スペースXがStarlink衛星を新たに60機打ち上げ

SpaceX(スペースX)は現在のFalcon 9によるStarlinkミッションにおいて標準サイズとなる60機の衛星を打ち上げた。実験的なものや軌道から離脱したものまでを考慮に入れると、これにより軌道上で約1000機の衛星が活動していることになる。この動きは同社が現在、または将来計画されているカバーエリア内なら誰でも、Starlinkへの注文を開始したことに続くものだ。

Starlinkは、小型の低軌道衛星を利用したグローバルな衛星ベースのインターネットサービスだ。歴史的にブロードバンド衛星は、地球から遠く離れた固定軌道上に存在する大型かつ高価な衛星であり、単一のカバーエリアにサービスを提供してきた。地球からの距離と基地局への接続方法のためにレイテンシーが非常に高く、接続も安定しなかった(機内Wi-Fiを利用したことがある人ならわかるだろう)。SpaceXのコンステレーションでは、衛星を地球の近くに配置することでレイテンシーを改善し、衛星が地球を周回してお互いに接続を引き継ぐので、コンステレーションのサイズが大きくなるにつれて理論的にはより安定した接続が提供できる。

最終的にSpaceXは、地上インフラの問題でネット接続環境が脆弱な地域にサービスを提供することに重点を置き、Starllinkでグローバルなカバーエリアを提供することを目指している。最近になって、SpaceXはクローズドベータをオープンベータに拡大しており、顧客は住所を確認した後でStarlinkのウェブサイトからサインアップし、デポジットを全額支払うことでハードウェアキットを注文できる。

Starlinkのハードウェアキットには、顧客がサービス地域にて設置できる小型の衛星受信アンテナが含まれている。サービス自体の料金は月額99ドル(約1万500円)で、機器の価格は499ドル(約5万2900円、初回1回限り)だ。SpaceXのElon Musk(イーロン・マスク)CEOは最近Twitterで、初期投資の大部分が回収されればコストは時間の経過とともに下がっていく計画だと述べている。マスク氏はStarlinkをスピンオフして最終的にはIPOを行う計画だとし、「キャッシュフローを合理的に予測することができます」とも述べている。

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タグ:SpaceXStarlink

画像クレジット:Starlink

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(文:Darrell Etherington、翻訳:塚本直樹 / Twitter

超音速航空機のアエリオンが高速2点間飛行の技術研究でNASAと提携

Aerion(アエリオン)は約10年前から商業超音速飛行の新時代を切り開くために取り組んできたが、その知識を超音速2点間飛行の追求に生かすため、NASAと新たなパートナーシップを締結したことを発表した。これはつまり、地球上のある場所から別の場所へ非常に迅速に移動する人々のために、一般的に宇宙への打ち上げに関連づけられている高速飛行を利用するということだ。

この新たな提携は、基本的にNASAがさまざまな目標を達成するために民間企業の援助を求めることを認める(宇宙法協定)に基づくものだ。

NASAはこれまで長い間、高マッハ、超音速の航空機技術を開発してきた。特にLockheed Martin(ロッキード・マーチン)社と製造・飛行の契約を結んだ「X-59 QueSST」は、超音速機が比較的静かに飛行することができることを示す実証機で、音の壁を破ったときにほとんどの超音速機が発する衝撃波による轟音を回避する、いわゆる「低ソニックブーム」性能を備えている。

NASAは2020年、Virgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)社と宇宙法協定に基づく同様の提携を発表したが、その目的は持続可能な超音速商業飛行の最終的な実現に向けた技術開発を支援することだった。

AerionとNASAとの提携は、特にマッハ3からマッハ5の速度における商業飛行技術を研究することに重点を置き、推進力や熱管理システム、発電、乗客と乗務員がキャビンで使用する技術に焦点を当てることになる。

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Aerion独自の民間超音速航空に対する取り組みとしては、ビジネス顧客向けのプライベートジェット機「AS2」が2023年に生産を開始する予定で、その後に商業用の超音速大型旅客機「AS3」が続くことになっている。

AerionとNASAとの提携は今回が初めてではない。両社は過去に2度、同様のプロジェクトで協力したことがあり、最初の協業は2012年に始まった。Aerionの航空機が生産段階に近づいた現在、米国の商業的に実行可能で持続可能な超音速旅客機技術の開発を支援するというお互いの目標に向けて、双方のパートナーが多くのものを得ることになりそうだ。

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タグ:AerionNASA超音速機

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

NASAが月周回有人拠点「Gateway」のパーツを打ち上げる2024年のミッションにSpaceX Falcon Heavyを指名

NASA(米航空宇宙局)は、将来の月探査ミッションの中継地として使用される月周回有人拠点であるGatewayの主要2モジュールをSpaceXが運ぶことを発表した。Power and Propulsion Element(PPE、電源・推進装置)とHabitation and Logistics Outpost(HALO、居住モジュール)が合わさって、初の月宇宙ステーションとして利用できるようになる。2024年にFalcon Heavyによって打ち上げられる予定で、推定金額は3億3200万ドル(約347億円)となる。

Falcon Heavyは、現在SpaceXがよく使用しているFalcon 9よりはるかに大きい積載能力があり、2018年初めのテスト打ち上げに成功(StarmanとTesla Roadsterを載せていたのを覚えているだろうか?)して以来、商業打ち上げを2回しか行っていない。Arabsat-6Aが2018年4月に、その数カ月後にSTP-2が打ち上げられたが、それ以来Falcon Heavyは行動を起こしていない(ただし、いくつかミッションが2022年に計画されている)。

関連記事:SpaceXのFalcon Heavyが全ブースターの着陸に初成功

NASAが、これら2つの最重要モジュールを月軌道に運ぶ打ち上げ機材としてこの選択を行ったことは、Falcon Heavyにとってこの上ないお墨つきであり、NASAのSpace Launch Systemの遅れが続くようなら、今後さらに仕事が増えるかもしれない。

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通称PPEとHALOと呼ばれる2つの部分は、自立型月軌道居住にとって不可欠な機能を提供する。実質的には、加圧室と設備の運行と操縦に必要な電源装置の組み合わせだ。たしかにそれは基本といえる。

どちらも巨大であり、10個の部分に分けて小さなロケットで送ることはできない。しかし、極めて希少な重量級打ち上げ機は存在する。そしてどうやらNASAは、SpaceXが最善の選択だと決めたようだ。すでに3回のミッションに成功している。

このミッションの打ち上げと関連コストは3億3200万ドルで、SpaceX、NASA、Northrop Grumman(HALOを製造している)およびMaxar(PPEを製造)の多くの共同作業を必要とする大がかりな投資となっている。

月周回Gatewayに推進部分と最初の居住部分がつながったところ。必ずしも広くはないが景色は最高だ。CG画像(画像クレジット:NASA)

現在、予定されている打ち上げ時期は2024年以降だが、さまざまな遅れが生じることを考えると日付は変わる可能性がある(むしろ可能性は極めて高い)。Artemisプロジェクトは現実との調整に終われ、過去4年間に立てられた意欲的計画の目標日付は未だに決まらず、過去の計画はつい先日決めた計画を守っているものもほとんどない。再び月へ行く5~6年の計画さえ未だに曖昧で、それは「私たちはそこへいって滞在する」というNASAの決り文句も怪しくなってきた。

今後、数カ月間のうちに状況が見えてくれば、新しい計画について情報が入るだろう。

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nob Takahashi / facebook

軌道上の衛星間で放出されるビームにデータを保存するLyteLoopが42億円調達

間もなくあなたのクラウド写真バックアップは、巨大で多量のエネルギーを消費する地上のサーバーファーム施設ではなく、衛星間で放出される光のビームに存在するようになるかもしれない。スタートアップのLyteLoop(ライトループ)は、それを可能にする上での物理学の課題を解決すべく過去5年を費やしてきた。そして同社は現在、大胆なビジョンを現実のものにすべく、残るエンジニアリングの障壁を乗り越えるのに使う4000万ドル(約42億円)を調達した。

LyteLoopの新たな資金は次の主要なマイルストーンを達成するまでの十分なランウェイとなる。そのマイルストーンとは、3年以内に新しいデータストレージテクノロジーを搭載したプロトタイプの衛星3基を軌道に乗せることだ。同社はプロトタイプを6基開発して打ち上げる予定で、レーザーベースのストレージ手段がどのように軌道上で稼働するのかをデモンストレートする。

筆者はLyteLoopの進捗状況、テクノロジー、そして計画についてCEOのOhad Harlev(オハド・ハーリウ)氏に話を聞いた。ハーリウ氏は今回の資金調達までに5年かかり、同社のデータストレージ手法の基礎となるサイエンスにかなり自信を持っており、現在使われている従来のデータ保管テクノロジーを超えて提供できる利点について胸躍らせていると話した。たとえばLyteLoopのストレージの枠組みではセキュリティはかなり高まる。

「どのデータセンターでも、データセキュリティに関するレベルの上限は同じです。当社はさらに4重のサイバーセキュリティを提供でき、それらはすべて物理ベースです、すべて地上でも応用でき、当社のデータセンターにも応用できます。しかし、たとえば光子にデータを保存しているということについては、当社では量子暗号に応用できます。他社はできません。加えて、データは宇宙で光の速度で動いているのでセキュリティ上大きなメリットがあります」。

セキュリティに加え、LyteLoopのモデルではプライバシーでも利点がある。というのも、保存しているデータは技術的に常に衛星間を移動しているからだ。つまり、ストレージ施設のドライブに保存されたデータについての規制とは完全に異なるものの対象となることを意味する。LyteLoopはまた、アクセスに関してもアドバンテージがあると主張する。ストレージとネットワークが1つの同じ衛星にあり、衛星は地球上のどこのステーションへも情報を提供できる。最後に、ハーリウ氏は信じられないほど電力効率がよい点を指摘した。電力とともに、冷却するのに何百万ガロンもの水を必要とするのは現在のデータセンターストレージの欠点だ。

それらにも増して、LyteLoopのストレージは現在のクラウドベースのストレージソリューションと価格面で競争力があるばかりか、より利用しやすい価格になるとハーリウ氏は話す。SpaceXが繰り返し打ち上げ、そしてVirgin OrbitやRocket Labといった小規模の衛星打ち上げプロバイダーがサービスを開始し、打ち上げ能力を拡大するにつれて打ち上げコストが下がるという要因を抜きにしてもだ。

「衛星を作って打ち上げるのはかなり費用がかかりますが、それでも宇宙にストレージを維持することでかなり費用を抑えられます」と同氏は述べた。「なので所有権のトータルコストを算出するとき、当社のものは所有ベースのコストではかなり安くなります。実際のユーザーができることを比較したとき、当社は完全に異なる価格モデルで提供できます」。

ハーリウ氏はストレージとデリバリーを組み合わせた包括価格の可能性についても言及した。たとえば他のプロバイダーはあなたが保存しているデータを動かすのにネットワークを供給することを求めるかもしれない。LyteLoopのテクノロジーはまた、生態的影響をかなり減らせるので、企業の二酸化炭素排出の抑制にかかっている支出を相殺するかもしれない。

同社は衛星をマーケットに持ってくることに真っ向から取り組んでおり、概念を実証しておおよそ5年以内に衛星のフル生産に乗り出す計画だ。サービスもその頃に提供を開始する。しかしLyteLoopの技術は地上でも刺激的な応用をもたらすかもしれない。フットボール競技場の大きさほどのLyteLoopデータセンターを作るとしたら、従来のデータストレージの500倍の効率になる、とハーリウ氏は話す。

物理的なメディアではなく光子にデータを保存するという同社のテクノロジーは、現在の方法ほどに問題をともなわず、環境への影響を軽減するだけでなく物理的なメディアよりも理に適っている。事業立ち上げはコスト削減のために軌道への質量の最適化がすべてで、光子は質量ゼロだとハーリウ氏は指摘している。

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タグ:LyteLoop資金調達

画像クレジット:LyteLoop

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

Isotropic Systemsが新しいコンステレーションを最大限に活用する衛星アンテナで42億円を調達

英国のIsotropic Systems(アイソトロピック・システムズ)は、同スタートアップが「定員超え」と主張する投資ラウンドで4000万ドル(約42億円)を調達し、2022年を目標とする次世代ブロードバンド端末の生産段階に入る。これにより、同社が調達した資金の総額は6000万ドル(約63億1000万円)となった。今回のシリーズB投資ラウンドはSESが主導し、べンチャー投資側ではBoeing HorizonX、Space Angels、Orbital Venturesが参加。さらに、英国政府の助成金も含まれている。

Isotropicの事業の中核は、新しいタイプのブロードバンド端末だ。複数の周波数にまたがった通信が可能で、同時に複数の衛星ネットワークに、個々の信号の品質や通信速度を一切落とすことなく接続できるというものだ。つまりその最終的な製品は、OneWeb(ワンウェブ)、SpaceX(スペースエックス)、Intelsat(インテルサット)、SES、Amazon(アマゾン)などの現在整備されつつあるいくつもの衛星ブロードバンドネットワークに、地上で同時に接続して利用できる利便性を利用者に提供する。

同スタートアップは、英国のレディングに2万平方フィート(約1860平方メートル)の試験と予測のための施設を開設し、最初の実用版地上端末の生産を2022年までに開始する予定だ。この完成版が宣伝どおり機能すれば、衛星ネットワークの接続プロバイダーにとっても、一般ユーザーにとっても大きな前進となる。なぜなら衛星ネットワークを使おうとするユーザーは、利用可能なサービスから1つを選ぶ必要はなく、たった1つのハードウェアソリューションで複数のネットワークに対応でき、その中で最善の通信速度を享受できる上に、ネットワーク冗長性も獲得できるからだ。

関連記事:通信衛星企業OneWebが36基の衛星をロシアで打ち上げ、2020年春の破産申請を乗り越え

経済的に合理性がある限り、その恩恵は明らかだ。たとえば国際線の飛行機でWi-Fiを利用する場面を想像してみてほしい。どう控えめにいっても、飛行機で使えるネットワークは安定性が低い。通信可能な範囲や品質の急激な低下は日常茶飯事だ。最高の条件が整ったときですら、速度が上がらないことが多い。Starlink(スターリンク)などのネットワークは、こうした数ある昔ながらの問題を改善したいと考えているが、さらに上をいくのが、複数の衛星ネットワークに同時に接続できるこのソリューションだ。必要に応じてネットワークを切り替えつつ常に最良のネットワーク品質を保ち、速度をさらに向上できると思われる場合には、利用可能な周波数帯域も組み入れる。

Isotorpicの潜在顧客は、軍事、政府、民間の各市場のブロードバンドから低データ速度のIoTの分野にまで広がっている。今回調達した資金により同社は、その画期的な製品の生産規模の実現性と、約束どおりの有効性の実証を可能にするだろう。

カテゴリー:宇宙
タグ:Isotropic System資金調達衛星コンステレーションブロードバンド

画像クレジット:Isotropic

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(文:Darrell Etherington、翻訳:金井哲夫)

宇宙で気候変動に強いワイン用ブドウの木を育てるSpace Cargo Unlimited

宇宙の商業化では、安価な小型衛星にどんな新しいセンサーを載せるかが話題になるが、製造や生産に役立つ微小重力の恩恵を研究も外せない。ヨーロッパのスタートアップSpace Cargo Unlimited(スペース・カーゴ・アンリミテッド)は、微小重力の利点を収益性のある地上でのベンチャーに活かす事業を進めているが、このほど、世界的なワインの種苗企業Mercier(メルシエ)と組んで、宇宙の利点を活かした丈夫なワイン用ブドウの栽培を行うと発表した。

Space Cargo Unlimitedは、微小重力がワインに与える影響について、すでにいくつか実験を行ってきた。2019年には国際宇宙ステーション(ISS)に赤ワインを1箱送っている。ワインは、ほぼ0Gに近い環境で丸12カ月間寝かされてから、2020年、地上に戻ってきた。現在、同スタートアップは宇宙でのバイオテックに特化した子会社Space Biology Unlimited(スペース・バイオロジー・アンリミテッド)を立ち上げ、Mercierと共同で栽培地の気候変動に強いワイン用ブドウの新しい品種の開発に乗り出した。

Space Cargo Unlimitedはボルドーのケースだけでなく、320本のブドウの茎(基本的に新芽の成長によって生まれたかブドウのコア構造)も宇宙に打ち上げている。同社はつい先日、SpaceX(スペースエックス)の貨物船でISSから帰還した茎を受け取ったところだ。送られた茎の半数はメルロー種で、もう半数がカベルネ・ソーヴィニヨン種だが、MercireのCEOであるGuillaume Mercier(ギョーム・メルシエ)氏は声明の中で「前代未聞の生物学的変化」が見られたと語っている。これらは現在クローン培養され、「急速に温暖化が進む地球」での発育において優位性が示されるかが調べられていると彼は話す。

バッテリーの生産から積層製造、基礎的な化学および医療用製造に至るあらゆるものが、微小重力環境で試されている。微小重力には、最もわかりやすい例として、重力による物理的な緊張が軽減されることで地上では困難な複雑な構造体の製造が可能になるという効果がある。その特異な環境では、放射パターンが地上と大きく異なることもあり、有機構造体の成長と発達に予想外の変化が引き起こされる。地上で自然に発生するものではないが、再現することで有用な結果が引き出せることもある。

ISSを利用した微小重力の効果に関する研究は、何年も前から行われている。しかし、宇宙へのアクセスが安価になり機会も増えたことで、それまでは費用やスケジュールの折り合いが付かず手が出せなかった多くの企業やスタートアップにも、ずっと現実的な商業利用の道が開かれた。Space Cargo Unlimitedは、この成長分野で収益が上げられる大変に有利な位置にある企業だといえる。

カテゴリー:宇宙
タグ:Space Cargo UnlimitedMercier植物ワインISS

画像クレジット:Space Cargo Unlimited

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(文:Darrell Etherington、翻訳:金井哲夫)

宇宙開発のFirefly Aerospaceが月面着陸船契約をNASAと98.4億円で結ぶ

NASA(米航空宇宙局)は、実験設備を搭載した月面着陸船モジュールを月面に運ぶために、9330万ドル(約98億4000万円)の契約をFirefly Aerospace(ファイアフライ・エアロスペース)と結んだ。Fireflyは打ち上げ自体は行わないが、2023年に予定されているミッションに対して宇宙船と着陸船「Blue Ghost」(ブルーゴースト)を提供する。

NASAは現在進行中であるCommercial Lunar Payload Services(CLIPS、商用月面ペイロードサービス)の一部としてこの契約を結んだ。このサービスにはBlue Origin(ブルーオリジン)、Astrobotic(アストロボティック)、Masten(マステン)といった、これまで主力ではなかった宇宙企業も選ばれて肩を並べている。

この契約の公募がCLIPSパートナーたちに対して行われたのは2020年9月である。Fireflyがそれを勝ち取ったわけだ。

NASAのThomas Zurbuchen(トーマス・ズルブチェン)科学副長官はこの契約を発表したリリースの中で「新しいCLIPSプロバイダーが、初のタスクを勝ち取ったことを喜んでいます」と語っている。ここ数年来、NASAは打ち上げサービスから衛星や宇宙船の製造に至るまでのすべての部門で、民間業者をますます新たに受け入れるようになってきている。

正確にいえば今回のNASAからの注文はFireflyにとっては初めてのものではない。その国家安全保障関連子会社であるFirefly Black(ファイアフライ・ブラック)が、Venture Class Launch Service Demo-2(ベンチャー・クラス・サービス・デモ2)ミッションのために2つのキューブサットを打ち上げることになっているからだ。しかし今回の契約は、比べるとはるかに大規模かつ複雑なものだ(高価なのはいうまでもない)。

これはFireflyのBlue Ghost着陸船にとって、初の月面着陸となる。同社は過去数年にわたり、月に対する新たな関心の下で準備を続けていた。BlueGhostは10個の科学実験装置を搭載する(詳細はNASAがここで説明している)が、その中にはたとえば新しいレーザー反射装置や、実験的な耐放射線コンピューターなどが含まれている。搭載されるものはたくさんあるのだが、BlueGhostはその他、月に運びたいもののために50kg分の場所を残してあるはずだ。

着陸が計画されているのは危難の海(または危機の海、Mare Crisium)である。これは月の「表側」にある盆地の1つだ。ここに送り込まれた機材たちは、将来の訪問や月面への入植に対する情報を提供するために、継続して貴重な観測や実験を行うことが期待されている。

また、Fireflyは着陸船を月面に運ぶ宇宙船を提供し、何よりもまず着陸船を地球から離陸させる責任を負うことになる。同社は私に現在そのためのオプションを評価中であると語った。2023年までには、たくさんの選択肢が生まれているはずで、実際Firefly自身のAlpha(アルファ)打ち上げ機もそれまでに稼働しているかもしれない。とはいえ同社は現時点では月軌道投入の準備は整っていない。同社は3月にAlphaの初飛行を予定している。

関連記事:NASAが月面ミッションを記録する革新的な新技術を一般に広く募集中

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タグ:Firefly AerospaceNASA資金調達

画像クレジット:Firefly Aerospace

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(文:Devin Coldewey、翻訳:sako)

Omnispaceは63億円を調達し衛星と5Gを単一のユビキタスネットワークに統合

この数年間、周波数帯域が広がり遅延が減ると無線事業者やスマートフォンメーカーが5Gを大げさに宣伝しまくり、大騒ぎになっている。しかし、消費者の関心を多く集めている5Gだが、その次世代無線技術のもっとも重要な用途は、むしろ事業者の側にある。わかりやすい例が自律運転車だ。それが機能するためには、エッジコンピューティングと低遅延高帯域幅通信の組み合わせが欠かせないとされている。

だが、おそらく自律運転車よりもずっと面白くて、今すでに実用化可能な利用法がある。農場では、ネットワーク接続が農器具の管理、家畜の監視、そして農作物の育成を最適化する水利用の分析の役に立つ。物流業界では、グローバルなサプライチェーンの監視や、世界の港から港へ慎重に運ばれるコンテナの追跡などが欠かせない。

ただひとつだけ問題がある。基地局の設置が採算に合わないために数が少なく間隔も広く空いてしまっている僻地では、5G無線通信を導入しにくいという点だ。ましてや洋上には、無線基地局などひとつもない。

ワシントンD.C.を拠点とするOmnispace(オムニスペース)は、ユビキタスな5G無線ネットワーク接続を、地上の無線技術と人工衛星のハイブリッドで法人ユーザーに提供したいと考えている。同社のアイデアは、地上と宇宙という2つの異なるモードをひとつのパッケージに凝集することで、農業や物流などの法人エンドユーザーが、そのIoT接続をいくつもの異なる技術間で転送する必要なく、安定した5G接続を確実に得られるようにするというものだ。

本日(米国時間2月2日)、同社は株式投資6000万ドル(約63億円)の調達を発表した。この投資ラウンドは、現在急成長中のFortress Investment Groupでクレジット運用の責任者を務めているJoshua Pack(ジョシュア・パーク)氏と、同社のSPACのひとつFortress Value Acquisitionの主導によるものだ。また、以前からの投資者であるColumbia Capital、Greenspring Associates、TDF Ventures、Telcom Venturesも参加している。

Omnispaceは、周波数割当資産、なかでも2ギガヘルツ周辺の「Sバンド」帯域のための持ち株会社として2012年に創設。後に、倒産した衛星通信プロバイダーICO Globa(アイシーオー・グローバル)の残党によって買収された。2016年初めにOmnispaceに加わったCEOのRam Viswanathan(ラム・ビスワナータン)氏によると、同社は、さまざまな保有資産をテクノロジーのレイヤーを使って統合することを考え始め、やがて、IoTの特定分野に向けたグローバルな5G無線接続の活用という好機を探り当てたという。

「5Gの展開は、移動体通信事業者のカバー範囲と展開の仕方によって制限されます」とビスワナータン氏。従来型の地上用の無線技術に頼るかぎり「地上の全域、または全顧客をカバーすることできません」。「衛星の主要ユーティリティーは、ネットワークのカバー範囲を、僻地にまで大きく広げます」

ビスワナータン氏は、衛星と無線通信の市場で数十年の経験を持つ。直近では、インドを中心としたネットワーク接続スタートアップDevas Multimedia(ディバス・マルチメディア)を共同創設し、同社の衛星打ち上げのキャンセルを巡ってインド政府と長期にわたる法廷闘争を続けてきた。最近になってアメリカの裁判所は、インドの政府関連商業化法人に対して、12億ドル(約1260億円)の賠償金をDevasに支払うよう命じた

SpaceX(スペースエックス)のStarlink(スターリンク)プロジェクトと比べたくなるが、Omnispaceは消費者向けのブローロバンド市場には目を向けていない。むしろそのターゲットは法人とIoTユースケースだ。さらにOmnispaceは、異なるテクノロジーを組み合わせたハイブリッドネットワークであるのに対して、Starlinkは宇宙での展開に特化している。

Omnispaceは、Fortressからの今回の新しい投資資金を使ってサービスの肉付けを行い、移動体通信事業者数社との試験運用を完了させ、2023年からのネットワークの商用運用開始に向けた準備を進める予定だ。ビスワナータン氏は「あらゆる地域をカバーする足場」を築き「サービスのグローバル展開を目指す」と話している。

Omnispaceは、宇宙戦略を実行するためにフランスの宇宙防衛複合企業に属するThales Alenia(タレス・アレーニア)と提携した。地上では、所有する帯域資産と複数の移動体通信事業者とを結び付けて、ひとつにまとまったソリューションを生みだそうとしている。まずは、アジア太平洋地域と中南米地域で重点的に展開する。

関連記事:SpaceXが地方ブロードバンド推進基金から920億円獲得、ファイバー網を引けない地域でのStarlink衛星サービスに期待

画像クレジット: Yuichiro Chino / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

ロケットスタートアップAstraがSPAC経由でNASDAQに上場の予定、ステルスから現れて1年

昨年12月にアラスカからのテスト打ち上げで宇宙空間に到達したばかりのロケット打ち上げスタートアップAstra(アストラ)が、Holicityという特別目的買収会社(SPAC)との合併を通じNASDAQに上場することになった。最近のSPAC熱はすでに宇宙ビジネスセクターにまで及んでおり、Virgin Galacticがこの新しい波に乗って上場した企業の一つであることを見ると、宇宙船打ち上げについては前例があるが、NASDAQに上場するのはAstraが初めてとなる。

取引の条件は、Holicityが信託で保有する3億ドル(約315億円)と、BlackRockが運用するファンドからのPIPE(パブリック・エクイティへの私募投資)による2億ドル(約210億円)の注入を合わせて、Astraに5億ドル(約525億円)の現金がもたらされることが予想される。この取引によりAstraのプロフォーマ評価額は約21億ドル(約2205億円)となるが、これは同社の評価額から、SPAC合併によってもたらされる5億ドル(約525億円)の現金を差し引いたもの。Astraは、今年の第2四半期までに合併を完了し、その後はティッカーシンボル「ASTR」で取引される予定だ。

Astraはカリフォルニア州アラメダの施設で、小型の軌道上ペイロードを運ぶために設計された独自のロケットを製造している。これまでのところ、アラスカ州コディアックにロケットを輸送して飛行を実施しているが、実際の宇宙港施設ではほんの一握りのスタッフがロケットの搭載と打ち上げを担当した。チームの大部分は、カリフォルニアにあるミッションコントロール施設から遠隔操作で飛行を監督した。同社のモデルは、比較的安価なロケットを高い供給能力で生産することに重点を置いており、ニーズに応じてほぼどこでも出荷・打ち上げが可能だという。

12月のテストが成功したことで、Astraは、打ち上げモデルの構築と反復型開発の作業に何年もかけて取り組んできた成果を得ることができた。同社はもともと、衛星を迅速に打ち上げることを目指し、DARPA(Defense Advanced Research Projects Agency、米国防高等研究計画局)が資金提供して実施した技術開発レースを追求していたが、そのレースは賞金の該当者が出ることなく期限切れになってしまった。12月に行われたテストの成功により、Astraのモデルの実行可能性は証明されたが、実際にペイロードを届けるための軌道速度を達成するにはわずかに足りなかった。同社によると、これは比較的簡単に解決できる問題であり、ソフトウェアの微調整で完全に管理できるとのことで、今年の夏には最初の商業衛星を納品する予定だという。

Astraは、最終的には2025年までにペイロードを毎日のように打ち上げることを目標としている。SPACのニュースに伴うブログ記事の中で、Astraの創業者兼CEOのChris Kemp(クリス・ケンプ)氏は「宇宙サービスのプラットフォームを構築する」ことにも取り組んでいきたいと述べており、現在のロケット事業の域を超えた野心を示唆している。

関連記事:ロケット打ち上げスタートアップAstraのロケットがカーマンラインを超えて周回軌道へ

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タグ:Astra 新規上場 SPAC

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nakazato)

SpaceXのプロトタイプStarship飛行実験は今回も成功、しかし着陸でまた爆発

画像クレジット:SpaceX

SpaceXは南フロリダで建造中の宇宙ロケットであるStarshipの打ち上げテストを再び実施した。今回テストされたのはプロトタイプの9機目となるSN9だ。発射後、SN9は高度3万3000フィート(約10km)まで上昇した。高度に達した後、SN9は再突入角度に姿勢を変え(低高度で大気圏内だったため姿勢変更は本番とは異なるモードのシミュレーション)、逆噴射による制御された着陸のために降下を開始した。

これは、2020年12月にSN8で行われたテストに続く2回目のテストだった。今回のテストでSN9は目標高度に到達し、姿勢を逆転させる「ベリーフロップ」にも成功。酸化剤の投棄、推進剤の切り替えにも成功した。しかし残念ながら、着陸はスムーズにいかなかった。着陸のための垂直姿勢を取ろうとしたが失敗し、十分に減速できないまま降下してタッチダウンの際に爆発してしまった。

画像クレジット:SpaceX

SpaceX社の2020年に行われた最初のテストも非常に似た経過だった。最後の着陸部分を除いてはすべてほぼ順調に進んだ。同様に着陸に失敗したとはいえ、SN8のテストのほうが今回より姿勢制御が良好だったように見える。しかし飛行のデータやパラメータは多岐にわたるため、動画を見た印象であまり多くを語ることはできない。

Starshipは再利用を前提としているため、着陸操作に成功することが必須となっている。完全な再利用性を実現するためには、ロケット噴射によるパワードランディングが必要であり、当然だが、この際に爆発してはならない。しかし同社が指摘しているとおり、テストにおける他の部分は順調だったように見える。

この種の初期段階のテストは、計画どおりに進むとは期待されていない。重要なのは、実験を繰り返して開発の改善に役立つデータを収集することだ。もちろん開発チームは最初のテストから予定どおりに動作することを望んでいるが、実際にはそのようにうまくいくことは滅多にない。むしろ珍しいのは、このような初期段階の実験でSpaceXが動画中継を含めて多数のデータを公開している点だ。

SpaceXはすぐに3回目のテストに挑む予定だ。同社はすでにSN10プロトタイプをテキサス州の打ち上げ基地に運び込み、発射台への設置も終えている。上の動画でテストされたSN9の横に見えているもう1つのロケットがSN10だ。

関連記事:SpaceXのプロトタイプロケットが着陸時に大爆発、しかし飛行テストは成功

カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceXStarship

画像クレジット:SpaceX

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(文:Darrell Etherington、翻訳:滑川海彦@Facebook

SpaceXが初の完全民間有人宇宙飛行を2021年中に実施、Shift4 Paymentsのジャレド・アイザックマン氏ら4人が乗船

SpaceX(スペースX)は、初の完全民間有人宇宙飛行ミッションの計画を発表した。高価な銀河系旅行の打ち上げは、2021年第4四半期の実施を予定している。このミッションには、SpaceXの宇宙船Crew Dragonと打ち上げロケットFalcon 9が使用され、決済プラットフォームShift4 Payments(シフトフォー・ペイメンツ)のCEOであるJared Isaacman(ジャレド・アイザックマン)氏が選ばれた3名のメンバーとともに乗船し、アイザックマン氏と彼の会社およびSt. Jude Children’s Research Hospital(セントジュード小児研究病院)がスポンサーを務める。これも製品の採用を推進する方法の1つだ。

ミッションはInspiration4と呼ばれ、すでにデジタルの世界では大きく注目されており、カウントダウンタイマー付きのウェブサイトもある。4人乗りの座席のうち2つはセントジュード病院に贈られ、その1つは小児病院の前線で働くヘルスケアワーカー(すでに決まっているが、アイザックマン氏が彼女は多様な選択肢の1人であると言った以上は明かされていない)に、もう1つはセントジュードに寄付した人たちによるオンラインコンテストの参加者から選ばれる。最後の1席はShift4のeコマース向けオンラインプラットフォームでビジネスを構築した起業家に渡る。

アイザックマン氏はセントジュード病院に1億ドル(約105億円)を寄付することをInspiration4キャンペーンの一環として約束しているほか、キャンペーンを通じた寄付でさらに1億ドルを集める見込みだ。アイザックマン氏は16歳の時にShift4 Paymentsを開業し、現在、年間2000億ドル(約20兆9800億円)以上の取引が行われているが、同氏は他に民間空軍を創設、指揮していたこともあり、後に大手国際民間軍事企業のBlackstoneに売却した。アイザックマン氏の会社は米国空軍のためにパイロットの訓練を行い、彼自身も商用および軍用飛行機の訓練済みパイロットとして認定されている。

Shift4 Paymnentの創業者でCEOのジャレド・アイザックマン氏。SpaceX初の完全民間有人飛行の最初のメンバーに選ばれた(画像クレジット:SpaceX)

アイザックマン氏は、宇宙船Dragonの指揮官を務める。宇宙船は完全自動で飛行するが、緊急時にはある程度の専門知識を持つ者が船内にいる必要があるので、理に適った選択だ。アイザックマン氏のパイロットとしての経歴と大富豪であることを考え合わせると、この役割の有力候補である。

ミッションの性質上、事前の民間宇宙飛行士訓練があり、軌道メカニズムや無重力操作などの指導も受ける。フロリダ州のケネディ宇宙センターから飛び立ち、地球軌道を複数(約90分間に1回)周回し、宇宙船は複数日間、宇宙に留まる。SpaceX創業者のElon Musk(イーロン・マスク)氏は、最終的にはジャレド(・アイザックマン)の判断になるが、会社は2~4日間を想定していると語った。その後、地球の大気圏に突入し大西洋に着水してSpaceXクルーに回収される。当ミッションではこのフライトのために現在国際宇宙ステーションにドッキングしているSpaceXのDragonカプセルを使用するつもりで、打ち上げに関するNASAの承認と協力を取り付けてある、とマスク氏は語った。

以前SpaceXは、宇宙船DragonがNASAから有人飛行の認定を受けたあかつきには、民間ミッションを実施したいという意向を明らかにしていた。今私たちは最初の専用民間ミッションの打ち上げが迫っていることを知ったわけだが、それはVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)の準軌道宇宙循環機による日帰りツアーをはじめとする他の民間宇宙旅行計画を追い抜くかもしれないということでもある。

フライトはどの軌道を目指すのかを尋ねられたマスク氏は、「強調したいのは、どこへ行きたいかを決めるのは、本人次第だということだ。私たちはそこへ連れていく」とはぐらかし、アイザックマン氏が近日中に決定して発表するとつけ加えた。別の質問で、乗組員はどんな装備を持ち込めるのかと尋ねられると、マスク氏は再び船長に委ね「過ごす時間に安らぎをあたえるものがあれば、ちょっとすてきですね」とアイザックマン氏は語った。

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カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceXFalcon 9Crew Dragon民間宇宙旅行

画像クレジット:SpaceX

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nob Takahashi / facebook

bluShift Aerospaceがバイオ燃料を動力源とする初ロケットを打ち上げ

宇宙開発スタートアップのbluShift Aerospaceは、生物由来のロケット燃料を動力とするロケットで、小型衛星打ち上げ市場に新しい手段を提供したいと考えている。これは従来の燃料とは異なり、取り扱い時の安全性や製造および使用時に環境負荷が小さいという利点がある。同スタートアップは2014年の創業以来、固体ロケットバイオ燃料の開発に取り組んでおり、メイン工科大学とNASAのSmall Business Innovation Research(SBIR)プログラムから援助をを受けて、燃料の配合やロケットエンジンの設計を改良しここまでたどり着いた。

同社は米国時間1月31日日曜日に、最初のロケットとなる小型サウンディングロケットStardust 1.0を低空に打ち上げるという、マイルストーンを達成した。同ロケットは18ポンド(約8.2kg)のペイロードしか積めない単段ロケットのプロトタイプで、準軌道飛行をするように設計されている。これは大したことのないようにみえるかもしれないが、小型の研究機器を弾道軌道に投入するには十分であり、小規模な企業や学術機関による打ち上げが可能なコストの範囲内に収まっている。

画像クレジット:Knack Factory/Courtesy Aerospace

Stardust 1.0はまだプロトタイプではあるが、再利用可能な設計となっている。またbluShiftは、Startdust 2.0も開発中で、ペイロード容量を増加させ、その後の商用生産と運用が期待されている第2のプロトタイプだ。Starless Rogueは準軌道ミッションのための2段式ロケットで、Red Dwareは地球低軌道に到達できるペイロード66ポンド(約30kg)の3段式ロケットだ。

日曜日の打ち上げは最初はロケット点火のテストで、離陸しなかったため最初はうまくいかなかったように見えた。2回目のリセットの後、やはり点火は失敗した。そしてその日の遅く、ついにロケットは離陸し、bluShiftはメディアへのフォローアップの電話で「完璧にいった」と語った。

カテゴリー:宇宙
タグ:bluShift Aerospace

画像クレジット:Knack Factory/Courtesy Aerospace

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(文:Darrell Etherington、翻訳:塚本直樹 / Twitter

積層造形によるロケット燃料の商業化を目指すFirehawk Aerospaceがシード資金2.6億円調達

画像クレジット:Firehawk Aerospace

ロケット燃料テクノロジーのスタートアップFirehawk Aerospaceは、新ラウンド120万ドル(約1億3000万円)を調達し、既存のシード資金と合計して250万ドル(約2億6000万円)のベンチャー資金を得た。ラウンドはColby Harlowが運営するダラスを拠点とするベンチャーキャピタルのHarlow Capital Managementがリードした。投資を機に同社はFirehawkの取締役会に加わる。

2020年9月のTC Disruptは初めて完全にリモートで開催されたが、Firewhawkはそのスタートアップバトルフィールドの最終選考に残った。積層造形(簡単にいえば高度な3Dプリント)を利用して開発された新種のハイブリッド燃料は、ロケット打ち上げの安全性や製造・輸送コストを大幅に向上させるのが狙いだ。ハイブリッド燃料は液体燃料と固体固体燃料を組み合わせたもので、アイデアとしては新しいものではない。しかし従来のテクノロジーでは、既存の完全固体、完全液体燃料の代替となるだけのメリットを実現できなかった。

同スタートアップの最高科学責任者であるRon Jones(ロン・ジョーンズ)氏は、2種類の新しいアプローチで制限を突破したという。1つは硬質ポリマータイプの燃料を使用すること、もう1つは液体を型に注入して硬化を待つという現在の方法に代わって、積層造形を使用して燃料構造を作成することだった。

現在、Firehawkはシード資金を利用して商業化に必要な規模でテクノロジーをテストし、パートナーシップと潜在顧客を発見していく予定だ。また、テキサス州とオクラホマ州の両施設で研究開発と製造事業を拡大していく予定だという。

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カテゴリー:宇宙
タグ:Firehawk Aerospace資金調達ロケット

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(文:Darrell Etherington、翻訳:滑川海彦@Facebook

ヴァージン・オービットがオランダ初の防衛衛星を打ち上げ、航空機を使った同社の柔軟な打ち上げ能力を実証へ

Virgin Orbit(ヴァージン・オービット)は軌道打ち上げの成功後も、歩みを緩めるつもりはない。同社は、オランダ王立空軍(the Royal Netherlands Air Force、RNAF)のペイロードの打ち上げを発表したばかりだ。これはオランダ国防省が開発した初の衛星で、さまざまな通信実験のテストプラットフォームとして機能する小型衛星だ。

この衛星が 「BRIK-II」 と呼ばれるのは2機目だからではなく、RNAFが所有し運用した最初の飛行機である「BRIK」にちなんで名づけられたからだ。このミッションはVirgin Orbitがデモンストレーションに成功した後の最初の商用運用の1つで、年内に打ち上げられる予定だ。さらにこれは相乗りミッションとして計画されており、他のペイロードも加わるとことになる。おそらく米国防総省が、VirginOrbitの同省向け防衛産業子会社であるVOXSpaceと協力して、ミッションに何かを追加するかを計画している

今回のミッションは、ロケット打ち上げ市場におけるVirgin Orbitの独自の優位性示す重要なデモンストレーションとなる。そのうちの1つは、小型通信衛星を打ち上げる際に米国防総省とその同盟国の防衛機関が、宇宙分野でどのように協力できるかを示すことだ。同社はまた「後期ペイロード統合」機能を披露する機会としてミッションを使用する。これは、打ち上げ直前にLauncherOneロケットにペイロードを追加する能力を意味する。

今回の飛行では準備期間が十分に用意されているため、後期ペイロード統合を行う必要はないが、Virgin Orbitのロケットの魅力の1つに、離陸高度までロケットを輸送するキャリアジェットが滑走路を離れる直前に、迅速にロケットに衛星を追加できることがある。このデモはRocket Lab(ロケット・ラボ)やSpaceX(スペースX)などの、ロケット市場における他社のサービスとの違いを示すのに役立つだろう。

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カテゴリー:宇宙
タグ:Virgin Orbit

画像クレジット:Virgin Orbit

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

SPACE WALKERがプレシードエクステンションラウンド総額として1.4億円を調達

SPACE WALKERがプレシードエクステンションラウンド総額1.4億円を調達

SPACE WALKER(スペースウォーカー)は1月25日、プレシードエクステンションラウンド総額として1.4億円の資金調達を2020年12月末までに完了したと発表した。松本大氏(マネックスグループ 代表執行役CEO)、谷家衛氏(あすかホールディングス 取締役会長)をはじめとする個人投資家が参加している。

2018年10月に実施したエンジェルラウンド、2020年2月に実施したプレシードラウンドを含め、今回の資金調達までの累計調達額は6.65億円となった。さらに開発を加速させるべく、次回シードラウンドの募集も開始している。

SPACE WALKERは、「誰もが飛行機に乗るように自由に宇宙へ行き来できる未来の実現」を目指し、サブオービタルスペースプレーンの設計・開発、運航サービスの提供を目的に2017年12月に設立。今回プレシードエクステンションラウンドで調達した資金は、商用サブオービタル機(科学ミッション)の基本設計およびPOC実証機WIRES(WInged REusable Sounding rocket)15号機の製造に活用する。

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カテゴリー:宇宙
タグ:資金調達(用語)SPACE WALKER(企業)日本(国・地域)

スペースXが最新Falcon 9打ち上げで衛星投入数の記録達成、143機の衛星を軌道上へ

SpaceX(スペースX)は米国時間1月24日に実施されたTransporter-1のミッションで、1回で投入された衛星数の記録を更新した。この打ち上げは同社のライドシェア専用ミッションの最初の試みで、複数の顧客でロケットのペイロード容量を分割することでそれぞれのコストを削減しながら、完全な打ち上げの実施と必要な収益のすべてをスペースXに提供した。

今回の打ち上げには143機の衛星が含まれており、そのうち133機はペイロードを予約した他の企業からのものだった。スペースXはまた自社のStarlink衛星10機を打ち上げ、同社のブロードバンド通信ネットワークを運用するためにすでに軌道上に送られている1000機以上の衛星に加えた。先週の打ち上げ配信の中で同社は、カナダで顧客へベータ版サービスを開始し、プライベートなプレローンチテストを英国にも拡大することを明らかにした。

本日の打ち上げでは、48機のSuperDove地球観測衛星を打ち上げたPlanet Labs、36機の自社製小型IoT通信衛星を打ち上げたSwarm、8機の自社製通信衛星を追加したKeplerなどが顧客に名を連ねた。スペースXが現在実施しているライドシェアモデルは、小規模な新規宇宙開発企業やスタートアップ企業が軌道上で運用可能なコンステレーションをより早く構築するのに役立ち、Rocket Lab(ロケット・ラボ)や新規参入のVirgin Orbit(ヴァージン・オービット)のような他社の小型ペイロードランチャーを補完するものだ。

今回のスペースXの打ち上げは、Starlink衛星を極軌道に投入する初の試みでもあり、これは同社のブロードバンドサービスの継続的な拡大における重要な鍵となる。ミッションにはFalcon 9ロケットの第1段ブースターの着陸と回収の成功やブースターの5回目の使用、打ち上げ時にペイロードを保護する半分のフェアリングの両方の回収も含まれており、フェアリングは同社の回収船で大西洋の海から回収され、整備され再利用される予定だ。

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タグ:SpaceXFalcon 9

画像クレジット:SpaceX

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

SpaceXが記録的な数の衛星を搭載した初の専用ライドシェアミッションをライブで公開、予定変更で日本時間1月25時0時から

【更新】米国時間1月23日の打ち上げは、天候のため中止に。翌日である東部標準時1月24日午前10時(日本標準時1月25日午前0時)に行われる。

SpaceXはライドシェア専用ミッションの第1弾を打ち上げる。これは2019年に導入されたもので、小型衛星の運用者がSpaceXのFalcon 9ロケットの打ち上げ時に搭載物の一部を予約できるというものだ。Falcon 9は現在、製造されているほとんどの小型衛星と比べて、比較的大きなペイロード容量があるため、このようなライドシェアミッションは、中小規模の企業やスタートアップに、現実的な予算の中で彼らの宇宙船を軌道に乗せる機会を提供する。

今回、Falcon 9に搭載されている貨物用カプセルには、合計133基の衛星が搭載されている。これは、インド宇宙研究機関のPSLV-C 37が2017年2月に打ち上げた104機の衛星のペイロードを超えるもので、単一のロケットで打ち上げられた衛星数としては過去最高記録となる。また、今回の打ち上げはSpaceXのライドシェア機能だけでなく、複数のペイロードを比較的迅速に異なる記号に展開させることを含む、打ち上げでの複雑な調整機能の重要なデモンストレーションになる。

※リンク

特に今回の打ち上げは、軌道上のトラフィック管理をどのように行うのかという点が注目されている。というのも、今後、民間による打ち上げの活動量がどうなるかを明確に示しているためだ。打ち上げられる衛星の中にはiPadほどのサイズしかないものもあり、専門家たちは衝突の可能性を避けるために、どのように展開、追跡されるか最新の注意を払うことになるだろう。

今回、打ち上げられるペイロードには、Swarmの小さなIoTネットワーク衛星が36機、KeplerのGEN-1通信衛星8機など大量のスタートアップ衛星が含まれている。また、SpaceXのStarlink衛星は10機、Planet Labsの地球観測衛星も48機搭載されている。

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カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceXFalcon 9

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(翻訳:TechCrunch Japan)

「地球をハックする」衛星データ解析コンテスト運営のSolafuneが資金調達を実施

「地球をハックする」衛星データ解析コンテスト運営のSolafuneが資金調達を実施

衛星データ解析コンテスト「Solafune」を運営するSolafuneは1月22日、ANRI、East Venturesを引受先とする資金調達を発表した。調達した資金を基に事業をより加速させ、宇宙産業市場をリードしてくテクノロジー企業として、事業の拡大に邁進する。

Solafuneは、「Hack The Planet.」をミッションに衛星データなどを活用して地球上のあらゆる事象を制御可能にしていくための事業を展開。その先駆けとして、衛星データを活用したデータ解析コンテスト「Solafune」の運営を2020年10月より開始した。

取得のハードルが高い衛星データのデータセットをオープン化した反響は大きく、初回に開催したデータ解析コンテストでは100人以上のAIエンジニアが参加。1500件以上の解析結果の収集を実現した、現在も急成長中のプラットフォームという。

今後も同社は、企業課題や社会課題の解決を主な目的としたデータ解析コンテストを継続的に開催し、世界中からAIエンジニアが参加する解析プラットフォームとして日々進化し続けるとしている。

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カテゴリー:宇宙
タグ:宇宙(用語)資金調達(用語)Solafune日本(国・地域)

スペースXが宇宙船Starship用の洋上基地建設のために採掘リグを2基購入

SpaceX(スペースX)の次期宇宙船はテキサス州で開発中だ。同社CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は以前、開発監督の募集広告が掲載された後にスペースXがStarshipの運用のためにフローティングスペースポートを建設する計画だと明かしていた。そして今回、同社はこの目的のために2基の石油採掘リグを購入した。この情報はspaceflight.comのMichael Baylor(マイケル・ベイラー)記者が最初に報じ、CNBCによって確認された。

この採掘リグはSpaceXによって、Deimos(デイモス)とPhoibos(ポイボス)と名付けられた。これは火星の2つの衛星(元はギリシャ神話の恐怖と恐怖の神々の名前)の名前だ。この採掘リグはもともと、最大深度8500フィート(約2600m)に到達する深海掘削用に建造された。これらの採掘リグは現在、テキサス州ブラウンズビルにあるスペースXのStarship開発拠点近くの、メキシコ湾の港町ブラウンズビルにある。

これらの採掘リグの大きさは240フィート×255フィート(約73×78m)で、理論的にはStarshipの打ち上げをサポートするために再利用される予定だ。(同ロケットは再利用が可能で、着陸もできる)。これまでのところスペースXはStarshipのプロトタイプをボカチカの拠点で打ち上げ、着陸させてきたが、これまでは低空飛行しか実施していない。同社はまた、現在のFalcon 9ロケットのブースター用の自律型浮揚着陸パッドとして、長さ300フィート(約91m)、幅約170フィート(約52m)のドローン船を2隻運用している。

スペースXはまた、南テキサスの施設を「21世紀のスペースポート」にするためのリゾート開発マネージャーを募集する別の広告を掲載し、リゾート施設の専門知識を持った人を探している。一方でマスク氏は2020年12月、カリフォルニア州の税制や規制環境を理由に、多くの人々の提案を受けてテキサス州に移住したことを認めた

マスク氏の他の会社であるTesla(テスラ)も、米国での次のギガファクトリーの場所としてオースティンを選んだ。これはCybertruck、Model Y、Tesla Semiおよび東海岸の顧客向けのModel 3の組み立てを目的としている。同社はテキサス州マクレガーにエンジンテスト施設を保有しつつ、フロリダ州に近い2カ所のStarshipの開発サイトの1つとしてボカチカを選択した。その後、テキサス南部の同地にてStarshipの開発を統合し、宇宙船の建設とテストに用いる唯一の焦点にした。

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カテゴリー:宇宙
タグ:Space X

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

スペースXが宇宙船Starship用の洋上基地建設のために採掘リグを2基購入

SpaceX(スペースX)の次期宇宙船はテキサス州で開発中だ。同社CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は以前、開発監督の募集広告が掲載された後にスペースXがStarshipの運用のためにフローティングスペースポートを建設する計画だと明かしていた。そして今回、同社はこの目的のために2基の石油採掘リグを購入した。この情報はspaceflight.comのMichael Baylor(マイケル・ベイラー)記者が最初に報じ、CNBCによって確認された。

この採掘リグはSpaceXによって、Deimos(デイモス)とPhoibos(ポイボス)と名付けられた。これは火星の2つの衛星(元はギリシャ神話の恐怖と恐怖の神々の名前)の名前だ。この採掘リグはもともと、最大深度8500フィート(約2600m)に到達する深海掘削用に建造された。これらの採掘リグは現在、テキサス州ブラウンズビルにあるスペースXのStarship開発拠点近くの、メキシコ湾の港町ブラウンズビルにある。

これらの採掘リグの大きさは240フィート×255フィート(約73×78m)で、理論的にはStarshipの打ち上げをサポートするために再利用される予定だ。(同ロケットは再利用が可能で、着陸もできる)。これまでのところスペースXはStarshipのプロトタイプをボカチカの拠点で打ち上げ、着陸させてきたが、これまでは低空飛行しか実施していない。同社はまた、現在のFalcon 9ロケットのブースター用の自律型浮揚着陸パッドとして、長さ300フィート(約91m)、幅約170フィート(約52m)のドローン船を2隻運用している。

スペースXはまた、南テキサスの施設を「21世紀のスペースポート」にするためのリゾート開発マネージャーを募集する別の広告を掲載し、リゾート施設の専門知識を持った人を探している。一方でマスク氏は2020年12月、カリフォルニア州の税制や規制環境を理由に、多くの人々の提案を受けてテキサス州に移住したことを認めた

マスク氏の他の会社であるTesla(テスラ)も、米国での次のギガファクトリーの場所としてオースティンを選んだ。これはCybertruck、Model Y、Tesla Semiおよび東海岸の顧客向けのModel 3の組み立てを目的としている。同社はテキサス州マクレガーにエンジンテスト施設を保有しつつ、フロリダ州に近い2カ所のStarshipの開発サイトの1つとしてボカチカを選択した。その後、テキサス南部の同地にてStarshipの開発を統合し、宇宙船の建設とテストに用いる唯一の焦点にした。

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カテゴリー:宇宙
タグ:Space X

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter