「5円チョコが売れないECを変えたい」BASEとWebPayの創業者が語る”決済の未来”

スタートアップ業界を取り巻く旬のキーワードを読み解くイベント「TechCrunch School」。3月24日には、オンラインでの売買に欠かせない「決済」をテーマに、先日LINEの傘下に入った、クレジットカード決済機能を組み込める開発者向けサービス「WebPay」創業者の久保渓氏と、近日中に新たな決済サービス「PAY.JP」の提供を表明している、BASE創業者の鶴岡裕太氏が登場した。

2人をリクルートホールディングスが東京・渋谷に開設した会員制スペース「TECH LAB PAAK」に招き、TechCrunch Japanの増田覚が司会を務め、オンラインにおける決済という処理が抱える課題について語ってもらった。

LINEの買収で何が変わる?

久保氏は、API形式でクレジットカード決済機能を提供し、開発者がサイトやアプリなどに簡単に決済機能を組み込めるようにするサービス、WebPayを2013年5月に立ち上げ、提供してきた。

同社は2015年2月、モバイル送金・決済サービスを提供する「LINE Pay」を通じてLINEに買収されることを発表した。スマートフォンでの購入の広がりという大きなうねりにチャンスを見出していることが、買収に同意した大きな理由だったという。

現に、久保氏が会場で「スマホでものを買ったことのない人は?」と尋ねたところ、ほぼゼロという結果だった。「僕自身もそうだけれど、机に座っていて目の前にPCがあるのに、なぜかスマホでものを買ったりする。これって大きな習慣の変化だと思う」(久保氏)。検索などに時間のかかるPCに比べ、スマホは導線が短く、楽で、リアルタイムな購買体験を提供できる可能性がある。そこに、LINEと組む意味があると考えているそうだ。

「WebPayとLINE Payが組んで何が変わるの?」という率直な質問に対し、久保氏は「世界が変わります」と答えた。

「これまで、ものを買う行為って、土日など時間のあるときにやっていた。それが、スマホの決済が変わることで、空き時間、ほんの30秒あれば買うといったことが可能になる。決済という行為が、ストレスなく、リアルタイムで一瞬で終わるような世界を目指しています。安全で、ユーザー自身が意識して渡すと同意したとき以外は個人情報を渡さないという、エンドユーザーにとって理想的な世界の中で、モノやサービスを享受する体験ができる世界というのが、LINE PAYの提供する価値」(久保氏)。

これまで通り、開発者向けのWebPayも継続していく。ただ、WebPayがどちらかというとものやサービスを提供するマーチャント、サービス事業者向けのサービスだったのに対し、LINE Payではコンシューマーの視点に重点を置くことになる。

「決済がインフラだけで満足してもらう時代って、2014年で終わったと思っています。使いやすさや便利さも含め、使ってくれているサービス事業者の売り上げにどれだけ貢献できるかが決済事業者にも求められる時代です。マーチャントを向いて商売するだけでなく、一般のコンシューマーも見てサービスを提供していかなくてはならない。購買行動を全て設計するのが決済事業者」と久保氏。LINEが抱えるユーザーベースを基に、その人たちが買いたいものを最も買いやすく、心地よい導線を設計して、欲しいときにすぐ買える決済サービスを提供して、売り上げに貢献していきたいという。

ちなみにLINEによる買収の別の効果が、「門前払いがなくなりました」(久保氏)ということ。ある会社と新たにパートナーとなりたい、話をしたい、という時に、相手側も積極的に高いモチベーションで関わってくれるようになったそうだ。

「決済はうまみのないビジネス」

一方、「PAY.JP」の名称で決済ビジネスへの参入を表明した鶴岡氏だが、意外にも「決済って、あまりうまみのないビジネス。ビジネス的なうまみという観点なら、もっと他にいいビジネスがある」と述べる。

この点には久保氏も賛同する。しっかり、堅牢にやらなければいけないビジネスの性質上、導入までのリードタイムが3カ月程度かかることもざらにあり、「全部、3〜4カ月遅れで数字が出てくる」(同氏)。従って、いわゆるWebのスタートアップの感覚からすれば、決済ビジネスのスピード感は非常にゆっくりなのだそうだ。

「でも、決済業界に対する明確な課題意識があって、その課題を解決するために必要なことをやりたいんだ、という形であれば、カード会社も協力してくれるし、耐えられると思う」(鶴岡氏)。久保氏も、「N年コミットするつもりでやるのかどうかがすごく重要。僕はWebPayをやっていて、資本主義社会の根幹を自分が担えるかもしれない、というくらい、社会に触れ合っている感覚がある。自分たちが資本主義社会のインフラ、プラットフォームとして、社会を一歩前進させるところにコミットしているんだという信念があって、N年がんばろう、というのがあれば、すごくやりがいがある」と述べる。

5円チョコが売れないECサイト

鶴岡氏が抱いているその課題というのは、「今の決済が、過去のオフラインでの決済のプロセス、形式の影響をあまりに受け過ぎていること」だ。

例えば、インターネット上で1つの決済を処理しようとすると、間に非常に多くのプレイヤーが挟まることになる。「僕、これってすっごい無駄だなと思うんですよ。既に、Bitcoinのように二者間で直接お金をやり取りできる手段もあるし、自分の与信枠を与えるというやり取りだってできるのに、そうなっていない。そうした効率の良くない部分をPAY.JPで変えていきたいと思っています」(鶴岡氏)。

究極的には、オフラインの世界と同じような価値の交換スキームをオンラインでも実現するのが同社のミッションだという。

「オフラインだと、モノを売る人と買う人の2者だけで価値の交換が完結するわけですよ。でもひとたびインターネットが間に入るとそうはいかない。今、ECサイトで5円チョコって売れないんですよね。手数料がそれ以上にかかるので。だから、負担なく5円チョコを売れるECサイトができるように……つまり、手数料を誰か事業者が代わりに負担して『無料』にするのではなく、本質的に手数料のないスキームというのを構築できないかと考えています」(鶴岡氏)。

久保氏も、「決済のシステムでは、1980年代の仕組み、下手をすると1970年代後半の仕組みが動いている。そこでは、1つのトランザクションを処理するために原価として5円、10円という手数料がかかってしまい、それ以下にはできないんですよね。『オフラインを引きずっている』ってそういう意味です」と述べた。

「左手にクレカ、右手にスマホなEC体験は20年後に爆笑される」

1990年代、インターネットが広がりECサイトが生まれ始めた時期に、そうした過去のシステムとWebとを無理矢理つなげた仕組みによって、今の決済の仕組みは何とか保っている。とはいえそろそろひずみが来ており、トランザクションの仕組みを2010年代の今の技術に置き換えていくことができれば、原価を引き下げ、コストのかからない決済ができるのではないかと期待しているという。

鶴岡氏は、「今は、左手にクレジットカードを持ち、右手にスマホ持って番号を打ち込んで決済をしていますけど、20年後の人がこの姿を見たら爆笑すると思うんです。いろいろな方法で個人を特定できるこの時代において、オンラインにおいてもクレジットカードというものを使うのがなんかすごく効率が良くないなと思っていて、そういうところで『与信枠』というテーマを追求したいと思っています」と述べた。

これからの決済手段、「一回は多様化」?

決済をめぐるプレイヤーは多様化している。方やApplePayがあり、日本ではSuicaという存在がある他、ID決済の可能性もあるなど混沌とした状況だ。今後、決済手段はますます多様化するのだろうか?

この問いに対し久保氏は「一回は多様化すると思います。WebでさまざまなAPI標準がうわーっと出てきてREST APIに収束したのと同じで、一回は決済も多様化して、どこかでマジョリティが使っている良いものに集約される流れになるのではないか」と述べた。

一方鶴岡氏は、「決済という仕組みの中で、最強の立場にあるのがビザとマスターで、そこが変わらなければ言うほど大きく変わらないと思います。その意味で、これからの10年、20年で、あの立場に立つもの、入れ替わるものが出てくるかどうかが面白いポイントだと思っています」と言う。

取り残された領域にテクノロジの力を、「Airレジ」の取り組み

セッションの後半には、リクルートライフスタイルの執行役員、大宮英紀氏が登場し、POSレジの機能を提供する無料アプリ「Airレジ」について紹介した。2013年11月にリリースされてから、Airレジの導入件数は当初の予定を上回るペースで伸び、今や10万アカウントを突破。クラウド関連サービスとも連携を広げている。

Airレジというアプリをリリースした目的について、大宮氏は「テクノロジや環境が変わっていく中で、取り残されている領域がある、それを変えたいと思って数人で始めた」と振り返る。Airレジというプロダクトを通じて、それと意識することなく、テクノロジをうまく活用できるようにしたかったのだそうだ。

飲食店や小売店鋪、サービス業などの場合、店舗を開くには相応のイニシャルコストが必要になる。同じ金額をPOSレジに投じる代わりに、Airレジでまかない、マーケティングなどほかの部分に力を入れることで、中小企業の成長を後押ししたいという。


テーマは「変わる決済」 次回TechCrunch Schoolは3月23日開催、読者の質問も募集中

僕たちが不定期で開催しているイベント「TechCrunch School」では、これまでに「学生の起業」「スタートアップのマーケティング」「大企業からのスピンアウト」「IoT」「シェアリングエコノミー」などのテーマでセッションを繰り広げてきた。8回目の開催となる次回は、3月23日月曜日午後7時から「変わる決済」というテーマで開催する。参加は無料で、本日よりこちらで参加登録を受け付けている

無料の参加登録はこちらから

LINEが買収「WebPay」と決済参入「BASE」の創業者が登壇

日本のスタートアップシーンでいま、盛り上がりを見せつつあるジャンルの1つは「Fintech(フィンテック)」だろう。TechCrunch読者であればご存じだと思うが、フィンテックとはFinanceとTechnologyの造語。日本でも、金融関連のスタートアップを指す言葉として、市民権を得てきている感がある。

そんな熱いジャンルの中でも、特に動きが激しいのが「決済」まわりだ。そこで今回は、開発者向けクレジットカード決済サービスを手がけるWebPay創業者の久保渓氏と、先日決済事業への参入を発表したBASE創業者の鶴岡裕太氏をお呼びして、決済にまつわる最新動向を語ってもらうこととした。

WebPayはわずか数行のコードを埋め込むだけで、ECサイトやスマホアプリにクレジットカード決済機能を導入できる開発者向けサービス。2月には、LINEに買収されたことで大きな話題を呼んだ。イベント当日は、開発者向けクレジットカード決済の可能性だけでなく、LINEとの取り組みについてもお聞きする予定だ。

BASEはウェブの専門知識を持っていない人でも、ECサイトを無料で開設できるサービス。昨年12月にはネット決済のPurecaを買収し、WebPayの競合となるサービス「PAY.JP」を今春にリリースする。鶴岡氏には、このタイミングで決済事業に参入した理由などについて聞きたいと思っている。

BASEとWebPayの創業者に聞きたい質問を募集

イベント当日は両社のサービスにとどまらず、ApplePayやBitcoin、LINE Payなどなど、決済を取り巻く動向について、識者の2人に質問する予定だ。そこで今回は読者から質問を募集し、いただいたコメントを読者に代わって質問したいと思っている。

お2人への質問は、TechCrunch JapanのTwitterアカウント「@jptechcrunch」あてに、ハッシュタグ「#tcschool」を付けて投稿していただきたい。イベント当日に採用した質問を投稿してくれた読者には、TechCrunchのオリジナルTシャツをプレゼントする。(該当者にはスタッフからダイレクトメッセージで連絡するので、@jptechcrunchをフォローしていただければと思う)。

当日はこのほか、無料POSレジアプリ「Airレジ」を手がけるリクルートライフスタイル執行役員の大宮英紀氏も登壇。サービス開始1年で10万アカウントをAirレジのこれまでを振り返るとともに、今後の展開についても語っていただく予定だ。

今回の会場は、リクルートホールディングスが東京・渋谷に開設したITクリエイター向けの会員制スペース「TECH LAB PAAK」。会員になるには審査が必要だが、会員になれば施設の利用料だけでなく、Wi-Fi、全席完備の電源、ドリンク、スナックまで全部タダという太っ腹な施設だ。場所は渋谷アップルストアと同じビルとなっている。

TechCrunch School #8
「変わる決済」

【開催日時】 3月23日(月) 18時開場、19時開始
【会場】 東京・渋谷 TECH LAB PAAK (地図)
【定員】 80名程度
【参加費】 無料
【ハッシュタグ】#tcschool
【主催】 AOLオンラインジャパン
【内容】
19:00〜19:05 TechCrunch Japan 挨拶
19:05〜20:05 パネルセッション「変わる決済」
パネリスト
久保渓氏(ウェブペイ株式会社 代表取締役)
鶴岡裕太氏(BASE株式会社 代表取締役社長)
モデレーター
増田覚(TechCrunch Japan編集記者)
20:05〜20:20 講演セッション「Air レジの取り組みについて」
登壇者
大宮英紀氏(株式会社リクルートライフスタイル 執行役員 ネットビジネス本部クライアントソリューションユニット長)
20:20〜20:30 ブレーク
20:30〜22:00 懇親会(アルコール、軽食も出ます)
【申し込み】イベントページから事前登録必須
【事務局連絡先】tips@techcrunch.jp

photo by
Oliver Symens


スマホで手軽に経費精算できるアプリ「Staple」、Android版の提供を開始

会社員ならば誰もが経験するであろう経費精算。大っ嫌いな人も多いんじゃないだろうか。毎月それなりの時間を取られるし、Excelで処理するにしても、は業務システムと連携した経費精算システムに入力するにしても、とにかく1つ1つの項目を埋めていくのは手間がかかる。

そんな面倒な経費精算を、スマホで手軽に入力できるアプリがクラウドキャストの「Staple」だ。クラウドキャストでは2014年9月にiOS版をリリースした(クラウドキャストでは同時にIMJ Investment Partnersからの資金調達を発表している。調達額や出資比率は非公開)が、本日3月9日にAndroid版をリリースしている。

Stapleは個人および10〜20人規模の程度の中小企業や企業の部門、イベントなどの短期プロジェクトでの利用を想定した経費精算アプリだ。タップ操作で経費を登録したり、カレンダーとの連携機能などを実装している。経費はCSVでの出力も可能。

クラウドキャスト代表取締役の星川高志氏

「システム管理者の視点ではなく、従業員が迷わず利用できるかどうかが重要。また社員数10〜20人規模の企業だと、経費精算に使うのは紙とエクセルというケースが9割以上。いかにこれを置き換えるかを意識した」(クラウドキャスト代表取締役の星川高志氏)

個人での利用は無料。法人・チーム向けの管理機能を利用する場合、1チーム月額980円(年額で支払う場合は9800円)となっている。法人向けのユーザー登録数や保存データ容量は無制限。決裁権限を持つ人間による承認ワークフローを備える。

クラウドキャストは2014年1月に経費精算アプリ「bizNote Expense」を公開している。これはアプリでの経費入力から会計システムへの取り込みまでの機能を提供していた。Stapleはそこからユーザーのニーズにあわせて経費入力の機能を切り出した(といってもあくまで機能面での話。アプリ自体はスクラッチでおこしているのだそうだ)ものとなる。bizNote Expenseは既存ユーザーにはサービスを提供し続けるとのことだが、サイト上ではStapleにサービスを移行したと説明。Stapleの新規登録を促している。

なおAndroid版の提供にあわせて、クラウドキャストがTechCrunchの読者向けにクーポンコードを発行してくれている。クーポンコード「TechCrunch2015」を入力して年間プラン法人・チーム向けにサービスに登録した先着20チームは、年額の9800円で18カ月間サービスを利用できる。クーポンコードの有効期限は3月12日。


「Bitcoin破たん報道は誤解も甚だしい」経済学者・野口悠紀雄氏

日本でBitcoinといえばMt. Gox(マウントゴックス)の倒産がメディアを賑わせたが、以前ほどは話題に上らなくなった。日本の現状はどうなのか? 2月23日に都内で開かれた「楽天金融カンファレンス」で経済学者の野口悠紀雄氏らが、Bitcoinが日本で普及する可能性や、規制面での課題を語った。

Bitcoinの特徴は管理主体がないPtoP型。そのメリットは手数料や為替のスプレッドなどの送金コストが低く抑えられるということだ。こうしたメリットから米国ではすでにDELLやPayPal、Expediaなどの大手企業が徐々に導入している。

一方、日本でのBitcoinに関する話題といえば、昨年2月の「Mt.Goxショック」の余波が後を引いている。事件以降、Bitcoinそのものの仕組みが破綻したという報道もあったが、パネリストの野口氏は「誤解も甚だしい」と一蹴した。

「Bitcoinは生き延びているのに誤解されている。例えばみなさんが米国から帰国して、成田でドルを円に変えようとしたら、たまたま空港の両替所が閉まっていた。そのときにドルが破綻したと言いますか? 両替所が破綻したからといって通貨そのものが破綻したと誰が考えるだろうか。Mt.Goxの事件は、いわばそういうもの。」

規制とこれからの課題は

日本では政府がBitcoin普及を後押しする動きもある。

自民党のIT戦略特命委員会の提言を受け、Bitcoinを扱うスタートアップ3社が9月に業界団体「日本価値記録事業者協会」を発足。政府主導の規制を導入するかわりに、Bitcoin交換所の監査や利用者保護を盛り込んだ自主規制ガイドラインを作成し、“風評被害”からの信頼回復を図っている。

こうした動きを、Bitcoinに詳しい弁護士の斎藤創氏は、「幸いなことに、政府の対応は今のところ暖かく見守る方向」と評価。その一方で、Bitcoinの取引を課税対象にすべきという議論があると指摘する。非課税な国が多いのにもかかわらず、日本で課税対象となれば、国内のBitcoin普及の速度は今以上に遅くなる、という意見だ。

今はとにかくBitcoinは怪しいものではないと利用者に納得していただきたいと野口氏が繰り返してセッションは締めくくられた。

 


企業による銀行利用の現代化をめざすSeedがまずAPIを公開

【抄訳】

Seedは、企業にとって銀行は透明性を欠き、費用が高く、時代遅れだ、と考えている。Y Combinatorの2015年冬季クラスの‘生徒’だったSeedは、CEOのBrian Merrittによると、銀行をAPIの時代にふさわしい形に洗いなおし、無用な手数料をなくし、銀行を使いながら事業を創業し管理していくことをできるかぎり簡単にしたい、と願っている。

Merrittと協同ファウンダのRyan Hildebrandは、消費者向け銀行サービススタートアップSimpleの出身だ。Simpleは、2014年に1億ドルで買収された

同社はしばらくステルスで操業していたが今日(米国時間2/17)バンキングAPI(銀行利用API)のベータを公開してスタートアップの表舞台に登場した。ただし利用できるのは当面合衆国のみで、デベロッパは自分のアプリ/アプリケーションやツールなどにSeedの銀行利用サービスを組み込める。

バンキングAPIってなんだろう? それはSeed自身が、自分が顧客に提供する各種サービス(Webアプリケーションとモバイルアプリ)の機能を実装するために使っているAPIの集合だ。言い換えるとそれは、Seed自身のデジタルの構造体そのもの(の公開)だ。

Seedは自分自身のクライアントアプリケーションを3か月〜6か月後に立ち上げる予定だ。サービス本体の立ち上げよりもAPIの公開が先、というのは珍しい。

本誌TechCrunchのオフィスにMerrittをお招きして同社のローンチと、その存在理由についてうかがった。

Seed自身は銀行ではなく、むしろ「銀行へのインタフェイス」だ。インタフェイスだから、銀行がやってるサービスは何でもSeedから…より便利に…利用できる。たとえばSeedが提供する預金保険は、FDICの標準の25万ドルに対して最大5000万ドルまでだ。

同社は今日の発表声明で、“国内送金手数料は無料、手形交換手数料は無料、小切手送金手数料は無料、国際決済手数料は小額”、を約束している。Seedの収入源としては、多くの企業向けスタートアップと同様に、年〜月会費を予定している。

【後略】

FEATURED IMAGE: HAKAN DAHLSTROM/FLICKR UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


会計ソフトの勢力図じわり変化、家電量販店でクラウドが台頭しはじめる

毎年、確定申告シーズンになると家電量販店は会計ソフトを推し始める。ほとんどの店舗は、会計ソフト最大手・弥生の「やよいの青色会計」をプッシュするのが通例だけど、今年はちょっと様子が違う。ヨドバシカメラの全店では、マネーフォワードのクラウドサービス「MFクラウド確定申告」のパッケージ版に最も売り場を割いている。

パッケージ版は「マネーフォワード確定申告(青色申告・白色申告)」という名称。クラウド版のMFクラウド確定申告はウェブ経由で登録・利用するサービスだが、パッケージ版は12カ月間の利用権が付いたプロダクトキーと操作マニュアルを同梱している。

影の立役者はソースネクスト

弥生は会計ソフトの国内シェア72%、ユーザー数128万人を抱える。その規模を考えると大海の一滴のような変化ではあるが、ソフト売り場の勢力図を塗り替えるのに一役買ったのは、家電量販店に太い販売チャネルを持つソースネクストだ。マネーフォワードは2014年12月に15億円の資金調達を実施していて、その引受先の1社がソースネクスト。さっそく両者の相乗効果があらわれた形だ。ヨドバシカメラはソースネクストの大株主でもある。

ヨドバシカメラでは1月8日、特設コーナーでパッケージ版の販売を開始。ビックカメラの一部店舗でも、やよいの青色会計に次ぐ、売り場スペースを設けている。マネーフォワードは売上本数を公表していないが、辻氏は「1月に露出拡大したおかげで前月比で20倍に急増した。これから確定申告シーズンが本格化するので、昨年比で50倍以上に達する勢い」と鼻息が荒い。

ヨドバシカメラは札幌から博多まで、全国で20店舗を構える。特設コーナーでパッケージ版を販売するにあたっては、営業やマーケティングだけでなく、エンジニアや人事、財務を担当する責任者まで、マネーフォワードの社員総出で全店舗を訪問。ソフト売り場の店員に対して、デモを交えながら従来のパッケージ製品とは異なる点を説明して回ったのだという。

マネーフォワードが手がけるクラウド会計サービスの利用者は12万人。同社はこれまでユーザー数を明かしていなかったが、正式サービス開始から約1年を経て、2月6日に初めて公表した。一方、2013年4月に提供開始した競合のfreeeは2月4日、ユーザー数が20万件に到達したことを発表。両社とも順調に伸びていて、会計ソフトのクラウド化がますます進みそうだ。


共有経済と金融の未来

[筆者: Christoffer O. Hernæs]

編集者注記: Christopher O. Hernæsはノルウェーで二番目に大きな金融企業SpareBank 1 Groupの、戦略・イノベーション・分析担当VP。それまでの彼はCore Groupのパートナーとして、テクノロジやメディア、通信、金融サービスの方面を担当していた。

銀行は、そこへ行くところから、そこで何かをするところに変わった。共有経済がわれわれの未来の形を作る、という説を信ずるなら、銀行などすべての金融サービスは単なる背景的な存在となり、電気ガス水道などの公益企業に似たものになってしまうだろう。

ぼくは前に、金融サービスは伝統的な価値やビジネスモデルの崩壊と、ミレニアル世代からの不信により、コモディティ化する危機に瀕している、と主張した。共有経済はすでに、P2Pのレンディング(lending, 貸金サービス)やソーシャルペイメント、クラウドファンディング、P2P保険などを通じて、金融業の形を変えつつある。しかし、視野を広げて、そのほかの産業や社会全般を見渡せば、変化の広がりと浸透はもっともっと大きい。

Jeremy Rifkinの近著The Zero Marginal Cost Society(限界費用ゼロの社会)は多くの議論を喚起したが、同書で彼は、資本家の時代は去りつつある、と述べている。その変化の要因となるものは、テクノロジの広範な普及浸透と物のインターネット(Internet of Things, IoT)の勃興だ。Rifkinによると、自動化と共有化のサービスがこれまでの生産方式を置換し、製品とサービスの限界費用をゼロに近づける。

この仮説を実証しつつある企業が、すでにたくさん存在する。

ライドシェアリングサービスのUberは、ここであらためて紹介する必要もないと思うが、その、顧客が一度だけ自分のクレジットカードをスキャンして、それにより今後の支払も指定する統合化決済方式(integrated payment solution)では、サービスの決済方式がサービス本体に最初から統合されている。 McKinseyの報告によると、顧客の銀行利用の80%は商品やサービスの代金支払だ。この80%がUberのようなサービスに統合されてしまえば、銀行は顧客の日常の支出において目に見えないもの(存在を意識しないもの)になる。

保険についても同じことが言える。Airbnbは、ホスト保護のために家のオーナーに保険を提供している。それもやはり、このサービスに統合化されている。UberとLyftはどちらも、そのライドシェアリングサービスに責任保険をかけ、TaskRabbitなどの企業はそのサービス規約に保険ポリシーがあり、万一の場合のユーザの損害を補償することによって、初めて会う赤の他人を信用しやすくしている。旅行保険はどうだろう? あなたの場合、ご自分で旅行保険をつけよう・買おうとした最後の機会は、いったいいつだったか? 自動車保険も、今のライドシェアリングサービスが個人運転車に対して提供している、サービスと統合化された責任保険を見て、今後のやり方を変えざるを得ないだろう

これらのサービスは、デジタル化のグローバルな進展によって可能になり、それは既存の伝統的な業種にも、インフラストラクチャのレベルで課題を突きつけている。

金融セクターの場合は、台帳が公開されて分散するブロックチェーンの技術が、このような技術的パラダイムシフトを表している。これによって、手形の決済や清算など費用のかかる要素が要らなくなり、ブロックチェーンとマイクロペイメント(小額決済)が理想的なプラットホームになる。そしてまた、WiFiの料金を分単位で払うなど、小さな決済粒度のサービスが可能になり、決済処理から無用な軋轢を取り除く。

しかし、GoogleやFacebookのようなグローバルなエコシステムやUber、Airbnbなどのサービスプラットホームが、ある種の、デジタルの封建主義のようなものを作り出している今、共有経済はソーシャルな資本主義の正しい形なのか、それとも、貧富の格差の拡大要因なのか?

Quartzの投稿記事によると、Uberなどの成功を可能にした基盤的条件は格差の拡大だ*。このような説を、Brookings Institution(ブルッキングス研究所)の研究報告も支持している。すなわち、共有経済の発祥の地であるサンフランシスコは、2007年から2012年にかけて、格差がもっとも大きくなった合衆国の都市だ。共有経済のもうひとつの未解決の問題は、インフラ関連の固定費用が、長期的な視点ではどうやって手当されるのか、だ。テクノロジ分野のプラットホームはセットアップも展開も比較的安い費用でできるが、歴史が示すところによれば、限界費用の低い生産は初期の資本費用が高い場合が多いのだ。〔*: 格差の底辺にいる大量の‘浪人的’浮動労働力が、Uberなどの労働力リソースになっている、という意味。〕

しかし、さまざまな批判にもかかわらず共有経済は、2025年に総売上が3350億ドルに達し、そのインパクトはほとんどすべての産業に及ぶ、と予想されている。

そして結果がどうであれ、今の若い世代は、消費者になることよりも、共同的な創造や共有に価値を認め、有能で自立した市民になることを目指している。金融セクターはこれまでも一貫して、社会と経済の変化や成長に合わせて進化してきた。だから、将来の銀行や金融も、サービスや社会全体の一部として見るべきであり、単独の実体と見なすべきではない。

世界は変わった。かつてあったものはなくなり、金融業界は今、不確定な未来に直面している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


マネーフォワードが15億円調達、事業パートナー出資で着々と足場拡大へ

家計簿アプリとクラウド会計ソフトを手がけるマネーフォワードは19日、総額約15億円の資金調達を実施することを明らかにした。引受先は既存株主のジャフコに加えて、クレディセゾンやソースネクスト、三井住友海上キャピタル、電通デジタル・ホールディングスといった事業会社。マネーフォワードの辻庸介社長は、「各ジャンルのナンバーワンプレイヤーに出資してもらえたことで事業拡大を加速できる」とシナジー効果を期待している。

マネーフォワードは、約180万人が利用する個人向け家計簿アプリ「マネーフォワード」と、法人向けクラウド会計サービス「MFクラウド会計」を提供するスタートアップ。個人向けでは9月、家計・資産データの活用を可能にするAPI連携を開始。これまでにヤフーやグノシーと業務提携し、各サービス経由でユーザーを獲得している。法人向けの利用者数は明かしていないが、ウェブ経由では中小企業や個人事業主、全国各地で開催するセミナーを通じて大手の税理士法人を取り込んでいる。機能面では確定申告や請求書サービスも投入した。

引受先のクレディセゾンとは、個人および法人の顧客を相互送客してユーザー拡大を図る。両社は5月に業務提携しており、クレディセゾンが発行するセゾン・UCカードの利用明細データをマネーフォワード上に自動保存するサービスを提供している。今後はMFクラウド請求書とクレディセゾンのカード決済の連携や、MFクラウド会計利用者向けの金融商品も開発していく。

ソースネクストとの資本提携では販路の拡大を見込んでいる。両社は3月に業務提携し、ソースネクストを通して、NTTドコモが提供する「スゴ得コンテンツ」、KDDIが手がける「auスマートパス」、ソースネクストの「アプリ超放題」といった月額定額のアプリ使い放題サービスにマネーフォワードのコンテンツを提供している。ソースネクストの量販店チャネルも活用し、確定シーズンに向けてパッケージ版の販売も強化する。

三井住友海上キャピタルとは顧客や提携先の紹介、電通デジタル・ホールディングスとは広告事業の拡大やPR戦略の策定のサポートをしてもらう。同じく引受先であるGMO VenturePartnersは中小企業へのネットワークを持つベンチャーキャピタルで、マネーフォワードの事業拡大に向けて連携する。辻社長は「個人と中小向けサービスで国内ナンバーワンを取り、決済が盛り上がっている東南アジアに進出したい」と青写真を描いている。

今回調達した15億円では、プロダクト強化やサポート体制の充実に向けた人材を採用するほか、マーケティングも加速する。3月下旬には、給与計算業務を効率化する「MFクラウド給与」をリリースする。MFクラウド給与では、基本的な給与計算やウェブ給与明細の機能を搭載。その後は、経費精算を行う「MFクラウド経費」も投入する予定だ。

ところで、スマートニュースやグノシー、メルカリ、sansan、ラクスルなど、10億円以上調達したスタートアップの多くがテレビCMを展開しているが、マネーフォワードはどうなのか? 辻社長は「検討はしたが、当面はやらない結論に至った。現状でやっても砂に水を撒く感じになりそう」と否定し、事業会社と提携して着々とチャネルを拡大する考えを示した。

マネーフォワードは、2013年10月に調達した5億円を含めると、これまでに合計20億円以上を調達したことになる。ちなみに、クラウド会計分野で競合となるfreeeは、これまでに合計17億5000万円を調達している。


少額投資のプラットホームAcornsがiOS人気に乗じてAndroidに上陸

未来のための貯金ができる少額投資のプラットホームAcornsが今日(米国時間10/8)、Androidにローンチした。〔*: acorn==どんぐりは、とても小さなものがとても大きなもの(巨木)になるたとえとして、よく使われる。〕

Acornsはユーザのクレジットカードやデビットカードに接続して、買い物のお釣り(‘セント’の部分は1ドルに丸める)を投資ポートフォリオに投資する。ユーザは強気(aggressive)から慎重(conservative)までの5段階のリスクオプションから選ぶ。

ユーザはいつでも、預金口座を設けてそこから引き出すこともできる(自動引き出し以外)。リスクオプションは途中で変えられる。

こうやってAcornsはユーザの貯金と利殖を助けるが、ユーザは自分のキャッシュへのアクセスを失うことはない。

iOSのローンチが8月だったが、今はアクティブユーザ数6万まで成長し、これならAndroidもいける、と判断した。プレスリリースによると、ユーザの1/3は22歳以下で、1/4は年額25000ドル弱の利益を得ている。

Acornsの収益源は月額1ドルの手数料プラス、投資額の0.25〜0.5%の管理費だ(後者は投資額によって異なる)。

同社はこれまで総額900万ドルの資金を調達している。

AcornsのAndroidバージョンはここでダウンロードできる。

〔ここにスライドが表示されない場合は、原文を見てください。〕


—ポートフォリオの構成—

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


フィンテック専門で、しかも途上国市場を対象とする新ファンドApis Partnersが立ち上げ

フィンテック(fintech, financial technology, 金融・財務テクノロジ)の育成専門、そしてアジア、アフリカなどの途上国をねらうVCファンドApis Partnersローンチした。当面のファンド基盤額は2億5000から3億ドル程度を目指す。

このファンドのファウンダはMatteo StefanelとUdayan Goyalの二人、Stefanelはこれまで、やはり途上国向けのプライベートエクイティ企業Abraajのパートナーだった。Goyalは、フィンテック向け投資/アドバイザー企業Anthemis Groupのファウンダだ。

今アフリカや南アジアでは、金融財務サービスのイノベーションが活気づいている。これらの市場には大量の‘アンバンク’(unbanked, 銀行口座を持たない)の人口がおり、彼らはPCなどを経ずにいきなりモバイルからネットユーザになる。そこでたとえば、Vodafoneが2007年に立ち上げた送金とマイクロファイナンスのサービスM-Pesa(pesaはスワヒリ語でお金の意味)は、アフリカで大人気となっている。

大手コンサル企業Accentureによると、全世界のフィンテック投資額は2008年の9億2800万ドルから2013年には29億7000万ドルへと、3倍以上増加している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


企業の財務分析の「脱Excel」を目指すThinknumが$1Mを調達、プライベートスペースとポートフォリオツールをローンチ

21世紀の企業の財務分析をMicrosoft Excelから卒業させたいと、決意したフィンテック(fintech, financial tech)スタートアップThinknumが、同社の将来に賭ける投資家Pejman Mar Venturesが率いる投資ラウンドにより100万ドルのシード資金を獲得した(同VCはこれまで、DropboxZooskLending Clubなどのシードも担当した)。今回のラウンドに参加したそのほかの投資家は、Signature CapitalGreen Visor Capital500 Startups、645 Angels、そしてHKB Capitalだ。資金は主に、ソフトウェア技術者の増員に充てられる。

2013年にGregory UgwiJustin Zhenが創業したThinknumは、財務分析をスプレッドシートの縛りから解き放ち、経営を数値で把握するためのもっと良いツールを企業に提供したい、と考えている。それは、重要な財務データへのアクセス性が良くて、しかも、スプレッドシートをあっちこっちやりとりすることに比べて、ずっと良質なコラボレーションや情報共有が可能なツールだ。また、グローバルな投資コミュニティとは無縁な途上国の企業にも、優れた財務分析ツールを提供していきたい、と願っている。

 

 

本誌は今年の3月にThinknumを比較的詳しく紹介したことがある。

しかしその後同社はユーザインタフェイスを一新し、企業のためのプライベートな(非公開、外部アクセスなし、社内コラボレーションのみの)ワークスペースを月額200ドルでローンチした。またその一方、数千にものぼる公開企業の業績や財務状況を分析し比較できるポートフォリオツールもリリースした。それらの分析モデルにはユーザが作って提供しているものも多く、今では合衆国の公開企業の92%をカバーしている。

Zhenはこう述べる、“GregとぼくがThinknumを始めたのは、自分たちがウォール街のアナリストでありながら、ユーザが独自のデータを作ったり分析できる、柔軟性が大きく視界の広いツールがどこにもないことに気づいたからだ。今は、専門家のトレーダーやアナリストでさえも、スプレッドシートの即席の曲芸でモデル作りをやっている。ThinknumはWeb上で財務モデルの制作や操作ができる初めてのツールだ。財務データの市場は250億ドル規模の市場だが、それをディスラプトしたい”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. <A H