最もスタンダートなモデルとして登場したiPad 第9世代は「廉価版」のお手本

最もスタンダートなモデルとして登場したiPad 第9世代は「廉価版」のお手本9月15日の発表イベントではiPhone 13シリーズ、Apple Watch Series 7、iPad mini 第6世代と一緒にiPad 第9世代も発表されました。ほかの製品にくらべると大きな変化もなく地味ですが、Appleの製品戦略的には、普及の鍵を握る重要な位置づけの製品と言えるでしょう。

関連記事:第9世代iPad発表 20%高速でセンターフレーム対応

ボディーは2019年に発売されたiPad(第7世代)のものを引き継いでおり、別売の周辺機器も共通となっていますが、中身はパワーアップしています。

デザインは変わらず、画面下のホームボタンがTouch IDを兼ねる

デザインは変わらず、画面下のホームボタンがTouch IDを兼ねる

現行iPadでは唯一のLightning端子搭載モデルとなる(ほかはUSB-C)

現行iPadでは唯一のLightning端子搭載モデルとなる(ほかはUSB-C)

Apple Pencilは第1世代が利用可能(税込1万1800円)

Apple Pencilは第1世代が利用可能(税込1万1800円)

miniには用意されていない純正キーボードに対応(税込1万8800円)

miniには用意されていない純正キーボードに対応(税込1万8800円)

キーボードカバーは旧デザインのものだが、後ろに畳んだりスタンドにできたりと、これはこれでなにかと便利だったりする

キーボードカバーは旧デザインのものだが、後ろに畳んだりスタンドにできたりと、これはこれでなにかと便利だったりする

質実な進化

SoCはA12 Bionic→A13 Bionicになり、処理速度は前モデルより20パーセント高速化。Appleは最も普及しているChromebookよりも3倍高速であるとアピールしています。A13 Bionicは、iPhone 11シリーズやiPhone SEが採用しているニューアルエンジンが強化されたチップ。これらは現行モデルでもあるため、無印iPadで同じチップを採用することで製造ラインを絞り、コストパフォーマンスにも貢献しているわけですね。

背面カメラは低照度とオートフォーカス性能が向上。出っ張りがないので裸で置いてもカタつかない

背面カメラは低照度とオートフォーカス性能が向上。出っ張りがないので裸で置いてもカタつかない

前面カメラは解像度12MP。超広角レンズになり、iPad Pro、iPad mini 6thと同じくセンターフレームを利用できるようになりました。

物理的にカメラが動いているかのように正確に追従

物理的にカメラが動いているかのように正確に追従

またディスプレイについても、エントリーモデルで初めてTrue Toneに対応しました。

あらゆる環境下で、画面が自然に見えるよう自動で色味を調整

あらゆる環境下で、画面が自然に見えるよう自動で色味を調整

10年の節目にふさわしいiPad

マルチタスクやクイックメモなど、iPadOS 15の機能をサクサク使えて税込3万9800円~(Wi-Fiモデル・64GB)、ペンを一緒に買っても5万円前後ですから、どう考えてもお買い得と思います。ちなみにセルラー版(LTE対応・5Gは非対応)は税込5万6800円〜。

最もスタンダートなモデルとして登場したiPad 第9世代は「廉価版」のお手本iPad誕生10年目に、最もスタンダートなモデルとして登場したiPad(第9世代)。文教市場や企業導入を視野に入れたモデルではありますが、初めてiPadを持つ方や、しばらくiPadを使っていなかったような人への再エントリーモデルとしてもオススメしたいです。

iPadとiPad miniの動画レビューも公開していますので、こちらもチェックしてみてください。

Engadget日本版より転載)

iPad mini 第6世代のミニチュア感にガジェット萌え―実機先行レビュー

iPad mini 第6世代のミニチュア感にガジェット萌え―実機先行レビュー

リーク情報はあったものの、9月15日のスペシャルイベントではiPhone 13シリーズほど発表が確実視されていなかったiPadシリーズ。第6世代のiPad miniか第9世代のiPad、どちらかはありそうくらいに身構えていましたが、まさか両方来るとは思いませんでしたねー。

とはいえ私は最新のiPad Proを持っているので、何が出ても記事にこそすれ個人的に買う予定はありませんでした。しかし、実機をひと目見て、その考えは速攻変わりました。iPad mini 第6世代のミニチュア感にガジェット萌え―実機先行レビュー

か、かわいい……

iPad mini 第6世代のミニチュア感にガジェット萌え―実機先行レビューこれは、iPadのミニチュアですね。仕様的にはTouch IDということもありiPad Airのミニチュアといったほうが正しそうです。

AppleはこれまでiPad miniに関してのアップデートが比較的緩やかだったので、無印iPad同様まだまだ同デザインの筐体を使い回すと信じ込んでいました。これは私の勝手な妄想ですが、とりあえずAirを小さくした試作機をつくってみたら意外と実用的だったのでリリースすることになったのではないかと勘ぐっています。iPad mini 第6世代のミニチュア感にガジェット萌え―実機先行レビュー

パープルとスターライトの実機(共にセルラー版)。カラーバリエーションは、ほかにピンク、スペースグレイの計4色

パープルとスターライトの実機(共にセルラー版)。カラーバリエーションは、ほかにピンク、スペースグレイの計4色

アウトカメラは1200万画素×1基。LiDARセンサーは非搭載

アウトカメラは1200万画素×1基。LiDARセンサーは非搭載

とにかくコンパクト。本体は6.3ミリという驚異の薄さ

とにかくコンパクト。本体は6.3ミリという驚異の薄さ

セルラーモデルで297グラム(実測値は296グラム)と、iPhone 13 Pro Max+60グラムほど増すだけ

セルラーモデルで297グラム(実測値は296グラム)と、iPhone 13 Pro Max+60グラムほど増すだけ

8.3インチのLiquid Retinaディスプレイを搭載

8.3インチのLiquid Retinaディスプレイを搭載

iPad Air同様、電源ボタンにTouch IDを搭載。ボリュームボタンもすべて同じ側面に備える

iPad Air同様、電源ボタンにTouch IDを搭載。ボリュームボタンもすべて同じ側面に備える

充電はUSB-C端子

充電はUSB-C端子

スピーカー穴は4か所あるが、Proシリーズとは異なり再生はステレオ。縦置き・横置きで左右が自動で切り替わる。音量も十分で、前miniと比べるとかなり迫力が増した

スピーカー穴は4か所あるが、Proシリーズとは異なり再生はステレオ。縦置き・横置きで左右が自動で切り替わる。音量も十分で、前miniと比べるとかなり迫力が増した

12.9インチのProと比較すると半分未満のサイズ

12.9インチのProと比較すると半分未満のサイズ

8.3インチに2266x1488ドット表示(326ppi)なので、表示はかなり繊細。年配者は設定で文字サイズを大きくしないと厳しいかも……

8.3インチに2266×1488ドット表示(326ppi)なので、表示はかなり繊細。年配者は設定で文字サイズを大きくしないと厳しいかも……

Smart Folioカバー(税込7480円)もまた既存品のミニチュアのような共通デザインとなっています。

12.9インチ用の上に乗せてみた。従来モデル同様、背面にマグネットでピタッとくっつく仕組み

12.9インチ用の上に乗せてみた。従来モデル同様、背面にマグネットでピタッとくっつく仕組み

フタの開閉と連動するオートスリープ対応

フタの開閉と連動するオートスリープ対応

三角に折りたたみ、2段階の角度でスタンドに

三角に折りたたみ、2段階の角度でスタンドに

パープルの実機には、マゼンダのカバーがピッタリ

パープルの実機には、マゼンダのカバーがピッタリ

ProとAirのいいとこ取り

フロントカメラはiPad Proシリーズと同じ超広角のものになり、FaceTimeやZoomなどのビデオチャット時に自動でフレームインするセンターフレームに対応しました。これは現行モデルではiPad Proでしか使えない機能です(同時に発表された第9世代iPadも対応)。

そこそこ激しく動いてもカメラが追っかけてくる

そこそこ激しく動いてもカメラが追っかけてくる

最新世代のA15 Bionicを搭載

パフォーマンスに関しては別記事でより詳しく触れていますが、SoCはiPhoneと同じ最新のA15 Bionicを搭載、2019年発売のiPad mini 5thと比べてCPUが40パーセント、GPUは80パーセント高速になっています。第5世代のユーザーは、体感的な速度の差にすぐ気づくと思います。

iPad mini 第6世代のミニチュア感にガジェット萌え―実機先行レビュー

iPad mini 第6世代のミニチュア感にガジェット萌え―実機先行レビュー

手帳のような手軽さ

Apple Pencil 第2世代(税込1万5950円)が利用できるので、小さなスケッチブック、またはメモ端末として手帳のように気軽に扱えます。iPad mini 第6世代のミニチュア感にガジェット萌え―実機先行レビュー

iPad miniにはApple純正のキーボードは用意されていませんが(Bluetooehキーボードは接続可)、手書きや音声による入力やフリック入力も使えるので、文字入力は意外と困りません。

サッとクイックメモを呼び出し、手書きによる文字入力が可能

サッとクイックメモを呼び出し、手書きによる文字入力が可能

設定でフリック入力をフローティング表示にすれば、iPhoneと同じように快適に文字入力できる

設定でフリック入力をフローティング表示にすれば、iPhoneと同じように快適に文字入力できる

Bluetoothのキーボードが接続可能。文字入力で困ることはない

Bluetoothのキーボードが接続可能。文字入力で困ることはない

5G対応で大判iPhoneみたい

ちょうどカーナビに近い本体サイズなので、地図などを表示するとより一層それっぽくなります。Macのサブディスプレイとして使うSidecarも利用できますし、カワイイだけでなく、いろいろ小回の利く便利ガジェットといった感じ。

iPhone 13 Pro Maxとサイズ比較

iPhone 13 Pro Maxとサイズ比較

マップ表示はiPhoneより広範囲。5G+GPSでカーナビとしても使える

マップ表示はiPhoneより広範囲。5G+GPSでカーナビとしても使える

Kindleとも近いサイズで、電子書籍も1ページ表示だとちょうどいい感じ

Kindleとも近いサイズで、電子書籍も1ページ表示だとちょうどいい感じ

iPadの2台持ちを決意

実際、目新しさからの一目惚れでしたが、しばらく使ってみて、すでにiPadを使っているユーザーの2枚めiPadとして全然アリだと思いました。

iPad Pro 12.9インチと2台持ちでいくことに

iPad Pro 12.9インチと2台持ちでいくことに

新しいiPad miniは64GBモデルのWi-Fi版が税込5万9800円〜ですが、ガジェット好きな方はeSIMも使えるセルラー版を是非と思います(税込7万7800円〜)。発売日はiPhone 13シリーズと同じ9月24日。動画レビューも是非ご覧ください。

Engadget日本版より転載)

新iPad miniの5Gを試す―高画質&大画面FaceTimeに感動

新iPad miniの5Gを試す。高画質&大画面FaceTimeに感動

9月24日に発売される第6世代のiPad miniは、5G対応iPadとして3機種目の端末。“Pro”のつかない一般ユーザーをターゲットにした無印のiPadとしては、iPadやiPad Airを差し置き、初の5G対応モデルになります。筆者が注目しているのも、この機能。そんなわけで一足先に実機を使い、iPad miniの通信関連機能をあれこれチェックしてみました。

フルモデルチェンジを果たしたiPad mini。5GやeSIM関連の機能をチェックした

フルモデルチェンジを果たしたiPad mini。5GやeSIM関連の機能をチェックした

まずはeSIMから。物理的なSIMカードを入れていない状態で「設定」の「モバイルデータ通信」をタップすると、auやソフトバンクを含む複数のキャリア名が表示されます。ただし、これはいわゆるApple SIMの名残。iPadのeSIMは、iPhoneとは異なり、eSIM以前から搭載していたApple SIMを統合した形になっています。第6世代のiPad miniでも、それは踏襲されています。

少々分かりづらいのはauやソフトバンクが残っているところで、ここをタップすると、Apple SIMとしてプリペイドプランを端末上から直接契約でる仕組みでした。QRコードの読み取りやアプリが必要なeSIMより進んでいるところではありますが、残念ながら両プリペイドプランは4Gまでの模様。しかもauは新規契約の受付をすでに終了しているため、既存のユーザーしか利用ができません。料金的にも1GB、1500円と高く、あまり利用価値は高くないサービスになってしまいました。

Apple SIMの名残が残る「モバイルデータ通信」のメニュー

Apple SIMの名残が残る「モバイルデータ通信」のメニュー

キャリア各社が提供するeSIMを利用する場合は、このメニューで「その他」を選択する必要があります。メニュー的に分かりづらいため、このユーザーインターフェイスはそろそろ見直した方がいいのでは……という気もしますが、後の手順は簡単。「その他」をタップするとカメラが立ち上がるので、キャリアから送られてきたeSIMのQRコードを読み込めばOKです。

「その他」をタップすると、QRコードリーダーが現れeSIMを設定できる

「その他」をタップすると、QRコードリーダーが現れeSIMを設定できる

今回は物理SIMで試しましたが、売りである5Gにもきちんと対応していました。5G関連の設定はiPhoneとほぼ同じ。消費電力を抑える「5Gオート」が用意されているほか、5G接続時のみ、FaceTimeなどのコンテンツの画質を上げる機能にも対応しています。ただし、初期設定でこれが有効になるのは一部キャリアのみ。オンになっていないと、せっかくの高速通信が生かせないので、忘れずに設定しておきましょう。

5Gと4Gを自動的に切り替え、バッテリーを節約する「5Gオート」に対応

5Gと4Gを自動的に切り替え、バッテリーを節約する「5Gオート」に対応

「データモード」で「5Gでより多くのデータを許容」にチェックをつけると、FaceTimeなどが高画質化される

「データモード」で「5Gでより多くのデータを許容」にチェックをつけると、FaceTimeなどが高画質化される

周波数的には、iPhoneと同様、4Gから転用したバンドも利用することができます。転用バンドで積極的にエリアを拡大しているKDDIやソフトバンクで使えば、アンテナピクトの横に5Gの文字を見かける機会が多くなるはずです。ただし、転用5Gは帯域幅が狭いこともあり、期待されているような爆速は出ないおそれもあります。例えば筆者の事務所周辺はソフトバンクの5Gエリアですが、スピードテストをすると、100Mbpsをやや超える程度。4G並みと言えば4G並みの速度です。

転用エリアでは、このように速度があまり出ないことも

転用エリアでは、このように速度があまり出ないことも

ここで生きてくるのが、先に挙げたコンテンツを高画質化する機能です。この自動判定機能は、接続している帯域を問わないため、爆速ではない5Gエリアでも有効になります。正直なところ、FaceTimeや動画の高画質化なら、100Mbpsを超えていれば十分。1Gbps超のスピードは必須ではありません。実際、iPad miniで5G接続時にFaceTimeを試してみましたが、その画質はご覧のとおり。肌のトーンや髪の毛の細かな部分までしっかり見えるほどになりました。思わず「おおっ」と声を出してしまったほどです。

速度的には100Mbps強のエリアだったが、高画質化が有効になり、FaceTimeの映像が精細になった。iPhoneより迫力もある

速度的には100Mbps強のエリアだったが、高画質化が有効になり、FaceTimeの映像が精細になった。iPhoneより迫力もある

このテストでは、筆者のiPad miniからFaceTimeを発信して、矢崎編集長がiPhoneで受けた格好ですが、両方が5Gに接続していたため、筆者の顔もかなり精細に表示されていたようです。ポロシャツに付着したチリまで写っているので、油断なりません(笑)。iPad miniはiPadの中では最小ですが、iPhoneと比べるとやはり大画面。ディテールまではっきり見えて、FaceTimeでも映像の迫力が増し増しになった印象を受けました。

筆者側から送信していた映像も、きちんと高画質になっていた。微妙な表情の変化まで、見逃さずに会話できそうだ

筆者側から送信していた映像も、きちんと高画質になっていた。微妙な表情の変化まで、見逃さずに会話できそうだ

特にこの機能は、iPad miniでこそ使いやすいと感じています。10インチ超のiPadの場合、利用シーンはどうしても室内が多くなり、5Gが届きにくいからです。片手でガシっと握れるiPad miniであれば、よりスマホに近い感覚で利用可能。出先でFaceTimeを着信して、そのまま通話するといったケースにも使いやすい端末だと感じました。iPad miniのモビリティがあってこそ、5Gが生かせるというわけです。

ただし当然ながら、iPadのため、VoLTEなどの音声回線を使った通話はできません。IP電話アプリはインストールできるものの、耳に当たる位置に通話用のスピーカーはなく、近接センサーも対応していないのでディスプレイも消灯しません。片手で持てるので、思わずやってしまいそうになりますが、耳に当てての通話はできないので注意してください。

思わず耳に当てたくなるが、こんな使い方はNG。スピーカーがないので、スマホのようには通話できない

思わず耳に当てたくなるが、こんな使い方はNG。スピーカーがないので、スマホのようには通話できない

ちなみに、5Gを有効化できるのは、アップルが認めたキャリアのみになります。iPadシリーズを取り扱っていない楽天モバイルのSIMカード/eSIMをセットすると、表示されるメニューが他3キャリアとは異なっていました。楽天モバイル回線だと5Gのメニュー自体が表示されなくなり、3GかLTEしか選択できません。そのため、上記のようなコンテンツ高画質化の恩恵にもあずかれません。段階制の料金プランはタブレットとの相性もよさそうなだけに、ここはちょっと残念です。

楽天モバイルのeSIMをセットしたところ、5Gを有効にできなかった

楽天モバイルのeSIMをセットしたところ、5Gを有効にできなかった

簡単な動画の編集もサクサクこなせて、コミュニケーションツールとしても使い勝手のいいiPad miniは、5G搭載のメリットが大きいと思います。FaceTimeなどの着信ができるのは、常時接続が可能なセルラーの特徴。このポータビリティを生かすのであれば、やはりWi-Fi+Cellular版一択な気がしています。

(石野純也。Engadget日本版より転載)

iPad mini 第6世代に死角なし、iPhone 13 Pro同等の最新仕様で処理も通信も高速

iPad mini(パープル)。試用したのはWi-Fi + Cellularモデルだ。別売のApple Pencil(第2世代)とともに

iPad mini(パープル)。試用したのはWi-Fi + Cellularモデルだ。別売のApple Pencil(第2世代)とともに

9月24日に発売となる第6世代iPad mini(以下、iPad mini)のレビューをお届けする。

今回のiPad miniはまさに「フルモデルチェンジ」。デザインはiPad AirやiPad Proと似た形になったが、中身はiPad AirともProとも違う、最新仕様のiPadと言っていいものだ。

ここでは、その魅力やパフォーマンスを見ていきたい。

サイズ・デザインはやはり絶妙

iPad miniの魅力が「サイズ」「デザイン」にあるのは疑いない。大きめのポケットにも入る……のは冬服などの一部のものに限られるかもだが、それでも片手で持てるサイズのiPadであることは間違いない。

ポケットにも……割と入る

ポケットにも……割と入る

本体裏面。パープルが映える

本体裏面。パープルが映える

iPad miniのパッケージと内容物。同梱されるのはUSB-CケーブルとACアダプター

iPad miniのパッケージと内容物。同梱されるのはUSB-CケーブルとACアダプター

iPad miniのパッケージと内容物。同梱されるのはUSB-CケーブルとACアダプター

特に今回は、対応するペンが第2世代のApple Pencilになり、充電時の収まりもよくなった。Lightning端子に突き刺す第1世代は、充電頻度が高くないので実用上そこまで大きな問題はなかったのだが、やっぱり見栄えが良くなかったし、なによりペンの充電キャップをなくしやすかった。マグネットで接続する第2世代はそのあたりの問題が非常に少ない。

本体右側面。ここに第2世代のApple Pencilがくっつく

本体右側面。ここに第2世代のApple Pencilがくっつく

メモ帳やコンパクトなスケッチブックのように持ち運べることに魅力を感じる人は多いと思うし、ペンはそうしたシーンで特に活躍する。

ペンをつけて片手で持ってみるとメモ帳っぽい雰囲気に

ペンをつけて片手で持ってみるとメモ帳っぽい雰囲気に

別売のiPad mini用Smart Folio(イングリッシュラベンダー)をつけて。片手にうまく収まるサイズ感だ

別売のiPad mini用Smart Folio(イングリッシュラベンダー)をつけて。片手にうまく収まるサイズ感だ

300g以下で「2020年のiPad Pro」に迫る性能

ポイントはなにより、このサイズで「速い」ということだろう。

iPad miniはiPhone 13 Proと同じ「A15 Bionic」が採用されている。A15 Bionicには、iPhone 13で使われている「GPUが4コア」のものと、Proで使われている「GPUが5コア」のものがあり、iPad miniは後者を使っている、とAppleは言う。

ただし、同社がプロセッサの動作クロックやメインメモリの搭載量を公開しないのはいつものこと。なので、iPad miniとiPhone 13 Proが「まったく同じ性能」とは限らない。

ということでGeekbenck 5でのテスト結果を見てみよう。

どうやらminiのものは、クロック周波数が低く、メインメモリ搭載量も少ないようだ。iPad mini搭載のA15 Bionicは最大クロックが2.93GHzで動いている。メインメモリは4GBだ。iPad Proが3.2GHz・6GBもしくは8GBであるのに比べるとやはりランクは下がる。

だが、速度が遅いわけではない。簡単に言えば、マルチコア処理の速度・シングルコアでの速度・GPUを中心とした「Compute処理」での値すべてが2020年発売の「iPad Pro 11インチモデル」に近いことがわかった。当時使われていたのは「A12Z Bionic」でこれもかなり速いプロセッサーだったが、それと近い性能のものが2年で300gの小型iPadに入ってくるというのは驚きだ。それだけ、Appleが積極的に自社開発プロセッサーの性能向上と生産性向上に努めている、ということだろう。

Geekbench 5を使った、iPad miniのベンチーマーク。プロセッサーの性能は2020年発売の「iPad Pro(11インチ)」に近いGeekbench 5を使った、iPad miniのベンチーマーク。プロセッサーの性能は2020年発売の「iPad Pro(11インチ)」に近い

Geekbench 5を使った、iPad miniのベンチーマーク。プロセッサーの性能は2020年発売の「iPad Pro(11インチ)」に近い

Geekbench 5を使った、iPad miniのベンチーマーク。プロセッサーの性能は2020年発売の「iPad Pro(11インチ)」に近い

同時発売となる「第9世代iPad」のテスト結果を見てみると、やはりこちらはiPad miniと比べて見劣りする。と言っても、昨年のフラッグシップスマホである「iPhone 12 Pro Max」に近い値ではあるので、けっして性能が低いわけでもない。4万円以内でこの性能が買えると思えば、それはそれでやはり驚きである。

同じく「第9世代iPad」の性能。さすがにiPad miniほどではないが、iPhone 12 Pro Maxより少し劣る程度か

同じく「第9世代iPad」の性能。さすがにiPad miniほどではないが、iPhone 12 Pro Maxより少し劣る程度か

同じく「第9世代iPad」の性能。さすがにiPad miniほどではないが、iPhone 12 Pro Maxより少し劣る程度か

一方で気になるのは、「最新のA15と、昨年のM1を比べたらどちらが速いのか」という点。

これはM1の圧勝だ。コア数がCPU・GPUともに8と多く、もともとMac向けに高負荷な処理を行うことを前提にチューニングされているから意外な結果ではない。

過去には、「iPad Proのプロセッサーを、最新の技術を使ったiPhoneのプロセッサーがすぐに追い抜いていく」現象もあったのだが、M1はちょっと違う。同じ技術を核として生み出されたプロセッサーであっても、iPhone・iPad向けの「Aシリーズ」と、Mac・iPad Pro向けの「Mシリーズ」は明確に違う路線を歩み始めている、と見て良さそうだ。

M1を搭載するiPad Pro(12.9インチ)の値。速度は圧倒的でA15 Bionicが載っているiPad miniでもかなわない

M1を搭載するiPad Pro(12.9インチ)の値。速度は圧倒的でA15 Bionicが載っているiPad miniでもかなわない

M1を搭載するiPad Pro(12.9インチ)の値。速度は圧倒的でA15 Bionicが載っているiPad miniでもかなわない

5G搭載で通信が高速化、4Gより5倍以上速い

もう一つ、速度面で魅力だったのは「5G」だ。

今回テストしたのはWi-Fi + Cellularモデルで、iPad miniは5Gに対応している。

この効果は絶大だ。今回は、同じくWi-Fi + Cellularモデルの第9世代iPadの貸し出しを受けているので比較してみたが、通信速度は下で5倍以上の差が出た。(テストはどちらもソフトバンク回線。テスト場所はJR五反田駅)

iPad miniの通信速度をJR五反田駅で計測。安定的に「下り285Mbps」程度が出ていた

iPad miniの通信速度をJR五反田駅で計測。安定的に「下り285Mbps」程度が出ていた

もちろん、通信エリアとして「5Gがしっかり入る場所」であることは重要だ。今はまだ5Gインフラも過渡期で、東京・山手線の駅で利用者数も多い五反田駅というロケーションは、それなりに恵まれた場所であるのは間違いない。

だとしても、安定的に下り285Mbpsが出ていたという事実はとても魅力的だ。ぶっちゃけ自宅の光回線と変わらない。本来なら、5Gならもっと速くなっても不思議ではないわけで、「インフラさえ整えば……」という気持ちになってくる。

4G・iPadでの「下り44Mbps」と言う値も、けっして遅くはない。だが、やはり5Gとの差は明白だ。

同じ場所で、4GのiPadの速度を計測。40Mbps台でも遅くはないのだが、5Gに慣れると人は贅沢になる

同じ場所で、4GのiPadの速度を計測。40Mbps台でも遅くはないのだが、5Gに慣れると人は贅沢になる

バッテリー搭載量が比較的大きく、これだけ通信速度が出るのであれば、単にタブレットとして使うだけでなく、「カバンの中に入れておいて5G対応モバイルルーター代わりにする」パターンも十分にアリだと感じた。

マイナス点としては「現状、5Gのミリ波に対応していない」ことが挙げられる。だが、ミリ波の利用可能な範囲がまだ狭いことを考えると、そこまでクリティカルな話ではないとも思える。日本で「ミリ波必須」と感じるようになるには、まだしばらくかかりそうだ。

「最新仕様」はゲームにも撮影にも活きる

こうした速度は、ウェブや動画を観るだけでなく、ゲームにも活かせるだろう。

SIEは先日のアップデートで、スマホ・タブレットからでもPS4/PS5が遊べる「リモートプレイ」をWi-Fiだけでなくセルラー回線にも解放した。5G環境なら(通信料の問題はあるが)問題なく遊べる。マイクロソフトも、クラウドゲーミングである「Xbox Cloud Gaming」を海外では展開中で、日本でも「2021年中」にスタートとしている。どちらもiPadに対応しているので、相性はいい。

もちろん、Apple Arcadeのタイトルやスマホ・タブレット向けのF2Pタイトルでもいい。パフォーマンスの高さはゲームにとって全ての面でプラスに働く。

また、今回のiPad miniはインターフェースが「USB Type-C」になったので、外部ストレージや使いやすいのもポイントだ。

iPad miniのインターフェースは、iPad ProやiPad Airと同様にUSB Type-Cに

iPad miniのインターフェースは、iPad ProやiPad Airと同様にUSB Type-Cに

写真や動画を扱う際、ビューワーがどうしても欲しくなる。移動先からデータを急いで転送したい時もあるだろう。iPad miniの処理能力とデータ通信性能なら、そんな要求を十分にこなしてくれる。

結局、「多くの人に求められているサイズのものが、最新のプロセッサーと最新の通信規格を使った仕様で出てきた」のが、iPad miniの最大の美点。どこにどう使うかも「最新仕様が活きるところ」がふさわしいのだ。

(西田宗千佳。Engadget日本版より転載)

iPad mini(第6世代)とiPad(第9世代)実機で確信した2021年iPadの選び方

実機で確信した2021年iPadの選び方

9月24日に発売となるアップル・iPad mini(第6世代)とiPad(第9世代)を試用する機会を得た。

iPad miniは8.3インチとコンパクトながら、iPhone 13シリーズと同じA15 Bionicを搭載。端子もUSB-C、ロック解除はTouch IDと申し分のない進化を遂げている。

SNSでつながっている知り合いも、9月15日未明に開催されたアップルスペシャルイベントが終わるやいなや予約していた。すぐに予約して24日に届く人、これから購入をしようかと思う人、iPad miniは誰もが満足できる仕上がりになっている。コンパクトで使い勝手は申し分なく、おそらく日本でかなり人気のデバイスになるのではないか。

これまでのiPad miniは長らく後継機種が出なかったり、デザイン的に変化がなかったりと、アップルとしてもどっちつかずのポジションになっていたと思う。しかし、今回は明確にハイエンド路線に舵を切ってきた。

アップルのiPadラインナップを俯瞰すると、今回、iPad miniが進化したことで、iPad Air、iPad Proなど全体的にわかりやすくなり、消費者とすれば選びやすくなったのではないか。

観るための iPad mini

今回、発売となるiPad miniは一言でいえば「観る」ためのデバイスだ。8.3インチでYouTubeやNetflix、DAZNといった動画コンテンツを観るのに最適だ。Kindleで本、dマガジンで雑誌、紙面ビューワーアプリで新聞も読めてしまう。コロナ禍で家にいる時間が増えているが、リビングや寝室、仕事部屋、トイレの中など、どこにでも持ち込んで、コンテンツを観まくりたくなるのがiPad miniなのだ。

実機で確信した2021年iPadの選び方

Apple Pencil(第2世代)に対応する iPad mini (第6世代)

Apple Pencil(第2世代)に対応する iPad mini (第6世代)

一方、去年10月に発売されたiPad Airは「書く」ためのデバイスだ。10.9インチというサイズ感、Apple Pencil(第2世代)に対応しており、イラストを描いたり、頭の中を整理するためにあれこれ書き起こすのに最適だ。オプションにはMagic KeyboardやSmart Keyboard Folioがあり、文章を書くのに向いている。

ただ実際のところ、日本語変換能力がちょっとイケてないことがあったりもする。しかし「頭に浮かんだ文書を素早くテキストに落とし込む」という点においてはiPadOSは結構、反応が早く追従性が良いのが気に入っている。

今年4月に発売した11インチ並びに12.9インチのiPad Proは「創る」人向けのiPadだ。チップセットにはMacBookやiMacと同じ「M1チップ」を搭載。写真や動画の編集、書き出しも難なくこなすスペックを持ち合わせている。実際、YouTubeに上げるための動画も、iPhoneで撮影し、AirDropでiPad Proに転送。iPad Proで編集して、5Gエリアなら5G、ダメなら4Gでアップするということも可能だ。

カメラマンや記者など、取材先で撮った画像や動画を編集して編集部に納品するには快適だ。まさにコンテンツを創る人向けのiPadだろう。

「観る」「書く」「創る」。いまのiPadはラインナップが多く、選びにくい感があるが、自分がiPadでどんなことをやりたいのか突き詰めると、自ずと選ぶべきiPadが見つかるような気がしている。

安く売るためのiPad(第9世代)

iPad(第9世代)を試用してみたが、やはり昔から代わり映えのしないデザインであり、正直いって、「ワクワク感」はみじんもない。しかし、「これぞ伝統のiPad」という風情があり、安心して使えるのは間違いない。

実機で確信した2021年iPadの選び方iPad(第9世代)はどちらかといえば、アップルが安く「売る」ためのiPadだ。今回もエントリーモデルとして、初めてタブレットを購入する人、さらには学校などの教育市場向けを意識した価格になっている。一般向けでは3万9800円からだが、学生や教職員向けなら3万6800円からとなる。

タブレット市場は、過去から熾烈な価格競争が続いている。中国メーカーなどが安価なタブレットを投入し、もはや儲けが出る市場ではなくなっている。

アップルとしては、ここで勝ち残るために、できるだけ安いiPadを作り、市場に提供し続けている。コストが厳しいなか、長い期間、同じ筐体で大量生産を行い、製造コストを下げようとしている。チップセットもiPhoneからの型落ちを採用することで、コスト効果を狙っている。できるだけ切り詰めることで、性能は落とさず、価格競争力を維持しているのだ。

一方で、iPad mini、iPad Air、iPad Proはハイエンド路線にすることで「儲かるタブレット」にしつつある。こういった戦略はアップルにしかできないやり方だ。

おそらくアップルとしては、このコロナ禍の影響で、iPad AirやiPad Proが好調で儲かるタブレットになった。そこで、方向性を見失いつつあったiPad miniも、iPad ProやiPad Airに習う路線に突き進むことにしたのではないか。まさに今回のiPad miniはアップルの「勝ちパターン」にうまいこと乗ろうしているような気がしてならない。

(石川温。Engadget日本版より転載)

歴代最高性能のSurface Laptop Studio発表、変則ヒンジにNVIDIA RTX A2000/3050 Ti採用

歴代最強サーフェスSurface Laptop Studio発表、変則ヒンジにNVIDIA RTX A2000/3050 Ti採用

Microsoft

秋の新デバイス発表イベントで、マイクロソフトがSurfaceシリーズの新しい製品 Surface Laptop Studio を公開しました。

Surface Laptop Studio は14.4インチのディスプレイ部とキーボード部を二段のヒンジで結び、通常のラップトップモードでも、ディスプレイを手前に倒してペン入力に適したスタジオモードでも使えるクリエーター・デベロッパー向け製品。

歴代最強サーフェスSurface Laptop Studio発表、変則ヒンジにNVIDIA RTX A2000/3050 Ti採用

Microsoft

プロセッサは4コアの11世代Core i5 / i7 Hシリーズ、グラフィックはIntel Iris XeにNVIDIA RTX A2000 または3050 Ti、メモリは32GBまで、交換可能なSSDが最大2TBなど、歴代Surface最高の性能を誇ります。

「Laptop Studio」の名称どおり、画面を引き下ろせる構造はクリエーター向けデスクトップの Surface Studio を引き継ぎつつ、下半身は通常のノート同様に使えるスタイルです。

Surfaceラインナップ間での位置付けとしては、2 in 1でありつつキーボード側にも高速なGPUを乗せた大型・高性能モデル Surface Book の後を継ぐことになります。

歴代最強サーフェスSurface Laptop Studio発表、変則ヒンジにNVIDIA RTX A2000/3050 Ti採用

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Surface Laptop Studio の主な仕様は、

  • 14.4インチ2400 x 1600 (3:2) PixelSense Flow ディスプレイ(最大120Hzアダプティブリフレッシュレート、コントラスト比1500:1、Dolby Vision対応) 10点タッチ、Surfaceペン入力対応
  • 11世代 Core i5 / i7 プロセッサ(4コア Hシリーズ)
  • 16GB / 32GB LPDDR4 RAM
  • 交換可能SSD 256GB / 512GB / 1TB / 2TB
  • USB 4.0 / Thunderbolt 4ポート x2、ヘッドホン端子、Surface Connect端子
  • 1080p HDウェブカメラ、デュアルStudioマイク
  • Dolby Atmos 対応 OmniSonicクアッドスピーカー
  • Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1
  • バッテリー駆動時間はi5モデル最長19時間、i7モデル最長18時間
  • 重量は i5モデル 1742.9g、i7モデル 1820g
歴代最強サーフェスSurface Laptop Studio発表、変則ヒンジにNVIDIA RTX A2000/3050 Ti採用

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新製品のペン Surface Slim Pen 2 は、Laptop Studio本体に磁力でドックして充電が可能。

新仕様として内部に振動子を搭載しており、Surface Laptop Studio または Surface Pro 8と利用することで紙に鉛筆で描く感触を再現できるとうたいます。また丸く囲んで選択など Microsoft 365のジェスチャや、Adobe Frescoなどのアプリも触覚フィードバックに対応します。

歴代最強サーフェスSurface Laptop Studio発表、変則ヒンジにNVIDIA RTX A2000/3050 Ti採用

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通常のノートのようにキーボードを使うラップトップモード、画面を倒してタッチやペン入力に最適化したスタジオモードに対して、画面を手前に引き出した中間形態は、画面が近くゲームや動画鑑賞に最適な「ステージモード」と称しています。

歴代最強サーフェスSurface Laptop Studio発表、変則ヒンジにNVIDIA RTX A2000/3050 Ti採用

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外付けキーボードを使う場合も、不要なキーボードの分だけ画面が前に出るステージモードが最適。シリーズ共通の独自コネクタ Surface Connect端子を搭載するため、ケーブル一本でSurface Dockにつないで充電・外部画面出力・端子拡張等にも対応します。(Thunderboltでも可能ですが)

Surface Laptop Studio は1599.99ドルから。米国およびカナダでは本日より予約を受け付け、10月5日に発売します。そのほかの地域では2022年に発売予定(日本は2022年前半予定)。

(Source:Microsoft 製品ページEngadget日本版より転載)

Surface Duo 2が日本で2022年前半発売予定、Snapdragon 888搭載・5G対応で全方位進化

Surface Duo 2が日本で2022年前半発売予定、Snapdragon 888搭載・5G対応で全方位進化

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秋の新デバイス発表イベントで、マイクロソフトがデュアルスクリーン Android端末の新製品 Surface Duo 2 を公開しました。

Surface Duo 2は、手帳のように畳める二枚の画面でマルチタスクに強いAndroid端末の新モデル。

二つ折りやペン対応は初代から継承しつつ、Duo 2は最新世代の Snapdragon 888プロセッサ搭載、5G対応、背面に広角・望遠・超広角トリプルカメラ搭載など、スマートフォンでもあるAndroid端末として全面にパワーアップしました。

Surface Duo 2が日本で2022年前半発売予定、Snapdragon 888搭載・5G対応で全方位進化

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Surface Duo 2の主な仕様は、

  • 5.8インチ1344 x 1892 PixelSense 有機ELディスプレイ x2枚。一枚と見なすときは8.3インチ2688 x 1892 PixelSense Fusion。最大輝度800ニト、DCI-P3 100%広色域、最大90Hzアダプティブリフレッシュレート、HDR、表面カバー素材は最新のゴリラガラス Victus。各種Surfaceペン対応
  • Qualcomm Snapdragon 888 5Gプロセッサ
  • 8GB LPDDR5メモリ、128GB / 256GB / 512GBストレージ
  • 5G対応。eSIM / Nano SIMのデュアルSIM
  • 背面トリプルカメラ。
    広角:12MP、f/1.7, 27mm相当、1.4μm画素、デュアルピクセル位相差検出AF、光学手ブレ補正
    望遠:12MP、f/2.4、51mm相当、1.0μm画素、位相差検出AF、光学手ブレ補正、2倍光学ズーム
    超広角:12MP、f/2.0、13mm相当、1.0μm画素
  • 前面カメラ:12MP、f/2.0、24mm相当、1.0μm画素
  • USB-C 3.2 Gen 2
  • 初代よりわずかに厚くなった5.5mm厚。二つ折り時は11mm
  • 重量284g
  • バッテリーは4449mAh。動画再生で最長15.5時間、通話28時間
  • 指紋センサー
Surface Duo 2が日本で2022年前半発売予定、Snapdragon 888搭載・5G対応で全方位進化

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サムスンの折りたたみスマートフォン Galaxy Z Fold / Flip シリーズは、柔軟なディスプレイ自体が継ぎ目なしに真ん中から折れる点が特徴ですが、Surface Duo は二枚が蝶番でつながった「デュアルスクリーン」。

継ぎ目がある見なし大画面というよりも、二つのアプリを左右に表示して使うマルチタスクのプロダクティビティを重視した製品です。

資料を見つつメールやワードやエクセルを編集したり、ビデオ会議の参加者の顔と画面共有を両方大きく表示したり、対応アプリでは左右のドラッグ・アンド・ドロップといった使い方に加えて、Kindleのように見開き2ページ表示になるアプリ、左右にフォルダと中身など二画面に最適化したアプリもマイクロソフト純正を中心に用意します。

Surface Duo 2が日本で2022年前半発売予定、Snapdragon 888搭載・5G対応で全方位進化

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仮に開いた見なし1画面として比較するなら、対角8.3インチは新しい第六世代 iPad mini と同じ。縦横比がやや違うため Surface Duo 2のほうが面積としては微妙に広く、画素数も多くなっています。(326 ppi と401ppi)。

重さはDuo 2が284g、iPad mini 6は293g / 297gと微妙な差はありますが、概ね開いたときは iPad mini 新モデルのサイズと考えて間違いありません。

Surface Duo 2が日本で2022年前半発売予定、Snapdragon 888搭載・5G対応で全方位進化

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画面を畳んだときでも側面に見える「Glance Bar」。充電状態や音量、通知アイコンなどを確認できます。

Surface Duo 2が日本で2022年前半発売予定、Snapdragon 888搭載・5G対応で全方位進化

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本体色は従来の Glacier に加え新たにオブシディアンを追加。カラフルなバンパーも用意します。

Surface Duo 2 の価格は1499.99ドルから。米国など一部の市場では本日より予約を受け付け、10月21日に発売します。日本では2022年前半発売予定。

(Source:Microsoft 製品ページEngadget日本版より転載)

Surface Go 3発表、Core i3搭載で高速化したWindows 11モデルが価格6万5780円から

Surface Go 3発表、Core i3搭載で高速化したWindows 11モデルが価格6万5780円から

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完全新規の Surface Laptop Studio、Pro 3以来の刷新となる Surface Pro 8が発表されたマイクロソフトのイベントでは、小型モデル Surface Go も新バージョンの Surface Go 3が登場しています。

主な更新点は、プロセッサが新しい Pentium Gold またはCore i3になり高速化したこと。そしてWindows 11搭載モデルになったこと。

Surface Go 3発表、Core i3搭載で高速化したWindows 11モデルが価格6万5780円から

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Surface Go 3の主な仕様は、

  • 10.5インチ1920 x 1280 PixelSenseディスプレイ
  • 2コアPentium Gold 6500Y または4コア第10世代 Core i3-10100Y
  • Intel UHD 615グラフィック
  • 4GB / 8GB RAM
  • 64GB eMMC / 128GB SSD / 245GB SSD (Commercial Channelのみ)
  • オプションでLTE Advanced、Nano SIM / eSIM対応
  • USB-C×1、microSDXCスロット、3.5mmヘッドホン端子、Surface Connect端子、タイプカバー端子
  • 重量 544g (Wi-Fi)、553g (LTE)

Surface Go 2から画面もサイズもそのまま、主に中身を高速化した Windows 11あわせのリフレッシュモデルです。

価格は Pentium / eMMC / 4GB / Wi-Fiの最安モデルが399ドル(日本では税込6万5780円から)。本日より各地域で予約受付を開始します。LTEモデルは米国とカナダで今年12月、そのほかの地域では2022年に発売予定。

(Source:Microsoft 製品ページEngadget日本版より転載)

マイクロソフトがSurface Pro 8発表、13型120Hz画面やThunderbolt 4で全面刷新し価格は14万8280円から

マイクロソフトがSurface Pro 8発表、13型120Hz画面やThunderbolt 4で全面刷新し価格は14万8280円から

本日開催された米国マイクロソフトのSurfaceイベントでは、Windows 11搭載となる新型Surfaceシリーズが発表されました。

中でも今回の話題の一角となりそうなモデルが、キーボード合体式の2-in-1タイプ『Surface Pro 8』です。

米国での価格は1099.99ドルから(日本では税込14万8280円から)。日本を含む各国で本日より予約受付を開始します。

最大の特徴は、ついに本体が完全新設計となった点。

Surface Proシリーズの12.3インチ・アスペクト比3:2画面をベースとした基本的な設計は、Surface Pro 3から“秘伝のタレ”のように引き継がれてきましたが(Pro 7でのUSB Type-C追加などはあったものの)、今回ついに基本設計レベルから大変更され、合わせて時代遅れ感のあった仕様が一気にアップデートされました。

その本気度は、マイクロソフト側が「Pro 3以来となる大規模アップグレード」とアピールするほど。

正面デザインは変わらずシンプルですが、画面のナローベゼル化により、より見栄え良く

正面デザインは変わらずシンプルですが、画面のナローベゼル化により、より見栄え良く

画面サイズは13インチに若干ながら大型化され、最高リフレッシュレートはゲーミングPC並みの120Hzに。さらに先行するSurface Pro Xのように、ナローベゼル化も進みました。

拡張端子もThunderbolt 4(兼USB Type-C)端子2基を搭載し、心臓部となるCPUはインテルのTiger Lake世代に。インテル提唱の”イマドキの快適PC指標”となるEvoプラットフォームにも準拠しています。

背面側には伝統の無段階キックスタンドを搭載。中央付近に見える端子が2基のThunderbolt 4(兼USB4)です

背面側には伝統の無段階キックスタンドを搭載。中央付近に見える端子が2基のThunderbolt 4(兼USB4)です

さらに別売りペンにはハプティック(触感)デバイスを搭載して、触感上でも紙とペンの書き味に近づけるなど、今後のトレンドともなりそうなアイデアも導入されています。

公開された内部構造図。基本的なパーツレイアウトはProシリーズを継承するものの、冷却機構やバッテリーの大型化が見て取れます

公開された内部構造図。基本的なパーツレイアウトはProシリーズを継承するものの、冷却機構やバッテリーの大型化が見て取れます

技術的な注目点の一つとなるのが、ディスプレイパネルの大進化でしょう。なんといっても目立つのが、最高リフレッシュレートが120Hzという点。これにより軽めのゲームなどでは表示が滑らかになり、視認性が向上します。また、ペンを使った描画などでも遅延(レイテンシ)を削減できます。

Windows 11は必要に応じてリフレッシュレートを高める「動的リフレッシュレート」に対応するため、多くのスマートフォンのように無駄な消費電力を抑えつつ、必要なときだけ120Hz表示を使えます。

サイズは13インチとわずかながら大型化し(Pro 7は12.3インチ)、合わせてナローベゼル化。とくに横置き時の左右側などはかなり狭くなり、外観上も格好良くなっています。

もちろんキックスタンドは第5世代モデルから継承された、スタジオモード(最大限に倒した、ペン入力に適した状態)にも対応。キーボードとの接続端子はSurface Pro Xに似た形状となっています(現状では互換性に関しては不明)

もちろんキックスタンドは第5世代モデルから継承された、スタジオモード(最大限に倒した、ペン入力に適した状態)にも対応。キーボードとの接続端子はSurface Pro Xに似た形状となっています(現状では互換性に関しては不明)

加えてHDR映像ソースに関しても、ドルビービジョンに対応。色表現に関しても、周囲の環境光に合わせて自動で色調整を行なうWindows機能『Adaptive Color Technology』に対応。なお同機能で必要となる環境光センサーは、顔認証カメラ部に搭載します。

解像度は2880 x 1920、画素密度は267dpi。この値はPro 4からPro 7と同じため、解像度は画面実面積分だけの拡大に留まっています。

こうした様々な改良により、公式Blog記事などでは「我々が作った中でも最も技術的に進んだディスプレイ」ともアピールします。

対する大きさと重さに関しては、本体のみでのサイズは287×208×9.3mm(幅×高さ×厚さ)で、同じく本体のみの重量は891g。Pro 7は292×201×8.5mm、775g~790gだったため、とくに重量は100gほど増しています。

心臓部となるCPU(SoC)はインテルのTiger Lake世代へ。合わせて熱輸送機構も高効率化されています

心臓部となるCPU(SoC)はインテルのTiger Lake世代へ。合わせて熱輸送機構も高効率化されています

画面周りと並んで大きなアップデートが、Thunderbolt 4(兼USB Type-C)端子を搭載する点。

CPU側に論理層コントローラーを搭載するTiger Lakeの機能を活かし、数も2基となっているため、これまでのSurface Proシリーズに比べて拡張機器の柔軟性は大きく広がっています。

ただし一方で、昨今のトレンドかUSB Standard-A端子は廃止に。良くも悪くもイマドキのモバイルPC的な割り切りとなりました。

なお電源兼拡張ユニットを接続するSurface Connect端子は、内部解説写真によれば継続採用。現時点では細かな互換性までは不明ですが、このあたりはSurfaceチームらしいところです(なお、他の端子は3.5mmヘッドホンジャックのみ)。

今回は内部に非常に自信があるためか、基本パーツを一覧で見せる写真も。マザーボードの形状などが注目ポイントでしょう

今回は内部に非常に自信があるためか、基本パーツを一覧で見せる写真も。マザーボードの形状などが注目ポイントでしょう

そして、基本的な処理速度の面もTiger Lake採用で強化。とくにGPUはPro 7で採用されたIce Lake(第10世代Core i)より、かなりの、と言って良いレベルでの高速化が期待できます(一方で、企業用モデル『Surface Pro 7+』とは同一世代となります)。

実際の処理速度に大きく影響するTDP値は15~28Wと、いわゆるモバイルノートPCの標準クラス。具体的なモデル名は、一般向けモデルが『Core i5-1135G7』と『Core i7-1185G7』。最廉価モデルでもCore i5となっている点が、ちょっとした(そしてお買い得度的には大きな)トピックです。

搭載GPUはCPU内蔵の『インテル Iris Xeグラフィックス』となります。

なお、企業向けモデルは『Core i3-1115G4』『Core i5-1145G7』『Core i7-1185G7』の3グレード構成です。企業向けモデルはLTEモデム搭載構成も販売されます(コンシューマー向けはWi-Fiモデルのみ)。

なお冷却機構などは、基本的な設計こそPro 7までを踏襲しますが、ヒートパイプなどの部品が順当に大型化している様子が見て取れます。

一部モデルのストレージ(SSD)は企業用のPro 7+と同じく、交換可能な設計。外観レベルでは形状も似ています

一部モデルのストレージ(SSD)は企業用のPro 7+と同じく、交換可能な設計。外観レベルでは形状も似ています

RAMはLPDDDR4Xの8GB/16GB/32GB。Surface Proも最大32GBに対応した点がトピックです。

ストレージは少々複雑で、交換可能タイプのSSDでは128GBか256GB。それとは別に単なる「SSD」があり、こちらは512GBか1TBという構成。おそらく後者は交換不可能な構成と思われます。

バッテリー駆動時間は公称「最大16時間」。バッテリー容量は内部写真で見る限り50.2Wh(11.38V/4414mAh)と、Pro 7の公称43Whより大幅な容量増になりました。

Pro 7の駆動時間は公称10.5時間だったため、容量増加分しっかりと駆動時間が延びたと呼べそうです。

公開された内部レイアウトを見せるための写真は“レイヤー分け”したかのようなタイプも。ただし後半はキーボードである点には留意

公開された内部レイアウトを見せるための写真は“レイヤー分け”したかのようなタイプも。ただし後半はキーボードである点には留意

またテレワークの普及に伴い、カメラも刷新。背面カメラが1000万画素(10MP)へと、解像度が向上しています(現行のPro 7は800万画素)。なおBlog記事では「10MP-4K」との記載もあるため、4K動画の撮影にも対応する模様。

なお前面カメラはPro 7と同じ500万画素でフルHD撮影に対応。Surfaceシリーズといえば、なWindows Hello対応顔認証も継承します。さらにユニットとしてみると、上述した環境光センサーが加わっています。

またマイクに関しては中・遠距離の集音にも対応するマイクロフォンアレイ構成を引き続き採用、内蔵スピーカーはドルビーアトモスに対応します。

専用キーボードはペン収納(兼充電)部を備えたPro X風の新設計に。もちろんキーボードに角度を付けた状態ではペンを隠せます。端子形状もPro Xに似た形となりました

専用キーボードはペン収納(兼充電)部を備えたPro X風の新設計に。もちろんキーボードに角度を付けた状態ではペンを隠せます。端子形状もPro Xに似た形となりました

そしてもう一つの注目点は、本体に合わせて刷新された、専用キーボードとペンです(両方とも別売り)。

キーボードは、Surface Pro X用で評価の高かった、ペン用の収納部を本体接続部付近に搭載する構造に刷新。名称もPro X版に合わせて、『Surface Pro Signature Keyboard』となっています(日本向けはまだわかりませんが、「タイプカバー」の名称が外れました)。

キーボードとペンを装着した状態ではこのような感じに。このあたりの構造はPro Xを見ているかのようです

キーボードとペンを装着した状態ではこのような感じに。このあたりの構造はPro Xを見ているかのようです

そして専用ペン『Surface Slim Pen 2』の特徴は、ハプティック(触感)振動に対応したバイブレーターを搭載している点。これにより使っている際、紙にペンを滑らすような感触をシミュレートします。

これまでのPC用ペンは、いわゆる「紙とペンのような書き心地」を追求すべく、ペン先の素材や画面側の表面加工、さらにはレイテンシ(遅延)の削減などに注力してきました。

しかし今回は「昨今技術改良の著しいハプティック系デバイスを使い、書き心地のシミュレートにより紙とペンの理想に迫る」という、良い意味で想定外の技術によるアプローチとなっています。

さらに描画時のレイテンシに関しても、Surface Pro 8側にも搭載されたMicrosoftの新世代カスタムコントローラーと、Windows 11での改良により、現行世代よりさらに低減。

画面の120Hz化による描画レイテンシ削減と合わせ(画面のリフレッシュレートが上がると、必然的にレイテンシも削減されます)、「これまで以上に自然で滑らかなインクとペンの体験を提供」とアピールします。

マイクロソフトがSurface Pro 8発表、13型120Hz画面やThunderbolt 4で全面刷新し価格は14万8280円から

このようにSurface Pro 8は、OS側となるWindows 11の刷新に合わせて、ユーザー待望のメジャーアップグレードとなった待望のモデル。

実際に主要な特徴を見ていっても、120Hz画面やThunderbolt 4端子をはじめとするパワーアップ度合は顕著。確かにマイクロソフト側が主張する大幅な強化であることは間違いありません。

Surfaceはディスプレイに関しては並々ならぬこだわりを持ったシリーズですが(例えばあまり大きくアピールしていませんが、出荷時色調整の精度なども含まれます)、今回はWin 11で焦点となるはずのリフレッシュレートでライバルとの差を付けることとなりそうです。

そして「ペンを併用するためにSurface Proシリーズを使っている」という層にとっては、間違いなく注目点となりそうなのが、触感フィードバックを搭載したペンの使い心地でしょう。少なくともPC用でのペンとしては他にないアイデアだけに、ペンも使う層によっては、本体以上に見どころともなりそうです。

(Source:Microsoft 製品ページEngadget日本版より転載)

フェイスブックがスマートスクリーンPortalシリーズにバッテリー駆動タイプを追加

FacebookのPortalシリーズは、スマートスクリーンの世界では常にちょっと変わり者という存在だった。Facebookがこの分野に最も顕著に貢献していることと言えばほぼ間違いなく、AIを使って被写体を追跡し、それに応じてパンやズームをしてフレーム内にとらえ続けるスマートカメラだ。大手で初めて市場にこの賢い機能を提供し、GoogleやAmazon、そしてAppleまでも同様の機能にそれぞれ取り組んでいる。

Portalの(NestやEchoと比べた場合の)もう1つの大きな訴求点は、MessengerやWhatsAppといったFacebookのソフトウェアとの統合だ。こうした利点はあるが、コネクテッドホームのハードウェアとスマートアシスタントの世界で、Portalシリーズは出足の良かったAmazonやGoogleとの差別化に苦戦してきた。

画像クレジット:Facebook

米国時間9月21日にバッテリーで動くスマートスクリーンのPortal Goが発表され、興味深い観点が加わった。10インチのデバイスで、背面に持ち手があって手に取りやすい。バッテリー駆動時間は標準的な使い方で5時間、画面をオフにして音楽を再生する場合は最長14時間となっている(現時点ではバッテリー節約用のモードはない)。

ラインナップに追加されるモデルとしては巧みなものだ。タブレットの領域に近づいてきているが、筆者はNest Homeを別の部屋に持っていきたいという衝動に何度も駆られている。使い方は人それぞれ異なるだろう。

画像クレジット:Facebook

実物はまだ見ていないが、デザインを詳しく検討してみよう。丸みを帯びていて黒いベゼルはやや太い。ここ数年のスマートホーム製品でよく見られるように背面は布張りになっている。全体はくさびのような形状で、前面に2つのスピーカー、背面にウーファーが1つがある。

前面には超広角の12メガピクセルカメラがあり、前述したようなスマートなパンができる。プライバシー保護のために物理的なレンズカバーがある。画面の傾きは見やすく調整できる。現時点では複数のスピーカーをセットアップするFar-Fieldテクノロジーには対応していない。対応するとなると、家の中で持ち運ぶ際のセットアップが複雑になりそうだ。

Portal+の新バージョンも発表された。カメラはPortal Goと同様で、傾きを調整できる14インチ薄型ディスプレイにはZoom使用時に最大25人を同時に表示できる。Portal Goは199ドル(約2万1800円)、新しいPortal+は349ドル(約3万8200円)だ。両方とも米国ではすでに予約が始まっており、10月19日から出荷される。

画像クレジット:Facebook

さらにFaceboookは、スマートスクリーンをビデオ会議用製品に位置づけるPortal for Businessも発表した。リリースでは以下のように説明されている。

Portal for Businessを利用すると、中小企業は従業員用のFacebook Workアカウントを作成し、管理できます。これは企業が自社のメールアドレスを使ってPortalをセットアップできる、新しいアカウントタイプです。2022年にはこのWorkアカウントで、Portal以外にも人気のあるFacebookの業務用製品にアクセスできるようになります。

Portal Device Mangerを使うと、IT部門が従業員のマシンをセットアップし、リモートで消去できる。このシステムは現在、クローズドベータとして提供されている。

関連記事:【レビュー】フェイスブックのスマートグラス「Ray-Ban Stories」は「おもちゃ」レベルを超えている

画像クレジット:Facebook

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(文:Brian Heater、翻訳:Kaori Koyama)

【まとめ】最新iPhone 13シリーズレビュー集、13 ProからiOS 15まで、気になるのはどのモデル?

すでに予約開始、9月24日に発売され手に取ることができるiPhone 13シリーズ。TechCrunchでは、ハイエンドモデルiPhone 13 Proをはじめとした実際に触った上でのレビュー、さらに先に配信されたiOS 15の使用感など、最新iPhoneに関する記事を掲載、以下にまとめた。

新たなレビュー記事も公開予定であり、本記事もそれに合わせて更新する。お楽しみに。

iPhone 13 Pro / 13 Pro Max

カメラ機能が同等になった「iPhone 13 Pro」「iPhone 13 Pro Max」実機先行レビュー

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iPhone 13 / 13 Pro×カメラ

カメラが楽しいiPhone 13 / 13 Pro、12からの乗り換えも「アリ」な理由

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iPhone 13×eSIM

iPhone 13でデュアルeSIMを試す―自由度アップで機種変が楽に

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iPhone 13 mini

究極の手のひらスマホ、iPhone 13 mini実機先行レビュー

iPhone 13 miniは究極の手のひらスマホだ

iPhone 13シリーズ×ニューカラー

iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?

iOS 15

【レビュー】アップルのiOS 15は欠けていた小さな機能をすべて採用、アップデートは任意だが個人的にはオススメ

ラズベリーパイ財団が約49.3億円調達、低価格PCとIoTの需要に応える

結果的に、新型コロナウイルス感染症による都市封鎖は、ハードウェアハッキングの室内ホビーにとってありがたい状況となっている。低価格マイクロプロセッサーであるRaspberry Pi(ラズベリーパイ)の母体である英国拠点の財団は、4500万ドル(約49億3000万円)の調達ラウンドを完了したことを現地時間9月20日に発表した。

(非営利の)ラズベリーパイ財団の取引部門に対するこの資金注入は、評価額5億ドル(約547億6000万円、調達前)で実施されたことを共同創設者のEben Upton(エベン・アプトン)氏が確認した。

調達ラウンドは、ロンドン拠点のLansdowne Partners(ランズダウン・パートナーズ)と米国拠点の民間慈善団体The Ezrah Charitable Trust(エズラー・チャリタブル・トラスト)がリードした。

「Lansdowne PartnersとThe Ezrah Charitable Trustを初の外部株主として迎え、当財団の次の段階の成長を支援していただけいることを喜んでいます」とアプトン氏は声明で語った。「仕事やエンターテインメントのために私たちのPCを使ってインターネットをアクセスする消費者の需要が高まっていることに加え、Raspberry Piを革新的IoTに応用する世界中の産業企業からの需要はいっそう早く成長しています。この資金調達によって、将来の需要に答えるための規模拡大が可能になります」。

「新たに迎えた出資者は、財団の戦略に価値を加えて成長を推進するだけでなく、私たちのビジネスモデルの原理と精神を理解しています。誰もがハードウェアとソフトウェアのツールを利用できるようにして、消費者向けPC体験をわずか35ドル(約3830円)から提供し、世界中のさまざまなOEMと提携することが財団の目標です」。

調達した資金は、すでに充実しているPiマイクロプロセッサーの製品ラインをさらに拡大するために使う、とPi財団はいう。

マーケティングでの資金利用も計画されており、消費者(「自分で作る」PC)と産業(IoT)両分野が対象だ。

現在財団の取引部門は年間700万台以上のデバイスを出荷している。

これまでに100カ国以上に4200万台以上の(Piベースの)PCを出荷したと財団は語った。

「都市封鎖の中でRaspberry Piに対する関心が明らかに高まっています」とアプトン氏はTechCrunchに語る。「自宅で勉強するためのマシンを必要としている若者たちに機材を提供できることをうれしく思っています。また私たちは、すばらしい慈善的支援(特にBloomfield Trustによる)を受け、英国の恵まれない若者たちにキットを配布しています」。

「現在の持続する需要の増加は、主としてコロナ禍からの景気回復による企業顧客によるものです」。

「短期的には、需要に応じるための生産とサプライチェーンへの投資が中心です」と資金利用の計画を詳しく語った。「長期的には、この資金によってプロダクト開発への投資を拡大することができます。プロダクトが高度になるにつれ、開発には費用も時間もかかるようになるので、エンジニアを増員することが今後の成長の鍵です」。

Lansdowne ParternsのPeter Davies(ピーター・デイビーズ)氏が次のように付け加えた。「長年見守り評価してきたRaspberry Pi財団に投資できることを大変喜んでいます。同財団が最初の10年間に成し遂げた商業的、人間的影響は卓越しており、新たな資金を得た財団のさらなる成長を支援をすることを楽しみにしています」。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nob Takahashi / facebook

アマゾンの新Kindle Paperwhiteが大画面、USB-C、ワイヤレス充電を採用

業界のビッグネームたちが大きなイベントを開催して、ハードウェアのシーズンに突入した。Amazon(アマゾン)はすでに多くの新しいFire TV(ファイアTV)を発表しており、1週間後には(おそらくEcho[エコー]に焦点を当てた)大きなイベントを計画している。そうした中でアマゾンは、新しいKindle Paperwhite(キンドル・ペーパーホワイト)の形で、私たちに大きな衝撃をもたらした。

私が「衝撃」だというのは、Kindleハードウェア部門全体が、ここしばらく静かだったからだ。私たちは、Paperwhiteが2018年に最後のメジャーアップグレードを行ったときに「The Voyage(ザ・ボイジャー)は終わったのかもしれないが、Kindleラインにはまだ生き残りがいる」と書いている。なぜなら、現実を直視するなら、専用電子書籍リーダー市場全体が必ずしも活気に満ちてはいないからだ。確かにKobo(コボ)はまだ息をしているが、最近のアマゾンはモノリスのごとく事実上この市場に1人で踏みとどまっている。

画像クレジット:Amazon

しかし、本日のニュースへとつながる、製品ラインのUIアップデートを含むいくつかの噂や、リーク情報があった。その結果、Kindleの中級機としては過去最大のアップデートとなる新型Paperwhiteが登場したのだ。

今回のアップデートの目玉は、待望されていた6インチから6.8インチへのディスプレイの大型化であり、330PPIの画素密度は維持されたままだ。これによって、7インチで300PPIのKindle Oasis(キンドル・オアシス)に近づいている。Oasisと同様に、ベゼルは本体と同じ高さに揃えられているが、フットプリントを維持するために、前世代からは12%削られて10.2mmになっている。

画像クレジット:Amazon

正直なところ、最もエキサイティングなのは、USB-Cによる充電だ。少しバカげているように聞こえるかもしれないが、KindleシリーズはmicroUSBの最後の生き残りであり、私がそのためのケーブルを持ち歩く数少ない理由の1つなのだ。私は、高額なOasisが新しい(というかより新しい)コネクタを採用する最初のデバイスになると思っていたが、そうするためには、アマゾンは新しいOasisをリリースしなければならなかっただろう。

充電はより速くなって、ゼロからフルになるまで2.5時間だ。また、バッテリー自体も改良され、1回の充電で従来の6週間から10週間もつようになった。4週間の違いは大きい。バッテリーに関するもう1つのサプライズは、ワイヤレス充電の登場だ。これは、新しいPaperwhiteシグニチャーエディションに搭載されており、このエディションではストレージも8GBから32GBにアップしている。また、アマゾンは別売り30ドル(日本のストアでは税込3480円)の充電ドックも発売するが、標準的なQiパッドも使えるはずだ。

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ディスプレイの最大輝度は10%上昇し、周囲の明るさに応じて輝度を自動調整する機能も搭載した。Oasisと同様に、就寝時間に近づくと暖色系の光に調整され、目を保護する。プロセッサーは前世代から改良されており(現時点では詳細は不明)、ページめくりが20%速くなっているという。このデバイスは、消費者からリサイクルしたプラスチックを60%、再生マグネシウムを70%使用している。

新しいPaperwhiteの価格は、スタンダードが140ドル(日本では税込1万4980円)、シグニチャーエディションが190ドル(日本では税込1万9980円)だ。Kindle Unlimitedが4カ月間無料で利用でき、すでに事前予約可能となっている。また、本機では初となるキッズモデルも予約受付中だ。Kindle Paperwhiteキッズモデルは、子ども向けのカバー、1年間のAmazon Kids+(アマゾン・キッズプラス)がついて、保証は2年間だ。こちらの価格は160ドル(日本では税込1万6980円)だ。

関連記事:米アマゾンがAlexa搭載の初の自社ブランドテレビ2種発売へ

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(文:Brian Heater、翻訳:sako)

iPhone 13でデュアルeSIMを試す―自由度アップで機種変が楽に

iPhone 13でデュアルeSIMを試す―自由度アップで機種変が楽に

カメラを刷新して、Proモデルは120Hz駆動のProMotionにも対応したiPhone 13シリーズ。同モデル4機種は、iPhone 12から数えて2世代目の5G対応スマートフォンでもあります。残念ながらミリ波に対応しているのは米国版のみで、日本版はSub-6オンリーですが、Gbpsを超える通信速度は魅力的です。一足先に、その実機を試してみることができましたので、ここでは通信周りに関するレビューをお届けしたいと思います。

iPhone 13の通信関連機能をチェックした

iPhone 13の通信関連機能をチェックした

通信周りでiPhone 12シリーズまでとの大きな差分は、やはり「デュアルeSIM」への対応でしょう。発表後の記事で筆者が取り上げたように、iPhone 13は4機種とも、eSIM同士のDSDS(デュアルSIM/デュアルスタンバイ)に対応しています。これまでのiPhoneだと、主回線・副回線のどちらか一方は物理SIMにする必要がありましたが、iPhone 13であれば、eSIMだけでDSDSができてしまうというわけです。

ということで、まずはこの機能を試してみました。物理SIMを1枚も入れていない状態で、最初に楽天モバイルのeSIMプロファイルをダウンロードします。この辺の手順はeSIMおじさん……もとい、eSIMに慣れ親しんだユーザーの皆様にはおなじみなので割愛しますが、普通に1回線目としてeSIMを設定しました。ここまでは、従来のiPhoenも同じです。次に、LINEMOのプロファイルを読み込んでいきます。

いつものようにQRコードを読み込んで1回線目を設定

いつものようにQRコードを読み込んで1回線目を設定

楽天モバイルのeSIMプロファイルがダウンロードされた

楽天モバイルのeSIMプロファイルがダウンロードされた

設定途中で、どちらでモバイルデータ通信を使うかや、どちらをデフォルト回線にするかを選択する画面が出てきました。これまでは、eSIMを1回線ぶんしか有効にできなかったため、こうした設定はできませんでしたが、iPhone 13では、2つ目のプロファイルをダウンロードするだけで自動的にデュアルeSIMの状態になりました。物理的なSIMカードは1枚も入れていない状態ですが、きちんと通信は両方の回線でできています。

続いてLINEMOのeSIMをセット。こちらもQRコードを読み込んでプロファイルをダウンロードする

続いてLINEMOのeSIMをセット。こちらもQRコードを読み込んでプロファイルをダウンロードする

 

1回線目がeSIMなのにも関わらず、どちらをデフォルト回線にするかの選択肢が現れた

1回線目がeSIMなのにも関わらず、どちらをデフォルト回線にするかの選択肢が現れた

2つのeSIMがどちらも有効になっていることが分かる。これがデュアルeSIMだ

2つのeSIMがどちらも有効になっていることが分かる。これがデュアルeSIMだ

なお、現状では仕様上、5Gの通信でそのまま通話する「VoNR」という規格も存在しますが、国内キャリアは未対応。そのため、モバイルデータ通信を指定していない方のキャリアは、当然ながら4Gで待受けをすることになります。5G/5GのDSDSではなく、5G/4GのDSDSになるというわけです。

SIMカードスロットを開け閉めする必要がなく、移行も簡単でした。楽天モバイル/LINEMOの両回線は、私物の「iPhone 12 Pro」から移しましたが、SIMピンを取り出す必要なく、画面上の操作だけであっさりSIMカードの情報を移すことができました。SIMピンを挿す際にあやまって側面を傷つけてしまったり、入れ替えまくっているうちにSIMカードの端子が読み取りにくくなったりといったトラブルが起きないのは、eSIMならではと言えるでしょう。

SIMカードスロットを出し入れする必要がなく、端末に傷をつける心配がない。ケースを外さないでいいのも便利だ

SIMカードスロットを出し入れする必要がなく、端末に傷をつける心配がない。ケースを外さないでいいのも便利だ

もちろん、どちらの回線も5Gを有効にできました。5Gの設定周りはiPhone 13でも特に変わっておらず、「5Gオート」と「5Gオン」を選択可能。前者は不要な場合に自動で5Gの接続を切ることでバッテリー駆動時間を増やす設定。後者は“スピード命”のユーザーが常に5Gを有効にしておく設定です。また、5G接続時やWi-Fi接続時にFaceTimeやストリーミング動画などの画質を自動で上げる機能にも、引き続き対応しています。

ソフトバンクの転用エリアでもきちんと5Gにつながった。転用ながら、速度は速い

ソフトバンクの転用エリアでもきちんと5Gにつながった。転用ながら、速度は速い

iPhone 12発売時は、まだまだスポット的だった5Gのエリアですが、最近では都市部を中心に、かなりの広がりを見せています。特に4Gで利用していた既存周波数帯を5Gに転用しているKDDIやソフトバンクは、そうでないほか2社に比べると、5Gのアイコンを目にする機会は多いような印象があります。転用というと速度が遅いようなイメージを持たれているかもしれませんが、ユーザーの絶対数がまだまだ少ないこともあり、ご覧のようにLINEMOの転用エリアでもかなりの速度が出ます。

この点、iPhone 13は仕様が全キャリア共通なので安心です。アップルから購入しようが、4キャリアから購入しようが、変わらず全社の5Gを利用でき、主要バンドにもきっちり対応しています。5G用に割り当てられた新周波数帯のn77、n78、n79だけでなく、1.7GHz帯を転用したn3や、700MHz帯を転用したn28も利用できます。どのキャリアのSIMカードを入れても、主要な周波数でしっかり使えるのはiPhoneならではと言えるでしょう。

「5Gオート」と「5Gオン」を選択可能なのはiPhone 12のときと同じ

「5Gオート」と「5Gオン」を選択可能なのはiPhone 12のときと同じ

iPhone 13が搭載するiOS 15は、5Gの利用範囲を拡大しています。具体的には、設定の「データモード」を「5Gでより多くのデータを許容」にしておくと、今まで以上に多彩な場面で5Gを通信経路として選択するようになります。具体的には、iCloudへの自動バックアップに5Gを利用したり、十分な速度が出なかったり、セキュリティ上不安があったりするWi-Fi接続時に5Gで通信したりと、これまでよりもモバイルデータ通信でできることが増えています。

「5Gでより多くのデータを許容」をオンにすると、iCloudの自動バックアップに5Gが使われるなど、iOS 14までより用途が広がっている

「5Gでより多くのデータを許容」をオンにすると、iCloudの自動バックアップに5Gが使われるなど、iOS 14までより用途が広がっている

デュアルeSIMやiOS 15に対応したことを踏まえると、iPhone 13シリーズは5Gをより生かしやすい端末と言えるかもしれません。一方で組み合わせが多彩になった結果、思わぬトラブルが起こることも懸念されます。記憶に新しいところでは、デュアルSIMのデータ通信専用SIMで通信している際に緊急通報をすると、そのままデータSIMで発信してしまい、電話がかけられないという不具合が明らかになったばかりです。eSIM同士で挙動が違うのかどうかの確認が増えると、検証にはさらに時間がかかるようになってしまうかもしれません。

(石野純也。Engadget日本版より転載)

iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?

iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?

iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?

いよいよ、2021年9月24日にiPhone 13シリーズが発売されます。先行レビューとして、新たに追加されたiPhone 13のスターライト、そしてiPhone 13 Proのシエラブルーについて、見ていきましょう。

スターライトの色味をチェック

iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?「スターライト」と聞いて思い浮かべるのが光GENJIの人もいれば、アイカツ、アイマスの人もいたり、ジャズの名曲もあったりで、人それぞれです。

これまでiPhone、Apple Watch、iPadなどのラインアップには、「シルバー」というスタンダードカラーがありました。ガラスの背面部分は真っ白に塗られ、劣らぬ白いアルミニウムのフレームやボディを備えるカラーです。

今回のiPhone 13シリーズにはそのシルバーが用意されず、代わって「スターライト」が加わりました。シルバー同様に背面は純白で、シルバーとあまり代わらないのではないか、と思います。しかし側面は明らかに異なっていました。

シルバーが真っ白なアルミニウムの金属の色に見えていたのに対し、スターライトはやや黄色みがかった、淡いシャンパンゴールドと言えなくもない、そんな色合いの金属。見た目の印象は、環境光によって、かなり左右されるでしょう。温かみのある電球の下では、よりシャンパンゴールドに近くなるし、蛍光灯のはっきりとした白い光の下では、よりシルバーっぽく見えるかもしれません。

Appleは染料と共に酸化被膜処理を行います。金属表面の細かい孔を作り、これを埋めることで耐食性能を高め、滑らかな表面を実現、同時に色を付けます。

今までのシルバーは、アルミニウムのいわば無垢の色のように見えていましたが、これにあえて色を付けて、一手間加えたのがスターライトというカラーになります。

シエラブルーとパシフィックブルーを比較

iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?続いて、iPhone 13 Proシリーズに新たに加わったシエラブルーを見ていきましょう。

ProシリーズではiPhone 11 Proから特別なカラーが用意されるようになりました。2019年のiPhone 11 Proにはミッドナイトグリーンが用意され、ステンレスのフレームや背面が深みのある独特の緑に染め上げられていました。

iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?ちなみにこの染料を作ったのは埼玉県にあるセイコーアドバンスで、2019年12月にティム・クックCEOが視察に訪れた際に、ミッドナイトグリーンの染料を混ぜている様子を興味深く眺めていたのが印象的でした。

そして2020年のiPhone 12 Proにはパシフィックブルーが用意され、2021年のiPhone 13 Proでは同じブルーながら「シエラブルー」という名前で色味が変更されています。

シエラブルーのシエラは、有名なビールの銘柄にもなっているシエラネバダ山脈からきており、山です。単体で見てみると、藤にも見えるような、明るいカラー。非常に落ち着いた色合いになっています。ハイキング中にこんな色の花が見つかったら、とても豊かな気分になりそうな。

iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?昨年のパシフィックブルーとシエラブルーを並べてみると、前者の方がより色が濃いことがわかります。若干緑の入った濃い青は、太平洋の深い青のイメージにぴったりです。シエラブルーは、やはり紫っぽさが強まっているような印象を受けます。iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?

ただ、いずれも落ち着きのある色で、刺激がある色ではありません。

ノッチ問題

毎年専用の色味が変わってしまうので、もしミッドナイトグリーンが好き、パシフィックブルーが絶対好み、という人は乗り換えがたい難しさがあります。

その一方で、スマートフォンの性能は年々進化しており、また今年も、大きな飛躍ある進歩がありました。2021年モデルのiPhoneで注目すべき点、実はiPhone 13 Proのアップグレードです。

iPhone 13 Proは、新しいフラットなデザイン、5G対応、3つのカメラなど、iPhone 12 Proの特徴を引き継いだ製品です。一見同じデザインに見えますが、ノッチの縮小と受話スピーカーは見た目も使い勝手も大きく向上しました。iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?

ノッチはオールスクリーンデザインのiPhone Xが登場して以来、iPhoneの前面上部に存在する「切り欠き」であり、iPhoneのデザイン上の不完全な要素でした。もちろんそれが意匠にもなっていますが、本来ない方が良いものです。

ノッチの中には、受話スピーカー、インカメラと赤外線照射ライト・センサーを備えるTrueDepthカメラシステム、その他センサー類が備わっています。iPhone 13シリーズでは、デザインの再構成でノッチの面積が20%縮小されました。

具体的には、これまでノッチの中央部にあった受話スピーカーを、エッジギリギリ、ディスプレイ表示領域の外に追いやりました。これによって画面の切り欠き部分をより小さくすることができたのです。

同時に、受話スピーカーが縁に移動したことで、iPhoneを耳に当てたときに、スピーカー位置がズレて聞こえにくいこともなくなりました。細かすぎますが、毎日通話する人にとっては、ユーザビリティ向上の効果が大きいと思います。

6.1インチのProモデル、カメラは2世代分向上

iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?iPhone 13 Proは、iPhone 13 Pro Maxに比べて、より性能向上を実感できるはずです。その理由は、広角カメラの進歩。いってみれば、2世代分の飛躍があったからです。

昨年、iPhone 12 Pro Maxには、大型センサーとセンサーシフト式手ぶれ補正が備わりました。このセンサーは、iPhone 13、iPhone 13 miniにも採用されている17μmピクセルのものですが、昨年のiPhone 12 Proには用いられていませんでした。

つまり、iPhone 13の方が、iPhone 12 Proより大きいセンサーを使っている、ということになります。

しかしiPhone 13 Proも負けていません。2021年は、iPhone 13 Pro Maxと同じ、19μmピクセルのさらに大きなセンサーを、センサーシフト式手ぶれ補正で備えるようになりました。これが、iPhone 13 Proの広角カメラが2世代分一気に向上した、と言う理由です。

手ぶれに強く、動画も滑らかにパンすることができます。光を2.2倍多く集めることができ、森の中、夜も、撮影を楽しむ事ができました。

コンピュテーショナルフォトグラフィーも進化しています。シネマティックモードでの動画も、動画撮影が「表現」に昇華するほどのインパクトを持っています。これらの機能はiPhone 13でも利用できる、iPhone 13シリーズの共通の機能だった。また別の機会にじっくりご紹介したいと思います。

しかし光学性能はカメラの基本で、そこに妥協がなくなったiPhone 13 Proは、最もバランスの取れた魅力的な選択肢だと思いました。ところで今回の新色、どう評価しますか?

(松村太郎。Engadget日本版より転載)

カメラが楽しいiPhone 13 / 13 Pro、12からの乗り換えも「アリ」な理由

カメラが楽しいiPhone 13 / 13 Pro、12からの乗り換えも「アリ」な理由

iPhone 13シリーズ4モデル(iPhone 13、iPhone 13 mini、iPhone 13 Pro、iPhone 13 Pro Max)を試す機会を得た。

iPhone 13 Pro/Pro Max発表。120Hz画面と3眼カメラ搭載の「最もProらしいiPhone」
iPhone 13発表。「他社主要スマホより50%速い」A15 Bionic搭載、ノッチは縮小
iPhone 13 mini発表。小型サイズにセンサーシフト式手ぶれ補正、バッテリー持ちも改善

4モデルをあれこれ使って比べてみたが、改めてiPhoneは「カメラが楽しい」と思えるスマートフォンだと認識した。

9月15日未明に行われたスペシャルイベントでは動画撮影での「シネマティックモード」がやたらとアピールされていた。手前にいる人物にピントが合っているが、奥にいる人物のほうを向くと、奥の人物にピントが合うというシーンが繰り返された。

カメラが楽しいiPhone 13 / 13 Pro、12からの乗り換えも「アリ」な理由カメラが楽しいiPhone 13 / 13 Pro、12からの乗り換えも「アリ」な理由
あれを見て「別にiPhoneで映画なんて撮らないし」と思った人も多いのではないだろうか。

確かに「シネマティック」といわれれると、自分には縁遠い機能にも感じてしまう。しかし、実際に使ってみると、これが意外と楽しいのだ。

「シネマティック」というが、実際は背景がボケる静止画のポートレート撮影が動画にも対応したというのに近いかも知れない。iPhone 13シリーズでは被写体との深度もきちんと把握している上で動画撮影を行っている。

通常のビデオ撮影では深度が深く、手前も背景も比較的、しっかりととらえている感があるが、シネマティックモードにすると被写体にきっちりとピントがきて、背景がボケる感じが強調される。まさに動画版のポートレート撮影といった感じだ。カメラが楽しいiPhone 13 / 13 Pro、12からの乗り換えも「アリ」な理由

イベントでは人物が振り向くことで自動的にピント送りされる機能がアピールされたが、実際にはそんなシーンは日常生活ではあまりない。ただ、iPhone 13では画面をタッチすれば、そこにピントが合う一方、別の場所はかなりボケた感じになってくれる。カメラが楽しいiPhone 13 / 13 Pro、12からの乗り換えも「アリ」な理由

使っていて「すごい」と感じたのが、撮影した後の動画でも、自由にピントの合う場所を変えることができてしまうのだ。

実際に4歳11ヶ月の子供を撮影してみたが、背景にいる他人がボケて、子供だけにフォーカスが合う動画になるのは、ちょっとカメラ撮影が上手くなった感がある。

SNSで動画などをあげる際に、背後に映っている人が気になり、場合によって編集でぼかしを入れるなんてことも必要になるが、シネマティックモードならそうした手間も不要になる。もちろん、通常通り、背景もしっかりと記録しておきたい映像を撮りたいのならば普通のビデオで撮影すればいい。

アップルはこのシネマティックモードをiPhone 13 Pro、iPhone 13 Pro Maxだけでなく、ノーマルのiPhone 13、iPhone 13 miniにも搭載している点が太っ腹だ。より多くの人がシネマティックモードを楽しめるだろう。

ドコモの「衝撃的」購入補助で「iPhoneを毎年買い替える」が容易に

ただ、今年のiPhone 13は去年のiPhone 12と比べて小粒な進化にとどまっている感は否めない。「今年はスルーしようかな」という人もいるのではないか。

しかし、そんな空気を察知したのか、アップルとキャリアはいままで以上に気軽に機種変更できるような施策を打ち出している。

ここ数年、総務省が端末販売に対しての割引を規制しているため、スマートフォンの買い換えがしにくくなった。昨年、各キャリアで5Gが始まったにもかかわらず、5Gへの盛り上げに水を指す結果となりつつある。

そんななか、アップルはこの数年、iPhoneを購入する際、「下取り」を推している。Apple Trade Inという仕組みを紹介し、今使っているiPhoneを下取りに出しつつ、新しいiPhoneを購入する際に割引するというものだ。

海外のアップルストアではかなり前から当たり前のように展開されていたが、日本のアップルのサイトではこの数年で見かけるようになった。端末販売の割引が厳しくなる中での苦肉の策と言えるだろう。

今年、最も衝撃的なのは、NTTドコモが購入プログラムを変更してきた点だ。

いつでもカエドキプログラム」は、スマートフォンのモデルごとに残価が設定され、24回目の支払いをするか、しないで端末を返却して残価を免除してもらうかが選べるプログラムだ。しかも、2年よりも前に機種変更したかった場合、「早期利用特典」として、返済額から月に数百円から1500円程度まで割引をしてくれる。

カメラが楽しいiPhone 13 / 13 Pro、12からの乗り換えも「アリ」な理由
ソフトバンクや楽天モバイルでは、48回払いのうちの24回払い、つまり本体価格の半額は支払う必要があるが、いつでもカエドキプログラムであれば、本体の回収が前提となるが、もっと手軽な負担で最新機種を持つことが可能になる。

我々のような1年に1回、iPhoneを買い換え続ける人には十分、検討に値するプログラムだ。

これまでは、1年後に中古業者に買い取ってもらうことを考慮しながら、iPhoneを使うということをしていてたため「買い取り金額を下げないためにも絶対に傷を一つもつけない」と意識しながら1年間、過ごしてきたが、いつでもカエドキプログラムであれば、ちょっとした傷なら目をつむって回収してくれる。これだけでもいつでもカエドキプログラムを使う意味があるというものだ。

アップルやキャリアの取り組みを見ていると、もはやiPhoneは「1年もしくは2年使ったら回収されるもの」という認識で購入というか入手した方がいいのかも知れない。最新モデルを使い続けたいのであれば、そうした買い方を工夫していくのが賢いだろう。

世間で流行のSDGs的な見方をすれば、回収されたiPhoneは整備されて、「整備済みiPhone」として売られていく、いまではauやUQモバイルのオンラインショップで整備済みのiPhoneが売られるようにもなっている。リユースの観点からも「最新モデルを使いたい人は一目散に買い、1年経ったら回収してもらい、それを別の人が使う」という流れが地球にも優しかったりするのだ。

そうした「1年後の下取り前提で、最新のiPhone13を入手する」という買い方が、今の時代に合った買い方なのかも知れない。

(石川温。Engadget日本版より転載)

iPhone 13 miniは究極の手のひらスマホだ

究極の手のひらスマホ、iPhone 13 mini実機先行レビュー

9月24日発売のiPhone 13、iPhone 13 miniの実機に少し早く触れる機会がありましたので、エンガジェット日本版よりレビューをお届けします。

iPhone 13シリーズは2020年発売のiPhone 12シリーズ同様、iPhone 13│13 mini、iPhone 13 Pro│13 Pro Maxの4モデル構成で、画面サイズはiPhone 13とiPhone 13 Proが6.1インチ、iPhone 13 miniが5.4インチ、iPhone 13 Pro Maxが6.7インチとなっています。

関連記事:iPhone 13シリーズの仕様比較表

左からiPhone 13、iPhone 13 Pro、iPhone 13 mini、iPhone 13 Pro Max

左からiPhone 13、iPhone 13 Pro、iPhone 13 mini、iPhone 13 Pro Max

「無印かProか」という観点は別のレビューをご覧いただくとして、とにかく小さい・軽いスマホを求める人にはminiのアップデートポイントが何より気になると思います。ちなみに同じ6.1インチでもiPhone 13はProより約30グラム軽量になっています。

重量はiPhone 13が約173グラム、iPhone 13 miniが約140グラム(実測値も同)

重量はiPhone 13が約173グラム、iPhone 13 miniが約140グラム(実測値も同)

TrueDepthカメラ(ノッチ)の面積が約20%小さく

TrueDepthカメラ(ノッチ)の面積が約20%小さく

ピンクとミッドナイト。ほかにブルー、スターライト、レッドの全5色展開

ピンクとミッドナイト。ほかにブルー、スターライト、レッドの全5色展開

ピンクは明るめで、光の辺り加減によって印象が変わる

ピンクは明るめで、光の辺り加減によって印象が変わる

iPhone 12 miniの弱点が解消

iPhone 12同様、iPhone 13とiPhone 13 miniとの間にサイズ以外の違いはありませんが、バッテリー駆動時間はiPhone 13のほうが長くなります。iPhone 12 miniでは駆動時間に対する不満を耳にしましたが、公称値でiPhone 13 miniは約1.5時間(iPhone 13は約2.5時間)駆動時間が延長されています。まだ違いを体感できるほど試用できていませんが、1日中カメラ機能を試してもバッテリー残量が50%切らなかったので、通常使用で1日は充電しなくて十分もってくれそうな気配です。

iPhone 13|13 miniのSoCはProシリーズと同じA15 Bionic。GPUコア数は4コアですが(Proは5コア)、12シリーズで搭載していたA14 Bionicより約2割高速なので、パフォーマンスはiPhone史上最速レベルです。実際、動作はサクサクで手のひらサイズで何でもできる優越感に浸れます。究極の手のひらスマホ、iPhone 13 mini実機先行レビュー

カメラ機能がパワーアップ

カメラレンズはiPhone 12同様2眼構成ですが、センサーが大きくなったことに加え、配置が斜めに変更されました。光学センサーによる手ブレ補正や、シネマティック動画撮影といった機能も備わっています。

iPhone 12 mini(右)よりカメラ部が大型化。厚みもわずかに厚くなったため、前モデルのケースは流用できない

iPhone 12 mini(右)よりカメラ部が大型化。厚みもわずかに厚くなったため、前モデルのケースは流用できない

別売のケースはiPhone 13も同じく専用。iPhone 12とは異なり、同じ6.1インチのProともケースの互換性がなくなった

別売のケースはiPhone 13も同じく専用。iPhone 12とは異なり、同じ6.1インチのProともケースの互換性がなくなった

別売りのレザーウォレットも新しくなり「探す」機能に対応(iOS 15にアップデートしたiPhone 12でも利用可)。取り外したときの位置情報を通知してくれるようになりました。

初回装着時、「探す」に追加するダイアログが出現

初回装着時、「探す」に追加するダイアログが出現

従来のウォレットでは「探す」機能は使えない。パッケージが似ているので、購入時に注意が必要(2021の表記を要確認)

従来のウォレットでは「探す」機能は使えない。パッケージが似ているので、購入時に注意が必要(2021の表記を要確認)

超広角カメラは4倍に。ノイズリダクションにより細部を捉えることが可能に

超広角カメラは4倍に。ノイズリダクションにより細部を捉えることが可能に

ポートレートのTrueDepth(顔認証)によるボケもよりナチュラルに

ポートレートのTrueDepth(顔認証)によるボケもよりナチュラルに

スマートHDR4で、暗がりや逆光でもいい感じに撮れる

スマートHDR4で、暗がりや逆光でもいい感じに撮れる

写真撮影の機能にフォトグラフスタイルが追加。好みの画質を画面で確認しながら撮影できるようになりました。

左から「標準」「リッチなコントラスト」「鮮やか」「暖かい」「冷たい」。肌のトーンが維持されているのがポイント

左から「標準」「リッチなコントラスト」「鮮やか」「暖かい」「冷たい」。肌のトーンが維持されているのがポイント

どのスタイルで撮影したかは、写真アプリで写真を上にスワイプすると確認できます(余談ですがiOS 15から、この画面で日付などの情報を変更できるようになりました)。4つのスタイルはカスタマイズして保存しておけるので、特定のものを撮るときに自分好みのスタイルを呼び出すといったこともできます。フィルター効果とは概念が異なり、あくまで撮影時に適用されます。

なお、新機能の割にUI上では控えめな実装で、カメラの初回起動時にガイドが出るものの、有効・無効化は若干わかりにくく感じました。

カメラ撮影時、画面上部中央の矢印のような箇所をタップすると出てくるアイコン群から、ここをタップ

カメラ撮影時、画面上部中央の矢印のような箇所をタップすると出てくるアイコン群から、ここをタップ

フォトスタイル適用時は、撮影画面右上にアイコンが表示される

フォトスタイル適用時は、撮影画面右上にアイコンが表示される

シネマティックが止まらない

すっかりハマってしまったのがシネマティックという新しい動画撮影モード。簡単に言うと動画ポートレート(背景ボカシ)機能なのですが、映画でピントをどう駆使しているかを機械学習により表現に取り入れ、自動でピントが移動します。結果的に非常に「エモい」動画ができあがります。モード選択は普通にカメラモード切り替え一覧に出てきますので、すぐにわかると思います。

人物だけでなくモノでも機能する

人物だけでなくモノでも機能する

インカメラにも対応。手ブレ補正が強く働くのでジンバルを持っているかのよう。通行人のプライバシーに配慮した自撮りも動画も手軽につくれる

インカメラにも対応。手ブレ補正が強く働くのでジンバルを持っているかのよう。通行人のプライバシーに配慮した自撮りも動画も手軽につくれる

ピントやボカシの強度は写真アプリの編集機能であとから変更可能

ピントやボカシの強度は写真アプリの編集機能であとから変更可能

このシネマティックモードは、A15 Bionicでよりパワーアップしたニューラルエンジンならではの撮影機能。iPhone 13が普及したらSNSやYouTubeでよく見る表現手法になるのではないかと思うほどです。なお、シネマティックモードの撮影は現時点ではiPhone 13シリーズのみですが、AirDropによる転送でほかのiPhoneでも再生することは可能です。iOS 15にアップデートした端末上では、ピントやボカシの再調整が行なえることも確認しました。究極の手のひらスマホ、iPhone 13 mini実機先行レビュー

iPhone 13|13 miniは容量128GB〜で10万円を切る価格から購入できます。最大容量も512GBモデルまで用意され、ハイエンド志向の方でも重量・サイズを重視する人には魅力的な選択肢かと。とくにminiは、手のひらに収まるiOSデバイスとしては最も高機能が詰め込まれた作品と言えるでしょう。

iPhone 13シリーズの動画レビューも是非ご覧くださいね。

Engadget日本版より転載)

カメラ機能が同等になった「iPhone 13 Pro」「iPhone 13 Pro Max」実機先行レビュー

カメラ機能が同等になった「iPhone 13 Pro」「iPhone 13 Pro Max」実機先行レビュー

9月24日発売のiPhone 13 Pro|13 Pro Maxの実機を少し早く試す機会がありましたので、エンガジェット日本版よりレビューをお届けします。

iPhone 13 ProシリーズはiPhone 12 Pro同様、無印・miniよりもカメラ機能が上位仕様となっているほか、外装がよりゴージャスなステンレス製に、Maxは6.7インチの大画面となっているのが特徴です。

関連記事:iPhone 13シリーズの仕様比較表

重量はiPhone 13 Proが約203グラム(実測は205グラム)、iPhone 13 Pro Maxが約238グラム(実測は239グラム)と、どちらも前モデルより微増

重量はiPhone 13 Proが約203グラム(実測は205グラム)、iPhone 13 Pro Maxが約238グラム(実測は239グラム)と、どちらも前モデルより微増

こちらはゴールド。カラーバリエーションはパシフィックブルーがシエラブルーになった以外は従来通り。3眼カメラはiPhone 12と異なりProとPro Maxで同じ仕様となった

こちらはゴールド。カラーバリエーションはパシフィックブルーがシエラブルーになった以外は従来通り。3眼カメラはiPhone 12と異なりProとPro Maxで同じ仕様となった

iPhone 12 Pro Max(右)よりもカメラが大きくなっている

iPhone 12 Pro Max(右)よりもカメラが大きくなっている

これまでiPhone 12 Pro Maxのカメラは相当大きく感じていましたが、しばらくiPhone 13 Proを使ってから改めて見ると、小さく感じてしまうので慣れって不思議ですね。

ポイントはディスプレイと撮影機能

iPhone 13 Pro|iPhone 13 Pro Maxは、有機ELディスプレイも新しいものを採用しています。

関連記事: iPhone 13 Proの新OLEDディスプレイは体験レベルを引き上げる

iPhone 13シリーズ共通で、前モデル(右)よりTrueDepthカメラ(ノッチ)の面積が約20%小さくなっている。センサーだけでなくスピーカー位置も異なるため、前モデルの保護フィルムやガラスプロテクターは流用できない

iPhone 13シリーズ共通で、前モデル(右)よりTrueDepthカメラ(ノッチ)の面積が約20%小さくなっている。センサーだけでなくスピーカー位置も異なるため、前モデルの保護フィルムやガラスプロテクターは流用できない

画面輝度は、標準時で最大1000ニトに向上(HDR表示の最大値は1200ニト)。iPhone 13|13 miniも800ニトに向上しているがProはさらに明るく、炎天下でも白がクッキリと出て見やすい

画面輝度は、標準時で最大1000ニトに向上(HDR表示の最大値は1200ニト)。iPhone 13|13 miniも800ニトに向上しているがProはさらに明るく、炎天下でも白がクッキリと出て見やすい

iPhone 12 ProはiPhone 12 Pro Maxとカメラスペックが異なっていましたが、iPhone 13 Proは Maxとまったく同じ仕様になりました。iPhone 13|13 miniシリーズとのおもな違いは3眼カメラを備え、光学3倍ズームや2センチまで寄れるマクロ撮影に対応した点などです。

デジタルズームに頼らず中央のビル群をここまで拡大できる

デジタルズームに頼らず中央のビル群をここまで拡大できる

被写体に2センチまで寄れるマクロモード。近づいていくとモードが自動で切り替わる

被写体に2センチまで寄れるマクロモード。近づいていくとモードが自動で切り替わる

抹茶の粉末に寄ってみたら、未知の惑星の大地のよう

抹茶の粉末に寄ってみたら、未知の惑星の大地のよう

マクロモードはOPPO Find X3 Proの顕微鏡モードほど理科の実験的ではありませんが、モード選択も不要で日常で気軽に使えるので、新しい発見のツールになりそうです。

光学ズーム、マクロ以外の撮影機能は(レンズサイズが違うので細かい差はあると思いますが)、基本的にはiPhone 13|13 miniと同じですので、iPhone 13|13 miniのレビューも是非ご覧ください。

関連記事: iPhone 13|13 mini 実機先行レビュー

動画撮影は、デュアル光学の手ブレ補正(望遠・広角)に対応。ストレージ容量は最大1TBのモデルがあるので、最高画質の動画をたくさん撮りたい人はProを選ぶといいと思います。

とくに新しいシネマティック撮影モードは本当に使っていて興奮する楽しさがありました(iPhone 13|13 miniでも使える機能です)。被写界深度を取り込み、映画のようなピントの変化を機械学習によりiPhoneの表現に取り入れたものです。

iPhone 13 Proでは光学ズームを利用したシネマティック撮影も可能

iPhone 13 Proでは光学ズームを利用したシネマティック撮影も可能

ピントやボカシの強度は写真アプリの編集から変更可

ピントやボカシの強度は写真アプリの編集から変更可

シネマティックで撮影した動画のSNSやYouTubeでの活用が進みそうな予感がしています。

最高峰のグラフィックス性能

iPhone 13シリーズは全モデルSoCに最新のA15 Bionicを搭載していますが、ProはGPUコア数が5コア(無印・miniは4コア)になっています。これはiPhoneシリーズだけでなく、全スマートフォン中で最高のグラフィックス性能となります。また、有機ELディスプレイの描画がより高速なProMotionに対応しているのもProのみの仕様です。

画面の描画速度を状況に応じ自動で調整

画面の描画速度を状況に応じ自動で調整

ハイエンドAndroidスマートフォンで120Hz対応ディスプレイ搭載をうたっているものがありますが、ProMotionも技術的には同じもので、Apple製品ではすでにiPad Proで採用されていました。10Hz〜120Hzの可変式となっているのが特徴で、体感速度が上がっただけでなく電力効率もよくなっており、バッテリー駆動時間の延長にも貢献しています。実際に使ったうえで120Hz出ている瞬間がわかるわけではないのですが、高速スクロールや激しい動きのアクションゲームなどでは差が出ている気がします。

私の周りにはカメラ機能が同等になったことで、今回はPro MaxではなくProを選んだという方が多いのですが、個人的にはバッテリーが最も長くもち、大画面のMaxでiPhone 13の新機能をマックスで楽しみたいと感じています。

新色シエラブルーのレビューも掲載していますので、気になる方はどうぞ。

iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?

iPhone 13シリーズの動画レビューも是非ご覧ください。

Engadget日本版より転載)

気球を使って地理空間インテリジェンスのデータを取得するNear Space Labs

打ち上げコスト低減などの技術革新から、地理空間インテリジェンスのルネッサンスが起こり、複数のスタートアップ企業が、これまでよりも高品質で頻繁な地球の画像の撮影を目指している。

これらのスタートアップ企業の多くは、衛星を使ってデータを収集することに注力しているが、創業4年目のNear Space Labs(ニア・スペース・ラブズ)は、気象観測用の気球に取り付けられた風力発電で駆動する自動制御の小型ロボットを使って、成層圏から地理空間インテリジェンスを収集することを目指している。「Swifty(スウィフティ)」と名付けられた同社のプラットフォームは、1回のフライトで高度6万〜8万5千フィート(18.3〜25.9キロメートル)に達し、400〜1000平方キロメートルの画像を撮影することができる。

この会社は2017年に、Rema Matevosyan(レマ・マテヴォシャン)氏、Ignasi Lluch(イグナシ・ルッチ)氏、Albert Caubet(アルバート・クベ)氏によって設立された。マテヴォシャン氏は応用数学者としての教育を受け、以前はプログラマーとして働いていたが、モスクワで修士号を取得。そこで彼女は航空宇宙システムにおけるシステムエンジニアリングの研究を開始し、航空宇宙機器のテストのために気象観測用の気球を飛ばした。そして「気球を商業的に飛ばすことによって、他のどんな方法よりもはるかに優れた体験を顧客に提供できるのではないかとひらめきました」と、彼女はTechCrunchによる最近のインタビューで語っている。

創設から4年が経過したNear Space Labsは、シリーズAの資金調達を1300万ドル(約14億2500万円)で完了した。このラウンドはCrosslink Capital(クロスリンク・キャピタル)が主導し、Toyota Ventures(トヨタ・ベンチャーズ)の他、既存投資家のLeadout Capital(リードアウト・キャピタル)とWireframe Ventures(ワイヤーフレーム・ベンチャーズ)も参加した。また、Near Space LabsはCrosslinkのパートナーであるPhil Boyer(フィル・ボワイエ)氏を同社の取締役に迎えたことも発表した。

ブルックリンとスペインのバルセロナに本社を置くNear Spaceは、主に変化の激しい都市部に焦点を合わせている。気球に取り付けるロボット式装置は、ブルックリンにある同社の工房で製造され、全国の発射場に送られる。同社のCTO(最高技術責任者)とチーフエンジニアがバルセロナを拠点としているため、ハードウェアの研究開発はバルセロナで行っていると、マテヴォシャン氏は説明する。

同社は現在、8基のSwiftyを運用しており、収集したデータを販売すると同時に、APIを開発して、顧客がサブスクリプション方式でデータにアクセスできるようにもしている。マテヴォシャン氏によると、Swiftyは「いつでもどこでも」発射できるため、特定の発射場所を確保する必要はないが、同社は米連邦航空局や航空管制と連携しているという。

マテヴォシャン氏によると、人工衛星と比較したSwiftyの主な価値提案は、解像度の高さであるという。同社は成層圏から「衛星から得られるものの50倍以上の解像度」を取得することができるため「大都市圏を含め、変化の激しい関心のある地域を、継続的かつほぼリアルタイムでカバーすることができます」と、同氏はいう。それに加え、すでに軌道上にある衛星に新たなセンサーを追加することは容易ではないが、Near SpaceのSwiftyは、いわゆる「プラグ&プレイ」方式を採用しているため、技術の更新を迅速に行うことができるという。

Near Space Labsの創立者たち。左からイグナシ・ルッチ氏、レマ・マテヴォシャン氏、アルバート・クベ氏(画像クレジット:Near Space Labs

Near Spaceは、2022年までに540回を超えるフライトの予約を受けている。顧客はフライト料を支払うが、各フライトから生成されるデータは非独占的なものなので、データを何度でも販売することができる。今回調達した資金を使って、同社は今後、事業展開の地理的な範囲を拡大するとともに、新たに多くの従業員を雇用する予定だ。マテヴォシャン氏によると、同社の目標は、地理空間インテリジェンスへのアクセスを民主化することだという。それは顧客だけでなく、開発者側に向けても、という意味だ。「私たちの信念は、航空宇宙と地球画像観測の分野において、多様で、平等で、開かれた機会が得られるようにすることです」と、同氏は語っている。

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画像クレジット:Near Space Labs

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【レビュー】オフロードも走れるeバイクUBCO 2×2 Adventure Bike、キレのあるユーティリティ

最近ニュージーランドのオークランドに引っ越してきたことで、筆者はeバイク(電動アシスト自転車)に興味を持つようになった。公共交通機関があまり発達しておらず、自転車でちょっと店に出かけるだけで汗を流すワークアウトになりそうな丘陵地帯がある都市だ。

だが旺盛な需要と高騰する価格により、ここ長く白い雲のたなびく国、アオテアロア(ニュージーランドを表すマオリ語)では切望されるeバイクへのアクセスは厳しくなっている。ニュージーランドに拠点を置く電動バイクスタートアップのUBCOが最近、投資家から1000万ドル(約11億円)の資金を調達したことで、この状況に変化が訪れた。

関連記事:電動ユーティリティバイクUBCOは持続可能性に優れるサブスクモデルで世界展開と循環型経済分野のリードを目指す

同社は筆者にUBCO 2×2 Adventure Bikeを1カ月近く提供してくれたので、試してみる時間は十分にあった。

筆者自身はUBCOのターゲットユーザーとは言えないかもしれないが、設計が示唆する通りにバイクを最大限に活用しようと、配送されるガーリックブレッドや郵便その他の荷物の重さを模した、本などの重いものをバッグに詰めて荷造りした。UBCO 2×2 Adventure Bikeは都市部の公共交通機関向けに作られており、オフロード走行も可能だ。

同社のフラッグシップは、もともと農家を助けるために設計された電動ダートバイク、UBCO 2×2 Work Bikeである。同社が6月に調達した新たな資金は、食品配送、郵便サービス、ラストマイル物流などの既存の垂直市場への拡大、商業サブスクリプション事業の拡張、そして米国での売上増の目標達成に充てられる。

ここオークランドでは、また聞くところによると英国でも、ドミノ・ピザのドライバーたちがUBCOのバイクでホットピザを配達する光景が見られる。同社はNew Zealand Post、国防軍、自然保護局、Pāmu、Landcorp Farming Limited、その他地元のレストランや店舗など、さまざまな国内クライアントを擁している。

画像クレジット:Rebecca Bellan

ハンドオフ

CEO兼共同創業者のTimothy Allan(ティモシー・アラン)氏は、個人的にバイクをハンドオフするため、本社のあるタウランガから車でやってきた。筆者の家の近所は晴れていて、同氏が各種のこまごまとしたもの、マシンの使い方や充電方法を説明する様子に、筆者は辛抱強く耳を傾けた。

アラン氏の助けを借りて、携帯電話と自転車をペアリングするためのUBCOアプリをダウンロード。いくつかの機能の中から、時速約20マイル(約32km)で走行できるビギナーモードを選ぶことになった。ここに書こうと心に留めておいたのだが、すぐに最高速度の時速30マイル(約48km)に到達しようと心に決めた。

そうしたところ……やばい、最高。大げさにさわぎたてるつもりはないんだけど!実に心地いいバイク。その理由を紹介しよう。

外観

Adventure Bikeの標準カラーはホワイトで、17×2.75インチの多用途タイヤとアルミニウム製リムが装着されている。筆者のバージョンでは、ニュージーランドの先住民に敬意を表して、フレームにマオリのステッカーが貼られていた。

自転車の高さは約41インチ(約104cm)で、シートの高さは32インチ(約81cm)だ。ホイールからホイールに至る距離は約72インチ(約183cm)となっている。ライダーを含めた積載量は約330ポンド(約149.7kg)で、パートナー(188cmの男性)と筆者(170cmの女性)は、ハンドルから突き出た大きなバックミラーを調整するだけで簡単にこの自転車に乗ることができた。もちろん一緒に乗ったわけではない。このバイクはワンシーターとして設計されている。

画像クレジット:Rebecca Bellan

とはいえ、バックホイールの上には小さなカーゴラックがあり、そこにはナンバープレート(多くの場所で登録が必要なモペッドに分類されているようである)が取り付けられている。他のカーゴラックも携行できそうだ。実際には試していないが、少なくとも5つのピザの箱をバンジーコードで縛ることはできると思う。バイクラックにはサドルバッグを取り付けることも可能。UBCOは、耐候性のロールトップカーゴバッグPannier Back Packを189ドル(約2万1000円)で提供している。

アクセサリー以外のところでは、アロイフレームは軽量でステップスルー式で、これは筆者がバイクで気に入っているものだ。完全に駐車する前にシフトを開始することができ、極めて機敏で速いと感じる。駐車に関していうと、場所によってルールが違うと思うが、ここでは歩道ではなく路上や駐車場に駐車する。それを固定するためのキックスタンドがついていて、フロントホイールをロックすることができるので、誰もホイールを回して離すことはできない。ただ、わずか145ポンド(約65.8kg)なので、望むならピックアップトラックの後ろに載せることもできるだろう

バイクの外観は、筆者に対してだけでなく際立っていた。数週間にわたる試乗の間に、まさしくUBCOが目指しているターゲット層であろう、多くの商売人や自転車愛好家たちが、そのデザインを称賛しにきてくれた。

乗車性

バイクの軽さは、簡単にバランスを取ることができることを意味する。バッテリーはフレームの中央の足元近くにあり、バイクをしっかり固定して安定した重心を与えてくれる。

軽量であることは祝福であり、災いのもとでもある。道を曲がるのは簡単だが、風の強い日や道が開けているときには、ひっくり返されるのではないかと心配する瞬間があった。ただ、それは道路で10輪車の隣を走ることと関係があるかもしれない。とても軽いので、自転車専用レーンではなく、他の大きくて意地の悪い車と一緒に車道にいるのは、少し違和感があった。

高トルクのギヤードドライブトレインにより、急な坂道でもフルエレクトロニックスロットル制御ですばやく加速する。ドライブトレインには、密閉ベアリング、アクティブな熱管理、残留水分のためのアクティブベント(この湿気の多い都市では欠かせない機能だ)を備えた2つの1kWのFlux2モーターが搭載されている。

加速音は、ガソリンを動力とするダートバイクの音に似ているが、電子音はよりソフトで、意外な長所だった。UBCOに乗るまで、自分がどれだけ速く走っているかを知るのに、自分の音感にどれだけ依存しているかに気づいていなかった。

ブレーキシステムは少し敏感だ。油圧ブレーキと回生ブレーキが連動しているのか、とても繊細な感覚を覚えた。また、受動的な回生ブレーキシステムもあり、これはあの巨大な丘の1つを惰性で走ろうとしていたときにブレーキをかけたものだと思う。

画像クレジット:Rebecca Bellan

130mmのフロントサスペンションと120mmのリアサスペンションの両方に、油圧緩衝器付きのコイルスプリングと、プリロードとリバウンドの調整がある。つまり、この衝撃はすばらしい。積極的に歩道を走り、速度が上がっても、ほとんど何も感じなかった。

オフロードでの性能をテストするためにコーンウォール公園にバイクを持ち込んだ。芝生の上で全速力で走り、木々の間を横切り、木の根や岩の上を飛び、フィールドでドーナツ走行をした。それはとても楽しく、完全に車をコントロールできていると感じた。なぜ農家がワークバイクに目を向けたのか想像がつく。

配達用バイクとしての用途をテストするときには、2つのサドルバッグに本や食料品を詰め込んで一走りした。それもまたすばらしい乗り心地だったが、コツをつかむまでは少しふらついてしまった。

バリュー

UBCOのAdventure Bikeは、特定の自転車カテゴリーにうまく収まらないため、単純な価格比較とはならないだろう。Lexmoto YadeaやVespa Elettricaのような電動モペットなら、それぞれ2400ドル(約26万円)と7000ドル(約88万円)から購入できる。電動ダートバイクの価格は、KTMやAlta Motorsなどで6000ドル(約66万円)から11000ドル(約121万円)程度になる可能性がある。とはいえ、スウェーデンの電動モーターバイクスタートアップCakeは、3500ドル(約38万円)の都市専用最新モデルMakkaを発売したばかりだ。

関連記事:スウェーデンのCakeが都市部向け電動モペッド「Makka」を発表

UBCOのAdventure Bikeの価格は、2.1kWの電源で6999ドル(約77万円)、3.1kWで7499ドル(約82万円)となっている。用途にもよるが、この種の自転車にしてはミッドレンジあたりだろう。仕事関連の活動に使用する可能性が高い場合は、税金の控除を受けることができる。さらに、重いものにも対応するためダウンしたバイクの品質を求めるなら、UBCOはそれを十分に備えている。これは便利なユーティリティバイクであるだけでなく、後述するような秀逸なテクノロジーも備えている。

UBCOの推定寿命は10〜15年で、用途によって異なる。無線ソフトウェアのアップデート、部品の交換、全面的な改修によって、自転車を長持ちさせることができるだろう。同社は完全なプロダクトスチュワードシップを約束しているので、使用済みバイクを返却するようライダーに勧めている。

ただし、今バイクを購入したい場合には、予約注文となることもある(地元のUBCOディーラーに在庫がない場合)。今注文すれば、米国在住であれば9月までにUBCOを入手可能だ。同社は、需要が高く、サプライチェーンが引き延ばされて遅れが生じていることから、新型コロナの影響をまだ感じていると話す。予約には1000ドル(約11万円)の前払い金が必要だ。

UBCOにはサブスクリプションモデルもあり、現時点では主にエンタープライズ顧客向けに提供されており、ケースバイケースで価格が設定されている。一方で、このプログラムを全世界に展開する前に、オークランドとタウランガで個人向けのサブスクリプションを試行している。サブスクリプションは36カ月間、月額300ニュージーランドドル(約2万3600円)前後から開始される予定である。

航続距離

Adventure Bikeのバッテリーパックは、航続距離約40~54マイル(約64.4~86.9km)の2.1kWhと航続距離60~80マイル(約96.6~128.7km)の3.1kWhが用意されている。

バッテリーは「Scotty」と呼ばれる管理システムで稼働し、リアルタイムのパフォーマンスと安全性を監視する。バッテリーはアロイで密閉され、使用中は排気されるが、1万8650個のリチウムイオンセルで作られており、最大500回の充電サイクルに対応できる強力なバッテリーである。UBCOによると、同社のバッテリーは寿命がきたら分解できるように設計されているという。

画像クレジット:Rebecca Bellan

10アンペアのアロイ製高速充電器は、4時間から6時間でバッテリーを完全に充電できる。車両内にある状態で電源コンセントに接続するだけで充電することも、バッテリーのロックを解除してバッテリーを引き出し(少し重い)、室内で充電することも可能だ(注記:充電の音は大きい。これが標準かどうかは定かではないが、おそらくそうなのだろう)。

筆者は2〜3日ごとに充電したが、それは使用状況と場所によることになるだろう。オークランドは今冬なので少し寒く、バッテリーの寿命に影響を与えているし、丘陵地帯は過酷だからバッテリー寿命を大量に消費する。

毎日のようにダウンタウンや近所を走り回っていたが、配達ドライバーなら夜間に充電が必要になることもあるだろう。先に述べたように、バッテリーは充電のために取り外すことができるので、仕事で使う場合は、オフィスなどに持ち込んで、他の作業をしながら充電することも可能である。

テクノロジーの特徴

車両管理システム

この車両は、UBCOがCerebro vehicle management systemと呼ぶシステムで動作する。このシステムは、車両のすべての電子的および電気的機能を統合し、Bluetooth経由で制御とアップデートを提供する。UBCOは寿命を考慮して構築されているため、CANバスは隔離されており、将来のCANデバイスを簡単に統合できるようになっている。

さて、筆者が最初に疑問に思ったことの1つは、このバイクの重量と、都会の生活の中で仕事をするためにそれに乗るギグエコノミーの労働者の可能性を考えると、次のようなことだった。路上に置かれたときに、誰もこれを盗まないようにするにはどうすればいいのだろうか。5階まで引き上げることはできないだろうから。

前にも述べたように、ホイールを所定の位置に固定することができるので、ホイールを外すのはかなり難しくなる。また仮に誰かがこの扱いにくい車両を丸ごと捕獲した場合でも、UBCOが追跡してくれる。UBCOの各バイクにはテレメトリ(SIMカード)が内蔵されており、位置情報、サービス、盗難、安全性、経路計画などに利用できるデータを提供する。

このVMSアーキテクチャは、UBCOのエンタープライズサブスクリプション車両経由でフリートを処理するために作られているが、明らかに他の用途もあり、例えば心の安らぎを与えてくれる(個人的にはまだチェーンでロックしているが、筆者はニューヨーカーで誰も信用していない)。もちろん、このテレメトリが不気味だと思う人はオプトアウトすることができるが、サブスクリプションには標準装備されており、ユーザーはアプリ上で自分のバイクの位置を追跡できる。

ディスプレイ

画像クレジット:Rebecca Bellan

ハンドルバーには、速度、電力レベルなどを表示するLCDディスプレイが搭載されている。また、ハイビーム、ロービーム、インジケータ、ホーンのスイッチコントロールもハンドルバーにある。インジケータが少し厄介で、時々スリップしてクラクションを鳴らしてしまった。ハンドルバーにもスマートフォン用のマウントがあればいいのにと思った。そうすれば指示に従うことができる。ヘッドホンをつけてGoogleマップで道順を教えてもらうのを聞いたりしたが、あまり安全で効率的ではないと感じた。

電源オン

キーレスフォブで電源を入れるには、フォブのボタンかハンドルバーのボタンをクリックする。キーレスフォブボタンは奇妙に敏感だということに注目したい。何度か携帯電話やポケットに入れていたのだが、乗車中にボタンにぶつかって電源を落としていたに違いない。ありがたいことに、それは混雑したところでは起こらなかったが、注意すべきことである。

アプリ

前述の通り、アプリを使って自分のスマートフォンや他のユーザーのスマートフォンをバイクにペアリングすることができる。このアプリでは、学習者モードか制限モードを選択して、乗車設定を制御することができる。バイクとライトのオンオフの切り替えをする。メトリクスを変更する。バッテリーの寿命、速度、モーターの温度などの状態を確認する。基本的にはダッシュボード上のすべての情報だが、アプリ上にあるので、使う必要性を感じなかった。

ライト

LEDヘッドライトは、車両の電源が入っているときは常に点灯しているが、ハイビーム、ロービーム、そして周辺パーキングライトも装備されており、これらはすべて寿命後に分解するように設計されている。LEDバックライト、ブレーキライト、ナンバープレートライト、DOT認定の表示灯もある。

その他のこと

他のカテゴリーにうまく当てはまらない機能の中には、フィールドキットが挙げられる。このキットはリフトアップシートに固定されており、ユーザーマニュアルと、2×2のセットアップとメンテナンスのためのツールが含まれていて、とても使い勝手が良い。通常、UBCOのバイクを購入すると箱に入ってきて「乗る準備をするための簡単なステップがいくつかある」。UBCO Universityのコースでも設定方法の説明がある。UBCOのディーラーから購入した場合には、集荷時に開梱して設置してくれる。

メンテナンス

メンテナンスは月額サブスクリプションで提供される。UBCOでは、修理が必要な場合に備えて、同社がバイクを販売するすべての場所に技術者のネットワークを設置している。近くに正規の整備士がいない場合は、UBCOの本社が顧客と連携してバイクの修理を支援する。UBCOは、同社のネットワーク内に承認された整備士が何人いるかについては回答しなかった。

繰り返しになるが、ニューヨーク出身の筆者はこれまで、何千人もの配達人がバイクやモペッドに乗る姿を目にしてきた。彼らはプラスチックの袋に入れられたオーブン用のミットをハンドルバーに貼り、寒さの中でも手を暖かく保てるようにしていた。このバイクは荷物を運ぶための重い荷物を扱うことができ、交通の流れにすばやく機敏に対応し、乗りやすくて使いやすい。

特にエンタープライズ向けのサブスクリプションサービスは、さまざまな気象条件に対応できる優れたシティバイクに仕上がっている。雨や泥を扱えることはすでに明らかで、あらゆる兆候が、北部の都市の冬の、雪解けでぬかるむ凍てつく地獄での成功を示している。そしてこれはまた、冒険家、つまり路上やオフロードで、街を出て荒野に向かっていく、何かいいものに乗りたいと思っている人に向けた、かなり長持ちする優れた消費者向けバイクでもあるだろう。

画像クレジット:Rebecca Bellan

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)