対応することができます」と同氏は話す。「また、売り込みや提案のようなアウトリーチにも適しています。Flowriteがうまくいかないのは、非常に複雑なものを書きたい場合です。というのも、そのためには指示にすべての情報が必要だからです。そして、最終的な電子メールに近いかもしれない指示を書くのに多くの時間を費やす必要があるとしたら、その時点でFlowriteが提供できる価値はあまりありません」。

また「本当に短い電子メール」を送る場合には、明らかに実用的ではない。なぜなら、2、3の単語で答えるだけなら、自分で入力した方が早いからだ。

どのような人がFlowriteを使うのかという点では、ベータ版を利用しようとする幅広い層のアーリーアダプターがいるとイソサーリ氏はいう。しかし、同氏は主なユーザー像を「日常的に多くのコミュニケーションをとるエグゼクティブ、マネージャー、起業家」、つまり「自分自身について良い印象を与え、非常に思慮深いコミュニケーションをとる必要がある人」と表現している。

ビジネスモデルの面では、Flowriteはまずプロシューマー / 個人ユーザーに焦点を当てているが、イソサーリ氏によると、そこから拡大していく可能性があり、まずはチームをサポートすることになるかもしれない。また、将来的には企業向けに何らかのSaaSを提供することも想定している。

現在、ベータ版では料金を徴収していないが、来年初めには課金する予定だ。

「ベータ版が終了したら、収益化を開始します」と同氏は付け加え、2022年半ばにはベータ版からの完全なリリース(つまり、待機者がいなくなる)が可能であることを示唆している。

イソサーリ氏によれば、今回の資金調達は、主にエンジニアリング面でのチーム強化に充てられる。初期段階での主な目標は、AIと基幹プロダクトを中心としたツールアップだ。

また、機能の拡充も優先事項の1つだ。ここには、さまざまな電子メールクライアントとの併用など、ブラウザ間でツールを使用する「水平方向の方法」を追加することが含まれる。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】包括的なマーケティングチャネル、ニュースレターを成長させるための実証済みの戦術

メールによるニュースレターほど包括的なマーケティングチャネルは他にはない。ニュースレターならオーディエンスとのダイレクトな通信ラインを所有できる。投資収益率は40倍(1ドルの投資で最大40ドルの利益)、拡張性はほぼ無限、コストはほぼゼロだ。

しかし、こうした利点を引き出すには、戦術が必要だ。この記事では、Demand Curveで使用している戦術を紹介する。この戦術により、Demand Curveでは、質の高い5万人を超える購読者を獲得し、開封率50%以上を維持している。

60%ルールを使用してポップアップによるコンバージョン率を上げる

ポップアップは侵襲的と考えられることが多いが、やはり機能する。平均でも、サイト訪問者の3%をコンバージョンする効果がある。戦略的で高パフォーマンスのポップアップならコンバージョン率は10%に達することもある。

コンバージョン率が高く侵襲性の低いポップアップにするには、60%ルールに従ってみるとよい。

  1. ポップアップを表示するページを選択する。コンバージョンを重視したページ(製品ページ、チェックアウト、サインアップなど)以外のページを選択するようにする。当社の調査ではコンテンツページが最適だ。コンテンツページは何か特定の情報を探しているページ訪問者にとって信号の役目を果たす。
  2. ウェブサイト分析ソフトウェアを起動して、そのページの平均滞在時間を確認する。
  3. そのページの平均滞在時間の60%が経過したらポップアップが表示されるよう設定する。

例えば平均滞在時間が50秒のページであれば、そのページに訪問者がランディングしてから30秒経過した時点でポップアップが表示されるように設定する。

なぜ60%なのか。読者は貴社のコンテンツに興味を示しているが、ページを離れるときが近づいている。そのタイミングでニュースレターを購読するよう促して、メールの代わりにより適切なコンテンツが表示されるようにすることは、適正だと受け止められるだろう。

ニュースレターのサンプルを掲載して品質の高さを示す

貴社のコンテンツを初めて見る訪問者に、ニュースレターの購読を勧めて成功すれば大きく前進する可能性はあるが、大半の新規訪問者はすぐには購読しない。新規訪問者と購読者の間のギャップを埋めるには、サインアップページにサンプルを掲載するとよい。最も魅力的なニュースレターをサンプルとして掲載して、コンテンツの質の高さを示すようにする。

最も魅力的なニュースレターを探すには、既刊号を開封率と返信でフィルタリングする。メールサービスプロバイダーにアクセスして、発行済みのニュースレターを開封率で並べ替えてみるとよい。これによりどのような件名のニュースレターが既存の読者に最も人気があるのかを特定できる。

次に、受信箱に移動して、ニュースレターに対する返信を並べ替えて、読者からの返信が最も多かったニュースレターを特定する。これは、その号が最も反響が大きく、無料サンプルとしてふさわしいことを示す良い証拠となる。

画像クレジット:Demand Curve

実在の人物からのメールのほうが開封率が高い

読者はサインアップした後のウェルカムメールを反射的に無視することが多い。しかし、ウェルカムメールを開く読み手のほうが、以降のニュースレターを毎回開く可能性が高い。

新規購読者がウェルカムメールを開くように促すには、購読に感謝するメールの配信を意識的に遅らせたり、送信者がはっきり分かるようにするなどして、ウェルカムメールのパターンを崩してみる。

ウェルカムメールの配信を45分遅らせる。これにより、サインアップ後数秒以内に配信されるメールを無視する新規購読者の反射的反応を回避できる。当社の調査によると45分が理想的だ。45分というのは従来のパターンを崩すには十分長い遅延であるが、ウェルカムメールが受信箱内に埋もれてしまうほど長くもない。

ウェルカムメールは、ビジネスアカウントからではなく、個人が送信するようにする。送信者を企業の創業者か確立されたオーディエンスを持つ人物にするととりわけ効果的だ。会社のロゴではなくその人物の写真を使うことで、メールが引き立つ。

送信者個人の受信箱があふれるのを防ぐには、メール送信専用に使用するウェブサイトのサブドメインを作成する。送信者のアカウントを作成し、以降ニュースレターの発行にはそのアカウントを使用する。これにより送信者の受信箱があふれるのを回避できるため、送信ドメインの健全性を維持できる。

画像クレジット:Demand Curve

新規購読者に特別号を送る

新規購読者は初回号の受信を楽しみにしている。新規購読者に確実に満足してもらうには、既刊号で特に良かったものを寄せ集めた初回特別号を作成するとよい。ただし、サインアップページにサンプルとして掲載したのと同じコンテンツは使わないように注意すること。

この初回特別号をウェルカムメールといっしょに送信して、新規購読者にニュースレターの価値(良さ)を分かってもらうようにする。これまでで最も良かった号を最初に送信しておけば、購読者は、以降の号も楽しみに待っていてくれる。

ウェルカムメールは長ったらしいものよりも簡潔でコンパクトにしたほうがよい。ウェルカムメッセージは簡潔にし、初回号は内容を充実させるようにする。ウェルカムメールと初回特別号が届いたら、以降は定期的な頻度で発行する。

画像クレジット:Demand Curve

発行回数を減らすことを検討する

Twitter上の2万4000人のマーケターたちを対象に「ニュースレター疲れ」で購読解除していないかというアンケートを実施したところ、

発行数が多過ぎるニュースレターは購読解除するという回答者が8割もいた。

購読者を疲れさせないためには、以下の点に注意する。

購読者がニュースレターの受信頻度を調整できるようにする:週1回の頻度で受信したい購読者もいれば、月1回で十分という購読者もいる。各号の末尾に、オプトアウト用のリンクを置いて、購読者がニュースレターの受信頻度をカスタマイズできるようにする。受信頻度は下がっても購読状態は維持されるようにすれば、その購読者とのつながりを保つことができる。完全に購読解除されるのは避けるようにしたい。

発行回数を減らす:四半期ごとの最大発行部数に制限をかけるようにすれば、必然的に、限られた部数のコンテンツを充実させようと努力するようになる。単に、購読者の受信箱に入り込むという目的のためだけに発行部数を増やしても、あなたも読み手も疲弊するだけだ。当社調査によると、発行部数とコンバージョン率の間には相関関係はないことが分かっている。

お堅い内容だけでなくおもしろい内容も含める

受信箱内の大半のメールはお堅い内容だ。目立つには、ウェブから収集した愉快なミーム、ジョーク、おもしろいリンクなどを含めるようにするとよい。

この戦術は毎号読者を楽しい気分にさせるという意味で、極めて効果的だ。毎号、すべての購読者の共感を呼ぶ内容を書くのは不可能だ。対照的に、ユーモアは何人にも通じる。おもしろい笑えるコンテンツを含めることで、すべての読者に満足感を与えることができる。

これはニュースレターを読む習慣の形成にも役立つ。毎号、少し内容が違っていれば、読者は、新しい号が届いたときに、どのような内容なのか分からない。ニュースレターの末尾に何かおもしろい内容を書くようにすると、読者にご褒美を与えることになって効果的だ。つまり、お堅いものを読んだ後に、笑えるものでご褒美を与えるというわけだ。

当社では毎号ミームを追加するようにしている。読者からはとてもおもしろかったという感想をいただいている。

画像クレジット:Demand Curve

他者への紹介をシームレスに行えるようにする

購読者が他者に紹介してくれれば、ニュースレターをコストなしで成長させることができる。購読者が他者に紹介してくれる可能性を高めるには、紹介プロセスを25秒以内に抑えるようにする。

毎号の終わりにニュースレターを他者に紹介できることを読者に知らせる。簡単なのは、興味を持ってくれそうな友人にメールを転送してもらう方法だ。ニュースレターの冒頭部分に、紹介された人が購読手続きを実行できるページへのリンクを含む短い文を含めるようにする。

もう少し高度な戦術として、紹介プログラムに対する購読者の一意なリンクを含めて、購読者が自分で紹介した人数を追跡できるようにする方法もある。メールやソーシャルメディア経由で共有するオプションも用意しておく。

毎号ウェブ版も用意して、メール以外でも簡単にコンテンツを共有できるようにしておく。大半のメールサービスプロバイダーはウェブ版を自動生成して、ソーシャルメディア等で拡散できるようにしている。また、コンテンツをコピーしてウェブサイトにブログ記事として投稿すれば、検索エンジンにも引っかかるようになる。

ニュースレターを紹介してくれた購読者に報酬を与えることを検討する。商品が紹介の動機となるのは、貴社のブランドが有名かかなり特殊な場合だけだ。当社は排他的コンテンツを使用して紹介を奨励することをお勧めしている。5人以上の友人を紹介してくれた購読者に毎月特別号をお送りする。これにより、コストを抑えながら、購読者により豊富な情報を提供できる。

紹介が効果を表すには購読者が最小必要人数を超えている必要がある。当社の調査によると、購読者約1万人がしきい値であることが分かっている。ただし、オーディエンスのエンゲージメントが非常に高いか、コミュニティがアクティブな場合は、無料の紹介プログラムを実装しても事実上不都合が生じることはない。

フォロワーを購読者に変える方法

購読者はソーシャルメディアを介して貴社のコンテンツを知るようになるかもしれないが、ソーシャルメディアのオーディエンスはそのメディアプラットフォームのものであり、貴社はそうした購読者と直接やり取りするためのチャネルを所有しているわけではない。フォロワーをニュースレターの購読者に変えることができれば、オーディエンスとダイレクトにやり取りして、関係を深めることができる。

フォロワーにニュースレターの購読を売り込むには、自分の略歴にリンクを含めるとよい。これは当たり前のように聞こえるかもしれないが、実際にそうしている人は少ない。あなたのソーシャルメディアのプロフィールを見た人に、ニュースレターにサインアップするよう呼びかけるのだ。そうしなければ、見た人は、貴社がニュースレターを運営していることさえ分からない。

ツイッターのスレッドやLinkedInの投稿を途中で切り上げて、すべてを読むにはニュースレターの購読をどうぞ、と呼びかけることもできる。

ニュースレター経由でしかアクセスできないオファーや独自のコンテンツを作成するのもよい。これにより、貴社のメーリングリストに参加して排他的なコンテンツや特殊なオファーを受け取るようフォロワーを動機づけることができる。

まとめ

新規購読者の獲得:自社のサイトで、適切なポップアップを購読の意志がある読者にのみ表示する。ニュースレターのサンプルを掲載して、貴社のニュースレターを購読すべき理由を示す。ウェルカムメールを目立たせ、初回号としてこれまでで最も良かった号を送る。

購読者の維持:購読者のもっと読みたいという気持ちを保つため、発行回数を抑える。ユーモアやおもしろいリンクを散りばめて、ニュースレターの購読を習慣にしてもらう。

ニュースレターの拡大:排他的なコンテンツやオファーを使って、貴社のソーシャルメディアのフォロワーにニュースレターを購読してもらうように仕向ける。購読者にニュースレターを他者に紹介してもらうことで購読者ベースの拡大を図る。

編集部注:本稿の執筆者Stewart Hillhouse(スチュワート・ヒルハウス)氏は、Demand Curveのシニア・コンテンツ・リードとして、実用的なグロース・マーケティングの洞察をまとめている。夜にはポッドキャスト「Top Of Mind」でマーケターやクリエイターにインタビューしている。マーケティングの世界に入る前は、セミプロの木こりだった。また、stewarthillhouse.comで執筆活動を行っている。

画像クレジット:Ihor Reshetniak / Getty Images

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(文:Stewart Hillhouse、翻訳:Dragonfly)

米国アマゾン、プライム会員はメールアドレスや電話番号だけでギフトを送れるように

Amazon(アマゾン)は米国時間10月4日、ホリデーショッピングシーズンに向けて、モバイルアプリでギフトを送る際に使える便利な新機能を発表した。デジタル化された現代では知らない人が多い受取人の住所を入力する代わりに、プライム会員は、電話番号やEメールアドレスを使って友人にギフトを送ることができるようになった。

この機能は、チェックアウト時に配送先の住所を入力する代わりの手段を提供するもの。相手の住所を知らない場合は「Let the recipient provide their address(受取人に配送先住所を提供してもらう)」という新しいオプションを選ぶことができるようになる。そして、相手のメールアドレスまたは携帯電話番号を入力する。

チェックアウトが完了すると、ギフトを受け取った人は、あなたが提供した情報に応じてEメールまたはテキストを受け取り、自分のAmazonアカウントから希望する配送先をAmazonに伝えることでギフトを受け取れる。または、ギフトで受け取った商品と同額のAmazonギフトカードと交換するオプションもある。これは、ギフトの送り主がチェックアウト時に「ギフトレシートを追加する」オプションを選択することで可能になる。もちろんこの交換は実店舗のショッピングと同じように、ギフトを贈った人に通知することなく行える。Amazonはギフトを受け取った人にもともと購入された商品を表示するため、ギフトを選んでくれた人にはそのアイテムに対する感謝の気持ちを伝えることができる。

この機能は、Amazonで買い物をしたい人なら誰でも利用できるというわけではない。同社はその代わりにこれを、ユーザーにプライム会員(年額119ドル / 月額12.99ドル、約1万3200円 / 1440円)への登録を促すための新たなプロモーション手段として利用している。ギフトシーズンの煩わしさを解消することで、会員登録を躊躇していた人たちの背中を押す可能性はある。しかしおそらく、これまでAmazonプライムの利用を検討していなかった人に入会を促すほどの理由にはならないだろう。家族や友人、同僚に住所を教えてもらうだけなら、いつでもできるからだ。しかし、すでにプライム会員になっているユーザーにとっては、特にギリギリのタイミングでのプレゼントや贈り物を忘れた時など、有益なリテンション戦略として役立つかもしれない。

アマゾンによると、この機能は10月4日から米国のプライム会員向けにモバイルアプリで展開される予定だ(今のところ、米国本土に配送するギフトのみが対象)。

同社は4日、ブラックフライデーの早期割引情報や、複数週にわたりさまざまな商品が割引になるビューティーホール(買い込み)イベントも発表した。

画像クレジット:Thomas Trutsche / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

1Passwordがプライバシー保護のためのログイン用電子メール生成機能を導入

iPhoneとMacのユーザーは2019年以来、新しいウェブサイトやサービス、アプリにアクセスするとき「Appleでサインイン」でランダムな電子メールアドレスを作り出すことでプライバシーを保護できるようになっている。大きな影響を及ぼすことができる小さな機能の1つであり、似たような機能が1Password(ワンパスワード)にも導入される。

同社はMasked Emailと呼ばれる機能を導入するために、電子メールホストFastmail(ファストメール)と提携した。Appleのものと同様、Masked Emailではログインのためにユニークな電子メールアドレスを生成することができる。1Passwordアプリ内で直接エイリアスを生成でき、つまりパスワードマネジャーが利用できるあらゆるプラットフォーム上でこのツールにアクセスできる。

あなたの電子メールを隠す能力は、どれだけ誇張してもし過ぎることはないあなたのオンラインプライバシー保護をサポートできる。プライバシー侵害の大半はフィッシングの電子メールから始まる。まず第一にそうしたメッセージを受け取らなければ、疑わしいリンクをクリックしたり、個人情報を不注意に共有したりというのはなくなるだろう。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のIgor BonifacicはEngadgetの寄稿者。

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(文:Igor Bonifacic、翻訳:Nariko Mizoguchi

電子メールソフトの「自動検出」機能がパスワード漏洩の原因に

運送会社、発電所、投資銀行といった業種に共通点はそれほど見られない。だが、新たな調査によると、これらの企業が自社の従業員の数千件もの電子メールのパスワードを不注意で漏洩させていることがわかった。これは広く使われている電子メールプロトコルの設計上の欠陥によるものだ。

企業が自社の電子メールサーバーをホストするために広く使われている電子メールソフトウェア「Microsoft Exchang」には、Autodiscoverと呼ばれる自動検出機能が搭載されており、従業員の電子メールアドレスとパスワードを入力するだけで、携帯電話やパソコン上のアプリの初期設定を行うことができる。これは、例えば、電子メールやカレンダーのアプリを設定する際に、手動で設定するのではなく、面倒な作業をサーバーに肩代わりさせることで、より簡単に設定できるようにするためのものだ。

そうすると、ほとんどのアプリは、会社のドメイン上の既知の場所にある設定ファイルを探そうとする。ある場所を探して見つからないと、アプリは「失敗した」として同じドメインの別の場所を探す。それでもファイルが見つからなければ、ユーザーは不便な思いをすることになる。

しかし、一部のアプリは、壁にぶつかる前に、うっかり一歩進んで「失敗」してしまう場合がある。これは問題だ。そのようなアプリは、ユーザーから見えないところで、会社の管理外だが同じトップレベルドメイン内にあるドメイン名と通信しようとするからだ。例えばcompany.comは、autodiscover.comで設定ファイルを探すことになる。すると、そのドメイン名を所有している人物は、インターネット上から送信されてくる電子メールアドレスやパスワードを「聞く」ことができるのだ。

研究者たちは何年も前から、電子メールソフトウェアはこの種のデータ漏洩に弱く、企業の認証情報を危険にさらす可能性があると警告してきた。当時、いくつかのソフトウェアは修正されたが、今でも問題が解消されていないことは明らかだ。

2021年4月、サイバーセキュリティ企業のGuardicore Labsは、autodiscover.uk、autodiscover.frなど、最も一般的なトップレベルドメインのautodiscoverドメインを取得し、漏洩してきたリクエストが届いたら「聞く」ように設定した。

Guardicoreによると、それから4カ月の間に、これらのドメインにアクセスしてくる34万件のExchangeメールボックスの認証情報を確認したとのこと。企業によっては、これらの資格情報を使ってそのドメインにログインすることを許可しているところもあり、もし悪意のあるハッカーに悪用されたらというリスクがある。また、これらの認証情報はプレーンテキストでインターネット上に送信されるので、相手側で読み取ることができるという。

他の9万6000件のExchange認証情報は、はるかに強力で復号化できないプロトコルを使用して送信されていたが、同じ認証情報を暗号化されていない平文で送信するように仕向けられる可能性があった。

Guardicoreの北米担当セキュリティ研究責任者であり、今回の調査の著者であるAmit Serper(アミット・サーパー)氏は、暗号化された認証情報を、より弱いセキュリティレベルを使用してメールアドレスとパスワードを再度送信するようアプリに要求して跳ね返し、アプリが認証情報を平文で再送信するように促す攻撃方法を開発した。

サーパー氏は、この攻撃を「The ol’ switcheroo(懐かしのどんでん返し)」と名付けた。

サーパー氏によると、このドメインでは、不動産会社、食品メーカー、中国の上場企業の認証情報も漏洩されていたという。

一般的なユーザーにとって、この漏洩は事実上目には見えないものだ。Guardicoreは、アプリメーカーの多くがまだ修正プログラムを提供していないため、流出した認証情報の最大の原因となったアプリの名前を直ちに挙げることはしていない。アプリの修正が完了したら、これらのドメインはシンクホール化されるが、悪意のあるアクターの手に渡らないように、Guardicoreの管理下に置かれたままにしておくと、サーパー氏はTechCrunchに語った。

Guardicoreの管理下にあるドメインだけで完全というわけではないが、企業やユーザーは、トップレベルにおける自動検出ドメインをブロックすることで、独自の予防策を講じることができると、サーパー氏は述べている。また、アプリメーカーも、自社のアプリを企業のドメイン外で上位に向かって「失敗」させないようにすることで対策できる。

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画像クレジット:Kittiphat Abhiratvorakul

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

迫るiOS 15リリースでマーケティング担当者が失うデータ、計画すべきDIYメトリクス戦略

Apple(アップル)は、米国時間9月20日(日本時間9月21日)に同社がリリースするiOS 15の一部として、重要なユーザーデータへの開発者のアクセスを排除することを計画しており、メールマーケティング担当者は、これからメトリクスをどのように把握していくかジレンマに陥っている。この問題に業界がどのようにアプローチしているのか、マーケティング担当者が収集したデータに基づいて行動することを支援するソフトウェア企業Movable InkのVivek Sharma(ヴィヴェック・シャルマ)CEOに話を聞いた。

このインタビューでは、8月に掲載されたExtra Crunch記事をベースに、メールマーケティング担当者がAppleのメールプライバシー保護の変更に備える方法を探っていく

今回のアップデートでメールマーケティング担当者にとってゲームチェンジャーなのは、AppleのMailのユーザーが自分のIPアドレスを隠すことができるようになった点だ。

マーケターたちはどのようにして戦術をピボットし、メトリクスを管理し続けられるのだろうか。シャルマ氏は、開封率ではなく、クリック数、コンバージョン数、収益といったダウンストリームメトリクスがより重視されるようになるだろうと考えている。「それはいいことのように聞こえますが、その分データは少なくなります。そして定義上、ファネルは狭くなり、その時点では人数が少ないので、何かがうまくいっているのか、うまくいっていないのかを知るのに時間がかかるかもしれません」。

シャルマ氏は、企業はゼロパーティデータに注目していると語る。「これには2つの要素があります。1つは指標としての『オープン』で、もう1つはオープン時に得られるIPアドレスや時間帯、推測される天候などの情報です。IPアドレスや日時などのような情報は、データ漏洩として認識されます。これらは、マーケターがアクセスできなくなるデータポイントのほんの一部です。そのため、彼らはすでに投資しているファーストパーティデータやゼロパーティデータを利用しています」。

シャルマ氏によると、課題は次のようなことになる。マーケターはどうすれば、ゼロパーティデータをおもしろく、視覚的に魅力的な方法で収集し、そのコンテンツをすべての顧客に対して大規模にパーソナライズできるのか?

以下に示したのは、Movable Inkがゼロパーティデータを収集した方法の1つだ。

「ゼロパーティデータ戦略」
世界的なアパレル小売企業が、ロイヤルティプログラムの導入時にゼロパーティデータを巧みに取り込みました。Movable Inkを利用したEメールでは、Movable Ink ExchangeのパートナーであるOracle CrowdTwistのデータを活用して、パーソナライズされたチェックリストのヒーロー画像を作成し、受信者のロイヤルティアカウントから主要なプロフィール質問を引き出し、完了までの進捗を表示し、回答ごとにポイントを提供しました。この合成画像は、Movable Inkが受信者の受信箱で消費したロイヤルティデータに基づいて自動的に生成され、1to1ユーザー体験を実現し、手動の制作プロセスを完全に回避しました。
​​レスポンス率149%アップ、ユニークCTR340%アップ(コントロール比)
画像クレジット:Movable Ink

シャルマ氏は次のように述べている。「ここにあるものはすべてアンケート調査の質問です。『ふだん何を買いますか』『靴のサイズは?』そして、そのお返しにポイントを付与するという、価値の交換が行われているのです。彼らは明確な方法であなたのことを知り、あなたが興味を持っているブランドと簡単に関わり合える方法を提供しているのです」。

データを手に入れたら、次の問題はそれをどのように利用するかだ。JetBlue(ジェットブルー)航空の例を見てみよう。

JetBlue パーソナライズド「イヤー・イン・レビュー」データ視覚化
2020年は旅行が困難な1年だったのを受けて、JetBlueはTrueBlueマイレージ会員を認識し、個々の乗客の旅行マイルストーンを紹介するために、一人ひとりパーソナライズされた、1年を振り返るデータビジュアライゼーションを提供したいと考えました。
Movable Inkは、JetBlueの記録システムからデータを抽出し、何十万通りもの組み合わせのクリエイティブアセットを各受信者の受信箱に直接自動生成することで、高価で時間のかかる手作業による制作を不要にしました。
画像クレジット:Movable Ink

シャルマ氏は、メールマーケティング担当者向けに、iOS 15での3つの重要なポイントを説明してくれた。

  1. クリック数やコンバージョン数などのファネル下部のメトリクスを重視すること。これこそが本当の意味でのエンゲージメントの指標となります。
  2. ゼロ・ファーストパーティデータ資産に投資する。真のパーソナライゼーションとは、人々が何を体験し、何を見るかということ。そのためには、ゼロパーティデータとファーストパーティデータを活用する必要があります。
  3. Eメールは、すでに投資されている成熟したチャネルであるため、顧客のエンゲージメントを高めるのに非常に有効です。Eメールは、顧客と一対一の関係を築くのにはすばらしいチャネルであり、それ以上の効果があります。この10年、15年の間に、Eメールはさまざまな変化を遂げてきました。この業界は進化し、プライバシーとパーソナライゼーションのバランスが取れたものになっていくでしょう。

画像クレジット:FeelPic

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(文:Miranda Halpern、翻訳:Aya Nakazato)

共有受信メールボックスのFrontがより深いCRM統合を備えた顧客中心の機能を導入へ

カスタマーコミュニケーションプラットフォームのFront(フロント)が、米国時間9月15日、3つの新機能を紹介するイベントを開催する。これらの新機能は、Frontのユーザーインターフェイスから直接顧客に関するより多くの情報を表示することに重点を置いている。

Frontをご存知ない方のために説明すると、同社は、チームとして受信メールを操作できるようにする「共有メール受信ボックスプロダクト」の会社としてスタートした。例えば企業がsupport@companyname.com、sales@companyname.com、jobs@companyname.comなどのメーリングリストを使っている場合、複数のチームメンバーがFrontを使って受信メールを見ることができる。

返信する前に、そのメールを特定のチームメンバーに割り当てて会話の優先順位付けをしたり、コメントセクションで現在の会話について話し合ったり、送信する前にメールの下書きを他のメンバーに見せたりすることができる。

時間が経つうちに、Frontはより多くの通信チャネルを統合するように進化してきた。いまでは、SMSでのメッセージ交換、ウェブサイト上での顧客とのライブチャット、Facebook(フェイスブック)メッセージなどにFrontを使用することができる。同社はまた、より強力な機能でも製品を改良してきた。

例えば簡単な「if this then that」(もし…だったら…する)ルールを使用してワークフローを自動化するルールを設定することができる。これは、作業を複数のチームメンバーに分配し、適切な人が受信メッセージをできるだけ早く確認できるようにするための良い方法だ。

米国時間9月15日に同社が発表する新しい機能は、営業、サポート、カスタマーサクセスチームなどの、より大きな顧客とやり取りするチームに特に役立つ機能だ。まず第一に、Frontのユーザーは、受信トレイからやり取りしている顧客について直接詳しく知ることができるようになる。

新しくなったコンテキストパネルは、クライアントのために複数のメンバーがやりとりして対処しているチームにとって、より役立つものになる。誰か特定の人の過去の会話を表示する代わりに、このクライアントのために働いているすべての人の過去の会話を表示することができる。

Frontは、Salesforce(セールスフォース)やHubSpot(ハブスポット)などのCRMとすでに統合されている。今回の新機能で、データをコンテキストパネルに簡単に取り込むことができるようになった。アカウント所有者の名前、顧客セグメント、およびこの顧客とのSLA(サービスレベル契約)コミットメントを確認できる。

画像クレジット:Front

次に、FrontはCRMとの緊密な統合による、新しい自動ルーティング機能を追加している。例えばCRM上でアカウント所有者の名前を見つけて、受信するメールをそのアカウント所有者に直接割り当てることができる。

もしSalesforce上でアカウント所有者が変更された場合には、Front内のルールも自動的に更新される。重要な顧客からメッセージを受信した場合には、CRMから年間収益データを取得し同時にVIPタグを設定することもできる。

画像クレジット:Front

最後に、Frontはまもなく分析ページをアップグレードする。例えば特定のアカウントに対するチームのパフォーマンスを追跡し、それをSLAと比較することができるようになる。

これらのアップデートは、Frontを、高額B2B契約を結んでいる大企業のクライアントに対して、より適切に機能するツールとして位置付けることになるだろう。現在のFrontの顧客には、Shopify(ショッピファイ)、Dropbox(ドロップボックス)、Flexport(フレックスポート)、Checkout.com(チェックアウト・ドット・コム)、Lydia(リディア)、Airbnb(エアービーアンドビー)などが並んでいる。

画像クレジット:Front

画像クレジット:Mark König/Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:sako)

マーケティング用メール作成を効率化する「Stensul」が16.7億円を調達、2週間かかった作業を2時間に

マーケティング用メールの作成プロセスを効率化するスタートアップ、StensulがシリーズBラウンドで1600万ドル(約16億7600万円)調達した。

同社が2年前にシリーズAで700万ドル(約7億3000万円)調達した時、ファウンダーでCEOのNoah Dinkin(ノア・ディンキン)氏は、以前の彼のスタートアップであるFanBridgeからどのようにスピンアウトしたのかを私に話した。そして、メール配信に焦点を当てた製品が数多くある中、Stensulはメール作成プロセスに集中していると語った。

ディンキン氏は、先週シリーズBについて話した時にも同様の点を数多く指摘した。同氏によると、多くの会社がマーケティング用メールを作るのに2週間かかっている。Stensulを使うと、それがわずか2時間になり、マーケターは自分自身でメールを作ることができ、デベロッパーの助けを必要としなくなる。ブランドのガイドラインなどはすでに組み込まれており、幹部や他のチームからのフィードバックや承認を得るのも簡単だ。

ディンキン氏は、大規模なマーケティングクラウドには必ず「何らかのメール作成ツールが入っているけれど、そこに重点は置かれていません」とも指摘した。

「私が指摘しているのは、この会社の半数以上はエンジニアでありながら、彼らはメール作成の仕事だけをしているということです」。

画像クレジット:Stensul

最近、同社は従業員100人以上へと成長し、新規顧客にはCapital One、ASICS Digital、Greenshouse、Samsung、AppDynamics、Kroger、Clover Healthなどがいる。新機能として、ワークマネジメントプラットフォームのWorkfrontも統合した。

またディンキン氏は、他のマーケティングチャンネルがパンデミック下で停止あるいは縮小する中、メールはますます重要になり、この古くて時間のかかるプロセスはますます負担になっているという。

「メールはもっと必要です。別のバージョンであれ別のセグメントや言語であれ、要求は急速に高まっています」と彼は述べる。「チームのサイズは変わらないため、組織のリーダーたちはさらに社内に目を向けています。この数年、数十年彼らがやってきたことはもはや通用しないので、市場で競合力を持ち続けることができなくなっているのです」。

最新ラウンドをリードしたのはUSVPでCapital One Ventures、Peak State Venturesが新たに参加、他に既存投資家のJavelin Venture Partners、Uncork Capital、First Round Capital、Lowercase Capitalが参加した。個人投資家ではOktaの共同ファウンダーでCOOのFrederic Kerrest(フレデリック・ケレスト)氏、OktaのCMOであるRyan Carlson(ライアン・カールソン)氏、Marketo / Adobeの元幹部Aaron Bird(アーロン・バード)氏、Avid Larizadeh Duggan(アヴィド・ラリザデ・ダガン)氏、Gary SwartとTalendのCMOであるLauren Vaccarello(ローレン・ヴァッカレッロ)らが参加した。

調達した資金によって、Stensulはマーケティング、プロダクト、エンジニアリング、営業チームの拡大が可能になるとディンキン氏は述べている。

「私たちの発想の原点はこれです。メールを送る人はすべてメール作成プラットフォームを使うべきである」と彼はいう。「そして『メール送る人すべて』とは『世界中の会社すべて』と同じ意味です。私たちはこの数年それが加速しているのを見ているだけです」。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:StensulEメール資金調達

画像クレジット:Stensul

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook