ノンデスクワーカーの現場から紙をなくす「カミナシ」が約11億円を調達

「これからの5年間は、ノンデスクワーカー(ブルーカラー)向けの『デスクレスSaaS』の時代が来ると思っています」と意気込むのは、カミナシCEOの諸岡裕人氏だ。同社は2020年12月、インフィニティ・ベンチャーズ主催の「ローンチパッドSaaS」にて優勝している。

2021年3月4日、カミナシはシリーズAラウンドでALL STAR SAAS FUNDCoral Capitalなどを引受先とする第三者割当増資を実施し、総額約11億円の資金調達を行ったと発表した。

点検作業をiPadアプリで完結させる

「現場から紙をなくす」ためのプラットフォームであるカミナシは、ブルーカラー(現場で働く従業員)を対象とした業務効率化ツールだ。従来、紙やExcelで行われていた点検記録や作業記録などをiPadのアプリで完結できるようにする。

約300台の機械がある食品工場を例にしてみよう。現場の担当スタッフは、毎日すべての機械を1台ずつ点検しながら、手書きで用紙に記録していく。その後、管理者は提出された書類を1枚ずつ確認して押印する。驚くことに、スタッフが行う点検回数は1日1000回以上、管理者が承認する書類は1日100枚以上に及ぶこともあるという。

カミナシCEOの諸岡氏は「このような書類での点検作業は、非効率なだけなく、ケアレスミスや形骸化にもつながっています。年間数百万円から数千万円の膨大な費用をかけているにもかかわらず、そのデータが必ずしも信用できないというのは、あまりにもったいないと感じていました」と話す。

これを解決するのが、カミナシの役割だ。上記のような現場の「点検リスト」などをクラウド上でノーコードで作成でき、スタッフは作業中にiPadのアプリを通じて記録することが可能になる。管理サイドはリアルタイムに報告内容を確認でき、これまで数時間かけていた承認作業も数クリックで完結できる。カミナシを導入すれば、現場から「紙」は瞬く間に姿を消すというわけだ。

画像クレジット:カミナシ

エンジニアが現場に足を運ぶ

しかし、実際にブルーカラーの現場をデジタル化することは、言うほど簡単ではない。従業員のなかには高齢者や、ITリテラシーが低い人も当然いる。現場で多忙な実務をこなすスタッフにとって、ツールは本当に使いやすいものでなければならない。

「ひと言でいうと大変です」と諸岡氏。とにかく現場に足を運ばなければ話が始まらない。同社はセールスだけでなく、エンジニアやデザイナーまでもが実際にクライアントの現場まで足を運び、従業員と対話を重ね、「現場の痛みを知る」ことに重きを置いている。

そんな「現場ドリブン」を徹底するカミナシのアプローチは功を奏した。プロダクトローンチからわずか8カ月で導入社数は70社を超え、食品から航空、ホテルまで14の業界に導入されるまでに成長。現在アウトバウンドセールスは行っていないものの、ウェブ経由からの流入で月間問い合わせ件数は150を超えるという。

「負け続けた3年間」があった

ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。 父親が経営する食品工場などで働きながら、地道に経験を積んできた諸岡氏。2016年に起業し、食品工場向けのソフトウェアを開発したものの、3年間は鳴かず飛ばずの状態が続いたという。

この苦しい期間を経て、2019年12月にピボットを決断しカミナシが誕生する。「これまで僕は、ずっと自信がなかったんです。『まだ結果が出ていないから、前に出るべきじゃない』と思っていた。でも、2019年にピボットを決意した時『もう、恥も外聞もなくやってやろう』と思ったんです」と当時の心境を語る。 これが大きな転機となった。

諸岡氏は自身のnoteにて、過去の赤裸々な失敗談を含めたカミナシの理念や、メリットを積極的に発信。すると、自然に「熱い想い」を持った仲間達がカミナシに集まったという。

悪戦苦闘した3年間も決して無駄ではなく、カミナシ誕生の糧となった。諸岡氏は「僕自身、3年間で300以上の現場を見てきた。1000人以上の話を聞いた。もう二度とごめんだ、と思えるくらいにはやってきた。その時に蓄積したデータや知見があるからこそ、当時より10倍も20倍も良いプロダクトを完成させられた」という。

2020年6月のリリース以降、ローンチパッドSaaSでの優勝、シリーズAの資金調達と、順調に階段を駆け上がってきたカミナシだが、「現場から紙をなくした」先にある将来も見据える。今回の調達資金の一部は、工場などが最先端のIoTやAIを導入するためのシステム作りに投入する予定だという。「現在人間が行っている点検作業を、IoTセンサーが自動的に行い、データをカミナシに送信。それをAIが分析して報告書を作成する」などの活用を想定する。

「ノンデスクワーカーのDX」。誰もが理屈ではわかるものの、本当の意味で現場の課題を理解し、ユーザーに寄り添ったプロダクトを作ることができる企業はそう多くないだろう。父親の会社で働く時代から、「現場」をその目に焼き付けてきた諸岡氏が率いるカミナシは、数少ないその内の1社かもしれない。

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山火事の消火活動を機械学習と過去データを駆使して効果的なものにするCornea

ありがたいことに、まだ山火事シーズンではない。米国西部の火事を予防したり対処したりするという、年々複雑にそして対応しにくいものになっているタスクにどう立ち向かうか、消防士や救急隊員が計画を立てる小休止の時間となっている。米国西部の山火事は近年、カリフォルニアなどの州にとって喫緊の課題だ。ほとんどが気候変動による高温、火花発生につながる朽ちつつある送電インフラ、木が生い茂る危険な地域や大火災につながる群葉によるものだ。

過酷な消防活動が何年も展開され、いくつかのスタートアップは消防をいかに改善できるかを模索している。そうしたスタートアップの1つがCornea(コーニー)だ。公共部門にフォーカスしているベンチャースタジオHangar(ハンガー)の一種のスピンアップだ。Hangarは2020年、政府をターゲットとした新しいスタートアップを立ち上げるために1500万ドル(約16億円)を調達した

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Hangarにとって最初の企業の1つが数年前に登場したCorneaで、ポテンシャルという点で最も興味深い1社であり続けている。どこで消火活動を積極的に行い、炎が燃え盛る状況でいつ退却すべきか誘導して最前線の消防士たちをサポートできる機械学習に、地理、天候、歴史上重要な火事のデータを融合させるのがCorneaが取り組んでいることだ。

Corneaは2021年2つの主要プロダクトを立ち上げようとしている。1つは、消防士たちの間で「Suppression Difficulty Index(鎮圧困難インデックス)」として知られるものに関するより良い状況認識の提供にフォーカスしている。これらは本質的に、かなり特定の地理的ロケーションで消火の危険を消防士に伝える重要な地図だ。例えば特定のロケーションでは、風や水の状況が火を勢いづかせたり注意しなければ隊員を危険な目に合わせるかもしれない。

もう1つのプロダクトは「Potential Control Lines(潜在的制御ライン)」にフォーカスしている。これは防火帯やその他の活動が火を押し戻すかもしれないロケーションのことだ。植生、無数のその他データを使うことで、Corneaは消火活動でかなり成功を収められそうな場所を特定できる。

Corneaの消防責任者はTom Harbour(トム・ハーバー)氏で、同氏は以前、米森林局で火災対応責任者を10年務めた。「50年前、私は『なぜ』という言葉を知らないカルチャーの中で育ちました。現場での消防の決定では、ただ命令に従っていました」と同氏は話した。「頭の中で言葉が回っていました」。Corneaと同社が手がけているプロダクトで、我々は「『なぜ』を元に、目にしている情報を消防士が感じ取れるようにし始めました」。

ハーバー氏は、今日現場で最も一般的なツールは紙の地図とマーカーだと話す。というのも、単に「何も壊したりできないときに壊れないと知っているから」だ。Corneaのプロダクトは活動中の消防士をサポートするかもしれないが、どこに消火活動のリソースを向けるべきか戦略的決定を下す消防作戦センターにより大きな影響を及ぼす。

Hangarの創業者でマネジングパートナーのJosh Mendelsohn(ジョッシュ・メンデルゾーン)氏は、CorneaがHangarの投資テーマの中心にあると話す。「Corneaはこれらの大きなデータセットに取り組んで効果的に処理し、(消防士に)可能な限りシンプルに多くの分析的影響を与えることにフォーカスしています」と述べ「このマーケットでは最も良いユーザーエクスペリエンスはPDFであることも明らかになっています」と指摘した。

実際、このマーケットにおける大きな課題はエンタープライズのSaaSなどと比べて災害対応の他に類を見ないダイナミックさだ。「Corneaは顧客と話し、必要とされるかどうかを検証を行うプロセスを経なければなりませんでした」とメンデルゾーン氏は話した。「すべて必要だと感じますが、すぐさま影響を及ぼすために行動の変化を最小限にする正しいこととは何でしょうか」。消火に関して特に問題なのは、火災現場からチームへのフィードバックループだ。「火災は季節性であり、我々は漸進的に改善しなければなりませんでした」と同氏は述べた。

Corneaのチームは現在、3人のフルタイムとコンサルタントがいる。Hangarが同社のスタッフでCorneaのチームを支えている。Corneaは消火のサイエンスを深めるために連邦研究助成金を部分的に使っているプロダクトを構築した。そして2021年、このモデルを現場に持ってくるために森林局や州消防当局と協業することを願っている。「人間の対応能力には限界があります。そうしたモデルを効果的に使うことで消防士がさらに活動するのをサポートするために、限られたリソースをどのように使うのでしょうか」とメンデルゾーン氏は述べた。

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(文:Danny Crichton、翻訳:Nariko Mizoguchi

マイクロソフトがビジネススイートのDynamics 365とコラボツールTeamsを緊密に統合

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が収束せず、従業員がバラバラになって在宅勤務をするための条件がわかってくる中で、ユーザーはツールをもっと統合してタスクの完了に必要なクリックを減らしたいと望んでいるだろう。米国時間3月2日のIgniteカンファレンスMicrosoft(マイクロソフト)は、こうした問題を解決するために同社ビジネススイートのDynamics 365とコラボレーションツールのTeamsを緊密に統合すると発表した。

Microsoftのビジネスアプリケーション&グローバルインダストリー担当コーポレートバイスプレジデントであるAlysa Taylor(アリサ・テイラー)氏は、ネイティブに統合するこのアプローチの利点の1つは異なるアプリケーション間でのコンテクストの切り替えが減ることだと指摘した。同氏は「我々はコラボレーションプラットフォームとビジネスプロセスのレイヤーを1つにまとめ、営業職やサービス担当者、オペレーションマネージャー(と類似の職種)がコラボレーションと日常業務の両方の機能を備えた一元化されたプラットフォームを使えるようにコミットしています」と説明した。

その効果はマーケティング、セールス、サービスにさまざまなかたちで現れるだろう。例えばマーケッターはDynamics 365 Marketingツールでウェビナーを設定して管理し、Dynamics 365のコンソールに直接統合されたTeamsストリーミングセットアップを利用して、Teamsでストリーミングイベントを実施できる。

テイラー氏は営業を例に挙げ「販売担当者がLinkedIn Sales Navigatorを使って顧客の人事異動を追跡し、Dynamics 365 Salesを離れることなくMicrosoft Teams内で特定の販売記録を関連づけられます。このため、Salesアプリケーション内で顧客やTeamsで発生した顧客に関する変更事項をしっかりと把握でき、Salesは自動で更新されます」と話す。

Microsoft製以外にもさまざまなツールをワークフローに組み込んで使いたい企業の場合に関してテイラー氏は、Microsoftのクロスクラウドコネクタを使って別のサービスと接続でき、どのようなタスクかは問わないと説明する(コネクタが目的のアプリケーションに対応できればの話だが)。

ビジネスソフトウェア分野におけるMicrosoftの大きなライバルであるSalesforceは2020年末にSlackを270億ドル(約2兆9000億円)以上で買収し、Microsoftと同様の統合機能をSalesforceプラットフォームに導入した。テイラー氏は、この買収をMicrosoftがすでに構築を始め現在も継続している統合への対抗策と見ている。

関連記事:SalesforceがSlackを約2.9兆円で買収、買収前の企業評価額は2.6兆円強だった

同氏は筆者に対し「SalesforceはSlackを買収して(我々と同様の)コラボレーションを実現する必要があったと考えています。Salesforceは我々のようなネイティブの統合にはならないため、我々はSalesforceが提供しようとしていることより何年も先行しています。そのため私は、Salesforceの買収は我々がDynamics 365とTeamsでしようとしていることへの対抗策と見ています」と語った。

CRM分野の市場シェアではSalesforceがMicrosoftを上回っていることは指摘しておいた方がいいだろう。2019年のGartnerの調査によると、Salesforceが19%を超えているのに対しMicrosoftは3%に満たない。この調査以降に数字が多少は動いているかもしれないが、おそらく大きくは変わっていないだろう。

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(文:Ron Miller、翻訳:Kaori Koyama)

Microsoft Teamsに新機能多数、組織外とのチャンネル共有やPowerPointを使ったプレゼンも可能に

今週(バーチャルで)開催されている「Microsoft Ignite(マイクロソフト イグナイト)」は、ITを中心としたMicrosoft(マイクロソフト)の年次発表会だ。このイベントが最後にリアルで開催された2019年には、過去最多の2万6000人以上が参加した。そんな現在の状況を考えれば、2021年はMicrosoft Teams(マイクロソフト チームズ)が発表の中心となったことは当然と言えるだろう。なんといっても、今やTeamsはMicrosoftの生産性スイートの中核となっている。今回の発表は、新しい会議機能から会議室用ハードウェアに至るまで多岐にわたる。

Teamsの、そしてSlack(スラック)のような競合製品にとっても、中核となるのはチーム間にまたがるコラボレート機能だが、最近では組織外の人々とのコラボレーションも含まれるようになってきている。プライベートプレビューとして提供が開始されたTeams Connect(チームズ コネクト)は、組織の内外を問わず誰とでもチャンネルを共有することが可能になる。このようなチャンネルは、他のチームやチャンネルと並んで表示され、Teamsの標準的な使い方のすべてが利用できる。管理者はこれらのチャンネルを完全に管理でき、例えば外部のユーザーは必要なデータのみにアクセスできるように制限することも可能だ。この機能は2021年後半に広く提供される予定だ。

だが、個人ユーザーにとってより重要なのは、新たにPowerPoint Live(パワーポイント ライブ)機能がTeamsに追加されることだろう。この機能を使えば、いつもどおりプレゼンテーションを行えるだけでなく、同時にノートやスライド、ミーティングチャットを、1つの画面で参照することができる。また、プレゼンテーションを受ける側にとっても、自由に画面をスクロールしたり、音声読み上げ機能を利用するなど、不便を減らすための機能が用意された。この機能は発表と同時にTeamsで使用可能になっている。

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また、プレゼンテーションする側には、より見る人を惹きつけるために視覚的な効果を使ったPresenter mode(プレゼンター モード)が新機能として加わる。数種類のモードが用意される予定で、例えば「Standout(スタンドアウト)」モードでは、コンテンツの前にプレゼンターのビデオを放映することができる。「Reporter(レポーター)」モードは、ローカルTVのニュース映像のように、話し手の肩の上にコンテンツを表示する。そして「Side-by-side(サイド・バイ・サイド)」モードは、まあ、想像がつくだろう。この機能は2021年3月中に導入される予定だが、当初はStandoutモードのみで、ReporterとSide-by-sideは「近々」追加になると、Microsoftは述べている。

もう1つ、新たに加わる視覚的な機能は「Dynamic view(ダイナミック ビュー)」と呼ばれるものだ。これによってTeamsは、ミーティングのすべての要素を「最適な視聴体験のために」、それぞれの参加者に合わせてパーソナライズするという。「人がミーティングに参加したり、動画を流したり、発言を始めたり、発表を始めたりすると、Teamsは自動的に画面表示のレイアウトを調整し、パーソナライズします」と、Microsoftは説明している。だが、さらに便利なのは、画面の上部に参加者のギャラリーを配置し、自然な視線の維持を助けることだろう(AIによるトリックを使わずに)。

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大規模なミーティングでは、Teamsのユーザーは最大1000人もの社内外の人々と、インタラクティブなウェビナーを開催できるようになった。また、CEOが全員に向けてプレゼンテーションを行う必要がある場合などには、最大2万人までの視聴者を対象とした放送のみのミーティングも可能だ。これは2021年6月30日以降になると1万人に縮小される予定だが、その頃には新型コロナウイルスも収束し、ビジュアルイベントに対する需要の高まりも落ち着くだろうという考えに基づいている。そうなることを祈りたい。

我々がオフィスに戻れる時のために、Microsoftは会議室用の「Intelligent Speaker(インテリジェントスピーカー)」を開発している。これは最大10人の発言者の声を識別して、より正確な文字起こしが可能になる。また、同社ではDell(デル)などのメーカーと提携し、新しい会議室用のモニターやスピーカーバーも発売する。

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

オープンソースのデータ統合プラットフォームのAirbyteが5.6億円を調達

オープンソースのデータ統合プラットフォームを提供するAirbyte(エアバイト)は、米国時間3月2日、Accelが主導するシードラウンドで520万ドル(約5億6000万円)を調達したことを発表した。他に投資家として参加したのはY Combinator、8VC、Segmentの共同創業者のCalvin French-Owen(カルビン・フレンチ=オウエン)氏、Clouderaの元GMであるCharles Zedlewski(チャールズ・ゼドレウスキー)氏、LiveRamp(ライブランプ)とSafegraph(セイフグラフ)CEOのAuren Hoffman(オーレン・ホフマン)氏、Datavant(データバント)CEOのTravis May(トラビス・メイ)氏、Machinify(マシニファイ)社長のAlain Rossmann(アラン・ロスマン)氏などだ。

Airbyteは、LiverRampやRideOSの元エンジニアリングディレクターで統合責任者だったMichel Tricot(マイケル・トリコット)氏と、開発者ツールやB2Bサービスを中心とした連続起業家John Lafleur(ジョン・ラフラー)氏が共同で創業した会社だ。ラフラー氏が最後に共同創業したスタートアップはAnaxi(アナクシー)だ。

画像クレジット:Airbyte

実は創業当初は、チームは今とは多少違う、マーケティング企業向けのデータ接続に焦点を当てたプロジェクトに取り組んでいた。創業者たちはY Combinatorに採用され、アプリケーションを開発したが、新型コロナウイルスのパンデミックが発生したために、Airbyteのオリジナルプロジェクトの初期顧客だった多くの企業が、予算凍結やレイオフに直面してしまった。

「その時点で、私たちはより深いデータ統合領域に踏み込もうと決めました、それが現在のAirbyteプロジェクトと製品の始まりなのです」とトリコット氏は説明する。

現在のAirbyte は、初期のような特定の業界に焦点を当てたものではなく、データエンジニアリングそのものに向けられているが、コネクタを構築するためのグラフィカルな UI と、開発者が取り込むためのAPIの両方を提供している。

トリコット氏が指摘するように、多くの企業が独自のデータコネクタを開発し始めており、最初はなんとなく上手くいくことが多い。しかし、本当の複雑さは、それらを保守し続ける際に現れる。「それがどのように振る舞うかが、手に負えなくなるのです」と彼はいう。「その結果、失敗するか、何かを変えるかのどちらかになるわけです。データ統合のコストはメンテナンス部分にかかっているのです」。

コネクタの構築を専門とする企業であっても、その複雑さはすぐに手にあまるようになるため、チームはAirbyteをオープンソース企業として構築することにした。またAirbyteによれば、Fivetran(ファイブトラン)のようにデータ統合に力を入れている企業はあるものの、多くの顧客は、クローズドソースの競合他社がサポートしていないユースケースが必要になることが多く、その場合は結局顧客自らがゼロから開発しなければならなかったと主張している。

「Airbyteにおける私たちの使命は、データを複製するための標準になることです」とラフラー氏は語る。「そのために、個々のコントリビューターの方々のニーズに対応したすべての機能をオープンソース化するのです、つまりすべてのコネクタをそうします」。彼はまた、Airbyteは2022年早々に行う予定のシリーズAラウンドを完結するまでは、オープンソースのツールに注力すると述べている。

Airbyteは、そのサービスを収益化するために、企業のニーズに対応した機能(データ品質、プライバシー、ユーザー管理などのエンタープライズ機能などを想像して欲しい)をすべてライセンスする、オープンコアモデルを採用する予定だ。また、コンテナ化されたコネクタのホワイトラベル化(OEM提供)も検討している。

現在、約600社の企業がAirbyteのコネクタを使用しているが、わずか1カ月前には250社だった。そのユーザーにはSafegraph、Dribbble(ドリブル)、Mercato(メルカート)、GraniteRock(グラナイトロック)、Agridigital(アグリデジタル)、Cart.com(カート・ドットコム)などが含まれている。

同社は新たな資金を使い、2021年末までにチームを約12人から25人に倍増させる計画だ。現在、同社はユーザーベースの確立に注力しており、2022年にはマネタイズを開始し、より多くの資金調達を行う予定だ。

関連記事:オープンソースのデータパイプラインプラットフォーム「Airbyte」

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:sako)

マイクロソフトがワークフローを自動化するPower Automate DesktopをWindows 10ユーザーに無料で公開

米国時間3月2日、Microsoft(マイクロソフト)はPower Automate DesktopをWindows 10ユーザーに無料で公開すると発表した。Power Automate Desktopはデスクトップベースのワークフローを自動化するエンタープライズレベルのツールだ。Power Automate DesktopはMicrosoftが「Attended RPA」と呼ぶソリューションだが、強力なマクロレコーダーのようなものと考えられる。複数のアプリケーションにわたるフローを構築するのに役立つ370のアクションがあらかじめ用意されているが、真価は何度も繰り返し実行する時間のかかるタスクを自動化するためのオリジナルのスクリプトを作れることにある。

Power Automate Desktopは2020年9月に発表された。2020年前半にMicrosoftがSoftomotiveを買収したことがベースにあるが、MicrosoftはSoftomotiveのテクノロジーを拡張し自社のスタックと深く統合してきた。

関連記事:マイクロソフトがビジネスパーソンが使えるワークフロー自動化ツールPower Automate Desktopを発表

Power Automate Desktopを試してみたいユーザーは現時点でMicrosoftからダウンロードできるが、今後数週間のうちにMicrosoftのInsider Builds for Windows 10に含まれ、最終的にはWindows 10に組み込まれて標準のWindows Homeエディションで利用できるようになる。これまでPower Automate Desktopの1ユーザーあたりのライセンス料は1カ月15ドル(約1600円)からとなっていた。

画像クレジット:Microsoft

MicrosoftのPower Platformエンジニアリング担当コーポレートバイスプレジデントであるCharles Lamanna(チャールズ・ラマンナ)氏は筆者に対し「Power Platformですべての人にとって開発を民主化したいというミッションを持っています。これはもちろん誰もが利用できるプロダクトを作るという意味で、Power Appsでアプリケーションを作るにしてもPower Automateで自動化するにしても、つまりノーコード/ローコードということです。しかしもう1つ重要なことがあります。典型的なPCユーザーに自分が開発者になれると思ってもらえるような想像力をどのようにして広げるかということです」と語った。

今回の移行に関しラマンナ氏は、ライセンスにまつわる面倒を解消し、Windowsユーザーに対して自分でbotを作りタスクを自動化できるというメッセージを送ることになると考えている。同氏は「特にマクロレコーダーのような記録機能に関して我々が設計した方法、そして我々の経験により、ユーザーはループやクリックするアプリやテキストボックスのことを考えることなく、ただ記録して実行できます」と述べた。

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Kaori Koyama)

マイクロソフトがExcelの数式からヒントを得たオープンソースの新ローコード言語「Power Fx」発表

米国時間3月2日、Microsoft(マイクロソフト)が、Excel(エクセル)の数式からヒントを得た新しいローコード言語、Power Fx(パワーFx)を発表した。Power Fxは、Microsoft自身のローコード環境であるPower Platform(パワー・プラットフォーム)上でカスタムロジックを書くための標準手段となる。一方同社はこの言語をオープンソース化して、他者も同様に実装を行うことで、この種のユースケースのためのデファクトスタンダードになることも期待している。

Power Platform自体はプロの開発者よりもビジネスユーザーをターゲットにしているため、始めるに際してビジネスユーザー層のExcelの既存の知識とExcelの数式への親和度を活用することは、賢いやり方のように思える。

「私たちはこの15年ほどの間に、長いプログラミング言語の歴史と、真に興味深い出来事を目の当たりにしてきました。それは、プログラミング言語が無償となり、オープンソースとなり、コミュニティ主導型になったということです」と私に語ったのは、MicrosoftのPower Platformエンジニアリング担当CVPであるCharles Lamanna(チャールズ・ラマンナ)氏だ。彼はまた、C#(シーシャープ)やTypeScript(タイプスクリプト)、あるいはGoogle(グーグル)のGo(ゴー)のような内部言語でさえも、そうしたものの良い例となっていることを指摘した。

「それは現在進行形のトレンドなのです。そして興味深い点は、それらはすべてプロの開発者やコーダーのためのものだということです。振り返って、ローコード / ノーコード空間を眺めてみた場合にも、プログラミング言語が存在しています。例えばExcelのプログラミング言語のようなものがありますし、すべてのローコード / ノーコードプラットフォームもそれぞれ独自のプログラミング言語を持っています。しかし、それはオープンではありませんし、ポータブルでもなく、それぞれのコミュニティに閉じたものです」とラマンナ氏は説明する。

Microsoftによると、今回発表された言語はVijay Mital(ビジャイ・ミタル)氏、Robin Abraham(ロビン・アブラハム)氏、Shon Katzenberger(ショーン・カッツェンバーガー)氏、Darryl Rubin(ダリル・ルービン)氏らが率いるチームによって開発されたのだという。チームはExcel以外にも,Pascal(パスカル)、Mathematica(マセマティカ),1980年代に開発された関数型プログラミング言語であるMiranda(ミランダ)などの言語やツールからもインスピレーションを得ている。

Microsoftは、Power Fxを自身のローコードプラットフォームのすべてに導入する計画だが、コミュニティに焦点を当てていることから、Power Automate(パワー・オートメイト)やPower Virtual Agents(パワー・バーチャル・エージェント)などへの搭載がまず行われる予定だ。

しかし、チームは明らかにこの言語を他の場所でも採用して欲しいと考えている。ローコード開発者は、Power Apps Studio(パワー・アップス・スタジオ) のような製品の数式入力中にポップアップで表示されるのを目にすることになるだろう。しかし、より高度なユーザーは、Visual Studio Code(ビジュアル・スタジオ・コード)に移動して、より複雑なアプリケーションを構築するために使用することもできるようになる。

開発チームが指摘しているように、彼らは言語をただExcelのものに似せるだけではではなく、Excelのような振る舞いをさせることにも力を入れてきた、プログラム専門家ならREPLのようなものと言えば理解できるだろう。つまり数式は宣言的に書かれ、開発者がコードを更新すると同時に再計算が行われる。

最近のローコード / ノーコードツールの多くは、ユーザーがより洗練されたコードでアプリを拡張したり、ツールにコードベース全体をエクスポートさせたりするための脱出口を提供している。なぜなら結局のところ、こうしたツールたちには限界があるからだ。そうしたツールたちはデフォルトで幅広いシナリオをサポートするようになってはいるものの、どの企業も独自のやり方を持っているため、すべてのユースケースをカバーすることはできない。

「私たちは、おそらく開発者の大多数──私は『開発者』という言葉をPower Platformを使うコーダーとしてのビジネスユーザーを指しています──が、最後は何らかのかたちでこうした数式を書くことになると想像しています。基本的な想定として、Power Platformを使い始めた最初の日には、数式は書きませんよね?【略】そこで使われるのはマクロレコーダーだったりテンプレートです。Power Appsも同じです。純粋にビジュアルで、ドラッグ&ドロップを使い、数式は1つも書きません。でもPower Platformのすばらしい点は、これを使っていると2週目には、少しだけ洗練されたものを学んでいくことになるのです。そして少しずつ洗練された機能を使い始めることになります。そして、知らず知らずのうちに、さまざまな能力を身につけたPower Platformやローコード開発者のプロたちが手に入ることになるのです」。

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:sako)

GoogleがWorkspaceの新機能を発表、現場で働く従業員向けのWorkspace Frontlineも追加

Google(グーグル)は、かつて「G Suite(ジースイート)」と呼ばれていた(今後もそう呼ぶ人が多いかもしれない)法人向け生産性プラットフォーム「Google Workspace(グーグルワークスペース)」の大規模なアップデートを、米国時間3月1日に発表した。GoogleカレンダーからGoogle Meet(グーグルミート)まで、さまざまな新機能が導入された他、GoogleアシスタントをWorkspaceと組み合わせて使うことが可能になった。

関連記事:G SuiteがGoogle Workspaceにリブランド、チャットルームでドキュメント作成コラボも可能に

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確かに、Googleアシスタントで仕事のカレンダーを確認したり、同僚にメッセージを送ったりできるようになったことは注目に値するだろう。今までこの機能はベータ版として導入されていたが、正式採用となった後も、会社の管理者が「検索とアシスタント」サービスを有効にする必要がある。また、導入はゆっくりとしたペースで進み、モバイルでは一般に利用可能となったものの、スマートスピーカーやGoogle Nest Hub(グーグルネストハブ)のようなスマートディスプレイでは未だベータ版となっている。それでも、Googleがこれらの機能をずっと前に約束していたことを思えば、待望の採用といえるだろう。

日々の仕事に直接影響を与える他の新機能としては、オフィス不在の繰り返しイベントを作成することや、勤務時間をいくつかのセグメントに分割することが可能になった。また、仕事中に気が散るのを最小限に抑えるための新しいイベントタイプ「Focus Time(フォーカスタイム)」も追加された。Focus Timeはカレンダー上で3時間ブロックする機能よりも少し賢く、設定した時間帯には通知を制限することができる。

Googleはまた、会議にどれだけの時間を費やしているか(無駄にしているか)を教えてくれる新しい分析機能も導入した。会議に費やした時間を表示するだけなので、Microsoft(マイクロソフト)の生産性スコアほど充実した(時には不気味さを感じるほどの)機能ではないが、1日どのように過ごしたかを俯瞰して見るには最適な機能だ(すでに自分でわかっているとは思うけれど)。このデータは上司と共有されることはない。

オフィス以外の場所で仕事をすることがあらかじめ決まっている場合のために、GoogleはWorkspaceに位置情報を追加した。いつ、どこで仕事をする予定か、あるいはいつから自宅で仕事をするのか、といった情報を同僚と共有できる。

当分の間は、リモートで会議が行われることも多いだろう。新たに追加される新機能では、自宅でスマートディスプレイのGoogle Nest Hub Max(グーグルネストハブマックス)を使って会議に参加しながら、ノートPCをセカンドスクリーンとして設定することが可能だ。

さらに重要なのは、モバイルで会議に参加する際にピクチャ・イン・ピクチャ・モードが利用できるようになることだろう。これによってスマートフォンでGoogle Meetの会議に参加しながら、同時にウェブやGmailを閲覧したり、ブレインストーミングセッション中に重要な作業を行ったりできるようになる。

今後はモバイルでも背景を変更する機能がサポートされる予定だが、今のところ背景をぼかすことしかできない。また、同様にQ&Aや投票機能もモバイル版に追加される予定だ。

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Googleは最前線の現場で働く従業員のために、このグループのユーザー向け新機能を備えた「Google Workspace Frontline」を追加することも発表した。これを使えば、GoogleスプレッドシートやGoogleドライブから、より簡単にカスタムAppSheetアプリを作成することもでき「現場でのデータ収集、安全リスクの報告、顧客要求の管理など、現場における作業をデジタル化して効率化することができます」と、Googleは述べている。

関連記事:GoogleがClassroomなどのオンライン教育ツールに50以上のアップデートを予定、「Google Workspace for Education」に再ブランド

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

グーグルがアップルのプライバシーラベル表示義務に従いiOS用アプリの更新を再開

Google(グーグル)はこの週末に、多くの主要なiOS向けアプリを更新し始めた。同社はApple(アップル)が新たに義務づけたプライバシーラベルの表示を加えなかったため、長い間これらのアプリは更新されずにいた。2021年初め、Googleはこのラベルを「間もなく」同社のアプリを更新する際に追加すると言っていたが、今のところ、Google検索、Googleフォト、Googleアシスタント、Googleマップ、Google Pay(グーグルペイ)、Chrome(クローム)など多くのアプリはまだ更新されていないままだ。

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Appleのポリシーに従い、開発者はプライバシーラベルを適用するまで、アプリをそれ以上アップデートすることはできない。そのためGoogleは多くの主要アプリを長い間、更新できなかった。特にバグ修正やパフォーマンスの改善を含むマイナーアップデートを定期的に配信しているGoogleのような規模の企業であれば、通常はそのようなことはない。

例えばGmail(ジーメール)は、この週末にアップデートが行われる以前は3カ月間も更新されていなかった。

iOS App StoreにあるGoogleのアプリ情報を見ると、Googleスライド、Googleドキュメント、Googleスプレッドシート、Googleカレンダーは週末にアップデートが配信されている。また、この数週間で、Googleの他のアプリも、新たにラベルを追加して更新が再開された。例えば、YouTube(ユーチューブ)、YouTube TV、YouTube Music(ユーチューブミュージック)、Google ToDo(Google Tasks)、Google ポッドキャストなどだ。

我々はこのスプレッドシートで、Googleアプリの更新を追ってきた(Appfiguresはその独自のデータと照らし合わせて、我々のシートの正確さを確認している)。

2021年にプライバシーラベルの表示が適用されたGoogleのアプリは、週末にアップデートされた一連のアプリだけではない。アプリの中には、アップデートされずにラベルのみが加えられたものもあるため、見つけることが難しい場合もある。

Googleの全iOS向けアプリで、現在プライバシーラベルの表示が適用されているアプリには以下のものが含まれる。

Google One(グーグルワン)、Googleポッドキャスト、Google Stadia(グーグルステイディア)、Google Fit(グーグルフィット)、Google Fi(グーグルファイ)、Google ToDo、Google Chat(グーグルチャット)、Onduo(オンデュオ)、Project Baseline(プロジェクトベースライン)、YouTube、YouTube TV、YouTube Music、YouTube Kids(ユーチューブキッズ)、YouTube Studio(ユーチューブスタジオ)、Google Meet(グーグルミート)、Google Smart Lock(グーグルスマートロック)、Motion Stills(モーションスチル)、Google Fiberr(グーグルファイバー)、Google広告、Wear OS(ウェアオーエス)、Googleカレンダー、Google Classroom(グーグルクラスルーム)、Googleスライド、Googleスプレッドシート、Googleドキュメント、Googleドライブ、Google Play ムービー、Google Home(グーグルホーム)、Fiber TV(ファイバーTV)、Google翻訳、Google Authenticator(Google 認証システム)

Googleは、プライバシーラベルを適用するために、なぜそれほど時間がかかっているのか、理由を述べていない。当初は、毎年恒例のホリデー・コード・フリーズ、つまり多くの人々が休暇を取るため、アプリの更新を一時的に停止しているから、プライバシーラベルの適用が遅れているとしていた。

しかし、アプリの更新が止まっているのが、数週間から数カ月になるにつれて、Googleが他の大手テック企業よりもはるかに慎重で、プライバシーラベルを適用するために方法論的なアプローチを取っていることが明らかになった。その結果、同社のアプリのアップデートへの注目と監視が高まった。

実際、Googleのアプリがプライバシーラベル表示を加えて更新される度、大々的に報じられることになっている

例えば、Engadgetは米国時間3月1日、週末にGmailなどのアプリが更新されたことを報じている。

2021年1月中旬、Googleは公式にその遅延に対する注目に応え、同社のiOS用アプリは次回の更新を受ける際にプライバシーラベルの表示が適用されると、ブログ記事で説明した。しかし「更新」と「プライバシーラベルの適用」は必ずしも同時に行われているわけではない。報道によると、Gmailはすでに2月22日にプライバシーラベルが追加されていたが、今まで更新はされていなかった。

そしてプライバシーラベルの表示が加えられたアプリは、更新されたアプリよりもずっと多い。

Googleはコメントを求められても現時点で回答していない。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:GoogleAppleアプリiOS

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

エンジニアリングチームのスケジュール管理をサポートするAcumenが約7.5億円調達

エンジニアリングのチームは、スケジュールどおりに開発を進めていくと厳しい課題に直面することがあり、そのスケジュールの遅れは組織全体に影響を与える。この問題に取り組むために、エンジニアリングオペレーションを専門とするイスラエルのスタートアップ、Acumen(アキュメン)は米国時間2月24日、700万ドル(約7億5000万円)のシード資金を調達したと発表した。

このラウンドには、Hetz(ヘッツ)、10D、Crescendo(クレッシェンド)、Jibe(ジャイブ)が参加しており、同スタートアップが継続して製品の発展と市場投入を行うための資金を提供する。約1年前からベータ版の顧客と協力を続けてきた同社はこの日、ステルスモードからの脱却を発表した。

Acumenの共同創業者でCEOを務めるNevo Alva(ニーボー・アルバ)氏は、経験豊富なスタートアップ創業者だ。同氏はこれまで、エンジニアリングチームが成長するに連れて、データやチームのパフォーマンスに関する洞察力が不足し、苦戦するのを何度も見てきた。そのような企業に欠けている可視性を提供するため、同氏とその共同創業者はAcumenを起ち上げた。

「エンジニアリングチームの規模が大きくなると、チーム内で何が起こっているのかが見えなくなるため、課題に直面することになります。急にタスクの優先順位付けが難しくなるのです。人々はスケジュールに影響を与える相互依存関係を毎日のように経験しています」と、アルバ氏は説明する。

同氏によれば、これは生産性と速度の低下を引き起こし、そして最終的には会社全体に影響を与える納期に間に合わなくなることで現れるという。Acumenがやることは、まずさまざまな計画やコミュニケーションのツールからデータを収集し、それから機械学習を使用してスケジュールに影響を与える可能性のある潜在的な問題を特定。そしてその情報をカスタマイズ可能なダッシュボードに表示する。

関連記事:ソフトウェア開発チームのパフォーマンスを計るツール「Continuous Insights」

このツールは、さまざまなプロジェクトを期限内に完了させる責任を負ったエンジニアリングチームのリーダーを対象としており、彼らがボトルネックの可能性を認識するための助けとなることを目的とする。このソフトウェアの機械学習アルゴリズムは、どのような状況が問題を引き起こすのかを時間をかけて学習し、大きな問題にならないようにするための提案を示してくれる。

2019年7月にAcumenを設立した後、創業者たちは最初の10カ月で、十数社のパートナーとともに製品の最初のバージョンを構築し、SOC-2などさまざまな標準化団体の審査に合格できるかどうかを確認した。2020年からクローズドプライベートベータの段階に入っており、2月の最終週に正式発表された。

Acumenは現在20人の従業員を抱えており、2021年中に10人の増員を計画している。2020年のほとんどをリモートで仕事した後、もはや新規雇用に場所はまったく重要ではないと、アルバ氏はいう。「どこに住んでいる人を雇用するかということは、明らかに重要ではなくなっています。リモートで仕事をする上で、タイムゾーンはまだ考慮すべきだと思いますが」と、同氏は語っている。実際、同社の20人の従業員はイスラエル、米国、東ヨーロッパに住んでいるという。

アルバ氏は、従業員が孤立して仕事をしていると感じることがあると理解しているため、Acumenでは毎日ビデオ会議を行っており、その最初には仕事以外のことについておしゃべりするという。それが連帯感を維持するための方法になるからだ。Acumenはこれから、本格的に市場参入に向けて力を入れていく。Harness(ハーネス)やPinpoint(ピンポイント)のような競合製品があることをアルバ氏は認識しているが、データと機械学習の活用が差別化に役立つと考えている。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Acumen資金調達エンジニアイスラエル

画像クレジット:Jetta Productions Inc / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Facebookがラップを制作・公開できるTikTok風アプリ「BARS」を発表

米国時間2月26日、Facebook(フェイスブック)の社内R&DグループであるNPEチームが、新たな実験的アプリ「BARS」を発表した。このアプリは、プロが作成したビートを使って、ラップを創作・公開できるもので、NPEチームが音楽分野で起ち上げたアプリとしては、最近一般に正式公開されたミュージックビデオアプリ「Collab」(コラブ)に続いて2つ目となる。

関連記事:Facebookが音楽動画をコラボ制作できるアプリCollabを正式リリース、まずは米App Storeで

Collabがオンラインで他の人と一緒に音楽を作ることに焦点を当てているのに対し、BARSは自分の動画を作成して公開したいと思っているラッパーを対象としている。このアプリでは、ユーザーは何百ものプロが作成したビートの中から好きなものを選択し、自分のリリックを書いて、動画を録画する。BARSはまた、ユーザーがリリックを考えている時に自動的に韻を提案する機能もある。さらに、映像に適用できるさまざまな視覚効果フィルターや、オートチューン機能などのオーディオ用フィルターも使用できる。

「チャレンジモード」も用意されており、これは自動提案された言葉でフリースタイルのラップを行うというもので、ゲーム的な要素を備えている。Smule(スミュール)の「AutoRap(オートラップ)」のように、単にラップを楽しみたい人にも受け入れられるようにデザインされており、おそらくユーザーが自分で作成したビートも使用できるようになるだろう。

画像クレジット:Facebook

BARSは最長60秒までの動画を作成可能で、カメラロールに保存したり、他のソーシャルメディアプラットフォームでシェアしたりすることができる。

Collabと同様に、新型コロナウイルスの流行がBARSの制作にひと役買ったようだ。ウイルスの影響で、ラッパーが自分の作品をライブで試すことができる場所や機会が得られなくなってしまったと、NPEチームのメンバーであるDJ Iyler(DJアイラー)氏は説明する。同氏は自身も「D-Lucks」という名前でヒップホップソングを制作している。

「ラッパーを目指す人々にとって、高価なレコーディングスタジオや制作機材を利用できる機会は限られていることを、私はよく知っています。それに加えて、世界的な新型コロナウイルス感染流行の影響で、私たちが作品を制作し、公開することが多いライブパフォーマンスをできる場所が閉鎖されてしまいました」と、彼はいう。

意欲的なラッパーたちのチームによって作られたBARSは、米国で2月26日よりクローズドベータ版の配布が開始された。

画像クレジット:Facebook

この新しいアプリは音楽、特にラップに焦点を当てているものの、FacebookがTikTok(ティックトック)の競合(少なくともこのカテゴリにおける)を開発しようとする試みの1つと見ることもできる。

TikTokは、すでにラッパーを含む新進気鋭のミュージシャンにとって、自分の作品を公開するための発射台となっているラッパーは自分のリリックを試すことができ、多くのビートメーカーに支持されているだけでなく、どのような音楽が作られるかということにも影響を与えているディストラックもまた、TikTokで非常に人気のあるフォーマットになっており、主にインフルエンサーが事件を煽ったり、意見を追求したりする手段として使われている。つまりTikTokにおけるラップの界隈にはすでに大規模なソーシャルコミュニティができ上がっており、Facebookはその一部の注目を奪いたいと考えているということだ。

BARSは、ユーザーインターフェイスの点でもTikTokと似ている。それは2つのタブで構成された縦長の動画インターフェースで、TikTokの「フォロー中」と「おすすめ」の代わりに「Featured」と「New」のフィードが表示される。そしてこのアプリは、やはりTikTokのように、画面の右下にエンゲージメントボタンを配置し、左下にクリエイター名を配置している。

しかし、BARSで動画を「お気に入り」にするには、ハートをタップするのではなく、動画をタップすると「火」がつく(動画が再生されている間は、火の絵文字が表示される)ようになっている。「火」は何度でもタップできる。しかし、BARSには(厄介なことに)タップして一時停止する機能がないので、動画の再生を停止する方法を探している時に、誤って「火をつけて」しまうことがある。進めるには垂直方向にスワイプするのだが、インターフェイスにはお気に入りのクリエイターを「フォロー」するための明確なボタンが見当たらない。それは右上の3ドットメニューの下に隠されている。

アプリには、意欲的なラッパーや元音楽プロデューサー、パブリッシャーを含むNPEチームのメンバーからのコンテンツが組み込まれている。

現在、BARSのベータ版は米国のiOS App Storeで配信されており、招待希望者のウェイティングリストが開放されている。Facebookによると、BARSの招待は米国で開始され、数回に分けて行われるという。招待に関するアップデートやニュースはInstagram(インスタグラム)で発表される。

Facebookの実験的アプリ部門から最近発表されたアプリには、Collabの他、コラージュメーカーの「E.gg」(エッグ)などがあるが、すべてのアプリが定着するわけではない。市場を牽引することができなければ、Facebookはそれらのアプリを廃止する。実際に同社が2020年、Pinterest(ピンタレスト)風の動画アプリ「Hobbi」でそうしたように。

関連記事:Facebookが写真日記&ショートムービ作成アプリ「Hobbi」を半年足らずで終了

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Facebook音楽

画像クレジット:Facebook

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

セールスとマーケティングを統合したB2BマーケティングプラットフォームのTerminusが96億円調達

セールスとマーケティングはビジネスプラン上、よく1つのカテゴリーと見なされる。だが皮肉なことに、それらの機能を支援するアプリとサービスを開発するときは通常別々の会社が行うことになる。企業の中でセールスとマーケティングに取り組むチームについても同様だ。しかし、アカウントベースのマーケティングを通じてセールスとマーケティングを統合して扱うプラットフォームを構築するTerminus(テルミナス)というスタートアップが資金調達と成長を米国時間2月25日に発表した。これは同社のアプローチが勢いを増していることを示している。

同社はシリーズCを9000万ドル(約96億円)でクローズした。TechCrunchは情報筋から、バリュエーションは約4億ドル(約430億円)との情報を得た。PitchBookのデータによると、これは前回2018年のラウンドでのポストマネーで9600万ドル(約103億円)というバリュエーションを大幅に上回った。

上昇の理由の1つは、特に2020年、デジタルマーケティングに注目が集まったことだ。パンデミックのため、従来の多くのチャネルが見えなくなってしまった。アカウントベースのマーケティングだけでも、2018年には4580億ドル(約49兆円)の市場機会と見積もられていた

特にTerminusに関心が集まるもう1つの理由は同社の顧客リストだ。IBM、Salesforce、Thomson Reutersなど約1000の法人顧客がいる。

「私たちは新しいマーケティングオートメーションを構築しています」とCEOのTim Kopp(ティム・コップ)氏はインタビューで述べた。「アカウントベースのマーケティングは、セールスソフトウェアに起こった最も重要なことだと思います。多くのチームが案件ベースのアプローチからアカウントベースのアプローチに切り替えています。私たちは現在、すべてのエンゲージメントポイントである最新のB2Bマーケティングクラウドに対応しつつあります」。

今回のエクイティラウンドはGreat Hill Partnersがリードした。既存の投資家からAtlanta VenturesとEdison Partners、そして新規の投資家としてHallet Capitalも参加した。この資金により、ジョージア州アトランタとインディアナ州インディアナポリスに共同本社を置くTerminusが調達した総額は約1億2000万ドル(約130億円)になる。

マーケティングの世界はインターネット消費の増加とデジタルサービスの急増により20年間で大きな変化を遂げ、現在では「マーテック」と総称されビッグビジネスを形成している。

Terminusが特に焦点を当てている分野は、アカウントベースのマーケティング。要するにこれは、B2Bの販売およびマーケティングチームが、ビジネスの潜在的なターゲットを個々にではなく集合的なグループとして捉える方法だ。組織全体で作業する、より統合された取り組みを意味する。複数の人に対し何かを売り込む方法を提供し、誰かとつながり、販売する機会を増やす。

Terminusのプラットフォームとアプローチは、CEOのコップ氏が指摘するように、基本的にセールスとマーケティングの機能を統合するものであり、作業を一方から他方に引き継ぐ必要はない(その一環として、グループ内のさまざまなソフトウェア間で作業する手間とコストを削減する)。

「マーケティングと販売の統合には圧倒的な機会があります」と同氏はインタビューで述べた。「マーケティング部隊が営業会議に参加し、営業部隊はクライアントの成功の一部となる。自社の顧客に対してマーケティングを行うわけです。これは顧客が腐るほどに余っている領域です。顧客は通常、セールスまたはマーケティングの一方からアプローチされるためです」。

現在のTerminusのプラットフォームは、セールスインテリジェンス、アカウント情報、その他のデータソースをまとめて、ターゲット候補のリストを作成するのに役立つ「データスタジオ」から構成されている。これに加え、広告、電子メールとWebキャンペーン、およびチャットボット管理を構築する機能を含むマーケティングエンジンも開発している。これらの一部は社内で開発され、一部は買収によってTerminusにもたらされた(例えばチャット機能は2020年4月のRambleの買収によって獲得した)。

この分野で活動している企業はTerminusだけではない。その他には、Adobe傘下のMarketo、6sense、Sendosoなどがある。Terminusのアプローチは、マーケティングとセールスのプロセスのさまざまな側面(分析、オーケストレーション、自動化、実行)を1つのプラットフォームに統合することだ。

同社の社名はアトランタの初期のニックネームにちなむ。顧客のさまざまなマーケティングおよびセールス活動の唯一の選択肢になるという目標を表すものとして採用された。

これが投資家らが同社を訪れる理由の1つだ。

「Terminusは、チームが市場に参入する方法を再定義し続け、企業がデジタルファーストの環境で収益を生み出す方法を革新します」とGreat HillのグロースパートナーであるDerek Schoettle(デレク・ショートル)氏は述べた。「私たちはこのチーム、同社の2020年の大幅な成長、継続的な製品革新、そして今後の巨大な市場機会に非常に感銘を受けました」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Terminus資金調達マーケティング

画像クレジット:Thinkhubstudio / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

カスタマーデータプラットフォームのLexerがグローバル展開に向け27億円調達

左からLexer創業者のデイブ・ウィットル氏、アーロン・ウォリス氏、クリス・ブリューワー氏(画像クレジット:Lexer)

新型コロナウイルスパンデミックの間に起きたオンラインショッピングへの大規模なシフトは、小売業者がAmazonのようなライバルと競争するためにカスタマーデータを迅速に分析する必要があることを意味する。豪州メルボルンに本社を置くカスタマーデータプラットフォームのLexerは、データを1つのプラットフォームに整理することでブランドの管理を支援し、中小規模のブランドの分析を容易にする。同社は2月25日、豪州、米国、東南アジアでの事業拡大のためにシリーズBで2550万ドル(約27億円)を調達したと発表した。

このラウンドはBlackbird VenturesとKing River Capitalがリードし、投資家のJanuary Capitalも参加した。これまでにLexerが調達した総額は3300万ドル(約35億円)になった。Blackbird Venturesの共同創業者でパートナーのRick Baker(リック・ベイカー)氏がLexerの取締役会に加わる。

同社は2010年にAaron Wallis(アーロン・ウォリス)氏、Chris Brewer(クリス・ブリューワー)氏、Dave Whittle(デイブ・ウィットル)氏が創業した。クライアントにはQuiksilver、DC Shoes、John Varvatos、Sur La Tableが含まれる。新しい資金はLexerのチームにさらに50人を追加するために使用される。同社は豪州、米国、東南アジアでの人員を2倍にする計画がある。最高経営責任者であるウィットル氏はTechCrunchに、小売業者にエンタープライズグレードのカスタマーデータ、洞察、マーケティング、販売、サービス機能を提供すると語った。

関連記事:新型コロナパンデミックで米国におけるeコマースへのシフトが5年分加速

ブランドはLexerを利用して既存・新規両方の顧客への売上を増やす。Lexerはクライアントのサイトを訪れるさまざまなグループの購買パターンや、将来購入に至る可能性が最も高いカスタマー、最も成果を上げているマーケティング戦略などをクライアントが理解するのを支援する。

Lexerの最も有名な競合他社には、2020年Twilioが32億ドル(約3420億円)で買収したSegmentsやAdobe Analyticsがある。ホイットル氏によると、Lexerの主な差別化要因は、エンドツーエンドのソリューション提供だ。

ブランドは多くの場合、さまざまなソースからのデータを理解するために、複数のデータと分析ソフトウェアを使う必要がある。Lexerの目標は、1つのプラットフォームですべてにアクセスできるようにすることだ。「私たちのクライアントは、戦略、実行、カスタマイズ、プロジェクト管理のために、費用と時間のかかるサードパーティを雇う必要はありません」とホイットル氏は述べた。

Lexerは、シリーズB以前は成長のほとんどが単一のブランド、または中規模の小売ブランドのグループによるものだった。現在は、あらゆる規模のブランドとの連携に重点を置いているとホイットル氏は付け加えた。

パンデミックにより、多くのブランドはオンライン販売を増やし、他のeコマース業者から抜きん出るためにデジタルエンゲージメントをより重視するようになった。

「私たちは顧客に対し文字どおり何百もの戦術を用意し、新型コロナが強いる制限や障壁に適応できるようにしました。例えば、小売業者が買い物をするオフラインのカスタマーをeコマースサイトへとシフトさせる支援をしました」とホイットル氏は述べた。「もう1つの方法として、新型コロナにより供給の制約が生じ、小売業者の在庫が少なくなったときに、彼らの顧客満足度を確保するために高価値で忠実なカスタマーをターゲットにする支援をしました」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Lexereコマース資金調達

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(文:Catherine Shu、翻訳:Nariko Mizoguchi

好調な四半期決算にもかかわらずSalesforceの株価は6.3%下落

ウォールストリートの投資家たちは、気まぐれな野獣になり得る。Salesforce(セールスフォース)がその例だ。CRM(顧客情報管理)大手の同社は米国時間2月25日、四半期決算の売上高が58億2000万ドル(約6204億円)だったと発表した。前年同期比20%増だ。同社はまたクローズしたばかりの2021年会計年度の総売上高が前年比24%増の212億5000万ドル(約2兆2652万円)だったことも明らかにした。おまけに、2022年会計年度のガイダンスでは250億ドル(約2兆6649万円)とした。文句のつけようがない。

より多い四半期の売上高を望めば、Salesforceはそれを上回るものを出す。より高い成長率と確固たる売上高の予想を望むなら、それも達成する。実際、四半期決算は非の打ち所がない。同社はうまくやっており、この規模と年数の組織としては目覚ましい速度で成長している。そして今後も引き続き好成績と成長が見込まれる。

ウォールストリートはこのきらびやかな決算にどう反応したか?6%超の株価下落だ。同社が将来を約束するような決算を発表したことを考えれば、かなり悲惨な日だ。

画像クレジット:Google

何が起こっているのか。投資家が単に、同社の成長は持続可能ではないと考えたのかもしれないし、あるいは2020年末にSlackを270億ドル(約2兆8781億円)で買収したときに払いすぎたのかもしれない。また、今週の冷え込んだマーケットに人々が過剰に反応しただけなのかもしれない。しかし、もし投資家が高成長の企業を探しているのなら、Salesforceはそれに応えている。

関連記事:SalesforceがSlackを約2.9兆円で買収、買収前の企業評価額は2.6兆円強だった

Slackは高価だったが、2月25日の決算には売上高2億5000万ドル(約266億円)超とある。ランレートは10億ドル(約1065億円)で、年間経常収支が100万ドル(約1億円)超の有料顧客を100社超抱える。そうした数字は最終的にSalesforceの収益に加わる。

Canaccord GenuityのアナリストであるDavid Hynes Jr(デビッド・ハインズJr)氏は投資家らのこの決算への反応に困惑した、と書いた。筆者と同様、同氏は多くのポジティブな要素を見出していた。それでもウォールストリートはネガティブな要素に注意を向けることにし、同氏が投資家へのメモに記したように「グラスはまだ半分ある、ではなく『もう半分空だ』」ととらえた。

「株価は明らかに、証拠を見るまで信じないというモードです。つまり、ファンダメンタルが実際にしっかりしていて、Slackは機会を狙っていたが(確かに高い)急激な成長悪化を覆う意図はなかった、という考えを投資家が受け入れるにはもう数四半期かかりそうだということを意味します」とハインズ氏は書いた。

2月25日のアナリストとの決算会見の間、クレディスイスのBrad Zelnick(ブラッド・ゼルニック)氏はSalesforceがパンデミックによる経済停滞からの脱出をいかに加速させられるのか尋ねた。同社の最高経営責任者で最高レベニュー責任者のGavin Patterson(ギャビン・パターソン)氏は、世界がパンデミックから脱却するときはいつでもSalesforceは準備できている、としている。

「私に言わせれば、当社は営業部隊という点で、その能力を構築しています。当社はそうした需要をうまく利用するために直接の営業部隊にかなり投資しています。需要に応えられるとかなり自信を持っています。ですので、あなたは今日、事業は力強く、パイプラインも強いもので、次の年に向けて自信を持って臨んでいるというメッセージを我々から受け取るでしょう」とパターソン氏は話した。

Salesforceの役員たちは明らかにそれなりの理由があって自信に溢れていたが、投資家側には懸念が残り、それが株価下落、終日軟調となって現れた。ハインズ氏が指摘したように、投資家たちの方が間違っていたと証明し続けるのはSalesforce次第だろう。ウォールストリートの否定論者が今日考えていたことにもかかわらず、今週発表したような成績の四半期が続く間は大丈夫なはずだ。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Salesforce決算発表

画像クレジット:Ron Miller / TechCrunch

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

パンデミックに後押しされて会議の文字起こしサービスOtter.aiが約53億円を調達

音声文字起こし(トランスクライブ)スタートアップのOtter.ai(オッターAI)は、ここ1年ほどの間に、Zoom(ズーム)やGoogle Meet(グーグル・ミート)のような会議アプリに自社の製品を統合することで、リモートワークの未来への投資を強化してきた。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行により、多くの人が在宅勤務を余儀なくされたことで、行われた投資は実を結ぶこととなった。同社は1億回以上のミーティングの、延べ30億分に及ぶ音声の文字起こしを行い、2020年の収益は8倍に増加した。そして今、Otter.aiは新しい5000万ドル(約53億円)のシリーズBラウンドの資金を燃料にして、次のステップを発表しようとしていている。

今回の新規ラウンドはSpectrum Equityが主導し、既存の投資家であるHorizons Ventures、Draper Associates、GGV Ventures、Draper Dragon Fundなどが参加している。5000万ドル(約53億円)という数字には、2020年発表された1000万ドル(約10億6000万円)の転換社債も含まれている。

関連記事:AIを使った音声テキスト変換アプリOtterがNTTドコモなどから戦略的投資10億円獲得

Otter.aiのサービスは、会議を簡単に録音できる方法を提供しているが、それは携帯電話のアプリを使った1対1形式でも、または一般的なウェブ会議アプリとの統合を通じたオンライン形式でも可能だ。しかし、2020年に本当に重要な働きをしたのは、後者のオンライン会議だ。突如、全労働力がオフィスから自宅に移動させられ、終わりのないZoom会議を強いられることになったからだ。

結果的に非常に良いタイミングとなったが、Otter.aiはパンデミック初期の2020年4月にZoom統合機能を追加した。現在ではそのZoomが、Otter.aiのウェブ会議ユーザーの間では最も人気のあるプラットフォームとなっている。

関連記事:Zoom会議のリアルタイム文字起こし機能をOtter.aiが提供

「パンデミックによって消費者の行動に大きな変化が起きていると思います。特に会合と教育に関わる行動における変化が大きく、どちらもOtterの主要なユースケースとなっています」と語るのはOtter.aiのCMOであるKurt Apen(カート・アペン)氏だ。「ビジネスでOtterを使っているチームを多く見かけますし、たくさんの学生や大学も手に入れやすさからOtterを使っています。私たちはそうした行動の変化が恒久的なものになると考えています」と彼は指摘する。

同社は、ユーザー数や収益について話してはいないものの、Zoomを通して利用しているユーザー数を含まないスタンドアローンの製品だけで「何百万もの」ユーザーを抱えていると主張している。そして、最初Otter.aiの無料サービスに出会ったユーザーたちの多くが、後にプレミアムプランにアップグレードしているという。プレミアムプランでは、より多くの録音時間が提供され、その他のビジネスグレードの機能も提供されている。

これまでのところ、企業に対して直接ではなく、まずは個別の従業員を攻略して企業市場に食い込むこうした裏口戦略は、大なり小なり他の人気ビジネスアプリのやり方を真似たものだと同社は考えている。

「実際、ここ数年の私たちの成長の軌跡を見ると、SlackやZoomの成長の軌跡とかなり一致しています」と語るのはOtter.aiの創業者でCEOのSam Liang(サム・ライアン)氏だ。「なので、これからの数年も成長を続けられることに、かなり自信を持っています」。

つまりOtter.aiの利用はパンデミックによって加速したかもしれないが、2020年に起こったビジネスカルチャーへのより大きな影響は、パンデミックが終わっても消え去ることがないということだ。全員が再びオフィスに戻るわけではない。それでもオフィスに戻る人のためにも、Otterは役に立つ。

同社はプロフェッショナルサービス、製薬会社、金融サービス、従業員たちがタイムゾーンを超えて仕事をしている多国籍企業などで、一定の実績を上げている。長期的には、Otter.aiは、会議の文字起こしを超えて「会話のインテリジェンス」と呼ぶ領域に拡大することで、企業向けのユースケースをより良くサポートできるようになることを目指している。

例えばあるトピックに費やされた時間、声のイントネーション、会話の感情に基づいて、何が重要なのかをシステムに学習させることで、AI技術を活用して文字起こし結果から意味を抽出するといったことが考えられている。それは現在行われている程度の手間で、自動的に行われることが想定されている。

とはいえ、Otter.aiは機密性の高い会話を扱うためのサービスではない。録音された会話は、転送中と保存中は暗号化されているが、処理中は復号化されている。またインデックスを作成するためにも会話を復号化する必要がある。さらに、Otter.aiの文字起こしデータは精度を向上させるためのトレーニングデータとしても使用される。トレーニングはユーザーによる手動修正や新しいアクセントなどを使って行われる。

最終的には、このことがより注意を要するビジネスコンテキストでの大規模な採用をためらわせる要因となる可能性がある。とはいうものの、Otterは、当面ポッドキャストのテープ起こし、Clubhouse(クラブハウス)のようなソーシャルオーディオアプリとの統合、オンラインイベントといった同社の技術を利用できる他の多くの分野よりも、当面は企業内の業務に関連したユースケースに焦点を当てる予定だ。Otter.aiはさまざまな市場にサービスを提供しているものの、より多くの企業クライアントを獲得するためにセールススタッフの準備を行っている。

Otterはセールススタッフに加えて、セールス担当の副社長の採用も考えており、さらに現在25人のチームにR&D、マーケティング、AIサイエンス、バックエンドとフロントエンドのエンジニアリング、デザイン、製品管理の人材を加えることも計画している。2021年末までに同社は、新規採用者を加えて従業員数を3倍にしようと考えている。おそらく、その一部はリモートワーカーになるだろう。

Otter.aiはまたソーシャル検索、コンテンツマーケティング、オーガニックソーシャルなどのチャネルを通じてアプリの認知度を高めるために、新しい資金を投資する。そして無料から有料までの会話を継続して行うことで収益の拡大を図り、技術開発を行う。

Spectrum EquityのマネージングディレクターであるJohn Connolly(ジョン・コノリー)氏が新しくOtterの取締役会に参加した。

コノリー氏は声明の中で「職場環境が進化して、オンライン会議がニューノーマルになる中で、Otter.aiは未来へ向かう仕事のシフトとより効率的なオンライン対話の最前線に位置するものとなります」と述べている。「Otter.aiのライアー氏やチーム全体とパートナーを組むことで、同社の市場における継続的なリーダーシップをサポートできることをうれしく思っています。集中的な製品イノベーションと事業の成長を推進するための、ガイダンスと戦略的リソースを提供できることが楽しみです」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Otter.ai文字起こし資金調達

画像クレジット:Otter.ai

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(文:Sarah Perez、翻訳:sako)

MosaicがGCからシリーズAで1850万ドルを調達、CFOソフトウェアスタックの再構築を目指す

CFOは企業における全知のオーナーと考えられている。CEOが戦略や方針を設定し、文化を構築する一方で、CFOは組織内で起きていることをすべて把握する必要がある。収益はどこから来ていていつ届くのか?新規採用の費用はいくらでいつ支払われる必要があるか?どのようにしてキャッシュフローを管理し、どのような負債商品が不連続性の解消に役立つだろうか?

企業のクラウド移行が進むにつれて、これらの質問に対する回答が難しくなってきている。他部門が一元管理された記録システムとしてのERPを避け始めたからだ。さらに困ったことに、CFOは財務に関してこれまで以上に戦略的になることを期待されていながら、鍵となるデータが入手できないことで重要な予測や見通しに支障をきたしかねない。過去10年の間にマーケティングを実行するためのまったく新しいソフトウェアスタックがCMOに向けて導入されているが、CFOはどうだろうか。

Palantir(パランティア)出身の3人は、CFOたちがMosaicという新しいスタートアップに目を向けることを期待している。Mosaicは「戦略的財務プラットフォーム」で、ERP、HRIS、CRMなど企業のITを構成するあらゆる種類のシステムからデータを収集し、CFOとそのチームがより正確かつ迅速な予測を行うための戦略的プランニングツールを提供する。

Mosaicは2019年4月、Bijan Moallemi(ビジャン・モアレミ)氏、Brian Campbell(ブライアン・キャンベル)氏、Joe Garafalo(ジョー・ガラファロ)氏によって設立された。3人はパランティアの財務チームで15年以上も一緒に働いていた。その間、同社が百人ほどの小さな組織から数千人規模の従業員を持ち、百人を超える顧客を抱える組織へと成長するのを見てきた。昨年、パランティアが新規株式公開(IPO)を果たしたのは記憶に新しい。取引先は十数か国を超えているという。

Mosaicの創設者、ビジャン・モアレミ氏、ブライアン・キャンベル氏、ジョー・ガラファロ氏。写真はMosaicより提供。

戦略的な財務管理を実現することがパランティアの成功にとって不可欠だったが、既存のツールは同社のニーズに対応できなかった。そこでパランティアは独自のサービスを築き上げた。「CFO向けツールキットのデフォルトツールであるExcelの活用にとどまらず、コード作成のための技術チームを編成して組織全体にスピード、アクセス、信頼性、可視性を提供するツール構築を進めました」とMosaicのCEO、モアレミ氏は説明する。

ほとんどの組織が技術分野の人材をCFOのオフィスで使わざるを得ない状況で、3人の共同創設者はパランティアを去り財務の責任者として他に活動の場を移した。モアレミ氏は教育テック系スタートアップのPiazzaへ、キャンベル氏は訴訟管理スタートアップのEverlawへ、ガラファロ氏はブロックチェーンスタートアップのAxoniへ移り、それぞれ財務を改善する方法について考え続けていた。そしてパランティアのような成長をすべての企業で実現するために集結し、CFOオフィスのための優れたソフトウェア基盤を構築した。「この10年間でCFOのオフィスが大きく進歩したことには、デスクトップベースのExcelからクラウドベースのGoogleスプレッドシートへの移行が寄与しているでしょう」とモアレミ氏は続けた。

MosaicがCFOソフトウェアスタックの再構築に向けて取り組んでいるのはどのようなことだろうか。同社は企業全体をつなぎ、より協調的な形で財務に関する議論を行うための入り口となるプラットフォームを構築したいと考えている。財務部門の中心である報告と計画に焦点を当てながら、より多くの人々が起きていることを理解し、CFOにフィードバックできるように、ダッシュボードと予測を企業の中に広げていくことを目指している。

Mosaicのプランニング機能のスクリーンショット。画像はMosaicより提供。

ここ10年間でAnaplan(アナプラン)などの上場企業がこの分野に参入している。モアレミ氏によると、こうした既存企業は重要な課題をいくつか抱えており、Mosaicはそれらの解決を図っているという。まずオンボーディングが挙げられる。コンサルタントがソフトウェアを企業のワークフローに統合するため、一部の企業では数か月かかる場合がある。第2に、これらのツールを運用し続けるには専任の常勤スタッフが必要となる。第3に、これらのツールは基本的にCFOオフィス以外の人には見えない。Mosaicはすぐに統合でき、組織内に広く分散され、最小限のメンテナンスで使えるような環境を整えたいと考えている。

「誰もが戦略的であることを望んでいますが、それを実行するにはかなりの困難が伴います。なぜなら、これらの異種システムからデータを引き出し、整理し、マッピングしてExcelファイルを更新することに8割の時間を費やし、残りの時間で検討し直したり、データが何を意味しているか理解しようとしたりしているからです」とモアレミ氏は言う。

このことから、同社がターゲットにしている顧客はシリーズBやCで資金を調達している企業であり、多量のデータが既にアクセスしやすいデータベースに保存されていることは間違いないだろう。最初は小規模な企業が相手だったが、「ここ12か月の間、より大規模で複合的な顧客との取り組みを進めながら少しずつ前進しています」とモアレミ氏は語っている。同社の従業員数は30人に成長し、売上高は7桁に達しているが(モアレミ氏によると営業部門はない)、このスタートアップはそれ以上具体的には教えてくれなかった。

こうした成長と活気を背景に、Mosaicは投資家の注目を集めている。同社は本日、General Catalyst(ゼネラル・カタリスト)のTrevor Oelschig(トレバー・オエルシン)氏が主導するシリーズAラウンドで1850万ドル(約19億1550万円)を調達したことを発表した。GCはFivetran、Contentful、Loomなどのスタートアップへの企業向けSaaS取引を率いている企業だ。このラウンドは昨年末に完了した。

Mosaicは250万ドル(約2億5900万円)のシード投資をXYZ VenturesのRoss Fubini(ロス・フビーニ)氏(以前はVillage Globalの投資家)から2019年半ばに調達している。フビーニ氏はメールで、Mosaicの創設者たちがパランティアでCFOのソフトウェアの状況について「共通の課題」を感じていたこと、さらに「彼ら全員が仕事をするために必要なツールに対して深いフラストレーションを体験していた」ことに興味を持ったと伝えている。

シリーズAの他の投資家には、Felicis Venturesに加えてXYZとVillage Globalが含まれている。

Mosaicは資金調達と併せて、パランティア、Dropbox(ドロップボックス)、Shopify(ショッピファイ)など9つのテック企業の現CFOまたは元CFOを含むアドバイザリーボードを設立することも発表した。

ビジネスの多くの機能はソフトウェアにおいて完全なる変革を遂げてきた。そして今こそCFOの時だとMosaicは期待している。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:資金調達

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(文:Danny Crichton、翻訳:Dragonfly)

機械学習で中小企業の会計経理を自動化するDocytが拡張シードで1.5億円調達

会計は、多くの人が興奮するような話題ではない。たぶん、当の会計士にとってさえも。でも、会社を経営している人なら、それから逃れることはできない。サンタクララのDocytは、財務データの収集や領収書のデジタル化、分類、そしておそらく最も重要な会計調整(帳尻合わせ)などのルーチンを機械学習で処理し、中小企業(と彼らの会計事務所)の人生をやや楽にしてくれる。

同社は米国時間2月25日、First Rays Venture Partnersがリードする拡張シードラウンドで150万ドル(約1億6000万円)を調達したことを発表した。これには、Morado Venturesと一群のエンジェル投資家たちが参加した。Docytは「ドケット」と発音し、以前Morado VenturesやAME Cloud Ventures、Westwave Capital、Xplorer Capital、Tuesdayおよびエンジェル投資家から220万ドル(約2億3000万円)のシード資金を調達している。新たな資金は、顧客をさらに増やすことに使われる計画だ。

 

中小企業の会計処理といえばQuickBooksがデファクトスタンダードだが、Docytは彼らと競合するのだろうか。共同創業者でCTOのSugam Pandey(スガム・パンディ)氏によると、DocytはむしろQuickBooksなどのパートナーになるものだ。

画像クレジット: Docyt

「Docytは、会計や経理を難題だと感じている中小企業のオーナーのためのプロダクトで、彼らは経営においてはベテランの名人であっても、会計の専門知識はありません。また、会社がやや大きくなって中規模になってくると、QuickBooksを卒業してNetSuiteやSageのような高度な会計経理システムを使いたくなるものです。Docytはそんな企業のためにQuickBooksの寿命を延ばすことができるため、経営者はシステムを変えずに済みます」とパンディ氏はいう。

創業当時のDocytは、モバイル向けの安全な文書共有プラットフォームだった。同社のDNAには、その頃の名残が残っており、財務文書を銀行の取引勘定と調整する作業を得意とする。他のシステムは主に取引データを重視するが、Docytは多様な文書を重視する。例えばメールによる領収書をDocytのサービスに送ると、それがクレジットカードや銀行の勘定通知に自動的に入れられる。そのような処理に、同社はPlaidを利用している。

画像クレジット: Docyt

新しい取引があると、その情報を手入力して訓練しなければならないシステムが多いが、Docytはその多くを自動的に行い、データをQuickBooksと同期できる。

First Rays Venture Partnersの創業時からのゼネラルパートナーであるAmit Sridharan(アミット・スリダラン)氏は「Docytは、会計という仕事の全スタックにAIを適用した初めての企業です。DocytのAIを利用するデータ抽出や自動分類、自動調整などのソフトウェアは、他に類がありません。しかもエンタープライズ級の強力なソリューションでありながら、費用的にも中小企業が十分利用できます」という。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Docyt会計機械学習

画像クレジット:Docyt

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Google CloudにKubernetes Engineの「オートパイロイット」サービスが登場

Google Cloudは米国時間2月24日、Google Kubernetes Engine(GKE)の新しい運用モードを発表した。そのモードではコンテナのクラスターの日常的な運用の多くを、Googleの技術者と自動化ツールに任せることができる。Autopilotと呼ばれるモードでは、クラスターとそのノードを管理するデイツー(実稼働初日)のすべての操作をGoogleが管理し、そのためのベストプラクティスとセキュリティを実装している。

新しいモードは、既存のGKE体験を拡張する。そのエクスペリエンスはすでに、クラスターを立ち上げるインフラストラクチャの多くを管理していた。Google Cloudが「スタンダード」と呼ぶそのエクスペリエンスは今後も可利用であり、ユーザーが構成を心ゆくまでカスタマイズでき、ノードのインフラストラクチャを手作業で用意し管理できる。

GKEのプロダクトマネージャであるDrew Bradstock(ドリュー・ブラッドストック)氏によると、Autopilotの基本にある考え方は、GoogleがGKEのためにこれまで開発してきたすべてのツールをまとめて、本番環境でのクラスターの動かし方を知っているSREチームに渡すことだ。それは、Googleの社内では前からやっていたこととなる。

ブラッドストック氏は次のように説明する。「Autopilotは、オートスケーリングとオートアップグレードとメンテナンスとデイツーの運用を一体的に縫い合わせて、さらに全体の強化も行う。これによって新しい顧客は極めて迅速に、デベロッパーやテスト、それにプロダクションのためのより良い環境を手に入れることができる。なぜなら、デイゼロから始めた彼らも、クラスター作成に要する5分間が終わればデイツーが完了しているからだ」。

画像クレジット:Google

デベロッパーから見れば、何も変わっていない。しかしこの新しいモードはチームをKubernetesの管理から解放して実際のワークロードに専念させる。企業は依然としてKubernetesの利点を享受するが、ルーチン的な管理とメンテナンスの作業がなくなる。それは、Kubernetesのエコシステムの進化にともなって生じつつあったトレンドでもある。結局のところ、企業がKubernetesを有効に管理できる能力を身につけても、それが競争で優位に立てる差別化要因になることはまずない。

もちろん、Autopilotは有料のサービスだ。GKEの1時間0.10ドル(約10.6円)の定額料金に加えて、クラスターやポッドが消費するリソースが費目に加わる。なお、無料のGKEティアには74.70ドル(約7910円)のクレジットが付いている。GoogleはAutopilotクラスターのコントロールパネルには99.95%のSLAを提供し、マルチゾーンのAutopilotのポッドには99.9%のSLAを提供する。(公式ページ

画像クレジット:Google

GKEのAutopilotは一連のコンテナ中心型のプロダクトをGoogle Cloudのポートフォリオに収めているが、そこには顧客のマルチクラウドをサポートするAnthosや、サーバーレス環境のCloud Runなどもある。ブラッドストック氏は、次のように説明している。「実はAutopilotはGKEの自動化という側面を利用する便宜だが、それはGoogle Cloudを動かすために使われていたものだ。今回はそれらのすべてを使いやすいパッケージにまとめることで、Kubernetesの初心者でも、非常に大きなコンテナ群を動かしている者でも、大量の時間と操作、計算処理すら節約できるようにした」。

そしてGKEはAnthosの鍵となるものだが、そのサービスの実体はむしろ、Googleの構成管理とサービスメッシュとその他のツールを、エンタープライズ自身のデータセンターに持ち込むものだ。GKEのAutopilotは少なくとも現在のところ、Google Cloudでしか利用できない。

ブラッドストック氏はさらに「サーバーレスの世界では、Cloud Runが独自の開発哲学を持つデベロッパーの間で人気が高い。例えばアプリケーションのインスタンスが0から1000に増えてまたすぐにゼロになったとしても何も心配する必要はなく、すべてをGoogleが管理する。どんな開発にとっても、それはすばらしいことだ。Autopilotは複雑なサービスというよりもむしろ、プラットフォーム全体を単純化して、ユーザーをKubernetesの有効利用に専念させる。また、もっと多くのものを制御できるようにしたり、1つの環境で大量のアプリケーションを動かすこともできる」という。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:GoogleGoogle CloudKubernetes

画像クレジット:Kittikorn Nimitpara/Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

出荷関連サービスのShippoがeコマースブームに乗り約520億円の評価額でさらに約47億円調達

eコマース企業に出荷関連サービスを提供するソフトウェア会社のShippo(シッポ)は米国時間2月23日、新たに4500万ドル(約47億円)の資金調達を発表した。同社は4億9500万ドル(約520億円)と評価された。TechCrunchはこのラウンドをシリーズDと呼ぶことにする。シリーズCに続き価格が決められたラウンドだからだ。同社は今回の資金調達ラウンドに名前をつけなかった。

Shippoの2020年のシリーズCは、2020年4月に発表された3000万ドル(約32億円)の取引で、約2億2000万ドル(約230億円)の評価だった。D1 CapitalがシリーズCとDの両ラウンドをリードした。これはD1 Capitalが2021年のラウンドで同社の株式に対し2020年の約2倍を支払うことに満足していたことを意味する(投資家がリード投資家として連続するラウンドで前回の投資から増やすということは、今やスタートアップの質に関する否定的なシグナルではなく、肯定的な指標と見なされていることを思い起こして欲しい)。

なぜ直近ラウンドの直後にさらに資金を集めるのか。Shippoの創業者でCEOのLaura Behrens Wu(ローラ・ベーレンス・ウー)氏によると、同社は2020年、顧客の獲得と提携に関して大きな進歩を遂げた。そのため、Shippoが第4四半期に投資家と取締役会を開いた頃、より多くの資本を投入する良い時期だという決定に至った。

ある意味、タイミングは合理的だ。顧客ベースを拡大するにつれ、さまざまなプロバイダーとより良い出荷取引を交渉することができ、それにより新しい顧客を引き付け続けることができる。ベーレンス・ウー氏はTechCrunchとのインタビューで、同社が初期の顧客のほんの数個の出荷を手伝っていた頃、同社のプラットフォームでサポートしていた物流会社は同社と会いたがっていなかったと述べた。今や当時より多くのボリュームをさばくShippoは、顧客からの需要をパートナーとの関係強化に利用し、顧客へのサービス全体の質を向上させることができる。

ベーレンス・ウー氏は、Shippoが新しいラウンドを開始する前にそのようなかたちでUPSとの提携を確保したと述べた。

成長に目を向けると、Shippoは2020年プラットフォーム支出、または「GPV」を2倍にした。GPVは、同社が使うGross Postage Volume(総郵便料金)の頭字語だ。TechCrunchはそれが大まかに売上高と連動していることを確認した。つまり、Shippoは2020年トップラインを2倍にした可能性がある。すばらしい。2021年もそれを達成したいとベーレンス・ウー氏はTechCrunchに語った。同社は2021年も人員を2倍にし、約150人を追加する。

増加した資本で勢いのついたShippoの次の動きは何か。CEOによると同社は、プラットフォーム(そこではShippoが例えばマーケットプレイスになる)、国際展開(ベーレンス・ウー氏によると、Shippoは国際配送を「ほんの少し」しか行っていない)、そして同社がコア顧客ベースと見なすものにもっと投資したいと考えている。

TechCrunchは、Shippoが出荷ラベルという元々の「ホーム」からプロダクトをどれだけ幅広く持ち出すことができるかについて興味を持っていた。同社によると、パッケージの旅には、その購入前を含め、多くの進出余地があるという。しかし、ベーレンス・ウー氏は、そのようなプロダクト拡大の仕事は、同社の当面の焦点では​​ないと断った。

現在のeコマースブームがどのくらい続くか、そしてこの新しい資本がShippoをどこまで遠くへ運んでくれるのか見てみよう。2021年もサイズが2倍になるようなら、2022年半ばにIPOカウントダウンを開始する必要がある。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Shippoeコマース資金調達物流

画像クレジット:Justin Sullivan

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

Plumeがブロードバンドプロバイダー向けにスマートホーム用Wi-Fiを強化、評価額1420億円で285億円調達

2020年は世界中がパンデミックに見舞われるという特別な年となり、家で仕事をする人の数が激増したが、その生活様式の移行により、私たちのブロードバンドネットワークの質がいまひとつであることが露呈した。米国時間2月22日、ブロードバンド接続を最適化するメッシュWi-Fiプラットフォームを構築し、世界の2200万世帯に幅広いスマートホームサービスを提供するスタートアップPlume Design(プルーム)が、2億7000万ドル(約285億円)という大型ラウンドによる資金調達を発表した。Wi-Fi環境のさらなる改善が期待される。

「私たちは家庭内のWi-Fi接続の最適化に長けていますが、それが目標ではありません」とPlumeの共同創設者でありCEOのFahri Diner(ファリ・ダイナー)氏はTechCrunchのインタビューで話した。「私たちはこれを基礎と考えています。そこで経験を積んできたわけですが、さらに大きく進歩して、高度なペアレンタルコントロールや、どのデバイスがネット接続ができて、どのパスワードを使うかを管理する安全なアクセスコントロールといったサービスも提供するようになりました。私たちは、消費者が関心を高めつつあり、次の大きな市場分野になると目される洗練されたセキュリティに重点を置いています」。

「Plumeの究極の製品は、顧客がキュレーション、管理、サービスの提供を行える、総合的なクラウド駆動型プラットフォームです。それがこの会社の目的なのです」。

今回のシリーズE投資は、投資会社Insight Partners(インサイト・パートナーズ)の単独の出資によるもので、現在のPlumeの評価額は13億5000万ドル(約1420億円)とされた。これは大変な成長だ。ちょうど1年前、同社はエクイティとデットの組み合わせで8500万ドル(約90億円)を調達したが、そのときの評価額は5億1000万ドル(約538億ドル)だった。

家庭用ブロードバンドネットワーク業界の人間でない限り、Plumeという社名に馴染みはないだろう。だが、それを利用したことがない人でも、同社の技術を使ったサービスの宣伝を聞いたことならあるかも知れない。または、間もなく耳にするようになるだろう。

パロアルトを拠点とする同社は、家庭向けブロードバンドサービスの提供と、家庭でのWi-Fi接続の性能を高めるPlumeのメッシュ技術を販売する世界170社あまりのキャリアと契約している。この技術は、古くて大きな家や、大勢の人が住んでいてブロードバンドネットワークの負担が大きい家では特に重要だ。ネットワークセキュリティ、ペアレンタル接続コントロール、モーション認識といったPlume独自のサービスもこれに加わる。

Plumeは、これらの付加サービスをHomePass(ホームパス)というブランド名で提供しているが、さらにキャリア向けにクラウドベースの運用ツールHaystack(ヘイスタック)とHarvest(ハーベスト)も用意されている。これらは、キャリアのカスタマーサポートとネットワーク管理の支援、より良いパフォーマンス分析データの収集、利用者の使用と乗り換えに関する状況報告などを行う。

Plumeはまた、大手ながらあまり知られていないハードウェアメーカーとも提携し、同社の事業を支えるルーターやプロセッサー、関連ソフトウェアの開発も行っている。

顧客の一部であるComcast(コムキャスト)、Charter(チャーター)、Qualcomm(クアルコム)、Belkin(ベルキン)、Cablevision(ケーブルビジョン)、Liberty Global(リバティー・グローバル)、Shaw Communications(ショウ・コミュニケーションズ)は、長年の戦略的投資者にもなっているが、これが市場のビッグプレイヤーを引き寄せている証拠だ。同社はこれまでに、総額で3億9700万ドル(約420億円)を調達した。

家庭のWi-Fi環境改善には、高速ネットワークから高性能なルーターやWi-Fi中継器など、何年間にもわたる数々の努力があった。

Plumeの技術は、その中の1つのテクノロジーであるメッシュアーキテクチャに基づいている。これはGoogle(グーグル)のNest(ネスト)Wi-Fiシステムにも使われているものだ。1台のルーターと複数のノードで構成され、それらがネットワーク上の単一のデバイスであるかのように振る舞う(これに対して中継器はそれぞれ独自のSSIDとパスワードを持つ)。

このメッシュアーキテクチャの上に、Plumeはソフトウェア定義のネットワークを構築し、トラフィックを正確に測定できる。そのためオートメーション機能が、例えばネットワークに新しいデバイスが追加され、正常に機能させるためにはもっとパワーが必要だと判断すると、自動的に対処する。

Plumeには、取得したものと申請中のものを合わせて170ほどの特許技術があり、それらが製品を支えてる。

注目すべきは、Plumeが一時期、メッシュベースのWi-FiルーターのスタートアップEero(エーロ)と比較されていたことだ。Eeroは後にAmazon(アマゾン)に買収され、Amazonは現在、同社独自のメッシュWi-Fiソリューションの一部としてそのルーターを販売している。

関連記事:Amazonが家庭用メッシュルーターのEeroを買収してEcho製品拡販のベースに

だがこの2つの企業には、決定的な違いがある。それは主に双方の基礎となっている事業の前提だ。ダイナー氏が指摘するように、Plumeのサービススタックは、ルーターを中心としたものではない(Eeroはルーター中心だった)。むしろ、ハードウェアとクラウドを結ぶオープンソースのフレームワークプラットフォームを利用したメッシュ技術を主体として、OpenSync(オープンシンク)と呼ばれるメッシュネットワーク上で利用できるサービスを構築することが主軸になっている。これにより、サービスプロバイダーは、Plumeのメッシュアーキテクチャの上に独自のサービスを構築できる。

ちなみに、ダイナー氏は、キャリアーが何を求めているか、実際に何を使い、何を考えているかを、長期的な視点で深く理解している。彼自身は工学の教育を受け、いくつものベンダーに勤め出世の道を歩んできた。ちょうど、キャリアが従来の銅線から光通信のファイバーへと移行していった時期だ。電気通信事業社の資本支出が最高潮だったころ、彼は自分で立ち上げた長距離光通信ネットワークのパイオニア企業Qtera(キューテラ)を、今はすでに廃業したNortel(ノーテル)に32億ドル(約3380億円)で売却している。彼自身もまた長期的な視野を持つ投資家であり、数々の大手次世代型通信ベンダーの役員にも就いている。

電気通信の世界は共食いされないか、いわゆる「ダムパイプ」の役割に追いやられないかと、長い間心配し続けていたのだが、そんなキャリアに、PlumeはWi-Fi接続で使えるサービス、つまりアプリの開発という道を提示した。

だが、音声、ブロードバンド、映像の3つのサービスを提供するというキャリアの「トリプルプレー」の約束が、特に固定電話回線の利用と維持に関心を持つ利用者が減ったことで果たせなくなり、キャリアの存在の危機はさらに高まった。コンテンツでは、テック企業やメディア企業が大量に送り込んでくる、より魅力的で新鮮な独自制作作品に完全に負けてしまった。

あとはブロードバンドに目を向けるしかなかったのだが、それは一定の価格で商品化されたため、どのキャリアも同じような速度と信頼性を提供することになった。

「どう差別化するか」が全員の疑問となったと、ダイナー氏はいう。Plumeの答えは「新しいサービス一式によって家の中で差別化を図る」ことだった。

ところが現実には、最大手級のキャリア(それもすべてではない)にしか、そのためのリソースも意欲もないかも知れなとダイナー氏は話す。現在170社を数える顧客の中でも、そのプラットフォーム上に独自のサービスを構築している企業は5社だけだという。

だからこそPlumeは、サービスを開発してそれをキャリアにホワイトラベルとして提供し、利用者に販売できるようにしている。このサービスがサービスプロバイダーの間で大きな関心を集めているのも、そのためだ。OpenSyncは、現在2600万カ所のアクセスポイントをカバーしているが、家庭に導入されるデバイスが増え、1日中使用されるようになるにつれ、その数は急増している。

そうした家庭向けサービスも、いずれは各社とも似通ったものになっていくのではないかと思われるかも知れない。しかし、オープンプラットフォームは、やがて多くの企業やサービスに革新を引き起こすようになると、単純に期待できる。

当面は、PlumeにとってWin-Winの状態が続く。

「スマートホーム分野は爆発的に成長していますが、消費者のエクスペリエンスの質は低下しています」とInsight Partnersの業務執行取締役Ryan Hinkle(ライアン・ヒンクル)氏は声明の中で述べている。「私たちは、Plumeが、そのスケーラブルなクラウドデータプラットフォームのアプローチ、高効率な市場開拓戦略、大きな勢い、全SaaS KPI中でトップ4に入る業績(収益、成長率、粗利益、効率性、顧客維持率など)、世界クラスのチームによって、この分野に変革をもたらすと確信しています。このエキサイティングな旅に参加し、支援できることを心からうれしく思っています」。今回のラウンドから、ヒンクル氏はPlumeの取締役会に参加する。

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:金井哲夫)