Googleが感染症の数理モデルとAIを組み合わせた都道府県別の新型コロナ感染予測を公開、慶応大監修

Googleが都道府県別の新型コロナ感染予測(日本版)を公開、慶應義塾大学監修

Google(グーグル)は11月17日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染予測(日本版)を公開した。感染症の数理モデルとAIを組み合わせることで、対象期間である将来28日間に予測される死亡者数、感染確認者数、入院・療養等患者数などを都道府県別に表示する。全国の予測値は都道府県の予測値を足し合わせている。

これらの情報はダッシュボードで閲覧できるほか、Google Cloudのデータ分析用ツールBigQueryや、CSVファイルとして利用可能。利用の際はユーザーガイドを必ず参照するよう呼びかけており、予測データをダウンロードまたは使用するには、Googleの利用規約に同意する必要がある。

日本版モデルの開発にあたっては、使用データの包括性、予測結果と国内感染状況との整合性、さらに、モデルの設計および予測データの検証において慶應義塾大学 医療政策・管理学教室 教授 宮田裕章氏および研究室が監修した。

またこのモデルは、医療機関や公的機関をはじめとするCOVID-19の影響を受ける組織が、今後に向けてより適切な対処を検討・準備する上で参考情報のひとつとして利用されることを目的に公開している。例えば感染者数の予測値をデータポイントのひとつとして参照することで、医療機関における医療資材やスタッフ、スケジュールなどのリソースプラニングや、検査実施計画の立案、感染拡大の兆候が見られる地域の早期発見などに活用できるという。

Google Cloudは2020年8月、Harvard Global Health Institute(ハーバード グローバル ヘルス研究所)と協力し、予測モデル(COVID-19 Public Forecasts )を米国で公開。同サービスは予測開始日から将来 14日間における米国内のCOVID-19陽性者数や死亡者数などの予測を提供するもので、日本のデータでトレーニングし十分な精度検証ができたことから、今回日本版の提供を開始したという。日本での提供は米国についで2ヵ国目となる(現在、米国と日本で提供中)。

米国で提供しているCOVID-19 Public Forecastsは、AIと膨大な疫学的データを組み合わせ、さらに、時系列の予測を扱う斬新な機械学習のアプローチを採用することで実現。米国向け初期モデルは今年8月に初公開され、現在も無償で予測情報を提供している。この情報はジョンズ ホプキンス大学、Descartes Lab、米国国勢調査局などの一般公開データを基にしており、Harvard Global Health Instituteの監修のもとで更新を続けている。

今回の日本版では、新たに95%予測区間やデータセットの追加に加え、予測対象期間を拡張した他、モデルの強化による予測精度の改善を行った。

米国版モデルを日本に対応させるにあたって行った調整

まず、感染の態様や広がり方(ダイナミクス)の基本条件は、米国版モデルでも日本版モデルでも同じ(例えば、感染は離れた場所よりも近隣の地域で広がりやすい)といった前提のもとに開発。その上で、日本版モデルでは、日本のデータセットのみを利用してトレーニングを行っており、使用したデータには厚生労働省が発表している新型コロナウイルス感染症陽性者数および死亡者数などのオープンデータ、Googleが特定の場所(食料品店、公園など)を訪れた人の数の変化を地域別にまとめた「コミュニティ モビリティ レポート」、平成27年国勢調査結果などが含まれている。

これら陽性者数や入院・療養等患者数、死亡者数、また人々の移動状況について国内のデータを使用しているため、予測結果には国内の感染状況やそれに対する人々の反応、さらに生活環境といった日本独自の状況が反映されているとしている。

予測モデルの精度検証では、特定の日付までのデータでトレーニングを行った後、その先28日間の予測データを出力させ、実測値と予測値を比較した。例えば10月1日までのデータでトレーニングを行った場合は、10月2日から30日までの予測値を出力させ、そのデータを同期間の実測値と比較している。検証の結果、一般的な疫学的コンパートメント モデルや検証用の米国データで十分な精度を示した簡易版モデルと比較して、この予測モデルの精度が優れていることを確認した。さらに28日間の予測以外の各種指標についても米国向けモデルと変わらない精度であることを確認した。

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カテゴリー: 人工知能・AI
タグ: オープンデータGoogle / グーグル(企業)慶應義塾大学(組織)COVID-19(用語)新型コロナウイルス(用語)日本(国・地域)

Modernaの新型コロナワクチン、治験で94.5%の有効性確認

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの有効性についてのPfizer(ファイザー)の発表に続き、Moderna(モデルナ)も米国11月16日にフェーズ3治験で得られた良好な結果を明らかにした。同社はワクチン候補が初期暫定データ分析で94.5%の有効性を示した(Modenaリリース)としている。治験参加者95人の新型コロナ感染が認められ、うち90人は偽薬を投与されていて5人のみが同社のmRNAベースのワクチンを接種していた。そして重症になったのは11人で、ここにはワクチン候補を投与された人は含まれなかった。

今回の発表も、2021年のどこかでまとまった量のワクチンを実用化できる可能性があるという有望なものとなった。上記の通り、今回の発表は暫定分析結果ではあるが、米国立衛生研究所が指名した治験を監督する安全委員会によるデータだ。同研究所はModernaとは関連のない独立した機関であるため、最終的な分析に期待をかけられる信頼できる結果だ。

Modernaは今後数週間内に判明する結果を元に、ワクチン候補の緊急使用許可を申請すると話している。最終的な承認の前に緊急状況で使用できるよう、米食品医薬品局(FDA)からの使用許可取得を目指す。緊急使用許可は、フェーズ3の治験参加者グループ(計3万人が参加)で感染者151人が確認されたデータと、感染後平均2カ月のフォローアップのデータに基づいて下りる見込みだ。

最終的な全データは独立したレビューのために専門団体に提出されることになる。これは最終ワクチン治験と承認のプロセスでは標準的なものだ。

Modernaのもの、そしてPfizerBioNTechとの提携で開発したものはともにmRNAベースのワクチンだ。このタイプは人に使用するのは初めてで、接種を受けた人の細胞に免疫反応を起こすよう指示するメッセンジャーRNAを活用しているという点で従来のワクチンとは異なる。従来のワクチンでは、抗体を作り出すためにかなり少量のウイルスを使って免疫反応を起こすが、mRNAベースのワクチンでは実際に人体をウイルスにさらすことはない。

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カテゴリー:バイオテック
タグ:Moderna新型コロナウイルスワクチン

画像クレジット:David L. Ryan/The Boston Globe / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Modernaの新型コロナワクチン、治験で94.5%の有効性確認

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの有効性についてのPfizer(ファイザー)の発表に続き、Moderna(モデルナ)も米国11月16日にフェーズ3治験で得られた良好な結果を明らかにした。同社はワクチン候補が初期暫定データ分析で94.5%の有効性を示した(Modenaリリース)としている。治験参加者95人の新型コロナ感染が認められ、うち90人は偽薬を投与されていて5人のみが同社のmRNAベースのワクチンを接種していた。そして重症になったのは11人で、ここにはワクチン候補を投与された人は含まれなかった。

今回の発表も、2021年のどこかでまとまった量のワクチンを実用化できる可能性があるという有望なものとなった。上記の通り、今回の発表は暫定分析結果ではあるが、米国立衛生研究所が指名した治験を監督する安全委員会によるデータだ。同研究所はModernaとは関連のない独立した機関であるため、最終的な分析に期待をかけられる信頼できる結果だ。

Modernaは今後数週間内に判明する結果を元に、ワクチン候補の緊急使用許可を申請すると話している。最終的な承認の前に緊急状況で使用できるよう、米食品医薬品局(FDA)からの使用許可取得を目指す。緊急使用許可は、フェーズ3の治験参加者グループ(計3万人が参加)で感染者151人が確認されたデータと、感染後平均2カ月のフォローアップのデータに基づいて下りる見込みだ。

最終的な全データは独立したレビューのために専門団体に提出されることになる。これは最終ワクチン治験と承認のプロセスでは標準的なものだ。

Modernaのもの、そしてPfizerBioNTechとの提携で開発したものはともにmRNAベースのワクチンだ。このタイプは人に使用するのは初めてで、接種を受けた人の細胞に免疫反応を起こすよう指示するメッセンジャーRNAを活用しているという点で従来のワクチンとは異なる。従来のワクチンでは、抗体を作り出すためにかなり少量のウイルスを使って免疫反応を起こすが、mRNAベースのワクチンでは実際に人体をウイルスにさらすことはない。

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タグ:Moderna新型コロナウイルスワクチン

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ニュースアプリNewsDigestが居住地域の新型コロナ新規感染者数・事例を確認できる「第三波アラート」提供

ニュースアプリNewsDigestが居住地域の新型コロナ新規感染者数を確認できる「第三波アラート」提供

報道ベンチャーのJX通信社は11月12日、同社速報ニュースアプリ「NewsDigest」上において、「新型コロナ感染事例マップ」を強化し、ユーザー居住地域の新規感染者数・感染事例をプッシュ通知で確認できる「第三波アラート」の提供を開始した。

同機能は、NewsDigestアプリAndroid版iOS版)内下部の「コロナ・防災」タブにおいて、無料で利用可能。「新型コロナ感染事例マップ」ならびに「第三波アラート」で利用できる機能は下記の通り。

  • 居住地や勤務先の地域を、都道府県ならびに市町村で登録
  • 新型コロナ感染事例マップでは、登録した都道府県の、直近1週間の感染者の増加数、人口10万人あたり新規感染者数などをリアルタイムに確認可能
  • 登録した都道府県における当日の最新の感染者数や、クラスター発生などの速報をプッシュ通知で受け取れる(第三波アラート)

ニュース速報アプリNewsDigestでは、2020年4月より「新型コロナウイルス感染事例マップ」を提供。自治体や企業による正式な発表情報(一次情報)を基に、感染事例・消毒の状況などをめぐる最新・正確な情報提供を目指している。

提供意図

  • 一般市民が自ら感染リスクを確認できる手段の提供
  • 感染事例をめぐるデマ・風評被害の防止
  • 個人情報を送信せずに接触リスクを確認できるアプリの提

NewsDigest新型コロナ感染事例マップでできること

  • 約1万超の箇所・のべ2万5000人超(11月12日時点)の感染事例に関連する場所の情報をピンポイントに網羅
  • 消毒されている場合は、その旨も明記
  • 情報の日付をもとに、その前後にユーザー自身がその場所に立ち寄っていないかを自らチェック可能
  • GPS位置情報で、ユーザーが今いる場所の近隣の感染事例を確認可能。ユーザーの移動履歴などが保存されない、プライバシーに配慮した仕組み
  • GPSによる位置情報機能は、NewsDigestのアプリ上で位置情報の使用を許可しているユーザーのみ利用可能。アプリがユーザーの許可なく位置情報を取得・使用することはない

JX通信社は、報道分野に特化したテックベンチャー。
国内の大半の報道機関のほか官公庁、インフラ企業などにSNS発の緊急情報を配信する「FASTALERT」(ファストアラート)、一般消費者向けの速報ニュースアプリ「NewsDigest」、自動電話情勢調査などのサービスを提供している。

新型コロナウイルス感染症をめぐっては、国内でいち早く2月16日より、国内感染状況の統計をまとめた「新型コロナウイルス感染状況マップ」を公開。累計1000万人以上のユーザーが利用しているという。また、LINE、Yahoo!、SmartNewsといった国内主要プラットフォーム各社にも最新の新型コロナウイルス関連統計データの提供を行っている。

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カテゴリー: ソフトウェア
タグ: COVID-19(用語)JX通信社新型コロナウイルス(用語)日本

新型コロナ検査ポップアップクリニックを展開するCarbon Healthが105億円調達

Carbon Health(カーボンヘルス)は、Dragoneer Investment Groupがリードし、既存投資家のBrookfield Technology Partners、DCVC、Builders VCが参加するシリーズCラウンドで1億ドル(約105億円)を調達した。今回調達した資金はサンフランシスコのヘルスケアプロバイダースタートアップであるCarbon Healthが引き続きサービス拠点を全米に拡大するのに使われる。予定ではポップアップクリニック100カ所を全米20のマーケットに開設する。

Carbon Healthは2019年に、わずか7カ所だったクリニックを6州にまたがる27カ所に拡大した。プライマリーケアにフォーカスしている同社は、「オムニチャンネル」ケアと呼んでいるバーチャルケアのオプションを導入した。顧客にとって最も利便性がよく、効果的で、適切な方法でのサービス提供だ。同社は常にハイブリッドケアに注力してきた。しかし新型コロナウイルス対応ではフレキシビリティを重視し、ポップアップクリニックの計画にさらに力を入れてきた。

こうしたポップアップクリニックは、追加のケアオプションが必要とされている地域にある、駐車場やガレージといった十分に活用されていないスペースで展開されている。Carbon Healthはポップアップクリニックの開設でReef Technologyと提携し、オンサイトケアを提供するために貨物用コンテナスタイルのモバイルトレイラーを活用している。Carbon Healthの創業者でCEOのEren Bali(エレン・バリ)氏は、特定のケースではリモートケアが非常に効果的である一方で、顧客に完全なソリューションを提供するためにバーチャルの医師の指示でケアを行う看護師を要する、と筆者に説明した。

同社はこのモデルを使って新型コロナ検査能力をサポートし、新型コロナワクチンの準備が整えば、ワクチン接種を広範に提供できるようインフラを提供するつもりだ。Pfizer(ファイザー)が今週発表したフェーズ3の臨床試験の結果はかなり有望で、ワクチン接種プログラムの全国展開は最終的にプライムケアプロバイダーを含む多くの関係機関の協力を必要とする。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:Carbon Health資金調達新型コロナウイルス

画像クレジット:Carbon Health

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(翻訳:Mizoguchi

GoogleがGoogle Travelで新型コロナ関連の健康・安全情報を提供へ

Google(グーグル)は米国11月10日、Google Travelの予約サービスに新型コロナウイルスに関連する健康・安全情報を加えることを発表した(Googleブログ投稿)。ユーザーがGoogle Travelでホテルやバケーションレンタル施設を検索すると、実施されている清掃方法や、非接触型のチェックイン方法があるかなど、施設が行っている新型コロナ安全対策についての情報を今週から確認できるようになる。

健康・安全情報の提供は、ホテルチェーンやバケーションレンタル事業者との提携のもとに取り組んでいるとGoogleは述べた。

個人経営のホテルのオーナーは、健康・安全情報をビジネスプロフィールに加えることができるGoogle My Businessの新しいツールを使って自社の新型コロナ健康・安全情報をGoogleに直接提供できるようになる見込みだ。

立ち上げ時には、Marriott(マリオット)、Hilton(ヒルトン)、Comfort Inn(コンフォートイン)、Holiday Inn(ホリデーイン)、Best Western(ベストウェスタン)、Hyatt(ハイアット)、Radisson(ラディソン)、Four Seasons(フォーシーズンズ)などを含むいくつかの主要ホテルチェーンがGoogleと提携する。

画像クレジット:Google Travel, screenshot via TechCrunch

バケーションレンタルの方では、Googleは大手バケーションレンタル事業者、中堅ディストリビューター、オンライン旅行エージェントなどさまざまなパートナーと取り組んでいる。これらの事業者も健康・安全情報を直接提供できる。

VRBOもパートナーの1社だが、今回は個々の施設オーナーとは提携していないとグーグルはいう。また、Google My Businessに登録している事業者からのデータも活用しない。パートナーと直接共有する情報のみを使う。

現在のところ、新しい新型コロナ関連の健康・安全情報はユーザーがgoogle.com/travelで宿泊を検索するときのみ表示される。Google Mapsのような同社の他のサービスで目にすることはない。

今回のアップデートは、2020年初めの新型コロナパンデミック対応に続くものだ。またグーグルは、Google Travelでユーザーがホテルやバケーションレンタルの返金可能額を確認し、特定のエリアのホテルやフライトの空きを追跡できるようにもしている。

グーグルは2020年9月にGoogle Mapsに新型コロナのレイヤーを加えた。しかしレイヤーが提供しているのは、エリア10万人あたりの感染者数についてのデータだ。その前にはMapsに新型コロナのチェックポイントと乗り換えデータ、さらには政府による閉鎖命令という状況を事業者が生き抜けるようにする機能を加えた。

健康・安全情報は世界中のGoogle Travelで提供される。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Google新型コロナウイルス

画像クレジット:Berni / Shutterstock

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(翻訳:Mizoguchi

有望な新型コロナワクチン開発のニュースを受けZoomやPelotonの株価が急落

新型コロナウイルスのワクチン候補に90%の予防効果が認められ、数カ月もしないうちにワクチン接種が始まるかもしれないというニュースを受け、世界の株式市場は反発している。相場はひっくり返り、先物も取引開始前で急上昇した。新型コロナによって打撃を受けた産業にとってはいいニュースだ。しかし、すべての企業が上昇気流に乗っているわけではない。

実際、米国時間11月9日に航空会社やクルーズ会社の株価はラザロのように復活している一方で、これまでもてはやされていたZoom(ズーム)やPeloton(ペロトン)のような企業の株価は急落している。

Pelotonのエクササイズマシーンは外出がままならなくなった運動習慣のある人に愛用されたため、同社の株価は急成長していた。しかし、ワクチンのニュースを受けて同社株は13%近く下げている。企業に活用されている人気のビデオチャットサービスZoomの株価も13%下げている。またEtsy(エッツィー)やWayfair(ウェイフェア)といったオンライン小売も影響を受けていて、2桁の下げ幅となっている。Amazon(アマゾン)すら取引開始前で2.3%下げている。

11月9日の朝は、これまでのトレンドの反転となっている。今夏、テック株は投資家のお気に入りだったが、いまは明らかにテック株から金が逃げ、さほど高くない他の株へと移っている。

時期尚早ではあるが、投資家がいまや大幅に広がった成長投資に資金を注ぐにつれ、ソフトウェア業界の株価も大幅に下げそうだ。そうなれば、テック業界はぱっとしない公開企業のバリュエーションを受け入れざるをえなくなるだろう。

そうした動きはスタートアップ、特に上場に向けてバリュエーションを気にかけているレイターステージのスタートアップに影響をおよぼすかもしれない。レイターステージスタートアップ投資は2020年、投資家がIPOや他のメカニズムを流動性オプションととらえたためか活発だった。そうした投資額が少なくなれば、テックスタートアップは資金確保が厳しくなるかもしれない。

もちろん語るにはまだ早く、状況は変わりうる。実際の経済活動に影響をおよぼすには数カ月かかるニュースに、投資家はあまりにもアグレッシブに反応しているのかもしれない。しかし11月9日に、2020年の株式市場における新章が始まったようだ。

カテゴリー:その他
タグ:新型コロナウイルス株式市場

画像クレジット:MarsYu / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

ファイザーの新型コロナワクチンの効果は90%、年末までに大規模な接種開始か

Pfizer(ファイザー)とBioNTech(ビオンテック)は米国時間11月9日、開発中の新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチンについて、フェーズ3治験の参加者で90%の予防効果があったと発表した(BioNTechリリース)。これは治験の結果をチェックするための外部独立委員会が分析したデータに基づいており、最終的な検証結果ではなく治験の初期結果を反映したものだ。しかしワクチンの実用化に向けた大きなニュースだ。

PfizerとBioNTechのワクチン候補はmRNAベースのもので、開発のスピードと潜在的有効性において優れていることから、多くの企業が新型コロナワクチン開発で比較的新しい技術だ。今回の結果は、新型コロナ陽性が確認された治験参加者94人のデータに基づいており、これは企業とFDA(米食品医薬品局)が合意している、正式な科学的評価のための陽性者62人という最低しきい値をクリアしている。

フェーズ3の治験は4万3358人を対象に行われた。Pfizerは感染予防率に加えて「安全に関する深刻な懸念は確認されていない」としている。初期データに基づくと、ワクチン接種を受けた人は最初の接種から28日後に抗体が確認された。このワクチンは2回接種する。

今後さらなる安全テストがあり、また研究も続けられるが、2カ月分の安全データ(FDAが緊急使用許可のために求めているもの)を11月第3週に提出できると両社は見込んでいる。治験参加者はまた、長期的な効果を監視するため、2回目のワクチン接種後2年間モニターされる。Pfizerは年末までに接種5000万回分、2021年に13億回分のワクチンが製造できると考えている。

今回の治験のフルデータは他の研究者や科学誌のレビューを受ける必要があるが、これは明らかに新型コロナワクチン開発においてこれまでで最も有望で良いニュースだ。すべてが順調にいけば、ワクチンの大規模な接種が2020年末までに始まることになるかもしれない。

カテゴリー:バイオテック
タグ:PfizerBioNTech新型コロナウイルスワクチン

画像クレジット:THIBAULT SAVARY / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

欧州でeコマースプラットフォームに対し新型コロナ詐欺対応でデータ共有を促す動き

欧州の議員は、消費者を標的にコロナウイルス詐欺を働く不正な業者と戦うためのツールとして、より多くのデータを互いに共有するよう主要なeコマースおよびメディアプラットフォームに圧力をかけている。

パンデミックが西側に広がった後、インターネットプラットフォームはよくわからない、または疑わしい品質の防護具(未訳記事)や疑わしいコロナウイルス関連のオファーの広告で溢れかえっていた。一部の企業がそのような広告を禁止したにもかかわらずだ。

懸念されるのは、消費者がだまされていることだけではない。喧伝されているようなウイルスへの曝露に対する保護効果がない製品を購入した場合や、本当は効かない偽コロナウイルス「治療薬」が販売された場合に生じる実際の危害のリスクだ。

米国時間11月6日の声明の中で、EUの司法委員であるDidier Reynders(ディディエ・レンデルス)氏は「以前の経験から、詐欺師らはパンデミックを欧州の消費者をだますチャンスとみています。また、主要なオンラインプラットフォームと連携することは、消費者を違法行為から保護するために不可欠であることもわかっています。私は本日、プラットフォームが力を合わせ、相互の情報交換に参加し、対応をさらに強化することを奨励しました。現在欧州を襲っている第2波の間、私たちはさらに迅速に動く必要があります」と述べている。

委員会によるとレンデルス氏は11月6日、Amazon(アマゾン)、Alibaba / AliExpress、eBay、Facebook(フェイスブック)、Google(グーグル)、Microsoft(マイクロソフト) / BingRakuten、(TechCrunchの親会社である)Verizon Media / Yahooを含む11のオンラインプラットフォームとパンデミックに関連する新しいトレンドと事業慣行について話し合った。新型コロナ詐欺の新たな波に立ち向かうために、ハイテク企業にもっと多くの対策に取り組むよう促した。

EU加盟国の消費者保護当局は2020年3月、この問題に関して共通の立場をとった。それ以来、委員会と消費者保護施策の執行者の汎EUネットワークは、新型コロナウイルス詐欺によってもたらされる脅威へ協調して対応するべく、11のプラットフォームと定期的に連絡をとっている。

委員会はこの行動が、プラットフォームによる「数億件」の違法なオファーや広告の削除についての報告につながったと主張している。また委員会によると、詳細なデータは開示しなかったものの、プラットフォームが新型コロナ関連広告の(委員会の表現では)「着実な減少」を確認した。

欧州ではeコマースプラットフォームでの販売に関する規制が厳しくなりつつある。

EUの議員は2020年12月、既存の電子商取引規制の改定を提案する一連の法律を発表する。違法なコンテンツや危険な製品などの法的責任の拡大を目指す。

EUのデジタルポリシーを率いる委員会のEVPを務めるMargrethe Vestager(マルグレーテ・ベスタエアー)氏は先週のスピーチ(未訳記事)で、デジタルサービス法(DSA)は違法なコンテンツや危険な製品に関してプラットフォームの責任を重くすることを求めると述べた。その中には、違法なコンテンツに関する報告手続きやコンテンツに関連する苦情処理の統一が含まれている。

同じく12月に発表される2番目の包括法案であるデジタル市場法は、市場で支配的な地位を保持すると考えられるプラットフォーム傘下のサービスに追加の規制を導入する。これには、デジタル市場での競争を促進するために、ライバルによるデータを利用を可能にするという要件が含まれる可能性がある。

欧州議会の議員らはまた、「know your business customer(顧客確認の原則)」をデジタルサービス法に含めるよう求めている(未訳記事)。

委員会はまた、新型コロナ関連の偽情報を取り締まるため、6月(未訳記事)に新型コロナウイルスの「インフォデミック」と表現した内容についてソーシャルメディアプラットフォームに公開するよう求めた。

委員会は11月6日、新型コロナの偽情報と戦うため、フェイスブック、グーグル、マイクロソフト、Twitter(ツイッター)、TikTokが2020年9月にとった措置について最新情報を提供し、3回目となるモニタリングレポートを公開した。域内市場のコミッショナーであるThierry Breton(ティエリー・ブルトン)氏は、その分野でもさらに多くのことを行う必要があると述べた。

「パンデミックに関連する偽情報のウイルス的な拡散は、市民の健康と安全を危険にさらしています。偽情報と効果的に戦うために、今後数週間でオンラインプラットフォームとより強力に協働することが必要です」と同氏は声明で述べた。

プラットフォームは偽情報に関するEUの(法的拘束力のない)行動規範(未訳記事)に署名している。

違法なヘイトスピーチなどのコンテンツへの取り組みに関してプラットフォームを規制する法的拘束力のある透明性ルールは、DSAパッケージの一部に組み込まれているようにみえる(未訳記事)。だが、公衆衛生危機に関する偽情報などの「有害なコンテンツ」のようなあいまいな問題に対する取り組みが、今後どう展開するかはまだ分からない。

偽情報問題に対処する欧州民主主義行動計画(European Democracy Action Plan)も年末までに予定されている。

11月6日の委員会の最新のモニタリングレポートにある発言の中で、価値・透明性担当VPであるVera Jourová(ベラ・ヨウロバー)氏は次のように述べている。「プラットフォームは透明性を高め説明責任を果たすために取り組みを強化しなければなりません。我々はプラットフォームが正しく行動するためにより良いフレームワークを必要としています」。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:eコマース新型コロナウイルスEU

画像クレジット:Aytug Can Sencar/Anadolu Agency / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Juganuが新型コロナウイルスを不活性化する紫外線照射システムを市販

ベンチャーキャピタルが出資するイスラエルのスタートアップJuganuは新型コロナウイルスの除菌に効果のある特定波長の紫外線を用いた照明システムを市販について発表した。同社によれば、新しいテクノロジーは物体の表面を除菌するだけでなく建物内の空間の感染物質を不活性化させ、新型コロナによるパンデミックの拡大防止に効果が期待できる。

同社のJ.Protectはイスラエルのバルリアン大学医学部のMeital Gal-Tanamy(マイテル・ガルタナミ)博士の臨床的研究によって効果があることが示されているという。ただしガルタナミ博士の研究は主としてC型肝炎ウイルスに対するもので、このウイルスは新型コロナのように空気中に浮遊する微粒子を通じて感染するものではない。

Juganuによれば、このプロダクトは米国の48州でEPA(環境保護局)に登録されており、Comcast、 Qualcomm、NCR Corp.の各社がこの環境除菌システムを全米で販売する。

この照明システムはA波長、C波長の2種類の紫外線を用いて物質表面の病原体を破壊し、あるいは不活性化して感染力を失わせるという。

人間が空間内にいる場合システムは8時間の照射でウイルスを不活性化するUV-A紫外線を用いる。空間内に人間が存在しない場合、強力な殺菌力があるUV-Cを照射する。UV-Cは1時間以内にウイルスを不活性化するが人体に危険を及ぼす可能性がある。

Jaganuでは物質表面の除菌に対しては実験を行なっているが空間除菌に関してはまだ実施していない。新型コロナウイルスの感染の主な経路は空間に浮遊するエアロゾル中の微粒子に含まれるウイルスだ。

JuganuのCEOであるEran Ben-Shmuel(エラン・ベンシュムエル)氏はインタビューに対し「この製品はFDA(食品医薬品局)の新型コロナウイルスに関する特例およびEPAから48州での販売をを認められています」と答えている。

ベンシュムエル氏は「Jaganuの紫外線照射テクノロジーはすでにイスラエルとインドで予約販売されています。また現在、米国でシステム設置の準備を進めています」と述べた。

JuganuはこれまでにComcast Ventures、Viola Growth、Amdocs、OurCrowdから総額で5300万ドル(約55億5000万円)のベンチャー資金の調達に成功している。プロダクトはイスラエル、ブラジル、メキシコ、米国をはじめとして世界の自治体や企業に販売されている。

パンデミックによって経済活動が強い打撃を受けた地域ではJaganuの紫外線照射システムのような企業活動の再開を助ける分野が極めて有望なビジネスとなっている。

ベンシュムエル氏は声明で「スマート紫外線システムは物理的環境の安全性を高めるシステムとして最大の機会をもたらす分野です。紫外線システムによって、有害な病原体を不活性化して安全をもたらすだけでなく、日の出から日没までの紫外線をシミュレーションすることによって人々の健康を増進させることも目標としています」と述べた。

【Japan編集部追記】「人体に安全な短波長紫外線によって新型コロナウイルスを不活性化できることを確認した」という研究が広島大学から発表されている。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Juganu新型コロナウイルス

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(翻訳滑川海彦@Facebook

咳を監視するAIに新型コロナの早期感染警報システムの期待

無症状病原体保有者が新型コロナウイルスの感染拡大に大きく関わっているわけだが、症状のない人をどうやって見分けて隔離すればよいのか、どのように検査を受けさせたらよいのだろうか?感染初期の可能性が高い人を、その咳の音に潜む微妙ながら確かなパターンから見分けられる(MIT News記事)ことが、MITの研究でわかった。これには、強く求められているウイルスの早期警告システムの実現につながる可能性がある。

人の咳の音にはいろいろな意味が含まれていることを、医師たちは昔から知っていた。そこで肺炎、喘息、さらには神経筋疾患などの症状を検出するためのAIモデルが作られた。どれも咳の仕方に違いがある。

パンデミック以前、研究者Brian Subirana(ブライアン・サビラナ)氏は、咳はアルツハイマーの予測にも役立つことを指摘していた。これはちょうど1週間前にIBMが発表した研究結果(The Lancet記事)と重なる。最近になってサビラナ氏は、これほど小さなものから、これほどたくさんのことがわかる能力がAIにあるのなら、新型コロナウイルスもわかるのではないかと考えた。実際、同じことを考えた人は他にもいる

彼とその研究チームは、人々に咳を提供してもらうためのサイトを立ち上げ、「我々が知る限り最大の咳の研究用データセット」を作り上げた。彼らは数千件のサンプルを使ってAIモデルのトレーニングを行い、その論文をIEEE(米電気電子技術者協会)の「オープンジャーナル」で公開している。

このモデルは音の強さや調子、肺と呼吸器の能力、筋肉の衰えから微妙なパターンの検出に成功したようで、無症状病原体保有者の100%、症状のある感染者の98.5%を特定できるまでになった。特異度はそれぞれ8%と94%。つまり、偽陽性と偽陰性の数が多くないことを示している。

「人が立てる音が、新型コロナウイルスに感染すると、無症状であっても変わることをこれが示していると私たちは考えました」とスビラナ氏は、この驚きの発見について語った。だが、このシステムは不健康な咳の検出を得意とするものの、症状はあるが根底の原因が不明な人の診断ツールとして使うべきではないと彼は警告する。

この点について、私はスビラナ氏に詳しい説明を求めた。

「このツールは、新型コロナウイルス感染者とそうでない人ととの区別に役立つ特徴を検出するものです」と彼は電子メールで述べている。「これまでの研究では、他の症状も検出できることがわかっています。さまざまな症状を区別できるシステムを開発することも可能でしょうが、私たちの狙いは、その他の症状と新型コロナウイルスとを区別することにあります」。

統計学を重んじる人なら、驚くほど高い成功率には危うさを感じるだろう。機械学習モデルはさまざまな分野で高い能力を発揮するが、100%という成功率はそう聞くものではない。別の見方をすれば、たまたまよい結果が出ただけなのかも知れない。当然、この発見は他のデータセットで検証し、他の研究者によって審査される必要がある。だが同時に、新型コロナ感染者の咳には、コンピュータの聴覚システムで簡単に、ほぼ確実に聞き分けられる手がかりが含まれているという可能性もある。

研究チームは現在、さまざま病院と協力して多様なデータセットの構築を進めている。さらに民間企業とアプリを共同開発し、米食品医薬品局の認可が取得し次第、このツールを広く配布する予定だ。

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(翻訳:金井哲夫)

Amazonの第4四半期における新型コロナ関連コストは約4160億円の見込み

Amazon(アマゾン)は次の四半期に40億ドル(約4160億円)の新型コロナウイルス関連費用が発生すると見込んでいる。これは企業の大小を問わず、パンデミックの中で経営を続け経費を抑えようとしている他の企業への警鐘となる。

結論はこうだ。アマゾンは新型コロナが年末まで招かれざる客として居座り続けることから、前四半期よりも費用がかさむと予想している。

同社は米国時間10月29日の第3四半期の決算発表で、2020年初めにこの病気が常態化して以来、75億ドル(約7800億円)の新型コロナ関連費用を計上したと語った。アマゾンは以前、新型コロナに関するコストが第1四半期は約6億ドル(約620億円)、第2四半期は40億ドル(約4160億円)以上だったと述べている。CFOのBrian Olsavsky(ブライアン・オルサフスキー)氏が決算発表でアナリストに語ったところによると、第3四半期の同社の新型コロナ関連コストは約25億ドル(約2600億円)だった。アマゾンは効率性を高めた結果、第3四半期はコストを下げることができたが、次の四半期にはその数字(コスト)は増加することになりそうだ。

オルサフスキー氏は、コスト増の大部分は事業拡大によるものだと述べた。アマゾンは10月に新たに労働者10万人を雇っている。

新型コロナは経済、ホリデーセールさらには気象パターンに関連するその他の不確実性とともに、第4四半期の営業利益の重荷になりそうだ。アマゾンは営業利益に関して、前年同期の39億ドル(約4060億円)に対し、第4四半期は10~45億ドル(約1040~4680億円)という幅のある見通しを示した。その数字には、新型コロナ関連で約40億ドル(約4160億円)の費用がかかるという想定が織り込まれている。

しかしオルサフスキー氏による第4四半期に起こりうる不確実性に関して長いリストを作ったとしても、新型コロナがそれらすべてに勝るとの指摘が、状況を雄弁に物語っている。

「第4四半期に発生するおそれがある一般的な問題はたくさんあります」とオルサフスキー氏はいう。「新型コロナがそれらすべてを矮小化しているという事実は、当社のトップラインの幅に多くの不確実性をもたらていると思います」。

オルサフスキー氏によると、(新型コロナ関連の)費用は、オペレーションの方法の変更による生産性低下や、個人用保護具及びその他の初期費用に関連している。

「これらのコストの大部分は、ソーシャルディスタンスを可能にするためのプロセスの刷新や新しい施設を立ち上げるための増加コストなど、施設の生産性に対して逆風が続くことに関連しています。また、強力な顧客需要をサポートするために採用した新しい従業員の大規模な流入に対応するため、 従業員向けの設備に投資し、施設の清掃も強化しました」とオルサフスキー氏は10月29日の決算発表で述べた。

アマゾンは同日、11月までに650のサイトで1日5万件の検査が可能になるよう社内の新型コロナ検査プログラムを強化し続けていると語った。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Amazon新型コロナウイルス

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(翻訳:Mizoguchi

イリノイ州がマスク着用啓発の広告費割り当てにデータサイエンスを活用

公衆衛生に役に立つターゲット広告の例がある。マスク着用を促すキャンペーンで、イリノイ州は新型コロナウイルス感染症のリスクが最も高い郡にデジタル広告費用を注いでいる。

これを実現するために、同州政府はDan Wagner(ダン・ワグナー)氏が設立した(未訳記事)データサイエンス企業Civis Analytics(シビス・アナリティクス)と協業してきた。ワグナー氏は以前、Barack Obama(バラク・オバマ)氏の2012年再選キャンペーンで最高アナリティクス責任者を務めた人物だ。デジタル広告キャンペーンは2020年8月に始まったが、同州はターゲットを絞るのに使っている週ごとのリスク評価を示すマップなど、この取り組みの詳細をいま明らかにしている(イリノイ州リリース)。

Civisでヘルスケアアナリティクスのディレクターを務めるCrystal Son(クリスタル・ソン)氏は、チームが郡レベルの最新の新型コロナウイルスデータをJ.B. Pritzker(J.B.プリツカー)知事のチームのために毎週まとめていると説明した。プリツカー知事はこのデータを、It Only Works If You Wear Itキャンペーン広告費をどこで重点的に使うべきかを決めるのに活用している。

知事のオフィスで管理・予算を担当する責任者Cameron Mock(キャメロン・モック)氏は「最も新型コロナリスクがあるエリアにメディア費用を集中させるための独自方式」を州政府は活用している、と声明文で述べた。

モック氏は「リスクを基にした独自方式は、郡を高リスク、中リスク、低リスクに分けるために新型コロナ新規患者の傾向と郡レベルのモビリティを活用しています。そしてリスクが最も高いエリアに最も多くの広告費を充てるために比例分配を採用しています」。

画像クレジット:State of Illinois

この独自方式では郡を5つに分ける。最もリスクの高い郡はティア1、最もリスクが低い郡はティア5だ。ティア4と5にはベーシックな広告費が配分され、ティア3の郡はより大きな額を受け取る。そしてティア1と2には最大額が分配される。

マスク着用キャンペーンはオンライン広告に限定されてはいないが、独自方式はデジタル面でのみ使われている。というのも、広告費を週単位で従来の広告チャンネルに振り分けるのは難しいからだ。

「各郡の新型コロナ状況はそれぞれ異なるため、我々はイリノイ州内102郡の各現場の状況に対応するキャンペーンになるようにデザインしました」とプリツカー知事の副報道官Alex Hanns(アレックス・ハンズ)氏は声明で述べた。「エリアのリスクが高まった時、公衆衛生に関するメッセージの頻度も増えます。パンデミックが続いて次の波が来るとき、イリノイ州は引き続き科学者の指摘に耳を傾け、住民の安全を守るためにデータを追跡します」。

ソン氏は新型コロナ対応で、最もリスクの高い地域への広告費投入を優先するのと同じようなモデルを使っているキャンペーンは他にはない、と話した。このモデルはうまくいっているのだろうか。特定のキャンペーンの効果はデータでは示されないが、カーネギーメロン大学によると、イリノイ州民の89%がマスクを着用していて、これは現在米国内で15番目に高いマスク着用率となっている。

将来は他の組織がヘルスケアのために「よりカスタマイズされたコミュニケーションアプローチ」を採用するようになることを願っています、とソン氏は述べた。

「各グループが同じように行動して考えるかのように、ヘルスケアにおいては各グループを同一扱いする習慣がまだあります。それぞれにカスタマイズされたアプローチは、マスク着用以外にも幅広く応用できます」と話した。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:データサイエンス新型コロナウイルス

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(翻訳:Mizoguchi

悪化する新型コロナの感染者数に怯える株式市場でテック株が急落

米国時間10月29日、米国株式市場が苦闘している。中でもテック株が強く打撃を受けている。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への懸念からヨーロッパ株が暴落した(The Guardian記事)のに続き、米国株も後を追っている。特にテック株が。

本稿執筆時点で、時代遅れかもしれないが由緒ある株式市場指標であるダウ平均株価は2.81%安。大局的でより有益なS&P 500は2.90%安だ。そしてテック重視のNASDAQ総合指数も3.14%下げている。

しかし、おそらくスタートアップとスタートアップのファウンダーにとって何よりも重要なのは、SaaS重視のBessemer Cloud 1ndex(ベッセマー・クラウドインデックス)がいっそう激しく3.80%下げていることだろう。

何が起きているのか?刺激策はしばらく出ていない。新型コロナの症例と入院患者は増える一方だ(Twitter投稿)。死亡者数も同様。政治の停滞は国の定めだ。そしてIntel(インテル)とNetflix(ネットフリックス)の低調な決算とMicrosoft(マイクロソフト)の期待はずれのガイダンス(CNBC記事)は、 テック株買いに重くのしかかる(そうそうSAPも急落していた!)。

早い話が大混乱が起きている。そして終わりそうにない。テック株にとっても、レイトステージのスタートアップが非上場市場で企業価値計算に使っている強気な公開市場評価額にとっても、素晴らしい一日というわけにはいかない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

米国の苦悩、新型コロナパンデミックが浮き彫りにしたデジタルデバイドへの対処法

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、多くのデジタル技術の使用を加速した。この春には、K-12校(日本の小中高に対応)や大学の大半は、オンライン学習に移行した。そこでは教師が授業をオンラインでリードし、生徒たちが課題を電子的に提出している。

世界経済フォーラムによれば、パンデミックにより2020年は世界12億人の生徒たちが「教室の外に出された」と推計されている。一方米国では、5500万人以上の(Eucation Week記事)K-12校生徒が対面指導を受けていない。

遠隔医療とビデオ会議の使用も、新型コロナウイルスの結果として、医療相談のための主要なプラットフォームとなっている。例えばForresterの分析(CNBC記事)によれば、「今年の一般的な医療訪問数は、当初3600万人と思われていた数を大幅に上回り2億人を超える」と予測されている。バーチャルコネクションにより、患者はどこにいても助言を得ることができ、幅広い医療専門知識を活用できる。

消費者が小さな小売店や大型デパートから離れるにつれて、eコマースが増えている。業界調査によれば(Yahoo! Finace記事)、「2020年5月のオンライン支出総額は、2019年5月から 77%増えて、825億ドル(約8兆6000億円)に達した」ことが判明した。消費者がオンライン注文と宅配の利便性を理解するにつれ、今後数カ月でその数字はますます増加するだろう。

だがこのパンデミックは、テクノロジーへのアクセスとその利用に対する劇的な不公平さを顕にした。オンライン教育、遠隔医療、オンラインショッピングに必要な高速ブロードバンドを誰もが持っているわけではない。連邦通信委員会(FCC)は、ブロードバンド格差の大部分を埋めるためには400億ドル(約4兆2000億円)かかるだろう(FCCリリース)と予測している。しかし、それでもなお多くの人びとには、動画をストリーミングして新しいサービス提供モードを利用させるノートブック、スマートフォン、あるいはデジタルデバイスが不足している。

一部の人がオンラインの世界外にいるというだけでなく、デジタルアクセスはさまざまなグループに対して不平等に分散している。Education Week(エデュケーション・ウィーク)の調査(Education Week投稿)によれば、低所得者の生徒が多い米国の学校にいる教師と管理者の64%が、生徒たちがテクノロジーの限界に直面していると行っている。それに比べて、低所得者の生徒数が少ない学校の場合は、その数字はわずか21%だった。問題は、単にブロードバンドではなく、生徒たちがオンラインリソースを利用できるようにする機器やデバイスへのアクセスなのだ。

ここにも相当な人種格差がある。あるマッキンゼーの分析によると、米国のK-12校のアフリカ系米国人生徒の40%、ヒスパニック系の生徒の30%が、新型コロナウイルス感染症による学校閉鎖の期間中、オンライン指導を受けることができなかった。白人の場合この数字は10%である。オンライン教育とデジタルサービスへのアクセスにおけるこれらの格差は、すでに存在している教育上の大きな不平等を広げるが、それらを新たな段階へと導く。長期間にわたってこのことが継続した場合、このような差別によって、私たちの最も恵まれない生徒たちは、進歩への大きな障壁と将来の所得喪失や経済停滞の障害に晒されることになる。さらに悲惨なことに、この格差を回復できなくなる転換点があるかもしれない。

これらのタイプの不平等は、深刻な社会的経済的影響を招き、解消不能の格差を生み出す容認し難い不正義なのだ。上記に挙げたものに類する状況が、所得格差を増大させ、社会グループ間の機会格差を広げ、そうした人たちを低賃金雇用、健康保険のない一時的雇用、または完全な失業へと追い込んでいく。デジタルスーパーハイウェイにアクセスすることができないと、オンライン教育、遠隔医療、eコマースの機会が制限され、雇用への応募、政府給付の申請、必要な健康情報や教材へのアクセスがほぼ不可能になる。

現在必要なのは、デジタルインフラストラクチャへの投資と人種、収入、地理に基づく不公平な差異を排除できるデジタルアクセスの改善だ。例えば連邦通信委員会(FCC)は、貧困層のインターネットへの電話接続を促進するために設計された現在の「ライフライン」プログラム(Brookings研究所投稿)を、拡張する必要がある。多くのプロバイダーは、電話とインターネットの利用を組み合わせているため、インターネットサービスを含めない電話サービスの補助金を提供する理由はない。Voice over Internet Protocol (VoIP) を利用できるため、サービスが行き届いていない人たちに電話とインターネット接続を簡単に提供することができる。

またFCCは、ホームスクーリングと遠隔学習を含むように、「E-rate」と呼ばれている「Schools and Libraries(学校と図書館)」プログラムを拡張する必要がある。多数の教育機関が閉鎖され、オンライン教育を通じて指導を提供している中で、FCCは新型コロナのパンデミックが生み出した「宿題の格差」を埋めるために、未消化の資金から何百万ドル(数億円)規模の支出を行わなければならない。これは、貧しい学生がオンラインリソースやビデオ会議施設にアクセスするのに役立つだろう。

「The Department of Agriculture’s Rural Utilities Service」(農村施設サービス局)は農村地域におけるブロードバンドサービスを改善しようとしているが、規制によって、現在保有する資金を低速ブロードバンドを改善するために使用することはできない。多くの人が、オンライン教育リソース、遠隔医療またはビデオストリーミングにアクセスするのに十分な速度を欠いている現在、その資金の利用規制にはほとんど意味がなく、居住者のインターネットサービスをアップグレードできるように規制を変更する必要がある。

教育分野では、州と地方自治体はオンライン学習へのアクセスにおける人種および収入に基く格差が、K-12校の仕組みの中で永続的に固定されないようにしなければならない。この問題に対処するには、しばしば提唱されているような、単に貧しい学生に無料のラップトップを配布するよりことよりも、はるかに多くのことが行われなければならない。むしろ、生徒がラップトップを生産的に使用できるようにするブロードバンドアクセスを提供できるような余裕を家庭に持たせるようにして、教師は遠隔学習と教育プログラムに対して十分に訓練され、21世紀の経済に必要なスキルが若者に伝えられるべきなのだ。

未来に進むにつれて、ブロードバンドは高速道路、橋梁、ダムがかつてそうであったように、社会的、経済的に重要なものになるだろう。20世紀と同様に、アクセスの改善には国家計画と官民部門での投資が必要だ。実際、デジタルアクセスはユニバーサルヘルスケアへのアクセスと同様に、基本的人権の1つとして考えられるべきだ。高速ブロードバンドがなくては、デジタル経済やオンライン学習システムに参加することができない。

私たちが最近出版したAI関連書籍で述べたように、米国はデジタルインフラストラクチャに資金を提供し、人種や地理的な格差を軽減し、普遍的な医療保険を促進し、デジタル経済に向けて労働者たちを準備させる国家計画を必要としている。国家に差し迫る重要な課題には、デジタルデバイドの解消、デジタル経済における反不公正ルールの拡大、より公平な税制政策による包括的経済の構築、次世代の労働者の訓練などが含まれている。

新しいデジタルサービスや金融取引にかかる税金は、これらの問題に対処するために実施する必要があるプログラムに対して、資金を提供する役に立つ。100年前に米国が工業化された際に、国家指導者は必要なサービスを支えるために所得税を導入した。同様にデジタル経済に移行する中で、必要な支出のために支払われる新しいタイプの税金が必要になる。アフリカ系米国人、ヒスパニック、移民、貧しい人々への機会を拒否している教育と医療へのアクセスに対する現在の不平等を許すことはできない。もし私たちの国家が、すべての米国人に力を与えることで私たちの可能性を最大限に引き出す国だとするならば、デジタル経済が成長するなかで、こうした個人を置き去りにすることは、現実的な選択肢ではない。

データは多くの新興テクノロジーの鍵である。新しいサービスの開発、デジタルイノベーションの評価、現在の製品の先行きに対処するためには、偏りのない情報を持つことが不可欠なのだ。現在のデジタルデータの多くは、本質的に独占されている。そのため技術革新を改善し、デジタルディバイド(情報格差)を解消し格差解消問題に対処する軽減策を開発する研究者たちの能力が制限されている。連邦政府は、商業目的や研究目的で(プライバシーが守られるように匿名化された上で)使用できるようにすべきデータの宝庫の上にあぐらをかいている(Center for Data Innovationレポート)。国勢調査データによって研究、経済開発、プログラム評価が可能になるのと同様に、デジタルデータへの幅広いアクセスを行わせることで新製品やサービスへの拍車がかかると同時に、公平性問題への対応にも役立つだろう。

新型コロナに悩まされ続けている国の中で、米国人の大きなグループへの機会を拒否し、彼らがデジタル革命の便益を共有することを不可能にしている不公平さを取り除いていくことが不可欠だ。ポストコロナウィルスの世界を展望する中で、誰もがオンラインの世界に参加して利益を得ることができる包括的な経済を構築することが不可欠なのだ。

新型コロナウイルスによって引き起こされた根本的な変化は、ワクチンが開発されウイルスの影響が時間の経過とともに消えて行った後でも、速度が鈍ることはない。2020年に新型コロナによって生み出された技術動向のほぼすべてが、この先進行していく状況の大きな部分を占めることになるだろう。コンピュータのストレージと処理能力の進化、5Gネットワーク、データ分析の利用拡大により、技術革新は今後数年間で確実に加速するだろう。

デジタル環境の外に私たちの仲間の市民の大きな部分を取り残してしまうことは、継続的な人種的不公平、社会的紛争、経済的窮乏そして政治的分裂の温床となる。不信、不満、怒りが、今後何十年もの間、米国の社会的景観を特徴付けるものであることが確実になってしまうだろう。過去4年間は、米国社会における大規模な不平等が露呈されてきた。米国民の中の意図的な政治的分断によるものだけでなく、米国の多くの悪質な不平等の要素を固定してしまうことが事実上確実なデジタルデバイドによっても、その不平等は悪化してきてきた。

これは技術の問題ではなく、リーダーシップに対する挑戦だ。リーダーがすべての米国人の最善の利益のために技術を振るう意志を示すことによって、この国家的危機を解決することができる。次の政権は、これらの問題に正面から対峙し、デバイドを取り除く能力を持たなければならない。逆に、適切な措置を講じることができなければ、私たちの最も脆弱な市民たちを、さらに4年以上ネグレクトと不平等のもとに置くことになるだろう。

世界最大級のデートアプリTinderがビデオチャット機能を各国で展開、コロナ禍における出会いの減少に対応

Tinderは、相性や趣味の一致する相手を見つけるマッチ力がセールスポイントの世界最大のデートアプリだ。このサービスがユーザー間のコミュニケーションをさらに密接にすると同時にアプリ内で過ごす時間を拡大する新たな機能を世界に展開する。

Face to FaceはTinderが2020年に入って発表した双方のオプトインを必要とするビデオチャット機能だ。Tinderのメイン機能と同様、相互の個人情報を必要とせずにビデオチャットを開始できる。パンデミックのため人々に出会いの機会が減っている現在、この機能が世界に拡大されるのは大変タイムリーだ。

Tinderはデートサービスにどうしても怪しさがつきまとうことを十分に意識しており、 この機能を開発したのが同社のビデオチームではなく、セキュリティとプライバシーを保護する役割のTrust and Safety(信頼と安全性)チームだと強調している。

「Face to Faceは初期ユーザーから好評を得たため、世界のTinderコミュニティに展開することにしました。Face to Faceは写真認証、セーフティセンター、不適切なメッセージを検知するテクノロジーなどユーザーが安全にデートアプリ利用するための多数のサービスの一環となります」とチームの責任者であるRory Kozol(ローリー・コゾル)氏は述べている。

公的規制や医療専門家のアドバイスによって人々がソーシャルディスタンス確保に努め、家族、職場など既知の人々の小さなグループに閉じこもる傾向にある現在、デートアプリというカテゴリーが人気を集めているのは不思議に思われるかもしれない。

しかしながらパンデミックは、デートアプリにチャンスをもたらしているようだ。つまりバーやクラブなどが閉鎖されるか営業時間を短縮などを余儀なくされ、伝統的な出会いの場が減少してしまったためだ。

AppAnnieの調査によれば、Tinderは引き続きライフスタイルカテゴリのアプリのダウンロード数のトップランキングに含まれている(米国におけるiOSアプリとしては現在、第3位だ)。

Tinderのビデオチャット機能は、単にマッチ度の高いデート相手を見つけるだけではなく、その相手とアプリ内で実際にコミュニケーションをとることを可能にする。

バーのような伝統的な出会いの場では、誰彼構わず寄ってきて話しかけることを防ぐことができない。Face to Faceでは以下の例のように、あらかじめ双方の合意が必要なのでこれはメリットだろう。

Tinderでビデオチャットを始めるには双方がこの機能の利用にオプトインしていなければならないし、アプリの通常の機能でマッチしていると認定されなければならない。またこのビデオチャットの着信があっても気が向かなければ通常の通話と同様、無視することもできる。

また相手の言動が気味が悪い、不愉快、あまりにしつこいなどの場合、アプリ自体を削除しなくても、相手のプロフィールページに移動して「報告」を開いて手順に従えばよい。

Tinderはアプリの双方向性を高めるために各種のビデオ機能を実験してきた。なんといってもビデオチャットは、人々がつながるために最も有効かつ誰もが手軽に利用できるメディアだ。

もっともビデオの新機能には成功と失敗が混在している。2018年に登場した自己紹介のために2秒間のビデオをループさせるTinder Loops(未訳記事)は現在も人気だ。 しかしアプリ内イベントのSwipe Night(未訳記事)は新型コロナウイルスの流行以降、休眠状態(未訳記事)となっていた(最近、一部の国で復活させるようだ)。

関連記事:Tinderのインタラクティブビデオシリーズ「Swipe Night」が日本含めグローバルで9月12日から利用可能に

カテゴリー:ネットサービス
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(翻訳:滑川海彦@Facebook

金融機関は新型コロナで苦しむ人々を救うクラウドファンディングを支援できるはずだ

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが経済に与えた衝撃は、数百万の人々の経済展望にも悪影響を及ぼし、さらに数百万の人々に財政的困難をもたらし続けているが、こうした苦難の時代は、一方でこれまで以上に弾力的で機転の効く金融システムも生み出した。

クラウドファンディングという卓抜なアイデアは過去10年間で一番の「サクセスストーリー」(International Banker記事)と考えられており、新型コロナ支援に大胆で新しい取り組みが求められるこの決死のとき、銀行をはじめとする金融機関がクラウドファンディングプラットフォームと手を組み、彼らの取組みと影響を強化する理想的チャンスが訪れている。

新型コロンクラウドファンディング、人を助ける可能性の世界

金融機関がどのようにクラウドファンディングのキャンペーンを支援できるのかを考える前に、パンデミック下にこの金融施策から得られた多種多様な目覚ましい成果を見てみよう。人々が家賃を支払うか食料品を買うかを選び、他の無数の絶望的状況下にある中、私たちは企業や起業家や一般の人がクラウドファンディングを利用して、必要なお金がなく、借金も限度まで使い切り、政府の支援を受けられない消費者のために新型コロナウイルス感染症救済を提供する方法を考えるべきだ。

新型コロナクラウドファンディングの素晴らしい事例のいつくかを以下に紹介する。

新型コロナウイルスの時代にクラウドファンディングが提供する可能性は無限であり、金融機関は間違いなく支援の手を差し伸べられる立場にある。以下にその方法を挙げた。

1. クラウドファンディングは流行ではないことを認識する

クラウドファンディングは、あらゆる種類の企業、個人、製品にとって、極めて重要かつ意義のある資金調達手段だ。その経済への著しい寄与を否定することは、このパンデミック下のデジタル金融においては特に両目に眼鏡が必要なのに片眼鏡をかけるようなものだ。目先だけを見てはならない。すでにクラウドファンディングは生活に密着している。事実、無数のクラウドファンディング事業やプラットフォームが世界中の市場で大きな動きを見せている。例えばオーストラリアのParpera(Crowdfund Insider記事)はthe equity-crowdfunding platformsと連携してGoFundMeKickstarter and Indiegogoなどに対抗しようと目論んでいる。

2. クラウドファンディングキャンペーンへ積極的に投資する

こうしたキャンペーンの本来の主旨から外れるようにも思えるが、適切な金額(Crowdfund Insider記事)のシード資金を会社の目標に沿ったキャンペーンに注入することは、会社にとっても起業家や理念にとってもウインウインなものであり、絶望的困難にある現在は特にそうだ。

3. コミュニティとそのクラウドファンディングの取り組み取り組みに関与する

これは、あなたの金融機関コミュニティにいる小規模、中規模の企業があなたの助けを利用できる可能性がある、という意味だ。上記したようなクラウドファンディングキャンペーンへの投資を考慮してはどうだろう。あるいは、金融機関とクラウドファンディングのプラットフォームやキャンペーンき隙間を埋めて(PYMNTS.com記事)、小規模企業がこの困難な時期に生き残るために必要なチャンスを得られよようにできればもっと良い。

4. 持続可能な開発目標(SDGs)を掲げる

9月に国連開発計画(UNDP)は、デジタル金融は世界中の人々が金銭管理体験をカスタマイズ、パーソナライズすることで、自分たちの金融ニーズをより迅速かつ効率よく満たされるようにできることを宣言する報告書(UNDPサイト)を公開した。クラウドファンディングのプラットフォームやキャンペーンに協力する意志のある金融機関は、その目標をさらに前進させ、新型コロナウイルス不況の有害な影響の可能性に対する社会の一層強固な反発力を育てることができるだろう。

5. この比較的新しい業界に規制対策の専門知識を貸し出そう

他の国々では、クラウドファンディング金融分野を規制するよりよい方法をすでに考えられ始めている。例えば欧州連合(EU)のクラウドファンディング規制に対する最近の修正(Born2Invest記事)はこの秋発効する。歴史ある金融機関なら、この新型コロナウイルスパンデミック下の混迷の中であっても、クラウドファンディングのポリシーや標準的運用手順の決定を手助けできるはずだ。そうすることで、全員にとって公正で公平な金融が、少なくとも理論上は確保できる。

当初は状況、個人あるいは商品に応じて、慈善事業か新規技術導入のどちらかに使われていたクラウドファンディングは、政府や一部の銀行を含め他の組織が十分な支援を提供できていない中、新型コロナウイルス経済支援の信頼性の高い手段になりつつある。金融機関は自分たちの膨大な専門知識や知見、リソースを価値ある大義のために貸し出すべきだ。何といっても、目指すところは1つなのだから。

【Japan編集部】本稿の著者はScott Purcell(スコット・パーセル)氏。パーセル氏はAPI対応の革新的なB2Bオープンバンキング金融ソリューションを提供するPrime TrustのCEO兼最高信託責任者だ。

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タグ:クラウドファンディング新型コロナウイルス

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

コロナ禍で大活躍、空間内の人々を匿名で正確に追跡するDensityのOpen Areaレーダー

世界中の誰もが今、共有スペースに対する考えを再考していることだろう。日々、毎分、どのようにして空間が使用されているかを理解することが重要だ。Density(デンシティー)が開発した天井に取り付けられる小さなレーダーは、目立たないように、しかし非常に正確に人を見つけて追跡し、すべてのテーブル、椅子にいたるまで、オフィス全体を監視するデバイスだ。

そう言うと聞こえが悪いが、心配は無用。詳細は後ほど説明する。

Densityは、赤外線画像を使って人の出入りを追跡する通路監視装置「Entry」に潜在する可能性を見出し、大規模に人々を監視する技術の開発を検討し始めた。同社は1か所から数百平方フィートをカバーする精度を持ちつつも、簡単に誰かを識別するための機能を欠いたレーダーを起用することに落ち着いた。

一般的な防犯カメラに人を監視するソフトをインストールすることに対して警戒心を持っている人が多いため、この部分こそが重要なポイントなのである。画像は個人情報と容易に照合できるため悪用される可能性が高い。そのため、通常のカメラの上にコンピュータービジョンを重ねる方が安く済むかもしれないが、その方法だとどうしてもリスクと欠点が残ってしまう。

画像クレジット:Density

無論、デスクやコンピューターを監視し、機密文書や些細な行動を読み取れる監視カメラを好む人間はほとんどいないだろう。Densityが開発したシステムは、あの椅子に誰か座っているか、あのオフィスに人はいるのか、この部屋には何人いるのか、など「存在」に強い重点を置いている。

レーダーはポイントクラウドを生成するが、自動運転車のライダーシステムで見られるような詳細なものではない。人はオフィスキッチンの冷蔵庫の近くに存在する小さく、直立した雲のようなものとして描かれる。他の誰かがオフィスキッチンにコーヒーを飲みに来たときには、別の雲として追跡される。しかし、人を区別したり、サイズや衣類を見分けたりするのに十分な機能は設けられていない。

画像クレジット:Density

もちろん、雲を追跡して彼らの机に戻り遡って誰かを特定することも可能だが、今時人を追跡するための方法は他にいくらでもある。このレーダーには、もっと別の使い道があるのだ。

ここから得られるデータは実際に明確な価値がある。カフェでは座席の稼働率を確認したり、異なるレイアウトのABテストをしたり、ジムではどのマシンが一番頻繁に使われていて、メンテナンスや清掃が必要なのはどれかを確認したりできる。オフィスでは不人気の会議室や家具を再利用することや小売店では買い物客が寄り付かない棚を見つけたりすることが可能だ。また、デバイスに付属のソフトウェアを使用すると、人と人との距離や、様々な場所にどれくらいの時間滞在する傾向があるか、特定の通路が他の通路よりも多く使用されているかどうかなどを知ることができる。

Densityソフトウェアの動作中のスクリーンショット

データはリアルタイムで集計されるため、シェアオフィススペースではどのデスクが朝からずっと空いているかや、どのデスクが今空いているのかなどを、尋ねたり再確認したりすることなく簡単に知ることが可能だ。レストランでの使用も同様に、空きテーブル数を数えてもたつく事態を防ぐことができる(お気づきの通り、こういったアプリは主にパンデミック時以外を想定したものだが、今がデバイスをインストールする絶好のチャンスかもしれない)。

リアルタイムクラウドにレイアウト画像を追加すると、突然現実味を帯びてくる。

画像クレジット:Density

サンドイッチサイズのOpen Areaセンサーは、地上20フィート(約6メートル)の距離から1325平方フィート(約123方メートル)をカバーすることが可能。これは直径約38~40フィート(約11.5~12メートル)の円に相当し、この中には会議室数部屋か約20台の机を収めることができる。頭上式の光学カメラにも劣らず、さらにプライバシー面でも利点があるわけだ。

実際のオフィスでどう見えるか興味がある方は、以下の画像を見て写真の中から是非デバイスを見つけ出して欲しい。写真は難易度の低いものから並べている。

ただし、最初は価格の高さに驚くかもしれない。Open Areaセンサーの価格は399ドル(約4万2000円)。さらに1デバイスにつき年間199ドル(約2万1000円)のライセンス料がかかる。そのためそこそこのサイズのオフィスに装備を施した場合、軽く5桁の金額になってしまうだろう。もちろん、それだけの広さのスペースを運営している人ならばスペースの使用状況の調査(実際に人がそこに座って、誰が何を使っているのかを監視する)や、バッジベースエントリーのようなその他の便利な機器のコストの高さをご存知のはずだろう。

「当社は桁違いの安さと格段の利便性を実現しました」とCEOのAndrew Farah(アンドリュー・ファラー)氏は言う。

Densityはすでにいくつかの大手企業を顧客として持っている。オフィスや小売業の世界全体は現在混乱状態に陥っているものの、このようなツールが次の次元へと導いてくれることだろう。スペースの使い方をしっかり把握すると言うことは、コストの節約になるだけでなく、安全性を高め、そこにいる人々を幸せにすることにもつながるのだ。

関連記事:Thanks to COVID-19, everybody wants Density’s technology tracking building occupancy and use(未訳記事)
カテゴリー:ハードウェア
タグ:Density レーダー 新型コロナウイルス

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(翻訳:Dragonfly)

四半期決算発表後インテル株が10%も下げた理由、データセンタービジネスの弱さが影響か

第3四半期の決算が報告される季節となった。しかし、すでにいくつかの企業が発表した決算は、株主にとって好ましくないものとなっている。動画ストリーミングの大手Netflixが発表した四半期決算には、株主を失望させる数字がいくつか含まれていたため株価は下落した。米国時間10月22日に四半期決算を発表したIntel(インテル)もまた、株価を下げてしまった。

CPU大手であるインテルの株価は第3四半期の決算データ発表(Intelリリース)の後、市場外取引で約10%下がった。市場では調整済1株当たり利益1.11ドル(約116円)、 収入182億6000万ドル(約1兆9118億円)で、対前年比でそれぞれ5%と22%のダウンだった。今期のインテルは収入で183億ドル(約1兆9160億円)と期待を上回る成績だった。また調整済一株当たり利益でも1.11ドルという目標も達成している。

では、なぜ株価が急落したのだろうか?

急速に浮上(CNBC記事)した見方(Seeking Alpha記事)として、同社のデータセンタービジネスの弱さが影響したというものがある。インテルの事業は、データセンター部門と主力のチップ製造部門に大別される。インテルのデータ部門であるDCG(Data Center Group)の決算結果は、明暗入り混じるものだった。クラウド事業の収入は15%伸びたが、大企業および政府部門の収入は前年同期比で47%もダウンした。この部門は(インテルの表現を借りれば)先立つ2期で連続して30%以上も成長していた。

データ事業の失速は、DCGに大きな収入ダウンをもたらした。市場の期待(Seeking Alpha記事)は62億2000万ドル(約6513億円)だったところ、59億ドル(約6178億円)しか達成できなかった。

インテルはこの原因を、新型コロナウイルスの世界的流行による景気後退に求めている。同社はまた IoT事業(33%ダウン)、メモリ事業(11%ダウン)の不振を、パンデミックの所為にしている。

最近、北米とヨーロッパで新型コロナウイルスが流行が再び拡大し始めた。市場ではこのマクロ経済の不振が、インテルの授業に今後も影響を与えるのではないかと懸念している。そうであれば収入減少はこれまでの予想以上に長く続くことになるだろう。こうした懸念が、四半期決算発表後の株の売りにつながったものとみられる。

決算報告と同時に発表されたガイダンスが、株価下落に影響しているだろうか?ガイダンスには悪材料はなかったため、おそらく影響していないだろう。2020年第3四半期の決算に比べて、ガイダンスは収入利益ともに小幅ながら市場の予測を上回る数字を上げている。インテルの第4四半期ガイダンスでは、収入を174億ドル(1兆8220億円)、調整済み1株当たり利益を1.10ドル(約115円)としている。これに対してアナリスト予測は、それぞれ173億4000万ドル(約1兆81581億円)、1.06ドル(約111円)だった。

つまりインテルの第4四半期のガイダンスの数字は予測を上回るものなので、今回の株価下落の原因とは考えにくい。そうなるとやはり、データビジネスの影響だろうという推測に行きつく。

ある時点で、株価がどのように動くかに関するあまりに詳細なストーリーを作るのは危険だ。しかし今回のケースでは、データビジネスの不振が株価下落の大きな要因となっていることは間違いないだろう。新型コロナウイルスが原因だとする同社の説明に納得するかどうかは、それぞれの投資家のマクロ経済の読みにかかっている。

関連記事:Netflixが第3四半期の決算報告後に株価を下げた理由

カテゴリー:ニュース
タグ:Intel決算発表新型コロナウイルス

画像クレジット:David Silverman / Getty Images
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滑川海彦@Facebook

EUで国境を越えた新型コロナ接触追跡アプリの相互運用開始、ドイツ、イタリア、アイルランドのアプリが対象

欧州連合(EU)は、先月、2020年9月に行われたシステムの試験運用を経て、Bluetooth近接通信機能を利用してスマートフォンユーザーの接触リスクを計算する新型コロナウイルス接触追跡アプリの国境を越えた相互運用を最初のグループで開始した。

各国のアプリのうちバックエンドがゲートウェイサービスを通じてつながるのは、ドイツの「Corona-Warn-App」、アイルランドの「COVID tracker」、イタリアの「Immuni」だ。

この意味するところは、アプリのユーザーが他の国に旅行するとき、追加でソフトウェアをダウンロードしなくても、旅行しなかった場合と同じように自国のアプリから接触通知が送られてくるということだ。

合計すると、上記3カ国の新型コロナアプリは約3000万人がダウンロードしており、EUによるとそれはEU内のダウンロードの3分の2に相当する。

画像クレジット:EU Publications Office

他国のアプリも今後数週間でサービスに参加し、相互運用性を得ると予想される。その段階で互換性をもつ国内アプリが少なくとも18個増える。

各国アプリの次のグループは、試験期間を経て来週参加する。チェコの「eRouška」、デンマークの「Smitte|stop」、ラトビアの「Apturi COVID」、スペインの「Radar Covid」だ(ただし「Radar Covid」はまだスペインを完全に網羅していない。カタルーニャ地域は地域の医療システムと統合されていない)。11月には互換性のあるアプリがさらに追加される予定だ(欧州委員会リリース)。

ゲートウェイは現状、分散型アーキテクチャー(基本設計)を備えた公式の新型コロナアプリで動作するように設計されている。つまり、フランスの「StopCovid」アプリなど、集中型アーキテクチャーを使用するアプリは今のところ互換性がない。

一方、英国のアプリ(イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド向け)は、技術的に互換性のあるアプリアーキテクチャーを備えているが、プラグインされる可能性は低い。英国は2020年末に貿易圏から外れるからだ(したがって相互運用するには英国・EU間の合意が別途必要になる)。

「EU加盟国の約3分の2が互換性のある追跡・警告アプリを開発しています。接続の準備が整えば、ゲートウェイはすべての加盟国に開かれています。接続は10~11月にかけて徐々に行われますが、各国当局の希望でもっと後の段階でアプリを接続することもできます。『オンボーディングプロトコル』が開発されており、そこに必要な手順が示されています」と欧州委員会はQ&Aで述べている。

EUのアプリのための国境を越えたシステムは、ゲートウェイサーバーを使用することにより機能する。T-SystemsとSAPによって開発・設定されており、ルクセンブルクにある欧州委員会のデータセンターで運用される。このデータセンターが、各国のアプリ間で任意の識別子の受け渡しを行う。

「アプリによって生成された任意のキー以外の情報をゲートウェイが処理することはありません」とEUはプレスリリースで述べている。「情報は匿名化され、暗号化され、最小限に抑えられ、感染を追跡するために必要な期間のみ保存されます。個人を特定したり、デバイスの場所や動きを追跡したりすることはできません」。

欧州の広い地域でパンデミックの第2波(The Guardian記事)を迎える中、各国の新型コロナアプリのパッチワーク全体で国境を越えたシステムを非常に迅速に稼働させるに至ったことはEUにとっての成果だ。もちろん、Bluetoothベースの接触通知が、新型コロナの感染拡大との戦いにおいて有用なのかについてはなお疑問があるにもかかわらずだ。

しかし、EUの委員会は10月19日、そうしたアプリが人間による接触追跡など他の手段を補完するのに役立つ可能性があると示唆した。

EUの健康・食品安全担当のStella Kyriakides(ステラ・キリヤキデス)委員は声明で次のように述べた。「新型コロナの追跡・警告アプリは、テストの強化や人間による接触追跡などの他の手段を効果的に補完できます。感染者数が再び増加している中、感染経路を遮断する上でアプリが重要な役割を果たすことができます。国境を越えて機能すれば、アプリはさらに強力なツールになります。本日稼働を開始するゲートウェイシステムは我々の仕事の重要なステップです。お互いを守るためにアプリの利用を呼びかけたいと思います」。

「移動の自由は単一市場の不可欠な部分です。ゲートウェイは人命救助に役立ちながらこれを促進していきます」と内部市場のコミッショナーであるThierry Breton(ティエリー・ブルトン)氏は付け加えた。

関連記事:欧州が国境を越えた新型コロナ陽性者接触アラートアプリの相互運用性テストを開始

カテゴリー:ヘルステック
タグ:EU新型コロナウイルス

画像クレジット:dowell / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi