外国為替レート期間保証付きモバイルウォレットJCB Mobile Wallet(仮称)の実証実験を開始

ジェーシービーとNTTコミュニケーションズは10月8日、外貨為替レート保証付きモバイルウォレット「JCB Mobile Wallet」(仮称)の実証実験を本月より開始することを発表した。

JCB Mobile Wallet自体は、スマートフォンの専用アプリ上で発行できるJCBブランドのバーチャルプリペイドカードで、キャッシュレス決済やモバイル上での送金、アカウントの利用可否設定、優待店のマップ検索などが可能だ。事前に残額をチャージしておけば、クレジットカードように使える。入金したぶんだけ使えるプリペイドカードなので、支払い能力を示すクレジットスコアなどは不要で、留学生、ビジネスパーソン、在留外国人など誰でも使える。

特に上記の対象者にメリットなのが、22カ国の通貨に24時間いつでも両替可能な点と、為替レートが14日間保証される点。一度、円から外国の通貨に両替した後、使い切れなかった通貨については実質そのままの価値で円、もしくは自国通貨に戻せる。保証される為替レートは、日々変化する為替レートに比べるともちろん割高となるが、海外出張や一時帰国などで現地通貨の両替に頭を悩ませる必要がない。

また、JCB Mobile Walletでは、家族や法人で複数のアカウントが利用可能だ。例えば、留学中の子供をサブアカウントに設定して、家族から現地通貨を24時間いつでもチャージするといったことも可能だ。法人では、海外出張者をサブアカウントごとに残高管理する機能が備わっている。

そのほか、レストラン予約やタクシー配車などのさまざまなサービスもアプリからオーダーできる。

JCB Mobile Walletの実証実験は、UI/UXの検証や搭載機能、サービスのニーズ調査、商用化に向けたフィードバックの収集ため、10月~11月の期間にJCBとNTTコミュニケーションズの関係者のみで実施される。一般参加はできない。

実証実験における両社の役割としては、JCBとNTTコミュニケーションズが共同でJCB Mobile Walletのサービス企画・開発を進めるかたちだが、実際にはNTTコミュニケーションズが、レート保証型外国為替情報、取引情報のデータ流通サービス、他サービスとのAPI接続の一元管理などを請け負う。

今後の展開としては、各国の決済環境に応じて、モバイルでのNFCタッチ決済、QRコード決済などのサポートも進めていくという。また、NTTコミュニケーションズが開発したWallet Exchangeを活用して、各国のモバイルマネーのオンライン接続や残高交換を実現するとのこと。

カテゴリー:フィンテック
タグ:JCB、NTTコミュニケーションズ、モバイルアプリ、プリペイドカード

クラウド会計のfreeeが経費精算APIをアップデート、外部サービスからワークフローを完結可能に

クラウド会計のfreeeが経費精算APIをアップデート、外部サービスからワークフローを完結可能に

freeeは10月7日、クラウド会計ソフトfreee(会計freee)の経費精算APIについてアップデートを発表した。今回APIアップデートにより、経費精算の申請の作成や申請に対する承認・差し戻しなどのアクションといった経費精算のワークフローに関して、最初から最後までAPI経由で完結できるようになった。

経費精算APIの新設・拡張により、「経費精算の申請」「会計freeeで作成された申請経路の利用」「申請に対する承認や差し戻しなどのアクションの実行」といった操作がAPI経由で可能。詳細は、開発者向けコミュニティ「freee Developers Community」の「会計freeeの経費精算APIの使い方」「会計freee APIリファレンス」といったドキュメントにまとめられている。

クラウド会計のfreeeが経費精算APIをアップデート、外部サービスからワークフローを完結可能に

また経費精算APIは、経費精算機能を提供している以下の会計freeeのプランで利用できる。

  • 個人: プレミアムプラン
  • 法人: ベーシックプラン、プロフェッショナルプラン、エンタープライズプラン
カテゴリー: フィンテック
タグ: freeefreee Developers Community日本(国・地域)

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インドでのクレカ利用拡大を目指すUniが約20億円調達、製品もサービスもないスタートアップにVCが熱い期待を寄せる理由

インドのクレジットカード業界は行き詰まっているようだ。業界の推計によると、現在インドでは3000万人から3500万人が少なくとも1枚のクレジットカードを持っており、そのうち最大5800万枚が流通しているという。しかし、これを約10億枚発行されているデビットカードと比較してみると、その規模がわかるだろう。

人口の大多数がクレジットカードを持っていない理由の1つは、彼らがクレジットスコアを持っていないからだ。銀行やクレジットカード会社は、信用度を判断するために古い方法論に頼っており、信用スコアを持っている人はほとんどいないのだ。

例えば、インドのほとんどの銀行は、銀行が管理している古いスプレッドシートに記載されている数百社のうちの1社にフルタイムで雇用されている個人にしかクレジットカードを発行していない。

金融サービスビジネスのベテランであるNitin Gupta(ニチン・グプタ)氏は、インドの金融サービス会社であるUniを設立して、これらの問題のいくつかに対処したいと考えている。

Uniの創業者、Nitin Gupta(ニチン・グプタ)氏

グプタ氏はUniを通じてこれらの問題を解決したいと考えている。同氏は国内でも数少ない、それを実行できる人物の一人であるからだ。なぜなら、フィンテック企業のPayU Indiaの共同設立者であり、その後に配車サービスのスタートアップであるOlaで金融サービス事業を運営していた実績がある。

PayUでの在職中に、Olaは国内の決済処理ビジネスで優位性を確立した。あとから乗車料金を支払うことができるサービスとしてOlamoney Postpaidをローンチ。Olamoneyは、昨年2億5000万ドル(約264億円)の評価を受けており、今では国内最大級の金融サービス事業者となっている。

そしていま、さまざまなVCがグプタ氏の新しい会社に賭ける気になっている。

10月6日、UniはLightspeedとAccelが主導するシードラウンドで1850万ドル(約19億5000万円)を調達したと発表した。現在、このスタートアップは製品やサービスを有しておらず、さらには世界的な新型コロナウイルスの流行の中で、インド最大のシード資金調達ラウンドの調達にわずか2カ月しかかかっていない。

コンサルティング会社のConvergence Catalystの創業者兼チーフアナリストであるJayanth Kolla(ジャヤンス・コラ)氏は、「製品もまだ何持っていない2カ月のスタートアップが1850万ドルのシード資金を調達したことは、純粋に創業者の信用情報と経歴に基づいたものであり、インドにおける純粋なシリコンバレー型の資金調達の最初の例です」とコメントしている。

TechCrunchとのインタビューでグプタ氏は、Uniには金融サービスビジネスで優れた実績を持つLaxmikant Vyas(ラクスミカント・ヴィヤス)氏とPrateek Jindal(プラティーク・ジンダル)氏という2人の上級幹部が加わっていると述べた。

グプタ氏は、Uniの商品がどのようなものになるのかは明らかにしなかったが、現代の消費者向けクレジットカードを構築していることをほのめかした。

「Uniのサービスは非常にわかりやすく見えるだろうし、人々はなぜ他の誰もがそれを考えなかったのかと不思議に思うだろう」とグプタ氏。現在同氏は、複数の銀行と提携していると教えてくれた。

さらに「デジタル決済の採用は過去5年間で急激に成長しているが、クレジットカードビジネスはまだ進出に苦労している」と話し、「今後5年間でクレジットカードのベースを2億人に拡大する機会がある」と付け加えた。

Lightspeed IndiaのパートナーであるBejul Somaia(ベジュール・ソマイア)氏は「ニチンとUniのチームは、新しい技術を駆使したソリューションを使って、何百万人ものインドの消費者のために金融サービスの力を解き放つことに情熱を注いでいる。我々は彼らのミッションに興奮しており、初日から彼らをサポートできることを誇りに思っている」と語った。

カテゴリー:フィンテック
タグ:インド、資金調達

画像クレジット:Jon Hicks / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

PASMOが待望のiPhone、Apple Watch対応、エクスプレスカード設定やアプリで電車・バス定期券も購入も可能

PASMO評議会は10月6日、PASMOがiPhoneやApple Watchで利用可能になったことを発表した。Suicaなどと同様に、認証なしで決済が可能なエクスプレスカードの設定も可能だ。

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新しくPASMOを作る場合は、iOSの「Wallet」アプリを起動して作業を進めるだけでいい。
ここで作成できるのは無記名PASMOとなるが、あとから専用のPASMOアプリを使って、クレジットカード番号などの登録を済ませれば、定期券購入などにも使える。もちろん、物理的なカードを作る際に必要なデポジットは不要で、無料でバーチャルカードを作成できる。

既存のPASMOを引き継ぐことも可能だ。対応するPASMOが限られるものの、定期券情報やオートチャージ設定、チャージ残高などを移行可能できる。具体的に取り込み可能なPASMOは、無記名PASMO、大人用の記名PASMO、PASMO定期券で、以下のPASMOは対象外。なお、物理カード発行時に支払ったらデポジット相当額は、Apple Pay移行時に残額として戻ってくる。一度Apple Payに移行した物理PASMOカードは利用できなくなるので注意。

取り込みに対応していないPASMO一覧

東京メトロが発行している「Tokyo Metro To Me CARD」など、クレジットカード一体型PASMOからも移行できないので注意。

前述ように、PASMOアプリに各種情報を登録しておけば、アプリ上で経路を検索して、電車やバスの通勤定期券を直接購入できる機能も備えている。

PASMOが使える鉄道会社にまたがる経路はもちろん、目的地の駅がJRの場合でも購入可能だ。

 

PayPal傘下のVenmoから初クレカ、最大3%のキャッシュバックとパーソナライズされた特典を提供

昨年10月、Venmo(ベンモ)は初のクレジットカードを2020年に発売すると発表していた。米国時間10月5日、PayPal傘下のVenmoはクレジットカードを発表し、一部の顧客を対象に展開を開始した。Visaブランドのクレジットカードで、対象となる買い物に3%のキャッシュバック、パーソナライズされた特典、財務状況の追跡・管理ツールを提供する。このカードがVenmoの若いユーザー層にとって魅力的なのは、Venmoモバイルアプリに直接統合されている点だろう。

カード会員は、カテゴリ別に整理された支出をリアルタイムで追跡、購入を分割または共有、キャッシュバック状況の確認、決済、カードの管理などをVenmoモバイルアプリに集約できる。ほかのクレジットカードや銀行のアプリと同様に、購入や支払いが行われた際にリアルタイムでアラートを受け取ることもできるほか、もちろんキャッシュバックがアカウントに適用された際の通知も可能だ。

Venmoカードの特典システムは、カテゴリ別にすべてのVenmoユーザーに一定の割合のキャッシュバックを提供するものではない。例えばApple Cardがベンダーごとに行うように、新しいVenmo Cardの特典システムはパーソナライズされている。

ユーザーは、食料品、請求書と光熱費、健康と美容、ガス、エンターテイメント、食事とナイトライフ、交通機関、旅行の8つの支出カテゴリーから特典を獲得できる。同社によると、最高の支出カテゴリーで3%、2番目に高いカテゴリーで2%、それ以外のすべての購入で1%のポイントを獲得できるとのこと。

Venmoカードは年会費が無料のため、ほかのキャッシュバックカードと比較しても競争力のある特典となっている。しかし、このカードには、キャッシング、延滞・返金、利息などの一般的な手数料がかかる。現在、APR(Annual Percentage Rate)は15.25%から24.24%の範囲で、アカウント所有者の信用力に基づいている。

Venmoでは、Apple Payでの取引に高いキャッシュバック率を支払うApple Cardのようにタッチレスでの購入を奨励していないが、VenmoカードにはPOSでタップして取引を支払うためのRFIDチップが搭載されている。なお、これは完全に非接触ではないがチップリーダーにカードを挿入するよりも接触が少なくて済む。

また、この新しいカードでは、カードが手元に届く前にユーザーは事実上ショッピングを始められる。カードを紛失したり盗まれたりした場合は、Venmoアプリ内から即座にカードを無効にすることも可能だ。Visaを通じて、このカードにはVisaトラディショナルクレジットカードの特典に加え、Visa Signatureカード会員向けの旅行やライフスタイルの特典が含まれている。

ミレニアル世代のユーザーの間ではパーソナライズされたカードの需要が高まっている。Venmoカードは5色のカラーバリエーションで提供され、前面にはユーザー自身のVenmo QRコードが刻印される。これによりユーザーは、支払いを送信したり、購入を分割したりする際に友人のカードをVenmoアプリでスキャンすることができる。

VenmoはすでにMastercardブランドのデビットカードをユーザーに提供してきたが、今回登場したカードはミレニアル世代の顧客層をターゲットにしたものだ。多くのミレニアル世代が結婚して初めての家を購入し始めたいま、彼らはクレジットヒストリーの確立が重要であることを認識し始めている。一方で彼らはまだ大手銀行を敬遠しており、デビットカードのように機能するクレジットカードや、Venmoのような代替のクレジット商品を好むかもしれない。

第2四半期のVenmoの発表によると、支払いアプリを使用しているアクティブなアカウント数は6000万以上、これは12カ月以内に取引を完了したアカウントを意味する。Venmoは第2四半期に、決済アプリを使用しているアクティブなアカウント数が6000万以上あると発表した。同社はまた、直近の四半期には370億ドル(約3兆9100億円)の決済量を報告している。つまり、Venmoには大規模でアクティブなユーザー基盤があり、外部マーケティングだけに頼るのではなく、無料のピアツーピア決済アプリ内から新しいカードの顧客の単価を向上させることができるということだ。

なおVenmoカードは、Amazon、eBay、JCPenney、TJX、Stein Mart、American Eagle、Gap、Old Navy、Rooms to Go、Lowe’s およびほかの多くのカードを含む多くのストアカードの供給元として知られているSynchrony(シンクロニー)銀行によって発行されている。

Synchrony銀行では合計で約100種類のカードを発行しており、同社のウェブサイトによるとこれまでに1490億ドル(約15兆7400億円)以上の売上高を記録し、7550万人のアクティブアカウントを保有しているという。

Venmoはこの新しいカードを、Venmoのモバイルアプリを介して現在一部の顧客に提供しているが、今後数カ月のうちに米国内のすべての顧客が利用可能になる予定だ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Venmo、PayPal

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(翻訳:TechCrunch Japan)

アプリに銀行口座を連携させるPlaidがインターフェイスを改良、銀行決済をカードのように簡単に

アプリやサービスと銀行口座を接続できるユニバーサルバンキングAPIを開発するPlaidが、Plaid Linkをアップデートした。Plaid LinkはVenmo、Acorns、ChimeといったPlaidを利用しているアプリやサービスに銀行口座を追加する際に表示されるインターフェイスだ。

現在、3000ものアプリがPlaidを利用しているため、おそらくPlaidを目にしたことがあるのではないだろうか。同社によると、米国では4人に1人がPlaidを使ってアカウントの連携を行っているという。

そして、米国時間10月2日のアップデートは、複数のアプリでPlaidをより使いやすくするものだ。初めて銀行口座に接続するときは、銀行を検索して認証情報を入力してログインする。

2回目にアプリやサービスへ銀行口座を登録する場合、Plaidは以前に追加した銀行口座を表示する。金融機関のリストをスクロールして自分の銀行を探し、またユーザーIDなどを入力する必要はない。ただし、Plaidがパスワードやワンタイムパスワードの入力を再び求めることはあるかもしれない。

画像クレジット:Plaid

eコマースプラットフォームで買い物をする場合、カードを保存しておけば、その情報を再度入力する必要はない。本日のPlaid Linkのアップデートで、同社は銀行口座情報についても同様のことを行っている。

ペイメントカードは、銀行口座に接続して送金するよりもカードでの決済の方がはるかに簡単であるため流行している。Plaid Linkが使いやすくなったことによって、フィンテックのスタートアップがユーザーの口座に接続するときの面倒が減るだろう。

またPlaidによると、さらにPlaid Linkはやや速くなったという。各パネルの読み込みが30%速くなった。現在、銀行のリストはユーザーの場所に応じて表示される。地元の銀行がリストの一番上に表示されるため、スクロールする必要もなくなった。

関連記事::Visaが5800億円でPlaid買収、最終的な評価額は倍に

カテゴリー:フィンテック
タグ:PlaideコマースAPI

画像クレジット:Sarah Wardlaw / Unsplash

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

モバイルPASMOが10月6日にApple Pay対応決定!iPhoneやApple Watchで利用可能に

PASMO協議会は10月1日、10月6日よりApple PayでモバイルPASMOが利用可能になることを発表した。iPhoneやApple Watchで交通系ICカードのPASMOと同様に、電車やバスの交通利用や電子マネーでの買い物に使えるようになる。さらなる詳細はサービス開始時に追って発表するとのこと。

同評議会は8月26日に、カードタイプの記名式PASMOとPASMO定期券をAndorid版のモバイルPASMOに移行できることを発表済み。Apple Pay版のモバイルPASMOについても同様の移行環境が提供されることを期待したい。もちろんモバイルPASMOアプリから、直接PASMOのバーチャルカードを発行することは可能だ。

また、iPhoneなどでモバイルSuicaとの共存が可能なのかどうかも気になるところだ。対応端末については明らかになっていないが、常識的に考えればNFC-F(FeliCa)に対応しているiPhone 7シリーズ以降と第2世代iPhone SE、Apple Watch Series 2以降で利用可能になると考えられる。ちなみにモバイルSuicaは、前述の機種すべてが対応端末となっている。

暗号通貨のビジネス向け銀行口座を提供するフランス拠点のMultisが約2.3億円を調達

Multis(マルティス)はフランスのスタートアップで、暗号通貨(仮想通貨)を保存・送信・受信できるビジネス用の銀行口座サービスを提供している。同社はこのたびシードラウンドで220万ドル(約2億3200万円)の資金を調達した。

今回の資金調達ラウンドには、White Star Capital、Y Combinator、Coinbase Ventures、eFounders、Greenfield One、Digital Currency Group、Monday Capital、SGH Capitalなどの投資家が名を連ねている。

「企業が暗号通貨を管理するのは非常に難しいです。暗号通貨を保有したいと思ったり、従業員や請負業者に支払いを始めたりすると、すぐに巨大な混乱に陥ります」と共同創業者兼CEOのThibaut Sahaghian(ティボー・サハギアン)氏は説明する。

Qontoのようなビジネスバンキングに取り組むスタートアップに詳しい人なら、Multisに何を期待すべきかは知っているだろう。Multisはビジネスチームのために設計されたSaaSの製品だ。

Multisアカウントを作成した後、ほかのメンバーをチームに追加したり、権限や制限を設定したりすることができる。裏では、MultisはマルチシグネチャのEthereum(イーサリアム)ウォレットの役割を果たす。もちろんMultisは鍵を管理していないため、利用者の資金にアクセスすることはできない。

「規制の観点からは、資産を保有していないので取引を審査したりブロックしたりすることができません。これは非常に便利です」とサハギアン氏。マルチシグネチャーの設計のおかげで、各取引をチーム内の一定の人数で承認するなど、承認ワークフローを作成することができます」と同社は説明する。

MultisはEthereumベースのERC20トークンをサポートしているため、USDCやDAIなどのステーブルコインも使用できる。この方法であれば、すべての資産をUSDCに保持することを選択しても、暗号通貨の価値変動にさらされることはない。またMultisから直接トークンを交換することができる。

Multisの口座に資産があれば、従業員、請負業者、パートナー、サプライヤーなどに支払いが可能だ。住所などの関連情報を保存しておくことで、将来的に支払いを効率化することもできる。Multis上でのすべての暗号取引を一元管理することは、税金を申告する必要がある場合に便利です。すべての取引をエクスポートして会計士に渡すことができる。

もし、あまりにも多くの資産を持っている場合は、いくつかの資産を投資しておけばDeFi(分散型金融)製品で利子を得ることもできる。同社は同機能にCompoundを使用している。

現在のMultisのクライアントは、ほとんどがブロックチェーン製品に取り組んでいる企業で、暗号通貨で収益を上げたり、ステープルコインを使って人々に支払いをしたりしている。しかし、同社はカードとIBAN(所在国、支店、口座番号を特定するための銀行口座の国際標準)で、ユーロ圏と米国の口座を追加することで。製品をシンプルにしたいと考えている。

Multisは、不換紙幣(一般的な各国発行の紙幣)と仮想通貨の橋渡しになるかもしれない。複数の国にオフィスを持つ企業は、会社間の手数料を節約するためにMultisのサービスを使うことができる。このスタートアップはこれらの新機能の開発を続けており、今後興味深いユースケースが生まれるかもしれない。

画像クレジット:Multis

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(翻訳:TechCrunch Japan)

貨物業界向けクラウドベースの決済・融資サービスを提供するPayCargoが約37億円調達

海運業は、商業の世界では物理的な面から見ても、古くて技術的に最も遅れている分野の1つだ。扱うのは、巨大な貨物タンカー、航空機やトラックの巨大な車両群、連結された列車コンテナなど、超アナログな事業特性がある。

この事実はスタートアップにとっては好機だ。米国時間9月29日、貨物業界向けにクラウドベースの決済・融資サービスを構築したPayCargoは、新型コロナウイルスの感染蔓延を受けて事業を拡大するため、3500万ドル(約37億円)の資金調達を発表した。

今回の投資は、単一の投資家であるInsight Partnersが実施した。Insight Partnersは、4月に95億ドル(約1004億円)の巨大なファンドを発表(未訳記事)し、世界的な健康に対する関心の高さを受けて、投資先企業の支援はもちろん、それに伴って現れる新たな機会を探している。

PayCargoは後者に当たるようだ。同社CEOのEduardo Del Riego(エドゥアルド・デル・リエゴ)氏は、貨物業界が新型コロナウイルスの感染蔓延によって多くの混乱に直面した一方で、一部の場所では生産が停止し、社会的な距離を隔てるルールが荷主の仕事や現物の移動方法に新たな課題を生み出した」とコメントしている。なおPayCargoは、COOのJuan Carlos Dieppa(フアン・カルロス・ディエッパ)氏と会長のSergio Lemme(セルジオ・レム)氏が共同で設立したスタートアップだ。

「新型コロナウイルスの感染蔓延は、世界的なサプライチェーンへの影響について大きな不確実性を生み出しました」とリエゴ氏はインタビューで語っている。

世界経済が縮小している現在、多くの人がさらなる影響に備える一方で「PayCargoは利益を上げており、設立当初から成長を続けている」と同社は述べている。同社の業績自体が、生産が実際にどのように回復しているかについての肯定的なシグナルになるかもしれない。

PayCargoは、支払者が支払いを送信するためのツール、ベンダーがそれらを受信するためのツール、既存のITにツールを統合するためのAPI、および出荷のための前払いをしたくない人のための融資サービスを提供するプラットフォームを提供している。これらはすべて、この分野で働く人の大多数にとっては、いまだにペーパーワークで固定化されている業務で、解決するのに数週間かかることもあり、電子サービスで取り組むべき最優事項となっている。

現在、PayCargoは1万2000社の荷送人や運送業者、4000社のベンダーから年間約40億ドル(約4227億円)の支払いを処理している。顧客には、陸・海・空にまたがるKuehne + Nagel、DHL、DB Schenker、BDP、Seko Logistics、UPS、YUSEN Logistics、そしてHapag-Lloyd、MSC、Ocean Network Express、Alliance Ground、Swissport、エールフランスなどが名を連ねている。PayCargoはAPIを介して、国際航空運送協会(IATA)、カーゴネットワークサービス(CNS)、CHAMP Cargosystems、IBS、Accelya、Unisys、Kale Logisticsなどの多くのパートナーと連携して、顧客にサービスを提供している。

TechCrunchでは以前にも、非常に断片化されたアナログな貨物業界について書いたことがあるが、未だに多くの取引のベースとなっているのは、ファックスや当事者間で物理的にやり取りされる実際の紙書類、そして商品だけでなく書類を手渡しでやり取りする人々だ。それを支える決済インフラについても同じことが言える。

そのため、テクノロジーを駆使して市場に取り組もうとする多くのスタートアップが生まれた。Emergeはトラック業界、Cargo.comは航空貨物を対象としている。また、欧州のZencargo、FreightHub、Sennderはクラウドベースのインフラを貨物輸送に導入することに注力している。なお、Sennderはこの市場での統合者としての立ち位置を確保しており、最近ではUberの欧州事業を買収したばかりだ。そのほかFlexportは、物流の出荷管理SaaSにおいて、注目すべき企業の1つだ。

PayCargo自身も多くの競合他社を抱えており、その中にはより大きなサービスを構築している企業も含まれているかもしれない。これまでに取り上げたものに加えて、GlobalTranz、CloudTradeなどがある。ちなにみリエゴ氏は、競合他社の名前を直接挙げることを拒否し「PayCargoは市場で最も優れた、最も堅牢なソリューションです」と語るのみだった。

CrunchBaseの推定によると、出荷関連のテック企業には全体で約55億ドル(約5815億円)が投資されており、最終的には非常に物理的なビジネスに、最新のプロセスを導入しようとしている。

しかし、業界の規模はそれよりもはるかに大きく、ある試算では米国の海運ロジスティクス市場だけでも2023年までに1兆3000億ドル(約137超5000億円)の価値がある(InXpress記事)と予測されており、これの処することがいかに有益な機会になるかがわかる。

Insight Partnersでマネージングパートナーと務めるRyan Hinkle(ライアン・ヒンクル)氏は「貨物業界が急速に電子決済に移行する中、PayCargoは支払いプロセスの自動化に成功し、支払い者とベンダーの双方に効率性を確保することで、ビジネスを行うための市場をリードするプラットフォームとしての地位を確立しています。私たちはPayCargoと協力して、PayCargoのグローバルな決済ネットワークを拡大し続け、ScaleUpと運用の専門家で構成されるInsight Onsiteチームを通じて、同社の素晴らしい顧客リストに追加のリソースを提供できることに興奮しています」とコメントしている。同氏は今回のラウンドでPayCargoの取締役会に参加している。

画像クレジット:GettyImages

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(翻訳:TechCrunch Japan)

クレジットスコアの破壊者Petalが58億円超を調達、取引履歴ではなくキャッシュフローで信用度を分析

ベンチャーキャピタル資金を調達することは、既存の投資家に話をして別の小切手を振り込んでもらうのと同じくらい簡単なこともある。TechCrunchが2019年1月にPetal(ペタル)を最後に取材したとき、同社は3000万ドル(約31億6900万円)のシリーズBラウンドを終え、クレジットカードの世界に挑むというミッションを加速させていた。Petalの競合他社との差別化要因は、クレジットの信用力の評価に従来のクレジットスコアではなく、潜在的な借り手のキャッシュフローをチェックする点だ。クレジットカードを持てる財務的能力を有しているが、銀行口座を持っていないことでそれを証明する正式なデータが不足しているユーザーを評価する技術を擁している点だ。

それ以来、多くのことが起こった。新型コロナウイルスの感染蔓延により、何百万人もの人々が仕事を失い、時間を削られ、生活環境が変化したため、従来のクレジットスコアは信頼度が低下してしまった。同時に新型コロナウイルスの感染蔓延の間に、納税者への直接支払いという形での米政府の景気刺激策は実際にはいくつかのクレジットスコアを増加させた。これらの動きを踏まえるると、過去の取引履歴に基づくクレジットスコアよりも、将来のキャッシュフローに基づくアンダーライティング(現状のリスク分析)のほうが現実に即したものになっているわけだ。

現在、ニューヨーク市に本社を置くPetalは事業を拡大している。シリーズBだけでなく、2018年にPetalの1300万ドル(約13億7300万円)のシリーズAラウンドもリードしたValarが、同社の5500万ドル(約58億円)のシリーズCラウンドもリードした。このシリーズCラウンドは、新型コロナウイルスの感染蔓延が本格化した直後の4月にクローズし、米国時間9月24日正式に発表された。

Peter Thiel(ピーター・ティール)資本下の数多くの投資ファンドの1つであるValarは、Even、Stash、N26、BlockFi、Point Card、Taxfixなどの企業を支援するなど、フィンテックの世界でその方針を貫いてきた。PetalのCEOである(ジェイソン・グロス)氏に「なぜ既存の投資家からさらに2回も資金を調達したのか」について尋ねたところ、「もし『壊れていなければ直さないでください』という表現を聞いたことがあるなら、私たちはすでに本当に素晴らしい仕事上の関係があり、多くのサポートがあり、役員会での信頼を得られているなら、必ずしもその方向性を変える理由はないということです」とコメントした。

グロス氏は「同社のモデルは、今年進行中の変化の嵐に対処することを可能にしている」と語る。「伝統的な銀行などが撤退を余儀なくされている時期に、Petalのテクノロジーを使えばクレジットが利用に可能になります。顧客や申込者の財務状況を正確に把握し続けることができたことで、今年は『大きく成長』することができました」と続けた。

同氏は、前回TechCrunchが取材したあとに「何万人もの顧客」を獲得していることを明らかにした。

Petalはカードの外観デザインを少し変更した

資金調達と顧客の増加以外でも、同社は忙しい。昨年、米国バージニア州リッチモンドに第2のオフィスを開設した。それは「リッチモンドは、非常に強く活気に満ちた新しいテクノロジーシーンがあります。バージニア州で最大の大学が集中しており、金融サービスの集積地でもあります」とグロス氏。そして「便利なことに、ニューヨークと同じタイムゾーンを共有しています」と続ける。

同社は昨年9月、 多国籍独立投資銀行のJeffries(ジェフリーズ)から、クレジットカードの運用資金として3億ドル(約317億円)の融資(借入)枠を確保した。また2月には、新たな最高リスク責任者としてKaustav Das(カウスタブ・ダス)氏を採用した。ダス氏は中小企業向け融資プラットフォーム「Kabbage」の出身だ。Kabbageは、新型コロナウイルスの感染蔓延の影響で全国の中小企業に大きな経済的打撃を与えたことを受け、今年初めにアメリカン・エキスプレスに売却された。

Petalは現在約100人の従業員を抱えており、3月からは完全にリモートで業務を行っている。グロス氏によると、今後2年間の目標は「何十万人もの新規顧客を獲得すること」だという。

今回のラウンドにはValarに加えて、Rosecliff Ventures、Afore Capital、RiverPark Ventures、Great Oaks Venture Capital、GR Capital、Nelstone Ventures、Abstract Ventures、Ride Ventures、Gramercy Fund、Adventure Collective、Starta Ventures、NFLスターのKelvin Beachum, Jr.(ケルビン・ビーチャム・Jr)など、多くのファンドや投資家が参加した。同社はこれまでに累計約1億ドル(約105億円)の資金を調達している。

画像クレジット:Bryan Mullennix / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

インドネシア拠点のBukuWarungが10億円超を調達、マイクロマーチャント向け決済機能や信用スコアを提供

Y Combinatorのアクセラレータープログラムを終了して1カ月後、インドネシアの中小企業に金融サービスを提供するフィンテックスタートアップのBukuWarung(ブクワルン)は、DST Global、Soma Capital、20VCを含む著名な投資家から新たな資金調達を行ったと発表した。

資金調達額は非公開だが、情報筋によると1000万ドル(10億5600万円)から1500万ドル(15億8400万円)の間とのこと。新たな資金は、BukuWarungのテクノロジーチームの採用に使われる予定だ。TechCrunchは7月にBukuWarungを初めて取り上げた。

今回のラウンドに参加したエンジェル投資家には、著名な創業者や幹部が数名含まれている。金融テクノロジープラットフォームPlaidの共同創業者であるWilliam Hockey(ウィリアム・ホッケー)氏、Tinderの共同創業者であるJustin Mateen(ジャスティン・マティーン)氏、Superhumanの創業者であるRahul Vohra(ラフル・ヴォーラ)、Adobeの最高プロダクト責任者でありScott Belsky(スコット・ベルスキー)氏、Clearbitの会長兼スタートアップアドバイザーのJosh Buckley(ジョシュ・バックリー)氏、元Uberの最高プロダクト責任者であるManik Gupta(マニック・グプタ)氏、Spotifyの元アジア新市場責任者のSriram Krishnan(スリラム・クリシュナン)、20VCの創業者のHarry Stebbings(ハリー・ステビングス)氏、Bond Capitalの投資家のNancy Xiao(ナンシー・シャオ)氏、Fastの共同創業者であるAllison Barr Allen(アリソン・バー・アレン)氏が名を連ねている。WhatsApp、Square、Airbnbなどに投資したエンジェル投資家もいる。

Chinmay Chauhan(チンメイ・チャウハン)氏とAbhinay Peddisetty(アビネイ・ペディセッティ)氏の共同創業者が二人が昨年立ち上げたBukuWarungは、インドネシアの6000万人の「マイクロマーチャント」(小規模事業者)をターゲットにしており、近所の店またはワルン(小規模な家族経営のビジネス)のオーナーも含まれている。

このアプリはもともとペンと紙の台帳の代わりとして作られたが、今後はクレジット、貯金、保険などの金融サービスを導入する予定だ。8月に同社はBukuWarungのプラットフォームにデジタル決済機能を統合し、商店主がOVOやDANAのような銀行口座やデジタルウォレットから顧客の支払いを受け取ることができるようにした。BukuWarungの目標は、KhataBookやOKCreditがインドで展開しているのと同じ役割をインドネシアの商店主に果たすことだ。

BukuWarungがデジタル決済を開始した理由の1つは、新型コロナウイルスの感染蔓延の間、非接触取引と即時支払い(インスタントペイアウト)を求める顧客の需要に応えたことにある。この機能を導入して以来、同社はすでに年率換算で数百万米ドルの総支払額(TPV)を処理しているという。同社によると、現在ではインドネシアの第2、第3階層の都市を中心に、750拠点で約120万人の加盟店にサービスを提供しているそうだ。

デジタル決済は、BukuWarungの金融サービスを構築するための第一歩でもあり、他の会計サービスとの差別化にも役立つだろう。ペイメント機能は現在無料で、BukuWarungは手数料にわずかなマージンを上乗せするなど、さまざまなマネタイズモデルを実験している。

「BukuWarungが決済サービスを開始した理由もまた、非常に戦略的なものです。なぜなら、市場には多くの需要があるからです。私たちが提供する支払いは、銀行から得るよりも費用効率が良く、より安いので、1カ月未満で数百万の年間TPVを得られました」とチャウハン氏は語った。

「インドのKhatabookのような企業もデジタル決済を始めています。その理由は、それがビジネスを構築し収益化するための非常に重要なステップだからです」と彼は付け加えた。「決済ができなければ、なにもできません」。

「金融サービスプラットフォームを構築することは、簿記台帳に代わるユーティリティアプリを提供することと、最終的には運転資金や貯蓄、保険商品の融資を含む、商人にとって不可欠なサービスになることの違いである」とチャウハン氏。BukuWarungの会計機能は、信用力を評価するためのデータを提供することで金融サービス面に影響を与えるだろう。また、伝統的な銀行から運転資金を確保するのに苦労することが多いマイクロマーチャントが信用枠を利用できるよう支援する。

画像クレジット:BukuWarung

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(翻訳:TechCrunch Japan)

フィリピンの決済スタートアップPayMongoが約12.6億円を調達、米国の決済サービス大手Stripeがリード

マニラに拠点を置くオンライン決済プラットフォームのPayMongo(ペイモンゴ)は、1200万ドル(約12億6400万円)のシリーズAラウンドを、米国の決済サービス大手のStripe(ストライプ)がリードしたと発表した。

フィリピンの企業向けにオンライン決済APIを提供するPayMongoは、Y Combinatorのアクセラレータープログラムに参加した最初のフィリピン系金融テックスタートアップだ。Y Combinatorと以前にも投資を行ったGlobal Founders Capitalは、あらためてシリーズAのラウンドに参加したほか、新規投資家としてBedRock Capitalも加わった。

PayMongoは金融機関と提携しており、そのサービスにはウェブサイトやアプリに統合できる決済APIが含まれており、銀行カードやGrabPay、GCashなどのデジタルウォレットからの支払いを受け付けることができる。ソーシャルコマースの売り手や、主にメッセージングアプリで商品を販売する人々のためにはPayMongo Linksを提供しており、買い手がクリックするだけで送金できるようになっている。PayMongoのプラットフォームには、詐欺やリスク検知システムといった機能も含まれている。

StripeでAPACビジネスリードを務めるNoah Pepper(ノア・ペッパー)氏は声明でPayMongoに投資した理由を「PayMongoのチームと、彼らがフィリピン全土の多くの企業にデジタル決済をより身近なものにしたスピードに感銘を受けたからです」とコメントしている。

PayMongoは2019年6月に270万ドル(約2億8400万円)のシード資金で立ち上げられた。創業者によると、フィリピンを拠点とするフィンテックスタートアップが調達したシードラウンドとしては過去最大級の規模だったとのこと。PayMongoは現在、総額1500万ドル(約15億8000万円)近い資金を調達している。

共同創業者兼最高経営責任者のFrancis Plaza(フランシス・プラザ)氏によると、PayMongoはサービス開始以来、合計で約2000万ドル(約21億円)の支払いを処理し、今年に入ってから平均60%のペースで成長しており、3月にロックダウンが始まってからは急増しているという。

同氏は「当初は来年の前半にシリーズAの資金調達を開始する予定だったが、新型コロナウイルスの感染蔓延の期間中にサービスに対する需要が高まったため、製品、設計、エンジニアリングチームを雇用し、新機能のリリースを加速させるために、より早い時期にラウンドを開始することになった」と付け加えた。調達した資金は、より多くのオンライン決済オプション、請求書発行やマーケットプレイスの機能、サブスクリプションのようなビジネスモデルのサポート、支払いサイクルの高速化などの開発に投下される。

PayMongoはまた、金融サービスプロバイダーとのパートナーシップを強化し、詐欺やリスク検出システムを改善し、中央銀行からのライセンスをより多く確保して、ほかのタイプの金融商品にも対応できるようにする計画だ。

PayMongoは、新型コロナウイルスの大流行により多くの企業が業務のデジタル化を推進していることから、東南アジアのフィンテック企業の中でも成長が加速している。プラザ氏によると、フィリピンでのデジタル取引全体は、国の封鎖の影響もあり1月から4月の間に42%増加したという。

PayMongoは現在、フィリピンで唯一の決済会社でありオンボーディングプロセスを完全にオンラインで行えるように開発されているため「初めてオンライン決済を受け入れる加盟店にとって魅力的である」と同氏。「我々は、加盟店がすぐに我々のプラットフォームを利用できるように、アプリケーションの迅速な承認のためのコンプライアンス要件をより効率的に審査し、加盟店に迅速な支払いができるようにしています」と続ける。

さまざまな都市でロックダウンが解除されてもこの勢いが続くとすれば、フィリピンの中央銀行が電子決済取引の取引量を国内の総取引量の20%にまで増やすという今年の目標の達成に向けて軌道に乗っていることを意味する。フィリピンではスマートフォンの普及率は高いが、多くの人が従来の銀行口座を持っておらず、高額な手数料がかかることが多いため、政府は経済成長と金融包摂(金融サービスへ取り込むこと)を促進するために、2015年にオンライン決済を奨励する政策を打ち出した。

フィリピンではロックダウンの規制が緩和されたとはいえ「PayMongoはまだ強力な牽引力を発揮している」とプラザ氏。「私たちは、フィリピンのビジネスによるデジタルシフトが続くと信じています。これは主に、商人と顧客の両方が、検疫レベルがより緩やかになったにもかかわらず、家にいてオンラインショッピングを選択するなどの安全対策を実践し続けているからです。オンラインは、商取引の新しい常識となるでしょう」と締めくくった。

画像クレジット:PayMongo

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(翻訳:TechCrunch Japan)

オランダ拠点の中小企業向けチャレンジャーバンクのFinomがシードラウンドだけで総額20億円超を調達

ヨーロッパの中小企業、フリーランス、自営業者向けにオンライン金融サービスを提供するB2B金融サービススタートアップのFinom(フィノム)は、昨年4月のシードラウンドで調達した650万ユーロ(約8億円)に加え、1030万ユーロ(約12億6300万円)を追加調達した。これにより2020年の資金調達総額は1680万ユーロとなった。これは同社がシリーズAラウンドを行う前の話だ。投資家には、ドイツのTarget GlobalとAvala Capital、ポーランドのCogito Capital、イスラエルのEntree Capital、インドのTal Capital、米国のAdfirst Ventures FJ Labsなどが名を連ねている。

今回の追加投資ラウンドにより、Finomはライセンス活動の拡大、製品開発、欧州の新市場への参入を目指す。2019年設立の同社はオランダを拠点とし、以前はロシアのB2Bオンライン銀行Modulbankを担当していたチームによって設立された。これまでのところ、それはイタリアで電子請求書発行サービスを提供しており、今年10月にはフランスでサービスを立ち上げる予定だ。

中小企業を対象としたほかのオンライン・チャレンジャーバンクと同様に、同社もポーランド、スペイン、オーストリア、スイスなど、中小企業向けオンライン・バンキングの普及率が比較的低い国をターゲットにしている。

画像クレジット:Tero Vesalainen / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

無人決済システムのTOUCH TO GOと紀ノ國屋が無人小型店舗をJR目白駅に10月16日オープン

無人決済システムのTOUCH TO GOと紀ノ國屋が無人小型店舗をJR目白駅で10月16日オープン

無人決済システム開発のTOUCH TO GO紀ノ國屋は9月24日、TTG無人決済システムの外部導入第1号店となる紀ノ国屋初の無人決済小型スーパーマーケット「KINOKUNIYA Sutto目白駅店」を発表した。JR山手線の目白駅改札外において、10月16日に開業する。

  • 店舗名: KINOKUNIYA Sutto目白駅店
  • 営業時間: 平日8:00~20:00、土日祝8:00~19:00
  • 場所: 東京都豊島区目白3-3-1 目白駅構内(改札外)
  • 店舗面積: 約40㎡(約12坪)
  • 決済方法: 交通系IC、クレジットカードに対応

KINOKUNIYA Suttoは、「スッと寄るだけで楽しい紀ノ国屋」をコンセプトととし無人決済システムを導入した新しいブランド。

TTG無人決済システムは、カメラなどの情報から入店した顧客と手に取った商品をリアルタイムに認識し、顧客が決済エリアに立ち次第タッチパネルに商品と購入金額を表示する。顧客は、商品を持ち出口でタッチパネルの表示内容を確認して支払いを行うだけで買い物を済ませられる。

無人決済システムのTOUCH TO GOと紀ノ國屋が無人小型店舗をJR目白駅で10月16日オープン

TTG無人決済システムの導入により、忙しい朝や時間のない移動の合間でも、商品を手に取った瞬間に判別し、一瞬で会計を済ませることのできる利便性と、省人化による店舗オペレーションコストの低減を目指す。

同システムは、商品スキャン不要、対面無人で商品の識別と決済が可能なほか、既存設備に変更なしで導入できるという。また、月額サブスクリプションでの提供が可能としている。

無人決済システムのTOUCH TO GOと紀ノ國屋が無人小型店舗をJR目白駅で10月16日オープン

無人決済システムのTOUCH TO GOと紀ノ國屋が無人小型店舗をJR目白駅で10月16日オープン

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10代向けのチャレンジャーバンク目指すフランス拠点のKardが36億円超を調達、スマホ画面損傷保険も自動付帯

フランスのスタートアップであるKard(カード)がシードラウンドに300万ユーロ(約36億8300万円)を調達した。同社はすでに昨年も同額を調達しているので、Kardはシードラウンド合計で600万ユーロ(約73億円)を調達したことになる。このラウンドはFounders Futureがラウンドをリードし、Laurence Krieger、Michael Vaughan、Jon Oringer、Iris Mittenaereが参加した。

Kardは、ティーンエイジャー向けに特別設計されたチャレンジャーバンクを構築している。口座を作ると、自分のIBAN(所在国、支店、口座番号を特定するための国際標準と紐付いた銀行口座)とMastercardのデビットカードが送られてくる。ユーザーは、カードのブロックやブロック解除がアプリで処理できるほか、取引通知は即時で届き、ほかのKardユーザーとの間での送金も可能だ。

過去1年間、このサービスは完全無料で5万人のティーンエイジャーが登録していた。本日9月23日からは、新規ユーザーのために有料のサブスクリプションに切り替えることになる。家族ごとに月4.99ユーロ(約610円)、または年間49.90ユーロ(約6100円)を支払って家族アカウントを作成しなければならないが、その後は好きなだけアカウントを作成することができる。2人、3人、4人の子供がいる場合でも、月4.99ユーロの費用だ。

今回のルール変更に伴い、Kardはいくつかの追加機能も追加した。保護者はKardアプリをダウンロードして、アプリから子供へのおこずかいを管理可能になる。毎週または毎月の振り込みをスケジュール管理できるほか、子供のカードをブロック、アプリとカードをペアリングして瞬時に送金するといったことが可能だ。

ティーンエイジャーに関しては、オンライン決済用のバーチャルカードを手に入れることができるようになった。スマートフォンの画面の損傷に対して最高100ユーロ(約1万2300円)の保険にも自動加入となる。カードのデザインもブラック、シルバー、ピンクの3種類から選べるようになった。

Kardによると、Apple PayとGoogle Pay、マネーポット(貯蓄機能)についても検討中だという。アプリにはパーソナライズされた割引も提供され、新たな収益源が開けるかもしれない。

Kardは、PixPay、Xaalys、Vybeだけでなく、Revolut Junior、Lydia、伝統的な銀行のサービスと競合している。同社の新しい価格戦略が、今後のKardの成長にどのような影響を与えるかを見ていきたい。

画像クレジット:Kard

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(翻訳:TechCrunch Japan)

フィンテックのChimeが約1.5兆円のバリュエーションで510億円調達、EBITDA黒転を主張

IPOウィークの真っ只中(未訳記事)に、新たな会社名を将来のデビューリストに追加する必要がある。Chime(チャイム)は米国時間9月18日、新たな巨額ラウンドを発表した。コンシューマーフィンテックの巨人は4億8500万ドル(約510億円)のシリーズFで145億ドル(約1兆5200億円)と評価された。2019年12月に7億ドル(約740億円)を調達したときに58億ドル(約6100億円)の価値だったことを考えれば非常に大きな数字だ。

さらにすごいのは、2019年初めのバリュエーションが15億ドル(約1600億円)だったことだ。2年足らずで15億ドルから145億ドルというのは、どんなスタートアップであっても難しい。最新のラウンドを支えたのは、DragoneerやDST Globalに加えて、Tiger、ICONIQ、General Atlanticなどのよく知られた名前だ。Whale Rock CapitalやAccess Technology Venturesなど筆者があまり知らない名前もあった。

CNBCの記事の中に紛れ込んでいた話から明らかになったのは、ChimeのEBITDAが今やプラスになっており、CEOは1年ほどで「IPO可能」になると見込んでいるというニュースだ。

TechCrunchはEBITDAに関してはっきりさせるため、Chimeに接触してEBITDAは「調整後」の数字なのか聞いた。EBTIDA指標は多くの場合、従業員に付与される株式報酬の費用を除いているからだ。Chimeによれば、これは「真のEBITDA」だ。もしそうなら5ポイントのボーナスだ。成長に関する質問に対しChimeは「取引量とトップライン(売上高)」が前年同期に比べて3倍になったと述べている。

今回のラウンドと初めて非GAAP指標がプラスに転じたとのニュースは、欧州のネオバンクやチャレンジャーバンクと呼ばれる会社の財務状況に関する報道で伝えられている内容(未訳記事)に続くものだ。その種の会社の数字は圧倒的な成長と巨額の損失を示している。最終的にS-1を提出する時点でChimeの数字が維持されているなら(カウントダウンを始めて欲しい)、財務的には業界で最も健全なスタートアップの1つだといえるだろう。

最後に、同社は自身をフィンテック企業ではなく、ソフトウェア企業として見せようとしている。これは、同社の新しいバリュエーション145億ドルを維持しなければならない時期が来たときに、できるだけ良い売上高マルチプル(企業価値評価の指標の1つ)を引き寄せる動きだ。大ヒットとなったSnowflake(スノーフレーク)のデビューで明らかになったように(未訳記事)、ソフトウェア会社は最近、狂気の沙汰ともいえるマルチプルがついている。

CNBCによるとChimeは以下のように考えている。

「当社は銀行というより消費者向けソフトウェア会社に近い」とChris Britt(クリス・ブリット)氏は語る。「トランザクションベース、プロセスベースのビジネスモデルであり、予測可能性が高く、取引が繰り返し発生する可能性が高く、収益性も高い」。

キーワードは「ソフトウェア会社」「予測可能性が高く、取引が繰り返し発生する可能性が高く、収益性も高い」。実際にChimeは、仲介手数料収入の経常性を踏まえればSaaSの分類に収まるはずだと主張している。投資家がその売り文句を見極めるだろう。それが通るなら、おそらくフィンテックは世間で思われているより価値がある。AcornsのようにはっきりとSaaSの部分を持ち合わせているフィンテック企業は、(ある会社が)フィンテックなのかSaaSなのかが議論される際、かなり有利といえるかもしれない。

いずれにせよ、Chimeにとってはまた1つ大きなラウンドとなり、高く評価されたフィンテックセクターにとっても良い日となった。

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カテゴリー:ブロックチェーン

タグ:Chime EBITDA 資金調達

画像クレジット:eleonora galli / Getty Images (Image has been modified)

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(翻訳:Mizoguchi

銀行口座を持っていないラテンアメリカ女性のためのチャレンジャーバンクJefa

Jefa(ハファ)は、ラテンアメリカの女性向けに特化したチャレンジャーバンクを開発しているスタートアップだ。同社は女性が銀行口座を開設し管理する上で直面するさまざまな問題を解決することに焦点を当てたサービスを目指している。同社は2020年のTechCrunch Disrupt 2020の「Startup Battlefield」に参加した。

「世界には銀行口座を持っていない人が14億人います。そのうち13億人近くが女性です」と、Jefaの創業者兼CEOのEmma Smith(エマ・スミス)氏は語る。

さまざま意味で、銀行口座は男性によって男性のために作られている。フィンテックのスタートアップを見ても、ほとんどの創業者が男性だ。すでにラテンアメリカには、NubankBanco InterBanco OriginalUaláなどいくつかチャレンジャーバンクがある。しかし、チャレンジャーバンクのほとんどはヨーロッパや米国などの成熟した市場をターゲットにしている。スミス氏は、新興国の女性をターゲットにすることで膨大な市場機会が得られると考えている。

画像クレジット:Jefa

なぜラテンアメリの女性は銀行口座を持っていないのか、持っていても満足していないのかを、Jefaは注意深く観察した。

例えば、銀行は女性が統計的に男性よりも収入が少ないにもかかわらず、最低残高の維持を要求するのが普通だ。銀行は、車が1台しかなくてバスの便がよくない家庭が多いにもかかわらず、口座開設のために支店に来るように求める。銀行のサービスは必要以上に複雑であり、女性向けの販売経路に力を入れない。

「こうしたことのすべてが、無店舗の完全デジタルソリューションが必要だと私たちが考えた理由です」とスミス氏。「私たちは必要最低残高を設けていません。政府の発行する身分証明書だけあれば、3~4分で口座を開設できるのです」と続ける。

Jefaは数カ月以内に開業予定で、口座は無料で開設できる。数日後に、口座とキャッシュカードが利用者の手に入る。口座には購入金額の端数を貯蓄できる機能が備わっており、もちろん目標の設定も可能だ。

「It pays to be a women.」(女性でいることは損ではない)という特典プログラムもある。購入金額に応じてポイントが貯まり、衛生用品や婦人科診療に使える。

画像クレジット:Jefa

当初、獲得したポイントはキャッシュバックに交換できる。いずれ、貯めたポイントを女性にとって大切な場面で換金できるようになる。ユーザーは、アプリを使って無料でピア・ツー・ピア送金と受け取りができる。口座からの引き出しと預け入れのために、Jefaは現金を安全に管理するための提携先ネットワークを構築している。

Jefaでは、クレジット(信用力)獲得プラットフォームにも取り組んでいて、これは米国サンフランシスコ拠点のチャンレジャーバンクであるChimeの機能と似ている。

Jefaはまず中央アメリカのコスタリカとグアテマラでサービスを開始する。ウェイティングリストにはすでに5000人が載っているそうだ。サービスの利用者によるコミュニティーを作ることが大切だと知っているので、融資について他のJefaユーザーと話し合えるコミュニティーフォーラムができるかもしれない。

概して銀行というものは魂のない存在で、人のニーズを理解しないことで悪評を買ってきた。「あなたは条件を満たしていない」と言われ続けるのは苛立たしい経験だ。デジタルファーストの銀行が作れるようになったことは、目的に特化した銀行業務の可能性を示している。Jefaはその好例だろう。

画像クレジット:Sharon McCutcheon / Unsplash

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Checkout.comは個人・企業向けネット決済のStripeと何が違うのか?

Checkout.comは長年知名度が低いままだったが、同社はこの1年で3億8000万ドル(約400億円)を調達(未訳記事)し、55億ドル(約5750億円)という驚異的な評価額に達した。同社は、取引の受け入れ、処理、不正行為の検出など、支払いに関連するすべてのことをワンストップで行えるショップを構築したい考えている。

同社の事業は、個人向けの決済プラットフォームであるStripe(ストライプ)に少し似ていると思うかもしれない。TechCrunch Disruptのインタビューで、Checkout.comの創業者兼CEOであるGuillaume Pousaz(ギヨーム・ポサーズ)氏に、Stripeやオランダ拠点のAdyen(アディエン)、そのほかの決済分野の企業と何が違うのかを尋ねた。すると、製品と市場へのアプローチに関しては、非常に異なる哲学に起因していることがわかった。

ポサーズ氏はまず「私たちはエンタープライズのみを扱っています。私たちは大手企業としか仕事をしていません。いくつかの例外はありますが、ほとんどが大手のみで、純粋にオンラインです」と説明する。

「私はかつて、StripeのCEOであるPatrick Collison(パトリック・コリソン)に会い、彼と冗談を言ったことがあります。私は『あなたは100万人の利用者を抱えているかもしれない。私は1200人の利用者を抱えていて、一人一人の名前を知っているし、彼らはみな毎年何千万ドルもの処理をしている』と言いました。だから、これは違うビジネスだと思います」とインタビューの後半で付け加えた。

Checkout.comは現在、銀行口座に大金を蓄えているが、そのレベルに到達するまでには長くてゆっくりとした道のりだった。同社は何年も前から存在しており、2012年には黒字化を達成。長年にわたって非常に慎重に運営してきたのだ。

会社の初期の頃の話をするとポサーズ氏は「チームは本当にゆっくりと成長していました」と振り返った。「今月1人の従業員を雇えますが、2人の従業員を雇うこともできます」と続ける。

現在でも同社は、可能な限りスリムな状態を維持しようとしている。「これは本当に規律の問題です。これらの企業はみな多額の資金を調達し、多額の資金を使います。私はこのモデルは正しいと思っています。私たちにとって、その規律と倹約を会社の運営に組み込むことは重要なことなのです」とポサーズ氏。

「資金を使っても問題ありません。ただ、資金を使うときには、それが賢明であることを確認しましょう。数打ちゃ当たるわけではありまえん。残念なことに、これはテクノロジー企業で多く見られるのです」と続ける。

Checkout.comが自社製品に投資しているのはそのためだ。同社の3分の2近くのスタッフが製品、IT、エンジニアリングに従事している。営業部門で働いているのはわずか13%で、これは競合他社と比べてもかなり少ない。

しかしなぜ同社は当時、何億ドルもの資金を調達できたのだろうか?「ある時点では検証が必要です。そして、その検証は私たちにとって本当に重要でした。Insight、DST、Coatue、GIC、Blossomがあれば、次元が変わります」とポサーズ氏は語る。

Checkout.comは各国の規制について、ブラジル、英国、フランス(不測の事態に備えて)、香港、シンガポールなどでライセンスを取得している。現在、日本など他の主要市場でもライセンスの取得を進めており、このプロセスは今後も続行される予定だ。

「規制当局は審査を非常に徹底している。あなたはいい人だから合格するのではなく、正しいプロセスを持っているから合格するのです」と同氏。

私はその考えに異議を唱え、Wirecardの破綻に言及したところ、同氏は「WirecardとCheckout.comは明らかに今は違う立場にいる」と考えていると述べた。

「私のお金はすべてJPモルガンに預けられている、それは非常に単純なことだ。フィリピンには銀行口座もないし、おかしなことになっている」とポサーズ氏。「Wirecardの話はとても大きいので、本当の問題を知るには監査人に質問するしかありせん。なぜなら、私が担当している監査法人(PwC)は、私に銀行取引明細書とすべてを見せるように要求します。調査は非常に徹底しており、非常に長いプロセスです」と説明した。「Wirecardがなぜ破綻しかかって?それはわからない」と彼は付け加えた。
画像クレジット:Daniel Acker / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

クレジットスコアではなく夏のインターンシップや内定に基づいて学生に融資するThrive

Twitterの卒業生であるDeepak Rao(ディーパック・ラオ)氏とSiddharth Batra(シッダール。バトラ)氏によって設立されたThrive(スライブ)は、ローンを評価する方法として、求人票を参考に学生の学費を調達したいと考えている。同社は米国時間4月8日、ローンプラットフォームを立ち上げ、31州の400以上のキャンパスの学生が利用できるようにした。

Thriveはサンフランシスコを拠点として、クレジットスコアに基づいてローンを発行する従来の金融機関では一般的にカバーできない、資金不足の学生を支援している。共同設立者のラオ氏によると『Thriveは『第1世代の米国人、低所得世帯の出身者、第1世代の学生』のような人々を対象にしている」という。

サービスを大々的に立ち上げる前に、Thriveは1025万ドル(約10億7000万円)の資金調達と500万ドル(5億2000万円)の融資(デットファイナンス)を確保している。また本日、同社はクレディ・スイスから2億ドル(約209億円)の融資を受けたことも発表した。

投資家には、PayPalやAffirmの創業者であるMax Levchin(マックス・レヴィチン)氏、Twitterの元COOであるAdam Bain(アダム・バイン)氏、Craft Venturesのジェネラル・パートナーであるDavid Sacks(デビッド・サックス)氏などが名を連ねている。

「我々は人間の可能性に投資するという使命を持って会社を創業しました。私たちは基本的に、資金不足の学生に力を与え、彼らが職業生活に移行するために必要なもののための資金へのアクセスを提供する製品を作っています」とラオ氏は説明する。学生が借り入れた現金は、新しいラップトップやフライトなどに柔軟に使用することができる。

学生はThriveのサイトにサインアップして、近日中に行われる夏のインターンシップやフルタイムの大学の大学院からのオファーのためのオファーレターをアップロードすることができます。Thriveはその書類を確認し、学生にローンを提供します。

Thriveは、学生がインターンシップの場合はその給与総額の25%を、フルタイムの場合は、最初の3カ月間の給与の25%を融資する。

月々の請求額は、学生は毎月1000ドルごとに7ドル〜15ドル。学生が提供可能な金額の中から必要なだけを借りることができる。仮に1000ドルのローンを組んでインターンシップが3カ月後に始まり、それを一括で返済する場合は、返済時に1000ドルにプラスして21ドル〜45ドルを支払わなければならない。

学生がすぐに就職することを証明すれば、1営業日以内に資金にアクセスし、新しい仕事を始めてからThriveへの返済を開始することができる。

Thriveの返済構造は、Lambda Schoolのような会社が使用しているインカムシェアリング(出世払い)の形式に似ている。Lambda Schoolによると、学生は在学中の授業料を払う必要はないが、その後に最低でも年間5万ドル(約520万円)を2年間支払う仕事で得た、給料の17%を支払うというオプションを提供している。

つまり、授業料の支払いを給料に賭けることは目新しいことではないが、Thriveはインカムシェアリングの概念を転換し、ローンの融資に応用しようとしているのだ。

2017年に会社を設立したとき、ラオ氏とバトラ氏はともにスタンフォード大学の同級生で、その後はTwitterの共同研究員だった。ラオ氏は低所得の家庭出身で、個人的に米国の大学院生であることに伴う費用の打撃を感じていたそうだ。飛行機で実家に帰る必要、ラップトップのの費用、そして夕食の費用まで。

Thriveは、具体的な財務情報の共有や収益性についてのコメントを拒否したがラオ氏によると「『年率5倍』の成長を遂げており、2021年末までベンチャーキャピタルの調達を避けるために十分な資金を持っている」とコメントした。

「Thriveの最大の経費は、ローンの資金調達能力であり、調達した資金を使ってローンを融通することはない」とラオ氏は述べた。「結局のところ、ソフトウェアビジネスのようなもので、当社の最大のコストは商品の原価です。これは資本であり、ほかの誰かがその資本に資金を提供しているのです」と続けた。

新型コロナウイルスの感染蔓延による経済不安の時代に突入したいま、より多くのベンチャーキャピタルを必要としないことは特に役立つかもしれない。不透明な経済に向けてリスクに備えるため、引受基準を厳しくしなければならなかったほかのフィンテック企業とは異なり、ラオ氏は「Thriveが融資の意思を変えることはないだろう」とTechCrunchに語っている。

新型コロナウイルスの影響でキャンセルされたテック系インターンシップもある。Thriveは、学生がオファーを取り消された場合には「それに応じて支払いプランを更新する」とラオ氏。「インターンシップが有効である限り、オファーは発行されます。インターンが遠隔地であろうと対面であろうと関係ありません」と付け加えた。

歴史的に高い失業率を誇る就職市場に、大学生や大学院生が参入する中、Thriveは事業を拡大している。厳しい雇用市場が融資をオファーレターに頼っている企業にどのような影響を与えるのか、また代替融資への賭けが報われるのかどうかを注目していきたい。[原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

クレジットスコアではなく収入に応じて限度額決まるクレカX1 Card

クレジットスコアの良し悪しにはさまざまな理由がある。就職したばかりの人は、信頼できる収入があってもスコアが低いためにクレジットカードの限度額も低いままのことが多いだろう。X1 Cardは、クレジットスコアではなく、現在の収入と将来の収入に基づいて限度額を設定することで、この問題を解決したいと考えている。

同社によると、顧客の中には従来のクレジットカードの最大5倍の限度額を期待できる人もいるという。そしてその限度額は、例えばあなたが仕事で昇進した場合には、さらに上がることがある。

「消費者向けのクレジットカード業界では、テクノロジーほとんど手をつけておらず、時代遅れのクレジットスコアシステムに依存してきました。例えば、PayPalの共同設立者で元CTOのMax Levchin(マックス・レヴチン)とベンチャーキャピタルファンド「Craft Ventures」のジェネラルパートナーでDavid Oliver Sacks(デビッド・オリバー・サックス)と私のスコアは似ていますが、それは意味がありません!」と共同創業者のDeepak Rao(ディーパック・ラオ)氏は私に語った。「私たちは、スマートな制限、インテリジェントな機能、現代的な報酬、新しい外観を持つために、クレジットカードを一から考え直しました」と続ける。

あなたの信用度に応じて、12.9~19.9%の変動年利と2%の残高移行手数料がかかります。年会費は無料で、X1 Cardは延滞金や海外送金手数料も変わりません。

その裏では、X1 CardはThriveCashを開発した会社であるThriveによって管理・運営されている。ThriveCashというローンプラットフォームを使えば、来るべき夏のインターンシップや大学卒業後の最初のフルタイムの仕事のために、オファーレターに基づいてクレジットラインを組むことができる。

その後、インターンシップの給料総額の25%、またはフルタイムの仕事であれば最初の3回の給料の25%まで借りることができる。手数料は徴収されるものの、例えば新しいリース契約を締結する際に、銀行口座にお金がない場合などに役立つだろう。

Thriveは、PayPalやAffirm創業者であるレヴチン氏、元TwitterのCOOであるAdam Bain(アダム・バイン)氏、Craft VenturesのジェネラルパートナーであるDavid Sacks(デビッド・サックス)氏などから1025万ドル(約10億7000万円)の資金を調達している。ThriveCashについて詳しく知りたい方は、TechCrunchのNatasha Mascarenhas(ナターシャ・マスカレンハス)の記事を参照(未訳記事)してほしい。

X1 Cardに話を戻すと、このカードはApple PayとGoogle Payに対応したステンレス製のVisaカードだ。これは、さまざまな方法で有料契約を追跡するのに役立つ。まず、アプリから有料契約の支払いをキャンセルできる。あなたが新しいサービスを試していて、無料トライアルを開始するためにクレジットカード情報の入力を要求された場合は、自動失効する仮想クレジットカードを生成することも可能だ。

返金を受けると、X1 Cardから通知が送られてくる。また、アプリ内の取引にレシートを添付することも可能だ。

報酬に関しては、X1 Cardはポイントを利用する。デフォルトでは、すべての購入に対して2倍(2%)のポイントが付与されるが、特別な特典を提供するカテゴリーや小売店はない。1年間にカードを使って1万5000ドル以上を使うと、3倍(3%)のポイントがもらえる。友達を紹介すると、1カ月間の買い物で4倍(4%)のポイントが付与される。ポイントは、Apple(アップル)、Airbnb、Delta、Everlaneなどの小売店の提携先で利用できる。

言い換えれば、クレジットカードなのだ。しかし、この商品が平均的なChase(JPモルガン・チェース銀行)ブランドのカードよりも面白いのは、クレジットスコアシステムを破壊しようとしていることだ。このシステムを使って、人々が本当に高い限度額を手に入れることができるかどうか、それは興味深いものになりそうだ。画像クレジット:X1 Card

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(翻訳:TechCrunch Japan)