オープンソースのデータ統合プラットフォームのAirbyteが5.6億円を調達

オープンソースのデータ統合プラットフォームを提供するAirbyte(エアバイト)は、米国時間3月2日、Accelが主導するシードラウンドで520万ドル(約5億6000万円)を調達したことを発表した。他に投資家として参加したのはY Combinator、8VC、Segmentの共同創業者のCalvin French-Owen(カルビン・フレンチ=オウエン)氏、Clouderaの元GMであるCharles Zedlewski(チャールズ・ゼドレウスキー)氏、LiveRamp(ライブランプ)とSafegraph(セイフグラフ)CEOのAuren Hoffman(オーレン・ホフマン)氏、Datavant(データバント)CEOのTravis May(トラビス・メイ)氏、Machinify(マシニファイ)社長のAlain Rossmann(アラン・ロスマン)氏などだ。

Airbyteは、LiverRampやRideOSの元エンジニアリングディレクターで統合責任者だったMichel Tricot(マイケル・トリコット)氏と、開発者ツールやB2Bサービスを中心とした連続起業家John Lafleur(ジョン・ラフラー)氏が共同で創業した会社だ。ラフラー氏が最後に共同創業したスタートアップはAnaxi(アナクシー)だ。

画像クレジット:Airbyte

実は創業当初は、チームは今とは多少違う、マーケティング企業向けのデータ接続に焦点を当てたプロジェクトに取り組んでいた。創業者たちはY Combinatorに採用され、アプリケーションを開発したが、新型コロナウイルスのパンデミックが発生したために、Airbyteのオリジナルプロジェクトの初期顧客だった多くの企業が、予算凍結やレイオフに直面してしまった。

「その時点で、私たちはより深いデータ統合領域に踏み込もうと決めました、それが現在のAirbyteプロジェクトと製品の始まりなのです」とトリコット氏は説明する。

現在のAirbyte は、初期のような特定の業界に焦点を当てたものではなく、データエンジニアリングそのものに向けられているが、コネクタを構築するためのグラフィカルな UI と、開発者が取り込むためのAPIの両方を提供している。

トリコット氏が指摘するように、多くの企業が独自のデータコネクタを開発し始めており、最初はなんとなく上手くいくことが多い。しかし、本当の複雑さは、それらを保守し続ける際に現れる。「それがどのように振る舞うかが、手に負えなくなるのです」と彼はいう。「その結果、失敗するか、何かを変えるかのどちらかになるわけです。データ統合のコストはメンテナンス部分にかかっているのです」。

コネクタの構築を専門とする企業であっても、その複雑さはすぐに手にあまるようになるため、チームはAirbyteをオープンソース企業として構築することにした。またAirbyteによれば、Fivetran(ファイブトラン)のようにデータ統合に力を入れている企業はあるものの、多くの顧客は、クローズドソースの競合他社がサポートしていないユースケースが必要になることが多く、その場合は結局顧客自らがゼロから開発しなければならなかったと主張している。

「Airbyteにおける私たちの使命は、データを複製するための標準になることです」とラフラー氏は語る。「そのために、個々のコントリビューターの方々のニーズに対応したすべての機能をオープンソース化するのです、つまりすべてのコネクタをそうします」。彼はまた、Airbyteは2022年早々に行う予定のシリーズAラウンドを完結するまでは、オープンソースのツールに注力すると述べている。

Airbyteは、そのサービスを収益化するために、企業のニーズに対応した機能(データ品質、プライバシー、ユーザー管理などのエンタープライズ機能などを想像して欲しい)をすべてライセンスする、オープンコアモデルを採用する予定だ。また、コンテナ化されたコネクタのホワイトラベル化(OEM提供)も検討している。

現在、約600社の企業がAirbyteのコネクタを使用しているが、わずか1カ月前には250社だった。そのユーザーにはSafegraph、Dribbble(ドリブル)、Mercato(メルカート)、GraniteRock(グラナイトロック)、Agridigital(アグリデジタル)、Cart.com(カート・ドットコム)などが含まれている。

同社は新たな資金を使い、2021年末までにチームを約12人から25人に倍増させる計画だ。現在、同社はユーザーベースの確立に注力しており、2022年にはマネタイズを開始し、より多くの資金調達を行う予定だ。

関連記事:オープンソースのデータパイプラインプラットフォーム「Airbyte」

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Airbyteオープンソース資金調達

画像クレジット:Bruce Leighty / Getty Images

原文へ

(文:Frederic Lardinois、翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。